JP2004186128A - 複合イオン交換膜およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的強度が高く、イオン伝導性、発電特性特に高温発電性に優れた高分子固体電解質膜として使用するのに適した複合イオン交換膜ならびに、その製造方法を提供するものである。
【解決手段】連続した空隙を有するポリベンザゾール系ポリマーからなる支持体膜にイオン交換樹脂層が含浸されてなる複合層と、該複合層を挟む形で該複合層の両面に形成された支持体膜を含まないイオン交換膜からなる表面層を有する複合イオン交換膜であって、該複合層に含浸されるイオン交換樹脂にポリアリーレン系共重合体が含まれ、該表面層のイオン交換樹脂がフッ素系イオン交換樹脂からなる表面層の厚みが1μm以上50μm以下であることを特徴とする複合イオン交換膜を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】連続した空隙を有するポリベンザゾール系ポリマーからなる支持体膜にイオン交換樹脂層が含浸されてなる複合層と、該複合層を挟む形で該複合層の両面に形成された支持体膜を含まないイオン交換膜からなる表面層を有する複合イオン交換膜であって、該複合層に含浸されるイオン交換樹脂にポリアリーレン系共重合体が含まれ、該表面層のイオン交換樹脂がフッ素系イオン交換樹脂からなる表面層の厚みが1μm以上50μm以下であることを特徴とする複合イオン交換膜を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は機械的強度、イオン伝導性および高温発電性に優れる複合イオン交換膜、特に高分子固体電解質膜に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、エネルギー効率や環境性に優れた新しい発電技術が注目を集めている。中でも高分子固体電解質膜を使用した固体高分子形燃料電池はエネルギー密度が高く、また、他の方式の燃料電池に比べて運転温度が低いため起動、停止が容易であるなどの特徴を有し、電気自動車や分散発電等の電源装置としての開発が進んできている。また、同じく高分子固体電解質膜を使用し、燃料としてメタノールを直接供給するダイレクトメタノール形燃料電池も携帯機器の電源などの用途に向けた開発が進んでいる。高分子固体電解質膜には通常プロトン伝導性のイオン交換樹脂膜が使用される。高分子固体電解質膜にはプロトン伝導性以外にも、燃料の水素等の透過を防ぐ燃料透過抑止性や機械的強度などの特性が必要である。このような高分子固体電解質膜としては例えば米国デュポン社製ナフィオン(商品名)に代表されるようなスルホン酸基を導入したパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー膜が知られている。
【0003】
固体高分子形燃料電池の高出力化や高効率化のためには高分子固体電解質膜のイオン伝導抵抗を低減させることが有効であり、その方策のひとつとして膜厚の低減が挙げられる。ナフィオンに代表されるような高分子固体電解質膜でも膜厚を低減させる試みが行われている。しかしながら、膜厚を低減させると機械的強度が小さくなり、高分子固体電解質膜と電極をホットプレスで接合させる際などに膜が破損しやすくなったり、膜の寸法の変動により、高分子固体電解質膜に接合した電極がはがれて発電特性が低下したりするなどの問題点を有していた。さらに、膜厚を低減させることで燃料透過抑止性が低下し、起電力の低下や燃料の利用効率の低下を招くなどの問題点を有していた。
【0004】
さらに高分子固体電解質膜は上記に示した燃料電池のイオン交換樹脂膜としての用途だけでなく、アルカリ電解や水からの水素製造のような電解用途、リチウム電池やニッケル水素電池などの種々の電池における電解質用途などの電気化学分野での用途、微小アクチュエータや人工筋肉のような機械的機能材料用途、イオンや分子等の認識・応答機能材料用途、分離・精製機能材料用途など幅広い用途にも適用が可能であり、それぞれの用途においても高分子固体電解質膜の高強度化や薄膜化を達成することでこれまでにない優れた機能を提供することができると考えられる。
【0005】
高分子固体電解質膜の機械的強度を向上させ、寸法変化を抑制する方法として、高分子固体電解質膜に種々の補強材を組み合わせた複合高分子固体電解質膜が提案されている。特許文献1には、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜の空隙部にイオン交換樹脂であるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーを含浸し、一体化した複合高分子固体電解質膜が記載されている。しかしながら、これらの複合高分子固体電解質膜は補強材がポリテトラフルオロエチレンでできているため、発電時の熱により補強材が軟化し、クリープによる寸法変化を生じやすく、また補強材にパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーの溶液を含浸して乾燥する際に、補強材の空隙部分の容積がほとんど変化しないために補強材の空隙の内部で析出したパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーが偏在しやすく、空隙が該ポリマーで完全に充填されるためにはイオン交換樹脂溶液の含浸と乾燥のプロセスを複数回繰り返すなどの複雑なプロセスが必要であり、また、空隙が残りやすいために燃料透過抑止性に優れた膜が得られにくいといった問題点を有していた。また、特許文献2には多孔質なポリテトラフルオロエチレンシートにパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーを含浸させ析出させ、固体高分子電解質の少なくとも一方の面にスキン層として形成させた固体高分子固体電解質膜が記載されている。しかしながら、これらの固体高分子固体電解質膜は、特に最近、固体高分子形燃料電池の高出力化や高効率化のために100℃以上及びまたは130℃での高温発電性能が要求されているが、前記載の多孔質補強材の熱による軟化の問題点や含浸されたパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー自身の耐熱性が乏しいことから高温発電性能が得られない問題点を有している。
特許文献3にはパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーの膜内に補強材としてフィブリル化されたポリテトラフルオロエチレンが分散された複合高分子固体電解質膜が記載されている。しかしながら、このような複合高分子固体電解質膜は、補強材が不連続な構造のため十分な機械的強度が得られず、膜の変形が抑制できないために電極のはがれが生じるなどの問題点を有していた。
【0006】
ポリベンゾオキサゾール(PBO)やポリベンズイミダゾール(PBI)のようなポリベンザゾール系ポリマーは高耐熱性、高強度、高弾性率の点で優れることから、高分子固体電解質膜の補強材料に適していることが期待される。特許文献4にはPBO多孔質膜と種々のイオン交換樹脂を複合化した高分子固体電解質膜が記載されている。しかしながら、これに記載されているような液晶性を示すドープから製膜したPBO溶液膜を直接水浴で凝固する方法で得られるPBO多孔質膜の表面には両面とも開孔部の少ない緻密な層が形成され、イオン交換樹脂を複合化させる際にイオン交換樹脂溶液が膜の内部に含浸されにくく、複合膜中のイオン交換樹脂の含有率が低くなり、イオン交換樹脂本来のイオン伝導性などの特性が大幅に低下するといった問題点を有していた。また、これに記載された複合イオン交換膜は表面のイオン交換樹脂層の形成やその厚みを特に規定していないが、複合イオン交換膜における表面層の存在やその厚みは、複合イオン交換膜の表面に電極を形成する場合などにバインダーとなるイオン交換樹脂と高分子固体電解質膜を形成するイオン交換樹脂との密着性などに影響し、これらを最適に制御することが重要である。
【0007】
