JP2004200912A - プロジェクタ、ホワイトバランス補正方法及びその方法をコンピュータに実行させるプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】メモリを低減しつつ、ホワイトバランス、輝度むら、色むらを補正すること。
【解決手段】緑色光、赤色光、青色光の3色の色光を画像データに応じて変調する液晶パネルディスプレイ15を有し、変調された光をスクリーンの裏側に投写するリアプロジェクタにおいて、緑色光の偏光軸の方向と、赤色光、青色光の偏光軸の方向とを異ならせる1/2波長位相板を有し、緑色光の画像データの輝度を各階調一律に補正して光学系で発生するホワイトバランス崩れを補正する。
【選択図】 図1
【解決手段】緑色光、赤色光、青色光の3色の色光を画像データに応じて変調する液晶パネルディスプレイ15を有し、変調された光をスクリーンの裏側に投写するリアプロジェクタにおいて、緑色光の偏光軸の方向と、赤色光、青色光の偏光軸の方向とを異ならせる1/2波長位相板を有し、緑色光の画像データの輝度を各階調一律に補正して光学系で発生するホワイトバランス崩れを補正する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プロジェクタ、特に第1色光、第2色光及び第3色光との3色の色光を画像データに応じて変調する空間光変調装置を有し、変調された光をスクリーンの裏側に投写するプロジェクタ、そのプロジェクタの光学系で発生するホワイトバランス崩れをデジタル信号処理によって補正するホワイトバランス補正方法及びその方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
図15は、従来のリアプロジェクタの光学エンジンの概略構成を示すブロック図である。従来の光学エンジン80は、光源81と、色分離ダイクロイックミラー82及び83と、反射ミラー84、85及び86と、ライトバルブ87、88及び89と、1/2波長位相差板90と、色合成プリズム(クロスダイクロイックプリズム)91と、投写レンズ92と、を備えている。光源81から射出された非偏光な光は、図示しないフライアイレンズによって複数の部分光束に分割され、図示しないPBSアレイによって1種類の平面偏光に変換され、図示しない重畳レンズによって空間光変調装置であるライトバルブ87、88及び89上で重畳される。
なお、緑色光の偏光軸の方向と、赤色光及び青色光の偏光軸の方向とを異ならせる構成であれば、1/2波長位相差板90に代わる偏光変換装置を用いる構成にすることができる。また、偏光変換装置を配置する位置も図15に示す場合に限られない。
【0003】
これにより、ライトバルブ87、88及び89は均一に照らされる。ダイクロイックミラー82は、図示しない重畳レンズから射出される光のうち赤色光を反射するとともに、青色光及び緑色光を透過する。ダイクロイックミラー82で反射された赤色光は、反射ミラー85で反射され、赤色光用のライトバルブ88に達する。また、ダイクロイックミラー82を透過した青色光及び緑色光のうちで、緑色光は、ダイクロイックミラー83によって反射され、緑色光用のライトバルブ87に達する。
【0004】
一方、青色光は、ダイクロイックミラー83を透過し、反射ミラー84及び86で反射され、青色光用のライトバルブ89に達する。三つのライトバルブ87、88及び89に入射した各色光は、画像情報に従ってそれぞれ変調され、各色光の画像を形成する。ライトバルブ88及び89からそれぞれ射出された青色の変調光及び赤色の変調光は、色合成面に対するS偏光としてクロスダイクロイックプリズム91に入射する。一方、ライトバルブ87から射出された緑色の変調光は、λ/2波長位相差板90を通って色合成面に対するP偏光としてクロスダイクロイックプリズム91に入射する。
【0005】
クロスダイクロイックプリズム91は、3色の変調光を合成してカラー画像を形成する色光合成光学系としての機能を有している。3色の変調光は、クロスダイクロイックプリズム91によって合成され、カラー画像を投写するための合成光が形成される。投写レンズ92は、この合成光をスクリーン上に投写する機能を有し、スクリーン上にカラー画像を表示する。図16は、従来のリアプロジェクタの概略構成を示すブロック図である。
【0006】
従来のリアプロジェクタは、光学エンジン80、反射ミラー93及びスクリーン94を備える。光学エンジン80の投写レンズ92から射出された投写光(合成光)は、反射ミラー93で反射され、スクリーン94の裏側に入射され、投写される。これにより、スクリーン94にカラー画像が表示される。しかし、このリアプロジェクタでは、クロスダイクロイックプリズム91における各色光の偏光方向と反射ミラー93及びスクリーン94での偏光特性との違い等、リアプロジェクタ光学系の光学構成や部材等に起因して、スクリーン上で色バランス(色度座標上の色度領域)が崩れるという問題があった。特に、無彩色光を投写した場合のホワイトバランス崩れが問題となっていた。なお、この問題は壁面に設けられたスクリーンに画像を投写するプロジェク(いわゆるフロントプロジェクタ)においても存在する。スクリーンの偏光に対する特性が、偏光毎に異なり得るからである。
【0007】
このホワイトバランス崩れを補正する従来からの方法として、各ライトバルブに供給する第1色光、第2色光、第3色光等の3原色光(例えばR(赤)光、G(緑)光、B(青)光)の画像信号を電気的に信号処理して補正する方法が知られている(例えば特許文献1)。3原色の画像信号を処理する各信号処理部に、画像データの各階調に対応した補正値をROMに記憶したルックアップテーブル(LUT)を備え、このLUTを用いてホワイトバランス補正(ホワイトバランス崩れの補正)を行う。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−292332号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の方法によれば、3原色の各処理回路に、画像データの各階調に対応した補正値をROMに記憶したLUTをそれぞれ設けるため、メモリ量が増大し、コストが上昇するという問題点があった。特に、画像データがHDTV(High Definition Television)等の高解像度で高速な処理が必要な場合には、メモリが膨大となると、メモリへのリード、ライトのアクセス時間が短くなる。このため、時間内に処理できない恐れがあり、仮に処理可能なメモリデバイスであっても非常に高価であった。
【0010】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、メモリを低減しつつ、ホワイトバランス崩れ及び色むら、輝度むらを補正することを目的とする。
なお、色むらとは、投写画像の色彩の不均一性をいい、輝度むらとは投写画像の輝度の不均一性をいう。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、第1色光、第2色光及び第3色光との3色の色光を画像データに応じて変調する空間光変調装置を有し、変調された光をスクリーンの裏側に投写するプロジェクタにおいて、前記第1色光の偏光軸の方向と、前記第2色光及び前記第3色光の偏光軸の方向とを異ならせる偏光変換部と、前記第1色光の画像データの入力データに対して一定比率で演算処理した結果を出力することにより、前記プロジェクタの光学系で発生するホワイトバランス崩れを補正するホワイトバランス補正手段を有することを特徴とするプロジェクタを提供できる。
これにより、ホワイトバランス補正手段が、画像データのうち、第1色光の画像データの輝度を各階調一律に補正するため、光学系で発生するホワイトバランス崩れを改善できる。この結果、演算処理により補正できるため、メモリを有するLUT処理を用いることなく、かつ、一つの経路の画像データのみを補正するだけで済むため、低コストで高速にホワイトバランス崩れを補正することができる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記ホワイトバランス補正手段は、前記第1色光の画像データの輝度を各階調において一律に増加又は減少させることが望ましい。これにより、さらにホワイトバランスを適正に補正できる。
また、本発明の好ましい態様によれば前記第1色光は緑色光であることが望ましい。これにより、ホワイトバランスを崩す影響が大きい緑色光を補正することで、ホワイトバランスを効率良く補正できる。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記画像データが無彩色であるか否かを判定する判定手段と、前記第1色光の前記画像データを入力状態のまま伝送するバイパス経路部と、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記ホワイトバランス補正手段により演算処理された前記第1色光の前記画像データと、前記バイパス経路部を経由する入力状態のままの前記第1色光の前記画像データとを選択的に切り替える切り替え手段とを有し、前記切り替え手段は、前記画像データが無彩色である場合は、前記ホワイトバランス補正手段により演算処理された前記第1色光の画像データを選択し、前記画像データが無彩色以外の場合は、前記バイパス経路部を経由する入力状態のままの前記第1色光の前記画像データを選択することが望ましい。
【0014】
これにより、判定手段が、画像データが無彩色であるか否かを判定し、切り替え手段が、判定手段の判定に基づいて、画像データが無彩色である場合は、ホワイトバランス補正手段を通る経路を有効にする。また、画像データが無彩色でない場合は、バイパス経路を有効にする。これにより、特に無彩色領域で目立つホワイトバランス補正(ホワイトバランス崩れの補正)を効果的に補正しつつ、有彩色領域では色再現領域を最大限に活用するために、ホワイトバランス補正を省略して、光学的ロスを低減しながら色再現範囲を広げることができる。
【0015】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記スクリーンにおける投写画像の輝度むら及び色むらの少なくとも一方を補正するための補正値を線形補間により算出する補正値算出手段を有し、前記ホワイトバランス補正手段は、前記補正値算出手段が算出した前記補正値に基づいて、前記第1色光の前記画像データを補正することが望ましい。
【0016】
