JP2004189834A - ポリエステル系フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリエステルフィルム特有の機械的特性を有するため、腰感に優れ、かつ薄肉化対応が可能であるとともに熱的特性に優れ、かつ耐屈曲疲労性に優れた配向フィルムを提供するものである。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレート及び/又は融点225℃以上のエチレンテレフタレートを主体するポリエステルとオレフィン系ポリマーが80/20〜99/1(重量%)であり、かつ該オレフィン系ポリマーの分散径が0.1〜2.0μmの範囲にあるポリエステル系樹脂組成物よりなることを特徴とするポリエステル系フィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリエチレンテレフタレート及び/又は融点225℃以上のエチレンテレフタレートを主体するポリエステルとオレフィン系ポリマーが80/20〜99/1(重量%)であり、かつ該オレフィン系ポリマーの分散径が0.1〜2.0μmの範囲にあるポリエステル系樹脂組成物よりなることを特徴とするポリエステル系フィルム。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル系フィルムに関するものである。さらに詳細には、機械的特性,熱的特性,耐屈曲疲労性に優れた包装用途に好適なポリエステル系フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、包装用分野において、ポリエステルフィルムの代表例である2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは良好な機械的特性及び熱的特性から広く使用されていた。しかしながら、耐衝撃性,耐屈曲疲労性が重要視される用途では、ポリエチレンテレフタレートの強靭さの裏返しである硬さにより上記特性が劣るため、2軸延伸ナイロンフィルムが多用されてきた。しかしながら、ナイロンポリマーの本質的な性質(吸湿率及び温度膨張率が大きいという性質)のため、2軸延伸ナイロンフィルムは保管条件によっては寸法変化を起こすことが多く、印刷、製袋等の加工適性が低下するという欠点があった。又、耐ボイル性,耐レトルト性要求される用途、さらにラミネート用基材,金属又は金属酸化物を蒸着する基材として用いられる場合、制約を受けることが多いという欠点があった。
かかる欠点を解消するため、耐衝撃性又は耐屈曲疲労性等が改良されたポリエステルフィルムが検討されている。
【0003】
例えば、線状ポリエステル,該ポリエステルと非相溶なポリエチレン樹脂,及びアイオノマー樹脂のブレンドからなるポリエステルフィルムがあるが、アイオノマー樹脂をブレンドした原料を押出機で溶融させメルトラインを通してダイスからキャストした場合、押出機又はメルトラインにポリマーが溶融状態で滞留しやすく、その結果、キャストした樹脂膜にポリマー劣化物,ゲル状物等が発生しやすいという欠点があった(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
かかる欠点を回避するため、炭素数10以上のアルキレン基を有する長鎖脂肪族ジカルボン酸含有したポリエステルを2軸配向させてヤング率が10〜250kg/mm2かつ突刺強度が10kg/mm以上である柔軟性ポリエステルフィルムがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
又、アルコール成分としてHO−(CH2)2n−OH(n:1〜10)から選ばれた2種以上のジオール残基と芳香族ジカルボン酸残基が40〜99モル%、長鎖脂肪族ジカルボン酸残基60〜1モル%よりなる柔軟性ポリエステルフィルムがある(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
しかしながらこれらのポリエステルフィルムは耐衝撃性又は耐屈曲疲労性等は満足されるものの、ポリエステルフィルムの特徴である機械的特性(例えば、引張弾性率)が小さいため、フィルムの腰が弱いという欠点があり、包装材料の減量化(薄肉化)が強く要望される昨今の包装用分野において、これらのフィルムは満足されるものではなかった。
【0007】
【特許文献1】
特公平6−68065号公報
【0008】
【特許文献2】
特公平7−71820号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平3−231930号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術の問題点を解消することを目的とするものである。即ち、ポリエステルフィルム特有の機械的特性を有するため、腰感に優れ、かつ薄肉化対応が可能であるとともに耐屈曲疲労性に優れたポリエステル系フィルムを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的はポリエチレンテレフタレート及び/又は融点225℃以上のエチレンテレフタレートを主体するポリエステルとオレフィン系ポリマーが80/20〜99/1(重量%)であり、かつ該オレフィン系ポリマーの分散径が0.1〜2.0μmの範囲にあるポリエステル系樹脂組成物よりなることを特徴とするポリエステル系フィルムによって達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステル系樹脂組成物に配合されるポリエステルは機械的特性を確保するため、ポリエチレンテレフタレート及び/又は融点225℃以上のエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルであることが必要である。
