JP2004196751A - 更年期症状改善組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】副作用がなく、更年期症状をより効果的に改善する食品および医薬品を提供すること。
【解決手段】本発明の組成物は、(A)プロアントシアニジン、(B)女性ホルモン様物質、および(C)ホルモン調整剤を含有する。より好ましくは、さらに(D)鎮静作用を有する成分を含有する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の組成物は、(A)プロアントシアニジン、(B)女性ホルモン様物質、および(C)ホルモン調整剤を含有する。より好ましくは、さらに(D)鎮静作用を有する成分を含有する。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、更年期症状改善効果を有する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
女性における更年期症状は、閉経前後2〜3年に見られる、器質的な症状がなく、自律神経失調症を主とする症状である。更年期症状としては、例えば、発汗(いわゆるホットフラッシュ)、ほてり、のぼせ、動悸、息切れ、手足の冷え、むくみなどの血管および血管運動神経系の症状;しびれ、腰痛、肩こり、関節痛などの運動器系の症状;頭痛、めまい、耳鳴り、不眠、不安、憂鬱などの精神神経系の症状;嘔吐、胃痛、便秘、食欲不振などの消化器系の症状;頻尿、不正出血などの泌尿・生殖器系の症状;および全身性のけん怠感などの症状が挙げられる。
【0003】
更年期症状は、女性ホルモン、特に卵巣からのエストロゲンの分泌能の急速な低下が主な原因であると考えられている。すなわち、エストロゲンの低下に伴い、視床下部から卵胞刺激ホルモン等が過剰に分泌されるため、体内のホルモンバランスが崩れ、結果として、自律神経系の調節機能が正常に働かなくなり、更年期特有の症状が引き起こされると考えられている。また、エストロゲンの低下は、血管の脆弱化を引き起こすことも指摘されている。
【0004】
現在まで、更年期症状の予防および治療の代表的な方法は、エストロゲンの投与などのホルモン療法である。しかし、この方法は、乳ガンまたは子宮ガンが発生し易くなるなどの副作用があるため、積極的な治療法としては採用されにくい。
【0005】
近年、エストロゲン様作用を有する植物由来の食品などを用いた更年期症状の予防法および治療法が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。しかし、これらのエストロゲン様作用を有する植物由来の食品の作用は、極めて弱く、エストロゲンの低下を補填することができない。さらに、ホルモンバランスおよび自律神経系の調節機能を正常にする程の改善効果は得られていない。
【0006】
【特許文献1】
国際公開第99/07392号パンフレット
【特許文献2】
特表2001−523258号公報
【特許文献3】
特開2000−247878号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、更年期における各症状を副作用なく、予防および治療する食品および医薬品が望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、副作用がなく、更年期症状をより効果的に改善する食品および医薬品を鋭意検討したところ、プロアントシアニジンと女性ホルモン様物質とホルモン調整剤とを組み合わせることにより優れた更年期症状改善効果が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)プロアントシアニジン、(B)女性ホルモン様物質、および(C)ホルモン調整剤を含有する組成物を提供する。
【0010】
好ましい実施態様においては、さらに(D)鎮静作用を有する成分を含有する。
【0011】
より好ましい実施態様においては、上記(A)プロアントシアニジンは、天然物由来の抽出物中に含有され、該抽出物の20重量%以上が、2〜4量体のオリゴメリック・プロアントシアニジンである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の組成物について説明する。なお、以下に説明する構成は、本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができることは当業者に明らかである。
【0013】
本発明の組成物は、(A)プロアントシアニジン、(B)女性ホルモン様物質、および(C)ホルモン調節剤を含有する。好ましくは、さらに(D)鎮静作用を有する成分を含有する。以下、各成分について説明する。
【0014】
(A)プロアントシアニジン
本発明において、プロアントシアニジンとは、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群をいう。
【0015】
このプロアントシアニジンとしては、重合度の低い縮重合体が多く含まれるものが好ましく用いられる。重合度の低い縮重合体としては、重合度が2〜30の縮重合体(2〜30量体)が好ましく、重合度が2〜10の縮重合体(2〜10量体)がより好ましく、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)がさらに好ましい。この重合度が2〜4の縮重合体を、本明細書ではOPC(オリゴメリック・プロアントシアニジン;oligomeric proanthocyanidin)という。プロアントシアニジンは、ポリフェノール類の一種で、植物が作り出す強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果物の皮もしくは種の部分に集中的に含まれている。プロアントシアニジン、特にOPCは、具体的には、松、樫、山桃などの樹皮、ブドウ、ブルーベリー、イチゴ、アボガド、ニセアカシア、コケモモの果実もしくは種子、大麦、小麦、大豆、黒大豆、カカオ、小豆、トチの実の殻、ピーナッツの薄皮、イチョウ葉などに含まれている。また、西アフリカのコーラナッツ、ペルーのラタニアの根、日本の緑茶にも、OPCが含まれることが知られている。OPCは、ヒトの体内では、生成することのできない物質である。
