JP2004189575A - セラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭化ケイ素系多孔質構造材の比表面積を飛躍的に高め、耐酸化性の付与、構造材そのものの強度の増加を実現した炭化ケイ素系多孔質構造材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】シリコンと炭素が反応して炭化ケイ素が生成する体積減少反応に起因する開気孔が生成された炭化ケイ素系多孔質構造体を空気中で仮焼して過剰の炭素を除いた後、焼成して酸化物セラミックスとなる溶液を含浸させ、それを焼成することにより、セラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材を得る。
【選択図】 なし
【解決手段】シリコンと炭素が反応して炭化ケイ素が生成する体積減少反応に起因する開気孔が生成された炭化ケイ素系多孔質構造体を空気中で仮焼して過剰の炭素を除いた後、焼成して酸化物セラミックスとなる溶液を含浸させ、それを焼成することにより、セラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材を得る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンと炭素との反応により得られるハニカムあるいはスポンジ状の連続多孔質の形状を保持した軽量耐熱性の炭化ケイ素系多孔質構造体の表面を、他のセラミックスで被覆してなる多孔質構造材、およびその製造方法に関するものであり、更に具体的には、被覆されたセラミックスによって比表面積が増大され、あるいは他の機能を付加された炭化ケイ素多孔質構造材であって、高温用触媒担体、高温用フィルター、溶融金属濾過材、消音材等の用途に適する耐熱性軽量多孔質構造材及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭化ケイ素系セラミックスは、軽量で、耐熱性、耐磨耗性、耐食性に優れていることから、高温耐食部材、ヒーター材、耐磨耗部材や、さらには研削材、砥石などの用途に幅広く用いられている。この炭化ケイ素セラミックスは、主に焼結技術あるいはシリコンの溶融含浸技術によって製造されているため、焼結のための焼結助剤や1600℃以上の高温、あるいは特殊な成形技術、溶融含浸のための真空炉等の特別な技術や装置を必要とする。
【0003】
近年、このような炭化ケイ素系セラミックスの特性を用いて軽量の多孔質構造体となし、高温用フィルター、溶融金属濾過材、ヒーター材等として用いる試みがなされている。例えば、非特許文献1で示されているブリジストン社では、スポンジに炭化ケイ素粉末スラリーを含浸後、余剰のスラリーを除去、乾燥、焼成して、多孔質炭化ケイ素構造材を作成し、溶融金属用セラミックフォームフィルターとして使用することを試みている。また、非特許文献2で示されている東海カーボン社では、非特許文献1と同様の方法で得た多孔質炭化ケイ素構造材を、ヒーターとして使用することを試みている。しかし、これらの方法では、含浸によってスポンジの骨格に付着したセラミックス粉末が焼結によって多孔質構造を形成するものであるため、乾燥、焼成中の亀裂の発生や成形体の崩壊を防ぐために、スポンジの骨格に厚めにスラリーを付着させる必要がある。その結果、スポンジの開口径が小さくなると必然的に密度の高い多孔質構造材しか製造できず、また、ある程度以下の開口径になると多孔質構造の骨格そのものの形成が困難になるという欠点がある。
【0004】
ハニカム構造をもつ炭化ケイ素焼結体も押し出し成形法で製造されているが、成形機およびそれに用いる金型が高価であり、形状もその金型によって決められてしまうという欠点がある。
【0005】
本発明者は、特許文献1に示されている方法を開発し、その明細書において、ダンボールまたはスポンジ状の炭化ケイ素系多孔質構造材を容易かつ安価な方法で製造できることを明らかにした。すなわち、ダンボールもしくはスポンジ状の有形骨格に、炭素源として樹脂類およびシリコンを含んだスラリーを含浸させた後、反応焼結させ、炭化ケイ素を生成させると同時に開気孔を生成させた炭化ケイ素系多孔質構造材を得る方法である。ダンボールあるいはスポンジは加工が容易なことから、スラリーを含浸する前に加工しておけば、任意の形状の炭化ケイ素系多孔質複合構造材を得ることができ、また、適当な形状を持つダンボール状のセラミックスはハニカム構造と同じ働きをすることが可能である。
【0006】
しかし、この炭化ケイ素系多孔質構造材においても、その比表面積は2.36g/m2と十分なものではなかった。さらに、この材料を高温用触媒担体として使用しようとする場合、炭化ケイ素は担持させる触媒との相性が悪く、良好な担持を実現するためには、その表面が酸化物セラミックスである方が望ましいことが分かった。また、この多孔質構造体は、低温の反応を利用して製造されるため、得られる炭化ケイ素の結晶粒子が小さく、通常の炭化ケイ素に比べて耐酸化性に乏しいことが分かった。したがって、高温用触媒担体、高温用フィルターとしてさらに広範囲の利用に耐えるためには、これらの点を改善する必要がある。
【0007】
【特許文献1】
特願2002−205742
【非特許文献1】
ブリジストン社カタログS−023、セラミックフォーム技術資料N0.2
【非特許文献2】
水野 善章、「多孔質炭化ケイ素ヒーター」、セラミックス、vol.33、No.7、p.534-537 (1998).
