JP2004198435A - Otdr装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 Fading Noiseを十分に抑えて、精度の高いOTDR試験を行うことのできるOTDR装置を提供する。
【解決手段】 本発明のOTDR装置100aは、OTDR試験用の検査光を出力する検査光光源1aを備えている。この検査光光源は、半導体発光素子10と、この半導体発光素子から出射した光が入射する位置に配置され、反射波長幅が約1nm以上の回折格子35が所定部位に設けられた光導波路30とを有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被測定光ファイバの後方散乱光を検出し、その強度の時間特性に基づいて被測定光ファイバの各点の特定波長における特性を測定するOTDR(Optical Time-Domain Reflectometry)装置に関するものである。
OTDR装置は、従来から、光ファイバの損失測定等に広く用いられている。OTDR装置は、検査光光源からのパルス検査光を光カプラ等を介して被測定ファイバの一端に入射させ、被測定ファイバの各点で生じる後方散乱光を検出し、得られる電気信号データを収集することによって、被測定ファイバの各点における損失特性等を測定するものである。
このようなOTDR装置の検査光光源としては、一般に、縦モードが多モードの半導体レーザが用いられている。しかし、縦多モードの半導体レーザは発振波長幅が20nmを越えて広いため、特定波長に対する光ファイバの特性を測定するのには必ずしも適していなかった。
これに対して、特定波長における光ファイバの特性を測定するのに好適なOTDR装置としては、光ファイバレーザなどの時間的コヒーレンスの高い検査光光源を用いるものが提案されている。例えば、光ファイバレーザを検査光光源とするOTDR装置は、特許文献1に開示されている。
特開平6−13688号公報
しかしながら、OTDR装置の検査光光源として時間的コヒーレンスの高い光源を使用した場合、検査光の時間的コヒーレンスの高さに起因して Fading Noise のような特有のノイズが発生しやすく、測定誤差が大きくなりやすいという課題がある。なお、「Fading Noise」は、時間的コヒーレンスの高い検査光を用いた場合に散乱位置の異なる後方散乱光が干渉するなどして生じるノイズであり、泉田らによる「コヒーレントOTDRの Fading Noise 低減」(1991年電子情報通信学会秋季大会 B-588)に詳しく説明されている。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、Fading Noiseを十分に抑えて、精度の高いOTDR試験を行うことのできるOTDR装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係るOTDR装置は、OTDR試験用の検査光を出力する検査光光源を備えており、この検査光光源は、(i) 光出射面及びこの光出射面と対向する光反射面を有する半導体発光素子と、(ii) 半導体発光素子の光出射面から出射した光が入射する位置に配置され、屈折率が光軸に沿って周期的に変化している回折格子であって、反射波長幅が1nm以上のものが所定部位に設けられた光導波路と、を備えていて、半導体発光素子の光反射面と回折格子との間でレーザ共振器を構成することを特徴とする。
なお、本願明細書において「光導波路」とは、コアとクラッドとの屈折率差を利用して光を一定領域に閉じ込めて伝送する回路または線路をいい、これには光ファイバや薄膜導波路等が含まれる。また、本願明細書において「回折格子の反射波長幅」とは、横軸が波長、縦軸が反射率を示す回折格子の反射特性図において、回折格子の最大反射率の1/10の点で波長軸に平行に引いた直線と回折格子の反射スペクトルとの交点間の波長幅をいう。
本発明に係るOTDR装置では、半導体発光素子から出射した光のうち半導体発光素子の光反射面と光導波路に設けられた回折格子との間で繰り返し反射された光がレーザ発振され、検査光光源から検査光として出力される。この検査光は、回折格子の反射波長幅に応じた波長幅を有するが、本発明に係るOTDR装置では、回折格子の反射波長幅が約1nm以上となっているため、検査光の波長幅も、検査光の時間的コヒーレンスが十分に低くなる程度に広くなる。なお、本願明細書において「検査光の波長幅」とは、横軸が波長、縦軸が光パワーを示す検査光特性図において、検査光の最大パワーから20dBだけ低いパワーの点で波長軸に平行に引いた直線と検査光のパワースペクトルとの交点間の波長幅をいう。このような時間的コヒーレンスの低い検査光を用いることで、Fading Noiseを抑えたOTDR試験を行うことが可能になる。
本発明に係るOTDR装置において、上記の回折格子の反射波長幅が約20nm以下であると良い。なお、「回折格子の反射波長幅」の定義は、上記の通りである。
この場合、従来の縦多モードの半導体レーザ光源を検査光光源として用いた場合より検査光の波長幅が小さくなるので、特定波長における光ファイバの特性が従来よりも良好に測定されることになる。
本発明に係るOTDR装置において、上記の回折格子は、その格子周期又は最小屈折率が光導波路の光軸に沿った位置に応じて単調に変化しているチャープ格子であると良い。
このチャープ格子は、光軸に沿った位置に応じて異なる反射波長を有しており、このような反射波長の変化の幅、すなわち反射波長の最小値と最大値との差に応じた反射波長幅を有している。格子周期や最小屈折率の変化の幅を調節することで所望の反射波長幅を有するチャープ格子を容易に得ることができ、検査光の波長幅はこの反射波長幅に応じて決まるので、チャープ格子を備えた検査光光源を有するOTDR装置は、所望の波長幅の検査光を出力するように製造することが容易である。
