JP2004194481A - 電池充電制御装置及び電池充電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】1つの比較器によって複数の温度しきい値との比較を行い、小型化した構成で電池温度に応じた適切な充電制御を可能にする。
【解決手段】充電中の電池10の温度を温度センサ13で検出し、比較器17において、制御部19によりスイッチ15,16を切り換えることで所定周期で交互に設定した高温異常しきい値TH1又は低温異常しきい値TL1と比較する。制御部19は、電池温度が高温異常しきい値TH1又は低温異常しきい値TL1を超えた場合に充電器12の充電動作を停止する。次いで、制御部19はスイッチ15,16を制御し、高温異常で充電停止した場合は高温復帰しきい値TH2に、低温異常で充電停止した場合は低温復帰しきい値TL2に切り換え、比較器17で充電停止中の電池温度と比較する。そして、電池温度が高温復帰しきい値TH2を下回った場合、又は低温復帰しきい値TL2を上回った場合に充電器12の充電動作を再開する。
【選択図】 図1
【解決手段】充電中の電池10の温度を温度センサ13で検出し、比較器17において、制御部19によりスイッチ15,16を切り換えることで所定周期で交互に設定した高温異常しきい値TH1又は低温異常しきい値TL1と比較する。制御部19は、電池温度が高温異常しきい値TH1又は低温異常しきい値TL1を超えた場合に充電器12の充電動作を停止する。次いで、制御部19はスイッチ15,16を制御し、高温異常で充電停止した場合は高温復帰しきい値TH2に、低温異常で充電停止した場合は低温復帰しきい値TL2に切り換え、比較器17で充電停止中の電池温度と比較する。そして、電池温度が高温復帰しきい値TH2を下回った場合、又は低温復帰しきい値TL2を上回った場合に充電器12の充電動作を再開する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次電池の充電を行う電池充電制御装置及び電池充電装置に関し、詳しくは、充電動作の停止、再開の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
電池の充電装置では、充電中に電解液の漏れ等の異常事態が起こることを防ぐために、充電中の電池温度を検出し、電池温度によって充電停止、再開を行う制御が必要である。例えば、充電中に検出した電池温度を所定のしきい値と比較して異常温度と判定した場合に充電の停止を行い、また充電停止後の電池温度を所定のしきい値と比較して正常な温度に戻ったと判定した場合に充電を再開するなどの制御が行われる。
【0003】
一方、二次電池においても、充電時の電池温度変化を所定のしきい値と比較監視し、所定値を超えた場合に充放電動作を停止させることにより、過充電時における熱暴走を感知できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。また、従来より、充電中の電池温度を検出し、周囲温度の影響を除いた状態で、満充電を判断したり、充電電圧の制御を行えるようにした充電装置がある(例えば、特許文献2、3参照)。特許文献2には、充電中の電池の温度変化率(ΔT)により充電制御を行う例が示されており、特許文献3には、充電中の電池電圧によって充電制御を行う例が示されている。
【0004】
電池の異常温度には、高温の場合と低温の場合があり、また、充電を停止する必要のある異常温度と、充電を停止した後、電池の温度が元に戻る過程で充電が再開可能となる温度とには、ヒステリシス特性があることが知られている。従って、電池温度に応じた充電制御を行う場合には、検出した電池の温度を比較するための基準となる温度しきい値として、高温異常温度検出用、高温異常から正常状態への復帰温度検出用、低温異常温度検出用、低温異常から正常状態への復帰温度検出用の合計4つのしきい値が必要となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−92476号公報
【特許文献2】
特開平5−168169号公報
【特許文献3】
特開平6−165408号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように充電中の電池の温度によって充電制御を行う場合、例えば、検出した電池温度と4つのしきい値との4種類の比較判断を行い、温度異常状態を検出して充電を停止したり、温度異常状態から正常状態への復帰を検出して充電を再開するような制御が必要となる。この場合、比較手段の構成が大型化してしまい、装置コストが増大するという問題点があった。また、急激な温度変化があったときに正常な比較判断ができない場合がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、構成を小型化でき、かつ急激な温度変化等に対しても支障なく追従して電池温度に応じた充電制御を行うことが可能な電池充電制御装置及び電池充電装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電池充電制御装置は、電池の温度を検出する温度検出手段と、複数の温度しきい値を記憶するしきい値記憶手段と、前記検出した電池温度と前記温度しきい値とを比較する温度比較手段と、前記複数の温度しきい値の一つを選択して前記温度比較手段に入力するとともに、前記電池温度の比較結果に応じて充電動作の制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、直近に選択した前記温度しきい値とそのときの制御態様に基づき、前記電池温度の比較結果に応じて次に選択する前記温度しきい値と制御態様を変更することを特徴とする。
【0009】
上記構成により、現在の電池の温度状態から、起こる可能性のある次の状態(正常状態から温度異常状態へ、温度異常状態から正常状態への復帰など)を予測してしきい値の切り換えを行い、充電停止や再開などの充電動作を制御することが可能となる。これにより、温度比較手段において1つの比較器で電池温度と複数のしきい値との比較を行うことができるため、比較器を削減して構成を小型化でき、かつ、状態予測により急激な温度変化等に対しても支障なく追従して電池温度に応じた充電制御を行うことが可能となる。
【0010】
また、前記複数の温度しきい値として、前記充電動作を停止する高温異常を検出するための第1温度しきい値と、前記高温異常による充電停止からの復帰温度を検出するための第2温度しきい値と、前記充電動作を停止する低温異常を検出するための第3温度しきい値と、前記低温異常による充電停止からの復帰温度を検出するための第4温度しきい値とを有することを特徴とする。
