JP3849801B2 - 液体吐出装置及び液体吐出方法 - Google Patents
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なお、本明細書では、シリアル方式においては、ヘッドの往復移動方向を主走査方向と定義し、この方向と略垂直な方向(記録媒体の搬送方向)を、副走査方向と定義する。
この手法によると、ドットを円形と仮定して、ドットピッチの√2倍(ドットピッチの対角線)以上のドット径にすれば、通常の配列がなされる限りドット間の隙間は埋められ、多少のドットの着弾位置ずれがあっても、あまり目立たずに、画像上に白スジを発生させないようにすることができる。
図18は、図17と同じドット列のずれに対して、全体のドットサイズをドットピッチの√2倍強に設定した場合の例を示す図である。
なお、本明細書において、ライン方式においては、記録媒体の搬送方向を主走査方向と定義する。
ライン方式においては、記録媒体の全幅にわたるヘッドを、シリコンウエハやガラス等で一体に形成すれば、液体吐出部の並び精度等を高めることができる。しかし、製造方法、歩留まり問題、発熱問題、コスト問題等、様々な問題があって、現実的にはそのような構造のヘッドを製作することはほとんど不可能に近い。
シリアル方式における第1の手法(ドットサイズを大きくする手法)では、ドットの位置ずれに対しては強くなるものの、ドットサイズが大きくなる結果、粒子状のドットが見えやすくなり、中間階調が必要とされる写真などの印画の場合には、ざらつき感が増大するという問題がある。
さらに、ライン方式の場合には、ヘッドは移動しないので、一旦記録した領域を、再度記録することにより重ね打ちを行うことはできない。すなわち、シリアル方式における第2の手法を採用することはできない。
これに対し、副走査方向における重ね打ちは、主走査方向における重ね打ちと同様に階調度を上げる効果に加えて、吐出ばらつきの平均化という重要な効果も有している。
以上のような理由により、副走査のないライン方式では、液体吐出部固有のばらつきが液体吐出部の並び方向に残り、スジムラとして目立ってしまう場合があるという問題がある。
これに対し、ライン方式の場合には、上述のように第2の手法を採用することはできないので、わずかでも液体吐出部に不吐出等の欠陥がある場合には、その欠陥を補正することができないので、ただちにヘッド不良になってしまうという問題がある。
本発明の1つである請求項1に記載の発明は、ノズルを有する液体吐出部を特定方向に複数並設したヘッドを備える液体吐出装置であって、各前記液体吐出部の前記ノズルから吐出する液滴の吐出方向を、前記特定方向において複数の方向に可変とした吐出方向可変手段と、前記吐出方向可変手段を用いて、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応する画素を形成するために、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部からそれぞれ異なる方向に液滴を吐出して、同一画素領域に各液滴を着弾させて画素を形成することにより、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部を用いて1つの前記画素を形成するように液滴の吐出を制御する第1吐出制御手段と、画素領域に液滴を着弾させる場合に、前記液体吐出部からの液滴の吐出ごとに、その画素領域における前記特定方向の液滴の着弾位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置を決定し、その決定した着弾位置に液滴が着弾するように、前記吐出方向可変手段を用いて液滴の吐出を制御する第2吐出制御手段とを備え、ここで、前記第1吐出制御手段は、1つの画素領域に前記N個の液滴を着弾させて1つの前記画素を形成する際に、前記N個で1周期の吐出信号を、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部に送出して、各前記液体吐出部から、前記N個で1周期の液滴を吐出するように制御し、前記第2吐出制御手段は、前記1周期において、前記N個の各液滴ごとに、前記M個の異なる着弾位置からいずれかの着弾位置を決定することを特徴とする。
上記発明においては、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部から、それぞれ異なる方向に液滴が吐出されることにより、画素が形成される。例えば、隣接する液滴吐出部Nと液体吐出部(N+1)とからそれぞれ液滴を吐出して、同一画素領域に液滴を着弾させることができる。
したがって、画素を、複数の異なる液体吐出部を用いて形成することができる。
