JP2004196182A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Hiroshige Aritome
洋成 有留
Hisashi Ieda
恒 家田
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Abstract

【課題】車両の窓やドアの開閉等によって空調条件が大きく変化する際の過大な電力消費を防止できる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】車両に搭載されるバッテリ4から供給される電力を受けて、空調ユニット6の所定部20を作動させる作動部23と、作動部23に供給すべき電力を制御する制御装置7とを有する車両用空調装置において、車両の窓あるいはドアの開閉状態を検出する開閉状態検出手段9a、9bを設け、制御装置7は、開閉状態検出手段9a、9bによって得られる開閉状態信号から、窓あるいはドアが開状態にある、あるいは開閉の繰り返し状態にあると判定すると、作動部23に供給する電力を開状態検出前あるいは開閉の繰り返し状態検出前の電力に対して同等に維持あるいは小さくする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車やハイブリッド自動車に適用して好適な、車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、車両用空調装置として例えば特許文献1に示されるものが知られている。即ち、この車両用空調装置は、バッテリの電力を受けて駆動する走行用モータを有する電気自動車に適用され、空調装置の冷媒圧縮機は上記バッテリにより駆動される電動圧縮機としている。また、車室内の操作パネルには乗員の意志によってON−OFF可能な節電スイッチが設けられ、更に、バッテリの残存量を検出するバッテリ残量検出器を備えている。
【0003】
そして、節電スイッチがONされた場合は、バッテリから電動圧縮機に供給される電力が所定値以下に抑えられ、また、バッテリ残存検出器で検出されるバッテリ残存量が所定値以下となると、節電スイッチを自動的にONにするようにしている。
【0004】
これにより、乗員が節電スイッチを操作してONさせた場合はもちろんのこと、乗員が気付かなくてもバッテリ残存量が所定値以下の場合は、節電スイッチが自動的にONされてバッテリのエネルギーの減少程度を抑えることがでる。また、バッテリの残存エネルギーとのバランスを図りつつ、残存走行距離を伸ばしたり走行速度等の運転性能を向上させることができるようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−328982号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の電動圧縮機は、エンジンのベルトによって駆動される一般的なベルト駆動圧縮機とは異なり、エンジンの回転数に関わり無く自由に回転数を可変できるため、空調状態に対して正確に追従するように作動制御される。即ち、冷房中に車両の窓やドアが不用意に開け放しにされて室内温度が上昇したような場合でも、電動圧縮機においては、回転数を上昇させて室内温度を低下させようとする。この結果、上記特許文献1に記載の従来技術のように乗員の意志によって節電モードを実行したり、バッテリ残存量の監視によって節電モードを実行したりしても、短時間に過大な電力を消費してしまうことになるので、トータルの車両走行距離が伸びなくなる。
【0007】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、車両の窓やドアの開閉等によって空調条件が大きく変化する際の過大な電力消費を防止できる車両用空調装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0009】
請求項1に記載の発明では、車両に搭載されるバッテリ(4)から供給される電力を受けて、空調ユニット(6)の所定部(20、40)を作動させる作動部(23、43)と、作動部(23、43)に供給すべき電力を制御する制御装置(7)とを有する車両用空調装置において、車両の窓あるいはドアの開閉状態を検出する開閉状態検出手段(9a、9b)を設け、制御装置(7)は、開閉状態検出手段(9a、9b)によって得られる開閉状態信号から、窓あるいはドアが開状態にある、あるいは開閉の繰り返し状態にあると判定すると、作動部(23、43)に供給する電力を開状態検出前あるいは開閉の繰り返し状態検出前の電力に対して同等に維持あるいは小さくすることを特徴としている。