エチレンテレフタレート以外の繰返し単位を主成分とするポリエステルを使用した場合、ポリエステル系フィルムの機械的特性が損なわれることが多く好ましくない。又、融点が225℃未満のエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルを使用した場合、ポリエステル系フィルムが延伸後に寸法安定化のために実施する熱処理工程で破断することが多く好ましくない。
但し、本発明では、機械的特性が損なわれない範囲であれば、テレフタル酸以外の酸成分及び/又はエチレングリコール以外のグリコール成分よりなるポリエステルを使用できる。特に、エチレンテレフタレート単位とエチレンイソフタレート単位よりなり、融点が225℃以上のポリエステルは本発明の目的を達成する上で好ましいポリエステルである。
【0013】
テレフタル酸及び/又はイソフタル酸以外のジカルボン酸として、オルソフタル酸,ナフタレンジカルボン酸,ジフェニルスルホンジカルボン酸,5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸,コハク酸,アジピン酸,セバシン酸,デカンジカルボン酸,マレイン酸,フマル酸,ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が使用できる。
又、エチレングリコール以外のグリコール成分として、プロパンジオール,ブタンジオ−ル,ペンタンジオール,ヘキサンジオール,ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタンール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA,ビスフェノールS等の芳香族グリコールが使用できる。
【0014】
本発明におけるポリエステル樹脂組成物に配合されるポリエステルには、必要に応じて酸化防止剤,熱安定剤,紫外線吸収剤,可塑剤,顔料,帯電防止剤,潤滑剤,結晶核剤,無機又は有機粒子よりなる滑剤等を配合させてもよい。
【0015】
本発明におけるポリエステル系樹脂に配合されるポリエステルの製造方法については特に限定しない。即ち、エステル交換法又は直接重合法のいずれの方法で製造されたものであっても使用できる。又、分子量を高めるために固相重合法で製造されたものであってもかまわない。さらに、減圧固相重合法で製造されたオリゴマー含有量が低いポリエステルも使用できる。
【0016】
本発明におけるポリエステル系樹脂組成物に配合されるオレフィン系ポリマーは特に限定するものではない。オレフィン系ポリマーの例としては、低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,直鎖状低密度ポリエチレン,超高分子量ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アクリレート共重合体、エチレン−メタアクリレート共重合体,エチレン−メチルアクリレート共重合体,エチレン−エチルアクリレート共重合体,エチレン−メチルメタアクリレート共重合体,エチレン−ビニルアルコール共重合体,エチレン−グリシジルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等が使用できる。
本発明におけるオレフィン系ポリマーは上記の中から選択された1種類の樹脂を単独で用いることも出来るが、2種類以上の樹脂を併用することもでき、本発明の目的を達成するためにその種類及び添加量を適宜選択することができる。
【0017】
本発明では、ポリエステル系樹脂組成物に配合されるオレフィン系ポリマーの分散径が実質的に0.1〜2.0μmの範囲であることが必要である。オレフィン系ポリマーの分散径が0.1μm未満の場合、オレフィン系ポリマーの一部がポリエステルに見かけ上均一に溶解した状態となり、耐屈曲疲労性の改良効果が飽和するばかりでなく、ポリエステル系フィルムの機械的特性が損なわれることが多く、さらに、ポリエステル系樹脂組成物の熱安定性を低下による製膜性の低下を招くことが多く好ましくない。逆に、オレフィン系ポリマーの分散径が2.0μmを超える場合、オレフィン系ポリマーとポリエステルとの界面での相互作用が小さくなり、ポリエステル系フィルムの耐屈曲疲労性の改良効果が小さいため好ましくない。
【0018】
ポリエステル系樹脂組成物において、ポリエステル中にオレフィン系ポリマーが島状に分散してなり、オレフィン系ポリマーの分散径が上記範囲に微分散するためのオレフィン系ポリマーの選択例の一つとして、官能基を有さないポリオレフィンと、官能基を含有するポリオレフィンを含む2種類以上のオレフィン系ポリマーの併用があげられる。上記の構成からなるオレフィン群をポリエステルにブレンドすることにより、中心層(核)がポリオレフィン、表層(殻)が官能基含有ポリオレフィンからなるコア/シェル構造のオレフィン分散粒子が生成し、効果的に微分散されると考えられる。具体的な例としては、ポリエチレンとエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の併用、エチレン−α−オレフィン共重合体とエチレン−α−オレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体の併用があげられる。
【0019】
好ましい官能基としては極性を有し、ポリエステルとの親和性を高める効果のある官能基を用いることができる。例えば、カルボキシル基、グリシジル基、酸無水物基等があげられる。具体的には各種製法及び触媒により製造されたエチレン−(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体を例示することができる。
但し、官能基を有するビニルモノマーの共重合体としてα,β−不飽和カルボン酸のカルボン酸基の一部または全部をNa、K、Li、Zn、Mg、Ca等の金属イオンで中和したアイオノマーを用いる場合は、溶融押出し工程で金属粒子を核とする異物が発生しやすいため、金属イオン量がオレフィン系ポリマーの総量に対して200ppmを超えないようにすることが好ましい。