上記のチャープ格子は、半導体発光素子からの光が前記チャープ格子の短反射波長側の部位から長反射波長側の部位に向かって進行するように配置されていると良い。
このように配置されていると、チャープ格子の各部で反射されるべき光が反射の前に外部に放射されてしまうような現象が防止され、全波長域にわたってほぼ均一なパワーの検査光が検査光光源から出力されるようになるので、OTDR試験をより好適に行うことができる。
また、検査光のパルス幅が短い場合には、上記のチャープ格子は、その反射率が半導体発光素子側の部位から他の一方側の部位に向かって単調に減少するものであると良い。
検査光のパルス幅が短くなると、共振器長の影響よりも、長波長側の方が注入エネルギが少なくて済む効果の方が優る場合がある。こうした場合には、共振器長が長くなるにつれて反射率を減少させることにより、全反射波長域にわたってほぼ均一なパワーの検査光が出力される。この結果、OTDR試験を好適に行うことができる。
本発明に係るOTDR装置では、検査光光源から出射された光を入力し、所定の波長範囲の波長の光を選択的に出力するバンドパスフィルタを更に備えることができる。
本発明に係るOTDR装置の検査光光源では、共振鏡の1つを光導波路に形成された回折格子で構成し、発振レーザ光の波長幅を狭くしている。しかし、共振器長が長くなる場合には、パルス幅との関係で光が共振器を往復する回数が少なくなり、低パワーではあるが発振波長の広がりを避けることはできない。OTDR試験の実施にあたって、信号伝送帯域との漏話を防止するため、こうした発振波長の広がりを回折格子の能力以上に求められる場合がある。
こうした場合には、検査光光源であるレーザ光源装置と測定対象光ファイバとの間の光路中に、バンドパスフィルタを更に備えることにより、OTDR装置として必要な波長範囲の外側の光を遮断することにより、良好な出力特性を得ることができる。
本発明に係るOTDR装置では、その検査光光源において半導体発光素子からの光が入射する位置に、反射波長幅が約1nm以上の回折格子が設けられた光導波路が配置されており、これによって検査光光源が時間的コヒーレンスの十分に低い検査光を出力するので、Fading Noiseを抑えて、精度の高いOTDR試験を行うことができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のOTDR装置100aの構成を示す図である。このOTDR装置100aは、OTDR試験用の検査レーザ光をパルス発振する検査光光源1aを備えている。この検査光光源1aは、従来からOTDR装置の検査光光源として使用されてきたファブリペロー型半導体レーザ10に、光ファイバ30aをレンズ20を介して光学接続したものである。
ファブリペロー型半導体レーザ10は、InGaAsP/InPのヘテロ構造体から構成される半導体発光素子である。この半導体レーザ10には駆動回路13が接続されており、この駆動回路13から動作電流が流されることで半導体レーザ10は励起され、約1530nm〜約1570nmの波長域にわたる波長幅約40nmのパルスレーザ光を出力する。半導体レーザ10を構成するヘテロ構造体の両端には光反射面11と光出射面12が設けられている。これらの面はほぼ平行に対向しており、ファブリペロー型のレーザ共振器を構成している。光反射面11は約80%と高い反射率を有しており、光出射面12は、約0.5%と低い反射率を有している。ファブリペロー型の多くがそうであるように、半導体レーザ10は縦モードが多モードのレーザであり、各モードに対応した波長において大きな出力を示すようになっている。
レンズ20は、半導体レーザ10からの出射光を収束させて光ファイバ30aに入射させ、半導体レーザ10から光ファイバ30aへの光パワーの結合を行う。レンズ20としては、従来から光通信で用いられているような通常の光結合用レンズを用いることができる。なお、レンズ20を半導体レーザ10と光ファイバ30aとの間に介在させる代わりに、光ファイバ30aの先端部を溶融や切削あるいは研磨により加工してレンズ作用を持たせても良い。
光ファイバ30aは、コアの所定部位に回折格子35が形成されたシングルモード光ファイバであり、半導体レーザ10を出射した光がレンズ20を介して入射するように配置されている。光ファイバ30aのコア及びクラッドは、ともに石英(SiO)ガラスから構成されているが、クラッドは実質的に純粋な石英ガラスから構成されているのに対し、コアを構成する石英ガラスには屈折率上昇材であるGeOが添加されている。この結果、光ファイバ30aのコアはクラッドより約0.35%高い屈折率を有している。
回折格子35は、半導体レーザ10の光反射面11から回折格子35の終端部(半導体レーザ10から最も遠い部位)に至るまでの光路長(半導体レーザ10の出力光に対するもの)が約70mmとなる位置に設けられている。この回折格子35は、その実効屈折率が光軸に沿った位置に応じて最小屈折率と最大屈折率との間で周期的に変化するコア中の一領域である。言い換えれば、回折格子35は、光軸に沿って最小屈折率と最大屈折率の間で繰り返し変化するような実効屈折率分布を有する領域である。なお、この屈折率変化の周期は、回折格子35の周期とか格子ピッチなどと呼ばれる。
