JP2004190177A - 製紙機械用ドライヤーカンバス - Google Patents
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Abstract
【構成】合成繊維の経糸および緯糸を用いた織成布から成る製紙機械用ドライヤーカンバスであって、少なくとも接紙面側および反接紙面側の2層の緯糸層12,13を備え、経糸11が、扁平な断面形状を有するモノフィラメントから成り、接紙面側の緯糸層を構成する緯糸12が、厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状のモノフィラメントから成り、反接紙面側の緯糸層を構成する緯糸13が、厚さ方向において下方に位置する部分で曲線部を有する断面形状のモノフィラメントから成り、かつ、その断面の厚さ方向寸法が、接紙面側の緯糸層を構成する緯糸12の断面の厚さ方向寸法よりも大きい構成とした。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は抄紙機の乾燥部で使用される製紙機械用ドライヤーカンバスの改良に関する。特には、高度な品位水準が要求される用途において好適な表面平滑性を有するドライヤーカンバスに関する。さらには、乾燥シリンダーが単式配置された形式の乾燥部において好適に使用されるドライヤーカンバスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、抄紙機の乾燥部に使用されるドライヤーカンバスには、円形断面の合成繊維モノフィラメントを経糸および緯糸に用いた、所謂、モノフィラメントカンバスが多用されている。これはモノフィラメントの有する剛直性によって優れた寸法安定性が得られ、また平滑な糸表面によって防汚性に優れたカンバスとすることができ、さらに充分な強力を有することや水分の吸収が極めて少ないことを利用して、通気性の優れたカンバスとすることができることによる。
【0003】
一方、後述する抄紙機高速化に伴う乾燥部の改良により、厚みの薄い、通気度の低いカンバスの要望が出てきたが、特に低い通気度を要求される場合には、モノフィラメント織物構造が本来有する立体的空隙のために達成が困難な場合もあった。
【0004】
低通気度で厚みの薄いカンバスを実現するために、例えば、図11(A)(B)に示すような、接紙面側の緯糸22,反接紙面側の緯糸23および中間層の緯糸24と織成する経糸21に、扁平なプラスチック重合体のモノフィラメント撚り糸を用い、経糸密度100%に配し、経糸21の扁平断面の長軸を、カンバスの面に平行になるように延在させ、経糸21の低い輪郭によりカンバスのメッシュの開口の対角線方向の長さを減少し、緯糸22,23を経糸21と織り合わせる水平緯糸方向の通路の形状にした提案がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、例えば、図12に示すような、経糸31と、緯糸(接紙面側の緯糸32および反接紙面側の緯糸33)との少なくとも一方に、ポリエステルとポリエチレンのポリマーアロイ、またはポリエステルとポリエチレンエラストマーとのポリマーアロイから成る柔軟素材で、かつ扁平なモノフィラメントを用いて、低通気度で厚さが薄く、表面平滑性を向上させたカンバスを得る提案がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、本出願人は、例えば、図13(A)(B)に示すような、経糸41に断面楕円形状のモノフィラメントを用い、経糸充填率を高く配して、緯2重織りの斜文の経糸が織物表面で長浮きになる構造として、表面性を確保し、低通気度を含む広い通気度調整範囲の達成を図り、なおかつ、走行安定性を向上させた、カンバスを提案した(特許文献3参照。)。
【0007】
また一方、従来、抄紙用多筒式乾燥機として、上下2段配列の乾燥ドライヤーにおける上下カンバス方式が使用され(例えば、特許文献1の図1参照。)、これの改良案としてシングルラン方式が使用され(例えば、特許文献1の図2参照。)、さらに、1,000m/分〜1,500m/分の高速抄紙に対応するため、シングルラン方式の改良案として、乾燥シリンダーを走行方向水平に単列に配置した、例えば、ベルラン方式(米国ベロイト社の商標)等の単列ドライヤー方式が提案されている。
【0008】
ベルラン方式は、図14に示すように、単列の乾燥シリンダー1に充分な抱き角度を持って湿紙4を接触させ、また乾燥シリンダー1,1間にサクションロール5を配設して、カンバス2をガイドさせ、これにより、カンバス2上に来る湿紙4をカンバス2上に吸引して密着させ案内走行させるようにしたものであり、乾燥部の全群またはサイズプレス前までに採用されている。
【0009】
この方式は、各群間やシリンダー間において、湿紙4がカンバス2に接触しないで走行する、所謂、フリーラン部が皆無となり、シートの高速走行時の安定化が得られ、また、ドロー(走行方向に僅かに張力を湿紙にかけること)を皆無にすることができるので、シートの収縮を乾燥中全幅にわたって制御することが可能となり、紙質の向上に役立つ。さらにマシン幅方向の水分ムラの原因であったドライヤーポケットを無くし、乾燥効率を向上させることができる。
【0010】
このような配置、構造の単列ドライヤー方式に対して、従来の乾燥シリンダーの上下2段配列形式の乾燥部において使用されているドライヤーカンバスを使用した場合には、次のような問題点が発生してくる。
【0011】
すなわち、湿紙はプレスパートにおいて搾水され、水分率50〜60%位で乾燥部の入り口に達する。従って乾燥部の初期においては未だ湿紙の水分が多く、そのため湿紙の強力は弱い状態であり、また、伸びやすい性質を持っている。
【0012】
図14に示す単列ドライヤー方式では、1つの乾燥群の間、湿紙4は、常にドライヤーカンバス2の接紙面側に接触したままの状態で1枚のカンバスによって運ばれる。乾燥シリンダー1上では、図15に示すように、湿紙4は、乾燥シリンダー1の円筒面に沿って曲がった状態▲1▼では、カンバス2の内側、即ち下側(乾燥シリンダー1側)に位置している。また、サクションロール5上では、湿紙4は、サクションロール5の円筒面に沿って曲がった状態▲3▼のカンバス2の外側、即ち上側(サクションロール5と反対側)に位置している。
