JP2004190097A - チタン基硬質焼結材料とその製造法ならびにそのチタン基硬質焼結材料を使用したすべり軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】TiCxあるいはTiNyにおける、xあるいはyは、それぞれ0.5〜0.9であって、1.0よりも小さい数値である。そして、残部が、Va族金属元素、VIa族金属元素、Ti、それら相互の固溶体、ならびに、それらの炭化物、窒化物および炭窒化物の中の一種または二種以上からなり、且つ、焼結後、微細なTiCx’(x’=0.5〜1.0)、TiNy’(y’=0.5〜1.0)またはTiCとTiNの固溶体のいずれか一種または二種以上が5〜95体積%からなる。
【選択図】 なし。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性および強度を何等損なうことなく、耐摩耗性と摺動特性が改善されたチタン基焼結材料とその製造法、ならびに、そのチタン基焼結材料を用いたすべり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
本願出願人は、先に、特許文献1において、耐食性を損なうことなく、高硬度化することによって、耐摩耗性と強度を改善したチタン基焼結合金とそれを用いたすべり軸受を開示した。
【0003】
このチタン基焼結合金は、TiCあるいはTiN、または、これらの固溶体Ti(C,N)の硬質物質を5〜7体積%と、残部が、Va族、VIa族金属元素、Ti、それら相互の固溶体、および、それらの炭化物、窒化物および炭窒化物の中の一種または二種以上からなる第1部分と、Tiからなる第2部分とからなるもので、その第1部分が1〜30体積%を占めるものである。 そして、このチタン基焼結合金は、Tiが有する耐食性を劣化することなく、耐摩耗性と強度が改善され、その代表例として、Ti−(Cr,V)−TiCの組成は、従来のTi−Mo−TiC系と比較して高強度であるため、過酷な環境で使用されるすべり軸受に好適に適用されるものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−73486号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術において、原材料として使用されていたTiとTiCあるいはTiNにおいて、それぞれのTiCとTiNにおけるTiに対するCとNのモル比を、xとyとしてTiCxとTiNyとして表わした場合、x=1.0、y=1.0であった。 例えば、Ti−Mo−TiC系焼結合金を例に採れば、焼結に際して、TiC中のCがTiおよびMo側との間で相互拡散し、焼結後、最終的にはTiC0.5相当のTiC相とTi−Mo合金相(β−Ti相)となる。 そして、粗大なTi原料粉末、例えば、粒径45ミクロン以下を多く含む場合には、さらにCが拡散してTiC1.0からTiC0.5に変わる過程でTiCx相の著しい粒成長を伴うため、硬度および強度を低下させていた。 さらに、粗大なTi原料粉末に代えて微細なTi粉末を使用しようとすれば、Ti自身が活性であるため製造が非常に困難であり、さらには、固溶酸素量や窒素量によって大きく物性が劣化するため、工業的な適用ができなかった。
【0006】
そして、上記従来のチタン基硬質焼結材料を海水中で使用される縦軸ポンプの水中すべり軸受に適用したときには、耐食性と耐摩耗性の不足から、短期間で交換が必要となっていた。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来のチタン基硬質焼結材料の耐食性と、耐摩耗性と強度の改善にあって、海水用縦軸ポンプの海水中軸受のような過酷な条件下で使用されるすべり軸受にも好適に使用できるチタン基焼結硬質合金およびその製造法ならびにそのチタン基硬質焼結材料を使用したすべり軸受を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明のチタン基焼結合金は、TiCxあるいはTiNyにおける、xあるいはyは、それぞれ0.5〜0.9であって、1.0よりも小さい数値である。そして、残部が、Va族金属元素、VIa族金属元素、Ti、Va族金属元素・VIa族金属元素・Ti相互の固溶体、ならびに、Va族金属元素・VIa族金属元素・Tiの炭化物、窒化物および炭窒化物の中の一種または二種以上からなる。
【0009】
そして、焼結後、微細なTiCx’(x’=0.5〜1.0)、TiNy’(y’=0.5〜1.0)またはTiCとTiNの固溶体のいずれか一種または二種以上が5〜95体積%からなる焼結体が形成される。
【0010】
この焼結体において、耐摩耗性の改善のためには、少なくとも、5体積%が必要で、また、すべり軸受等の部材として必要な強度と摺動特性が維持するためには、95体積%以下に維持する必要がある。