そして、液滴が画素領域に着弾する場合には、M個の着弾目標位置のうちいずれかの位置が決定され、その決定された位置に液滴が着弾する。
第1に、吐出方向可変手段及び第1吐出制御手段によって、複数の異なる液体吐出部を用いて、画素又は画素列を形成することができるので、液体吐出部ごとの液滴の吐出量のばらつきを最小限に抑え、印画品位の低下を防止することができる。また、例えば液滴の吐出が不十分な、あるいはゴミやホコリ等によって液滴が吐出されない液体吐出部があったとしても、その影響を最小限にすることができる。これにより、本来であれば不良とされてしまうヘッドを、不良とならない程度にまで印画品位を高めることができる。
さらに第3に、第1吐出制御手段と第2吐出制御手段との相乗効果によって、画質を大幅に向上させることができる。
なお、画素に対応するドットは、その画素領域内に完全に入るものではなく、画素領域からはみ出す場合もある。
図1は、本発明による液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)のヘッド11を示す分解斜視図である。図1において、ノズルシート17は、バリア層16上に貼り合わされるが、このノズルシート17を分解して図示している。
さらにまた、ノズルシート17は、複数のノズル18が形成されたものであり、例えば、ニッケルによる電鋳技術により形成され、ノズル18の位置が発熱抵抗体13の位置と合うように、すなわちノズル18が発熱抵抗体13に対向するようにバリア層16の上に貼り合わされている。
ヘッド11は、吐出方向可変手段を備える。吐出方向可変手段は、本実施形態では、ノズル18から吐出されるインク液滴の吐出方向を、ノズル18(液体吐出部)の並び方向において複数の方向に可変としたものであり、以下のように構成されている。
図3に示すように、本実施形態のヘッド11では、1つのインク液室12内に、2つに分割された発熱抵抗体13が並設されている。さらに、分割された2つの発熱抵抗体13の並び方向は、ノズル18の並び方向(図3中、左右方向)である。
これに対し、2つの分割した発熱抵抗体13の気泡発生時間に時間差が生じると、2つの発熱抵抗体13上で同時にインクが沸騰しない。これにより、インク液滴の吐出方向は、ノズル18の中心軸方向からずれ、偏向して吐出される。これにより、偏向なくインク液滴が吐出されたときの着弾位置からずれた位置にインク液滴が着弾されることとなる。
そこで、本実施形態では、この特性を利用し、2分割した発熱抵抗体13を設け、各発熱抵抗体13に流す電流量を変えることで、2つの発熱抵抗体13上の気泡発生時間に時間差が生じるように制御して、インク液滴の吐出方向を偏向させるようにしている。
ΔL=H×tanθ
だけずれることとなる。
このように、インク液滴iの吐出方向が垂直方向からθだけずれたときには、インク液滴の着弾位置がΔLだけずれることとなる。
なお、距離Hを略一定に保持する必要があるのは、距離Hが変動してしまうと、インク液滴iの着弾位置が変動してしまうからである。すなわち、ノズル18から、印画紙Pの面に垂直にインク液滴iが吐出されたときは、距離Hが多少変動しても、インク液滴iの着弾位置は変化しない。これに対し、上述のようにインク液滴iを偏向吐出させた場合には、インク液滴iの着弾位置は、距離Hの変動に伴い異なった位置となってしまうからである。
25.40×1000/600≒42.3(μm)
となる。
以上の吐出方向可変手段を採用したヘッド11を用い、本実施形態では、第1に、第1吐出制御手段により、以下のようなインク液滴の吐出制御を行う。
第1吐出制御手段は、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部からそれぞれ異なる方向にインク液滴を吐出して、同一画素列に各インク液滴を着弾させて画素列を形成するか、又は同一画素領域に各インク液滴を着弾させて画素を形成することにより、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部を用いて1つの画素列又は1つの画素を形成するように液滴の吐出を制御する手段である。
tan2θ=126.9/2000≒0.0635
となるので、
θ≒1.8(deg)
となる。
そして、最も離れた位置となる(2J =)2つのインク液滴の着弾位置の間隔が、隣接する2つのノズル18の間隔の(2J −1=)1倍となるように設定すれば、図6に示すように、1画素領域に、隣接する液体吐出部のノズル18からそれぞれインク液滴を着弾させることができる。すなわち、図6に示すように、ノズル18間の間隔をxとすると、隣接する画素領域間の距離は、(2J −1)×x(図6の例では、(2J −1)×x=x)となる。
なお、この場合は、インク液滴の着弾位置は、ノズル18間に位置することになる。