【0013】
状態▲1▼の内側に曲がったカンバス2の接紙面は、カンバス2の厚さのためカンバスの厚さ方向中央部長さより縮む、換言すると、湿紙4の走行速度は、その部分ではカンバス本体の走行速度より遅くなる。また、状態▲3▼の外側に曲がったカンバス2の接紙面はカンバス2の厚さのためにカンバス2の厚さ方向中央部長さより伸ばされる、換言すると、湿紙4の走行速度はその部分ではカンバス本体の走行速度より速くなる。そのためカンバス2の接紙面側表面上を運ばれる湿紙4はカンバス2の接紙面の伸び縮みによって、繰り返し張り、弛みの張力が加えられ、湿紙4に悪影響を及ぼし、紙の収縮特性、紙肌の悪化、シートの微振動等により、甚だしくは断紙等の欠陥が発生する。
【0014】
なお、カンバス2が乾燥シリンダー1やサクションロール5等の案内ロールで内側や外側に曲げられて走行する場合、接紙面側表面または反接紙面側表面の走行速度の変化にかかわらず一定の速度で走行する位置がカンバスの厚さ方向内に存在する。この一定速度に走行する位置を線で想定することができ、この線をニュートラルラインと呼ぶ。図15での破線はこのニュートラルライン6を示す。図15は、カンバス2の構造がその表裏で異なる非対称構造のため、ニュートラルライン6が接紙面側に片寄っている場合を示している。なお、表裏の構造が全く対称な通常のカンバスの場合は、ニュートラルラインはカンバスの厚さ方向中央に位置する。
【0015】
すなわち、単列ドライヤー方式のメリットであるフリーランをなくして湿紙4の収縮率を制御しているにもかかわらず、カンバス2が厚いと湿紙4に、張り、弛みが交互に作用し、メリットを消滅することになるので、カンバス2の厚みは可及的に薄い方が望ましい。しかしながら、他方において、5m〜9mの広幅の高速抄紙機では、カンバスはより寸法安定性、走行安定性等が要求され、強度と剛性の見地からは、カンバスの厚さを無条件に薄くすることは好ましくない。
【0016】
【特許文献1】
特公昭58−28398号公報(第7欄第24〜第8欄第1行、図1,図2)
【特許文献2】
特開平5−59686号公報(請求項1)
【特許文献3】
特開2002−155489号公報{図1,図6(B)}
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載のカンバスのように、経糸21に断面扁平なモノフィラメントを用い、緯糸22,23に経糸21の交差空隙の形状に近い断面形状になる糸条を用いるものでは、厚さが薄く、低通気度のカンバスとなるが、さらに広い幅広の製紙機械に適合する幅方向の剛性が得られない。また、接紙面側の緯糸22に厚さ方向上面が直線でないモノフィラメントを用いるので、接紙面側で経糸21が形成する表面は、高級紙に要求される平滑性を確保することができない。
【0018】
また、特許文献2に記載のカンバスのように、経糸31および緯糸32の少なくとも一方に柔軟性のある扁平なモノフィラメントを使用するものでは、表面平滑性は改善されるが、厚さが薄い分、ヨコ剛性に劣り、例えば、1,500m/分以上の高抄速で、9mを越える広幅の製紙機械に適応するヨコ剛性を含む走行安定性が得られない。
【0019】
また、特許文献3に記載のカンバスのように、経糸41に断面楕円形モノフィラメントを用い、経糸充填率を100%〜175%と高く配して、緯2重織りの斜文織組織として、表面性を確保し、なおかつ、低通気度を含む広範囲の通気度調整範囲の達成を図る場合も、高級紙の抄紙に適合するような充分な表面性が得られず、また、充分な緯糸密度とし、耐ズレ性を含む寸法安定性を確保するためには、織機も高強力織機が必要であり、それにより織成されるカンバスは高価なものになる。
【0020】
従って、本発明では、例えば上質紙や塗工用原紙のような、高度な品位水準が要求される用途において好適に使用でき、それらの用途における湿紙乾燥部のうち、湿紙水分の比較的高い前群において特に好適に使用できる、良好な表面平滑性を有し、かつ、緯糸方向の剛性を兼ね備えた製紙機械用ドライヤーカンバスを提供することを課題とする。
【0021】
さらに、シングルランのカンバス方式や、乾燥シリンダーが単列配置された形式の乾燥部において、カンバスの厚さに起因する不具合を解消し、かつ、例えばカンバス幅9m以上、抄速max1,500m/分以上の広幅・高速抄紙機にも適用可能な、優れた寸法安定性や走行安定性、ならびに広い通気度調整範囲を有する製紙機械用ドライヤーカンバスを提供することを課題とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスは、合成繊維の経糸および緯糸を用いた織成布から成る製紙機械用ドライヤーカンバスであって、前記ドライヤーカンバスが、少なくとも接紙面側および反接紙面側の2層の緯糸層を備え、前記経糸が、扁平な断面形状を有するモノフィラメントから成り、前記接紙面側の緯糸層を構成する緯糸が、厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状のモノフィラメントから成り、前記反接紙面側の緯糸層を構成する緯糸が、厚さ方向において下方に位置する部分で曲線部を有する断面形状のモノフィラメントから成り、かつ、その断面の厚さ方向寸法が、前記接紙面側の緯糸層を構成する緯糸の断面の厚さ方向寸法よりも大きいことを特徴とするものである(請求項1)。
【0023】
また、本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスは、前記接紙面側の緯糸層を構成するモノフィラメント緯糸の断面形状が、厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有し、かつ、幅方向の両側に各々1つの薄肉部を有する断面形状であることを特徴とするものである(請求項2)。
【0024】
