JP2004191365A - 表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法とそのプログラムおよび装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 スタイラスを用いてワーク表面の特徴点を含む領域を走査して収集した特徴領域データを入力するデータ入力部と、入力データを統計処理して特徴点座標値を抽出する特徴点抽出部と、特徴点の座標値に基づいてワーク座標系の原点を設定する原点設定部とを備えた。
【選択図】 図1
Description
ところがこの構造の検出器は、揺動方向(表面粗さ測定機や輪郭形状測定機では上下方向のZ軸方向、真円度測定機では前後方向のX軸方向)の凹凸を検出する1軸検出器であるために、揺動直交方向(ワーク表面方向)のワーク表面データを得にくく、例えばワーク端部(ワークの角部で、通常は90°の角度をなす場合が多い)などの形状特徴点部位を直接的に検出することが困難であり、ひいてはワーク端部などの特徴点部位を検出して、この部位を正しくワーク座標系の原点に設定するには測定データに対して複雑な形状解析を伴う計算処理が必要であった。
1)入力データの一部(初期あてはめ部分)を抽出する。
2)初期あてはめ部分について評価関数を用いてあてはめを実行する。
3)得られたパラメータから曲率半径Rを求める。
4)初期あてはめ部分の、曲率半径Rが所定値より大きければ線要素、小さければ円要素と判定する。
5)判定した要素(線または円)のパラメータを求める。
7)iが初期あてはめ部分を超えた場合は、更にデータを順次追加しながら、誤差εiが所定値を超えるまで、2)〜6)を繰り返す。
8)誤差εiが所定値を超えたデータを始点として、再度1)〜7)を繰り返して、隣接する要素を決定する。
9)全入力データについて、1)〜8)を繰り返す。
10)幾何要素を延長して交点を求める。
11)入力データから交点までの距離が所定値を超えた場合は、隣接する要素の端点同士を接続線で接続する。
1)入力データの一部(初期あてはめ部分)を抽出する。
2)初期あてはめ部分について複数の形状要素の評価関数を用いてあてはめを実行する。
3)初期あてはめ部分が形状要素毎に設けられた許容誤差内であれば、その形状要素として、初期あてはめ部分を延長して、2)〜3)を繰り返す。
4)初期あてはめ部分を最も延長できた形状要素を、第1の部分の形状要素とする。
5)第1の部分の次のデータを始点として、1)〜4)を繰り返す。
6)全入力データについて、1)〜5)を繰り返す。
7)隣接する幾何要素の双方をその要素として延長して交点を求める。
8)入力データから交点までの距離が所定値を超えた場合は、隣接する要素の端点同士を接続線で接続する。
ところが、これらの形状解析を基本とした計算処理は複雑であるために、多くの計算処理時間が必要であったり、あるいは大きな計算プログラムを作成する必要があった。
この発明によれば、特徴領域データから統計処理によって特徴点を抽出してワーク座標系の原点を設定できるので、複雑な解析計算処理を行うことなく、簡単な統計計算処理によって特徴点の座標値を抽出することができる。従って、特徴領域を走査して特徴領域データを入力しながら、同時的に入力済の特徴領域データに統計処理を施して、リアルタイムで特徴点の座標値を抽出することもできるので、簡単かつ迅速にワーク座標系の原点を設定することができる。
ここで、機械座標系データとは、測定機が有する固有の原点によって決定される座標系に基づくデータであり、ワークの形状や大きさに依存することがない。そのため、ワーク毎に個別に決定される原点(ワーク座標系原点)に依存することがないので、正確なワーク座標系原点が決定されていない測定の段取り時点における特徴領域データ入力において、確実なデータ入力が行える。
通常、ワークの端部近辺などには溝部や山部などの凹部や凸部が含まれていることが多く、その部位を含んだ特徴領域データに統計処理を施すことは、特徴点抽出に際して誤差を発生させる。
従って、このような凹部や凸部の所定領域のデータを除去することによって正確な特徴点抽出が可能になる。
