JP2004198808A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004198808A
JP2004198808A JP2002368433A JP2002368433A JP2004198808A JP 2004198808 A JP2004198808 A JP 2004198808A JP 2002368433 A JP2002368433 A JP 2002368433A JP 2002368433 A JP2002368433 A JP 2002368433A JP 2004198808 A JP2004198808 A JP 2004198808A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
voltage
state
crystal display
period
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002368433A
Other languages
English (en)
Inventor
Michio Izumi
倫生 泉
Masakazu Okada
真和 岡田
Takeshi Nozaki
剛 野崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Minolta Co Ltd filed Critical Minolta Co Ltd
Priority to JP2002368433A priority Critical patent/JP2004198808A/ja
Publication of JP2004198808A publication Critical patent/JP2004198808A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

【課題】コレステリック液晶の選択反射能を利用して画像表示する液晶表示素子を単純マトリクス駆動する液晶表示装置であって、画像表示ムラ、特に光反射率の差に基づく表示ムラの抑制された液晶表示装置を提供する。
【解決手段】各走査電極113に所定走査時間間隔Tssで、液晶116をホメオトロピック状態にするためのリセット電圧V1、走査電極113を選択状態とする選択信号電圧V2及び液晶の状態を確立するための維持電圧V3という一群の電圧を順次印加する一方、各信号電極114に走査電極への選択信号電圧印加に同期して選択状態の走査電極に対応する書換え信号電圧V4を印加して画像を表示させ、維持電圧V3は印加期間Trtで印加し、期間Trtは、液晶にそれをホメオトロピック状態にする電圧を印加してホメオトロピック状態とした後放置したとき液晶の反射光強度が飽和反射光強度の5%から95%まで変化するに要する時間Tdとの間にTd×3≦Trt≦Td×12の関係を満足する期間とする、或いは25℃の温度環境において3ms≦Trt≦9msとする。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、液晶表示素子とこれを駆動するための駆動装置などを備えている。
【0003】
液晶表示素子は、基本的に一対の基板とこれら基板間に挟持された液晶とを含んでいる。この液晶に所定の駆動電圧を印加することで液晶分子の配列を制御し、素子に入射される外光を変調して目的とする画像を表示できる。
【0004】
液晶表示素子は様々なものが提案されている。近年、ネマティック液晶にカイラル材料を添加することにより、室温においてコレステリック相を示すようにしたカイラルネマティック液晶などのコレステリック相を示す液晶(コレステリック液晶)を用いた液晶表示素子が研究されている。
【0005】
このタイプの液晶表示素子は、例えば、カイラルネマティック液晶の選択反射能を利用した反射型の液晶表示素子として用いることができる。この反射型液晶表示素子では高低のパルス電圧を印加することにより液晶をプレーナ状態(着色状態)とフォーカルコニック状態(透明状態)に切り替えて表示を行なうことができる。かかる素子は、液晶のプレーナ状態及びフォーカルコニック状態が電圧印加を停止した後も保持されるという、いわゆる双安定性或いはメモリー性を示し、これにより、電圧の印加を停止した後も表示が保たれるようにすることが可能である。
【0006】
この反射型の液晶表示素子には、黒色などの背景色を利用したモノクロ(モノカラー)画像表示や2色画像表示及びフルカラー画像表示を行うものがある。
【0007】
例えば、フルカラー表示を実現する一つの方法として、赤色表示を行う赤色液晶層、緑色表示を行う緑色液晶層及び青色表示を行う青色液晶層の少なくとも三つの液晶層を含む積層型液晶表示素子を採用することができる。かかる積層型液晶表示素子では、プレーナ状態(着色状態)のときに赤色、緑色、青色等を表示でき、フォーカルコニック状態(透明状態)のときに黒色などの背景色を表示できる。
【0008】
このような液晶表示素子では、通常、一対の基板にそれぞれ電極が形成されており、これら基板は電極形成面が互いに向かい合うように配置されている。例えば、マトリクス駆動される複数の画素で構成された画面を有する液晶表示素子では、一対の基板のうち一方の基板に所定間隔をおいて平行に並んだ複数本の走査電極(又は信号電極)が、他方の基板に所定間隔をおいて平行に並んだ複数本の信号電極(又は走査電極)が平面からみてそれらが互いに交差するように形成されている。該両基板に形成された電極が交差する各部分が画素を構成する。
【0009】
この両基板に形成された各電極が液晶表示素子を駆動するための駆動装置に接続される。これら電極に接続された駆動装置から両電極に所定の駆動電圧が印加されて液晶が駆動されることで目的とする画像が表示される。
かかる液晶表示素子の駆動方法として、例えば、単純マトリクス駆動方法を挙げることができる。
【0010】
単純マトリクス駆動方法では、液晶表示素子を駆動する駆動装置として、例えば、複数の走査電極に接続され、走査電極に所定の選択信号電圧を供給する走査駆動IC、及び複数の信号電極に接続され、信号電極に所定の書換え信号電圧を供給する信号駆動ICを含んでいる駆動装置を用いる。走査電極に接続される走査駆動ICから一定の走査時間間隔をおいて走査電極ごとに所定の選択信号電圧を順次印加して各走査電極を順次選択状態とする一方、信号電極に接続される信号駆動ICから、各走査電極に印加される選択信号電圧に同期して信号電極ごとに所定の書換え信号電圧を印加することで前記選択信号電圧と前記書換え信号電圧との電位差の電圧を前記液晶に印加して該液晶を駆動する。
【0011】
また、コレステリック液晶の選択反射能を利用して画像表示できる液晶表示素子の単純マトリクス駆動では、コレステリック液晶の特性を考慮して、各走査電極に選択信号電圧を印加するにあたり、該選択信号電圧の印加の前に液晶をホメオトロピック状態にするための電圧を印加し、その後に選択電圧を印加し、さらにその後、選択信号電圧と書換え信号電圧との電位差により決定される液晶最終状態を確立するための電圧を印加することが提案されている(米国特許第5,748,277号、特表2000−514932号公報)。
【特許文献1】米国特許第5,748,277号
【特許文献2】特表2000−514932号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コレステリック液晶の選択反射能を利用して画像表示できる液晶表示素子の単純マトリクス駆動において、各走査電極に所定走査時間間隔で、液晶をホメオトロピック状態にするためのリセット電圧、走査電極を選択状態とする選択信号電圧及び液晶の状態を確立するための維持電圧という一群の電圧を順次印加する一方、各信号電極に走査電極への選択信号電圧印加に同期して選択状態の走査電極に対応する書換え信号電圧を印加して画像を表示させる場合には、しばしば画面各部間での光反射率差による画像表示ムラが発生する。
