JP2004187015A - 圧電発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動子電流を抑圧するクランプ回路の片方を増幅用トランジスタのベース・エミッタ間で代用することにより、部品点数を削減すると共に、振動子電流の抑圧と大きな出力レベルを得る圧電発振器を提供する。
【解決手段】このコルピッツ発振器は、発振用トランジスタTR1、コンデンサC5とコンデンサC6、エミッタ抵抗R3、抵抗R4及び抵抗R5とから成るベースバイアス回路、圧電振動子Xtal、及びコンデンサC7からなるコルピッツ発振回路と、更に、発振用トランジスタTR1のエミッタにコンデンサC4を介して増幅用トランジスタTR2のベースと接続すると共に、ダイオードD1のカソードと接続してアノードを接地する。また、増幅用トランジスタTR2のエミッタには抵抗R2とコンデンサC3の並列回路により接地されている。また、コレクタには抵抗R1を介して電源電圧Vccラインと接続され、コレクタから出力を取り出す構成となっている。
【選択図】 図1
【解決手段】このコルピッツ発振器は、発振用トランジスタTR1、コンデンサC5とコンデンサC6、エミッタ抵抗R3、抵抗R4及び抵抗R5とから成るベースバイアス回路、圧電振動子Xtal、及びコンデンサC7からなるコルピッツ発振回路と、更に、発振用トランジスタTR1のエミッタにコンデンサC4を介して増幅用トランジスタTR2のベースと接続すると共に、ダイオードD1のカソードと接続してアノードを接地する。また、増幅用トランジスタTR2のエミッタには抵抗R2とコンデンサC3の並列回路により接地されている。また、コレクタには抵抗R1を介して電源電圧Vccラインと接続され、コレクタから出力を取り出す構成となっている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電発振器に関し、さらに詳しくは、クランプ回路により振動子電流を抑圧する圧電発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動体通信機器や伝送通信機器に対する小型化、高性能化の要請に伴い、これらの機器において周波数制御デバイスとして使用される水晶発振器等の圧電発振器に対しても、小型化、安定化が強く求められている。圧電発振器は、水晶振動子等の圧電振動子に対して、周波数調整回路、周波数温度補償回路等を含む発振回路を組み合わせた構成を備えている。また、圧電振動子は電気機械振動子であり、圧電振動子に流れる電流(以下、振動子電流と記す)が少ないことが経年変化等に対して高い信頼性を得ることにつながる。
図4は、従来のシリコントランジスタによるコルピッツ発振器の一例である。このコルピッツ発振器は、発振用トランジスタTR11のベース・接地間に負荷容量の一部となるコンデンサC16とコンデンサC17との直列回路を挿入接続し、この直列回路の接続中点と発振用トランジスタTR11のエミッタとを接続すると共に、エミッタ抵抗R16により接地する。更に、発振用トランジスタTR11のベースに抵抗R17及び抵抗R18から成るベースバイアス回路を接続すると共に、発振用トランジスタTR11のベース・接地間に圧電振動子XtalとコンデンサC18の直列回路を挿入接続し、更に、発振用トランジスタTR11のコレクタに抵抗R15を介して電源電圧Vccラインと接続したものである。更に、発振用トランジスタTR11のエミッタにコンデンサC15を介してダイオードD11とD12からなる逆接続並列回路を接地し、コレクタからコンデンサC14を介してトランジスタTR12のベースに接続し、そのベースは抵抗R13とR14によりバイアスされる。また、トランジスタTR12のエミッタには抵抗R12とコンデンサC13の並列回路が接地されている。また、コレクタには抵抗R11を介して電源電圧Vccラインと接続され、コレクタから出力を取り出す構成となっている。この回路では、ダイオードD11とD12からなる逆接続並列回路で構成されるクランプ回路を付加して、発振用トランジスタTR11のエミッタ出力を抑圧することにより、振動子電流を抑圧している。
また、特開平10−335937号公報には、前記図4のクランプ回路を圧電振動子Xtalの出力側に挿入して、圧電振動子の振幅レベルをクランプして周波数可変範囲を広くする技術について開示されている。
