JP4337090B2 - ピストン設計支援プログラム、設計支援方法及び設計支援装置 - Google Patents

ピストン設計支援プログラム、設計支援方法及び設計支援装置 Download PDF

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Description

本発明は、ピストン形状の設計をコンピュータによって支援するための設計支援プログラム、設計支援方法及び設計支援装置に関する。
従来から、仕向地や排気量に応じて様々なピストンの設計が行われている(例えば、特許文献1参照)。ピストンは、シリンダブロックなどに比べてその形状を変更しやすいため、目標とする圧縮比やエミッション性能等を実現する目的で、細かな設計変更の対象となる。
そして、CAD等のコンピュータソフトウェアを用いて、ピストンの設計を行なうことが一般的に行なわれている。
特公平7−86336号公報
しかしながら、従来は、2次元の設計図のみを作成するか、或いは、ピストン全体の形状を示す3次元データを一から作成して、それを2次元化するか、の何れかの方法を採っていた。
しかし、ピストンの設計の場合、立体的に考えなければ、周囲の部品との間の干渉を検証することができない。かといっていきなりピストン全体の形状を3次元空間に構築した上で検証を行なうのでは、検証の結果、問題が発覚した場合に、再設計の負担が大きく、設計の効率が悪かった。
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ピストン設計をより効率化するための技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係るプログラムは、内燃機関のピストン形状の設計を支援するピストン設計支援プログラムであって、コンピュータに対して、ピストンに関する情報と、バルブに関する情報と、シリンダヘッドにおける燃焼室を形成する面に関する情報と、値の大きさから該燃焼室の容積が決まる容積関連値の目標値と、の入力を受け付ける入力工程と、前記入力工程で入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、前記ピストンの頂部に形成される、前記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築工程と、前記リセスモデル構築工程で構築したリセスモデルと、前記入力工程で入力されたピストンに関する情報、燃焼室を形成する面に関する情報及び容積関連値の目標値とに基づいて、前記燃焼室の容積が、前記容積関連値の目標値から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状を設定して、ピストン頂部モデルを立体で構築するピストン頂部モデル構築工程と、前記入力工程で入力されたバルブに関する情報に基づいて、バルブモデルを立体で構築するバルブモデル構築工程と、記ピストン頂部モデル構築工程で構築したピストン頂部モデルのリセスと、前記バルブモデル構築工程で構築したバルブモデルとの間隙を演算する間隙演算工程と、実行させることを特徴とする。
前記リセスモデル構築工程は、平面状のピストン頂部にリセスモデルを構築する工程であることを特徴とする。
コンピュータに対して、前記間隙演算工程で演算した間隙が、前記リセスモデル構築工程における、リセスとバルブとの間隙の所定条件を満足するか否かを判定する条件判定工程と、前記条件判定工程で前記間隙が前記所定条件を満足しないと判定したときには、バルブモデルにおいて、バルブ厚さ、及びリセス対向面と側周面との交わる角部に形成する面取りの傾斜角度の少なくとも一方を、前記間隙が前記所定条件を満足するように変更して、バルブモデルを再構築するバルブ再構築工程とをさらに実行させることを特徴とする。
コンピュータに対して、前記バルブ再構築工程で再構築したバルブモデルのバルブ厚さが規定値よりも小さいときには、前記リセスモデル構築工程におけるリセスとバルブとの間隙を変更して、再度、前記リセスモデル構築工程、前記ピストン頂部モデル構築工程、前記バルブモデル構築工程、前記間隙演算工程、前記条件判定工程及び前記バルブ再構築工程を実行させることを特徴とする。
前記入力工程は、ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の位置及び形状に関する情報の入力をさらに受け付ける工程であり、コンピュータに対して、前記リセスモデル構築工程で構築したリセスモデルと、前記入力工程で入力されたピストンに関する情報並びにピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とに基づいて、前記ピストン頂部モデル構築工程で構築するピストン頂部モデルとは別個に、又は該ピストン頂部モデルを含めて、リセス及びピストンリング溝を備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築工程と、前記ピストン構築工程で構築したピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算するリセス肉厚演算工程と、をさらに実行させることを特徴とする。
前記入力工程は、ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の少なくとも形状に関する情報の入力をさらに受け付ける工程であり、コンピュータに対して、前記リセスモデル構築工程で構築したリセスモデルと、前記入力工程で入力されたピストンに関する情報とに基づいて、ピストン頂部モデル構築工程で構築するピストン頂部モデルとは別個に、又は該ピストン頂部モデルを含めて、リセスを備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築工程と、前記ピストン構築工程で構築したピストンモデルと、前記入力工程で入力されたピストンリング溝の形状に関する情報とに基づいて、該ピストンリング溝の位置を、前記ピストンモデルにおけるリセスと該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算する溝位置演算工程と、をさらに実行させることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る方法は、内燃機関のピストン形状の設計を支援するために、コンピュータが実行するピストン設計支援方法であって、ピストンに関する情報と、バルブに関する情報と、シリンダヘッドにおける燃焼室を形成する面に関する情報と、値の大きさから該燃焼室の容積が決まる容積関連値の目標値と、の入力を受け付ける入力工程と、前記入力工程で入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、前記ピストンの頂部に形成される、前記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築工程と、前記リセスモデル構築工程で構築したリセスモデルと、前記入力工程で入力されたピストンに関する情報、燃焼室を形成する面に関する情報及び容積関連値の目標値とに基づいて、前記燃焼室の容積が、前記容積関連値の目標値から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状を設定して、ピストン頂部モデルを立体で構築するピストン頂部モデル構築工程と、前記入力工程で入力されたバルブに関する情報に基づいて、バルブモデルを立体で構築するバルブモデル構築工程と、前記ピストン頂部モデル構築工程で構築したピストン頂部モデルのリセスと、前記バルブモデル構築工程で構築したバルブモデルとの間隙を演算する間隙演算工程と、を含むことを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る装置は、内燃機関のピストン形状の設計を支援するピストン設計支援装置であって、ピストンに関する情報と、バルブに関する情報と、シリンダヘッドにおける燃焼室を形成する面に関する情報と、値の大きさから該燃焼室の容積が決まる容積関連値の目標値と、の入力を受け付ける入力手段と、前記入力手段により入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、前記ピストンの頂部に形成される、前記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築手段と、前記リセスモデル構築手段により構築されたリセスモデルと、前記入力手段で入力されたピストンに関する情報、燃焼室を形成する面に関する情報及び容積関連値の目標値とに基づいて、前記燃焼室の容積が、前記容積関連値の目標値から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状を設定して、ピストン頂部モデルを立体で構築するピストン頂部モデル構築手段と、前記入力手段により入力されたバルブに関する情報に基づいて、バルブモデルを立体で構築するバルブモデル構築手段と、前記ピストン頂部モデル構築手段により構築されたピストン頂部モデルのリセスと、前記バルブモデル構築手段により構築されたバルブモデルとの間隙を演算する間隙演算手段と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、ピストンとバルブ等の間隔が適正か否かを早期克つ簡易に確認でき、ピストンの設計がより効率的になる。
計者が、ピストンに関する情報(往復動に関するデータ情報、形状に関するデータ情報等)、バルブに関する情報(往復動に関するデータ情報、ピストンとの位置関係や形状に関するデータ情報)等を入力すると、先ず、ピストンの頂部に、バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルが構築される。このリセスモデルは、ピストンの中心軸と平行な平面(特にバルブの中心軸を含む平面が好ましい)上に構築(2次元で構築)してもよく、立体(3次元)で構築してもよい。続いて、燃焼室の容積が、圧縮比等の容積関連値の目標値から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状が設定されて、ピストン頂部モデルが立体で構築される。具体的には、リセスモデルを構築した際のピストン形状では、燃焼室の容積が、目標圧縮比等から決まる目標容積よりも小さい場合には、ピストン頂部に凹陥部が形成されて燃焼室容積が増大する一方、目標容積よりも大きい場合には、ピストン頂部(リセス以外の部分)に凸部が形成されて燃焼室容積が減少する。このとき、ピストン頂部に凸部が形成された場合、この凸部がリセスの周囲にも形成されると、該凸部によってリセスの開口端がバルブ側に移動することになる。また、バルブモデルも立体で構築され、その後、そのピストン頂部モデルのリセスとバルブモデルとの間隙が演算される。そして、この演算結果が画面に表示されれば、設計者は上記間隙が所定条件を満たすか否かが分かり、凸部によって所定条件を満たさなくなっていれば、設計をやり直す。或いは、コンピュータが、上記間隙が所定条件を満たすか否かを判定して、所定条件を満たさなければ、設計を自動的にやり直すようにしてもよい。したがって、燃焼室の容積が、圧縮比等の容積関連値の目標値から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状が設定された後に、立体で構築されたピストン頂部モデルのリセスとバルブモデルとの間隙を演算するので、リセスの形状が複雑であっても、設計者はその間隙を素早くかつ精度良く得ることができ、リセスとバルブとの間隙が所定条件を満たすか否かを容易に確認することができる。よって、リセスを備えたピストンの形状を効率良くかつ最適に設計することができる。
