JP2004188830A - 液体吐出装置及び液体吐出方法 - Google Patents

液体吐出装置及び液体吐出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ドット配列のばらつきをなくし、ライン方式においては、吐出部間のばらつきとして、ドット列間にスジが入ってしまうことを防止する。
【解決手段】1つの画素領域に最大N個の液滴を着弾させ、その画素領域に対応するドットを形成する液体吐出装置であって、1つの画素領域におけるノズルの並び方向の液滴の着弾目標位置が、着弾した液滴の領域の少なくとも一部がその画素領域内に入るM個の異なる位置のうちいずれかの位置となるように、液体吐出部から吐出される液滴の吐出方向を設定し、液体吐出部から吐出される液滴ごとに、M個の着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置をランダムに決定し、その決定した着弾目標位置に液滴が着弾するように、液体吐出部から吐出される液滴の吐出方向を制御する。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画素領域に1又は2以上の液滴を着弾させてドットを形成する液体吐出装置及び液体吐出方法において、液滴の着弾位置のばらつきを目立たなくすることにより、画質の改善を図る技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体吐出装置の1つであるインクジェットプリンタにおいては、通常、ノズルを有するインク吐出部が直線状に配列されたヘッドを備えている。そして、このヘッドの各インク吐出部から、微少なインク液滴をノズル面に対向して配置される印画紙等の記録媒体に向けて順次吐出することにより、略円形のドットを縦横に配列し、点画として画像や文字を表現している。
【0003】
一方、インクジェットプリンタは、その構造から、ある程度のばらつきを持って液滴が吐出される。吐出されたインク液滴が記録媒体に着弾されたときのドットの配列を見ると、一時的なばらつき(偶発的なもの)は平均化されてあまり目立たないが、インク吐出部(ヘッド)固有のばらつきは、直線状のばらつき(ペアリング)として、わずかであっても目立つようになる。
【0004】
図13は、ドット配列のばらつきを説明する図である。図13において、矢印で示した部分は、ドットピッチ(隣接するドットの中心間距離)の1/36、1/12、及び1/4をそれぞれ図中、右方向にシフトさせるとともに、ドットピッチに対するドット径の大きさの程度を大、中、小、に分けて、ドットピッチがずれた場合の影響を示したものである。
【0005】
図13から理解できるように、ドット列がドットピッチの10%程度ずれると、そのずれが目視で認識できるようになり、20%程度を越えるものは、一般には記録の不具合として目立つようになる。なお、ドットピッチのずれが目立つか否かは、インクの色にも左右される。例えば黄色は、ずれに対する許容量が大きい(ずれが他の色に対して目立ちにくい)。
【0006】
ここで、ヘッドが記録媒体に対して水平方向に直線的な往復移動を行うとともに、記録媒体が上記往復移動方向と略垂直な方向に搬送されるシリアル方式の場合には、上記のようなドットピッチずれを解決する手法として、以下の2通りが知られている。
なお、本明細書では、シリアル方式においては、ヘッドの往復移動方向を主走査方向と定義し、この方向と略垂直な方向(記録媒体の搬送方向)を、副走査方向と定義する。
【0007】
第1の手法は、ドットピッチの多少のずれがあっても、記録媒体の下地が見えなくなるようにドット同士を重ねることである。すなわち、ドットサイズ(ドット径)をドットピッチに対して大きくすることである。
この手法によると、ドットを円形と仮定して、ドットピッチの√2倍(ドットピッチの対角線)以上のドット径にすれば、通常の配列がなされる限りドット間の隙間は埋められ、多少のドットの着弾位置ずれがあっても、あまり目立たずに、画像上に白スジを発生させないようにすることができる。
図14は、図13と同じドット列のずれに対して、全体のドットサイズをドットピッチの√2倍強に設定した場合の例を示す図である。
【0008】
また、第2の手法は、「重ね打ち」と称される手法である。この重ね打ちでは、第1の手法で示したような大きなドットを用いないため、1回で吐出される液滴ではドット間の隙間は埋まらないが、先に配列したドット列の隙間を埋めるように重ねてドットを配列することで、隙間を埋めるようにするものである。図15は、第2の手法である重ね打ちをしたときの状態を示す図である。図15において、模様の異なるドットは、異なる主走査時に形成されるか、又は異なるヘッドで形成される。この重ね打ちは、主走査方向のみならず、副走査方向にも用いることができるので、小さなドットから画像を形成することができる。
【0009】
また、シリアル方式に対し、記録媒体の全幅(シリアル方式の主走査方向における略全範囲)にわたるようにヘッドを形成したライン方式の場合は、ヘッドが固定され、記録媒体のみが搬送されるのが通常である。
なお、本明細書において、ライン方式においては、記録媒体の搬送方向を主走査方向と定義する。
ライン方式においては、記録媒体の全幅にわたるヘッドを、シリコンウエハやガラス等で一体に形成すれば、インク吐出部の並び精度等を高めることができる。しかし、製造方法、歩留まり問題、発熱問題、コスト問題等、様々な問題があって、現実的にはそのような構造のヘッドを製作することはほとんど不可能に近い。
【0010】
このため、インクジェットプリンタにラインヘッドを搭載する場合には、小さなヘッドチップ(これにも様々な制約があり、大きくてもインク吐出部の並び方向の長さが1インチ以下程度が実用的な限界である。)を、端部同士が繋がるように複数並設して、それぞれのヘッドチップに適当な信号処理を行うことによって、記録媒体に印画する段階で、記録媒体の全幅に繋がった記録を行うようにすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−36522号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の従来の技術では、以下の問題点がある。
シリアル方式における第1の手法(ドットサイズを大きくする手法)では、ドットの位置ずれに対しては強くなるものの、ドットサイズが大きくなる結果、粒子状のドットが見えやすくなり、中間階調が必要とされる写真などの印画の場合には、ざらつき感が増大するという問題がある。
【0013】
また、シリアル方式における第2の手法(重ね打ち)では、上記第1の手法と異なり、ドットサイズを大きくする必要がないため、全体の画像のざらつき感を軽減し、写真画質等を向上させることができる。しかし、主走査方向にも副走査方向にも多数のドットを配列しなければならないので、その分、記録速度が遅くなるという問題がある。この問題を解決するためには、多数のインク吐出部をできる限り高速で動作させなければならないが、そのようにすると、信頼性の低下とコストの増大を招きやすいという問題がある。
【0014】
さらにまた、ライン方式の場合において、ドット径を大きくして、インク吐出部間の吐出のばらつきを軽減することは可能であるが、上記のシリアル方式における第1の手法と同様の問題がある。
また、ライン方式の場合には、ヘッドチップ同士を継ぎ合わせるため、インク吐出部の並び間隔に誤差が生じやすいという問題がある。さらに、ヘッドチップの張り合わせにおいてもヘッドチップ間で厚み等に誤差が生じるという問題も生じる。これらの誤差による影響は、単一ヘッドチップ内で生じるインク液滴の吐出角のばらつきの数倍にも及ぶことがある。
【0015】
なお、ライン方式の場合には、ヘッドは移動しないので、一旦記録した領域を、再度記録することにより重ね打ちを行うことはできない。すなわち、シリアル方式における第2の手法を採用することはできない。
ここで、特殊例として、写真等に限り、コシの強い記録媒体を用いることを条件に、(昇華型プリンタ等のように)何度も記録媒体を出入れすれば、重ね打ちは不可能ではない。しかし、インクジェットプリンタでは、昇華型プリンタとは異なり、記録媒体に配列されたドット(着弾したインク)が乾燥するまでにはある程度の時間を要するので、インクが十分に乾燥しないうちに記録媒体を何らの保護も行うことなく出入れすることは危険である。
【0016】
さらに、記録媒体の出入れは、特殊な記録媒体に限られ、普通紙等の記録媒体では、上記のような出入れを行うことはできない。また、ライン方式は、記録速度の速さをメリットとするものであるので、ライン方式において記録媒体を出入れしたのでは、記録速度が低下し、ライン方式を採用した趣旨が没却されてしまう。したがって、ライン方式の場合には、重ね打ちができるのは、記録媒体の送り方向、すなわち主走査方向のみということになる。
【0017】