【特許文献1】特開平10−335937号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記図4の従来回路は、両方向のクランプを行うためにダイオードを2つ必要とし、しかも、発振用トランジスタTR11のコレクタから発振出力を取り出す構成のため、コレクタ抵抗R15とカップリングコンデンサC14を必要とし、更に、その信号を増幅するためにバイアス抵抗R13、R14等を必要とした。そのため、回路構成が複雑となり、その分、部品点数も多くなりコスト高になる問題があった。
また、特許文献1は、クランプ回路の目的が、高い周波数領域で適正な励振レベルと周波数可変幅を得るように回路定数を設定した集積回路を、低い発振周波数に用いた場合に、低い周波数で振幅レベルが極端に大きくなるのを抑圧して、適正な周波数可変幅を得るためである。従って、前記図4と同様に、回路構成が複雑となりコスト高になるといった同じ問題を抱えている。
本発明は、かかる課題に鑑み、振動子電流を抑圧するクランプ回路の片方を増幅用トランジスタのベース・エミッタ間で代用することにより、部品点数を削減すると共に、振動子電流の抑圧と大きな出力レベルを得る圧電発振器を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、所定の周波数で励振される圧電素子を備えた圧電振動子と、該圧電素子に電流を流して前記圧電素子を励振させる発振用増幅トランジスタと、該発振用増幅トランジスタのベース・接地間に接続され負荷容量の一部となる合成コンデンサと、エミッタと接地間に挿入されたエミッタ抵抗と、を備えた圧電発振器であって、前記発振用増幅トランジスタのエミッタからの発振信号振幅を通過させるパスコンデンサと、該パスコンデンサからの発振信号の片方向をクランプするダイオードと、コレクタ抵抗及びエミッタ抵抗を有する増幅用トランジスタと、を更に備え、前記パスコンデンサの出力端を前記増幅用トランジスタのベースに接続すると共に、該ベースと前記ダイオードのカソードを接続してアノード側を接地し、前記増幅用トランジスタのコレクタから出力を得ることを特徴とする。
クランプ回路は、両方向の信号をクランプする必要がある。そのためには、一般的には2つのダイオードを逆向きに並列接続した回路を、コンデンサを介して発振用増幅トランジスタのエミッタと接地間に挿入接続する。また、発振用増幅トランジスタのコレクタと電源間に抵抗を挿入して、コレクタからカップリングコンデンサを介して出力を取り出し、更に増幅用トランジスタにより所定のレベルに増幅していた。しかし、この方法の場合、部品点数が多くコスト的に不利であった。そこで本発明では、クランプ回路の片方を増幅用トランジスタのベース・エミッタ間で代用してクランプ回路のダイオードを1つ削減し、更に、増幅用トランジスタをC級動作させてコレクタから出力を得ることにより、部品点数の削減と、振動子電流の抑圧することにより大きな出力レベルを得ている。
かかる発明によれば、クランプ回路の片方を増幅用トランジスタのベース・エミッタ間で代用し、増幅用トランジスタをC級動作させるので、部品点数の削減と、振動子電流の抑圧を同時に実現することができる。
【0005】
請求項2は、前記ダイオード及び前記増幅用トランジスタのベース・エミッタ間により両方向のクランプ回路を形成することを特徴とする。
トランジスタのベース・エミッタ間は、電気的にダイオードと等価な回路である。従って、その特性を利用してベース側に逆向きのダイオード(NPNトランジスタとPNPトランジスタにより向きが逆になる)を接地間に接続することにより、電気的に両方向のクランプ回路を形成することができる。
かかる発明によれば、増幅用トランジスタのベース・エミッタ間でクランプ回路の片方を代用するので、クランプ回路のダイオードを1つ削減することができる。
請求項3は、前記増幅用トランジスタのエミッタ抵抗の値を所定の値に設定して、該増幅用トランジスタをC級動作にて動作させることを特徴とする。
増幅用トランジスタの動作点は、ベースにバイアス電圧を印加しない場合、C級動作として働く。C級動作の場合、エミッタ抵抗の値により出力レベルが変化するので、振動子電流との兼ね合いにより決定する。
