JP2004199598A - ピストン形状の設計支援プログラム、設計支援方法及び設計支援装置 - Google Patents

ピストン形状の設計支援プログラム、設計支援方法及び設計支援装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ピストン12の往復動方向とバルブ21の往復動方向とが不一致となるエンジン11において、リセス12aとピストンリング溝12cとを備えたピストン12の形状を、設計者が効率良くかつ最適に設計できるようにする。
【解決手段】ピストン12の頂部に、バルブ21と対面しかつ該バルブ21との間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築し、その後、リセス12a及びピストンリング溝12cを備えたピストンモデルを立体で構築し、この構築したピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセス12aとピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値を演算する。
【選択図】図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおける該ピストンの形状の設計を、コンピュータによって支援するための設計支援プログラム、設計支援方法及び設計支援装置に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エンジンのピストンの頂部に、該ピストンが吸気バルブや排気バルブと干渉しないようにリセス(凹部)を形成することはよく知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−18041号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のように頂部にリセスを備えたピストンの形状を設計する際には、設計者は、そのリセスと該ピストンの側周面に形成するピストンリング溝との間の肉厚に注意しなければならない。すなわち、ピストンリング溝に嵌合されるピストンリングのピストン頂部側におけるピストンとシリンダとの間の部分に、エンジンオイルや、混合気中の燃料の内のピストン又はシリンダに対する付着分がそれ程多く溜まらないようにしてHCやCOを排出しないようにするためには、ピストンリング溝をピストン頂部にある程度近い位置に形成する必要があるが、上記のように吸排気バルブとの干渉のみに留意してピストン頂部にリセスを形成すると、そのリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値(ピストン強度や製造上の観点等から予め決められた値)よりも小さくなる場合がある。
【0005】
また、例えば、ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおいては、リセスを最小限の大きさにしようとすると、リセスの形状が複雑になるため、上記肉厚の最小値を素早くかつ精度良く計算するのは容易ではない。一方、リセスを単純な形状で大きくすると、燃焼性の悪化を招いてしまう。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおいて、リセスとピストンリング溝とを備えたピストンの形状を、設計者が効率良くかつ最適に設計できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおける該ピストンの形状の設計を、コンピュータによって支援するための設計支援プログラムを対象として、上記コンピュータに対して、設計者に、上記ピストンに関する情報と、上記バルブに関する情報と、該ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とを入力させる入力ステップと、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、上記ピストンの頂部に、上記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築ステップと、上記リセスモデル構築ステップで構築したリセスモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報並びにピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とに基づいて、リセス及びピストンリング溝を備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築ステップと、上記ピストン構築ステップで構築したピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算するリセス肉厚演算ステップとを実行させるようにした。
【0008】
このことにより、設計者が、ピストンに関する情報(往復動に関するデータ情報、形状に関するデータ情報等)、バルブに関する情報(往復動に関するデータ情報、ピストンとの位置関係や形状に関するデータ情報)等を入力すると、先ず、ピストンの頂部に、バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルが構築される。このリセスモデルは、ピストンの中心軸と平行な平面(特にバルブの中心軸を含む平面が好ましい)上に構築(2次元で構築)してもよく、立体(3次元)で構築してもよい。続いて、リセス及びピストンリング溝を備えたピストンモデルが立体で構築され、その後、このピストンモデルにおけるリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値が演算される。そして、例えば、この演算結果が画面に表示されれば、設計者はこの肉厚の最小値が所定値以上であるか否かが分かり、その最小値が所定値よりも小さければ、設計をやり直すことが可能となる。或いは、コンピュータが、適合性を判断して、決められた方法で初期設定を変更して、設計をやり直してもよい。したがって、立体で構築されたピストンモデルでリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算するので、リセスの形状が複雑であっても、設計者はその肉厚の最小値を素早くかつ精度良く得ることができる。この結果、設計者は、リセスとピストンリング溝とを備えたピストンの形状を効率良くかつ最適に設計することができる。また、リセスが必要以上に大きくならなくて済み、燃焼性を良好に維持することができる。
【0009】