【0013】
そこで本発明は、コレステリック液晶の選択反射能を利用して画像表示する液晶表示素子を有する液晶表示装置であって、画像表示ムラ、特に光反射率の差に基づく表示ムラの抑制された液晶表示装置を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決するため研究を重ね次の知見を得た。
TN型液晶表示素子やSTN型液晶表示素子などでは表示原理上の必要性から配向膜が設けられる。コレステリック液晶の選択反射能を利用して画像表示する液晶表示素子においても原理上必須ではないが、素子特性の安定化等の目的で、液晶層を挟む一対の基板のうち少なくとも一方にポリイミドなどからなる配向膜が形成されたり、基板面に配向処理が施されることがある。例えば配向膜を設ける場合は、図16(A)に例示するように、配向膜印刷形成時の印刷ムラ、印刷した配向膜の乾燥ムラ等により配向膜各部間で液晶分子の向きを制御するプレチルト角にムラが生じることがある。換言すれば、配向膜各部間でプレチルト角の大小等が生じることがある。基板面に配向処理を施す場合にもプレチルト角にムラが生じることがある。
【0015】
このようにプレチルト角にムラがあると、液晶に選択信号電圧と書換え信号電圧との電位差による駆動電圧を印加して液晶の最終状態(例えばフォーカルコニック状態とプレーナ状態とが混在した中間調状態)を決定したあと、前記の維持電圧を印加したとき、該維持電圧印加期間(Trt)が長いと、図16(A)に例示するように、液晶分子が配向膜の設けられた又は配向処理の施された基板面(配向面)の状態に揃ってしまう傾向があるものと推定され、それにより配向面のプレチルト角が小さい領域に臨む液晶の反射率とプレチルト角が大きい領域に臨む液晶の反射率とが、例えば前者が18%、後者が15%というようにその光反射率R(%)の差ΔR(%)が3%となり、液晶表示素子を観察したときその差がムラとして視認されやすい。
【0016】
しかし、維持電圧印加期間(Trt)を短くすると、図16(B)に例示するように、液晶分子が配向面の状態に揃ってしまうことが抑制されるものと推定され、配向面のプレチルト角が小さい領域に臨む液晶の反射率とプレチルト角が大きい領域に臨む液晶の反射率とが、例えば前者が17%、後者が16%というようにその光反射率差ΔR%が1%と小さくなり、液晶表示素子を観察したとき、その差がムラとして視認され難くなる。
【0017】
維持電圧印加期間Trtを、
(1) 液晶をそれにホメオトロピック状態とする電圧を印加してホメオトロピック状態とした後電圧印加を停止して放置したとき該液晶の反射光強度が飽和反射光強度の5%から95%まで変化するに要する時間がTdであるとき、Tdの12倍程度以下、或いは(2) 25℃の温度環境を基準としたときにTrt≦9ミリ秒(9ms)程度
とすれば、素子各部間での光反射率差が少なくなり、反射率差によるムラが視認されにくくなる。
【0018】
以上の知見に基づき本発明は次の液晶表示装置を提供する。
本発明が提供する液晶表示装置は、コレステリック液晶の選択反射を利用して画像表示を行う液晶表示素子と、該液晶表示素子を駆動するための駆動装置とを備えた液晶表示装置である。
【0019】
該駆動装置は、前記液晶をホメオトロピック状態にするための電圧を液晶に印加するリセット期間、最終的な液晶の状態を選択するための電圧を印加する選択期間及び選択期間で選択される状態を確立するための電圧を印加する維持期間を有する駆動電圧を印加して画像を表示させる。
典型的には、液晶表示素子は液晶層を介して交差する複数の走査電極及び複数の信号電極を有するものである。また、典型的には、駆動装置は単純マトリクス駆動により液晶表示素子を駆動するものであり、各走査電極に所定走査時間間隔で、液晶をホメオトロピック状態にするためのリセット電圧、走査電極を選択状態とする選択信号電圧及び液晶の状態を確立するための維持電圧という一群の電圧を順次印加する一方、各信号電極に前記走査電極への選択信号電圧印加に同期して選択状態の走査電極に対応する書換え信号電圧を印加して画像を表示させるものである。
【0020】
維持期間Trtは、
(1) 液晶に前記リセット電圧を印加してホメオトロピック状態とした後電圧印加を停止して放置したとき液晶表示素子の反射光強度が飽和反射光強度の5%から95%まで変化するに要する時間Tdとの間にTrt≦Td×12、より好ましくはTd×3≦Trt≦Td×12の関係を満足する期間、或いは
(2) 25℃の温度環境を基準としたときに9ミリ秒(9ms)以下、より好ましくは3ミリ秒(3ms)以上9ミリ秒(9ms)以下である。
前記(1) におけるTd×3、(2) における3ミリ秒(3ms)はコントラスト低下抑制の観点から選ばれた値である。
【0021】
前記Tdは液晶がリセット電圧の印加によりホメオトロピック状態とされ、その後該リセット電圧印加が停止されてから状態変化して一定の状態に達するに要する時間であり、いわば液晶の立ち下がり時間であり、その液晶の変化のしやすさ、換言すれば、変化しにくさをあらわしていると言える。Tdは、液晶材料の粘度や弾性定数等の、温度特性を持つ物性値と強い相関がある。従って、液晶のTdに応じて表示ムラを抑制するTrtを決定できる。
【0022】
液晶によってTdは異なってはくるが、コレステリック液晶の選択反射を利用して画像表示を行う液晶表示素子に利用されるコレステリック液晶についてみれば、より確実な表示ムラ抑制という観点から、25℃の温度環境下ではTd×12は概ね9ms程度と置き換えてもよく、コントラスト低下の抑制という観点から、25℃の温度環境下ではTd×3は概ね3ms程度と置き換えてもよい。
駆動装置は、液晶表示素子周囲の環境温度に合わせて前記各期間の長さを制御することが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(液晶表示素子、図1参照)
まず、液晶表示素子について説明する。
図1は単純マトリクス駆動方式により駆動できる反射型積層型のフルカラー液晶表示素子の1例の概略構成を示している。
【0024】
この液晶表示素子100は、光吸収層121の上に、赤色の選択反射状態と透明状態の切換えにより表示を行う赤色表示層111Rを配し、その上に緑色の選択反射状態と透明状態の切換えにより表示を行う緑色表示層111Gを積層し、さらに、その上に青色の選択反射状態と透明状態の切換えにより表示を行う青色表示層111Bを積層したものである。
【0025】
各表示層111R、111G、111Bは、それぞれ透明電極113、114を形成した透明基板112間に樹脂製柱状構造物115、液晶116及びスペーサ117を挟持したものである。透明電極113、114上には必要に応じて絶縁膜118、配向膜119が設けられる。基板112の周縁部(表示領域外)には液晶116を封止するためのシール材120が設けられる。
【0026】
透明電極113、114はそれぞれ走査駆動IC131、信号駆動IC132(図2参照)に接続されており、透明電極113、114にそれぞれ所定のパルス電圧が印加される。この印加電圧に応答して、液晶116の表示が可視光を透過する透明状態と特定波長の可視光を選択的に反射する選択反射状態との間で切り換えられる。印加電圧によっては透明状態と選択反射状態の混在した中間調表示も可能である。
【0027】
各表示層111R、111G、111Bに設けられている透明電極113、114は、それぞれ微細な間隔を保って平行に並べられた複数の帯状電極よりなり、その帯状電極の並ぶ向きが平面から見て互いに直角方向となるように対向させてある。これら上下の帯状電極に順次通電が行われる。即ち、各液晶116に対してマトリクス状に順次電圧が印加されて表示が行われる。これをマトリクス駆動と称し、電極113、114が交差する部分が各画素を構成する。このようなマトリクス駆動を各表示層ごとに行うことにより液晶表示素子100にフルカラー画像の表示を行える。