周知のように、回折格子35は、ゲルマニウムが添加された石英ガラスに紫外光を照射すると照射部分の屈折率が紫外光の強度に応じた量だけ上昇する現象を利用して形成することができる。すなわち、光ファイバのクラッドの表面からゲルマニウムが添加されているコアに向けて紫外光の干渉縞を照射すれば、コアの干渉縞照射領域に干渉縞の光強度分布に応じた実効屈折率分布が形成される。このようにして形成された実効屈折率分布を有する領域が、回折格子35である。この場合、回折格子35の最小屈折率は、コアの当初の屈折率(紫外光照射前の屈折率)にほぼ等しいことになる。
回折格子35は、所定の反射波長(ブラッグ波長)λを中心とした波長域にわたって光を反射する。この反射波長λは、
λ=2・n・Λ …(1)
n:回折格子35のコアの実効屈折率
Λ:回折格子35の周期
のように表される。
本実施形態の回折格子35は、反射波長λが光軸に沿った位置に応じて単調に変化するチャープ格子である。上記(1)式に示されるように、反射波長λは回折格子の最小屈折率と周期の双方に依存して変化するため、上記のチャープ格子にも、(i)最小屈折率が光軸に沿った位置に応じて単調に変化するものと、(ii)格子周期が光軸に沿った位置に応じて単調に変化するものとがある。本実施形態の回折格子35は、後者(ii)のタイプであり、光ファイバ30aの光軸に沿って半導体レーザ10から遠い位置ほど格子周期が大きくなっている。回折格子35の最小屈折率は光軸に沿ってほとんど均一であり、回折格子35の反射波長は、格子周期の変化に対応して半導体レーザ10から遠い位置ほど大きくなっている。
図2は、本実施形態の回折格子35の反射特性を示す図である。この図の縦軸は反射率を示し、横軸は波長を示している。この図に示されるピークが回折格子35の反射スペクトルである。この図は、回折格子35により反射された光のパワースペクトルを求め、縦軸を入射光量に対する反射光量の割合、すなわち反射率に変換することにより得られる。図2に示されるように、回折格子35の最大反射率は反射波長の1550nmに対する約40%であり、また、回折格子35は、約2nmの反射波長幅を有している。ここで、「回折格子35の反射波長幅」とは、図2に示されるように、回折格子35の最大反射率の1/10の点で波長軸に平行に引いた直線と回折格子35の反射スペクトルとの交点間の波長幅をいう。
図1に示されるように、検査光光源1aには、光カプラ40が接続されている。この光カプラ40は、4端子の光方向性結合器の一種であり、第1〜第3の端子41〜43及び無反射終端44を備えている。第1端子41は検査光光源1aの光ファイバ30aに接続されており、検査光光源1aからの検査光が光カプラ40に入射されるようになっている。一方、第2端子42には、被測定光ファイバ60が接続されている。これにより、検査光光源1からの検査光は、光カプラ40に入射すると2分岐され、一方の分岐光が被測定光ファイバ60に入射するようになる。
光カプラ40の第3端子43には、光ファイバ31を介して測定部50が接続されている。これにより、被測定光ファイバ60に入射した検査光のうち光ファイバ各点でのレーリ散乱により生じた後方散乱光は、光カプラ40に入射して2分岐され、一方の分岐光が測定部50に入射するようになる。
なお、本実施形態のOTDR装置では、従来のOTDR装置と同様、光カプラ40の代わりに、光サーキュレータ等の光方向性結合器を用いることも可能である。
測定部50は、被測定光ファイバ60の後方散乱光を検出して、被測定光ファイバ60の特性を測定するものである。この測定部50は、通常のOTDR装置に用いられるものと同様のもので、被測定光ファイバ60の後方散乱光を検出して電気信号に変換する光検出器、光検出器の出力電気信号を増幅する増幅回路、増幅回路の出力信号をA/D変換し、さらに積算平均化処理や対数変換等を施す信号処理部、信号処理部に接続された表示装置等を備えている。なお、信号処理部によるA/D変換や積算平均化は、駆動回路13を介して半導体レーザ10の発光タイミングを制御しながら行われる。表示装置は、信号処理部の出力信号に基づいて、被測定光ファイバ60の散乱光パワーを被測定光ファイバ60における所定の基準点から測定点までの距離に対して表示する。こうして表示された波形を観測することにより、被測定光ファイバ60の任意の2点間の損失を求めることができ、その損失値に基づいて被測定光ファイバ60中の融着接続点を識別すること等も可能になる。
次に、検査光光源1aの発光原理を説明する。ファブリペロー型半導体レーザ10に駆動回路13から動作電流を流すと、半導体レーザ10のヘテロ構造体の内部で自然放出光が生成される。この自然放出光が光反射面11と光出射面12との間で誘導放出を引き起こしながら繰り返し反射されることにより光が増幅され、最終的にレーザ発振が生じる、このように、光出射面12で反射される光は半導体レーザ10のレーザ発振に寄与する。
しかし、光出射面12の反射率は0.5%と低いため、半導体レーザ10で生成された自然放出光および誘導放出光の大部分は光出射面12を透過する。光出射面12を透過した光は、レンズ20により収束されながら光ファイバ30aに入射し、回折格子35に到達する。図2に示されるように、回折格子35は反射波長λを中心とした約2nmの反射波長幅にわたって光を反射する。回折格子35で反射された光は、レンズ20を介して光出射面12から半導体レーザ10に入射し、誘導放出を引き起こしながら光反射面11に到達する。光反射面11で反射された光は誘導放出を引き起こしながら進行し、光出射面12から出射して、再び光ファイバ30aに入射する。この入射光は、回折格子35に到達して再び反射される。こうして、回折格子35と光反射面11との間で反射が繰り返されることにより光は増幅され、最終的にレーザ発振が生ずる。こうして生成されたレーザ光は回折格子35を透過し、光ファイバ30aの光カプラ40側の端面から出射する。これが、検査光光源1aから出力される検査レーザ光である。