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記実状に鑑み、本発明の課題は、特許文献1で示した軽量炭化ケイ素系多孔質構造材の特性を改善し、更なる比表面積の増加や、耐酸化性の付与、構造材そのものの強度の増加を実現し、高温用触媒担体、高温用フィルター等としてもより有効に利用できる炭化ケイ素系多孔質構造材及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明に係る炭化ケイ素系多孔質構造材は、シリコンと炭素が反応して炭化ケイ素が生成する体積減少反応に起因する開気孔が生成された炭化ケイ素系多孔質構造体における過剰な炭素が、空気中での仮焼により除かれており、上記炭化ケイ素系多孔質構造体が、焼成により酸化物セラミックスとなる溶液を含浸して焼成することにより得られる酸化物セラミックスで被覆されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係るセラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材の製造方法は、シリコンと炭素が反応して炭化ケイ素が生成する体積減少反応に起因する開気孔が生成された炭化ケイ素系多孔質構造体を空気中で仮焼して、過剰の炭素を除いた後、焼成して酸化物セラミックスとなる溶液を含浸させ、それを焼成することにより、上記炭化ケイ素系多孔質構造体に酸化物セラミックスを被覆することを特徴とするものである
【0011】
本発明の好ましい実施形態においては、上記炭化ケイ素系多孔質構造体が、真空あるいは不活性雰囲気下での焼成後に炭素等の無機物が残存し、その形状を保持する有形骨格を持つ多孔質構造体、または真空あるいは不活性雰囲気下での焼成後に熱分解する多孔質構造体に、炭素源としての樹脂類及びシリコン粉末を含んだスラリーを含浸させた後、真空或いは不活性雰囲気下において900〜1300℃で炭素化し、その炭素化多孔質構造体を、真空或いは不活性雰囲気下において、1300℃以上の温度で反応焼結させることにより製造される。
【0012】
また、本発明の好ましい実施形態においては、焼成により酸化物セラミックスとなる溶液として、水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液のいずれか、あるいはそれらの複数の混合物、あるいは、それらに、第2成分となるセラミックスまたは金属等の無機粉末を懸濁したスラリー、及び焼成後第2成分となる物質の可溶性の塩類を加えた溶液のいずれかまたは双方を含んでいるものが用いられる。更に、上記水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液として、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、アルキルシリケートをそれそれ加水分解して得た水溶液を用いることもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の製造方法およびそれによって得られるセラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材の好適な実施形態について説明する。
本発明のセラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材は、シリコンと炭素が反応して炭化ケイ素が生成する体積減少反応に起因する開気孔が生成された炭化ケイ素系多孔質構造体に、酸化物セラミックスを被覆して製造されるものであるため、まず、該炭化ケイ素系多孔質構造体の製造方法を説明する。
【0014】
上記炭化ケイ素系多孔質構造体の製造においては、まず、溶解した炭素源としてのフェノール樹脂等とシリコン粉末とを混合したスラリーを、多孔質の有形骨格に十分に塗布し、あるいはそのスラリーに多孔質構造体を浸して含浸させた後に乾燥する。この乾燥は、約70℃で12時間程度行うのが望まれる。
上記多孔質構造体としては、段ボール若しくは厚紙等の紙類、炭素製の段ボール状素材、木材、織布、不織布、あるいはスポンジ形状やシート状の多孔質プラスチック等を用いることができる。
【0015】
また、多孔質構造体の有形骨格に含浸させる樹脂類としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、有機金属ポリマーまたはピッチから選ばれた少なくとも1種を用いることができ、必要に応じて、前記炭素粉末、黒鉛粉末、カーボンブラック等の添加剤その他を添加することができる。
さらに、炭化ケイ素の生成に用いる上記シリコン粉末としては、微粉末が適しており、特に、平均粒径が30μm以下の微粉末が好適である。粒径が大きなものは、ボールミル等により粉砕して微粉化すればよい。
【0016】
次に、上記によって得られた多孔質構造体を、真空あるいはアルゴンなどの不活性雰囲気下で、900〜1300℃程度の温度において炭素化する。これによって得られる炭素化複合体においては、有機物の多孔質構造体が熱分解しており、骨格部分は熱分解後の炭素を含む無機物とフェノール樹脂の炭素化による炭素部分と、シリコン粉末が混ざりあっている状態になり、骨格部分の形状も、元の形状と同じである。また、炭素化した多孔質構造体は加工可能な程度の強度がある。
