JP2004201435A - 回転電機 - Google Patents

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Motonori Ito
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    • HELECTRICITY
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Abstract

【課題】冷却風の発生に伴う騒音全体を低減することができる回転電機を提供すること。
【解決手段】車両用交流発電機1は、固定子2、回転子3、フレーム4、5を有する。回転子3の磁極鉄心7の軸方向端面には、互いに隙間を持たせて積層した複数の円盤からなる円盤群11、14が取付固定されている。回転子3を回転させると、円盤群11、14も回転し、各円盤に沿って遠心方向に冷却風が流れる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車やトラック等に搭載される回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種の回転電機において、騒音低減の社会的要請が高まっている。特に、自動車の場合、エンジン騒音が低下してきており、これに伴って、比較的高速で回転する補機、とりわけ車両用交流発電機のファンの羽根が回転することにより空気と衝突する衝突音であるファン騒音が耳障りになってきている。
【0003】
ファン騒音を低減する従来技術として、斜流式の羽根と遠心式の羽根とを組み合わせ、それぞれの羽根の枚数を互いに割り切れない枚数とするとともに、それぞれの羽根の枚数が公約数を持たないようにした冷却ファンを備えるようにした車両用交流発電機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような冷却ファンを用いることにより、特定の次数の干渉音を抑えることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−289756号公報(第4−9頁、図1−7)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特許文献1に開示された冷却ファンを用いることにより、特定の次数成分の干渉音のみが際だって聞こえることは防止することができるが、ある程度の冷却風量を確保しようとすると、各次数成分のレベルが上昇するため冷却風の発生に伴う騒音全体を低減することが難しいという問題があった。
【0006】
当然ながら、ファンの小径化によってファン騒音の低減を実現することが考えられるが、これでは冷却風量が低下してしまい、最近の高出力化の要請に応える車両用交流発電機への採用は難しい。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、冷却風の発生に伴う騒音全体を低減することができる回転電機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の回転電機は、回転軸に固定される界磁鉄心を有する回転子と、界磁鉄心の外周側に配置される固定子と、互いに隙間を持たせて積層した複数の円盤を有し、回転子とともに回転する円盤群とを備えている。羽根のない円盤を回転させると円盤表面の空気が内径側から外径側に円盤に沿って移動する。したがって、回転子とともに回転する円盤を複数枚備えることにより、円盤の遠心成分の冷却風を得ることが可能になる。また、このようにして冷却風を発生する際に、冷却風が羽根等と衝突することがないためこの衝突によって発生していた騒音を大幅に抑えることが可能になり、冷却風の発生に伴う騒音全体を大幅に低減することができる。
【0008】
また、上述した円盤群は、複数の円盤の間を所定の間隔を維持した状態で固定する固定部材を有することが望ましい。これにより、円盤群を構成する複数の円盤を所定の間隔を維持した状態で固定して回転させることが可能になるため、円盤群全体として安定した冷却風量を確保することができる。
【0009】
また、上述した円盤群は、界磁鉄心の軸方向端面に固定されていることが望ましい。これにより、円盤群の固定が容易になるとともに、回転子の外周側に配置されている固定子を確実に冷却することが可能になる。
また、上述した複数の円盤の内径は、回転軸に沿って導入される冷却風の上流側が大きく設定されていることが望ましい。これにより、円盤群の回転中心近傍に冷却風を導入する際に流入抵抗を低減することが可能になり、各円盤に沿って遠心方向に冷却風を効率よく排出することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用発電機について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態の車両用交流発電機1の部分的な断面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の車両用交流発電機1は、電機子として働く固定子2、界磁として働く回転子3、固定子2および回転子3を支持するフレーム4、5、固定子2に直接接続され交流電力を直流に変換する整流器15等から構成されている。この整流器15の出力端子はバッテリに接続されている。
【0012】
回転子3の回転軸6はプーリ12に連結され、自動車に搭載された走行用のエンジン(図示せず)により回転駆動される。
ランデル型磁極鉄心7は、回転軸6に嵌合固定されたボス部71およびボス部71の両端より径方向に延びるディスク部72、爪状磁極73により構成されている。磁極鉄心7の両側面には、円盤群11、14が固定されており、回転子3と一体となって回転することによって冷却風の流れを生じさせる。
【0013】
図2は、リア側の磁極鉄心7の端面に固定された円盤群11の詳細を示す断面図である。また、図3は円盤群11の組み付け状態を示す図である。なお、フロント側の磁極鉄心7の端面には円盤群14が取り付けられているが、2つの円盤群11、14は基本的に同じ構造を有しているため、リア側の円盤群11について詳細を説明し、円盤群14については詳細な説明を省略する。
【0014】
これらの図に示すように、リア側の円盤群11は、4枚の円盤110−1、110−2、110−3、110−4と、これら4枚の円盤110−1〜110−4の間に配置される複数のスペーサ112と、4枚の円盤110−1〜110−4を固定するために用いられる複数の固定ピン114とを含んで構成されている。スペーサ112と固定ピン114が固定部材に対応する。なお、図3では、1本の固定ピン114と、円盤110−1、110−2間に配置されたスペーサ112のみが示されており、それ以外の固定ピン114およびスペーサ112については図示が省略されている。