そして、ライン方式の場合に、主走査方向における重ね打ちを行うことによって、その階調度を増やすことは可能であるが、主走査方向における重ね打ちは、階調度を上げることのみの効果があり、吐出ばらつきの平均化には寄与しない。これに対し、副走査方向における重ね打ちは、主走査方向における重ね打ちと同様に階調度を上げる効果に加えて、吐出ばらつきの平均化という重要な効果も有している。
【0018】
すなわち、主走査方向におけるドットの中心間距離は、同一のインク吐出部から吐出されたドットを並べるだけであるので、その精度は極めて良いものとなるが、副走査方向におけるドットの中心間距離は、全て異なるインク吐出部によるものであるので、そのばらつきが大きい。
以上のような理由により、副走査のないライン方式では、インク吐出部固有のばらつきがインク吐出部の並び方向に残り、スジムラとして目立ってしまう場合があるという問題がある。
【0019】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、本件発明者らによって既に提案されている、インク液滴を偏向吐出できる技術(例えば特願2002−161928、特願2002−320861、及び特願2002−320862)を用いて、ドット配列のばらつきをなくすことであり、特にライン方式においては、吐出部間のばらつきとして、ドット列間にスジが入ってしまうことを防止することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。
本発明の1つである請求項1に記載の発明は、ノズルを有する液体吐出部から吐出される液滴の吐出方向を特定方向において複数の方向に偏向可能なヘッドを備え、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応するドットを形成する液体吐出装置であって、1つの画素領域における前記特定方向の液滴の着弾目標位置が、着弾した液滴の領域の少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる位置のうちいずれかの位置となるように、前記液体吐出部から吐出される液滴の吐出方向を設定し、前記液体吐出部から吐出される液滴ごとに、前記M個の着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置をランダムに決定し、その決定した着弾目標位置に液滴が着弾するように、前記液体吐出部から吐出される液滴の吐出方向を制御することを特徴とする。
【0021】
(作用)
上記発明においては、ヘッドの各液体吐出部は、複数の異なる方向に液滴を吐出可能に形成されている。
また、1つの画素領域において、液滴の着弾目標位置は、特定方向においてM個の異なる位置に設定されている。ここで、M個の異なる位置のうちいずれに液滴が着弾されても、液滴の少なくとも一部は、その画素領域内に入るように設定されている。
【0022】
そして、液滴が画素領域に着弾する場合には、M個の着弾目標位置のうちいずれかの位置がランダムに決定され、その決定された位置に液滴が着弾する。
したがって、画素領域の少なくとも一部に含まれるように液滴が着弾するが、着弾された液滴は、画素領域に対してランダムな位置となる。これにより、液体吐出部固有のばらつきによる液滴の着弾位置の偏り等をなくし、全体のドット配列としては、方向性のない均一なものとなる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、本明細書において、「インク液滴」とは、後述するインク吐出部のノズル18から吐出される微少量(例えば数ピコリットル)のインク(液体)をいう。また、「ドット」とは、1つのインク液滴が印画紙等の記録媒体に着弾して形成されたものをいう。さらにまた、「画素」とは、画像の最小単位であり、「画素領域」とは、ドット形成領域となるものである。
したがって、1つの画素領域に、1又は複数のインク液滴が着弾し、1つのインク液滴からなる1つのドット(1階調)、又は複数のインク液滴からなる複数のドット(複数階調)が形成される。すなわち、1つの画素領域には、1つ以上のドットが対応している。そして、多数の画素が記録媒体上に配列されることで、画像を形成する。
なお、画素領域に1つのインク液滴も着弾されない場合があるのは勿論である。また、後述するが、各インク液滴は、そのインク液滴が対応する画素領域内に完全に入るものではなく、画素領域からはみ出す場合もある。
【0024】
以下に、本発明による液体吐出装置の一実施形態を示す。液体吐出装置は、吐出すべき液体を収容する液室と、前記液室中の液体にエネルギーを付与するエネルギー発生素子と、前記エネルギー発生素子により、前記液室内の液体を吐出する吐出口を備えるものである。そして、前記エネルギー発生素子による液体へのエネルギーの付与の仕方を制御することで、前記吐出口から吐出される液体の吐出方向を偏向させるものである。例えば、前記エネルギー発生素子は、前記液室の一面を構成するとともに、液体にエネルギーを作用させる一面のエネルギー分布を制御することで、前記吐出口から吐出される液体の吐出方向を偏向させることが可能となる。以下の実施形態では、エネルギー発生素子として、複数の発熱素子を用い、液体にエネルギーを作用させる一面として、複数の発熱素子が配置された面を用い、複数の発熱素子へのエネルギーの付与に差異を設け、これを制御することで、エネルギー分布を制御している。なお、本発明に用いられる液体吐出装置は、下記実施形態に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0025】
(ヘッドの構造)
図1は、本発明による液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)のヘッド11を示す分解斜視図である。図1において、ノズルシート17は、バリア層16上に貼り合わされるが、このノズルシート17を分解して図示している。
ヘッド11において、基板部材14は、シリコン等からなる半導体基板15と、この半導体基板15の一方の面に析出形成された発熱抵抗体13とを備えるものである。発熱抵抗体13は、半導体基板15上に形成された導体部(図示せず)を介して外部回路と電気的に接続されている。
【0026】
また、バリア層16は、例えば、感光性環化ゴムレジストや露光硬化型のドライフィルムレジストからなり、半導体基板15の発熱抵抗体13が形成された面の全体に積層された後、フォトリソプロセスによって不要な部分が除去されることにより形成されている。
さらにまた、ノズルシート17は、複数のノズル18が形成されたものであり、例えば、ニッケルによる電鋳技術により形成され、ノズル18の位置が発熱抵抗体13の位置と合うように、すなわちノズル18が発熱抵抗体13に対向するようにバリア層16の上に貼り合わされている。
【0027】
インク液室12は、発熱抵抗体13を囲むように、基板部材14とバリア層16とノズルシート17とから構成されたものである。すなわち、基板部材14は、図中、インク液室12の底壁を構成し、バリア層16は、インク液室12の側壁を構成し、ノズルシート17は、インク液室12の天壁を構成する。これにより、インク液室12は、図1中、右側前方面に開口領域有し、この開口領域とインク流路(図示せず)とが連通される。
【0028】
上記の1個のヘッド11には、通常、100個単位の規模で、インク室12と、各インク室12内にそれぞれ配置された発熱抵抗体13とを備え、プリンタの制御部からの指令によってこれら発熱抵抗体13のそれぞれを一意に選択して発熱抵抗体13に対応するインク液室12内のインクを、インク液室12に対向するノズル18から吐出させることができる。
【0029】
すなわち、ヘッド11と結合されたインクタンク(図示せず)から、インク液室12にインクが満たされる。そして、発熱抵抗体13に短時間、例えば、1〜3μsecの間パルス電流を流すことにより、発熱抵抗体13が急速に加熱され、その結果、発熱抵抗体13と接する部分に気相のインク気泡が発生し、そのインク気泡の膨張によってある体積のインクが押しのけられる(インクが沸騰する)。これによって、ノズル18に接する部分の上記押しのけられたインクと同等の体積のインクがインク液滴としてノズル18から吐出され、印画紙上に着弾され、ドットが形成される。
【0030】
なお、本明細書において、1つのインク液室12と、このインク液室12内に配置された発熱抵抗体13と、その上部に配置されたノズル18とから構成される部分を、「インク吐出部(液体吐出部)」と称する。すなわち、ヘッド11は、複数のインク吐出部を並設したものといえる。
【0031】
