JP3849801B2 - 液体吐出装置及び液体吐出方法 - Google Patents

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本発明は、ノズルを有する液体吐出部を複数並設したヘッドを備える液体吐出装置、及びノズルを有する液体吐出部を複数並設したヘッドを用いた液体吐出方法に関し、液体吐出部のノズルから吐出する液滴の吐出方向を複数の方向に可変できるようにし、液体吐出部に液滴の吐出不良が生じたときの補正を行うと同時に、液滴の着弾位置のばらつきを目立たなくすることにより、画質の改善を図る技術に関するものである。
従来、液体吐出装置の1つであるインクジェットプリンタにおいては、通常、ノズルを有する液体吐出部が直線状に配列されたヘッドを備えている。そして、このヘッドの各液体吐出部から、微少な液滴(インク液滴)をノズル面に対向して配置される印画紙等の記録媒体に向けて吐出することにより、記録媒体上に略円形のドットを形成するとともに、液滴を順次吐出して、0個、1個又は複数個のドットからなる画素を形成するとともに、その画素を縦横に配列して画像や文字を表現している。
一方、インクジェットプリンタは、その構造から、ある程度のばらつきを持って液滴が吐出される。吐出された液滴が記録媒体に着弾されたときのドットの配列を見ると、一時的なばらつき(偶発的なもの)は平均化されてあまり目立たないが、液体吐出部(ヘッド)固有のばらつきは、直線状のばらつき(ペアリング)として、わずかであっても目立つようになる。
図17は、ドット配列のばらつきを説明する図である。図17において、矢印で示した部分は、ドットピッチ(隣接するドットの中心間距離)の1/36、1/12、及び1/4をそれぞれ図中、右方向にシフトさせるとともに、ドットピッチに対するドット径の大きさの程度を大、中、小、に分けて、ドットピッチがずれた場合の影響を示したものである。
図17から理解できるように、ドット列がドットピッチの10%程度ずれると、そのずれが目視で認識できるようになり、20%程度を越えるものは、一般には記録の不具合として目立つようになる。なお、ドットピッチのずれが目立つか否かは、インクの色にも左右される。例えば黄色は、ずれに対する許容量が大きい(ずれが他の色に対して目立ちにくい)。
ここで、ヘッドが記録媒体に対して水平方向に直線的な往復移動を行うとともに、記録媒体が上記往復移動方向と略垂直な方向に搬送されるシリアル方式の場合には、上記のようなドットピッチずれを解決する手法として、以下の2通りが知られている。
なお、本明細書では、シリアル方式においては、ヘッドの往復移動方向を主走査方向と定義し、この方向と略垂直な方向(記録媒体の搬送方向)を、副走査方向と定義する。
第1の手法は、ドットピッチの多少のずれがあっても、記録媒体の下地が見えなくなるようにドット同士を重ねることである。すなわち、ドットサイズ(ドット径)をドットピッチに対して大きくすることである。
この手法によると、ドットを円形と仮定して、ドットピッチの√2倍(ドットピッチの対角線)以上のドット径にすれば、通常の配列がなされる限りドット間の隙間は埋められ、多少のドットの着弾位置ずれがあっても、あまり目立たずに、画像上に白スジを発生させないようにすることができる。
図18は、図17と同じドット列のずれに対して、全体のドットサイズをドットピッチの√2倍強に設定した場合の例を示す図である。
また、第2の手法は、「重ね打ち」と称される手法である。この重ね打ちでは、第1の手法で示したような大きなドットを用いないため、1回で吐出される液滴ではドット間の隙間は埋まらないが、先に配列したドット列の隙間を埋めるように重ねてドットを配列することで、隙間を埋めるようにするものである。図19は、第2の手法である重ね打ちをしたときの状態を示す図である。図19において、模様の異なるドットは、異なる主走査時に形成されるか、又は異なるヘッドで形成される。この重ね打ちは、主走査方向のみならず、副走査方向にも用いることができるので、小さなドットから画像を形成することができる。
また、シリアル方式に対し、記録媒体の全幅(シリアル方式の主走査方向における略全範囲)にわたるようにヘッドを形成したライン方式の場合は、ヘッドが固定され、記録媒体のみが搬送されるのが通常である。
なお、本明細書において、ライン方式においては、記録媒体の搬送方向を主走査方向と定義する。
ライン方式においては、記録媒体の全幅にわたるヘッドを、シリコンウエハやガラス等で一体に形成すれば、液体吐出部の並び精度等を高めることができる。しかし、製造方法、歩留まり問題、発熱問題、コスト問題等、様々な問題があって、現実的にはそのような構造のヘッドを製作することはほとんど不可能に近い。
このため、インクジェットプリンタにラインヘッドを搭載する場合には、小さなヘッドチップ(これにも様々な制約があり、大きくても液体吐出部の並び方向の長さが1インチ以下程度が実用的な限界である。)を、端部同士が繋がるように複数並設して、それぞれのヘッドチップに適当な信号処理を行うことによって、記録媒体に印画する段階で、記録媒体の全幅に繋がった記録を行うようにすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−36522号公報
しかし、前述の従来の技術では、以下の問題点がある。
シリアル方式における第1の手法(ドットサイズを大きくする手法)では、ドットの位置ずれに対しては強くなるものの、ドットサイズが大きくなる結果、粒子状のドットが見えやすくなり、中間階調が必要とされる写真などの印画の場合には、ざらつき感が増大するという問題がある。
また、シリアル方式における第2の手法(重ね打ち)では、上記第1の手法と異なり、ドットサイズを大きくする必要がないため、全体の画像のざらつき感を軽減し、写真画質等を向上させることができる。しかし、主走査方向にも副走査方向にも多数のドットを配列しなければならないので、その分、記録速度が遅くなるという問題がある。この問題を解決するためには、多数の液体吐出部をできる限り高速で動作させなければならないが、そのようにすると、信頼性の低下とコストの増大を招きやすいという問題がある。
さらにまた、ライン方式の場合においては、第1の手法を採用することは可能であるが、上記のシリアル方式における第1の手法と同様の問題がある。
さらに、ライン方式の場合には、ヘッドは移動しないので、一旦記録した領域を、再度記録することにより重ね打ちを行うことはできない。すなわち、シリアル方式における第2の手法を採用することはできない。
ここで、特殊例として、写真等に限り、コシの強い記録媒体を用いることを条件に、(昇華型プリンタ等のように)何度も記録媒体を出入れすれば、重ね打ちは不可能ではない。しかし、インクジェットプリンタでは、昇華型プリンタとは異なり、記録媒体に配列されたドット(着弾したインク)が乾燥するまでにはある程度の時間を要するので、インクが十分に乾燥しないうちに記録媒体を何らの保護も行うことなく出入れすることは危険である。
さらに、記録媒体の出入れは、特殊な記録媒体に限られ、普通紙等の記録媒体では、上記のような出入れを行うことはできない。また、ライン方式は、記録速度の速さをメリットとするものであるので、ライン方式において記録媒体を出入れしたのでは、記録速度が低下し、ライン方式を採用した趣旨が没却されてしまう。したがって、ライン方式の場合には、重ね打ちができるのは、記録媒体の送り方向、すなわち主走査方向のみということになる。
そして、ライン方式の場合に、主走査方向における重ね打ちを行うことによって、その階調度を増やすことは可能であるが、主走査方向における重ね打ちは、階調度を上げることのみの効果があり、吐出ばらつきの平均化には寄与しない。
これに対し、副走査方向における重ね打ちは、主走査方向における重ね打ちと同様に階調度を上げる効果に加えて、吐出ばらつきの平均化という重要な効果も有している。
すなわち、主走査方向におけるドットの中心間距離は、同一の液体吐出部から吐出されたドットを並べるだけであるので、その精度は極めて良いものとなるが、副走査方向におけるドットの中心間距離は、全て異なる液体吐出部によるものであるので、そのばらつきが大きい。
以上のような理由により、副走査のないライン方式では、液体吐出部固有のばらつきが液体吐出部の並び方向に残り、スジムラとして目立ってしまう場合があるという問題がある。
また、ライン方式の場合には、ヘッドチップ同士を継ぎ合わせるため、液体吐出部の並び間隔に誤差が生じやすいという問題がある。さらに、ヘッドチップの張り合わせにおいてもヘッドチップ間で厚み等に誤差が生じるという問題も生じる。これらの誤差による影響は、単一ヘッドチップ内で生じるインク液滴の吐出角のばらつきの数倍にも及ぶことがある。
さらにまた、ヘッド中の一部の液体吐出部に不吐出等の欠陥がある場合において、シリアル方式では、第2の手法(重ね打ち)を採ることにより、不吐出等の欠陥を目立たなくすることができる。
これに対し、ライン方式の場合には、上述のように第2の手法を採用することはできないので、わずかでも液体吐出部に不吐出等の欠陥がある場合には、その欠陥を補正することができないので、ただちにヘッド不良になってしまうという問題がある。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、本件発明者らによって既に提案されている先願技術である特願2003−037343及び特願2002−360408の両技術を融合させることにより、一部の液体吐出部に不吐出等の欠陥が生じても、画素列間にスジが入ってしまう等のヘッド不良となる確率を低くするとともに、液滴の着弾位置のばらつきも目立たなくすることである。
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。