また、本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスは、前記反接紙面側の緯糸層を構成する緯糸が断面円形のモノフィラメントからなり、その断面直径をZとした時、前記接紙面側の緯糸層を構成する緯糸の断面寸法において、最大厚さ寸法が0.35×Z〜0.5×Z、かつ最大幅寸法が0.65×Z〜Zの範囲であることを特徴とするものである(請求項3)。
【0025】
また、本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスは、前記織成布の織組織が、接紙面側と反接紙面側とで非対称な構造の織組織であることを特徴とするものである(請求項4)。
【0026】
また、本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスは、前記織成布の織組織が、接紙面側および反接紙面側の2層の緯糸層を備え、かつ、接紙面側に経糸が長浮きする織組織であることを特徴とするものである(請求項5)。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
即ち、本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスは、合成繊維の経糸および緯糸を用いた織成布から成る製紙機械用ドライヤーカンバスであって、前記ドライヤーカンバスが、少なくとも接紙面側および反接紙面側の2層の緯糸層を備え、前記経糸が、扁平な断面形状を有するモノフィラメントから成り、前記接紙面側の緯糸層を構成する緯糸が、厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状のモノフィラメントから成り、前記反接紙面側の緯糸層を構成する緯糸が、厚さ方向において下方に位置する部分で曲線部を有する断面形状のモノフィラメントから成り、かつ、その断面の厚さ方向寸法が、前記接紙面側の緯糸層を構成する緯糸の断面の厚さ方向寸法よりも大きい構成とする。
【0029】
ここで、経糸に適用する「扁平な断面形状を有するモノフィラメント」とは、図1(A)〜図1(D)に示すような、扁平な四角形、四隅を面取りした扁平四角形、楕円形、長円形、繭形、およびこれらを部分的に形状を変形したり、これらの断面形状を上下に分割組み合わせたり、左右に分割組み合わせたりしたものを含む。
【0030】
また、接紙面側の緯糸層の緯糸に適用する「厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状のモノフィラメント」とは、図2(A)〜図2(C)に示すような、扁平な四角形、四隅を面取りした扁平四角形、長円形、およびこれらの上下直線部以外の部分を部分的に、例えば、厚さ方向と幅方向の交差部分や、厚さ方向の形状について変形した断面形状のモノフィラメントをいう。
【0031】
また、反接紙面側の緯糸層の緯糸に適用する「厚さ方向において下方に位置する部分で曲線部を有する断面形状のモノフィラメント」とは、図3(A)〜図3(F)に示すような、円形、楕円形、隅部を面取りした略半円形、略五角形、略三角形等、およびこれらを部分的に変形した断面形状のモノフィラメントを含む。
【0032】
これらの断面形状のモノフィラメントを経糸および緯糸に用いて織成することにより、接紙面側の緯糸層は、経糸に断面扁平なモノフィラメント、緯糸に厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状のモノフィラメントを用いるため、平滑な表面性が得られる。特に、接紙面側に経糸が長浮きする織組織においての長浮き部分がより平滑となるので、湿紙との接触面積が増加し、表面平滑性も向上し、高品質水準が要求される製紙機械用ドライヤーカンバスに好適に使用できる。
【0033】
さらに、経糸に扁平な断面形状のモノフィラメントを用い、接紙面側緯糸に厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状のモノフィラメントを用いるので、接紙面側の緯糸層の緯糸は、同じ断面積の断面形状が円形の緯糸の場合よりもクリンプし易く、経糸のみならず緯糸もクリンプし、経糸と緯糸との交錯が深くなるので、厚さ方向寸法の薄いカンバスが製作可能になる。また、交錯部での経糸と緯糸の接触面積が大きく、カンバスの耐ズレ性が向上する。
【0034】
また、反接紙面側の緯糸層を構成する緯糸に、厚さ方向において下方に位置する部分で曲線部を有する断面形状で、かつ、その断面の厚さ方向寸法が、接紙面側の緯糸の断面における厚さ方向寸法よりも大きいモノフィラメントを用いるので、反接紙面側の緯糸に断面扁平なモノフィラメントを用いる場合よりも、緯糸の厚さ寸法が大きくなるので、カンバスの幅方向の剛性(ヨコ剛性)が良好となる。
【0035】
また、本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスは、前記接紙面側の緯糸層を構成するモノフィラメント緯糸の断面形状が、厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有し、かつ、幅方向の両側に各々1つの薄肉部を有する断面形状である構成とする。
【0036】
ここで、「断面形状が、厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有し、かつ、幅方向の両側に各々1つの薄肉部を有する断面形状のモノフィラメント」とは、図4(A)〜図4(F)に示すような断面形状のモノフィラメントを含む。
【0037】
経糸に断面扁平なモノフィラメントを用い、接紙面側緯糸に厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状のモノフィラメントを用い、経糸のみならず緯糸もクリンプするので、緯糸に断面円形モノフィラメントを用いた従来のカンバスより、経糸の交錯空隙を小さくでき低通気度が実現可能となり、さらに、接紙面側緯糸の断面形状を幅方向の両側に各々1つの薄肉部を有する断面形状とすることができるので、経糸と交錯するときに薄肉部が変形し、薄肉部がないモノフィラメントを緯糸に用いるときよりも緯糸密度を多くでき、また薄肉部は、経糸と緯糸の交錯接触部以外の空隙を減少させるので、低通気度の実現が一層容易になる。また、この薄肉部が経糸により締め付けられて変形するので、経糸と緯糸の交錯状態が一層強化されて、カンバスの耐ズレ性がさらに向上する。