図3は、検査光光源1aから出力される検査光の特性を示す図である。この図の縦軸は検査光のパワーを示し、横軸は波長を示している。また、この図に示されるピークが検査光のパワースペクトルである。回折格子35と光反射面11との間でレーザ共振を起こす光は、半導体レーザ10から出射する光のなかでも回折格子35の反射波長域に含まれる光にほぼ限定される。本実施形態では、回折格子35の反射波長幅が約2nmであるため、検査光の波長幅も約2nmとなっている。なお、「検査光の波長幅」とは、図3に示すように、検査光の最大パワーから20dBだけ低いパワーの点で波長軸に平行に引いた直線と検査光のパワースペクトルとの交点間の波長幅をいう。
OTDR試験に用いる検査光の波長幅があまりに小さいと、検査光の時間的コヒーレンスが高くなり、Fading Noiseのような特有のノイズが大きくなるので、精度の良いOTDR試験が困難となる。本発明者らが行った実験によれば、検査光の波長幅が約1nm以上であれば、OTDR試験におけるノイズレベルは0.15dB以下となる。光ファイバ中の光コネクタの接続点の損失は0.20dB程度であるから、ノイズレベルが0.15dB以下であれば、光コネクタの接続点とノイズとを区別して光コネクタの接続点を識別することができ、OTDR装置として実用的であると言える。
上述のように、本実施形態のOTDR装置では、回折格子35の反射波長幅が1nmよりも広いことから、検査光の波長幅も1nmより広くなっており、これによって検査光の時間的コヒーレンスが十分に低くなるので、Fading Noiseを十分に抑えて、精度の高いOTDR試験を行うことができる。実際に、本発明者らが本実施形態のOTDR装置100aを用いてOTDR試験を行ったところ、ノイズレベルは約0.05dBであり、良好な結果が得られた。
また、本実施形態のOTDR装置100aでは、回折格子35の反射波長幅が半導体レーザ10の出力波長幅である20nmよりも狭いことから、検査光1の波長幅も半導体レーザ10の出力波長幅より狭くなっている。このため、本実施形態のOTDR装置100aによれば、特定波長における被測定光ファイバ60の特性を好適に測定することができる。
さらに、本実施形態のOTDR装置100aが備える回折格子35はチャープ格子であり、このチャープ格子は格子周期の変化の幅に応じた反射波長幅を有する。このため、回折格子35はその製造時に反射波長幅を調整することが容易であり、検査光光源1aから出力される検査光の波長幅は回折格子35の反射波長幅に応じて決まる。従って、本実施形態のOTDR装置100aは、所望の波長幅の検査光を出力するように製造することが容易である。
また、本実施形態のOTDR装置100aでは、回折格子35がその短反射波長側の部位、すなわち格子周期の小さい部位を半導体レーザ10側に向けて配置されており、半導体レーザ10からの光が回折格子35の短反射波長側の部位から長反射波長側の部位へ向かって進行するようになっている。これは、次のような現象を考慮したものである。K.O.Hillらによる論文”Application of Phase Masks to the Photolithographic Fabrication of Bragg Gratings in Conventional Fiber/Planar Waveguides with Enhanced Photosensitivity ”(OFC PD 15-1,1993年)に記載されているように、回折格子はその各部位において当該部位の反射波長より短い波長の光を外部に放射する性質がある。従って、チャープ格子である回折格子35をその長反射波長側の部位を半導体レーザ10側に向けて配置すると、短反射波長側の部位で反射されるべき光の一部が長反射波長側を通過する際に外部に放射されてしまい、回折格子35の反射光において短波長側の成分が長波長側の成分に比べて少なくなってしまう。この結果、検査光のパワースペクトルにおいても短波長側のパワーが長波長側に比べて低くなり、検査光はその波長域にわたって均一なパワーを有しなくなる。
本実施形態のOTDR装置100aでは、回折格子35が短反射波長側の部位を半導体レーザ10に向けて配置されているので、回折格子35の各部位で反射されるべき光が反射前に外部に放射されてしまうような現象が防止され、結果として、検査光は全波長域にわたってほぼ均一なパワーを示すようになる。このため、本実施形態のOTDR装置100aによれば、被測定光ファイバ60のOTDR試験を極めて好適に行うことができる。
また、検査光のパルス幅が比較的長い場合には、回折格子35は、その反射率が半導体発光素子側の部位から他の一方側の部位に向かって単調に増加するものであることが好ましい。図4および図5は、検査光のパルス幅が比較的長い場合における、回折格子35の反射率の好適な位置依存性を説明するグラフである。なお、図4および図5では、回折格子35の反射波長の範囲は、波長がλから波長がλの範囲であるとともに、半導体発光素子10側が短波長反射側であるとする。
検査光のパルス幅が比較的長い場合には、図4(a)に示すように、半導体発光素子10の実効的な誘導放射断面積(以後、実効誘導断面積と呼ぶ)は、回折格子35の反射波長の範囲を含む波長範囲では略一定ともなすことができる。
一方、回折格子35では、光導波路30aの光軸に沿った位置に応じて反射波長が異なるため、半導体発光素子10の出力波長域に含まれる光は、その波長に応じて反射される位置が異なることになる。図4(b)に示すように、回折格子35のうち半導体発光素子10から遠い部位(半導体発光素子からの光路長が大きい部位)で反射される光ほど光パワーは減衰しているが、図5(a)に示すように、回折格子35の半導体発光素子10から遠い部位ほど反射率が大きくなっていれば、反射光のパワーを反射される部位にかかわらずほぼ均一にすることができる。このため、こうした回折格子35を備えたOTDR装置では、図5(b)に示すように、全反射波長域にわたってほぼ均一なパワーの検査光が検査光光源から出力されるようになり、OTDR試験をより好適に行うことができる。