このようにすれば、図7に示すように、ノズルNの真下に位置する画素領域Nの他に、その両側に位置する画素領域N−1、及びN+1にインク液滴を着弾させることができる。
また、インク液滴の着弾位置は、ノズル18に対向する位置となる。
±(1/2×x)×P(ここで、Pは、正の整数)
の位置にインク液滴を着弾させることが可能となる。
図8は、ヘッド11にパラレルに送出される吐出実行信号を、液体吐出部によって、印画紙上に、各画素を形成する過程を示している。吐出実行信号は、画像信号に対応するものである。
図8の例では、画素「N」の吐出実行信号の階調数を3、画素「N+1」の吐出実行信号の階調数を1、画素「N+2」の吐出実行信号の階調数を2としている。
この結果、画素「N」は、階調数3に相当する数(2つ)のドットから形成される。
これにより、例えば1つのインク液滴から形成された画素がほぼ同列上に並ぶ場合に、その画素を形成する液体吐出部に目詰まり等が生じてインク液滴が吐出されなくなってしまうと、同一の液体吐出部を用いたのでは、その画素列にはずっと画素が形成されなくなってしまう。しかし、上記のような方法を採ることで、そのような不具合を解消することができる。
図9に示す画素の形成工程は、上述した図8のものと同様であるので、説明を省略するが、このように、上記第2の形態においても、第1の形態と同様に、第1吐出制御手段を用いて、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部を用いて1つの画素列又は1つの画素を形成するように液滴の吐出を制御することができる。
さらにまた、本実施形態では、上述した第1吐出制御手段とともに、第2に、以下に説明する第2吐出制御手段を用いてインク液滴の吐出制御を行う。
第2吐出制御手段は、画素領域に液滴を着弾させる場合に、液体吐出部からのインク液滴の吐出ごとに、その画素領域におけるノズル18の並び方向(本発明における特定方向)のインク液滴の着弾目標位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置を決定し、その決定した着弾目標位置に液滴が着弾するように、吐出方向可変手段を用いて液滴の吐出を制御する手段である。
また本実施形態では、M個の着弾目標位置は、液体吐出部(ノズル18)の配列ピッチの1/Mの間隔で割り当てるものとする。
そして、吐出命令が2であるときには、従来の方法では、最初に着弾したインク液滴と略同列上に(左右方向においてずれがなく)、2番目のインク液滴が着弾される。
すなわち、インク液滴の着弾位置の規則性が失われ、各インク液滴(ドット)がランダムに配列される結果、その配列は、微視的には不均一であるが、巨視的にはむしろ均一で等方的となり、ばらつきが目立たなくなる。
これに対し、規則性がなく、ランダムにドットが配列されると、その配列が少し変化した程度では視認されにくくなる。
カラーインクジェットプリンタにおいて、複数のインク液滴(ドット)を重ねて画素を形成するときは、モアレが発生しないようにするため、単色以上に厳しい着弾位置精度が求められる。しかし、本実施形態のようにランダムにインク液滴を配列すれば、モアレの問題は生じず、単純な色ずれに止めることができる。したがって、モアレの発生による画質の劣化を防止することができる。
さらに本実施形態では、上述した第1吐出制御手段及び第2吐出制御手段とともに、第3に、以下に説明する第3吐出制御手段を用いてインク液滴の吐出制御を行う。
第3吐出制御手段は、画素領域におけるノズル18の並び方向(本発明における特定方向)と異なる方向、特に本実施形態ではノズル18の並び方向に対して略垂直な方向のインク液滴の着弾位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るN個の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾目標位置を設定し、1つの画素領域に着弾させる液滴数が1個以上であってN個未満であるときには、N個の異なる着弾目標位置の中から着弾目標位置を決定し、その決定した位置に液滴を着弾させるように液滴の吐出を制御する手段である。
なお、本実施形態では、主走査方向において1つの画素領域にN回の吐出可能期間を割り当てている。また、図11では、第2吐出制御手段を用いていない例を挙げている。
なお、印画紙の送り方向においてインク液滴をランダムに着弾させる場合には、上述した吐出方向可変手段を用いるのではなく、印画紙の送りとのタイミングをとって、吐出命令をヘッド11に与えれば良い。例えば図11において、画素領域の中心とインク液滴の中心とが略一致する位置を基準位置とし、図11中、1目盛り分だけ着弾位置をずらすときの吐出時間差をΔTとする。
NCK=NPK/K!