【0011】
上記構成により、4種類の温度しきい値から選択した一つと電池温度とを温度比較手段において1個の比較器を用いて比較し、この比較結果に応じて電池温度による充電停止又は充電再開についての充電制御を行うことが可能となる。
【0012】
また、前記制御手段は、前記温度比較手段による温度検出開始時にしきい値の初期値として前記第1温度しきい値又は前記第3温度しきい値を設定し、前記第1温度しきい値設定時に前記電池温度が前記第1温度しきい値を超えて前記温度比較手段より温度検出信号が出力された場合は、前記充電動作を停止するとともにしきい値を前記第2温度しきい値に切り換え、その後前記電池温度が前記第2温度しきい値を超えて前記温度比較手段より温度検出信号が出力された場合は、前記充電動作を再開するとともにしきい値を前記第1温度しきい値又は前記第3温度しきい値に切り換えるようにし、また、前記第3温度しきい値設定時に前記電池温度が前記第3温度しきい値を超えて前記温度比較手段より温度検出信号が出力された場合は、前記充電動作を停止するとともにしきい値を前記第4温度しきい値に切り換え、その後前記電池温度が前記第4温度しきい値を超えて前記温度比較手段より温度検出信号が出力された場合は、前記充電動作を再開するとともにしきい値を前記第1温度しきい値又は前記第3温度しきい値に切り換えるように制御することを特徴とする。
【0013】
上記構成により、充電に際し、電池温度が上昇して高温異常になった場合、及び電池温度が下降して低温異常になった場合のいずれにおいても、速やかな充電停止が可能となるので、充電時の異常事態を回避することができる。また、充電停止後に電池温度が正常状態に戻る過程で充電を再開することができるので、効率よく充電動作を行うことができる。
【0014】
また、前記制御手段は、前記温度比較手段におけるしきい値に前記第1温度しきい値又は前記第3温度しきい値を設定する際に、所定の周期で交互に前記第1温度しきい値と前記第3温度しきい値とを切り換えることを特徴とする。
【0015】
上記構成により、温度検出開始時の初期状態又は、電池温度が正常状態のときに、電池温度が異常上昇した場合及び異常下降した場合のいずれにおいても電池の異常温度が検出でき、充電停止制御を行うことができる。
【0016】
また、前記所定の周期を計時するタイマ手段を備えたことを特徴とする。
上記構成により、タイマ手段からの時間情報を基に、所定周期で第1温度しきい値と第3温度しきい値とを切り換えることにより、容易かつ確実に電池温度の高温異常及び低温異常を検出することが可能となる。
【0017】
また、前記制御手段は、前記温度比較手段におけるしきい値として前記第1温度しきい値又は前記第4温度しきい値を設定している場合に、前記電池温度が前記しきい値より高くなったときに前記温度検出信号が出力され、前記しきい値として前記第2温度しきい値又は前記第3温度しきい値を設定している場合に、前記電池温度が前記しきい値より低くなったときに前記温度検出信号が出力されるように、前記温度比較手段における電池温度としきい値の比較大小関係を切り換えることを特徴とする。
【0018】
上記構成により、温度比較手段におけるしきい値の設定に応じて、すなわち現在の電池の温度状態によって電池温度としきい値の比較大小関係を切り換えることによって、簡単な構成で現在の電池の温度状態からの異常状態への移行や正常状態への復帰を検出でき、適切な充電制御を行うことが可能となる。
【0019】
また、本発明は、上記いずれかに記載の電池充電制御装置と、電池に充電用電力を供給する充電手段とを備えた電池充電装置を提供する。
【0020】
上記構成により、現在の電池の温度状態から異常状態への移行や正常状態への復帰を検出して、充電停止や再開などの充電動作を適切に制御し、充電時の異常事態を回避することができるので、温度異常等の支障なく充電を行って完了させることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態に係る電池充電制御装置を含む電池充電装置の構成を示すブロック図である。
【0022】
電池充電装置は、電池10を充電するものであり、ACアダプタ11、充電器12、温度センサ13、メモリ14、スイッチ15,16、比較器17、タイマ18、制御部19を有して構成される。
【0023】
電池10は、携帯端末装置等において使用される例えばリチウムイオン電池などの充電可能な二次電池である。ACアダプタ11は、商用交流電源より供給される電力を所定電圧値の直流電力に変換して充電器12に供給する。充電器12は、充電手段に相当するものであり、制御部19による制御に基づいて電池10に充電電流を供給する。また、温度センサ13は、温度検出手段に相当するものであり、例えば温度により抵抗値が変化するサーミスタからなり、電池10の近傍、又は電池10に接触して配置され、充電中の電池10の温度(以下、電池温度という)Pを検出する。
【0024】
メモリ14は、しきい値記憶手段に相当するものであり、前記検出された電池温度Pを比較器17において比較する際の基準値となる温度しきい値を記憶する。この温度しきい値には、充電中に電池温度が上昇して異常高温になり、充電を停止させる必要がある温度(高温異常温度)を検出するための高温異常しきい値TH1(第1温度しきい値に相当する)、充電を停止することにより電池温度が異常高温から復帰して充電再開が可能となる温度(高温異常からの復帰温度)を検出するための高温復帰しきい値TH2(第2温度しきい値に相当する)、充電中に電池温度が下降して異常低温になり、充電を停止させる必要がある温度(低温異常温度)を検出するための低温異常しきい値TL1(第3温度しきい値に相当する)、充電を停止することにより電池温度が異常低温から復帰して充電再開が可能となる温度(低温異常からの復帰温度)を検出するための低温復帰しきい値TL2(第4温度しきい値に相当する)の4つがある。
【0025】
メモリ14と比較器17との間には、制御部19による制御に基づいて比較器17における温度しきい値及び入力を切り換えるスイッチ15,16が設けられる。スイッチ15は、比較基準値としてメモリ14から読み出す温度しきい値の一つを選択するものであり、例えばロータリスイッチ等で構成される。また、スイッチ16は、比較器17の正負入力端子を切り換えて電池温度比較判定時の不等号、すなわち温度しきい値に対して検出した電池温度が大小いずれの場合に比較器17よりアクティブ状態の比較結果信号(温度検出信号)を出力するかを切り換えるためのものであり、例えば2回路のトランスファスイッチ等で構成される。このスイッチ16は、それぞれA接点及びB接点を有し、連動して動作する。なお、図示例ではスイッチ16によって比較器17の正負の入力信号を切り換えているが、制御部19において異常温度や復帰温度の判定を逆転させるようにしてもよい。