【0016】
特にOPC含有量が高いプロアントシアニジンまたはOPC含有量が高いプロアントシアニジンを含む抽出物を用いると、重合度の高いプロアントシアニジン(OPC含有量が少ないもの)を用いた場合と対比して、優れた更年期症状改善効果が得られる。
【0017】
上記プロアントシアニジンを含む植物のうち、松樹皮がOPCを豊富に含むため、プロアントシアニジンの原料として好ましく用いられる。
【0018】
以下、OPCを豊富に含む松樹皮を原料植物として用いた例に挙げて、プロアントシアニジンを主成分とする抽出物の調製方法を説明する。
【0019】
松樹皮抽出物としては、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダなどのマツ目に属する植物の樹皮の抽出物が好ましく用いられる。中でも、フランス海岸松(Pinus Martima)の樹皮抽出物が好ましい。
【0020】
フランス海岸松は、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松をいう。このフランス海岸松の樹皮は、プロアントシアニジン、有機酸、ならびにその他の生理活性成分などを含有し、その主要成分であるフラボノイド類のプロアントシアニジンに、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があることが知られている。
【0021】
松樹皮抽出物は、上記の松樹皮を水または有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には、温水または熱水を用いることが好ましい。これらの水には、塩化ナトリウムなどの塩が含まれていてもよい。抽出に用いる有機溶媒としては、食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および1,1,2−トリクロロエテンが挙げられる。これらの水および有機溶媒は単独で用いてもよいし、組合わせて用いてもよい。特に、熱水、含水エタノール、および含水プロピレングリコールが好ましく用いられる。
【0022】
松樹皮からプロアントシアニジンを抽出する方法は、特に限定されないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
【0023】
超臨界流体抽出法は、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などが用いられ、二酸化炭素が好ましく用いられる。
【0024】
超臨界流体抽出法は、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程および目的成分と超臨界流体とを分離する分離工程からなる。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、または吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0025】
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、超臨界流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、またはケトン類を2〜20W/V%程度添加し、得られた抽出流体で超臨界流体抽出を行うことによって、OPC、カテキン類(後述)などの目的とする被抽出物の抽出流体に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的に松樹皮抽出物を得る方法である。
【0026】
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点;抽出流体が残留しないという利点;および溶媒の循環利用が可能であり、脱溶媒工程などが省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
【0027】
また、松樹皮からの抽出は、上記の方法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法などにより行ってもよい。
【0028】
松樹皮からの抽出は、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0029】
本発明において、プロアントシアニジンを主成分として含む松樹皮抽出物は、具体的には、以下のような方法によりに調製されるが、これは例示であり、この方法に限定されない。
【0030】
フランス海岸松の樹皮1kgを、塩化ナトリウムの飽和溶液3Lに入れ、100℃にて30分間抽出し、抽出液を得る(抽出工程)。その後、抽出液を濾過し、得られる不溶物を塩化ナトリウムの飽和溶液500mlで洗浄し、洗浄液を得る(洗浄工程)。この抽出液と洗浄液とを合わせて、松樹皮の粗抽出液を得る。
【0031】
次いで、この粗抽出液に酢酸エチル250mlを添加して分液し、酢酸エチル層を回収する工程を5回行う。回収した酢酸エチル溶液を合わせて、無水硫酸ナトリウム200gに直接添加して脱水する。その後、この酢酸エチル溶液を濾過し、濾液を元の5分の1量になるまで減圧濃縮する。濃縮された酢酸エチル溶液を2Lのクロロホルムに注ぎ、攪拌して得られる沈殿物を濾過により回収する。その後、この沈殿物を酢酸エチル100mlに溶解した後、再度1Lのクロロホルムに添加して沈殿させる操作を2回繰り返す洗浄工程を行う。この方法により、例えば、OPCを20重量%以上含み、かつカテキン類を5重量%以上含有する、約5gの松樹皮抽出物が得られる。
【0032】
上記松樹皮のような原料植物に由来する抽出物は、40重量%以上のプロアントシアニジンを含有することが好ましい。さらに、この原料植物由来の抽出物中にOPCを20重量%以上含有することが好ましく、30重量%以上含有することがより好ましい。
【0033】