かかる発明によれば、増幅用トランジスタをC級動作させるので、出力レベルを効率良く取り出すことができる。
請求項4は、前記圧電振動子が水晶振動子であることを特徴とする。
かかる発明によれば、圧電振動子に水晶振動子を使用することにより、安価で、周波数安定度の高い発振器を実現することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の実施形態に係るシリコントランジスタによるコルピッツ発振器の一例である。このコルピッツ発振器は、発振用トランジスタTR1のベース・接地間に負荷容量の一部となるコンデンサC5とコンデンサC6との直列回路を挿入接続し、この直列回路の接続中点と発振用トランジスタTR1のエミッタとを接続すると共に、エミッタ抵抗R3により接地する。更に、発振用トランジスタTR1のベースに抵抗R4及び抵抗R5とから成るベースバイアス回路を接続すると共に、発振用トランジスタTR1のベース・接地間に圧電振動子XtalとコンデンサC7の直列回路を挿入接続し、更に、発振用トランジスタTR1のコレクタを電源電圧Vccラインと接続したものである。更に、発振用トランジスタTR1のエミッタにコンデンサC4を介して増幅用トランジスタTR2のベースと接続すると共に、ダイオードD1のカソードと接続してアノード側を接地する。また、増幅用トランジスタTR2のエミッタは抵抗R2とコンデンサC3の並列回路により接地されている。また、コレクタには抵抗R1を介して電源電圧Vccラインと接続され、コレクタから出力(OUT)を取り出す構成となっている。
この回路では、発振用トランジスタTR1のエミッタからカップリングコンデンサC4を通過した発振信号が、ダイオードD1によるクランプ回路と増幅用トランジスタTR2のベース・エミッタ間で代用したクランプ回路により両方向の信号がクランプされ、振動子電流を抑圧する。つまり、圧電振動子Xtalの励振レベルはダイオードD1及びTR2のベース・エミッタ間によってクランプされる。したがって一定の励振レベルを越えるとダイオードD1及びTR2のベース・エミッタ間が導通して、それ以上に励振レベルが大きくなることはない。それと共に増幅用トランジスタTR2のエミッタ抵抗R2を所定の値に設定することにより、増幅用トランジスタTR2がC級動作として働き、大きな出力レベルがコレクタから(OUT)信号として取り出される。
次に図1のコルピッツ発振回路の各定数を以下のように設定する。
TR1、TR2:2SC3585、C1:0.1μF、C2、C3、C4:1000pF、C5:6pF、C6:20pF、C7:5pF、R1:120Ω、R2:可変抵抗、R3:100Ω、R4、R5:10KΩ、Xtal:156MHz。
【0007】
図2は、前記各定数に設定した場合の、可変抵抗R2に対する振動子電流と発振器の出力電圧の関係を表す図である。縦軸の左側に振動子電流(mA)、縦軸の右側に発振器の出力電圧(Vpp)、横軸に可変抵抗R2の値(Ω)を示す。また、図中の特性グラフ1は振動子電流の変化であり、特性グラフ2は発振器の出力電圧の変化を表す。この図から、可変抵抗R2の増加に伴って特性グラフ1は徐々に増加し、特性グラフ2は略直線的に減少する。従って、可変抵抗R2をショート(0Ω)することにより、特性グラフ1から振動子電流は最小の1.35mA(A点)、特性グラフ2から発振器の出力電圧は、最大の5.2Vpp(B点)を示すのがわかる。また、図示しないが、クランプ回路をOFF(可変抵抗R2を無限大)することにより、振動子電流2.2mAを得る。
図3は、前記各定数を図2のように設定した場合の、可変抵抗R2と発振器の消費電流との関係を表す図である。縦軸に発振器の消費電流(mA)、横軸に可変抵抗R2の値(Ω)を示す。この図から明らかなように、可変抵抗R2の値を増加すると発振器の消費電流が漸減するのがわある。これは、図2から可変抵抗R2の値が増加するのに従って、振動子電流は増加するが、発振器の出力電圧が減少するため、当然増幅用トランジスタTR2のコレクタに流れる電流が減少するためである。
