JP2004196982A - ベンツイミダゾロン系固溶体顔料 - Google Patents
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Abstract
【課題】彩度の高い赤色の色相を有する、新規ベンツイミダゾロン系固溶体顔料、およびその製造方法を提供すること
【解決手段】オレンジ色と黄色を呈する特定の二種類のベンツイミダゾロン系顔料からなり、Cu−Kα線によるX線回折において、回折角(2θ±0.3°)12.2°および26.7°に強い回折強度を有し、12.8°および15.6°に弱い回折強度を有しており、二種類の特定の顔料それぞれ単独の回折パターン、あるいは該二種類の顔料を物理的に混合したものの回折パターンのいずれとも異なった回折パターンを示す、新規ベンツイミダゾロン系固溶体顔料、およびその製造方法を提供。
【選択図】 なし。
【解決手段】オレンジ色と黄色を呈する特定の二種類のベンツイミダゾロン系顔料からなり、Cu−Kα線によるX線回折において、回折角(2θ±0.3°)12.2°および26.7°に強い回折強度を有し、12.8°および15.6°に弱い回折強度を有しており、二種類の特定の顔料それぞれ単独の回折パターン、あるいは該二種類の顔料を物理的に混合したものの回折パターンのいずれとも異なった回折パターンを示す、新規ベンツイミダゾロン系固溶体顔料、およびその製造方法を提供。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なベンツイミダゾロン系固溶体顔料、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
着色顔料を含有する塗料やインキにおいては、所望の色相を得るために、通常は色相の異なる二種類以上の顔料を混合して調色する。しかしながら、二種類以上の顔料を物理的に混合した場合は減法混色となるため、このようにして調色した塗料やインキの塗膜においては、一般的に彩度が低下する。
【0003】
従来、二種類以上の顔料を少量の溶媒や添加剤とともにビーズミルやボールミルなどの分散機中で摩砕混合することにより固溶体顔料が得られることは広く知られている(たとえば、特許文献1参照)。たとえば、C.I.PigmentYellow 110と赤色有機顔料である2,9−ジクロロキナクリドン顔料とを、水および水素化アビエチン酸の存在下で、ビーズミルにより共摩砕を行うことにより、赤みがかった黄色の固溶体顔料が、また、C.I.Pigment Yellow 110とC.I.Pigment Blue 15:3とを、同様に水および水素化アビエチン酸の存在下で、ビーズミルにより共摩砕を行うことにより緑色の固溶体顔料が得られる(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、このように液状媒体存在下で共摩砕することによって製造された固溶体顔料は、原料である二種類の顔料の中間的な色相となり、全く異なる色相の固溶体顔料が得られる文献は見あたらない。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−113074号公報
【特許文献2】
特開昭57−30765号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、印刷インキ、塗料、プラスチックの着色、トナー、インクジェット用インキなどに使用する着色剤として、彩度の高い赤色の色相を有する、新規ベンツイミダゾロン系固溶体顔料、およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、下記式(I)で表される顔料(I)と、下記式(II)で表される顔料(II)とからなるベンツイミダゾロン系固溶体顔料が、これら二種の顔料の物理的混合物では得られない、赤色を呈することを見出した。さらに、該ベンツイミダゾロン系固溶体顔料は、Cu−Kα線によるX線回折において、回折角(2θ±0.3°)12.2°および26.7°に強い回折強度を有し、12.8°および15.6°に弱い回折強度を有しており、顔料(I)もしくは顔料(II)それぞれ単独の回折パターン、あるいは該二種類の顔料を物理的に混合したものの回折パターンのいずれとも異なった回折パターンを示す、新規ベンツイミダゾロン系固溶体顔料であることを見出した。
【0008】
【化3】
式(I)
【0009】
【化4】
式(II)
【0010】
すなわち、本発明は、前記顔料(I)と前記顔料(II)とからなり、Cu−Kα線によるX線回折において、回折角(2θ±0.3°)12.2°および26.7°に強い回折強度を有し、12.8°および15.6°に弱い回折強度を有するベンツイミダゾロン系固溶体顔料および該固溶体顔料を含有する顔料組成物を提供し、さらには、顔料(I)と顔料(II)を、摩砕媒体および液状媒体の存在下に共摩砕する、ベンツイミダゾロン系固溶体顔料の製造方法を提供することにより、上記課題を解決した。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料は、摩砕媒体および液状媒体の存在下で顔料(I)と顔料(II)を共摩砕したものであり、赤色を呈する。