このようにすれば、電源電圧変動などに起因する各種の突出ノイズが特徴領域データに含まれている場合でも、これらを特異点データとして除去できるので、正確な特徴点の抽出が可能となる。
このようにすれば、従来のローパスフィルタ処理などで生じる位相歪みの発生がないので、特異点データを除去してもワークの特徴領域データが正確に保たれる。その結果、統計処理に誤差を生じず、正確な特徴点の抽出が可能となる。
このようにすれば、スタイラスがワークの端部領域などを走査して、そのデータの座標値が急変する点を、設定されたトリガーレベルとの比較によって容易に検出することができる。また、このトリガーレベルの大きさに応じた補正値を用いて、特徴点の座標値を補正し、この補正された座標値に基づいてワーク座標系の原点を設定できるので、原点設定が正確に行える。
このようにすれば、スタイラスの駆動方向と特徴領域を含むワーク表面方向が同一でない場合であっても、ワーク表面の非特徴領域を形成する直線部分から基準線を求め、この基準線に基づいて特徴点を正確に求めることができるので、ワーク表面の相対的な傾斜の影響を除外して正確な原点設定が可能となる。
このようにすれば、ワーク表面の非特徴領域を形成する直線部分から基準線を求め、この基準線に基づく、例えば基準線に平行なトリガーレベルを決定できるので、ワーク表面の非特徴領域と特徴領域との判別間違いを容易の防止できる。これによって特徴点の座標値を正確に決定することが容易になる。また、このトリガーレベルの大きさに応じた補正値を用いて、特徴点の座標値を補正し、その補正された座標値に基づいてワーク座標系の原点を設定できるので、原点設定が正確に行える。
このようにすれば、特徴領域データの各微小範囲の傾斜線を求めて、基準線と傾斜線との比較によって特徴点を求めることができるので、ワーク端部などの特徴領域の開始点の検出が容易になり、これを特徴点とすることができる。
このようにすれば、例えば隣接する微小範囲の傾斜角度の変化率が最大となる点、あるいは最小となる点を特徴点として抽出できる。例えば特徴点が凸部である場合は、傾斜角度の変化率が最小となった点を凸部の頂上点として抽出し、これを特徴点とすることができる。また、ワーク端部などの角度が急激に変化する点では、傾斜角度の変化率が最大になるので、この点を検出して特徴点とすることができるので、個々のワークに応じた原点設定が確実かつ容易に行える。
前記特徴点抽出ステップは、前記特徴領域データの最大値または最小値に基づいて特徴点の座標値を決定することが好ましい。
このようにすれば、凸部の頂上あるいは凹部の谷底を容易に検出できるので、特徴点として抽出することが容易になる。
このようにすれば、プログラムが小型となるので、安価なコンピュータであっても表面性状測定機のワーク座標系原点設定を高速かつ容易に行うことができる。
また、前記目的を達成するために、本発明にかかる表面性状測定機のワーク座標系原点設定装置は、スタイラスによりワーク表面を走査して表面性状を測定する表面性状測定機に用いられるワーク座標系原点設定装置において、前記ワーク表面のワーク座標系原点に関連付けられた特徴領域を走査して収集した特徴領域データを入力する入力手段と、前記特徴領域データを統計処理して特徴点の座標値を抽出する特徴点抽出手段と、前記特徴点の座標値に基づいてワーク座標系の原点を設定する原点設定手段と、を備えたことを特徴とする。
このようにすれば、統計処理による簡便な抽出手段によって特徴点を抽出することができるので、廉価かつ高速に原点設定を行うことが可能となり、さらに、ワーク表面を走査しながらリアルタイムに特徴点を抽出してワーク座標系の原点を設定することができるので、測定段取りが高速化される。
図1には本発明の一実施形態にかかる表面性状測定機の原点設定装置の概略構成を示す。
同図に示す表面性状測定機の原点設定装置10は、データ入力部12、特徴点抽出部14、補正値格納部16、特徴点補正部18、原点設定部20を備える。