以上のことから、本発明の回路では可変抵抗R2の値が0Ωのとき、振動子電流が最小になり、出力電圧が最大になる。しかし、発振器の消費電流は最大の31mAとなるが、この値は従来の発振回路に比べて少ないため、トータルでみた場合、本発明の回路は、振動子電流を減少して、且つ、発振器出力電圧を大きくし、しかも消費電流を従来回路に比べて減少できる。更に、クランプ回路の片方を増幅用トランジスタTR2のベース・エミッタ間で代用してクランプ回路のダイオードを1つ削減し、増幅用トランジスタTR2をC級動作させてコレクタから出力を得ることにより、部品点数の削減と、振動子電流を抑圧することにより大きな出力レベルを得ている。これにより、装置の小型化とコストダウンに寄与することができる。また、圧電振動子に水晶振動子を使用することにより、安価で、周波数安定度の高い発振器を実現することができる。
【0008】
【発明の効果】
以上記載のごとく請求項1の発明によれば、クランプ回路の片方を増幅用トランジスタのベース・エミッタ間で代用し、増幅用トランジスタをC級動作させるので、部品点数の削減と、振動子電流の抑圧を同時に実現することができる。
また請求項2では、増幅用トランジスタのベース・エミッタ間でクランプ回路の片方を代用するので、クランプ回路のダイオードを1つ削減することができる。
また請求項3では、増幅用トランジスタをC級動作させるので、出力レベルを効率良く取り出すことができる。
また請求項4では、圧電振動子に水晶振動子を使用することにより、安価で、周波数安定度の高い発振器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るシリコントランジスタによるコルピッツ発振器の一例を表す図である。
【図2】本発明の可変抵抗R2に対する振動子電流と発振器の出力電圧の関係を表す図である。
【図3】本発明の可変抵抗R2と発振器の消費電流との関係を表す図である。
【図4】従来のシリコントランジスタによるコルピッツ発振器の一例を表す図である。
【符号の説明】
TR1 発振用トランジスタ、TR2 増幅用トランジスタ、C3〜C7 コンデンサ、R1〜R3 抵抗、Xtal 圧電振動子
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電発振器に関し、さらに詳しくは、クランプ回路により振動子電流を抑圧する圧電発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動体通信機器や伝送通信機器に対する小型化、高性能化の要請に伴い、これらの機器において周波数制御デバイスとして使用される水晶発振器等の圧電発振器に対しても、小型化、安定化が強く求められている。圧電発振器は、水晶振動子等の圧電振動子に対して、周波数調整回路、周波数温度補償回路等を含む発振回路を組み合わせた構成を備えている。また、圧電振動子は電気機械振動子であり、圧電振動子に流れる電流(以下、振動子電流と記す)が少ないことが経年変化等に対して高い信頼性を得ることにつながる。
図4は、従来のシリコントランジスタによるコルピッツ発振器の一例である。このコルピッツ発振器は、発振用トランジスタTR11のベース・接地間に負荷容量の一部となるコンデンサC16とコンデンサC17との直列回路を挿入接続し、この直列回路の接続中点と発振用トランジスタTR11のエミッタとを接続すると共に、エミッタ抵抗R16により接地する。更に、発振用トランジスタTR11のベースに抵抗R17及び抵抗R18から成るベースバイアス回路を接続すると共に、発振用トランジスタTR11のベース・接地間に圧電振動子XtalとコンデンサC18の直列回路を挿入接続し、更に、発振用トランジスタTR11のコレクタに抵抗R15を介して電源電圧Vccラインと接続したものである。更に、発振用トランジスタTR11のエミッタにコンデンサC15を介してダイオードD11とD12からなる逆接続並列回路を接地し、コレクタからコンデンサC14を介してトランジスタTR12のベースに接続し、そのベースは抵抗R13とR14によりバイアスされる。また、トランジスタTR12のエミッタには抵抗R12とコンデンサC13の並列回路が接地されている。また、コレクタには抵抗R11を介して電源電圧Vccラインと接続され、コレクタから出力を取り出す構成となっている。この回路では、ダイオードD11とD12からなる逆接続並列回路で構成されるクランプ回路を付加して、発振用トランジスタTR11のエミッタ出力を抑圧することにより、振動子電流を抑圧している。