【0020】
また、本発明の目的とする効果を得るために、さらに好適なオレフィン系ポリマーの例として、架橋構造及び/又は枝分かれ構造を形成し得るモノマー成分を各々5%未満の範囲で含有するポリマーを例示することができる。このようなモノマーとしては2つ以上の付加重合性の反応基をもつ不飽和モノマーがあげられる。架橋結合性モノマーの例としては、ブチレンジアクリレート、ブチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート等が使用できる。好ましくはブチレンジアクリレート、ブチレンジメタクリレートが使用できる。グラフト結合性モノマーの例としては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸モノアリル、フマル酸モノアリル、イタコン酸モノアリル等が使用できる。好ましくはアリルメタクリレート、ジアリルメタクリレートが使用できる。
【0021】
本発明におけるポリエステル系樹脂を得る方法(ポリエステル樹脂にオレフィン系ポリマーを配合する方法)は公知の樹脂混合方法を広く用いることができる。例えば、ポリエステル樹脂とオレフィン系ポリマーをブレンダー等で均一にドライブレンドした後、1軸又は2軸押出機等で溶融混練する方法等が挙げられる。
【0022】
本発明におけるポリエステル系樹脂ではポリエステルとオレフィン系ポリマーが80/20〜99/1(重量%)であることが必要である。オレフィン系ポリマーが1重量%未満の場合、ポリエステル系フィルムの耐屈曲疲労性の改良効果が小さいため好ましくない。逆に、オレフィン系ポリマーが20重量%を超える場合、ポリエステル系フィルムの機械的特性が損なわれることが多く好ましくない。
【0023】
本発明ではポリエステル系樹脂組成物を公知の1軸又は2軸押出機内で溶融させた後、T−ダイスから層状に溶融した樹脂を回転させた冷却ロールに接触させ樹脂膜を得る。溶融樹脂を冷却ロールに接触させる際、強制的にエアーを吹き付ける方法又は静電気で密着させる方法を採用することが好ましい。さらに、溶融樹脂が冷却ロールに接触する際、反対側を減圧して随伴流を低減させる方策(例えば、バキュームチャンバー,バキュームボックス等の装置)を併用することがより好ましい。
本発明では冷却固化させた樹脂膜をポリエステルのガラス転移点以上かつ冷結晶化温度未満の温度で少なくとも1軸方向に2倍以上延伸した後、緊張下でポリエステルの融点−80℃〜ポリエステルの融点−10℃の温度で1〜20秒間熱処理し、次いで必要に応じて加熱下で緩和処理を実施し、次いで両端部を切断除去し、さらに必要に応じてコロナ処理等の表面処理を実施した後巻取って、ポリエステル系フィルムを得る。なお、延伸方法はロール法による縦1軸延伸,テンター法による横1軸延伸,逐次2軸延伸,同時2軸延伸(チューブラー法,テンター法)等の公知の方法が使用できる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例をもとに本発明を詳細に説明する。
[評価方法]
(1)ポリエステルの融点
ポリエステル組成物を300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷して得たサンプル10mgを用い、窒素気流中、示差走査型熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で発熱・吸熱曲線(DSC曲線)を測定したときの、融解に伴う吸熱ピークの頂点温度を融点Tm(℃)とした。
【0025】
(2)オレフィン系ポリマーの平均分散径
ポリエステル系樹脂組成物をエポキシ樹脂に包埋して硬化させたものをクライオミクロトームにて切断し超薄切片を作製した。これを酸化ルテニウムで染色したのち室温で10分間保持し、次いでカーボン蒸着して透過型電子顕微鏡で観察した。分散粒子の平均径は画像解析装置(東洋紡績製、V10)を用いて円相当径により求めた。
【0026】
(3)引張弾性率
JIS K 7127に準じて評価した。
【0027】
(4)耐屈曲疲労性(屈曲ピンホール数)
ポリエステル系フィルムから直径150mmの円形状に切取った試料フィルムの中に空気を入れて風船型の袋状にし、屈曲機のガラス管の先端に装着した。屈曲機で圧空(加圧70kPa)の送気と排気(減圧1000hPa)を交互に行い、23℃、65%RH下で7.5回/分の速度で風船型の袋状フィルムに膨張と収縮を5000回繰り返し屈曲疲労を与えた。5000回屈曲疲労後に発生した孔の数を目視により、n数=3で測定した。孔の数の最小値と最大値をもって屈曲ピンホール数評価とした。
【0028】
(5)極限粘度(IV)
オルトクロルフェノール中25℃で測定した値(dl/g)である。
[実施例・比較例に用いたポリエステルとオレフィン系ポリマーの略号と内容]
(1)PET :ポリエチレンテレフタレート(IV:0.75)
(2)PET−I(5) :ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート(エチレイソフタレートの繰り返し単位5モル%、IV:0.80)
(3)PET−I(15):ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート(エチレイソフタレートの繰り返し単位15モル%、IV:0.79)
(4)オレフィンA :低密度ポリエチレン(住友化学社製、スミカセンG401:商品名)
(5)オレフィンB :エチレン−アクリル酸共重合体(ダウ・ケミカル社製、プリマコール3440:商品名)
(6)オレフィンC :エチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製、ニュクレルN1108C:商品名)
(7)オレフィンD :エチレン−エチルアクリレート共重合体(三井デュポンポリケミカル社製、エバフレックスA712:商品名)
(8)オレフィンE :エチレン−1−ブテン共重合体(日本合成ゴム社製、EBM2041P:商品名)