上記植物抽出物には、プロアントシアニジン、特にOPCとともにカテキン(catechin)類が上記原料植物抽出物中に5重量%以上含まれていることが好ましい。カテキン類とは、ポリヒドロキシフラバン−3−オールの総称である。カテキン類としては、(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレートなどが知られている。上記松樹皮のような原料植物由来の抽出物からは、狭義のカテキンといわれている(+)−カテキンの他、ガロカテキン、アフゼレキン、ならびに(+)−カテキンまたはガロカテキンの3−ガロイル誘導体が単離されている。カテキン類には、発癌抑制作用、動脈硬化予防作用、脂肪代謝異常の抑制作用、血圧上昇抑制作用、血小板凝集抑制作用、抗アレルギー作用、抗ウイルス作用、抗菌作用、虫歯予防作用、口臭防止作用、腸内細菌叢正常化効果、活性酸素やフリーラジカルの消去作用、抗酸化作用などがあることが知られている。カテキン類には、血糖の上昇を抑制する作用(抗糖尿病効果)があることが知られている。また、カテキン類は、OPCの存在下で水溶性が増すと同時に、活性化する性質がある。
【0034】
プロアントシアニジンは、本発明の組成物中に5〜70重量%の割合で含有されることが好ましい。
【0035】
プロアントシアニジンは、1日の摂取量が20〜1000mg、好ましくは40mg〜500mgとすることが好ましい。
【0036】
(B)女性ホルモン様物質
本発明の組成物は、女性ホルモン様物質を含有する。本発明において女性ホルモン様物質とは、植物中に含まれるイソフラボン、エストロンなどの、女性ホルモン様活性を有する成分、ならびにその成分を含有する植物または植物抽出物をいう。これらの女性ホルモン様物質は、女性ホルモンであるエストロゲン様の作用を有する。
【0037】
本発明の組成物に含有される女性ホルモン様物質としては、例えば、大豆、ザクロ種子、ムラサキツメクサ、セージ、アメリカショウマ、パンプキンシード、ワイルドヤム、およびそれらの抽出物が挙げられる。好ましくは、大豆抽出物およびアメリカショウマ抽出物であり、より好ましくは、アメリカショウマ抽出物である。
【0038】
女性ホルモン様物質は、本発明の組成物中に5〜50重量%の割合で含有されることが好ましい。
【0039】
女性ホルモン様物質の1日の摂取量は、その種類によって異なるが、成人一日あたりの推奨摂取量とすることが好ましい。一日あたりの推奨摂取量は、例えば、イソフラボンでは20mg〜200mg、好ましくは30mg〜100mgである。イソフラボンを含有する植物または植物抽出物は、イソフラボンの濃度を考慮して、上記イソフラボン量となるように摂取することが好ましい。例えば、イソフラボンを10重量%含有する大豆抽出物では200mg〜2000mg、好ましくは300mg〜1000mgである。イソフラボン以外の女性ホルモン様活性を有する成分を含有する植物抽出物の場合、通常、10mg〜500mgの範囲内で摂取されることが好ましい。例えば、アメリカショウマ抽出物では30mg〜300mg、好ましくは80mg〜200mg、そしてザクロ種子抽出物では10mg〜200mg、好ましくは、20mg〜100mgである。
【0040】
(C)ホルモン調整剤
本発明の組成物は、ホルモン調整剤を含有する。本発明においてホルモン調節剤とは、エストロゲンが低下することにより、影響を受ける卵胞刺激ホルモン、黄体ホルモンなどのホルモンバランスを調整する効果を有する成分、ならびにその効果を有する植物およびその抽出物をいう。これらのホルモン調整剤は、例えばエストロゲンの低下により、卵胞刺激ホルモンが過剰分泌されるのを抑制し、結果として自律神経系のバランスが崩れること防止することができる。
【0041】
本発明の組成物に含有されるホルモン調整剤としては、例えば、セイヨウニンジンボク、スマ、カンゾウ、エゾウコギ、トウキ、アメリカショウマ、およびそれらの抽出物が挙げられる。好ましくは、アメリカショウマ抽出物およびセイヨウニンジンボク抽出物である。
【0042】
ホルモン調整剤は、本発明の組成物中に5〜40重量%の割合で含有されることが好ましい。
【0043】
ホルモン調整剤の1日の摂取量は、その種類によって異なり、特に制限はない。ホルモン調整剤が抽出物である場合、その摂取量は、各抽出物の成人一日当たりの推奨摂取量とすることが好ましく、通常、40mg〜1000mgの範囲内であることが好ましい。例えば、セイヨウニンジンボク抽出物では、40mg〜700mg、好ましくは100mg〜400mg、エゾウコギ抽出物は100mg〜500mg、好ましくは200mg〜400mgである。
【0044】
本発明の組成物において、アメリカショウマおよびその抽出物は、上記のように(B)女性ホルモン様物質および(C)ホルモン調整剤としての効果を有するため、特に好ましく用いられ得る。すなわち、アメリカショウマおよびその抽出物は、(B)成分として用いてもよく、(C)成分として用いてもよく、あるいは単独で(B)成分および(C)成分として用いてもよい。例えば、アメリカショウマ抽出物を(B)および(C)の両方の成分として使用する場合、その含有量は、本発明の組成物中に5〜50重量%であることが好ましい。
【0045】
(D)鎮静作用を有する成分
本発明の組成物は、さらに鎮静作用を有する成分を含有することが好ましい。本発明において、鎮静作用を有する成分とは、特に神経の興奮や自律神経系のバランスを調整し、神経症、過敏症または不眠症の改善効果および精神を鎮める効果を有する成分をいい、例えば、ヒペリシン、セロトニンなどが挙げられる。
【0046】
本発明に用いられる鎮静作用を有する成分は、さらに上記の成分を含有する植物およびその抽出物でもよい。例えば、ホップ、チャボトケイソウ、三薬エキス、メマツヨイグサ、セイヨウカノコソウ、ヨウシュメハジキ、セイヨウオトギリソウ、およびそれらの抽出物が挙げられる。好ましくは、ホップ抽出物およびセイヨウオトギリソウ抽出物である。
【0047】
鎮静作用を有する成分は、本発明の組成物中に5〜30重量%の割合で含有されることが好ましい。
【0048】
鎮静作用を有する成分の1日の摂取量は、その種類によって異なるが、例えば、ホップ抽出物では60mg〜500mg、好ましくは120mg〜300mg、チャボトケソウ抽出物では50mg〜300mg、セイヨウオトギリソウ抽出物では80〜900mg、そしてセイヨウカノコソウ抽出物では、50〜500mgであることが好ましい。
