JP2004192843A - 荷電粒子ビーム装置におけるステージ移動制御方法並びに荷電粒子ビームを用いた観察方法及び装置 - Google Patents
荷電粒子ビーム装置におけるステージ移動制御方法並びに荷電粒子ビームを用いた観察方法及び装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】観察領域Rのほぼ中心に、画面上に表示されたポインターPを移動させ、その位置でマウス14をクリックする。CPU12は、当該位置について、中心位置との差(Δsx、Δsy)を計算する。次に、計算により求められた差(Δsx、Δsy)から、走査像の回転角度を元に、回転を解除したときの中心との差(Δsx’、Δsy’)を演算により求める。
次に、前記中心との差(Δsx’、Δsy’)と、走査像の表示倍率から、ステージの移動量(−Δx、−Δy)を計算する。計算されたステージの移動量(−Δx、−Δy)を元に、所望観察位置が走査像の中心になるように試料ステージ5を移動させる。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査電子顕微鏡(SEM)、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)あるいはオージェ電子分光計(AES)等の試料に荷電粒子ビームを照射し、試料から発生したX線等を検出するようにした荷電粒子ビーム装置におけるステージ移動制御方法並びに荷電粒子ビーム観察方法及び観察装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
走査電子顕微鏡や電子プローブマイクロアナライザー等では、電子銃から発生し加速された電子ビームをコンデンサレンズと対物レンズによって試料上に細く集束している。そして電子ビームを走査コイルによって試料上で2次元的に走査し、電子ビームの走査部分から発生した2次電子等を検出している。
【0003】
検出された2次電子信号は、映像信号として電子ビームの2次元走査に同期したディスプレイに供給される。その結果、高い倍率で試料の表面構造の状態の観察を行なうことができる。また、試料の特定部分に電子ビームを照射し、該特定部分から発生したX線を検出し、検出したX線のエネルギーを観察することにより、試料の微小部分の組成分析を行うことができ、広い産業分野で研究や検査目的で使用されている。
【0004】
例えば、走査電子顕微鏡では、X線分析のために、エネルギー分散型のX線分析装置が用いられる。このエネルギー分散型のX線分析装置では、試料の上部にX線検出器を設け、試料からのX線光子をそのエネルギーに応じた波高のパルスとして検出する。検出されたパルス信号は、波高分析器に供給され、各波高ごとにパルス信号をカウントする。
【0005】
また、電子プローブマイクロアナライザーでは、試料から発生したX線を波長分散型のX線分光器によって検出する。この波長分散型X線分光器では、試料からのX線をX線分光結晶に導き、分光結晶により回折された特定の波長のX線を検出している。この分光結晶と検出器とをローランド円に沿って回転させることにより、各波長のX線強度を検出することができる。
【0006】
このように、試料の特定部分に電子ビームを照射することによって発生したX線はそのエネルギーや波長に応じて検出され、各エネルギーや波長に応じたX線強度により、電子ビームが照射された試料部分の組成分析が行なわれる。
【0007】
ところで、正確に試料の組成分析を行うためには、電子ビームの照射点、すなわちX線の発生位置と検出器の位置とが常に一定の関係に維持されることが必要である。電子ビームの照射点とX線検出器との位置関係が大きく変化すると、検出されるべきX線が検出されなかったり、特定のエネルギーや波長のX線の強度が低くなり、試料の組成分析に支障を来たすことになる。
【0008】
ここで、走査電子顕微鏡や電子プローブマイクロアナライザーにおいて試料のX線観察を行う場合、最初に電子ビームを試料上で2次元的に走査し、比較的低い倍率による試料の2次電子像をディスプレイ上に表示する。図1はこのようにしてディスプレイの画面上に表示された像を示している。オペレータは、表示された像の中からX線観察をすべき領域Rを選択し、その画面上の領域Rのほぼ中心箇所Cに、画面上に表示されたポインターPをマウスの操作によって移動させ、その位置Cでマウスをクリックする。