特許文献5にはPBI多孔質膜の空隙に酸をトラップした燃料電池用ポリマーフィルムの製造方法が記載されている。しかしながら、これに記載されているような方法で得られる遊離の酸をトラップしたフィルムは、100℃以下といった低温領域でのイオン伝導性が先述のナフィオンのようなイオン交換膜に比べて低いほか、酸が漏出しやすいなどの問題点を有していた。さらに、特許文献6には光学異方性のポリベンザゾール系ポリマー溶液を製膜してから吸湿による等方化の過程を経て凝固しポリベンザゾールフィルムを得る方法が開示されているが、これに記載されているような方法で得られるポリベンザゾールフィルムは透明な緻密性の高いフィルムであり、イオン交換樹脂を含浸してイオン交換膜とする目的には適していなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−162132号公報
【特許文献2】
特開2002−313363号公報
【特許文献3】
特開2001−35508号公報
【特許文献4】
国際公開第WO00/22684号パンフレット
【特許文献5】
国際公開第WO98/14505号パンフレット
【特許文献6】
特開2000−273214号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、機械的強度が高く、イオン伝導性および高温発電性に優れた高分子固体電解質膜として使用するのに適した複合イオン交換膜ならびに、その製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、連続した空隙を有するポリベンザゾール系ポリマーからなる支持体膜にイオン交換樹脂が含浸してなる複合層と、該複合層を挟む形で該複合層の両面に形成された支持体膜を含まないイオン交換樹脂からなる表面層を有する複合イオン交換膜であって、支持体膜の少なくとも一方の面の開孔率が40%以上であり、複合イオン交換膜の複合層に含浸されるイオン交換樹脂には、炭化水素系単位を主成分とするポリアリーレン系共重合体が含まれ、また、表面層に形成されるイオン交換樹脂は、フッ素系イオン交換樹脂からなるととを特徴とする複合イオン交換膜である。また、本発明の複合イオン交換膜の複合層の厚みは全膜厚の5%以上95%以下で、表面層のそれぞれの厚みは、1μm以上50μm以下であることを特徴とする複合イオン交換膜である。さらに本発明は、ポリベンザゾール系ポリマー溶液が0.5重量%以上2重量%以下のポリベンザゾール系ポリマーを含む等方性溶液からなる支持体膜の製造方法およびその支持体膜からなる複合イオン交換膜の製造方法であって、支持体膜へ主してポリアリーレン系共重合体からなるイオン交換樹脂を含浸させ複合膜を得た後、フッ素系イオン交換樹脂を含浸および塗工により表面層に付与し複合イオン交換膜を製造する方法および複合層へフッ素系イオン交換樹脂フィルムを熱圧着して表面層を付与することを特徴とする複合イオン交換膜の製造方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の支持体膜として使用されるポリベンザゾール系ポリマーとは、ポリマー鎖中にオキサゾー環、チアゾール環、イミダゾール環を含む構造のポリマーをいい、下記一般式で表される繰り返し単位をポリマー鎖中に含むものをいう。
【0012】
【化1】
【0013】
ここで、Ar1,Ar2,Ar3は、芳香族単位を示し、各種脂肪族基、芳香族基、ハロゲン基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基等の置換基を有していても良い。これら芳香族単位は、ベンゼン環などの単環系単位、ナフタレン、アントラセン、ピレンなどの縮合環系単位、それらの芳香族単位が2個以上任意の結合を介してつながった多環系芳香族単位でも良い。また、芳香族単位におけるNおよびXの位置はベンザゾール環を形成できる配置であれば特に限定されるものではない。さらに、これらは炭化水素系芳香族単位だけでなく、芳香環内にN,O,S等を含んだヘテロ環系芳香族単位でも良い。XはO,S,NHを示す。
上記Ar1は、下記一般式で表されるものが好ましい。
【0014】
【化2】
【0015】
ここで、Y1、Y2はCHまたはNを示し、Zは直接結合、−O−,−S−,−SO2−,−C(CH3)2−,−C(CF3)2−,−CO−を示す。
Ar2は、下記一般式で表されるものが好ましい。
【0016】
【化3】
【0017】
ここで、Wは−O−,−S−,−SO2−,−C(CH3)2−,−C(CH3)2−,−CO−を示す。
Ar3は、下記一般式で表されるものが好ましい。
【0018】
【化4】
【0019】
これらポリベンザゾール系ポリマーは、上述の繰り返し単位を有するホモポリマーであっても良いが、上記構造単位を組み合わせたランダム、交互あるいはブロック共重合体であっても良く、例えば米国特許第4703103号、米国特許第4533692号、米国特許第4533724号、米国特許第4533693号、米国特許第4539567号、米国特許第4578432号等に記載されたものなども例示される。
【0020】
これらポリベンザゾール系構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】
【0026】
【化10】
【0027】
【化11】
【0028】
さらに、これらポリベンザゾール系構成単位だけでなく、他のポリマー構成単位とのランダム、交互あるいはブロック共重合体であっても良い。この時、他のポリマー構成単位としては耐熱性に優れた芳香族系ポリマー構成単位から選ばれることが好ましい。具体的には、ポリイミド系構成単位、ポリアミド系構成単位、ポリアミドイミド系構成単位、ポリオキシジアゾール系構成単位、ポリアゾメチン系構成単位、ポリベンザゾールイミド系構成単位、ポリエーテルケトン系構成単位、ポリエーテルスルホン系構成単位などを挙げることができる。
【0029】
ポリイミド系構成単位の例としては、下記一般式で表されるものが挙げられる。
【0030】
【化12】
【0031】
ここで、Ar4は4価の芳香族単位で表されるが、下記構造で表されるものが好ましい。
【0032】
【化13】
【0033】
また、Ar5は二価の芳香族単位であり、下記構造で表されるものが好ましい。ここで示される芳香環上には、メチル基、メトキシ基、ハロゲン基、トリフルオロメチル基、水酸基、ニトロ基、シアノ基等の各種置換基が存在していても良い。
【0034】
【化14】
【0035】
これらポリイミド系構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0036】
【化15】
【0037】
【化16】
【0038】
ポリアミド系構成単位の例としては、下記構造式で表されるのもが挙げられる。
【0039】
【化17】
【0040】
ここで、Ar6,Ar7,Ar8はそれぞれ独立に下記構造から選ばれるものが好ましい。ここで示される芳香環上には、メチル基、メトキシ基、ハロゲン基、トリフルオロメチル基、水酸基、ニトロ基、シアノ基等の各種置換基が存在していても良い。
【0041】
【化18】
【0042】
これらポリアミド系構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0043】
【化19】
【0044】
ポリアミドイミド系構成単位の例としては、下記構造で表されるものが挙げられる。
【0045】
【化20】
【0046】
ここで、Ar9は上記Ar5の具体例として示される構造から選ばれるものが好ましい。
【0047】
これらポリアミドイミド構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0048】
【化21】
【0049】
ポリオキシジアゾール系構成単位の例としては、下記構造式で表されるものが挙げられる。
【0050】
【化22】
【0051】
ここで、Ar10は上記Ar5の具体例として示される構造から選ばれるものが好ましい。
【0052】
これらポリオキシジアゾール系構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0053】
【化23】
【0054】