【0026】
比較器17は、温度比較手段に相当するものであり、温度センサ13により検出した充電中の電池温度Pを、メモリ14に記憶した温度しきい値のうち、スイッチ15により選択した一つと比較してその高低を判定し、比較結果を制御部19に出力する。タイマ18は、タイマ手段に相当するものであり、所定周期のパルスを発生するなどして、温度しきい値を切り換える所定時間を計時し、そのタイミングを制御部19に通知する。
【0027】
制御部19は、制御手段に相当するものであり、比較器17の比較結果より判定される電池温度の情報とタイマ18の出力による時間情報とに基づいて、充電器12の充電動作をオン、オフ制御する。このとき、スイッチ15,16の切り換えを制御し、メモリ14から出力する温度しきい値と比較器17の入力の切り換えを行う。温度検出を開始して充電動作を停止するまでは、高温異常しきい値TH1と低温異常しきい値TL1をメモリ14から交互に読み出して比較器17に入力する。一旦充電動作を停止した後は、充電停止したときの電池温度が高温か低温かによって、高温復帰しきい値TH2又は低温復帰しきい値TL2を比較器17に入力する。
【0028】
図2は、温度センサ13により検出される電池10の温度変化を、メモリ14に記憶した4つの温度しきい値と関連させて示した温度遷移図である。
【0029】
充電開始後の初期状態より、特に異常がない場合は電池温度はほぼ常温状態を保ち続ける(温度遷移VII)。充電中の電池温度は、自己発熱による温度上昇の他に、電池周囲の環境温度にも依存して変動する。
【0030】
温度遷移Iは、電池周囲の環境温度が高温の場合や電池の自己発熱による温度上昇などによって、充電中の電池温度が温度遷移VIIの状態から上昇する過程である。この場合、検出ポイントD1において、高温異常しきい値TH1を超えたこと(高温異常温度)が比較器17で検出されると、制御部19は充電器12による電池10への充電動作を停止させる。これにより、電池温度は多少のオーバシュートをもって下降する温度遷移IIに移行する。
【0031】
温度遷移IIは、充電停止に伴って電池温度が下降する過程であり、検出ポイントD2において、電池温度が高温復帰しきい値TH2を下回ったこと(高温異常からの復帰温度)が比較器17で検出されると、制御部19は充電器12による電池10への充電動作を再開させる。これにより、電池温度は初期状態の常温状態に戻る温度遷移IIIに移行する。
【0032】
一方、温度遷移IVは、例えば冬季の車中や雪山など、電池周囲の環境温度が低温の場合などに、充電中の電池温度が温度遷移VIIの状態から下降する過程である。この場合、検出ポイントD3において、異常低温しきい値TL1を下回ったこと(低温異常温度)が比較器17で検出されると、制御部19は充電器12による電池10の充電動作を停止させる。これにより、電池温度は多少のオーバシュートをもって上昇する温度遷移Vに移行する。
【0033】
温度遷移Vは、充電停止に伴って電池温度が上昇する過程であり、検出ポイントD4において、電池温度が低温復帰しきい値TL2を上回ったこと(低温異常からの復帰温度)が比較器17で検出されると、制御部19は充電器12による電池10への充電動作を再開させる。これにより、電池温度は初期状態の常温状態に戻る温度遷移VIに移行する。
【0034】
なお、充電中に異常が生じて電池10の温度が変化する場合、初期状態から電池温度が上昇するか下降するかは予測できない。このため、充電中の電池温度を検出して監視する際には、高温異常しきい値TH1と低温異常しきい値TL1とをタイマ18の出力を基に所定の周期で交互に選択することで、比較器17における温度しきい値を時分割に切り換える。
【0035】
また、比較器17において比較される電池温度と温度しきい値との高低関係は、図2の温度遷移図からも明らかなように一義的に決まる。すなわち、高温異常しきい値TH1及び低温復帰しきい値TL2が選択されているときは、温度しきい値より電池温度の方が高くなった場合に比較器17の出力の比較結果信号をアクティブ状態とし、このアクティブ状態の温度検出信号に基づき、制御部19によって充電動作のオン、オフを切り換える制御を行う。また、高温復帰しきい値TH2及び低温異常しきい値TL1が選択されているときは、温度しきい値より電池温度の方が低くなった場合に比較器17の出力の比較結果信号をアクティブ状態とし、このアクティブ状態の温度検出信号に基づき、制御部19によって充電動作のオン、オフを切り換える制御を行う。したがって、温度遷移の状態に応じて比較器17の出力の極性を合わせるために、スイッチ15による温度しきい値の選択に対応させて比較器17への2つの入力信号をスイッチ16によって切り換える。
【0036】
次に、本実施形態の電池充電装置の動作について詳しく説明する。図3は本発明の実施形態に係る電池充電装置の動作手順を示すフローチャートである。
【0037】
まず、制御部19は、タイマ18から出力される時間情報に基づき、所定周期でスイッチ15を切り換えてメモリ14に記憶された高温異常しきい値TH1と低温異常しきい値TL1を交互に選択する(ステップS301)。
【0038】
次いで、任意の時刻において選択された温度しきい値が高温異常しきい値TH1であるか否かを判定する(ステップS302)。そして、高温異常しきい値TH1であった場合は、制御部19はスイッチ16の接点をB側に切り換える(ステップS303)。これにより、比較器17における温度しきい値(高温異常しきい値TH1)、及び温度しきい値と電池温度検出値の入力端(比較大小関係)が設定される。
【0039】
そして、比較器17において、高温異常しきい値TH1を基準として温度センサ13で検出した電池温度Pがこれより高いか否かを比較する(ステップS304)。その結果、電池温度Pが高温異常しきい値TH1より高くなったことが検出され、比較結果信号がアクティブ状態となって温度検出信号が出力された場合、制御部19は、充電器12による電池10の充電動作を停止させる(ステップS305)。一方、ステップS304において、電池温度Pが高温異常しきい値TH1に達しないと判定された場合は、ステップS301に戻って温度検出処理を継続し、充電中の電池10の温度が異常に上昇又は下降することがないかを監視する。
【0040】