【0028】
表示層111R、111G、111Bを積層した液晶表示素子100は、青色表示層111B及び緑色表示層111Gを液晶分子がフォーカルコニック配列となった透明状態とし、赤色表示層111Rを液晶分子がプレーナ配列となった選択反射状態とすることにより、赤色表示を行うことができる。また、青色表示層111Bを液晶分子がフォーカルコニック配列となった透明状態とし、緑色表示層111G及び赤色表示層111Rを液晶分子がプレーナ配列となった選択反射状態とすることにより、イエローの表示を行うことができる。同様に、各表示層の状態を透明状態と選択反射状態とを適宜選択することにより赤色、緑色、青色、白色、シアン、マゼンタ、イエロー、黒色の表示が可能である。さらに、各表示層111R、111G、111Bの状態として中間の選択反射状態を選択することにより中間色の表示が可能となり、フルカラー表示素子として利用できる。
【0029】
液晶116としては、室温でコレステリック相を示すコレステリック液晶が採用される。特に、ネマチック液晶にコレステリック相を示すのに十分な量のカイラル材を添加することによって得られるカイラルネマチック液晶が好適である。
【0030】
カイラル材は、ネマチック液晶に添加された場合にネマチック液晶の分子を捩じる作用を有する添加剤である。カイラル材をネマチック液晶に添加することにより、所定の捩じれ間隔を有する液晶分子の螺旋構造が生じ、これによりコレステリック相を示す。
【0031】
なお、液晶表示層は必ずしもこの構成に限定されるわけではなく、樹脂製構造物が堰状になったものや、樹脂製構造物を省略したものであってもよい。また、従来公知の高分子の3次元網目構造のなかに液晶が分散された、あるいは、液晶中に高分子の3次元網目構造が形成された、いわゆる高分子分散型の液晶複合膜として液晶表示層を構成することも可能である。
配向膜には必要に応じラビング処理を施してもよい。基板としてはガラス基板、樹脂フィルム基板等を採用できる。
また、液晶表示素子は3層だけでなく2つの素子を積層したものや4つの素子を積層したものであってもよいし、単層型の素子であってもよい。2層積層型素子の例としては、青色の選択反射を行う素子と黄色の選択反射を行う素子とを積層し両者を同時に駆動することで白黒表示を行う積層型モノクロ表示素子が挙げられる。4層積層型素子の例としては、上記3層積層型素子に黄色の選択反射を行う素子を追加したものが挙げられる。単層型素子の例としては、選択反射ピークがブロードな特性を示す液晶を用いたモノクロ表示素子や、黄色の選択反射を行う液晶を用いた素子と青色の光吸収層とを備えることにより、青白表示を行うモノカラー表示素子が挙げられる。
【0032】
(駆動回路、図2及び図3参照)
図2に液晶表示層に駆動電圧を印加する駆動装置の主要部である駆動回路の1例のブロック図を示し、図3に図2に示す駆動回路の詳細な構成を示す。なお、図3に示したロジック電源、ロジックレベルシフタは図2では図示を省略している。
前記液晶表示素子100及び図2、図3に示す駆動装置によって液晶表示装置が構成される。
【0033】
この液晶表示装置では、後述する制御部CONTにて画像メモリ138に記憶された画像データに基づいてLCDコントローラ136が駆動IC131、132を制御し、液晶表示素子100のそれぞれの走査電極及び信号電極間に順次電圧を印加し、液晶表示素子100に画像を書き込む。
【0034】
なお、図2及び図3では、赤色、緑色、青色の各表示層のうちのいずれかの表示層に駆動IC131、132を設けた状態を示しているが、実際には駆動IC131、132は赤色、緑色、青色の各表示層ごとにそれぞれ設けてある(すなわち3系統設けてある)。赤色、緑色、青色の各表示層ごとにそれぞれIC131、132を設ける(すなわち3系統設ける)代わりに、駆動IC131又は132のいずれかを各表示層で共用することも可能である。なお、単層の液晶表示素子の場合は駆動ICが1系統のみとなる点が本実施形態と異なるだけで、他の事項は全て単層の液晶表示素子にも当てはまる。
【0035】
図2及び図3に示す駆動装置は、走査駆動IC(ドライバ)131、信号駆動IC(ドライバ)132、制御部CONT及び電源140を含んでいる。
【0036】
制御部CONTは、全体の制御を行う中央処理装置(CPU)135と、駆動ICを制御するLCDコントローラ136と、画像データに各種の処理を施す画像処理装置137と、画像データを記憶する画像メモリ138とを備えており、電源140から電力が供給される。この制御部CONTは、信号駆動IC132に接続されているとともに、ロジックレベルシフタを介して走査駆動IC131に接続されている。なお、ロジックレベルシフタは走査駆動ICに供給する電圧に対応するグランド(GND)が0Vであるべきところ電位が変化したときの補償のために該電位をシフトさせ、0Vにもどす回路である。LCDコントローラ136はCPU135からの指示により、画像メモリ138を参照しながら各駆動ICを駆動する。液晶表示装置内には、液晶表示素子近傍の環境温度を測定するための温度センサ150が設けられており、中央処理装置135に環境温度情報を与えるようになっている。
【0037】
液晶表示素子100の画素構成は、図2に示すように、複数本の走査電極113(図2ではR1、R2〜Rm)と信号電極114(図2ではC1、C2〜Cn)(m、nは自然数)とのマトリクスで表される。走査電極R1、R2〜Rmは走査駆動IC131の出力端子に接続され、信号電極C1、C2〜Cnは信号駆動IC132の出力端子に接続される。
【0038】
走査駆動IC131は、既述のとおり走査電極R1、R2〜Rmに接続される一方、制御部CONTに接続されるとともに電源140に接続され、制御部CONTの指示のもと電源140から出力される複数種類からなる一群の電圧(ここでは、リセット電圧(+V1、−V1)、選択信号電圧(+V2、−V2)、維持電圧(+V3、−V3))を走査電極R1、R2〜Rmに印加する。リセット電圧、選択信号電圧、維持電圧はここではいずれもパルス電圧である。
【0039】
走査電極に駆動電圧+V1〜+V3、−V1〜−V3のそれぞれを供給するための接続線の途中には、いずれも該電圧に対応するグランド(GND)に接続された電圧安定化用のコンデンサCが接続されている。なお、走査駆動IC131に接続されているロジック電源は走査駆動ICに電力を供給するための電源である。
【0040】
信号駆動IC132は、既述のとおり信号電極C1、C2〜Cnに接続される一方、制御部CONTに接続されるとともに電源140に接続され、制御部CONTの指示のもと電源140から出力される駆動電圧(書換え信号電圧(+V4、−V4))を信号電極C1、C2〜Cnに印加する。
【0041】
信号電極に各駆動電圧+V4、−V4を供給するための接続線の途中には、いずれも該電圧に対応するグランド(GND)に接続された電圧安定化用のコンデンサCが接続されている。
【0042】
さらに説明すると、走査駆動IC131は、制御部CONTの指示のもと、走査電極R1、R2〜Rmのうち所定のものに選択信号を出力して選択状態とする一方、他の電極には非選択信号を出力して非選択状態とする。走査駆動IC131は、所定の走査時間間隔で電極を切り換えながら順次各走査電極R1、R2〜Rmに選択信号を印加してゆく。一方、信号駆動IC132は、制御部CONTの指示のもと、選択状態にある走査電極R1、R2〜Rm上の各画素を書き換えるべく、画像データに応じた信号を各信号電極C1、C2〜Cnに同時に出力する。例えば、走査電極Raが選択されると(aはa≦mを満たす自然数)、この走査電極Raと各信号電極C1、C2〜Cnとの交差部分の画素LRa−C1〜LRa−Cnが同時に書き換えられる。これにより、各画素における走査電極に印加される選択パルスと信号電極に印加される信号パルスとの電圧差が画素書換えのための電圧となり、各画素がこの電圧に応じて書き換えられる。
【0043】