請求項2の発明では、ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおける該ピストンの形状の設計を、コンピュータによって支援するための設計支援プログラムを対象として、上記コンピュータに対して、設計者に、上記ピストンに関する情報と、上記バルブに関する情報と、該ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の少なくとも形状に関する情報とを入力させる入力ステップと、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、上記ピストンの頂部に、上記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築ステップと、上記リセスモデル構築ステップで構築したリセスモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報とに基づいて、リセスを備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築ステップと、上記ピストン構築ステップで構築したピストンモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンリング溝の形状に関する情報とに基づいて、該ピストンリング溝の位置を、上記ピストンモデルにおけるリセスと該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算する溝位置演算ステップとを実行させるものとする。
【0010】
この発明により、設計者がピストンに関する情報等を入力すると、先ず、ピストンの頂部に、バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルが構築される。このリセスモデルも、請求項1の発明と同様に、ピストンの中心軸と平行な平面(特にバルブの中心軸を含む平面が好ましい)で構築してもよく、立体で構築してもよい。続いて、リセスを備えたピストンモデルが立体で構築され、その後、ピストンリング溝の位置が、そのピストンモデルにおけるリセスと該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算される。そして、例えば、この演算結果が画面に表示されれば、設計者は、リセスとの間の肉厚の最小値を所定値以上にするピストンリング溝位置が直ぐに分かり、この位置が適切でなければ、設計をやり直すことが可能となる。したがって、立体で構築されたピストンモデルでリセスとの間の肉厚の最小値を所定値以上にするピストンリング溝位置を演算するので、設計者はそのピストンリング溝位置を素早くかつ精度良く得ることができる。この結果、請求項1の発明と同様に、設計者は、リセスとピストンリング溝とを備えたピストンの形状を効率良くかつ最適に設計することができる。
【0011】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、リセスモデル構築ステップは、平面状のピストン頂部にリセスモデルを構築するステップであるものとする。
【0012】
こうすることで、演算負荷を軽減することができ、演算速度を向上させることができる。また、リセスモデルを2次元で構築することが容易となり、2次元で構築すれば、演算負荷を格段に軽減することができる。
【0013】
請求項4の発明では、請求項1の発明において、入力ステップは、設計者に、シリンダヘッドにおける燃焼室を形成する面に関する情報と、値の大きさから該燃焼室の容積が決まる容積関連値の目標値とをさらに入力させるステップであり、コンピュータに対して、リセス肉厚演算ステップの後に、ピストン構築ステップで構築したピストンモデルと、上記入力ステップで入力された燃焼室を形成する面に関する情報及び容積関連値の目標値とに基づいて、上記燃焼室の容積が、上記容積関連値の目標値から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状を変更して、ピストンモデルを立体で再構築するピストン再構築ステップと、上記ピストン再構築ステップで再構築したピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセスを含むピストン頂部とピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算する頂部肉厚演算ステップとを実行させるものとする。
【0014】
このことにより、設計者が、ピストンに関する情報等に加えて、燃焼室を形成する面に関する情報及び容積関連値(例えば圧縮比)の目標値とをさらに入力しておくと、燃焼室の容積(ピストンが上死点にあるときの容積)が、容積関連値の目標値から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状が変更される。具体的には、ピストン構築ステップで構築したピストンモデルにおいて、燃焼室の容積が、目標圧縮比等から決まる目標容積よりも小さい場合には、ピストン頂部に凹陥部が形成されて燃焼室容積が増大する一方、目標容積よりも大きい場合には、ピストン頂部(リセス以外の部分)に凸部が形成されて燃焼室容積が減少する。続いて、上記ピストン頂部の形状を変更したピストンモデルにおけるリセスを含むピストン頂部とピストンリング溝との間の肉厚の最小値が演算される。したがって、燃焼室容積を圧縮比等から決まる値に設定しようとする場合に、ピストン頂部の形状の変更により容易に対応することができる。一方、この形状変更の際にピストン頂部に凹陥部を設ける場合、その凹陥部(リセス以外の部分)とピストンリング溝との間の肉厚の最小値が、リセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値よりも小さくなる可能性がある。しかし、この発明では、ピストン頂部全体に亘ってピストンリング溝との間の肉厚の最小値が分かるので、ピストン頂部に凹陥部を設ける場合であっても、ピストン頂部全体に亘ってピストンリング溝との間の肉厚を所定値以上に確保するようにすることができる。よって、圧縮比等の容積関連値が最初から決まっている場合に、ピストンの形状を効率良くかつ最適に設計することができる。
【0015】
請求項5の発明では、請求項2の発明において、入力ステップは、設計者に、シリンダヘッドにおける燃焼室を形成する面に関する情報と、値の大きさから該燃焼室の容積が決まる容積関連値の目標値とをさらに入力させるステップであり、コンピュータに対して、溝位置演算ステップの後に、ピストン構築ステップで構築したピストンモデルと、上記入力ステップで入力された燃焼室を形成する面に関する情報及び容積関連値の目標値とに基づいて、上記燃焼室の容積が、上記容積関連値の目標値から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状を変更して、ピストンモデルを立体で再構築するピストン再構築ステップと、上記ピストン再構築ステップで再構築したピストンモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンリング溝の形状に関する情報とに基づいて、該ピストンリング溝の位置を、該ピストンモデルにおけるリセスを含むピストン頂部と該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように再演算する溝位置再演算ステップとを実行させるものとする。
【0016】
