JP2004192007A - 液晶モジュールおよび液晶表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 液晶表示画面の有効表示エリア外周部近傍のウォッシュアウト、特に、バックライトの熱によるウォッシュアウトを改善し、良好な表示品位を得る。
【解決手段】 表示装置は、有効表示エリア外周部のシール材12を介して貼り合わされた一対の基板1・2間に液晶層(液晶)13を充填してなる液晶表示素子と、バックライト(光源)17とを備え、かつ、有効表示エリア内であって有効表示エリア外周部全域もしくはその一部の近傍の液晶層の厚みが、有効表示エリア中央部の厚みより0.05〜0.2μm大きいことを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶表示素子の表示品位向上に関し、特には感光性樹脂材料を遮光性フィルターとして用いたカラーフィルター層を有するネガ型STN液晶表示素子の表示品位の向上に関する。
図16に、従来の感光性樹脂材料を遮光フィルターに用いた、カラーフィルター層を有する液晶表示素子(以下、カラー液晶表示素子という)の断面図を示す。図に示すように、一対のガラス等の透明、絶縁性材料よりなる基板1、2が対向して配置され、一方の基板1の対向面に、カラーフィルター層3、オーバーコート層6、表示用電極7a、配向膜8aが順に形成され、他方のガラス基板2の対向面に、表示用電極7b、絶縁膜9、配向膜8bが順に形成されている。表示用電極7a、7bはストライプ状の電極が互いに直交するようにマトリクス配置されている。そして、これら基板1、2は、有効表示エリア外周部に配されたガラスビーズ11を含有したシール材12と、有効表示エリア内に配されたセルギャップコントロール用プラスチックビーズ10を介して貼り合わされ、シール材12にて囲まれたガラス基板1、2の間隙に液晶が注入封止され、液晶層13が形成されている。
次に、感光性樹脂材料を遮光性フィルターとして用いた場合のカラーフィルター層3の製造方法について説明する。図17は、R、G、Bの色フィルター4を形成した後、ブラックマスク5を形成する製造方法(後付けブラックマスク方式)を示す図であり、図18は、ブラックマスク5の形成後、R、G、Bの色フィルター4を形成する製造方法(先付けブラックマスク方式)を示す図である。
図17に示す後付けブラックマスク方式のカラーフィルター層3の製造方法は、まず、図17(a)に示すように、基板1にR、G、Bの各色相の色フィルター4を所定の方法で形成した後、次に、図17(b)に示すように、全面にカーボン等の遮光材料を含有した感光性樹脂遮光材料14を印刷法、スピンコート法、又はフィルムラミネート法により形成し、特定波長のUV光を裏面より露光する。その後、図17(c)に示すように、現像して、R、G、Bの色フィルター4の各間及び有効表示エリア外周部にブラックマスク5を形成し、図17(d)に示すように、オーブン等により焼成して熱重合硬化させる製造方法である。
この時、カラーフィルター層は、特許文献1に開示されているように、STN型液晶表示素子の課題であるセルギャップの均一化のためにシール部にもブラックマトリクス層(遮光性フィルター)を設け、かつ、各色相の色フィルター4とブラックマスク5は同等の膜厚に調整されているのが一般的である。また、ブラックマスクの膜厚は、有効表示エリア・有効表示エリア外周部とも同じ膜厚に形成されていた。
図18は、先付けブラックマスク方式のカラーフィルター層3の製造方法を示し、まず、図18(a)に示すように、基板1にカーボン等の遮光材料を含有した感光性樹脂遮光材料14を印刷法、スピンコート法、又はフィルムラミネート法により形成し、特定波長のUV光をフォトマスク15を用いて表面より露光した後、図18(b)に示すように、現像してR、G、Bの各色相の色フィルター間及び有効表示エリア外周部にブラックマスク5を先に形成する。次に、図18(c)に示すように、オーブン等により焼成して熱重合硬化させた後、図18(d)に示すように、R、G、Bの色フィルター4を形成する製造方法である。色フィルター4の形成方法としては、RまたはG、Bのいずれかの色フィルターを、特定波長のUV光を裏面より露光し、現像して形成する工程を繰り返しブラックマスク間に順次R、G、Bの色フィルターを形成する方法、又は特定波長のUV光を表面よりブラックマスク間より大きくして、R、G、Bの色フィルターのエッジがブラックマスクにかかるようにする方法がある。
