JP2004193060A - 照光式押釦スイッチ用部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂フィルム1の裏面には、キートップ2の直下に各々のキートップ2の平面形状に対応させた発光層5を有するEL素子6を設ける。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電卓、携帯電話、リモコン、OA機器等の各種分野の入力装置に使用される照光式押釦スイッチ用部材に関するものであって、より詳しくは、複数のキートップの各々が別個の光源によって照光されるようにした照光式押釦スイッチ用部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種分野の入力装置のうち特に小型化が望まれていた製品にあっては、製品の大きさの関係で複数のキートップを一つの発光ダーオードで照光することがあり、同じ製品で使用される複数のキートップで、明るいキートップと暗いキートップとが生じることとなり、商品価値が劣るものとなっていた。
【0003】
そこで、このような明るさの斑を解消するものとして、従来から導光板を使用したものが提供されている。
【0004】
つまり、天面に文字、数字、記号、図形等の模様が印刷されている透光性のキートップと、このキートップの直下にあり透光性のシリコーンゴム成形品からなる弾性シートと、この弾性シートの下部に接する基板上に配置された接点部材と、この接点部材を囲むようにして設けられた透明樹脂からなる導光板と、この導光板内に設けられた発光ダイオードの光源とからなっているものが公知である(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
この導光板を使用した従来の照光式押釦スイッチにあっては、発光ダイオードの光源から発せられた光は、導光板、弾性シート、キートップの順に透過して、少ない数の発光源であっても複数のキートップの天面の模様がほぼ等しい明るさで照らし出されて見えることになる。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−204512号公報(第1図)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、より小型化が進んでいる携帯電話等の製品にあっては、導光板を組み込む空間の位置が制限され、必ずしも、複数のキートップが均一な明るさにできるとはいえなかった。また、弾性シートを通してキートップの周りから発せられる光を遮るためには、キートップの周りに遮蔽カバー(外装ケース等)を設ける必要があるが、キートップと遮蔽カバーとの隙間から漏れる光によってキートップの視認性が妨げられることがあった。
【0008】
また、据置の家庭用電話等の場合には、携帯電話に比べて製品自体が大きめであるから、複数のキートップにそれぞれ別個の発光ダイオードを配置することもあるが、発光ダイオードの光源が点光源であるため、一つのキートップについてみると発光ダイオードが取り付けられた部分のみが明るく照らし出されてしまい、キートップ全体が均一な明るさにはならなかった。
【0009】
そこで、この発明では、以上のような従来の技術の問題点を解消すべく、複数のキートップが均一な明るさで照らし出されるとともに、一つのキートップにあってもその大きさの中で全体的に均一な明るさで照らし出される照光式押釦スイッチ用部材を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、透光性を有する樹脂フィルムの表面に、文字、数字、記号、図形等の模様を有する透光性の複数のキートップが固定されている照光式押釦スイッチ用部材であって、前記樹脂フィルムの裏面には、前記キートップの直下に各々のキートップの平面形状に対応させた発光層を有するEL素子を設けていることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記キートップと前記発光層との間に、光拡散層を有することを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加えて、前記樹脂フィルムの一部に、前記キートップの直下に有する発光層と接続された液晶表示部のバックライト用の発光層を有していることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記EL素子は、一方の面が前記樹脂フィルムの裏面に接し他方の面が前記発光層に接する透明電極層と、前記発光層の裏面に接する前記発光層の平面形状より大きな形状をした誘電層と、該誘電層と接する前記発光層の平面形状と同一若しくはより小さな形状をした対向電極とを有していることを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加えて、隣り合う前記対向電極同士が接続線で電気的に接続されており、前記隣り合う対向電極同士の隙間に、前記対向電極と接続線と接触しないように前記透明電極層と電気的に接続する線状の補助電極層が張り巡らされていることを特徴としている。