JP2004197024A - オレフィン系樹脂組成物および滑り止め - Google Patents
オレフィン系樹脂組成物および滑り止め Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】下記成分(A)〜(D)を含有し、成分(A)〜(D)の合計を100重量%として、成分(A)の含有量が10〜50重量%であり、成分(B)の含有量が10〜75重量%であり、成分(C)の含有量が5〜60重量%であり、成分(D)の含有量が2〜20重量%である樹脂組成物。
(A)ポリプロピレン系樹脂
(B)エチレン単量体単位およびα−オレフィン単量体単位を含有し、特定の単量体単位含有量であるオレフィン系ゴム
(C)鉱物油系軟化剤
(D)炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも2種類のオレフィン単量体単位を含有し、特定の単量体単位含有量であって、結晶融解ピーク及び結晶化ピ−クのいずれも有しないオレフィン系共重合体
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、滑り止めに好適に用いられるオレフィン系樹脂組成物、該組成物を用いた滑り止めに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マット、カーペットなどの敷物の裏面や、脚ゴム、グリップ、シート、板などの表面や裏面に貼合される滑り止めには、従来、塩化ビニル樹脂が用いられてきた(例えば、特許文献1参照。)。しかし、環境問題の高まりや、塩化ビニル樹脂製の滑り止めは可塑剤により床面の汚れが発生することなどから、近年、オレフィン系樹脂組成物からなる滑り止めの検討がなされ、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴムとの組成物からなる滑り止めや、ポリプロピレンとエチレン−1−オクテン共重合体とからなる架橋された組成物からなる滑り止めが提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】
実開平5−43974号公報
【特許文献2】
特開平10−77038号公報
【特許文献3】
特開2000−63589号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のオレフィン系樹脂組成物を用いた滑り止めは、滑り止め性、柔軟性において十分満足のいくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、滑り止め性および柔軟性に優れる滑り止めが得られるオレフィン系樹脂組成物、該組成物を用いた滑り止めを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第一は、下記成分(A)〜(D)を含有し、成分(A)〜(D)の合計を100重量%として、成分(A)の含有量が10〜50重量%であり、成分(B)の含有量が10〜75重量%であり、成分(C)の含有量が5〜60重量%であり、成分(D)の含有量が2〜20重量%である樹脂組成物にかかるものである。
(A)ポリプロピレン系樹脂
(B)下記式(I)を充足し、エチレン単量体単位およびα−オレフィン単量体単位を含有するオレフィン系ゴム
[y/(x+y)]<0.3 (I)
(xはオレフィン系ゴム中のエチレン単量体単位の含有量(モル%)を表し、yはオレフィン系ゴム中の炭素原子数4〜20のα−オレフィン単量体単位の含有量(モル%)を表す。)
(C)鉱物油系軟化剤
(D)炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも2種類のオレフィン単位を含有し、下記要件(a)および(b)を充足するオレフィン系共重合体
(a)示差走査熱量測定(DSC)により、−100〜200℃において、結晶融解熱量が1J/g以上の結晶融解ピーク、及び、結晶化熱量が1J/g以上の結晶化ピ−クのいずれも有しないこと。
(b)下記(II)式を充足すること
[y’/(x’+y’)]≧0.3 (II)
(x’はオレフィン系共重合体中のエチレン単量体単位の含有量(モル%)を表し、y’はオレフィン系共重合体中の炭素原子数4〜20のα−オレフィン単量体単位の含有量(モル%)を表す。)
また、本発明の第二は、上記樹脂組成物を含有する滑り止めにかかるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の成分(A)は、ポリプロピレン系樹脂である。ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン以外のオレフィンとプロピレンとの共重合体などが挙げられる。プロピレン以外のオレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが例示される。
【0007】
成分(A)のメルトフローレート(MFR)は通常0.1〜100g/10分であるが、滑り止めを成型加工する際の加工性の観点から、好ましくは0.1〜50g/10分であり、より好ましくは0.3〜30g/10分である。なお、該MFRは、JIS K6758に従い、荷重21.18N、温度230℃の条件で測定される。
【0008】
