JP2004199914A - ケーブル接続構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単に、かつ、着実に多相ケーブルを着脱するためのケーブル接続構造を提供する。
【解決手段】各相のケーブル端子(314、324、334)の接続面がバスバー(111〜113)表面と当接する位置にまで各相の当該ケーブル端子を着脱自在に装着するソケット部(117〜119)を備えたケーシング(10、11、12)と、ケーブル端子の接続面とバスバー表面との接触面に対し当該接続面の略垂直方向から抗力を及ぼす方向にケーブル端子とバスバーとを付勢する付勢手段(131〜133)を有する付勢部材(13)と、を備え、付勢部材(13)がケーシング(10、11、12)に着脱自在に設けられているので、付勢部材の一回の装着により充分な付勢力がケーブル端子とバスバーとの接触面に同時に及ぼされ、比較的簡単に着脱ができつつ、充分な接触面圧を与えることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】各相のケーブル端子(314、324、334)の接続面がバスバー(111〜113)表面と当接する位置にまで各相の当該ケーブル端子を着脱自在に装着するソケット部(117〜119)を備えたケーシング(10、11、12)と、ケーブル端子の接続面とバスバー表面との接触面に対し当該接続面の略垂直方向から抗力を及ぼす方向にケーブル端子とバスバーとを付勢する付勢手段(131〜133)を有する付勢部材(13)と、を備え、付勢部材(13)がケーシング(10、11、12)に着脱自在に設けられているので、付勢部材の一回の装着により充分な付勢力がケーブル端子とバスバーとの接触面に同時に及ぼされ、比較的簡単に着脱ができつつ、充分な接触面圧を与えることができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーブル端子を電気的に接続するためのケーブル接続構造に係り、特に、インバータにおける接続端子のような振動のある環境における大電流ケーブルの接続構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
バッテリーからの直流電流を交流電流に変換し三相モータに供給するインバータにおいて、三相モータのそれぞれの相から延びるパワーケーブルの端子を受電するためのケーブル接続構造が必要である。
【0003】
従来、モータ各相からのパワーケーブルを接続するために、ケーブル端子のそれぞれにねじ穴を設け、このねじ穴に螺子を挿通させて各相別にバスバーに螺子止めしていた(特許文献1)。螺子止めを確実にしさえすれば、ケーブル端子とバスバーとを大電流が流れるパワーケーブルの接触面圧として充分な圧力を加えながら、確実に電気的に接触させることが可能であった。
【0004】
【特許文献1】特開2000―217205号公報(図6、8、12等)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の接続構造によれば、電気的な接続の確実性は高いものの、多相モータ等からの多くの相ごとにケーブル端子を螺子止めしなければならないため、パワーケーブルをインバータへ着脱する場合の作業が煩雑であった。
【0006】
特にこのようなインバータを搭載するハイブリッド型車両では、従来の構造では組み付け性(組み立ての容易さ)やサービス性を向上させることが困難であった。
【0007】
逆に、プラグとソケットのように比較的簡単なコネクタ構造では、ハイブリッド車両のインバータにおけるケーブル接続構造のように大電流を扱うケーブルの接触構造としては挿抜力が小さすぎ、もし抜けると接触が確保できない。また接触を確保しようとして挿抜力を大きくすると上述したような作業がしづらくなる、という問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、上記課題を解決するために、比較的簡単に着脱ができ、かつ、充分な接触面圧を与えることの可能なケーブル接続構造を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、多相ケーブルにおける各ケーブル端子と各相に対応するバスバーとの接続構造であって、各相にバスバーを収納し、各相におけるケーブル端子の接続面が対応する相のバスバー表面と当接する位置にまで各相のケーブル端子を着脱自在に装着するソケット部を各相に備えたケーシングと、ケーブル端子の接続面とバスバー表面との接触面に対し当該接続面の略垂直方向から抗力を及ぼす方向にケーブル端子とバスバーとを付勢する付勢手段を各相に有する付勢部材と、を備える。そして、付勢部材は、ケーシングに着脱自在に設けられている。
【0010】
上記構造によれば、各相においてケーブル端子をソケット部に装着するとケーブル端子とバスバーとは接触面で当接する。次に付勢部材をケーシングに装着すると付勢部材に設けられた付勢手段がケーブル端子とバスバーとを必要とされる付勢力で付勢する。ケーブル端子を抜く場合には付勢部材をケーシングから取り外し付勢力を開放してから、ケーブル端子をソケット部より抜き取る。すなわち、多相のケーブル端子の着脱時には人力で容易に着脱ができる一方で、付勢部材を取り付けることで大電流のパワーケーブルにおいても充分な付勢力を付与することが可能となる。装着前から付勢力を付与していると、ケーブル端子を差し込んだり抜いたりすることが困難であるし、付勢力を弱めておくと、安全確実な付勢力でケーブル端子を接触させることができない。
【0011】
特に上記構造によれば、多相のケーブルにおいて、ケーブル端子の着脱時には人力で容易に着脱ができる一方で、一の付勢部材を装着することで大電流のパワーケーブルにおいても充分な付勢力を一時に付与することが可能となる。多相ケーブルでは、従来、各相のケーブル端子をそれぞれ螺子止めしなければならなかったが、本発明によれば付勢部材をケーシングに装着するだけで必要な付勢力による電気的接触を得ることが可能となり、サービス性を向上させることが可能である。
【0012】
ここで本発明において「ケーブル端子」の形状に限定は無いが、バスバーと組合せられた場合に所定の接触面が存在する必要がある。ケーブル端子に螺子穴等が設けられていてもよい。