制御部CONTは、液晶表示素子100のマトリクス駆動のための各フレームの走査において走査電極R1、R2〜Rmへ印加する駆動電圧の極性を、各フレームにおいては単一極性とし、フレーム毎に反転させるように走査駆動IC131を制御する。さらに言えば、ここでは奇数番目フレームの走査においては走査駆動IC131にて正のリセットパルス+V1、正の選択パルス+V2及び正の維持パルス+V3という一群の電圧を順次各走査電極R1、R2〜Rmに印加するとともに信号駆動IC132にて信号パルス±V4を各信号電極C1、C2〜Cnに印加する。偶数番目フレームの走査においては走査駆動IC131にて負のリセットパルス−V1、負の選択パルス−V2及び負の維持パルス−V3という一群の電圧を順次各走査電極R1、R2〜Rmに印加するとともに信号駆動IC132にて信号パルス±V4を各信号電極C1、C2〜Cnに印加する(図4から図6参照)。
【0044】
このとき、選択パルス(+V2、−V2)の印加時間Tspは走査時間Tssの2分の1とし、信号パルス±V4を走査時間Tss内で極性が変化する電圧であって正負の実効電圧が走査時間Tss内において等しい又は略等しい電圧とする。さらに、信号パルスが、走査時間内で正電圧である時間の合計と負電圧である時間の合計のそれぞれが選択パルスの印加時間Tspと同長になるようにする。制御部CONTは選択パルス(+V2、−V2)の印加時間Tspを走査時間Tssの2分の1とするように走査駆動IC131を制御し、信号パルス±V4を走査時間Tss内で極性が変化するとともに正負の実効電圧が走査時間Tss内において等しい又は略等しい電圧とし、且つ、該信号パルスが、走査時間内で正電圧である時間の合計と負電圧である時間の合計のそれぞれが選択パルス(+V2、−V2)の印加時間と同長になるように信号駆動IC132を制御する。これについては後述する駆動原理及び基本駆動例のところで詳しく説明する。
【0045】
なお、ここでは信号パルス±V4は、デューティ比が50%で、さらに正負電圧(+V4、−V4)の絶対値が同じである矩形パルスとしている。
【0046】
この駆動装置において、電源140は正負両方の電圧を少なくとも駆動動作中常に供給する電源であり、走査電極R1、R2〜Rmへの駆動電圧の印加は電源140に接続された走査駆動ICにより行っている。しかし、それに限定されるものではなく、走査電極R1、R2〜Rmへの駆動電圧の印加を出力電圧の正負切り替え可能である電源に接続された走査駆動ICにより行ってもよい。
【0047】
図7及び図8に図3に示す駆動回路の他の構成例を示す。
図7及び図8に示す回路構成では、図3に示す回路構成において電源140と走査駆動ICとの間に電源切替回路141を配置してある。電源140と電源切替回路141とで出力電圧の正負切り替え可能である電源140’を構成している。電源140’は制御部CONTに接続されており、4個のスイッチング素子SW1〜SW4を有している。
【0048】
素子SW1〜SW4は、制御部CONTの指示のもと、正の電圧を印加する状態(図中1側)又は負の電圧を印加する状態(図中2側)に同時切り換えられ、1側の状態にあるときは電源140からの正の電圧+V1、+V2、+V3を、2側の状態にあるときは電源140からの負の電圧−V1、−V2、−V3を走査駆動IC131に供給できる。
【0049】
図7及び図8に示す回路構成の駆動装置では、制御部CONTは走査駆動IC131に供給する電圧をフレーム毎に正の電圧+V1、+V3、+V2から負の電圧−V2、−V3、−V1に、又はその逆に切り替えることで走査電極113へ印加する駆動電圧の極性を、各フレームにおいては単一極性とし、フレーム毎に反転させるように電源140’及び走査駆動IC131を制御する。この駆動装置によると、簡単な回路構成で液晶表示素子の駆動を実現できる。なお、図7は素子SW1〜SW4が1側に切り換えられた奇数番目フレームの状態を示しており、図8は素子SW1〜SW4が2側に切り換えられた偶数番目フレームの状態を示している。
【0050】
画像の書換えは通常全ての走査ラインを順次選択して行う。部分的に書換える場合は、書き換えるべき部分を含むように特定の走査ラインのみを順次選択するようにすればよい。これにより、必要な部分のみを短時間で書き換えることができる。図7及び図8に示す回路構成では、走査駆動ICに供給される電圧は、図3の構成に比べて2分の1になっている。従って、走査駆動ICは図3の構成よりも安価な耐圧の低いものを使用することが可能である。
【0051】
(駆動原理及び基本駆動例、図4から図6及び図9から図11参照)
まず、前記液晶表示素子100の駆動方法の基本原理について説明する。なお、ここでは、パルス波形を用いた具体例を挙げて説明するが、駆動方法がこの波形に限定されないことはいうまでもない。
【0052】
図4(A)は走査駆動IC131から各走査電極に出力される奇数番目フレームの基本駆動波形の一例を示す図であり、図4(B)は走査駆動IC131から各走査電極に出力される偶数番目フレームの基本駆動波形の一例を示す図である。
【0053】
また、図5及び図6は走査駆動IC131から各走査電極(ロウ電極)に出力される電圧波形、信号駆動IC132から一部の信号電極(カラム電極)に出力される電圧波形、及びこれらの電圧により各画素に対応する液晶116部分(図ではLCD1〜LCD28として示す)に印加される電圧波形を示す図であり、図5に該電圧波形のうちの奇数番目フレームのためのものを、図6に該電圧波形のうちの偶数番目フレームのためのものを示す。
【0054】
図5及び図6では、複数の走査電極113(図では28本のロウ1、2〜28)に順次選択パルスを出力し、複数の信号電極114のうちの一つを抜き出した一の信号電極(図ではカラムb(bはb≦nを満たす自然数)として示す)について、該カラムbから信号パルスを出力する基本駆動例を示している。
【0055】
カラムbから出力される信号パルス波形は、ここではいずれの走査時間Tssにおいても液晶の選択反射状態を選択するパルスが順次出力されるものとして図示しているが、各走査時間Tssにおいて液晶の透明状態、液晶の選択反射状態及びそれらの混在状態をそれぞれ選択する信号パルス波形をカラムbから出力することもできる。これについてはのちほど詳述する。
【0056】
また、図中LCD1、2〜28は走査電極(ロウ1、2〜28)と信号電極(カラムb)とが交差する画素に対応する液晶であり、該画素に対応する液晶に印加される電圧波形が示されている。なお、液晶には信号電極に印加される信号パスルによるクロストークパルスが印加される。これについてものちほど説明するので、図5及び図6ではクロストークパルスが印加される領域は太線で示している。
【0057】
この駆動では、既述したように、各フレームの走査において走査電極(ロウ1、2〜28)に印加する駆動電圧の極性を、各フレームにおいては単一極性とし、フレーム毎に反転させている。例えば、走査電極(ロウ1、2〜28)のうちの最初の走査電極1から最後の走査電極28までの1回の走査が完了する1フレームの走査においては前記駆動電圧を単一極性とし、各フレーム毎に前記駆動電圧の極性を反転させている。
【0058】
駆動期間は、大きく分けて、リセット期間Trsと、選択期間Tsと、維持期間Trtと、表示期間Tiとから構成されている。選択期間Tsは、さらに、選択パルス印加期間Tspと、前選択期間Tsz及び後選択期間Tsz’を含んでいる。各期間は液晶表示素子周囲の環境温度に応じて適宜長さに調整される。すなわち、液晶組成物の温度による応答性の変化を補償するように、高温になるほど短く、低温になるほど長くなるように調整される。これによって、各パルスの幅(長さ)も変化する。