本発明の成分(B)のオレフィン系ゴムは、エチレン単量体単位およびα−オレフィン単量体単位を含有し、オレフィン単量体単位を主成分とする共重合体ゴムである。該α−オレフィンとしては、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどがあげられ、なかでもプロピレンが好ましい。また、成分(B)は、オレフィン以外の単量体単位として、例えば、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン単位を含有していてもよい。成分(B)としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)やエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)などを挙げることができる。
【0009】
成分(B)は、下記式(I)を充足する共重合体であり、好ましくは下記式(I−2)を充足する共重合体であり、より好ましくは下記式(I−3)を充足する共重合体である。
[y/(x+y)]<0.3 (I)
[y/(x+y)]<0.25 (I−2)
[y/(x+y)]<0.2 (I−3)
(xはオレフィン系ゴム中のエチレン単量体単位の含有量(モル%)を表し、yはオレフィン系ゴム中の炭素原子数4〜20のα−オレフィン単量体単位の含有量(モル%)を表す。ただし、オレフィン系ゴム中の全単量体単位の含有量を100モル%とする。)
上記式の左辺の値が大きすぎると、得られる樹脂組成物の柔軟性が低下することがある。
【0010】
成分(B)のヨウ素価は、得られる樹脂組成物の耐永久歪み性を高める観点から、5以上であることが好ましいが、得られる樹脂組成物の耐侯性を高める観点からは、成分(B)のヨウ素価は40以下であることが好ましい。
【0011】
成分(B)の100℃のムーニー粘度(ML1+4100℃)は、得られる樹脂組成物の機械的強度を高める観点から、好ましくは10以上であり、より好ましくは30以上であり、得られる成形品の外観を高める観点からは、該ムーニー粘度は、好ましくは350以下であり、より好ましくは300以下である。
【0012】
本発明の成分(C)は、鉱物油系軟化剤であり、通常ゴムに配合されるアロマ系、ナフテン系、パラフィン系鉱物油などが用いられる。これら鉱物油の中では、成形品の外観、色調を高める観点からパラフィン系鉱物油が好ましい。成分(C)である鉱物油は成分(B)に対する伸展油として用いてもよく、この場合は成分(B)及び成分(C)を含む油展ゴムとして使用される。油展ゴムを使用した場合、鉱物油系軟化剤がブリードする配合比の上限が上昇するため、好ましい。油展量は、通常、成分(B)100重量部あたり10〜200重量部である。
【0013】
本発明の成分(D)は、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも2種類のオレフィン単量体単位を含有するオレフィン系共重合体である。該オレフィンとしては、直鎖状及び分岐状のオレフィンが含まれ、具体的には、直鎖状のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセン等が例示され、分岐状のオレフィンとしては、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が例示される。選ばれた二種以上のオレフィンの組み合わせの具体例としては、エチレン/1−ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/4−メチル−1−ペンテン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/1−ヘキセン、プロピレン/1−オクテン、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン、1−ブテン/1−ヘキセン、1−ブテン/1−オクテン、1−ブテン/4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン/1−オクテン、1−ヘキセン/4−メチル−1−ペンテン、エチレン/プロピレン/1−ブテン、エチレン/プロピレン/1−ヘキセン、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/4−メチル−1−ペンテン、エチレン/1−ブテン/1−ヘキセン、エチレン/1−ブテン/1−オクテン、エチレン/1−ヘキセン/1−オクテン、プロピレン/1−ブテン/1−ヘキセン、プロピレン/1−ブテン/1−オクテン、プロピレン/1−ヘキセン/1−オクテン、1−ブテン/1−ヘキセン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/1−ブテン/1−ヘキセン、エチレン/プロピレン/1−ブテン/1−オクテン、エチレン/1−ブテン/1−ヘキセン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/1−ヘキセン/1−オクテン等があげられる。これらの中でも、エチレン/1−ブテン、プロピレン/1−ブテン、エチレン/プロピレン/1−ブテンが好ましい。
【0014】
成分(D)は、示差走査熱量測定(DSC)により、−100〜200℃において、結晶融解熱量が1J/g以上の結晶融解ピーク、及び、結晶化熱量が1J/g以上の結晶化ピ−クのいずれも有しない共重合体である。
【0015】
成分(D)は、下記式(II)を充足する共重合体であり、好ましくは下記式(II−2)を充足する共重合体である。