【0009】
CPUは、マウスでクリックされた位置Cを読み取り、電子ビームの光軸と一致している画面の中心位置との差(Δsx、Δsy)を計算により求める。そして、この差(Δsx、Δsy)と走査像の表示倍率から、ステージの移動量(−Δx、−Δy)を計算により求める。この計算されたステージの移動量(−Δx、−Δy)を元に領域Rが視野中心に位置するようにステージを移動させる。
【0010】
このような操作を行うことにより、図2に示すように、観察すべき領域Rが電子ビーム光軸O上に配置されることから、電子ビームが照射されるX線発生点(X線発生領域)とX線検出器の位置がほぼ最適な関係となる。したがって、電子ビームの偏向角度が大きくなり、電子ビームの照射点とX線検出器との位置関係が大きく変化して、検出されるべきX線が検出されなかったり、特定のエネルギーや波長のX線の強度が低くなり、試料の組成分析に支障を来たすことは防止される。
【0011】
ところで、走査電子顕微鏡等では、ディスプレイ上に表示された走査像を観察しながら、その像を回転させることが良く行われている。この像を回転させるためには、水平方向(X方向)と垂直方向(Y方向)の走査信号の位相を同時に変化させれば良く、変化に応じた分だけ像がディスプレイ上で回転することになる(特許文献1参照)。
【0012】
【特許文献1】
特開2000―156194号公報(第2頁)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように像を回転させた状態で、試料ステージを機械的に移動させたり、イメージシフト(電子ビームの試料上の2次元領域を電子ビームの偏向によってシフトさせる)機能を用いて像を水平方向と垂直方向に動かす場合がある。この場合、像の回転角に応じて観察画面のX,Y方向も回転しているため、試料ステージやビームシフトで像をX,Y方向に移動させても、ディスプレイ上の像は、ディスプレイの水平と垂直方向とは回転角分だけずれて移動することになる。
【0014】
すなわち、オペレータがX,Y方向に例えばステージを移動させても、観察画面上では、回転角度分回転した状態で試料が移動され、見掛け上はX,Y方向と合わない感覚をオペレータに与えることになる。また、X,Yが回転角度分だけ回転して移動するため、観察領域を画面の中心に位置させる等の試料の合わせ込みの操作が非常に煩わしくなる。
【0015】
このように、走査電子顕微鏡等では、画面を任意の角度回転させる機能を有している。画面を回転させる場合には、キーボードにより回転角を入力するか、ディスプレイ上に回転のボタンを用意し、そのボタン上でマウスをクリックし、回転角を適宜な方法により設定をする。
【0016】
この回転の設定によりCPUは、走査信号発生回路を制御し、水平方向と垂直方向の走査信号の位相を同時に回転角に応じて変化させる。このような操作により、電子ビームのX方向とY方向の走査方向を指定された角度変化させることができる。その結果、図1に示した画像は図3に示すように、ディスプレイ上で回転表示されることになる。
【0017】
このような像回転が行われた場合、図3に示した特定領域Rのほぼ中心箇所Cに、画面上に表示されたポインターPをマウスの操作によって移動させ、その位置Cでマウスをクリックする。CPUは、マウスでクリックされた位置Cについて、電子ビームの光軸を原点とした試料上の座標を求める。CPUは、この座標値に基づいてステージ駆動回路を制御し、位置Cが電子ビームの光軸上に配置されるようにステージを移動させる。
【0018】
しかしながら、像は回転されているので、マウスでクリックされた位置Cについて、電子ビームの光軸を原点とした試料上(ステージ上)の座標を求め、この座標値に基づいてステージ駆動回路を制御し、ステージを移動させても、ディスプレイ画像上の座標系とステージ上の座標系とは、電子ビームの走査方向を回転させているので異なっており、位置Cが電子ビームの光軸上に配置されず、図4に示すように、電子ビームの走査方向の回転角に応じて像が回転するだけで、位置Cを光軸上に配置することができない。