これにより、補正値算出手段が、投写画面内の輝度むら又は色むら等の不均一むらを補正する補正値を線形補間によって算出し、ホワイトバランス補正手段が、補正値算出手段が算出した補正値に基づいて第1色光、例えば緑色光の画像データの輝度を補正する。これにより、少ないメモリ量で不均一むらを低減することができる。特に、線形補間するポイント数を限定すれば、更なるメモリ量の削減が可能である。
【0017】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記スクリーンにおける投写画像の輝度情報を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記ホワイトバランス補正手段の補正値の算出式を決定する算出式決定手段とを有し、前記補正値算出手段は、前記算出式決定手段が決定した前記算出式を用いて前記補正値を算出することが望ましい。
これにより、検出手段が、投写画面の輝度情報を検出し、算出式決定手段が、検出手段の検出結果に基づいて、補正値の算出式を決定し、補正値算出手段が、算出式決定手段が決定した算出式を用いて補正値を算出する。この結果、適宜、適切な算出式を決定して用いることができる。
【0018】
また、本発明によれば、前記画像データが無彩色であるか否かを判定する判定手段と、前記画像データの色度及び階調を算出する色度・階調算出部とをさらに有し、前記画像データが無彩色であると判定された場合は、前記第1色光の前記画像データに対して前記演算処理の結果を出力してホワイトバランスを補正し、前記画像データが無彩色以外であると判定された場合は、前記第1色光、前記第2色光及び前記第3色光の3つの前記画像データに対して、前記色度・階調算出部からの出力に基づいて色補正を行うことが望ましい。これにより、ホワイトバランスの補正とともに、画像データの色補正を行うことができる。
【0019】
また、本発明によれば、第1色光、第2色光及び第3色光との3色の色光を画像データに応じて変調する空間光変調装置と、変調された光をスクリーンの裏側に投写する投写レンズとを有するプロジェクタのためのホワイトバランス補正方法において、前記第1色光の偏光軸の方向と、前記第2色光及び前記第3色光の偏光軸の方向とを異ならせる偏光変換工程と、前記第1色光の画像データに対して一定比率で演算処理した結果を出力することにより、前記プロジェクタの光学系で発生するホワイトバランス崩れを補正する補正工程とを含むホワイトバランス補正方法を提供できる。
【0020】
これにより、ホワイトバランス補正工程で、画像データのうち、第1色光、例えば緑色光の画像データの輝度を各階調一律に補正してホワイトバランス崩れを補正する。この結果、演算処理により補正できるため、メモリを有するLUTを用いることなく、かつ、一つの経路の画像データのみを補正するだけでホワイトバランス崩れを補正することができる。
【0021】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記補正工程のために、前記スクリーン上における投写画像のホワイトバランスをコンピュータにより算出するシミュレーション工程をさらに含み、前記補正工程は、前記シミュレーション工程の結果に基づいて、前記第1色光の画像データの輝度を各階調において一律に増加又は減少させることが望ましい。これにより、投写された画像を実際に測定する代わりに、シミュレーションにより得られた値を用いてホワイトバランスを補正できる。
【0022】
また、本発明によれば、上述のホワイトバランス補正方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムを提供できる。本プログラムにあっては、このプログラムをコンピュータに読み取らせることによって、上述のホワイトバランス補正方法の動作をコンピュータによって実現することが可能となる。ここで、「プログラム」とは、データ処理方法を記述したものであって、記述する言語や記述方法は特に限定されず、ソースコード、バイナリコード、実行形式等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS等の別個のプログラムと協働してその機能を達成するものを含む。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
高輝度・高効率なリアプロジェクタを実現する場合、従来技術(図15、16)で述べたように、例えば、第1色光である緑色光の偏光軸の方向と、第2色光である赤色光及び第3色光である青色光の偏光軸の方向とを異ならせる偏光変換部である1/2波長位相差板を緑色光の光路内に配置する。このようなリアプロジェクタの光学系では、各色光の偏光軸の向きが異なるため、液晶パネル出射後のダイクロイックミラー及びミラー、スクリーン等での偏光特性や反射特性が偏光軸によって異なる。このため、スクリーンを透過する際の光学効率(輝度)が異なってしまい、ホワイトバランスが崩れるといった問題がある。このホワイトバランス崩れは、階調に関わらず所定の割合で緑色が強くなるという性質を有する。この発明の実施の形態1では、この性質に着目し、特に、緑色光の画像データのみを各階調一律に下げる簡単な補正回路を設け、この補正回路によってホワイトバランス補正する場合について説明する。緑色光の画像データを補正することでホワイトバランスを確実に補正できる。図1は、この発明の実施の形態1にかかるリアプロジェクタの概略構成を示すブロック図である。
【0025】
このリアプロジェクタは、演算器である例えば掛算器1と、表示デバイス2と、投写光学系3と、画像座標判定部5を有する制御部4と、補正係数算出部6と、算出式情報記憶部7と、算出式決定部8と、カメラ10を有する検出部9と、を備える。制御部4の画像座標判定部5は、画像データのクロック信号、水平同期信号及び垂直同期信号を入力し、処理対象の画素データが画面座標上のどこに位置するかを判定する。掛算器1は、3原色光(R(赤)、G(緑)、B(青))の画像データの各経路のうち、緑色光の画像データの経路上に配置され、緑色光の画像データの色圧縮(輝度の増減)を行う。表示デバイス2は、3原色の画像データを入力し、これらの画像データに基づいて空間光変調装置であるライトバルブを制御し、画像を生成する。
ここで、補正係数算出部6と、算出式情報記憶部7と、算出式決定部8と、カメラ10を有する検出部9と、パーソナルコンピュータ(PC)11とで、ホワイトバランス補正手段を構成する。
【0026】
投写光学系3は、PBS(偏光変換素子)、投写レンズ、ミラー、スクリーン等の光学部材を含み、画像をスクリーン上に投写する。検出部9は、カメラ(外部センサー)10を有し、スクリーン画面各部の輝度情報を取得する。算出式決定部8は、検出部9が取得した輝度情報に基づいて、ホワイトバランスの崩れ及び投写画面内の不均一むらを補正する補正値を算出する算出式を決定する。あるいは、リアプロジェクタ外部のパーソナルコンピュータ(PC)11に輝度情報を入力し、PC11で算出式を決定してもよい。
【0027】
また、算出式決定部8は、検出部9によって輝度情報を取得する場合、表示デバイス2を制御してテスト用の白色光を出力させる。ここで、テスト用の白色光の階調を複数段階変えて輝度情報を取得してもよい。このように、検出部9が輝度情報を実測することによって、実際に発生する不均一むらに応じた適切な補正を行うことができる。あるいは、PC11において予め計算された光学シュミレーションの結果を基に、算出式を決定してもよい。これにより、検出部9を設ける必要がなくなり、また、リアプロジェクタ内で算出式を決定する必要がなくなるため、リアプロジェクタの構成及び処理を簡略化することができる。なお、シミュレーションによる処理手順は後述する。
【0028】
算出式情報記憶部7は、算出式に関する算出式情報を記憶する。算出式情報とは、たとえば、算出式の定数及び係数や、線形補間を行うための補正点の情報である。PC11や算出式決定部8は、決定した算出式に関する算出式情報を算出式情報記憶部7に記憶させる。補正係数算出部6は、画面座標判定部5から処理対象画素データの位置情報と、算出式情報記憶部7から算出式情報とが入力され、ホワイトバランス及び輝度むら、色むら等を補正する補正係数を線形補間により算出する。掛算器1は、補正係数算出部6で算出された補正係数を用いて色圧縮・伸張を行い、ホワイトバランス補正を行う。
【0029】
なお、表示デバイス2の前段のRGB信号線上に、色変換(3D−γ補正)を行う3D−LUTや、三つの1D−LUTを設けてもよい。また、補正係数算出部6は、画面全体に対して一つの補正係数のみを算出し、掛算器1は、この補正係数を用いて画面全体に対して一律にゲイン補正を行ってもよい。また、補正係数算出部6が算出した補正係数を保持する図示しない補正係数記憶部を設け、掛算器1は、この補正係数記憶部が保持する補正係数を用いてゲイン補正を行ってもよい。また、掛算器1に代えて、図示しない減算器を設け、補正係数算出部6は、この減算器が使用する補正定数を算出するようにしてもよい。さらに、他の色圧縮方法を用いてもよい。
【0030】
図2は、図1に示した表示デバイス2及び投写光学系3の構成を示す説明図である。ここでは、リアプロジェクタが液晶プロジェクタである場合を示している。また、図2では、照明光学系16及び投写レンズ14を簡略化して示している。表示デバイス2及び投写光学系3は、液晶ディスプレイ駆動回路12、スクリーン13、投写レンズ14、液晶ディスプレイパネル15及び照明光学系16を含む。
【0031】
液晶ディスプレイ駆動回路12は、3原色の画像データを入力し、これらの画像データに応じた画像を液晶ディスプレイパネル15に表示させる。液晶ディスプレイパネル15は、照明光学系16によってほぼ均一に照明されており、液晶ディスプレイパネル15に表示された画像は、投写レンズ14によってスクリーン13上に投写される。
【0032】
以上の構成において、実施の形態1の動作について、図3〜図10を参照して説明する。図3は、実施の形態1にかかるホワイトバランス補正による色度領域の変化を示す色度図である。図3(a)、(b)に示すように、実施の形態1のホワイトバランス補正では、色度座標上の色領域が、緑色光の画像データの補正分だけ小さくなるが、単に緑色光の画像データの経路のみに掛算器を付加して処理するだけでよいので、高速処理や低コスト化を図ることができる。
また、図3(b)は、緑色光の輝度レベルを補正により下げて、ホワイトバランスを補正することを各色の輝度レベルについて示した図である。