【0017】
この炭素化した多孔質構造体は、真空あるいはアルゴンなどの不活性雰囲気下で1300℃以上の温度において焼成処理し、炭素とシリコンとを反応させて炭化ケイ素を構造体の有形骨格部分上に形成させる。同時に、この反応が体積減少反応であるため、その体積減少反応に起因する開気孔が生成される。その結果、マトリックス部が、気孔を有する炭化ケイ素により形成された多孔質構造焼結体を得る。
【0018】
次に、上記方法で製造された炭化ケイ素多孔質構造体に酸化物セラミックスを被覆する方法を説明する。
上記方法で製造された炭化ケイ素多孔質構造体は、炭化、焼成とも真空あるいはアルゴン等の不活性雰囲気中で行われるため、未反応の炭素が残留することが多いが、酸化物セラミックスをコーティングする場合、この炭素が雰囲気あるいは酸化物中の酸素と反応して皮膜を損なう可能性があるため、炭化ケイ素系多孔質構造体を空気中で仮焼して、過剰の炭素を予め酸化により除いておく必要がある。
また、この炭素を除去する処理では、新たに開気孔が生成し、多孔質構造材の骨格の比表面積が増加することや、炭化ケイ素表面が酸化されてシリカとなり、コーティングする酸化物セラミックスの付着を容易にするという利点もある。
【0019】
段ボール等を有形骨格として用いる場合、それらにフィラーとしてカルシウム化合物等の無機物を含有しているものがあるが、このような物質は炭化、焼成後も灰分として残留するので、この灰分が皮膜となるセラミックスの特性を低下させる可能性がある場合は、塩酸洗浄等適当な方法で予め除去しておくことが望ましい。
【0020】
次に、このようにして多孔質構造体から過剰の炭素を除いた炭化ケイ素系多孔質構造体に、焼成により酸化物セラミックスとなる溶液を含浸させる。
上記酸化物セラミックスとなる溶液としては、水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液のいずれか、あるいはそれらの複数の混合物を用いることができる。これらの水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液等は、どのような濃度でも含浸することは可能であるが、あまり希薄すぎると、比表面積の増加等の効果に乏しく、また、あまり濃厚すぎると多孔質構造体骨格に厚く付着しすぎて、乾燥時に皮膜の割れを招くことから、溶質となる水酸化物の種類によって異なるものの、概ね酸化物に換算して0.5〜50重量%が望ましい。
焼成により酸化物セラミックスとなる上記溶液には、第2成分となるセラミックスまたは金属等の無機粉末を懸濁したスラリー、あるいは焼成後第2成分となる物質の可溶性の塩類を加えた溶液のいずれか、またはそれらの双方を加えることもできる。
【0021】
上記水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液としては、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、アルキルシリケートをそれそれ加水分解して得た水溶液を用いることができる。
また、上記水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液等に混合して使用する無機粉末としては、特に制限はないが、通常耐熱セラミックスとして使われるもの、例えば、アルミナ、ムライト、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素等があり、またそれらの2種以上を混合して、あるいはそれらの焼結助剤、粒成長抑制剤等となる粉末、例えば、イットリア、マグネシア等を同時に混合して用いることができる。
【0022】
多孔質炭化ケイ素構造体への水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液等の含浸は、適当に成形した炭化ケイ素構造体をそれら溶液中に浸漬するだけで充分であるが、大型あるいは異形の部材について、より確実に行いたい場合は減圧容器を用いて行うことが望ましい。
【0023】
その後、上記焼成して酸化物セラミックスとなる溶液を含浸した炭化ケイ素系多孔質構造体を焼成することにより、酸化物セラミックスで被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材を得ることができる。
このようにして製造された炭化ケイ素系多孔質構造材は、炭化ケイ素系多孔質構造体の凹凸に富む表面全体が更に比表面積の大きい酸化物セラミックスで被覆されているため、その比表面積を飛躍的に高めることができる。
また、該酸化物セラミックス膜は、構造材が酸化雰囲気中で使用される際には酸化のバリアーとなり、炭化ケイ素からなる骨格を保護し、耐酸化性の付与等を実現でき、また、炭化ケイ素系多孔質構造体が強固な酸化物セラミックス皮膜で覆われるため、構造材そのものの強度が増加する。
【0024】
【実施例】
次に、実施例により本発明の方法をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0025】