充電動作の停止後、制御部19はメモリ14に記憶された高温復帰しきい値TH2を選択するとともに(ステップS306)、スイッチ16の接点をA側に切り換える(ステップS307)。これにより、比較器17における温度しきい値(高温復帰しきい値TH2)、及び温度しきい値と電池温度検出値の比較大小関係の設定が変更される。
【0041】
そして、比較器17において、高温復帰しきい値TH2を基準として温度センサ13で検出した電池温度Pがこれより低いか否かを比較し(ステップS308)、電池温度Pが高温復帰しきい値TH2より低くなるまで繰り返す。そして、比較器17で電池10の温度が高温復帰しきい値TH2より低くなったことが検出され、比較結果信号がアクティブ状態となって温度検出信号が出力された場合、制御部19は充電器12を制御し、電池10の充電を再開する(ステップS309)。その後、ステップS301に戻って温度検出処理を継続し、電池10の温度を監視する。
【0042】
一方、先のステップS302において、任意の時刻において選択された温度しきい値が高温異常しきい値TH1でない場合、すなわち低温異常しきい値TL1である場合は、制御部19はスイッチ16の接点をA側に切り換える(ステップS310)。これにより、比較器17における温度しきい値(低温異常しきい値TL1)、及び温度しきい値と電池温度検出値の比較大小関係が設定される。
【0043】
そして、比較器17において、低温異常しきい値TL1を基準として温度センサ13で検出した電池温度Pがこれより低いか否かを比較する(ステップS311)。その結果、電池温度Pが低温異常しきい値TL1より低くなったことが検出され、比較結果信号がアクティブ状態となって温度検出信号が出力された場合、制御部19は、充電器12による電池10の充電動作を停止させる(ステップS312)。一方、ステップS311において、電池温度Pが低温異常しきい値TL1に達しないと判定された場合は、充電電流の検出によって充電が完了したか否かを判定し(ステップS316)、完了していない場合はステップ301に戻って温度検出処理を継続し、充電中の電池10の温度が異常に上昇又は下降することがないかを監視する。また、ステップS316で電池10の充電が完了したことが検出されると、この温度検出処理を終了する。
【0044】
充電動作の停止後、制御部19はメモリ14に記憶された低温復帰しきい値TL2を選択するとともに(ステップS313)、スイッチ16の接点をB側に切り換える(ステップS314)。これにより、比較器17における温度しきい値(低温復帰しきい値TL2)、及び温度しきい値と電池温度検出値の比較大小関係の設定が変更される。
【0045】
そして、比較器17において、低温復帰しきい値TL2を基準として温度センサ13で検出した電池温度Pがこれより高いか否かを比較し(ステップS315)、電池温度Pが低温復帰しきい値TL2より高くなるまで繰り返す。そして、比較器17で電池10の温度が低温復帰しきい値TL2より高くなったことが検出され、比較結果信号がアクティブ状態となって温度検出信号が出力された場合、制御部19は充電器12を制御し、電池10の充電を再開する(ステップS309)。その後、ステップS301に戻って温度検出処理を継続し、電池10の温度を監視する。
【0046】
このように本実施形態では、電池10の温度を温度センサ13で検出し、比較器17において、メモリ14から所定時間毎に交互に選択して読み出した高温異常しきい値TH1又は低温異常しきい値TL1と電池温度とを比較する。その結果、充電中の電池温度が高温異常しきい値TH1を上回った場合、又は低温異常しきい値TL1を下回った場合のいずれかにおいて電池10の充電動作を停止する。そして、充電停止中の電池10の温度遷移を予測し、高温異常しきい値TH1で異常検出して充電停止した場合は次に高温復帰しきい値TH2を選択し、低温異常しきい値TL1で異常検出して充電停止した場合は次に低温復帰しきい値TH4を選択して、電池温度と比較する。その後、電池温度が高温復帰しきい値TH2を下回った場合、又は低温復帰しきい値TL2を上回った場合に、電池10の充電動作を再開する。
【0047】
これにより、比較器17において1つの比較器で4種類の温度しきい値から選択したしきい値と電池温度との比較を行い、この比較結果に応じて、電池温度が上昇して高温異常温度になった場合、及び下降して低温異常温度になった場合のいずれにおいても、電池温度による充電停止又は充電再開についての充電制御を適切に行うことができる。このため、比較器を削減して少ない部品点数で構成可能であり、装置構成の小型化、軽量化を図ることができ、またその結果、装置の消費電力やコストを削減できる。また、制御部19によって、現在の電池の温度状態から起こる可能性のある次の状態(正常状態から温度異常状態へ、温度異常状態から正常状態への復帰など)を予測してしきい値の切り換えを行うようにした、いわゆるフィードフォワード制御を行うことにより、急激な温度変化等に対しても支障なく追従して電池温度に応じた充電制御を行うことが可能となる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、構成を小型化でき、かつ急激な温度変化等に対しても支障なく追従して電池温度に応じた充電制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る電池充電制御装置を含む電池充電装置の構成を示すブロック図
【図2】本実施形態において、温度センサにより検出される電池の温度変化を、4つの温度しきい値と関連させて示した温度遷移図
【図3】本発明の実施形態に係る電池充電装置の動作手順を示すフローチャート
【符号の説明】
10 電池
11 ACアダプタ
12 充電器
13 温度センサ
14 メモリ
15、16 スイッチ
17 比較器
18 タイマ
19 制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次電池の充電を行う電池充電制御装置及び電池充電装置に関し、詳しくは、充電動作の停止、再開の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
電池の充電装置では、充電中に電解液の漏れ等の異常事態が起こることを防ぐために、充電中の電池温度を検出し、電池温度によって充電停止、再開を行う制御が必要である。例えば、充電中に検出した電池温度を所定のしきい値と比較して異常温度と判定した場合に充電の停止を行い、また充電停止後の電池温度を所定のしきい値と比較して正常な温度に戻ったと判定した場合に充電を再開するなどの制御が行われる。
【0003】