【0038】
また、本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスは、前記反接紙面側の緯糸層を構成する緯糸が断面円形のモノフィラメントからなり、その断面直径をZとした時、前記接紙面側の緯糸層を構成する緯糸の断面寸法において、最大厚さ寸法が0.35×Z〜0.5×Z、かつ最大幅寸法が0.65×Z〜Zの範囲である構成とする。
【0039】
発明者らは鋭意研究と検討を重ねた結果、前記課題を解決できる製紙機械用ドライヤーカンバスの構成の一つとして前記構成が好ましいとの結論を得た。特に、高品位紙を抄造するシングルパートの前段に使用するドライヤーカンバスであって、通気度が1500〜4000cm3/cm2・min程度の比較的低通気度のものを得る場合には、前記構成に加え、緯糸層数がY層とした場合、緯糸の織密度が(15.5〜18.5)×Y本(ヒートセット加工後)の範囲とすることが好ましいことを導いている。
【0040】
試作の際に得た特性の結果は次の通りである。すなわち、
接紙面側の緯糸の最大厚さ寸法が、前記範囲よりさらに小さくなると、カンバス本体のヨコ方向の剛性が不足する。緯糸の織密度を増加させると、製織時、緯糸の打ち込み時に、織物がバンビングにより大きく振動して、カンバスの表面性が悪化する。またニュートラルラインは接紙面から遠ざかる。
【0041】
接紙面側の緯糸の最大厚さ寸法が前記範囲よりさらに大きくなると、カンバス本体の厚さが厚くなり、カンバス本体内の空隙が大きくなって低通気度が得られにくくなる。
【0042】
接紙面側の緯糸の最大幅寸法が、前記範囲よりさらに小さくなると、カンバス本体のヨコ方向の剛性が低下する。緯糸の織密度を増加させるとこの場合も製織の緯糸打ち込み時に無理がかかり、カンバスの表面性が悪化する。また経糸との接触面積が少なくなって耐ズレ性も低下する。さらには、ニュートラルラインは接紙面側から遠ざかる。
【0043】
接紙面側の緯糸の最大幅寸法が、前記範囲よりさらに大きくなると、緯糸の捻れが発生しやすく、また経糸のクリンプが大きくなってカンバスの表面性の悪化につながり、耐ズレ性も低下する。
【0044】
また、本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスは、前記織成布の織組織が、接紙面側と反接紙面側とで非対称な構造の織組織である構成とする。
【0045】
本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスに使用する織組織は、図5(A)〜図5(E)に示すような、接紙面と反接紙面が対称な織構造の他、図6(A)および図6(B)に示すような、接紙面と反接紙面が非対称な織構造を含む。
【0046】
図5の織組織は、経糸11が表裏対称な構造となっており、経糸11および接紙面側の緯糸12、もしくはさらに中間層の緯糸14の断面形状が、前述のように構成されている点を除けば、従来から抄紙用カンバスとして多用されている織組織である。これらの織組織では、すべて接紙面側の緯糸12と反接紙面側の緯糸13とを厚さ方向で重ね合わせて構成されている。織組織を、図5(A)に示すような緯2重織、図5(B)や図5(C)に示すような、中間層の緯糸14を所定間隔で織り込んだ緯2.5重織、図5(D)や図5(E)に示すような、中間層の緯糸14を密に織り込んだ緯3重織とすることにより、さらに、緯糸つまり接紙面側の緯糸12、反接紙面側の緯糸13、中間層の緯糸14の糸を替えて種々組み合わせることにより、種々の性能のカンバスを製作している。
【0047】
なお、図5(A)〜図5(E)の織組織において、経糸11は前記図1(A)〜図1(D)に示す断面形状を有する。また、四角形状の断面形状で示す接紙面側の緯糸12は、前記図2(A)〜図2(C)、または図4(A)〜図4(F)のような断面形状を有する。また、図5(A)〜図5(E)において、円形状の断面形状で示す反接紙面側の緯糸13は、図3(A)〜図3(F)のような断面形状を有する。中間層の緯糸14は、織物設計時に接紙面側の緯糸の断面形状群または反接紙面側の緯糸の断面形状群、すなわち図2〜図4のいずれかの形状のものから選択すればよい。
【0048】
図6(A)(B)の織組織は、経糸11が、反接紙面側から織込む緯糸13の本数より接紙面側から織込む緯糸12の本数が多い、表裏非対称の構造になっている。この織組織は、接紙面側で経糸11aが長浮きとなるのでより平滑な表面性が必要なカンバスに好適に使用される。また、接紙面側の緯糸12と反接紙面側の緯糸13とが厚さ方向でずれて配置されるので、カンバスの厚さを薄く、通気度も低くし易いメリットがあるが、斜め方向の形状安定性の指標であるズレ特性、シワ発生の危険性や走行安定性の指標であるヨコ剛性を確保しにくい傾向があるため、織物全体構成の設計時に注意が必要である。
【0049】
前述のように、単列ドライヤー方式では、一定速度で走行(回転)するロールに対して、湿紙4とカンバス2とはその位置によって、湿紙4の走行速度がカンバス2の走行速度に対して速くなったり遅くなったりする。この現象は、厳密には、走行(回転)する乾燥シリンダー1やサクションロール5の円弧形状、カンバス2の厚さと、さらに図15で説明したカンバス2の厚さ内に想定されるニュートラルライン6の位置により、ニュートラルライン6に対し接紙面側表面の速度(湿紙の速度)が変化する。
【0050】
製紙機械の稼働中の状況において、カンバス2が曲げられると、カンバス2の厚さにより接紙面、反接紙面の表面速度は変化するが、ニュートラルライン6の位置では、カンバス2が曲げられても速度は変化せず一定となる。カンバス2が曲げられている状態では、接紙面側表面の速度は、ニュートラルライン6と接紙面側表面との間の厚さ方向寸法(距離)によって変化し、ニュートラルライン6と接紙面側表面との厚さ方向寸法が小さいと速度変化は小さいし、その厚さ方向寸法が大きいとその速度変化は大きくなる。