【0049】
本発明の組成物は、上記プロアントシアニジン、女性ホルモン様物質、およびホルモン調整剤、さらに必要に応じて、上記鎮静作用を有する成分、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料などと混合され得る。例えば、ローヤルゼリー、ビタミン類、プロテイン、卵殻カルシウムなどのカルシウム、キトサン、レシチン、クロレラ末、アシタバ末、モロヘイヤ末などの栄養成分を配合し、さらに、ステビア末、抹茶パウダー、レモンパウダー、はちみつ、還元麦芽糖、乳糖、糖液、調味料などを加えて味を整えてもよい。そしてこれらは、必要に応じて、ハードカプセル、ソフトカプセルのようなカプセル剤、錠剤、もしくは丸剤としてか、または粉末状、顆粒状、ティーバッグ状、飴状、液体、ペースト状などの形態としてもよい。そしてこれらは、そのまま飲食しても良いし、あるいは水、湯、牛乳などに溶いて飲んでも良いし、成分を浸出させたものを飲んでも良い。
【0050】
本発明の組成物は、上述のように(A)のプロアントシアニジン、(B)の女性ホルモン様物質、および(C)のホルモン調整剤を含有し、これによって、発汗、冷え、腰痛、イライラ感、ほてり、のぼせ、息切れ、むくみ、肩こり、関節痛、頭痛、不眠、胃痛、頻尿、めまいなどの更年期症状に対して優れた改善効果を示す。特に発汗、冷え、腰痛、およびイライラ感に対しては、それぞれ単独で、あるいは2種類の組み合わせでは得られない相乗的な改善効果が得られる。さらに本発明の更年期症状改善組成物は、植物抽出物などの天然物を使用しているため、副作用が少ない。
【0051】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明がこの実施例により制限されないことはいうまでもない。
【0052】
(実施例1)
プロアントシアニジンを40重量%(OPCとして20重量%)およびカテキンを5重量%含有する松樹皮のエタノール抽出物(商品名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)、アメリカショウマ抽出物(日本粉末薬品株式会社)、セイヨウニンジンボク抽出物(株式会社皇漢薬品)、結晶セルロース、ショ糖エステル、二酸化ケイ素、および卵殻カルシウムを、以下の表1に記載の割合で混合して錠剤を製造した(錠剤の重量:1錠あたり約150mg)。
【0053】
得られた錠剤をそれぞれ、更年期症状(発汗、冷え、腰痛、およびイライラ感)を訴える一群5人のボランティア(46〜55歳の女性)に対し、1日あたり3錠を8週間毎日摂取させた。摂取終了後、更年期症状改善効果(発汗、冷え、腰痛、およびイライラ感)について、下記の基準で自己評価してもらった。なお、ボランティアは、同年代の人を均等にしたことを除いてランダムに割り振った:
摂取前より著しく良くなった・・・2点
摂取前より良くなった・・・・・・1点
摂取前と変わらない・・・・・・・0点。
【0054】
結果を表2に示す。なお、表2の結果は、5人の被験者の採点の平均点を示し、「合計」は、各項目の平均点の合計点を示す。すなわち、「合計」の点数が高い程、更年期症状改善効果が高いことを示す。
【0055】
(実施例2および3)
実施例2は、実施例1の組成にさらにセイヨウオトギリソウ抽出物を含有する以外は、実施例1と同様に、以下の表1に記載の割合で混合して錠剤を製造した。実施例3は、実施例1のアメリカショウマ抽出物の代わりに大豆抽出物(フジッコ株式会社)を用い、さらにホップ抽出物を含有すること以外は、実施例1と同様に、以下の表1に記載の組成にて錠剤を製造した。これらの錠剤それぞれについて更年期症状改善効果を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0056】
(実施例4)
実施例4は、実施例1の組成からセイヨウニンジンボク抽出物を除いた以外は、実施例1と同様に、以下の表1に記載の割合で混合して錠剤を製造した。すなわち、実施例4では、アメリカショウマ抽出物を(B)成分および(C)成分として使用した。この錠剤についても、更年期症状改善効果を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0057】
(比較例1〜4)
(A)〜(C)のうちの1種または2種のみを含むように、各成分を以下の表1に記載の割合で混合して錠剤を製造し、実施例1と同様に更年期症状改善効果を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
表2に示す結果より、(A)〜(C)成分を含有する実施例1〜4の錠剤を摂取した群では、それぞれ単独、あるいは2種類のみの成分を含有する比較例の錠剤を摂取した群に比べて、優れた更年期症状改善効果が得られたことがわかる。特に、実施例4と比較例4とを比較した結果から、従来の女性ホルモン様物質などに、さらにプロアントシアニジンを組み合わせることによって、より優れた効果が得られることがわかった。また、(D)成分を含有する錠剤を摂取した群(実施例2および3)では、イライラ感に対する効果が高かった。プロアントシアニジンとアメリカショウマ抽出物のみを含む錠剤を摂取した群(実施例4)は、プロアントシアニジンと(B)成分のみを含む錠剤を摂取した群(比較例2)またはプロアントシアニジンと(C)成分のみを含む錠剤を摂取した群(比較例3)よりも高い効果が得られており、アメリカショウマ抽出物が(B)成分および(C)成分の両方の効果を発揮していることがわかった。
【0061】
また、実施例の錠剤を摂取したボランティアからは、比較例の錠剤を摂取したボランティアに比べて、更年期症状(ほてり、のぼせ、息切れ、むくみ、肩こり、関節痛、頭痛、不眠、胃痛、頻尿、およびめまい)が、顕著に改善されたという感想が多く聞かれた。
【0062】
【発明の効果】
本発明の(A)プロアントシアニジン、(B)女性ホルモン様物質、および(C)ホルモン調整剤を含有する組成物は、それぞれ単独、あるいは2種類のみを摂取した際には得られない、優れた更年期症状改善効果を有する。さらに、(D)鎮静作用を有する成分を含有することにより、より優れた更年期症状改善効果が得られる。さらに、本発明の組成物は、植物抽出物などの天然物を使用しているため、副作用が少ない。