(9)オレフィンF :エチレン−メチルアクリレート共重合体(イーストマンケミカル社製、EMAC2260:商品名)
(10)オレフィンG :アイオノマー(三井デュポンポリケミカル社製、ハイミラン1706:商品名)
【0029】
[実施例1]
PET/オレフィンA/オレフィンB=94.0/3.0/3.0重量%を2軸ベント式押出機を用いて270℃でストランド状に溶融押出し、水中で冷却後切断してポリエステル系樹脂組成物を得た。上記ポリエステル系樹脂組成物を2軸ベント式押出機を用いて270℃溶融させた後、270℃のT−ダイスから層状にキャストし、正電荷を印加しながら回転させた25℃の冷却ロールに密着させて樹脂膜を得た。次いで、110℃で縦方向に3.3倍ロール延伸し、次いで、テンターに通して110℃で横方向に3.6倍延伸し、228℃で3秒間の緊張熱処理と1秒間の緩和処理(横方向に5%)を実施した後、両端部を切断除去して厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
【0030】
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。本実施例のポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きいため腰感に優れ、かつ耐屈曲疲労性に優れていた。
【0031】
[実施例2]
ポリエステル系樹脂組成物をPET/オレフィンB/オレフィンE=94.0/3.0/3.0重量%とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。本実施例のポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きいため腰感に優れ、かつ耐屈曲疲労性に優れていた。
【0032】
[実施例3]
ポリエステル系樹脂組成物をPET/オレフィンA/オレフィンC=94.0/3.0/3.0重量%とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。本実施例のポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きいため腰感に優れ、かつ耐屈曲疲労性に優れていた。
【0033】
[実施例4]
ポリエステル系樹脂組成物をPET/オレフィンA/オレフィンD=94.0/3.0/3.0重量%とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。本実施例のポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きいため腰感に優れ、かつ耐屈曲疲労性に優れていた。
【0034】
[実施例5]
ポリエステル系樹脂組成物をPET−I(5)/オレフィンA/オレフィンB=94.0/3.0/3.0重量%とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。本実施例のポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きいため腰感に優れ、かつ耐屈曲疲労性と熱的特性に優れていた。
【0035】
[比較例1]
ポリエステル系樹脂組成物の代わりにPET単体とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。このポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きく腰感に優れていたが、耐屈曲疲労性が劣るため好ましくない。
【0036】
[比較例2]
ポリエステル系樹脂組成物をPET/オレフィンA/オレフィンB=75.0/12.5/12.5重量%とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。このポリエステル系フィルムは、耐屈曲疲労性は優れていたが、引張弾性率が小さく腰感がやや劣るため好ましくない。
【0037】
[比較例3]
ポリエステル系樹脂組成物をPET/オレフィンA=94.0/6.0重量%とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。このポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きく腰感に優れていたが、耐屈曲疲労性が劣るため好ましくない。
【0038】
[比較例4]
ポリエステル系樹脂組成物をPET/オレフィンF=94.0/6.0重量%とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。しかし、この方法では押出機及びT−ダイス出口からの熱分解性ガスの発生が大きく、かつ冷却ロールでの低分子量物の付着が多いため好ましくない。ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。このポリエステル系フィルムは、耐屈曲疲労性は優れていたが、引張弾性率が小さく腰感がやや劣るため好ましくない。
【0039】
[比較例5]
ポリエステル系樹脂組成物をPET−I(15)/オレフィンA/オレフィンB=94.0/3.0/3.0重量%とした以外は実施例1同様にして製膜しようとしたが、横延伸後半から熱処理工程で破断が発生したためポリエステル系フィルムが得られなかった。
【0040】
【表1】
【発明の効果】
本発明のポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きいため腰感に優れ、かつ耐屈曲疲労性に優れているため、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと2軸延伸ナイロンフィルムの良好な特性を兼ね備えたフィルムであり、包装用フィルムとして極めて有用なフィルムといえる。