ここでも、図17に示した場合と同様に、ブラックマスク5とR、G、Bの色フィルター4は、ほぼ同等の膜厚になるよう設計するのが、一般的である。図18の製造方法の場合は、R、G、Bの色フィルター4の周辺がブラックマスク5に一部重なるので、有効表示エリア内の色フィルターの形状と有効表示エリア外周部の色フィルターの連続性を保つため、有効表示エリア内のドット設計を有効表示エリア外周部まで延ばし、均一性(ほぼ±0)を確保する設計が一般的である。
また、ブラックマスクの膜厚は、有効表示エリアと、有効表示エリア外周部とも同じ膜厚で形成されていた。しかしながら、ブラックマスクの焼成工程での熱重合による膜減り、次工程でのブラシ洗浄、あるいは溶剤洗浄での膜減りがあるため、仕上がりでのブラックマスクは、平均膜厚が調整可能であるものの、ブラックマスクの面内のバラツキは平均値に対し、±0.25μm程度と大きかった。これを解決するために、特許文献2には、基板背面からの露光に加え、基板表面からの露光も行うことにより、ブラックマスクの膜厚のバラツキを解決する方法が提案されている。
また、図19に示すように、有効表示エリア内のR、G、Bの色フィルター4と、ブラックマスク5のドットパターンを有効表示エリア外周部のシール近くまで、連続して形成し、有効表示エリア内と有効表示エリア外周部の段差を均一にする方法がある。この場合、膜厚が同等のドットパターンが連続して形成されるため、有効表示エリア内と有効表示エリア外周部の段差のバラツキが極めて小さく、均一性は高いが有効表示エリア外周部は黒単色ではないので、光抜けするという欠点を有していた。
特開平6−273743号公報(公開日:平成6年9月30日) 特開平3−252622号公報(公開日:平成3年11月11日)
近年、液晶表示素子、特にSTNカラー液晶表示素子について、液晶表示素子の画面周辺、特に黒額縁付近のバックライト用光源の熱要因による輝度ムラ及びセメ厚要因による輝度ムラ(ウォッシュアウト)、配線抵抗を原因とする電圧低下による画面左右の輝度ムラ(グラデーション)等の高表示品位、コントラスト30以上、輝度100cd以上、応答速度200ms以下当の高特性、高信頼性が要求されており、コントラストにおいては30:1以上が要求されている。上記要望の中でもとりわけ有効表示エリア外周部近傍の表示品位の均一性の要求が強く、有効表示エリア外周部近傍の輝度ムラ(ウォッシュアウト)に対して、ユーザーより強い改善要望が出されている。
つまり、前述の先行技術では、(1)有効表示エリア内の色フィルター及びブラックマスクの膜厚に対し、有効表示エリア外周部のブラックマスクの膜厚が小さい場合、その境界での段差のため、有効表示エリア外周部近傍のセルギャップが薄くなり、液晶駆動電圧がON状態の時、明るく白抜け(ウォッシュアウト)するという問題が生じる。
また(2)有効表示エリア内の色フィルター及びブラックマスクの膜厚に対し、有効表示エリア外周部のブラックマスクの膜厚が大きい場合、その境界での段差のためセルギャップ厚が厚くなり、液晶駆動電圧がON状態の時、有効表示エリア外周部近傍が暗くなり、有効表示エリア内の面内均一性が損なわれるといった問題が生じる。
また、(3)上記(1)、(2)の場合や、有効表示エリア内の色フィルター及びブラックマスクの膜厚と、有効表示エリア外周部のブラックマスクの膜厚が同等の場合でも、近年の液晶モジュールのコンパクト化、軽量化の要求により、バックライトと液晶表示素子が近接する設計が多くなっており、バックライトの発熱により液晶表示素子の周辺が熱の影響を受け、有効表示エリア外周部近傍の液晶のレタデーションが変化して、この部分の液晶駆動電圧が上昇し、熱によるウォッシュアウトが発生するという不具合が生じる。