【0013】
また「バスバー」とは、受電側の電極のことをいう。
【0014】
また「ケーシング」は、当該バスバーとケーブル端子とを収納可能な容積を有する容器であるが、インバータ本体の一部であってもよい。密閉構造を有していることが、防水性の観点から好ましい。また、外面に導電処理を施してあることが、ノイズ防止の観点から好ましい。
【0015】
ここで、付勢部材は、締結部材を備える。このような構造によれば、締結部材を締結することで確実にケーブル端子とバスバーとのを接触させることが可能である。
【0016】
ここで「締結部材」とは、例えば螺子やボルトとナットとの組合せのように、締結時に、予め定められた付勢力で付勢部によりケーブル端子とバスバーとを付勢することが可能に構成されたものを含む。
【0017】
また付勢部材は、装着時におけるケーシングとの間隙を封止する封止手段を備えることは好ましい。このような構造によれば、付勢部材を装着後には水分や油分がケーシング内部に入り込むことを防止可能である。
【0018】
また付勢部材は、付勢手段によって付勢力が及ぼされる方向と締結部材による締結方向とを略一致させるように付勢手段が設けられている。このような構造によれば、締結部材を締結する程に付勢力を上げることができ、確実に電気的接触を担保することが可能である。
【0019】
また付勢部材は、付勢手段によって付勢力が及ぼされる方向と締結部材による締結方向とが異なるように付勢手段が設けられていてもよい。このような構造によれば、締結部材の締め付けの程度とは無関係に付勢手段によって規定される一定の付勢力が加えられるため、安定した接触面圧を確保することが可能である。
【0020】
ここで付勢部材は、さらに締結部材を一つ備える。このような構造によれば、締結部材一個の締め付けで必要とされる付勢力を与えながら確実に電気的接触を担保することが可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態は、本発明に係るケーブル接続構造をハイブリッド車両に用いられるインバータの受電部に適用したものである。
【0022】
図1に、本第1の実施の形態に係るケーブル接続構造を適用したインバータ装置の全体斜視図を示す。図1に示すように、本実施形態におけるインバータ装置1は、インバータ20と受電部10とを備えている。
【0023】
インバータ20は、インバータ本体21とインバータ蓋22とによりケーシングが構成されており、インバータ20には、図示しないサイリスタ等の半導体素子を含むインバータ用電気回路が内部に設けられている。この電気回路は、バッテリーからの直流電流を三相交流電流に変換し、受電部10の各ソケット117〜119に供給して図示しない三相モータに供給可能に構成されている。
【0024】
受電部10は、本発明のケーブル接続構造に係り、インバータ20の側面に、インバータ20内部の電気回路と電気的接続が可能な構造を備えている。当該受電部10は、インバータ20とは別の空間をなすようにインバータとは仕切られて構成されているが、インバータ20内部と共通空間をなすように、インバータと一体的に成型されていてもよい。
【0025】
受電部10は、本体11と蓋12とから構成される。本体11には、三相ケーブル30の各相におけるパワーケーブル31〜33のそれぞれを受容するソケット117〜119が設けられている。蓋12には、本発明の付勢部材であるバネアレイ部13が着脱自在に備えられている。三相ケーブル30の各パワーケーブル31〜33は、他端において、三相モータに接続されている。
【0026】
図2に、受電部10の分解斜視図を示す。図2に示すように、受電部10は、本体11、蓋12、及びバネアレイ部13の三つに分解可能である。本体11と蓋12とは図示しない締結部材により密封することが可能になっている。その際、図示しないガスケットを介在させることによって両者の当接部から水分や油分が内部に侵入することを防止することが可能になっている。
【0027】
本体11は、ソケット117〜119を備え、パワーケーブル31〜33の先端部が挿入されるようになっている。パワーケーブルの一端に設けられている接続部311、321、331の側面に設けられている突起部312、322、332は、それぞれ螺子301〜303によって各ソケットに確実に取り付けられるようになっている。但し、このような螺子によるパワーケーブル31〜33の受電部10への取付けはオプションであり、バネアレイ13による圧着により充分な押圧が付与されケーブルの抜け落ちが防止できる構成、またはバネアレイ13によりケーブルをロックできる構成であれば、螺子取付構造は不要である。本体11内部にはパワーケーブル31〜33の各ケーブル端子314〜334が挿入され、後述する構造によって電気的に接続されるようになっている。
【0028】
蓋12は、本体11に取り付けられることにより、受電部10を封止することが可能な構造を備えている。蓋12の上面部121には、開口部122が設けられており、付勢部材であるバネアレイ部13を着脱自在に挿入することが可能になっている。
【0029】
バネアレイ部13は、本発明の付勢部材であり、蓋12の開口部122に着脱自在に装着することが可能な形状を備えている。バネアレイ部13は、取付時に内側を向く面に付勢手段としてバネ131〜133を各相に対応して備えている。バネアレイ部13の側面には、Oリング136が備えられている。バネアレイ部13が蓋12の開口部122より挿入された場合に、このOリング136により封止され、水分や油分が内部に入り込むことを防止できるようになっている。またバネアレイ部13には挿通孔134が設けられ、締結部材であるボルト135が取り付けられている。このボルト135により、バネアレイ部13は所定の締結力で受電部10に取り付けられるようになっている。
【0030】
図3に、本第1の実施の形態に係るケーブル接続構造のパワーケーブル32を含む断面で切断した場合の断面図を、図4に図3におけるB−B断面で切断した場合の断面図を示す。図3は、図4におけるA−A断面図を示している。これらの図は、パワーケーブル31〜33がソケット117〜119に装着され、さらにバネアレイ部13が開口部122に挿入された状態を示している。
【0031】