ポリアゾメチン系構成単位の例としては、下記構造で表されるものが挙げられる。
【0055】
【化24】
【0056】
ここで、Ar11,Ar12は、上記Ar6の具体例として示される構造から選ばれるものが好ましい。
【0057】
これらポリアゾメチン系構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0058】
【化25】
【0059】
ポリベンザゾールイミド系構成単位の例としては、下記構造式で表されるものが挙げられる。
【0060】
【化26】
【0061】
ここで、Ar13、Ar14は上記Ar4の具体例として示される構造から選ばれるものが好ましい。
【0062】
これらポリベンザゾールイミド系構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0063】
【化27】
【0064】
ポリエーテルケトン系構成単位、ポリエーテルスルホン系構成単位は、一般に芳香族ユニットをエーテル結合とともにケトン結合やスルホン結合で連結した構造を有するものであり、下記構造式から選択される構造成分を含む。
【0065】
【化28】
【0066】
ここで、Ar15〜Ar23はそれぞれ独立に下記構造で表されるものが好ましい。ここで示される芳香環上には、メチル基、メトキシ基、ハロゲン基、トリフルオロメチル基、水酸基、ニトロ基、シアノ基等の各種置換基が存在していても良い。
【0067】
【化29】
【0068】
これらポリエーテルケトン系構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0069】
【化30】
【0070】
これらポリベンザゾール系ポリマー構成単位と共に共重合できる芳香族ポリマー構成単位は、厳密にポリマー鎖内の繰り返し単位を指しているのではなく、ポリマー主鎖中にポリベンザゾール系構成単位と共に存在できる構成単位を示しているものである。これら共重合できる芳香族ポリマー構成単位は一種だけでなく二種以上を組み合わせて共重合することもできる。このような共重合体を合成するには、ポリベンザゾール系ポリマー構成単位からなるユニット末端にアミノ基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン基等を導入して、これらの芳香族系ポリマーの合成における反応成分として重合しても良いし、これらの芳香族系ポリマー構成単位を含むユニット末端にカルボキシル基を導入してポリベンザゾール系ポリマーの合成における反応成分として重合しても良い。
【0071】
前記ポリベンザゾール系ポリマーは、ポリ燐酸溶媒中で縮合重合されポリマーが得られる。ポリマーの重合度は極限粘度で表され、15dL/g以上が好ましく、より好ましくは20dL/g以上である。この範囲を下回った場合、得られる支持体膜の強度が低く好ましくない。また極限粘度は、35dL/g以下が好ましく、26dL/g以下がより好ましい。この範囲を上回った場合、等方性の溶液が得られるポリベンザゾール系ポリマー溶液の濃度範囲が限られ、等方性の条件での製膜が困難となるため好ましくない。
【0072】
ポリベンザゾール系ポリマー溶液の製膜方法としては、ドクターブレード等を用いてポリマー溶液を基体上にキャスティングする流延法と呼ばれる製膜方法のほかにも、直線状スリットダイから押し出す方法や円周状スリットダイからブロー押し出しする方法、二枚の基体に挟んだポリマー溶液をローラーでプレスするサンドイッチ法、スピンコート法など、溶液を膜状に成型するあらゆる方法が使用できる。本発明の目的に適した好ましい製膜方法は流延法、サンドイッチ法である。流延法の基板やサンドイッチ法の基体にはガラス板や金属板、樹脂フィルム等の他、凝固時の支持体膜の空隙構造を制御する等の目的で種々の多孔質材料を基板、基体として好ましく用いることができる。
【0073】
本発明で用いるポリベンザゾール系ポリマー溶液は、均一でかつ空隙率の大きな支持体膜を得るために等方性条件の組成で製膜することが重要であり、ポリベンザゾール系ポリマー溶液の好ましい濃度範囲は、0.5重量%、さらに好ましくは0.8重量%である。この範囲よりも濃度が低いとポリマー溶液の粘度が小さくなり、適用できる製膜方法が限られるほか、得られる支持体膜の強度が小さくなるため好ましくない。またさらに、濃度範囲は、2重量%以下が好ましく、より好ましくは1.5重量%以下である。この範囲よりも濃度が高いと空隙率の大きな支持体膜が得られないばかりか、ポリベンザゾール系ポリマーのポリマー組成や重合度によっては溶液が異方性を示すため好ましくない。
【0074】
ポリベンザゾール系ポリマー溶液の濃度を上記で示したような範囲に調整するには次に示すような方法をとる事ができる。すなわち、重合されたポリベンザゾール系ポリマー溶液から一旦ポリマー固体を分離し、再度溶媒を加えて溶解することで濃度調整を行なう方法。さらには、ポリ燐酸中で縮合重合されたままのポリマー溶液からポリマー固体を分離することなく、そのポリマー溶液に溶媒を加えて希釈し、濃度調整を行なう方法。さらにはポリマーの重合組成を調整することで上記濃度範囲のポリマー溶液を直接得る方法などである。
【0075】
ポリマー溶液の濃度調整に用いるのに好ましい溶媒としては、メタンスルホン酸、ジメチル硫酸、ポリ燐酸、硫酸、トリフルオロ酢酸などがあげられ、あるいはこれらの溶媒を組み合わせた混合溶媒を用いることもできる。中でも特にメタンスルホン酸、ポリリン酸が好ましい。
【0076】
支持体膜の多孔質構造を実現する手段としては、製膜された等方性のポリベンザゾール系ポリマー溶液を、貧溶媒と接触させて凝固する方法を用いる。貧溶媒はポリマー溶液の溶媒と混和できる溶媒であって、液相状態であっても気相状態であっても良い。さらに、気相状態の貧溶媒による凝固と液相状態の貧溶媒による凝固を組み合わせることも好ましく用いることができる。凝固に用いる貧溶媒としては、水、酸水溶液や無機塩水溶液の他、アルコール類、グリコール類、グリセリンなどの有機溶媒等を利用することができるが、使用するポリベンザゾール系ポリマー溶液との組み合わせによっては、支持体膜の表面開孔率や空隙率が小さくなったり、支持体膜の内部に不連続な空洞ができたりするなどの問題が生じるため、凝固に用いる貧溶媒の選択には特に注意が必要である。本発明における等方性のポリベンザゾール系ポリマー溶液の凝固においては、水蒸気、メタンスルホン酸水溶液、リン酸水溶液、グリセリン水溶液の他、塩化マグネシウム水溶液などの無機塩水溶液などの中から貧溶媒と凝固条件を選択することにより支持体膜表面および内部の構造、空隙率を制御するに至った。特に好ましい凝固の手段は水蒸気と接触させて凝固する方法や、凝固の初期において水蒸気に短時間接触させた後に水に接触させて凝固する方法、メタンスルホン酸水溶液に接触させて凝固する方法などである。
【0077】
ポリマーの凝固が進むと、支持体膜は収縮しようとする。凝固が進行する間は支持体膜の不均一な収縮によるシワの発生などを抑制する目的でテンターや固定枠を用いる場合もある。また、ガラス板などの基板上に成型したポリマー溶液を凝固する場合には、基板面の粗さを制御することで基板上での収縮を制御する場合もある。
【0078】
上記のようにして凝固された支持体膜は、残留する溶媒によるポリマーの分解の促進や、複合電解質膜を使用する際に残留溶媒が流出するなどの問題を避ける目的で、十分に洗浄することが望ましい。洗浄は支持体膜を洗浄液に浸漬することで行なうことができる。特に好ましい洗浄液は水である。水による洗浄は、支持体膜を水中に浸漬したときの洗液のpHが5〜8の範囲になるまで行なうことが好ましく、さらに好ましくはpHが6.5〜7.5の範囲である。
【0079】