さらに、有効表示エリア外周部の黒額縁部は黒の締まり具合を良くする(OD(Optical Density)値を上げる)ためには、ブラックマスクの膜厚は厚い方がよいが、逆に、液晶表示素子全体の光を透過率を上げ、明るく鮮やかな表示品位を得るためには、R、G、Bの色フィルターは薄い方がよく、トレードオフの関係にあるが、液晶表示素子全体の均一性を考えた場合、前述したようにブラックマスクと色フィルターの膜厚を同じにする設計を行っている。つまり、従来の製造方法では有効表示エリア内と有効表示エリア外周部のブラックマスクの膜厚を意図的に変えることは不可能で、表示品位の向上と光学特性の向上を両立して満足することはできなかった。
また、図19に示す従来技術では、明らかに有効表示エリア外周部近傍の黒の締まり具合は、黒単色のブラックマスクを使用したときより悪くなっていた。
本発明にかかる液晶モジュールは、上記の課題を解決するために、有効表示エリア外周部のシール部材を介して貼り合わされた一対の基板間に液晶を充填してなる液晶表示素子を備えた液晶モジュールにおいて、前記液晶モジュールは光源をさらに備え、かつ、有効表示エリア内であって有効表示エリア外周部全域もしくはその一部の近傍の液晶層の厚みが、有効表示エリア中央部の厚みより0.05〜0.2μm大きいことを特徴としている。
また、本発明にかかる液晶モジュールは、上記の構成に加えて、少なくとも前記光源に近接する有効表示エリア外周部の液晶層の厚みが、有効表示エリア中央部の厚みより0.05〜0.2μm大きいことを特徴としている。
また、本発明にかかる液晶表示素子は、有効表示エリア外周部のシール材を介して貼り合わされた一対の基板間に液晶を充填してなる液晶表示素子において、前記有効表示エリア外周部近傍に設けられた光源に近接する前記液晶表示素子の有効表示エリア外周部の液晶層の厚みが、有効表示エリア中央部の厚みより0.05〜0.2μm大きいことを特徴としている。
さらに、本発明において、感光性樹脂材料よりなるカラーフィルター層の有効表示エリア内及び有効表示エリア外周部の一部分をマスキングし、表面側より特定波長の光で露光量を調整して露光して、カラーフィルター層を有効表示エリア内に対し、有効表示エリア外周部の一部分の膜厚を大きくし、かつ、その膜厚の差を、有効表示エリア内であって有効表示エリア外周部近傍の一部の液晶層の厚みが、有効表示エリア中央部の厚みより0.05〜0.2μm大きくなるよう上記露光量を調整することが好ましい。
以下にこれらの構成による作用を説明する。
図11に、本発明の作用を説明するための有効表示エリア外周部付近の拡大模式図を示す。
有効表示エリア内であって、有効表示エリア外周部近傍のセル厚(液晶層の厚み)d1と有効表示エリア外周部近傍以外、即ち、有効表示エリア外周部及び有効表示エリア中央部のセル厚dの関係は、d1>dとなっている。ここで、有効表示エリア外周部近傍のセル厚を有効表示エリア外周部近傍以外のセル厚より大きくする方法としては、有効表示エリア外周部の種々の膜(配向膜、表示用電極、平坦化層、カラーフィルター、その他)を二重構造にする、その部分の膜厚を厚く形成する、有効表示エリア外周部付近のスペーサの粒径を変える等が考えられる。このセル厚の差は、ネガ型液晶表示素子の場合、図12に示すように表示特性であるV−Tカーブ(電圧−輝度特性)の差として現れる。図12の横軸は印加電圧、縦軸は輝度を示し、実線は正常部のV−Tカーブを示し、点線はセル厚大の部分のV−Tカーブを示す。図12より分かるように、セル厚の大きい方がV−Tカーブの立ち上がりが遅れ、セル厚d1とdの境界部でオフ電圧Voff時の輝度差が生じることになる。ネガ型液晶表示素子の場合、有効表示エリア外周部近傍が暗くなる傾向になる。
また、前述の本発明の課題であるバックライトの熱によるウォッシュアウトは、有効表示エリア外周部近傍の液晶の屈折率異方性△nがバックライトの熱により変化することが原因で発生するものである。この時のV−Tカーブを図13に示す。実線は正常部のV−Tカーブ、点線は熱ウォッシュアウト部のV−Tカーブを示し、この図より、オフ電圧Voff時の輝度が設計値(有効表示エリア中央部)よりも、有効表示エリア外周部近傍で高くなっていることが判る。ちなみに、この時の輝度差は約6cdであった。特に、液晶表示素子がネガ型の場合、オフ電圧Voff時に光を遮光するため表示は暗状態であり、暗状態の中では人間の目は輝度差に非常に敏感であり、液晶表示素子の輝度ムラとして認識されていた(経験より、この暗状態の状況では、人間の目には輝度差が4cdを越えると輝度ムラとして認識されることが判っている)。ちなみにVon時は明状態であり、この状態では人間の目には輝度に対して鈍感であり、ムラとして認識しにくい状況である。