維持期間Trtは、Td×3≦Trt≦Td×12或いは25℃の温度環境を基準としたときに3ms≦Trt≦9msになるように設定する。上述の通り維持期間Trtの長さは温度によって調節される。すなわち、環境温度が高くなると短く、低くなると長くされる。本明細書では、一般的な使用環境である常温での特性を重視し25℃の温度環境において維持期間Trtを規定している。なお、維持パルスはその性質上、電圧値を任意に設定することはできず、限られた電圧範囲で設定する必要がある。例えば、後述する実験例の条件では維持電圧の可変幅は±0.75V程度である。維持パルス電圧値が大き過ぎたり小さ過ぎたりすると所望のコントラストに制御できなくなる。従って、現実的には使用する温度環境により維持パルスの電圧値がほぼ決まってくる。
【0059】
ここでTdとは液晶ごとに定まる値であり、図1に示すように複数の液晶層を含む積層型液晶表示素子の場合は各液晶層それぞれについて、また、液晶層が単層の液晶表示素子についてはその液晶層について定まる値である。
図12に示すように、Tdを求めるべき液晶をそれにホメオトロピック状態とする電圧を印加してホメオトロピック状態とした後電圧印加を停止して放置したとき該液晶の反射光強度Rが飽和に達したときの反射光強度を100%としたとき、反射光強度が5%から95%まで変化するに要する時間がTdである。
【0060】
図4から図6に示すように、基本駆動波形において、リセット期間Trsではリセットパルス(奇数番目フレームでは正パルス+V1、偶数番目フレームでは負パルス−V1)が印加される。選択期間Tsにおいては、選択パルス印加期間Tspで選択パルス(奇数番目フレームでは正パルス+V2、偶数番目フレームでは負パルス−V2)が印加される。さらに、この期間Tspを含む走査期間Tssでは信号駆動IC132から信号パルス±V4が重畳される。この信号パルス±V4は画像データに基づいて設定される電圧である。信号パルス±V4は、ここでは、デューティ比が50%で、さらに正負電圧(+V4、−V4)の絶対値が同じである矩形パルスである。また、基本駆動波形において、前選択期間Tsz及び後選択期間Tsz’は電圧ゼロの期間である。さらに、維持期間Trtでは維持パルス(奇数番目フレームでは正パルス+V3、偶数番目フレームでは負パルス−V3)が印加される。
【0061】
液晶の動作は以下のとおりである。まず、リセット期間Trsで+V1(奇数番目フレーム)又は−V1(偶数番目フレーム)のリセットパルスが印加されると、液晶はホメオトロピック状態にリセットされる。次に、前選択期間Tszを経て(液晶は捩じれが少しだけ戻る)選択パルス印加期間Tspに到る。ここで印加される選択パルスの波形は、最終的にプレーナ状態を選択する画素と、フォーカルコニック状態を選択する画素とで異なる。
【0062】
なお図4から図6にはプレーナ状態を選択する場合について示しているが、フォーカルコニック状態を選択する場合には、信号パルスの位相をプレーナ状態を選択する場合より半周期分ずらせばよく、両状態の混在状態(中間調)状態を選択するには、信号パルスの位相を半周期より短く或いは長くずらせばよい。例えば1/4周期分ずらせばよい(図11参照)。
【0063】
まず、プレーナ状態を選択する場合を説明する。この場合には、液晶に選択パルス印加期間Tspで〔(+V2)−(−V4)〕(奇数番目フレーム)(図5、図9参照)又は〔(−V2)−(+V4)〕(偶数番目フレーム)(図6参照)の電圧を印加し、再び液晶をホメオトロピック状態にする。その後、後選択期間Tsz’で液晶は捩じれが少しだけ戻った状態になる。その後、維持期間Trtで+V3(奇数番目フレーム)又は−V3(偶数番目フレーム)の維持パルスを印加すると、先の後選択期間Tsz’で捩じれが少しだけ戻った状態になった液晶は、維持パルスが印加されることにより再び捩じれが解け、ホメオトロピック状態になる。なお、図9〜図11においてLCDxは、ロウaに出力される選択パルス波形及びカラムbに出力される信号パルス波形の双方が印加される液晶をあらわしている。
【0064】
ここで、ホメオトロピック状態の液晶は電圧をゼロにすることによりプレーナ状態となり、プレーナ状態のまま固定される。
【0065】
一方、最終的にフォーカルコニック状態を選択する場合には、選択パルス印加期間Tspで(+V2)−(+V4)(奇数番目フレーム)(図10参照)又は(−V2)−(−V4)(偶数番目フレーム)の電圧を印加する。そして、後選択期間Tsz’では、液晶は捩じれが戻ってヘリカルピッチが2倍程度に広がった状態になる。
【0066】
その後、維持期間Trtで維持パルス+V3(奇数番目フレーム)又は−V3(偶数番目フレーム)を印加する。後選択期間Tsz’で捩じれが戻ってきた液晶は、この維持パルスを印加することにより、フォーカルコニック状態へと遷移する。ここで、フォーカルコニック状態の液晶は電圧をゼロにしても、フォーカルコニック状態のまま固定される。
【0067】
中間調状態を選択するには、例えば信号パルスの位相を1/4周期分ずらすときには、奇数番目フレームについては図11に示すように、選択パルス印加期間Tspの1/2の期間で〔(+V2)−(+V4)〕を、引き続き残る1/2の期間で〔(+V2)−(−V4)〕を印加し、偶数番目フレームについてはTsp/2の期間で〔(−V2)−(−V4)〕を、引き続き残るTsp/2の期間で〔(−V2)−(+V4)〕を印加すればよい。
【0068】
以上説明した液晶表示装置によると、液晶表示素子100のマトリクス駆動のための各フレームの走査において走査電極113へ印加する駆動電圧の極性を、各フレームにおいては単一極性とし、フレーム毎に反転させるので、それだけ各フレームにおいて液晶116に印加される電圧の単一極性の状態が連続して続く時間を長くできる。これにより、液晶116に印加する電圧として、例えば、各フレームにおいて電圧波形の極性が周期的に変化する交番電圧を採用する場合に比べ、液晶116に印加される電圧の実質的な波形繰り返し周波数を下げることができるとともに走査電極113へ印加する駆動電圧の電圧値を2分の1にすることができ、それだけ液晶表示素子100を駆動するための消費電力を低下させることができる。従って、液晶表示素子100を駆動するための消費電力を小さくできる。
【0069】
また、図5及び図6の太線で示すように、どの画素に対応する液晶LCD1、LCD2〜LCD28に印加される電圧波形も信号電極に印加される信号パルスによるクロストークを受ける。
【0070】
しかし、ここではロウaに印加される選択パスルを、印加時間Tspを走査時間Tssの2分の1にした電圧とし、カラムbに印加される信号パルスを、デューティ比が50%で、さらに正負電圧の絶対値が同じである矩形パルスとすることで、各画素に対応する液晶LCD1、LCD2〜LCD28に印加されるクロストークによる電圧を実質上一定にでき、これにより該クロストークを受けたときの画像表示におけるシャードーイングが抑制される。
【0071】
また、維持期間Trtの長さがTd×3≦Trt≦Td×12或いは25℃の温度環境において3ms≦Trt≦9msに設定されることで、画像表示ムラ、特に配向膜各部におけるプレチルト角等のムラによる画面各部間の光反射率の差による表示ムラが抑制される。
【0072】
次に、維持期間TrtはTd×3≦Trt≦Td×12或いは25℃の温度環境において3ms≦Trt≦9msに設定する根拠となった実験について説明する。
単層の液晶層を含む第1、第2の液晶表示素子を準備した。
【0073】
<第1の液晶表示素子>
液晶層:ネマチック液晶ZLI1565 82.1重量部に
カイラル剤CB15 13.2重量部及びカイラル剤R1011 4.7重量部を混合したカイラルネマチック液晶(粘度49c.P.)(材料はいずれもメルク社製)
一対の基板:厚さ0.7mmの透明ガラス基板(観察側とは反対側基板の外面は青色に着色)
基板上電極:ITO透明シート電極 抵抗10Ω/□
電極上配向膜:ポリイミド膜
基板間ギャップ:スペーサにより5.5μm
【0074】
<第2の液晶表示素子>
液晶層:ネマチック液晶BL006 82.0重量部に
カイラル剤CB15 15.0重量部及びカイラル剤R1011 3.0重量部を混合したカイラルネマチック液晶(粘度120c.P.)(材料はいずれもメルク社製)
