JP2004187498A - リニアモータ、これを用いたステージ装置、露光装置およびデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】リニアモータのコイル列を冷却する冷却ジャケットに渦電流等が発生して、駆動効率が低下するのを防ぐ。
【解決手段】ウエハステージのYリニアモータ40の可動子41は、互に対向する一対の磁石41aを有し、固定子42を貫通させる開口を有する中空枠体である。固定子42は、冷却ジャケット42bに内蔵されたコイル列42aを有し、冷却ジャケット42bの流路42dを流動する冷媒によってコイル列42aの各コイルを冷却する。冷却ジャケット42bをセラミック等の絶縁体によって構成することで、冷却ジャケットの渦電流による粘性抵抗をなくす。
【選択図】図2
【解決手段】ウエハステージのYリニアモータ40の可動子41は、互に対向する一対の磁石41aを有し、固定子42を貫通させる開口を有する中空枠体である。固定子42は、冷却ジャケット42bに内蔵されたコイル列42aを有し、冷却ジャケット42bの流路42dを流動する冷媒によってコイル列42aの各コイルを冷却する。冷却ジャケット42bをセラミック等の絶縁体によって構成することで、冷却ジャケットの渦電流による粘性抵抗をなくす。
【選択図】図2
Description
本発明は、半導体露光装置や形状計測装置等のXYステージあるいは高精度加工機等の精密位置決め装置に用いられるリニアモータ、これを用いたステージ装置、露光装置およびデバイス製造方法に関するものである。
半導体製造用の露光装置や形状計測装置あるいは高精度加工機等においては、露光されるウエハ等の被加工物や被測定物等を高精度でしかも迅速に位置決めすることが要求される。そこで位置決め精度と応答性にすぐれたリニアモータを駆動部とするXYステージ等の開発が進んでいる。
図7は一般的な縮小投影型の露光装置を示すもので、これは、ウエハWを位置決めするためのウエハステージ(XYステージ)Eと、その上方に配設された投影光学系A、レチクルステージBおよび光源光学系C等を有し、光源光学系Cから発生された露光光は、レチクルステージB上のレチクルを透過して投影光学系AによってウエハWに結像し、前記レチクルのパターンをウエハWに転写する。
ウエハステージEは、投影光学系AやレチクルステージBを支持する本体フレームDを立設した定盤110上に配設され、定盤110を支持するベースGと床面Fとの間には除振装置Hが設けられる。
ウエハステージEの位置は、レーザ干渉計Jによって計測され、ウエハステージEの制御系にフィードバックされる。また、光源光学系Cは、直接床面Fに立設された光源支持体Kに支持される。
ウエハステージEは、定盤110上をY軸方向に往復移動自在であるYステージと、Yステージ上をX軸方向に往復移動自在であるXステージと、YステージをY軸方向に移動させるY駆動部と、XステージをX軸方向に移動させるX駆動部等を有するXYステージである。
YステージおよびXステージをそれぞれ移動させるY駆動部およびX駆動部は、図6に示すリニアモータ140を有する。これは、Yステージや、Xステージと一体的に結合された可動子141と、その開口部を貫通する固定子142を備えており、固定子142は、一列に配列されたコイル列142aとこれを支持する支持体142bを有し、可動子141は、互に対向する磁石141aを保持する一対の鉄板(ヨーク)141bと、これらの両端に固着された一対のアルミ板141cからなる中空枠体である。
リニアモータ140の固定子142のコイル列142aの各コイルに電流を供給すると、ローレンツ力による推力が発生し、可動子141をコイル列142aに沿って移動させる。
しかしながら上記従来の技術によれば、前述のようにコイル列に電流を供給してリニアモータを駆動すると、コイルの発熱によって周囲の構造体や雰囲気が加熱され、このために、XYステージの位置決め精度が著しく低下する。
詳しく説明すると、リニアモータのコイルから発生した熱の一部分はコイル列の支持体を経て露光装置の本体フレーム等の構造体に伝わり、これを熱変形させる。また、コイルの熱の残りは周囲の雰囲気を加熱してレーザ干渉計のレーザ光の光路にゆらぎを発生させ、このためにレーザ干渉計の測定値に誤差を生じる。
ナノメートル(nm)オーダの位置決め精度が要求される半導体露光装置のXYステージにおいては、リニアモータの周囲の構造体が、例えば長さ100mmの低熱膨張材(熱膨張係数1×10-6)であったとすれば、1℃の温度変化によって100nmの熱変形を生じるため、上記のようなリニアモータの発熱は、必要な位置決め精度を得るうえでの大きな障害となる。