【0019】
このことをさらに別の図面を用いてより具体的に説明する。図5において、▲1▼は像回転前の像である。pは▲1▼に対応するステージ駆動X方向、qは▲1▼に対応するステージ駆動Y方向である。▲2▼は一例として90゜の像回転を行なった後の像である。現在▲2▼の像が表示されているものとする。従来のままで、ポイントCを画像中心0に持ってこようとして、画像のX方向にaだけ移動させる操作をすると、そのままステージ駆動上でのX方向にステージが移動することになり画像上では▲3▼の方向に動いてしまう。
【0020】
図6はこのようにして移動した像の状態を示している。
【0021】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的は、像の回転を行った状態でも試料の任意の箇所を光軸上に配置することができる荷電粒子ビーム装置におけるステージ移動制御方法並びに荷電粒子ビーム観察装置および方法を実現するにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明に基づく荷電粒子ビーム装置におけるステージ移動制御方法並びに荷電粒子ビーム観察方法および装置は、視野選択のための試料像が回転させられていても、指定した観察位置について、像の回転を解除したときのディスプレイのスクリーン中心からの仮想座標位置を求め、仮想座標位置に基づいて、該指定された任意の箇所をディスプレイのスクリーン中心に移動させるように試料ステージをX、Y方向に移動させるようにしたので、視野選択のための試料像が回転していても、指定した観察位置をスクリーン中心に移動させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図を参照して詳述する。図8は本発明に基づく試料のX線分析が可能な走査電子顕微鏡の概略を示している。図中1は電子銃であり、電子銃1から発生し加速された電子ビームEBは、コンデンサレンズ2、対物レンズ3によって細く集束され、試料4に照射される。試料4は試料をX,Y方向の2次元に移動させるためのステージ5上に載置されている。対物レンズ3の上部には、電子ビームを試料上で2次元的に走査するための偏向器6が設けられている。
【0024】
コンデンサレンズ2は駆動回路7によって駆動され、対物レンズ3は駆動回路8によって駆動される。また、偏向器6は駆動回路9によって駆動される。更に、ステージ5はステージ駆動回路10によって駆動され、X方向あるいはY方向に移動させられる。なお、偏向器6の駆動回路9には、走査信号発生回路11からの2次元走査信号が供給される。
【0025】
各駆動回路7、8、10および走査信号発生回路11は、バスラインBを介してCPU12に接続され、CPU12によって制御される。例えば、試料4に照射される電子ビームEBの電流量を所望の値に変化させるためには、バスラインBに接続されたキーボード13によって該所望の値を設定する。そうすれば、CPU12はコンデンサレンズ2の駆動回路7を制御し、試料4に照射される電子ビームの電流量が所望の値となるようにコンデンサレンズ2の励磁強度を変化させる。なお、バスラインBには、CPU12の操作のためのマウス14も接続されており、更にディスプレイ15、メモリー16も接続されている。
【0026】
また、電子銃1における電子ビームの加速電圧を変化させた場合には、CPU12はコンデンサレンズ2と対物レンズ3の駆動回路7、8を制御し、変化後の加速電圧でも電子ビームEBが試料4上でフォーカスされるように、コンデンサレンズ2と対物レンズ3の励磁強度を変化させる。
【0027】
なお、この場合、メモリー16内には、各加速電圧に応じた各レンズの強度データがテーブルの形式で記憶されている。CPU12はメモリー16から指定された加速電圧における各レンズ強度を読み出し、この読み出したレンズ強度データに基づいて各レンズを制御する。その結果、加速電圧を変化させた場合でも、各レンズは瞬時に最適なレンズ強度に設定される。
【0028】
更に、試料像の観察倍率を変える場合には、CPU12は走査信号発生回路11を制御し、倍率に応じて走査信号の振幅を調整する。なお、倍率を低くする場合には、走査信号の振幅が大きくされて試料4上の電子ビームの2次元走査領域は広くされ、逆に、倍率を高くする場合には、走査信号の振幅が小さくされて試料4上の電子ビームの2次元走査領域は小さくされる。