本発明の1つである請求項1に記載の発明は、ノズルを有する液体吐出部を特定方向に複数並設したヘッドを備える液体吐出装置であって、各前記液体吐出部の前記ノズルから吐出する液滴の吐出方向を、前記特定方向において複数の方向に可変とした吐出方向可変手段と、前記吐出方向可変手段を用いて、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応する画素を形成するために、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部からそれぞれ異なる方向に液滴を吐出して、同一画素領域に各液滴を着弾させて画素を形成することにより、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部を用いて1つの前記画素を形成するように液滴の吐出を制御する第1吐出制御手段と、画素領域に液滴を着弾させる場合に、前記液体吐出部からの液滴の吐出ごとに、その画素領域における前記特定方向の液滴の着弾位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置を決定し、その決定した着弾位置に液滴が着弾するように、前記吐出方向可変手段を用いて液滴の吐出を制御する第2吐出制御手段とを備え、ここで、前記第1吐出制御手段は、1つの画素領域に前記N個の液滴を着弾させて1つの前記画素を形成する際に、前記N個で1周期の吐出信号を、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部に送出して、各前記液体吐出部から、前記N個で1周期の液滴を吐出するように制御し、前記第2吐出制御手段は、前記1周期において、前記N個の各液滴ごとに、前記M個の異なる着弾位置からいずれかの着弾位置を決定することを特徴とする。
(作用)
上記発明においては、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部から、それぞれ異なる方向に液滴が吐出されることにより、画素が形成される。例えば、隣接する液滴吐出部Nと液体吐出部(N+1)とからそれぞれ液滴を吐出して、同一画素領域に液滴を着弾させることができる。
したがって、画素を、複数の異なる液体吐出部を用いて形成することができる。
また、1つの画素領域において、液滴の着弾目標位置は、特定方向においてM個の異なる位置に設定されている。ここで、M個の異なる位置のうちいずれに液滴が着弾されても、液滴の少なくとも一部は、その画素領域内に入るように設定されている。
そして、液滴が画素領域に着弾する場合には、M個の着弾目標位置のうちいずれかの位置が決定され、その決定された位置に液滴が着弾する。
したがって、画素領域の少なくとも一部に含まれるように液滴が着弾するが、液滴の位置は、画素領域内でばらつくようになる。これにより、液体吐出部固有のばらつきによる液滴の着弾位置の偏り等をなくし、全体のドット配列としては、方向性のない均一なものとなる。
本発明によれば、以下の効果を発揮することができる。
第1に、吐出方向可変手段及び第1吐出制御手段によって、複数の異なる液体吐出部を用いて、画素又は画素列を形成することができるので、液体吐出部ごとの液滴の吐出量のばらつきを最小限に抑え、印画品位の低下を防止することができる。また、例えば液滴の吐出が不十分な、あるいはゴミやホコリ等によって液滴が吐出されない液体吐出部があったとしても、その影響を最小限にすることができる。これにより、本来であれば不良とされてしまうヘッドを、不良とならない程度にまで印画品位を高めることができる。
さらにまた、バックアップ用ヘッドを別個に備えることなく、液滴を吐出することができない液体吐出部が存在したとしても、その液体吐出部に近隣する別の液体吐出部が、液滴を吐出することができない液体吐出部を補い、その液体吐出部の代わりに液滴を吐出することができる。
さらに、複数の液滴によって1画素を形成する場合に、ヘッドを複数回移動させることなく(複数回スキャンすることなく)、液滴が重なるように着弾させることができるので、印画速度を速くすることができる。
また第2に、吐出方向可変手段及び第2吐出制御手段によって、画素領域に液滴を着弾させる場合に、M個の着弾位置のうちいずれか任意の位置に着弾させるようにしたので、(1)ドット配列のばらつきをなくすことができる。したがって、液体吐出部間のばらつきとして、ドット列間にスジが入ってしまうこと等を防止することができる。これにより、液体吐出部固有のばらつきによる液滴の着弾位置の偏り等をなくし、全体のドット配列としては、方向性のない均一なものにすることで、高品質の画像を得ることができる。
さらに、(2)液体吐出部の液滴の吐出特性によるばらつきをマスクする効果を得ることができる。すなわち、不吐出の液体吐出部があっても、マスクされるので、不吐出の液体吐出部の影響が見えにくくなる。また、(3)モアレをなくすことができる。特に、カラー印刷において、本発明を適用することにより、モアレの発生を防止することができる。さらにまた、(4)上記(1)〜(3)の効果の結果、階調特性が向上する、等の効果を得ることができる。
さらに第3に、第1吐出制御手段と第2吐出制御手段との相乗効果によって、画質を大幅に向上させることができる。
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。なお、本明細書において、「インク液滴」とは、後述する液体吐出部のノズル18から吐出される微少量(例えば数ピコリットル)のインク(液体)をいう。また、「ドット」とは、1つのインク液滴が印画紙等の記録媒体に着弾して形成されたものをいう。さらにまた、「画素」とは、画像の最小単位であり、「画素領域」とは、画素を形成するための領域となるものをいう。
そして、1つの画素領域に、所定数(0個、1個又は複数個)の液滴が着弾し、ドット無しの画素(1階調)、1つのドットからなる画素(2階調)、又は複数のドットからなる画素(3階調以上)が形成される。すなわち、1つの画素領域には、0個、1個又は複数個のドットが対応している。そして、これらの画素が記録媒体上に多数配列されることで、画像を形成する。
なお、画素に対応するドットは、その画素領域内に完全に入るものではなく、画素領域からはみ出す場合もある。
(ヘッドの構造)
図1は、本発明による液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)のヘッド11を示す分解斜視図である。図1において、ノズルシート17は、バリア層16上に貼り合わされるが、このノズルシート17を分解して図示している。
ヘッド11において、基板部材14は、シリコン等からなる半導体基板15と、この半導体基板15の一方の面に析出形成された発熱抵抗体13(本発明におけるエネルギー発生素子に相当するもの)とを備えるものである。発熱抵抗体13は、半導体基板15上に形成された導体部(図示せず)を介して外部回路と電気的に接続されている。
また、バリア層16は、例えば、感光性環化ゴムレジストや露光硬化型のドライフィルムレジストからなり、半導体基板15の発熱抵抗体13が形成された面の全体に積層された後、フォトリソプロセスによって不要な部分が除去されることにより形成されている。
さらにまた、ノズルシート17は、複数のノズル18が形成されたものであり、例えば、ニッケルによる電鋳技術により形成され、ノズル18の位置が発熱抵抗体13の位置と合うように、すなわちノズル18が発熱抵抗体13に対向するようにバリア層16の上に貼り合わされている。
インク液室12は、発熱抵抗体13を囲むように、基板部材14とバリア層16とノズルシート17とから構成されたものである。すなわち、基板部材14は、図中、インク液室12の底壁を構成し、バリア層16は、インク液室12の側壁を構成し、ノズルシート17は、インク液室12の天壁を構成する。これにより、インク液室12は、図1中、右側前方面に開口領域有し、この開口領域とインク流路(図示せず)とが連通される。
上記の1個のヘッド11には、通常、100個単位のインク室12と、各インク室12内にそれぞれ配置された発熱抵抗体13とを備え、プリンタの制御部からの指令によってこれら発熱抵抗体13のそれぞれを一意に選択して発熱抵抗体13に対応するインク液室12内のインクを、インク液室12に対向するノズル18から吐出させることができる。
すなわち、ヘッド11と結合されたインクタンク(図示せず)から、インク液室12にインクが満たされる。そして、発熱抵抗体13に短時間、例えば、1〜3μsecの間パルス電流を流すことにより、発熱抵抗体13が急速に加熱され、その結果、発熱抵抗体13と接する部分に気相のインク気泡が発生し、そのインク気泡の膨張によってある体積のインクが押しのけられる(インクが沸騰する)。これによって、ノズル18に接する部分の上記押しのけられたインクと同等の体積のインクがインク液滴としてノズル18から吐出され、印画紙上に着弾され、ドット(画素)が形成される。
なお、本明細書において、1つのインク液室12と、このインク液室12内に配置された発熱抵抗体13と、その上部に配置されたノズル18とから構成される部分を、「液体吐出部」と称する。すなわち、ヘッド11は、複数の液体吐出部を並設したものといえる。
さらに本実施形態では、複数のヘッド11を記録媒体の幅方向に並べて、ラインヘッドを形成している。図2は、ラインヘッド10の実施形態を示す平面図である。図2では、4つのヘッド11(「N−1」、「N」、「N+1」及び「N+2」)を図示している。ラインヘッド10を形成する場合には、図1中、ヘッド11からノズルシート17を除く部分(ヘッドチップ)を複数並設する。
そして、これらのヘッドチップの上部に、全てのヘッドチップの各液体吐出部に対応する位置にノズル18が形成された1枚のノズルシート17を貼り合わせることにより、ラインヘッド10を形成する。ここで、隣接するヘッド11の各端部にあるノズル18間のピッチ、すなわち図2中、A部詳細図において、N番目のヘッド11の右端部にあるノズル18と、N+1番目のヘッド11の左端部にあるノズル18との間の間隔は、ヘッド11のノズル18間の間隔に等しくなるように、各ヘッド11が配置される。
(吐出方向可変手段)
ヘッド11は、吐出方向可変手段を備える。吐出方向可変手段は、本実施形態では、ノズル18から吐出されるインク液滴の吐出方向を、ノズル18(液体吐出部)の並び方向において複数の方向に可変としたものであり、以下のように構成されている。