上記に述べた特定の濃度範囲のポリベンザゾール系ポリマー等方性溶液を用い、上記に述べたような方法から選ばれた適当な凝固手段を用いることにより本発明の目的に適した構造を有するポリベンザゾール系ポリマーよりなる支持体膜が得られる。すなわち、支持体膜の少なくとも一方の表面に開口部を持つ連続した空隙を有する多孔質の支持体膜である。支持体膜はポリベンザゾール系ポリマーのフィブリル状繊維から形成される立体網目構造からなり、三次元的に連続した空隙を有することを、実施例に示したような原子間力顕微鏡を用いる水中での支持体膜表面の観察、および、エポキシ包埋−脱エポキシにより水中の構造を保持した支持体膜の透過型電子顕微鏡観察による断面観察から確認した。特開2002−203576には膜の厚さ方向に貫通する連通孔を有する膜支持体にイオン伝導性物質が導入された電解質膜が記載されているが、これに記載されているような連通孔の方向性が主に膜の厚さ方向に限定されている支持体を燃料電池の電解質膜に用いた場合、膜の面方向のイオン伝導性物質の連続性が小さいために燃料電池のイオン交換膜に用いた場合に燃料ガスの濃度分布や電極触媒の付着量など面方向に不均一な状態が生じるとイオン交換膜の局所的な劣化が生じやすいなどの問題があるため好ましくない。
【0080】
本発明の支持体膜の空隙率は90体積%以上であることが好ましく、さらに好ましくは95体積%以上である。空隙率がこの範囲よりも小さいと、イオン交換樹脂を複合化させた場合のイオン交換樹脂の含有率が小さく、イオン導電性が低下するため好ましくない。
【0081】
本発明の支持体膜は、少なくとも一方の面の開孔率が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上である。少なくとも一方の面の開孔率がこの範囲よりも小さいと、支持体膜とイオン交換樹脂を複合化させる際に支持体膜の空隙内部にイオン交換樹脂が含浸されにくくなるため好ましくない。
【0082】
上述のような方法で得られたポリベンザゾール系ポリマーよりなる多孔質の該支持体膜にイオン交換樹脂を含浸させてなる複合層と、該複合層を挟む形で該複合層の両面に形成された支持体膜を含まないイオン交換樹脂からなる表面層を有する複合イオン交換膜を得る方法について説明する。即ち、含水した支持体膜を乾燥させずにイオン交換樹脂溶液の溶媒組成と異なる場合、その溶媒組成にあわせてあらかじめ内部の液を置換した後、イオン交換樹脂溶液に浸漬し、その後、乾燥させることによってイオン交換樹脂を含む複合層が得られる。この場合、該支持体膜の内部にイオン交換樹脂を含浸させ乾燥させる時に、予め支持体膜を金属の枠などで固定して行うのが好ましいがこの方法に限定するものではない。前記載の方法で得られた複合層の厚みは、複合イオン交換膜全厚みの5%以上95%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以上90%以下、さらに好ましくは30%以上85%以下である。該複合層の厚みが複合イオン交換膜全厚みに占める割合がこの範囲より大きい場合、発電時の内部抵抗が大きくなり発電性能が低下し、また、この範囲よりも小さい場合には内部抵抗が小さくなり発電性能は向上するものの支持体膜の補強効果が小さくなるため好ましくない。
【0083】
本発明の複合層に含浸されるイオン交換樹脂としては、前述のパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーからなるフッ素系イオン交換樹脂以外に、炭化水素系構成単位を主成分とする非フッ素系イオン交換樹脂を使用することができる。この場合、部分的に水素原子がフッ素原子に置き換わっている構造が含まれていても構わない。非フッ素系イオン交換樹脂としては、例えばポリスチレンスルホン酸、ポリ(トリフルオロスチレン)スルホン酸、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリビニルスルホン酸成分の少なくとも1種を含むアイオノマーが挙げられる。さらに、芳香族系のポリマーとして、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン、ポリアリーレン系ポリマー、ポリフェニルキノキサリン、ポリアリールケトン、ポリエーテルケトン、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド等の構成成分の少なくとも1種を含むポリマーに、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基、およびそれらの誘導体の少なくとも1種が導入されているポリマーが挙げられる。なお、ここでいうポリスルホン、ポエーテルスルホン、ポリエーテルケトン等は、その分子鎖にスルホン結合、エーテル結合、ケトン結合を有しているポリマーの総称であり、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンスルホンなどを含むとともに、特定のポリマー構造に限定するものではない。
【0084】
上記酸性基を含有するポリマーのうち、芳香環上にスルホン酸基を持つポリマーは、上記例のような骨格を持つポリマーに対して適当なスルホン化剤を反応させることにより得ることができる。このようなスルホン化剤としては、例えば、芳香族環含有ポリマーにスルホン酸基を導入する例として報告されている、濃硫酸や発煙硫酸を使用するもの(例えば、Solid State Ionics,106,P.219(1998))、クロル硫酸を使用するもの(例えば、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,22,P.295(1984))、無水硫酸錯体を使用するもの(例えば、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,22,P.721(1984)、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,23,P.1231(1985))等が有効である。これらの試薬を用い、それぞれのポリマーに応じた反応条件を選定することにより目的のスルホン化ポリマーを得ることができる。また、特許第2884189号に記載のスルホン化剤等を用いることも可能である。これら芳香環がスルホン化されたポリマーの構造は特に限定されることはないが、例えば、J.Electrochem.Soc.,Vol.147,P.1677(2000)、WO2000−15691国際公開特許公報、WO00/24796国際公開特許公報、Macromol.Symp.,Vol.188,P.73(2002)、Macromol.Rapid.Commun.Vol.23,P.753(2002),J.Memb.Sci.,Vol.185,P.73(2001),J.Polym.Sci.Polym.Chem.,Vol.39,P.3211(2001)、J.Memb.Sci.,Vol.173,P.17(2000)、等に記載されているものが例示される。
【0085】
また、上記酸性基含有ポリマーは、重合に用いるモノマーの中の少なくとも1種に酸性基を含むモノマーを用いて合成することもできる。例えば、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物から合成されるポリイミドにおいては、芳香族ジアミンの少なくとも1種にスルホン酸基含有ジアミンを用いてスルホン酸基含有ポリイミドとすることが出来る。スルホン酸基含有ジアミンの例としては、1,3−ジアミノベンゼン−5−スルホン酸、1,4−ジアミノベンゼン−2−スルホン酸、1,3−ジアミノベンゼン−4−スルホン酸、ベンジジン−3,3’−ジスルホン酸、等が例示される。ポリイミド合成に使用されるテトラカルボン酸無水物は、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物や、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸無水物などの六員環酸無水物を含んでいることが好ましい。これらスルホン酸基含有ポリイミドの構造は特に限定されるわけではないが、例えば、Polymer,Vol.42、P.359(2001)、Macromolecules,Vol.35,P.6707(2002)、Macromolecules,Vol.35,P.9022(2002)、US2002/0091225特許公報、等に記載されているものが例示される。
【0086】