【0010】
これにより、窓やドアが開いた状態となった時に、変化する車室内の空調状態に追従して作動部(23、43)が短時間に過大な電力を消費することを防止できる。
【0011】
請求項2に記載の発明のように、空調ユニット(6)の所定部(20、40)としては冷凍サイクル(20)あるいはヒートポンプサイクルを対象にして、作動部(23、43)としては、これら冷凍サイクル(20)あるいはヒートポンプサイクル内の冷媒を圧縮する電動圧縮機(23)に適用して好適である。
【0012】
そして、請求項3に記載の発明のように、制御装置(7)は、電動圧縮機(23)の回転数を可変することで電力を同等に維持あるいは小さくしてやるのが良い。
【0013】
また、請求項4に記載の発明のように、空調ユニット(6)の所定部(20、40)としては暖房装置(40)を対象にして、作動部(23、24)として、暖房装置(40)の加熱源となる電気ヒータ(43)に適用しても良い。
【0014】
また、請求項5に記載の発明のように、制御装置(7)は、窓あるいはドアの開状態における開き度合いに応じて作動部(23、43)に供給する電力を調節するようにしてやれば、更にきめ細かく過大な電力消費を防止できる。
【0015】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1〜図7は本発明の車両用空調装置をハイブリッド自動車用空調装置100に適用した第1実施形態を示したもので、図1はハイブリッド自動車5の概略構成を示した図で、図2はハイブリッド自動車用空調装置(以下、空調装置)100の全体構成を示した図である。
【0017】
本実施形態の空調装置100は、ハイブリッド自動車5の車室内を空調するエアコンユニット(空調ユニット)6の各作動部(後述する電動圧縮機23、遠心式送風機12、各種ドア32、36〜38等)を、空調制御装置(以下エアコンECU)7によって制御することにより、車室内の温度を常に設定温度に保つよう自動制御するように構成されたオートエアコンである。ここでエアコンECU7は、本発明における制御装置に対応する。
【0018】
尚、ハイブリッド自動車5には、エアコンユニット6の他に、例えば走行用ガソリンエンジン(以下、エンジン)1、電動発電機により構成された走行用モータ2、エンジン1を始動させるための始動用モータや点火装置を含むエンジン始動装置3、および走行用モータ2やエンジン始動装置3に電力を供給する車載バッテリ(以下、バッテリ)4が搭載されている。このバッテリ4は、例えばニッケル水素蓄電池が使用されている。
【0019】
エンジン1は、ハイブリッド自動車5の車軸に係脱自在に駆動連結されている。また、走行用モータ2は、ハイブリッド自動車5の車軸に係脱自在に駆動連結され、エンジン1と車軸が連結していない時に車軸と連結されるようになっている。そして、走行用モータ2は、エンジン制御装置(以下、エンジンECU)9により自動制御(例えばインバータ制御)されるように構成されている。尚、エンジンECU9は、ハイブリッド自動車5の発進時や低速走行時に走行用モータ2だけでハイブリッド自動車5を動かすように走行用モータ2を通電制御する。
【0020】
更に、エンジン始動装置3は、エンジンECU9によりガソリン(燃料)の燃焼効率が最適になるよう自動制御されるように構成されている。尚、エンジンECU9は、ハイブリッド自動車5の通常の走行およびバッテリ4の充電が必要な時に、エンジン始動装置3を通電制御してエンジン1を運転する。
【0021】
エアコンユニット6は、空調ダクト11、この空調ダクト11内において車室内に向かう空気流を発生させる遠心式送風機12、空調ダクト11内を流れる空気を冷却して車室内を冷房するためのエバポレータ22、このエバポレータ22の下流側に配設されて冷却された空気を加熱するヒータコア42等から構成されている。空調ダクト11は、ハイブリッド自動車5の車室内の前方側に配設され、内部にハイブリッド自動車5の車室内に空調空気(冷風)を導く空気通路を形成している。
【0022】