[実施例1]
シリコン粉末52.5gおよびフェノール樹脂25.0gをエタノール50.0gに溶解し、ボールミルで20時間混合した。次に、このスラリーに約10×10×50mmに成形した3枚重ねの段ボールを浸漬した後、風乾した。乾燥後の成形体は、アルゴン雰囲気中、1000℃で炭化した後、そのまま真空中で1450℃まで昇温して保持し、反応焼結して、炭化ケイ素多孔質構造体を得た。
別途、アルミニウムイソプロポキシド16gを沸騰蒸留水約100mlに加え、1時間加熱して加水分解し、イソプロパノールを除いて約50mlに濃縮した後、冷却した。冷却後の溶液に希塩酸を加え、pH3に調整した後、20時間撹拌して解膠し、水酸化アルミニウムゾル水溶液を得た。
【0026】
次いで、先に作成した多孔質炭化ケイ素構造体を、空気中で1000℃、1時間加熱して過剰の炭素を除いた後、上記水酸化アルミニウムゾル水溶液に浸漬して、該水酸化アルミニウムを含浸させた。含浸後の成形体は、80℃で24時間乾燥した後、空気中で300℃、1時間加熱して、アルミナ皮膜を多孔質構造体表面に生成させた。得られた多孔質構造体の比表面積は、55.8m2/gで、元の多孔質構造体の2.4m2/g、それを仮焼したのみの構造体の2.9m2/gに比べて約20倍増加した。
【0027】
[実施例2]
チタニウムイソプロポキシド10.5gを蒸留水約100mlに撹拌しながら徐々に加え、加水分解した。加水分解後の白濁液を加熱してイソプロパノールを除き、約50mlに濃縮して冷却した。冷却後の溶液に希塩酸を加え、pH3に調整した後、20時間撹拌して解膠し、水酸化チタニウムゾル水溶液を得た。
実施例1と同様にして過剰の炭素を除いた炭化ケイ素多孔質構造体を、この溶液に浸漬して、水酸化チタニウムを含浸させた。含浸後の成形体は80℃で24時間乾燥した後、空気中で500℃、2時間加熱して、酸化チタン皮膜を多孔質構造体表面に生成させた。炭素除去後の多孔質構造体の重量は0.701g、水酸化チタニウムの含浸、焼成後の重量は0.869gで、0.17gの酸化チタン皮膜を構造体に被覆することができた。
【0028】
[実施例3]
エチルシリケート14.0gをpH3の希塩酸約100mlに加え、エチルシリケートの油相が消失するまで撹拌して加水分解した。加水分解後の溶液を加熱して約50mlに濃縮して冷却したシリカゾル水溶液を得た。実施例1と同様にして過剰の炭素を除いた炭化ケイ素多孔質構造体をこの溶液に浸漬して、シリカゾルを含浸させた。含浸後の成形体を80℃で24時間乾燥した後、空気中で800℃、2時間加熱して、シリカ皮膜を多孔質構造体表面に生成させた。炭素除去後の多孔質構造体の重量は0.842g、シリカゾルの含浸、焼成後の重量は0.966gで、0.12gのシリカ皮膜を構造体に被覆することができた。
【0029】
【発明の効果】
以上に詳述した本発明の炭化ケイ素系多孔質構造材及びその製造方法によれば、体積減少反応に起因する開気孔を骨格部分に生成した炭化ケイ素多孔質構造体が、更に比表面積の大きい酸化物セラミックスで薄くコーティングされるため、その比表面積を飛躍的に高めることができ、また、該酸化物セラミックス膜は、構造材が酸化雰囲気中で使用される際には酸化のバリアーとなるため、炭化ケイ素からなる骨格を保護でき、更に、炭化ケイ素系多孔質構造体が強固な酸化物セラミックス皮膜で覆われるため、構造材そのものの強度が増加する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンと炭素との反応により得られるハニカムあるいはスポンジ状の連続多孔質の形状を保持した軽量耐熱性の炭化ケイ素系多孔質構造体の表面を、他のセラミックスで被覆してなる多孔質構造材、およびその製造方法に関するものであり、更に具体的には、被覆されたセラミックスによって比表面積が増大され、あるいは他の機能を付加された炭化ケイ素多孔質構造材であって、高温用触媒担体、高温用フィルター、溶融金属濾過材、消音材等の用途に適する耐熱性軽量多孔質構造材及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭化ケイ素系セラミックスは、軽量で、耐熱性、耐磨耗性、耐食性に優れていることから、高温耐食部材、ヒーター材、耐磨耗部材や、さらには研削材、砥石などの用途に幅広く用いられている。この炭化ケイ素セラミックスは、主に焼結技術あるいはシリコンの溶融含浸技術によって製造されているため、焼結のための焼結助剤や1600℃以上の高温、あるいは特殊な成形技術、溶融含浸のための真空炉等の特別な技術や装置を必要とする。
【0003】
近年、このような炭化ケイ素系セラミックスの特性を用いて軽量の多孔質構造体となし、高温用フィルター、溶融金属濾過材、ヒーター材等として用いる試みがなされている。例えば、非特許文献1で示されているブリジストン社では、スポンジに炭化ケイ素粉末スラリーを含浸後、余剰のスラリーを除去、乾燥、焼成して、多孔質炭化ケイ素構造材を作成し、溶融金属用セラミックフォームフィルターとして使用することを試みている。また、非特許文献2で示されている東海カーボン社では、非特許文献1と同様の方法で得た多孔質炭化ケイ素構造材を、ヒーターとして使用することを試みている。しかし、これらの方法では、含浸によってスポンジの骨格に付着したセラミックス粉末が焼結によって多孔質構造を形成するものであるため、乾燥、焼成中の亀裂の発生や成形体の崩壊を防ぐために、スポンジの骨格に厚めにスラリーを付着させる必要がある。その結果、スポンジの開口径が小さくなると必然的に密度の高い多孔質構造材しか製造できず、また、ある程度以下の開口径になると多孔質構造の骨格そのものの形成が困難になるという欠点がある。