一方、二次電池においても、充電時の電池温度変化を所定のしきい値と比較監視し、所定値を超えた場合に充放電動作を停止させることにより、過充電時における熱暴走を感知できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。また、従来より、充電中の電池温度を検出し、周囲温度の影響を除いた状態で、満充電を判断したり、充電電圧の制御を行えるようにした充電装置がある(例えば、特許文献2、3参照)。特許文献2には、充電中の電池の温度変化率(ΔT)により充電制御を行う例が示されており、特許文献3には、充電中の電池電圧によって充電制御を行う例が示されている。
【0004】
電池の異常温度には、高温の場合と低温の場合があり、また、充電を停止する必要のある異常温度と、充電を停止した後、電池の温度が元に戻る過程で充電が再開可能となる温度とには、ヒステリシス特性があることが知られている。従って、電池温度に応じた充電制御を行う場合には、検出した電池の温度を比較するための基準となる温度しきい値として、高温異常温度検出用、高温異常から正常状態への復帰温度検出用、低温異常温度検出用、低温異常から正常状態への復帰温度検出用の合計4つのしきい値が必要となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−92476号公報
【特許文献2】
特開平5−168169号公報
【特許文献3】
特開平6−165408号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように充電中の電池の温度によって充電制御を行う場合、例えば、検出した電池温度と4つのしきい値との4種類の比較判断を行い、温度異常状態を検出して充電を停止したり、温度異常状態から正常状態への復帰を検出して充電を再開するような制御が必要となる。この場合、比較手段の構成が大型化してしまい、装置コストが増大するという問題点があった。また、急激な温度変化があったときに正常な比較判断ができない場合がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、構成を小型化でき、かつ急激な温度変化等に対しても支障なく追従して電池温度に応じた充電制御を行うことが可能な電池充電制御装置及び電池充電装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電池充電制御装置は、電池の温度を検出する温度検出手段と、複数の温度しきい値を記憶するしきい値記憶手段と、前記検出した電池温度と前記温度しきい値とを比較する温度比較手段と、前記複数の温度しきい値の一つを選択して前記温度比較手段に入力するとともに、前記電池温度の比較結果に応じて充電動作の制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、直近に選択した前記温度しきい値とそのときの制御態様に基づき、前記電池温度の比較結果に応じて次に選択する前記温度しきい値と制御態様を変更することを特徴とする。
【0009】
上記構成により、現在の電池の温度状態から、起こる可能性のある次の状態(正常状態から温度異常状態へ、温度異常状態から正常状態への復帰など)を予測してしきい値の切り換えを行い、充電停止や再開などの充電動作を制御することが可能となる。これにより、温度比較手段において1つの比較器で電池温度と複数のしきい値との比較を行うことができるため、比較器を削減して構成を小型化でき、かつ、状態予測により急激な温度変化等に対しても支障なく追従して電池温度に応じた充電制御を行うことが可能となる。
【0010】
また、前記複数の温度しきい値として、前記充電動作を停止する高温異常を検出するための第1温度しきい値と、前記高温異常による充電停止からの復帰温度を検出するための第2温度しきい値と、前記充電動作を停止する低温異常を検出するための第3温度しきい値と、前記低温異常による充電停止からの復帰温度を検出するための第4温度しきい値とを有することを特徴とする。
【0011】
上記構成により、4種類の温度しきい値から選択した一つと電池温度とを温度比較手段において1個の比較器を用いて比較し、この比較結果に応じて電池温度による充電停止又は充電再開についての充電制御を行うことが可能となる。
【0012】
また、前記制御手段は、前記温度比較手段による温度検出開始時にしきい値の初期値として前記第1温度しきい値又は前記第3温度しきい値を設定し、前記第1温度しきい値設定時に前記電池温度が前記第1温度しきい値を超えて前記温度比較手段より温度検出信号が出力された場合は、前記充電動作を停止するとともにしきい値を前記第2温度しきい値に切り換え、その後前記電池温度が前記第2温度しきい値を超えて前記温度比較手段より温度検出信号が出力された場合は、前記充電動作を再開するとともにしきい値を前記第1温度しきい値又は前記第3温度しきい値に切り換えるようにし、また、前記第3温度しきい値設定時に前記電池温度が前記第3温度しきい値を超えて前記温度比較手段より温度検出信号が出力された場合は、前記充電動作を停止するとともにしきい値を前記第4温度しきい値に切り換え、その後前記電池温度が前記第4温度しきい値を超えて前記温度比較手段より温度検出信号が出力された場合は、前記充電動作を再開するとともにしきい値を前記第1温度しきい値又は前記第3温度しきい値に切り換えるように制御することを特徴とする。
【0013】
上記構成により、充電に際し、電池温度が上昇して高温異常になった場合、及び電池温度が下降して低温異常になった場合のいずれにおいても、速やかな充電停止が可能となるので、充電時の異常事態を回避することができる。また、充電停止後に電池温度が正常状態に戻る過程で充電を再開することができるので、効率よく充電動作を行うことができる。
【0014】
また、前記制御手段は、前記温度比較手段におけるしきい値に前記第1温度しきい値又は前記第3温度しきい値を設定する際に、所定の周期で交互に前記第1温度しきい値と前記第3温度しきい値とを切り換えることを特徴とする。
【0015】
上記構成により、温度検出開始時の初期状態又は、電池温度が正常状態のときに、電池温度が異常上昇した場合及び異常下降した場合のいずれにおいても電池の異常温度が検出でき、充電停止制御を行うことができる。
【0016】
また、前記所定の周期を計時するタイマ手段を備えたことを特徴とする。
上記構成により、タイマ手段からの時間情報を基に、所定周期で第1温度しきい値と第3温度しきい値とを切り換えることにより、容易かつ確実に電池温度の高温異常及び低温異常を検出することが可能となる。
【0017】