また、検査光のパルス幅が短い場合には、上記のチャープ格子は、その反射率が波長が短くなるにつれて単調に減少するものであることが好ましい。図6および図7は、検査光のパルス幅が比較的短い場合における、回折格子35の反射率の好適な位置依存性を説明するグラフである。なお、図6および図7では、回折格子35の反射波長の範囲は、波長がλから波長がλの範囲であるとともに、半導体発光素子10側が短波長反射側であるとする。
検査光のパルス幅が短くなると、長波長側の方が注入エネルギが少なくて済む効果が顕著となり、図6(a)に示すように、長波長になる程、半導体発光素子10の実効誘導放射断面積が大きくなる。
一方、回折格子35では、光導波路30aの光軸に沿った位置に応じて反射波長が異なるため、半導体発光素子10の出力波長域に含まれる光は、その波長に応じて反射される位置が異なることになる。図6(b)に示すように、回折格子35のうち半導体発光素子10から遠い部位(半導体発光素子からの光路長が大きい部位)で反射される光ほど光パワーは減衰している。
そして、共振器長の影響よりも、長波長側の方が注入エネルギが少なくて済む効果の方が優るような場合が発生し得る。こうした場合には、図7(a)に示すように、共振器長が長くなるにつれて、すなわち、反射波長が長くなるにつれて反射率を減少させることにより、図7(b)に示すように、全反射波長域にわたってほぼ均一なパワーの検査光が出力される。この結果、OTDR試験を好適に行うことができる。
(第2実施形態)
図8は、本実施形態のOTDR装置100bの構成を示す図である。本実施形態のOTDR装置100bは、検査光光源1bにおいて半導体レーザ10に光学接続された光ファイバ30bの構成が実施形態1と異なっている。すなわち、本実施形態では、光ファイバ30bのコアに、二つの回折格子36及び37が設けられている。
回折格子37は、半導体レーザ10の光反射面11から回折格子37の終端部(半導体レーザ10から最も遠い部位)に至るまでの光路長(半導体レーザ10の出力光に対するもの)が約70mmとなる位置に設けられている。回折格子36は、回折格子37よりも半導体レーザ10に近い位置に設けられている。
回折格子36及び37は、ともに光軸に沿って一定の格子周期を維持する等ピッチの回折格子である。回折格子36は、回折格子37よりも小さい周期を有しており、また、双方の回折格子の最小屈折率はほぼ等しい。このため、回折格子36は回折格子37よりも小さい反射波長を有している。具体的には、回折格子36の反射波長は約1550nmであり、回折格子37の反射波長は約1554nmである。また、各回折格子の反射波長幅は、ともに約1nmである。なお、「回折格子の反射波長幅」の定義は、実施形態1の説明で述べたとおりである。
回折格子36及び37からなる領域は、所定の波長域にわたって光を反射する一つの反射領域38とみなことができる。図9は、この反射領域38の反射特性を示す図であり、各回折格子に対応した二つのピークからなる反射スペクトルが現れている。この反射領域38の反射波長幅は、約5nmである。なお、「反射領域38の反射波長幅」とは、図9に示されるように、この反射領域38の最大反射率の1/10の点で波長軸に平行に引いた直線と反射領域38の反射スペクトルとの交点のうち波長が最小の点と波長が最大の点との間の波長幅をいう。
本実施形態では、半導体レーザ10から出射した光のうち半導体レーザ10の光反射面11と反射領域38との間で繰り返し反射された光がレーザ発振され、検査光として検査光光源1bから出力される。図10は、この検査光の特性を示す図である。本実施形態では、回折格子36及び37からなる反射領域38の反射波長幅が約5nmであるため、検査光の波長幅も約5nmとなっている。なお、ここでいう「検査光の波長幅」とは、図10に示すように、検査光の最大パワーから20dBだけ低いパワーの点で波長軸に平行に引いた直線と検査光のパワースペクトルとの交点間の波長幅をいう。
このように、本実施形態のOTDR装置100bでは、光ファイバ30bに反射波長の異なる二つの回折格子36及び37からなる反射領域38が設けられているので、各回折格子の反射波長幅が小さく、各回折格子で反射されてレーザ発振される光がそれぞれ高い時間的コヒーレンスを持つ場合であっても、検査光光源1bからはそれぞれの光が重畳されて出力される結果、検査光の時間的コヒーレンスは十分に低くなる。特に、本実施形態では、反射領域38が1nm以上の反射波長幅を有していることから、検査光の波長幅も1nmより広くなり、検査光の時間的コヒーレンスが確実に低くなるため、Fading Noiseを十分に抑えて、精度の高いOTDR試験を確実に行うことができる。実際に、本発明者らが本実施形態のOTDR装置100bを用いてOTDR試験を行ったところ、ノイズレベルは約0.05dBであり、良好な結果が得られた。
また、本実施形態のOTDR装置100bでは、光ファイバ30bに設けられた反射領域38の反射波長幅が半導体レーザ10の出力波長幅である20nmよりも狭いことから、検査光の波長幅も半導体レーザ10の出力波長幅より狭くなっている。このため、本実施形態のOTDR装置100bによれば、特定波長における被測定光ファイバ60の特性を好適に測定することができる。