【0033】
図4は、ホワイトバランス崩れと輝度むら、色むら等の補正に関し、実施の形態1にかかる補正係数との関係を示す説明図である。たとえば、図4(a)に示すように、スクリーン13の一方向(この例では水平方向)に不均一むら(輝度むら又は色むら)が発生する場合、検出部9は、図4(b)に示すような輝度・色温度の情報(輝度情報)を検出する。そして、算出式決定部8は、検出部9の情報に基づいて図4(c)、(d)に示すように、この輝度情報の逆特性を折れ線によって単純化した算出式を決定する。また、図5に示すように、2次元状に不均一むらが発生する場合は、水平ライン又は垂直ラインごとに算出式を決定する。あるいは、垂直方向の算出式と水平方向の算出式とをそれぞれ決定し、これらの算出結果を掛け合わせて補正係数を算出してもよい。この結果、適宜、適切な算出式を決定して用いることができる。
【0034】
図6は、実施の形態1にかかる算出式決定処理の処理手順を示すフローチャートである。この算出式決定処理では、まず、算出式決定部8が、表示デバイス2を制御して、テスト用の白色の画像をスクリーン13に投写させる(S1)。つぎに、検出部9は、カメラ10から輝度情報を取り込み(S2)、取り込んだ領域を割り出し、その領域内での輝度分布(ヒストグラム)を作成する(S3)。ここで、検出部9が作成するヒストグラムは、画像全体であってもよいし、1水平ラインごとであってもよい。
【0035】
つぎに、算出式決定部8は、水平方向の連続した輝度の変化をベクトル量として算出し、極大又は極小となるピーク点の数及び座標を検出する(S4)。そして、算出式決定部8は、これらの座標を結ぶ特性の逆特性を有する補正係数算出式を仮に決定し(S5)、(ピーク点数+1)の各区間における補正係数を算出する(S6)。たとえば、図7(a)に示すように、ヒストグラムのピーク点が0個の場合、図7(b)に示すように、算出式は、一つの直線式、y1=a1x+b1であらわされる。なお、y1は、補正係数の値を示し、xは画面上の水平位置を示し、a1はxの係数であり、b1は定数である。
【0036】
また、図8(a)に示すように、ヒストグラムのピーク点が三つの場合、図8(b)に示すように、算出式は、四つの直線式、y1=a1x+b1、y2=a2x+b2、y3=a3x+b3及びy4=a4x+b4であらわされる。なお、y1〜y4は、補正係数の値を示し、xは画面上の水平位置を示し、a1〜a4はxの係数であり、b1〜b4は定数である。図6に戻り、算出式決定部8は、算出した補正係数及びヒストグラムを用いて補正誤差を算出する(S7)。すなわち、この補正係数を用いて補正を行った場合、不均一むらがどれだけ残存するかを算出する。あるいは、算出した補正係数と理想の補正係数(ヒストグラムの逆特性を有する補正係数)との誤差を算出する。
【0037】
そして、算出式決定部8は、補正誤差が所定の閾値内であるか否かを判定する(S8)。補正誤差が所定の閾値内でない場合、算出式決定部8は、補正誤差が閾値内でない区間に補正点(直線補間の区間を分ける点)を追加し(S11)、折れ線状の補正係数を理想の補正係数曲線に近づけ、ステップS6に戻る。補正点を追加する方法は、たとえば、図9(a)、(b)に示すように、補正誤差が所定の閾値内となるまで、区間の中間点に補正点を追加していく。又は、最も補正誤差が大きな点を新たな補正点として追加しても良い。一方、補正誤差が所定の閾値内である場合、算出式決定部8は、その算出式に関する算出式情報を算出式情報記憶部7に記憶させる(S9)。
【0038】
そして、算出式決定部8は、つぎの水平ラインがあるか否かを判定し(S10)、つぎの水平ラインがあればステップS4に戻り、つぎのラインがなければ処理を終了する。あるいは、この算出式決定処理及び補正係数算出部6による補正係数算出処理を軽減するために、隣り合う水平ラインのヒストグラムを比較し、これらのヒストグラムの差分が所定値以下であれば、これらの水平ラインの算出式を共通化してもよい。また、補正データを減らす場合には、V−H方向ともに自動計算する以外に、入力座標に対してその間を自動線形補間してもよい。すなわち、n画素ずつ等、任意の入力画素(座標)間において補正演算を強制的に行い、その間の画素は線形補間するように算出式の決定を行ってもよい。なお、予め画像サイズは補正係数算出部6及び算出式決定部8に登録されている。線形補間を用いることにより、少ないメモリ量で輝度むら又は色むら等の不均一なむらを補正できる。
【0039】
図10は、実施の形態1にかかるホワイトバランス補正処理の処理手順を示すフローチャートである。このホワイトバランス補正処理では、まず、画像座標判定部5が、処理対象の画素の位置を判定し、補正係数算出部6に判定結果を出力する(S16)。つぎに、補正係数算出部16は、算出式情報記憶部7から算出式情報を入力し(S17)、その算出式情報が示す算出式に画素位置の情報を代入して補正係数を算出する(S18)。掛算器1は、補正係数算出部6が算出した補正係数を入力し、緑色の画像データと該補正係数とを掛け合わせ、乗算結果を表示デバイス2に出力する(S19)。これにより、リアプロジェクタの光学系によるホワイトバランスの崩れが補正される。
【0040】
また、スクリーンに投写された投写画像の輝度等を実際に測定する代わりに、光学シミュレーションを行い、その結果を基に補正係数を決定することもできる。図17は、この補正方法を説明するフローチャートである。ステップS101において、コンピュータ(PC)で光学シミュレーションを行う。ステップS102において、ホワイトバランス、色むら及び輝度むらを算出する。ステップS103において、シミュレーション結果に基づいて補正値を算出する。ステップS104において、プロジェクタへ補正値のデータを転送する。ステップS105において、補正値のデータを記憶する。これらの一連の処理は、全てPCで行えるため、最終結果のみプロジェクタへ伝送するだけでよい。これにより、投写された画像を実際に測定する代わりに、シミュレーションにより得られた値を用いてホワイトバランスを補正できる。
【0041】
前述したように、実施の形態1によれば、掛算器1が、画像データのうち、緑色光の画像データの輝度を階調に関わらず一律に減少させて、光学系で発生するホワイトバランス崩れを補正する。これにより、LUTを用いることなく、かつ、一つの経路の画像データのみを補正するだけでホワイトバランス崩れを補正することができるため、メモリを低減しつつホワイトバランス崩れを補正することができる。すなわち、個体差を吸収するために各装置固有の補正係数を記憶するための最低限のメモリだけですみ、LUT等で用いる膨大なメモリを必要としない。さらに、LUT処理のように、メモリ内のデータを読み書きしない分、高速処理が可能となる。
【0042】
(実施の形態2)
この発明の実施の形態2は、前述した実施の形態1において、画像データが無彩色であるか否かを判定し、無彩色である場合にのみ、ホワイトバランス補正のための色圧縮を行うものである。図11は、この発明の実施の形態2にかかるリアプロジェクタの概略構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1と同一構成の部分については図1と同一の符号を付している。
【0043】
このリアプロジェクタは、実施の形態1のリアプロジェクタにおいて、画像データが無彩色であるか否かを判定する無彩色判定部22(判定手段)と、第1色光である緑色光の画像データを入力状態のまま伝送するバイパス経路部23と、無彩色判定部22の判定結果に基づいて、ホワイトバランス補正された緑色光の画像データと、バイパス経路部23を経由する入力状態のままの緑色光の画像データとを選択的に切り替える切り替え部24(切り替え手段)とを有し、切り替え部24は、画像データが無彩色である場合は、ホワイトバランス補正された緑色光の画像データを選択し、画像データが無彩色以外、即ち有彩色の場合は、バイパス経路部23を経由する入力状態のままの緑色光の画像データを選択する。
【0044】
このリアプロジェクタは、実施の形態1の制御部4に代えて、画面座標判定部5及び上述の無彩色判定部22を有する制御部21を備える。無彩色判定部22は、3原色の画像データを入力して比較する。そして、これらの画像データが全て同一である場合、無彩色判定部22は、画像データが無彩色であると判定し、切り替え部24を制御して掛算器1を通る経路を有効にする。一方、3色の画像データが全て同一でない場合、無彩色判定部22は、画像データが有彩色であると判定し、切り替え部24を制御してバイパス経路部23を有効にする。あるいは、バイパス経路部23を設けず、補正係数算出部6が、無彩色判定部22の判定結果を入力し、有彩色の場合に補正係数を「1」にしてもよい。他の構成は、実施の形態1と同じである。
【0045】
以上の構成において、実施の形態2の動作について、図12及び図13を参照して説明する。図12は、実施の形態2にかかるホワイトバランス補正による色度領域の変化を示す色度図である。図12に示すように、このリアプロジェクタでは、無彩色の白色点のみを補正するので、色度座標上の色度領域が縮小しない。また、同図の垂直方向における明度に関しても、階調が変化しても白色点の座標は無変化である。図13は、実施の形態2にかかるホワイトバランス補正処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、実施の形態1の動作と同一の部分については図10と同一の符号を付している。
【0046】
このホワイトバランス補正処理では、まず、無彩色判定部22が、3色の画像データを比較し(S21)、画像データが無彩色であるか否かを判定する(S22)。画像データが有彩色の場合、無彩色判定部22は、切り替え部(スイッチ)24を制御してバイパス経路部23を有効にし(S28)、処理を終了する。一方、画像データが無彩色の場合、切り替え部24を制御して掛算器1側の経路を有効にし(S23)、ステップS16に進む。また、ステップS19における補正の後、ステップS21へ戻り、上述の手順を繰り返す。他の動作は、実施の形態1と同じである。
【0047】