図3は、ヘッド11の発熱抵抗体13の配置をより詳細に示す平面図及び側面の断面図である。図3の平面図では、ノズル18の位置を1点鎖線で併せて示している。
図3に示すように、本実施形態のヘッド11では、1つのインク液室12内に、2つに分割された発熱抵抗体13が並設されている。さらに、分割された2つの発熱抵抗体13の並び方向は、ノズル18の並び方向(図3中、左右方向)である。
このように、1つの発熱抵抗体13を縦割りにした2分割型のものでは、長さが同じで幅が半分になるので、発熱抵抗体13の抵抗値は、2倍の値になる。この2つに分割された発熱抵抗体13を直列に接続すれば、2倍の抵抗値を有する発熱抵抗体13が直列に接続されることとなり、抵抗値は4倍となる。
ここで、インク液室12内のインクを沸騰させるためには、発熱抵抗体13に一定の電力を加えて発熱抵抗体13を加熱する必要がある。この沸騰時のエネルギーにより、インクを吐出させるためである。そして、抵抗値が小さいと、流す電流を大きくする必要があるが、発熱抵抗体13の抵抗値を高くすることにより、少ない電流で沸騰させることができるようになる。
これにより、電流を流すためのトランジスタ等の大きさも小さくすることができ、省スペース化を図ることができる。なお、発熱抵抗体13の厚みを薄く形成すれば抵抗値を高くすることができるが、発熱抵抗体13として選定される材料や強度(耐久性)の観点から、発熱抵抗体13の厚みを薄くするには一定の限界がある。このため、厚みを薄くすることなく、分割することで、発熱抵抗体13の抵抗値を高くしている。
また、1つのインク液室12内に2つに分割された発熱抵抗体13を備えた場合には、各々の発熱抵抗体13がインクを沸騰させる温度に到達するまでの時間(気泡発生時間)を同時にすれば、2つの発熱抵抗体13上で同時にインクが沸騰し、インク液滴は、ノズル18の中心軸方向に吐出される。
これに対し、2つの分割した発熱抵抗体13の気泡発生時間に時間差が生じると、2つの発熱抵抗体13上で同時にインクが沸騰しない。これにより、インク液滴の吐出方向は、ノズル18の中心軸方向からずれ、偏向して吐出される。これにより、偏向なくインク液滴が吐出されたときの着弾位置からずれた位置にインク液滴が着弾されることとなる。
図4(a)、(b)は、本実施形態のような分割した発熱抵抗体13を有する場合に、各々の発熱抵抗体13によるインクの気泡発生時間差と、インク液滴の吐出角度との関係を示すグラフである。このグラフでの値は、コンピュータによるシミュレーション結果である。このグラフにおいて、X方向(グラフ縦軸θxで示す方向。注意:グラフの横軸の意味ではない。)は、ノズル18の並び方向(発熱抵抗体13の並設方向)であり、Y方向(グラフ縦軸θyで示す方向。注意:グラフの縦軸の意味ではない。)は、X方向に垂直な方向(印画紙の搬送方向)である。また、X方向及びY方向ともに、偏向がないときの角度を0゜とし、この0゜からのずれ量を示している。
さらにまた、図4(c)は、2分割した発熱抵抗体13のインクの気泡発生時間差として、2分割した発熱抵抗体13間の電流量の差、すなわち、偏向電流を横軸に、インク液滴の吐出角度(X方向)として、インク液滴の着弾位置での偏向量(ノズル18〜着弾位置間距離を約2mmとして実測)を縦軸にした場合の実測値データである。図4(c)では、発熱抵抗体13の主電流を80mAとして、片方の発熱抵抗体13に前記偏向電流を重畳し、インク液滴の偏向吐出を行った。
ノズル18の並び方向に2分割した発熱抵抗体13の気泡発生に時間差を有する場合には、インク液滴の吐出角度が垂直でなくなり、ノズル18の並び方向におけるインク液滴の吐出角度θxは、気泡発生時間差と共に大きくなる。
そこで、本実施形態では、この特性を利用し、2分割した発熱抵抗体13を設け、各発熱抵抗体13に流す電流量を変えることで、2つの発熱抵抗体13上の気泡発生時間に時間差が生じるように制御して、インク液滴の吐出方向を偏向させるようにしている。
さらに、例えば2分割した発熱抵抗体13の抵抗値が製造誤差等により同一値になっていない場合には、2つの発熱抵抗体13に気泡発生時間差が生じるので、インク液滴の吐出角度が垂直でなくなり、インク液滴の着弾位置が本来の位置からずれる。しかし、2分割した発熱抵抗体13に流す電流量を変えることにより、各発熱抵抗体13上の気泡発生時間を制御し、2つの発熱抵抗体13の気泡発生時間を同時にすれば、インク液滴の吐出角度を垂直にすることも可能となる。
次に、インク液滴の吐出角度を、どの程度偏向させるかについて説明する。図5は、インク液滴の吐出方向の偏向を説明する図である。図5において、インク液滴iの吐出面に対して垂直にインク液滴iが吐出されると、図5中、点線で示す矢印のように偏向なくインク液滴iが吐出される。これに対し、インク液滴iの吐出方向が偏向して、吐出角度が垂直位置からθだけずれると(図5中、Z1又はZ2方向)、インク液滴iの着弾位置は、
ΔL=H×tanθ
だけずれることとなる。
このように、インク液滴iの吐出方向が垂直方向からθだけずれたときには、インク液滴の着弾位置がΔLだけずれることとなる。
ここで、ノズル18の先端と印画紙Pとの間の距離Hは、通常のインクジェットプリンタの場合、1〜2mm程度である。したがって、距離Hを、H=略2mmに、一定に保持すると仮定する。
なお、距離Hを略一定に保持する必要があるのは、距離Hが変動してしまうと、インク液滴iの着弾位置が変動してしまうからである。すなわち、ノズル18から、印画紙Pの面に垂直にインク液滴iが吐出されたときは、距離Hが多少変動しても、インク液滴iの着弾位置は変化しない。これに対し、上述のようにインク液滴iを偏向吐出させた場合には、インク液滴iの着弾位置は、距離Hの変動に伴い異なった位置となってしまうからである。
また、ヘッド11の解像度を600DPIとしたときに、隣接するノズル18の間隔は、
25.40×1000/600≒42.3(μm)
となる。
(第1吐出制御手段)
以上の吐出方向可変手段を採用したヘッド11を用い、本実施形態では、第1に、第1吐出制御手段により、以下のようなインク液滴の吐出制御を行う。
第1吐出制御手段は、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部からそれぞれ異なる方向にインク液滴を吐出して、同一画素列に各インク液滴を着弾させて画素列を形成するか、又は同一画素領域に各インク液滴を着弾させて画素を形成することにより、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部を用いて1つの画素列又は1つの画素を形成するように液滴の吐出を制御する手段である。
ここで、本発明では、第1の形態として、各ノズル18から吐出されるインク液滴の吐出方向を、J(Jは、正の整数)ビットの制御信号によって、2 の異なる偶数個の方向に可変にするとともに、2 の方向のうち最も離れた位置となる2つのインク液滴の着弾位置の間隔が、隣接する2つのノズル18の間隔の(2 −1)倍となるように設定する。そして、ノズル18からインク液滴を吐出するときに、2 の方向のうち、いずれか1つの方向を選択する。
あるいは、第2の形態として、ノズル18から吐出される液滴の吐出方向を、J(Jは、正の整数)ビット+1の制御信号によって(2 +1)の異なる奇数個の方向に可変にするとともに、(2 +1)の方向のうち最も離れた位置となる2つのインク液滴の着弾位置の間隔が、隣接する2つのノズル18の間隔の2 倍となるように設定する。そして、ノズル18からインク液滴を吐出するときに、(2 +1)の方向のうち、いずれか1つの方向を選択する。
例えば上記第1の形態の場合に、J=2ビットの制御信号を用いると仮定すると、インク液滴の吐出方向は、2 =4つの偶数個となる。また、2 の方向のうち最も離れた位置となる2つのインク液滴の着弾位置の間隔は、隣接する2つのノズル18の間隔の(2 −1)=3倍となる。
この例において、ヘッド11の解像度が600DPIであるときの隣接するノズル18の間隔(42.3μm)の3倍、すなわち126.9μmを偏向時の最も離れた位置となる2つのドット間の距離とすれば、偏向角度θ(deg)は、
tan2θ=126.9/2000≒0.0635
となるので、
θ≒1.8(deg)
となる。
また、上記第2の形態の場合に、J=2ビット+1の制御信号を用いると仮定すると、インク液滴の吐出方向は、2 +1=5つの奇数個となる。また、(2 +1)の方向のうち最も離れた位置となる2つのインク液滴の着弾位置の間隔は、隣接する2つのノズル18の間隔の2 =4倍となる。
図6は、上記第1の形態の場合において、J=1ビットの制御信号を用いたときのインク液滴の吐出方向をより具体的に示した図である。上記第1の形態においては、インク液滴の吐出方向を、ノズル18の並び方向において左右対称方向に設定することができる。
そして、最も離れた位置となる(2 =)2つのインク液滴の着弾位置の間隔が、隣接する2つのノズル18の間隔の(2 −1=)1倍となるように設定すれば、図6に示すように、1画素領域に、隣接する液体吐出部のノズル18からそれぞれインク液滴を着弾させることができる。すなわち、図6に示すように、ノズル18間の間隔をxとすると、隣接する画素領域間の距離は、(2 −1)×x(図6の例では、(2 −1)×x=x)となる。
なお、この場合は、インク液滴の着弾位置は、ノズル18間に位置することになる。
また、図7は、上記第2の形態の場合において、J=1ビット+1の制御信号を用いたときのインク液滴の吐出方向をより具体的に示した図である。上記第2の形態では、ノズル18からの液滴の吐出方向を奇数個の方向にすることができる。すなわち、上記第1の形態では、インク液滴の吐出方向をノズル18の並び方向において左右対称に偶数個の方向に設定することができるが、さらに+1の制御信号を用いることで、ノズル18からインク液滴を直下に吐出させることができる。したがって、インク液滴の左右対称方向への吐出(図7中、「a」及び「c」の吐出)と、直下への吐出(図7中、「b」の吐出)との双方により、奇数の吐出方向に設定することができる。