さらに本実施形態では、複数のヘッド11を記録媒体の幅方向に並べて、ラインヘッドを形成している。図2は、ラインヘッド10の実施形態を示す平面図である。図2では、4つのヘッド11(「N−1」、「N」、「N+1」及び「N+2」)を図示している。ラインヘッド10を形成する場合には、図1中、ヘッド11からノズルシート17を除く部分(ヘッドチップ)を複数並設する。そして、これらのヘッドチップの上部に、全てのヘッドチップの各インク吐出部に対応する位置にノズル18が形成された1枚のノズルシート17を貼り合わせることにより、ラインヘッド10を形成する。ここで、隣接するヘッド11の各端部にあるノズル間ピッチ、すなわち図2中、A部詳細図において、N番目のヘッド11の右端部にあるノズル18と、N+1番目のヘッド11の左端部にあるノズル18との間の間隔は、ヘッド11のノズル18間の間隔に等しくなるように、各ヘッド11が配置される。
【0032】
続いて、本実施形態のインク吐出部をより詳細に説明する。
図3は、ヘッド11のインク吐出部をより詳細に示す平面図及び側面の断面図である。図3の平面図では、ノズル18を1点鎖線で図示している。
図3に示すように、本実施形態のヘッド11では、1つのインク液室12内に、2つに分割された発熱抵抗体13が並設されている。さらに、分割された2つの発熱抵抗体13の並び方向は、ノズル18の並び方向(図3中、左右方向)である。
【0033】
このように、1つのインク液室12内に2つに分割された発熱抵抗体13を備えた場合には、各々の発熱抵抗体13がインクを沸騰させる温度に到達するまでの時間(気泡発生時間)を同時にしたときには、2つの発熱抵抗体13上で同時にインクが沸騰し、インク液滴は、ノズル18の中心軸方向に吐出される。
これに対し、2つの分割した発熱抵抗体13の気泡発生時間に時間差を与えれば、2つの発熱抵抗体13上で同時にインクが沸騰しない。これにより、インク液滴の吐出方向は、ノズル18の中心軸方向からずれ、偏向して吐出される。これにより、偏向なくインク液滴が吐出されたときの着弾位置からずれた位置にインク液滴を着弾させることができる。
【0034】
図4は、インク液滴の吐出方向の偏向を説明する図である。図4において、インク液滴iの吐出面に対して垂直にインク液滴iが吐出されると、図4中、点線で示す矢印のように偏向なくインク液滴iが吐出される。これに対し、インク液滴iの吐出方向が偏向して、吐出角度が垂直位置からθだけずれると(図4中、Z1又はZ2方向)、吐出面と記録媒体である印画紙P面(インク液滴iの着弾面)までの間の距離をH(Hは、ほぼ一定)としたとき、インク液滴iの着弾位置は、
ΔL=H×tanθ
だけずれることとなる。
このように、インク液滴iの吐出方向が垂直方向からθだけずれたときには、インク液滴の着弾位置がΔLだけずれることとなる。
【0035】
図5(a)、(b)は、2分割した発熱抵抗体13のインクの気泡発生時間差と、インクの吐出角度との関係を示すグラフであり、コンピュータによるシミュレーション結果を示すものである。このグラフにおいて、X方向(グラフ縦軸θxで示すX方向。注意;グラフの横軸の意味ではない。)は、ノズル18の並び方向(発熱抵抗体13の並設方向)であり、Y方向(グラフ縦軸θyで示すY方向。注意;グラフの横軸の意味ではない。)は、X方向に垂直な方向(印画紙の搬送方向)である。また、図5(c)は、2分割した発熱抵抗体13のインクの気泡発生時間差として、2分割した発熱抵抗体13間の電流量の差、すなわち、偏向電流を横軸に、インクの吐出角度(X方向)として、インクの着弾位置での偏向量(上記Hを約2mmとして実測)を縦軸にした場合の実測値データである。図5(c)では、発熱抵抗体13の主電流を80mAとして、片方の発熱抵抗体13に前記偏向電流を重畳し、インクの偏向吐出を行った。
【0036】
ノズル18の並び方向に2分割した発熱抵抗体13の気泡発生に時間差を有する場合には、図5に示すように、インクの吐出角度が垂直でなくなり、ノズル18の並び方向におけるインクの吐出角度θx(垂直からのずれ量であって、図4のθに相当するもの)は、気泡発生時間差とともに大きくなる。
このように、2分割した発熱抵抗体13を設け、各発熱抵抗体13に流す電流量を変えれば、2つの発熱抵抗体13上の気泡発生時間に時間差が生じるように制御することができる。そして、この時間差に応じて、インクの吐出方向を偏向させることができる。
【0037】
次に、インク液滴の吐出方向を偏向させる方法について、より具体的に説明する。
図6は、2つの分割した発熱抵抗体13の気泡発生時間差を設定できるように構成したものの一実施形態を示す。この例では、インク液滴の偏向方向を3ビットの制御信号を用いて、抵抗Rh−Aと抵抗Rh−Bとに流れる電流値差を、8種類に設定できるようにしたことで、インク液滴の吐出方向を8段階に設定できるようにしたものである。
【0038】
図6において、抵抗Rh−A及びRh−Bは、2分割された発熱抵抗体13の抵抗であり、両者は直列に接続されている。抵抗電源Vhは、抵抗Rh−A及びRh−Bに電圧を与えるための電源である。
【0039】
吐出制御回路50は、抵抗Rh−Aと抵抗Rh−Bとに流れる電流値差を制御することで、インク液滴の吐出方向を制御するための回路であり、トランジスタとしてM1〜M21を備えている。トランジスタM4、M6、M9、M11、M14、M16、M19及びM21はPMOSトランジスタであり、その他はNMOSトランジスタである。トランジスタM4及びM6、トランジスタM9及びM11、トランジスタM14及びM16、並びにトランジスタM19及びM21が、それぞれカレントミラー回路(以下、「CM回路」という。)を構成するものである。よって、吐出制御回路50は、4組のCM回路を備えている。
【0040】
例えばトランジスタM4及びM6からなるCM回路では、トランジスタM6のゲートとドレイン、及びトランジスタM4のゲートが接続されているので、トランジスタM4とM6には常に同じ電圧がかかり、ほぼ同じ電流が流れるように構成されている。他のCM回路も同様である。
また、トランジスタM3及びM5は、トランジスタM4及びM6からなるCM回路の差動アンプ、すなわちスイッチング素子(以下、「第2スイッチング素子」という。)として機能するものである。ここで、第2スイッチング素子は、CM回路を介して抵抗Rh−A及びRh−B間に電流を流入するか又は抵抗Rh−A及びRh−B間から電流を流出させるためのものである。
また、トランジスタM8及びM10、トランジスタM13及びM15、並びにトランジスタM18及びM20は、それぞれ、トランジスタM9及びM11、トランジスタM14及びM16、並びにトランジスタM19及びM21からなるCM回路の第2スイッチング素子である。
【0041】
トランジスタM4及びM6からなるCM回路と、第2スイッチング素子であるトランジスタM3及びM5において、トランジスタM4とM3、及びトランジスタM6とM5のドレイン同士が接続されている。他の第2スイッチング素子も同様である。
【0042】
さらにまた、CM回路の一部を構成するトランジスタM4、M9、M14及びM19のドレイン、並びにトランジスタM3、M8、M13及びM18のドレインは、抵抗Rh−AとRh−Bとの中点に接続されている。
【0043】
また、トランジスタM2、M7、M12及びM17は、それぞれ、各CM回路の定電流源となるものであり、そのドレインがそれぞれトランジスタM3、M8、M13及びM18のソース及びバックゲートに接続されている。
さらにまた、トランジスタM1は、そのドレインが抵抗Rh−Bと直列に接続され、吐出実行入力スイッチAが1(ON)になったときにONになり、抵抗Rh−A及びRh−Bに電流を流すように構成されている。すなわち、トランジスタM1は、抵抗Rh−A及びRh−Bへの電流の供給をON/OFFするスイッチング素子(以下、「第1スイッチング素子」という。)として機能するものである。
【0044】
また、ANDゲートX1〜X9の出力端子は、それぞれトランジスタM1、M3、M5、・・のゲートに接続されている。なお、ANDゲートX1〜X7は、2入力タイプのものであるが、ANDゲートX8及びX9は、3入力タイプのものである。ANDゲートX1〜X9の入力端子の少なくとも1つは、吐出実行入力スイッチAと接続されている。
【0045】
さらにまた、XNORゲートX10、X12、X14及びX16のうち、1つの入力端子は、偏向方向切替えスイッチCと接続されており、他の1つの入力端子は、偏向制御スイッチJ1〜J3、又は吐出角補正スイッチSと接続されている。
偏向方向切替えスイッチC(偏向方向切替え手段)は、インク液滴の吐出方向を、ノズル18の並び方向において、どちら側に偏向させるかを切り替えるためのスイッチである。偏向方向切替えスイッチCが1(ON)になると、XNORゲートX10の一方の入力が1になる。
また、偏向制御スイッチJ1〜J3は、それぞれ、インク液滴の吐出方向を偏向させるときの偏向量を決定するためのスイッチであり、例えば入力端子J3が1(ON)になると、XNORゲートX10の入力の1つが1になる。
【0046】
さらに、XNORゲートX10〜X16の各出力端子は、ANDゲートX2、X4、・・の1つの入力端子に接続されるとともに、NOTゲートX11、X13、・・を介してANDゲートX3、X5、・・の1つの入力端子に接続されている。また、ANDゲートX8及びX9の入力端子の1つは、吐出角補正スイッチKと接続されている。