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加えて、前記対向電極の裏面には電気絶縁性を有する保護層を有し、該保護層の裏面には、基板上に配置された固定接点に対応する箇所に押圧凸部を有していることを特徴としている。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加えて、前記対向電極の裏面には電気絶縁性を有する保護層を有し、該保護層の裏面全面は弾性シートで覆われており、該弾性シートの裏面には、基板上に配置された固定接点に対応する箇所に押圧凸部が一体的に形成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加えて、前記対向電極の外光による反射色と異なる着色が施されていることを特徴としている。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項5に記載の構成に加えて、前記樹脂シートには、前記キートップの底面の周囲に当たる箇所に前記樹脂シートの厚み方向に貫通する切り欠き乃至切れ目が形成されており、該切り欠き乃至切れ目と前記接続線及び補助電極層とが重なることがないように配置されていることを特徴としている。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項5又は9に記載の構成に加えて、前記透明電極層及び補助電極層と対向電極との間には電気絶縁性を有する絶縁層を有していることを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図1乃至10を用いて説明する。
【0021】
まず、この発明の実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材の構成について説明する。
【0022】
図1は、この発明の実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材の要部断面図である。図2は、この発明の実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材に使用するEL素子の周辺の要部断面図である。
【0023】
透光性を有する樹脂フィルム1の表面には、凸状をした透光性を有する樹脂からなる複数のキートップ2が透明の粘着剤又は接着剤3を介して所定の箇所に固定されている。キートップ2の底面4には、予め、文字、数字、記号、図形等の模様が印刷されており、キートップ2の天面側から底面4に印刷された模様が確認できるようになっている。模様は、必要に応じて透光性を有する着色インクを使用し、かつ模様の周りを模様の着色インクと明度差が異なる他の透光性を有する着色インクで背景を形成するようにして、照光時に模様が浮き出して見えるようにすればよい。
【0024】
キートップ2は、操作する指に与える感触と模様や光の視認性を考慮すると、例えば、ポリカーボネート等の透明性の高い硬質樹脂を使用することが望ましい。
【0025】
キートップ2への模様や背景の印刷は、操作時に模様や背景が触れることのないように底面4に施すのが望ましい。仮に、天面に模様や背景を印刷する場合には、印刷面の外側に印刷面を保護するために透明な被覆層を設けることが望ましい。
【0026】
樹脂フィルム1は、例えば、ウレタン、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート及びこれらの共重合物、アロイ等の変性物が使用できる。樹脂フィルム1の厚みは25〜200μm程度とし、それ自体がキートップ2の繰り返し押圧操作に耐え得る弾性復元力を有することが好ましい。樹脂フィルム1の厚みは、25μm未満では容易に屈曲するため製造時の取り扱いが悪いだけでなく、EL素子6の各層に損傷を与えるおそれがあり、好ましくない。200μmを超えると柔軟性に乏しいため押圧操作に支障を来たすので好ましくない。