尚、空調ダクト11の最も上流側には、車室内空気(以下内気と言う)を取り入れる内気吸込口30、車室外空気(以下外気と言う)を取り入れる外気吸込口31、および吸込口モードを切り替える内外気切替えドア32が設けられている。また、空調ダクト11の最も下流側には、デフロスタ吹出口33、フェイス吹出口34、フット吹出口35、および吹出口モードを切り替えるモード切替えドア36、37が設けられている。
【0023】
遠心式送風機12は、空調ダクト11と一体的に構成されたスクロールケースに回転自在に収容された遠心式ファン13、およびこの遠心式ファン13を回転駆動するブロワモータ14を有している。そして、ブロワモータ14は、ブロワ駆動回路(図示せず)を介して印加されるブロワ端子電圧に基づいて、ブロワ風量(遠心式ファン13の回転数)が制御される。
【0024】
エバポレータ22は、冷却用熱交換器に相当し、エアコンユニット6の所定部を成す冷凍サイクル20の一構成部品を成すもので、空調ダクト11内の空気通路を全面塞ぐようにして配設されている。そして、冷凍サイクル20は、モータの駆動力によってエバポレータ22より吸引したガス冷媒を圧縮する電動圧縮機23と、この電動圧縮機23で圧縮された冷媒を凝縮液化させるコンデンサ(冷媒凝縮器)24と、このコンデンサ24で凝縮液化された冷媒を気液分離して液冷媒のみを下流側に流すレシーバ(受液器)25と、このレシーバ25より流出した液冷媒を減圧膨張させるエキスパンションバルブ(膨張弁)26と、このエキスパンションバルブ26で減圧膨張された気液二相状態の冷媒を蒸発気化させる上記のエバポレータ22と、これらを環状に連結する冷媒配管21とから構成されている。更に、本実施形態の冷凍サイクル20には、コンデンサ24の室外空気(冷却風)を強制的に送風するための送風機27が設けられている。
【0025】
本実施形態の冷凍サイクル20では、電動圧縮機23が通電状態の時に、エバポレータ22による空気冷却作用が行われ、電動圧縮機23への通電が停止された時に、電動圧縮機23の作動が止まってエバポレータ22による空気冷却作用が停止するように構成されている。そして、電動圧縮機23の回転数は、エアコン用インバータ(以下、インバータ)29によってバッテリ4から供給される電力が連続的または段階的に可変制御される。従って、供給電力の変化による電動圧縮機23の回転数の変化によって、冷媒吐出容量を変化させて冷凍サイクル20内を循環する冷媒の循環量(流量)を調節することにより、エバポレータ22の冷却能力(冷凍サイクル20の冷房能力)が制御される。尚、インバータ29の作動はエアコンECU7によって制御され、よって電動圧縮機23はエアコンECU7によって制御されることになる。
【0026】
また、ヒータコア42は、暖房用熱交換器に相当し、エアコンユニット6の他の所定部を成す暖房装置40の一構成部品を成すもので、温水配管41によってエンジン1と接続されている。ヒータコア42内にはエンジン1の温水が流通され、この温水を加熱源として自身を通過する空気を加熱する。
【0027】
そして、ヒータコア42とエバポレータ22との間にはエアミックスドア38が設けられており、このエアミックスドア38の開度に応じてエバポレータ22で冷却された空気とヒータコア42で加熱された空気との混合割合が調整され、ダクト11内を流れる空気温度が所望の設定温度に保たれる。
【0028】
次に、本実施形態におけるエアコンユニット6の制御系の構成について図3〜図5を加えて説明する。エアコンECU7には、エンジンECU9から出力される通信信号、車室内前面に設けられたコントロールパネル(図示せず)上の各スイッチからのスイッチ信号、および各センサからのセンサ信号が入力される。
【0029】
ここで、コントロールパネル上の各スイッチとしては、車室内の温度を所望の温度に設定するための温度設定スイッチ7a、冷凍サイクル20(電動圧縮機23)の起動および運転停止を指令するためのエアコンスイッチ(図示せず)、遠心式送風機12の風量を切り替えるための風量切替えスイッチ(図示せず)、吸込口モードを切り替えるための吸込口切替えスイッチ(図示せず)、および吹出口モードを切り替えるための吹出口切替えスイッチ(図示せず)等があり、上記各スイッチ(7a)から温度設定信号、エアコン要求信号、風量信号、吸込モード信号、吹出モード信号がエアコンECU7に入力される。
【0030】