【発明の属する技術分野】
本発明は、更年期症状改善効果を有する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
女性における更年期症状は、閉経前後2〜3年に見られる、器質的な症状がなく、自律神経失調症を主とする症状である。更年期症状としては、例えば、発汗(いわゆるホットフラッシュ)、ほてり、のぼせ、動悸、息切れ、手足の冷え、むくみなどの血管および血管運動神経系の症状;しびれ、腰痛、肩こり、関節痛などの運動器系の症状;頭痛、めまい、耳鳴り、不眠、不安、憂鬱などの精神神経系の症状;嘔吐、胃痛、便秘、食欲不振などの消化器系の症状;頻尿、不正出血などの泌尿・生殖器系の症状;および全身性のけん怠感などの症状が挙げられる。
【0003】
更年期症状は、女性ホルモン、特に卵巣からのエストロゲンの分泌能の急速な低下が主な原因であると考えられている。すなわち、エストロゲンの低下に伴い、視床下部から卵胞刺激ホルモン等が過剰に分泌されるため、体内のホルモンバランスが崩れ、結果として、自律神経系の調節機能が正常に働かなくなり、更年期特有の症状が引き起こされると考えられている。また、エストロゲンの低下は、血管の脆弱化を引き起こすことも指摘されている。
【0004】
現在まで、更年期症状の予防および治療の代表的な方法は、エストロゲンの投与などのホルモン療法である。しかし、この方法は、乳ガンまたは子宮ガンが発生し易くなるなどの副作用があるため、積極的な治療法としては採用されにくい。
【0005】
近年、エストロゲン様作用を有する植物由来の食品などを用いた更年期症状の予防法および治療法が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。しかし、これらのエストロゲン様作用を有する植物由来の食品の作用は、極めて弱く、エストロゲンの低下を補填することができない。さらに、ホルモンバランスおよび自律神経系の調節機能を正常にする程の改善効果は得られていない。
【0006】
【特許文献1】
国際公開第99/07392号パンフレット
【特許文献2】
特表2001−523258号公報
【特許文献3】
特開2000−247878号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、更年期における各症状を副作用なく、予防および治療する食品および医薬品が望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、副作用がなく、更年期症状をより効果的に改善する食品および医薬品を鋭意検討したところ、プロアントシアニジンと女性ホルモン様物質とホルモン調整剤とを組み合わせることにより優れた更年期症状改善効果が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)プロアントシアニジン、(B)女性ホルモン様物質、および(C)ホルモン調整剤を含有する組成物を提供する。
【0010】
好ましい実施態様においては、さらに(D)鎮静作用を有する成分を含有する。
【0011】
より好ましい実施態様においては、上記(A)プロアントシアニジンは、天然物由来の抽出物中に含有され、該抽出物の20重量%以上が、2〜4量体のオリゴメリック・プロアントシアニジンである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の組成物について説明する。なお、以下に説明する構成は、本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができることは当業者に明らかである。
【0013】
本発明の組成物は、(A)プロアントシアニジン、(B)女性ホルモン様物質、および(C)ホルモン調節剤を含有する。好ましくは、さらに(D)鎮静作用を有する成分を含有する。以下、各成分について説明する。
【0014】
(A)プロアントシアニジン
本発明において、プロアントシアニジンとは、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群をいう。
【0015】
このプロアントシアニジンとしては、重合度の低い縮重合体が多く含まれるものが好ましく用いられる。重合度の低い縮重合体としては、重合度が2〜30の縮重合体(2〜30量体)が好ましく、重合度が2〜10の縮重合体(2〜10量体)がより好ましく、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)がさらに好ましい。この重合度が2〜4の縮重合体を、本明細書ではOPC(オリゴメリック・プロアントシアニジン;oligomeric proanthocyanidin)という。プロアントシアニジンは、ポリフェノール類の一種で、植物が作り出す強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果物の皮もしくは種の部分に集中的に含まれている。プロアントシアニジン、特にOPCは、具体的には、松、樫、山桃などの樹皮、ブドウ、ブルーベリー、イチゴ、アボガド、ニセアカシア、コケモモの果実もしくは種子、大麦、小麦、大豆、黒大豆、カカオ、小豆、トチの実の殻、ピーナッツの薄皮、イチョウ葉などに含まれている。また、西アフリカのコーラナッツ、ペルーのラタニアの根、日本の緑茶にも、OPCが含まれることが知られている。OPCは、ヒトの体内では、生成することのできない物質である。
【0016】
特にOPC含有量が高いプロアントシアニジンまたはOPC含有量が高いプロアントシアニジンを含む抽出物を用いると、重合度の高いプロアントシアニジン(OPC含有量が少ないもの)を用いた場合と対比して、優れた更年期症状改善効果が得られる。
【0017】
上記プロアントシアニジンを含む植物のうち、松樹皮がOPCを豊富に含むため、プロアントシアニジンの原料として好ましく用いられる。
【0018】
以下、OPCを豊富に含む松樹皮を原料植物として用いた例に挙げて、プロアントシアニジンを主成分とする抽出物の調製方法を説明する。