ここで、平面状のピストン頂部にリセスモデルを構築すれば、演算負荷を軽減することができ、演算速度を向上させることができる。また、リセスモデルを2次元で構築することが容易となり、2次元で構築すれば、演算負荷を格段に軽減することができる。
また、間隙演算工程で演算した間隙が、リセスとバルブとの間隙の所定条件を満足しないと判定したときには、バルブモデルにおいて、バルブ厚さ、及びリセス対向面と側周面との交わる角部に形成する面取りの傾斜角度の少なくとも一方を、上記間隙が上記所定条件を満足するように変更すれば、リセスとバルブとの間隙が所定条件を満足しないときには、所定条件を満足するように、バルブの厚さ、及びバルブにおけるリセス対向面と側周面との交わる角部に形成する面取りの傾斜角度の少なくとも一方を自動的に変更できる。この結果、リセスとバルブとの間隙が所定条件を満足しない場合に、設計者はピストンの形状を変更することなく、容易に対応することができる。
再構築したバルブモデルのバルブ厚さが規定値よりも小さいときに、リセスとバルブとの間隙を変更して、再度、リセスモデル構築工程、ピストン頂部モデル構築工程、バルブモデル構築工程、間隙演算工程、条件判定工程を実行させれば、リセスとバルブとの間隙が所定条件を満足しないときにおいて、バルブの形状変更で所定条件を満足するようにしても、バルブの厚さが規定値よりも小さいときには、リセスとバルブとの間隙を変更して、再度、リセスモデル構築工程から実行するので、バルブの信頼性が低下するのを抑制することができる。
設計者に、ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の位置及び形状に関する情報をさらに入力させ、構築したリセスモデルと、入力されたピストンに関する情報並びにピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とに基づいて、ピストン頂部モデルとは別個に、又はピストン頂部モデルを含めて、リセス及びピストンリング溝を備えたピストンモデルを立体で構築し、該ピストンモデルにおけるリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算すれば、設計者は、ピストンの形状をより一層効率良くかつ最適に設計することができる。ピストンリング溝に嵌合されるピストンリングのピストン頂部側におけるピストンとシリンダとの間の部分に、エンジンオイルや、混合気中の燃料の内のピストン又はシリンダに対する付着分がそれ程多く溜まらないようにしてHCやCOを排出しないようにするためには、ピストンリング溝をピストン頂部にある程度近い位置に形成する必要があるが、ピストン頂部にリセスを形成すると、そのリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値(ピストン強度や製造上の観点等から予め決められた値)よりも小さくなる場合がある。そこで、設計者は、そのリセスとピストンリング溝との間の肉厚に注意しなければならないが、リセスの形状が複雑になるため、上記肉厚の最小値を素早くかつ精度良く計算するのは容易ではない。しかし、立体で構築されたピストンモデルでリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算すれば、リセスの形状が複雑であっても、設計者はその肉厚の最小値を素早くかつ精度良く得ることができる。
設計者に、ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の少なくとも形状に関する情報をさらに入力させ、構築したリセスモデルと、入力されたピストンに関する情報とに基づいて、ピストン頂部モデルとは別個に、又はピストン頂部モデルを含めて、リセスを備えたピストンモデルを立体で構築し、ピストンモデルと、ピストンリング溝の形状に関する情報とに基づいて、ピストンリング溝の位置を、ピストンモデルにおけるリセスと該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算すれば、立体で構築されたピストンモデルでリセスとの間の肉厚の最小値を所定値以上にするピストンリング溝位置を演算できるので、設計者はそのピストンリング溝位置を素早くかつ精度良く得ることができる。
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものを含む。なお、本明細書において、ピストンモデルとは、ピストン形状を表す複数の点の座標データ及びそれぞれの点の相関関係によって表現されるオブジェクトである。また、諸元値とは、ピストンやその周辺部品の形状及び位置を決定する寸法およびその基準値、並びにピストンの性能値をいう。
<第1の実施形態>
(ピストン及びその設計について)
図10は、本発明の第1実施形態にかかる支援システムによって設計することのできるピストン及び周辺部品の1例を示す図である。
まず、本図を用いて、ピストン設計支援プログラムが設計しようとするピストン及びその周辺部品について説明する。
図中、1000はDOHCの4弁4サイクルガソリンエンジン(以下、単にエンジンと称する)である。エンジン1000は、シリンダ1110aを有するシリンダブロック1110と、このシリンダブロック1110の上面に組み付けられたシリンダヘッド1120と、シリンダ1110a内に往復動可能に嵌装されたピストン1130と、ピストン1130に取り付けられたコンロッド1140と、ピストン1130とコンロッド1140とを接続するピン1135と、コンロッド1140を支持するクランク1150と、クランク1150のコンロッド1140と逆側に取り付けられたカウンタウェイト(以下、C/Wとも表わされる)1160と、を備えており、シリンダブロック1110とシリンダヘッド1120との間にはガスケット(以下、GSKTとも表わされる)1190が挟まれている。シリンダ1110a内には、ピストン1130及びシリンダヘッド1120により囲まれる燃焼室1200が形成され、クランク1150が収容されたクランク室1300と、ピストン1130を隔てて区画されている。
シリンダヘッド1120には、吸気ポート1220と排気ポート1230が形成されており、吸気ポート1220の燃焼室1200側の開口を開閉する吸気バルブ1171、及び排気ポート1230の燃焼室1200側開口を開閉する排気バルブ1172が設けられている。吸気バルブ1171は吸気側カム1181の回転によって往復動し、排気バルブ1172は排気側カム1182の回転によって往復動する。
また、図10には、吸気バルブ1171と排気バルブ1172とが1つずつ示されているが、4弁エンジンであるから、実際には2つずつ設けられている。
図11は、ピストン1130単体の外観を示す斜視図である。図11に示すように、ピストン1130の上面部の外周縁部はピストン1130の中心軸と直交する平面状をなし、その外周縁部を除く部分には、ピストン1130の中心軸方向から見て円形状をなすクラウン1130aが形成されいる。
ピストン1130の上面部には、ピストン1130が吸気バルブ1171と干渉(衝突)しないように、吸気バルブ1171に対向する位置に2つのリセス(凹部)1130bが形成されている。同様に、排気バルブ1172に対向する位置に2つのリセス1130cが形成されている。2つのリセス1130bはまったく同じ形状をしており、また、2つのリセス1130cもまったく同じ形状をしている。そのため、ピストン1130は、その中心軸を通る平面1500によって、鏡像をなす2つの部分に分割することができる。
また、ピストン1130の側周面における頂部近傍には、ピストンリングを嵌め込むための3つのピストンリング溝1130d(上からトップリング、セカンドリング、オイルリングと称する)が形成されている。また、ピストンリング溝1130dに挟まれた部分をランドと呼び、上からトップランド1130f、セカンドランド1130g、サードランド1130hと呼ぶ。さらに、ピストンの下方部分は中空になっており、その壁面部をスカート1130jと呼ぶ。スカート1130jにはピン穴1130kが形成される。
クラウン1130aは、凸状に突出しているか、或いは平ら(フラット)か、或いは凹状にへこんでいるかいずれかの形状となっている。
図10に示した燃焼室1200の体積はこのリセス1130b、1130cの形状およびクラウン1130aの形状に応じて変化し、それと共に圧縮比も変化する。逆に言えば、このクラウン1130aの直径や突出高さ等は、目標圧縮比に応じて決まる。つまり、燃焼室1200の容積(ピストン1130が上死点にあるときの容積)が目標圧縮比から決まる値になるように、リセス形状およびクラウン形状を調整する必要がある。
CADなどのコンピュータシステムでこのようなピストンの設計を行なう場合、ピストンの形状を決める寸法や周辺部品との相対位置から大まかにピストン形状を決め、さらに目標圧縮比や目標強度などの目標性能値を達成するか否かを検証しながら、細かい部分のピストン形状を決定していく。そして、ある程度細かい部分までピストン形状が決定すれば、その3次元形状データを用いて、CAE(Computer Aided Engineering)で精密計算を行ない、スカート1130jの剛性や、ピン穴1130kなどの静応力計算、クラウン1130aの熱応力計算、ピストン1130が往復動する際の挙動解析を行なう。
CAEでの精密計算には時間がかかるため、CAEに持ち込む前に、十分な検証を行ない、可能な限り適正なピストン形状にすることがピストン設計の効率化を図る上で重要である。そこで、本実施形態では、以下のようなピストン設計支援システムを用いる。
<第1実施形態>
(全体のシステム構成)
まず、本発明の第1実施形態としてのピストン設計支援システムの全体構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るピストン設計支援システム100の構成を例示する図である。図1のピストン設計支援システム100は、ローカルエリアネットワーク103によって接続されたピストン設計支援装置としてのコンピュータ101とデータベースサーバ102とを含む。