【0047】
さらにまた、偏向振幅制御端子Bは、各CM回路の定電流源となるトランジスタM2、M7、・・の電流値を決める端子であり、トランジスタM2、M7、・・のゲートにそれぞれ接続されている。偏向振幅制御端子Bに適当な電圧(Vx)が印加されると、トランジスタM2、M7、・・のゲートにVgs(ゲート−ソース間電圧)が与えられるので、トランジスタM2、M7、・・に電流が流れる。ここで、トランジスタM2、M7、・・は各々並列に接続されているトランジスタ数が異なるので、図6中、各トランジスタM2、M7、・・の括弧内に示された数の比率で、それぞれ、トランジスタM3からM2、トランジスタM8からM7、・・に電流が流れるようになる。
【0048】
また、抵抗Rh−Bに接続されたトランジスタM1のソース、及び各CM回路の定電流源となるトランジスタM2、M7、・・のソースは、グラウンド(GND)に接地されている。
【0049】
以上の構成において、各トランジスタM1〜M21にかっこ書で付した「×N(N=1、2、4、又は50)」の数字は、素子の並列状態を示し、例えば「×1」(M12〜M21)は、標準の素子を有することを示し、「×2」(M7〜M11)は、標準の素子2個を並列に接続したものと等価な素子を有することを示す。以下、「×N」は、標準の素子N個を並列に接続したものと等価な素子を有することを示している。
【0050】
これにより、トランジスタM2、M7、M12、及びM17は、それぞれ「×4」、「×2」、「×1」、「×1」であるので、これらのトランジスタのゲートとグラウンド間に適当な電圧を与えると、それぞれのドレイン電流は、4:2:1:1の比率になる。
【0051】
次に、吐出制御回路50の動作について説明するが、最初に、トランジスタM4及びM6からなるCM回路と、そのスイッチング素子であるトランジスタM3及びM5のみに着目して説明する。
吐出実行入力スイッチAは、インク液滴を吐出するときだけ1(ON)になる。また、本実施形態では、1つのノズル18からインク液滴を吐出するときには、1.5μs(1/64)の期間のみ吐出実行入力スイッチAが1(ON)にされ、抵抗電源Vh(5V)から抵抗Rh−A及びRh−Bに電力が供給される。また、94.5μs(63/64)は、吐出実行入力スイッチAは0(OFF)にされて、インク液滴を吐出したインク吐出部のインク液室12へのインクの補充期間に当てられる。
【0052】
例えば、A=1、B=Vx(アナログ電圧)、C=1及びJ3=1であるとき、XNORゲートX10の出力は1になるので、この出力1と、A=1がANDゲートX2に入力され、ANDゲートX2の出力は1になる。よって、トランジスタM3はONになる。
また、XNORゲートX10の出力が1であるときには、NOTゲートX11の出力は0であるので、この出力0と、A=1がANDゲートX3の入力となるので、ANDゲートX3の出力は0になり、トランジスタM5はOFFとなる。
【0053】
よって、トランジスタM4とM3のドレイン同士、及びトランジスタM6とM5のドレイン同士が接続されているので、上述のようにトランジスタM3がON、かつM5がOFFであるときには、抵抗Rh−AからトランジスタM3に電流が流れるが、トランジスタM6は、トランジスタM5がOFFなので電流は流れない。さらに、CM回路の特性により、トランジスタM6に電流が流れないときには、トランジスタM4にも電流は流れない。また、トランジスタM2はONであるので、上述の場合には、トランジスタM3、M4、M5、及びM6のうち、トランジスタM3からM2にのみ電流が流れる。
【0054】
この状態において、抵抗電源Vhの電圧がかかると、トランジスタM4及びM6には電流は流れず、抵抗Rh−Aに電流が流れる。また、トランジスタM3には電流が流れるので、電流は抵抗Rh−Aを流れた後、トランジスタM3側と抵抗Rh−B側とに分岐する。トランジスタM3側に流れた電流は、流れる電流値を決めているトランジスタM2を流れた後、グラウンドに送られる。また、抵抗Rh−Bを流れた電流は、ONであるトランジスタM1を流れた後、グラウンドに送られる。よって、抵抗Rh−Aと抵抗Rh−Bとに流れる電流は、Rh−A>Rh−Bとなる。
【0055】
以上はC=1の場合であるが、次にC=0である場合、すなわち偏向方向切替えスイッチCの入力のみを異ならせた場合(その他のスイッチA、J3は、上記と同様に1とする)は、以下のようになる。
C=0、かつJ3=1であるときには、XNORゲートX10の出力は0となる。これにより、ANDゲートX2の入力は、(0、1(A=1))となるので、その出力は0になる。よって、トランジスタM3はOFFとなる。
また、XNORゲートX10の出力が0となれば、NOTゲートX11の出力は1になるので、ANDゲートX3の入力は、(1、1(A=1))となり、トランジスタM5はONになる。
【0056】
トランジスタM5がONであるとき、トランジスタM6には電流が流れるが、これとCM回路の特性から、トランジスタM4にも電流が流れる。
よって、抵抗電源Vhにより、抵抗Rh−A、トランジスタM4、及びトランジスタM6に電流が流れる。そして、抵抗Rh−Aに流れた電流は、全て抵抗Rh−Bに流れる(トランジスタM3はOFFであるので、抵抗Rh−Aを流れ出た電流はトランジスタM3側には分岐しない)。また、トランジスタM4を流れた電流は、トランジスタM3がOFFであるので、全て抵抗Rh−B側に流入する。さらにまた、トランジスタM6に流れた電流は、トランジスタM5に流れる。
【0057】
以上より、C=1であるときには、抵抗Rh−Aを流れた電流は、抵抗Rh−B側とトランジスタM3側とに分岐して流れ出たが、C=0であるときには、抵抗Rh−Bには、抵抗Rh−Aを流れた電流の他、トランジスタM4を流れた電流が入り込む。その結果、抵抗Rh−Aと抵抗Rh−Bとに流れる電流は、Rh−A<Rh−Bとなる。そして、その比率は、C=1とC=0とで対称となる。
【0058】
以上のようにして、抵抗Rh−Aと抵抗Rh−Bとに流れる電流量を異ならせることで、2分割した発熱抵抗体13上の気泡発生時間差を設けることができる。これにより、インク液滴の吐出方向を偏向させることができる。
また、C=1とC=0とで、インク液滴の偏向方向を、ノズル18の並び方向において対称位置に切り替えることができる。
【0059】
なお、以上の説明は、偏向制御スイッチJ3のみがON/OFFのときであるが、偏向制御スイッチJ2及びJ1をさらにON/OFFさせれば、さらに細かく抵抗Rh−Aと抵抗Rh−Bとに流す電流量を設定することができる。
すなわち、偏向制御スイッチJ3により、トランジスタM4及びM6に流す電流を制御することができるが、偏向制御スイッチJ2により、トランジスタM9及びM11に流す電流を制御することができる。さらにまた、偏向制御スイッチJ1により、トランジスタM14及びM16に流す電流を制御することができる。
【0060】
そして、上述したように、各トランジスタには、トランジスタM4及びM6:トランジスタM9及びM11:トランジスタM14及びM16=4:2:1の比率のドレイン電流を流すことができる。これにより、インク液滴の偏向方向を、偏向制御スイッチJ1〜J3の3ビットを用いて、(J1、J2、J3)=(0、0、0)、(0、0、1)、(0、1、0)、(0、1、1)、(1、0、0)、(1、0、1)、(1、1、0)、及び(1、1、1)の8ステップに変化させることができる。
さらに、トランジスタM2、M7、M12及びM17のゲートとグラウンド間に与える電圧を変えれば、電流量を変えることができるので、各トランジスタに流れるドレイン電流の比率は、4:2:1のままで、1ステップ当たりの偏向量を変えることができる。
【0061】
これにより、ノズル18からインク液滴が偏向なく(印画紙等のインク液滴の記録媒体の面に対して垂直に)吐出されたときのインク液滴の着弾位置に加え、一方側にインク液滴を偏向させて吐出することもでき、さらには他方側に偏向させて吐出することもできる。図6の例では、一方側へ8箇所、インク液滴の着弾位置を変化させることができ、さらにC=1とC=0とで、インク液滴の偏向方向を、ノズル18の並び方向において対称位置に切り替えることができる。そして、J1、J2、及びJ3の入力値に応じて、これらの8つの位置のうち、任意の位置にインク液滴を着弾させることができる。
【0062】
なお、図6の例では、3ビットの制御信号を用いて8段階にインク液滴の吐出方向を偏向させる例を挙げたが、本実施形態では、図6に示した回路を応用して、M個の異なる着弾目標位置のいちいずれかの位置にインク液滴が着弾するようにインク液滴を吐出する。
【0063】
以上説明した構成を用いて、本実施形態では、1つの画素領域に対応するノズル18の並び方向(本発明における特定方向。ライン方式での主走査方向に略垂直な方向。)のインク液滴の着弾目標位置が、着弾した液滴の領域の少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる位置のうちいずれかの位置となるように設定している。すなわち、1つの画素領域においてM個の着弾目標位置を設定するとともに、そのM個の着弾目標位置のうちいずれかの位置にインク液滴が着弾するように、インク液滴の吐出方向を偏向させる。