この原点設定装置10は独立した装置として構成し、従来の表面性状測定機と組み合せて用いても良いが、組み込み型として表面性状測定機と一体化可能な構成としても良い。いずれの場合も、データ入力部12は、この表面性状測定機のスタイラスをワーク表面方向へ相対的に走査した場合に、スタイラスによって検出されたデータ(Z軸データ)とワーク表面方向の走査位置データ(X軸データ)とを入力する。この走査位置の検出には、表面性状測定機のスタイラス走査機構に設けられたスケールが用いられる。また、原点設定部20で設定された原点情報は表面性状測定機へ出力され、表面性状測定機内に形成されるワーク座標系の原点設定に用いられる。
この原点設定装置10のデータ入力部12は、例えばスタイラスSの接触球Qを用いて真円度測定機によりワークの端部部位などの特徴領域を含む表面領域を走査して得た表面性状データを特徴領域データとして入力して図示しない記憶装置に格納する。このデータ入力部12は、特徴領域データから、所定領域のデータを削除する所定領域除去部、特異点データを除去する特異点除去部(いずれも図示せず)を備えるが、その機能詳細は後述する。
特徴点補正部18は、補正値格納部16に格納された補正値を用いて特徴点の座標値を補正する。この補正値は、例えば接触球Qの半径に基づくオフセットあるいは形状誤差に起因する補正値などで、前もって補正値格納部16に格納しておく。この補正値によって特徴点の座標値を補正することにより、スタイラスSの接触球Qの先端形状などに起因する誤差を補正する。
例えば、真円度測定機の場合、円柱状ワークの下端面中心位置Oや、上端面中心位置あるいはワーク端部Weなどの位置をワーク座標系の原点とするが、この原点位置はワーク毎に自由に選択することができる。
この発明のワーク座標系原点設定は、この原点設定装置10を用いて行う他、コンピュータのプログラムにより、所定の処理手順を実行させて行うことも出来る。
図2はこの表面性状測定機の原点設定方法の一実施形態を示すフローチャートである。
ここでは、真円度測定機で円柱状ワークのワーク座標系原点を設定する場合について説明する。
次に、ステップ20で真円度測定機の回転テーブルにワークを載置し、ワークの軸心が回転テーブルの回転軸心と一致するようにワークの姿勢を調整する(S20)。
ステップ30では、特徴領域データ入力のためのスタイラスSのワーク表面走査(原点サーチ)の開始点、終了点、速度などの原点サーチ条件と、ワークの設計値(半径Xd、長さZd)およびスタイラスSの接触球Qの半径r、除去すべき所定領域などを入力する。ここでは、原点サーチに先立って接触球QをワークWの上面(ワーク軸端)に接触させ、その位置を開始点としてワーク端部Weを超える原点サーチ距離(X軸方向距離)と原点サーチ速度を入力する。なお、ここでは、スタイラスのZ軸検出値が所定の限界値を超えた場合に、原点サーチを停止させることとする。
特徴領域データから所定領域のデータを除去するように設定されている場合は、ステップ50において所定領域除去を行う(S50)。例えば、図5に示す走査軌跡K(特徴領域データ)中の領域U1が凹部である場合、この領域U1のデータを除去する。このU1領域の指定は、前もって設定しておいても良いが、走査軌跡Kの画面表示結果から、その都度指定することもできる。
その後、ステップ60において特異点除去を行う。
例えば特徴領域データの直線部ABにおける特異点データ除去は、次の手順によって処理する。(図7参照)
2)各データに重みを付与する。すなわち、求められた直線に対して、該直線と直交する方向に重み関数V(d)を考え、該直線からの符号付き距離dからV(d)を算出し、そのV(d)をデータの重みとする。重み関数V(d)の一例は次の通りである。
dの絶対値>vの場合は、V(d)=0とする。
dがそれ以外の場合は、V(d)=(1−(d/v)2)2とする。
ここで、算出された重みは、直線算出の際にその測定データをどれだけ重要視するかの度合いになる。例えば算出された重みの値が大きい程、重要であると考えられる。
すなわち、各測定データに付与された重みを考慮しながら、重み付き最小自乗法を用いて直線を求め直す。これにより最初に求めた直線から近い測定データほど、直線計算に大きく寄与し、遠い測定データほど寄与しないで直線を求められるので、有効な直線が求まる確率を上げることができる。