コンピュータ101は、CPU111、ROM(Read Only Memory)113、RAM(Random Access Memory)114、HD(Hard Disk)115、入出力インタフェース(I/O)116、画像処理部118及び通信部119をその本体に備え、それぞれは、バス112によって互いに接続されている。また、本体外部には入力デバイス120及びディスプレイ117が設けられており、それぞれ入出力インタフェース116及び画像処理部118に接続されている。
これらのうち、CPU111はコンピュータ101全体を制御する演算・制御用のプロセッサである。また、ROM113は、CPU111で実行するブートプログラムや固定値等を格納する不揮発性メモリである。そして、RAM114は、データやプログラムを一時的に記憶するための揮発性メモリである。さらに、HD115は、コンピュータ101で実行するOS及び各種のプログラムモジュールを格納した記憶手段としての記憶媒体である。また、入出力インタフェース116は、コンピュータ本体と入力デバイス120との間でデータを入出力するためのインタフェースである。
入力デバイス120は、命令やデータを入力するキーボードやマウスなどのデバイスであり、ディスプレイ117は、CPU111からの制御指令に基づき画像処理部118で演算処理された文字や画像データを出力する液晶ディスプレイやCRTなどのデバイスである。画像処理部118は、このディスプレイ117に表示するための画像データを演算処理するユニットである。通信部119は、無線又は有線の通信回線を介してデータベースサーバ102との間でデータを送受信するためのユニットである。
詳しく説明すると、RAM114は、ピストン設計支援処理に際しCPU111で実行するプログラムを一時的に格納するためのプログラム実行領域114a、ユーザから入力されたピストンの諸元値データを一時的に記憶しておく諸元値記憶領域114b、ピストンに関する各種モデルを記憶する各種モデル記憶領域114c、表示画像を一時的に記憶する表示画像記憶領域114dを備える。
また、HD115には、ピストンの設計を支援するためのプログラムモジュールが格納されている。具体的には、ピストン関連の諸元値データを入力するための諸元値入力モジュール115a、諸元値が適正か否かを検証する検証モジュール115b、データベースから各種モデルを読出すデータベース読出モジュール115c、諸元値に基づいてデータベースから読出した各種モデルを変形するモデル変形モジュール115d、変形したピストンモデルを用いて、ピストン−バルブ間隔や、クラウン裏の肉厚などを演算する間隔・肉厚演算モジュール115e、変形したピストンモデル等を用いて、各種の体積演算を行なう体積演算モジュール115f、体積演算モジュール115fによって算出された燃焼室体積を用いて圧縮比を演算する圧縮比演算モジュール115gがピストン設計支援プログラムとして格納されている。
図2は、データベースサーバ102が記憶する各種のデータを示す図である。図2のようにデータベースサーバ102は、ピストン生成用モデル121と諸元値データ122と2次元検証用データ123と3次元検証用モデル124とを含む。また、ピストン生成用モデル121は、吸気側モデル211と排気側モデル212とスカート内部空間モデル213とスカート外部空間モデル214とピン穴モデル215とを含む。ここで、吸気側モデル211は、吸気バルブ1171との干渉防止のために設けられる吸気側リセス1130bを含むモデルである。一方、排気側モデル212は排気バルブ1172との干渉防止のために設けられる排気側リセス1130cを含むモデルである。吸気側モデル211及び排気側モデル212は、それぞれ対称性に応じて細分化されたモデルである。さらに、吸気側モデル211及び排気側モデル212は、スカート1130j部分において、くり抜かれるべき内部空間や削られるべき外部空間についての情報をもたない。つまり、ここでは、それぞれの吸気側モデル211及び排気側モデル212は、上部に1つのリセスとクラウンとリング溝を含む1/4円柱形状となっている。また、データベースサーバ102はピストン生成用モデル121として、クラウンタイプに応じて複数の吸気側モデル211及び排気側モデル212を記憶している。つまり、ピストン生成用モデル121に含まれる吸気側モデル211及び排気側モデル212は、クラウンタイプによって、凸型、フラット型、凹型の3タイプに分類することができる。もちろん、このような分類は限定的なものではなく、例えば凸型と凹型の2タイプにタイプ分けしてもよいし、または、クラウンの形状に応じて4タイプ以上に分けて吸気側モデル211及び排気側モデル212を用意してもよい。また、吸気側モデル211および排気側モデル212は、ピストンの燃焼室面の形状を表す本体モデルと呼ぶこともできる。
これに対し、スカート内部空間モデル213およびスカート外部空間モデル214は、と、本体モデルから削り取るべき空間形状を表す空間モデルである。スカート内部空間モデル213は、ピストン1130のスカート1130jの内部の形状を表し、スカート外部空間モデル214は、ピストン1130のスカート1130jの外表面の形状を表す。スカート内部空間モデル213およびスカート外部空間モデル214も、それぞれ対称性に応じて細分化されたモデルであり、ここでは、実際のスカート内部空間および外部空間をピストン中心軸を通る平面で1/2に切断した形状となっている。この切断面は、上記吸気側モデル211および排気側モデル212に含まれる切断面と同一である。
なお、スカート内部空間モデル213の頂部は、クラウン裏の形状を表わす。
また、ピン穴モデル215は、コンロッド1140を保持するためのピン1135を挿入するピン穴1130kの形状を表すモデルである。
諸元値データ122は、ユーザが入力した諸元値についてのデータを含む。2次元検証用データ123は、ユーザが入力した諸元値について、3次元データを生成する前に、数式や2次元データを用いて検証するために用いられるデータである。2次元検証用データ123としては、諸元値をパラメータとする検証式231と、ピストン1130、バルブ1171,1172、コンロッド1140、およびカウンタウェイト1160を平面的に表わした2次元形状モデル232とが含まれる
3次元検証用モデル124は、バルブモデル241とボリュームモデル242を含む。ボリュームモデル242には、ピストンリング嵌合溝周辺における、ピストンの外周面とシリンダの内周面との間の空間を表すボリュームモデルを含む。このボリュームモデルは、複数のピストンリング嵌合溝の底面とシリンダの内周面との間に形成される空間を示す複数のリングボリュームモデルと、各リングボリュームモデル間のランドボリュームモデルとに分けられる。
(ピストン設計支援処理)
図3は、ピストン設計支援プログラムによる処理を大まかに示す図である。
ユーザが、ピストン設計支援プログラムを起動してピストンの設計を行なう場合、まずステップS301において、ピストン設計支援プログラムは、諸元値入力モジュール115aによりピストン形状に関する基本諸元値の入力画面を生成してディスプレイ117に表示する。そこで、諸元値データ122のファイル名が指定されれば、データベースサーバ102からその諸元値データ122が読出され、基本諸元値として設定される。ファイル名の指定がなければ、入力画面に対してユーザが諸元値を1つ1つ入力することを促す。
図4(a)は、基本諸元値入力画面の例を示す図である。図4(a)に示す基本諸元値入力画面400には、基本諸元値として以下のものを入力可能である。
・最小肉厚基準:ピストンの肉厚が満たすべき最小値である。
・目標スキ基準:ピストンの表面とコンロッドやバルブなどの周辺部品との間のスキが満たすべき最小値である。
・カムリフトデータ:吸気側カム1181と、排気側カム1182のそれぞれがどのように各バルブをリフトするかを示したもの。これらのカムの回転角速度は、クランク1150の回転角速度と等しいため、ここでは、クランク角に対応する、それぞれのカムのバルブリフト量をテキストデータで示したものを用いるものとする。クランク角を横軸に、バルブリフト量を縦軸にとってカムリフトデータをグラフに表わしたものを図5に示す。
・バルブタイミング:吸気側バルブ1171の開タイミングおよび排気側バルブ1172の閉タイミングが、ピストン1130が上死点に位置するタイミングからどれほどずれているかを、クランク角で表わしたものである。図5のBTDC(Before Top Dead Center)、ATDC(After Top Dead Center)がこれを示す。カムリフトデータからはランプ高さが導き出される。
・レイアウト条件:ボア径、クランク径、コンロッド長さ(コンロッドとクランクとが接続される軸の中心からピン穴中心まで)、C/W仮想円盤半径、燃焼室容積、バルブセンタ高さ、吸気バルブ挟み角、排気バルブ挟み角などのピストン寸法以外の周辺部品のレイアウト条件である。ここで、ボア径とは、シリンダ1110aの内径を表わす。また、燃焼室容積としては、ピストン形状を考慮しない、シリンダヘッド1120側の空間体積と、ガスケット厚さによる空間体積とを入力する。また、バルブセンタ高さは、ガスケット1190の上面からバルブセンタまでの距離を意味する。バルブセンタとは吸気バルブ1171の往復軸と排気バルブ1172の往復軸との交点を表わす。吸気バルブ挟み角、排気バルブ挟み角は、吸気バルブ1171、排気バルブ1172の往復動方向と、ピストン1130の往復動方向とがなす角を表わす。レイアウト条件としては、その他にも、ガスケット厚さ、ブロック高さ(クランク軸からブロック上面までの距離)、バルブオフセット(バルブセンタからシリンダの中心軸までの距離)、ピンオフセット(ピンの中心軸からピストンの中心軸までの距離)、ピン穴中心からスカート下端までの垂直距離等を入力できる。
・ピストン諸元値:ピストン径、吸気側および排気側のリセスセンタ(ピストン中心からリセス中心までの距離)、吸気側、および排気側のリセス深さ、クラウン肉厚、スカート外径を含むスカート外部形状を示す各種寸法、スカート内径を含むスカート内部形状を示す各種寸法、ピン穴形状を示す各種寸法、各リング溝の深さ、幅および位置、バルブセンタからピストンピン中心までの距離、圧縮高さ(ピン穴中心からのクラウン上面までの距離)などが含まれる。
・バルブ諸元値:吸気バルブ径、排気バルブ径などのバルブ形状を示す寸法
説明を図3に戻すと、ステップS302においては、以上のように入力された基本諸元値を用いて、2D検証を行なう。2D検証とは、3次元のピストンモデルを構築する前に行なう数値計算による検証である。これは、基本諸元値を、データベースサーバ102に格納された検証式231に代入することによって行なわれる。検証が終わるとステップS303において検証結果が表示される。図4(b)は、検証結果を示す検証結果表示画面410を表わす図である。ここでは、スカート部の肉厚が最小肉厚基準以上となっているか否か、吸気バルブおよび排気バルブとピストンとの最近接時の距離が基準値以上となっているか否か、コンロッドとクラウン裏面との間隙が基準値以上となっているか否か、カウンタウェイトとピストンとの最近接距離が基準値以上となっているか否かの検証結果が示されている。すなわち、基準値を満たす場合には「OK」が、基準値を満たさない場合には「NG」が表示される。