基板、電極、配向膜、基板間ギャップは第1液晶表示素子と同じ。
【0075】
第1、第2の素子による、液晶層がフォーカルコニック状態時の表示(FC表示)、プレーナ状態時の表示(PL表示)における波長−光反射率の関係は、いずれも概ね図13に示すものである。ピーク選択反射波長は略590nmである。フォーカルコニック状態では青色が表示され、プレーナ状態では白色が表示される。
【0076】
第1、第2の素子について、25℃の温度環境下で以下に示す各種の測定を行った。まず、前記Tdの測定を図14に示す方法で行った。すなわち、素子の液晶層にパルス発生装置により駆動電圧を印加して該液晶層をホメオトロピック状態とし、その後電圧印加を停止し、該素子にリング照明具で光照射し、素子からの反射光を実体顕微鏡を介して光電変換素子(ここではフォトダイオード)にて光電変換し、さらに電流電圧変換装置にて電圧に変換してオシロスコープで観測した。駆動電圧として±50V、100Hzの交番矩形波パルス電圧を用いた。その結果、第1の素子はTd=0.8ms、第2の素子はTd=1.0msであった。なお、図14に示すように、測定中はサーミスタにより液晶表示素子近傍の温度を測定し、環境温度が一定温度に保たれていることをモニタで確認した。
【0077】
次に、第1、第2の素子のそれぞれを、既述の走査電極には液晶をホメオトロピック状態にするためのリセット電圧、走査電極を選択状態とする選択信号電圧及び液晶の状態を確立するための維持電圧という一群の電圧を印加する一方、信号電極に走査電極への選択信号電圧印加に同期して信号電圧を印加するという方法で、次の条件で駆動した。
【0078】
走査期間Tss=0.7ms
リセット電圧V1=+40V、リセット期間Trs=48ms
前選択期間Tsz=0.28ms
選択パルス電圧V2=+20.5V、選択パルス印加期間Tsp=0.07ms
(Tss−Tsz−Tsp)=0.35ms
維持パルス電圧V3=+28V
信号パルス電圧=±4.5Vとし、
維持期間Trtは種々変化させた。
【0079】
その結果、維持期間Trtと素子の反射率ムラΔR(%)(素子における最大反射率と最小反射率との差)の関係は図15に示すようになった。また、Trtが1ms〜5msのときにおける590nm波長光に対する素子のFC表示時の反射率(%)、PL表示時の反射率(%)及びコントラストは次表のようになった。なお、光反射率はいずれも分光測色計CM3700d(ミノルタ社製)を用いて求めた。
【0080】
Figure 2004198808
【0081】
ΔR(%)≦2.5%であれば画像ムラが視認されにくく実用上許容できる。
図15から分かるように、Td=0.8msの液晶表示素子においてΔR(%)≦2.5%を満足する維持期間Trt≒10msであり、Td=1.0msの液晶表示素子ではTrt≒12msである。このことから、いずれにしてもTrtは(Td×12)程度以下が望ましいことが分かる。
【0082】
コントラストは4程度以上なら実用上許容できる。従って前記表から、Trtの下限値は3ms程度或いは(Td×3)程度が好ましいと言える。
【0083】
なお、走査電極への電圧印加は前記したようなフレームごとのプラス、マイナスの反転電圧印加である必要はなく、いずれのフレームについても交番電圧印加であってもよい。図17は走査駆動ICから各走査電極に交番電圧を印加する基本駆動波形の一例を示しており、図18は走査駆動ICから各走査電極(ロウ電極)に出力される電圧波形、信号駆動ICから一部の信号電極(カラム電極)に出力される電圧波形、及びこれらの電圧により各画素に対応する液晶116部分(図ではLCD1〜LCD28として示す)に印加される電圧波形の例を示している。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、コレステリック液晶の選択反射能を利用して画像表示する液晶表示素子を単純マトリクス駆動する液晶表示装置であって、画像表示ムラ、特に光反射率の差に基づく表示ムラの抑制された液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単純マトリクス駆動方式により駆動できる反射型積層型液晶表示素子の概略構成を示す断面図である。
【図2】液晶層に駆動電圧を印加する駆動装置の主要部である駆動回路の1例のブロック図である。
【図3】図2に示す駆動回路の詳細な構成の一例を示す図である。
【図4】図4(A)は走査駆動ICから各走査電極に出力される奇数番目フレームの基本駆動波形を示す図であり、図4(B)は走査駆動ICから各走査電極に出力される偶数番目フレームの基本駆動波形を示す図である。
【図5】走査駆動ICから各走査電極に出力される電圧波形、信号駆動ICから一部の信号電極に出力される電圧波形、及びこれらの電圧により各画素に対応する液晶に印加される電圧波形を示す図であり、該電圧波形のうちの奇数番目フレームのものを示す図である。
【図6】走査駆動ICから各走査電極に出力される電圧波形、信号駆動ICから一部の信号電極に出力される電圧波形、及びこれらの電圧により各画素に対応する液晶に印加される電圧波形を示す図であり、該電圧波形のうちの偶数番目フレームのものを示す図である。
【図7】図3に示す駆動回路の他の構成例を示す図であり、スイッチング素子が1側に切り換えられた奇数番目フレームの状態を示すものである。
【図8】図4に示す回路構成において、スイッチング素子が2側に切り換えられた偶数番目フレームの状態を示すものである。
【図9】ロウ電極に出力される選択パルス波形、カラム電極に出力される信号パルス波形、これらの電圧によって液晶に印加される電圧波形の選択期間部分を中心とする部分を拡大した図であり、液晶を選択反射状態にする様子を示している。
【図10】図9と同様の図であり、液晶を透明状態にする様子を示している。
【図11】図9と同様の図であり、液晶を中間調表示状態にする様子を示している。
【図12】維持電圧印加期間を決めるための時間Tdを示す図である。
【図13】実験に用いた液晶表示素子のプレーナ状態、フォーカルコニック状態での波長−光反射率の関係を示す図である。
【図14】時間Tdの測定方法を示す図である。
【図15】実験結果を示すグラフである。
【図16】光反射率差により画像表示ムラが生じることを説明する図である。
【図17】液晶表示素子の駆動方法の他の例において走査電極へ印加する基本駆動波形を示す図である。
【図18】図17に示す基本駆動波形を採用した場合の走査電極へ出力される電圧波形、信号電極へ出力される電圧波形及びこれらの電圧により各画素に対応する液晶部分に印加される電圧波形の例を示す図である。
【符号の説明】
100 液晶表示素子
111B 青色表示層
111G 緑色表示層
111R 赤色表示層
112 透明基板
113 透明電極(走査電極、ロウ)
114 透明電極(信号電極、カラム)
115 樹脂製柱状構造物
116 コレステリック相を示す液晶
117 スペーサ
118 絶縁膜
119 配向制御膜
120 シール材
121 光吸収層
131 走査駆動IC(ドライバ)
132 信号駆動IC(ドライバ)
135 中央処理装置(CPU)
136 LCDコントローラ
137 画像処理装置
138 画像メモリ
140 電源
140’ 出力電圧の正負切り替え可能である電源
141 電源切替回路
a 複数のロウのうちの一つを抜き出した一のロウ
b 複数のカラムのうちの一つを抜き出した一のカラム
CONT 制御部
C 電圧安定化用のコンデンサ
C1,C2〜Cn 信号電極
R1,R2〜Rm 走査電極
SW1〜SW4 スイッチング素子
Ti 表示期間
Trs リセット期間
Trt 維持期間
Ts 選択期間
Tsp 選択パルス印加期間
Tss 走査時間
Tsz 前選択期間
Tsz’ 後選択期間
Tw 書換え信号電圧の印加時間
Td 維持電圧印加期間を決めるための液晶の立ち下がり時間