芳香族ジアミンジオールと芳香族ジカルボン酸から合成されるポリベンズオキサゾール、芳香族ジアミンジチオールと芳香族ジカルボン酸から合成されるポリベンズチアゾール、芳香族テトラミンと芳香族ジカルボン酸から合成されるポリベンズイミダゾールの場合は、芳香族ジカルボン酸の少なくとも1種にスルホン酸基含有ジカルボン酸やホスホン酸基含有ジカルボン酸を使用することにより酸性基含有ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリベンズイミダゾールとすることが出来る。ここで使用されるスルホン酸基含有ジカルボン酸としては、2,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジカルボキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、4,6−ジカルボキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2,2’−ジスルホ−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ジスルホ−4,4’−ビフェニルジカルボン酸などのスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸およびこれらの誘導体を挙げることができる。また、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ビスホスホノテレフタル酸、などのホスホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸およびこれらの誘導体を用いることにより、ホスホン酸基含有ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリベンズイミダゾールとすることが出来る。また、ここで用いる芳香族テトラミン類、芳香族ジアミンジオール類、芳香族ジアミンジチオール類およびそれらの誘導体としては、特に限定されるものではないが、たとえば、2,5−ジヒドロキシパラフェニレンジアミン、4,6−ジヒドロキシメタフェニレンジアミン、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオール、4,6−ジアミノ−1,3−ベンゼンジチオール、2,5−ジアミノ−3,6−ジメチル−1,4−ベンゼンジチオール、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェニルベンゼンジオール、3,3’−ジメルカプトベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェニルベンゼンジチオール、3,3’−ジアミノベンジジン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)エーテル、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)チオエーテル、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)チオエーテル、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルチオエーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)スルホン、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)メタン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)ケトン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ケトン、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェノキシ)ベンゼン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェノキシ)ベンゼン、ビス(3,4,−ジアミノフェノキシ)ベンゼンなどおよびこれらの誘導体が挙げられる。これら酸性基含有ポリベンザゾールの構造は特に限定されることはないが、例えば、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,Vol.15,P.1309(1977)、USP−5,312,895号公報、WO02/38650国際公開公報、等に記載されているものが例示される。
【0087】
芳香族ジハライドと芳香族ジオールから合成されるポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンなどは、モノマーの少なくとも1種にスルホン酸基含有芳香族ジハライドやスルホン酸基含有芳香族ジオールを用いることで合成することが出来る。この際、スルホン酸基含有ジオールを用いるよりも、スルホン酸基含有ジハライドを用いる方が、重合度が高くなりやすいとともに、得られた酸性基含有ポリマーの熱安定性が高くなるので好ましいと言える。スルホン酸基含有ジハライドの例としては、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、およびそれらのスルホン酸基が1価カチオン種との塩になったものが挙げられる。これらのスルホン酸基含有ジハライドは、スルホン酸基導入量をコントロールするためにスルホン酸基を有さない芳香族ジハライドと併用することができる。これらスルホン酸基を有さない芳香族時ハライドとしては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル等が例示される。また、これらの芳香族ジハライドとともに重合に使用される芳香族ジオールとしては、例えば、4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ハイドロキノン、レゾルシン等があげられるが、この他にも芳香族求核置換反応によるポリアリーレンエーテル系化合物の重合に用いることができる各種芳香族ジオールを使用することもできる。これらより合成されるスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンの構造は特に限定されることはないが、例えば、US2002/0091225特許公報、Macromol.Chem.Phys.,Vol.199,P.1421(1998)、Polymer,Vol.40,P.795(1999)、等に記載されているものが例示される。
【0088】
本発明の該支持体膜に含浸されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーからなるフッ素系イオン交換樹脂は、例えば市販されているデュポン社製20%ナフィオン等が使用できる。
【0089】
更に、本発明の該支持体膜に含浸される主として使用されるポリアリーレン共重合体からなる非フッ素系イオン交換樹脂は、ポリマー対数粘度(dl/g)が0.3〜2.5、好ましくは0.6〜1.8、更に好ましくは1.0〜1.6のものが好ましく使用でき、イオン交換樹脂溶液濃度は、0.5〜25wt%、好ましくは10〜18wt%、更に好ましくは13〜15wt%が好ましく使用できる。またこの時のイオン交換樹脂溶液粘度(Pa.s@30℃)は、0.2〜4.0、好ましくは0.3〜2.0、更に好ましくは0.4〜1.5が好ましく使用できる。ポリマー対数粘度が2.5以上、樹脂溶液濃度25wt%以上及び樹脂溶液粘度が4.0以上であると、支持体膜への含浸性が不充分で含浸斑が発生しその結果発電性能が低下するので好ましくない。一方、ポリマー対数が0.3以下で樹脂溶液濃度が0.5wt%以下及び樹脂溶液粘度が0.2以下の場合、支持体膜中のイオン交換樹脂含有量が減少しその結果発電性能が得にくくなるので好ましくない。
【0090】