一般に、液状媒体の存在下に行う共摩砕のことを湿式共摩砕という。湿式共摩砕を行う際の液状媒体としては、水および有機溶剤を用いることができる。有機溶剤としては公知慣用のものを用いることができるが、なかでもベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒やメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒を使用するのが好ましい。
【0012】
湿式共摩砕を行う際の、顔料に対する溶剤の質量比は、共摩砕の方法により顔料粒子にかかる摩砕力が異なるため一概には決められないが、2〜50倍、さらには3〜30倍が好ましい。
【0013】
顔料(I)と顔料(II)としては、市販の顔料や、顔料化処理が施されていない、粗製顔料を使用することができる。共摩砕による固溶体顔料は、異なる顔料が物理的に接触する際に接触面でお互いの顔料分子が取り込まれて新たな結晶構造を形成する。このような結晶構造の変化は、使用する顔料の結晶性が低いほど起こりやすいので、本発明においては、顔料化処理が施されていない粗製顔料を用いることが好ましい。粗製顔料は、顔料化処理が施された顔料を酸やアルカリなどに溶解した後、該溶液を、水中や、メタノールなどの有機溶媒中に投入したり中和して析出させることによっても得られる。
【0014】
湿式共摩砕には、顔料分散に使用される公知慣用の分散機、たとえば、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、アトライター、ペイントコンディショナーなどを使用することができる。
湿式共摩砕に使用する摩砕媒体としては、ガラスビーズ、セラミックビーズ、スチールビーズ、あるいは砂粒子など、公知慣用の摩砕媒体を使用することができる。
摩砕の時間は、使用する分散機、および顔料の組成比により異なるが、通常1〜12時間の範囲である。
【0015】
得られた固溶体顔料は、通常のろ過、洗浄、乾燥、粉砕の各工程を経て、そのまま顔料として使用できるが、着色力や耐候性などを高める目的で、公知慣用の後処理を行って、用途に適した所望の粒子径に調整することもできる。具体的には、たとえば、得られた固溶体顔料が微細であり、顔料の結晶をより大きな結晶へと成長させたい場合には、湿式共摩砕した後のスラリーの状態そのままか、溶媒を、水や種々の有機溶媒、もしくはそれらの混合溶媒に置換するか、または乾燥後の固溶体顔料を溶媒中で再スラリー化した後、常圧または加圧下で熱処理すればよい。
【0016】
上記再スラリー化に用いる溶媒としては、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香族系溶媒、ピリジン、ピコリン、キノリンなどのピリジン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサンなどのケトン系溶媒、メタノール、ブタノール、イソブタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、モノエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒、あるいは水などを挙げることができる。水を用いる場合は、適宜界面活性剤などの添加剤を加えてもよい。
【0017】
本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料のX線回折パターンは、顔料(I)もしくは顔料(II)単独のいずれとも異なる回折パターンを示す固溶体顔料である。
湿式共摩砕による固溶体顔料は、一般に、原料として用いた顔料の中間的な色相を有する。しかしながら、本発明においては、顔料(I)がオレンジ色の色相を呈し、顔料(II)が黄色の色相を呈するにもかかわらず、得られた固溶体顔料は、両顔料の中間的な色相とは異なる赤色の色相を呈する。
【0018】
顔料(I)の結晶構造については、特開昭57−141457号公報に、黄色からオレンジ色の色相を示すα−変態型とβ−変態型の記載がある。α−変態型は、X線回折角(2θ)27.3°に大きな強度のピークを、11.8°、12.8°、23.7°に中程度のピークを、14.5°、16.6°、17.5°、20.9°に小さい強度のピークを有している。また、β−変態型は、X線回折角(2θ)27.2°に非常に大きな強度のピークを、12.0°、14.3°、17.8°、22.4°に中程度の強度のピークを、10.1°、20.7°、23.2°、24.0°、25.3°、28.6°、29.1°、29.7°に小さな強度のピークを有している。
【0019】
本発明者等は、顔料(I)のその他の結晶系に、X線回折角(2θ)が12.3°、12.7°、15.3°、および26.7°に、その他の角度に現れるピークよりも大きい強度のピークを示す、赤色の色相を有するγ−変態型があることを確認している。
【0020】
本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料は、
X線回折角2θ12.2°および26.7°に強い回折強度のピークを有し、12.8°および15.6°に弱い回折強度のピークを有している。
色相が赤色である。