前述したように、実施の形態2によれば、無彩色判定部22が、画像データが無彩色であるか否かを判定し、切り替え部24が、無彩色判定部22の判定に基づいて、画像データが無彩色である場合は、掛算器1を通る経路を有効にし、画像データが無彩色でない場合は、バイパス経路部23を有効にする。これにより、無彩色領域で効果的にホワイトバランス補正を行いつつ、有彩色領域でホワイトバランス補正を省略して光学的ロスを低減することができるため、色度座標上の色度領域を最大限に活用することができ、色再現範囲を広げることができる。すなわち、処理回路を簡素化し、低コストに抑え、かつ高速処理が可能であり、白(無彩色)以外の有彩色データの色バランスを完全に一致できる。
【0048】
(実施の形態3)
この発明の実施の形態3は、掛算器を3原色光の各経路上に設け、ホワイトバランス補正とともに色補正(色変換)を行うものである。図14は、この発明の実施の形態3にかかるリアプロジェクタの概略構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1と同一構成の部分については図1と同一の符号を付している。このリアプロジェクタは、実施の形態1のリアプロジェクタにおいて、さらに、青色及び赤色の画像データ経路上に掛算器35及び36をそれぞれ備える。
【0049】
また、このリアプロジェクタは、実施の形態1の制御部4に代えて、画像座標判定部5、無彩色判定部30及び色度・階調算出部32を有する制御部31を備え、補正係数算出部6に代えて、ホワイトバランス補正用の補正係数を算出するとともに色補正用の補正係数を算出する補正係数算出部37を備える。無彩色判定部30は、3原色の画像データを入力して比較し、これらの画像データが全て同一であるか否かに基づいて、画像データが無彩色であるか有彩色であるかを判定する。
【0050】
色度・階調算出部32は、無彩色判定部30の判定結果を入力し、画像データが有彩色である場合、色度及び階調を算出する。補正係数算出部37は、無彩色判定部30の判定結果を入力し、画像データが無彩色である場合、実施の形態1の補正係数算出部6と同じ処理を行う。また、補正係数算出部37は、画像データが無彩色以外、即ち有彩色である場合、色度・階調算出部32の算出結果を入力し、色補正用の補正係数を算出する。掛算器1、35及び36は、画像データが有彩色である場合、補正係数算出部37が算出した色補正用の補正係数を3原色光の全ての画像データにそれぞれ掛け合わせて出力する。これにより、画像データが無彩色の場合はホワイトバランスの補正、画像データが有彩色の場合は色補正をおこなうことができる。
【0051】
一方、画像データが無彩色の場合は、掛算器36及び35の補正係数が「1」となり、掛算器1のみが前述した実施の形態1と同じ動作を行う。すなわち、掛算器1、35及び36は、色補正を行う有彩色補正部33を構成し、掛算器1は、ホワイトバランス補正を行う無彩色補正部34を構成する。他の構成及び動作については実施の形態1と同じである。前述したように、実施の形態3によれば、簡単な回路によってホワイトバランス補正とともに色補正を行うことができる。
【0052】
このように、実施の形態1から実施の形態3によれば、高解像度・高速化に伴う膨大なメモリ量を削減でき、かつ簡単な回路でホワイトバランス補正を実現可能なため、回路的な低コスト化が可能である。さらに、メモリの処理速度に左右されず、高速なリアルタイム処理が可能なため、今後のさらなる高精細・高速化にも対応可能である。また、投写光学系においては、特殊な光学部材を全く用いることなく、理想光学特性を実現できるため、装置全体の低コスト化も可能になる。
【0053】
なお、実施の形態1から実施の形態3の制御部4、21、31、補正係数算出部6、算出式決定部8及び検出部9の機能は、ハードウェアで実現してもよいし、コンピュータプログラムによって実現してもよい。これら各部の機能を実現するコンピュータプログラムは、フレキシブルディスクやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。コンピュータ(リアプロジェクタ)は、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置又は外部記憶装置に転送する。あるいは、コンピュータプログラムを、プログラム供給装置から通信経路を介してコンピュータに供給するようにしてもよい。
【0054】
コンピュータの機能を実現するときには、内部記憶装置に格納されたコンピュータプログラムがコンピュータのマイクロプロセッサによって実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータが直接実行するようにしてもよい。この明細書において、コンピュータとは、ハードウェア装置とオペレーティングシステム(OS)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェア装置を意味している。また、OSが不要でアプリケーションプログラム単体でハードウェア装置を動作させるような場合には、そのハードウェア装置自体がコンピュータに相当する。
【0055】
ハードウェア装置は、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段と、を備えている。コンピュータプログラムは、このようなコンピュータに上述の各機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムではなく、OSによって実現されていてもよい。この発明における「記録媒体」としては、フレキシブルディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカードやバーコード等の符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROM等のメモリ)及び外部記憶装置等、コンピュータによって読み取ることができる種々の媒体を用いることができる。
【0056】
また、実施の形態1から実施の形態3の構成は、透過型プロジェクタにも反射型プロジェクタにも適用することができる。ここで、「透過型」とは、液晶ライトバルブ等のライトバルブが光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味している。反射型プロジェクタのライトバルブは、液晶ライトバルブであってもよいし、マイクロミラーを用いたライトバルブであってもよい。
【0057】
実施の形態1から実施の形態3では、リアプロジェクタについて説明したが、本発明はフロントプロジェクタに適用されてもよい。ただし、リアプロジェクタは、フロントプロジェクタとは異なり、投写レンズからスクリーンまでの光路上に光学素子を有する。つまり、リアプロジェクタにおける方がフロントプロジェクタにおけるよりも、上述のホワイトバランスを崩し得る光学素子が多い。したがって、本発明をリアプロジェクタに適用した場合の方がフロントプロジェクタの場合よりも、その効果は大きい。
【0058】
さらに、上記各実施形態における説明では、緑色光の画像データの輝度レベルを減少させた場合について説明しているが、これに限られず、ホワイトバランスの崩れを補正できるのであれば、輝度レベルを増加させても良い。加えて、緑色光の画像データに対する補正に限られず、ホワイトバランスの崩れを補正できるのであれば、赤色光又は青色光の画像データに対してホワイトバランスの補正処理を施しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のリアプロジェクタを示すブロック図。
【図2】実施の形態1の表示デバイス及び投写光学系の構成図。
【図3】ホワイトバランス補正による色度領域の変化を示す色度図。
【図4】ホワイトバランス崩れと補正係数との関係を示す説明図。
【図5】他のホワイトバランス崩れを示す説明図。
【図6】実施の形態1の算出式決定処理の処理手順のフローチャート。
【図7】実施の形態1の算出式決定方法を説明する図。
【図8】実施の形態1にかかる算出式決定方法を説明する図。
【図9】実施の形態1にかかる補正点の追加方法の説明図。
【図10】実施の形態1のホワイトバランス補正処理のフローチャート。
【図11】実施の形態2のリアプロジェクタの概略構成のブロック図。
【図12】ホワイトバランス補正による色度領域の変化を示す色度図。
【図13】ホワイトバランス補正処理のフローチャート。
【図14】実施の形態3のリアプロジェクタのブロック図。
【図15】従来のリアプロジェクタの光学エンジンのブロック図。
【図16】従来のリアプロジェクタのブロック図。
【図17】本発明のシミュレーションによる補正手順の図。
【符号の説明】
1、35、36 掛算器、2 表示デバイス、3 投写光学系、4、21、31制御部、5 画面座標判定部、6、37 補正係数算出部、7 算出式情報記憶部、8 算出式決定部、9 検出部、10 カメラ、11 パーソナルコンピュータ(PC)、22、30 無彩色判定部、23 バイパス経路部、24 切り替え部、32 色度・階調算出部、33 有彩色補正部、34 無彩色補正部
【発明の属する技術分野】
この発明は、プロジェクタ、特に第1色光、第2色光及び第3色光との3色の色光を画像データに応じて変調する空間光変調装置を有し、変調された光をスクリーンの裏側に投写するプロジェクタ、そのプロジェクタの光学系で発生するホワイトバランス崩れをデジタル信号処理によって補正するホワイトバランス補正方法及びその方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
図15は、従来のリアプロジェクタの光学エンジンの概略構成を示すブロック図である。従来の光学エンジン80は、光源81と、色分離ダイクロイックミラー82及び83と、反射ミラー84、85及び86と、ライトバルブ87、88及び89と、1/2波長位相差板90と、色合成プリズム(クロスダイクロイックプリズム)91と、投写レンズ92と、を備えている。光源81から射出された非偏光な光は、図示しないフライアイレンズによって複数の部分光束に分割され、図示しないPBSアレイによって1種類の平面偏光に変換され、図示しない重畳レンズによって空間光変調装置であるライトバルブ87、88及び89上で重畳される。
なお、緑色光の偏光軸の方向と、赤色光及び青色光の偏光軸の方向とを異ならせる構成であれば、1/2波長位相差板90に代わる偏光変換装置を用いる構成にすることができる。また、偏光変換装置を配置する位置も図15に示す場合に限られない。
【0003】