そして、本発明の構成では、上記二つの現象が合成されることになり、その結果、熱によるウォッシュアウトが軽減されることになるのである。つまり、オフ電圧Voff時の熱ウォッシュアウトによる輝度アップが、セル厚の差による輝度低下により相殺されるのである。
さらに、この合成効果は模式図14に示すように、セル厚差(d1−d)によって変化する。図14の横軸はセル厚差(d1−d)、縦軸は輝度差を示し、実線Aは熱ウォッシュアウトの影響を示し、実線Bはセル厚差により発生する輝度差を示し、点線Cは合成の輝度差を示す。そして、人間の目には輝度ムラとして認識されないレベル(輝度差4cd以内)を達成するためには、セル厚差(d1−d)を0.05〜0.2μmに設定する必要があった。つまり、セル厚差が0.05μmより小さい場合、輝度差が4cd以上となり、熱ウォッシュアウトによる輝度ムラが観測される。セル厚差が0.2μmを越えると逆に有効表示エリア外周部近傍が暗くなり輝度ムラとして観測されてしまうのである。
また、前記カラーフィルター層のブラックマスクに感光性樹脂材料を用いることにより、カラーフィルター層の膜厚制御をUV光量を調節することにより達成することができるようになる。つまり図15に、横軸に焼成温度、縦軸に膜厚をとり、初期膜厚に対して露光量を変化させた時の膜厚変化を示すように、露光量を加減してカラーフィルター層を焼成することにより、それぞれの膜減り量に変化が生じる。つまり、露光量を増加すると、膜厚の変化は少なく、露光量を多くすると膜厚の変化は大きくなる。本発明はこの関係を利用し、カラーフィルターの最終の膜厚を制御することができるようになる。
また、有効表示エリア外周部の膜厚を厚く形成するカラーフィルター層の色相を黒色(遮光性フィルター)とすることにより、膜厚が大きいことと、遮光性との相乗効果により有効表示エリア外周部(額縁部)の遮光率が向上することになり、有効表示エリア外周部のすっきり感が向上することになる。有効表示エリア内は、他の色フィルター(R、G、B)の膜厚に調整でき、周辺部のみの遮光性を向上することができる。
また、STN型液晶表示素子は、セル厚の差に対する特性の変化が大きく、例えば、セル厚が有効表示エリア内で0.05μm変化すると、濃淡差としてムラに見えてしまう。このため、本発明はこのことを逆に利用し、有効表示エリア内のセル厚に対し、有効表示エリア外周部近傍のセル厚を0.05〜0.2μmの差を設けることで表示品位を向上させることができるようになるのである。
また、有効表示エリア内をマスキングし、有効表示エリア外周部のみUV光を表面より照射することで、有効表示エリア内と有効表示エリア外周部の感光性樹脂材料の膜減り量に差を設けることが可能となり、UV光の光量の調整により最終段階での膜厚差を制御することが可能となる。
また、有効表示エリア内及び有効表示エリア外周部の一部をマスキングし、マスキング外の有効表示エリア外周部のみUV光を表面より照射することで、有効表示エリア内と有効表示エリア外周部の感光性樹脂材料の膜減り量に差を設けることが可能となり、UV光の光量の調整により最終段階での膜厚差を制御することが可能となり、しかも、特定の有効表示エリア外周部のみこの差を設けることが可能となる。
本発明によれば、液晶画面外周のウォッシュアウト、特にバックライトの熱によるウォッシュアウトを改善して、良好な表示品位を提供するとともに、白点、黒点欠陥の少ない高信頼性と、高コントラストを安価な方法で提供することができる。
以下に本発明を実施例により詳細に説明する。
〔実施例1〕
図1は、本発明を後付けブラックマスク方式でカラーフィルター層を形成したSTNカラー液晶表示素子の断面図である。図2(a)〜(f)はカラーフィルター層の形成方法を工程順に示す図である。
