JP4036082B2 - 液体吐出装置 - Google Patents

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノズルを有する液体吐出部を複数並設したヘッドを備える液体吐出装置に関し、液体吐出部のノズルから吐出される液滴の吐出方向を偏向させるとともに、複数の液滴を着弾させて1つのドットを形成する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット方式ラインヘッドを用いた印画装置においては、個々の吐出部の吐出方向のばらつきが、印画方向にそって並んでしまうため、吐出方向のばらついたヘッドを用いると、本来図8(b)のように印画したいところが、図8(a)のようにスジむらの入った印画物になってしまうという問題があった。
【0003】
また、従来より、インクジェットプリンタにおいて、ドット数変調(複数のインク液滴で1ドット(画素)を形成する方法)が知られている。図9は、ドット数変調を説明する図である。この方法は、1つの画素領域内に、インク液滴を、連続して複数回吐出するものである。そして、最初に着弾したインク液滴が印画紙に吸収(浸透)されきらないうちに、少なくとも一部の領域が重なり合うように次のインク液滴を着弾させる。図9の例では、インク液滴を1回着弾させた例から、5回着弾させた例までを図示している。そして、インク液滴が印画紙に吸収(浸透)されきらないうちに次のインク液滴を順次着弾させることで、複数のインク液滴が合体して、1つの大きなドット(画素)が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記問題点を解決しつつ、ドット変調を行う方法として、液体吐出部を複数並設したヘッド(ラインヘッド)を備える液体吐出装置において、液体の吐出方向を制御(偏向)できるようにするとともに、複数のインク吐出部を用いて1つの画素領域にインク液滴を(複数)着弾させて1つのドットを形成するドット数変調を可能にした技術が、本件出願人により提案されている(特願2002−161928)。
【0005】
しかし、複数のインク吐出部を用いてインク液滴を(複数)着弾させて1つのドットを形成する場合、1つのドットに対して複数のインク吐出部が対応することとなるので、吐出命実行の信号処理が複雑なものとなる。
さらに、複数のインク吐出部から吐出された複数の液滴によって1つのドットを形成する場合には、図10に示すように、各インク吐出部から吐出されるインク液滴の着弾位置ずれが大きくなる傾向がある。このため、図10に示すように、複数のインク液滴が合体して1つのドットが形成されたときに、そのドット形状が円に近い形状にならず、画質を劣化させる原因になるおそれがある。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、液滴の吐出方向を偏向できるヘッドを用いて、複数の液滴により1つのドットを形成する場合に、1つのドットを形成する複数の液滴間の着弾位置ずれを小さくし、ドットの品位を高め、ひいては画質の向上を図ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。
本発明の1つである請求項1に記載の発明は、ノズルを有する液体吐出部を複数並設したヘッドを備える液体吐出装置であって、各前記液体吐出部の前記ノズルから吐出される液滴の吐出方向を、近隣に位置する他の前記液体吐出部の前記ノズルから液滴が偏向なく吐出されたときの液滴の着弾位置又はその近傍に液滴を着弾させることができるように偏向させる吐出方向偏向手段と、少なくとも一部の着弾領域が重なり合うように複数の液滴を着弾させて1つのドットを形成する場合に、前記液体吐出部の並び方向に垂直な方向の隣接する2つのドットのうち、一方のドットを、1の前記液体吐出部の前記ノズルから吐出された複数の液滴により形成するとともに、他方のドットを、前記1の液体吐出部と異なる他の1の前記液体吐出部の前記ノズルから吐出された複数の液滴により形成するように制御する吐出制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
(作用)
上記発明においては、各液体吐出部のノズルから、吐出方向を偏向させることなく液滴を吐出させることができるとともに、吐出方向を偏向させて、近隣に位置する他の液体吐出部のノズルから液滴が偏向なく吐出されたときの液滴の着弾位置又はその近傍に、液滴を着弾させることができる。例えば、隣接する液体吐出部xと液体吐出部(x+1)とから液滴を吐出する場合において、液体吐出部x及び液体吐出部(x+1)からそれぞれ液滴が偏向なく吐出されたときの着弾位置を、それぞれ着弾位置x及び着弾位置(x+1)とすると、液体吐出部xは、液滴を偏向なく吐出して着弾位置xに着弾させることができるとともに、液滴の吐出方向を偏向させて着弾位置(x+1)に液滴を着弾させることもできる。同様に、液体吐出部(x+1)は、液滴を偏向なく吐出して着弾位置(x+1)に着弾させることができるとともに、液滴の吐出方向を偏向させて着弾位置xに液滴を着弾させることもできる。
【0009】