ここで検証式231の例を挙げると、スカート部の肉厚は、スカート外径基準寸法からスカート内径を減算して2で割ることによって導かれる。また、コンロッドとクラウン裏面との間の間隙は、圧縮高さからクラウン肉厚を減算し、さらにコンロッドの小端半径(ピンを挿入する端部の半径)を減算して導かれる。また、カウンタウェイトとピストンとの間隙は、コンロッド長さの2乗からピンオフセットの2乗を減算して2乗根をとったものからさらに、ピン穴中心からスカート下端までの距離とクランク半径とC/W仮想円盤半径を減算して導かれる。
2D検証として他に検証可能な事項としては、リセス深さの入力値が、バルブとピストンについての諸元値から導かれる許容最大深さよりも小さいか否か、ピン穴とオイルランド溝との間の肉厚が基準値を満たしているか否か、ピン穴の面圧や各種応力やたわみ量が基準値以下となっているか否か、などが挙げられる。なお、リセスの許容最大深さは、目標のスキ基準、カムリフトデータ、バルブタイミング、クランク半径、コンロッド長、ピンオフセット、バルブ高さ、ブロック高さ、ガスケット厚などの諸元値から計算により導かれる。リセスの許容最大深さは、カムアングル(クランクアングル)により変動する。ここでは、ピストンが上死点に位置する場合(カムアングル0°)について計算し、さらに、カムリフトデータの全カムアングルについて計算して最小値を選択する。
なお、検証式231へ諸元値を代入する以外の方法で2D検証を行なってもよい。すなわち、所定のルールに従って変形可能な、ピストン、バルブ、コンロッド、カウンタウェイトの2次元形状モデル232をデータベースサーバ102に用意しておき、2次元形状モデル232をデータベースサーバ2から読出して基本諸元値に応じて変形し、2次元空間において各種の間隙などを検証してもよい。また、検証結果の表示は、図4(b)のような文字による表示に限定されるものではない。ピストン、バルブ、コンロッド、カウンタウェイトを2次元表示して干渉や肉厚のエラーを表わしてもよい。
これらの表示により検証結果がOKであれば、ステップS304からステップS305に進み、検証結果がOKでは無く、何らかの諸元値に問題がある場合には、ステップS301に戻って諸元値を変更する。
ステップS305では、詳細諸元値を入力する。すなわち、ピストン設計支援プログラムは、諸元値入力モジュール115aによりピストン形状に関する詳細諸元値の入力画面を生成してディスプレイ117に表示する。そこで、やはり諸元値データ122のファイル名が指定されれば、データベースサーバ102からその諸元値データ122が読出され、詳細諸元値として設定される。ファイル名の指定がなければ、入力画面に対してユーザが詳細諸元値を1つ1つ入力することを促す。
ここで入力する詳細諸元値としては、以下のものを入力可能である。
・目標圧縮比:目標とする圧縮比である。なお、圧縮比とは最大燃焼室体積と最小燃焼室体積との比である。
・自動最適化の検索レンジ:クラウン深さ/高さの下限値および上限値
・リング、ランド回りの詳細寸法:トップランドの外径、トップリング、セカンドリング、オイルリング、それぞれの溝の底面の外径を含み、さらに、トップランド、トップリング、セカンドランド、セカンドリング、サードランド、オイルリングそれぞれの幅を含む。また、リング、ランド回りの面取りとアールまでも含む。
次に、ステップS306に進み、諸元値の一部として、ピストンの燃焼室側の表面がフラットか凸形状か凹形状かを表すクラウンタイプを選択する。
図4(b)に示した検証結果表示画面中には、「3D検証(フラット)」ボタン411、「3D検証(凸型)」ボタン412、「3D検証(凹型)」ボタン413の3つの選択ボタンが表示されている。ステップS301において既に詳細諸元値の入力が行なわれている場合には、これらの3D検証ボタン411〜413を選択可能である。これらのボタンの何れかを選択した時点でクラウンタイプが選択されたことになる。
例えば、目標の圧縮比を達成するために適切なクラウンタイプが不明な場合には、まずフラットタイプの3Dピストンモデルを構築し、そのピストンモデルを用いて圧縮比を計測する。そして、計測された圧縮比が目標圧縮比よりも小さい場合には、燃焼室容積が不足していると判断できるため、燃焼室容積を増やすべく再度凹型を選択し直して圧縮比を計測すればよい。また、計測された圧縮比が目標圧縮比よりも大きい場合には、燃焼室容積が過大であると判断できるため、燃焼室容積を減らすべく再度凸型を選択し直して圧縮比を計測すればよい。また、さらに、計測された圧縮比が目標圧縮比と等しいか或いはその差が十分に小さい場合には、再度クラウンタイプを選択する必要はなく、そのままCAEにおける解析処理に移ればよい。
次に、ステップS307において、所定のルールに従った変形が可能なピストンベースモデルをデータベースから読出す。具体的には、諸元値として入力されたクラウンタイプに対応する吸気側ピストンモデル及び排気側ピストンモデルと、スカート内部空間モデル213と、スカート外部空間モデル214と、ピン穴モデル215とをデータベースから読出す。
ステップS308においては、ステップS301、S305で入力された諸元値に基づき、ステップS307で読出したピストン生成用モデルをそれぞれ変形し、さらにステップS309でそれらを組み合わせてピストンモデルを構築する。
図6は、ピストンモデルの構築方法について説明する図である。
まず、諸元値に応じて変形された吸気側モデル211と排気側モデル212を組み合わせて、1/2本体モデル601を生成する。上述したように、データベースサーバ102に格納された吸気側モデル211と排気側モデル212は、ピストンを往復軸方向に1/4に切断して得られる形状となっているため、これらを組み合わせることによってちょうど円筒状ピストンを半分に切断した形状の1/2本体モデル601が生成されることになる。
次に、1/2本体モデルから、諸元値に応じて変形された内側空間モデル213を削り取る。内部空間モデル213も上述したように1/2形状であるから、1/2本体モデルから、内側空間モデル213を削り取った形状は602に示すものとなる。次に、602に示す形状からさらに外部空間モデル214を削り取る。これにより、603に示す1/2ピストンモデル(ピン穴無し)が生成される。そして、この1/2ピストンモデル(ピン穴無し)からさらにピン穴モデル215を削り取ることにより1/2ピストンモデルが生成され、さらにその1/2ピストンモデルを切断面を中心にミラーリングすることにより、全体のピストンモデル604が構築される。
内部空間モデル213および外部空間モデル214は、諸元値として入力した肉厚に応じた距離だけ本体モデルから離れた位置に配置して、本体モデルからスカート内部空間モデルを削りとってもよいし、諸元値として入力したスカート内径が内部空間モデル213の外径に等しくなるように、内部空間モデル213を変形してもよい。なお、内部空間モデル213と外部空間モデル214は、それぞれのピン穴の位置がずれないように同期して変形する。
説明を図3に戻すと、ステップS309で構築したピストンモデルを用いて、ステップS310においては3D検証を行なう。3D検証は3次元空間でのピストン寸法やピストン性能の検証であり、2D検証では不可能な肉厚や間隙を計算したり体積計算をしたりする。例えば、3Dピストンモデルを構築し、圧縮比演算モジュール115gを用いれば、正確な燃焼室体積を算出し、そこから圧縮比を求めることができる。具体的には、図7(a)に示すV4およびV5の体積を3Dピストンモデルを用いて計測する。図7(a)は、ピストンが上死点に位置するタイミングでのピストン1130、シリンダブロック1110、ガスケット1190およびシリンダヘッド1120に囲まれた空間を表わす部分断面図である。V2およびV3の体積は、詳細諸元値として予め入力しておく。また、V1を1気筒の排気量とすると、
V1=(ボア径/2)2×π×(クランク径×2)
で表わされ、
さらに、V1〜V5の値を、
圧縮比=V1/(V2+V3+V4+V5)+1
に代入することによって圧縮比が求められる。そして、この圧縮比と、詳細諸元値として入力した目標圧縮比とを比較することによって、このピストンを用いたエンジンが所望の性能を実現するか否かを判定する。
また、3次元のバルブモデル241をデータベースサーバ102から読出し、各種の諸元値に応じて変形、配置して、CADの距離コマンドを用いることにより、図7(b)のように、3次元空間上での正確なバルブとピストンとの最短距離701を求め、その間隔が所定の基準値以上か否かを検証できる。同様に、クラウンおよびリセス表面とトップリング溝の内部表面との間の最短距離や、クラウンおよびリセス表面とクラウン裏面との間の最短距離を間隔・肉厚演算モジュール115eで演算し、それらか基準値を満たすか否かを検証できる。また、3Dピストンモデルを構築する際に、ピストン上面からのクラウンの高さまたは深さが決定するので、クラウンタイプに応じて以下の式を用いてクラウン裏面とコンロッドとの間隙をより正確に求めることが可能となる。
フラットの場合:間隙=圧縮高さ−クラウン肉厚−コンロッド小端径/2
凸型の場合:間隙=圧縮高さ−クラウン肉厚−コンロッド小端径/2+クラウン深さ
凹型の場合:間隙=圧縮高さ−クラウン肉厚−コンロッド小端径/2−クラウン深さ
また、さらに、データベースサーバ102からボリュームモデル242を読出して、詳細諸元値として入力したピストン外径とシリンダ内径とリング、ランド回りの詳細寸法(ピストンリング嵌合溝の幅及び深さ)に基づき変形することによって、図7(c)に示す、ピストンの外周面とシリンダの内周面との間の空間801〜806の体積を体積演算モジュール115fを用いて容易に算出することができる。なお、空間801と空間802とを合わせた空間の体積はトップランドボリュームと呼ばれ、空間803と空間804とを合わせた空間の体積はセカンドランドボリュームと呼ばれ、空間805と空間806とを合わせた空間の体積はサードランドボリュームと呼ばれる。
これらの体積からはオイル消費量およびエミッション性能を導き出すことができる。トップリング、セカンドリング、オイルリングの配置の仕方によって、燃焼室1200とクランク室1300との間の圧力差が左右され、クランク室に未燃ガスが入らないように遮断性を向上させるためには、ボリュームモデル242内で区分けされている6つの空間の容積比が重要となる。
再度説明を図3に戻すと、ステップS310における3D検証の結果をステップS311で表示する。図8は、3D検証結果表示画面の例である。図のように、圧縮比、間隙および肉厚、ランドボリュームについて、3D検証によって導き出された計測値が表示される。ランドボリュームにおいて1〜6で表示されている体積は、図7(c)の空間801〜806の体積にそれぞれ対応するものである。
図8には、ピストン3D表示ボタン811と、内部空間3D表示ボタン812と、自動最適化ボタン813と、諸元値再入力ボタン814と、保存終了ボタン815が表示され、それぞれ選択されることにより以下の処理を行なう。