図7の例では、制御信号は、(J=)1ビット+1となり、吐出方向数は、(2 +1=)3の異なる奇数個の方向となる。また、(2 +1=)3つの吐出方向のうち、最も離れた位置となる2つのインク液滴の着弾位置間隔が、隣接する2つのノズル18の間隔(図7中、x)の(2 =)2倍となるように設定し(図18中、2 ×x)、インク液滴の吐出時に、(2 +1=)3つの吐出方向のうち、いずれか1つの方向を選択する。
このようにすれば、図7に示すように、ノズルNの真下に位置する画素領域Nの他に、その両側に位置する画素領域N−1、及びN+1にインク液滴を着弾させることができる。
また、インク液滴の着弾位置は、ノズル18に対向する位置となる。
以上のようにして、制御信号の用い方によって、近隣に位置する少なくとも2つの液体吐出部(ノズル18)は、少なくとも1つの同一画素領域にインク液滴を着弾させることが可能となる。特に、液体吐出部の並び方向における並設ピッチを図6及び図7に示すように「x」としたとき、各液体吐出部は、自己の液体吐出部の中心位置に対して、液体吐出部の並び方向において、
±(1/2×x)×P(ここで、Pは、正の整数)
の位置にインク液滴を着弾させることが可能となる。
図8は、上述した第1の形態(偶数個の異なる方向にインク液滴を吐出可能としたもの)において、J=1ビットの制御信号を用いたときの画素形成方法(2方向吐出)を説明する図である。
図8は、ヘッド11にパラレルに送出される吐出実行信号を、液体吐出部によって、印画紙上に、各画素を形成する過程を示している。吐出実行信号は、画像信号に対応するものである。
図8の例では、画素「N」の吐出実行信号の階調数を3、画素「N+1」の吐出実行信号の階調数を1、画素「N+2」の吐出実行信号の階調数を2としている。
各画素の吐出信号は、a、bの周期で、所定の液体吐出部に送出され、かつ、各液体吐出部からは、上記a、bの周期でインク液滴が吐出される。ここで、a、bの周期は、タイムスロットa、bに対応し、a、b1周期で1画素領域内に吐出実行信号の階調数に対する複数のドットが形成される。例えば、周期aでは、画素「N」の吐出実行信号は液体吐出部「N−1」に送出され、画素「N+2」の吐出実行信号は液体吐出部「N+1」に送出される。
そして、液体吐出部「N−1」からは、a方向にインク液滴が偏向して吐出され、印画紙上の画素「N」の位置に着弾する。液体吐出部「N+1」からも、a方向にインク液滴が偏向して吐出され、印画紙上の画素「N+2」の位置に着弾する。
これにより、タイムスロットaにおける印画紙上の各画素位置に、階調数2に相当するインク液滴が着弾する。画素「N+2」の吐出実行信号の階調数は2であるので、これで、画素「N+2」が形成されることになる。同様の工程を、タイムスロットb分だけ繰り返す。
この結果、画素「N」は、階調数3に相当する数(2つ)のドットから形成される。
以上のようにすれば、階調数がいずれのときでも、1つの画素番号に対応する画素領域には、同一の液体吐出部によって連続して(2回続けて)インク液滴が着弾して画素が形成されることがないので、液体吐出部ごとのばらつきを少なくすることができる。また、例えばいずれかの液体吐出部からのインク液滴の吐出量が不十分であっても、各画素のドットによる占有面積のばらつきを少なくすることができる。
さらに、例えば第M画素ラインで1又は2以上のドットにより形成された画素と、第(M+1)画素ラインで1又は2以上のドットにより形成された画素とが、ほぼ同列上に並ぶ場合においては、第M画素ラインの画素を形成するために用いられた液体吐出部又は第M画素ラインの画素を形成するために最初のインク液滴の吐出に用いられた液体吐出部と、第(M+1)画素ラインの画素を形成するために用いる液体吐出部又は第(M+1)画素ラインの画素を形成するために最初のインク液滴の吐出に用いる液体吐出部とが異なる液体吐出部となるように制御するのが好ましい。
このようにすれば、例えば1つのドットから画素を形成する場合(2階調の場合)に、同一の液体吐出部により形成された画素(ドット)が同列上に並ぶことがなくなる。あるいは、少ないドット数で画素を形成する場合に、画素を形成するのに最初に用いられる液体吐出部が同列上で常に同じになることがなくなる。
これにより、例えば1つのインク液滴から形成された画素がほぼ同列上に並ぶ場合に、その画素を形成する液体吐出部に目詰まり等が生じてインク液滴が吐出されなくなってしまうと、同一の液体吐出部を用いたのでは、その画素列にはずっと画素が形成されなくなってしまう。しかし、上記のような方法を採ることで、そのような不具合を解消することができる。
また、上記のような方法以外に、ランダムに液体吐出部を選定するようにしても良い。そして、第M画素ラインの画素を形成するために用いられた液体吐出部又は第M画素ラインの画素を形成するために最初のインク液滴の吐出に用いられた液体吐出部と、第(M+1)画素ラインの画素を形成するために用いる液体吐出部又は第(M+1)画素ラインの画素を形成するために最初のインク液滴の吐出に用いる液体吐出部とが常に同一の液体吐出部とならないようにすれば良い。
さらにまた、図9は、上述した第2の形態(奇数個の異なる方向にインク液滴を吐出可能としたもの)において、J=1ビット+1の制御信号を用いたときの画素形成方法(3方向吐出)を示す図である。
図9に示す画素の形成工程は、上述した図8のものと同様であるので、説明を省略するが、このように、上記第2の形態においても、第1の形態と同様に、第1吐出制御手段を用いて、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部を用いて1つの画素列又は1つの画素を形成するように液滴の吐出を制御することができる。
(第2吐出制御手段)
さらにまた、本実施形態では、上述した第1吐出制御手段とともに、第2に、以下に説明する第2吐出制御手段を用いてインク液滴の吐出制御を行う。
第2吐出制御手段は、画素領域に液滴を着弾させる場合に、液体吐出部からのインク液滴の吐出ごとに、その画素領域におけるノズル18の並び方向(本発明における特定方向)のインク液滴の着弾目標位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置を決定し、その決定した着弾目標位置に液滴が着弾するように、吐出方向可変手段を用いて液滴の吐出を制御する手段である。
さらに本実施形態では、第2吐出制御手段は、M個の異なる着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置をランダムに(不規則に、あるいは規則性をもたずに)決定する。ランダムに決定する方法としては、種々の方法が挙げられるが、例えば乱数発生回路を用いて、M個の異なる着弾目標位置のうちいずれかの位置を決定する方法が挙げられる。
また本実施形態では、M個の着弾目標位置は、液体吐出部(ノズル18)の配列ピッチの1/Mの間隔で割り当てるものとする。
図10は、1つの画素領域に対し、M個の異なる着弾目標位置のうちいずれかの位置にインク液滴を着弾させた状態を示す平面図であり、従来の着弾状態(図中、左側)と、本実施形態の着弾状態(図中、右側)とを対比して示す図である。図10において、破線で囲む正方形の領域は、画素領域である。また、円形で示すものは、着弾されたインク液滴(ドット)である。
先ず、吐出命令が1(2階調)であるときには、従来の印画では、画素領域内にほぼインク液滴が入るように(図10では、着弾したインク液滴の大きさを、画素領域内に内接する大きさに図示している)、インク液滴が画素領域に着弾する。
これに対し、本実施形態では、ノズル18の並び方向のM個の着弾目標位置のうち、いずれかの位置に着弾するように、インク液滴を吐出する。図10の例では、1つの画素領域のM=8個の着弾目標位置(8個のうちの1個は、着弾なしに相当するため、実質的には7個の異なる着弾目標位置が図示されている。)のうち、決定された1つの着弾目標位置にインク液滴が着弾した状態を示している(図中、実線で示す円が実際にインク液滴が着弾した位置であり、他の破線で示す円は、他の着弾目標位置を示している)。この吐出命令が1の例では、図中、左から数えて2番目の位置に決定され、この決定された位置にインク液滴が着弾した状態を図示している。
また、吐出命令が2であるときには、その画素領域に、さらにインク液滴を重ねて着弾させる。なお、図10の例では、印画紙の送りを考慮して、画素領域内において1目盛りだけ下側にずれた状態を図示している。
そして、吐出命令が2であるときには、従来の方法では、最初に着弾したインク液滴と略同列上に(左右方向においてずれがなく)、2番目のインク液滴が着弾される。
これに対し、本実施形態の場合には、上述したように、最初のインク液滴は、ランダムに決定された位置に着弾されるが、さらに2番目のインク液滴もまた、最初のインク液滴の着弾目標位置とは無関係に(最初のインク液滴とは別個独立で)ランダムに着弾目標位置が決定され、その決定した位置にインク液滴が着弾される。図10の例では、2番目のインク液滴は、左右方向において画素領域の中央に着弾した例を示している。
さらにまた、吐出命令が3であるときもまた、上記の吐出命令が2であるときと同様である。従来の方法では、1つの画素領域において、左右方向にインク液滴の着弾位置がずれることなく、3つのインク液滴が着弾する。しかし、本実施形態では、吐出命令が3であるときには、3番目のインク液滴もまた、1番目及び2番目のインク液滴の着弾目標位置とは無関係に着弾目標位置が決定され、その決定した位置にインク液滴が着弾される。
以上のようにインク液滴を着弾させれば、ドットを重ねて配列して画素を形成する場合に、液体吐出部の特性のばらつきに起因するスジの発生等をなくし、ばらつきを目立たなくすることができる。
すなわち、インク液滴の着弾位置の規則性が失われ、各インク液滴(ドット)がランダムに配列される結果、その配列は、微視的には不均一であるが、巨視的にはむしろ均一で等方的となり、ばらつきが目立たなくなる。
したがって、各液体吐出部のインク液滴の吐出特性によるばらつきをマスクする効果がある。ランダム化されない場合には、全体が規則的なパターンとなってドットが配列されるので、その規則性を乱す部分は、視認されやすい。特に、点画においては、色の濃淡は、ドットと下地(印画紙のドットにより覆われない部分)の面積比で表現されるが、下地の部分の残り方が規則的になればなるほど視認されやすくなる。