さらに、本実施形態のOTDR装置100bでは、反射領域38を構成する回折格子36及び回折格子37のうち反射波長の短い回折格子36が半導体レーザ10側に配置されており、半導体レーザ10からの光が反射波長の短い回折格子36から順に入射するようになっている。実施形態1の説明の中でも述べたとおり、回折格子はその各部位において当該部位の反射波長より短い波長の光を外部に放射する性質があるが、回折格子36及び37を本実施形態のように配置すれば、回折格子で反射されるべき光が反射の前に外部に放射されてしまうような現象は抑制され、全波長域にわたってほぼ均一なパワーの検査光が得られるようになる。従って、本実施形態のOTDR装置100bによれば、OTDR試験を極めて好適に行うことができる。
本実施形態においては、回折格子37または回折格子38として、チャープ格子を採用することができる。こうした場合には、実施形態1と同様に、チャープ格子が、短反射波長側の部位を半導体レーザ10に向けて配置されていることが好ましい。
また、検査光のパルス幅が比較的長い場合には、チャープ格子は、その反射率が半導体発光素子側の部位から他の一方側の部位に向かって単調に増加するものであることが好ましく、また、検査光のパルス幅が短い場合には、上記のチャープ格子は、その反射率が波長短くなるにつれて単調に減少するものであることが好ましい。
(第3実施形態)
図11は、本実施形態のOTDR装置100cの構成を示す図である。本実施形態のOTDR装置100cは、検査光光源1cにおいて半導体レーザ10に光学接続された光ファイバ30cに設けられる反射領域39の構成が第2実施形態と異なっている。この反射領域39は、石英系シングルモード光ファイバのゲルマニウムが添加されたコアの同一領域に、周期の異なる紫外光干渉縞を順次に照射することにより形成されたものである。各干渉縞の周期はそれぞれ反射波長1550nm、1554nmの等ピッチ回折格子を形成できるように調節されている。従って、反射領域39は、反射波長1550nmの等ピッチ回折格子と反射波長1554nmの等ピッチ回折格子とが光ファイバの一箇所に重ねて設けられたものである。
この反射領域39は、反射波長1550nmの回折格子の反射スペクトルと反射波長1554nmの回折格子の反射スペクトルを重畳したような反射スペクトルを示す。これは、第2実施形態のOTDR装置における反射領域38の反射スペクトル(図9)とほぼ同一であり、その反射波長幅は約5nmである。このため、検査光光源1cから出力される検査光の波長幅も、約5nmとなる。
本実施形態では、半導体レーザ10から出射した光のうち半導体レーザ10の光反射面11と反射領域39との間で繰り返し反射された光がレーザ発振され、検査光として検査光光源1cから出力される。この検査光は、図10に示されるような第2実施形態の検査光の特性とほぼ同一の特性を示し、反射領域39の反射波長幅に対応して約5nmの波長幅を有している。
このように、本実施形態のOTDR装置100cでは、光ファイバ30cの同一箇所に反射波長の異なる二つの回折格子を形成してなる反射領域39が設けられているので、反射領域39を構成する各回折格子の反射波長幅が小さく、各回折格子で反射されてレーザ発振される光がそれぞれ高い時間的コヒーレンスを持つ場合であっても、検査光光源1cからはそれぞれの光が重畳されて出力される結果、検査光の時間的コヒーレンスは十分に低くなる。特に、本実施形態では、反射領域39が1nm以上の反射波長幅を有していることから、検査光の波長幅も1nmより広くなり、検査光の時間的コヒーレンスが十分かつ確実に低くなるため、Fading Noiseを十分に抑えて、精度の高いOTDR試験を確実に行うことができる。実際に、本発明者らが本実施形態のOTDR装置100cを用いてOTDR試験を行ったところ、ノイズレベルは約0.05dBであり、良好な結果が得られた。
また、本実施形態のOTDR装置100cでは、光ファイバ30cに設けられた反射領域39の反射波長幅が半導体レーザ10の出力波長幅である20nmよりも狭いことから、検査光の波長幅も半導体レーザ10の出力波長幅より狭くなっている。このため、本実施形態のOTDR装置100cによれば、特定波長における被測定光ファイバ60の特性を好適に測定することができる。
本実施形態においては、回折格子として、チャープ格子を採用することができる。こうした場合には、実施形態1と同様に、チャープ格子が、短反射波長側の部位を半導体レーザ10に向けて配置されていることが好ましい。
また、検査光のパルス幅が比較的長い場合には、チャープ格子は、その反射率が半導体発光素子側の部位から他の一方側の部位に向かって単調に増加するものであることが好ましく、また、検査光のパルス幅が短い場合には、上記のチャープ格子は、その反射率が波長短くなるにつれて単調に減少するものであることが好ましい。
(第4実施形態)
図12は、本実施形態のOTDR装置100dの構成を示す図である。このOTDR装置100dは、検査光光源1dの構成が上記の実施形態と異なっている。すなわち、本実施形態の検査光光源1dでは、半導体レーザ10に光学接続された光ファイバ30dのコアに回折格子36が形成されており、さらに、この回折格子36を含む部位に応力付加装置70が取り付けられている。
回折格子36は、光軸に沿って一定の格子周期を維持する等ピッチの回折格子である。回折格子36の反射波長は約1550nmであり、その反射波長幅は約1nmである。
応力付加装置70は、光ファイバ30dのうち回折格子36を挟む二点において光ファイバ30dを把持するアーム71及び72と、このアーム71及び72が自らの両端に取り付けられたピエゾ素子73とを備えている。ピエゾ素子73には図示しない可変電圧源が接続されており、この可変電圧源から駆動電圧が印加されることによりピエゾ素子73が伸縮するようになっている。なお、伸縮の方向は、光ファイバ30dの光軸方向と略平行である。