このことで、請求項4の発明と同様に、設計者が、ピストンに関する情報等に加えて、燃焼室を形成する面に関する情報及び容積関連値(例えば圧縮比)の目標値とをさらに入力しておくと、燃焼室の容積が、容積関連値の目標値から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状が変更される。続いて、ピストンリング溝の位置が、上記ピストン頂部の形状を変更したピストンモデルにおけるリセスを含むピストン頂部と該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように再演算される。よって、請求項4の発明と同様に、圧縮比等の容積関連値が最初から決まっている場合に、ピストンの形状を効率良くかつ最適に設計することができる。
【0017】
請求項6の発明は、ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおける該ピストンの形状の設計を、コンピュータによって支援する設計支援方法の発明であり、この発明では、設計者が上記コンピュータに、上記ピストンに関する情報と、上記バルブに関する情報と、該ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とを入力する入力ステップと、上記コンピュータが、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、上記ピストンの頂部に、上記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築ステップと、上記コンピュータが、上記リセスモデル構築ステップで構築したリセスモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報並びにピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とに基づいて、リセス及びピストンリング溝を備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築ステップと、上記コンピュータが、上記ピストン構築ステップで構築したピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算するリセス肉厚演算ステップとを含むものとする。
【0018】
請求項7の発明では、ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおける該ピストンの形状の設計を、コンピュータによって支援する設計支援方法を対象として、設計者が上記コンピュータに、上記ピストンに関する情報と、上記バルブに関する情報と、該ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の少なくとも形状に関する情報とを入力する入力ステップと、上記コンピュータが、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、上記ピストンの頂部に、上記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築ステップと、上記コンピュータが、上記リセスモデル構築ステップで構築したリセスモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報とに基づいて、リセスを備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築ステップと、上記コンピュータが、上記ピストン構築ステップで構築したピストンモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンリング溝の形状に関する情報とに基づいて、該ピストンリング溝の位置を、上記ピストンモデルにおけるリセスと該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算する溝位置演算ステップとを含むものとする。
【0019】
請求項8の発明は、ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおける該ピストンの形状の設計を支援する設計支援装置の発明であり、この発明では、設計者が、上記ピストンに関する情報と、上記バルブに関する情報と、該ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とを入力するための入力手段と、上記入力手段により入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、上記ピストンの頂部に、上記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築手段と、上記リセスモデル構築手段により構築されたリセスモデルと、上記入力手段により入力されたピストンに関する情報並びにピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とに基づいて、リセス及びピストンリング溝を備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築手段と、上記ピストン構築手段により構築されたピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算するリセス肉厚演算手段とを備えているものとする。
【0020】
請求項9の発明では、ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおける該ピストンの形状の設計を支援する設計支援装置を対象として、設計者が、上記ピストンに関する情報と、上記バルブに関する情報と、該ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の少なくとも形状に関する情報とを入力するための入力手段と、上記入力手段により入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、上記ピストンの頂部に、上記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築手段と、上記リセスモデル構築手段により構築されたリセスモデルと、上記入力手段により入力されたピストンに関する情報とに基づいて、リセスを備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築手段と、上記ピストン構築手段により構築されたピストンモデルと、上記入力手段により入力されたピストンリング溝の形状に関する情報とに基づいて、該ピストンリング溝の位置を、上記ピストンモデルにおけるリセスと該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算する溝位置演算手段とを備えているものとする。
【0021】
これら請求項6〜9の発明により、請求項1又は2の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る設計支援装置の概略構成を示し、この設計支援装置は、コンピュータ装置であって、各種信号の制御処理を行うCPU1を備えている。このCPU1には、設計者が各種情報を入力するための入力手段としての、キーボードやマウス等を含む操作スイッチ2と、各種画面を表示するための液晶表示器等のディスプレイ3と、ブートプログラム等を記録したROM4と、各種処理結果を一時記憶するRAM5と、この設計支援装置を制御するための設計支援プログラム等を記録したハードディスクドライブ等の記憶装置6とが信号の授受可能に接続されている。