【0011】
本発明においては、あらかじめ、xとyとが、それぞれ、0.5〜0.9であるTiCx、あるいはTiNy粉末を原材料として用いることによって、硬度および強度を低下させる粒成長を伴う粗大なTi原料粉末量を極力小さく、あるいは削除することができる。
【0012】
また、CやNは侵入型原子であるため、Va族、VIa族金属元素およびTiと比較してはるかに拡散速度も速く、より低温から拡散速度が大きくなるため、焼結性が著しく改善され、より低温で緻密化が可能となる。 さらにxとyとが、それぞれ、0.5〜0.9であるTiCx、あるいはTiNy粉末自体は容易に微細な粉末が得られ、しかも、さらに焼結性の改善をもたらし、さらには、焼結体の硬度および強度を向上できる。
【0013】
さらには、Ti相に固溶する成分元素を炭化物、窒化物、炭窒化物の形で添加すると、炭化物等の分解反応が焼結緻密化の過程で並行して生じ、その後固溶はするが、この分解・固溶反応には時間がかかる。 これによって、Ti中のこれらの溶質濃度は上がりにくく、好適な組成をコントロールでき、物性を向上させることが可能となる。
【0014】
この本発明に係るチタン基硬質焼結合金は、耐摩耗性および耐食性において極めて優れたものであって、化学工業・機械工業において金型、ポンプ部品、軸受、メカニカルシール、弁、パイプ、攪拌機、混合機、刃物などに好適に使用できる。
【0015】
とくに、本発明に係るチタン基硬質焼結合金をすべり軸受に適用する場合には、一方の摺動部材を本発明のチタン基焼結合金で形成し、他方の摺動部材をセラミックスあるいはエンジニアプラスチックで形成してすべり軸受を構成することによって、海水中に浸漬させた状態でも、耐摩耗性に優れているとともに耐食性にも優れたすべり軸受が得られる。
【0016】
前記本発明に係るチタン基硬質焼結合金を、とくに、海水用縦軸ポンプの海水中軸受のような過酷な条件下で使用される回転摺動部材と固定側摺動部材とからなるすべり軸受に使用する場合は、本発明に係るチタン基硬質焼結合金を回転摺動部材と固定側摺動部材の何れかの部材に適用し、他方の部材を窒化ケイ素または炭化ケイ素を主成分とするセラミックス、または、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)、または、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)を主成分とすることができる。
【0017】
また、回転摺動部材として本発明のチタン基硬質焼結材料を使用する場合は、本発明のチタン基硬質焼結材料によって形成した軸受スリーブを回転軸に嵌入固定し、固定側摺動部材は、窒化ケイ素または炭化ケイ素を主成分とするセラミックス、または、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)、または、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)を主成分とするエンジニアプラスチックで形成したブッシュと、同ブッシュを軸方向に長い筒状の弾性部材の内周面に密着固定し、同弾性部材を筒状の金属シェルの内周面に密着固定し、前記ブッシュと内径が等しい部分と外側に向けて内径をテーパー状に拡大する部分とを有する筒状の保護ピースを、前記弾性部材の内周面で前記ブッシュの軸方向両端にそれぞれ固定し、前記金属シェルを軸受ケースに固定したものとすることができる。 この場合、この保護ピースがブッシュ内に回転側摺動部材が嵌入固定された軸を挿入する際のガイドとして作用し、軸先端部がブッシュの端部に直接接触して、ブッシュの縁が欠ける等の破損が防止され得る。
【0018】
係るすべり軸受は、無潤滑条件下、すなわち大気中において摺動される場合であっても、極めて安定した摺動特性を有し、また海水などの流体下の潤滑がなされる条件下においてもさらに優れた摺動特性を有する。さらに、ケイ砂やアルミナ微粒子等の固形物が混入された水中で用いられる場合であっても、耐摩耗性に優れている。そこで、砂等の硬い固形物が混入する海水を取り扱う縦軸ポンプ等の水中軸受として好適である。
【0019】
とくに、スラリー濃度が高く耐摩耗性を要求される場合は一方の摺動部材にセラミックスを用い、ドライ運転時間が長く、固体潤滑、流体潤滑双方の条件下での摺動特性を要求される場合にはエンジニアプラスチックを用いると本発明の特徴がより生かせる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、実施例に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
実施例1