【0004】
ハニカム構造をもつ炭化ケイ素焼結体も押し出し成形法で製造されているが、成形機およびそれに用いる金型が高価であり、形状もその金型によって決められてしまうという欠点がある。
【0005】
本発明者は、特許文献1に示されている方法を開発し、その明細書において、ダンボールまたはスポンジ状の炭化ケイ素系多孔質構造材を容易かつ安価な方法で製造できることを明らかにした。すなわち、ダンボールもしくはスポンジ状の有形骨格に、炭素源として樹脂類およびシリコンを含んだスラリーを含浸させた後、反応焼結させ、炭化ケイ素を生成させると同時に開気孔を生成させた炭化ケイ素系多孔質構造材を得る方法である。ダンボールあるいはスポンジは加工が容易なことから、スラリーを含浸する前に加工しておけば、任意の形状の炭化ケイ素系多孔質複合構造材を得ることができ、また、適当な形状を持つダンボール状のセラミックスはハニカム構造と同じ働きをすることが可能である。
【0006】
しかし、この炭化ケイ素系多孔質構造材においても、その比表面積は2.36g/m2と十分なものではなかった。さらに、この材料を高温用触媒担体として使用しようとする場合、炭化ケイ素は担持させる触媒との相性が悪く、良好な担持を実現するためには、その表面が酸化物セラミックスである方が望ましいことが分かった。また、この多孔質構造体は、低温の反応を利用して製造されるため、得られる炭化ケイ素の結晶粒子が小さく、通常の炭化ケイ素に比べて耐酸化性に乏しいことが分かった。したがって、高温用触媒担体、高温用フィルターとしてさらに広範囲の利用に耐えるためには、これらの点を改善する必要がある。
【0007】
【特許文献1】
特願2002−205742
【非特許文献1】
ブリジストン社カタログS−023、セラミックフォーム技術資料N0.2
【非特許文献2】
水野 善章、「多孔質炭化ケイ素ヒーター」、セラミックス、vol.33、No.7、p.534-537 (1998).
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記実状に鑑み、本発明の課題は、特許文献1で示した軽量炭化ケイ素系多孔質構造材の特性を改善し、更なる比表面積の増加や、耐酸化性の付与、構造材そのものの強度の増加を実現し、高温用触媒担体、高温用フィルター等としてもより有効に利用できる炭化ケイ素系多孔質構造材及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明に係る炭化ケイ素系多孔質構造材は、シリコンと炭素が反応して炭化ケイ素が生成する体積減少反応に起因する開気孔が生成された炭化ケイ素系多孔質構造体における過剰な炭素が、空気中での仮焼により除かれており、上記炭化ケイ素系多孔質構造体が、焼成により酸化物セラミックスとなる溶液を含浸して焼成することにより得られる酸化物セラミックスで被覆されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係るセラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材の製造方法は、シリコンと炭素が反応して炭化ケイ素が生成する体積減少反応に起因する開気孔が生成された炭化ケイ素系多孔質構造体を空気中で仮焼して、過剰の炭素を除いた後、焼成して酸化物セラミックスとなる溶液を含浸させ、それを焼成することにより、上記炭化ケイ素系多孔質構造体に酸化物セラミックスを被覆することを特徴とするものである
【0011】
本発明の好ましい実施形態においては、上記炭化ケイ素系多孔質構造体が、真空あるいは不活性雰囲気下での焼成後に炭素等の無機物が残存し、その形状を保持する有形骨格を持つ多孔質構造体、または真空あるいは不活性雰囲気下での焼成後に熱分解する多孔質構造体に、炭素源としての樹脂類及びシリコン粉末を含んだスラリーを含浸させた後、真空或いは不活性雰囲気下において900〜1300℃で炭素化し、その炭素化多孔質構造体を、真空或いは不活性雰囲気下において、1300℃以上の温度で反応焼結させることにより製造される。
【0012】