ピストン3D表示ボタン811または内部空間3D表示ボタン812が選択された場合、ステップS312からステップS313に進み、構築したピストンモデル604または、変形した内部空間モデル213をディスプレイ117に表示する。ここで、ピストンモデル604を表示する際には、各ピストン生成モデル同士の接続面を隠しつつ表示する。
自動最適化ボタン813が選択されると、ステップS312からステップS314を経てステップS315に進み、ピストン形状を目標圧縮比に近似するように自動的に最適化する。具体的には、まず、諸元値として入力された目標圧縮比と計測された圧縮比とを比較し、その差に応じてピストンのクラウン高さまたは深さを変化させる。そして、変化させたクラウン高さまたは深さに応じて、ピストンモデルを変形させ、変形したピストンモデルについての圧縮比を算出し、算出された圧縮比と目標圧縮比との差が所定値(例えば、±0.01)以内でなければ、ピストンモデルのクラウン高さ(または深さ)を変更して再度、圧縮比を算出する。そうして、算出された圧縮比と目標圧縮比との差が所定値以内になるまで、変形と圧縮比算出とを複数回繰り返す。算出された圧縮比と目標圧縮比との差が所定値以内になれば、目標圧縮比に最も近いピストン形状として決定する。
諸元値再入力ボタン814が選択されると、ステップS312からステップS314およびステップS315を経てステップS301またはステップS305に進み、諸元値の入力画面に戻る。
保存終了ボタン815が選択されると、検証結果OKと判断してステップS314からステップS316に進み、ピストンモデルや諸元値などを全て保存して、ピストン設計支援プログラムを終了させる。
(モデル変形ルール)
次に、ステップS308におけるモデルの変形ルールについて詳しく説明する。ステップS308では、吸気側モデル211と排気側モデル212の両方をそれぞれ変形させるが、それぞれについて必ずしも別個に諸元値を入力する必要はなく、諸元値としてピストン全体についての寸法が入力された場合にも、吸気側モデル211及び排気側モデル212の両方を対応付けて変形させる。例えば諸元値として入力されたシリンダ径に対し、データベースサーバ102から読出した吸気側モデル211及び排気側モデル212の円弧部分の外径を、同じ縮尺で拡大または縮小する。
また、吸気側モデル211と排気側モデル212を変形する際には、諸元値に基づいて吸気側リセス1130bおよび排気側リセス1130cの断面形状を独立に決定する。例えばリセス深さとして同一の値が入力されても吸気側リセスと排気側リセスとを異なる形状に変形するように、リセス形状決定ルールが設定されている。これは、吸気リセスは吸気の対流性を向上させる効果を求められるが、排気リセスはそのような効果を求められないからである。
このリセス形状決定ルールについて図9(a)を用いて説明する。図9(a)は、ピン軸方向から見たピストン1130の縦断面図である。吸気側リセスの深さをD1、吸気側リセスの底部のアール(底面と側面とがなす隅の曲率半径)をR1、吸気側リセスの底面の傾き(底面と水平面とがなす角度)をS1、吸気側リセスの挟み角をαで示している。また、同様に、排気側リセスの深さをD2、排気側リセスの底部のアールをR2、排気側リセスの底面の傾きをS2、排気側リセスの挟み角をβで示している。さらに、スカートの内径をφで示している。
リセス形状決定ルールによれば、諸元値として入力した吸気側リセス深さD1及び排気側リセス深さD2が同じ値でも、吸気側リセスの底面の傾きS1と排気側リセスの底面の傾きS2とが異なるように、また、吸気側リセスの底面と側面とがなす隅のアールR1と、排気側リセスの底面と側面とがなす隅のアールR2とが異なるように、リセス形状は決定される。吸気側リセス1130bの底面は吸気の対流性が向上すべく、底面ができるだけ水平に近くなるように、かつ、底面のアールR1は大きくなるように変形する。一方で排気側リセス1130cの底面の傾斜角S2は、排気側バルブの挟み角βと等しければよく(これにより排気側リセス1130cの底面はバルブヘッド面と平行になる)、底面のアールR2は、所定の値であればよい。
排気側リセスの底面のアールR2は、基本的には排気側のバルブ形状に合わせて設定される。吸気側は対流しやすくするためにアールを大きくするメリットがあるが、排気側は対流とは無関係であるため、排気側のバルブ形状に依存した形状とする。
諸元値として入力される吸気側リセス深さD1及び排気側リセス深さD2が変更された場合、吸気側リセス1130bについては、少なくとも、底面の傾きS1または底面と側面とがなす隅のアールR1のいずれかが変化するが、排気側リセス1130cについては、底面の傾きS2及び底面と側面とがなす隅のアールR2の何れも変化しない。
一方、ステップS308では、諸元値に応じて内部空間モデル213を変形するが、その際、内部空間形状決定ルールに則って変形を行なう。この内部空間形状決定ルールについて図9(b)を用いて説明する。図9(b)は、ピン軸と垂直をなす方向から見たピストン1130の縦断面図である。図9(b)において、内部空間におけるクラウン裏のアール(クラウンの裏面とスカート内面との隅の曲率半径)をR3、ピンボス間隔をPで示している。
内部空間形状決定ルールによれば、諸元値として入力された目標圧縮比が大きければ大きいほどスカート内部空間モデルのクラウン裏のアールR3を大きくする。また、諸元値として入力されたピンボス間隔Pが小さければ小さいほどスカート内部空間モデルのクラウン裏のアールR3を大きくする。さらに、諸元値として入力されたスカート内径φが小さければ小さいほどスカート内部空間モデルのクラウン裏のアールR3を大きくする。
このルールは、クラウン裏R3が、冷却性能(放熱性能)に、強く影響する要素であることに起因したものである。つまり、ピストン1130の内部において、クラウン裏が最も燃焼室1200に近い箇所であり、クランク室1300に注入されたエンジンオイルが、クラウン裏から効率的に熱を奪うことが放熱性の向上につながる。ここで、エンジンオイルがクラウン裏から効率的に熱を奪うためには、クラウン裏でのエンジンオイルの循環を良くする必要があり、そのためにはクラウン裏のアールR3を大きくすればよい。また、クラウン裏のアールR3を大きくすることで、クラウン裏で発生した熱をクラウン裏のアールを介してスカート部に逃がしやすくすることができ、熱の伝搬性(熱逃げ性)を向上することもできる。しかし一方で、クラウン裏のアールR3が増えた分だけ重量UPに結びつくため、むやみにR3を大きくすることは好ましくない。
そこで、上述したように、目標圧縮比が大きく、発生する熱量が増大する場合や、ピンボス間隔Pまたはスカート内径φが小さく、全体の放熱面積が減少する場合などには、クラウン裏での放熱性能を向上させるためにアールR3を大きくする。このルールを適用することにより、放熱性と重量とのバランスで最適なクラウン裏のアールR3を決定することが可能となる。
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、容易に所定の制約条件を満たすピストンを設計できる。効率的な形状のピストン生成モデルをデータベースに記憶するので、処理負荷やデータ量を軽減できる。また、ピストン設計の自動最適化が可能となる。誰でも簡単に目標圧縮比を満たすピストンを設計可能となる。目標圧縮比を様々に変えても、短時間にその目標圧縮比を実現するピストンを設計可能である。
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。図12は、本発明の実施形態に係る設計支援装置の概略構成を示し、この設計支援装置は、コンピュータ装置であって、各種信号の制御処理を行うCPU1を備えている。このCPU1には、設計者が各種情報を入力するための入力手段としての、キーボードやマウス等を含む操作スイッチ2と、各種画面を表示するための液晶表示器等のディスプレイ3と、ブートプログラム等を記録したROM4と、各種処理結果を一時記憶するRAM5と、この設計支援装置を制御するための設計支援プログラム等を記録したハードディスクドライブ等の記憶装置6とが信号の授受可能に接続されている。
上記設計支援装置は、上記設計支援プログラムによって、後述の如く動作して、図13に示すようなエンジン11(この実施形態では、4サイクルガソリンエンジン)におけるピストン12の形状(主として頂部及びピストンリング溝部分)の設計を支援する。
上記エンジン11は、シリンダ15aを有するシリンダブロック15と、このシリンダブロック15の上面に組み付けられたシリンダヘッド16と、上記シリンダ15a内に往復動可能に嵌装されたピストン12とを備えている。上記シリンダ15a内には、ピストン12及びシリンダヘッド16により囲まれる燃焼室17が区画形成されている。この燃焼室17の上部には点火プラグ18が臨設され、吸気ポート22には燃料噴射弁19が設けられている。
上記シリンダヘッド16には、4つのバルブ21(2つの吸気ポート22の燃焼室17側開口をそれぞれ開閉する2つの吸気バルブ、及び2つの排気ポート23の燃焼室17側開口をそれぞれ開閉する2つの排気バルブ)が設けられており、これらバルブ21の往復動方向(バルブ21の中心軸が延びる方向)は全て、上記ピストン12の往復動方向(ピストンの中心軸が延びる方向(鉛直方向))とは一致しておらず、ピストン12の往復動方向に対して所定角度をなしている。また、上記各バルブ21の厚さ(ポートの開口を開閉する部分における中心軸方向に沿った長さ)は、信頼性を維持できるように規定値以上とされている。さらに、上記各バルブ21におけるリセス対向面と側周面との交わる角部には全周に亘って面取り21aが施されている。尚、この面取り21aは必ずしも必要なものではなく、なくてもよい。
上記ピストン12の頂部には、図14に示すように、上記各バルブ21とそれぞれ対面する4つのリセス12a(凹部)が形成されている。この各リセス12aと、対応するバルブ21との間隙は所定条件を満足するようになされている。すなわち、ピストン12とバルブ21とが最も接近したときにおいて、製造誤差等があってもバルブ21がピストン12(リセス12a)と干渉しないように、この実施形態では、所定条件として、ピストン12のリセス12aとバルブ21との間のバルブ往復動方向に沿った距離を第1基準値以上とし、リセス12aとバルブ21との間のバルブ往復動方向に沿った距離を第2基準値(第1基準値よりも小さい値)以上とし、かつ、リセス12aとバルブ21との最短距離を第3基準値(第2基準値よりも大きくて第1基準値よりも小さい値)以上としている。尚、後述の凸部12bがリセス12aの周囲にも形成されているため、リセス12aの開口端は、平面状ではなくて、凸部12bの表面に沿った形状をなしている。
また、上記ピストン12の頂部の外周縁部は、該ピストン12の中心軸と直交する平面状をなし、その外周縁部を除く部分には、ピストン12の中心軸方向から見て円形状をなす凸部12bが形成されいる。この凸部12bの直径や突出高さ等は、圧縮比が予め設定された設定値になるように、つまり、燃焼室17の容積(ピストン12が上死点にあるときの容積)が上記圧縮比の設定値から決まる値になるように決められている。