【0029】
試料4への電子ビームの照射によって発生した2次電子は、2次電子検出器17によって検出される。検出器17の検出信号は、増幅器18、バスラインBを介してCPU12に供給される。CPU12は検出信号を走査信号発生回路11の走査信号に同期してディスプレイ15に供給するよう制御していることから、ディスプレイ15の画面上には、試料4の電子ビーム照射領域の走査2次電子像が表示される。
【0030】
また、試料4への電子ビームの照射によって試料の組成に応じた特性X線が発生するが、この特性X線は、エネルギー分散型のX線検出器19によって検出される。X線検出器19は試料からのX線光子をそのエネルギーに応じた波高のパルスとして検出する。検出されたパルス信号は、増幅器20を介して波高分析器21に供給され、各波高ごとにパルス信号をカウントする。試料4の特定点における電子ビームの照射時間ごとに各波高ごとにカウントされたパルス信号は、バスラインBを介してCPU12に送られ、メモリー16に試料4上の電子ビームの照射点と共に記憶される。
【0031】
ここで、試料4への電子ビームの照射点を走査信号発生回路11からのディジタル走査信号を偏向器6に供給することによって、ディジタル走査すれば、走査に伴って各電子ビームの照射点から特性X線が発生する。この特性X線は、X線検出器19によって検出される。X線検出器19からのパルス信号は、増幅器20によって増幅された後、波高分析器21に供給される。
【0032】
波高分析器19によって得られた各電子ビームの照射点におけるエネルギー(波高)スペクトルは、バスラインBを介してメモリー16に供給される。この結果、メモリー16には、試料の特定2次元領域の各点における特性X線のエネルギースペクトルが得られる。CPU12は、各点における特性X線のエネルギースペクトルから、各点の試料の組成を求め、各組成ごとに色分けを行い、各点の求められた色信号を画像信号として、各点の座標に応じてディスプレイ15に供給する。この結果、ディスプレイ15には、組成ごとに色分けされた試料の特定領域の組成像が得られる。
【0033】
さて、図8に示すような走査電子顕微鏡において試料のX線分析を行う場合、最初に電子ビームを試料4上で2次元的に走査し、比較的低い倍率による試料の2次電子像をディスプレイ15上に表示する。図1はこのようにしてディスプレイ15の画面上に表示された像を示している。オペレータは、表示された像の中からX線分析をすべき領域Rを選択し、その画面上の領域Rのほぼ中心箇所Cに、画面上に表示されたポインターPをマウス14の操作によって移動させ、その位置Cでマウス14をクリックする。
【0034】
CPU12は、マウス14でクリックされた位置Cについて、電子ビームの光軸を原点とした試料4上の座標を求める。CPU12は、この座標値に基づいてステージ駆動回路10を制御し、位置Cが電子ビームの光軸上に配置されるようにステージ5を移動させる。
【0035】
このような操作を行うことにより、図2に示すように、観察すべき領域Rが電子ビーム光軸上に配置されることから、電子ビームが照射されるX線発生点とX線検出器19の位置がほぼ最適な関係となる。したがって、電子ビームの偏向角度が大きくなり、電子ビームの照射点とX線検出器との位置関係が大きく変化して、検出されるべきX線が検出されなかったり、特定のエネルギーや波長のX線の強度が低くなり、試料の組成分析に支障を来たすことは防止される。
【0036】
ところで、従来技術の欄において説明したごとく、走査電子顕微鏡では、画面を任意の角度回転させる機能を有している。画面を回転させる場合には、キーボード13により回転角を入力するか、ディスプレイ15上に回転のボタンを用意し、そのボタン上にポインターを移動させ、マウス14をクリックし、回転角を適宜な方法により設定をする。この回転の設定によりCPU12は、走査信号発生回路11を制御し、X方向とY方向の走査方向を指定された角度変化させる。その結果、図1に示した画像は図3に示すように、ディスプレイ上15で回転表示されることになる。
【0037】