ことから、顔料(I)のγ−変態型顔料をホスト顔料、顔料(II)をゲスト顔料とする固溶体顔料であると考えられる。
【0021】
すなわち、本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料は、そのメカニズムについては不明であるが、オレンジ色の顔料(I)と黄色の顔料(II)を湿式共摩砕することにより、顔料(I)の結晶変換と、顔料(I)と顔料(II)の固溶体化が同時に起きたことによるものと考えられる。
【0022】
したがって、本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料の色相は、顔料(I)と顔料(II)の組成比率を変えることによって、顔料(I)のγ−変態型である赤色から、顔料(II)の黄色の間で、無段階に変化させることができる。
本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料は、塗料や印刷インキ、プラスチックの着色、トナー、インクジェット用インキなどの用途に使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明する。特に断らない限り、「部」および「%」は、いずれも質量を基準とする。
【0024】
(調製例1)
窒素気流下で、反応容器中に、ジメチルスルホキシド450部、水27.6部、50%水酸化カリウム水溶液44.8部をいれ、撹拌しながら、オレンジ色の顔料(I)(大日本インキ化学工業(株)製「Symular Fast Orange 4183H」;C.I.ピグメントオレンジ36)20部を少量ずつ加え溶解させた。得られた顔料溶液を室温で1時間撹拌した後、氷冷下で30%硫酸水溶液46.8部を滴下した後、さらに6%硫酸水溶液を加えてpH4.5とし、顔料(I)を再析出させ、顔料(I)のスラリーを得た。
【0025】
得られたスラリーを1000部の水で希釈後ろ別した。60℃の水で、ろ液が中性となるまで洗浄し、得られたケーキを70℃の温風乾燥器中で10時間乾燥した後粉砕して、オレンジ色を呈する粗製顔料(I)19.5gを得た。
【0026】
得られた粗製顔料(I)について、理学電機(株)製X線回折装置「RINTUltima+」を用いて、下記条件でCu−Kα線照射による粉末X線回折分析を行った。
使用電力:40kV、30mA
サンプリング角度:0.020°
発散・散乱スリット:(1/2)°
発光スリット:0.3mm
スキャンスピード:2°/分
【0027】
図1にそのX線回折パターンを示す。図2には、原料として使用した顔料(I)のX線回折分析を、上記粗製顔料(I)の場合と同一の条件で行って得られたX線回折パターンを示す。該粗製顔料(I)のX線回折パターン(図1)と原料として使用した顔料(I)のX線回折パターン(図2)は、ともに回折角(2θ±0.3°)27.4°に強い回折強度を有し、10.4°、12.2°、14.6°、18.0°、および22.7°に弱い回折強度を有しているが、原料として使用した顔料(I)のX線回折パターン(図2)に比べて、粗製顔料(I)のX線回折パターン(図1)では、各ピークの強度が小さくて、かつ半値幅が狭く、粗製顔料(I)の結晶性が低いことを示している。
【0028】
(調製例2)
調製例1における、顔料(I)(大日本インキ化学工業(株)製「Symular Fast Orange 4183H」;C.I.ピグメントオレンジ36)20部の代わりに黄色の顔料(II)(大日本インキ化学工業(株)製「Symular Fast Yellow 4192」;C.I.ピグメントイエロー154)20部とした以外は、調製例1と同様にして、黄色の粗製顔料(II)19.5gを得た。
【0029】
得られた顔料について、調製例1と同様にして粉末X線回折分析を行った。図3にそのX線回折パターンを示す。図4には、原料として使用した顔料(II)のX線回折分析を、上記粗製顔料(II)の場合と同一の条件で行って得られたX線回折パターンを示す。該粗製顔料(II)のX線回折パターン(図3)と原料として使用した顔料(II)のX線回折パターン(図4)は、ともにX線回折角度(2θ±0.3°)26.1°に強い回折強度を有し、6.1°、12.2°、13.4°、18.3°、19.9°および22.2°に弱い回折強度を有しているが、原料として使用した顔料(II)のX線回折パターン(図4)に比べて、粗製顔料(II)のX線回折パターン(図3)では、各ピークの強度が小さくて、かつ半値幅が狭く、粗製顔料(II)の結晶性が低いことを示している。
【0030】
(実施例)
250mlポリエチレン瓶に、調製例1で得たオレンジ色の粗製顔料(I)5.9部、調製例2で得られた黄色の粗製顔料(II)2.1部、m−キシレン152部、直径0.5mmのジルコニアビーズ600部を加え、ペイントコンディショナー((株)東洋精機製作所製「PAINT SHAKER」)で5時間湿式共摩砕処理を行った。
【0031】
処理後のスラリー100部を300mlナス型フラスコに取り出し、m−キシレン100部を加えて加熱還流下で6時間熟成させた後、30℃に降温し、ろ別した。メタノール100部で洗浄し、得られたケーキを60℃の温風乾燥器中で10時間乾燥した後粉砕して、赤色を呈する本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料4.5gを得た。