なお、本実施形態では、M個の着弾目標位置は、インク吐出部の配列ピッチの1/Mの間隔で割り当てるものとする。
【0064】
さらに、M個の着弾目標位置のうちいずれの位置にインク液滴を着弾させるかを、ランダムに(不規則に、あるいは規則性をもたずに)決定する。ランダムに決定する方法としては、種々の方法が挙げられるが、本実施形態では、後述する乱数発生回路22を用いて、M個の異なる着弾目標位置のうちいずれかの位置を決定する。
【0065】
さらに、1つの画素領域に、2以上のインク液滴を着弾させる場合、すなわち、複数階調の印画を行う場合には、各インク液滴ごとに、M個の着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置をランダムに決定し、その決定した位置にインク液滴を着弾させる。
図7は、1つの画素領域に対し、M個の異なる着弾目標位置のうちいずれかの位置にインク液滴を着弾させた状態を示す平面図であり、従来の着弾状態(図中、左側)と、本実施形態の着弾状態(図中、右側)とを対比して示す図である。図7において、破線で囲む正方形の領域は、画素領域である。また、円形で示すものは、着弾されたインク液滴である。
【0066】
先ず、吐出命令が1であるとき、すなわち1階調であるときには、従来の印画では、画素領域内にほぼインク液滴が入るように(図7では、着弾したインク液滴の大きさを、画素領域内に内接する大きさに図示している)、インク液滴が画素領域に着弾する。
【0067】
これに対し、本実施形態では、ノズル18の並び方向のM個の着弾目標位置のうち、いずれかの位置に着弾するように、インク液滴を吐出する。図7の例では、1つの画素領域のM=8個の着弾目標位置(8個のうちの1個は、着弾位置なしに相当するため、実質的には7個の異なる着弾位置が図示されている。)のうち、決定された1つの着弾位置にインク液滴が着弾した状態を示している(図中、実線で示す円が実際にインク液滴が着弾した位置であり、他の破線で示す円は、他の着弾目標位置を示している)。この例では、図中、左から数えて2番目の位置に決定され、この決定された位置にインク液滴が着弾した状態を図示している。
【0068】
また、吐出命令が2であるときには、その画素領域に、さらにインク液滴を重ねて着弾させる。なお、図7の例では、印画紙の送りを考慮して、画素領域内において1目盛りだけ下側にずれた状態を図示している。
そして、吐出命令が2であるときには、従来の方法では、最初に着弾したインク液滴と略同列上に(左右方向においてずれがなく)、2番目のインク液滴が着弾される。
【0069】
これに対し、本実施形態の場合には、上述したように、最初のインク液滴は、ランダムに決定された位置に着弾されるが、さらに2番目のインク液滴もまた、最初のインク液滴の着弾位置とは無関係に(最初のインク液滴とは別個独立で)ランダムに着弾位置が決定され、その決定した位置にインク液滴が着弾される。図7の例では、2番目のインク液滴は、左右方向において画素領域の中央に着弾した例を示している。
【0070】
さらにまた、吐出命令が3であるときもまた、上記の吐出命令が2であるときと同様である。従来の方法では、1つの画素領域において、左右方向にインク液滴の着弾位置がずれることなく、3つのインク液滴が着弾する。しかし、本実施形態では、吐出命令が3であるときには、3番目のインク液滴もまた、1番目及び2番目のインク液滴の着弾位置とは無関係に着弾目標位置が決定され、その決定した位置にインク液滴が着弾される。
【0071】
以上のようにインク液滴を着弾させれば、ドットを配列して画像を形成する場合に、インク吐出部の特性のばらつきに起因するスジの発生等をなくし、ばらつきを目立たなくすることができる。
すなわち、インク液滴の着弾位置の規則性が失われ、各インク液滴がランダムに配列される結果、その配列は、微視的には不均一であるが、巨視的にはむしろ均一で等方的となり、ばらつきが目立たなくなる。
【0072】
したがって、各インク吐出部のインク液滴の吐出特性によるばらつきをマスクする効果がある。ランダム化されない場合には、全体が規則的なパターンとなってドットが配列されるので、その規則性を乱す部分は、視認されやすい。特に、点画においては、色の濃淡は、ドットと下地(印画紙のドットにより覆われない部分)の面積比で表現されるが、下地の部分の残り方が規則的になればなるほど視認されやすくなる。
これに対し、規則性がなく、ランダムにドットが配列されると、その配列が少し変化した程度では視認されにくくなる。
【0073】
また、上述のラインヘッド10を複数設けて、各ラインヘッド10ごとに異なる色のインクを供給するようにしたカラーラインヘッドを備える場合には、さらに以下の効果がある。
カラーインクジェットプリンタにおいて、複数のインク液滴を重ねてドットを形成するときは、モアレが発生しないようにするため、単色以上に厳しい着弾位置精度が求められる。しかし、本実施形態のようにランダムにインク液滴を配列すれば、モアレの問題は生じず、単純な色ずれに止めることができる。したがって、モアレの発生による画質の劣化を防止することができる。
【0074】
特に、主走査方向にヘッドを何度も駆動してインク液滴を重ねていく重ね打ちを行うシリアル方式では、モアレはあまり問題にならないが、ライン方式の場合には、モアレが問題となる。そこで、本実施形態のようなランダムにインク液滴を着弾させる方法を採用すれば、モアレは出現しにくくなるので、ライン方式のインクジェットプリンタの実現を容易にすることができる。
【0075】
さらにまた、ランダムにインク液滴を着弾させることで、印画紙に着弾される総インク量は同じでも、インク液滴の着弾範囲が広がるので、着弾されたインク液滴の乾燥時間を短縮することができる。特に、ライン方式の場合には、シリアル方式より印画速度が速い(印画時間が短い)ので、その効果は顕著である。
【0076】
以上は、ノズル18の並び方向においてインク液滴の着弾位置をランダムにした場合であるが、ノズル18の並び方向に限らず、印画紙の送り方向(ノズル18の並び方向に対して略垂直な方向)において、インク液滴の着弾位置をランダムに配置しても良い。
【0077】
図8は、印画紙の送り方向において、1つの画素領域に、インク液滴を最大N個(本実施形態ではN=8)重ねて配置するときに、ランダムに配置する例を示す平面図であり、図7と同様に、従来の方法を図中、左側に示し、本実施形態における方法を図中、右側に示す。この例は、図7と同様に、N=8個の着弾目標位置(8個のうちの1個は、着弾位置なしに相当する)のうち、決定された1つの位置にインク液滴が着弾した状態を示している。
なお、本実施形態では、主走査方向において1つの画素領域にN回の吐出可能期間を割り当てている。
【0078】
先ず、従来の方法において、吐出命令が1であるときは、上述の場合と同様である。これに対し、本実施形態の場合には、1つの画素領域におけるインク液滴の着弾目標位置を、図中、上下方向(印画紙の送り方向、主走査方向、又はノズル18の並び方向に対して垂直な方向)において最大N個に設定し、そのうちのいずれか1つをランダムに決定して、その決定した位置にインク液滴を着弾させるようにする。
【0079】
図8において、本実施形態では、吐出命令が1であるときに、上から2番目の着弾目標位置にインク液滴を着弾させた例を示している。
なお、印画紙の送り方向においてインク液滴をランダムに着弾させる場合には、上述したような回路を用いて吐出方向を偏向させるのではなく、印画紙の送りとのタイミングをとって、吐出命令をヘッド11に与えれば良い。例えば図8において、画素領域の中心とインク液滴の中心とが略一致する位置を基準位置とし、図8中、1目盛り分だけ着弾位置をずらすときの吐出時間差をΔTとする。
【0080】
この場合に、図8中、吐出命令が1であるときの本実施形態では、基準位置より2目盛りだけ上に(早く)インク液滴を着弾させれば良いので、基準の吐出タイミングより、2×ΔTだけ早くインク液滴を吐出すれば良い。これとは逆に、例えば画素領域中の最も下側にインク液滴を吐出する場合には、基準位置より3目盛りだけ下に(遅く)インク液滴を着弾させれば良いので、基準の吐出タイミングより、3×ΔTだけ遅くインク液滴を吐出すれば良い。
【0081】
同様に、吐出命令が2であるときは、従来の方法では、図7と同じであるが、本実施形態では、2番目のインク液滴の吐出においても、最初のインク液滴の吐出とは無関係に、ランダムに着弾位置を決定し、その位置にインク液滴を吐出する。図8の例では、吐出命令が2であるときのインク液滴の着弾位置は、基準位置に対し、下側にずれた状態を示している。
【0082】
このように、吐出命令数0〜Nに対し、吐出数がKであるときのパターンの組合せは、N個の中からK個を取り出すときの組合せ数となるので、
/K!