ピエゾ素子73に伸縮を行わせると、アーム71及び72を介して光ファイバ30dに光軸方向に沿った応力(張力または圧力)が加わる。これにより、回折格子36の周期や最小屈折率が変化する。上記(1)式に示されるように、回折格子36の反射波長は回折格子36の周期や最小屈折率に依存するので、周期や最小屈折率の変化に応じて回折格子36の反射波長も変化する。なお、本発明者らの実験によれば、100gの張力を付加することで反射波長を約1nm大きくすることができた。
本実施形態では、半導体レーザ10から出射した光のうち半導体レーザ10の光反射面11と回折格子36との間で繰り返し反射された光がレーザ発振され、検査光として検査光光源1dから出力される。検査光の波長域は回折格子36の反射波長域に応じて決まるため、回折格子36の反射波長が変化すると、検査光の波長域も変化する。従って、ピエゾ素子73の駆動電圧を調節してピエゾ素子73の伸縮を制御すれば、検査光の波長域を任意に調節することができることになる。
実際、図13の反射特性図に示すように、応力付加装置70によって回折格子36の反射波長を約4nmシフトさせ、約5nmの波長幅で反射波長域をシフトさせれば、図14の検査光特性図に示すように、検査光の最大パワーの波長も約4nmシフトする。従って、駆動電圧レベルを周期的に時間変化させて回折格子36の反射波長域を約5nmの波長幅で周期的に時間変化させれば、検査光の波長域も約5nmの波長幅で周期的に時間変化するようになり、この場合、検査光光源1dは、約5nmの波長幅を有する光源と等価である。なお、「回折格子36の反射波長域を約5nmの波長幅で時間変化させる」とは、回折格子36の反射特性図において、回折格子36の最大反射率の1/10の点で波長軸に平行に引いた直線と回折格子36の反射スペクトルとの交点を各時間ごとに求めたときに、波長が最小の点と波長が最大の点との間の波長幅が約5nmとなるように反射波長域を時間変化させることをいう。また、「検査光の波長域が約5nmの波長幅で周期的に時間変化する」とは、検査光の特性図において、検査光の最大パワーから20dBだけ低いパワーの点で波長軸に平行に引いた直線と検査光のパワースペクトルとの交点を各時間ごとに求めたときに、波長が最小の点と波長が最大の点との間の波長幅が約5nmとなるように時間変化することをいう。
このように、本実施形態のOTDR装置100dでは、応力付加装置70により回折格子36の反射波長域を時間変化させることで、検査光の波長域を時間変化させ、実質的に波長幅が広く、時間的コヒーレンスの十分に低い検査光を得ることができる。従って、本実施形態のOTDR装置100dによれば、Fading Noiseを十分に抑えて、精度の高いOTDR試験を行うことができる。実際に、本発明者らが本実施形態のOTDR装置100dを用いてOTDR試験を行ったところ、ノイズレベルは約0.05dBであり、良好な結果が得られた。
また、本実施形態のOTDR装置100dでは、回折格子36の実質的な反射波長幅が半導体レーザ10の出力波長幅である20nmよりも狭いことから、検査光の実質的な波長幅も半導体レーザ10の出力波長幅より狭くなっている。このため、本実施形態のOTDR装置100dによれば、特定波長における被測定光ファイバ60の特性を好適に測定することができる。
なお、本実施形態では、応力付加装置70を用いて回折格子36に応力を付加することで回折格子の反射波長域を変化させたが、この代わりに光ファイバ30dのうち回折格子36を含む部位を温度調節槽に収容し、槽内の温度を変化させても良い。回折格子36の周囲の温度が変化すると回折格子36が光軸方向に沿って伸張又は収縮し、これに応じて回折格子36の反射波長が変化するから、温度調節槽内の温度を調節することで検査光の波長域を調節することができる。この場合、光ファイバ30dのうち回折格子36を含む部位に光ファイバ30dと熱膨張係数の異なる部材(例えば、アルミなどの金属板)を取り付けておけば、両者の熱膨張係数の差に起因して、温度変化による回折格子の反射波長変化が大きくなるので好適である。本発明者らの実験によれば、アルミ板を取り付けることにより、温度調節槽内の温度を10℃上昇させることで回折格子36の反射波長を2nm大きくすることができた。
(第5実施形態)
図15は、本実施形態のOTDR装置100eの構成を示す図である。図15に示すように、OTDR装置100eは、実施形態1のOTDR装置100aと比較して、検査光光源1aと光カプラ40との間に透過型バンドパスフィルタ71を更に備える点が異なる。
OTDR装置100eの検査光光源1aでは、共振鏡の1つを光導波路30aに形成された回折格子35で構成し、発振レーザ光の波長幅を狭くしている。しかし、共振器長が長くなる場合には、パルス幅との関係で光が共振器を往復する回数が少なくなり、低パワーではあるが発振波長の広がりを避けることはできない。OTDR試験の実施にあたって、信号伝送帯域との漏話を防止するため、こうした発振波長の広がりを回折格子の能力以上に求められる場合がある。
図16は、本実施形態の動作を説明するグラフである。なお、以下の説明では、検査光として、中心波長が1550nmであるとともに、中心波長から1nmより離れた波長範囲では、−50dBm以下の光パワーの漏れしか許容されない場合を想定する。
本実施形態のOTDR装置100eの検査光光源1aが実施形態1と同様の光パワーの波長分布の光を出力する(図16(a)参照)。図16(a)に示すように、検査光光源1aから出力された光は、−25dBm以下と低パワーではあるが、中心波長(=1550nm)から1nmより離れた波長範囲に、発振波長の広がりを有している。