図3に示すように、パワーケーブル31〜33の接続部311、321、331にはそれぞれOリング313、323、333が設けられており、装着時に一定の摩擦がソケット117〜119の内面との間で働くようになっている。この摩擦により、ある程度パワーケーブルは各ソケットに保持されるが、この他に、各バネ131〜133による付勢力や選択的な螺子301〜303による突起部312、322、332の取付けによって、パワーケーブル31〜33は振動によっても離脱することがないようになっている。
【0032】
本体11には、各相を仕切る仕切114が設けられており、挿入されるバネアレイ部13側の仕切136を受容する溝115も設けることによって、必要に応じた絶縁距離が確保されている。各仕切で仕切られる各相の部屋ごとにバスバー111〜113が配置されている。本体11のバネアレイ部13の挿通孔134に対向する位置には、さらに挿通孔116が設けられ、ボルト135が挿通可能になっている。本体11の底部にはナット138を回転しないように保持する凹部110が設けられている。
【0033】
バネアレイ部13には、断面が鍵状のバネ131〜133が各相に対応して設けられており、その弾性力によって、当接するケーブル端子314、324、334をバスバー111〜113に圧着することが可能になっている。また、ボルト135は挿通孔134に挿通された後にストッパ137により回転自在に取り付けられている。このため、バネアレイ部13を開放するたびにボルト135を取り外す必要がない。
【0034】
なお、本実施形態において、インバータ20および受電部10(本体11、蓋12、およびバネアレイ部13)は、樹脂等の一定強度を有し、絶縁性の高い材料で成型されるが、その樹脂に導電性フィラーを混入させて成型したり、外面に導電性の金属メッキを施すことは好ましい。その際、インバータ、本体11、蓋12、およびバネアレイ部13の総てが電気的に接続されるように構成し、かつ、その一部をアース(例えば車両本体に電気的に接続)しておくことは好ましい。このような構成にすれば、インバータ装置1中で発生する電磁ノイズをシールドし、電磁ノイズを外部に輻射させることを防止できるからである。
【0035】
上記構成において、三相ケーブル30を受電部10に着脱する方法を以下に説明する。
【0036】
パワーケーブルの装着時、パワーケーブル31〜33のそれぞれが対応するソケット117〜119に挿入される。図3に示すように、パワーケーブルが動かなくなるまで押し込まれた場合、ケーブル端子314、324、334の接触面がバスバー111〜113の表面と所定の面積で接触するようになる。このような位置まで押し込まれると接続部311、321、331に設けられたOリング313、323、333がソケット117〜119内面に圧着され、ケーブル先端が保持される。必要に応じて螺子301〜303を用いてパワーケーブルの突起部312、322、332が受電部10に軸止めされる。この作業によりパワーケーブルの離脱は確実に防止できる。
【0037】
パワーケーブルの装着後、開口部122からバネアレイ部13が挿入される。バネ131〜133の先端がケーブル端子314、324、334に当接した後、バネアレイ部13がさらに押し込まれると、バネが弾性変形し、その付勢力がケーブル端子に及ぼされ、大電流ケーブルの接続に必要とされる力、例えば、7kg〜10kg/mm2の面圧でケーブル端子がバスバーに圧着される。完全にバネアレイ部13を押し込んだ後に、本体11の底部に設けられた凹部110から突き出したボルト135の先端螺子部にナット138を螺合させる。つまり、ボルト135を回転させてナット138を所定の力が必要となるまで締結する。この処理により、バネアレイ部13を、バネに付勢力を及ぼさせた状態で受電部10に固定することが可能である。
【0038】
パワーケーブルの脱着時には、上記手順と逆の手順でパワーケーブルが取り外される。すなわち、バネアレイ部13が引き抜かれ、ケーブル端子314、324、334の付勢力が開放された後、螺子301〜303を取り外してから、各パワーケーブル31〜33が引き抜かれる。
【0039】
以上、本第1の実施の形態によれば、パワーケーブル31〜33の装着後に、バネアレイ部13を挿入することによってバネによる付勢力によってケーブル端子とバスバーとに所定の面圧を付与することができるので、大電流ケーブルの接続に必要な力で端子の接続が行える。
【0040】
すなわち、従来、必要とされる面圧による接続を得るために、パワーケーブルはケーブル端子ごとにボルト等で各バスバーに螺子止めすることを要していた。しかし、本第1の実施の形態によれば、パワーケーブルの装着後にバネアレイ部を押し込めば必要十分な接着面圧を付与することができるため、パワーケーブルの着脱に要する工数を大幅に減らすことができる。
【0041】
例えば、ハイブリッド車両に用いられるインバータ装置に本発明を適用すれば、ワンタッチでパワーケーブルの着脱が行えるようになり、組み付け性やサービス性の向上に大いに貢献可能である。
【0042】
また、本第1の実施の形態によれば、ボルト一本により多相のパワーケーブルの圧着を完了させることができるので簡単である。
【0043】
また本第1の実施の形態によれば、バネアレイ部13にOリング136を備えたので、受電部10の密封度を高めることが可能である。
【0044】
また本第1の実施の形態によれば、ケーシング全体に導電性フィラーまたは導電性メッキによってシールドを施すので、インバータ装置において生ずる電磁ノイズが輻射されることを防止することが可能である。
【0045】
特に、本第1の実施の形態によれば、締結部材であるボルト135の締め具合がバネ131〜133から各ケーブル端子に及ぼされる付勢力に対応しているので、付勢力を調整できるという特徴がある。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態における付勢部材の変形例に関する。
【0046】
図5に、本発明の第2の実施の形態に係るケーブル接続構造である受電部10bの断面図を示す。当該図は、上記第1の実施の形態において説明したケーブル接続構造の図4における切断面に対応している。図5は、パワーケーブル31〜33がソケット117〜119に装着され、さらにバネアレイ部13が開口部122に挿入された装着後の状態を示している。