【0019】
松樹皮抽出物としては、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダなどのマツ目に属する植物の樹皮の抽出物が好ましく用いられる。中でも、フランス海岸松(Pinus Martima)の樹皮抽出物が好ましい。
【0020】
フランス海岸松は、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松をいう。このフランス海岸松の樹皮は、プロアントシアニジン、有機酸、ならびにその他の生理活性成分などを含有し、その主要成分であるフラボノイド類のプロアントシアニジンに、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があることが知られている。
【0021】
松樹皮抽出物は、上記の松樹皮を水または有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には、温水または熱水を用いることが好ましい。これらの水には、塩化ナトリウムなどの塩が含まれていてもよい。抽出に用いる有機溶媒としては、食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および1,1,2−トリクロロエテンが挙げられる。これらの水および有機溶媒は単独で用いてもよいし、組合わせて用いてもよい。特に、熱水、含水エタノール、および含水プロピレングリコールが好ましく用いられる。
【0022】
松樹皮からプロアントシアニジンを抽出する方法は、特に限定されないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
【0023】
超臨界流体抽出法は、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などが用いられ、二酸化炭素が好ましく用いられる。
【0024】
超臨界流体抽出法は、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程および目的成分と超臨界流体とを分離する分離工程からなる。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、または吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0025】
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、超臨界流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、またはケトン類を2〜20W/V%程度添加し、得られた抽出流体で超臨界流体抽出を行うことによって、OPC、カテキン類(後述)などの目的とする被抽出物の抽出流体に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的に松樹皮抽出物を得る方法である。
【0026】
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点;抽出流体が残留しないという利点;および溶媒の循環利用が可能であり、脱溶媒工程などが省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
【0027】
また、松樹皮からの抽出は、上記の方法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法などにより行ってもよい。
【0028】
松樹皮からの抽出は、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0029】
本発明において、プロアントシアニジンを主成分として含む松樹皮抽出物は、具体的には、以下のような方法によりに調製されるが、これは例示であり、この方法に限定されない。
【0030】
フランス海岸松の樹皮1kgを、塩化ナトリウムの飽和溶液3Lに入れ、100℃にて30分間抽出し、抽出液を得る(抽出工程)。その後、抽出液を濾過し、得られる不溶物を塩化ナトリウムの飽和溶液500mlで洗浄し、洗浄液を得る(洗浄工程)。この抽出液と洗浄液とを合わせて、松樹皮の粗抽出液を得る。
【0031】
次いで、この粗抽出液に酢酸エチル250mlを添加して分液し、酢酸エチル層を回収する工程を5回行う。回収した酢酸エチル溶液を合わせて、無水硫酸ナトリウム200gに直接添加して脱水する。その後、この酢酸エチル溶液を濾過し、濾液を元の5分の1量になるまで減圧濃縮する。濃縮された酢酸エチル溶液を2Lのクロロホルムに注ぎ、攪拌して得られる沈殿物を濾過により回収する。その後、この沈殿物を酢酸エチル100mlに溶解した後、再度1Lのクロロホルムに添加して沈殿させる操作を2回繰り返す洗浄工程を行う。この方法により、例えば、OPCを20重量%以上含み、かつカテキン類を5重量%以上含有する、約5gの松樹皮抽出物が得られる。
【0032】
上記松樹皮のような原料植物に由来する抽出物は、40重量%以上のプロアントシアニジンを含有することが好ましい。さらに、この原料植物由来の抽出物中にOPCを20重量%以上含有することが好ましく、30重量%以上含有することがより好ましい。
【0033】
上記植物抽出物には、プロアントシアニジン、特にOPCとともにカテキン(catechin)類が上記原料植物抽出物中に5重量%以上含まれていることが好ましい。カテキン類とは、ポリヒドロキシフラバン−3−オールの総称である。カテキン類としては、(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレートなどが知られている。上記松樹皮のような原料植物由来の抽出物からは、狭義のカテキンといわれている(+)−カテキンの他、ガロカテキン、アフゼレキン、ならびに(+)−カテキンまたはガロカテキンの3−ガロイル誘導体が単離されている。カテキン類には、発癌抑制作用、動脈硬化予防作用、脂肪代謝異常の抑制作用、血圧上昇抑制作用、血小板凝集抑制作用、抗アレルギー作用、抗ウイルス作用、抗菌作用、虫歯予防作用、口臭防止作用、腸内細菌叢正常化効果、活性酸素やフリーラジカルの消去作用、抗酸化作用などがあることが知られている。カテキン類には、血糖の上昇を抑制する作用(抗糖尿病効果)があることが知られている。また、カテキン類は、OPCの存在下で水溶性が増すと同時に、活性化する性質がある。