【0032】
得られたベンツイミダゾロン系固溶体顔料について、調製例1と同様にして粉末X線回折分析を行った。図5にそのX線回折パターンを示す。該固溶体顔料は、X線回折角度(2θ±0.3°)12.2°および26.7°に強い回折強度を有し、12.8°および15.6°に弱い回折強度を有している。
【0033】
(比較例1)
実施例における、調製例1で得られたオレンジ色の粗製顔料(I)5.9部、調製例2で得られた黄色の粗製顔料(II)2.1部の代わりに、調製例1で得られたオレンジ色の粗製顔料(I)のみを8部とした以外は、実施例と同様にして、オレンジ色のベンツイミダゾロン系顔料4.5部を得た。
【0034】
得られた顔料について、調製例1と同様にして粉末X線回折分析を行った。図6にそのX線回折パターンを示す。該顔料は、X線回折角度(2θ±0.3°)27.4°に強い回折強度を有し、10.4°、12.2°、14.6°、18.0°、および22.7°に弱い回折強度を有している。
【0035】
(比較例2)
実施例における、調製例1で得られたオレンジ色の粗製顔料(I)5.9部、調製例2で得られた黄色の粗製顔料(II)2.1部の代わりに、調製例2で得られた黄色の粗製顔料(II)のみを8部とした以外は、実施例と同様にして、黄色のベンツイミダゾロン系顔料4.5部を得た。
【0036】
得られた顔料について、調製例1と同様にして粉末X線回折分析を行った。図7にそのX線回折パターンを示す。該顔料は、X線回折角度(2θ±0.3°)26.1°に強い回折強度を有し、6.1°、12.2°、13.4°、18.3°、19.9°および22.2°に弱い回折強度を有している。
【0037】
(比較例3)
比較例1で得た顔料5.9部と比較例2で得た顔料2.1部を十分に混合して、2種類のベンツイミダゾロン系顔料の物理的混合物である、赤みの黄色を呈する混合顔料8部を得た。
【0038】
得られた顔料について、調製例1と同様にして粉末X線回折分析を行った。図8にそのX線回折パターンを示す。該顔料は、X線回折角度(2θ±0.3°)27.4°に強い回折強度を有し、12.2°、14.6°、18.0°、22.7°、および26.1°に弱い回折強度を有している。
【0039】
(試験例)
大日本インキ化学工業(株)製焼き付け塗料用アクリル樹脂「ベッコゾールJ−524−IM−60」70%と、大日本インキ化学工業(株)製メラミン樹脂「スーパーベッカミンG−821−60」30%の混合樹脂66部を、キシレン:n−ブタノール=7:3の混合溶剤12部に溶解して樹脂組成物を得た。
【0040】
上記樹脂組成物78部に、実施例で得た固溶体顔料2部を加え、ペイントコンディショナーにより2時間撹拌して分散させ、顔料分散組成物を調製した。比較例1〜3で得た顔料についても、上記と同様にして顔料分散組成物を調製した。
これらの顔料分散組成物それぞれ12部に、前記混合樹脂:前記混合溶媒=4:3の樹脂溶液18部を加えて希釈し、焼き付け用アクリル塗料を調製した。該塗料を、アプリケーターを用いてポリエステルフィルム上に塗布した後、130℃で30分間焼き付けして塗膜を硬化させた。
【0041】
得られた硬化塗膜の色度(L*、a*、b*)を、日本電色工業(株)製分光光度計「SZ−Σ90」を使用して測定した。結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、実施例で得た本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料を含有する硬化塗膜は、比較例1から3の顔料を含有するものとは色相が異なり、赤色を呈するものであった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
顔料(I)および顔料(II)からなる本発明の新規ベンツイミダゾロン系固溶体顔料は、それぞれの顔料を物理的に混合した場合と色相が異なる赤色を呈し、彩度も高く、印刷インキ、塗料、トナー、インクジェット用インキ、あるいはプラスチックなどの着色剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】調製例1で得た、粗製ベンツイミダゾロン顔料のX線回折図である。
【図2】調製例1で原料として用いた、オレンジ色の顔料(I)(大日本インキ化学工業(株)製「Symular Fast Orange 4183H」)のX線回折図である。
【図3】調製例2で得た、粗製ベンツイミダゾロン顔料のX線回折図である。
【図4】調製例2で原料として用いた、黄色の顔料(II)(大日本インキ化学工業(株)製「Symular Fast Yellow 4192」)のX線回折図である。
【図5】実施例1で得た本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料のX線回折図である。
【図6】比較例1で得たベンツイミダゾロン顔料のX線回折図である。
【図7】比較例2で得たベンツイミダゾロン顔料のX線回折図である。