【0023】
上記設計支援装置は、上記設計支援プログラムによって、後述の如く動作して、図2に示すようなエンジン11(この実施形態では、4サイクルガソリンエンジン)におけるピストン12の形状(主として頂部及びピストンリング溝部分)の設計を支援する。
【0024】
上記エンジン11は、シリンダ15aを有するシリンダブロック15と、このシリンダブロック15の上面に組み付けられたシリンダヘッド16と、上記シリンダ15a内に往復動可能に嵌装されたピストン12とを備えている。上記シリンダ15a内には、ピストン12及びシリンダヘッド16により囲まれる燃焼室17が区画形成されている。この燃焼室17の上部には点火プラグ18が臨設され、吸気ポート22には燃料噴射弁19が設けられている。
【0025】
上記シリンダヘッド16には、4つのバルブ21(2つの吸気ポート22の燃焼室17側開口をそれぞれ開閉する2つの吸気バルブ、及び2つの排気ポート23の燃焼室17側開口をそれぞれ開閉する2つの排気バルブ)が設けられており、これらバルブ21の往復動方向(バルブ21の中心軸が延びる方向)は全て、上記ピストン12の往復動方向(ピストンの中心軸が延びる方向(鉛直方向))とは一致しておらず、ピストン12の往復動方向に対して所定角度をなしている。
【0026】
上記ピストン12の頂部には、図3に示すように、上記各バルブ21とそれぞれ対面する4つのリセス12a(凹部)が形成されている。この各リセス12aと、対応するバルブ21との間隙は所定条件を満足するようになされている。すなわち、ピストン12とバルブ21とが最も接近したときにおいて、製造誤差等があってもバルブ21がピストン12(リセス12a)と干渉しないように、この実施形態では、所定条件として、ピストン12のリセス12aとバルブ21との間のバルブ往復動方向に沿った距離を第1基準値以上とし、リセス12aとバルブ21との間のバルブ往復動方向に沿った距離を第2基準値(第1基準値よりも小さい値)以上とし、かつ、リセス12aとバルブ21との最短距離を第3基準値(第2基準値よりも大きくて第1基準値よりも小さい値)以上としている。
【0027】
また、上記ピストン12の頂部の外周縁部は、該ピストン12の中心軸と直交する平面状をなし、その外周縁部を除く部分には、ピストン12の中心軸方向から見て円形状をなし断面がバスタブ状をなす凹陥部12bが形成されいる。この凹陥部12bの直径や深さ等は、圧縮比が予め設定された設定値になるように、つまり、燃焼室17の容積(ピストン12が上死点にあるときの容積)が上記圧縮比の設定値から決まる値になるように決められている。
【0028】
上記ピストン12の側周面における頂部近傍には、ピストンリング13が嵌められる3つのピストンリング溝12cが形成されている。このうち最も上側に位置するピストンリング溝12cと上記リセス12a及び凹陥部12bを含むピストン12頂部との間の肉厚の最小値は、所定値(ピストン12の強度や製造上の観点等から予め決められた値)以上になるようになされている。
【0029】
上記設計支援装置におけるCPU1の具体的な処理を、図4及び図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0030】
最初のステップS1では、設計者の操作スイッチ2による所定の開始操作に応じて、ディスプレイ3に入力画面を表示して、設計者に、ピストン12に関する情報と、バルブ21に関する情報と、ピストンリング溝12cの位置及び形状に関する情報と、シリンダヘッド16における燃焼室17を形成する面に関する情報と、目標圧縮比(上記設定値)とを入力させる。尚、目標圧縮比の代わりに、値の大きさから燃焼室17の容積が決まる容積関連値の目標値を入力させるようにしてもよい。
【0031】
上記ピストン12に関する情報は、具体的には、ピストン12の往復動に関するデータ情報(クランク角とピストン12の上下位置との関係が導けるデータ情報、シリンダボアとの関係が分かるデータ情報等)、外径や、頂部以外の部分の形状に関するデータ情報等である。また、上記バルブ21に関する情報は、バルブ21の往復動に関するデータ情報(クランク角とバルブリフト量との関係が導けるデータ情報)、ピストン12との位置関係や形状に関するデータ情報等である。
【0032】
次のステップS2では、上記ステップS1で入力されたピストン12に関する情報及びバルブ21に関する情報に基づいて、上記ピストン12の頂部に、上記バルブ21と対面しかつ該バルブ21との間隙が上記所定条件を満足するリセスモデルを構築する(尚、モデルにおいても実物と同じ部分については同じ符号を使用する)。このとき、この実施形態では、上記ピストン12頂部は、予め、ピストン12の中心軸と直交する平面状としている(頂部形状に関するデータ情報は入力しない)が、他の形状に予め設定していてもよく、設計者に頂部形状に関するデータ情報を入力させて、その入力情報に応じた形状としてもよい。
【0033】
上記リセスモデルの構築方法について詳細に説明すると、上記ピストン12に関する情報及びバルブ21に関する情報に基づいて、ピストン12とバルブ21とが最も接近するときの両者の位置関係を把握し、この位置で、ピストン12の中心軸と平行でかつバルブ21の中心軸を含む平面上に(2次元で)リセスモデルを構築する。すなわち、図6に示すように、クランク角とピストン上下位置との関係(ピストン変位曲線)と、クランク角とバルブリフト量との関係(バルブリフト曲線)とを同じグラフに描くと、クランク角がいくらのときにピストン12とバルブ21とが最も接近するかが分かり(図6において、吸気バルブではクランク角がαのときに、排気バルブではクランク角がβのときにそれぞれ最接近する)、このクランク角のときのピストン12及びバルブ21を、図7に示すように、ピストン12の中心軸と平行でかつバルブ21の中心軸を含む平面上にモデル化し、このピストン12の頂部に、バルブ21との間隙が上記所定条件を満足するリセスモデルを構築する。つまり、リセス12aとバルブ21との間のバルブ往復動方向に沿った距離xが第1基準値以上となり、リセス12aとバルブ21との間のバルブ往復動方向に沿った距離yが第2基準値(第1基準値よりも小さい値)以上となり、かつ、リセス12aとバルブ21との最短距離zが第3基準値(第2基準値よりも大きくて第1基準値よりも小さい値)以上となるようにする。
【0034】
尚、リセスモデルを必ずしも2次元で構築する必要はなく、立体(3次元)で構築してもよい(但し、ピストン12頂部が平面状でなく複雑な形状である場合には、立体で構築するのがよい)。また、2次元でリセスモデルを構築する場合、ピストン12の中心軸と平行な平面上であれば、どの平面上にモデル化してもよいが、上記のようにバルブ21の中心軸を含む平面が望ましい。
【0035】
次のステップS3では、ディスプレイ3に、上記構築したリセスモデルのリセス12aの寸法等を表示するための第1の結果画面を表示する。この第1の結果画面には、次の工程に進むための操作ボタン(以下、進行ボタンという)と、上記入力画面に戻るための操作ボタン(以下、戻りボタンという)とが含まれている。