また、レーザ干渉計のレーザ光の光路の雰囲気の温度が1℃変化しただけでも、測定値に100nmの誤差が発生することも実験によって判明している。
このように、リニアモータの発熱によって周囲の構造体や雰囲気が昇温することに起因するトラブルに加えて、XYステージ上のウエハ等被加工物や被測定物自体も加熱されて熱歪を発生し、このために加工精度や測定精度が劣化するおそれもある。
そこで、リニアモータのコイルを強制冷却する冷却ジャケット等を設けて、コイルの発熱による位置決め精度の劣化等を回避する工夫もなされているが、冷却ジャケット等が非絶縁体によって構成されていると、リニアモータ可動子の磁石やヨークの移動に伴なって渦電流が発生し、リニアモータの駆動力に抗して作用するいわゆる粘性抵抗が増大する。その結果、リニアモータの駆動効率が著しく低下するという未解決の課題がある。
特開平6−254734号公報
本発明は上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、リニアモータのコイル列を覆う冷却ジャケットに渦電流等が発生して駆動効率が低下するおそれのないリニアモータ、これを用いたステージ装置、露光装置およびデバイス製造方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するため、本発明のリニアモータは、磁石を有する可動子と、冷却ジャケットに覆われたコイル列を有する固定子を有し、前記磁石に対向する前記コイル列のコイル面に沿って、発生するローレンツ力によって前記可動子を前記固定子に対して移動するリニアモータにおいて、前記冷却ジャケットは絶縁体で形成されていることを特徴とする。
また、前記冷却ジャケットは、前記コイル列を両側から挟み込んで支持する一対の絶縁体で形成された冷却板を有することを特徴とするものでもよい。
さらに、前記絶縁体がセラミックであるものでもよい。
加えて、前記磁石が、前記コイル列の両側に設けられていることを特徴とするものでもよい。
本発明のステージ装置は、請求項1ないし4いずれか1項記載のリニアモータと、これによって駆動される移動ステージを有する。
また、移動ステージの位置をレーザ干渉計により測定することを特徴とするものでもよい。
本発明の露光装置は、請求項4ないし6いずれか1項記載のステージ装置と、これによって位置決めされた基板を露光する露光手段を有する。
本発明のデバイス製造方法は、ウエハに感光剤を塗布し、請求項7記載の露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付け露光し、露光したウエハを現像することを特徴とする。
コイル列に電流を供給してリニアモータを駆動したときに、コイル列の発熱によって周囲の雰囲気や構造体が昇温して、ステージ装置の位置決め精度等が低下するのを回避するために、冷却ジャケットによってコイル列を強制冷却する。冷却ジャケットが磁石とコイル列の間に配設されていると、磁石とコイル列の相対移動によって渦電流が発生し、いわゆる粘性抵抗が増大してリニアモータの駆動効率が低下する。そこで、コイル列を覆う冷却ジャケットを絶縁体によって構成することで渦電流の発生を防ぎ、リニアモータの駆動効率の低下を回避する。
リニアモータの発熱に起因するトラブルを防ぐことで、ステージ装置の位置決め精度を向上させ、渦電流等による駆動力の損失を回避することで、エネルギーロスを低減できる。このようなステージ装置を用いることで、露光装置等の高性能化と小形化および省力化を大きく促進できる。
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は一実施の形態による露光装置のウエハステージを示すもので、これは、定盤10上をY軸方向に往復移動自在な移動ステージであるYステージ20と、Yステージ20上をX軸方向に往復移動自在な移動ステージであるXステージ30と、Yステージ20をY軸方向に移動させる一対のリニアモータであるYリニアモータ40と、Xステージ30をX軸方向に移動させるリニアモータであるXリニアモータ50を有するステージ装置(XYステージ)である。
定盤10は、Yステージ20とXステージ30の下面を図示しないエアパッド等を介して非接触で支持するXYガイド面10aを有する。定盤10のX軸方向の一端には、Yステージ20をY軸方向に案内するYガイド11が立設され、Yガイド11のYガイド面11aとYステージ20の間は、図示しないエアパッド等によって非接触に保たれており、Yリニアモータ40が駆動されると、Yステージ20が定盤10のXYガイド面10a上をYガイド11に沿って移動する。