図2(a)に示すように、ガラス等の透明、絶縁性材料よりなる基板1にR、G、Bの各色相の色フィルター4を各色とも初期膜厚が2μmのフィルムを使用し、フィルムラミネート法により、所定のパターンに形成後、図2(b)に示すように、有効表示エリア外周部の表面側露光量を有効表示エリア内より多くすることを考慮し、初期膜厚2.15μmのカーボンブラック等の遮光材料を含む感光性樹脂遮光材料よりなるブラックフィルム14を、フィルムラミネート法により基板全面に形成し、裏面側より356nmのI線UV光を38mj露光する。その後、図2(c)に示すように、現像してブラックマスク5を形成し、次に図2(d)に示すように、表面側より356nmのI線UV光を0.5〜5mj(好ましくは2mj)全面露光する。その後、図2(e)に示すように、フォトマスク20により有効表示エリア外周部のブラックマスク部のみ、表面側よりさらに356nmのI線UV光を50mj露光し、図2(f)に示すように、250℃のIRオーブンにて焼成し、最終硬化させた。最終工程の結果、有効表示エリア内のカラーフィルター層の膜厚は、2.0μmとなり、有効表示エリア外周部のカラーフィルター層の膜厚は、2.15μmになった。
このカラーフィルター層3上にオーバーコート層6、表示用電極7a、配向膜8aを順に配し、他方、基板2上に表示用電極7b、絶縁膜9、配向膜8bを順に配した対向側の基板とを相対向させる。表示用電極7a、7bはストライプ状の電極が互いに直交するようにマトリクス配置する。そして、有効表示エリア内にセルギャップコントロール用プラスチックビーズ10を均一に分布させるとともに、周辺をセル厚保持用ガラスビーズ11を含有したエポキシ系シール剤12で貼り合わせ、ねじれ角が180゜から300゜、好ましくは240゜〜260゜のSTN液晶を注入封入してSTNカラー液晶表示素子を作成した。
この液晶表示素子のカラーフィルター層の有効表示エリア内と有効表示エリア外周部の段差は+0.15μm、段差のバラツキは+0.1〜+0.2μmとなり、液晶モジュール状態での液晶画面近傍はウォッシュアウトのない均一なものとなり、かつ有効表示エリア内の表示品位は平滑で均一なものになった。さらに液晶モジュールを長時間点灯させた場合でも、バックライト近傍の液晶画面の光ヌケは見られなかった。またカラーフィルター層は、ブラックマスクの膜硬度が上がったことで、遮光率が向上し、コントラストは30:1に向上し、有効表示エリア外周部の黒の締まり具合も向上して表示品位が向上し、さらに異物対策のためアルミナ等を含んだ全面研磨を実施することも可能となり、液晶表示素子の欠陥である白点、黒点不良も同様に激減した。
〔実施例2〕
図3は、本発明を後付けブラックマスク方式でカラーフィルター層を形成したSTNカラー液晶表示素子の断面図を示す。また、図4(a)〜(f)はカラーフィルター層の形成方法を工程順に示す図である。
図4(a)〜図4(c)は、図2(a)〜図2(c)と同様の工程が行われ、R、G、Bの各色相の色フィルター4、ブラックマスク5の形成後、図4(d)に示すように、表面側より356nmのI線UV光を0.5〜5mj(好ましくは2mj)全面露光する。その後、図4(e)に示すように、フォトマスク21により有効表示エリア外周部のブラックマスクの一部分、すなわち、液晶モジュールに組み込んだ時、バックライトが配される辺のみ、さらに356nmのI線UV光を50mj露光し、図4(e)に示すように、250℃のIRオーブンにて焼成し、最終硬化させた。最終工程の結果、有効表示エリア内のカラーフィルター層の膜厚は、2.0μmとなり、有効表示エリア外周部のバックライトが配される辺のカラーフィルター層の膜厚は、2.15μmになった。