また、前記制御手段は、前記温度比較手段におけるしきい値として前記第1温度しきい値又は前記第4温度しきい値を設定している場合に、前記電池温度が前記しきい値より高くなったときに前記温度検出信号が出力され、前記しきい値として前記第2温度しきい値又は前記第3温度しきい値を設定している場合に、前記電池温度が前記しきい値より低くなったときに前記温度検出信号が出力されるように、前記温度比較手段における電池温度としきい値の比較大小関係を切り換えることを特徴とする。
【0018】
上記構成により、温度比較手段におけるしきい値の設定に応じて、すなわち現在の電池の温度状態によって電池温度としきい値の比較大小関係を切り換えることによって、簡単な構成で現在の電池の温度状態からの異常状態への移行や正常状態への復帰を検出でき、適切な充電制御を行うことが可能となる。
【0019】
また、本発明は、上記いずれかに記載の電池充電制御装置と、電池に充電用電力を供給する充電手段とを備えた電池充電装置を提供する。
【0020】
上記構成により、現在の電池の温度状態から異常状態への移行や正常状態への復帰を検出して、充電停止や再開などの充電動作を適切に制御し、充電時の異常事態を回避することができるので、温度異常等の支障なく充電を行って完了させることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態に係る電池充電制御装置を含む電池充電装置の構成を示すブロック図である。
【0022】
電池充電装置は、電池10を充電するものであり、ACアダプタ11、充電器12、温度センサ13、メモリ14、スイッチ15,16、比較器17、タイマ18、制御部19を有して構成される。
【0023】
電池10は、携帯端末装置等において使用される例えばリチウムイオン電池などの充電可能な二次電池である。ACアダプタ11は、商用交流電源より供給される電力を所定電圧値の直流電力に変換して充電器12に供給する。充電器12は、充電手段に相当するものであり、制御部19による制御に基づいて電池10に充電電流を供給する。また、温度センサ13は、温度検出手段に相当するものであり、例えば温度により抵抗値が変化するサーミスタからなり、電池10の近傍、又は電池10に接触して配置され、充電中の電池10の温度(以下、電池温度という)Pを検出する。
【0024】
メモリ14は、しきい値記憶手段に相当するものであり、前記検出された電池温度Pを比較器17において比較する際の基準値となる温度しきい値を記憶する。この温度しきい値には、充電中に電池温度が上昇して異常高温になり、充電を停止させる必要がある温度(高温異常温度)を検出するための高温異常しきい値TH1(第1温度しきい値に相当する)、充電を停止することにより電池温度が異常高温から復帰して充電再開が可能となる温度(高温異常からの復帰温度)を検出するための高温復帰しきい値TH2(第2温度しきい値に相当する)、充電中に電池温度が下降して異常低温になり、充電を停止させる必要がある温度(低温異常温度)を検出するための低温異常しきい値TL1(第3温度しきい値に相当する)、充電を停止することにより電池温度が異常低温から復帰して充電再開が可能となる温度(低温異常からの復帰温度)を検出するための低温復帰しきい値TL2(第4温度しきい値に相当する)の4つがある。
【0025】
メモリ14と比較器17との間には、制御部19による制御に基づいて比較器17における温度しきい値及び入力を切り換えるスイッチ15,16が設けられる。スイッチ15は、比較基準値としてメモリ14から読み出す温度しきい値の一つを選択するものであり、例えばロータリスイッチ等で構成される。また、スイッチ16は、比較器17の正負入力端子を切り換えて電池温度比較判定時の不等号、すなわち温度しきい値に対して検出した電池温度が大小いずれの場合に比較器17よりアクティブ状態の比較結果信号(温度検出信号)を出力するかを切り換えるためのものであり、例えば2回路のトランスファスイッチ等で構成される。このスイッチ16は、それぞれA接点及びB接点を有し、連動して動作する。なお、図示例ではスイッチ16によって比較器17の正負の入力信号を切り換えているが、制御部19において異常温度や復帰温度の判定を逆転させるようにしてもよい。
【0026】
比較器17は、温度比較手段に相当するものであり、温度センサ13により検出した充電中の電池温度Pを、メモリ14に記憶した温度しきい値のうち、スイッチ15により選択した一つと比較してその高低を判定し、比較結果を制御部19に出力する。タイマ18は、タイマ手段に相当するものであり、所定周期のパルスを発生するなどして、温度しきい値を切り換える所定時間を計時し、そのタイミングを制御部19に通知する。
【0027】
制御部19は、制御手段に相当するものであり、比較器17の比較結果より判定される電池温度の情報とタイマ18の出力による時間情報とに基づいて、充電器12の充電動作をオン、オフ制御する。このとき、スイッチ15,16の切り換えを制御し、メモリ14から出力する温度しきい値と比較器17の入力の切り換えを行う。温度検出を開始して充電動作を停止するまでは、高温異常しきい値TH1と低温異常しきい値TL1をメモリ14から交互に読み出して比較器17に入力する。一旦充電動作を停止した後は、充電停止したときの電池温度が高温か低温かによって、高温復帰しきい値TH2又は低温復帰しきい値TL2を比較器17に入力する。
【0028】
図2は、温度センサ13により検出される電池10の温度変化を、メモリ14に記憶した4つの温度しきい値と関連させて示した温度遷移図である。
【0029】
充電開始後の初期状態より、特に異常がない場合は電池温度はほぼ常温状態を保ち続ける(温度遷移VII)。充電中の電池温度は、自己発熱による温度上昇の他に、電池周囲の環境温度にも依存して変動する。
【0030】
温度遷移Iは、電池周囲の環境温度が高温の場合や電池の自己発熱による温度上昇などによって、充電中の電池温度が温度遷移VIIの状態から上昇する過程である。この場合、検出ポイントD1において、高温異常しきい値TH1を超えたこと(高温異常温度)が比較器17で検出されると、制御部19は充電器12による電池10への充電動作を停止させる。これにより、電池温度は多少のオーバシュートをもって下降する温度遷移IIに移行する。
【0031】
温度遷移IIは、充電停止に伴って電池温度が下降する過程であり、検出ポイントD2において、電池温度が高温復帰しきい値TH2を下回ったこと(高温異常からの復帰温度)が比較器17で検出されると、制御部19は充電器12による電池10への充電動作を再開させる。これにより、電池温度は初期状態の常温状態に戻る温度遷移IIIに移行する。
【0032】