【0047】
本第2の実施の形態におけるケーブル接続構造は、その基本構造において上記第1の実施の形態におけるケーブル接続構造とほぼ同じである。但し、受電部10bにおける本体11のバスバーの取付位置および付勢部材であるバネアレイ部におけるバネの取付構造が異なる。
【0048】
図5に示すように、本第2の実施の形態における本体11bは、各相の部屋が区分けされており、その部屋の側面にバスバー111b〜113bが配置されている。
【0049】
一方、本第2の実施の形態におけるバネアレイ部13bには、仕切137が各相の部屋に対応するように設けられ、その側面にバネ131b〜133bが設けられている。これらのバネは、バネアレイ部13bが受電部10bに押し込まれた場合に、その弾性力によって、ケーブル端子314、324、334をバスバー111b〜113bに圧着することが可能に付勢力が調整されている。
【0050】
上記構成において、三相ケーブル30を受電部10に着脱する方法を以下に説明する。
【0051】
パワーケーブルの装着時、上記第1の実施の形態と同様にして、パワーケーブル31〜33のそれぞれが対応するソケット117〜119に挿入される。必要に応じて螺子301〜303を用いてパワーケーブルの突起部312、322、332が受電部10bに軸止めされる。
【0052】
次いでパワーケーブルの装着後、開口部122からバネアレイ部13bが挿入される。ここでバネ131b〜133bは、挿入された場合にケーブル端子によって弾性変形されるような構造を備えているので、各バネが各ケーブル端子314、324、334に当接した後、バネアレイ部13がさらに押し込まれると、バネが弾性変形する。この付勢力は、各ケーブル端子に及ぼされ、大電流ケーブルの接続に必要とされる力、例えば、7kg〜10kg/mm2の面圧でケーブル端子がバスバーに圧着される。バネアレイ部13bを押し込むとバネの付勢力によって摩擦が働き蓋12が本体11から離脱しにくくなるが、防水等の目的のため、完全にバネアレイ部13bを押し込んだ後に、本体11の底部に設けられた凹部110から突き出したボルト135の先端螺子部にナット138を螺合させることは好ましい。
【0053】
パワーケーブルの脱着時には、上記手順と逆の手順でパワーケーブルが取り外される。すなわち、バネアレイ部13bが引き抜かれ、ケーブル端子314、324、334の付勢力が開放された後、螺子301〜303を取り外してから、各パワーケーブル31〜33が引き抜かれる。
【0054】
以上本第2の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏する。特に、本第2の実施の形態によれば、バネにより付勢力の働く方向がバネアレイ部が押し込まれる方向と異なる、特に略垂直方向であるため、バネアレイ部を押さえつける力の程度とは無関係に一定の付勢力が安定的にケーブル端子に及ぼされるという特徴がある。そのため、取り付けた者のボルトの閉め方によらず、常に安定した接触を確保できるという効果を有する。
(その他の変形例)
なお、本発明のケーブル接続構造については、上記実施の形態で説明したゲーブル接続機構によらず、種々に変更して適用することが可能である。
【0055】
すなわち、受電部、バスバー、ケーブル端子、バネ、バネアレイ部等の形状には限定はない。例えば、上記実施の形態では、パワーケーブルがインバータの側面に平行に接続されるような構造を備えていたが、図6に示す受電部10cのように、インバータ本体に直接パワーケーブルが接続されるように構成してもよい。付勢部材であるバネアレイ部13を設けることによって、本発明におけるケーブル接続構造を設けることが可能である。
【0056】
また、上記実施の形態では三相ケーブルを例示したが、単相、複相、または4相以上の交流電流におけるケーブル接続構造に本発明を適用してもよい。
【0057】
また、上記実施の形態では、一つの付勢部材および一つの締結部材により電気的接続を確保していたが、必要とされる付勢力やケーブル数、形状に応じて、複数の付勢部材や締結部材を用いてもよい。このような構成であっても、少なくとも相毎に螺子止めするよりはサービス性を高めることは可能である。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、多相ケーブルにおける各ケーブル端子の接続面がバスバー表面と当接する位置にまで各相の当該ケーブル端子を着脱自在に装着するソケット部を備えたケーシングと、ケーブル端子の接続面とバスバー表面との接触面に対し当該接続面の略垂直方向から抗力を及ぼす方向にケーブル端子とバスバーとを付勢する付勢手段を有する付勢部材と、を備え、付勢部材がケーシングに着脱自在に設けられているので、付勢部材の一回の装着により充分な付勢力が各相のケーブル端子とバスバーとの接触面に同時に及ぼされ、比較的簡単に多相ケーブルの着脱ができつつ、充分な接触面圧を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るケーブル接続構造を適用したインバータの全体斜視図。
【図2】第1の実施の形態に係るケーブル接続構造の分解斜視図。
【図3】第1の実施の形態に係るケーブル接続構造のケーブル軸を含む断面で切断した場合の断面図(図4におけるA−A断面図)。
【図4】図3におけるB−B断面で切断した場合の断面図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るケーブル接続構造の断面図(図4における切断面に対応)。
【図6】変形例におけるケーブル接続構造の斜視図。
【符号の説明】
1…インバータ装置、10、10b、10c…ケーブル接続構造、11、11b…本体、12…蓋、13、13b…バネアレイ(付勢部材)、20…インバータ、21…インバータ本体、22…インバータ蓋、30…ケーブルセット、31〜33…ケーブル、110…凹部、111〜113、111b〜113b…受側電極、114…仕切り、115…溝、116…貫通孔、131〜133、131b〜133b…バネ(付勢手段)、134…貫通孔、135…ボルト(締結部材)、136、137…仕切り、138…ナット、137…ストッパ、314、324、334…ケーブル端子