これに対し、規則性がなく、ランダムにドットが配列されると、その配列が少し変化した程度では視認されにくくなる。
また、上述のラインヘッド10を複数設けて、各ラインヘッド10ごとに異なる色のインクを供給するようにしたカラーラインヘッドを備える場合には、さらに以下の効果がある。
カラーインクジェットプリンタにおいて、複数のインク液滴(ドット)を重ねて画素を形成するときは、モアレが発生しないようにするため、単色以上に厳しい着弾位置精度が求められる。しかし、本実施形態のようにランダムにインク液滴を配列すれば、モアレの問題は生じず、単純な色ずれに止めることができる。したがって、モアレの発生による画質の劣化を防止することができる。
特に、主走査方向にヘッドを何度も駆動してインク液滴を重ねていく重ね打ちを行うシリアル方式では、モアレはあまり問題にならないが、ライン方式の場合には、モアレが問題となる。そこで、本実施形態のようなランダムにインク液滴を着弾させる方法を採用すれば、モアレは出現しにくくなるので、ライン方式のインクジェットプリンタの実現を容易にすることができる。
さらにまた、ランダムにインク液滴を着弾させることで、印画紙に着弾される総インク量は同じでも、インク液滴の着弾範囲が広がるので、着弾されたインク液滴の乾燥時間を短縮することができる。特に、ライン方式の場合には、シリアル方式より印画速度が速い(印画時間が短い)ので、その効果は顕著である。
(第3吐出制御手段)
さらに本実施形態では、上述した第1吐出制御手段及び第2吐出制御手段とともに、第3に、以下に説明する第3吐出制御手段を用いてインク液滴の吐出制御を行う。
第3吐出制御手段は、画素領域におけるノズル18の並び方向(本発明における特定方向)と異なる方向、特に本実施形態ではノズル18の並び方向に対して略垂直な方向のインク液滴の着弾位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るN個の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾目標位置を設定し、1つの画素領域に着弾させる液滴数が1個以上であってN個未満であるときには、N個の異なる着弾目標位置の中から着弾目標位置を決定し、その決定した位置に液滴を着弾させるように液滴の吐出を制御する手段である。
すなわち、上述の第2吐出制御手段は、ノズル18の並び方向においてインク液滴の着弾位置をランダムにした場合であるが、第3吐出制御手段は、印画紙の送り方向(ノズル18の並び方向に対して略垂直な方向)においてインク液滴の着弾位置がランダムになるようにインク液滴の吐出を制御する。
図11は、印画紙の送り方向において、1つの画素領域に、インク液滴(ドット)を最大N個(本実施形態ではN=8)重ねて配置するときに、ランダムに配置する例を示す平面図であり、図10と同様に、従来の方法を図中、左側に示し、本実施形態における方法を図中、右側に示す。この例は、図10と同様に、N=8個の着弾目標位置(8個のうちの1個は、着弾なしに相当する)のうち、決定された1つの位置にインク液滴が着弾した状態を示している。
なお、本実施形態では、主走査方向において1つの画素領域にN回の吐出可能期間を割り当てている。また、図11では、第2吐出制御手段を用いていない例を挙げている。
先ず、従来の方法において、吐出命令が1であるときは、上述の場合と同様である。これに対し、本実施形態の場合には、1つの画素領域におけるインク液滴の着弾目標位置を、図中、上下方向(印画紙の送り方向、主走査方向、又はノズル18の並び方向に対して垂直な方向)において最大N個に設定し、そのうちのいずれか1つをランダムに決定して、その決定した位置にインク液滴を着弾させるようにする。
図11において、本実施形態では、吐出命令が1であるときに、上から2番目の着弾目標位置にインク液滴を着弾させた例を示している。
なお、印画紙の送り方向においてインク液滴をランダムに着弾させる場合には、上述した吐出方向可変手段を用いるのではなく、印画紙の送りとのタイミングをとって、吐出命令をヘッド11に与えれば良い。例えば図11において、画素領域の中心とインク液滴の中心とが略一致する位置を基準位置とし、図11中、1目盛り分だけ着弾位置をずらすときの吐出時間差をΔTとする。
この場合に、図11の例(吐出命令が1であるときに、上から2番目の着弾目標位置にインク液滴を着弾させる場合)には、基準位置より2目盛りだけ上に(早く)インク液滴を着弾させれば良いので、基準の吐出タイミングより、2×ΔTだけ早くインク液滴を吐出すれば良い。これとは逆に、例えば画素領域中の最も下側にインク液滴を吐出する場合には、基準位置より3目盛りだけ下に(遅く)インク液滴を着弾させれば良いので、基準の吐出タイミングより、3×ΔTだけ遅くインク液滴を吐出すれば良い。
同様に、吐出命令が2であるときは、従来の方法では、図10と同じであるが、本実施形態では、2番目のインク液滴の吐出においても、最初のインク液滴の吐出とは無関係に、ランダムに着弾位置を決定し、その位置にインク液滴を吐出する。図11の例では、吐出命令が2であるときのインク液滴の着弾位置は、基準位置に対し、1目盛りだけ下側にずれた状態を示している。
このように、吐出命令数0〜Nに対し、吐出数がKであるときのパターンの組合せは、N個の中からK個を取り出すときの組合せ数となるので、
/K!
となる。
したがって、同じ吐出命令に対して同じランダムパターンが発生する確率は、
1/
となる。
以上のようにしてインク液滴の着弾位置をランダムにすれば、ばらつきを視認しにくくなると同時に、吐出電力の平均化及びインク供給の平均化を図ることができる。
すなわち、本実施形態のように、発熱抵抗体13を加熱してインク液滴を吐出させるサーマル方式の場合には、インク液滴の吐出時にはかなりのエネルギーを必要とする。例えば、1つの液体吐出部あたり、0.7〜0.8W程度である。このような特性を有するヘッド11を多数並設してラインヘッド10を構成した場合には電力集中が生じ、電源の負荷が極めて大きくなってしまう。しかし、本実施形態のように吐出タイミングのランダム化を行うことにより、時間軸で同時のタイミングで駆動する液体吐出部数を少なくすることができるので、電力集中を緩和することができる。
また、サーマル方式に限らず、ピエゾ方式にも共通することであるが、ラインヘッド10のように印画速度が速くなるほど、インク流路内でのインクの移動速度も速くなる。そして、インク流路内で一気にインクが供給されると、インク流路内のインクの気圧が低下するので、インク内に溶けている気泡が発生しやすくなるという問題が生じる。これらの変動は、メニスカスの変動となって現れ、吐出されるインク液滴量が変化してしまう。したがって、インク流路内でのインクの移動は、できるだけ平均的に、かつ低速で行うことが望ましい。そして、本実施形態のように、吐出タイミングのランダム化を行えば、インク流路からのインクの供給量の均一化を図ることができる。
また、(1)図11に示したように、印画紙の送り方向(ノズル18の並び方向に対して略垂直な方向)に対して、画素領域へのインク液滴の着弾位置をランダムに変化させることと、(2)図10に示したように、ノズル18の並び方向に対してインク液滴を偏向吐出し、画素領域へのインク液滴の着弾位置をランダムに変化させることとを同時に実行すれば、インク液滴の着弾位置は、よりランダム化され、そのランダム化の効果を高めることができる。
図12は、この場合の例を説明する平面図であり、図中、左側は、従来の方法を示し、右側は、本実施形態の方法を示す。
従来の方法を採用すれば、ノズル18の並び方向やこれに垂直な方向にインク液滴の着弾目標位置がばらつくことはない。これに対し、本実施形態では、ノズル18の並び方向(図中、左右方向)及びこの方向に略垂直な方向(図中、上下方向)にランダムにインク液滴を着弾させるので、いずれの方向にも着弾位置がばらつくこととなる。本実施形態では、画素領域の面積の周辺に拡大された、ドットの半径分だけ大きい領域が、インク液滴が着弾される可能性のある領域となる。これにより、隣接するドットとの隙間をランダムに埋めることができるようになる。
次に、上述した吐出方向可変手段、第1吐出制御手段、及び第2吐出制御手段を具現化した吐出制御回路について説明する。
図13は、吐出方向可変手段、第1吐出制御手段、及び第2吐出制御手段を含む吐出制御回路50を示す図である。
吐出制御回路50において、抵抗Rh−A及びRh−Bは、それぞれインク液室12内の2分割された発熱抵抗体13であり、直列に接続されている。ここで、各発熱抵抗体13の電気抵抗値は、略同一に設定されている。したがって、この直列に接続された発熱抵抗体13に同一量の電流を流すことで、ノズル18からインク液滴を偏向なく(図5中、点線で示す矢印方向に)吐出することができる。
一方、直列に接続された2つの発熱抵抗体13間には、カレントミラー回路(以下、「CM回路」という。)が接続されている。このCM回路を介して発熱抵抗体13間に電流を流入するか又は発熱抵抗体13間から電流を流出させることにより、各発熱抵抗体13に流れる電流量に差異を設け、その差異によって、ノズル18より吐出されるインク液滴の吐出方向をノズル18(液体吐出部)の並び方向において複数の方向に可変にすることができる。
また、抵抗電源Vhは、抵抗Rh−A及びRh−Bに電圧を与えるための電源である。さらにまた、吐出制御回路50は、トランジスタとしてM1〜M19を備えている。なお、各トランジスタM1〜M19にかっこ書で付した「×N(N=1、2、4、8又は50)」の数字は、素子の並列状態を示し、例えば「×1」(トランジスタM16及びM19)は、標準の素子を有することを示す。同様に、「×2」は、標準の素子2個を並列に接続したものと等価な素子を有することを示す。以下、「×N」は、標準の素子N個を並列に接続したものと等価な素子を有することを示している。