【0036】
次のステップS4では、上記操作ボタンが操作されたか否かを判定し、この判定が、進行ボタン及び戻りボタンのいずれの操作ボタンも操作されていないNOであるときには、上記ステップS3に戻って第1の結果画面を表示し続け、判定がYESであって進行ボタンが操作されたときには、ステップS5に進み、判定がYESであって戻りボタンが操作されたときには、上記ステップS1に戻る。
【0037】
上記ステップS5では、上記構築したリセスモデルと、上記入力されたピストン12に関する情報並びにピストンリング溝12cの位置及び形状に関する情報とに基づいて、リセス12a及びピストンリング溝12cを備えたピストンモデルを立体(3次元)で構築する。この立体のピストンモデルにおけるリセス12aは、円筒をその中心軸がバルブ21の往復動方向になるように傾けた状態で該円筒の端面と側周面との角部をピストン12頂部に対して押し当てて凹ました形状をなしている。
【0038】
次のステップS6では、上記立体のピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセス12aとピストンリング溝12c(最も上側に位置するもの)との間の肉厚の最小値を演算し、次のステップS7で、ディスプレイ3に、その肉厚の最小値等を表示するための第2の結果画面を表示する。この第2の結果画面にも、上記第1の結果画面と同様に、進行ボタンと戻りボタンとの2つの操作ボタンが含まれている。
【0039】
次のステップS8では、上記操作ボタンが操作されたか否かを判定し、この判定が、進行ボタン及び戻りボタンのいずれの操作ボタンも操作されていないNOであるときには、上記ステップS7に戻って第2の結果画面を表示し続け、判定がYESであって進行ボタンが操作されたときには、ステップS9に進み、判定がYESであって戻りボタンが操作されたときには、上記ステップS1に戻る。
【0040】
上記ステップS9では、上記立体のピストンモデルと、上記入力された燃焼室17を形成する面に関する情報及び目標圧縮比とに基づいて、上記燃焼室17の容積が、上記目標圧縮比から決まる目標容積となるようにピストン12頂部の形状を変更して、ピストンモデルを立体で再構築する。具体的には、上記立体のピストンモデルにおいて、燃焼室17の容積が、目標圧縮比から決まる目標容積よりも小さい場合には、上述したピストン12のように、ピストン12頂部の外周縁部を除く部分に凹陥部12bを設けて燃焼室17の容積を増大させる。一方、目標容積よりも大きい場合には、ピストン12頂部の外周縁部及びリセス12aを除く部分に、凸部を設けて燃焼室17の容積を減少させる。
【0041】
次のステップS10では、上記再構築したピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセス12aを含むピストン12頂部とピストンリング溝12c(最も上側に位置するもの)との間の肉厚の最小値を演算し、次のステップS11で、ディスプレイ3に、その肉厚の最小値等を表示するための第3の結果画面を表示する。この第3の結果画面にも、上記第1の結果画面と同様に、進行ボタンと戻りボタンとの2つの操作ボタンが含まれている。
【0042】
次のステップS12では、上記操作ボタンが操作されたか否かを判定し、この判定が、進行ボタン及び戻りボタンのいずれの操作ボタンも操作されていないNOであるときには、上記ステップS11に戻って第3の結果画面を表示し続け、判定がYESであって進行ボタンが操作されたときには、ステップS13に進み、判定がYESであって戻りボタンが操作されたときには、上記ステップS1に戻る。
【0043】
上記ステップS13では、上記結果内容(上記肉厚の最小値や入力情報、構築したモデル等を含む)を記憶装置6に記憶保存し、次のステップS14で、ディスプレイ3に、その保存した内容を設計者に確認させるための保存内容確認画面を表示する。この保存内容確認画面には、終了するための終了ボタンが含まれている。
【0044】
次のステップS15では、上記終了ボタンが操作されたか否かを判定し、この判定がNOであるときには、上記ステップS14に戻って保存内容確認画面を表示し続け、判定がYESであるときには、終了する。
【0045】
上記設計支援装置を用いて、設計者がピストン12の形状を設計しようとして操作スイッチ2による所定の開始操作を行うと、ディスプレイ3には入力画面が表示される。そして、設計者が、この入力画面の所定欄に、ピストン12に関する情報と、バルブ21に関する情報と、ピストンリング溝12cの位置及び形状に関する情報と、シリンダヘッド16における燃焼室17を形成する面に関する情報と、目標圧縮比とを操作スイッチ2により入力すると、2次元でリセスモデルが構築されて、ディスプレイ3に第1の結果画面を通してリセス12aの寸法等が表示される。
【0046】
設計者が上記リセス12aの寸法等を確認して問題がないと判断した場合には、進行ボタンを操作する。一方、問題があると判断した場合には、戻りボタンを操作して入力画面に戻り、入力情報の一部又は全部を変更して入力し直す。
【0047】
上記第1の結果画面において設計者が進行ボタンを操作すると、リセス12a及びピストンリング溝12cを備えた立体のピストンモデルが構築され、このピストンモデルにおけるリセス12aとピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値が演算されて、ディスプレイ3に第2の結果画面を通してその演算結果が表示される。
【0048】
設計者が上記肉厚の最小値を確認し、この最小値が上記所定値以上であって問題がないと判断した場合には、進行ボタンを操作する。一方、所定値よりも小さくて問題があると判断した場合には、戻りボタンを操作して入力画面に戻り、入力情報の一部又は全部を変更して入力し直す。
【0049】
上記第2の結果画面において設計者が進行ボタンを操作すると、ピストンモデルが再構築されてピストン12頂部に凹陥部12b又は凸部が形成される。この凹陥部12b又は凸部により、燃焼室17の容積が、目標圧縮比から決まる目標容積となる。そして、その再構築されたピストンモデルにおけるリセス12aを含むピストン12頂部とピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値が演算されて、ディスプレイ3に第3の結果画面を通してその演算結果が表示される。この第3の結果画面に表示される肉厚の最小値は、ピストン12頂部に凸部が形成された場合、又は凹陥部12bが形成された場合であって凹陥部12bとピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値がリセス12aとピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値以上である場合には、上記第2の結果画面に表示される肉厚の最小値と同じある。一方、凹陥部12bが形成された場合であって凹陥部12bとピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値がリセス12aとピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値よりも小さい場合には、第2の結果画面に表示される肉厚の最小値よりも小さくなる。