【0027】
また、押圧操作をしたキートップ2のみが降下し、その周りに配置されているキートップ2が全く降下しないことが望ましいが、1枚ものの樹脂フィルム1を使用しているため、このような連れ動きが完全に生じないとはいえない。そこで、必要に応じて、キートップ2の底面4の周囲に当たる箇所に樹脂フィルムの厚み方向に貫通する切り欠き乃至切れ目を入れて、応力を遮断する構造を採用してもよい。切り欠き乃至切れ目は、キートップ2の底面4の全周に形成することなく、キートップ2の直下の樹脂フィルム1とその周りの樹脂フィルム1とは一部に接続部を残しておく。
【0028】
樹脂フィルム1の裏面には、キートップ2を平面から見た形状とほぼ等しい形状をした発光層5を各々のキートップ2の直下に配置したEL素子6を設けている。
【0029】
図3乃至図8は、この発明の実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材に使用するEL素子の構成要素を示している。
【0030】
図3は透明電極層の平面図であり、図4は発光層の平面図であり、図5は誘電層の平面図であり、図6は補助電極層の平面図であり、図7は対向電極の平面図であり、図8は保護層の平面図である。
【0031】
図9は、この発明の実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材に使用するEL素子と樹脂フィルムとを一体化したEL素子付きフィルムの平面図である。
【0032】
EL素子6は、透明電極層8、発光層5、誘電層9、対向電極10、補助電極層11とを有し、対向電極10の外側には保護層12が設けられている。EL素子6は、透明電極層8を介して樹脂フィルム1と一体にすることで、図9に示したようなEL素子付きフィルムとして取り扱うことができる。
【0033】
透明電極層8は、キートップ2毎に設けられた発光層5の最外周部に位置する発光層5の輪郭を結んでできる形状をしており、発光層5の表面に接触し電気的に接続されている。さらに、後述する対向電極10同士を接続する接続線14と接触することがないように、透明電極層8の外形に凹部8aを形成し、内部に切り欠き8bを形成している。透明電極層8の形態はこれに限らず、発光層5に対応させて発光層5と同じ外形形状のものとして、それらを接続線で接続するようにしてもよい。
【0034】
透明電極層8は、例えば、透光性を有するポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性ポリマーで形成される。導電性ポリマー以外では、酸化インジウム錫を含んだインクを使用すれば、透明性の点でも問題はない。発光層5は、例えば、硫化亜鉛等の発光体をバインダー樹脂中に分散させたインクを印刷して形成すればよい。この場合、発光層5は白色に見える。
【0035】
誘電層9は、発光層5の裏面に接触している。誘電層9の大きさは、その印刷位置ずれを考慮し、少なくとも発光層5の平面形状より0.1mm以上大きくしており、かつ隣接するキートップ2の誘電層9に接触しない大きさとすることが好ましい。誘電層9が発光層5の平面形状より大きな形状をしている理由は、発光層5の全域を確実に発光させることができるように発光層5の全面に漏れなく誘電効果を生じさせるためである。誘電層9は、例えば、チタン酸ジルコン酸バリウム、チタン酸バリウム等を含む誘電率の比較的高いインクを印刷して形成すればよい。この場合、誘電層9は白色に見える。
【0036】
対向電極10は、発光層5の平面形状と同一若しくはより小さい大きさをしており、誘電層9の裏面に接触している。これにより、透明電極層8と対向電極10とが直に接触することがないので、短絡の心配がない。キートップ2毎に配置された対向電極10は、隣り合う対向電極10同士が接続線14で電気的に接続されており、接続線14の端部は外部電源と接続するための端子14aを形成している。
【0037】
対向電極10及び接続線14を除いた部分に、対向電極10と接続線14とに接触しないようにして、透明電極層8と接触する線状の補助電極層11を張り巡らしている。補助電極層11の一端には外部電源と接続するための端子11aが形成されており、端子11aから伸びる本線11bと本線11bから伸びる複数の支線11cとで構成されている。補助電極層11の本線11bと支線11cとにより透明電極層8のほぼ全域に同じ程度の電圧が行き渡るようにすることで、導電性ポリマーからなる透明電極層8の導電性能を補い、すべての発光層が同じ光量を発するようにしている。