本実施形態のOTDR装置100eでは、検査光光源1aから出力された光は、透過型バンドパスフィルタ71に入力する。透過型バンドパスフィルタ71は、図16(b)に示すように、中心波長(=1550nm)を中心として1.9nmの幅の波長範囲の波長の光については略100%の透過率を有し、他の波長範囲の光については略0%の透過率を有する。
したがって、透過型バンドパスフィルタ71から出力される光は、図16(c)に示すように、中心波長(=1550nm)から1nmより離れた波長範囲では、−50dBm以下の光パワーとなり、上記の要請を満たすことができる。
なお、透過型バンドパスフィルタ71で阻止された光は、回折格子35で反射されて戻ってくる可能性がある。そのため、透過型バンドパスフィルタ71と回折格子35との間に光アイソレータを挿入することが望ましい。
図17は、本実施形態の変形例のOTDR装置100fの構成を示す図である。図17に示すように、OTDR装置100fは、本実施形態のOTDR装置100eと比較して、透過型バンドパスフィルタ71に代えて、光サーキュレータ72と反射型バンドパスフィルタ73との組合せを採用する点が異なる。
OTDR装置100fの検査光光源1aが実施形態1と同様の光パワーの波長分布の光を出力する(図18(a)参照)。図18(a)に示すように、検査光光源1aから出射された光は、−25dBm以下と低パワーではあるが、中心波長(=1550nm)から1nmより離れた波長範囲に、発振波長の広がりを有している。
本変形例のOTDR装置100fでは、検査光光源1aから出力された光は、光サーキュレータ72に入力し、反射型バンドパスフィルタ73に入力する。反射型バンドパスフィルタ73は、図18(b)に示すように、中心波長(=1550nm)を中心として1.9nmの幅の波長範囲の波長の光については略100%の反射率を有し、他の波長範囲の光については略0%の反射率を有する。
したがって、反射型バンドパスフィルタ73を介した後に光サーキュレータ71から光カプラ40へ向けて出力される光は、図18(c)に示すように、中心波長(=1550nm)から1nmより離れた波長範囲では、−50dBm以下の光パワーとなり、上記の要請を満たすことができる。
なお、実施形態1に対する本実施形態や本実施形態の変形例への変形は、第2実施形態〜4に関しても同様に実施することができ、同様の効果を奏する。
第1実施形態のOTDR装置の構成を示す図である。 回折格子35の反射特性を示す図である。 検査光光源1aから出力される検査光の特性図である。 検査光のパルス幅が長い場合の共振の動作を説明するグラフである。 図4とともに、検査光のパルス幅が長い場合の共振の動作を説明するグラフである。 検査光のパルス幅が短い場合の共振の動作を説明するグラフである。 図6とともに、検査光のパルス幅が短い場合の共振の動作を説明するグラフである。 第2実施形態のOTDR装置の構成を示す図である。 反射領域38の反射特性を示す図である。 検査光光源1bから出力される検査光の特性図である。 第3実施形態のOTDR装置の構成を示す図である。 第4実施形態のOTDR装置の構成を示す図である。 回折格子36の反射特性の変化を示す図である。 検査光光源1dから出力される検査光の特性の変化を示す図である。 第5実施形態のOTDR装置の構成を示す図である。 第5実施形態の動作を説明するグラフである。 第5実施形態のOTDR装置の変形例の構成を示す図である。 第5実施形態の変形例の動作を説明するグラフである。
符号の説明
1a〜1d…検査光光源、10…半導体レーザ、11…光反射面、12…光出
射面、13…駆動回路、20…レンズ、30a〜30d…光ファイバ、35…回
折格子(チャープ格子)、40…光カプラ、50…測定部、60…被測定光ファ
イバ、71…透過型バンドパスフィルタ、72…光サーキュレータ、72…反射
型バンドパスフィルタ、100a〜100f…OTDR装置。

Claims (6)

  1. OTDR試験用の検査光を出力する検査光光源を備えたOTDR装置であって、
    前記検査光光源は、
    光出射面及びこの光出射面と対向する光反射面を有する半導体発光素子と、
    前記半導体発光素子の前記光出射面から出射した光が入射する位置に配置され、屈折率が光軸に沿って周期的に変化している回折格子であって、反射波長幅が1nm以上のものが所定部位に設けられた光導波路と、
    を備えて、前記半導体発光素子の前記光反射面と前記回折格子との間でレーザ共振器を構成する、
    ことを特徴とするOTDR装置。
  2. 前記回折格子の反射波長幅が20nm以下であることを特徴とする請求項1記載のOTDR装置。
  3. 前記回折格子は、その格子周期又は最小屈折率が前記光導波路の光軸に沿った位置に応じて単調に変化しているチャープ格子であることを特徴とする請求項1記載のOTDR装置。
  4. 前記チャープ格子は、前記半導体発光素子からの光が前記チャープ格子の短反射波長側の部位から長反射波長側の部位に向かって進行するように配置されていることを特徴とする請求項3記載のOTDR装置。
  5. 前記チャープ格子は、その反射率が前記半導体発光素子側の部位から他の一方側の部位に向かって単調に減少するものであることを特徴とする請求項3記載のOTDR装置。
  6. 前記検査光光源から出射された光を入力し、所定の波長範囲の波長の光を選択的に出力するバンドパスフィルタを更に備えることを特徴とする請求項1記載のOTDR装置。
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