【0050】
設計者が上記肉厚の最小値を確認し、この最小値が上記所定値以上であって問題がないと判断した場合には、進行ボタンを操作する。一方、所定値よりも小さくて問題があると判断した場合には、戻りボタンを操作して入力画面に戻り、入力情報の一部又は全部を変更して入力し直す。
【0051】
上記第3の結果画面において設計者が進行ボタンを操作すると、上記結果内容が記憶装置6に記憶保存されて、ディスプレイ3に保存内容確認画面を通してその保存内容が表示される。そして、設計者がその保存内容を確認した後に終了ボタンを操作して終了する。
【0052】
したがって、上記実施形態では、ピストン12の頂部に、バルブ21と対面しかつ該バルブ21との間隙が所定条件を満足するリセスモデルを2次元で構築し、その後、リセス12a及びピストンリング溝12cを備えたピストンモデルを立体で構築し、このピストンモデルにおけるリセス12aとピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値を演算するようにしたので、リセス12aの形状が複雑であっても、設計者はその肉厚の最小値を素早くかつ精度良く得ることができ、その最小値が所定値以上であるか否かをディスプレイ3で確認するだけでよい。しかも、その後、ピストン12頂部の形状を変更してピストンモデルを再構築し、この再構築したピストンモデルにおけるリセス12aを含むピストン12頂部とピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値を演算するので、設計者はピストン12頂部全体に亘ってピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値が分かり、ピストン12頂部に凹陥部12bが形成されても、ピストンリング溝12cとの間の肉厚を所定値以上に確保するようにすることができる。よって、燃焼室17の容積を圧縮比から決まる値に設定しようとする場合に、ピストン12の形状を効率良くかつ最適に設計することができる。
【0053】
尚、上記実施形態では、立体のピストンモデルにおけるリセス12aとピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値を演算して表示した後に、圧縮比が予め設定された設定値になるように(燃焼室17の容積がその圧縮比の設定値から決まる値になるように)ピストン12頂部の形状を変更したが、圧縮比等の容積関連値を特定の値にする必要がない場合には、ピストンモデルにおけるリセス12aとピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値を演算して表示し、その後、ピストン12頂部の形状変更はしないで、その結果内容の保存等を行った後に終了するようにしてもよい(燃焼室17を形成する面に関する情報及び目標圧縮比は入力しなくてもよい)。
【0054】
図8及び図9は、上記設計支援装置におけるCPU1の処理の変形例を示し、基本的な処理は上記実施形態と同様であるが、ピストンリング溝12cの位置を設計者が最初に入力するのではなくて、適切な位置(リセス12a(又はピストン12頂部)とピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値が所定値以上となる位置)を演算し表示するようにしたものである。
【0055】
すなわち、最初のステップS31では、設計者の操作スイッチ2による所定の開始操作に応じて、ディスプレイ3に入力画面を表示して、設計者に、ピストン12に関する情報と、バルブ21に関する情報と、ピストンリング溝12cの形状に関する情報と、シリンダヘッド16における燃焼室17を形成する面に関する情報と、目標圧縮比とを入力させる。
【0056】
続いて、ステップS32〜S34で、上記ステップS2〜S4とそれぞれ同様の処理を行い、次のステップS35で、上記ステップS32で構築したリセスモデルと、上記入力されたピストン12に関する情報とに基づいて、リセス12aを備えたピストンモデルを立体で構築する。このピストンモデルは、上記実施形態とは異なり、ピストンリング溝12cを備えていない。
【0057】
次いで、ステップS36で、上記構築したピストンモデルと、上記入力されたピストンリング溝12cの形状に関する情報とに基づいて、該ピストンリング溝12cの位置を、上記ピストンモデルにおけるリセス12aと該ピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算し、次のステップS37で、ディスプレイ3に、その位置等を表示するための第2の結果画面を表示する。
【0058】
その後、ステップS38及びS39で、上記ステップS8及びS9とそれぞれ同様の処理を行い、次のステップS40で、ステップS39で再構築したピストンモデルと、上記入力されたピストンリング溝12cの形状に関する情報とに基づいて、該ピストンリング溝12cの位置を、該ピストンモデルにおけるリセス12aを含むピストン12頂部と該ピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値が所定値以上となるように再演算し、次のステップS41で、ディスプレイに、その位置等を表示するための第3の結果画面を表示する。
【0059】
続いて、ステップS42〜S45で、上記ステップS12〜S15とそれぞれ同様の処理を行って終了する。
【0060】
したがって、この変形例では、立体で構築されたピストンモデルで、ピストンリング溝12cの位置を、リセス12a又はピストン12頂部との肉厚を確保できるように演算するので、上記実施形態と同様に、ピストン12の形状を効率良くかつ最適に設計することができる。
【0061】
尚、この変形例においても、圧縮比等の容積関連値を特定の値にする必要がない場合には、ピストンリング溝12cの位置を、ピストンモデルにおけるリセス12aと該ピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算して表示し、その後、ピストン12頂部の形状変更はしないで、その結果内容の保存等を行った後に終了するようにしてもよい。
【0062】
また、本発明では、バルブ21の数はいくつであってもよく、往復動方向がピストンの往復動方向と不一致となるバルブが1つでもあれば、本発明を適用することができる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、ピストンの頂部に、バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築し、その後、リセス及びピストンリング溝を備えたピストンモデルを立体で構築し、この構築したピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算するか、又は、ピストンの頂部に、バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築し、その後、リセスを備えたピストンモデルを立体で構築し、この構築したピストンモデルとピストンリング溝の形状に関する情報とに基づいて、該ピストンリング溝の位置を、上記ピストンモデルにおけるリセスと該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算するようにしたので、設計者は、リセスとピストンリング溝とを備えたピストンの形状を効率良くかつ最適に設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る設計支援装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】上記設計支援装置を用いて設計されるピストンを備えたエンジンの構成を示す概略図である。