4)ここで、直線を求める処理が、1回のみであると未だ十分な精度とはいえない直線が求められてしまう可能性があるため、前回求めた直線と今回求めた直線との比較を行い、大きな差があるか否かをチェックする。すなわち、大きな差がないと、求めた直線をあてはめ要素と決定し、大きな差があると、各測定データに重みを付与、重み付き最小自乗法による直線の求め直しを繰り返す。
つまり、このようなロバストあてはめの結果から、特異点データの重みは、略ゼロとなるので、特異点データの推定と除去が容易に行える。
この結果、幾何要素から極端に離れている測定データ(特異点データ)に対して、標準的な最小自乗法では、あてはめ計算結果が引っ張られてしまうのに対し、本発明ではロバスト推定法を用いているので、あてはめ計算結果が幾何要素から極端に離れている測定データに引っ張られるのを大幅に低減することができる。
以上の原点サーチ(S40)、所定領域除去(S50)、特異点除去(S60)の各ステップは入力ステップを構成する。
次に、ステップ70において特徴領域データ(走査軌跡K)から特徴点抽出を行う(S70)。特徴点を抽出する方法は、各種の方法が可能であるが、ここでは、2つの実施例について説明する。
ステップ701で特徴点抽出処理を開始する(S701)。
次に、ワークWの表面がX軸(あるいはZ軸)に対して傾斜している場合あるいはうねりを含んでいる場合には、ステップ702において基準線Ref1を算出する(S702)(図8参照)。この基準線Ref1の算出は特徴領域データの直線部分ABのデータを対象にして最小自乗法などを用いれば簡便に算出することができる。但し、この段階では点Bの位置が不明のため、例えば次のようにして直線部分を抽出する。
2)この特定領域におけるばらつき(標準偏差)が所定値以内であれば特定領域を延長して、1)を再度実行する。
3)この特定領域におけるばらつき(標準偏差)が所定値を超えた場合、直前の特定領域を直線部分とする。
ワークWの表面のX軸(あるいはZ軸)に対する傾斜が無視できる場合は、原点サーチ開始点を含むX軸(あるいはZ軸)に平行な直線を基準線Ref1と見なしてもよい。
また、走査軌跡Kの傾斜角度によって特徴点を抽出する場合は、ステップ704において特徴領域データを微小範囲に分割し、各微小範囲の傾斜線を算出する(S704)。但し、必ずしも微小範囲を固定的に分割せず、移動平均を求める場合と同様に、順次微小範囲を相互に重複させながら移動させても良い。たとえば特徴領域データの内の1番目から4番目に相当する領域を第1の微小範囲とし、同データ2番目から5番目を第2の微小範囲とする方法でも良い。傾斜線の算出は、簡便には微小範囲始点と微小範囲終点の座標値から求めることもできる。
トリガーレベルを設けて特徴点を抽出する場合は、特徴領域データがトリガーレベルRef2を超えた点Tを特徴点と決定して抽出する(図8参照)。
また、走査軌跡Kの傾斜線によって特徴点を抽出する場合は、基準線Ref1と各微小範囲の傾斜線の成す角度を比較し、所定角度を超えた微小範囲の代表点(微小範囲の各点の平均値にもっとも近い座標値を持つ点)を特徴点と決定して抽出する(図9参照)。
特徴点抽出の第1実施例ではステップ706において処理を終了し(S706)、図2の特徴点補正量算出処理(S80)へ処理を移行する。
まず、ステップ711で処理を開始する(S71)。
特徴点を特徴領域データの最大値あるいは最小値に基づいて決定する場合は、ステップ712において特徴領域データのZ軸データが最大値あるいは最小値となる点を算出する(S712)。
また、特徴点を特徴領域データの微小範囲の傾斜角度の変化率に基づいて決定する場合は、ステップ713において、各微小範囲の傾斜角度を算出し、それらの結果から各傾斜角度の変化率を算出する。この微小範囲およびその傾斜角度の算出方法は、図3のステップ704と同一の処理手順を用いて傾斜線のX軸に対する傾きを算出することができる。その後、例えば隣接する各微小範囲の傾斜角度相互間の変化率を求める。
特徴点を特徴領域データの最大値あるいは最小値に基づいて決定する場合は、ステップ712において求めた最大値あるいは最小値の点を特徴点と決定して抽出する。