そして、少なくとも一部の着弾領域が重なり合うように複数の液滴を着弾させてドットを形成する場合に、そのドットを形成するのに用いられる液体吐出部は、1つの液体吐出部のみである。さらに、液体吐出部の並び方向に垂直な方向の隣接する他のドットについては、上記ドットを形成するのに用いた液体吐出部とは異なる液体吐出部、例えば液体吐出部の並び方向において隣接する他の液体吐出部が用いられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、本明細書において、「インク液滴」とは、後述するインク吐出部のノズル18から1回の吐出動作によって吐出されるインク(液体)をいう。また、「ドット」とは、1つの画素領域内に、1又は複数のインク液滴が印画紙等に着弾して形成された画素をいう。
したがって、1つの画素領域内に、1又は複数のインク液滴が着弾し、1つのインク液滴からなる1つのドット(1階調)、又は複数のインク液滴からなる1つのドット(複数階調)が形成される。すなわち、1つの画素領域には、1つのドットが対応している。
なお、1つの画素領域内に1つもインク液滴がうたれない場合があることはいうまでもない。
【0011】
(ヘッドの構造)
図1は、本発明による液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)のヘッド11を示す分解斜視図である。図1において、ノズルシート17は、バリア層16上に貼り合わされるが、このノズルシート17を分解して図示している。
ヘッド11において、基板部材14は、シリコン等からなる半導体基板15と、この半導体基板15の一方の面に析出形成された発熱抵抗体13(本発明におけるエネルギー発生手段に相当するもの)とを備えるものである。発熱抵抗体13は、半導体基板15上に形成された導体部(図示せず)を介して外部回路と電気的に接続されている。
【0012】
また、バリア層16は、例えば、露光硬化型のドライフィルムレジストからなり、半導体基板15の発熱抵抗体13が形成された面の全体に積層された後、フォトリソプロセスによって不要な部分が除去されることにより形成されている。さらにまた、ノズルシート17は、複数のノズル18が形成されたものであり、例えば、ニッケルによる電鋳技術により形成され、ノズル18の位置が発熱抵抗体13の位置と合うように、すなわちノズル18が発熱抵抗体13に対向するようにバリア層16の上に貼り合わされている。
【0013】
インク液室12(本発明における液室に相当するもの)は、発熱抵抗体13を囲むように、基板部材14とバリア層16とノズルシート17とから構成されたものである。すなわち、基板部材14は、図中、インク液室12の底壁を構成し、バリア層16は、インク液室12の側壁を構成し、ノズルシート17は、インク液室12の天壁を構成する。これにより、インク液室12は、図1中、右側前方面に開口領域有し、この開口領域とインク流路(図示せず)とが連通される。
【0014】
上記の1個のヘッド11には、通常、100個単位のインク室12と、各インク室12内にそれぞれ配置された発熱抵抗体13とを備え、プリンタの制御部からの指令によってこれら発熱抵抗体13のそれぞれを一意に選択して発熱抵抗体13に対応するインク液室12内のインクを、インク液室12に対向するノズル18から吐出させることができる。
【0015】
すなわち、ヘッド11と結合されたインクタンク(図示せず)から、インク液室12にインクが満たされる。そして、発熱抵抗体13に短時間、例えば、1〜3μsecの間パルス電流を流すことにより、発熱抵抗体13が急速に加熱され、その結果、発熱抵抗体13と接する部分に気相のインク気泡が発生し、そのインク気泡の膨張によってある体積のインクが押しのけられる(インクが沸騰する)。これによって、ノズル18に接する部分の上記押しのけられたインクと同等の体積のインクがインク液滴としてノズル18から吐出され、印画紙上に着弾され、ドットが形成される。
【0016】
なお、本明細書において、1つのインク液室12と、このインク液室12内に配置された発熱抵抗体13と、その上部に配置されたノズル18とから構成される部分を、「インク吐出部(本発明における液体吐出部に相当するもの)」と称する。すなわち、ヘッド11は、複数のインク吐出部を並設したものといえる。
【0017】
さらに本実施形態では、複数のヘッド11を印画紙幅方向に並べて、ラインヘッドを形成している。図2は、ラインヘッド10の実施形態を示す平面図である。図2では、4つのヘッド11(「N−1」、「N」、「N+1」及び「N+2」)を図示している。ラインヘッド10を形成する場合には、図1中、ヘッド11からノズルシート17を除く部分(ヘッドチップ)を複数並設する。そして、これらのヘッドチップの上部に、全てのヘッドチップの各インク吐出部に対応する位置にノズル18が形成された1枚のノズルシート17を貼り合わせることにより、ラインヘッド10を形成する。
【0018】
続いて、本実施形態のインク吐出部をより詳細に説明する。
図3は、ヘッド11のインク吐出部をより詳細に示す平面図及び側面の断面図である。図3の平面図では、ノズル18を1点鎖線で図示している。
図3に示すように、本実施形態では、1つのインク液室12内には、2つに分割された発熱抵抗体13が並設されている。さらに、分割された2つの発熱抵抗体13の並び方向は、ノズル18(インク吐出部)の並び方向(図3中、左右方向)である。
【0019】