[y’/(x’+y’)]≧0.3 (II)
[y’/(x’+y’)]≧0.35 (II−2)
(x’はオレフィン系共重合体中のエチレン単量体単位の含有量(モル%)を表し、y’はオレフィン系共重合体中の炭素原子数4〜20のα−オレフィン単量体単位の含有量(モル%)を表す。ただし、オレフィン系共重合体中の全単量体単位の含有量を100モル%とする。)
上記式の左辺の値が小さすぎると、得られる樹脂組成物を用いた成形品の滑り止め性が低下することがある。
【0016】
成分(D)の極限粘度[η]は、好ましくは0.3〜10dl/gであり、より好ましくは0.5〜7dl/gであり、更に好ましくは0.7〜5dl/gである。該極限粘度[η]の測定は、135℃テトラリン中でウベローデ粘度計により測定される。
【0017】
成分(D)は、公知のチーグラー・ナッタ型触媒、周期律表第4族〜第6族の遷移金属化合物を必須としてなる触媒、又はシクロペンタジエニル骨格を少なくとも1個有する周期律表第4族〜第6族の遷移金属化合物を必須としてなるメタロセン触媒を用いて製造することができるが、得られる重合体の組成分布の均一性という観点からは、公知のシングルサイト触媒(メタロセン系触媒、非メタロセン系の錯体触媒等)が好ましい。かかるシングルサイト触媒の例としては、たとえば特開昭58−19309号公報、特開昭60−35005号公報、特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−268307号公報、特開平9−12790号公報、特開平9−87313号公報、特開平10−508055号公報、特開平11−80233号公報、特表平10−508055号公報、特開平11−293047等に記載のメタロセン系触媒;特開平10−316710号公報、特開平11−100394号公報、特開平11−80228号公報、特開平11−80227号公報、特表平10−513489号公報、特開平10−338706号公報、特開表11−71420号公報等に記載の非メタロセン系の錯体触媒を例示することができる。これらの中でも、一般的にはメタロセン触媒が使用され、その中でも好適なメタロセン触媒の例としては、シクロペンタジエン形アニオン骨格を少なくとも1個有し、C1対称構造を有する周期表第3族〜第12族の遷移金属錯体が好ましく、更には、特開平11−293047に記載のメタロセン触媒がより好ましい。
【0018】
本発明の樹脂組成物において、成分(A)〜(D)の含有量は、成分(A)〜(D)の合計を100重量%として、成分(A)の含有量が10〜50重量%であり、成分(B)の含有量が10〜75重量%であり、成分(C)の含有量が5〜60重量%であり、成分(D)の含有量が2〜20重量%であり、好ましくは成分(A)の含有量が13〜30重量%であり、成分(B)の含有量が30〜50重量%であり、成分(C)の含有量が18〜45重量%であり、成分(D)の含有量が5〜10重量%である。成分(A)が過少であると流動性が低下し、成形加工が出来なくなることがある。成分(A)が過多であると柔軟性が低下することがある。成分(B)が過少であると柔軟性が低下することがあり、成分(B)が過多であると成形加工が出来なくなることがある。成分(C)が過少であると柔軟性が低下することがあり、成分(C)が過多であると滑り止め性を低下させることがある。成分(D)が過少であると滑り止め性が低下することがあり、成分(D)が過多であるとベトツキが発生し、例えば、カーペットの裏面に使用した場合、床面に汚れを発生することがある。
【0019】
本発明の樹脂組成物は、有機過酸化物の存在下、動的熱処理を行ってもよい。ここで、動的熱処理とは、有機過酸化物の存在下で、溶融混練することをいう。該有機過酸化物としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン、ジクミルパーオキサイドなどをあげることができる。
【0020】
動的熱処理に用いる有機過酸化物の量は、成分(A)〜(D)の合計量100重量部あたり、耐永久歪み性を高める観点から、好ましくは0.01重量部以上であり、より好ましくは0.04重量部以上であるが、成形加工性を高める観点からは、好ましくは1.0重量部以下であり、より好ましくは0.5重量部以下である。
【0021】
動的熱処理には、必要に応じて架橋助剤を併用してもよい。該架橋助剤としては、たとえばN,N’m−フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド、p−キノンジオキシム、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン等のパーオキサイド用架橋助剤;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性のビニルモノマーがあげられる。
【0022】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、難燃剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、老化防止剤、離型剤などの添加剤;顔料などを配合してもよく、他の樹脂成分を配合してもよい。
【0023】