また、特徴点を特徴領域データの微小範囲の傾斜角度の変化率に基づいて決定する場合は、ステップ713において算出した変化率が所定値以上あるいは最大値となる微小範囲の代表点、あるいは変化率が所定値以下あるいは最小値となる微小範囲の代表点を特徴点と決定して抽出する。ここで、傾斜角度の変化率が所定値以下あるいは最小値となる点としては、具体的には凸部の頂上付近や凹部の谷底付近がある。
特徴点抽出の第2実施例ではステップ715において処理を終了し(S715)、図2の特徴点補正量算出処理(S80)へ処理を移行する。
例えば図11に示すように、設計値(Xd、Zd)のワークWにおいて、点Oをワーク座標系の原点として設定する場合の特徴点補正量算出について説明する。つまり、スタイラスSの接触球Qの中心点が点Oに一致するようにスタイラスSを位置決めしたとすると、ワーク座標系の座標値が(0、0)となるようにワーク座標系の原点が設定される。ここで、接触球Qの半径rとトリガーレベルLは前もって与えられている。
Xp=Xd+r+x0 (1)
Zp=Zd−L+r+z0 (2)
を満足するようにx0、z0を決定する。ここで、x0、z0は機械座標系に対するX軸、Z軸のオフセットを示す。
また、L<rの場合は、トリガーレベルLを超える点Tにおいては、接触球Qとワーク端Weの位置関係は図12および図13に示す関係となる。
Xp=Xd+dX+x0 (3)
Zp=Zd−L+r+z0 (4)
を満足するようにx0、z0を決定する。
ここで、dXは、接触球Q先端部が略円形状であれば次式を用いて容易に算出できる。
(dX)2=r2−(r−L)2 (5)
スタイラスSの先端形状が、計算処理に適さない複雑な形状である場合には、トリガーレベルLに対応する個所のスタイラスSの補正値を前もって測定して設定しておく。例えば、スタイラスSの先端形状が図14に示すような形状の場合、Xm、Zmの値を補正値として設定しておけば良い。
Xp=Xd+Xm+x0 (6)
Zp=Zd−L+z0 (但し、L=Zm) (7)
この図の場合は、スタイラスQの先端部(最下部)中心が原点Oに位置決めされた時に、(0、0)となるワーク座標系が設定される。
なお、図11〜13はX軸方向に原点サーチを行う場合を示したが、Z軸方向に原点サーチを行う場合であっても同様に処理可能なことは勿論である(図15参照)。
機械座標系の座標値(Xc、Zc)に対して、ワーク座標系の座標値(Xw、Zw)は、式(1)〜式(4)、式(6)、式(7)を適用する場合は、次のように求める。
Xw=Xc−x0 (8)
Zw=Zc+L−z0 (9)
従って、X軸については(−x0)、Z軸については(L−z0)をワーク座標系原点設定情報として表面性状測定機に出力し、表面性状測定機側では、機械座標系の座標値(Xc、Zc)に対して式(8)、式(9)の処理を行えば、ワーク座標系における座標値(Xw、Zw)が求められる。ここで、Xw=0、Zw=0となる点がワーク座標系の原点となる。つまり、これによってワーク座標系の原点が設定されたことになる。
ここで、特徴点補正量算出(S80)、ワーク座標系設定(S90)の各ステップは原点設定ステップを構成する。
(1)ワーク表面のワーク座標系原点を含む特徴領域を走査して特徴領域データを入力し、この特徴領域データを統計処理して特徴点の座標値を抽出し、この特徴点の座標値に基づいてワーク座標系の原点を設定するので、複雑な形状解析処理を行う必要がなくなり、簡単な統計計算処理で原点設定を行えるから、原点設定処理が高速化される。
(2)この原点設定方法をコンピュータのプログラムとする場合にも、簡単な統計計算処理で原点設定を行えるから、プログラムを小型かつ高速処理可能な原点設定プログラムとすることができる。
(4)ノイズなどによって発生する特異点を除去できるほか、ワーク座標系の原点付近における凹凸領域のデータを除外して統計処理計算を行えるので、特徴点抽出精度が向上する。
(5)特徴点抽出の方法として、トリガーレベルにおける機械座標系データに基づいて特徴点の座標値を決定するとともに、このトリガーレベルに応じた補正値によってこの特徴点の座標値を補正してワーク座標系の原点を設定するので、スタイラス先端形状が球形状などの単純形状ではないスタイラスであっても本発明を実施できる。