これにより、ライトバルブ87、88及び89は均一に照らされる。ダイクロイックミラー82は、図示しない重畳レンズから射出される光のうち赤色光を反射するとともに、青色光及び緑色光を透過する。ダイクロイックミラー82で反射された赤色光は、反射ミラー85で反射され、赤色光用のライトバルブ88に達する。また、ダイクロイックミラー82を透過した青色光及び緑色光のうちで、緑色光は、ダイクロイックミラー83によって反射され、緑色光用のライトバルブ87に達する。
【0004】
一方、青色光は、ダイクロイックミラー83を透過し、反射ミラー84及び86で反射され、青色光用のライトバルブ89に達する。三つのライトバルブ87、88及び89に入射した各色光は、画像情報に従ってそれぞれ変調され、各色光の画像を形成する。ライトバルブ88及び89からそれぞれ射出された青色の変調光及び赤色の変調光は、色合成面に対するS偏光としてクロスダイクロイックプリズム91に入射する。一方、ライトバルブ87から射出された緑色の変調光は、λ/2波長位相差板90を通って色合成面に対するP偏光としてクロスダイクロイックプリズム91に入射する。
【0005】
クロスダイクロイックプリズム91は、3色の変調光を合成してカラー画像を形成する色光合成光学系としての機能を有している。3色の変調光は、クロスダイクロイックプリズム91によって合成され、カラー画像を投写するための合成光が形成される。投写レンズ92は、この合成光をスクリーン上に投写する機能を有し、スクリーン上にカラー画像を表示する。図16は、従来のリアプロジェクタの概略構成を示すブロック図である。
【0006】
従来のリアプロジェクタは、光学エンジン80、反射ミラー93及びスクリーン94を備える。光学エンジン80の投写レンズ92から射出された投写光(合成光)は、反射ミラー93で反射され、スクリーン94の裏側に入射され、投写される。これにより、スクリーン94にカラー画像が表示される。しかし、このリアプロジェクタでは、クロスダイクロイックプリズム91における各色光の偏光方向と反射ミラー93及びスクリーン94での偏光特性との違い等、リアプロジェクタ光学系の光学構成や部材等に起因して、スクリーン上で色バランス(色度座標上の色度領域)が崩れるという問題があった。特に、無彩色光を投写した場合のホワイトバランス崩れが問題となっていた。なお、この問題は壁面に設けられたスクリーンに画像を投写するプロジェク(いわゆるフロントプロジェクタ)においても存在する。スクリーンの偏光に対する特性が、偏光毎に異なり得るからである。
【0007】
このホワイトバランス崩れを補正する従来からの方法として、各ライトバルブに供給する第1色光、第2色光、第3色光等の3原色光(例えばR(赤)光、G(緑)光、B(青)光)の画像信号を電気的に信号処理して補正する方法が知られている(例えば特許文献1)。3原色の画像信号を処理する各信号処理部に、画像データの各階調に対応した補正値をROMに記憶したルックアップテーブル(LUT)を備え、このLUTを用いてホワイトバランス補正(ホワイトバランス崩れの補正)を行う。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−292332号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の方法によれば、3原色の各処理回路に、画像データの各階調に対応した補正値をROMに記憶したLUTをそれぞれ設けるため、メモリ量が増大し、コストが上昇するという問題点があった。特に、画像データがHDTV(High Definition Television)等の高解像度で高速な処理が必要な場合には、メモリが膨大となると、メモリへのリード、ライトのアクセス時間が短くなる。このため、時間内に処理できない恐れがあり、仮に処理可能なメモリデバイスであっても非常に高価であった。
【0010】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、メモリを低減しつつ、ホワイトバランス崩れ及び色むら、輝度むらを補正することを目的とする。
なお、色むらとは、投写画像の色彩の不均一性をいい、輝度むらとは投写画像の輝度の不均一性をいう。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、第1色光、第2色光及び第3色光との3色の色光を画像データに応じて変調する空間光変調装置を有し、変調された光をスクリーンの裏側に投写するプロジェクタにおいて、前記第1色光の偏光軸の方向と、前記第2色光及び前記第3色光の偏光軸の方向とを異ならせる偏光変換部と、前記第1色光の画像データの入力データに対して一定比率で演算処理した結果を出力することにより、前記プロジェクタの光学系で発生するホワイトバランス崩れを補正するホワイトバランス補正手段を有することを特徴とするプロジェクタを提供できる。
これにより、ホワイトバランス補正手段が、画像データのうち、第1色光の画像データの輝度を各階調一律に補正するため、光学系で発生するホワイトバランス崩れを改善できる。この結果、演算処理により補正できるため、メモリを有するLUT処理を用いることなく、かつ、一つの経路の画像データのみを補正するだけで済むため、低コストで高速にホワイトバランス崩れを補正することができる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記ホワイトバランス補正手段は、前記第1色光の画像データの輝度を各階調において一律に増加又は減少させることが望ましい。これにより、さらにホワイトバランスを適正に補正できる。
また、本発明の好ましい態様によれば前記第1色光は緑色光であることが望ましい。これにより、ホワイトバランスを崩す影響が大きい緑色光を補正することで、ホワイトバランスを効率良く補正できる。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記画像データが無彩色であるか否かを判定する判定手段と、前記第1色光の前記画像データを入力状態のまま伝送するバイパス経路部と、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記ホワイトバランス補正手段により演算処理された前記第1色光の前記画像データと、前記バイパス経路部を経由する入力状態のままの前記第1色光の前記画像データとを選択的に切り替える切り替え手段とを有し、前記切り替え手段は、前記画像データが無彩色である場合は、前記ホワイトバランス補正手段により演算処理された前記第1色光の画像データを選択し、前記画像データが無彩色以外の場合は、前記バイパス経路部を経由する入力状態のままの前記第1色光の前記画像データを選択することが望ましい。
【0014】
これにより、判定手段が、画像データが無彩色であるか否かを判定し、切り替え手段が、判定手段の判定に基づいて、画像データが無彩色である場合は、ホワイトバランス補正手段を通る経路を有効にする。また、画像データが無彩色でない場合は、バイパス経路を有効にする。これにより、特に無彩色領域で目立つホワイトバランス補正(ホワイトバランス崩れの補正)を効果的に補正しつつ、有彩色領域では色再現領域を最大限に活用するために、ホワイトバランス補正を省略して、光学的ロスを低減しながら色再現範囲を広げることができる。
【0015】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記スクリーンにおける投写画像の輝度むら及び色むらの少なくとも一方を補正するための補正値を線形補間により算出する補正値算出手段を有し、前記ホワイトバランス補正手段は、前記補正値算出手段が算出した前記補正値に基づいて、前記第1色光の前記画像データを補正することが望ましい。
【0016】
これにより、補正値算出手段が、投写画面内の輝度むら又は色むら等の不均一むらを補正する補正値を線形補間によって算出し、ホワイトバランス補正手段が、補正値算出手段が算出した補正値に基づいて第1色光、例えば緑色光の画像データの輝度を補正する。これにより、少ないメモリ量で不均一むらを低減することができる。特に、線形補間するポイント数を限定すれば、更なるメモリ量の削減が可能である。
【0017】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記スクリーンにおける投写画像の輝度情報を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記ホワイトバランス補正手段の補正値の算出式を決定する算出式決定手段とを有し、前記補正値算出手段は、前記算出式決定手段が決定した前記算出式を用いて前記補正値を算出することが望ましい。
これにより、検出手段が、投写画面の輝度情報を検出し、算出式決定手段が、検出手段の検出結果に基づいて、補正値の算出式を決定し、補正値算出手段が、算出式決定手段が決定した算出式を用いて補正値を算出する。この結果、適宜、適切な算出式を決定して用いることができる。
【0018】
また、本発明によれば、前記画像データが無彩色であるか否かを判定する判定手段と、前記画像データの色度及び階調を算出する色度・階調算出部とをさらに有し、前記画像データが無彩色であると判定された場合は、前記第1色光の前記画像データに対して前記演算処理の結果を出力してホワイトバランスを補正し、前記画像データが無彩色以外であると判定された場合は、前記第1色光、前記第2色光及び前記第3色光の3つの前記画像データに対して、前記色度・階調算出部からの出力に基づいて色補正を行うことが望ましい。これにより、ホワイトバランスの補正とともに、画像データの色補正を行うことができる。
【0019】
また、本発明によれば、第1色光、第2色光及び第3色光との3色の色光を画像データに応じて変調する空間光変調装置と、変調された光をスクリーンの裏側に投写する投写レンズとを有するプロジェクタのためのホワイトバランス補正方法において、前記第1色光の偏光軸の方向と、前記第2色光及び前記第3色光の偏光軸の方向とを異ならせる偏光変換工程と、前記第1色光の画像データに対して一定比率で演算処理した結果を出力することにより、前記プロジェクタの光学系で発生するホワイトバランス崩れを補正する補正工程とを含むホワイトバランス補正方法を提供できる。
【0020】
これにより、ホワイトバランス補正工程で、画像データのうち、第1色光、例えば緑色光の画像データの輝度を各階調一律に補正してホワイトバランス崩れを補正する。この結果、演算処理により補正できるため、メモリを有するLUTを用いることなく、かつ、一つの経路の画像データのみを補正するだけでホワイトバランス崩れを補正することができる。