また、特開平10−335937号公報には、前記図4のクランプ回路を圧電振動子Xtalの出力側に挿入して、圧電振動子の振幅レベルをクランプして周波数可変範囲を広くする技術について開示されている。
【特許文献1】特開平10−335937号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記図4の従来回路は、両方向のクランプを行うためにダイオードを2つ必要とし、しかも、発振用トランジスタTR11のコレクタから発振出力を取り出す構成のため、コレクタ抵抗R15とカップリングコンデンサC14を必要とし、更に、その信号を増幅するためにバイアス抵抗R13、R14等を必要とした。そのため、回路構成が複雑となり、その分、部品点数も多くなりコスト高になる問題があった。
また、特許文献1は、クランプ回路の目的が、高い周波数領域で適正な励振レベルと周波数可変幅を得るように回路定数を設定した集積回路を、低い発振周波数に用いた場合に、低い周波数で振幅レベルが極端に大きくなるのを抑圧して、適正な周波数可変幅を得るためである。従って、前記図4と同様に、回路構成が複雑となりコスト高になるといった同じ問題を抱えている。
本発明は、かかる課題に鑑み、振動子電流を抑圧するクランプ回路の片方を増幅用トランジスタのベース・エミッタ間で代用することにより、部品点数を削減すると共に、振動子電流の抑圧と大きな出力レベルを得る圧電発振器を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、所定の周波数で励振される圧電素子を備えた圧電振動子と、該圧電素子に電流を流して前記圧電素子を励振させる発振用増幅トランジスタと、該発振用増幅トランジスタのベース・接地間に接続され負荷容量の一部となる合成コンデンサと、エミッタと接地間に挿入されたエミッタ抵抗と、を備えた圧電発振器であって、前記発振用増幅トランジスタのエミッタからの発振信号振幅を通過させるパスコンデンサと、該パスコンデンサからの発振信号の片方向をクランプするダイオードと、コレクタ抵抗及びエミッタ抵抗を有する増幅用トランジスタと、を更に備え、前記パスコンデンサの出力端を前記増幅用トランジスタのベースに接続すると共に、該ベースと前記ダイオードのカソードを接続してアノード側を接地し、前記増幅用トランジスタのコレクタから出力を得ることを特徴とする。
クランプ回路は、両方向の信号をクランプする必要がある。そのためには、一般的には2つのダイオードを逆向きに並列接続した回路を、コンデンサを介して発振用増幅トランジスタのエミッタと接地間に挿入接続する。また、発振用増幅トランジスタのコレクタと電源間に抵抗を挿入して、コレクタからカップリングコンデンサを介して出力を取り出し、更に増幅用トランジスタにより所定のレベルに増幅していた。しかし、この方法の場合、部品点数が多くコスト的に不利であった。そこで本発明では、クランプ回路の片方を増幅用トランジスタのベース・エミッタ間で代用してクランプ回路のダイオードを1つ削減し、更に、増幅用トランジスタをC級動作させてコレクタから出力を得ることにより、部品点数の削減と、振動子電流の抑圧することにより大きな出力レベルを得ている。
かかる発明によれば、クランプ回路の片方を増幅用トランジスタのベース・エミッタ間で代用し、増幅用トランジスタをC級動作させるので、部品点数の削減と、振動子電流の抑圧を同時に実現することができる。
【0005】
請求項2は、前記ダイオード及び前記増幅用トランジスタのベース・エミッタ間により両方向のクランプ回路を形成することを特徴とする。
トランジスタのベース・エミッタ間は、電気的にダイオードと等価な回路である。従って、その特性を利用してベース側に逆向きのダイオード(NPNトランジスタとPNPトランジスタにより向きが逆になる)を接地間に接続することにより、電気的に両方向のクランプ回路を形成することができる。
かかる発明によれば、増幅用トランジスタのベース・エミッタ間でクランプ回路の片方を代用するので、クランプ回路のダイオードを1つ削減することができる。