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーブル端子を電気的に接続するためのケーブル接続構造に係り、特に、インバータにおける接続端子のような振動のある環境における大電流ケーブルの接続構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
バッテリーからの直流電流を交流電流に変換し三相モータに供給するインバータにおいて、三相モータのそれぞれの相から延びるパワーケーブルの端子を受電するためのケーブル接続構造が必要である。
【0003】
従来、モータ各相からのパワーケーブルを接続するために、ケーブル端子のそれぞれにねじ穴を設け、このねじ穴に螺子を挿通させて各相別にバスバーに螺子止めしていた(特許文献1)。螺子止めを確実にしさえすれば、ケーブル端子とバスバーとを大電流が流れるパワーケーブルの接触面圧として充分な圧力を加えながら、確実に電気的に接触させることが可能であった。
【0004】
【特許文献1】特開2000―217205号公報(図6、8、12等)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の接続構造によれば、電気的な接続の確実性は高いものの、多相モータ等からの多くの相ごとにケーブル端子を螺子止めしなければならないため、パワーケーブルをインバータへ着脱する場合の作業が煩雑であった。
【0006】
特にこのようなインバータを搭載するハイブリッド型車両では、従来の構造では組み付け性(組み立ての容易さ)やサービス性を向上させることが困難であった。
【0007】
逆に、プラグとソケットのように比較的簡単なコネクタ構造では、ハイブリッド車両のインバータにおけるケーブル接続構造のように大電流を扱うケーブルの接触構造としては挿抜力が小さすぎ、もし抜けると接触が確保できない。また接触を確保しようとして挿抜力を大きくすると上述したような作業がしづらくなる、という問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、上記課題を解決するために、比較的簡単に着脱ができ、かつ、充分な接触面圧を与えることの可能なケーブル接続構造を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、多相ケーブルにおける各ケーブル端子と各相に対応するバスバーとの接続構造であって、各相にバスバーを収納し、各相におけるケーブル端子の接続面が対応する相のバスバー表面と当接する位置にまで各相のケーブル端子を着脱自在に装着するソケット部を各相に備えたケーシングと、ケーブル端子の接続面とバスバー表面との接触面に対し当該接続面の略垂直方向から抗力を及ぼす方向にケーブル端子とバスバーとを付勢する付勢手段を各相に有する付勢部材と、を備える。そして、付勢部材は、ケーシングに着脱自在に設けられている。
【0010】
上記構造によれば、各相においてケーブル端子をソケット部に装着するとケーブル端子とバスバーとは接触面で当接する。次に付勢部材をケーシングに装着すると付勢部材に設けられた付勢手段がケーブル端子とバスバーとを必要とされる付勢力で付勢する。ケーブル端子を抜く場合には付勢部材をケーシングから取り外し付勢力を開放してから、ケーブル端子をソケット部より抜き取る。すなわち、多相のケーブル端子の着脱時には人力で容易に着脱ができる一方で、付勢部材を取り付けることで大電流のパワーケーブルにおいても充分な付勢力を付与することが可能となる。装着前から付勢力を付与していると、ケーブル端子を差し込んだり抜いたりすることが困難であるし、付勢力を弱めておくと、安全確実な付勢力でケーブル端子を接触させることができない。
【0011】
特に上記構造によれば、多相のケーブルにおいて、ケーブル端子の着脱時には人力で容易に着脱ができる一方で、一の付勢部材を装着することで大電流のパワーケーブルにおいても充分な付勢力を一時に付与することが可能となる。多相ケーブルでは、従来、各相のケーブル端子をそれぞれ螺子止めしなければならなかったが、本発明によれば付勢部材をケーシングに装着するだけで必要な付勢力による電気的接触を得ることが可能となり、サービス性を向上させることが可能である。
【0012】
ここで本発明において「ケーブル端子」の形状に限定は無いが、バスバーと組合せられた場合に所定の接触面が存在する必要がある。ケーブル端子に螺子穴等が設けられていてもよい。
【0013】
また「バスバー」とは、受電側の電極のことをいう。
【0014】
また「ケーシング」は、当該バスバーとケーブル端子とを収納可能な容積を有する容器であるが、インバータ本体の一部であってもよい。密閉構造を有していることが、防水性の観点から好ましい。また、外面に導電処理を施してあることが、ノイズ防止の観点から好ましい。
【0015】
ここで、付勢部材は、締結部材を備える。このような構造によれば、締結部材を締結することで確実にケーブル端子とバスバーとのを接触させることが可能である。
【0016】
ここで「締結部材」とは、例えば螺子やボルトとナットとの組合せのように、締結時に、予め定められた付勢力で付勢部によりケーブル端子とバスバーとを付勢することが可能に構成されたものを含む。
【0017】
また付勢部材は、装着時におけるケーシングとの間隙を封止する封止手段を備えることは好ましい。このような構造によれば、付勢部材を装着後には水分や油分がケーシング内部に入り込むことを防止可能である。
【0018】
また付勢部材は、付勢手段によって付勢力が及ぼされる方向と締結部材による締結方向とを略一致させるように付勢手段が設けられている。このような構造によれば、締結部材を締結する程に付勢力を上げることができ、確実に電気的接触を担保することが可能である。
【0019】
また付勢部材は、付勢手段によって付勢力が及ぼされる方向と締結部材による締結方向とが異なるように付勢手段が設けられていてもよい。このような構造によれば、締結部材の締め付けの程度とは無関係に付勢手段によって規定される一定の付勢力が加えられるため、安定した接触面圧を確保することが可能である。
【0020】