Claims (5)

  1. コレステリック液晶の選択反射を利用して画像表示を行う液晶表示素子と、該液晶表示素子を駆動するための駆動装置とを備えた液晶表示装置であり、該駆動装置は、前記液晶をホメオトロピック状態にするための電圧を液晶に印加するリセット期間、最終的な液晶の状態を選択するための電圧を印加する選択期間及び選択期間で選択される状態を確立するための電圧を印加する維持期間を有する駆動電圧を印加して画像を表示させ、前記維持期間Trtは、前記液晶を該液晶にホメオトロピック状態とする電圧を印加してホメオトロピック状態とした後電圧印加を停止して放置したとき該液晶の反射光強度が飽和反射光強度の5%から95%まで変化するに要する時間Tdとの間にTrt≦Td×12の関係を満足する期間とすることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記維持期間Trtは、Td×3≦Trt≦Td×12の関係を満足する請求項1記載の液晶表示装置。
  3. コレステリック液晶の選択反射を利用して画像表示を行う液晶表示素子と、該液晶表示素子を駆動するための駆動装置とを備えた液晶表示装置であり、該駆動装置は、前記液晶をホメオトロピック状態にするための電圧を液晶に印加するリセット期間、最終的な液晶の状態を選択するための電圧を印加する選択期間及び選択期間で選択される状態を確立するための電圧を印加する維持期間を有する駆動電圧を印加して画像を表示させ、前記維持期間Trtを25℃の温度環境を基準としたときに9ミリ秒以下とすることを特徴とする液晶表示装置。
  4. 前記維持期間Trtは25℃の温度環境を基準としたときに3ミリ秒以上9ミリ秒以下とする請求項3記載の液晶表示装置。
  5. 前記駆動装置は、液晶表示素子周囲の環境温度に合わせて前記各期間の長さを制御する請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置。
JP2002368433A 2002-12-19 2002-12-19 液晶表示装置 Pending JP2004198808A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002368433A JP2004198808A (ja) 2002-12-19 2002-12-19 液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002368433A JP2004198808A (ja) 2002-12-19 2002-12-19 液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004198808A true JP2004198808A (ja) 2004-07-15