【0051】
ニュートラルライン6と接紙面との間の厚さ寸法(距離)が小さい場合は、ニュートラルライン6がカンバス2の厚さ方向中央にある表裏等価な構造の通常のカンバスであって、その厚さが薄い場合と同じ速度変化の低減効果が得られる。
【0052】
反接紙面側の緯糸層を構成する緯糸13に、図3(A)〜図3(F)に示すように、厚さ方向において下方に位置する部分で曲線部を有し、接紙面側の緯糸層を構成する緯糸よりも、厚さ方向寸法が大きいモノフィラメントを用いることにより、ニュートラルライン6はより接紙面側に移動した位置となり、経糸11に図1(A)〜図1(D)に示すような、断面扁平なモノフィラメントを用い、接紙面側の緯糸12に厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有するモノフィラメントを用いての織成による厚さ方向寸法が小さいことと相俟って、抄紙時の湿紙4の速度変化はより小さいものとなるので、単列ドライヤー方式の乾燥部に使用するのに好適な製紙機械用ドライヤーカンバスとなる。
【0053】
さらに、織組織を、図6(A)および図6(B)に示すような、表裏非対称な織組織で製織することにより、ニュートラルライン6は一層接紙面側に移動した位置となり、湿紙4の走行速度変化が一層小さくなり、ニュートラルライン6の接紙面側への移動分だけ、カンバス2の厚さを増す余裕が生じ、反接紙面側の緯糸13における断面の厚さ方向寸法を大きくすることによって、ヨコ剛性の大きいカンバスの製作が可能となる。
【0054】
また、本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスは、前記織成布の織組織が、接紙面側および反接紙面側の2層の緯糸層を備え、かつ、接紙面側に経糸11aが長浮きする織組織である構成とする。
【0055】
接紙面側を構成する経糸11に、図1(A)〜(D)に示す断面扁平なモノフィラメントを用い、接紙面側の緯糸12に、図2(A)〜(C)に示す厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状のモノフィラメントを用いて、さらに、図6(A)(B)に示すように、接紙面側に経糸11aが長浮きする織組織で織成するので、経糸11aや緯糸12の表面の平坦性に加えて、断面扁平な経糸11aは、緯糸12との交錯部でクリンプし易く、また、緯糸12も経糸11aとの交錯部で、円形断面糸の場合よりもクリンプし易く、長浮きした経糸11aの平滑性をより増加させ、湿紙4との接触面積が向上する。
【0056】
したがって、本発明によれば、例えば上質紙や塗工用原紙の抄紙のような、高度な品位水準が要求される用途において好適に使用でき、それら用途の製紙機械乾燥部のうち、湿紙水分率の比較的高い前群に特に好適に使用できる、良好な表面平滑性と経糸方向での柔軟性を有し、かつ、緯糸方向のヨコ剛性に優れたドライヤーカンバスが実現できる。
【0057】
さらに、シングルランのカンバス方式や単列ドライヤー方式の乾燥部に適用可能な厚さ、および接紙面からニュートラルラインまでの好適な寸法(距離)にでき、かつ、反接紙面側の緯糸の厚さ方向寸法を大きくできるので、例えば、カンバス幅9m以上、抄速max1,500m/分以上の広幅・高速の抄紙機にも適用可能な、優れた寸法安定性や走行安定性、ならびに広い通気度調整能力範囲を有する製紙機械用ドライヤーカンバスを実現できる。
【0058】
なお、後で本発明の実施例および比較例について説明するが、その評価に関わる各種特性の測定装置および測定方法については、以下による。
1.「通気度」
JIS L−1096:1999「一般織物試験方法」におけるフラジール形法に準拠する。圧力125Paのもとに試料を通過した空気量を、1分間当たり、単位面積当たりに換算表示したもので、単位(cm3/cm2・min)で表わす。
【0059】
2.「3点曲げ剛性」
図7に示す3点曲げ試験装置90により、幅30mm(図7の紙面表裏方向の寸法)の試料Sの両端を、100mmだけ離間させて固定配置した直径20mmの丸棒91に係止し、試料Sの中央部を直径10mmのローラ92で引き上げると、引き上げ量と共に荷重計(図示せず)の表示値は増大していくが、ある程度引き上げると荷重計の表示値は増大しなくなる。このときの最大荷重を3点曲げ剛性値と称し、単位(daN/3cm)で表す。試験は、室温下および120°加熱下で測定した。数値が大きいほど3点曲げ剛性が高いと評価する。
【0060】
3.「ズレ角度」
図8(A)(B)はズレ角度測定装置100であって、固定支柱101の上端部と基端部に横アーム102,103の一端が上下揺動可能に取り付けられ、他端は連結アーム104で連結され、常時は上側の横アーム102が固定水平アーム105にピン106にて固定されている。上側の横アーム102に所定長、所定幅の試料Sの上端を固定し、下端には試料Sの幅1cm当たり1kgの荷重Wを懸垂する。この状態で下側の横アーム103に試料Sの下端を固定し、その後、荷重Wを取り去る。このようにして、図8(A)のごとく試料Sを固定し、ピン106を引き抜き、図8(B)のごとく下向きのモーメントをかける。この状態で一定時間放置後、指針107が枢支ピン108を中心にして時計方向に回動したズレ寸法xを目盛109によって測定し、その状態のまま温度180℃で一定時間熱処理を行う。その後、再度、ズレの寸法x(加熱後)を測定する。
【0061】
ズレ角度θ1(加熱前)、θ2(加熱後)の計算は、図8(C)に示すように、ズレ寸法x(mm)、枢支ピン108から指針107の先端までの長さをL(=120mm)として、次式(1)で計算される。
tanθ=x/120
θ=tan-1(x/120) (1)
上記より求めたズレ角度θ1,θ2から、カンバス走行時の織組織のズレを推定し、カンバスの走行安定性の評価に用いる。
【0062】
4.「有効ニュートラルライン厚み」