トランジスタM1は、抵抗Rh−A及びRh−Bへの電流の供給をON/OFFするスイッチング素子として機能するものであり、そのドレインが抵抗Rh−Bと直列に接続され、吐出実行入力スイッチFに0が入力されたときにONになり、抵抗Rh−A及びRh−Bに電流を流すように構成されている。なお、吐出実行入力スイッチFは、本実施形態ではIC設計の都合上、ネガティブロジックとなっており、駆動時には(インク液滴を吐出するときだけ)0を入力する。そして、F=0が入力されると、NORゲートX1への入力は(0、0)となるので、その出力は1になり、トランジスタM1がONになる。
なお、本実施形態では、1つのノズル18からインク液滴を吐出するときには、1.5μs(1/64)の期間のみ吐出実行入力スイッチFが0(ON)にされ、抵抗電源Vh(9V前後)から抵抗Rh−A及びRh−Bに電力が供給される。また、94.5μs(63/64)は、吐出実行入力スイッチFが1(OFF)にされ、インク液滴を吐出した液体吐出部のインク液室12へのインクの補充期間に当てられる。
極性変換スイッチDpx及びDpyは、インク液滴の吐出方向を、ノズル18の並び方向(左右方向)において、左又は右のいずれにするかを決定するためのスイッチである。
さらにまた、第1吐出制御スイッチD4、D5及びD6、並びに第2吐出制御スイッチD1、D2及びD3は、インク液滴を偏向吐出させるときの偏向量を決定するためのスイッチである。
また、トランジスタM2及びM4、並びにトランジスタM12及びM13は、それぞれ、トランジスタM3及びM5からなるCM回路の作動アンプ(スイッチング素子)として機能するものである。すなわち、これらのトランジスタM2及びM4並びにM12及びM13は、CM回路を解して抵抗Rh−A及びRh−B間に電流を流入するか又は抵抗Rh−A及びRh−B間から電流を流出させるためのものである。
さらにまた、トランジスタM7、M9、及びM11、並びにトランジスタM14、M15及びM16は、それぞれ、CM回路の定電流源となる素子である。トランジスタM7、M9、及びM11の各ドレインは、それぞれトランジスタM2及びM4のソース及びバックゲートに接続されている。同様に、トランジスタM14、M15、及びM16の各ドレインは、それぞれトランジスタM12及びM13のソース及びバックゲートに接続されている。
これらの定電流源素子として機能するトランジスタのうち、トランジスタM7は「×8」の容量を有し、トランジスタM9は「×4」の容量を有し、トランジスタM11は「×2」の容量を有する。そして、これらの3つのトランジスタM7、M9及びM11が並列接続されることにより、電流源素子群を構成している。
同様に、トランジスタM14は「×4」の容量を有し、トランジスタM15は「×2」の容量を有し、トランジスタM16は「×1」の容量を有する。そして、これらの3つのトランジスタM14、M15及びM16が並列接続されることにより、電流源素子群を構成している。
さらにまた、各電流源素子として機能するトランジスタM7、M9、及びM11、並びにトランジスタM14、M15及びM16に、各トランジスタと同一の電流容量を有するトランジスタ(トランジスタM6、M8、及びM10、並びにトランジスタM17、M18、及びM19)が接続されている。そして、各トランジスタM6、M8、及びM10、並びにトランジスタM17、M18、及びM19のゲートにそれぞれ第1吐出制御スイッチD6、D5及びD4、並びに第2吐出制御スイッチD3、D2及びD1が接続されている。
したがって、例えば第1吐出制御スイッチD6がONにされ、振幅制御端子Zとグラウンド間に適当な電圧(Vx)が印加されると、トランジスタM6はONとなるので、トランジスタM7には電圧Vxを加えたときの電流が流れる。
このようにして、第1吐出制御スイッチD6、D5及びD4、並びに第2吐出制御スイッチD3、D2、及びD1のON/OFFを制御することで、各トランジスタM6〜M11、及びトランジスタM14〜M19のON/OFFを制御することができる。
ここで、トランジスタM7、M9、及びM11、並びにトランジスM14、M15及びM16は、各々並列に接続されている素子数が異なるので、図13中、各トランジスタM7、M9、及びM11、並びにトランジスタM14、M15及びM16の括弧内に示された数の比率で、それぞれ、トランジスタM2からM7、トランジスタM2からM9、及びトランジスタM2からM11、並びにトランジスタM12からM14、トランジスタM12からM15、及びトランジスタM12からM16に電流が流れるようになる。
これにより、トランジスタM7、M9、及びM11の比率は、それぞれ「×8」、「×4」、及び「×2」であるので、それぞれのドレイン電流Idは、8:4:2の比率となる。同様に、トランジスタM14、M15、及びM16の比率は、それぞれ「×4」、「×2」、及び「×1」であるので、それぞれのドレイン電流Idは、4:2:1の比率となる。
次に、吐出制御回路50において、第1吐出制御手段側(図13中、左半分)にのみ着目した場合の電流の流れについて説明する。
先ず、F=0(ON)かつDpx=0であるときは、NORゲートX1への入力は(0、0)となるので、その出力は1になり、トランジスタM1がONとなる。また、NORゲートX2への入力は、(0、0)となるので、その出力は1になり、トランジスタM2はONになる。さらにまた、上記の場合(F=0、かつDpx=0)には、NORゲートX3への入力値は、(1、0)となる(一方はF=0の入力値となり、他方はDpx=0がNOTゲートX4を通して1の入力値となるため)。したがって、NORゲートX3の出力は0となり、トランジスタM4はOFFになる。
この場合には、トランジスタM3からM2に電流が流れるが(トランジスタM2がONであるため)、トランジスタM5からM4には電流は流れない(トランジスタM4がOFFであるため)。さらに、CM回路の特性により、トランジスタM5に電流が流れないときには、トランジスタM3にも電流は流れない。
この状態において、抵抗電源Vhの電圧がかかると、トランジスタM3及びM5はOFFであるので電流は流れず、トランジスタM3及びM5側には電流は分岐せずに、全て抵抗Rh−Aに流れる。また、トランジスタM2がONであることから、抵抗Rh−Aを流れた電流がトランジスタM2側と抵抗Rh−B側とに分岐して、トランジスタM2側に電流が流出することが可能となる。この場合に第1吐出制御スイッチD6〜D4の全てがOFFであるときは、トランジスタM7、M9及びM11には電流が流れないので、結局、トランジスタM2には電流は流出しない。よって、抵抗Rh−Aを流れた電流は、全て抵抗Rh−Bに流れる。さらに、抵抗Rh−Bを流れた電流は、ONであるトランジスタM1を流れた後、グラウンドに送られる。
これに対し、第1吐出制御スイッチD6〜D4の少なくとも1つがONであるときには、ONである第1吐出制御スイッチD6〜D4に対応するトランジスタM6、M8又はM10がONとなり、さらにこれらのトランジスタに接続されているいずれかのトランジスタM7、M9又はM11がONになる。
したがって、上記の場合に例えば第1吐出制御スイッチD6がONであるときは、抵抗Rh−Aを流れた電流は、トランジスタM2側と抵抗Rh−B側とに分岐し、トランジスタM2側に電流が流出する。さらにトランジスタM2を流れた電流は、トランジスタM7及びM6を経てグラウンドに送られる。
すなわち、F=0、かつDpx=0の場合において、第1吐出制御スイッチD6〜D4の少なくとも1つがONであるときには、トランジスタM3及びM5側には電流は分岐せずに全て抵抗Rh−Aに流れた後、トランジスタM2側と抵抗Rh−B側とに分岐する。
これにより、抵抗Rh−Aと抵抗Rh−Bとに流れる電流Iは、I(Rh−A)>I(Rh−B)となる(注:I(**)で、**に流れる電流を表す)。
一方、F=0かつDpx=1が入力されたときは、上記と同様にNORゲートX1への入力は(0、0)となるので、その出力は1になり、トランジスタM1がONになる。
また、NORゲートX2への入力は、(1、0)となるので、その出力は0になり、トランジスタM2はOFFになる。さらにまた、NORゲートX3への入力は、(0、0)となるので、その出力は1となり、トランジスタM4はONになる。トランジスタM4がONであるとき、トランジスタM5には電流が流れるが、これとCM回路の特性から、トランジスタM3にも電流が流れる。
よって、抵抗電源Vhの電圧がかかると、抵抗Rh−A、トランジスタM3及びM5に電流が流れる。そして、抵抗Rh−Aに流れた電流は、全て抵抗Rh−Bに流れる(トランジスタM2はOFFであるので、抵抗Rh−Aを流れ出た電流はトランジスタM2側には分岐しないため。)。また、トランジスタM3を流れた電流は、トランジスタM2がOFFであるので、全て抵抗Rh−B側に流入する。
よって、抵抗Rh−Bには、抵抗Rh−Aを流れた電流の他、トランジスタM3を流れた電流が入り込む。その結果、抵抗Rh−Aと抵抗Rh−Bとに流れる電流Iは、I(Rh−A)<I(Rh−B)となる。
なお、上記の場合において、トランジスタM5に電流が流れるためには、トランジスタM4がONである必要があるが、上述のように、F=0かつDpx=1が入力されたときはトランジスタM4はONになる。
さらに、トランジスタM4に電流が流れるためには、トランジスタM7、M9又はM11の少なくとも1つがONである必要がある。したがって、上述したF=0、かつDpx=0の場合と同様に、第1吐出制御スイッチD6〜D4の少なくとも1つがONである必要がある。すなわち、第1吐出制御スイッチD6〜D4の全てがOFFである場合には、F=0かつDpx=1であるときと、F=0かつDpx=0であるときとで、同一となり、抵抗Rh−Aを流れた電流は、全て抵抗Rh−Bに流れる。よって、両者ともに、抵抗Rh−AとRh−Bとの電気抵抗値が略同一に設定されていれば、インク液滴は偏向なく吐出されることとなる。
以上のようにして、吐出実行入力スイッチFをONにするとともに、極性変換スイッチDpx、及び第1吐出制御スイッチD6〜D4のON/OFFを制御することで、抵抗Rh−A及びRh−Bとの間から電流を流出させたり、あるいは抵抗Rh−A及びRh−Bとの間に電流を流入させたりすることができる。