【図8】比較例3で得たベンツイミダゾロン系顔料の物理的混合物のX線回折図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なベンツイミダゾロン系固溶体顔料、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
着色顔料を含有する塗料やインキにおいては、所望の色相を得るために、通常は色相の異なる二種類以上の顔料を混合して調色する。しかしながら、二種類以上の顔料を物理的に混合した場合は減法混色となるため、このようにして調色した塗料やインキの塗膜においては、一般的に彩度が低下する。
【0003】
従来、二種類以上の顔料を少量の溶媒や添加剤とともにビーズミルやボールミルなどの分散機中で摩砕混合することにより固溶体顔料が得られることは広く知られている(たとえば、特許文献1参照)。たとえば、C.I.PigmentYellow 110と赤色有機顔料である2,9−ジクロロキナクリドン顔料とを、水および水素化アビエチン酸の存在下で、ビーズミルにより共摩砕を行うことにより、赤みがかった黄色の固溶体顔料が、また、C.I.Pigment Yellow 110とC.I.Pigment Blue 15:3とを、同様に水および水素化アビエチン酸の存在下で、ビーズミルにより共摩砕を行うことにより緑色の固溶体顔料が得られる(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、このように液状媒体存在下で共摩砕することによって製造された固溶体顔料は、原料である二種類の顔料の中間的な色相となり、全く異なる色相の固溶体顔料が得られる文献は見あたらない。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−113074号公報
【特許文献2】
特開昭57−30765号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、印刷インキ、塗料、プラスチックの着色、トナー、インクジェット用インキなどに使用する着色剤として、彩度の高い赤色の色相を有する、新規ベンツイミダゾロン系固溶体顔料、およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、下記式(I)で表される顔料(I)と、下記式(II)で表される顔料(II)とからなるベンツイミダゾロン系固溶体顔料が、これら二種の顔料の物理的混合物では得られない、赤色を呈することを見出した。さらに、該ベンツイミダゾロン系固溶体顔料は、Cu−Kα線によるX線回折において、回折角(2θ±0.3°)12.2°および26.7°に強い回折強度を有し、12.8°および15.6°に弱い回折強度を有しており、顔料(I)もしくは顔料(II)それぞれ単独の回折パターン、あるいは該二種類の顔料を物理的に混合したものの回折パターンのいずれとも異なった回折パターンを示す、新規ベンツイミダゾロン系固溶体顔料であることを見出した。
【0008】
【化3】
式(I)
【0009】
【化4】
式(II)
【0010】
すなわち、本発明は、前記顔料(I)と前記顔料(II)とからなり、Cu−Kα線によるX線回折において、回折角(2θ±0.3°)12.2°および26.7°に強い回折強度を有し、12.8°および15.6°に弱い回折強度を有するベンツイミダゾロン系固溶体顔料および該固溶体顔料を含有する顔料組成物を提供し、さらには、顔料(I)と顔料(II)を、摩砕媒体および液状媒体の存在下に共摩砕する、ベンツイミダゾロン系固溶体顔料の製造方法を提供することにより、上記課題を解決した。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料は、摩砕媒体および液状媒体の存在下で顔料(I)と顔料(II)を共摩砕したものであり、赤色を呈する。
一般に、液状媒体の存在下に行う共摩砕のことを湿式共摩砕という。湿式共摩砕を行う際の液状媒体としては、水および有機溶剤を用いることができる。有機溶剤としては公知慣用のものを用いることができるが、なかでもベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒やメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒を使用するのが好ましい。
【0012】
湿式共摩砕を行う際の、顔料に対する溶剤の質量比は、共摩砕の方法により顔料粒子にかかる摩砕力が異なるため一概には決められないが、2〜50倍、さらには3〜30倍が好ましい。
【0013】
顔料(I)と顔料(II)としては、市販の顔料や、顔料化処理が施されていない、粗製顔料を使用することができる。共摩砕による固溶体顔料は、異なる顔料が物理的に接触する際に接触面でお互いの顔料分子が取り込まれて新たな結晶構造を形成する。このような結晶構造の変化は、使用する顔料の結晶性が低いほど起こりやすいので、本発明においては、顔料化処理が施されていない粗製顔料を用いることが好ましい。粗製顔料は、顔料化処理が施された顔料を酸やアルカリなどに溶解した後、該溶液を、水中や、メタノールなどの有機溶媒中に投入したり中和して析出させることによっても得られる。
【0014】