また、本発明の好ましい実施形態においては、焼成により酸化物セラミックスとなる溶液として、水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液のいずれか、あるいはそれらの複数の混合物、あるいは、それらに、第2成分となるセラミックスまたは金属等の無機粉末を懸濁したスラリー、及び焼成後第2成分となる物質の可溶性の塩類を加えた溶液のいずれかまたは双方を含んでいるものが用いられる。更に、上記水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液として、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、アルキルシリケートをそれそれ加水分解して得た水溶液を用いることもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の製造方法およびそれによって得られるセラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材の好適な実施形態について説明する。
本発明のセラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材は、シリコンと炭素が反応して炭化ケイ素が生成する体積減少反応に起因する開気孔が生成された炭化ケイ素系多孔質構造体に、酸化物セラミックスを被覆して製造されるものであるため、まず、該炭化ケイ素系多孔質構造体の製造方法を説明する。
【0014】
上記炭化ケイ素系多孔質構造体の製造においては、まず、溶解した炭素源としてのフェノール樹脂等とシリコン粉末とを混合したスラリーを、多孔質の有形骨格に十分に塗布し、あるいはそのスラリーに多孔質構造体を浸して含浸させた後に乾燥する。この乾燥は、約70℃で12時間程度行うのが望まれる。
上記多孔質構造体としては、段ボール若しくは厚紙等の紙類、炭素製の段ボール状素材、木材、織布、不織布、あるいはスポンジ形状やシート状の多孔質プラスチック等を用いることができる。
【0015】
また、多孔質構造体の有形骨格に含浸させる樹脂類としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、有機金属ポリマーまたはピッチから選ばれた少なくとも1種を用いることができ、必要に応じて、前記炭素粉末、黒鉛粉末、カーボンブラック等の添加剤その他を添加することができる。
さらに、炭化ケイ素の生成に用いる上記シリコン粉末としては、微粉末が適しており、特に、平均粒径が30μm以下の微粉末が好適である。粒径が大きなものは、ボールミル等により粉砕して微粉化すればよい。
【0016】
次に、上記によって得られた多孔質構造体を、真空あるいはアルゴンなどの不活性雰囲気下で、900〜1300℃程度の温度において炭素化する。これによって得られる炭素化複合体においては、有機物の多孔質構造体が熱分解しており、骨格部分は熱分解後の炭素を含む無機物とフェノール樹脂の炭素化による炭素部分と、シリコン粉末が混ざりあっている状態になり、骨格部分の形状も、元の形状と同じである。また、炭素化した多孔質構造体は加工可能な程度の強度がある。
【0017】
この炭素化した多孔質構造体は、真空あるいはアルゴンなどの不活性雰囲気下で1300℃以上の温度において焼成処理し、炭素とシリコンとを反応させて炭化ケイ素を構造体の有形骨格部分上に形成させる。同時に、この反応が体積減少反応であるため、その体積減少反応に起因する開気孔が生成される。その結果、マトリックス部が、気孔を有する炭化ケイ素により形成された多孔質構造焼結体を得る。
【0018】
次に、上記方法で製造された炭化ケイ素多孔質構造体に酸化物セラミックスを被覆する方法を説明する。
上記方法で製造された炭化ケイ素多孔質構造体は、炭化、焼成とも真空あるいはアルゴン等の不活性雰囲気中で行われるため、未反応の炭素が残留することが多いが、酸化物セラミックスをコーティングする場合、この炭素が雰囲気あるいは酸化物中の酸素と反応して皮膜を損なう可能性があるため、炭化ケイ素系多孔質構造体を空気中で仮焼して、過剰の炭素を予め酸化により除いておく必要がある。
また、この炭素を除去する処理では、新たに開気孔が生成し、多孔質構造材の骨格の比表面積が増加することや、炭化ケイ素表面が酸化されてシリカとなり、コーティングする酸化物セラミックスの付着を容易にするという利点もある。
【0019】
段ボール等を有形骨格として用いる場合、それらにフィラーとしてカルシウム化合物等の無機物を含有しているものがあるが、このような物質は炭化、焼成後も灰分として残留するので、この灰分が皮膜となるセラミックスの特性を低下させる可能性がある場合は、塩酸洗浄等適当な方法で予め除去しておくことが望ましい。
【0020】
次に、このようにして多孔質構造体から過剰の炭素を除いた炭化ケイ素系多孔質構造体に、焼成により酸化物セラミックスとなる溶液を含浸させる。
上記酸化物セラミックスとなる溶液としては、水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液のいずれか、あるいはそれらの複数の混合物を用いることができる。これらの水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液等は、どのような濃度でも含浸することは可能であるが、あまり希薄すぎると、比表面積の増加等の効果に乏しく、また、あまり濃厚すぎると多孔質構造体骨格に厚く付着しすぎて、乾燥時に皮膜の割れを招くことから、溶質となる水酸化物の種類によって異なるものの、概ね酸化物に換算して0.5〜50重量%が望ましい。