このように、1つの発熱抵抗体13を縦割りにした2分割型のものでは、長さが同じで幅が半分になるので、発熱抵抗体13の抵抗値は、倍の値になる。この2つに分割された発熱抵抗体13を直列に接続すれば、2倍の抵抗値を有する発熱抵抗体13が直列に接続されることとなり、抵抗値は4倍となる。
【0020】
ここで、インク液室12内のインクを沸騰させるためには、発熱抵抗体13に一定の電力を加えて発熱抵抗体13を加熱する必要がある。この沸騰時のエネルギーにより、インクを吐出させるためである。そして、抵抗値が小さいと、流す電流を大きくする必要があるが、発熱抵抗体13の抵抗値を高くすることにより、少ない電流で沸騰させることができるようになる。
【0021】
これにより、電流を流すためのトランジスタ等の大きさも小さくすることができ、省スペース化を図ることができる。なお、発熱抵抗体13の厚みを薄く形成すれば抵抗値を高くすることができるが、発熱抵抗体13として選定される材料や強度(耐久性)の観点から、発熱抵抗体13の厚みを薄くするには一定の限界がある。このため、厚みを薄くすることなく、分割することで、発熱抵抗体13の抵抗値を高くしている。
【0022】
また、1つのインク液室12内に2つに分割された発熱抵抗体13を備えた場合には、各々の発熱抵抗体13がインクを沸騰させる温度に到達するまでの時間(気泡発生時間)を同時にすれば、2つの発熱抵抗体13上で同時にインクが沸騰し、インク液滴は、ノズル18の中心軸方向に吐出される。
これに対し、2つの分割した発熱抵抗体13の気泡発生時間に時間差が生じると、2つの発熱抵抗体13上で同時にインクが沸騰しない。これにより、インク液滴の吐出方向は、ノズル18の中心軸方向からずれ、偏向して吐出される。これにより、偏向なくインク液滴が吐出されたときの着弾位置からずれた位置にインク液滴が着弾されることとなる。
【0023】
図4(a)、(b)は、2分割した発熱抵抗体13のインクの気泡発生時間差と、インクの吐出角度との関係を示すグラフであり、コンピュータによるシミュレーション結果を示すものである。このグラフにおいて、X方向(グラフ縦軸θxで示す方向。注意;グラフの横軸の意味ではない)は、ノズル18の並び方向であり、Y方向(グラフ縦軸θyで示す方向。注意;グラフの横軸の意味ではない)は、X方向に垂直な方向(印画紙の搬送方向)である。また、図4(c)は、2分割した発熱抵抗体13のインクの気泡発生時間差として、2分割した発熱抵抗体13間の電流量の差、すなわち、偏向電流を横軸にとり、インク液滴の着弾位置でのずれ量(インク液滴の吐出面から印画紙の着弾位置までの間の距離を約2mmとして実測)を縦軸にとった場合の実測値データである。図4(c)では、発熱抵抗体13の主電流を80mAとして、片方の発熱抵抗体13に前記偏向電流を重畳し、インク液滴の偏向吐出を行った。
【0024】
ノズル18の並び方向に2分割した発熱抵抗体13の気泡発生に時間差を有する場合には、図4に示すように、インク液滴の吐出角度が垂直でなくなり、ノズル18の並び方向におけるインク液滴の吐出角度θxは、気泡発生時間差とともに大きくなる。
そこで、本実施形態では、この特性を利用し、2分割した発熱抵抗体13を設け、各発熱抵抗体13に流す電流量を変えることで、2つの発熱抵抗体13上の気泡発生時間に時間差が生じるように制御して、インク液滴の吐出方向を偏向させるようにしている(吐出方向偏向手段)。
【0025】
例えば2分割した発熱抵抗体13の抵抗値が製造誤差等により同一値になっていない場合には、2つの発熱抵抗体13に気泡発生時間差が生じるので、インク液滴の吐出角度が垂直でなくなり、インク液滴の着弾位置が本来の位置からずれる。しかし、2分割した発熱抵抗体13に流す電流量を変えることにより、各発熱抵抗体13上の気泡発生時間を制御し、2つの発熱抵抗体13の気泡発生時間を同時にすれば、インク液滴の吐出角度を垂直にすることも可能となる。
【0026】
例えばラインヘッド10において、特定の1又は2以上のヘッド11全体のインク液滴の吐出方向を、本来の吐出方向に対して偏向させることにより、製造誤差等によってインク液滴が印画紙の着弾面に垂直に吐出されないヘッド11の吐出方向を矯正し、垂直にインク液滴が吐出されるようにすることができる。
【0027】
また、1つのヘッド11において、1又は2以上の特定のインク吐出部からのインク液滴の吐出方向だけを偏向させることが挙げられる。例えば、1つのヘッド11において、特定のインク吐出部からのインク液滴の吐出方向が、他のインク吐出部からのインク液滴の吐出方向に対して平行でない場合には、その特定のインク吐出部からのインク液滴の吐出方向だけを偏向させて、他のインク吐出部からのインク液滴の吐出方向に対して平行になるように調整することができる。
【0028】
さらにまた、ラインヘッド10の場合には、インク液滴を吐出することができないか、又は吐出が不十分なインク吐出部があると、そのインク吐出部に対応する画素列(インク吐出部の並び方向に垂直な方向)には、インク液滴が全く吐出されないか、又はほとんど吐出されないため、ドットが形成されなくなり、縦の白スジとなって現れ、印画品位を低下させてしまう。しかし、本実施形態を用いれば、近隣に位置する他のインク吐出部によって、インク液滴を十分に吐出することができないインク吐出部の代わりにインク液滴を吐出することが可能となる。
【0029】
次に、インク液滴の吐出角度を、どの程度偏向させるかについて説明する。図5は、インク吐出部と印画紙Pとの関係を示す側面の断面図である。