図9はニュートラル位置Npの計算データを測定する装置110であって、緯糸方向幅寸法35mm(紙面の表裏面方向の寸法)に調整した試料Sに対し、経糸方向に6.1kg(1.74kg/cm)の荷重をかけ、経糸方向に約150mmの試長を付し、直径寸法100.9mmのロール111に試長部がロール面に当たるように巻き付け、6.1kg(1.74kg/cm)の荷重Wをかけた状態で、試料Sの外側表面に紙テープを張り付け、試料の試長マーク位置を紙テープにマーキングする。紙テープを剥がし直定規でマーキングの長さを測定する。
【0063】
上記より求めた直線での試長の読みL(mm)、ロール111に巻き付けたときの試長の読みLr(mm)、ロール111の直径寸法D(=100.9mm)、カンバスの厚みt(mm)より、次式でニュートラル位置Np(カンバスの厚さを1としたときのカンバス外側からニュートラルラインまでの位置割合)が、次式(2)で計算される。
【0064】
【式1】
【0065】
接紙面側を外側に捲回して測定・算出したNp(図15の▲3▼に対応)をPSNp、反接紙面側を外側に捲回して測定・算出したNp(図15の▲1▼に対応)をBSNpとして、接紙面側を外側にした時の接紙面からニュートラルラインまでの厚さ寸法t1、および反接紙面側を外側にしたときの接紙面からの厚さ寸法t2を、次式(3)(4)で計算する。
t1=PSNp×t (3)
t2=(1−BSNp)×t (4)
【0066】
前記厚さ寸法t1およびt2の合計を有効ニュートラルライン厚みとして、シングルラン方式や、単列ドライヤー方式に掛け入れたカンバス2が湿紙4に及ぼす速度の変化程度を厚さとして評価する。この数値が小さいほど、湿紙4に及ぼす速度変化の影響は少ないと評価する。
【0067】
5.「カンバスの接紙面の接触面積」
カンバスより試料を切り取り、この試料に感圧紙(富士写真フイルム社製)を乗せ、直径寸法52mmの接圧子を荷重400daNで30秒間圧接させて、接触点を発色させた。これをコピーし、この接触点の発色パターンコピーをスキャナーでパソコンに取り込み画像解析により、接触面積率(%)を求めた。接触面積率が大きいほど、カンバスの接紙面は平滑と評価する。
【0068】
(実施例)
次に、本発明の実施例およびこの実施例に対する比較例について、表1〜表3に基づいて説明する。表1〜表3において、TMはポリエステルモノフィラメント、PSは接紙面側、BSは反接紙面側を表す。
【0069】
【表1】
【0070】
(実施例1)
実施例1のドライヤーカンバスを、表1に示す仕様と図6(A)に示す織組織に基づいて製作した。すなわち、経糸11に寸法が厚さ0.30mm×幅0.56mmの断面四角形ポリエステルモノフィラメント{図1(A)の断面形状}、接紙面側の緯糸12に寸法が厚さ0.30mm×幅0.65mmの断面四角形ポリエステルモノフィラメント{図2(A)の断面形状}、反接紙面側の緯糸13に直径寸法が0.70mmの断面円形ポリエステルモノフィラメント{図3(A)の断面形状}を用い、接紙面側が2/2破れ斜文、反接紙面側が3/1の破れ斜文の緯2重織組織で、接紙面側の経糸11aが長浮きした、経糸密度54.4本/2.54cm、緯糸密度17.7本×2層/2.54cmに製作した。製作したドライヤーカンバスは、厚さ1.49mm、通気度2,400cm3/cm2・minであった。
【0071】
(実施例2)
実施例2のドライヤーカンバスを、表1に示す仕様と図6(A)に示す織組織に基づいて製作した。すなわち、経糸11に寸法が厚さ0.30mm×幅0.56mmの断面四角形ポリエステルモノフィラメント{図1(A)の断面形状}、接紙面側の緯糸12に寸法が厚さ0.30mm×幅0.65mmの断面四角形ポリエステルモノフィラメント{図2(A)の断面形状}、反接紙面側の緯糸13に直径寸法が0.80mmの断面円形ポリエステルモノフィラメント{図3(A)の断面形状}を用い、接紙面側が2/2破れ斜文、反接紙面側が3/1の破れ斜文の緯2重織組織で、接紙面側の経糸11aが長浮きした、経糸密度54.2本/2.54cm、緯密度17.5本×2層/2.54cmに製作した。製作したドライヤーカンバスは、厚さ1.60mm、通気度2,500cm3/cm2・minであった。
【0072】
【表2】
【0073】
(比較例1)
比較例1のドライヤーカンバスを、表2に示す仕様と図6(A)に示す織組織に基づいて製作した。すなわち、経糸に寸法が厚さ0.30mm×幅0.56mmの断面四角形ポリエステルモノフィラメント{図1(A)の断面形状}、接紙面側の緯糸12および反接紙面側の緯糸13に寸法が直径0.70mmの断面円形ポリエステルモノフィラメントを用い、接紙面側が2/2破れ斜文、反接紙面側が3/1の破れ斜文の緯2重織組織で、接紙面側の経糸が長浮きした、経糸密度53.0本/2.54cm、緯密度17.9本×2層/2.54cmに製作した。製作したドライヤーカンバスは、厚さ1.74mm、通気度3,000cm3/cm2・minであった。
【0074】
(比較例2)
比較例2のドライヤーカンバスを、表2に示す仕様と図6(A)に示す織組織に基づいて製作した。すなわち、経糸に寸法が厚さ0.25mm×幅0.65mmの断面四角形ポリエステルモノフィラメント{図1(A)の断面形状}、接紙面側の緯糸12および反接紙面側の緯糸13に寸法が直径0.60mmの断面円形ポリエステルモノフィラメントを用い、接紙面側が2/2破れ斜文、反接紙面側が3/1の破れ斜文の緯2重織組織で、接紙面側の経糸が長浮きした、経糸密度46.7本/2.54cm、緯密度20.1本×2層/2.54cmに製作した。製作したドライヤーカンバスは、厚さ1.34mm、通気度1,900cm3/cm2・minであった。
【0075】
上記の比較例1および比較例2のドライヤーカンバスは、それぞれ広幅、高速の抄紙用乾燥部において、従来から使用実績の豊富なカンバスである。
【0076】
上記実施例1および実施例2と、比較例1および比較例2について、前記図7〜図10に示す試験方法で測定または計算した、ヨコ剛性(daN/3cm)、ズレ角度(θ1),(θ2)、有効ニュートラルライン厚み(mm)の測定ならびに計算結果、および接触面積(%)を表3に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
(ヨコ剛性の確認)