焼成により酸化物セラミックスとなる上記溶液には、第2成分となるセラミックスまたは金属等の無機粉末を懸濁したスラリー、あるいは焼成後第2成分となる物質の可溶性の塩類を加えた溶液のいずれか、またはそれらの双方を加えることもできる。
【0021】
上記水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液としては、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、アルキルシリケートをそれそれ加水分解して得た水溶液を用いることができる。
また、上記水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液等に混合して使用する無機粉末としては、特に制限はないが、通常耐熱セラミックスとして使われるもの、例えば、アルミナ、ムライト、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素等があり、またそれらの2種以上を混合して、あるいはそれらの焼結助剤、粒成長抑制剤等となる粉末、例えば、イットリア、マグネシア等を同時に混合して用いることができる。
【0022】
多孔質炭化ケイ素構造体への水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液等の含浸は、適当に成形した炭化ケイ素構造体をそれら溶液中に浸漬するだけで充分であるが、大型あるいは異形の部材について、より確実に行いたい場合は減圧容器を用いて行うことが望ましい。
【0023】
その後、上記焼成して酸化物セラミックスとなる溶液を含浸した炭化ケイ素系多孔質構造体を焼成することにより、酸化物セラミックスで被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材を得ることができる。
このようにして製造された炭化ケイ素系多孔質構造材は、炭化ケイ素系多孔質構造体の凹凸に富む表面全体が更に比表面積の大きい酸化物セラミックスで被覆されているため、その比表面積を飛躍的に高めることができる。
また、該酸化物セラミックス膜は、構造材が酸化雰囲気中で使用される際には酸化のバリアーとなり、炭化ケイ素からなる骨格を保護し、耐酸化性の付与等を実現でき、また、炭化ケイ素系多孔質構造体が強固な酸化物セラミックス皮膜で覆われるため、構造材そのものの強度が増加する。
【0024】
【実施例】
次に、実施例により本発明の方法をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0025】
[実施例1]
シリコン粉末52.5gおよびフェノール樹脂25.0gをエタノール50.0gに溶解し、ボールミルで20時間混合した。次に、このスラリーに約10×10×50mmに成形した3枚重ねの段ボールを浸漬した後、風乾した。乾燥後の成形体は、アルゴン雰囲気中、1000℃で炭化した後、そのまま真空中で1450℃まで昇温して保持し、反応焼結して、炭化ケイ素多孔質構造体を得た。
別途、アルミニウムイソプロポキシド16gを沸騰蒸留水約100mlに加え、1時間加熱して加水分解し、イソプロパノールを除いて約50mlに濃縮した後、冷却した。冷却後の溶液に希塩酸を加え、pH3に調整した後、20時間撹拌して解膠し、水酸化アルミニウムゾル水溶液を得た。
【0026】
次いで、先に作成した多孔質炭化ケイ素構造体を、空気中で1000℃、1時間加熱して過剰の炭素を除いた後、上記水酸化アルミニウムゾル水溶液に浸漬して、該水酸化アルミニウムを含浸させた。含浸後の成形体は、80℃で24時間乾燥した後、空気中で300℃、1時間加熱して、アルミナ皮膜を多孔質構造体表面に生成させた。得られた多孔質構造体の比表面積は、55.8m2/gで、元の多孔質構造体の2.4m2/g、それを仮焼したのみの構造体の2.9m2/gに比べて約20倍増加した。
【0027】
[実施例2]
チタニウムイソプロポキシド10.5gを蒸留水約100mlに撹拌しながら徐々に加え、加水分解した。加水分解後の白濁液を加熱してイソプロパノールを除き、約50mlに濃縮して冷却した。冷却後の溶液に希塩酸を加え、pH3に調整した後、20時間撹拌して解膠し、水酸化チタニウムゾル水溶液を得た。
実施例1と同様にして過剰の炭素を除いた炭化ケイ素多孔質構造体を、この溶液に浸漬して、水酸化チタニウムを含浸させた。含浸後の成形体は80℃で24時間乾燥した後、空気中で500℃、2時間加熱して、酸化チタン皮膜を多孔質構造体表面に生成させた。炭素除去後の多孔質構造体の重量は0.701g、水酸化チタニウムの含浸、焼成後の重量は0.869gで、0.17gの酸化チタン皮膜を構造体に被覆することができた。
【0028】
[実施例3]
エチルシリケート14.0gをpH3の希塩酸約100mlに加え、エチルシリケートの油相が消失するまで撹拌して加水分解した。加水分解後の溶液を加熱して約50mlに濃縮して冷却したシリカゾル水溶液を得た。実施例1と同様にして過剰の炭素を除いた炭化ケイ素多孔質構造体をこの溶液に浸漬して、シリカゾルを含浸させた。含浸後の成形体を80℃で24時間乾燥した後、空気中で800℃、2時間加熱して、シリカ皮膜を多孔質構造体表面に生成させた。炭素除去後の多孔質構造体の重量は0.842g、シリカゾルの含浸、焼成後の重量は0.966gで、0.12gのシリカ皮膜を構造体に被覆することができた。