図5において、インク吐出部(ノズル18)の先端と印画紙Pとの間の距離Hは、通常のインクジェットプリンタの場合、1〜2mm程度であるが、ここではH=2mm(Hは、ほぼ一定)と仮定する。
また、ヘッド11の解像度を600DPIとしたときに、隣接するインク吐出部(ノズル18)の間隔は、
25.40×1000/600≒42.3(μm)
となる。
【0030】
ここで、本実施形態の吐出方向偏向手段は、インク吐出部から吐出されるインク液滴の吐出方向を、近隣に位置する他のインク吐出部からインク液滴が偏向なく吐出されたときのインク液滴の着弾位置又はその近傍にインク液滴を着弾させることができるように偏向させるものである。
【0031】
本実施形態では、各インク吐出部から吐出されるインク液滴の吐出方向を、J(Jは、正の整数)ビットの制御信号によって、2 の異なる方向に偏向させるとともに、2 の方向のうち最も離れた位置となる2つのインク液滴の着弾位置の間隔が、隣接する2つのインク吐出部(ノズル18)の間隔の(2 −1)倍となるように設定する。そして、インク吐出部からインク液滴を吐出するときに、2 の方向のうち、いずれか1つの方向を選択する。
【0032】
例えば制御信号にJ=2ビットの信号を用いる場合、制御信号数は、(0、0)、(0、1)、(1、0)及び(1、1)の4つとなり、インク液滴の吐出方向は、2 =4つとなる。また、偏向時の最も離れた位置となる2つのドット間の距離は、隣接する2つのインク吐出部の間隔の(2 −1)=3倍となる。そして、制御信号が(0、0)、(0、1)、(1、0)及び(1、1)と変化するごとに、それぞれ隣接するインク吐出部の間隔だけインク液滴の着弾位置(ドット)を移動させることができるようにしている。
【0033】
上記の例において、隣接するインク吐出部の間隔(42.3μm)の3倍、すなわち126.9μmを、偏向時の最も離れた位置となる2つのドット間の距離とすれば、偏向角度θ(deg)は、
2×H(2000)×tanθ≒126.9
となるので、
θ≒1.8(deg)
となる。
【0034】
次に、インク液滴の吐出方向を偏向させる方法について、より具体的に説明する。
図6は、2つの分割した発熱抵抗体13の気泡発生時間差を設定できるように構成したものを示す概念図である。この例では、J=2ビットの制御信号を用いて、抵抗Rh−Aと抵抗Rh−Bとに流れる電流値差を、4種類に設定できるようにしたことで、インク液滴の吐出方向を4段階に設定できるようにしたものである。
【0035】
図6において、抵抗Rh−Aと抵抗Rh−Bは、それぞれ2分割された発熱抵抗体13の各抵抗であり、本実施形態では、抵抗Rh−Aの抵抗値は、抵抗Rh−Bの抵抗値より小さく設定されている。また、抵抗Rh−Aと抵抗Rh−Bとの接続経路中(中間点)から電流が流出可能に構成されている。さらにまた、3つの各抵抗Rdは、インク液滴の吐出方向を偏向するための抵抗である。さらに、Q1、Q2及びQ3は、それぞれ抵抗Rh−A及び抵抗Rh−Bのスイッチとして機能するトランジスタである。
【0036】
また、Cは、2値の制御入力信号(電流を流すときのみ「1」)の入力部である。さらにまた、L1及びL2は、それぞれ2値入力のANDゲートであり、B1及びB2は、それぞれL1及びL2の各ANDゲートの2値信号(「0」又は「1」)の入力部である。なお、ANDゲートL1及びL2は、電源VHから電源が供給される。
【0037】
この場合において、C=1とともに、(B1、B2)=(0、0)を入力したときには、トランジスタQ1のみが作動し、トランジスタQ2及びQ3は作動しない状態(3つの抵抗Rdに電流が流れない状態)となる。この場合に抵抗Rh−A及びRh−Bに電流が流れたときは、抵抗Rh−AとRh−Bとにそれぞれ流れる電流値は同一である。よって、抵抗Rh−Aの抵抗値は抵抗Rh−Bの抵抗値より小さいので、抵抗Rh−Aの方が抵抗Rh−Bより少ない発熱量となる。この状態で、最も左側にインク液滴が着弾するように設定されている。そして、このときのインク液滴の着弾位置は、2つ先の左側に位置するインク吐出部からインク液滴が偏向なく吐出されたときの着弾位置(その近傍を含む)となるように設定されている。
【0038】
また、C=1とともに、(B1、B2)=(1、0)を入力したときには、トランジスタQ3に直列接続されている2つの抵抗Rdにも電流が流れる(トランジスタQ2に接続された抵抗Rdには電流は流れない)。この結果、抵抗Rh−Bに流れる電流値は、(B1、B2)=(0、0)のときよりも小さくなる。ただし、この場合でも、抵抗Rh−Aの方が抵抗Rh−Bより少ない発熱量となるように設定されている。
そして、この場合のインク液滴の着弾位置は、隣接して左側に位置するインク吐出部からインク液滴が偏向なく吐出されたときの着弾位置となるように設定されている。
【0039】
次に、C=1とともに、(B1、B2)=(0、1)を入力したときには、トランジスタQ2に接続されている抵抗Rd側に電流が流れる(トランジスタQ3に直列接続された2つの抵抗Rdには電流は流れない)。この結果、抵抗Rh−Bに流れる電流値は、(B1、B2)=(1、0)を入力したときよりもさらに小さくなる。そして、この場合には、抵抗Rh−Aと抵抗Rh−Bとの発熱量が同一となるように設定されている。これにより、この場合のインク液滴は、偏向なく吐出される。