請求項3は、前記増幅用トランジスタのエミッタ抵抗の値を所定の値に設定して、該増幅用トランジスタをC級動作にて動作させることを特徴とする。
増幅用トランジスタの動作点は、ベースにバイアス電圧を印加しない場合、C級動作として働く。C級動作の場合、エミッタ抵抗の値により出力レベルが変化するので、振動子電流との兼ね合いにより決定する。
かかる発明によれば、増幅用トランジスタをC級動作させるので、出力レベルを効率良く取り出すことができる。
請求項4は、前記圧電振動子が水晶振動子であることを特徴とする。
かかる発明によれば、圧電振動子に水晶振動子を使用することにより、安価で、周波数安定度の高い発振器を実現することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の実施形態に係るシリコントランジスタによるコルピッツ発振器の一例である。このコルピッツ発振器は、発振用トランジスタTR1のベース・接地間に負荷容量の一部となるコンデンサC5とコンデンサC6との直列回路を挿入接続し、この直列回路の接続中点と発振用トランジスタTR1のエミッタとを接続すると共に、エミッタ抵抗R3により接地する。更に、発振用トランジスタTR1のベースに抵抗R4及び抵抗R5とから成るベースバイアス回路を接続すると共に、発振用トランジスタTR1のベース・接地間に圧電振動子XtalとコンデンサC7の直列回路を挿入接続し、更に、発振用トランジスタTR1のコレクタを電源電圧Vccラインと接続したものである。更に、発振用トランジスタTR1のエミッタにコンデンサC4を介して増幅用トランジスタTR2のベースと接続すると共に、ダイオードD1のカソードと接続してアノード側を接地する。また、増幅用トランジスタTR2のエミッタは抵抗R2とコンデンサC3の並列回路により接地されている。また、コレクタには抵抗R1を介して電源電圧Vccラインと接続され、コレクタから出力(OUT)を取り出す構成となっている。
この回路では、発振用トランジスタTR1のエミッタからカップリングコンデンサC4を通過した発振信号が、ダイオードD1によるクランプ回路と増幅用トランジスタTR2のベース・エミッタ間で代用したクランプ回路により両方向の信号がクランプされ、振動子電流を抑圧する。つまり、圧電振動子Xtalの励振レベルはダイオードD1及びTR2のベース・エミッタ間によってクランプされる。したがって一定の励振レベルを越えるとダイオードD1及びTR2のベース・エミッタ間が導通して、それ以上に励振レベルが大きくなることはない。それと共に増幅用トランジスタTR2のエミッタ抵抗R2を所定の値に設定することにより、増幅用トランジスタTR2がC級動作として働き、大きな出力レベルがコレクタから(OUT)信号として取り出される。
次に図1のコルピッツ発振回路の各定数を以下のように設定する。
TR1、TR2:2SC3585、C1:0.1μF、C2、C3、C4:1000pF、C5:6pF、C6:20pF、C7:5pF、R1:120Ω、R2:可変抵抗、R3:100Ω、R4、R5:10KΩ、Xtal:156MHz。
【0007】
図2は、前記各定数に設定した場合の、可変抵抗R2に対する振動子電流と発振器の出力電圧の関係を表す図である。縦軸の左側に振動子電流(mA)、縦軸の右側に発振器の出力電圧(Vpp)、横軸に可変抵抗R2の値(Ω)を示す。また、図中の特性グラフ1は振動子電流の変化であり、特性グラフ2は発振器の出力電圧の変化を表す。この図から、可変抵抗R2の増加に伴って特性グラフ1は徐々に増加し、特性グラフ2は略直線的に減少する。従って、可変抵抗R2をショート(0Ω)することにより、特性グラフ1から振動子電流は最小の1.35mA(A点)、特性グラフ2から発振器の出力電圧は、最大の5.2Vpp(B点)を示すのがわかる。また、図示しないが、クランプ回路をOFF(可変抵抗R2を無限大)することにより、振動子電流2.2mAを得る。
図3は、前記各定数を図2のように設定した場合の、可変抵抗R2と発振器の消費電流との関係を表す図である。縦軸に発振器の消費電流(mA)、横軸に可変抵抗R2の値(Ω)を示す。この図から明らかなように、可変抵抗R2の値を増加すると発振器の消費電流が漸減するのがわある。これは、図2から可変抵抗R2の値が増加するのに従って、振動子電流は増加するが、発振器の出力電圧が減少するため、当然増幅用トランジスタTR2のコレクタに流れる電流が減少するためである。