【0038】
また、補助電極層11及び対向電極10同士を接続する接続線14は、樹脂フィルム1のキートップ2の底面4の周囲に形成した切り欠き乃至切れ目と重ならないように配置することで、キートップ2の押圧操作を繰り返しても補助電極層11及び接続線14に押圧操作時の応力が伝わらないようにしている。そのため、補助電極層11及び接続線14が切断されることがないので、スイッチ操作による入力装置に誤動作を生じるおそれがなくなる。
【0039】
対向電極10と補助電極層11とは、例えば、導電性を有する銀粉又はカーボン粉を含んだインクを印刷することで形成すればよい。この場合、銀粉又はカーボン粉の量にもよるが、対向電極10と補助電極層11とは、黄土色や灰色乃至黒色に見える。また、発光層5の白色、誘電層9の白色は透光性と遮光性を兼ね備えており、樹脂シート1にEL素子6のすべての層が形成された場合に、対向電極10と補助電極層11との色が樹脂シート1の表面から透けて見える。したがって、その樹脂シート1の表面に透明のキートップ2を接着した場合には、外光のみが当たっているとき(発光層5が発光していないとき)に、キートップ2の天面から対向電極10の黄土色や灰色乃至黒色が見えることになる。
【0040】
このまま使用してもよいが、キートップ2は、例えば、対向電極の外光による反射色である黄土色や灰色乃至黒色と類似色乃至同系色の着色(例えば、薄い灰色や薄い水色等)を施すことで、対向電極10の色彩がキートップの色彩に溶け込んで見えるようにするとよい。ここで、類似色とは色相環において両隣か又はその隣程度の色相のあまり遠くない色同士の関係をいい、同系色とは同じ色相で明度と彩度を変えた色同士の関係をいう。その他、キートップ2が対向電極10の外光による反射色と異なる色に着色されていれば、見る者に対向電極10の存在を意識させないようにできるので、デザイン的にも優れた照光式押釦スイッチ用部材とすることができる。
【0041】
ところで、一般に、EL素子の発光層5は粒子径10〜50μm(平均粒子径で20〜35μm)の硫化亜鉛等の発光体をバインダー樹脂中に分散させたものであるから、発光体の分散状態がよくともその比較的大きな粒子径のため、斑点状の発光斑が生じる。そのため、キートップ2の透光性が高い場合には、EL素子の発光層5が直接見えるため、照光時の発光斑がキートップ2の天面から視認されてしまう。これを解消するため、キートップ2と樹脂フィルム1との間に発光層5と同一若しくはより大きな形状をした光拡散層(図示せず)を設けるとよい。
【0042】
光拡散層としては、粒子径1〜25μmの酸化アルミニウム、マイカ、シリカ等の光反射率の高い微粉末をバインダー樹脂中に分散させたものであって、全光線透過率60%以上、拡散透過率5%以上の性能を有するものが望ましい。
【0043】
粒子径が1μm未満では、光拡散層を形成するインクの粘度が高くなり、印刷の作業性が悪い。粒子径が25μmを超えると、微粉末自体が目視で確認できることになるから望ましくない。
【0044】
また、新たに光拡散層を付加する代わりに、樹脂フィルム1全体に酸化アルミニウム、マイカ、シリカ等の光反射率の高い微粉末を混ぜることや、樹脂フィルム1の表面や裏面に浅い凹凸を形成することで、樹脂フィルム1自体を光拡散層としてもよい。
【0045】
さらには、キートップ2と樹脂フィルム1とを固定する粘着剤又は接着剤3に酸化アルミニウム、マイカ、シリカ等の光反射率の高い微粉末を混ぜることで粘着剤又は接着剤3自体を光拡散層としてもよい。
【0046】
光拡散層を有するものにあっては、照光時にキートップ2の天面からキートップ2を見た場合に、発光層5から発せられる光が光拡散層で色々な方向に拡散することで発光層5の斑点状の斑が目立たなくなり、キートップ2全体が均一な光で照らし出されるから、より一層視認性が向上する。
【0047】
対向電極10の裏面には、電気的絶縁性を有する保護層12を有しており、対向電極10からの漏電と対向電極10への損傷を防止している。
【0048】
保護層12の裏面の全面は、例えば、シリコーンゴム等の電気絶縁性を有する弾性シート15で覆われており、弾性シート15の裏面には、基板上に配置されている固定接点(図示せず)に対応する箇所に押圧凸部16を有している。これにより、キートップ2を押し下げることで樹脂フィルム1と弾性シート15が撓んで押圧凸部16が基板上に配置されている固定接点に直に接触するか又は逆椀状をした金属製の皿バネ(図示せず)の頂点部を押すことで明確なクリック感を発生させながら固定接点に皿バネが接触することで固定接点に対応した電気回路の入り切りを実現することができる。なお、押圧凸部16が直に固定接点に接触する構成とした場合には、押圧凸部16の先端部に導電性インクを印刷して可動接点を形成するとよい。