【0040】
さらに、C=1とともに、(B1、B2)=(1、1)を入力したときには、トランジスタQ2及びQ3に接続されている3つの抵抗Rdに電流が流れる。この結果、抵抗Rh−Bに流れる電流値は、(B1、B2)=(0、1)を入力したときよりもさらに小さくなる。そして、この場合には、抵抗Rh−Aの方が抵抗Rh−Bより多い発熱量となるように設定されている。
この場合のインク液滴の着弾位置は、隣接して右側に位置するインク吐出部からインク液滴が偏向なく吐出されたときの着弾位置となるように設定されている。
【0041】
以上のように、入力値(B1、B2)が、(0、0)、(1、0)、(0、1)、及び(1、1)と変化するごとに、インク液滴の着弾位置が、インク吐出部の間隔で移動するように、抵抗Rh−A、Rh−B、及びRdの各抵抗値を設定すれば良い。
【0042】
これにより、インク吐出部からインク液滴が偏向なく(印画紙等のインク液滴の着弾面に対して垂直に)吐出されたときのインク液滴の着弾位置に加え、2つ先の左側に位置するインク吐出部からインク液滴が偏向なく吐出されたときの着弾位置、隣接して左側に位置するインク吐出部からインク液滴が偏向なく吐出されたときの着弾位置、及び隣接して右側に位置するインク吐出部からインク液滴が偏向なく吐出されたときの着弾位置、の4箇所にインク液滴の着弾位置を変化させることができる。そして、B1及びB2の入力値に応じて、これらの4つの位置のうち、任意の位置にインク液滴を着弾させることができる。
【0043】
(吐出制御手段)
また、本実施形態では、吐出制御手段を備える。吐出制御手段は、上述の吐出方向偏向手段を用いて、少なくとも一部の着弾領域が重なり合うように複数のインク液滴を着弾させて1つのドットを形成する場合(ドット数変調を行う場合)に、インク吐出部の並び方向に垂直な方向の隣接する2つのドットのうち、一方のドットを、1のインク吐出部から吐出された複数のインク液滴により形成するとともに、他方のドットを、上記1のインク吐出部と異なる他の1のインク吐出部から吐出された複数のインク液滴により形成するように制御するものである。
【0044】
ここで、印画が行われる際の画素位置とインク液滴の吐出実行タイミングについて、図7に基づき説明する。
図7において、縦軸方向は任意の時間軸を表しており、横軸方向は任意の距離を表している。そして、任意の時間軸は、階調数に応じて吐出されるインク液滴の吐出実行タイミングに相当し、任意の距離は、インク吐出部の並び方向に対応する画素位置に相当する。すなわち、図7は、各画素位置におけるドットを形成するために要するインク液滴の吐出回数(すなわち、各画素におけるドット形成のための必要時間)を示している。
【0045】
図7においては、各画素のインク吐出部の並び方向のラインを画素ラインと定義して、画素ラインのうち、第Mライン及び第(M+1)ラインを縦軸に示している。各画素に対して、例として、最大P個のインク液滴の吐出を可能とした。したがって、各画素は、1〜Pまでのインク液滴の吐出タイミングを有し、これをタイムスロットとして図7に示している。つまり、各画素は、最大P個のインク液滴からドットが形成される。いいかえれば、最大階調数P+1ということになる。一方、横軸には、画素番号1〜N番目までの画素位置が示されている。したがって、インク吐出部の並び方向の個数はN個となる。
【0046】
図7中、第Mラインの画素位置1には、インク液滴が4回吐出され、4つのインク液滴からなるドットが画素位置1に形成される。また、次の第(M+1)ラインの画素位置1には、インク液滴が3回吐出され、3つのインク液滴からなるドットが画素位置1に形成される。
ここで、第Mラインの画素位置1と、第(M+1)ラインの画素位置1とは、ほぼ同列上に並ぶ。他の画素位置も同様である。
【0047】
このように、第Mラインで1又は2以上のインク液滴から形成したドットと、第(M+1)ラインで1又は2以上のインク液滴から形成したドットとがほぼ同列上に並ぶ場合、すなわち、インク吐出部の並設方向に垂直な方向においてドットが隣接する場合に、本実施形態の吐出制御手段は、第Mラインの特定の画素位置のドットを形成するために用いられたインク吐出部と、第(M+1)ラインの前記特定の画素位置のドットを形成するために用いるインク吐出部とが異なるインク吐出部となるように制御する。
【0048】
(液体吐出部選択手段)
本実施形態の吐出制御手段は、複数のインク吐出部の中から、インク液滴の吐出に用いるインク吐出部を選択するインク吐出部選択手段(本発明における液体吐出部選択手段に相当するもの)を備える。
【0049】
インク吐出部選択手段によって、どのインク吐出部を選択するかは、予め設定されたパターンに従い選択する方法でも良く、ランダムに選択する方法でも良い。
ここで、1つのヘッド11におけるインク吐出部を、インク吐出部1、2、・・、N−1、Nと番号を付すとともに、インク吐出部1、2、・・、N−1、Nからインク液滴が偏向されることなく吐出されたときにインク液滴が着弾する画素位置を、それぞれ画素位置1、2、・・、N−1、Nとする。
【0050】
このとき、上述の予め設定されたパターンに従い選択する方法では、第Mラインと第(M+1)ラインとの同じ番号の画素位置にインク液滴を吐出する際、異なるインク吐出部が選択されるように設定しておけば良い。