上記の実施例1,実施例2および比較例1,比較例2のドライヤーカンバスの幅方向(緯糸方向)のヨコ剛性を、前記図7に示す3点曲げ剛性の試験装置90により確認した。なお、試料Sには、接紙面方向に荷重を掛けて引っ張り上げて測定した。測定結果を表3に示した。
【0079】
室温での緯糸方向の3点曲げ剛性の測定結果は、実施例1で0.52daN/3cm、実施例2で0.76daN/3cm、比較例1で0.91daN/3cm、比較例2で0.49daN/3cmであった。一方120°加熱下では、実施例1で0.17daN/3cm、実施例2で0.25daN/3cm、比較例1で0.31daN/3cm、比較例2で0.16daN/3cmであった。
【0080】
従って、緯糸方向の3点曲げ剛性が、実施例2では比較例1と同程度であり、良好であることが確認された。また、実施例1では比較例1に比べると劣るが、現在広幅、高速の単列シリンダー方式の乾燥部に使用実績のある比較例2のドライヤーカンバスよりも優れており、使用可能と判断できる。
【0081】
(走行安定性の評価)
上記の実施例1,実施例2および比較例1,比較例2のドライヤーカンバスの加熱前および加熱後のズレ角度θ1,θ2を、前記の図8に示すズレ角度測定装置100により測定して、カンバス走行時の織組織ズレを推定し、カンバスの走行安定性を評価した。測定は、各カンバスについてサンプル数3にて行い、測定結果の平均値を表3に示した。
【0082】
加熱前のズレ角度(θ1)は、実施例1で1.9°、実施例2で1.8°、比較例1で2.2°、比較例2で2.5°であった。また、加熱後のズレ角度(θ2)は、実施例1で2.1°、実施例2で2.0°、比較例1で3.6°、比較例2で4.1°であった。
【0083】
したがって、経糸11に厚さ方向および幅方向の寸法が同じ断面扁平なモノフィラメントを用い、カンバスの厚さが比較例1のカンバスに比べ薄い、実施例1および実施例2のカンバスのズレ角度(θ1),(θ2)は、比較例1および比較例2のカンバスのズレ角度(θ1),(θ2)に比べ小さく、走行安定性が改善されることが判った。
【0084】
(有効ニュートラルライン厚さの確認)
上記の実施例1,実施例2および比較例1,比較例2のドライヤーカンバスの有効ニュートラルライン厚さを、前記の図9に示す装置110により測定し、前述の式(2)で計算し、単列シリンダー方式の乾燥部での湿紙への速度変動の影響度合いを推定した。
【0085】
接紙面を外側にして測定し、計算した接紙面側表面からのニュートラルラインまでの寸法t1と、反接紙面側を外側にして測定し、計算した接紙面側表面からのニュートラルラインまでの寸法t2の合計の有効ニュートラルライン厚さは、実施例1で1.071、実施例2で1.126、比較例1で1.331、比較例2で1.141であった。
【0086】
したがって、実施例1および実施例2のカンバスとも、比較例1および比較例2のカンバスに比べて、有効ニュートラルライン厚さが小さく、単列シリンダー方式の乾燥部での湿紙の速度変動は少なく、品質等への影響も少ないと判断できる。また、有効ニュートラルライン厚さが小さいので、反接紙面側の緯糸における厚さ方向の寸法をより大きくすることが可能で、比較例1および比較例2のカンバスよりもヨコ剛性の優れたカンバスの製作が可能である。
【0087】
(表面平滑性の評価)
上記の実施例1および比較例1のドライヤーカンバスにおける接紙面側の接触面積率を、前記のカンバスの接触面の測定方法で測定し、カンバスの接紙面側の接触点の発色パターンを図12に示した。(実施例2および比較例2は図示せず)
【0088】
接触面積率は、実施例1で17.73%、実施例2で17.65%、比較例1で13.98%、比較例2で15.65%であった。例えば実施例1の接触面積率は比較例1に比べて127%と大きく、優れた表面平滑性で有ることが判った。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、経糸に断面扁平形状および接紙面側の緯糸に厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状のモノフィラメントを用い、また、織物表面に経糸が長浮きする織組織で製作するので、上質紙や塗工用原紙のような高度な品位水準が要求される用途に使用できる表面平滑性に優れた製紙用ドライヤーカンバスが得られる。
【0090】
さらに、本発明によれば、経糸に断面扁平形状および接紙面側の緯糸に厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状のモノフィラメント用い、また、反接紙面側の緯糸に、接紙面側の緯糸より厚さ方向寸法の大きいモノフィラメントを用い、表裏非対称の織組織で製作するので、接紙面側の緯糸層が反接紙面側の緯糸層よりも薄いことにより、カンバスのニュートラルラインが接紙面側に移動した構造となり、有効ニュートラルライン厚さの薄いカンバスとなり、反接紙面側の緯糸の厚さ方向寸法をより一層大きくできるので、幅900cm以上、抄速度1,500m/分以上の広幅・高速の単列シリンダー方式の乾燥部に好適に使用できる、ヨコ剛性に優れた製紙用ドライヤーカンバスが得られる。
【0091】
加えて、本発明によれば、経糸に断面扁平形状および接紙面側の緯糸に厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状のモノフィラメントを用いるので、経糸と緯糸が強固に交錯し、さらに、接紙面側の緯糸に、幅方向両側に各々1つの薄肉部を有する断面形状のモノフィラメントを使用できるので、経糸と緯糸の交錯が一層強固となり走行安定性に優れると共に、経糸と緯糸間の空隙を少なくでき、低い通気度を含む広い通気度範囲の製紙用ドライヤーカンバスが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(D)は本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスにおける経糸の各種実施形態の断面形状図である。
【図2】(A)〜(C)は本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスにおける接紙面側の緯糸層を構成する緯糸の各種実施形態の断面形状図である。