このような像回転が行われた場合、図3に示した特定領域Rのほぼ中心箇所Cに、画面上に表示されたポインターPをマウス14の操作によって移動させ、その位置Cでマウス14をクリックする。CPU12は、マウス14でクリックされた位置Cについて、電子ビームの光軸Oを原点とした試料4上の座標を求める。CPU12は、この座標値に基づいてステージ駆動回路10を制御し、位置Cが電子ビームの光軸上に配置されるようにステージ5を移動させる。
【0038】
このとき、像は回転されているので、マウス14でクリックされた位置Cについて、電子ビームの光軸を原点とした試料4上の座標を求め、この座標値に基づいてステージ駆動回路10を制御し、ステージ5を移動させても、位置Cが電子ビームの光軸上に配置されず、図4に示すように、位置Cを光軸上に配置することができない。
【0039】
このため、本実施の形態では、図3の画面に表示された像の中からX線分析をすべき領域Rを選択し、その画面上の領域Rのほぼ中心箇所Cに、画面上に表示されたポインターPをマウス14の操作によって移動させ、その位置Cでマウス14をクリックする。
【0040】
CPU12は、マウス14でクリックされた位置Cについて、スクリーン中心位置との差(Δsx、Δsy)を計算する。次に、計算により求められた差(Δsx、Δsy)から、走査像の回転角度を元に、回転を解除したときのスクリーン中心位置との差(Δsx’、Δsy’)を演算により求める。
【0041】
次に、回転を解除したときのスクリーン中心位置との差(Δsx’、Δsy’)と、走査像の表示倍率から、ステージの移動量(−Δx、−Δy)を計算する。計算されたステージの移動量(−Δx、−Δy)を元に、所望観察位置が走査像の中心位置になるように試料ステージ5を移動させる。この状態で再度2次電子を検出して、2次電子像を表示して確認する。
【0042】
このようにして、X線分析を行うべき領域を電子ビーム光軸上に配置した後、前記したX線分析を実行すれば、像の回転を行った状態でも試料の任意の箇所を光軸上に配置することができ、正確な試料のX線分析を行うことができる。
【0043】
ここで、像の回転がONの状態で、マウスをクリックした画面上のポインターPの位置が、像の回転がOFFだとしたらどこのポインター位置(Δsx’、Δsy’)に相当するかを求める計算式の一例を示す。
【0044】
まず、実際にマウスがクリックされたときのポインター位置を(ms、my)、像の回転動作の解消(走査回転がOFFの状態)に対応したポインターの位置を(tx、ty)、ディスプレイのスクリーンサイズを(sx、sy)、像の回転角をα、(x、y)を一次変数とすると、次の式が導かれる。
【0045】
x=mx−(sx/2)→Δsx
y=my−(sy/2)→Δsy
上式は、実際にマウスがクリックされたときのポインター位置を(ms、my)をスクリーン中心からの相対座標に変換するものである。
【0046】
次に、像の回転成分を元のスクリーン絶対成分へ変換する成分である(tx、ty)は、次式によって求められる。
【0047】
tx=(x*cosα−y*sinα+(sx/2))
ty=(x*sinα+y*cosα+(sy/2))
この結果、ポインターで指示した位置と、回転を解除したときのスクリーン中心位置との差(Δsx’、Δsy’)は、次のように表すことができる。
【0048】
Δsx’=Δsx・cosα−Δsy・sinα
Δsy’=Δsx・sinα+Δsy・cosα
Δsx’、Δsy’からステージの移動量Δx、Δyは次式の計算によって求められる。
【0049】
Δx=(Δsx’/M)・Cx
Δy=(Δsy’/M)・Cy
ここで、Mは観察倍率であり、Cx及びCyは観察している像の大きさと実際の試料上での長さとを関係付ける換算定数である。
【0050】
上記した各演算はCPU12によって行われる。
【0051】
具体的な例として、前述した図5に示した例に適用すると、X方向にaだけ移動させる操作を演算によって、ステージ駆動上ではY方向に−aだけステージを移動させるデータに変換することとなり、その変換後のデータと倍率とに基づいてステージを移動させると、クリックした試料位置を電子ビーム光軸の位置に正しく移動することができる。図7はこのようにして移動した像の状態を示している。