Yステージ20は、一対のYスライダ21と両者の間に配設された一対のXガイド22からなる長尺の枠体であり、両Yスライダ21の下面が定盤10のXYガイド面10aに面しており、前述のようにエアパッド等を介して非接触に支持される。また、一方のYスライダ21は他方よりY軸方向に長尺であり、その側面21aがYガイド11のYガイド面11aに面しており、前述のようにエアパッド等を介して非接触に案内される。両Yスライダ21はそれぞれ、連結板23を介してYリニアモータ40の可動子41に連結され、連結板23はYリニアモータ40の可動子41とYステージ20に結合されている。
Xステージ30は、一対の天板31と両者の間に配設された一対の側板32からなる中空枠体であり、その中空部をYステージ20の両Xガイド22とXリニアモータ50の固定子52が貫通している。下方の天板31の底面は定盤10のXYガイド面10aに面しており、前述のようにエアパッド等を介して非接触に支持され、上方の天板31の上面は図示しない基板であるウエハを吸着保持するウエハ保持面を形成している。
Xステージ30の両側板32の内面32aは、Yステージ20の両Xガイド22の外側面であるXガイド面22aに面しており、エアパッド等によって非接触に案内される。
各Yリニアモータ40は、前述のように連結板23と一体的に結合された可動子41と、その開口部を貫通する固定子42を有する。固定子42は、図2の(a)に破線で示すようにY軸方向に配列されたコイル列42aと、同図の(b)に示すようにコイル列42aを両側から挟み込んで支持する一対の冷却板からなる冷却手段である冷却ジャケット42bとその両端を支持する固定部材42cを有し、可動子41は、互に対向する磁石41aを保持する一対のヨーク41bと、これらの両端に固着された一対のアルミ板41cからなる中空枠体である。つまり、可動子41の磁石41aはコイル列42aの両側に設けられている。
両Yリニアモータ40の固定子42のコイル列42aのコイルに電流を供給すると、可動子41の磁石41aに対向するコイル面に沿ってローレンツ力による推力が発生し、Yステージ20をY軸方向に移動させる。
Xステージ30をYステージ20のXガイド22に沿って移動させるXリニアモータ50の可動子51は、Xステージ30の上方の天板31の下面に固着された中空枠体であり、Yリニアモータ40の可動子41と同様に、互に対向する磁石51bを保持する一対のヨークと、これらの両端に固着された一対のアルミ板からなる磁気手段である。
Xリニアモータ50の固定子52は、Yリニアモータ40の固定子42と同様に、X軸方向に配列された図示しないコイル列とこれを両側から挟み込んで支持する一対の冷却板からなる冷却ジャケット52bを有し、コイル列の各コイルに電流を供給することによって、可動子51にローレンツ力による推力が発生し、Xステージ30がYステージ20のXガイド22に沿ってX軸方向に移動する。
Xステージ30上のウエハは、Yリニアモータ40、Xリニアモータ50等を前述のように駆動することで、XY方向に位置決めされる。このようにしてウエハの位置決めを行なったうえで、図示しない露光手段である光源光学系の露光光を照射し、その光路に配設されたレチクルを経てウエハを露光する。
各Yリニアモータ40の冷却ジャケット42bは、コイル列42aの各コイルの両側のコイル面に冷媒を流動させる流路42dを形成しており、図3に示すように、冷却ジャケット42bのY軸方向の一端に配設された一対の給水管42eから流路42dに冷媒を供給し、冷却ジャケット42bのY軸方向の他端に配設された排水管42fから排出する。Xリニアモータ50の冷却ジャケット52bもコイル列の両面に同様の流路を形成しており、同様の給水管と排水管を有する。
Yリニアモータ40の冷却ジャケット42bおよびXリニアモータ50の冷却ジャケット52bを構成する冷却板は、それぞれ、絶縁体であるセラミックによって作られており、これらに沿って可動子41,51が移動しても、冷却ジャケット42b,52bに渦電流等が発生してYリニアモータ40やXリニアモータ50の粘性抵抗を増大させるおそれはない。
各Yリニアモータ40やXリニアモータ50のコイル列42a,52aから発生した熱は、冷却ジャケット42b,52b内を流動する冷媒に吸収されて外部の回収装置に運ばれる。従って、Yリニアモータ40やXリニアモータ50の発熱のために周囲の雰囲気が加熱されて、Yステージ20やXステージ30の位置を測定するレーザ干渉計(不図示)に誤差を発生したり、あるいは、Yリニアモータ40やXリニアモータ50の発熱のためにその周囲の定盤10等の構造物が熱変形を起こして、ウエハステージの位置決め精度が低下する等のトラブルを効果的に回避できる。