湿式共摩砕には、顔料分散に使用される公知慣用の分散機、たとえば、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、アトライター、ペイントコンディショナーなどを使用することができる。
湿式共摩砕に使用する摩砕媒体としては、ガラスビーズ、セラミックビーズ、スチールビーズ、あるいは砂粒子など、公知慣用の摩砕媒体を使用することができる。
摩砕の時間は、使用する分散機、および顔料の組成比により異なるが、通常1〜12時間の範囲である。
【0015】
得られた固溶体顔料は、通常のろ過、洗浄、乾燥、粉砕の各工程を経て、そのまま顔料として使用できるが、着色力や耐候性などを高める目的で、公知慣用の後処理を行って、用途に適した所望の粒子径に調整することもできる。具体的には、たとえば、得られた固溶体顔料が微細であり、顔料の結晶をより大きな結晶へと成長させたい場合には、湿式共摩砕した後のスラリーの状態そのままか、溶媒を、水や種々の有機溶媒、もしくはそれらの混合溶媒に置換するか、または乾燥後の固溶体顔料を溶媒中で再スラリー化した後、常圧または加圧下で熱処理すればよい。
【0016】
上記再スラリー化に用いる溶媒としては、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香族系溶媒、ピリジン、ピコリン、キノリンなどのピリジン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサンなどのケトン系溶媒、メタノール、ブタノール、イソブタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、モノエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒、あるいは水などを挙げることができる。水を用いる場合は、適宜界面活性剤などの添加剤を加えてもよい。
【0017】
本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料のX線回折パターンは、顔料(I)もしくは顔料(II)単独のいずれとも異なる回折パターンを示す固溶体顔料である。
湿式共摩砕による固溶体顔料は、一般に、原料として用いた顔料の中間的な色相を有する。しかしながら、本発明においては、顔料(I)がオレンジ色の色相を呈し、顔料(II)が黄色の色相を呈するにもかかわらず、得られた固溶体顔料は、両顔料の中間的な色相とは異なる赤色の色相を呈する。
【0018】
顔料(I)の結晶構造については、特開昭57−141457号公報に、黄色からオレンジ色の色相を示すα−変態型とβ−変態型の記載がある。α−変態型は、X線回折角(2θ)27.3°に大きな強度のピークを、11.8°、12.8°、23.7°に中程度のピークを、14.5°、16.6°、17.5°、20.9°に小さい強度のピークを有している。また、β−変態型は、X線回折角(2θ)27.2°に非常に大きな強度のピークを、12.0°、14.3°、17.8°、22.4°に中程度の強度のピークを、10.1°、20.7°、23.2°、24.0°、25.3°、28.6°、29.1°、29.7°に小さな強度のピークを有している。
【0019】
本発明者等は、顔料(I)のその他の結晶系に、X線回折角(2θ)が12.3°、12.7°、15.3°、および26.7°に、その他の角度に現れるピークよりも大きい強度のピークを示す、赤色の色相を有するγ−変態型があることを確認している。
【0020】
本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料は、
X線回折角2θ12.2°および26.7°に強い回折強度のピークを有し、12.8°および15.6°に弱い回折強度のピークを有している。
色相が赤色である。
ことから、顔料(I)のγ−変態型顔料をホスト顔料、顔料(II)をゲスト顔料とする固溶体顔料であると考えられる。
【0021】
すなわち、本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料は、そのメカニズムについては不明であるが、オレンジ色の顔料(I)と黄色の顔料(II)を湿式共摩砕することにより、顔料(I)の結晶変換と、顔料(I)と顔料(II)の固溶体化が同時に起きたことによるものと考えられる。
【0022】
したがって、本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料の色相は、顔料(I)と顔料(II)の組成比率を変えることによって、顔料(I)のγ−変態型である赤色から、顔料(II)の黄色の間で、無段階に変化させることができる。
本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料は、塗料や印刷インキ、プラスチックの着色、トナー、インクジェット用インキなどの用途に使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明する。特に断らない限り、「部」および「%」は、いずれも質量を基準とする。
【0024】
(調製例1)