【図3】(A)〜(F)は本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスにおける反接紙面側の緯糸層を構成する緯糸の各種実施形態の断面形状図である。
【図4】(A)〜(F)は本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスにおける接紙面側の緯糸層を構成する緯糸の異なる実施形態の各種断面形状図である。
【図5】(A)〜(E)は本発明の製紙機械用ドライヤーカンバスにおける経糸に扁平な断面形状の糸条を用いた各織組織の概略断面図を示すもので、
(A)は接紙面側の緯糸に厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状の糸条を用いた緯2重織組織のカンバス織組織、
(B)は接紙面側の緯糸に厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状の糸条を用いた緯2.5重織組織のカンバス織組織、
(C)は接紙面側に厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状の糸条および中間層の緯糸に扁平断面四角形の糸条を用いた緯2.5重織組織のカンバス織組織、
(D)は接紙面側の緯糸に厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状の糸条を用いた緯3重織組織のカンバス織組織、
(E)は接紙面側に厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状の糸条および中間層の緯糸に扁平断面四角形の糸条を用いた緯3重織組織のカンバス織組織である。
【図6】本発明の実施例および比較例の製紙機械用ドライヤーカンバスに用いた接紙面側の経糸が長浮きする織組織の概略説明図を示すもので、
(A)は接紙面側が2/2破れ斜文、反接紙面側が3/1の破れ斜文の緯2重織組織、
(B)は接紙面側が3/3破れ斜文、反接紙面側が4/2の破れ斜文の緯2重織組織のカンバス織組織である。
【図7】ヨコ剛性測定装置の概略構成図である。
【図8】(A)はズレ角度測定装置におけるズレ角度測定前の概略構成図、
(B)はズレ角度測定装置におけるズレ角度測定時の概略構成図、
(C)はズレ角度測定装置により得たズレ寸法からズレ角度を計算する方法の説明図である。
【図9】ニュートラルライン測定装置の概略構成図である。
【図10】(A)は本発明の実施例1の製紙機械用ドライヤーカンバスにおけるカンバスと湿紙との接触面積の説明図、
(B)は比較例1の製紙機械用ドライヤーカンバスにおけるカンバスと湿紙との接触面積の説明図である。
【図11】(A)は従来の製紙機械用ドライヤーカンバスの緯糸方向から見た織組織概略断面図、
(B)は従来の製紙機械用ドライヤーカンバスの経糸方向から見た織組織概略断面図である。
【図12】従来の他の製紙機械用ドライヤーカンバスの緯糸方向から見た織組織概略断面図である。
【図13】(A)は従来のさらに他の製紙機械用ドライヤーカンバスの経糸方向から見た経糸の拡大断面図、
(B)はその織組織の概略断面図である。
【図14】製紙機械用ドライヤーカンバスを適用し得る単列の乾燥シリンダーによる乾燥部の概略側面図である。
【図15】製紙機械用ドライヤーカンバスのニュートラルラインについて説明する、乾燥部における乾燥シリンダーおよびサクションローラに対するドライヤーカンバスと湿紙の接触部の拡大側面図である。
【符号の説明】
1 乾燥シリンダー
2 ドライヤーカンバス
4 湿紙
5 サクションロール
11 経糸
11a 接紙面側の長浮きする経糸
12 接紙面側の緯糸層を構成する緯糸
13 反接紙面側の緯糸層を構成する緯糸
14 中間層の緯糸
90 ヨコ剛性測定装置
100 ズレ角度測定装置
110 ニュートラルライン計算用データの測定装置
S 試料
Claims (5)
- 合成繊維の経糸および緯糸を用いた織成布から成る製紙機械用ドライヤーカンバスであって、前記ドライヤーカンバスが、
少なくとも接紙面側および反接紙面側の2層の緯糸層を備え、
前記経糸が、扁平な断面形状を有するモノフィラメントから成り、
前記接紙面側の緯糸層を構成する緯糸が、厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有する断面形状のモノフィラメントから成り、
前記反接紙面側の緯糸層を構成する緯糸が、厚さ方向において下方に位置する部分で曲線部を有する断面形状のモノフィラメントから成り、かつ、その断面の厚さ方向寸法が、前記接紙面側の緯糸層を構成する緯糸の断面の厚さ方向寸法よりも大きいことを特徴とする製紙機械用ドライヤーカンバス。 - 前記接紙面側の緯糸層を構成するモノフィラメント緯糸の断面形状が、厚さ方向において上下に対向する2つの直線部を有し、かつ、幅方向の両側に各々1つの薄肉部を有する断面形状であることを特徴とする請求項1に記載の製紙機械用ドライヤーカンバス。
- 前記反接紙面側の緯糸層を構成する緯糸が断面円形のモノフィラメントからなり、その断面直径をZとした時、前記接紙面側の緯糸層を構成する緯糸の断面寸法において、最大厚さ寸法が0.35×Z〜0.5×Z、かつ最大幅寸法が0.65×Z〜Zの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の製紙機械用ドライヤーカンバス。
- 前記織成布の織組織が、接紙面側と反接紙面側とで非対称な構造の織組織であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の製紙機械用ドライヤーカンバス。
- 前記織成布の織組織が、接紙面側および反接紙面側の2層の緯糸層を備え、かつ、接紙面側に経糸が長浮きする織組織であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の製紙機械用ドライヤーカンバス。
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