【0049】
なお、樹脂フィルム1のみでキートップ2の繰り返し押圧操作に十分耐え得る場合には、弾性シート15を使用しなくてもよい。その場合には、保護層12の裏面には、基板上に配置されている固定接点に対応する箇所に、例えば、直径3mm、厚さ200μm程度の粘着テープを貼り付けたり、常温硬化型接着剤をポッティングして押圧凸部16を形成するようにしてもよい。
【0050】
さらに、図10に示したように、樹脂フィルム1をキーットップ2の部分より電気・電子装置本体の液晶表示部(図示せず)まで延長して、樹脂フィルム1の一部に、キートップ2の発光層5と液晶表示部のバックライト用の発光層5aを形成することで、キートップ2の発光と液晶表示部の発光とを兼ねるようにしてもよい。
【0051】
なお、図示した実施の形態では、発光エリアを除き透明電極層8及び補助電極層11の平面形状と対向電極10の平面形状とが重ならないような設計例について説明したため、透明電極層8及び補助電極層11と対向電極10との間を電気的に絶縁するための絶縁層を備えていない。
【0052】
しかし、この発明はこれに限らず、透明電極層8及び補助電極層11と対向電極10との間に絶縁層を有する構成を採用してもよい。この場合には、キートップ2の繰り返し押圧操作が行われて樹脂フィルム1とEL素子6が変形を繰り返しても、透明電極層8と対向電極10又は補助電極層11と対向電極10とが絶縁層で遮られているため短絡することがないので、発光エリア以外で透明電極層8及び補助電極層11の平面形状と対向電極10の平面形状が重なるような配線パターンを採用することが可能となり、それだけ配線設計の自由度が向上する。
【0053】
さらに、図示した実施の形態にあっては、キートップ2全体を照光するいわゆるキー照光について説明したが、この発明はこれに限らず、文字、数字、記号、図形等の模様のみを照光するいわゆる文字照光にも適用できるものである。
【0054】
すなわち、文字照光の場合には、樹脂フィルム1の裏面には、キートップ2の直下に各々のキートップ2に設けられた模様の平面形状と対応させた発光層5を有するEL素子6を設ければよく、さらに、模様は透光性の着色インクで印刷し、模様の周りの背景は遮光性インクで印刷することで、照光時に模様のみが浮き出して見える照光式押釦スイッチ用部材が完成できる。
【0055】
さらにまた、上述した実施の形態にあっては、キートップ2として透光性を有するいわゆる樹脂キーを例示したが、この発明はこれに限らず、透光性を有する樹脂フィルム1に固定できるものであればよく、例えば、キートップ2の外形が樹脂フィルムで被覆されているいわゆるフィルムキーであってもよい。この場合には、文字、数字、記号、図形等の模様も透光性を有する着色インクを印刷して形成する方法以外に、キートップの外形を被覆している樹脂フィルムを所定の形状に切り抜くことで抜き型の模様を形成する方法を採用してもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、樹脂フィルムの裏面には、キートップの直下に各々のキートップの平面形状に対応させた発光層を有するEL素子を設けているので、キートップが複数あっても各々のキートップが均一な明るさで照らし出されるとともに、一つのキートップにあってもその大きさの中で全体的に均一な明るさで照らし出される照光式押釦スイッチ用部材が得られる。
【0057】
また、EL素子を採用したため、発光源である発光層がある部分のみ均一な面発光をすることになるので、キートップの周りに光が漏れることがないから、キートップの周りに遮蔽カバー(外装ケース)を設ける必要がなくなる。
【0058】
さらに、EL素子を採用することで、発光ダイオードでは高価な青色や白色の照光も安価に実現することができるようになった。
【0059】
請求項2に記載の発明によれば、キートップと発光層との間に、光拡散層を有するので、請求項1に記載の発明の効果に加えて、EL素子の発光層からキートップに向かって放たれる光が光拡散層を透過して均一な明るさとなるから、EL素子の発光層に生じる小さな斑点状の暗い部分が目立たなくなり、キートップ及びキートップの模様のより良好な視認性が得られる。
【0060】