Family

ID=32765004

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002368433A Pending JP2004198808A (ja) 2002-12-19 2002-12-19 液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004198808A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011112813A (ja) * 2009-11-26 2011-06-09 Fujitsu Ltd 反射型表示装置
JP2011123116A (ja) * 2009-12-08 2011-06-23 Fujitsu Ltd 液晶駆動方法
US8743041B2 (en) 2008-10-30 2014-06-03 Sharp Kabushiki Kaisha Liquid crystal display drive circuit and liquid crystal display device

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8743041B2 (en) 2008-10-30 2014-06-03 Sharp Kabushiki Kaisha Liquid crystal display drive circuit and liquid crystal display device
JP2011112813A (ja) * 2009-11-26 2011-06-09 Fujitsu Ltd 反射型表示装置
JP2011123116A (ja) * 2009-12-08 2011-06-23 Fujitsu Ltd 液晶駆動方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4182100B2 (ja) アクティブマトリクス液晶表示装置
US5900852A (en) Liquid crystal display device having two metastable states and driving method therefor
US8466861B2 (en) Liquid crystal display device and display method
US6535191B1 (en) Liquid crystal display device
US8144074B2 (en) Display element, electronic paper including the same, electronic terminal apparatus including the same, display system including the same, and method of processing image in display element
JPH11153778A (ja) 液晶セルおよびその駆動方法
JP4654070B2 (ja) 液晶表示装置及びメモリ性液晶パネルの駆動回路
WO2005106576A1 (ja) 液晶表示装置
JP5051233B2 (ja) 表示装置及びその駆動方法
JP3891018B2 (ja) 液晶表示素子の駆動方法、駆動装置及び液晶表示装置
US9366934B2 (en) Field sequential color ferroelectric liquid crystal display cell
Clark et al. FLC microdisplays
JP4998560B2 (ja) 液晶表示素子及びその駆動方法
JP3818273B2 (ja) 液晶表示素子の駆動方法及び液晶表示装置
JP2000356765A (ja) 液晶表示装置の駆動方法
JP3714324B2 (ja) 液晶表示装置
JP2004198808A (ja) 液晶表示装置
JP3977710B2 (ja) 液晶光学装置
JP4705494B2 (ja) メモリ性液晶パネル
JP4453170B2 (ja) 液晶表示装置及び液晶表示素子の駆動方法
JP2004347764A (ja) 液晶表示素子の駆動方法
JP2575196B2 (ja) 表示装置の駆動法
JP2004309732A (ja) 液晶表示装置の駆動方法
JP3528481B2 (ja) 液晶表示装置およびその液晶セルの駆動方法
JP2006171497A (ja) メモリ性液晶パネル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050325

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20050325

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070702

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070710

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070827

A521 Written amendment

Effective date: 20070912

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Effective date: 20070912

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

A02 Decision of refusal

Effective date: 20071113

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071227

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Effective date: 20080122

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20080502