例えば、第Mラインの画素位置x(xは、1〜Nまでのいずれか)にインク液滴を着弾させるのにインク吐出部xを用い、第(M+1)ラインの画素位置xにインク液滴を着弾させるのにインク吐出部(x+1)を用いるようにすれば良い。
【0051】
また、画素位置xに対してインク液滴を着弾させる場合に、インク吐出部xの隣に位置するインク吐出部(x+1)やインク吐出部(x−1)を用いても良いが、これら以外のインク吐出部、例えばインク吐出部(x+2)、インク吐出部(x−2)、インク吐出部(x+3)、又はインク吐出部(x−3)等を用いても良い。
【0052】
さらにまた、例えば、各ラインの画素位置xにインク液滴を順次着弾させる場合に、第Mラインの画素位置xに対してはインク吐出部xを用い、次の第(M+1)ラインの画素位置xに対してはインク吐出部(x+1)を用い、さらに次の第(M+2)ラインの画素位置xに対してはインク吐出部xを用いるというように、各ラインの画素位置xに対して、インク吐出部xとインク吐出部(x+1)とを交互に用いる方法が挙げられる。
【0053】
あるいは、第Mラインの画素位置xに対してはインク吐出部xを用い、次の第(M+1)ラインの画素位置xに対してはインク吐出部(x+1)を用い、さらに次の第(M+2)ラインの画素位置xに対してはインク吐出部(x−1)を用い、さらに次の第(M+3)ラインの画素位置xに対してはインク吐出部xを用いるというように、各ラインの画素位置xに対して、インク吐出部x、インク吐出部(x+1)、及びインク吐出部(x−1)の連続して並設されている3つのインク吐出部、いいかれば画素位置xの真上に位置するインク吐出部xに加えて、その両隣に位置するインク吐出(x−1)及びインク吐出部(x+1)を繰り返して用いる方法でも良い。
【0054】
さらには、第Mラインの画素位置xに対してはインク吐出部(x−1)を用い、次の第(M+1)ラインの画素位置xに対してはインク吐出部(x+1)を用い、さらに次の第(M+2)ラインの画素位置xに対してはインク吐出部(x−1)を用いるというように、各ラインの画素位置xに対して、画素位置xの真上に位置するインク吐出部xを用いないようにしても良い。
【0055】
(吐出方向決定手段)
また、本実施形態の吐出制御手段は、インク吐出部選択手段による選択結果に基づいて、インク液滴の吐出方向を決定する吐出方向決定手段を備える。
吐出方向決定手段は、選択されたインク吐出部と、インク液滴を着弾させるべき画素位置とから、インク液滴の吐出方向を決定する。
【0056】
例えば、画素位置xにインク液滴を着弾させる場合において、インク吐出部xが選択されたときは、インク液滴を偏向なく吐出するように制御する。また、画素位置xにインク液滴を着弾させる場合において、インク吐出部(x−1)が選択されたときは、インク吐出部x側に偏向するようにインク液滴を吐出し、画素位置x又はその近傍にインク液滴が着弾するように吐出方向を制御する。同様に、画素位置xにインク液滴を着弾させる場合において、インク吐出部(x+1)が選択されたときは、インク吐出部x側に偏向するようにインク液滴を吐出し、画素位置x又はその近傍にインク液滴が着弾するように吐出方向を制御する。
【0057】
以上のようにしてインク液滴を吐出すれば、1つのドット(画素)を形成するときには、複数階調であっても、常に1つのインク吐出部から吐出された複数のインク液滴によって形成される。したがって、インク液滴の着弾位置のばらつきを最小限にすることができ、ドットの品位を高めることができる。
【0058】
また、インク吐出部の並び方向に垂直な方向(同列上)において隣接する2つのドットは、常に異なるインク吐出部によって形成される。
したがって、インク吐出部固有のばらつきが同列上に並ぶことがなくなり、画像全体の品位を向上することができる。これにより、例えば特定のインク吐出部に目詰まり等が生じてインク液滴が吐出されなくなってしまうと、同一のインク吐出部を用いたのでは、その列の画素位置にはずっとドットが形成されなくなってしまうが、上記のような方法を採ることで、そのような事態を回避することができる。
【0059】
また、発明が解決しようとする課題の欄で示した、本件出願人により既に提案されている技術のように、吐出命実行の信号処理が複雑なものになることなく、信号処理を簡素化することができる。
【0060】
さらにまた、吐出方向が他のインク吐出部に対して予めずれているインク吐出部が存在する場合において、複数階調からなるドットを並べるときは、そのインク吐出部の吐出方向を補正のために偏向させなくても、ドットの着弾位置ずれを目立たなくすることができる。
図8は、1つのドットを3つのインク液滴によって形成した場合のドットの並びを示す図である。
【0061】
図8(a)、(b)は、ともに、同列上の(インク吐出部の並び方向に垂直な方向に並ぶ)ドットは、全て同一のインク吐出部から吐出された3つのインク液滴によって形成されたものである。例えば、図中、一番左側の列のドットは、全て、図中、一番左側のインク吐出部により形成されたものである。いいかえれば、図8(a)、(b)は、ともに本実施形態の吐出制御手段を用いていない場合の例である。
【0062】