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル系フィルムに関するものである。さらに詳細には、機械的特性,熱的特性,耐屈曲疲労性に優れた包装用途に好適なポリエステル系フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、包装用分野において、ポリエステルフィルムの代表例である2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは良好な機械的特性及び熱的特性から広く使用されていた。しかしながら、耐衝撃性,耐屈曲疲労性が重要視される用途では、ポリエチレンテレフタレートの強靭さの裏返しである硬さにより上記特性が劣るため、2軸延伸ナイロンフィルムが多用されてきた。しかしながら、ナイロンポリマーの本質的な性質(吸湿率及び温度膨張率が大きいという性質)のため、2軸延伸ナイロンフィルムは保管条件によっては寸法変化を起こすことが多く、印刷、製袋等の加工適性が低下するという欠点があった。又、耐ボイル性,耐レトルト性要求される用途、さらにラミネート用基材,金属又は金属酸化物を蒸着する基材として用いられる場合、制約を受けることが多いという欠点があった。
かかる欠点を解消するため、耐衝撃性又は耐屈曲疲労性等が改良されたポリエステルフィルムが検討されている。
【0003】
例えば、線状ポリエステル,該ポリエステルと非相溶なポリエチレン樹脂,及びアイオノマー樹脂のブレンドからなるポリエステルフィルムがあるが、アイオノマー樹脂をブレンドした原料を押出機で溶融させメルトラインを通してダイスからキャストした場合、押出機又はメルトラインにポリマーが溶融状態で滞留しやすく、その結果、キャストした樹脂膜にポリマー劣化物,ゲル状物等が発生しやすいという欠点があった(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
かかる欠点を回避するため、炭素数10以上のアルキレン基を有する長鎖脂肪族ジカルボン酸含有したポリエステルを2軸配向させてヤング率が10〜250kg/mm2かつ突刺強度が10kg/mm以上である柔軟性ポリエステルフィルムがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
又、アルコール成分としてHO−(CH2)2n−OH(n:1〜10)から選ばれた2種以上のジオール残基と芳香族ジカルボン酸残基が40〜99モル%、長鎖脂肪族ジカルボン酸残基60〜1モル%よりなる柔軟性ポリエステルフィルムがある(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
しかしながらこれらのポリエステルフィルムは耐衝撃性又は耐屈曲疲労性等は満足されるものの、ポリエステルフィルムの特徴である機械的特性(例えば、引張弾性率)が小さいため、フィルムの腰が弱いという欠点があり、包装材料の減量化(薄肉化)が強く要望される昨今の包装用分野において、これらのフィルムは満足されるものではなかった。
【0007】
【特許文献1】
特公平6−68065号公報
【0008】
【特許文献2】
特公平7−71820号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平3−231930号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術の問題点を解消することを目的とするものである。即ち、ポリエステルフィルム特有の機械的特性を有するため、腰感に優れ、かつ薄肉化対応が可能であるとともに耐屈曲疲労性に優れたポリエステル系フィルムを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的はポリエチレンテレフタレート及び/又は融点225℃以上のエチレンテレフタレートを主体するポリエステルとオレフィン系ポリマーが80/20〜99/1(重量%)であり、かつ該オレフィン系ポリマーの分散径が0.1〜2.0μmの範囲にあるポリエステル系樹脂組成物よりなることを特徴とするポリエステル系フィルムによって達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステル系樹脂組成物に配合されるポリエステルは機械的特性を確保するため、ポリエチレンテレフタレート及び/又は融点225℃以上のエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルであることが必要である。
エチレンテレフタレート以外の繰返し単位を主成分とするポリエステルを使用した場合、ポリエステル系フィルムの機械的特性が損なわれることが多く好ましくない。又、融点が225℃未満のエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルを使用した場合、ポリエステル系フィルムが延伸後に寸法安定化のために実施する熱処理工程で破断することが多く好ましくない。
但し、本発明では、機械的特性が損なわれない範囲であれば、テレフタル酸以外の酸成分及び/又はエチレングリコール以外のグリコール成分よりなるポリエステルを使用できる。特に、エチレンテレフタレート単位とエチレンイソフタレート単位よりなり、融点が225℃以上のポリエステルは本発明の目的を達成する上で好ましいポリエステルである。
【0013】
テレフタル酸及び/又はイソフタル酸以外のジカルボン酸として、オルソフタル酸,ナフタレンジカルボン酸,ジフェニルスルホンジカルボン酸,5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸,コハク酸,アジピン酸,セバシン酸,デカンジカルボン酸,マレイン酸,フマル酸,ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が使用できる。