となる。
したがって、同じ吐出命令に対して同じランダムパターンが発生する確率は、
1/
となる。
【0083】
上述したように、インク液滴の着弾位置をランダムにすれば、ばらつきを視認しにくくなると同時に、吐出電力の平均化及びインク供給の平均化を図ることができる。
本実施形態のように、発熱抵抗体13を加熱してインク液滴を吐出させるサーマル方式の場合には、インク液滴の吐出時にはかなりのエネルギーを必要とする。例えば、1つのインク吐出部あたり、0.7〜0.8W程度である。このような特性を有するヘッド11を多数並設してラインヘッド10を構成した場合には電力集中が生じ、電源の負荷が極めて大きくなってしまう。しかし、本実施形態のように吐出タイミングのランダム化を行うことにより、時間軸で同時のタイミングでの吐出されるインク吐出部数を少なくすることができるので、電力集中を緩和することができる。
【0084】
また、サーマル方式に限らず、ピエゾ方式にも共通することであるが、ラインヘッド10のように印画速度が速くなるほど、インク流路内でのインクの移動速度も速くなる。そして、インク流路内で一気にインクが供給されると、インク流路内のインクの気圧が低下するので、インク内に溶けている気泡が発生しやすくなるという問題が生じる。これらの変動は、メニスカスの変動となって現れ、吐出されるインク液滴量が変化してしまう。したがって、インク流路内でのインクの移動は、できるだけ平均的に、かつ低速で行うことが望ましい。そして、本実施形態のように、吐出タイミングのランダム化を行えば、インク流路からのインクの供給量の均一化を図ることができる。
【0085】
また、図8に示したように、印画紙の送り方向(ノズル18の並び方向に対して略垂直な方向)に対して、画素領域へのインク液滴の着弾位置をランダムに変化させることと、図7で説明したように、ノズル18の並び方向に対してインク液滴を偏向吐出し、画素領域へのインク液滴の着弾位置をランダムに変化させることとを同時に実行すれば、インク液滴の着弾位置は、よりランダム化され、そのランダム化の効果を高めることができる。
【0086】
図9は、この場合の例を説明する平面図であり、図中、左側は、従来の方法を示し、右側は、本実施形態の方法を示す。
従来の方法を採用すれば、ノズル18の並び方向やこれに垂直な方向にインク液滴の着弾目標位置がばらつくことはない。これに対し、本実施形態では、ノズル18の並び方向(図中、左右方向)及びこの方向に略垂直な方向(図中、上下方向)にランダムにインク液滴を着弾させるので、いずれの方向にも着弾位置がばらつくこととなる。本実施形態では、画素領域の面積の周辺に拡大された、ドットの半径分だけ大きい領域が、インク液滴が着弾される可能性のある領域となる。これにより、隣接するドットとの隙間をランダムに埋めることができるようになる。
【0087】
図10は、以上のようにして、インク液滴をランダムに着弾させるときの制御の概略を説明する図である。図10では、従来の方式での制御の概略を併せて図示している。
図10において、記録信号発生マップ21は、印画紙の送り方向において、どの位置にインク液滴を着弾させるかを決定するためのものである。例えば、1つの画素領域に対し、2つのインク液滴を着弾させる場合には、図8中、N個の位置のうち、いずれの2箇所とするかを決定するためのものである。この記録信号発生マップ21に従い、印画紙の送り方向における吐出タイミングを制御する。
【0088】
従来の方法では、記録信号発生マップに基づいて、ヘッドに対して吐出命令を送るだけである。これに対し、本実施形態では、記録信号発生マップ21及び乱数発生回路22を介してヘッド11に吐出命令を送る。すなわち、ノズル18の並び方向においては、乱数発生回路22を介してランダムに偏向方向(インク液滴の着弾目標位置)を決定し、偏向命令をヘッド11に送る。
【0089】
同時に、記録信号発生マップ21を参照して、どの吐出タイミングでインク液滴を吐出するかを決定し、吐出命令をヘッド11に送る。これにより、インク液滴は、画素領域に対し、ノズル18の並び方向においてランダムに偏向して吐出されるとともに、その方向に略垂直な方向(主走査方向)に対してもランダムな吐出タイミングで吐出される。よって、画素領域に対し、図9に示したように、ノズル18の並び方向及びこの方向に略垂直な方向にランダム化されて着弾される。
【0090】
続いて、インク液滴の偏向吐出命令の与え方について説明する。
原則的には、各インク吐出部ごとに独立して偏向吐出命令を与えれば良いが、各インク吐出部からのインク液滴をM個の異なる位置に着弾させるためには、log M個のビットが必要になる。例えば上述した例のようにM=8とする場合には、3ビットが必要となる。
【0091】
全てのインク吐出部に対し、異なるタイミングや電圧、データが要求されると、1つのヘッド11には、少なくとも数百個のインク吐出部が配列されるので、これらの全ての配線を行うことは、ヘッド11が極めて大型化してしまい、現実的には不可能となる。そこで、本実施形態では、全てのインク吐出部の同位にあるビットを共通に接続して各インク吐出部の吐出方向を制御するか、又はシリアル化された信号により全てのインク吐出部の吐出方向を制御するように構成する。
【0092】
図11は、本実施形態における各インク吐出部ごとの接続状態を示す図である。この例では、M=8、すなわち3ビットとし、各ビットをJ1、J2及びJ3とする。また、図11では、4つのインク吐出部A〜Dを図示している。
このとき、各ビット(J1〜J3)を並列に接続して、全体でも3ビットで制御しているが、回路的には、信号をシリアル化して1本の配線で信号を分配するようにしても良い。このような接続方法を採用したとしても、隣接するインク吐出部を異なるパターンでランダム化することができるのは、以下の理由による。
【0093】
先ず、接続された全てのインク吐出部を同時に駆動してインク液滴を吐出させることはしない点にある。また、同時に駆動するインク吐出部は、複数存在するが、同時に駆動するインク吐出部として、隣接するインク吐出部は選択されない。さらにまた、隣接するインク吐出部が同一のランダム化されたパターンになる確率は低いからである。
【0094】
通常、複数のインク吐出部からインク液滴を同時に吐出させているが、このときに選択されるインク吐出部は、ある程度離れたインク吐出部が選択される。ここで、例えば、1つのインク吐出部からインク液滴が吐出されると、その吐出時の振動がインク液室やインク流路に伝わり、隣接するインク吐出部がその影響を受ける。
【0095】
この影響は、メニスカス(ノズル内のインク液面の位置)の変動となって現れ、メニスカスが変動した状態でインク液滴を吐出させると、着弾したドットの大きさが変化してしまうので、このような吐出を避けている。このため、1つのインク吐出部からインク液滴が吐出されると、そのインク吐出部に隣接するインク吐出部からは、メニスカスの変動がおさまるまでの間はインク液滴を吐出させないように制御し、同時にインク液滴を吐出するインク吐出部としては、離れた位置にあるインク吐出部を選択している。これにより、3ビットの信号を同時に全てのインク吐出部に送ったとしても、隣接するインク吐出部がその信号により同時にインク液滴を吐出することはないので、特に問題はない。
【0096】
なお、グラフィックデータ等で、隣接するインク吐出部に与えられる信号が全く同一になる可能性がある場合には、予め複数の記録信号発生マップ21を設けておき、それを切り替えて用いるようにしても良い。また、たとえば隣接する画素領域に対し、同一のインク液滴の着弾数が与えられたときは、その隣接するインク吐出部の吐出命令が異なるようにしても良い。さらには、隣接するインク吐出部からインク液滴が吐出されるまでの間に、偏向命令を異なるものとして、隣接する画素領域の吐出パターンを異なるようにしても良い。
【0097】
以上説明した実施形態は、図2に示したように、印画紙の全幅に相当する分だけヘッド11を並設したライン方式の場合であるが、シリアル方式に適用することも可能である。
シリアル方式に適用する場合には、1つのヘッド11を用いて、そのヘッド11と印画紙とを走査方向に相対移動させるとともに、その相対移動中に画素領域にインク液滴を着弾させる。なお、相対移動としては、通常、印画紙を停止させておくとともに、ヘッド11を、印画紙の幅方向に移動させる。
【0098】
図12は、従来のシリアル方式における印画方法と、本発明を適用した印画方法とを比較して説明する図である。
この比較において、1つの画素領域に対し、4つのインク液滴を着弾させて、1つの画素を形成するものとする。
【0099】
この場合、従来の印画方法においては、4回の主走査方向における印画で画素が形成される。例えば、1つの画素領域に対し、1回の主走査方向における印画で1つのインク液滴を着弾させた後、印画紙をわずかに送り、さらに再度、主走査方向における印画を行うことで、先に着弾させたインク液滴に重ねてインク液滴を着弾させるようにする。このような主走査方向への印画を4回繰り返すことで、画素を形成する。
また、図12の例では、ヘッドの戻り時間と、主走査方向における1回の印画時間とを、略同時間に設定している。
【0100】
これに対し、本発明をシリアル方式に適用する場合において、ヘッド11は、ヘッド11の長手方向が副走査方向(印画紙の送り方向)となるように配置される。すなわち、ラインヘッド10を構成する場合のヘッド11の配置に対して、90度だけ回転させた配置とする。
そして、ヘッド11を主走査方向に移動させて印画を行うときには、吐出方向をランダムに偏向させてインク液滴を吐出する。これにより、本発明を適用したシリアル方式の場合には、ヘッド11が90度だけ回転させた状態に配置されているので、インク液滴の吐出時の偏向方向は、副走査方向(印画紙の送り方向)となる。
【0101】
また、本例では、1つの画素領域に4つのインク液滴を着弾させるのであるが、本発明では、これをヘッド11の1回の主走査方向への移動中に行う。このため、本発明による方法は、従来の方法と比較すると、1回の主走査方向へのヘッド11の移動時間は、4倍となる。すなわち、本発明では、主走査方向における1回の印画時間は、従来の主走査方向における4回の印画時間の総和と同じである。
【0102】