また、電流源素子として機能するトランジスタM7、M9及びM11の各容量が異なることから、第1吐出制御スイッチD6〜D4のON/OFFを制御することで、トランジスタM2やM4から流出させる電流量を変えることができる。すなわち、第1吐出制御スイッチD6〜D4のON/OFFを制御することで、抵抗Rh−AとRh−Bとに流れる電流値を変化させることができる。
よって、振幅制御端子Zとグラウンド間に適当な電圧Vxを加え、極性変換スイッチDpx、並びに第1吐出制御スイッチD4、D5及びD6を独立して操作することで、インク液滴の着弾位置を、ノズル18の並び方向において多段階に変化させることができる。
さらに、振幅制御端子Zに加わる電圧Vxを変化させることによって、各トランジスタM7とM6、M9とM8、及びM11とM10に流れるドレイン電流の比率は、8:4:2のままで、1ステップ当たりの偏向量を変えることができる。
図14は、極性変換スイッチDpx、及び第1吐出制御スイッチD6〜D4のON/OFF状態と、ドット(インク液滴)のノズル18の並び方向における着弾位置の変化を表にして示す図である。
図14の上段側の表に示すように、D4=0と固定した場合には、(Dpx、D6、D5、D4)が(0、0、0、0)のときと、(1、0、0、0)のときとは、ともにドットの着弾位置が偏向なし(ノズル18の真下)となる。このことは、上述の通りである。
このように、第1吐出制御スイッチD4=0と固定して極性変換スイッチDpxと、第1吐出制御スイッチD6及びD5の3ビットで制御したときには、偏向なしの位置を含めて、ドットの着弾位置を7箇所に段階的に変化させることができる。このことは、図7に示したようにインク液滴の吐出方向を奇数個に設定できることを意味する。
なお、第1吐出制御スイッチD4の値を0に固定するのではなく、他の第1吐出制御スイッチD6又はD5と同様に0又は1に変化させれば、7箇所の変化ではなく、15箇所の変化にすることも可能である。
これに対し、下段の表に示すように、D4=1と固定した場合には、ドットの着弾位置を、均等に8段階に変化させることができる。このことは、ノズル18の並び方向において、偏向量が0(偏向なし)を挟んで、ドットの着弾位置を、一方側に4箇所、かつ他方側に4箇所に設定することができるとともに、これらの各4箇所の着弾位置を、偏向量が0の位置を挟んで、左右対称に設定することができる。
すなわち、D4=1と固定した場合には、ドットの着弾位置がノズル18の真下(偏向なし)になる場合をなくすことができる。このことは、図6に示したようなインク液滴の吐出方向を偶数個に(ノズル18の真下にインク液滴を着弾させる場合を含まないように)設定できることを意味する。
以上説明した内容は、第1吐出制御手段に係るものであるが、第2吐出制御手段についても、第1吐出制御手段と同様に制御することができる。
図13に示すように、第2吐出制御手段では、トランジスタM12及びM13は、それぞれ第1吐出制御手段のトランジスタM2及びM4に対応している。また、第2吐出制御手段の極性変換スイッチDpyは、第1吐出制御手段の極性変換スイッチDpxに対応している。さらにまた、第2吐出制御手段で電流源素子として機能するトランジスタM14〜M19は、第1吐出制御手段のトランジスタM6〜M11に対応している。さらに、第2吐出制御手段の第2吐出制御スイッチD3、D2及びD1は、第1吐出制御手段の第1吐出制御スイッチD6、D5及びD4に対応している。
また、第2吐出制御手段において第1吐出制御手段と異なる部分は、電流源素子として機能するトランジスタM14等の各容量である。第2吐出制御手段の電流源素子として機能するトランジスタM14等は、第1吐出制御手段の電流源素子として機能するトランジスタM7等のそれぞれ半分の容量に設定されている。その他は、第1吐出制御手段と同様である。
したがって、上述した第1吐出制御手段と同様に、極性変換スイッチDpyとともに、第2吐出制御スイッチD3〜D1のON/OFFを制御することで、抵抗Rh−AとRh−Bとに流れる電流値を変化させることができる。
なお、図10に示したように、第2吐出制御手段では、最も離れた2つのインク液滴の着弾目標位置を、ノズル18の1ピッチ分(図6又は図7中、x)に設定するのが合理的である。また、第2吐出制御手段では、インク液滴の着弾目標位置の可変ピッチは、細かい方が好ましい。
そこで、第2吐出制御手段では、図14中、下段の表のように制御することが合理的といえる。すなわち、第2吐出制御手段では、図14中、極性変換スイッチDpxが極性変換スイッチDpyに、第1吐出制御スイッチD6が第2吐出制御スイッチD3に、第1吐出制御スイッチD5が第2吐出制御スイッチD2に、及び第1吐出制御スイッチD4が第2吐出制御スイッチD1にそれぞれ相当する。よって、第2吐出制御スイッチD1=1と固定した制御を行うことが好ましい(ただし、図14中、上段の表に対応する制御を行っても良いのは勿論である)。
なお、第2吐出制御手段において、最も離れた2つのインク液滴の着弾目標位置が、ノズル18の1ピッチ分になるように振幅制御端子Zに加える電圧Vxを設定すれば良い。ここで、振幅制御端子Zは、第1吐出制御手段と第2吐出制御手段とで同一のものである。したがって、第2吐出制御手段を考慮して振幅制御端子Zに加える電圧Vxが設定されると、これに基づいて、第1吐出制御手段でのインク液滴の着弾位置も決定される。
これにより、第1吐出制御手段によるインク液滴の吐出の制御と、第2吐出制御手段によるインク液滴の吐出の制御との間に一定の関係を持たせ、本実施形態では第2吐出制御手段によるインク液滴の吐出の制御(インク液滴の着弾位置間隔)が決定されることにより、その決定結果に基づいて、第1吐出制御手段によるインク液滴の吐出の制御(インク液滴の着弾位置間隔)が決定されるようになる。
このようにすることで、制御の簡略化を図ることができる。
また、以上のように決定することにより、第1吐出制御手段では、最も離れた位置となる2つのインク液滴の着弾位置間隔は、第2吐出制御手段の2倍となる。これは、インク液滴の吐出方向の偏向量を決定するものは、第1吐出制御手段ではトランジスタM7、M9及びM11であり、第2吐出制御手段では、トランジスタM14、M15及びM16であるが、これらの容量は、本実施形態では、第1吐出制御手段の方が第2吐出制御手段の2倍の値に設定されているからである。
なお、図13に示した吐出制御回路50は、液滴吐出部ごとに設けられており、以上説明した制御は、液体吐出部単位、又はヘッド11単位で行う。
ここで、トランジスタを回路配置する場合には、各トランジスタの配線端子は、ドレインやソース等により8つ必要となる。このため、多数のトランジスタを配置して、各トランジスタから8つの配線を出すよりも、トランジスタ自体が大きくても、1つのトランジスタから8つの配線を出した方が、全体に必要な面積は大幅に小さくなる。したがって、図13に示したように、「×8」の容量を有する一組のみのCM回路を設けることで、回路全体の簡略化を図ることができる。
これにより、ヘッド11上に、各液体吐出部ごとの吐出制御回路50を実装することができる。さらに、600dpiの解像度(液体吐出部の間隔が約42.3μm)であっても、吐出制御回路50の実装を可能にすることができる。
図15及び図16は、それぞれ、第1吐出制御手段及び第2吐出制御手段を実行したときのインク液滴の吐出方向及びドット着弾位置の分布状態を示す図である。
図15は、第1吐出制御手段によるインク液滴の吐出方向が偶数個の場合、すなわち画素領域間の真上にノズル18が位置する場合を示している。図15では、第1吐出制御手段により左右それぞれ画素領域の1/2ピッチずつドットを着弾させることができる例を示したものである。すなわち、図15は、図6のものに対して第2吐出制御手段を含めたときの例である。
また、図16は、第1吐出制御手段によるインク液滴の吐出方向が奇数個の場合、すなわち画素領域の中央真上にノズル18が位置する場合を示している。図16では、第1吐出制御手段により左右それぞれ画素領域の1ピッチずつドットを着弾させることができる例を示したものである。すなわち、図16は、図7のものに対して第2吐出制御手段を含めたときの例である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、以下のような種々の変形が可能である。
(1)Jビットの制御信号としては、実施形態で例示したビット数に限られるものではなく、何ビットの制御信号を用いても良い。
(2)本実施形態では、2分割した発熱抵抗体13のそれぞれに流れる電流値を変えて、2分割した発熱抵抗体13上でインク液滴が沸騰するに至る時間(気泡発生時間)に時間差を設けるようにしたが、これに限らず、同一の抵抗値を有する2分割した発熱抵抗体13を並設するともに、電流を流す時間のタイミングに差異を設けるものであっても良い。例えば2つの発熱抵抗体13ごとに、それぞれ独立したスイッチを設け、各スイッチを時間差をもってオンにすれば、各発熱抵抗体13上のインクに気泡が発生するに至る時間に時間差を設けることができる。さらには、発熱抵抗体13に流れる電流値を変えることと、電流を流す時間に時間差を設けたものとを組み合わせて用いても良い。
(3)本実施形態では、1つのインク液室12内で発熱抵抗体13を2つ並設した例を示したが、2分割としたのは、耐久性を有することが十分に実証されており、かつ回路構成も簡素化できるからである。しかし、これに限らず、1つのインク液室12内において3つ以上の発熱抵抗体13(エネルギー発生素子)を並設したものを用いることも可能である。
(4)本実施形態では、サーマル方式のエネルギー発生素子として発熱抵抗体13を例に挙げたが、抵抗以外のものから構成した発熱素子を用いても良い。また、発熱素子に限らず、他の方式のエネルギー発生素子を用いたものでも良い。例えば、静電吐出方式やピエゾ方式のエネルギー発生素子が挙げられる。
静電吐出方式のエネルギー発生素子は、振動板と、この振動板の下側に、空気層を介した2つの電極を設けたものである。そして、両電極間に電圧を印加し、振動板を下側にたわませ、その後、電圧を0Vにして静電気力を開放する。このとき、振動板が元の状態に戻るときの弾性力を利用してインク液滴を吐出するものである。