又、エチレングリコール以外のグリコール成分として、プロパンジオール,ブタンジオ−ル,ペンタンジオール,ヘキサンジオール,ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタンール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA,ビスフェノールS等の芳香族グリコールが使用できる。
【0014】
本発明におけるポリエステル樹脂組成物に配合されるポリエステルには、必要に応じて酸化防止剤,熱安定剤,紫外線吸収剤,可塑剤,顔料,帯電防止剤,潤滑剤,結晶核剤,無機又は有機粒子よりなる滑剤等を配合させてもよい。
【0015】
本発明におけるポリエステル系樹脂に配合されるポリエステルの製造方法については特に限定しない。即ち、エステル交換法又は直接重合法のいずれの方法で製造されたものであっても使用できる。又、分子量を高めるために固相重合法で製造されたものであってもかまわない。さらに、減圧固相重合法で製造されたオリゴマー含有量が低いポリエステルも使用できる。
【0016】
本発明におけるポリエステル系樹脂組成物に配合されるオレフィン系ポリマーは特に限定するものではない。オレフィン系ポリマーの例としては、低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,直鎖状低密度ポリエチレン,超高分子量ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アクリレート共重合体、エチレン−メタアクリレート共重合体,エチレン−メチルアクリレート共重合体,エチレン−エチルアクリレート共重合体,エチレン−メチルメタアクリレート共重合体,エチレン−ビニルアルコール共重合体,エチレン−グリシジルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等が使用できる。
本発明におけるオレフィン系ポリマーは上記の中から選択された1種類の樹脂を単独で用いることも出来るが、2種類以上の樹脂を併用することもでき、本発明の目的を達成するためにその種類及び添加量を適宜選択することができる。
【0017】
本発明では、ポリエステル系樹脂組成物に配合されるオレフィン系ポリマーの分散径が実質的に0.1〜2.0μmの範囲であることが必要である。オレフィン系ポリマーの分散径が0.1μm未満の場合、オレフィン系ポリマーの一部がポリエステルに見かけ上均一に溶解した状態となり、耐屈曲疲労性の改良効果が飽和するばかりでなく、ポリエステル系フィルムの機械的特性が損なわれることが多く、さらに、ポリエステル系樹脂組成物の熱安定性を低下による製膜性の低下を招くことが多く好ましくない。逆に、オレフィン系ポリマーの分散径が2.0μmを超える場合、オレフィン系ポリマーとポリエステルとの界面での相互作用が小さくなり、ポリエステル系フィルムの耐屈曲疲労性の改良効果が小さいため好ましくない。
【0018】
ポリエステル系樹脂組成物において、ポリエステル中にオレフィン系ポリマーが島状に分散してなり、オレフィン系ポリマーの分散径が上記範囲に微分散するためのオレフィン系ポリマーの選択例の一つとして、官能基を有さないポリオレフィンと、官能基を含有するポリオレフィンを含む2種類以上のオレフィン系ポリマーの併用があげられる。上記の構成からなるオレフィン群をポリエステルにブレンドすることにより、中心層(核)がポリオレフィン、表層(殻)が官能基含有ポリオレフィンからなるコア/シェル構造のオレフィン分散粒子が生成し、効果的に微分散されると考えられる。具体的な例としては、ポリエチレンとエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の併用、エチレン−α−オレフィン共重合体とエチレン−α−オレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体の併用があげられる。
【0019】
好ましい官能基としては極性を有し、ポリエステルとの親和性を高める効果のある官能基を用いることができる。例えば、カルボキシル基、グリシジル基、酸無水物基等があげられる。具体的には各種製法及び触媒により製造されたエチレン−(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体を例示することができる。
但し、官能基を有するビニルモノマーの共重合体としてα,β−不飽和カルボン酸のカルボン酸基の一部または全部をNa、K、Li、Zn、Mg、Ca等の金属イオンで中和したアイオノマーを用いる場合は、溶融押出し工程で金属粒子を核とする異物が発生しやすいため、金属イオン量がオレフィン系ポリマーの総量に対して200ppmを超えないようにすることが好ましい。
【0020】
また、本発明の目的とする効果を得るために、さらに好適なオレフィン系ポリマーの例として、架橋構造及び/又は枝分かれ構造を形成し得るモノマー成分を各々5%未満の範囲で含有するポリマーを例示することができる。このようなモノマーとしては2つ以上の付加重合性の反応基をもつ不飽和モノマーがあげられる。架橋結合性モノマーの例としては、ブチレンジアクリレート、ブチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート等が使用できる。好ましくはブチレンジアクリレート、ブチレンジメタクリレートが使用できる。グラフト結合性モノマーの例としては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸モノアリル、フマル酸モノアリル、イタコン酸モノアリル等が使用できる。好ましくはアリルメタクリレート、ジアリルメタクリレートが使用できる。
【0021】
本発明におけるポリエステル系樹脂を得る方法(ポリエステル樹脂にオレフィン系ポリマーを配合する方法)は公知の樹脂混合方法を広く用いることができる。例えば、ポリエステル樹脂とオレフィン系ポリマーをブレンダー等で均一にドライブレンドした後、1軸又は2軸押出機等で溶融混練する方法等が挙げられる。