一方、温度遷移IVは、例えば冬季の車中や雪山など、電池周囲の環境温度が低温の場合などに、充電中の電池温度が温度遷移VIIの状態から下降する過程である。この場合、検出ポイントD3において、異常低温しきい値TL1を下回ったこと(低温異常温度)が比較器17で検出されると、制御部19は充電器12による電池10の充電動作を停止させる。これにより、電池温度は多少のオーバシュートをもって上昇する温度遷移Vに移行する。
【0033】
温度遷移Vは、充電停止に伴って電池温度が上昇する過程であり、検出ポイントD4において、電池温度が低温復帰しきい値TL2を上回ったこと(低温異常からの復帰温度)が比較器17で検出されると、制御部19は充電器12による電池10への充電動作を再開させる。これにより、電池温度は初期状態の常温状態に戻る温度遷移VIに移行する。
【0034】
なお、充電中に異常が生じて電池10の温度が変化する場合、初期状態から電池温度が上昇するか下降するかは予測できない。このため、充電中の電池温度を検出して監視する際には、高温異常しきい値TH1と低温異常しきい値TL1とをタイマ18の出力を基に所定の周期で交互に選択することで、比較器17における温度しきい値を時分割に切り換える。
【0035】
また、比較器17において比較される電池温度と温度しきい値との高低関係は、図2の温度遷移図からも明らかなように一義的に決まる。すなわち、高温異常しきい値TH1及び低温復帰しきい値TL2が選択されているときは、温度しきい値より電池温度の方が高くなった場合に比較器17の出力の比較結果信号をアクティブ状態とし、このアクティブ状態の温度検出信号に基づき、制御部19によって充電動作のオン、オフを切り換える制御を行う。また、高温復帰しきい値TH2及び低温異常しきい値TL1が選択されているときは、温度しきい値より電池温度の方が低くなった場合に比較器17の出力の比較結果信号をアクティブ状態とし、このアクティブ状態の温度検出信号に基づき、制御部19によって充電動作のオン、オフを切り換える制御を行う。したがって、温度遷移の状態に応じて比較器17の出力の極性を合わせるために、スイッチ15による温度しきい値の選択に対応させて比較器17への2つの入力信号をスイッチ16によって切り換える。
【0036】
次に、本実施形態の電池充電装置の動作について詳しく説明する。図3は本発明の実施形態に係る電池充電装置の動作手順を示すフローチャートである。
【0037】
まず、制御部19は、タイマ18から出力される時間情報に基づき、所定周期でスイッチ15を切り換えてメモリ14に記憶された高温異常しきい値TH1と低温異常しきい値TL1を交互に選択する(ステップS301)。
【0038】
次いで、任意の時刻において選択された温度しきい値が高温異常しきい値TH1であるか否かを判定する(ステップS302)。そして、高温異常しきい値TH1であった場合は、制御部19はスイッチ16の接点をB側に切り換える(ステップS303)。これにより、比較器17における温度しきい値(高温異常しきい値TH1)、及び温度しきい値と電池温度検出値の入力端(比較大小関係)が設定される。
【0039】
そして、比較器17において、高温異常しきい値TH1を基準として温度センサ13で検出した電池温度Pがこれより高いか否かを比較する(ステップS304)。その結果、電池温度Pが高温異常しきい値TH1より高くなったことが検出され、比較結果信号がアクティブ状態となって温度検出信号が出力された場合、制御部19は、充電器12による電池10の充電動作を停止させる(ステップS305)。一方、ステップS304において、電池温度Pが高温異常しきい値TH1に達しないと判定された場合は、ステップS301に戻って温度検出処理を継続し、充電中の電池10の温度が異常に上昇又は下降することがないかを監視する。
【0040】
充電動作の停止後、制御部19はメモリ14に記憶された高温復帰しきい値TH2を選択するとともに(ステップS306)、スイッチ16の接点をA側に切り換える(ステップS307)。これにより、比較器17における温度しきい値(高温復帰しきい値TH2)、及び温度しきい値と電池温度検出値の比較大小関係の設定が変更される。
【0041】
そして、比較器17において、高温復帰しきい値TH2を基準として温度センサ13で検出した電池温度Pがこれより低いか否かを比較し(ステップS308)、電池温度Pが高温復帰しきい値TH2より低くなるまで繰り返す。そして、比較器17で電池10の温度が高温復帰しきい値TH2より低くなったことが検出され、比較結果信号がアクティブ状態となって温度検出信号が出力された場合、制御部19は充電器12を制御し、電池10の充電を再開する(ステップS309)。その後、ステップS301に戻って温度検出処理を継続し、電池10の温度を監視する。
【0042】
一方、先のステップS302において、任意の時刻において選択された温度しきい値が高温異常しきい値TH1でない場合、すなわち低温異常しきい値TL1である場合は、制御部19はスイッチ16の接点をA側に切り換える(ステップS310)。これにより、比較器17における温度しきい値(低温異常しきい値TL1)、及び温度しきい値と電池温度検出値の比較大小関係が設定される。
【0043】
そして、比較器17において、低温異常しきい値TL1を基準として温度センサ13で検出した電池温度Pがこれより低いか否かを比較する(ステップS311)。その結果、電池温度Pが低温異常しきい値TL1より低くなったことが検出され、比較結果信号がアクティブ状態となって温度検出信号が出力された場合、制御部19は、充電器12による電池10の充電動作を停止させる(ステップS312)。一方、ステップS311において、電池温度Pが低温異常しきい値TL1に達しないと判定された場合は、充電電流の検出によって充電が完了したか否かを判定し(ステップS316)、完了していない場合はステップ301に戻って温度検出処理を継続し、充電中の電池10の温度が異常に上昇又は下降することがないかを監視する。また、ステップS316で電池10の充電が完了したことが検出されると、この温度検出処理を終了する。
【0044】
充電動作の停止後、制御部19はメモリ14に記憶された低温復帰しきい値TL2を選択するとともに(ステップS313)、スイッチ16の接点をB側に切り換える(ステップS314)。これにより、比較器17における温度しきい値(低温復帰しきい値TL2)、及び温度しきい値と電池温度検出値の比較大小関係の設定が変更される。
【0045】