【0029】
【発明の効果】
以上に詳述した本発明の炭化ケイ素系多孔質構造材及びその製造方法によれば、体積減少反応に起因する開気孔を骨格部分に生成した炭化ケイ素多孔質構造体が、更に比表面積の大きい酸化物セラミックスで薄くコーティングされるため、その比表面積を飛躍的に高めることができ、また、該酸化物セラミックス膜は、構造材が酸化雰囲気中で使用される際には酸化のバリアーとなるため、炭化ケイ素からなる骨格を保護でき、更に、炭化ケイ素系多孔質構造体が強固な酸化物セラミックス皮膜で覆われるため、構造材そのものの強度が増加する。
Claims (9)
- シリコンと炭素が反応して炭化ケイ素が生成する体積減少反応に起因する開気孔が生成された炭化ケイ素系多孔質構造体における過剰な炭素が、空気中での仮焼により除かれており、
上記炭化ケイ素系多孔質構造体が、焼成により酸化物セラミックスとなる溶液を含浸して焼成することにより得られる酸化物セラミックスで被覆されている、ことを特徴とするセラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材。 - 上記炭化ケイ素系多孔質構造体が、真空あるいは不活性雰囲気下での焼成後に炭素等の無機物が残存し、その形状を保持する有形骨格を持つ多孔質構造体、または真空あるいは不活性雰囲気下での焼成後に熱分解する多孔質構造体に、炭素源としての樹脂類及びシリコン粉末を含んだスラリーを含浸させて樹脂からの炭素とシリコン粉末を反応焼結して形成したものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のセラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材。 - 焼成により酸化物セラミックスとなる溶液が、水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液のいずれか、あるいはそれらの複数の混合物である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材。 - 焼成により酸化物セラミックスとなる溶液が、第2成分となるセラミックスまたは金属等の無機粉末を懸濁したスラリー、及び焼成後第2成分となる物質の可溶性の塩類を加えた溶液のいずれかまたは双方を含んでいる、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭化ケイ素系多孔質構造材。 - シリコンと炭素が反応して炭化ケイ素が生成する体積減少反応に起因する開気孔が生成された炭化ケイ素系多孔質構造体を空気中で仮焼して、過剰の炭素を除いた後、
焼成して酸化物セラミックスとなる溶液を含浸させ、それを焼成することにより、上記炭化ケイ素系多孔質構造体に酸化物セラミックスを被覆する、
ことを特徴とするセラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材の製造方法。 - 炭化ケイ素系多孔質構造体を、真空あるいは不活性雰囲気下での焼成後に炭素等の無機物が残存し、その形状を保持する有形骨格を持つ多孔質構造体、または真空あるいは不活性雰囲気下での焼成後に熱分解する多孔質構造体に、炭素源としての樹脂類及びシリコン粉末を含んだスラリーを含浸させた後、真空或いは不活性雰囲気下において900〜1300℃で炭素化し、その炭素化多孔質構造体を、真空或いは不活性雰囲気下において、1300℃以上の温度で反応焼結させることにより製造する、
ことを特徴とする請求項5に記載のセラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材の製造方法。 - 焼成して酸化物セラミックスとなる溶液が、水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液のいずれか、あるいはそれらの複数の混合物である、
ことを特徴とする請求項5または6に記載のセラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材の製造方法。 - 上記水酸化アルミニウムゾル水溶液、水酸化チタニウムゾル水溶液、シリカゾル水溶液が、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、アルキルシリケートをそれそれ加水分解して得た水溶液である、
ことを特徴とする請求項7に記載のセラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材の製造方法。 - 上記焼成して酸化物セラミックスとなる溶液が、第2成分となるセラミックスまたは金属等の無機粉末を懸濁したスラリー、及び焼成後第2成分となる物質の可溶性の塩類を加えた溶液のいずれかまたは双方を含んでいる、
ことを特徴とする請求項7または8に記載のセラミックス被覆された炭化ケイ素系多孔質構造材の製造方法。
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