またYリニアモータ40やXリニアモータ50の発熱のためにウエハステージ上のウエハ自体が熱歪を発生して位置決め精度が低下するのを防ぐこともできる。
加えて、前述のようにYリニアモータ40やXリニアモータ50の冷却ジャケット42b,52bが絶縁体によって構成されているため、渦電流による粘性抵抗が増大してYリニアモータ40やXリニアモータ50の駆動効率が著しく損われるおそれもない。
その結果、露光装置のウエハステージ等の位置決め精度を向上させるとともにリニアモータの駆動力の損失を防ぎ、露光装置の転写精度等の向上と省力化および小形化に大きく貢献できる。
また、YリニアモータやXリニアモータの冷却ジャケットが非絶縁体であれば、YリニアモータやXリニアモータの駆動によって発生する渦電流が駆動速度の上昇とともに増大するため、ウエハステージ等の高速化の大きな障害となる。本実施の形態によれば、冷却ジャケットが渦電流を発生するおそれがないため、ウエハステージ等の高速化を促進できるという利点もある。
次に上記説明した露光装置を利用した半導体デバイスの製造方法の実施の形態を説明する。図4は半導体デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、あるいは液晶パネルやCCD等)の製造フローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ2(マスク製作)では設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組立)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5(組立)で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
図5は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。本実施例の製造方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを製造することができる。
10 定盤
20 Yステージ
30 Xステージ
40 Yリニアモータ
41,51 可動子
42,52 固定子
42a コイル列
42b,52b 冷却ジャケット
50 Xリニアモータ
20 Yステージ
30 Xステージ
40 Yリニアモータ
41,51 可動子
42,52 固定子
42a コイル列
42b,52b 冷却ジャケット
50 Xリニアモータ
Claims (8)
- 磁石を有する可動子と、冷却ジャケットに覆われたコイル列を有する固定子を有し、前記磁石に対向する前記コイル列のコイル面に沿って、発生するローレンツ力によって前記可動子を前記固定子に対して移動するリニアモータにおいて、前記冷却ジャケットは絶縁体で形成されていることを特徴とするリニアモータ。
- 前記冷却ジャケットは、前記コイル列を両側から挟み込んで支持する一対の絶縁体で形成された冷却板を有することを特徴とする請求項1記載のリニアモータ。
- 前記絶縁体がセラミックであることを特徴とする請求項1または2記載のリニアモータ。
- 前記磁石が、前記コイル列の両側に設けられていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載のリニアモータ。
- 請求項1ないし4いずれか1項記載のリニアモータと、これによって駆動される移動ステージを有するステージ装置。
- 移動ステージの位置をレーザ干渉計により測定することを特徴とする請求項5記載のステージ装置。
- 請求項4ないし6いずれか1項記載のステージ装置と、これによって位置決めされた基板を露光する露光手段を有する露光装置。
- ウエハに感光剤を塗布し、請求項7記載の露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付け露光し、露光したウエハを現像することを特徴とするデバイス製造方法。
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JP2003428644A JP2004187498A (ja) | 2003-12-25 | 2003-12-25 | リニアモータ、これを用いたステージ装置、露光装置およびデバイス製造方法 |
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