ここで付勢部材は、さらに締結部材を一つ備える。このような構造によれば、締結部材一個の締め付けで必要とされる付勢力を与えながら確実に電気的接触を担保することが可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態は、本発明に係るケーブル接続構造をハイブリッド車両に用いられるインバータの受電部に適用したものである。
【0022】
図1に、本第1の実施の形態に係るケーブル接続構造を適用したインバータ装置の全体斜視図を示す。図1に示すように、本実施形態におけるインバータ装置1は、インバータ20と受電部10とを備えている。
【0023】
インバータ20は、インバータ本体21とインバータ蓋22とによりケーシングが構成されており、インバータ20には、図示しないサイリスタ等の半導体素子を含むインバータ用電気回路が内部に設けられている。この電気回路は、バッテリーからの直流電流を三相交流電流に変換し、受電部10の各ソケット117〜119に供給して図示しない三相モータに供給可能に構成されている。
【0024】
受電部10は、本発明のケーブル接続構造に係り、インバータ20の側面に、インバータ20内部の電気回路と電気的接続が可能な構造を備えている。当該受電部10は、インバータ20とは別の空間をなすようにインバータとは仕切られて構成されているが、インバータ20内部と共通空間をなすように、インバータと一体的に成型されていてもよい。
【0025】
受電部10は、本体11と蓋12とから構成される。本体11には、三相ケーブル30の各相におけるパワーケーブル31〜33のそれぞれを受容するソケット117〜119が設けられている。蓋12には、本発明の付勢部材であるバネアレイ部13が着脱自在に備えられている。三相ケーブル30の各パワーケーブル31〜33は、他端において、三相モータに接続されている。
【0026】
図2に、受電部10の分解斜視図を示す。図2に示すように、受電部10は、本体11、蓋12、及びバネアレイ部13の三つに分解可能である。本体11と蓋12とは図示しない締結部材により密封することが可能になっている。その際、図示しないガスケットを介在させることによって両者の当接部から水分や油分が内部に侵入することを防止することが可能になっている。
【0027】
本体11は、ソケット117〜119を備え、パワーケーブル31〜33の先端部が挿入されるようになっている。パワーケーブルの一端に設けられている接続部311、321、331の側面に設けられている突起部312、322、332は、それぞれ螺子301〜303によって各ソケットに確実に取り付けられるようになっている。但し、このような螺子によるパワーケーブル31〜33の受電部10への取付けはオプションであり、バネアレイ13による圧着により充分な押圧が付与されケーブルの抜け落ちが防止できる構成、またはバネアレイ13によりケーブルをロックできる構成であれば、螺子取付構造は不要である。本体11内部にはパワーケーブル31〜33の各ケーブル端子314〜334が挿入され、後述する構造によって電気的に接続されるようになっている。
【0028】
蓋12は、本体11に取り付けられることにより、受電部10を封止することが可能な構造を備えている。蓋12の上面部121には、開口部122が設けられており、付勢部材であるバネアレイ部13を着脱自在に挿入することが可能になっている。
【0029】
バネアレイ部13は、本発明の付勢部材であり、蓋12の開口部122に着脱自在に装着することが可能な形状を備えている。バネアレイ部13は、取付時に内側を向く面に付勢手段としてバネ131〜133を各相に対応して備えている。バネアレイ部13の側面には、Oリング136が備えられている。バネアレイ部13が蓋12の開口部122より挿入された場合に、このOリング136により封止され、水分や油分が内部に入り込むことを防止できるようになっている。またバネアレイ部13には挿通孔134が設けられ、締結部材であるボルト135が取り付けられている。このボルト135により、バネアレイ部13は所定の締結力で受電部10に取り付けられるようになっている。
【0030】
図3に、本第1の実施の形態に係るケーブル接続構造のパワーケーブル32を含む断面で切断した場合の断面図を、図4に図3におけるB−B断面で切断した場合の断面図を示す。図3は、図4におけるA−A断面図を示している。これらの図は、パワーケーブル31〜33がソケット117〜119に装着され、さらにバネアレイ部13が開口部122に挿入された状態を示している。
【0031】
図3に示すように、パワーケーブル31〜33の接続部311、321、331にはそれぞれOリング313、323、333が設けられており、装着時に一定の摩擦がソケット117〜119の内面との間で働くようになっている。この摩擦により、ある程度パワーケーブルは各ソケットに保持されるが、この他に、各バネ131〜133による付勢力や選択的な螺子301〜303による突起部312、322、332の取付けによって、パワーケーブル31〜33は振動によっても離脱することがないようになっている。
【0032】
本体11には、各相を仕切る仕切114が設けられており、挿入されるバネアレイ部13側の仕切136を受容する溝115も設けることによって、必要に応じた絶縁距離が確保されている。各仕切で仕切られる各相の部屋ごとにバスバー111〜113が配置されている。本体11のバネアレイ部13の挿通孔134に対向する位置には、さらに挿通孔116が設けられ、ボルト135が挿通可能になっている。本体11の底部にはナット138を回転しないように保持する凹部110が設けられている。
【0033】
バネアレイ部13には、断面が鍵状のバネ131〜133が各相に対応して設けられており、その弾性力によって、当接するケーブル端子314、324、334をバスバー111〜113に圧着することが可能になっている。また、ボルト135は挿通孔134に挿通された後にストッパ137により回転自在に取り付けられている。このため、バネアレイ部13を開放するたびにボルト135を取り外す必要がない。
【0034】
なお、本実施形態において、インバータ20および受電部10(本体11、蓋12、およびバネアレイ部13)は、樹脂等の一定強度を有し、絶縁性の高い材料で成型されるが、その樹脂に導電性フィラーを混入させて成型したり、外面に導電性の金属メッキを施すことは好ましい。その際、インバータ、本体11、蓋12、およびバネアレイ部13の総てが電気的に接続されるように構成し、かつ、その一部をアース(例えば車両本体に電気的に接続)しておくことは好ましい。このような構成にすれば、インバータ装置1中で発生する電磁ノイズをシールドし、電磁ノイズを外部に輻射させることを防止できるからである。