【0034】
プロアントシアニジンは、本発明の組成物中に5〜70重量%の割合で含有されることが好ましい。
【0035】
プロアントシアニジンは、1日の摂取量が20〜1000mg、好ましくは40mg〜500mgとすることが好ましい。
【0036】
(B)女性ホルモン様物質
本発明の組成物は、女性ホルモン様物質を含有する。本発明において女性ホルモン様物質とは、植物中に含まれるイソフラボン、エストロンなどの、女性ホルモン様活性を有する成分、ならびにその成分を含有する植物または植物抽出物をいう。これらの女性ホルモン様物質は、女性ホルモンであるエストロゲン様の作用を有する。
【0037】
本発明の組成物に含有される女性ホルモン様物質としては、例えば、大豆、ザクロ種子、ムラサキツメクサ、セージ、アメリカショウマ、パンプキンシード、ワイルドヤム、およびそれらの抽出物が挙げられる。好ましくは、大豆抽出物およびアメリカショウマ抽出物であり、より好ましくは、アメリカショウマ抽出物である。
【0038】
女性ホルモン様物質は、本発明の組成物中に5〜50重量%の割合で含有されることが好ましい。
【0039】
女性ホルモン様物質の1日の摂取量は、その種類によって異なるが、成人一日あたりの推奨摂取量とすることが好ましい。一日あたりの推奨摂取量は、例えば、イソフラボンでは20mg〜200mg、好ましくは30mg〜100mgである。イソフラボンを含有する植物または植物抽出物は、イソフラボンの濃度を考慮して、上記イソフラボン量となるように摂取することが好ましい。例えば、イソフラボンを10重量%含有する大豆抽出物では200mg〜2000mg、好ましくは300mg〜1000mgである。イソフラボン以外の女性ホルモン様活性を有する成分を含有する植物抽出物の場合、通常、10mg〜500mgの範囲内で摂取されることが好ましい。例えば、アメリカショウマ抽出物では30mg〜300mg、好ましくは80mg〜200mg、そしてザクロ種子抽出物では10mg〜200mg、好ましくは、20mg〜100mgである。
【0040】
(C)ホルモン調整剤
本発明の組成物は、ホルモン調整剤を含有する。本発明においてホルモン調節剤とは、エストロゲンが低下することにより、影響を受ける卵胞刺激ホルモン、黄体ホルモンなどのホルモンバランスを調整する効果を有する成分、ならびにその効果を有する植物およびその抽出物をいう。これらのホルモン調整剤は、例えばエストロゲンの低下により、卵胞刺激ホルモンが過剰分泌されるのを抑制し、結果として自律神経系のバランスが崩れること防止することができる。
【0041】
本発明の組成物に含有されるホルモン調整剤としては、例えば、セイヨウニンジンボク、スマ、カンゾウ、エゾウコギ、トウキ、アメリカショウマ、およびそれらの抽出物が挙げられる。好ましくは、アメリカショウマ抽出物およびセイヨウニンジンボク抽出物である。
【0042】
ホルモン調整剤は、本発明の組成物中に5〜40重量%の割合で含有されることが好ましい。
【0043】
ホルモン調整剤の1日の摂取量は、その種類によって異なり、特に制限はない。ホルモン調整剤が抽出物である場合、その摂取量は、各抽出物の成人一日当たりの推奨摂取量とすることが好ましく、通常、40mg〜1000mgの範囲内であることが好ましい。例えば、セイヨウニンジンボク抽出物では、40mg〜700mg、好ましくは100mg〜400mg、エゾウコギ抽出物は100mg〜500mg、好ましくは200mg〜400mgである。
【0044】
本発明の組成物において、アメリカショウマおよびその抽出物は、上記のように(B)女性ホルモン様物質および(C)ホルモン調整剤としての効果を有するため、特に好ましく用いられ得る。すなわち、アメリカショウマおよびその抽出物は、(B)成分として用いてもよく、(C)成分として用いてもよく、あるいは単独で(B)成分および(C)成分として用いてもよい。例えば、アメリカショウマ抽出物を(B)および(C)の両方の成分として使用する場合、その含有量は、本発明の組成物中に5〜50重量%であることが好ましい。
【0045】
(D)鎮静作用を有する成分
本発明の組成物は、さらに鎮静作用を有する成分を含有することが好ましい。本発明において、鎮静作用を有する成分とは、特に神経の興奮や自律神経系のバランスを調整し、神経症、過敏症または不眠症の改善効果および精神を鎮める効果を有する成分をいい、例えば、ヒペリシン、セロトニンなどが挙げられる。
【0046】
本発明に用いられる鎮静作用を有する成分は、さらに上記の成分を含有する植物およびその抽出物でもよい。例えば、ホップ、チャボトケイソウ、三薬エキス、メマツヨイグサ、セイヨウカノコソウ、ヨウシュメハジキ、セイヨウオトギリソウ、およびそれらの抽出物が挙げられる。好ましくは、ホップ抽出物およびセイヨウオトギリソウ抽出物である。
【0047】
鎮静作用を有する成分は、本発明の組成物中に5〜30重量%の割合で含有されることが好ましい。
【0048】
鎮静作用を有する成分の1日の摂取量は、その種類によって異なるが、例えば、ホップ抽出物では60mg〜500mg、好ましくは120mg〜300mg、チャボトケソウ抽出物では50mg〜300mg、セイヨウオトギリソウ抽出物では80〜900mg、そしてセイヨウカノコソウ抽出物では、50〜500mgであることが好ましい。
【0049】
本発明の組成物は、上記プロアントシアニジン、女性ホルモン様物質、およびホルモン調整剤、さらに必要に応じて、上記鎮静作用を有する成分、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料などと混合され得る。例えば、ローヤルゼリー、ビタミン類、プロテイン、卵殻カルシウムなどのカルシウム、キトサン、レシチン、クロレラ末、アシタバ末、モロヘイヤ末などの栄養成分を配合し、さらに、ステビア末、抹茶パウダー、レモンパウダー、はちみつ、還元麦芽糖、乳糖、糖液、調味料などを加えて味を整えてもよい。そしてこれらは、必要に応じて、ハードカプセル、ソフトカプセルのようなカプセル剤、錠剤、もしくは丸剤としてか、または粉末状、顆粒状、ティーバッグ状、飴状、液体、ペースト状などの形態としてもよい。そしてこれらは、そのまま飲食しても良いし、あるいは水、湯、牛乳などに溶いて飲んでも良いし、成分を浸出させたものを飲んでも良い。