そして、ハイブリッド自動車5の所定部位には車室内の空調状態(冷房状態)を検出する各種センサ7b〜7eが設けられている。即ち、車室内の空気温度(内気温度)を検出する内気温センサ7b、車室外の空気温度(外気温度)を検出する外気温センサ7c、車室内に照射される日射量を検出する日射センサ7d、およびエバポレータ22の空気冷却度合いを検出するエバ後温度センサ7e等である。これらセンサ7b〜7eからの内気温信号、外気温信号、日射信号、エバ後温信号はエアコンECU7に入力される。
【0031】
また、本発明の特徴部として、ハイブリッド自動車5には窓やドアの開閉状態を検出する開閉状態検出手段としての窓スイッチ9aおよびドアスイッチ9bが設けられており、エンジンECU9を経由してエアコンECU7にその開閉信号が入力されるようにしている。各スイッチ9a、9bは、例えば、窓、ドアが全閉状態においてOFFされており、開放状態となった時にONとなる接点スイッチである。
【0032】
そして、エアコンECU7の内部には、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータが設けられ、各種スイッチ、センサ7a〜7e、9a、9bからの信号は、エアコンECU7内の入力回路(図示せず)によってA/D変換された後にマイクロコンピュータに入力されるように構成されている。また、エアコンECU7は、ハイブリッド自動車5のキースイッチがIG位置に設定されたときに、バッテリ4から直流電流が供給されて作動する。
【0033】
そして、エアコンECU7のROMには、上記各信号を用いて車室内に吹出す空気の目標吹出し温度(TAO)を決定するための演算式(後述する数式1)、エバポレータ22における目標エバ後温度(TEO)を決定するための特性図(図3)、電動圧縮機23の回転数を決定するためのメンバシップ関数(図4)およびルール表(図5)が予め記憶されている。更には、上記目標吹出し温度(TAO)に対応する内外気切替えドア32の開度、遠心式送風機12への印加電圧、エアミックスドア38の開度、モード切替えドア36、37の開度を決定する特性図(図示せず)も合わせて記憶されている。
【0034】
次に、本実施形態の空調装置100の作動を図6、図7に基づいて簡単に説明する。ここで、図6はエアコンECU7による空調制御(遠心式送風機12、各ドア32、36〜38の作動および電動圧縮機23の回転数制御)を示したフローチャートである。
【0035】
最初に、キースイッチがIG位置に操作されてエアコンECU7に直流電源が供給されると、図6のルーチンが起動され、ステップS100でイニシャライズおよび初期設定を行う。次に、ステップS110で温度設定スイッチ7aおよび各種センサ7b、7c、7d、7eからの信号を読み込む。
【0036】
次に、ステップS120で予めROMに記憶された下記の数式1に基づいて、車室内に吹出す空気の目標吹出し温度TAOを演算する。
【0037】
【数1】
TAO=Kset×Tset−KR×TR−KAM×TAM−KS×TS+C
尚、Tsetは温度設定スイッチ7aにて設定した設定温度で、TRは内気温センサ7bにて検出した内気温度、TAMは外気温センサ7cにて検出した外気温度、TSは日射センサ7dにて検出した日射量である。また、Kset、KR、KAMおよびKSはゲインで、Cは補正用の定数である。
【0038】
次に、ステップS130で図3に示した特性図に基づき目標エバ後温度TEOを決定する。これは、図3中において外気温度に対応するTEOの値を読み取って決定する。
【0039】
次に、ステップS140で各部の作動制御を行う。即ち、上記ステップ120で決定した目標吹出し温度TAOに対応する内外気切替えドア32の開度、遠心式送風機12への印加電圧、エアミックスドア38の開度、モード切替えドア36、37の開度をROM中の特性図に基づき決定し、各部位がその制御値に維持されるように作動させる。
【0040】
そして、以下、本発明の特徴部となる電動圧縮機23の作動制御を行う。即ち、ステップS150でハイブリッド自動車5の窓あるいはドアが開いた状態にあるか否かをエンジンECU9を経由して得られる窓スイッチ9a、ドアスイッチ9bの信号から判定する。
【0041】
上記ステップS150で窓あるいはドアは、いずれも開いていないと判定すると、ステップS160で通常制御による電動圧縮機23の回転数を算出する。まず、目標エバ後温度TEOとエバポレータ22を通過した実際の空気温度TE(エバ後温度センサ7eからの信号)との偏差Enを下記の数式2に基づいて算出する。
【0042】
【数2】
En=TEO−TE
次に、下記の数式3に基づいて偏差変化率Edotを算出する。
【0043】
【数3】