上記ピストン12の側周面における頂部近傍には、ピストンリング13が嵌められる3つのピストンリング溝12cが形成されている。このうち最も上側に位置するピストンリング溝12cと上記リセス12aとの間の肉厚の最小値は、所定値(ピストン12の強度や製造上の観点等から予め決められた値)以上になるようになされている。
ところで、上記従来のように頂部にリセスを備えたピストンの形状を設計する際には、通常、最初にリセスの形状を決定する。このとき、リセスとバルブとの間隙は所定条件を満足するようにする必要がある。すなわち、ピストンとバルブとが最も接近したときにおいて、製造誤差等があってもバルブがピストン(リセス)と干渉しないようにする。このリセスの形状を決定した後に、圧縮比等が最初から決まっている場合には、燃焼室の容積(ピストンが上死点にあるときの容積)が、その目標圧縮比等から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状を決定する。具体的には、燃焼室の容積が、目標圧縮比等から決まる目標容積よりも小さい場合には、ピストン頂部に凹陥部を設けて燃焼室容積を増大させる一方、目標容積よりも大きい場合には、ピストン頂部(リセス以外の部分)に凸部を設けて燃焼室容積を減少させる。
上記のようにピストン頂部に凸部を設けて燃焼室容積を減少させるときにおいては、その凸部がリセスの周囲にも形成される場合があり、この場合、凸部によってリセスの開口端がバルブ側に移動することになり、リセスとバルブとの間隙が所定条件を満足しなくなる可能性がある。
しかしながら、ピストンの往復動方向とバルブの往復動方向とが不一致となるエンジンにおいては、リセスを最小限の大きさにしようとすると、リセスの形状が複雑になるため、リセスとバルブとの間隙を素早くかつ精度良く計算するのは容易ではない。一方、リセスを単純な形状で大きくすると、燃焼性の悪化を招いてしまう。
このことで、リセスとバルブとの間隙が所定条件を満足しないときには、所定条件を満足するように、バルブの厚さ、及びバルブにおけるリセス対向面と側周面との交わる角部に形成する面取りの傾斜角度の少なくとも一方が自動的に変更される。この結果、リセスとバルブとの間隙が所定条件を満足しない場合に、設計者はピストンの形状を変更することなく、容易に対応することができる。
すなわち、リセスとバルブとの間隙が所定条件を満足しないときにおいて、バルブの形状変更で所定条件を満足するようにしても、バルブの厚さが、信頼性等の観点から決められた規定値よりも小さくなると、問題が生じる。しかし、この発明では、バルブの厚さが規定値よりも小さいときには、リセスとバルブとの間隙を変更して、再度、リセスモデル構築ステップから実行するので、バルブの信頼性が低下するのを抑制することができる。 入力ステップは、設計者に、ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の位置及び形状に関する情報をさらに入力させるステップであり、コンピュータに対して、リセスモデル構築ステップで構築したリセスモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報並びにピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とに基づいて、ピストン頂部モデル構築ステップで構築するピストン頂部モデルとは別個に、又は該ピストン頂部モデルを含めて、リセス及びピストンリング溝を備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築ステップと、上記ピストン構築ステップで構築したピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算するリセス肉厚演算ステップとを実行させるものであるとする。
すなわち、ピストンリング溝に嵌合されるピストンリングのピストン頂部側におけるピストンとシリンダとの間の部分に、エンジンオイルや、混合気中の燃料の内のピストン又はシリンダに対する付着分がそれ程多く溜まらないようにしてHCやCOを排出しないようにするためには、ピストンリング溝をピストン頂部にある程度近い位置に形成する必要があるが、ピストン頂部にリセスを形成すると、そのリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値(ピストン強度や製造上の観点等から予め決められた値)よりも小さくなる場合がある。そこで、設計者は、そのリセスとピストンリング溝との間の肉厚に注意しなければならないが、リセスの形状が複雑になるため、上記肉厚の最小値を素早くかつ精度良く計算するのは容易ではない。しかし、この発明では、立体で構築されたピストンモデルでリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算するので、リセスの形状が複雑であっても、設計者はその肉厚の最小値を素早くかつ精度良く得ることができる。この結果、設計者は、ピストンの形状をより一層効率良くかつ最適に設計することができる。
入力ステップは、設計者に、ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の少なくとも形状に関する情報をさらに入力させるステップであり、コンピュータに対して、リセスモデル構築ステップで構築したリセスモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンに関する情報とに基づいて、ピストン頂部モデル構築ステップで構築するピストン頂部モデルとは別個に、又は該ピストン頂部モデルを含めて、リセスを備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築ステップと、上記ピストン構築ステップで構築したピストンモデルと、上記入力ステップで入力されたピストンリング溝の形状に関する情報とに基づいて、該ピストンリング溝の位置を、上記ピストンモデルにおけるリセスと該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算する溝位置演算ステップとを実行させるものであるとする。
このことにより、立体で構築されたピストンモデルでリセスとの間の肉厚の最小値を所定値以上にするピストンリング溝位置を演算するので、設計者はそのピストンリング溝位置を素早くかつ精度良く得ることができる。
上記設計支援装置におけるCPU1の具体的な処理を、図15及び図16のフローチャートに基づいて説明する。
最初のステップS1では、設計者の操作スイッチ2による所定の開始操作に応じて、ディスプレイ3に入力画面を表示して、設計者に、ピストン12に関する情報と、バルブ21に関する情報と、ピストンリング溝12cの位置及び形状に関する情報と、シリンダヘッド16における燃焼室17を形成する面に関する情報と、目標圧縮比(上記設定値)とを入力させる。尚、目標圧縮比の代わりに、値の大きさから燃焼室17の容積が決まる容積関連値の目標値を入力させるようにしてもよい。
上記ピストン12に関する情報は、具体的には、ピストン12の往復動に関するデータ情報(クランク角とピストン12の上下位置との関係が導けるデータ情報、シリンダボアとの関係が分かるデータ情報等)、外径や、頂部以外の部分の形状に関するデータ情報等である。また、上記バルブ21に関する情報は、バルブ21の往復動に関するデータ情報(クランク角とバルブリフト量との関係が導けるデータ情報)、ピストン12との位置関係や形状に関するデータ情報等である。
次のステップS2では、上記ステップS1で入力されたピストン12に関する情報及びバルブ21に関する情報に基づいて、上記ピストン12の頂部に、上記バルブ21と対面しかつ該バルブ21との間隙が上記所定条件を満足するリセスモデルを構築する(尚、モデルにおいても実物と対応する部分については同じ符号を使用する)。このとき、この実施形態では、上記ピストン12頂部は、予め、ピストン12の中心軸と直交する平面状としている(頂部形状に関するデータ情報は入力しない)が、他の形状に予め設定していてもよく、設計者に頂部形状に関するデータ情報を入力させて、その入力情報に応じた形状としてもよい。
上記リセスモデルの構築方法について詳細に説明すると、上記ピストン12に関する情報及びバルブ21に関する情報に基づいて、ピストン12とバルブ21とが最も接近するときの両者の位置関係を把握し、この位置で、ピストン12の中心軸と平行でかつバルブ21の中心軸を含む平面上に(2次元で)リセスモデルを構築する。すなわち、図17に示すように、クランク角とピストン上下位置との関係(ピストン変位曲線)と、クランク角とバルブリフト量との関係(バルブリフト曲線)とを同じグラフに描くと、クランク角がいくらのときにピストン12とバルブ21とが最も接近するかが分かり(図17において、吸気バルブではクランク角がαのときに、排気バルブではクランク角がβのときにそれぞれ最接近する)、このクランク角のときのピストン12及びバルブ21を、図18に示すように、ピストン12の中心軸と平行でかつバルブ21の中心軸を含む平面上にモデル化し、このピストン12の頂部に、バルブ21との間隙が上記所定条件を満足するリセスモデルを構築する。つまり、リセス12aとバルブ21との間のバルブ往復動方向に沿った距離xが第1基準値以上となり、リセス12aとバルブ21との間のバルブ往復動方向に沿った距離yが第2基準値(第1基準値よりも小さい値)以上となり、かつ、リセス12aとバルブ21との最短距離zが第3基準値(第2基準値よりも大きくて第1基準値よりも小さい値)以上となるようにする。
尚、リセスモデルを必ずしも2次元で構築する必要はなく、立体(3次元)で構築してもよい(但し、ピストン12頂部が平面状でなく複雑な形状である場合には、立体で構築するのがよい)。また、2次元でリセスモデルを構築する場合、ピストン12の中心軸と平行な平面上であれば、どの平面上にモデル化してもよいが、上記のようにバルブ21の中心軸を含む平面が望ましい。
次のステップS3では、ディスプレイ3に、上記構築したリセスモデルのリセス12aの寸法等を表示するための第1の結果画面を表示する。この第1の結果画面には、次の工程に進むための操作ボタン(以下、進行ボタンという)と、上記入力画面に戻るための操作ボタン(以下、戻りボタンという)とが含まれている。
次のステップS4では、上記操作ボタンが操作されたか否かを判定し、この判定が、進行ボタン及び戻りボタンのいずれの操作ボタンも操作されていないNOであるときには、上記ステップS3に戻って第1の結果画面を表示し続け、判定がYESであって進行ボタンが操作されたときには、ステップS5に進み、判定がYESであって戻りボタンが操作されたときには、上記ステップS1に戻る。
上記ステップS5では、上記構築したリセスモデルと、上記入力されたピストン12に関する情報並びにピストンリング溝12cの位置及び形状に関する情報とに基づいて、リセス12a及びピストンリング溝12cを備えたピストンモデルを立体(3次元)で構築する。この立体のピストンモデルにおけるリセス12aは、円筒をその中心軸がバルブ21の往復動方向になるように傾けた状態で該円筒の端面と側周面との角部をピストン12頂部に対して押し当てて凹ました形状をなしている。