【0052】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されず幾多の変形が可能である。例えば、走査電子顕微鏡を例に説明したが、試料からの特性X線を分光結晶で回折させ、ローランド円上の検出器で特定波長の特性X線の強度を検出するようにした電子プローブマイクロアナライザーや、試料からのオージェ電子をエネルギー分光器に導き、オージェ電子のエネルギー分布を測定するようにしたオージェ分光器等にも本発明を適用することができる。
【0053】
また、試料表面の観察位置を探すために、2次電子を検出し、走査2次電子像を表示するようにしたが、反射電子あるいは吸収電子などを検出し、反射電子像や吸収電子像に基づいて、観察位置の選択を行うようにしても良い。更に、ディスプレイ上にポインターを表示させ、そのポインターの位置をマウスで移動させ、所望位置にポインターを移動させてマウスをクリックし、観察位置の決定を行ったが、マウスを用いず、ジョイスティックの操作によって観察位置を決定させても良い。
【0054】
更に、ディスプレイに複数種の走査像が表示されている場合には、複数の走査像の内で特定の走査像に注目し、特定の走査像おいて観察位置を指定した場合、求めるスクリーン座標の原点を、各々の画面の中心に取り、そこからの差を(Δsx、Δsy)とすれば良い。
【0055】
また、上述の実施の形態例では、荷電粒子ビームとして電子ビームを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなくイオンビーム等のその他の荷電粒子ビームを用いることができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に基づく荷電粒子ビーム観察方法および装置は、視野選択のための試料像が回転させられていても、指定した観察位置について、像の回転を解除したときのディスプレイのスクリーン中心からの仮想座標位置を求め、仮想座標位置に基づいて、該指定された任意の箇所をディスプレイのスクリーン中心に移動させるように試料ステージをX、Y方向に移動させることがでかる。これにより、視野選択のための試料像が回転していても、指定した観察位置をスクリーン中心に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスプレイ上に表示された比較的広い視野の試料の走査像と観察すべき領域を示す図である。
【図2】観察すべき領域がディスプレイのスクリーン中心に移動された図である。
【図3】ディスプレイのスクリーン上に表示された像を回転させた状態の試料の走査像を示す図である。
【図4】像の回転を解除した際の仮想的な像を示す図である。
【図5】像観察の説明図である。
【図6】像観察の説明図である。
【図7】像観察の説明図である。
【図8】本発明に基づく荷電粒子ビーム観察装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子銃
2 コンデンサレンズ
3 対物レンズ
4 試料
5 試料ステージ
6 偏向器
7 コンデンサレンズ駆動回路
8 対物レンズ駆動回路
9 偏向器駆動回路
10 ステージ駆動回路
11 走査信号発生回路
12 CPU
13 キーボード
14 マウス
15 ディスプレイ
16 メモリー
17 2次電子検出器
18、20 増幅器
19 X線検出器
21 波高分析器
Claims (11)
- 以下のステップより成る荷電粒子ビーム装置におけるステージ移動制御方法。
X、Y方向に移動可能なステージ上に載置された試料上に荷電粒子ビームを集束すると共に、荷電粒子ビームを試料上の所定の領域で2次元走査を行うステップ、
荷電粒子ビームを試料へ照射した結果得られた第1の信号を検出するステップ、
この検出信号を荷電粒子ビームの2次元走査に同期して映像信号として用い、試料の2次元走査に基づく走査像をディスプレイ上に表示するステップ、
荷電粒子ビームの2次元走査方向を回転させ、ディスプレイ上に表示された走査像を回転させるステップ、
ディスプレイに表示された走査像中の任意の箇所を指定するステップ、
該任意の箇所に関し、像の回転を解除したときのディスプレイのスクリーン中心からの仮想座標位置を求めるステップ、