【0021】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記補正工程のために、前記スクリーン上における投写画像のホワイトバランスをコンピュータにより算出するシミュレーション工程をさらに含み、前記補正工程は、前記シミュレーション工程の結果に基づいて、前記第1色光の画像データの輝度を各階調において一律に増加又は減少させることが望ましい。これにより、投写された画像を実際に測定する代わりに、シミュレーションにより得られた値を用いてホワイトバランスを補正できる。
【0022】
また、本発明によれば、上述のホワイトバランス補正方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムを提供できる。本プログラムにあっては、このプログラムをコンピュータに読み取らせることによって、上述のホワイトバランス補正方法の動作をコンピュータによって実現することが可能となる。ここで、「プログラム」とは、データ処理方法を記述したものであって、記述する言語や記述方法は特に限定されず、ソースコード、バイナリコード、実行形式等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS等の別個のプログラムと協働してその機能を達成するものを含む。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
高輝度・高効率なリアプロジェクタを実現する場合、従来技術(図15、16)で述べたように、例えば、第1色光である緑色光の偏光軸の方向と、第2色光である赤色光及び第3色光である青色光の偏光軸の方向とを異ならせる偏光変換部である1/2波長位相差板を緑色光の光路内に配置する。このようなリアプロジェクタの光学系では、各色光の偏光軸の向きが異なるため、液晶パネル出射後のダイクロイックミラー及びミラー、スクリーン等での偏光特性や反射特性が偏光軸によって異なる。このため、スクリーンを透過する際の光学効率(輝度)が異なってしまい、ホワイトバランスが崩れるといった問題がある。このホワイトバランス崩れは、階調に関わらず所定の割合で緑色が強くなるという性質を有する。この発明の実施の形態1では、この性質に着目し、特に、緑色光の画像データのみを各階調一律に下げる簡単な補正回路を設け、この補正回路によってホワイトバランス補正する場合について説明する。緑色光の画像データを補正することでホワイトバランスを確実に補正できる。図1は、この発明の実施の形態1にかかるリアプロジェクタの概略構成を示すブロック図である。
【0025】
このリアプロジェクタは、演算器である例えば掛算器1と、表示デバイス2と、投写光学系3と、画像座標判定部5を有する制御部4と、補正係数算出部6と、算出式情報記憶部7と、算出式決定部8と、カメラ10を有する検出部9と、を備える。制御部4の画像座標判定部5は、画像データのクロック信号、水平同期信号及び垂直同期信号を入力し、処理対象の画素データが画面座標上のどこに位置するかを判定する。掛算器1は、3原色光(R(赤)、G(緑)、B(青))の画像データの各経路のうち、緑色光の画像データの経路上に配置され、緑色光の画像データの色圧縮(輝度の増減)を行う。表示デバイス2は、3原色の画像データを入力し、これらの画像データに基づいて空間光変調装置であるライトバルブを制御し、画像を生成する。
ここで、補正係数算出部6と、算出式情報記憶部7と、算出式決定部8と、カメラ10を有する検出部9と、パーソナルコンピュータ(PC)11とで、ホワイトバランス補正手段を構成する。
【0026】
投写光学系3は、PBS(偏光変換素子)、投写レンズ、ミラー、スクリーン等の光学部材を含み、画像をスクリーン上に投写する。検出部9は、カメラ(外部センサー)10を有し、スクリーン画面各部の輝度情報を取得する。算出式決定部8は、検出部9が取得した輝度情報に基づいて、ホワイトバランスの崩れ及び投写画面内の不均一むらを補正する補正値を算出する算出式を決定する。あるいは、リアプロジェクタ外部のパーソナルコンピュータ(PC)11に輝度情報を入力し、PC11で算出式を決定してもよい。
【0027】
また、算出式決定部8は、検出部9によって輝度情報を取得する場合、表示デバイス2を制御してテスト用の白色光を出力させる。ここで、テスト用の白色光の階調を複数段階変えて輝度情報を取得してもよい。このように、検出部9が輝度情報を実測することによって、実際に発生する不均一むらに応じた適切な補正を行うことができる。あるいは、PC11において予め計算された光学シュミレーションの結果を基に、算出式を決定してもよい。これにより、検出部9を設ける必要がなくなり、また、リアプロジェクタ内で算出式を決定する必要がなくなるため、リアプロジェクタの構成及び処理を簡略化することができる。なお、シミュレーションによる処理手順は後述する。
【0028】
算出式情報記憶部7は、算出式に関する算出式情報を記憶する。算出式情報とは、たとえば、算出式の定数及び係数や、線形補間を行うための補正点の情報である。PC11や算出式決定部8は、決定した算出式に関する算出式情報を算出式情報記憶部7に記憶させる。補正係数算出部6は、画面座標判定部5から処理対象画素データの位置情報と、算出式情報記憶部7から算出式情報とが入力され、ホワイトバランス及び輝度むら、色むら等を補正する補正係数を線形補間により算出する。掛算器1は、補正係数算出部6で算出された補正係数を用いて色圧縮・伸張を行い、ホワイトバランス補正を行う。
【0029】
なお、表示デバイス2の前段のRGB信号線上に、色変換(3D−γ補正)を行う3D−LUTや、三つの1D−LUTを設けてもよい。また、補正係数算出部6は、画面全体に対して一つの補正係数のみを算出し、掛算器1は、この補正係数を用いて画面全体に対して一律にゲイン補正を行ってもよい。また、補正係数算出部6が算出した補正係数を保持する図示しない補正係数記憶部を設け、掛算器1は、この補正係数記憶部が保持する補正係数を用いてゲイン補正を行ってもよい。また、掛算器1に代えて、図示しない減算器を設け、補正係数算出部6は、この減算器が使用する補正定数を算出するようにしてもよい。さらに、他の色圧縮方法を用いてもよい。
【0030】
図2は、図1に示した表示デバイス2及び投写光学系3の構成を示す説明図である。ここでは、リアプロジェクタが液晶プロジェクタである場合を示している。また、図2では、照明光学系16及び投写レンズ14を簡略化して示している。表示デバイス2及び投写光学系3は、液晶ディスプレイ駆動回路12、スクリーン13、投写レンズ14、液晶ディスプレイパネル15及び照明光学系16を含む。
【0031】
液晶ディスプレイ駆動回路12は、3原色の画像データを入力し、これらの画像データに応じた画像を液晶ディスプレイパネル15に表示させる。液晶ディスプレイパネル15は、照明光学系16によってほぼ均一に照明されており、液晶ディスプレイパネル15に表示された画像は、投写レンズ14によってスクリーン13上に投写される。
【0032】
以上の構成において、実施の形態1の動作について、図3〜図10を参照して説明する。図3は、実施の形態1にかかるホワイトバランス補正による色度領域の変化を示す色度図である。図3(a)、(b)に示すように、実施の形態1のホワイトバランス補正では、色度座標上の色領域が、緑色光の画像データの補正分だけ小さくなるが、単に緑色光の画像データの経路のみに掛算器を付加して処理するだけでよいので、高速処理や低コスト化を図ることができる。
また、図3(b)は、緑色光の輝度レベルを補正により下げて、ホワイトバランスを補正することを各色の輝度レベルについて示した図である。
【0033】
図4は、ホワイトバランス崩れと輝度むら、色むら等の補正に関し、実施の形態1にかかる補正係数との関係を示す説明図である。たとえば、図4(a)に示すように、スクリーン13の一方向(この例では水平方向)に不均一むら(輝度むら又は色むら)が発生する場合、検出部9は、図4(b)に示すような輝度・色温度の情報(輝度情報)を検出する。そして、算出式決定部8は、検出部9の情報に基づいて図4(c)、(d)に示すように、この輝度情報の逆特性を折れ線によって単純化した算出式を決定する。また、図5に示すように、2次元状に不均一むらが発生する場合は、水平ライン又は垂直ラインごとに算出式を決定する。あるいは、垂直方向の算出式と水平方向の算出式とをそれぞれ決定し、これらの算出結果を掛け合わせて補正係数を算出してもよい。この結果、適宜、適切な算出式を決定して用いることができる。
【0034】
図6は、実施の形態1にかかる算出式決定処理の処理手順を示すフローチャートである。この算出式決定処理では、まず、算出式決定部8が、表示デバイス2を制御して、テスト用の白色の画像をスクリーン13に投写させる(S1)。つぎに、検出部9は、カメラ10から輝度情報を取り込み(S2)、取り込んだ領域を割り出し、その領域内での輝度分布(ヒストグラム)を作成する(S3)。ここで、検出部9が作成するヒストグラムは、画像全体であってもよいし、1水平ラインごとであってもよい。
【0035】
つぎに、算出式決定部8は、水平方向の連続した輝度の変化をベクトル量として算出し、極大又は極小となるピーク点の数及び座標を検出する(S4)。そして、算出式決定部8は、これらの座標を結ぶ特性の逆特性を有する補正係数算出式を仮に決定し(S5)、(ピーク点数+1)の各区間における補正係数を算出する(S6)。たとえば、図7(a)に示すように、ヒストグラムのピーク点が0個の場合、図7(b)に示すように、算出式は、一つの直線式、y1=a1x+b1であらわされる。なお、y1は、補正係数の値を示し、xは画面上の水平位置を示し、a1はxの係数であり、b1は定数である。
【0036】
また、図8(a)に示すように、ヒストグラムのピーク点が三つの場合、図8(b)に示すように、算出式は、四つの直線式、y1=a1x+b1、y2=a2x+b2、y3=a3x+b3及びy4=a4x+b4であらわされる。なお、y1〜y4は、補正係数の値を示し、xは画面上の水平位置を示し、a1〜a4はxの係数であり、b1〜b4は定数である。図6に戻り、算出式決定部8は、算出した補正係数及びヒストグラムを用いて補正誤差を算出する(S7)。すなわち、この補正係数を用いて補正を行った場合、不均一むらがどれだけ残存するかを算出する。あるいは、算出した補正係数と理想の補正係数(ヒストグラムの逆特性を有する補正係数)との誤差を算出する。
【0037】