図8において、(a)は、吐出方向偏向手段を用いることなく印画したときの例であり、左側から数えて4番目のインク吐出部の吐出方向が、図8中、左側にずれている例を示している。このような場合、左側から数えて4番目のドットと5番目のドットとの間には、印画されない領域が白スジ状に入ってしまう。これに対し、(b)は、吐出方向偏向手段を用いて、左側から数えて4番目のインク吐出部によるインク液滴の吐出方向を、図中、右側に偏向させた例を示している。このように、4番目のインク吐出部によるインク液滴の着弾位置を制御すれば、白スジをなくすことができる。
【0063】
これに対し、図8(c)は、吐出制御手段を用いた例であって、左側から数えて4番目のインク吐出部によるインク液滴の吐出方向を、図8(b)のように補正のための偏向を行うことなく印画したときの例を示している。
図8(c)の例では、左側から数えて4番目のインク吐出部は、1ライン目では、左側から数えて4番目のドットを形成するのに用いられている。次の2ライン目では、4番目のインク吐出部は、左側から数えて5番目のドットを形成するのに用いられている。さらに次の3ライン目では、左側から数えて2番目のドットを形成するのに用いられている。
【0064】
そして、4番目のインク吐出部により形成されたドットは、他のドットに対して位置ずれが生じているものの、インク吐出部の並設方向に垂直な方向では、4番目のインク吐出部により形成されたドットが連続して並ぶことがないので、図8(a)に示すような白スジは発生しないようになる。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)本実施形態では、インク吐出部の並び方向に垂直な方向において隣接する2つのドットを、常に異なるインク吐出部からのインク液滴の吐出により形成するようにした。しかし、これに限らず、隣接する2つのドットの中には、同一のインク吐出部から形成されたものが存在していても良い。例えば、第Mラインと第(M+1)ラインの画素位置xに対しては、インク吐出部xによってドットを形成し、第(M+2)ラインと第(M+3)ラインの画素位置xに対しては、インク吐出部(x+1)によってドットを形成しても良い。
【0066】
あるいは、第Mライン〜第(M+2)ラインの画素位置xに対しては、インク吐出部xによってドットを形成し、第(M+3)ライン〜第(M+5)ラインの画素位置xに対しては、インク吐出部(x+1)によってドットを形成しても良い。
【0067】
(2)本実施形態では、Jビットの制御信号として、J=2の例を挙げたが、J=3又はこれ以上の制御信号を用いても良い。制御信号のビット数を多くするように回路を構成することで、偏向方向をさらに増やすことができる。
【0068】
(3)本実施形態では、2分割した発熱抵抗体13のそれぞれに流れる電流値を変えて、2分割した発熱抵抗体13上でインク液滴が沸騰するに至る時間(気泡発生時間)に時間差を設けるようにしたが、これに限らず、同一の抵抗値を有する2分割した発熱抵抗体13を並設し、電流を流す時間のタイミングに差異を設けるものであっても良い。例えば2つの発熱抵抗体13ごとに、それぞれ独立したスイッチを設け、各スイッチを時間差をもってオンにすれば、各発熱抵抗体13上のインクに気泡が発生するに至る時間に時間差を設けることができる。さらには、発熱抵抗体13に流れる電流値を変えることと、電流を流す時間に時間差を設けたものとを組み合わせて用いても良い。
【0069】
(4)また、本実施形態では、1つのインク液室12内で2分割した発熱抵抗体13を設けた例を示したが、これに限らず、1つのインク液室12内において3つ以上の発熱抵抗体13(エネルギー発生手段)を並設したものを用いることも可能である。また、分割されていない1つの基体から発熱抵抗体を形成するとともに、例えば平面形状が略つづら折り状(略U形等)をなし、その略つづら折り状の折り返し部分に導体(電極)を接続することにより、略つづら折り状の折り返し部分を介して、インク液滴を吐出するためのエネルギーを発生させる主たる部分を少なくとも2つに区分し、少なくとも1つの主たる部分と、他の少なくとも1つの主たる部分とのエネルギーの発生に差異を設け、その差異によってインク液滴の吐出方向を偏向させるように制御することも可能である。
【0070】
(5)本実施形態では、サーマル方式のエネルギー発生手段として発熱抵抗体13を例に挙げたが、抵抗以外のものから構成した発熱素子を用いても良い。また、発熱素子に限らず、他の方式のエネルギー発生手段を用いたものでも良い。例えば、静電吐出方式やピエゾ方式のエネルギー発生手段が挙げられる。
静電吐出方式のエネルギー発生手段は、例えば、振動板と、この振動板の下側に、空気層を介した2つの電極を設けたものである。そして、両電極間に電圧を印加し、振動板を下側にたわませ、その後、電圧を0Vにして静電気力を開放する。このとき、振動板が元の状態に戻るときの弾性力を利用してインク液滴を吐出するものである。
【0071】
この場合には、各エネルギー発生手段のエネルギーの発生に差異を設けるため、例えば振動板を元に戻す(電圧を0Vにして静電気力を開放する)ときに2つのエネルギー発生手段間に時間差を設けるか、又は印加する電圧値を2つのエネルギー発生手段で異なる値にすれば良い。
【0072】