このカラーフィルター層3上にオーバーコート層6、表示用電極7a、配向膜8bを順に配し、他方基板2上に表示用電極7b、絶縁膜9、配向膜8bを順に配した対向側の基板を相対向させ、セルギャップコントロール用プラスチックビーズ10とセル厚保持用ガラスビーズ11を含有したエポキシ系シール剤12で貼り合わせ、STN液晶を注入封入してSTNカラー液晶表示素子を作成した。この液晶表示素子のバックライトが配される辺のカラーフィルター層の有効表示エリア内と有効表示エリア外周部の段差は+0.15μm、バラツキは+0.1〜+0.2μmとなり、それ以外の有効表示エリア内と有効表示エリア外周部の段差は、ほぼ+0.05μmであった。この時、液晶モジュール状態での液晶画面近傍はウォッシュアウトのない均一なものになった。さらに長時間点灯によるバックライト近傍の液晶画面の光ヌケは見られなかった。又カラーフィルター層はブラックマスクの膜硬度が上がったことで、コントラストは30:1に向上し、有効表示エリア外周部の黒の締まり具合も向上して表示品位が向上し、異物対策のためアルミナ等を含んだ全面研磨を実施することが可能となり、液晶表示素子の欠陥である白点、黒点不良も同様に激減した。
〔実施例3〕
図5は、本発明を先付けブラックマスク方式でカラーフィルター層を形成したSTNカラー液晶表示素子の断面図を示す。図6(a)〜(e)はカラーフィルター層の形成方法を工程順に示す図である。
ガラス等の透明、絶縁性材料よりなる基板1に、感光性樹脂材料よりなり初期膜厚が1.9μmのブラックフィルムを、フィルムラミネート法により基板全面に形成し、図6(a)に示すように、フォトマスク15により所定のパターンに356nmのI線UV光で50mj露光し、図6(b)に示すように、現像してブラックマスクを形成する。次に図6(c)に示すように、さらに別のフォトマスク22により有効表示エリア外周部のブラックマスク部の一部分、すなわち、液晶モジュールに組み込んだ時、バックライトが配される辺のみ、さらに356nmのI線UV光を50mj露光し、図6(d)に示すように焼成した後、図6(e)に示すようにR、G、Bの色フィルター4を各色初期膜厚2μmのフィルムを使用し、フィルムラミネート法により所定のパターンに形成し、250℃のIRオーブンにて最終硬化させた。最終工程の結果、有効表示エリア内のカラーフィルター層の膜厚は、2.0μmとなり、有効表示エリア外周部のカラーフィルター層の膜厚は、2.15μmになった。
このカラーフィルター層3上にオーバーコート層6、表示用電極7a、配向膜8aを順に配し、他方、基板2上に表示用電極7b、絶縁膜9、配向膜8bを順に配した対向側の基板を相対向させ、セルギャップコントロール用プラスチックビーズ10とセル厚保持用ガラスビーズ11を含有したエポキシ系シール剤12で貼り合わせ、液晶を注入封止してSTNカラー液晶表示素子を作成した。
この液晶表示素子のカラーフィルター層の有効表示エリア内と有効表示エリア外周部の段差は+0.1μm、バラツキは+0.05〜+0.15μmとなり、液晶モジュール状態での液晶画面近傍はウォッシュアウトのない均一なものとなり、かつ有効表示エリア内の表示品位は平滑で均一なものになった。またカラーフィルター層は表面側より露光しているため、ブラックマスク膜硬度が高く、膜減りが少ないためブラックマスクの遮光率が高く、コントラス32:1に向上し、有効表示エリア外周部の黒の締まり具合も向上して表示品位が向上した。さらに異物対策のためアルミナ等を含んだ全面研磨を実施することが可能で、カラーフィルター層に起因する異物はほとんど除去され、液晶表示素子の欠陥である白点、黒点不良も同様に激減した。
〔比較例〕
以下に従来技術による液晶表示素子の比較例を示す。
〔比較例1〕
図7(a)は、R、G、Bの色フィルター4を含んだ有効表示エリア内のカラーフィルター層に対し、有効表示エリア外周部のブラックマスクが0.25μm高くなる場合で、この場合は有効表示エリアと有効表示エリア外周部の段差が大きいため、有効表示エリア外周部近傍のセル厚が厚くなり、図8の液晶画面周囲16が、液晶駆動電圧がON状態のとき、液晶分子の立ち上がりが遅く、暗くなる。また、有効表示エリアと有効表示エリア外周部の段差が大きいため、配向膜処理や、ラビング処理にて膜面の均一性が悪くなり、配向むらや、ラビングスジむら等が発生しやすくなり表示品位が低下した。
〔比較例2〕