そして、算出式決定部8は、補正誤差が所定の閾値内であるか否かを判定する(S8)。補正誤差が所定の閾値内でない場合、算出式決定部8は、補正誤差が閾値内でない区間に補正点(直線補間の区間を分ける点)を追加し(S11)、折れ線状の補正係数を理想の補正係数曲線に近づけ、ステップS6に戻る。補正点を追加する方法は、たとえば、図9(a)、(b)に示すように、補正誤差が所定の閾値内となるまで、区間の中間点に補正点を追加していく。又は、最も補正誤差が大きな点を新たな補正点として追加しても良い。一方、補正誤差が所定の閾値内である場合、算出式決定部8は、その算出式に関する算出式情報を算出式情報記憶部7に記憶させる(S9)。
【0038】
そして、算出式決定部8は、つぎの水平ラインがあるか否かを判定し(S10)、つぎの水平ラインがあればステップS4に戻り、つぎのラインがなければ処理を終了する。あるいは、この算出式決定処理及び補正係数算出部6による補正係数算出処理を軽減するために、隣り合う水平ラインのヒストグラムを比較し、これらのヒストグラムの差分が所定値以下であれば、これらの水平ラインの算出式を共通化してもよい。また、補正データを減らす場合には、V−H方向ともに自動計算する以外に、入力座標に対してその間を自動線形補間してもよい。すなわち、n画素ずつ等、任意の入力画素(座標)間において補正演算を強制的に行い、その間の画素は線形補間するように算出式の決定を行ってもよい。なお、予め画像サイズは補正係数算出部6及び算出式決定部8に登録されている。線形補間を用いることにより、少ないメモリ量で輝度むら又は色むら等の不均一なむらを補正できる。
【0039】
図10は、実施の形態1にかかるホワイトバランス補正処理の処理手順を示すフローチャートである。このホワイトバランス補正処理では、まず、画像座標判定部5が、処理対象の画素の位置を判定し、補正係数算出部6に判定結果を出力する(S16)。つぎに、補正係数算出部16は、算出式情報記憶部7から算出式情報を入力し(S17)、その算出式情報が示す算出式に画素位置の情報を代入して補正係数を算出する(S18)。掛算器1は、補正係数算出部6が算出した補正係数を入力し、緑色の画像データと該補正係数とを掛け合わせ、乗算結果を表示デバイス2に出力する(S19)。これにより、リアプロジェクタの光学系によるホワイトバランスの崩れが補正される。
【0040】
また、スクリーンに投写された投写画像の輝度等を実際に測定する代わりに、光学シミュレーションを行い、その結果を基に補正係数を決定することもできる。図17は、この補正方法を説明するフローチャートである。ステップS101において、コンピュータ(PC)で光学シミュレーションを行う。ステップS102において、ホワイトバランス、色むら及び輝度むらを算出する。ステップS103において、シミュレーション結果に基づいて補正値を算出する。ステップS104において、プロジェクタへ補正値のデータを転送する。ステップS105において、補正値のデータを記憶する。これらの一連の処理は、全てPCで行えるため、最終結果のみプロジェクタへ伝送するだけでよい。これにより、投写された画像を実際に測定する代わりに、シミュレーションにより得られた値を用いてホワイトバランスを補正できる。
【0041】
前述したように、実施の形態1によれば、掛算器1が、画像データのうち、緑色光の画像データの輝度を階調に関わらず一律に減少させて、光学系で発生するホワイトバランス崩れを補正する。これにより、LUTを用いることなく、かつ、一つの経路の画像データのみを補正するだけでホワイトバランス崩れを補正することができるため、メモリを低減しつつホワイトバランス崩れを補正することができる。すなわち、個体差を吸収するために各装置固有の補正係数を記憶するための最低限のメモリだけですみ、LUT等で用いる膨大なメモリを必要としない。さらに、LUT処理のように、メモリ内のデータを読み書きしない分、高速処理が可能となる。
【0042】
(実施の形態2)
この発明の実施の形態2は、前述した実施の形態1において、画像データが無彩色であるか否かを判定し、無彩色である場合にのみ、ホワイトバランス補正のための色圧縮を行うものである。図11は、この発明の実施の形態2にかかるリアプロジェクタの概略構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1と同一構成の部分については図1と同一の符号を付している。
【0043】
このリアプロジェクタは、実施の形態1のリアプロジェクタにおいて、画像データが無彩色であるか否かを判定する無彩色判定部22(判定手段)と、第1色光である緑色光の画像データを入力状態のまま伝送するバイパス経路部23と、無彩色判定部22の判定結果に基づいて、ホワイトバランス補正された緑色光の画像データと、バイパス経路部23を経由する入力状態のままの緑色光の画像データとを選択的に切り替える切り替え部24(切り替え手段)とを有し、切り替え部24は、画像データが無彩色である場合は、ホワイトバランス補正された緑色光の画像データを選択し、画像データが無彩色以外、即ち有彩色の場合は、バイパス経路部23を経由する入力状態のままの緑色光の画像データを選択する。
【0044】
このリアプロジェクタは、実施の形態1の制御部4に代えて、画面座標判定部5及び上述の無彩色判定部22を有する制御部21を備える。無彩色判定部22は、3原色の画像データを入力して比較する。そして、これらの画像データが全て同一である場合、無彩色判定部22は、画像データが無彩色であると判定し、切り替え部24を制御して掛算器1を通る経路を有効にする。一方、3色の画像データが全て同一でない場合、無彩色判定部22は、画像データが有彩色であると判定し、切り替え部24を制御してバイパス経路部23を有効にする。あるいは、バイパス経路部23を設けず、補正係数算出部6が、無彩色判定部22の判定結果を入力し、有彩色の場合に補正係数を「1」にしてもよい。他の構成は、実施の形態1と同じである。
【0045】
以上の構成において、実施の形態2の動作について、図12及び図13を参照して説明する。図12は、実施の形態2にかかるホワイトバランス補正による色度領域の変化を示す色度図である。図12に示すように、このリアプロジェクタでは、無彩色の白色点のみを補正するので、色度座標上の色度領域が縮小しない。また、同図の垂直方向における明度に関しても、階調が変化しても白色点の座標は無変化である。図13は、実施の形態2にかかるホワイトバランス補正処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、実施の形態1の動作と同一の部分については図10と同一の符号を付している。
【0046】
このホワイトバランス補正処理では、まず、無彩色判定部22が、3色の画像データを比較し(S21)、画像データが無彩色であるか否かを判定する(S22)。画像データが有彩色の場合、無彩色判定部22は、切り替え部(スイッチ)24を制御してバイパス経路部23を有効にし(S28)、処理を終了する。一方、画像データが無彩色の場合、切り替え部24を制御して掛算器1側の経路を有効にし(S23)、ステップS16に進む。また、ステップS19における補正の後、ステップS21へ戻り、上述の手順を繰り返す。他の動作は、実施の形態1と同じである。
【0047】
前述したように、実施の形態2によれば、無彩色判定部22が、画像データが無彩色であるか否かを判定し、切り替え部24が、無彩色判定部22の判定に基づいて、画像データが無彩色である場合は、掛算器1を通る経路を有効にし、画像データが無彩色でない場合は、バイパス経路部23を有効にする。これにより、無彩色領域で効果的にホワイトバランス補正を行いつつ、有彩色領域でホワイトバランス補正を省略して光学的ロスを低減することができるため、色度座標上の色度領域を最大限に活用することができ、色再現範囲を広げることができる。すなわち、処理回路を簡素化し、低コストに抑え、かつ高速処理が可能であり、白(無彩色)以外の有彩色データの色バランスを完全に一致できる。
【0048】
(実施の形態3)
この発明の実施の形態3は、掛算器を3原色光の各経路上に設け、ホワイトバランス補正とともに色補正(色変換)を行うものである。図14は、この発明の実施の形態3にかかるリアプロジェクタの概略構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1と同一構成の部分については図1と同一の符号を付している。このリアプロジェクタは、実施の形態1のリアプロジェクタにおいて、さらに、青色及び赤色の画像データ経路上に掛算器35及び36をそれぞれ備える。
【0049】
また、このリアプロジェクタは、実施の形態1の制御部4に代えて、画像座標判定部5、無彩色判定部30及び色度・階調算出部32を有する制御部31を備え、補正係数算出部6に代えて、ホワイトバランス補正用の補正係数を算出するとともに色補正用の補正係数を算出する補正係数算出部37を備える。無彩色判定部30は、3原色の画像データを入力して比較し、これらの画像データが全て同一であるか否かに基づいて、画像データが無彩色であるか有彩色であるかを判定する。
【0050】
色度・階調算出部32は、無彩色判定部30の判定結果を入力し、画像データが有彩色である場合、色度及び階調を算出する。補正係数算出部37は、無彩色判定部30の判定結果を入力し、画像データが無彩色である場合、実施の形態1の補正係数算出部6と同じ処理を行う。また、補正係数算出部37は、画像データが無彩色以外、即ち有彩色である場合、色度・階調算出部32の算出結果を入力し、色補正用の補正係数を算出する。掛算器1、35及び36は、画像データが有彩色である場合、補正係数算出部37が算出した色補正用の補正係数を3原色光の全ての画像データにそれぞれ掛け合わせて出力する。これにより、画像データが無彩色の場合はホワイトバランスの補正、画像データが有彩色の場合は色補正をおこなうことができる。
【0051】
一方、画像データが無彩色の場合は、掛算器36及び35の補正係数が「1」となり、掛算器1のみが前述した実施の形態1と同じ動作を行う。すなわち、掛算器1、35及び36は、色補正を行う有彩色補正部33を構成し、掛算器1は、ホワイトバランス補正を行う無彩色補正部34を構成する。他の構成及び動作については実施の形態1と同じである。前述したように、実施の形態3によれば、簡単な回路によってホワイトバランス補正とともに色補正を行うことができる。
【0052】