次のステップS6では、上記立体のピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセス12aとピストンリング溝12c(最も上側に位置するもの)との間の肉厚の最小値を演算し、次のステップS7で、ディスプレイ3に、その肉厚の最小値等を表示するための第2の結果画面を表示する。この第2の結果画面にも、上記第1の結果画面と同様に、進行ボタンと戻りボタンとの2つの操作ボタンが含まれている。
次のステップS8では、上記操作ボタンが操作されたか否かを判定し、この判定が、進行ボタン及び戻りボタンのいずれの操作ボタンも操作されていないNOであるときには、上記ステップS7に戻って第2の結果画面を表示し続け、判定がYESであって進行ボタンが操作されたときには、ステップS9に進み、判定がYESであって戻りボタンが操作されたときには、上記ステップS1に戻る。
上記ステップS9では、上記リセスモデルと、上記入力されたピストンに関する情報、燃焼室17を形成する面に関する情報及び目標圧縮比とに基づいて、上記燃焼室17の容積が、上記目標圧縮比から決まる目標容積となるようにピストン12頂部の形状を設定して、ピストン頂部モデルを立体で構築する。具体的には、上記リセスモデル構築時の平面状の頂部では、燃焼室17の容積が、目標圧縮比から決まる目標容積よりも小さい場合には、ピストン12頂部の外周縁部を除く部分に凹陥部を設けて燃焼室17の容積を増大させる。一方、目標容積よりも大きい場合には、上述したピストン12のように、ピストン12頂部の外周縁部及びリセス12aを除く部分に、凸部12bを設けて燃焼室17の容積を減少させる。
次のステップS10では、上記入力されたバルブ21に関する情報に基づいて、バルブモデルを立体で構築する。
次のステップS11では、ピストン12とバルブ21とが最接近した状態において、上記ピストン頂部モデルのリセス12aと上記バルブモデルとの間隙(この実施形態では、最短距離)を演算し、次のステップS12で、ディスプレイ3に、その間隙の値等を表示するための第3の結果画面を表示する。この第3の結果画面にも、上記第1の結果画面と同様に、進行ボタンと戻りボタンとの2つの操作ボタンが含まれている。
次のステップS13では、上記操作ボタンが操作されたか否かを判定し、この判定が、進行ボタン及び戻りボタンのいずれの操作ボタンも操作されていないNOであるときには、上記ステップS12に戻って第3の結果画面を表示し続け、判定がYESであって進行ボタンが操作されたときには、ステップS14に進み、判定がYESであって戻りボタンが操作されたときには、上記ステップS1に戻る。
上記ステップS14では、上記結果内容(上記間隙や上記肉厚の最小値、入力情報、構築したモデル等を含む)を記憶装置6に記憶保存し、次のステップS15で、ディスプレイ3に、その保存した内容を設計者に確認させるための保存内容確認画面を表示する。この保存内容確認画面には、終了するための終了ボタンが含まれている。
次のステップS16では、上記終了ボタンが操作されたか否かを判定し、この判定がNOであるときには、上記ステップS15に戻って保存内容確認画面を表示し続け、判定がYESであるときには、終了する。
上記設計支援装置を用いて、設計者がピストン12の形状を設計しようとして操作スイッチ2による所定の開始操作を行うと、ディスプレイ3には入力画面が表示される。そして、設計者が、この入力画面の所定欄に、ピストン12に関する情報と、バルブ21に関する情報と、ピストンリング溝12cの位置及び形状に関する情報と、シリンダヘッド16における燃焼室17を形成する面に関する情報と、目標圧縮比とを操作スイッチ2により入力すると、2次元でリセスモデルが構築されて、ディスプレイ3に第1の結果画面を通してリセス12aの寸法等が表示される。
設計者が上記リセス12aの寸法等を確認して問題がないと判断した場合には、進行ボタンを操作する。一方、問題があると判断した場合には、戻りボタンを操作して入力画面に戻り、入力情報の一部又は全部を変更して入力し直す。
上記第1の結果画面において設計者が進行ボタンを操作すると、リセス12a及びピストンリング溝12cを備えた立体のピストンモデルが構築され、このピストンモデルにおけるリセス12aとピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値が演算されて、ディスプレイ3に第2の結果画面を通してその演算結果が表示される。
設計者が上記肉厚の最小値を確認し、この最小値が上記所定値以上であって問題がないと判断した場合には、進行ボタンを操作する。一方、所定値よりも小さくて問題があると判断した場合には、戻りボタンを操作して入力画面に戻り、入力情報の一部又は全部を変更して入力し直す。
上記第2の結果画面において設計者が進行ボタンを操作すると、ピストン頂部モデルが構築されてピストン12頂部に凹陥部又は凸部12bが形成される。この凹陥部又は凸部12bにより、燃焼室17の容積が、目標圧縮比から決まる目標容積となる。また、バルブモデルも構築され、上記ピストン頂部モデルのリセス12aとそのバルブモデルとの間隙(最短距離)が演算されて、ディスプレイ3に第3の結果画面を通してその演算結果が表示される。
図19に示すように、ピストン12頂部に凸部12bが形成されるとともにその凸部12bがリセス12aの周囲にも形成されたとすると、凸部12bによってリセス12aの開口端がバルブ側に移動するため、上記間隙(最短距離z′)は、リセスモデルを構築したときの最短距離zよりも小さくなる。したがって、上記間隙が上記所定条件を満足するか(最短距離z′が第3基準値以上であるか)否かを確認する必要がある。しかし、この実施形態では、ディスプレイ3に上記間隙(最短距離z′)が表示されるので、設計者は上記間隙が上記所定条件を満足するか否かを容易に確認することができる。
設計者が上記間隙を確認し、所定条件を満足すると判断した場合には、進行ボタンを操作する。一方、所定条件を満足しないと判断した場合には、戻りボタンを操作して入力画面に戻り、入力情報の一部又は全部を変更して入力し直す。
上記第3の結果画面において設計者が進行ボタンを操作すると、上記結果内容が記憶装置6に記憶保存されて、ディスプレイ3に保存内容確認画面を通してその保存内容が表示される。そして、設計者がその保存内容を確認した後に終了ボタンを操作して終了する。
したがって、上記実施形態では、燃焼室17の容積が、目標圧縮比から決まる目標容積となるようにピストン12頂部の形状が設定された後に、立体で構築されたピストン頂部モデルのリセス12aとバルブモデルとの間隙を演算するので、リセス12aの形状が複雑であっても、設計者はその間隙を素早くかつ精度良く得ることができ、リセス12aとバルブ21との間隙が所定条件を満たすか否かを容易に確認することができる。しかも、リセス12a及びピストンリング溝12cを備えたピストンモデルを立体で構築し、このピストンモデルにおけるリセス12aとピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値を演算するようにしたので、リセス12aの形状が複雑であっても、設計者はその肉厚の最小値をも素早くかつ精度良く得ることができ、その最小値が所定値以上であるか否かをディスプレイ3で確認することができる。よって、リセス12aを備えたピストン12の形状を効率良くかつ最適に設計することができる。
尚、上記実施形態では、リセス12a及びピストンリング溝12cを備えたピストンモデルを、ピストン頂部モデルの構築前に、ピストン頂部モデルとは別個に構築して、該ピストンモデルにおけるリセス12aとピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値を演算するようにしたが、ピストン頂部モデルの構築後に、該ピストン頂部モデルを含めてピストンモデルを構築し、このピストンモデルを用いて、バルブモデルとの間隙や上記肉厚の最小値を演算するようにしてもよい。また、ピストン頂部モデルの構築後にピストンモデルを構築する場合でも、ピストン頂部モデルとは別個にピストンモデルを構築するようにしてもよい。さらに、このような肉厚の最小値の演算は必ずしも必要ではなく、省略してもよい。
また、ピストンモデルにおけるリセス12aとピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値を演算する代わりに、ピストンリング溝12cの位置を、ピストンモデルにおけるリセス12aと該ピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算するようにしてもよい。この場合、入力画面では、設計者に、ピストンリング溝12cの位置は入力させないで少なくとも形状に関する情報を入力させて、ピストン頂部モデルとは別個に、又はピストン頂部モデルを含めて、リセス12aを備えたピストンモデルを立体で構築し、このピストンモデルと、上記入力されたピストンリング溝の形状に関する情報とに基づいて、ピストンリング溝12cの位置を、上記ピストンモデルにおけるリセス12aと該ピストンリング溝12cとの間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算するようにすればよい。
さらに、上記実施形態では、設計支援装置によって演算された、ピストン頂部モデルのリセス12aとバルブモデルとの間隙を設計者が確認して、設計者自身が設計変更を行うようにしたが、設計支援装置が設計変更を行うようにしてもよい。例えば、設計支援装置のCPU1の処理として、ピストン頂部モデルのリセス12aとバルブモデルとの間隙を演算した後、その間隙が上記所定条件を満足するか否かを判定し、上記間隙が上記所定条件を満足しないと判定したときには、バルブモデルにおいて、バルブ厚さ、及びリセス対向面と側周面との交わる角部に形成する面取り21aの傾斜角度の少なくとも一方を、上記間隙が上記所定条件を満足するように変更して、バルブモデルを再構築するようにする。但し、この再構築したバルブモデルのバルブ厚さが上記規定値よりも小さいときには、リセスモデル構築時におけるリセス12aとバルブ21との間隙を変更して、再度、リセスモデル構築、ピストン頂部モデル構築、バルブモデル構築、ピストン頂部モデルのリセス12aとバルブモデルとの間隙の演算、この間隙が上記所定条件を満足するか否かの判定、及びバルブモデルの再構築の各処理を実行する。こうすれば、リセス12aとバルブ21との間隙が所定条件を満足しないときには、所定条件を満足するように、バルブ21の形状が自動的に変更されるので、設計者はピストン12の形状を変更することなく、容易に対応することができる。また、バルブの厚さが規定値よりも小さくならなくて済み、バルブ21の信頼性が低下するのを抑制することができる。また、本発明は、バルブ可変機構を有するエンジンにも適応可能である。
本発明は、車両のエンジンのみならず、あらゆる内燃機関に設けられるピストンの設計に適用できる。