そして、比較器17において、低温復帰しきい値TL2を基準として温度センサ13で検出した電池温度Pがこれより高いか否かを比較し(ステップS315)、電池温度Pが低温復帰しきい値TL2より高くなるまで繰り返す。そして、比較器17で電池10の温度が低温復帰しきい値TL2より高くなったことが検出され、比較結果信号がアクティブ状態となって温度検出信号が出力された場合、制御部19は充電器12を制御し、電池10の充電を再開する(ステップS309)。その後、ステップS301に戻って温度検出処理を継続し、電池10の温度を監視する。
【0046】
このように本実施形態では、電池10の温度を温度センサ13で検出し、比較器17において、メモリ14から所定時間毎に交互に選択して読み出した高温異常しきい値TH1又は低温異常しきい値TL1と電池温度とを比較する。その結果、充電中の電池温度が高温異常しきい値TH1を上回った場合、又は低温異常しきい値TL1を下回った場合のいずれかにおいて電池10の充電動作を停止する。そして、充電停止中の電池10の温度遷移を予測し、高温異常しきい値TH1で異常検出して充電停止した場合は次に高温復帰しきい値TH2を選択し、低温異常しきい値TL1で異常検出して充電停止した場合は次に低温復帰しきい値TH4を選択して、電池温度と比較する。その後、電池温度が高温復帰しきい値TH2を下回った場合、又は低温復帰しきい値TL2を上回った場合に、電池10の充電動作を再開する。
【0047】
これにより、比較器17において1つの比較器で4種類の温度しきい値から選択したしきい値と電池温度との比較を行い、この比較結果に応じて、電池温度が上昇して高温異常温度になった場合、及び下降して低温異常温度になった場合のいずれにおいても、電池温度による充電停止又は充電再開についての充電制御を適切に行うことができる。このため、比較器を削減して少ない部品点数で構成可能であり、装置構成の小型化、軽量化を図ることができ、またその結果、装置の消費電力やコストを削減できる。また、制御部19によって、現在の電池の温度状態から起こる可能性のある次の状態(正常状態から温度異常状態へ、温度異常状態から正常状態への復帰など)を予測してしきい値の切り換えを行うようにした、いわゆるフィードフォワード制御を行うことにより、急激な温度変化等に対しても支障なく追従して電池温度に応じた充電制御を行うことが可能となる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、構成を小型化でき、かつ急激な温度変化等に対しても支障なく追従して電池温度に応じた充電制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る電池充電制御装置を含む電池充電装置の構成を示すブロック図
【図2】本実施形態において、温度センサにより検出される電池の温度変化を、4つの温度しきい値と関連させて示した温度遷移図
【図3】本発明の実施形態に係る電池充電装置の動作手順を示すフローチャート
【符号の説明】
10 電池
11 ACアダプタ
12 充電器
13 温度センサ
14 メモリ
15、16 スイッチ
17 比較器
18 タイマ
19 制御部
Claims (7)
- 電池の温度を検出する温度検出手段と、
複数の温度しきい値を記憶するしきい値記憶手段と、
前記検出した電池温度と前記温度しきい値とを比較する温度比較手段と、
前記複数の温度しきい値の一つを選択して前記温度比較手段に入力するとともに、前記電池温度の比較結果に応じて充電動作の制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、直近に選択した前記温度しきい値とそのときの制御態様に基づき、前記電池温度の比較結果に応じて次に選択する前記温度しきい値と制御態様を変更することを特徴とする電池充電制御装置。 - 前記複数の温度しきい値として、前記充電動作を停止する高温異常を検出するための第1温度しきい値と、前記高温異常による充電停止からの復帰温度を検出するための第2温度しきい値と、前記充電動作を停止する低温異常を検出するための第3温度しきい値と、前記低温異常による充電停止からの復帰温度を検出するための第4温度しきい値とを有することを特徴とする請求項1に記載の電池充電制御装置。
- 前記制御手段は、前記温度比較手段による温度検出開始時にしきい値の初期値として前記第1温度しきい値又は前記第3温度しきい値を設定し、前記第1温度しきい値設定時に前記電池温度が前記第1温度しきい値を超えて前記温度比較手段より温度検出信号が出力された場合は、前記充電動作を停止するとともにしきい値を前記第2温度しきい値に切り換え、その後前記電池温度が前記第2温度しきい値を超えて前記温度比較手段より温度検出信号が出力された場合は、前記充電動作を再開するとともにしきい値を前記第1温度しきい値又は前記第3温度しきい値に切り換えるようにし、また、前記第3温度しきい値設定時に前記電池温度が前記第3温度しきい値を超えて前記温度比較手段より温度検出信号が出力された場合は、前記充電動作を停止するとともにしきい値を前記第4温度しきい値に切り換え、その後前記電池温度が前記第4温度しきい値を超えて前記温度比較手段より温度検出信号が出力された場合は、前記充電動作を再開するとともにしきい値を前記第1温度しきい値又は前記第3温度しきい値に切り換えるように制御することを特徴とする請求項2に記載の電池充電制御装置。
- 前記制御手段は、前記温度比較手段におけるしきい値に前記第1温度しきい値又は前記第3温度しきい値を設定する際に、所定の周期で交互に前記第1温度しきい値と前記第3温度しきい値とを切り換えることを特徴とする請求項3に記載の電池充電制御装置。
- 前記所定の周期を計時するタイマ手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の電池充電制御装置。
- 前記制御手段は、前記温度比較手段におけるしきい値として前記第1温度しきい値又は前記第4温度しきい値を設定している場合に、前記電池温度が前記しきい値より高くなったときに前記温度検出信号が出力され、前記しきい値として前記第2温度しきい値又は前記第3温度しきい値を設定している場合に、前記電池温度が前記しきい値より低くなったときに前記温度検出信号が出力されるように、前記温度比較手段における電池温度としきい値の比較大小関係を切り換えることを特徴とする請求項3に記載の電池充電制御装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の電池充電制御装置と、電池に充電用電力を供給する充電手段とを備えたことを特徴とする電池充電装置。
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