となる。
したがって、同じ吐出命令に対して同じランダムパターンが発生する確率は、
1/NCK
となる。
すなわち、本実施形態のように、発熱抵抗体13を加熱してインク液滴を吐出させるサーマル方式の場合には、インク液滴の吐出時にはかなりのエネルギーを必要とする。例えば、1つの液体吐出部あたり、0.7〜0.8W程度である。このような特性を有するヘッド11を多数並設してラインヘッド10を構成した場合には電力集中が生じ、電源の負荷が極めて大きくなってしまう。しかし、本実施形態のように吐出タイミングのランダム化を行うことにより、時間軸で同時のタイミングで駆動する液体吐出部数を少なくすることができるので、電力集中を緩和することができる。
従来の方法を採用すれば、ノズル18の並び方向やこれに垂直な方向にインク液滴の着弾目標位置がばらつくことはない。これに対し、本実施形態では、ノズル18の並び方向(図中、左右方向)及びこの方向に略垂直な方向(図中、上下方向)にランダムにインク液滴を着弾させるので、いずれの方向にも着弾位置がばらつくこととなる。本実施形態では、画素領域の面積の周辺に拡大された、ドットの半径分だけ大きい領域が、インク液滴が着弾される可能性のある領域となる。これにより、隣接するドットとの隙間をランダムに埋めることができるようになる。
図13は、吐出方向可変手段、第1吐出制御手段、及び第2吐出制御手段を含む吐出制御回路50を示す図である。
吐出制御回路50において、抵抗Rh−A及びRh−Bは、それぞれインク液室12内の2分割された発熱抵抗体13であり、直列に接続されている。ここで、各発熱抵抗体13の電気抵抗値は、略同一に設定されている。したがって、この直列に接続された発熱抵抗体13に同一量の電流を流すことで、ノズル18からインク液滴を偏向なく(図5中、点線で示す矢印方向に)吐出することができる。
さらにまた、第1吐出制御スイッチD4、D5及びD6、並びに第2吐出制御スイッチD1、D2及びD3は、インク液滴を偏向吐出させるときの偏向量を決定するためのスイッチである。
同様に、トランジスタM14は「×4」の容量を有し、トランジスタM15は「×2」の容量を有し、トランジスタM16は「×1」の容量を有する。そして、これらの3つのトランジスタM14、M15及びM16が並列接続されることにより、電流源素子群を構成している。
このようにして、第1吐出制御スイッチD6、D5及びD4、並びに第2吐出制御スイッチD3、D2、及びD1のON/OFFを制御することで、各トランジスタM6〜M11、及びトランジスタM14〜M19のON/OFFを制御することができる。
先ず、F=0(ON)かつDpx=0であるときは、NORゲートX1への入力は(0、0)となるので、その出力は1になり、トランジスタM1がONとなる。また、NORゲートX2への入力は、(0、0)となるので、その出力は1になり、トランジスタM2はONになる。さらにまた、上記の場合(F=0、かつDpx=0)には、NORゲートX3への入力値は、(1、0)となる(一方はF=0の入力値となり、他方はDpx=0がNOTゲートX4を通して1の入力値となるため)。したがって、NORゲートX3の出力は0となり、トランジスタM4はOFFになる。
したがって、上記の場合に例えば第1吐出制御スイッチD6がONであるときは、抵抗Rh−Aを流れた電流は、トランジスタM2側と抵抗Rh−B側とに分岐し、トランジスタM2側に電流が流出する。さらにトランジスタM2を流れた電流は、トランジスタM7及びM6を経てグラウンドに送られる。
これにより、抵抗Rh−Aと抵抗Rh−Bとに流れる電流Iは、I(Rh−A)>I(Rh−B)となる(注:I(**)で、**に流れる電流を表す)。
また、NORゲートX2への入力は、(1、0)となるので、その出力は0になり、トランジスタM2はOFFになる。さらにまた、NORゲートX3への入力は、(0、0)となるので、その出力は1となり、トランジスタM4はONになる。トランジスタM4がONであるとき、トランジスタM5には電流が流れるが、これとCM回路の特性から、トランジスタM3にも電流が流れる。
よって、抵抗Rh−Bには、抵抗Rh−Aを流れた電流の他、トランジスタM3を流れた電流が入り込む。その結果、抵抗Rh−Aと抵抗Rh−Bとに流れる電流Iは、I(Rh−A)<I(Rh−B)となる。