図7(b)は、R、G、Bの色フィルター4を含んだ有効表示エリア内のカラーフィルター層に対し、有効表示エリア外周部のブラックマスクが同一の膜厚の場合であるが、図9に示すように、バックライト17と、液晶表示素子18が近接し、バックライト17の発熱による液晶表示素子18の周辺が熱の影響を受けやすく、有効表示エリア近傍の液晶のレタデーションが変化して、この部分の液晶駆動電圧が上昇し、図10のように熱によるウォッシュアウト19が発生している。また有効表示エリア外周部のブラックマスクのOD値は2〜2.5であり、液晶駆動電圧がONの時、僅かに光抜けがあり、透けている。
〔比較例3〕
図7(c)は、R、G、Bの色フィルター4を含んだ有効表示エリア内のカラーフィルター層に対し、有効表示エリア外周部のブラックマスクが0.2μm以上低くなる場合で、この場合は有効表示エリア外周部近傍のセル厚が薄くなり、図8のように液晶画面周辺16が、液晶駆動電圧がON状態の時、液晶分子の立ち上がりが早くなり、明るくなっている。また外周部のブラックマスクのOD値は1.5でON状態の時、黒の締まりは完全ではなく透けたような表示品位になった。
本発明によれば、バックライトの熱によるウォッシュアウトを改善して、良好な表示品位を提供することができる。つまり、本発明は液晶表示装置の表示品位を向上させることに有効に利用することができる。
実施例1のカラー液晶表示素子の断面図である。 実施例1のカラーフィルター層の製造方法を示す図である。 実施例2のカラー液晶表示素子の断面図である。 実施例2のカラーフィルター層の製造方法を示す図である。 実施例3のカラー液晶表示素子の断面図である。 実施例3のカラーフィルター層の製造方法を示す図である。 比較例1〜3のカラー液晶表示素子の断面図である。 比較例のカラー液晶表示素子における有効表示エリア外周部近傍の輝度ムラを示す説明図である。 液晶モジュールのバックライトと液晶表示素子の配置関係を示す説明図である。 バックライトの熱によるウォッシュアウト発生状態を示す説明図である。 本発明によるカラー液晶表示素子の有効表示エリア外周部近傍を示す説明図である。 セル厚差による電圧−輝度特性を示す図である。 熱の影響による電圧−輝度特性を示す図である。 熱ウォッシュアウトによる輝度特性とセル厚による輝度特性の合成効果を説明する図である。 露光量によるカラーフィルター層の膜厚変化を説明する図である。 従来技術のカラー液晶表示素子の断面図である。 後付けブラックマスク方式によるカラーフィルター層の製造方法を示す図である。 先付けブラックマスク方式によるカラーフィルター層の製造方法を示す図である。 別の従来技術のカラー液晶表示素子の断面図である。
符号の説明
1 基板
2 基板
3 カラーフィルター層
4 R、G、Bの色フィルター
5 ブラックマスク
6 オーバーコート層
7a、7b 表示用電極
8a、8b 配向膜
9 絶縁膜
10 プラスチックビーズ
11 ガラスビーズ
12 シール材
13 液晶層
14 感光性樹脂材料
15 フォトマスク
16 液晶画面周辺
17 バックライト
18 液晶表示素子
19 ウォッシュアウト

Claims (3)

  1. 有効表示エリア外周部のシール部材を介して貼り合わされた一対の基板間に液晶を充填してなる液晶表示素子を備えた液晶モジュールにおいて、
    前記液晶モジュールは光源をさらに備え、
    かつ、有効表示エリア内であって有効表示エリア外周部全域もしくはその一部の近傍の液晶層の厚みが、有効表示エリア中央部の厚みより0.05〜0.2μm大きいことを特徴とする液晶モジュール。
  2. 少なくとも前記光源に近接する有効表示エリア外周部の液晶層の厚みが、有効表示エリア中央部の厚みより0.05〜0.2μm大きいことを特徴とする請求項1に記載の液晶モジュール。
  3. 有効表示エリア外周部のシール材を介して貼り合わされた一対の基板間に液晶を充填してなる液晶表示素子において、
    前記有効表示エリア外周部近傍に設けられた光源に近接する前記液晶表示素子の有効表示エリア外周部の液晶層の厚みが、有効表示エリア中央部の厚みより0.05〜0.2μm大きいことを特徴とする液晶表示素子。
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