また、ピエゾ方式のエネルギー発生手段は、例えば、両面に電極を有するピエゾ素子と振動板との積層体を設けたものである。そして、ピエゾ素子の両面の電極に電圧を印加すると、圧電効果により振動板に曲げモーメントが発生し、振動板がたわみ、変形する。この変形を利用してインク液滴を吐出するものである。この場合にも、上記と同様に、各エネルギー発生手段のエネルギーの発生に差異を設けるため、ピエゾ素子の両面の電極に電圧を印加するときに2つのピエゾ素子間に時間差を設けるか、又は印加する電圧値を2つのピエゾ素子で異なる値にすれば良い。
【0073】
(6)本実施形態ではプリンタに用いられるヘッド11及びラインヘッド10を例に挙げたが、プリンタに限ることなく、種々の液体吐出装置に適用することができる。例えば、生体試料を検出するためのDNA含有溶液を吐出するための装置に適用することも可能である。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、インク液滴の着弾位置のばらつきを最小限にすることができ、ドットの品位を高めることができる。また、吐出命実行の信号処理が複雑なものになることなく、信号処理を簡素化することができる。
さらにまた、吐出方向が他のインク吐出部に対して予めずれているインク吐出部が存在する場合に、そのインク吐出部の吐出方向を補正のために偏向しなくても、ドットの着弾位置ずれを目立たなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタのヘッドを示す分解斜視図である。
【図2】ラインヘッドの実施形態を示す平面図である。
【図3】ヘッドのインク吐出部をより詳細に示す平面図及び側面の断面図である。
【図4】(a)、(b)は、2分割した発熱抵抗体のインクの気泡発生時間差と、インクの吐出角度との関係を示すグラフであり、(c)は、2分割した発熱抵抗体のインクの気泡発生時間差の実測値データである。
【図5】インク吐出部と印画紙との関係を示す側面の断面図である。
【図6】2つの分割した発熱抵抗体の気泡発生時間差を設定できるように構成したものを示す概念図である。
【図7】印画が行われる際の画素位置とインク液滴の吐出実行タイミングとについて説明する図である。
【図8】1つのドットを3つのインク液滴によって形成した場合のドットの並びを示す図である。
【図9】ドット数変調を説明する図である。
【図10】ドット数変調を行った場合において、インク液滴の着弾位置ずれが大きいときの例を示す図である。
【符号の説明】
10 ラインヘッド
11 ヘッド
12 インク液室
13 発熱抵抗体(エネルギー発熱手段)
18 ノズル

Claims (4)

  1. ノズルを有する液体吐出部を複数並設したヘッドを備える液体吐出装置であって、
    各前記液体吐出部の前記ノズルから吐出される液滴の吐出方向を、近隣に位置する他の前記液体吐出部の前記ノズルから液滴が偏向なく吐出されたときの液滴の着弾位置又はその近傍に液滴を着弾させることができるように偏向させる吐出方向偏向手段と、
    少なくとも一部の着弾領域が重なり合うように複数の液滴を着弾させて1つのドットを形成する場合に、前記液体吐出部の並び方向に垂直な方向の隣接する2つのドットのうち、一方のドットを、1の前記液体吐出部の前記ノズルから吐出された複数の液滴により形成するとともに、他方のドットを、前記1の液体吐出部と異なる他の1の前記液体吐出部の前記ノズルから吐出された複数の液滴により形成するように制御する吐出制御手段と
    を備えることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 請求項1に記載の液体吐出装置において、
    前記吐出制御手段は、複数の前記液体吐出部の中から、ドットを形成するときの液滴の吐出に用いる前記液体吐出部を選択する液体吐出部選択手段と、
    前記液体吐出部選択手段による前記液体吐出部の選択結果に基づいて、前記液体吐出部の液滴の吐出方向を決定する吐出方向決定手段とを備える
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  3. 請求項1に記載の液体吐出装置において、
    前記液体吐出部は、
    吐出すべき液体を収容する液室と、
    前記液室内に配置されるとともに、前記液室内の液体を前記ノズルから吐出させるためのエネルギーを発生するエネルギー発生手段とを備え、
    前記エネルギー発生手段は、1つの前記液室内において、前記液体吐出部の並設方向に複数並設されているか、又は1つの基体から形成されているとともに液体を吐出するためのエネルギーを発生させる主たる部分が複数に区分されたものであり、
    前記吐出方向偏向手段は、1つの前記液室内の複数の前記エネルギー発生手段のうち、少なくとも1つの前記エネルギー発生手段と、他の少なくとも1つの前記エネルギー発生手段とのエネルギーの発生に差異を設けるか、又は前記エネルギー発生手段の複数の前記主たる部分のうち少なくとも1つの前記主たる部分と他の少なくとも1つの前記主たる部分とのエネルギーの発生に差異を設け、その差異によって吐出される液滴の吐出方向を偏向させる
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  4. 請求項1に記載の液体吐出装置において、
    前記ヘッドは、前記液体吐出部の並設方向に複数配置されてラインヘッドの一部を構成している
    ことを特徴とする液体吐出装置。
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