【図3】上記ピストンを示す斜視図である。
【図4】設計支援装置におけるCPUの処理の前半部を示すフローチャートである。
【図5】設計支援装置におけるCPUの処理の後半部を示すフローチャートである。
【図6】ピストン変位曲線とバルブリフト曲線との関係を示すグラフである。
【図7】リセスモデルを2次元で構築している様子を示す図である。
【図8】設計支援装置におけるCPUの処理の変形例(前半部)を示すフローチャートである。
【図9】設計支援装置におけるCPUの処理の変形例(後半部)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 設計支援装置のCPU(リセスモデル構築手段)(ピストン構築手段)(リセス肉厚演算手段)
2 操作スイッチ(入力手段)
3 ディスプレイ
6 記憶装置
11 エンジン
12 ピストン
12a リセス
12b 凹陥部
12c ピストンリング溝
16 シリンダヘッド
17 燃焼室
21 バルブ

Claims (9)

  1. ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおける該ピストンの形状の設計を、コンピュータによって支援するための設計支援プログラムであって、
    上記コンピュータに対して、
    設計者に、上記ピストンに関する情報と、上記バルブに関する情報と、該ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とを入力させる入力ステップと、
    上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、上記ピストンの頂部に、上記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築ステップと、
    上記リセスモデル構築ステップで構築したリセスモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報並びにピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とに基づいて、リセス及びピストンリング溝を備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築ステップと、
    上記ピストン構築ステップで構築したピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算するリセス肉厚演算ステップと
    を実行させることを特徴とするピストン形状の設計支援プログラム。
  2. ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおける該ピストンの形状の設計を、コンピュータによって支援するための設計支援プログラムであって、
    上記コンピュータに対して、
    設計者に、上記ピストンに関する情報と、上記バルブに関する情報と、該ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の少なくとも形状に関する情報とを入力させる入力ステップと、
    上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、上記ピストンの頂部に、上記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築ステップと、
    上記リセスモデル構築ステップで構築したリセスモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報とに基づいて、リセスを備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築ステップと、
    上記ピストン構築ステップで構築したピストンモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンリング溝の形状に関する情報とに基づいて、該ピストンリング溝の位置を、上記ピストンモデルにおけるリセスと該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算する溝位置演算ステップと
    を実行させることを特徴とするピストン形状の設計支援プログラム。
  3. 請求項1又は2記載のピストン形状の設計支援プログラムにおいて、
    リセスモデル構築ステップは、平面状のピストン頂部にリセスモデルを構築するステップであることを特徴とするピストン形状の設計支援プログラム。
  4. 請求項1記載のピストン形状の設計支援プログラムにおいて、
    入力ステップは、設計者に、シリンダヘッドにおける燃焼室を形成する面に関する情報と、値の大きさから該燃焼室の容積が決まる容積関連値の目標値とをさらに入力させるステップであり、
    コンピュータに対して、
    リセス肉厚演算ステップの後に、ピストン構築ステップで構築したピストンモデルと、上記入力ステップで入力された燃焼室を形成する面に関する情報及び容積関連値の目標値とに基づいて、上記燃焼室の容積が、上記容積関連値の目標値から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状を変更して、ピストンモデルを立体で再構築するピストン再構築ステップと、
    上記ピストン再構築ステップで再構築したピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセスを含むピストン頂部とピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算する頂部肉厚演算ステップと
    を実行させることを特徴とするピストン形状の設計支援プログラム。
  5. 請求項2記載のピストン形状の設計支援プログラムにおいて、
    入力ステップは、設計者に、シリンダヘッドにおける燃焼室を形成する面に関する情報と、値の大きさから該燃焼室の容積が決まる容積関連値の目標値とをさらに入力させるステップであり、
    コンピュータに対して、
    溝位置演算ステップの後に、ピストン構築ステップで構築したピストンモデルと、上記入力ステップで入力された燃焼室を形成する面に関する情報及び容積関連値の目標値とに基づいて、上記燃焼室の容積が、上記容積関連値の目標値から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状を変更して、ピストンモデルを立体で再構築するピストン再構築ステップと、