さらに、トランジスタM4に電流が流れるためには、トランジスタM7、M9又はM11の少なくとも1つがONである必要がある。したがって、上述したF=0、かつDpx=0の場合と同様に、第1吐出制御スイッチD6〜D4の少なくとも1つがONである必要がある。すなわち、第1吐出制御スイッチD6〜D4の全てがOFFである場合には、F=0かつDpx=1であるときと、F=0かつDpx=0であるときとで、同一となり、抵抗Rh−Aを流れた電流は、全て抵抗Rh−Bに流れる。よって、両者ともに、抵抗Rh−AとRh−Bとの電気抵抗値が略同一に設定されていれば、インク液滴は偏向なく吐出されることとなる。
また、電流源素子として機能するトランジスタM7、M9及びM11の各容量が異なることから、第1吐出制御スイッチD6〜D4のON/OFFを制御することで、トランジスタM2やM4から流出させる電流量を変えることができる。すなわち、第1吐出制御スイッチD6〜D4のON/OFFを制御することで、抵抗Rh−AとRh−Bとに流れる電流値を変化させることができる。
さらに、振幅制御端子Zに加わる電圧Vxを変化させることによって、各トランジスタM7とM6、M9とM8、及びM11とM10に流れるドレイン電流の比率は、8:4:2のままで、1ステップ当たりの偏向量を変えることができる。
図14の上段側の表に示すように、D4=0と固定した場合には、(Dpx、D6、D5、D4)が(0、0、0、0)のときと、(1、0、0、0)のときとは、ともにドットの着弾位置が偏向なし(ノズル18の真下)となる。このことは、上述の通りである。
なお、第1吐出制御スイッチD4の値を0に固定するのではなく、他の第1吐出制御スイッチD6又はD5と同様に0又は1に変化させれば、7箇所の変化ではなく、15箇所の変化にすることも可能である。
図13に示すように、第2吐出制御手段では、トランジスタM12及びM13は、それぞれ第1吐出制御手段のトランジスタM2及びM4に対応している。また、第2吐出制御手段の極性変換スイッチDpyは、第1吐出制御手段の極性変換スイッチDpxに対応している。さらにまた、第2吐出制御手段で電流源素子として機能するトランジスタM14〜M19は、第1吐出制御手段のトランジスタM6〜M11に対応している。さらに、第2吐出制御手段の第2吐出制御スイッチD3、D2及びD1は、第1吐出制御手段の第1吐出制御スイッチD6、D5及びD4に対応している。
なお、図10に示したように、第2吐出制御手段では、最も離れた2つのインク液滴の着弾目標位置を、ノズル18の1ピッチ分(図6又は図7中、x)に設定するのが合理的である。また、第2吐出制御手段では、インク液滴の着弾目標位置の可変ピッチは、細かい方が好ましい。
このようにすることで、制御の簡略化を図ることができる。
ここで、トランジスタを回路配置する場合には、各トランジスタの配線端子は、ドレインやソース等により8つ必要となる。このため、多数のトランジスタを配置して、各トランジスタから8つの配線を出すよりも、トランジスタ自体が大きくても、1つのトランジスタから8つの配線を出した方が、全体に必要な面積は大幅に小さくなる。したがって、図13に示したように、「×8」の容量を有する一組のみのCM回路を設けることで、回路全体の簡略化を図ることができる。
図15は、第1吐出制御手段によるインク液滴の吐出方向が偶数個の場合、すなわち画素領域間の真上にノズル18が位置する場合を示している。図15では、第1吐出制御手段により左右それぞれ画素領域の1/2ピッチずつドットを着弾させることができる例を示したものである。すなわち、図15は、図6のものに対して第2吐出制御手段を含めたときの例である。
(1)Jビットの制御信号としては、実施形態で例示したビット数に限られるものではなく、何ビットの制御信号を用いても良い。
静電吐出方式のエネルギー発生素子は、振動板と、この振動板の下側に、空気層を介した2つの電極を設けたものである。そして、両電極間に電圧を印加し、振動板を下側にたわませ、その後、電圧を0Vにして静電気力を開放する。このとき、振動板が元の状態に戻るときの弾性力を利用してインク液滴を吐出するものである。
また、ピエゾ方式のエネルギー発生素子は、両面に電極を有するピエゾ素子と振動板との積層体を設けたものである。そして、ピエゾ素子の両面の電極に電圧を印加すると、圧電効果により振動板に曲げモーメントが発生し、振動板がたわみ、変形する。この変形を利用してインク液滴を吐出するものである。