このように、実施の形態1から実施の形態3によれば、高解像度・高速化に伴う膨大なメモリ量を削減でき、かつ簡単な回路でホワイトバランス補正を実現可能なため、回路的な低コスト化が可能である。さらに、メモリの処理速度に左右されず、高速なリアルタイム処理が可能なため、今後のさらなる高精細・高速化にも対応可能である。また、投写光学系においては、特殊な光学部材を全く用いることなく、理想光学特性を実現できるため、装置全体の低コスト化も可能になる。
【0053】
なお、実施の形態1から実施の形態3の制御部4、21、31、補正係数算出部6、算出式決定部8及び検出部9の機能は、ハードウェアで実現してもよいし、コンピュータプログラムによって実現してもよい。これら各部の機能を実現するコンピュータプログラムは、フレキシブルディスクやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。コンピュータ(リアプロジェクタ)は、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置又は外部記憶装置に転送する。あるいは、コンピュータプログラムを、プログラム供給装置から通信経路を介してコンピュータに供給するようにしてもよい。
【0054】
コンピュータの機能を実現するときには、内部記憶装置に格納されたコンピュータプログラムがコンピュータのマイクロプロセッサによって実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータが直接実行するようにしてもよい。この明細書において、コンピュータとは、ハードウェア装置とオペレーティングシステム(OS)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェア装置を意味している。また、OSが不要でアプリケーションプログラム単体でハードウェア装置を動作させるような場合には、そのハードウェア装置自体がコンピュータに相当する。
【0055】
ハードウェア装置は、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段と、を備えている。コンピュータプログラムは、このようなコンピュータに上述の各機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムではなく、OSによって実現されていてもよい。この発明における「記録媒体」としては、フレキシブルディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカードやバーコード等の符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROM等のメモリ)及び外部記憶装置等、コンピュータによって読み取ることができる種々の媒体を用いることができる。
【0056】
また、実施の形態1から実施の形態3の構成は、透過型プロジェクタにも反射型プロジェクタにも適用することができる。ここで、「透過型」とは、液晶ライトバルブ等のライトバルブが光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味している。反射型プロジェクタのライトバルブは、液晶ライトバルブであってもよいし、マイクロミラーを用いたライトバルブであってもよい。
【0057】
実施の形態1から実施の形態3では、リアプロジェクタについて説明したが、本発明はフロントプロジェクタに適用されてもよい。ただし、リアプロジェクタは、フロントプロジェクタとは異なり、投写レンズからスクリーンまでの光路上に光学素子を有する。つまり、リアプロジェクタにおける方がフロントプロジェクタにおけるよりも、上述のホワイトバランスを崩し得る光学素子が多い。したがって、本発明をリアプロジェクタに適用した場合の方がフロントプロジェクタの場合よりも、その効果は大きい。
【0058】
さらに、上記各実施形態における説明では、緑色光の画像データの輝度レベルを減少させた場合について説明しているが、これに限られず、ホワイトバランスの崩れを補正できるのであれば、輝度レベルを増加させても良い。加えて、緑色光の画像データに対する補正に限られず、ホワイトバランスの崩れを補正できるのであれば、赤色光又は青色光の画像データに対してホワイトバランスの補正処理を施しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のリアプロジェクタを示すブロック図。
【図2】実施の形態1の表示デバイス及び投写光学系の構成図。
【図3】ホワイトバランス補正による色度領域の変化を示す色度図。
【図4】ホワイトバランス崩れと補正係数との関係を示す説明図。
【図5】他のホワイトバランス崩れを示す説明図。
【図6】実施の形態1の算出式決定処理の処理手順のフローチャート。
【図7】実施の形態1の算出式決定方法を説明する図。
【図8】実施の形態1にかかる算出式決定方法を説明する図。
【図9】実施の形態1にかかる補正点の追加方法の説明図。
【図10】実施の形態1のホワイトバランス補正処理のフローチャート。
【図11】実施の形態2のリアプロジェクタの概略構成のブロック図。
【図12】ホワイトバランス補正による色度領域の変化を示す色度図。
【図13】ホワイトバランス補正処理のフローチャート。
【図14】実施の形態3のリアプロジェクタのブロック図。
【図15】従来のリアプロジェクタの光学エンジンのブロック図。
【図16】従来のリアプロジェクタのブロック図。
【図17】本発明のシミュレーションによる補正手順の図。
【符号の説明】
1、35、36 掛算器、2 表示デバイス、3 投写光学系、4、21、31制御部、5 画面座標判定部、6、37 補正係数算出部、7 算出式情報記憶部、8 算出式決定部、9 検出部、10 カメラ、11 パーソナルコンピュータ(PC)、22、30 無彩色判定部、23 バイパス経路部、24 切り替え部、32 色度・階調算出部、33 有彩色補正部、34 無彩色補正部
Claims (10)
- 第1色光、第2色光及び第3色光との3色の色光を画像データに応じて変調する空間光変調装置を有し、変調された光をスクリーンの裏側に投写するプロジェクタにおいて、
前記第1色光の偏光軸の方向と、前記第2色光及び前記第3色光の偏光軸の方向とを異ならせる偏光変換部と、
前記第1色光の画像データの入力データに対して一定比率で演算処理した結果を出力することにより、前記プロジェクタの光学系で発生するホワイトバランス崩れを補正するホワイトバランス補正手段を有することを特徴とするプロジェクタ。 - 前記ホワイトバランス補正手段は、前記第1色光の画像データの輝度を各階調において一律に増加又は減少させることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。
- 前記第1色光は緑色光であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロジェクタ。
- 前記画像データが無彩色であるか否かを判定する判定手段と、
前記第1色光の前記画像データを入力状態のまま伝送するバイパス経路部と、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記ホワイトバランス補正手段により演算処理された前記第1色光の前記画像データと、前記バイパス経路部を経由する入力状態のままの前記第1色光の前記画像データとを選択的に切り替える切り替え手段とを有し、
前記切り替え手段は、前記画像データが無彩色である場合は、前記ホワイトバランス補正手段により演算処理された前記第1色光の画像データを選択し、前記画像データが無彩色以外の場合は、前記バイパス経路部を経由する入力状態のままの前記第1色光の前記画像データを選択することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。 - 前記スクリーンにおける投写画像の輝度むら及び色むらの少なくとも一方を補正するための補正値を線形補間により算出する補正値算出手段を有し、
前記ホワイトバランス補正手段は、前記補正値算出手段が算出した前記補正値に基づいて、前記第1色光の前記画像データを補正することを特徴とする請求項1又は2に記載のプロジェクタ。 - 前記スクリーンにおける投写画像の輝度情報を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記ホワイトバランス補正手段の補正値の算出式を決定する算出式決定手段とを有し、
前記補正値算出手段は、前記算出式決定手段が決定した前記算出式を用いて前記補正値を算出することを特徴とする請求項5に記載のプロジェクタ。 - 前記画像データが無彩色であるか否かを判定する判定手段と、
前記画像データの色度及び階調を算出する色度・階調算出部とをさらに有し、前記画像データが無彩色であると判定された場合は、前記第1色光の前記画像データに対して前記演算処理の結果を出力してホワイトバランスを補正し、
前記画像データが無彩色以外であると判定された場合は、前記第1色光、前記第2色光及び前記第3色光の3つの前記画像データに対して、前記色度・階調算出部からの出力に基づいて色補正を行うことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。 - 第1色光、第2色光及び第3色光との3色の色光を画像データに応じて変調する空間光変調装置と、変調された光をスクリーンの裏側に投写する投写レンズとを有するプロジェクタのためのホワイトバランス補正方法において、
前記第1色光の偏光軸の方向と、前記第2色光及び前記第3色光の偏光軸の方向とを異ならせる偏光変換工程と、
前記第1色光の画像データに対して一定比率で演算処理した結果を出力することにより、前記プロジェクタの光学系で発生するホワイトバランス崩れを補正する補正工程とを含むことを特徴とするホワイトバランス補正方法。 - 前記補正工程のために、前記スクリーン上における投写画像のホワイトバランスをコンピュータにより算出するシミュレーション工程をさらに含み、
前記補正工程は、前記シミュレーション工程の結果に基づいて、前記第1色光の画像データの輝度を各階調において一律に増加又は減少させることを特徴とする請求項8に記載のホワイトバランス補正方法。 - 請求項8又は9に記載されたホワイトバランス補正方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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