以上のことから、本発明の回路では可変抵抗R2の値が0Ωのとき、振動子電流が最小になり、出力電圧が最大になる。しかし、発振器の消費電流は最大の31mAとなるが、この値は従来の発振回路に比べて少ないため、トータルでみた場合、本発明の回路は、振動子電流を減少して、且つ、発振器出力電圧を大きくし、しかも消費電流を従来回路に比べて減少できる。更に、クランプ回路の片方を増幅用トランジスタTR2のベース・エミッタ間で代用してクランプ回路のダイオードを1つ削減し、増幅用トランジスタTR2をC級動作させてコレクタから出力を得ることにより、部品点数の削減と、振動子電流を抑圧することにより大きな出力レベルを得ている。これにより、装置の小型化とコストダウンに寄与することができる。また、圧電振動子に水晶振動子を使用することにより、安価で、周波数安定度の高い発振器を実現することができる。
【0008】
【発明の効果】
以上記載のごとく請求項1の発明によれば、クランプ回路の片方を増幅用トランジスタのベース・エミッタ間で代用し、増幅用トランジスタをC級動作させるので、部品点数の削減と、振動子電流の抑圧を同時に実現することができる。
また請求項2では、増幅用トランジスタのベース・エミッタ間でクランプ回路の片方を代用するので、クランプ回路のダイオードを1つ削減することができる。
また請求項3では、増幅用トランジスタをC級動作させるので、出力レベルを効率良く取り出すことができる。
また請求項4では、圧電振動子に水晶振動子を使用することにより、安価で、周波数安定度の高い発振器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るシリコントランジスタによるコルピッツ発振器の一例を表す図である。
【図2】本発明の可変抵抗R2に対する振動子電流と発振器の出力電圧の関係を表す図である。
【図3】本発明の可変抵抗R2と発振器の消費電流との関係を表す図である。
【図4】従来のシリコントランジスタによるコルピッツ発振器の一例を表す図である。
【符号の説明】
TR1 発振用トランジスタ、TR2 増幅用トランジスタ、C3〜C7 コンデンサ、R1〜R3 抵抗、Xtal 圧電振動子
Claims (4)
- 所定の周波数で励振される圧電素子を備えた圧電振動子と、該圧電素子に電流を流して前記圧電素子を励振させる発振用増幅トランジスタと、該発振用増幅トランジスタのベース・接地間に接続され負荷容量の一部となる合成コンデンサと、エミッタと接地間に挿入されたエミッタ抵抗と、を備えた圧電発振器であって、
前記発振用増幅トランジスタのエミッタからの発振信号を通過させるパスコンデンサと、該パスコンデンサからの発振信号振幅の片方向をクランプするダイオードと、コレクタ抵抗及びエミッタ抵抗を有する増幅用トランジスタと、を更に備え、
前記パスコンデンサの出力端を前記増幅用トランジスタのベースに接続すると共に、該ベースと前記ダイオードのカソードを接続してアノード側を接地し、前記増幅用トランジスタのコレクタから出力を得ることを特徴とする圧電発振器。 - 前記ダイオード及び前記増幅用トランジスタのベース・エミッタ間により両方向のクランプ回路を形成することを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
- 前記増幅用トランジスタのエミッタ抵抗の値を所定の値に設定して、該増幅用トランジスタをC級動作にて動作させることを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
- 前記圧電振動子が水晶振動子であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の圧電発振器。
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- 2002-12-03 JP JP2002351762A patent/JP2004187015A/ja not_active Withdrawn
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