また、1つの画素領域に着弾させる最大インク液滴数は、いくつのものに対しても本発明を適用することができる。
11 ヘッド
12 インク液室
13 発熱抵抗体(エネルギー発生素子)
18 ノズル
50 吐出制御回路
Claims (4)
- ノズルを有する液体吐出部を特定方向に複数並設したヘッドを備える液体吐出装置であって、
各前記液体吐出部の前記ノズルから吐出する液滴の吐出方向を、前記特定方向において複数の方向に可変とした吐出方向可変手段と、
前記吐出方向可変手段を用いて、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応する画素を形成するために、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部からそれぞれ異なる方向に液滴を吐出して、同一画素領域に各液滴を着弾させて画素を形成することにより、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部を用いて1つの前記画素を形成するように液滴の吐出を制御する第1吐出制御手段と、
画素領域に液滴を着弾させる場合に、前記液体吐出部からの液滴の吐出ごとに、その画素領域における前記特定方向の液滴の着弾位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置を決定し、その決定した着弾位置に液滴が着弾するように、前記吐出方向可変手段を用いて液滴の吐出を制御する第2吐出制御手段と
を備え、
ここで、
前記第1吐出制御手段は、1つの画素領域に前記N個の液滴を着弾させて1つの前記画素を形成する際に、前記N個で1周期の吐出信号を、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部に送出して、各前記液体吐出部から、前記N個で1周期の液滴を吐出するように制御し、
前記第2吐出制御手段は、前記1周期において、前記N個の各液滴ごとに、前記M個の異なる着弾位置からいずれかの着弾位置を決定する
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記第2吐出制御手段は、前記M個の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置をランダムに決定する
ことを特徴とする液体吐出装置。 - ノズルを有する液体吐出部を特定方向に複数並設したヘッドを用いる液体吐出方法であって、
各前記液体吐出部の前記ノズルから吐出する液滴の吐出方向を、前記特定方向において複数の方向に可変とし、
近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部からそれぞれ異なる方向に液滴を吐出して、同一画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応する画素を形成することにより、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部を用いて1つの前記画素を形成するように液滴の吐出を制御するとともに、
画素領域に液滴を着弾させる場合に、前記液体吐出部からの液滴の吐出ごとに、その画素領域における前記特定方向の液滴の着弾位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置を決定し、その決定した着弾位置に液滴が着弾するように液滴の吐出を制御し、
ここで、
1つの画素領域に前記N個の液滴を着弾させて1つの前記画素を形成する際に、前記N個で1周期の吐出信号を、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部に送出して、各前記液体吐出部から、前記N個で1周期の液滴を吐出するように制御し、
かつ、
前記1周期において、前記N個の各液滴ごとに、前記M個の異なる着弾位置からいずれかの着弾位置を決定する
ことを特徴とする液体吐出方法。 - 請求項3に記載の液体吐出方法において、
前記M個の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置をランダムに決定する
ことを特徴とする液体吐出方法。
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