【0035】
上記構成において、三相ケーブル30を受電部10に着脱する方法を以下に説明する。
【0036】
パワーケーブルの装着時、パワーケーブル31〜33のそれぞれが対応するソケット117〜119に挿入される。図3に示すように、パワーケーブルが動かなくなるまで押し込まれた場合、ケーブル端子314、324、334の接触面がバスバー111〜113の表面と所定の面積で接触するようになる。このような位置まで押し込まれると接続部311、321、331に設けられたOリング313、323、333がソケット117〜119内面に圧着され、ケーブル先端が保持される。必要に応じて螺子301〜303を用いてパワーケーブルの突起部312、322、332が受電部10に軸止めされる。この作業によりパワーケーブルの離脱は確実に防止できる。
【0037】
パワーケーブルの装着後、開口部122からバネアレイ部13が挿入される。バネ131〜133の先端がケーブル端子314、324、334に当接した後、バネアレイ部13がさらに押し込まれると、バネが弾性変形し、その付勢力がケーブル端子に及ぼされ、大電流ケーブルの接続に必要とされる力、例えば、7kg〜10kg/mm2の面圧でケーブル端子がバスバーに圧着される。完全にバネアレイ部13を押し込んだ後に、本体11の底部に設けられた凹部110から突き出したボルト135の先端螺子部にナット138を螺合させる。つまり、ボルト135を回転させてナット138を所定の力が必要となるまで締結する。この処理により、バネアレイ部13を、バネに付勢力を及ぼさせた状態で受電部10に固定することが可能である。
【0038】
パワーケーブルの脱着時には、上記手順と逆の手順でパワーケーブルが取り外される。すなわち、バネアレイ部13が引き抜かれ、ケーブル端子314、324、334の付勢力が開放された後、螺子301〜303を取り外してから、各パワーケーブル31〜33が引き抜かれる。
【0039】
以上、本第1の実施の形態によれば、パワーケーブル31〜33の装着後に、バネアレイ部13を挿入することによってバネによる付勢力によってケーブル端子とバスバーとに所定の面圧を付与することができるので、大電流ケーブルの接続に必要な力で端子の接続が行える。
【0040】
すなわち、従来、必要とされる面圧による接続を得るために、パワーケーブルはケーブル端子ごとにボルト等で各バスバーに螺子止めすることを要していた。しかし、本第1の実施の形態によれば、パワーケーブルの装着後にバネアレイ部を押し込めば必要十分な接着面圧を付与することができるため、パワーケーブルの着脱に要する工数を大幅に減らすことができる。
【0041】
例えば、ハイブリッド車両に用いられるインバータ装置に本発明を適用すれば、ワンタッチでパワーケーブルの着脱が行えるようになり、組み付け性やサービス性の向上に大いに貢献可能である。
【0042】
また、本第1の実施の形態によれば、ボルト一本により多相のパワーケーブルの圧着を完了させることができるので簡単である。
【0043】
また本第1の実施の形態によれば、バネアレイ部13にOリング136を備えたので、受電部10の密封度を高めることが可能である。
【0044】
また本第1の実施の形態によれば、ケーシング全体に導電性フィラーまたは導電性メッキによってシールドを施すので、インバータ装置において生ずる電磁ノイズが輻射されることを防止することが可能である。
【0045】
特に、本第1の実施の形態によれば、締結部材であるボルト135の締め具合がバネ131〜133から各ケーブル端子に及ぼされる付勢力に対応しているので、付勢力を調整できるという特徴がある。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態における付勢部材の変形例に関する。
【0046】
図5に、本発明の第2の実施の形態に係るケーブル接続構造である受電部10bの断面図を示す。当該図は、上記第1の実施の形態において説明したケーブル接続構造の図4における切断面に対応している。図5は、パワーケーブル31〜33がソケット117〜119に装着され、さらにバネアレイ部13が開口部122に挿入された装着後の状態を示している。
【0047】
本第2の実施の形態におけるケーブル接続構造は、その基本構造において上記第1の実施の形態におけるケーブル接続構造とほぼ同じである。但し、受電部10bにおける本体11のバスバーの取付位置および付勢部材であるバネアレイ部におけるバネの取付構造が異なる。
【0048】
図5に示すように、本第2の実施の形態における本体11bは、各相の部屋が区分けされており、その部屋の側面にバスバー111b〜113bが配置されている。
【0049】
一方、本第2の実施の形態におけるバネアレイ部13bには、仕切137が各相の部屋に対応するように設けられ、その側面にバネ131b〜133bが設けられている。これらのバネは、バネアレイ部13bが受電部10bに押し込まれた場合に、その弾性力によって、ケーブル端子314、324、334をバスバー111b〜113bに圧着することが可能に付勢力が調整されている。
【0050】
上記構成において、三相ケーブル30を受電部10に着脱する方法を以下に説明する。
【0051】
パワーケーブルの装着時、上記第1の実施の形態と同様にして、パワーケーブル31〜33のそれぞれが対応するソケット117〜119に挿入される。必要に応じて螺子301〜303を用いてパワーケーブルの突起部312、322、332が受電部10bに軸止めされる。
【0052】
次いでパワーケーブルの装着後、開口部122からバネアレイ部13bが挿入される。ここでバネ131b〜133bは、挿入された場合にケーブル端子によって弾性変形されるような構造を備えているので、各バネが各ケーブル端子314、324、334に当接した後、バネアレイ部13がさらに押し込まれると、バネが弾性変形する。この付勢力は、各ケーブル端子に及ぼされ、大電流ケーブルの接続に必要とされる力、例えば、7kg〜10kg/mm2の面圧でケーブル端子がバスバーに圧着される。バネアレイ部13bを押し込むとバネの付勢力によって摩擦が働き蓋12が本体11から離脱しにくくなるが、防水等の目的のため、完全にバネアレイ部13bを押し込んだ後に、本体11の底部に設けられた凹部110から突き出したボルト135の先端螺子部にナット138を螺合させることは好ましい。