このように本発明によれば、ワーク座標系の原点設定を正確かつ容易に行うことができるが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
また、図11においては、ワークWの上端面を図中左から右方向へ原点サーチする例を示したが、これに代えて図中右から左方向へ原点サーチしても良い。
さらに、真円度測定機におけるワーク座標系原点設定では、回転テーブルを複数の回転角度位置に固定して、それぞれの特徴点抽出を行い、ワーク座標系原点を回転テーブル角度位置に関連付けて設定しても良い。このようにすれば、ワーク座標系原点が回転テーブルの回転軸心上にない場合であっても、回転テーブルの回転角度に応じて動的にワーク座標系を変更できるので、複雑な形状のワークを測定することも可能になる。この場合、具体的には回転テーブルの回転角度に応じた、オフセット(x0、z0)をそれぞれ求めておき、回転角度に応じてこのオフセットを変更することでワーク座標系の動的切換えが可能になる。
また、図2から図4におけるフローチャートの処理手順をコンピュータを用いて実行する場合に、所定のデータを前もってメモリーに格納しておき、本発明のワーク座標系の原点設定を自動で行っても良い。
さらに、これらの実施形態においては、二次元の表面性状測定を行って二次元のワーク座標系原点を設定する方法を主に示したが、三次元の表面性状測定を行って三次元のワーク座標系原点を設定しても良い。
さらに、スタイラスを複数切替えて用いる場合には、スタイラス毎の補正値をメモリーに格納しておき、これらを自動または手動によって切り替えて用いても良い。これによって、スタイラス自動交換装置が併用された場合でも、補正値の自動切替えが可能になる。
また、本発明による表面性状測定機のワーク座標系原点設定装置は表面性状測定機と一体に構成されても良く、コンピュータのプログラムを実行して、入力手段、特徴点抽出手段および原点設定手段を構成するものであっても良い。
さらに、このコンピュータのプログラムは、表面性状測定機内に常駐せず、必要な場合に通信経路を経由して読込むものであっても良い。本発明によるワーク座標系の原点設定プログラムは計算処理が単純で小型化に適するため、このような実行形態にも適する。
12 データ入力部
14 特徴点抽出部
16 補正値格納部
18 特徴点補正部
20 原点設定部
K 走査軌跡
S スタイラス
Q 接触球
W ワーク
We ワーク端部
Claims (16)
- スタイラスによりワーク表面を走査して表面性状を測定する表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法において、
前記ワーク表面のワーク座標系原点に関連付けられた特徴領域を走査して収集した特徴領域データを入力する入力ステップと、
前記特徴領域データを統計処理して特徴点の座標値を抽出する特徴点抽出ステップと、
前記特徴点の座標値に基づいてワーク座標系の原点を設定する原点設定ステップと、
を備えたことを特徴とする表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法。 - 前記入力ステップにおいて、入力された特徴領域データは、前記表面性状測定機によって一義的に決定される機械座標系データであることを特徴とする請求項1に記載の表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法。
- 前記入力ステップは、入力された前記特徴領域データから所定の領域のデータを除去する所定領域除去ステップを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法。
- 前記入力ステップは、入力された前記特徴領域データから突出した特異点データを除去する特異点除去ステップを含むことを特徴とする請求項1から3に記載の表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法。
- 前記特異点除去ステップは、ロバスト推定法により前記特徴領域データから突出した特異点データを除去することを特徴とする請求項4に記載の表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法。