Edot=En−En−1
ここでEnは4秒毎に更新されるようにしており、En−1はEnに対して4秒前の値となる。
【0044】
次に、図4に示すメンバシップ関数と図5に示すルール表とに基づいて、上記で算出した偏差Enおよび偏差変化率Edotにおける目標増加回転数Δf(rpm)を算出する。ここで、この目標増加回転数Δfとは、4秒前の目標回転数fn−1(rpm)に対して増減する電動圧縮機23の回転数のことである。
【0045】
具体的には、図4に示すメンバシップ関数から得られるCF1とCF2とから下記数式4に基づいて入力適合度CFを求めて、更にこの入力適合度CFと図5に示すルール値とから下記数式5に基づいて目標増加回転数Δfを算出する。
【0046】
【数4】
CF=CF1×CF2
【0047】
【数5】
Δf=Σ(CF×ルール値)/ΣCF
尚、この目標増加回転数Δfの算出方法は特開平8−2236号公報により公知であるので、詳細説明は省略する。
【0048】
そして、電動圧縮機23の目標回転数fnを下記数式6に基づいて算出する。
【0049】
【数6】
fn=fn−1+Δf
そして、ステップS180で上記目標回転数fnで電動圧縮機23を駆動する。
【0050】
一方、ステップS150で窓あるいはドアが開いていると判定すると、ステップS170で開状態における電動圧縮機23の回転数を設定し、ステップS180で駆動させる。
【0051】
即ち、図7に示すように、窓あるいはドアが開いていると判定した後の10秒は、ステップ160で設定された通常制御による回転数が維持され、更に20秒経過するまでは冷凍サイクル20の空調状態に関わらず、電動圧縮機23の回転数上昇を禁止する。即ち、窓やドアが開けられると冷房中においては車室内温度が上昇するため、従来の技術では、電動圧縮機23の作動回転数は上昇するように制御されるが、ここではそれを禁止する訳である。更に20秒を過ぎると、電動圧縮機23の回転数を下降させる。ここでは予め下降分を200rpmと定めて実行するようにしている。
【0052】
以上より、本発明においては、ハイブリッド自動車5の窓あるいはドアに開閉状態を検出する開閉状態検出手段、即ち窓スイッチ9a、ドアスイッチ9bを設け、それによって窓あるいはドアが開いていると検出した時に、電動圧縮機23の作動回転数をそれ以前の回転数と同等を維持あるいは下降するようにしているので、変化する車室内の空調状態に追従して電動圧縮機23が短時間に過大な電力を消費することを防止できる。
【0053】
尚、窓やドアの開閉状態の判定として、開閉が繰り返される場合に対応するようにしても良く、例えば電動圧縮機23の作動回転数を通常制御時に得られた回転数でそのまま保持するようにしてやれば、過大な電力消費を防止できると共に、窓やドアの開閉繰り返しに伴って増減する電動圧縮機23の回転数による騒音を下げることができる。
【0054】
また、エアコンユニット6の所定部として冷凍サイクル20を例にして説明したが、これに代えて、冷媒の流れる向きを切替え弁によって切替えることによって、冷房および暖房の両機能を果たすヒートポンプサイクルとしても良い。
【0055】
更に、電動圧縮機23の作動制御にあたって、その回転数値を用いて行うようにしたが、当然のことながら消費電力値を用いるようにしても良い。
【0056】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図8に示す。第2実施形態は、上記第1実施形態に対して、暖房装置40に電気ヒータ43を用いたものである。ここでは、エアコンユニット6の所定部を暖房装置40として、この暖房装置40の作動部として、図8(a)に示すようにヒータコア42に電気ヒータ43を加えたもの、あるいは図8(b)に示すようにヒータコア42自身を電気ヒータ43に置き換えたものとしている。そして、窓やドアの開閉状態に応じて電気ヒータ43に供給する電力を制御するようにすれば、暖房時における過大電力の消費を防止できる。
【0057】
(その他の実施形態)
作動部の対象として、その他に遠心式送風機12のブロワモータ14としても良い。
【0058】
また、上記第1、第2実施形態では窓やドアが開いているか否かの判定としたが、更に開いている場合の開き度合いを検出するようにして、その開き度合いに応じて電動圧縮機23(その他、電気ヒータ43、遠心式送風機12のブロワモータ14等)に供給する電力を調整するようにしても良い。即ち、開き度合いが大きいほど、電力の供給を抑えるようにする訳である。これにより、更にきめ細かく過大な電力消費を防止できる。