【0022】
本発明におけるポリエステル系樹脂ではポリエステルとオレフィン系ポリマーが80/20〜99/1(重量%)であることが必要である。オレフィン系ポリマーが1重量%未満の場合、ポリエステル系フィルムの耐屈曲疲労性の改良効果が小さいため好ましくない。逆に、オレフィン系ポリマーが20重量%を超える場合、ポリエステル系フィルムの機械的特性が損なわれることが多く好ましくない。
【0023】
本発明ではポリエステル系樹脂組成物を公知の1軸又は2軸押出機内で溶融させた後、T−ダイスから層状に溶融した樹脂を回転させた冷却ロールに接触させ樹脂膜を得る。溶融樹脂を冷却ロールに接触させる際、強制的にエアーを吹き付ける方法又は静電気で密着させる方法を採用することが好ましい。さらに、溶融樹脂が冷却ロールに接触する際、反対側を減圧して随伴流を低減させる方策(例えば、バキュームチャンバー,バキュームボックス等の装置)を併用することがより好ましい。
本発明では冷却固化させた樹脂膜をポリエステルのガラス転移点以上かつ冷結晶化温度未満の温度で少なくとも1軸方向に2倍以上延伸した後、緊張下でポリエステルの融点−80℃〜ポリエステルの融点−10℃の温度で1〜20秒間熱処理し、次いで必要に応じて加熱下で緩和処理を実施し、次いで両端部を切断除去し、さらに必要に応じてコロナ処理等の表面処理を実施した後巻取って、ポリエステル系フィルムを得る。なお、延伸方法はロール法による縦1軸延伸,テンター法による横1軸延伸,逐次2軸延伸,同時2軸延伸(チューブラー法,テンター法)等の公知の方法が使用できる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例をもとに本発明を詳細に説明する。
[評価方法]
(1)ポリエステルの融点
ポリエステル組成物を300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷して得たサンプル10mgを用い、窒素気流中、示差走査型熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で発熱・吸熱曲線(DSC曲線)を測定したときの、融解に伴う吸熱ピークの頂点温度を融点Tm(℃)とした。
【0025】
(2)オレフィン系ポリマーの平均分散径
ポリエステル系樹脂組成物をエポキシ樹脂に包埋して硬化させたものをクライオミクロトームにて切断し超薄切片を作製した。これを酸化ルテニウムで染色したのち室温で10分間保持し、次いでカーボン蒸着して透過型電子顕微鏡で観察した。分散粒子の平均径は画像解析装置(東洋紡績製、V10)を用いて円相当径により求めた。
【0026】
(3)引張弾性率
JIS K 7127に準じて評価した。
【0027】
(4)耐屈曲疲労性(屈曲ピンホール数)
ポリエステル系フィルムから直径150mmの円形状に切取った試料フィルムの中に空気を入れて風船型の袋状にし、屈曲機のガラス管の先端に装着した。屈曲機で圧空(加圧70kPa)の送気と排気(減圧1000hPa)を交互に行い、23℃、65%RH下で7.5回/分の速度で風船型の袋状フィルムに膨張と収縮を5000回繰り返し屈曲疲労を与えた。5000回屈曲疲労後に発生した孔の数を目視により、n数=3で測定した。孔の数の最小値と最大値をもって屈曲ピンホール数評価とした。
【0028】
(5)極限粘度(IV)
オルトクロルフェノール中25℃で測定した値(dl/g)である。
[実施例・比較例に用いたポリエステルとオレフィン系ポリマーの略号と内容]
(1)PET :ポリエチレンテレフタレート(IV:0.75)
(2)PET−I(5) :ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート(エチレイソフタレートの繰り返し単位5モル%、IV:0.80)
(3)PET−I(15):ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート(エチレイソフタレートの繰り返し単位15モル%、IV:0.79)
(4)オレフィンA :低密度ポリエチレン(住友化学社製、スミカセンG401:商品名)
(5)オレフィンB :エチレン−アクリル酸共重合体(ダウ・ケミカル社製、プリマコール3440:商品名)
(6)オレフィンC :エチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製、ニュクレルN1108C:商品名)
(7)オレフィンD :エチレン−エチルアクリレート共重合体(三井デュポンポリケミカル社製、エバフレックスA712:商品名)
(8)オレフィンE :エチレン−1−ブテン共重合体(日本合成ゴム社製、EBM2041P:商品名)
(9)オレフィンF :エチレン−メチルアクリレート共重合体(イーストマンケミカル社製、EMAC2260:商品名)
(10)オレフィンG :アイオノマー(三井デュポンポリケミカル社製、ハイミラン1706:商品名)
【0029】
[実施例1]
PET/オレフィンA/オレフィンB=94.0/3.0/3.0重量%を2軸ベント式押出機を用いて270℃でストランド状に溶融押出し、水中で冷却後切断してポリエステル系樹脂組成物を得た。上記ポリエステル系樹脂組成物を2軸ベント式押出機を用いて270℃溶融させた後、270℃のT−ダイスから層状にキャストし、正電荷を印加しながら回転させた25℃の冷却ロールに密着させて樹脂膜を得た。次いで、110℃で縦方向に3.3倍ロール延伸し、次いで、テンターに通して110℃で横方向に3.6倍延伸し、228℃で3秒間の緊張熱処理と1秒間の緩和処理(横方向に5%)を実施した後、両端部を切断除去して厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
【0030】
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。本実施例のポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きいため腰感に優れ、かつ耐屈曲疲労性に優れていた。