前記載のフッ素系イオン交換樹脂およびポリアリーレン共重合体からなる非フッ素系イオン交換樹脂溶液の支持体膜への含浸条件は、支持体膜の厚みやイオン交換樹脂溶液特性に大きく依存するが、含浸時間は5分以上が好ましく、更に好ましくは10分から15分である。含浸時間5分以下では発電特性が乏しい結果となる場合があり、15分以上含浸時間を延ばしても必ずしも発電特性が向上するものではない。尚、フッ素系イオン交換樹脂溶液を用い含浸・乾燥した複合イオン交換膜には、フッ素系イオン交換樹脂からなる表面層を既に形成することができる。一方、ポリアリーレン共重合体からなる非フッ素系イオン交換樹脂溶液で含浸・乾燥した複合層は、スルホン酸基を酸型に置換することが好ましい。また、複合層中に占めるイオン交換樹脂の含有率は50重量%以上であることが好ましい。さらに好ましくは80重量%以上である。この範囲より小さい含有率の場合、充分な発電性能が得られない。
【0091】
本発明の前記載で得られた複合層のイオン交換容量(IEC)は、0.8〜2.0meq/gで、好ましくは1.0〜1.7meq/gである。IECが小さいとイオン導電率が低下し発電性能が得られず、IECが大きいと水溶性が大きくなり耐水性が低下し好ましくない
【0092】
またイオン導電率(80℃95%RH環境下)は、0.1S/cm以上、好ましくは0.15S/cm以上が好ましい。0.1S/cm以下では発電性能が得られないので好ましくない。
【0093】
次に、該支持体膜に主としてポリアリーレン共重合体からなるイオン交換樹脂を含浸・乾燥して得た複合層に、フッ素系イオン交換樹脂からなる表面層を形成する複合イオン交換膜を得る方法としては、前記特性の複合層を予め準備したフッ素系イオン交換樹脂溶液層に浸漬し、その後乾燥してフッ素系イオン交換樹脂を表面層に付与した複合イオン交換膜とする方法、また、フッ素系イオン交換樹脂溶液を塗工してフッ素系イオン交換樹脂を表面層に付与した複合イオン交換膜とする方法、更には、米国デュポン社製ナフィオン(商品名)に代表されるようなスルホン酸基を導入したパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーからなるフッ素系イオン交換樹脂フィルム或いはフッ素系イオン交換樹脂溶液をガラス板等に塗工し任意の厚みとして得たフィルム等を用い熱圧着してフッ素系イオン交換樹脂を表面層に付与した複合イオン交換膜とする方法等が例示できる。
【0094】
具体的には、含浸方法はオープン含浸装置、減圧含浸装置、含浸回転ロール装置等の装置を用いて含浸し絞りロール等の方法で厚み調整した後乾燥し得る方法。また、塗工方法はワイヤーバーコート、スキージーコート、グラビアコーター、リバースコーター、スプレーコーターのコーティング方式やスクリーン印刷で塗工する方法。更には、熱圧着方法は熱プレス機等の装置を用い熱圧着する方法等が例示として挙げられる。
【0095】
本発明の複合イオン交換膜に形成された表面層の厚みは、1μm以上50μm以下が好ましく、更に好ましくは5μ以上20μ以下が好ましい。1μm以下の場合、電極との接合性が不充分で発電性能が得られず、50μm以上の場合、支持体膜の補強効果が小さくなるため好ましくない。
【0096】
本発明の方法で得られた複合イオン交換膜は、充分に熱処理して置くことが好ましい。熱処理温度は、イオン交換樹脂の耐熱性によるが、130〜150℃、30〜60分の窒素雰囲気下で熱処理する方法等が好ましい例示としてで挙げられる。
【0097】
本発明の複合イオン交換膜は、耐熱性に優れたポリベンザゾール系支持体膜に特に耐熱性を有するポリアリーレン系共重合体からなるイオン交換樹脂を含浸させ複合層とし、この複合層の両面にフッ素系イオン交換樹脂からなる表面層を形成することによって電極との接合性が一層向上し、その結果固体高分子形燃料電池の高出力化や高効率化のための高温発電要求に対してもその性能を発現することができ、機械的強度やイオン伝導性に優れた固体高分子型燃料電池の高分子電解質膜として利用できるものである。
【0098】
実施例
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各種測定は次のようにおこなった。
【0099】
評価法・測定法
<透過型電子顕微鏡による構造観察>
透過型電子顕微鏡(TEM)による膜の断面構造の観察は以下の方法で行った。まず、観察用試料切片を次のようにして作成した。すなわち、水洗後の支持体膜試料内部の水をエタノールに置換、さらにエポキシモノマーに十分置換した。試料はそのままエポキシモノマー中で45℃、6時間保持した後、さらに60℃、20時間熱処理することでエポキシを硬化させた(エポキシ包埋)。このようにしてエポキシ包埋された試料はダイヤモンドナイフを備えたミクロトームを用いて、干渉色が銀から金色を示す程度の厚みの超薄切片に調製し、KOH飽和エタノール溶液で15分処理することでエポキシを除去した(脱エポキシ)。さらにエタノール、続いて水で洗浄し、RuO4で染色した試料にカーボン蒸着し、JEOL製TEM(JEM−2010)を用いて加速電圧200kVで観察した。
【0100】
<原子間力顕微鏡による構造観察>
原子間力顕微鏡(AFM)による構造観察は以下の方法で行った。すなわち、Seiko Instruments社製のAFM(SPA300[観察モード:DFMモード、カンチレバー:SI−DF3、スキャナー:FS−100A])を使用し、水中の試料ステージに保持した未乾燥の支持体膜の表面構造を観察した。
【0101】
<走査型電子顕微鏡による構造観察>
走査型電子顕微鏡(SEM)による構造観察は以下の方法で行った。まず、水洗した支持体膜内部の水をエタノールに置換、さらに酢酸イソアミルに十分置換した後、日立製臨界点乾燥装置(HCP−1)を用いて、CO2臨界点乾燥を施した。このようにして臨界点乾燥した支持体膜に厚さ150オングストロームの白金コートを施し、日立製SEM(S−800)を用いて加速電圧10kV、試料傾斜角度30度で観察を行った。
【0102】
<極限粘度>
メタンスルホン酸を溶媒として、0.5g/Lの濃度に調整したポリマー溶液の粘度をウベローデ型粘度計を用いて25℃恒温槽中で測定し、算出した。
【0103】
<支持体膜厚み>
未乾燥の支持体膜の厚みは次に示す方法により測定した。測定荷重を変更可能なマイクロメータを用い、各荷重における水中での支持体膜の厚みを測定した。測定した厚みを荷重に対してプロットし、直線部分を荷重0に外挿したときの切片の値を厚みとし、一つの試料について5ヶ所で測定した厚みの平均値を支持体膜の厚みとした。
【0104】
<支持体膜の表面開孔率>
支持体膜の表面開孔率は次の方法により測定した。すなわち、上述した方法で撮影した支持体膜の表面の撮影倍率1万倍の走査型電子顕微鏡写真上で5μm角に相当する視野を選び、膜の最外表面に相当するポリマー部分を白、それ以外の部分を黒に色分けした後、イメージスキャナーを用いて画像をコンピューターに取り込み、米国Scion社製の画像解析ソフトScion Imageを用いて画像中の黒部分が占める比率を測定した。この操作を一つのサンプルに対して3回行い、その平均を表面開孔率とした。
【0105】
<支持体膜の空隙率>
支持体膜の空隙率は次の方法により測定した。含水状態の支持体膜の重量と絶乾状態の支持体膜の重量の差から求められた水の重量を水の密度で除して膜内の空隙を満たす水の体積Vw[mL]が得られる。Vwと含水状態の膜の体積Vm[mL]から以下の計算により支持体膜の空隙率を求めた。
支持体膜の空隙率[%]=Vw/Vm×100
【0106】
<複合イオン交換膜の厚さおよび、それを構成する層の厚さ>
該複合イオン交換膜を構成する複合層および該複合層を挟む形で複合層の両面に形成された支持体膜を含まないイオン交換樹脂からなる表面層の厚さは、幅300μm×長さ5mmに切り出した複合膜片を、ルベアック812(ナカライテスク製)/ルベアックNMA(ナカライテスク製)/DMP30(TAAB製)=100/89/4の組成とした樹脂で包埋し、60℃で12時間硬化させて試料ブロックを作製した。ウルトラミクロトーム(LKB製2088ULTROTOME 5)を用いて平滑な断面が露出するようブロックの先端をダイヤモンドナイフ(住友電工製SK2045)で切削した。このようにして露出させた複合膜の断面を光学顕微鏡で写真撮影し、既知の長さのスケールを同倍率で撮影したものと比較することで測定した。支持体の空隙率が大きい場合等で、少なくとも一方の面の表面層とその内側の複合層とが明確な界面を形成せずに界面付近の構造が連続的に変化している場合があるが、その場合は光学顕微鏡で連続的な構造の変化が確認できる部分のうち、複合イオン交換膜の外表面に最も近い部分を複合層の最外表面として、そこから複合イオン交換膜の外表面までの距離を該表面層の厚みとした。