この場合には、各エネルギー発生素子のエネルギーの発生に差異を設けるため、例えば振動板を元に戻す(電圧を0Vにして静電気力を開放する)ときに2つのエネルギー発生素子間に時間差を設けるか、又は印加する電圧値を2つのエネルギー発生素子で異なる値にすれば良い。
また、ピエゾ方式のエネルギー発生素子は、両面に電極を有するピエゾ素子と振動板との積層体を設けたものである。そして、ピエゾ素子の両面の電極に電圧を印加すると、圧電効果により振動板に曲げモーメントが発生し、振動板がたわみ、変形する。この変形を利用してインク液滴を吐出するものである。
この場合にも、上記と同様に、各エネルギー発生素子のエネルギーの発生に差異を設けるため、ピエゾ素子の両面の電極に電圧を印加するときに2つのピエゾ素子間に時間差を設けるか、又は印加する電圧値を2つのピエゾ素子で異なる値にすれば良い。
(5)上記実施形態では、ノズル18の並び方向にインク液滴の吐出方向を偏向できるようにした。これは、ノズル18の並び方向に分割した発熱抵抗体13を並設したからである。しかし、ノズル18の並び方向とインク液滴の偏向方向とは、必ずしも完全に一致している必要はなく、多少のずれがあっても、ノズル18の並び方向とインク液滴の偏向方向とが完全に一致しているときと略同一の効果が期待できる。したがって、この程度のずれがあっても差し支えない。
(6)第2吐出制御手段において、1つの画素領域に対してM個の異なる位置にインク液滴を着弾させてランダム化を行う場合には、M個は、2以上の正の整数であればいくつでも良く、本実施形態で示した数に限定されるものではない。同様に、印画紙の搬送方向(液体吐出部の並び方向に略垂直な方向)において、1つの画素領域に対して着弾させるインク液滴の数Nは、いくつでも良い。したがって、M=Nの関係でも良く、M≠Nの関係にあっても良い。
また、1つの画素領域に着弾させる最大インク液滴数は、いくつのものに対しても本発明を適用することができる。
(7)本実施形態の第2吐出制御手段では、1つの画素領域に対し、着弾されたインク液滴の中心がその画素領域内に入るように、その範囲内でインク液滴の着弾位置をランダムに変化させるようにしたが、これに限らず、着弾されたインク液滴の少なくとも一部がその画素領域内に入る程度であれば、本実施形態以上の範囲で着弾位置をばらつかせることも可能である。
(8)本実施形態の第2吐出制御手段では、インク液滴の着弾目標位置をランダムに決定する方法として乱数発生回路を用いたが、ランダムに決定する方法としては、選択される着弾位置に規則性がなければ、いかなる方法であっても良い。さらに、乱数発生の方法としても、例えば2乗中心法、合同法、シフト・レジスタ法等が挙げられる。また、ランダム以外に決定する方法として、例えば複数の特定数値の組合せを繰り返す方法であっても良い。
(9)上記実施形態ではヘッド11をプリンタに適用した例に挙げたが、本発明のヘッド11は、プリンタに限ることなく、種々の液体吐出装置に適用することができる。例えば、生体試料を検出するためのDNA含有溶液を吐出するための装置に適用することも可能である。
本発明による液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタのヘッドを示す分解斜視図である。 ラインヘッドの実施形態を示す平面図である。 ヘッドの発熱抵抗体の配置をより詳細に示す平面図及び側面の断面図である。 分割した発熱抵抗体を有する場合に、各々の発熱抵抗体によるインクの気泡発生時間差と、インク液滴の吐出角度との関係を示すグラフである。 インク液滴の吐出方向の偏向を説明する図である。 1画素に隣接する液体吐出部からそれぞれインク液滴を着弾させた例であって、偶数個の吐出方向に設定した例を示す図である。 インク液滴の左右対称方向への偏向吐出と、直下への吐出方向との双方により、奇数個の吐出方向に設定した例を示す図である。 2方向吐出(吐出方向数が偶数)の場合において、吐出実行信号に基づき、液体吐出部によって印画紙上に各画素を形成する過程を示す図である。 3方向吐出(吐出方向数が奇数)の場合において、吐出実行信号に基づき、液体吐出部によって印画紙上に各画素を形成する過程を示す図である。 1つの画素領域に対し、M個の異なる着弾目標位置のうちいずれかの位置にインク液滴を着弾させた状態を示す平面図である。 印画紙の送り方向において、1つの画素領域に、インク液滴をN個重ねて配置するときに、ランダムに配置する例を示す平面図である。 ノズルの並び方向及び印画紙の送り方向の双方に、インク液滴をランダムに着弾させた例を示す平面図である。 吐出方向可変手段、第1吐出制御手段、及び第2吐出制御手段を含む吐出制御回路を示す図である。 極性変換スイッチ、及び第1吐出制御スイッチのON/OFF状態と、ドットのノズルの並び方向における着弾位置の変化を表にして示す図である。 第1吐出制御手段及び第2吐出制御手段を実行したときのインク液滴の吐出方向及びドット着弾位置の分布状態を示す図であり、インク液滴の吐出方向が偶数個の場合を示すものである。 第1吐出制御手段及び第2吐出制御手段を実行したときのインク液滴の吐出方向及びドット着弾位置の分布状態を示す図であり、インク液滴の吐出方向が奇数個の場合を示すものである。 ドット配列のばらつきを説明する図である。 図17と同じドット列のずれに対して、全体のドットサイズをドットピッチの√2倍強に設定した場合の例を示す図である。 重ね打ちをしたときの状態を示す図である。
符号の説明
10 ラインヘッド
11 ヘッド
12 インク液室
13 発熱抵抗体(エネルギー発生素子)
18 ノズル
50 吐出制御回路

Claims (4)

  1. ノズルを有する液体吐出部を特定方向に複数並設したヘッドを備える液体吐出装置であって、
    各前記液体吐出部の前記ノズルから吐出する液滴の吐出方向を、前記特定方向において複数の方向に可変とした吐出方向可変手段と、
    前記吐出方向可変手段を用いて、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応する画素を形成するために、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部からそれぞれ異なる方向に液滴を吐出して、同一画素領域に各液滴を着弾させて画素を形成することにより、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部を用いて1つの前記画素を形成するように液滴の吐出を制御する第1吐出制御手段と、
    画素領域に液滴を着弾させる場合に、前記液体吐出部からの液滴の吐出ごとに、その画素領域における前記特定方向の液滴の着弾位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置を決定し、その決定した着弾位置に液滴が着弾するように、前記吐出方向可変手段を用いて液滴の吐出を制御する第2吐出制御手段と
    を備え、
    ここで、
    前記第1吐出制御手段は、1つの画素領域に前記N個の液滴を着弾させて1つの前記画素を形成する際に、前記N個で1周期の吐出信号を、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部に送出して、各前記液体吐出部から、前記N個で1周期の液滴を吐出するように制御し、
    前記第2吐出制御手段は、前記1周期において、前記N個の各液滴ごとに、前記M個の異なる着弾位置からいずれかの着弾位置を決定する
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 請求項1に記載の液体吐出装置において、
    前記第2吐出制御手段は、前記M個の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置をランダムに決定する
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  3. ノズルを有する液体吐出部を特定方向に複数並設したヘッドを用いる液体吐出方法であって、
    各前記液体吐出部の前記ノズルから吐出する液滴の吐出方向を、前記特定方向において複数の方向に可変とし、
    近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部からそれぞれ異なる方向に液滴を吐出して、同一画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応する画素を形成することにより、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部を用いて1つの前記画素を形成するように液滴の吐出を制御するとともに、
    画素領域に液滴を着弾させる場合に、前記液体吐出部からの液滴の吐出ごとに、その画素領域における前記特定方向の液滴の着弾位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置を決定し、その決定した着弾位置に液滴が着弾するように液滴の吐出を制御し、
    ここで、
    1つの画素領域に前記N個の液滴を着弾させて1つの前記画素を形成する際に、前記N個で1周期の吐出信号を、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部に送出して、各前記液体吐出部から、前記N個で1周期の液滴を吐出するように制御し、
    かつ、
    前記1周期において、前記N個の各液滴ごとに、前記M個の異なる着弾位置からいずれかの着弾位置を決定する
    ことを特徴とする液体吐出方法。
  4. 請求項3に記載の液体吐出方法において、
    前記M個の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置をランダムに決定する
    ことを特徴とする液体吐出方法。
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