【0031】
[実施例2]
ポリエステル系樹脂組成物をPET/オレフィンB/オレフィンE=94.0/3.0/3.0重量%とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。本実施例のポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きいため腰感に優れ、かつ耐屈曲疲労性に優れていた。
【0032】
[実施例3]
ポリエステル系樹脂組成物をPET/オレフィンA/オレフィンC=94.0/3.0/3.0重量%とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。本実施例のポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きいため腰感に優れ、かつ耐屈曲疲労性に優れていた。
【0033】
[実施例4]
ポリエステル系樹脂組成物をPET/オレフィンA/オレフィンD=94.0/3.0/3.0重量%とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。本実施例のポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きいため腰感に優れ、かつ耐屈曲疲労性に優れていた。
【0034】
[実施例5]
ポリエステル系樹脂組成物をPET−I(5)/オレフィンA/オレフィンB=94.0/3.0/3.0重量%とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。本実施例のポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きいため腰感に優れ、かつ耐屈曲疲労性と熱的特性に優れていた。
【0035】
[比較例1]
ポリエステル系樹脂組成物の代わりにPET単体とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。このポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きく腰感に優れていたが、耐屈曲疲労性が劣るため好ましくない。
【0036】
[比較例2]
ポリエステル系樹脂組成物をPET/オレフィンA/オレフィンB=75.0/12.5/12.5重量%とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。このポリエステル系フィルムは、耐屈曲疲労性は優れていたが、引張弾性率が小さく腰感がやや劣るため好ましくない。
【0037】
[比較例3]
ポリエステル系樹脂組成物をPET/オレフィンA=94.0/6.0重量%とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。
ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。このポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きく腰感に優れていたが、耐屈曲疲労性が劣るため好ましくない。
【0038】
[比較例4]
ポリエステル系樹脂組成物をPET/オレフィンF=94.0/6.0重量%とした以外は実施例1同様にして厚みが25μmのポリエステル系フィルムを得た。しかし、この方法では押出機及びT−ダイス出口からの熱分解性ガスの発生が大きく、かつ冷却ロールでの低分子量物の付着が多いため好ましくない。ポリエステルの融点,ポリエステル系樹脂組成物中のオレフィン系ポリマーの平均分散径,ポリエステル系フィルムの引張弾性率と耐屈曲疲労性を表1に示す。このポリエステル系フィルムは、耐屈曲疲労性は優れていたが、引張弾性率が小さく腰感がやや劣るため好ましくない。
【0039】
[比較例5]
ポリエステル系樹脂組成物をPET−I(15)/オレフィンA/オレフィンB=94.0/3.0/3.0重量%とした以外は実施例1同様にして製膜しようとしたが、横延伸後半から熱処理工程で破断が発生したためポリエステル系フィルムが得られなかった。
【0040】
【表1】
【発明の効果】
本発明のポリエステル系フィルムは、引張弾性率が大きいため腰感に優れ、かつ耐屈曲疲労性に優れているため、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと2軸延伸ナイロンフィルムの良好な特性を兼ね備えたフィルムであり、包装用フィルムとして極めて有用なフィルムといえる。
Claims (1)
- ポリエチレンテレフタレート及び/又は融点225℃以上のエチレンテレフタレートを主体するポリエステルとオレフィン系ポリマーが80/20〜99/1(重量%)であり、かつ該オレフィン系ポリマーの分散径が0.1〜2.0μmの範囲にあるポリエステル系樹脂組成物よりなることを特徴とするポリエステル系フィルム。
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JP2002358073A JP2004189834A (ja) | 2002-12-10 | 2002-12-10 | ポリエステル系フィルム |
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JP2012111818A (ja) * | 2010-11-22 | 2012-06-14 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 樹脂組成物およびその成形品 |
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2002
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