窒素気流下で、反応容器中に、ジメチルスルホキシド450部、水27.6部、50%水酸化カリウム水溶液44.8部をいれ、撹拌しながら、オレンジ色の顔料(I)(大日本インキ化学工業(株)製「Symular Fast Orange 4183H」;C.I.ピグメントオレンジ36)20部を少量ずつ加え溶解させた。得られた顔料溶液を室温で1時間撹拌した後、氷冷下で30%硫酸水溶液46.8部を滴下した後、さらに6%硫酸水溶液を加えてpH4.5とし、顔料(I)を再析出させ、顔料(I)のスラリーを得た。
【0025】
得られたスラリーを1000部の水で希釈後ろ別した。60℃の水で、ろ液が中性となるまで洗浄し、得られたケーキを70℃の温風乾燥器中で10時間乾燥した後粉砕して、オレンジ色を呈する粗製顔料(I)19.5gを得た。
【0026】
得られた粗製顔料(I)について、理学電機(株)製X線回折装置「RINTUltima+」を用いて、下記条件でCu−Kα線照射による粉末X線回折分析を行った。
使用電力:40kV、30mA
サンプリング角度:0.020°
発散・散乱スリット:(1/2)°
発光スリット:0.3mm
スキャンスピード:2°/分
【0027】
図1にそのX線回折パターンを示す。図2には、原料として使用した顔料(I)のX線回折分析を、上記粗製顔料(I)の場合と同一の条件で行って得られたX線回折パターンを示す。該粗製顔料(I)のX線回折パターン(図1)と原料として使用した顔料(I)のX線回折パターン(図2)は、ともに回折角(2θ±0.3°)27.4°に強い回折強度を有し、10.4°、12.2°、14.6°、18.0°、および22.7°に弱い回折強度を有しているが、原料として使用した顔料(I)のX線回折パターン(図2)に比べて、粗製顔料(I)のX線回折パターン(図1)では、各ピークの強度が小さくて、かつ半値幅が狭く、粗製顔料(I)の結晶性が低いことを示している。
【0028】
(調製例2)
調製例1における、顔料(I)(大日本インキ化学工業(株)製「Symular Fast Orange 4183H」;C.I.ピグメントオレンジ36)20部の代わりに黄色の顔料(II)(大日本インキ化学工業(株)製「Symular Fast Yellow 4192」;C.I.ピグメントイエロー154)20部とした以外は、調製例1と同様にして、黄色の粗製顔料(II)19.5gを得た。
【0029】
得られた顔料について、調製例1と同様にして粉末X線回折分析を行った。図3にそのX線回折パターンを示す。図4には、原料として使用した顔料(II)のX線回折分析を、上記粗製顔料(II)の場合と同一の条件で行って得られたX線回折パターンを示す。該粗製顔料(II)のX線回折パターン(図3)と原料として使用した顔料(II)のX線回折パターン(図4)は、ともにX線回折角度(2θ±0.3°)26.1°に強い回折強度を有し、6.1°、12.2°、13.4°、18.3°、19.9°および22.2°に弱い回折強度を有しているが、原料として使用した顔料(II)のX線回折パターン(図4)に比べて、粗製顔料(II)のX線回折パターン(図3)では、各ピークの強度が小さくて、かつ半値幅が狭く、粗製顔料(II)の結晶性が低いことを示している。
【0030】
(実施例)
250mlポリエチレン瓶に、調製例1で得たオレンジ色の粗製顔料(I)5.9部、調製例2で得られた黄色の粗製顔料(II)2.1部、m−キシレン152部、直径0.5mmのジルコニアビーズ600部を加え、ペイントコンディショナー((株)東洋精機製作所製「PAINT SHAKER」)で5時間湿式共摩砕処理を行った。
【0031】
処理後のスラリー100部を300mlナス型フラスコに取り出し、m−キシレン100部を加えて加熱還流下で6時間熟成させた後、30℃に降温し、ろ別した。メタノール100部で洗浄し、得られたケーキを60℃の温風乾燥器中で10時間乾燥した後粉砕して、赤色を呈する本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料4.5gを得た。
【0032】
得られたベンツイミダゾロン系固溶体顔料について、調製例1と同様にして粉末X線回折分析を行った。図5にそのX線回折パターンを示す。該固溶体顔料は、X線回折角度(2θ±0.3°)12.2°および26.7°に強い回折強度を有し、12.8°および15.6°に弱い回折強度を有している。
【0033】
(比較例1)
実施例における、調製例1で得られたオレンジ色の粗製顔料(I)5.9部、調製例2で得られた黄色の粗製顔料(II)2.1部の代わりに、調製例1で得られたオレンジ色の粗製顔料(I)のみを8部とした以外は、実施例と同様にして、オレンジ色のベンツイミダゾロン系顔料4.5部を得た。
【0034】
得られた顔料について、調製例1と同様にして粉末X線回折分析を行った。図6にそのX線回折パターンを示す。該顔料は、X線回折角度(2θ±0.3°)27.4°に強い回折強度を有し、10.4°、12.2°、14.6°、18.0°、および22.7°に弱い回折強度を有している。
【0035】
(比較例2)
実施例における、調製例1で得られたオレンジ色の粗製顔料(I)5.9部、調製例2で得られた黄色の粗製顔料(II)2.1部の代わりに、調製例2で得られた黄色の粗製顔料(II)のみを8部とした以外は、実施例と同様にして、黄色のベンツイミダゾロン系顔料4.5部を得た。