本発明の樹脂組成物は、成分(A)〜(D)と、必要に応じて、有機過酸化物や架橋助剤などの他の成分とを溶融混練することにより得られる。溶融混練装置としては開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、ニーダー、押出機等の公知のものを使用することができる。また、溶融混練は、混練する全成分を一括して溶融混練を行ってもよいし、一部の成分を混練した後に選択しなかった成分を加え溶融混練を行ってもよい。具体的には、例えば、成分(A)〜(D)と有機過酸化物以外の他の成分とをバンバリーミキサーなどにより150〜250℃、5〜30分間溶融混練して予め中間組成物を作成した後、該中間組成物と有機過酸化物とを2軸押出機などを用い、200〜300℃で溶融混練して本発明の樹脂組成物を得る方法、成分(A)〜(D)と他の成分とを2軸押出機などにより、150〜300℃で溶融混練して本発明の樹脂組成物を得る方法などをあげることができる。
【0024】
本発明の樹脂組成物は、滑り止めに好適に用いられる。該滑り止めは公知の方法によって成形することができ、例えば、押出し成形、射出成形などをあげることができる。また、2色成形、インサート成形など他の材料を組み合わせて成形することができる。該滑り止めを用いる製品としては、カーペットマット、敷物、パレットなどが挙げられる。また、シート、フィルム、板、棒などの表面、裏面に被覆してすべりを防止する部位に用いることができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
[1]評価方法
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に従い、ポリプロピレン系樹脂を荷重21.18N、温度230℃の条件で測定し、オレフィン系樹脂組成物を荷重98.08N、温度230℃の条件で測定した。
(2)エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体中のエチレン単量体単位量とプロピレン単量体単位量の比
赤外分光法により測定を行った。
(3)ムーニー粘度(ML1+4100℃)
ASTM D−927−57Tに従って、100℃で測定を行った。
(4)エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体の単量体単位量
核磁気共鳴装置(Bruker社製 商品名AC−250)を用いて、13C−NMRスペクトル、1H−NMRスペクトルの測定結果に基づき算出した。具体的には、先ず、13C−NMRスペクトルにおいて、プロピレン単位中のメチル基に由来する炭素のスペクトル強度と1−ブテン単位中のメチル基に由来する炭素のスペクトル強度の比からプロピレン単位と1−ブテン単位の組成比を算出した。次に、1H−NMRスペクトルにおいて、メチン基とメチレン基とに由来する水素のスペクトル強度と、メチル基に由来する水素のスペクトル強度との比から、エチレン単位、プロピレン単位および1−ブテン単位の組成比を算出した。
(5)示差走査熱量測定
示差走査熱量装置(セイコー電子工業社製DSC220C:入力補償DSC)を用い以下の条件で測定した。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持した。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温し、降温完了後、5分間、保持した。この(ii)で観察されるピークが結晶化ピークであり、ピーク面積が1J/g以上の結晶化ピークの有無を確認した。
(iii)次いで、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した。この(iii)で観察されるピークが結晶の融解ピークであり、ピーク面積が1J/g以上の融解ピークの有無を確認した。
【0026】
(6)柔軟性
ASTM D2240に従い、デュロメーターA硬度を測定した。
(7)滑り止め性
射出成形によって得られた厚さ2mm、幅90mmの熱可塑性エラストマー組成物シートを長さ150mmに切り出し、試験片とした。新東科学株式会社製の表面性測定機(HAIDON−14S)を用いて、ASTM平面圧子に取り付けた、直径20mm、厚さ2mmのガラス板と試験片シートのまさつ係数を、荷重を300g、移動速度を150mm/minの条件で測定した。まさつ係数は下記の式イにより算術した。
<式イ>
まさつ係数
=上記条件で測定した時の荷重変換器より読み取った荷重値(g)/300
(8)引張特性
JIS K6251に従い(JIS3号ダンベル、引張速度200mm/min)測定した。
【0027】
[2]原料
(1)ポリプロピレン系樹脂
住友化学工業(株)製 ノーブレンFS2011DG2(ホモポリプロピレン、MFR=2.5g/10分)
(2)油展オレフィン系ゴム
住友化学工業(株)製 エスプレン673(油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(エチレンエチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(エチレン単量体単位/プロピレン単量体単位(重量比)=70/30、ヨウ素価=12)100重量部、伸展油40重量部、ML1+4100℃=79)
【0028】
(3)オレフィン系共重合体
攪拌機を備えた100LのSUS製重合器中で、エチレン、プロピレン及び1−ブテンとを、分子量調節として水素を用い、以下の方法で連続的に共重合させて得られたエチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体を用いた。