【0015】
4枚の円盤110−1〜110−4のそれぞれは、リア側の磁極鉄心7の端面上に所定間隔で重ねて配置されている。円盤110−1は、磁極鉄心7の端面に直接接するように配置されており、4本の固定ピン114を通すために4つの取付孔116が円周方向に等間隔に形成されている。円盤110−2は、スペーサ112を介在させた状態で円盤110−1上に重ねて配置されており、円盤110−1と同じ位置に4つの取付孔116が形成されている。同様に、円盤110−3は、スペーサ112を介在させた状態で円盤110−2上に重ねて配置されており、4つの取付孔116が形成されている。円盤110−4は、スペーサ112を介在させた状態で円盤110−3上に重ねて配置されており、4つの取付孔116が形成されている。また、磁極鉄心7の端面には、各円盤110−1〜110−4に形成された4つの取付孔116と対応する位置に、4つの取付孔74が形成されている。固定ピン114の先端部を磁極鉄心7の取付孔74に固定する方法はねじ締めあるいは圧入による方法が一般的であるが、それ以外の方法、例えば接着剤等を用いるようにしてもよい。
【0016】
このようにして、4枚の円盤110−1〜110−4は、それぞれの間にスペーサ112を配置することにより、スペーサ112の寸法によって決まる所定間隔を維持した状態でリア側の磁極鉄心7の端面に固定される。
また、図2に示すように、磁極鉄心7に最も近い円盤110−1の内径φ2が最も小さく、磁極鉄心7から遠ざかるにつれて、円盤110−2、110−3、11−4の各内径φ3、φ4、φ5が次第に大きくなっている。このように各円盤110−1〜110−4の内径を設定することにより、冷却風が導入される回転中心近傍の空間を確保することができるため、冷却風が各円盤110−1〜110−4の内径側から流入する際の抵抗を少なくすることが可能になる。なお、各円盤110−1〜110−4の外径φ1は、図2に示した例では全て同じにしたが、それらの外側に配置された固定子2に干渉しないように適宜変更可能である。
【0017】
また、上述した円盤110−1〜110−4は、耐熱温度や強度の面からは鉄やアルミニウム等の金属材料を用いることが望ましいが、使用環境によっては、樹脂材料あるいは粉体や液体を用いて処理した紙等を用いるようにしてもよい。
このように、本実施形態では、複数の円盤からなる円盤群11、14を磁極鉄心7の端面に取り付けた回転子3が用いられている。一般に、羽根のない円盤を回転させると円盤表面の空気が内径側から外径側に円盤に沿って移動する。したがって、回転子3とともに回転する円盤を複数枚備えることにより、図1に矢印Aで示したような、回転軸6に沿って導入した冷却風を円盤群11、14の各円盤に沿って遠心方向に排出する冷却風を得ることが可能になる。
【0018】
特に、このようにして冷却風を発生する際に、冷却風が羽根等と衝突することがないため従来構造ではこの衝突によって発生していた騒音を大幅に抑えることが可能になり、冷却風の発生に伴う騒音全体を大幅に低減することができる。
また、円盤群11、14は、4枚の円盤の間にスペーサ112を介在させた状態で固定ピン114によって取付固定されており、所定の間隔を維持しながら各円盤を回転させることが可能になるため、円盤群11、14全体として安定した冷却風量を確保することができる。
【0019】
また、円盤群11、14は、回転子3の磁極鉄心7の軸方向端面に固定されているため、円盤群11、14の固定が容易になるとともに、回転子3の外周側に配置されている固定子2を確実に冷却することが可能になる。
また、4枚の円盤110−1〜110−4の内径φ2〜φ5は、回転子3の回転軸6に沿って導入される冷却風の上流に向かって順に小さくなるように設定されているため、円盤群11、14の回転中心近傍に冷却風を導入する際に流入抵抗を低減することが可能になり、各円盤に沿って遠心方向に冷却風を効率よく排出することができる。
【0020】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、回転子3の軸方向両側に2つの円盤群11、14を備えるようにしたが、どちらか一方を備えるだけで冷却風量が十分に確保できる場合には他方の円盤群を省略してもよい。
【0021】
また、上述した実施形態では、回転子3の磁極鉄心7の端面に円盤群11、14を直接取り付けたが、磁極鉄心7から離して取り付けたり、フレーム4、5の外側に取り付けて、回転軸6とともに回転させるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、車両用交流発電機に本発明を適用する場合を説明したが、車両用以外の用途の発電機や、電動機等の発電機以外の回転電機に本発明を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の車両用交流発電機の部分的な断面図である。
【図2】磁極鉄心の端面に固定された円盤群の詳細を示す断面図である。
【図3】円盤群の組み付け状態を示す図である。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機
2 固定子
3 回転子
4、5 フレーム
6 回転軸
7 ランデル型磁極鉄心
11、14 円盤群
15 整流器
71 ボス部
72 ディスク部
73 爪状磁極
110−1、110−2、110−3、110−4 円盤
112 スペーサ
114 固定ピン

Claims (4)

  1. 回転軸に固定される界磁鉄心を有する回転子と、
    前記界磁鉄心の外周側に配置される固定子と、
    互いに隙間を持たせて積層した複数の円盤を有し、前記回転子とともに回転する円盤群と、
    を備えることを特徴とする回転電機。
  2. 請求項1において、
    前記円盤群は、前記複数の円盤の間を所定の間隔を維持した状態で固定する固定部材を有することを特徴とする回転電機。
  3. 請求項2において、
    前記円盤群は、前記界磁鉄心の軸方向端面に固定されていることを特徴とする回転電機。
  4. 請求項2または3において、
    前記複数の円盤の内径は、前記回転軸に沿って導入される冷却風の上流側が大きく設定されていることを特徴とする回転電機。
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