この実施例は、本発明に係るチタン基硬質焼結材料そのものの特性を示す実施例である。
【0022】
市販のTiCx(X=0.5〜0.9)および/またはTiNy(Y=0.5〜0.9)・Ti・Mo・W粉末等を所定割合に配合後、らい潰機にて1時間混合し、2000kgf/cm2にてプレス成形した。これを1250〜1500℃にて真空雰囲気中で2時間焼結した。配合組成を表1に示すように変化させた。得られた焼結体について硬さ(HRC)と強度(3点曲げ抗折力・GPa)、さらに耐食性を調べた。耐食性は大気開放下で乾電池合剤(25℃)に7日間浸漬して腐食速度から評価し、その結果を、○:0.05mm/年以下、△:0.1mm/年以下、×:0.1mm/年超として表2に示した。
【0023】
【表1】
【表2】
本発明の実施例である1〜4は、従来のTiC1.0および/またはTiN1.0原料粉末を使用した比較合金21〜24に比し、高硬度および高強度であり、耐食性も同等以上であることから、耐食耐摩耗性に優れていることが判る。
【0024】
本発明の実施例5〜6は、従来のTiC1.0原料粉末を使用した比較合金25に比し、高硬度および高強度であり、耐食性も同等以上であることから、耐食耐摩耗性に優れていることが判る。 比較例として示した比較合金26のTi(JIS2種)と比較して、非常に高硬度であるため耐摩耗性に優れている。 同じく比較合金27のWC−1.0mass%Cr−8Ni超硬合金と比較して、著しく耐食性に優れたものである。
【0025】
以上から、本発明は比較例に比し、総合的に優れていることが明らかである。
【0026】
実施例2
表3は、周期律表VaおよびVIa族金属元素およびそれら相互の固溶体の炭化物、窒化物、炭窒化物の一種以上を含む本発明合金11〜18の組成と焼結温度を示し、また、表4はその硬さ、強度および耐食性等の特性と、総合判定結果を示す。
【0027】
【表3】
【表4】
本発明合金11〜18は比較合金21〜27に対して、耐摩耗性が優れ、さらに強度と耐食性を兼ね備えているため、総合的に優れることは明らかである。
【0028】
なお、本発明合金は中性および酸性(非酸化性酸:塩酸・硫酸など、酸化性酸:硝酸など)に対して優れた耐食性を示す。 とくに、本発明合金1・11〜14はV・Nb・Taの3元素のいずれかを含む合金であるが、これらは酸化性酸に対して他の本発明合金と比較して、さらに優れた耐食性を示した。すなわち、これらV・Nb・Taの3元素のいずれかを含む本発明合金は、酸化性酸に対して特に良好な耐食性を有する。
【0029】
さらに、900℃×1時間の酸化増量試験(大気中)を実施したところ、Nb・Taを含む本発明合金1・11〜13は、比較合金21〜27に対しても勿論、Nb・Taを含まない本発明合金2〜6・14〜18をよりも2〜9倍の優れた耐酸化性を示した。すなわち、Nb・Taを含む本発明合金は、特に良好な高温耐酸化性を有する。
【0030】
実施例3
この実施例は、本発明に係るチタン基硬質焼結合金を海水用縦軸ポンプの水中軸受としてのすべり軸受に適用した例を示す。
【0031】
図1は、本発明に係るチタン基硬質焼結合金を使用したすべり軸受の縦断面構造を示す図であり、図2は、図1のA−A矢視断面図である。
【0032】
これらの図において、1は回転側摺動部材を示し、2は固定側摺動部材を示す。
【0033】
回転側摺動部材1の回転軸10には、実施例1に示すチタン基硬質焼結合金で形成された筒状の軸受スリーブ12を嵌入している。そして、軸受スリーブ12は、回転軸10に設けられた段差部14で軸方向位置が規制され、またスリーブキー16で軸回りの相対回転が規制され、さらに、スリーブ押さえ18で軸方向の抜けが規制されて回転軸10に嵌入固定される。
【0034】
固定側摺動部材2は、筒状の金属シェル20の内周面に、硬質ゴム等からなる筒状の弾性部材22が密着して強固に嵌入されると共に適宜に接着固定され、さらに、この弾性部材22の内周面に、軸方向の長さが弾性部材22より短い筒状のブッシュ24が密着嵌入される。このブッシュ24は、炭化ケイ素(SiC)または窒化ケイ素(Si3N4)を主成分とするセラミックス、あるいはPTFEまたはPEEKを主成分とするエンジニアプラスチックで形成される。さらに、弾性部材22の内周面でブッシュ24の軸方向両端に、PTFE等のプラスチック材からなる筒状の保護ピース26、26が固定される。これらの保護ピース26、26は、ブッシュ24と内径が等しい部分と外側に向けて内径をテーパー状に拡大する部分とを有する。そして、これらの金属シェル20、弾性部材22、ブッシュ24および保護ピース26、26の組付け材が、軸受ケース28に嵌合挿入され、さらに取付ネジ30、30により位置決め固定が行われる。なお、ブッシュ24の内周面には、軸方向に複数本の溝32、32が設けられている。
【0035】