請求項3に記載の発明によれば、樹脂フィルムの一部に、キートップの直下に有する発光層と接続された液晶表示部のバックライト用の発光層を有しているので、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、キートップの発光と液晶表示部の発光とを1枚のEL素子付きフィルムに集約されることになり、照光式押釦スイッチ用部材が組み込まれる装置全体のコストダウンに寄与できる。
【0061】
請求項4に記載の発明によれば、EL素子は、一方の面が樹脂フィルムの裏面に接し他方の面が発光層に接する透明電極層と、発光層の裏面に接する発光層の平面形状より大きな形状をした誘電層と、該誘電層と接する発光層の平面形状と同一若しくはより小さな形状をした対向電極とを有しているので、請求項1に記載の発明の効果に加えて、発光層より大きな誘電層が発光層の全面にに漏れなく誘電効果を生じさせ発光層の全域を確実に発光させることができる。
【0062】
請求項5に記載の発明によれば、隣り合う前記対向電極同士が接続線で電気的に接続されており、前記隣り合う対向電極同士の隙間に、前記対向電極と接続線とに接触しないように前記透明電極層と電気的に接続する線状の補助電極層が張り巡らされているので、請求項4に記載の発明の効果に加えて、補助電極層の配線により透明電極層のほぼ全域に同じ程度の電圧が行き渡るようになるから、透明電極層の導電性能を補い、すべての発光層が同じ光量を発することができる。
【0063】
請求項6に記載の発明によれば、対向電極の裏面には電気絶縁性を有する保護層を有し、該保護層の裏面には、基板上に配置された固定接点に対応する箇所に押圧凸部を有しているので、請求項4に記載の発明の効果に加えて、押圧凸部に可動接点を形成するか金属製の逆椀状の皿バネの可動接点を介在させることで、基板上の固定接点に可動接点をより確実に接触させることができるから、より信頼性の高い照光式押釦スイッチ用部材が得られる。
【0064】
請求項7に記載の発明によれば、対向電極の裏面には電気絶縁性を有する保護層を有し、該保護層の裏面全面は弾性シートで覆われており、該弾性シートの裏面には、基板上に配置された固定接点に対応する箇所に押圧凸部が一体的に形成されているので、請求項4に記載の発明の効果に加えて、弾性シートによる弾性復元力の向上と防塵性や防水性が向上する他、押圧凸部に可動接点を形成するか金属製の逆椀状の皿バネの可動接点を介在させることで、基板上の固定接点に可動接点をより確実に接触させることができるから、より信頼性の高い照光式押釦スイッチ用部材が得られる。
【0065】
請求項8に記載の発明によれば、キートップは、対向電極の外光による反射色と異なる着色が施されているので、請求項4に記載の発明の効果に加えて、EL素子を発光させない状態でキートップを見たときに、EL素子の対向電極の色彩が見えることがないから、見る者に対向電極の存在を意識させないため、デザイン的に優れた照光式押釦スイッチ用部材が得られる。
【0066】
請求項9に記載の発明によれば、樹脂シートには、キートップの底面の周囲に当たる箇所に樹脂シートの厚み方向に貫通する切り欠き乃至切れ目が形成されており、該切り欠き乃至切れ目と接続線及び補助電極層とが重なることがないように配置されているので、請求項5に記載の発明の効果に加えて、キートップの押圧操作時に接続線及び補助電極に負荷がかからないから接続線及び補助電極の切断のおそれがない。
【0067】
請求項10に記載の発明によれば、透明電極層及び補助電極層と対向電極との間には電気絶縁性を有する絶縁層を有しているので、請求項5又は9に記載の発明の効果に加えて、キートップの繰り返し押圧操作が行われて樹脂フィルムとEL素子が変形を繰り返しても透明電極層と対向電極又は補助電極層と対向電極とが短絡することがないから、発光エリア以外で透明電極層及び補助電極層の平面形状と対向電極の平面形状が重なるような配線パターンを採用することが可能となり、それだけ配線設計の自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材の要部断面図である。
【図2】同実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材に使用するEL素子の周辺の要部断面図である。
【図3】同実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材に使用する透明電極層の平面図である。
【図4】同実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材に使用する発光層の平面図である。