【0059】
また、上記第1、第2実施形態では、本発明をハイブリッド自動車5に搭載されるハイブリッド自動車用空調装置100に適用したが、本発明を電気自動車に搭載される電気自動車用空調装置(エアコン)に適用しても良く、エンジンのみを搭載した自動車等の車両に搭載される車両用空調装置(エアコン)に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハイブリッド自動車の概略構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態におけるハイブリッド自動車用空調装置の全体構成を示す模式図である。
【図3】外気温度に対する目標エバ後温度を示す特性図である。
【図4】(a)はCF1を、(b)はCF2を求めるためのメンバシップ関数である。
【図5】目標増加回転数を求めるためのルール表である。
【図6】ハイブリッド自動車用空調装置の作動制御を示すフローチャートである。
【図7】電動圧縮機の回転数制御を示すタイムチャートである。
【図8】第2実施形態におけるハイブリッド自動車用空調装置の部分的な構成を示す模式図である。
【符号の説明】
4 車載バッテリ(バッテリ)
6 エアコンユニット(空調ユニット)
7 空調制御装置(制御装置)
9a 窓スイッチ(開閉状態検出手段)
9b ドアスイッチ(開閉状態検出手段)
20 冷凍サイクル(所定部)
23 電動圧縮機(作動部)
40 暖房装置(所定部)
43 電気ヒータ(作動部)
100 ハイブリッド自動車用空調装置

Claims (5)

  1. 車両に搭載されるバッテリ(4)から供給される電力を受けて、空調ユニット(6)の所定部(20、40)を作動させる作動部(23、43)と、
    前記作動部(23、43)に供給すべき電力を制御する制御装置(7)とを有する車両用空調装置において、
    前記車両の窓あるいはドアの開閉状態を検出する開閉状態検出手段(9a、9b)を設け、
    前記制御装置(7)は、前記開閉状態検出手段(9a、9b)によって得られる開閉状態信号から、前記窓あるいは前記ドアが開状態にある、あるいは開閉の繰り返し状態にあると判定すると、前記作動部(23、43)に供給する電力を開状態検出前あるいは開閉の繰り返し状態検出前の電力に対して同等に維持あるいは小さくすることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記空調ユニット(6)の前記所定部(20、40)は、冷凍サイクル(20)あるいはヒートポンプサイクルであり、
    前記作動部(23、43)は、前記冷凍サイクル(20)あるいは前記ヒートポンプサイクル内の冷媒を圧縮する電動圧縮機(23)であることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記制御装置(7)は、前記電動圧縮機(23)の回転数を可変することで前記電力を同等に維持あるいは小さくすることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記空調ユニット(6)の前記所定部(20、40)は、暖房装置(40)であり、
    前記作動部(23、43)は、前記暖房装置(40)の加熱源となる電気ヒータ(43)であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車両用空調装置。
  5. 前記制御装置(7)は、前記窓あるいは前記ドアの開状態における開き度合いに応じて前記作動部(23、43)に供給する電力を調節することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の車両用空調装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019084926A (ja) * 2017-11-06 2019-06-06 ベバスト サーモアンドコンフォート ジャパン株式会社 車両用空気調和装置及び車両用空気調和装置の制御方法
JP2021044959A (ja) * 2019-09-12 2021-03-18 株式会社デンソー 車両の制御装置
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