- 前記特徴点抽出ステップは、特徴領域データのうち、あらかじめ設定されたトリガーレベルに基づいて特徴点の座標値を決定すると共に、前記原点設定ステップは、前記トリガーレベルに応じた補正値によって前記特徴点の座標値を補正し、その補正された座標値に基づいてワーク座標系の原点を設定することを特徴とする請求項1から5に記載の表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法。
- 前記特徴点抽出ステップは、前記特徴領域データから直線部分を抽出して、該直線部分から基準線を求め、この基準線に基づいて前記特徴点の座標値を決定することを特徴とする請求項1から5に記載の表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法。
- 前記特徴点抽出ステップは、前記基準線に基づく所定のトリガーレベルを決定し、特徴領域データがこのトリガーレベルを超えた点に基づいて特徴点の座標値を決定すると共に、前記原点設定ステップは、前記トリガーレベルに応じた補正値によって前記特徴点の座標値を補正し、その補正された座標値に基づいてワーク座標系の原点を設定することを特徴とする請求項7に記載の表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法。
- 前記特徴点抽出ステップは、前記特徴領域データの各微小範囲の傾斜線を求め、この傾斜線と前記基準線との成す角度が所定角度を超えた点に基づいて特徴点の座標値を決定することを特徴とする請求項7に記載の表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法。
- 前記特徴点抽出ステップは、前記特徴領域データの各微小範囲の傾斜角度を求め、この傾斜角度の変化率に基づいて特徴点の座標値を決定することを特徴とする請求項1から5に記載の表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法。
- 前記特徴点抽出ステップは、前記傾斜角度の変化率が、所定値以上あるいは最大の微小範囲に基づいて特徴点の座標値を決定することを特徴とする請求項10に記載の表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法。
- 前記特徴点抽出ステップは、前記傾斜角度の変化率が、所定値以下あるいは最小の微小範囲に基づいて特徴点の座標値を決定することを特徴とする請求項10に記載の表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法。
- 前記特徴点抽出ステップは、前記特徴領域データの各微小範囲の傾斜角度を求め、この傾斜角度の符号の変化に基づいて特徴点の座標値を決定することを特徴とする請求項1から5に記載の表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法。
- 前記特徴点抽出ステップは、前記特徴領域データの最大値または最小値に基づいて特徴点の座標値を決定することを特徴とする請求項1から5に記載の表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法。
- 請求項1から14に記載の表面性状測定機のワーク座標系原点設定方法をコンピュータに実行させることを特徴とする表面性状測定機のワーク座標系原点設定プログラム。
- スタイラスによりワーク表面を走査して表面性状を測定する表面性状測定機に用いられるワーク座標系原点設定装置において、
前記ワーク表面のワーク座標系原点に関連付けられた特徴領域を走査して収集した特徴領域データを入力する入力手段と、
前記特徴領域データを統計処理して特徴点の座標値を抽出する特徴点抽出手段と、
前記特徴点の座標値に基づいてワーク座標系の原点を設定する原点設定手段と、
を備えたことを特徴とする表面性状測定機のワーク座標系原点設定装置。
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