【0036】
得られた顔料について、調製例1と同様にして粉末X線回折分析を行った。図7にそのX線回折パターンを示す。該顔料は、X線回折角度(2θ±0.3°)26.1°に強い回折強度を有し、6.1°、12.2°、13.4°、18.3°、19.9°および22.2°に弱い回折強度を有している。
【0037】
(比較例3)
比較例1で得た顔料5.9部と比較例2で得た顔料2.1部を十分に混合して、2種類のベンツイミダゾロン系顔料の物理的混合物である、赤みの黄色を呈する混合顔料8部を得た。
【0038】
得られた顔料について、調製例1と同様にして粉末X線回折分析を行った。図8にそのX線回折パターンを示す。該顔料は、X線回折角度(2θ±0.3°)27.4°に強い回折強度を有し、12.2°、14.6°、18.0°、22.7°、および26.1°に弱い回折強度を有している。
【0039】
(試験例)
大日本インキ化学工業(株)製焼き付け塗料用アクリル樹脂「ベッコゾールJ−524−IM−60」70%と、大日本インキ化学工業(株)製メラミン樹脂「スーパーベッカミンG−821−60」30%の混合樹脂66部を、キシレン:n−ブタノール=7:3の混合溶剤12部に溶解して樹脂組成物を得た。
【0040】
上記樹脂組成物78部に、実施例で得た固溶体顔料2部を加え、ペイントコンディショナーにより2時間撹拌して分散させ、顔料分散組成物を調製した。比較例1〜3で得た顔料についても、上記と同様にして顔料分散組成物を調製した。
これらの顔料分散組成物それぞれ12部に、前記混合樹脂:前記混合溶媒=4:3の樹脂溶液18部を加えて希釈し、焼き付け用アクリル塗料を調製した。該塗料を、アプリケーターを用いてポリエステルフィルム上に塗布した後、130℃で30分間焼き付けして塗膜を硬化させた。
【0041】
得られた硬化塗膜の色度(L*、a*、b*)を、日本電色工業(株)製分光光度計「SZ−Σ90」を使用して測定した。結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、実施例で得た本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料を含有する硬化塗膜は、比較例1から3の顔料を含有するものとは色相が異なり、赤色を呈するものであった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
顔料(I)および顔料(II)からなる本発明の新規ベンツイミダゾロン系固溶体顔料は、それぞれの顔料を物理的に混合した場合と色相が異なる赤色を呈し、彩度も高く、印刷インキ、塗料、トナー、インクジェット用インキ、あるいはプラスチックなどの着色剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】調製例1で得た、粗製ベンツイミダゾロン顔料のX線回折図である。
【図2】調製例1で原料として用いた、オレンジ色の顔料(I)(大日本インキ化学工業(株)製「Symular Fast Orange 4183H」)のX線回折図である。
【図3】調製例2で得た、粗製ベンツイミダゾロン顔料のX線回折図である。
【図4】調製例2で原料として用いた、黄色の顔料(II)(大日本インキ化学工業(株)製「Symular Fast Yellow 4192」)のX線回折図である。
【図5】実施例1で得た本発明のベンツイミダゾロン系固溶体顔料のX線回折図である。
【図6】比較例1で得たベンツイミダゾロン顔料のX線回折図である。
【図7】比較例2で得たベンツイミダゾロン顔料のX線回折図である。
【図8】比較例3で得たベンツイミダゾロン系顔料の物理的混合物のX線回折図である。
Claims (4)
- 請求項1に記載のベンツイミダゾロン系固溶体顔料を製造する方法であって、前記顔料(I)と前記顔料(II)を、摩砕媒体および液状媒体の存在下に共摩砕することを特徴とするベンツイミダゾロン系固溶体顔料の製造方法。
- 前記顔料(I)および前記顔料(II)が粗製顔料である請求項2に記載のベンツイミダゾロン系固溶体顔料の製造方法。
- 請求項1に記載のベンツイミダゾロン系固溶体顔料を含有することを特徴とする顔料組成物。
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JP2002368035A JP2004196982A (ja) | 2002-12-19 | 2002-12-19 | ベンツイミダゾロン系固溶体顔料 |
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JP2016176014A (ja) * | 2015-03-20 | 2016-10-06 | Dic株式会社 | アゾメチン金属錯体の固溶体 |
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2002
- 2002-12-19 JP JP2002368035A patent/JP2004196982A/ja active Pending
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