該仮想座標位置に基づいて、該指定された任意の箇所をディスプレイのスクリーン中心に移動させるように試料ステージをX、Y方向に移動させるステップ。 - 前記荷電粒子ビームは、電子ビームであることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム装置におけるステージ移動制御方法。
- 以下のステップより成る荷電粒子ビーム観察方法。
X、Y方向に移動可能なステージ上に試料を載置するステップ、
荷電粒子ビームを試料上に集束すると共に、荷電粒子ビームを試料上の所定の領域で2次元走査を行うステップ、
荷電粒子ビームを試料へ照射した結果得られた第1の信号を検出するステップ、
この検出信号を荷電粒子ビームの2次元走査に同期して映像信号として用い、試料の2次元走査に基づく走査像をディスプレイ上に表示するステップ、
荷電粒子ビームの2次元走査方向を回転させ、ディスプレイ上に表示された走査像を回転させるステップ、
ディスプレイに表示された走査像中の任意の箇所を指定するステップ、
該任意の箇所に関し、像の回転を解除したときのディスプレイのスクリーン中心からの仮想座標位置を求めるステップ、
該仮想座標位置に基づいて、該指定された任意の箇所をディスプレイのスクリーン中心に移動させるように試料ステージをX、Y方向に移動させるステップ、該指定された任意の箇所に荷電粒子ビームを照射し、この任意の箇所からの第2の信号を検出して試料の観察を行うステップ。 - 荷電粒子ビームを任意の箇所に照射して当該任意の箇所から発生する特性X線を検出し、試料のX線分析を行うステップをさらに有する請求項3記載の荷電粒子ビーム観察方法。
- 荷電粒子ビームを任意の箇所に照射して当該任意の箇所から発生するオージェ電子を検出し、オージェ電子のエネルギーに基づいて試料の分析を行うステップをさらに有する請求項3記載の荷電粒子ビーム観察方法。
- 前記荷電粒子ビームは電子ビームであることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の荷電粒子ビーム観察方法。
- 試料が載置されるX、Y方向に移動可能なステージと、荷電粒子ビームを試料上に集束するための手段と、荷電粒子ビームを試料上の所定の領域で2次元走査を行う手段と、荷電粒子ビームを試料へ照射した結果得られた第1の信号を検出する検出器と、この検出信号を荷電粒子ビームの2次元走査に同期して映像信号として用い、試料の2次元走査に基づく走査像を表示する試料像表示手段と、荷電粒子ビームの2次元走査方向を回転させ、試料像表示手段上に表示された走査像を回転させる手段と、試料像表示手段に表示された走査像中の任意の箇所を指定する手段と、該任意の箇所に関し、像の回転を解除したとき試料像表示手段のスクリーン中心からの仮想座標位置を求める手段と、該仮想座標位置に基づいて、該指定された任意の箇所をディスプレイのスクリーン中心に移動させるように試料ステージをX、Y方向に移動させる手段と、該指定された任意の箇所に荷電粒子ビームを照射し、この任意の箇所からの第2の信号を該検出器により検出して観察を行うように構成した荷電粒子ビーム観察装置。
- X線検出器をさらに備え、該X線検出器により特性X線を検出して試料のX線分析を行なうことを特徴とする請求項7記載の荷電粒子ビーム観察装置。
- オージェ電子検出器をさらに備え、該オージェ電子検出器により検出されたオージェ電子のエネルギーに基づいて試料の分析を行なうことを特徴とする請求項7記載の荷電粒子ビーム観察装置。
- 試料像表示手段にポインターを表示し、ポインターを試料像表示手段上に表示された走査像中の任意の箇所に移動し、この移動後にマウスをクリックし、試料像表示手段に表示された走査像中の任意の箇所を指定するようにした請求項7記載の荷電粒子ビーム観察装置。
- 前記荷電粒子ビームは電子ビームであることを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載の荷電粒子ビーム観察装置。
Priority Applications (1)
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