しかし、従来の印画方法では、主走査方向に並ぶ画素領域への印画を終了するためには、主走査方向における4回の印画と、4回のヘッドの戻り時間とが必要である。すなわち、従来の方法では、インク液滴を偏向させて吐出することはできないため、1つの画素領域に複数のインク液滴を着弾させる場合には、着弾させるインク液滴の数だけ、主走査方向への印画を繰り返す必要があるためである。
【0103】
これに対し、本発明では、主走査方向における1回の印画で、主走査方向に並ぶ画素領域への印画を終了することができる。つまり、このことは、1回の主走査方向における印画で重ね打ちができることを意味する。
このため、本発明による印画方法は、従来の印画方法と比較すると、ヘッドの戻りが1回で済むため、3回のヘッドの戻り時間の分だけ印画時間を短縮することができる。
【0104】
また、シリアル方式では、副走査方向(印画紙の長手方向、すなわち印画紙の進行方向)において、着弾されたインク液滴のばらつき等が印画紙の幅方向へのスジとなって目立ちやすくなるが(主走査方向のばらつきは目立ちにくい)、本発明のように、インク液滴を副走査方向に偏向させて吐出すれば、インク液滴の着弾ばらつきを目立たなくすることができる。
【0105】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)本実施形態では、インク吐出部に対応する画素領域、すなわち画素領域のほぼ真上に位置するインク吐出部からインク液滴を吐出して、その画素領域にインク液滴を着弾させたが、これに限らず、隣接する他のインク吐出部からその画素領域にインク液滴を着弾させることも可能である。
例えば、隣接するインク吐出部「X」とインク吐出部「X+1」とからインク液滴を吐出する場合において、インク吐出部「X」及びインク吐出部「X+1」にそれぞれ対応する画素領域を、画素領域「Y」及び画素領域「Y+1」とする。
【0106】
この場合には、インク吐出部「X」からインク液滴を吐出して画素領域「Y」に着弾させることができるとともに、その隣の画素領域「Y+1」にインク液滴を着弾させることもできる。同様に、インク吐出部「X+1」からインク液滴を吐出して画素領域「Y+1」に着弾させることができるとともに、その隣の画素領域「Y」にインク液滴を着弾させることもできる。
ここで、例えばインク吐出部「X」から吐出したインク液滴を画素領域「Y+1」に着弾させる場合には、画素領域「Y+1」の上記M個の目標着弾位置のうちいずれかの位置に着弾させる。他の場合にも同様である。
【0107】
このようにすることにより、例えば画素領域「Y」にインク液滴を着弾させる場合には、インク吐出部「X」からインク液滴を吐出して着弾させることができるとともに、インク吐出部「X−1」からインク液滴を吐出し、画素領域「Y」にインク液滴を着弾させることもできる。さらに、インク吐出部「X+1」からインク液滴を吐出し、画素領域「Y」にインク液滴を着弾させることもできる。なお、例えばインク吐出部「X」からインク液滴を吐出させたときに、画素領域「Y−1」や「Y+1」にインク液滴を着弾させることに限らず、画素領域「Y−2」や「Y+2」に、すなわちインク吐出部「X」に対応する画素領域「Y」に隣接する画素領域「Y−1」や「Y+1」に限らず、近隣に位置する画素領域にインク液滴を着弾させるようにしても良い。
【0108】
以上より、1つの画素領域に対して複数のインク液滴を着弾させて1つのドットを形成する場合に、複数のインク吐出部を用いてそのドットを形成することができるので、インク吐出部固有のばらつきをさらに目立たなくすることができる。
また、1つの画素領域に対しては、同一のインク吐出部を用いるが、その画素領域の下側に位置する画素領域については、他のインク吐出部を用いてドットを形成しても良い。
【0109】
(2)1つの画素領域に対してM個の異なる位置にインク液滴を着弾させてランダム化を行う場合には、M個は、2以上の正の整数であればいくつでも良く、本実施形態で示した数に限定されるものではない。同様に、印画紙の搬送方向(インク吐出部の並び方向に略垂直な方向)において、1つの画素領域に対して着弾させるインク液滴の数Nは、いくつでも良い。したがって、M=Nの関係でも良く、M≠Nの関係にあっても良い。
また、1つの画素領域に着弾させる最大インク液滴数(最大階調数)は、いくつのものに対しても本発明を適用することができる。
【0110】
(3)本実施形態では、1つの画素領域に対し、着弾されたインク液滴の中心がその画素領域内に入るように、その範囲内でインク液滴の着弾位置をランダムに変化させるようにしたが、これに限らず、着弾されたインク液滴の少なくとも一部がその画素領域内に入る程度であれば、本実施形態以上の範囲で着弾位置をばらつかせることも可能である。
【0111】
(4)インク液滴の着弾目標位置をランダムに決定する場合に、本実施形態では乱数発生回路22を用いたが、ランダムに決定する方法としては、選択される着弾位置に規則性がなければ、いかなる方法であっても良い。さらに、乱数発生の方法としても、例えば2乗中心法、合同法、シフト・レジスタ法等が挙げられる。
(5)本実施形態において、図11では、J1〜J3の3ビットの制御信号を用いたが、これに限らず、何ビットの制御信号を用いても良い。
【0112】
(6)本実施形態では、2つの発熱抵抗体13を並設し、それぞれに流れる電流値を変えて、各発熱抵抗体13上においてインクが沸騰するに至る時間(気泡発生時間)に時間差を設けるようにした。しかし、これに限らず、2つの発熱抵抗体13の抵抗値を同一とし、電流を流す時間のタイミングに差異を設けるものであっても良い。例えば2つの発熱抵抗体13ごとに、それぞれ独立したスイッチを設け、各スイッチを時間差をもってオンにすれば、各発熱抵抗体13上のインクに気泡が発生するに至る時間に時間差を設けることができる。さらには、発熱抵抗体13に流れる電流値を変えることと、電流を流す時間に時間差を設けたものとを組み合わせて用いても良い。
【0113】
(7)本実施形態では、1つのインク液室12内で発熱抵抗体13を2つ並設した例を示したが、2つとしたのは、耐久性を有することが十分に実証されており、かつ回路構成も簡素化できるからである。しかし、これに限らず、1つのインク液室12内において3つ以上の発熱抵抗体13を並設したものを用いることも可能である。
【0114】
(8)本実施形態では、サーマル方式のインク吐出部として発熱抵抗体13を設けたものを例に挙げたが、これに限らず、静電吐出方式やピエゾ方式のものについても適用可能である。
静電吐出方式のエネルギー発生素子(発熱抵抗体13に相当するもの)は、振動板と、この振動板の下側に、空気層を介した2つの電極を設けたものである。そして、両電極間に電圧を印加し、振動板を下側にたわませ、その後、電圧を0Vにして静電気力を開放する。このとき、振動板が元の状態に戻るときの弾性力を利用してインク液滴を吐出するものである。
この場合には、各エネルギー発生素子のエネルギーの発生に差異を設けるため、例えば振動板を元に戻す(電圧を0Vにして静電気力を開放する)ときに2つのエネルギー発生素子間に時間差を設けるか、又は印加する電圧値を2つのエネルギー発生素子で異なる値にすれば良い。
【0115】
また、ピエゾ方式のエネルギー発生素子は、両面に電極を有するピエゾ素子と振動板との積層体を設けたものである。そして、ピエゾ素子の両面の電極に電圧を印加すると、圧電効果により振動板に曲げモーメントが発生し、振動板がたわみ、変形する。この変形を利用してインク液滴を吐出するものである。
この場合にも、上記と同様に、各エネルギー発生素子のエネルギーの発生に差異を設けるため、ピエゾ素子の両面の電極に電圧を印加するときに2つのピエゾ素子間に時間差を設けるか、又は印加する電圧値を2つのピエゾ素子で異なる値にすれば良い。
【0116】
(9)本実施形態では、インク吐出部(ノズル18)の並び方向にインク液滴の吐出方向を偏向できるようにした。これは、インク吐出部の並び方向に2つの発熱抵抗体13を並設したからである。しかし、インク吐出部の並び方向とインク液滴の偏向方向とは、必ずしも完全に一致している必要はなく、多少のずれがあっても、インク吐出部の並び方向とインク液滴の偏向方向とが完全に一致しているときと略同一の効果が期待できる。したがって、この程度のずれがあっても差し支えない。
【0117】
【発明の効果】
本発明によれば、画素領域に液滴をランダムに配置するようにしたので、▲1▼ドット配列のばらつきをなくすことができる。特にライン方式においては、液体吐出部間のばらつきとして、ドット列間にスジが入ってしまうこと等を防止することができる。これにより、液体吐出部固有のばらつきによる液滴の着弾位置の偏り等をなくし、全体のドット配列としては、方向性のない均一なものにすることで、高品質の画像を得ることができる。
【0118】
さらに、本発明によれば、▲2▼液体吐出部の液滴の吐出特性によるばらつきをマスクする効果を得ることができる。すなわち、不吐出の液体吐出部があっても、マスクされるので、不吐出の液体吐出部の影響が見えにくくなる。また、▲3▼モアレがなくなる。特に、カラー印刷において、本発明を適用することにより、モアレの発生を防止することができる。さらにまた、▲4▼上記▲1▼〜▲3▼の効果の結果、階調特性が向上する、等の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタのヘッドを示す分解斜視図である。
【図2】ラインヘッドの実施形態を示す平面図である。
【図3】図1のヘッドのインク吐出部をより詳細に示す平面図及び側面の断面図である。
【図4】インクの吐出方向の偏向を説明する図である。
【図5】(a)、(b)は、分割した発熱抵抗体を有する場合に、各々の発熱抵抗体によるインクの気泡発生時間差とインクの吐出角度との関係を示すシミュレーション結果であり、(c)は、分割した発熱抵抗体間の電流量の差(偏向電流)と偏向量との関係を示す実測値データである。
【図6】2つの分割した発熱抵抗体の気泡発生時間差を設定できるように構成したものの一実施形態を示す。
【図7】1つの画素領域に対し、M個の異なる着弾目標位置のうちいずれかの位置にインク液滴を着弾させた状態を示す平面図である。
【図8】印画紙の送り方向において、1つの画素領域に、インク液滴をN個重ねて配置するときに、ランダムに配置する例を示す平面図である。