【0107】
<複合イオン交換膜のイオン交換樹脂(ICP)含有率>
複合イオン交換膜のイオン交換樹脂含有率は以下の方法により測定した。110℃で6時間真空乾燥させた複合イオン交換膜の目付けDc[g/m2]を測定し、複合イオン交換膜の作製に用いたのと同じ製造条件の支持体膜をイオン交換樹脂を複合化させずに乾燥させて測定した乾燥支持体膜の目付けDs[g/m2]とから、以下の計算によりイオン交換樹脂含有率を求めた。
イオン交換樹脂含有率[重量%]=(Dc−Ds)/Dc×100
また、複合イオン交換膜のイオン交換樹脂含有率は以下の方法によって測定することもできる。すなわち、複合イオン交換膜を複合イオン交換膜中の支持体膜成分あるいは、イオン交換樹脂成分のいずれかのみを溶解可能な溶剤に浸漬して一方の成分を抽出、除去した後、元の複合イオン交換膜との重量変化を測定することでイオン交換樹脂の含有率を求めることができる。
【0108】
<強度・引張弾性率>
イオン交換膜の強度特性は、気温25℃、相対湿度50%の雰囲気で、オリエンテック社製「テンシロン」を用いて測定した。試料は幅10mmの短冊状とし、支間長40mm、引っ張り速度20mm/secで測定した応力歪み曲線から算出した。
【0109】
<イオン導電率>
イオン導電率σは次のようにして測定した。自作測定用プローブ(ポリテトラフルオロエチレン製)上で幅10mmの短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、80℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽中に試料を保持し、白金線間の10kHzにおける交流インピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離を10mmから40mmまで10mm間隔で変化させて測定し、極間距離と抵抗測定値をプロットした直線の勾配Dr[Ω/cm]から下記の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルして算出した。
σ[S/cm]=1/(膜幅×膜厚[cm]×Dr)
【0110】
<複合イオン交換膜のイオン交換容量(IEC)>
乾燥試料を50〜60mg秤量し2.5mmol/1水酸化ナトリウム水溶液110mlに浸漬し1時間攪拌する。この液を濾過し、濾液100mlを分取りして0.01mol/1塩酸標準溶液により逆滴定する。また、同操作を試料のない状態で行いブランクとする。
計算式 イオン交換容量(meq/g)=1.1×D×K÷W
D:ブランクの滴定量―試料の滴定量
K:0.01mol/l塩酸標準溶液の規定度(0.01×ファクター)
W:試料重量(mg)
【0111】
<発電特性>
デュポン社製20%ナフィオン(商品名)溶液(品番:SE−20192)に、白金担持カーボン(カーボン:Cabot社製ValcanXC−72、白金担持量:40重量%)を、白金とナフィオンの重量比が2.7:1になるように加え、撹拌して触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が1mg/cm2になるように塗布、乾燥して、電極触媒層付きガス拡散層を作成した。2枚の電極触媒層付きガス拡散層の間に、膜試料を、電極触媒層が膜試料に接するように挟み、ホットプレス法により120℃、2MPaにて3分間加圧、加熱することにより、膜−電極接合体とした。この接合体をElectrochem社製評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込んで、1)電極面積9cm2、セル温度80℃、ガス加湿温度75℃、2)電極面積9cm2、セル温度130℃、ガス加湿温度120℃で、1)、2)共に電極面積燃料ガスとして水素100mL/min、酸化ガスとして酸素100mL/minのガス流量において発電特性評価を行った。
【0112】
<溶液粘度>
ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度ln[ta/tb]/c)で評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度)。
【0113】
本発明の実施例および比較例に用いる支持体膜を以下の方法で作成した。
<支持体膜の作成>
ポリ燐酸中にIV=24dL/gのポリパラフェニレンシスベンゾビスオキサゾールポリマーを14重量%含んだドープにメタンスルホン酸を加えて希釈し、ポリパラフェニレンシスベンゾビスオキサゾール濃度1重量%の等方性溶液を調製した。この溶液を、70℃に加熱したガラス板上にクリアランス300μmのアプリケータを用いて製膜速度5mm/秒で製膜した。このようにしてガラス板上に製膜したドープ膜をそのまま25℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽中に置いて1時間凝固し、生成した膜を洗液がpH7±0.5を示すまで水洗を行って支持体膜を作成した。
【0114】
本発明の実施例に用いるイオン交換樹脂を、以下の方法で合成した。
<イオン交換樹脂Aの合成>
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩(略号:S−DCDPS)5.2335g(0.01065mole)、2,6−ジシアノベンゾニトリル(略号:DCBN)2.3323g(0.013559mole)、4,4‘−ビフェノール4.5086g(0.02421mole)、炭酸カルシウム3.8484g(0.02784mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。35mlのNMPを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約5時間)。放冷の後、沈降しているモレキュラーシーブを除いて水中にストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は1.24を示した。
【0115】
<イオン交換樹脂Bの作成>
4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ソーダ12.28g(25.0mmol)、4,4’−クロロジフェニルスルホン7.18gg(25.0mmol)、4,4’−ビフェノール9.31g(50.0mmol)、炭酸カリウム7.95g(57.5mmol)、N−メチル−2−ピロリドン100ml、トルエン15mlを窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた200ml枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で攪拌しつつ窒素気流下で加熱した。トルエンとの共沸による脱水を140℃で行なった後、トルエンを全て留去した。その後200℃に昇温し、15時間加熱した。その後、室温まで冷却した溶液を2000mlの純水に注ぎポリマーを再沈させた。濾過したポリマーは50℃で減圧乾燥した。ポリマーの対数粘度は0.95を示した。
【0116】
本発明の実施例に用いるイオン交換樹脂フィルムを、以下の方法で作成した。
<フッ素系イオン交換樹脂フィルム>
デュポン製「ナフィオン」20%樹脂溶液を用いて、ガラス板上にアプリケーターで塗工し、80℃、120℃で各10分間乾燥し5μm、10μm厚みのフィルムを作成した。
【0117】
<実施例1>
作成した支持体膜が両面に開孔部を持つ連続した空孔を有する多孔質膜であることを原子間力顕微鏡による表面形態観察および、透過型電子顕微鏡による断面形態観察により確認した。観察による測定の結果、支持体膜の開孔率は69%、空隙率は98%であった。