図3は、本発明の上記すべり軸受を縦軸ポンプの水中軸受として適用した例を示す。図において、図示しないモータによって回転駆動される回転軸10が揚水管40内の軸心位置に配置され、この回転軸10の適宜な中間部が、本発明のすべり軸受42、42によって、揚水管40に回転自在に支持される。
【0036】
かかる構造において、図1のごとく、軸受スリーブ12等が組み付けられた回転軸10を軸受ケース28に組み付けられたブッシュ24内に挿通する際に、保護ピース26のテーパ状部分および等しい内径の部分がガイドとして作用し、ブッシュ24の端部に回転軸10の先端部が直接接触するようなことがない。このために、セラミックスあるいはエンジニアプラスチックで形成されて比較的に脆いブッシュ24が、回転軸10の組み付け作業により縁が欠ける等の破損を防止できる。それだけ、組み付け作業が容易である。
【0037】
そして、図3のごとく縦型ポンプの水中軸受として本発明のすべり軸受を応用するならば、水中軸受としてゴム軸受等の起動する際に潤滑水を必要とする装置に比較して、潤滑水を供給するための設備およびシャフト保護管等が不必要であって、ポンプ設備全体を大幅に簡素化し得る。
【0038】
次に、この水中軸受として本発明のすべり軸受の耐食性を調べるために以下の実験を行った。回転側摺動部材を本発明のチタン基硬質焼結材料と従来材である比較合金23で形成し、固定側摺動部材を2種類のセラミックス(SiCとSi3N4)で形成したすべり軸受で比摩耗量について比較した。実験条件は、軸受面圧1kgf/cm2(9.8N/cm2)、周速4.7m/s、海水+砂混合液(砂濃度2000ppm)、実験時間100時間である。
【0039】
この測定結果を図4に示す。 同図から明らかなごとく、固定側摺動部材をセラミックとした場合、従来材である比較合金23とセラミックスの組合せからなるすべり軸受と比較して、本発明のチタン基硬質焼結材料とセラミックスの組合せからなるすべり軸受の比摩耗量は約1/4以下であった。
【0040】
一方、固定側摺動部材をPTFE樹脂を主成分とするエンジニアプラスチックとした場合、従来材である比較合金23との組合せからなるすべり軸受と比較して、本発明のチタン基硬質焼結材料とPTFE樹脂を主成分とするエンジニアプラスチックの組合せからなるすべり軸受の比摩耗量は約1/5以下であった。 また硬さの関係よりその摩耗量はチタン基硬質焼結材料に比べエンジニアプラスチックの方が多くなっていた。
【0041】
これにより、一方の摺動部材をチタン基硬質焼結合金で形成し、他方の摺動部材をセラミックスで形成する本発明のすべり軸受は、海水に対する耐食性が優れているとともに、耐摩耗性も優れていることが確認された。
【0042】
上記の実施例においては、本発明のすべり軸受を縦軸ポンプの水中軸受として応用する一例を示したが、これに用途が限られるものではなく、液体中または気体中で用いられるすべり軸受、さらに、一般回転機械に用いるすべり軸受、無潤滑条件下で用いられるすべり軸受等のいずれに応用しても良い。また、回転側摺動部材をセラミックスで形成し、固定側摺動部材をチタン基硬質焼結材料で形成しても良い。
【0043】
【発明の効果】
本発明によって以下の効果を奏する。
【0044】
1. 従来のTiCx(x=1.0)あるいはTiNy(y=1.0)を原料とするチタン基硬質焼結材料と比較して、耐食性を劣化されることなく、耐摩耗性、強度、比強度が改善される。
【0045】
2. Ti−(V, Nb, Ta)−TiC系は高温等の過酷な酸化性酸(たとえば硝酸)に対して特に耐食性が優れるので、核燃料処理プラント等の過酷な条件下でも利用可能である。
【0046】
3. Ti−(Nb, Ta)−TiC系は耐高温酸化性も優れるので、発電プラント等の高温腐食ガス雰囲気での使用に特に効果を発揮し、より厳しい条件での使用や長寿命化等の効果がある。
【0047】
4. 化学工業、機械工業等で使用される金型、乾電池合剤成型用金型、ポンプ部品、軸受、メカニカルシール、弁、パイプ、攪拌機、混合機、刃物の耐食・耐摩耗部品として使用した場合、長寿命となり部品交換頻度が減少して、大幅な保守の省力化が達成される。
【0048】
5. 本発明のチタン基硬質焼結材料を使用したすべり軸受は、従来の作業条件よりも過酷な条件に対応でき、本発明の焼結合金を使用することによって作業効率を挙げることができ、とくに、海中ポンプのすべり軸受に適用することによって、長期間の使用に耐えることができる。
【0049】