    上記ピストン再構築ステップで再構築したピストンモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンリング溝の形状に関する情報とに基づいて、該ピストンリング溝の位置を、該ピストンモデルにおけるリセスを含むピストン頂部と該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように再演算する溝位置再演算ステップと
    を実行させることを特徴とするピストン形状の設計支援プログラム。
  6. ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおける該ピストンの形状の設計を、コンピュータによって支援する設計支援方法であって、
    設計者が上記コンピュータに、上記ピストンに関する情報と、上記バルブに関する情報と、該ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とを入力する入力ステップと、
    上記コンピュータが、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、上記ピストンの頂部に、上記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築ステップと、
    上記コンピュータが、上記リセスモデル構築ステップで構築したリセスモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報並びにピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とに基づいて、リセス及びピストンリング溝を備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築ステップと、
    上記コンピュータが、上記ピストン構築ステップで構築したピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算するリセス肉厚演算ステップとを含むことを特徴とするピストン形状の設計支援方法。
  7. ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおける該ピストンの形状の設計を、コンピュータによって支援する設計支援方法であって、
    設計者が上記コンピュータに、上記ピストンに関する情報と、上記バルブに関する情報と、該ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の少なくとも形状に関する情報とを入力する入力ステップと、
    上記コンピュータが、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、上記ピストンの頂部に、上記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築ステップと、
    上記コンピュータが、上記リセスモデル構築ステップで構築したリセスモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報とに基づいて、リセスを備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築ステップと、
    上記コンピュータが、上記ピストン構築ステップで構築したピストンモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンリング溝の形状に関する情報とに基づいて、該ピストンリング溝の位置を、上記ピストンモデルにおけるリセスと該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算する溝位置演算ステップとを含むことを特徴とするピストン形状の設計支援方法。
  8. ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおける該ピストンの形状の設計を支援する設計支援装置であって、
    設計者が、上記ピストンに関する情報と、上記バルブに関する情報と、該ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とを入力するための入力手段と、
    上記入力手段により入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、上記ピストンの頂部に、上記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築手段と、
    上記リセスモデル構築手段により構築されたリセスモデルと、上記入力手段により入力されたピストンに関する情報並びにピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とに基づいて、リセス及びピストンリング溝を備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築手段と、
    上記ピストン構築手段により構築されたピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算するリセス肉厚演算手段とを備えていることを特徴とするピストン形状の設計支援装置。
  9. ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおける該ピストンの形状の設計を支援する設計支援装置であって、
    設計者が、上記ピストンに関する情報と、上記バルブに関する情報と、該ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の少なくとも形状に関する情報とを入力するための入力手段と、
    上記入力手段により入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、上記ピストンの頂部に、上記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築手段と、
    上記リセスモデル構築手段により構築されたリセスモデルと、上記入力手段により入力されたピストンに関する情報とに基づいて、リセスを備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築手段と、
    上記ピストン構築手段により構築されたピストンモデルと、上記入力手段により入力されたピストンリング溝の形状に関する情報とに基づいて、該ピストンリング溝の位置を、上記ピストンモデルにおけるリセスと該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算する溝位置演算手段とを備えていることを特徴とするピストン形状の設計支援装置。
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