【0050】
本発明の組成物は、上述のように(A)のプロアントシアニジン、(B)の女性ホルモン様物質、および(C)のホルモン調整剤を含有し、これによって、発汗、冷え、腰痛、イライラ感、ほてり、のぼせ、息切れ、むくみ、肩こり、関節痛、頭痛、不眠、胃痛、頻尿、めまいなどの更年期症状に対して優れた改善効果を示す。特に発汗、冷え、腰痛、およびイライラ感に対しては、それぞれ単独で、あるいは2種類の組み合わせでは得られない相乗的な改善効果が得られる。さらに本発明の更年期症状改善組成物は、植物抽出物などの天然物を使用しているため、副作用が少ない。
【0051】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明がこの実施例により制限されないことはいうまでもない。
【0052】
(実施例1)
プロアントシアニジンを40重量%(OPCとして20重量%)およびカテキンを5重量%含有する松樹皮のエタノール抽出物(商品名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)、アメリカショウマ抽出物(日本粉末薬品株式会社)、セイヨウニンジンボク抽出物(株式会社皇漢薬品)、結晶セルロース、ショ糖エステル、二酸化ケイ素、および卵殻カルシウムを、以下の表1に記載の割合で混合して錠剤を製造した(錠剤の重量:1錠あたり約150mg)。
【0053】
得られた錠剤をそれぞれ、更年期症状(発汗、冷え、腰痛、およびイライラ感)を訴える一群5人のボランティア(46〜55歳の女性)に対し、1日あたり3錠を8週間毎日摂取させた。摂取終了後、更年期症状改善効果(発汗、冷え、腰痛、およびイライラ感)について、下記の基準で自己評価してもらった。なお、ボランティアは、同年代の人を均等にしたことを除いてランダムに割り振った:
摂取前より著しく良くなった・・・2点
摂取前より良くなった・・・・・・1点
摂取前と変わらない・・・・・・・0点。
【0054】
結果を表2に示す。なお、表2の結果は、5人の被験者の採点の平均点を示し、「合計」は、各項目の平均点の合計点を示す。すなわち、「合計」の点数が高い程、更年期症状改善効果が高いことを示す。
【0055】
(実施例2および3)
実施例2は、実施例1の組成にさらにセイヨウオトギリソウ抽出物を含有する以外は、実施例1と同様に、以下の表1に記載の割合で混合して錠剤を製造した。実施例3は、実施例1のアメリカショウマ抽出物の代わりに大豆抽出物(フジッコ株式会社)を用い、さらにホップ抽出物を含有すること以外は、実施例1と同様に、以下の表1に記載の組成にて錠剤を製造した。これらの錠剤それぞれについて更年期症状改善効果を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0056】
(実施例4)
実施例4は、実施例1の組成からセイヨウニンジンボク抽出物を除いた以外は、実施例1と同様に、以下の表1に記載の割合で混合して錠剤を製造した。すなわち、実施例4では、アメリカショウマ抽出物を(B)成分および(C)成分として使用した。この錠剤についても、更年期症状改善効果を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0057】
(比較例1〜4)
(A)〜(C)のうちの1種または2種のみを含むように、各成分を以下の表1に記載の割合で混合して錠剤を製造し、実施例1と同様に更年期症状改善効果を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
表2に示す結果より、(A)〜(C)成分を含有する実施例1〜4の錠剤を摂取した群では、それぞれ単独、あるいは2種類のみの成分を含有する比較例の錠剤を摂取した群に比べて、優れた更年期症状改善効果が得られたことがわかる。特に、実施例4と比較例4とを比較した結果から、従来の女性ホルモン様物質などに、さらにプロアントシアニジンを組み合わせることによって、より優れた効果が得られることがわかった。また、(D)成分を含有する錠剤を摂取した群(実施例2および3)では、イライラ感に対する効果が高かった。プロアントシアニジンとアメリカショウマ抽出物のみを含む錠剤を摂取した群(実施例4)は、プロアントシアニジンと(B)成分のみを含む錠剤を摂取した群(比較例2)またはプロアントシアニジンと(C)成分のみを含む錠剤を摂取した群(比較例3)よりも高い効果が得られており、アメリカショウマ抽出物が(B)成分および(C)成分の両方の効果を発揮していることがわかった。
【0061】
また、実施例の錠剤を摂取したボランティアからは、比較例の錠剤を摂取したボランティアに比べて、更年期症状(ほてり、のぼせ、息切れ、むくみ、肩こり、関節痛、頭痛、不眠、胃痛、頻尿、およびめまい)が、顕著に改善されたという感想が多く聞かれた。
【0062】
【発明の効果】
本発明の(A)プロアントシアニジン、(B)女性ホルモン様物質、および(C)ホルモン調整剤を含有する組成物は、それぞれ単独、あるいは2種類のみを摂取した際には得られない、優れた更年期症状改善効果を有する。さらに、(D)鎮静作用を有する成分を含有することにより、より優れた更年期症状改善効果が得られる。さらに、本発明の組成物は、植物抽出物などの天然物を使用しているため、副作用が少ない。
Claims (3)
- (A)プロアントシアニジン、(B)女性ホルモン様物質、および(C)ホルモン調整剤を含有する組成物。
- さらに(D)鎮静作用を有する成分を含有する、請求項1に記載の組成物。
- 前記(A)プロアントシアニジンが天然物由来の抽出物中に含有され、該抽出物の20重量%以上が、2〜4量体のオリゴメリック・プロアントシアニジンである、請求項1または2に記載の組成物。
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