【図5】同実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材に使用する誘電層の平面図である。
【図6】同実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材に使用する補助電極層の平面図である。
【図7】同実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材に使用する対向電極の平面図である。
【図8】同実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材に使用する保護層の平面図である。
【図9】同実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材に使用する同実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材に使用するEL素子と樹脂フィルムとを一体化したEL素子付きフィルムの平面図である。
【図10】同実施の形態に係る照光式押釦スイッチ用部材の変形例であって、樹脂フィルムの一部に液晶表示部の発光層を有するものの平面図である。
【符号の説明】
1 樹脂フィルム
2 キートップ
3 粘着剤又は接着剤
4 底面
5,5a 発光層
6 EL素子
8 透明電極層
9 誘電層
10 対向電極
11 補助電極層
11a 補助電極層の端子
11b 本線
11c 支線
12 保護層
13 閉平面
14 接続線
14a 発光層の端子
15 弾性シート
16 押圧凸部
Claims (10)
- 透光性を有する樹脂フィルムの表面に、文字、数字、記号、図形等の模様を有する透光性の複数のキートップが固定されている照光式押釦スイッチ用部材であって、
前記樹脂フィルムの裏面には、前記キートップの直下に各々のキートップの平面形状に対応させた発光層を有するEL素子を設けていることを特徴とする照光式押釦スイッチ用部材。 - 前記キートップと前記発光層との間に、光拡散層を有することを特徴とする請求項1に記載の照光式押釦スイッチ用部材。
- 前記樹脂フィルムの一部に、前記キートップの直下に有する発光層と接続された液晶表示部のバックライト用の発光層を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の照光式押釦スイッチ用部材。
- 前記EL素子は、一方の面が前記樹脂フィルムの裏面に接し他方の面が前記発光層に接する透明電極層と、前記発光層の裏面に接する前記発光層の平面形状より大きな形状をした誘電層と、該誘電層と接する前記発光層の平面形状と同一若しくはより小さな形状をした対向電極とを有していることを特徴とする請求項1に記載の照光式押釦スイッチ用部材。
- 隣り合う前記対向電極同士が接続線で電気的に接続されており、前記隣り合う対向電極同士の隙間に、前記対向電極と接続線と接触しないように前記透明電極層と電気的に接続する線状の補助電極層が張り巡らされていることを特徴とする請求項4に記載の照光式押釦スイッチ用部材。
- 前記対向電極の裏面には電気絶縁性を有する保護層を有し、該保護層の裏面には、基板上に配置された固定接点に対応する箇所に押圧凸部を有していることを特徴とする請求項4に記載の照光式押釦スイッチ用部材。
- 前記対向電極の裏面には電気絶縁性を有する保護層を有し、該保護層の裏面全面は弾性シートで覆われており、該弾性シートの裏面には、基板上に配置された固定接点に対応する箇所に押圧凸部が一体的に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の照光式押釦スイッチ用部材。
- 前記キートップは、前記対向電極の外光による反射色と異なる着色が施されていることを特徴とする請求項4に記載の照光式押釦スイッチ用部材。
- 前記樹脂シートには、前記キートップの底面の周囲に当たる箇所に前記樹脂シートの厚み方向に貫通する切り欠き乃至切れ目が形成されており、該切り欠き乃至切れ目と前記接続線及び補助電極層とが重なることがないように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の照光式押釦スイッチ用部材。
- 前記透明電極層及び補助電極層と対向電極との間には電気絶縁性を有する絶縁層を有していることを特徴とする請求項5又は9に記載の照光式押釦スイッチ用部材。
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