【0053】
パワーケーブルの脱着時には、上記手順と逆の手順でパワーケーブルが取り外される。すなわち、バネアレイ部13bが引き抜かれ、ケーブル端子314、324、334の付勢力が開放された後、螺子301〜303を取り外してから、各パワーケーブル31〜33が引き抜かれる。
【0054】
以上本第2の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏する。特に、本第2の実施の形態によれば、バネにより付勢力の働く方向がバネアレイ部が押し込まれる方向と異なる、特に略垂直方向であるため、バネアレイ部を押さえつける力の程度とは無関係に一定の付勢力が安定的にケーブル端子に及ぼされるという特徴がある。そのため、取り付けた者のボルトの閉め方によらず、常に安定した接触を確保できるという効果を有する。
(その他の変形例)
なお、本発明のケーブル接続構造については、上記実施の形態で説明したゲーブル接続機構によらず、種々に変更して適用することが可能である。
【0055】
すなわち、受電部、バスバー、ケーブル端子、バネ、バネアレイ部等の形状には限定はない。例えば、上記実施の形態では、パワーケーブルがインバータの側面に平行に接続されるような構造を備えていたが、図6に示す受電部10cのように、インバータ本体に直接パワーケーブルが接続されるように構成してもよい。付勢部材であるバネアレイ部13を設けることによって、本発明におけるケーブル接続構造を設けることが可能である。
【0056】
また、上記実施の形態では三相ケーブルを例示したが、単相、複相、または4相以上の交流電流におけるケーブル接続構造に本発明を適用してもよい。
【0057】
また、上記実施の形態では、一つの付勢部材および一つの締結部材により電気的接続を確保していたが、必要とされる付勢力やケーブル数、形状に応じて、複数の付勢部材や締結部材を用いてもよい。このような構成であっても、少なくとも相毎に螺子止めするよりはサービス性を高めることは可能である。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、多相ケーブルにおける各ケーブル端子の接続面がバスバー表面と当接する位置にまで各相の当該ケーブル端子を着脱自在に装着するソケット部を備えたケーシングと、ケーブル端子の接続面とバスバー表面との接触面に対し当該接続面の略垂直方向から抗力を及ぼす方向にケーブル端子とバスバーとを付勢する付勢手段を有する付勢部材と、を備え、付勢部材がケーシングに着脱自在に設けられているので、付勢部材の一回の装着により充分な付勢力が各相のケーブル端子とバスバーとの接触面に同時に及ぼされ、比較的簡単に多相ケーブルの着脱ができつつ、充分な接触面圧を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るケーブル接続構造を適用したインバータの全体斜視図。
【図2】第1の実施の形態に係るケーブル接続構造の分解斜視図。
【図3】第1の実施の形態に係るケーブル接続構造のケーブル軸を含む断面で切断した場合の断面図(図4におけるA−A断面図)。
【図4】図3におけるB−B断面で切断した場合の断面図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るケーブル接続構造の断面図(図4における切断面に対応)。
【図6】変形例におけるケーブル接続構造の斜視図。
【符号の説明】
1…インバータ装置、10、10b、10c…ケーブル接続構造、11、11b…本体、12…蓋、13、13b…バネアレイ(付勢部材)、20…インバータ、21…インバータ本体、22…インバータ蓋、30…ケーブルセット、31〜33…ケーブル、110…凹部、111〜113、111b〜113b…受側電極、114…仕切り、115…溝、116…貫通孔、131〜133、131b〜133b…バネ(付勢手段)、134…貫通孔、135…ボルト(締結部材)、136、137…仕切り、138…ナット、137…ストッパ、314、324、334…ケーブル端子
Claims (6)
- 多相ケーブルにおける各ケーブル端子と各相に対応するバスバーとの接続構造であって、
各相に前記バスバーを収納し、各相における前記ケーブル端子の接続面が対応する相の前記バスバー表面と当接する位置にまで各相の前記ケーブル端子を着脱自在に装着するソケット部を各相に備えたケーシングと、
前記ケーブル端子の接続面と前記バスバー表面との接触面に対し当該接続面の略垂直方向から抗力を及ぼす方向に前記ケーブル端子と前記バスバーとを付勢する付勢手段を各相に有する付勢部材と、を備え、
前記付勢部材は、前記ケーシングに着脱自在に設けられていること、を備えことを特徴とするケーブル接続構造。 - 前記付勢部材は、締結部材をさらに備える、請求項1に記載のケーブル接続構造。
- 前記付勢部材は、装着時における前記ケーシングとの間隙を封止する封止手段を備える、請求項1または2に記載のケーブル接続構造。
- 前記付勢部材は、前記付勢手段によって付勢力が及ぼされる方向と前記締結部材による締結方向とを略一致させるように前記付勢手段が設けられている、請求項2または3に記載のケーブル接続構造。
- 前記付勢部材は、前記付勢手段によって付勢力が及ぼされる方向と前記締結部材による締結方向とが異なるように前記付勢手段が設けられている、請求項2または3に記載のケーブル接続構造。
- 前記付勢部材は、締結時に、予め定められた付勢力で各相の前記付勢部により前記ケーブル端子と前記バスバーとを付勢することが可能に構成された締結部材を一つ備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のケーブル接続構造。
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2002
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