【図9】ノズルの並び方向及び印画紙の送り方向の双方に、インク液滴をランダムに着弾させた例を示す平面図である。
【図10】インク液滴をランダムに着弾させるときの制御の概略を説明する図である。
【図11】本実施形態における各インク吐出部ごとの接続状態を示す図である。
【図12】従来のシリアル方式における印画方法と、本発明を適用した印画方法とを比較して説明する図である。
【図13】ドット配列のばらつきを説明する図である。
【図14】図13と同じドット列のずれに対して、全体のドットサイズをドットピッチの√2倍強に設定した場合の例を示す図である。
【図15】重ね打ちをしたときの状態を示す図である。
【符号の説明】
10 ラインヘッド
11 ヘッド
12 インク液室
13 発熱抵抗体
18 ノズル
21 記録信号発生マップ
22 乱数発生回路

Claims (10)

  1. ノズルを有する液体吐出部から吐出される液滴の吐出方向を特定方向において複数の方向に偏向可能なヘッドを備え、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応するドットを形成する液体吐出装置であって、
    1つの画素領域における前記特定方向の液滴の着弾目標位置が、着弾した液滴の領域の少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる位置のうちいずれかの位置となるように、前記液体吐出部から吐出される液滴の吐出方向を設定し、
    前記液体吐出部から吐出される液滴ごとに、前記M個の着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置をランダムに決定し、その決定した着弾目標位置に液滴が着弾するように、前記液体吐出部から吐出される液滴の吐出方向を制御する
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 請求項1に記載の液体吐出装置において、
    1つの画素領域における液滴の着弾目標位置を、前記特定方向と異なる方向において、着弾した液滴の領域の少なくとも一部がその画素領域内に入る前記N個の異なる位置のうちいずれかの位置に設定し、
    1つの画素領域に着弾させる液滴数が1個以上であって前記N個未満であるときには、前記N個の着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置をランダムに決定し、その決定した位置に液滴を着弾させる
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  3. 請求項1に記載の液体吐出装置において、
    前記M個の着弾目標位置の制御は、複数のビットを用いて行うものであり、
    全ての前記液体吐出部の同位にあるビットを共通に接続して各前記液体吐出部の吐出方向を制御するか、又はシリアル化された信号により全ての前記液体吐出部の吐出方向を制御するように構成されている
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  4. 請求項1に記載の液体吐出装置において、
    液滴を偏向させて吐出したときに、近隣に位置する他の前記液体吐出部から液滴が偏向なく吐出されたときの液滴の着弾目標位置に対応する画素領域に液滴を着弾させることができるように構成されており、
    1つの画素領域に2以上の液滴を着弾させるときは、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部を用いるとともに、その少なくとも1つの前記液体吐出部から吐出される液滴の吐出方向を偏向させて、その画素領域に複数の液滴を着弾させる
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  5. ノズルを有する液体吐出部を設けたヘッドを備え、液滴を着弾させる記録媒体と前記ヘッドとを特定方向に相対移動させるとともに、その相対移動中に、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応するドットを形成する液体吐出装置であって、
    1つの画素領域における前記特定方向に略垂直な方向の液滴の着弾目標位置が、着弾した液滴の領域の少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる位置のうちいずれかの位置となるように、前記液体吐出部から吐出される液滴の吐出方向を設定し、
    前記液体吐出部から吐出される液滴ごとに、前記M個の着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置をランダムに決定し、その決定した着弾目標位置に液滴が着弾するように、前記液体吐出部から吐出される液滴の吐出方向を制御し、
    1つの画素領域に2以上の液滴を着弾させるときは、前記特定方向における前記記録媒体と前記ヘッドとの相対移動中に、その画素領域に、前記M個の吐出方向のうち2以上の吐出方向に液滴を吐出することにより、前記特定方向における前記記録媒体と前記ヘッドとの相対移動によってその画素領域に対応するドットを形成する
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  6. ノズルを有する液体吐出部を特定方向に複数並設したヘッドを備え、液滴を着弾させる記録媒体と前記ヘッドとを前記特定方向に略垂直な方向に相対移動させるとともに、その相対移動中に、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応するドットを形成する液体吐出装置であって、
    1つの画素領域における前記特定方向の液滴の着弾目標位置が、着弾した液滴の領域の少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる位置のうちいずれかの位置となるように、前記液体吐出部から吐出される液滴の吐出方向を設定し、
    前記液体吐出部から吐出される液滴ごとに、前記M個の着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置をランダムに決定し、その決定した着弾目標位置に液滴が着弾するように、前記液体吐出部から吐出される液滴の吐出方向を制御する
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  7. 請求項1、請求項5又は請求項6のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
    前記ヘッドは複数設けられ、
    各前記ヘッドは、供給される液体が異なるものであり、
    1つの画素領域に、いずれかの前記ヘッドの前記液体吐出部から吐出した液滴と、他のいずれかの前記ヘッドの前記液体吐出部から吐出した液滴とを着弾させて、その画素領域に対応するドットを形成する
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  8. 1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応するドットを形成する液体吐出方法であって、
    1つの画素領域における特定方向の液滴の着弾目標位置が、着弾した液滴の領域の少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる位置のうちいずれかの位置となるように、液滴の吐出方向を設定し、
    吐出する液滴ごとに、前記M個の着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置をランダムに決定し、その決定した着弾目標位置に液滴が着弾するように、液滴の吐出方向を制御する
    ことを特徴とする液体吐出方法。
  9. ノズルを有する液体吐出部を設けたヘッドと、液滴を着弾させる記録媒体とを特定方向に相対移動させるとともに、その相対移動中に、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応するドットを形成する液体吐出方法であって、
    1つの画素領域における前記特定方向に略垂直な方向の液滴の着弾目標位置が、着弾した液滴の領域の少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる位置のうちいずれかの位置となるように、液滴の吐出方向を設定し、
    吐出する液滴ごとに、前記M個の着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置をランダムに決定し、その決定した着弾目標位置に液滴が着弾するように、液滴の吐出方向を制御し、
    1つの画素領域に2以上の液滴を着弾させるときは、前記特定方向における前記記録媒体と前記ヘッドとの相対移動中に、その画素領域に、前記M個の吐出方向のうち2以上の吐出方向に液滴を吐出することにより、前記特定方向における前記記録媒体と前記ヘッドとの相対移動によってその画素領域に対応するドットを形成する
    ことを特徴とする液体吐出方法。
  10. ノズルを有する液体吐出部を特定方向に複数並設したヘッドと、液滴を着弾させる記録媒体とを前記特定方向に略垂直な方向に相対移動させるとともに、その相対移動中に、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応するドットを形成する液体吐出方法であって、
    1つの画素領域における前記特定方向の液滴の着弾目標位置が、着弾した液滴の領域の少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる位置のうちいずれかの位置となるように、液滴の吐出方向を設定し、
    吐出する液滴ごとに、前記M個の着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置をランダムに決定し、その決定した着弾目標位置に液滴が着弾するように、液滴の吐出方向を制御する
    ことを特徴とする液体吐出方法。
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