重合器の下部から、重合溶媒としてのヘキサンを239L/時間の供給速度で、エチレンを3.27Kg/時間の供給速度で、プロピレンを0.70Kg/時間の供給速度で、1−ブテンを6.23Kg/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。重合器の上部からは、重合器中の反応混合物が100Lの量を保持するように、反応混合物を連続的に抜き出し、重合器の下部からは、重合触媒の成分として、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを0.017g/時間の供給速度で、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.967g/時間の供給速度で、トリイソブチルアルミニウムを1.984g/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。共重合反応は、重合器の外部に取り付けられたジャケットに冷却水を循環させることによって、42℃で行った。
重合器の上部から連続的に抜き出された反応混合物に少量のエタノールを添加して重合反応を停止させた後、脱モノマー及び水洗浄をし、次いで、大量の水中でスチームによって溶媒を除去することによって、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体を得、これを80℃で1昼夜減圧乾燥した。該共重合体の生成速度は3.06Kg/時間であった。該共重合体の単量体単位量は、エチレン単位54モル%、プロピレン単位7モル%、1−ブテン単位39モル%であり、−示差走査熱量測定(DSC)により、100〜200℃において、結晶融解熱量が1J/g以上の結晶融解ピーク、及び、結晶化熱量が1J/g以上の結晶化ピ−クのいずれも観測されなかった。
【0029】
(4)有機過酸化物
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(化薬アクゾ株式会社製)
(5)架橋助剤
トリメチロールプロパントリメタクリレート(精工化学製ハイクロスMP)
【0030】
実施例1〜3
表1に示した配合量のポリプロピレン系樹脂、油展オレフィン系ゴム、オレフィン系共重合体と架橋助剤をバンバリーミキサーにより溶融混練し、得られた混練物をロールに通してシート状にし、シートペレタイザーで角ペレットにした。次いで、この角ペレットと有機過酸化物とをタンブラーミキサーを用い10分間混合し、2軸押出し機を用いて200℃で溶融混練を行い、目的の樹脂組成物を得た。得られた組成物の物性の評価結果を表1に示す。
【0031】
比較例1
表1に示した配合量のポリプロピレン系樹脂、油展オレフィン系ゴムと架橋助剤をバンバリーミキサーにより溶融混練し、得られた混練物をロールに通してシート状にし、シートペレタイザーで角ペレットにした。次いで、この角ペレットと有機過酸化物をタンブラーミキサーを用い10分間混合し、2軸押出し機を用いて200℃で溶融混練を行い、目的の樹脂組成物を得た。得られた組成物の物性の評価結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明により、滑り止め性および柔軟性に優れる滑り止めが得られるオレフィン系樹脂組成物、該組成物を用いた滑り止めを提供することができた。本発明の樹脂組成物は耐候性、耐永久歪み性、機械的強度にも優れ、該樹脂組成物を用いた製品は外観にも優れうる。
Claims (4)
- 下記成分(A)〜(D)を含有し、成分(A)〜(D)の合計を100重量%として、成分(A)の含有量が10〜50重量%であり、成分(B)の含有量が10〜75重量%であり、成分(C)の含有量が5〜60重量%であり、成分(D)の含有量が2〜20重量%である樹脂組成物。
(A)ポリプロピレン系樹脂
(B)下記式(I)を充足し、エチレン単量体単位およびα−オレフィン単量体単位を含有するオレフィン系ゴム
[y/(x+y)]<0.3 (I)
(xはオレフィン系ゴム中のエチレン単量体単位の含有量(モル%)を表し、yはオレフィン系ゴム中の炭素原子数4〜20のα−オレフィン単量体単位の含有量(モル%)を表す。)
(C)鉱物油系軟化剤
(D)炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも2種類のオレフィン単量体単位を含有し、下記要件(a)および(b)を充足するオレフィン系共重合体
(a)示差走査熱量測定(DSC)により、−100〜200℃において、結晶融解熱量が1J/g以上の結晶融解ピーク、及び、結晶化熱量が1J/g以上の結晶化ピ−クのいずれも有しないこと。
(b)下記(II)式を充足すること
[y’/(x’+y’)]≧0.3 (II)
(x’はオレフィン系共重合体中のエチレン単量体単位の含有量(モル%)を表し、y’はオレフィン系共重合体中の炭素原子数4〜20のα−オレフィン単量体単位の含有量(モル%)を表す。) - 請求項1に記載の組成物を、成分(A)〜(D)の合計量100重量部に対して0.01〜1.0重量部の有機過酸化物の存在下、動的熱処理してなる樹脂組成物。
- 滑り止め用である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の樹脂組成物を含有する滑り止め。
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