6. セラミックスあるいはエンジニアプラスチックで形成されたブッシュの軸方向両端に、内径が等しい部分と外側に向けて内径をテーパー状に拡大する部分とを有する保護ピースを固定することによって、すべり軸受を組み付ける際に、保護ピースが挿入される軸先端部のガイドとして作用し、組み付け作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るチタン基硬質焼結合金を使用したすべり軸受の縦断面構造を示す。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】本発明のすべり軸受を縦軸ポンプの水中軸受として応用した一例を示す。
【図4】比摩耗量の比較を示す。
【符号の説明】
1 回転側摺動部材
2 固定側摺動部材
10 回転軸
12 本発明軸受スリーブ
14 段差部
16 スリーブキー
18 スリーブ押さえ
20 金属シェル
22 弾性部材
24 ブッシュ
26 保護ピース
28 軸受ケース
30 取付ネジ
32 溝
40 揚水管
42 本発明すべり軸受け
Claims (5)
- TiCx(x=0.5〜0.9)および/またはTiNy(y=0.5〜0.9)粉末と、
Ti、Va族金属元素、VIa族金属元素、およびTiとVa族金属元素とVIa族金属元素のうちの二種以上からなる相互の固溶体の中の一種または二種以上の粉末とからなる原材料を焼結して得られた
TiCx’(x’=0.5〜1.0)、TiNy’(y’=0.5〜1.0)、およびTiCとTiNとの固溶体のうちのいずれか一種または二種以上を5〜95体積%と、残部が、Va族金属元素、VIa族金属元素、Ti、Va族金属元素とVIa族金属元素とTiのうちの二種以上からなる相互の固溶体、ならびにVa族金属元素とVIa族金属元素とTiのうちの一種以上の炭化物、窒化物および炭窒化物の中の一種または二種以上からなるチタン基硬質焼結材料。 - 原材料の中のVa族金属元素、VIa族金属元素またはVa族金属元素とVIa族金属元素との相互の固溶体のうちの一種または二種以上の粉末のその少なくとも一部が、炭化物、窒化物および炭窒化物の中の一種または二種以上である請求項1に記載のチタン基硬質焼結材料。
- TiCx’(x’=0.5〜1.0)、TiNy’(y’=0.5〜1.0)およびTiCとTiNとの固溶体の中のいずれか一種または二種以上を5〜95体積%と、残部が、Va族金属元素、VIa族金属元素、Ti、Va族金属元素とVIa族金属元素とTiのうちの二種以上からなる相互の固溶体、ならびにVa族金属元素とVIa族金属元素とTiのうちの一種以上の炭化物、窒化物および炭窒化物の中の一種または二種以上からなるチタン基硬質焼結材料の製造法であって、
TiCx(x=0.5〜0.9)および/またはTiNy(y=0.5〜0.9)の粉末と、
Ti、Va族金属元素、VIa族金属元素、Va族金属元素とVIa族金属元素とTiのうちの二種以上からなる相互の固溶体、ならびにVa族金属元素とVIa族金属元素とTiのうちの一種以上の炭化物、窒化物および炭窒化物の中の一種または二種以上の粉末とを配合後混合し、成形した後、真空雰囲気中1250〜1500℃で焼結するチタン基硬質焼結材料の製造法。 - 回転摺動部材と固定側摺動部材とからなるすべり軸受において、 何れかの一方の部材が請求項1もしくは請求項2に記載のチタン基硬質焼結材料からなり、
他方の部材が窒化ケイ素または炭化ケイ素を主成分とするセラミックス、または、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)、または、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)を主成分とするエンジニアプラスチックからなるチタン基硬質焼結材料を使用したすべり軸受。 - 回転摺動部材と固定側摺動部材とからなるすべり軸受において、 回転摺動部材は、請求項1もしくは請求項2に記載のチタン基硬質焼結材料からなり、
チタン基硬質焼結材料によって形成した軸受スリーブを回転軸に嵌入固定してなり、
固定側摺動部材は、窒化ケイ素または炭化ケイ素を主成分とするセラミックス、または、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)、または、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)を主成分とするエンジニアプラスチックで形成したブッシュと、同ブッシュを軸方向に長い筒状の弾性部材の内周面に密着固定し、同弾性部材を筒状の金属シェルの内周面に密着固定し、前記ブッシュと内径が等しい部分と外側に向けて内径をテーパー状に拡大する部分とを有する筒状の保護ピースを、前記弾性部材の内周面で前記ブッシュの軸方向両端にそれぞれ固定し、前記金属シェルを軸受ケースに固定したチタン基硬質焼結材料を使用したすべり軸受。
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2002
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