本発明の第1実施形態に係るピストン設計支援システムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係るピストン設計支援システムに含まれるデータベースサーバの構成を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るピストン設計支援処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係るピストン設計支援システムにおいて表示される画面を示す図である。 ピストン変位曲線とバルブリフト曲線との関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態に係るピストン設計支援システムによって構築されるピストンモデルの遷移を示す図である。 (a)は、燃焼室の構成を示す図であり、(b)はバルブとピストンの最短距離を示す図であり、(c)は、ランドボリュームの構成を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るピストン設計支援システムにおいて表示される画面を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るピストン設計支援システムによる、ピストン生成用モデルの変形ルールを説明する図である。 本発明の第1実施形態に係るピストン設計支援システムを用いて設計可能なピストンを備えたエンジンの構成を示す概略図である。 本発明の第1実施形態に係るピストン設計支援システムを用いて設計可能なピストンを示す概略図である。 本発明の第2実施形態に係る設計支援装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る設計支援装置を用いて設計されるピストンを備えたエンジンの構成を示す概略図である。 図13のピストンの上面を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る設計支援装置におけるCPUの処理の前半部を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る設計支援装置におけるCPUの処理の後半部を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係るピストン変位曲線とバルブリフト曲線との関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係るリセスモデルを2次元で構築している様子を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るリセスとバルブとの間隙が凸部によって変化することを説明する図である。
符号の説明
1 設計支援装置のCPU(リセスモデル構築手段)
(ピストン頂部モデル構築手段)
(バルブモデル構築手段)(間隙演算手段)
2 操作スイッチ
3 ディスプレイ
6 記憶装置
11 エンジン
12 ピストン
12a リセス
12b 凸部
12c ピストンリング溝
16 シリンダヘッド
17 燃焼室
21 バルブ
21a 面取り

Claims (9)

  1. 内燃機関のピストン形状の設計を支援するピストン設計支援プログラムであって、
    コンピュータに対して、
    ピストンに関する情報と、バルブに関する情報と、シリンダヘッドにおける燃焼室を形成する面に関する情報と、値の大きさから該燃焼室の容積が決まる容積関連値の目標値と、の入力を受け付ける入力工程と、
    前記入力工程で入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、前記ピストンの頂部に形成される、前記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築工程と、
    前記リセスモデル構築工程で構築したリセスモデルと、前記入力工程で入力されたピストンに関する情報、燃焼室を形成する面に関する情報及び容積関連値の目標値とに基づいて、前記燃焼室の容積が、前記容積関連値の目標値から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状を設定して、ピストン頂部モデルを立体で構築するピストン頂部モデル構築工程と、
    前記入力工程で入力されたバルブに関する情報に基づいて、バルブモデルを立体で構築するバルブモデル構築工程と、
    記ピストン頂部モデル構築工程で構築したピストン頂部モデルのリセスと、前記バルブモデル構築工程で構築したバルブモデルとの間隙を演算する間隙演算工程と、
    実行させることを特徴とするピストン設計支援プログラム。
  2. 前記リセスモデル構築工程は、平面状のピストン頂部にリセスモデルを構築する工程であることを特徴とする請求項に記載のピストン設計支援プログラム。
  3. コンピュータに対して、
    前記間隙演算工程で演算した間隙が、前記リセスモデル構築工程における、リセスとバルブとの間隙の所定条件を満足するか否かを判定する条件判定工程と、
    前記条件判定工程で前記間隙が前記所定条件を満足しないと判定したときには、バルブモデルにおいて、バルブ厚さ、及びリセス対向面と側周面との交わる角部に形成する面取りの傾斜角度の少なくとも一方を、前記間隙が前記所定条件を満足するように変更して、バルブモデルを再構築するバルブ再構築工程と
    をさらに実行させることを特徴とする請求項に記載のピストン設計支援プログラム。
  4. コンピュータに対して、
    前記バルブ再構築工程で再構築したバルブモデルのバルブ厚さが規定値よりも小さいときには、前記リセスモデル構築工程におけるリセスとバルブとの間隙を変更して、再度、前記リセスモデル構築工程、前記ピストン頂部モデル構築工程、前記バルブモデル構築工程、前記間隙演算工程、前記条件判定工程及び前記バルブ再構築工程を実行させることを特徴とする請求項に記載のピストン設計支援プログラム。
  5. 前記入力工程は、ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の位置及び形状に関する情報の入力をさらに受け付ける工程であり、
    コンピュータに対して、
    前記リセスモデル構築工程で構築したリセスモデルと、前記入力工程で入力されたピストンに関する情報並びにピストンリング溝の位置及び形状に関する情報とに基づいて、前記ピストン頂部モデル構築工程で構築するピストン頂部モデルとは別個に、又は該ピストン頂部モデルを含めて、リセス及びピストンリング溝を備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築工程と、
    前記ピストン構築工程で構築したピストンモデルに基づいて、該ピストンモデルにおけるリセスとピストンリング溝との間の肉厚の最小値を演算するリセス肉厚演算工程と、
    をさらに実行させることを特徴とする請求項に記載のピストン設計支援プログラム。
  6. 前記入力工程は、ピストンの側周面に形成するピストンリング溝の少なくとも形状に関する情報の入力をさらに受け付ける工程であり、
    コンピュータに対して、
    前記リセスモデル構築工程で構築したリセスモデルと、前記入力工程で入力されたピストンに関する情報とに基づいて、ピストン頂部モデル構築工程で構築するピストン頂部モデルとは別個に、又は該ピストン頂部モデルを含めて、リセスを備えたピストンモデルを立体で構築するピストン構築工程と、
    前記ピストン構築工程で構築したピストンモデルと、前記入力工程で入力されたピストンリング溝の形状に関する情報とに基づいて、該ピストンリング溝の位置を、前記ピストンモデルにおけるリセスと該ピストンリング溝との間の肉厚の最小値が所定値以上となるように演算する溝位置演算工程と、
    をさらに実行させることを特徴とする請求項に記載のピストン設計支援プログラム。
  7. 前記内燃機関が、ピストンの往復移動方向とバルブの往復移動方向とが不一致となる内燃機関であることを特徴とする請求項1に記載のピストン設計支援プログラム。
  8. 内燃機関のピストン形状の設計を支援するために、コンピュータが実行するピストン設計支援方法であって、
    ストンに関する情報と、バルブに関する情報と、シリンダヘッドにおける燃焼室を形成する面に関する情報と、値の大きさから該燃焼室の容積が決まる容積関連値の目標値と、の入力を受け付ける入力工程と、
    記入力工程で入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、前記ピストンの頂部に形成される、前記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築工程と、
    前記リセスモデル構築工程で構築したリセスモデルと、前記入力工程で入力されたピストンに関する情報、燃焼室を形成する面に関する情報及び容積関連値の目標値とに基づいて、前記燃焼室の容積が、前記容積関連値の目標値から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状を設定して、ピストン頂部モデルを立体で構築するピストン頂部モデル構築工程と、
    前記入力工程で入力されたバルブに関する情報に基づいて、バルブモデルを立体で構築するバルブモデル構築工程と、
    前記ピストン頂部モデル構築工程で構築したピストン頂部モデルのリセスと、前記バルブモデル構築工程で構築したバルブモデルとの間隙を演算する間隙演算工程と、
    を含むことを特徴とするピストン設計支援方法。
  9. 内燃機関のピストン形状の設計を支援するピストン設計支援装置であって、
    ストンに関する情報と、バルブに関する情報と、シリンダヘッドにおける燃焼室を形成する面に関する情報と、値の大きさから該燃焼室の容積が決まる容積関連値の目標値と、の入力を受け付ける入力手段と、
    記入力手段により入力されたピストンに関する情報及びバルブに関する情報に基づいて、前記ピストンの頂部に形成される、前記バルブと対面しかつ該バルブとの間隙が所定条件を満足するリセスモデルを構築するリセスモデル構築手段と、
    前記リセスモデル構築手段により構築されたリセスモデルと、前記入力手段で入力されたピストンに関する情報、燃焼室を形成する面に関する情報及び容積関連値の目標値とに基づいて、前記燃焼室の容積が、前記容積関連値の目標値から決まる目標容積となるようにピストン頂部の形状を設定して、ピストン頂部モデルを立体で構築するピストン頂部モデル構築手段と、
    前記入力手段により入力されたバルブに関する情報に基づいて、バルブモデルを立体で構築するバルブモデル構築手段と、
    前記ピストン頂部モデル構築手段により構築されたピストン頂部モデルのリセスと、前記バルブモデル構築手段により構築されたバルブモデルとの間隙を演算する間隙演算手段と
    含むことを特徴とするピストン設計支援装置。
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