また、未乾燥の支持体膜の厚みは90μmであった。
【0118】
次に、合成して得られたイオン交換樹脂AのポリマーをNMPで溶解し13wt%濃度樹脂溶液2L作成し、オープン含浸槽に投入し準備した。予め支持体膜を水中でステンレス製のフレームに固定し、含まれる水をNMPで置換した後支持体膜を室温下含浸槽に投入し10分間浸漬し、引上げた後150℃設定の遠赤外線セラミックヒーターからなる乾燥機にセットし、15分間溶媒の蒸発・乾燥を行った。そして得られた複合膜を80℃の1mol/L硫酸水溶液で30分間処理しスルホン酸基を酸型に置換し、酸が検出できなくなるまで超純水で洗浄し、100℃で乾燥しイオン交換樹脂Aを含浸してなる複合層を作成した。
【0119】
続いて、別に準備したデュポン製20%「ナフィオン」溶液(品番:SE−20192)含浸槽に前記載の複合膜をステンレス製のフレームに固定した後、室温下5分間浸漬し、引上げた後100℃設定の遠赤外線セラミックヒーター乾燥機にセットし、10分間溶媒の蒸発・乾燥を実施した。そして得られた複合膜を窒素雰囲気下130℃60分で熱処理し複合イオン交換膜を得た。
【0120】
<実施例2>
イオン交換樹脂Aからイオン交換樹脂Bに変更した以外、実施例1と同様な方法で複合イオン交換膜を得た。
【0121】
<実施例3>
実施例1と同様な方法で酸置換した複合膜と5μm厚みフッ素系イオン交換樹脂フィルムを水で表面処理した後、複合膜を中心に両面から挟む形で120℃10分間熱プレス機で熱圧着し、そして得られた複合膜を窒素雰囲気下130℃60分で熱処理し複合イオン交換膜を得た。
【0122】
<実施例4)
10μm厚みフッ素系イオン交換樹脂フィルムを用いた以外、実施例3と同様な方法で複合イオン交換膜を得た。
【0123】
<実施例5>
実施例1と同様な方法でイオン交換樹脂を含浸した複合層を酸置換・乾燥した後、デュポン製20%「ナフィオン」溶液(品番:SE−20192)をワイヤーバーを用い塗工し100℃30分乾燥し片面スキン層を形成した。
次に、反面に同様に塗工し100℃30分乾燥し両面スキン層を形成した後、窒素雰囲気下130℃60分で熱処理し複合イオン交換膜を得た。
【0124】
<実施例6>
実施例で用いたと同様の支持体膜を用い、デュポン製20%「ナフィオン」溶液(品番:SE−20192)の含浸槽に室温下10分間浸漬し、引上げた後100℃設定の遠赤外線セラミックヒーター乾燥機にセットし、10分間溶媒の蒸発・乾燥を実施した。そして窒素雰囲気下130℃60分で熱処理し複合イオン交換膜を得た。
【0125】
<比較例1>
実施例1で作成した複合層を酸置換・乾燥しデュポン製20%「ナフィオン」溶液(品番:SE−20192)に浸漬することをやめて、そのまま窒素雰囲気下130℃60分で熱処理し複合イオン交換膜を調整した。複合イオン交換膜は、イオン導電率が低く、発電性能が得られなかった。
【0126】
<比較例2>
実施例2で作成した複合層を酸置換・乾燥しデュポン製20%「ナフィオン」溶液(品番:SE−20192)に浸漬することをやめて、そのまま窒素雰囲気下130℃60分で熱処理し複合イオン交換膜を調整した。複合イオン交換膜のイオン導電率が低く発電性能が得られなかった。
【0127】
<比較例3>
市販されているデュポン製「ナフィオン112」(商品名)膜を用いた。この膜は、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーからなるプロトン交換膜であり、固体高分子形燃料電池用のプロトン交換膜として広く用いられているものである。高温での発電性能が低下した。
【0128】
実施例1〜6、比較例1〜3の特性値を表1に示す。
【表1】
【0129】
実施例1から5の複合イオン交換膜は、比較例5である市販品の「ナフィオン112」膜と対比して膜強度の高いイオン交換膜で取扱いが容易となる。また、比較例1から5の複合イオン交換膜と対比して特に高温時の発電性能に優れ、燃料電池の高分子固体電解質膜として有用で優れた特性を備えていることが明らかとなった。
【0130】
【発明の効果】
上記の結果より、本発明の複合イオン交換膜は機械的強度、イオン伝導性および発電性特に高温発電性に優れる複合イオン交換膜である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合イオン交換膜の一例の断面構造の模式図である。
【図2】本発明に用いた支持体膜の一例を臨界点乾燥して、その表面を走査型電子顕微鏡で観察した像の模式図である。
【符号の説明】1スキン層、2複合層、3スキン層、4支持体膜のフィブリル、5空隙
【発明の属する技術分野】
本発明は機械的強度、イオン伝導性および高温発電性に優れる複合イオン交換膜、特に高分子固体電解質膜に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、エネルギー効率や環境性に優れた新しい発電技術が注目を集めている。中でも高分子固体電解質膜を使用した固体高分子形燃料電池はエネルギー密度が高く、また、他の方式の燃料電池に比べて運転温度が低いため起動、停止が容易であるなどの特徴を有し、電気自動車や分散発電等の電源装置としての開発が進んできている。また、同じく高分子固体電解質膜を使用し、燃料としてメタノールを直接供給するダイレクトメタノール形燃料電池も携帯機器の電源などの用途に向けた開発が進んでいる。高分子固体電解質膜には通常プロトン伝導性のイオン交換樹脂膜が使用される。高分子固体電解質膜にはプロトン伝導性以外にも、燃料の水素等の透過を防ぐ燃料透過抑止性や機械的強度などの特性が必要である。このような高分子固体電解質膜としては例えば米国デュポン社製ナフィオン(商品名)に代表されるようなスルホン酸基を導入したパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー膜が知られている。
【0003】
固体高分子形燃料電池の高出力化や高効率化のためには高分子固体電解質膜のイオン伝導抵抗を低減させることが有効であり、その方策のひとつとして膜厚の低減が挙げられる。ナフィオンに代表されるような高分子固体電解質膜でも膜厚を低減させる試みが行われている。しかしながら、膜厚を低減させると機械的強度が小さくなり、高分子固体電解質膜と電極をホットプレスで接合させる際などに膜が破損しやすくなったり、膜の寸法の変動により、高分子固体電解質膜に接合した電極がはがれて発電特性が低下したりするなどの問題点を有していた。さらに、膜厚を低減させることで燃料透過抑止性が低下し、起電力の低下や燃料の利用効率の低下を招くなどの問題点を有していた。
【0004】
さらに高分子固体電解質膜は上記に示した燃料電池のイオン交換樹脂膜としての用途だけでなく、アルカリ電解や水からの水素製造のような電解用途、リチウム電池やニッケル水素電池などの種々の電池における電解質用途などの電気化学分野での用途、微小アクチュエータや人工筋肉のような機械的機能材料用途、イオンや分子等の認識・応答機能材料用途、分離・精製機能材料用途など幅広い用途にも適用が可能であり、それぞれの用途においても高分子固体電解質膜の高強度化や薄膜化を達成することでこれまでにない優れた機能を提供することができると考えられる。
【0005】
高分子固体電解質膜の機械的強度を向上させ、寸法変化を抑制する方法として、高分子固体電解質膜に種々の補強材を組み合わせた複合高分子固体電解質膜が提案されている。特許文献1には、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜の空隙部にイオン交換樹脂であるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーを含浸し、一体化した複合高分子固体電解質膜が記載されている。しかしながら、これらの複合高分子固体電解質膜は補強材がポリテトラフルオロエチレンでできているため、発電時の熱により補強材が軟化し、クリープによる寸法変化を生じやすく、また補強材にパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーの溶液を含浸して乾燥する際に、補強材の空隙部分の容積がほとんど変化しないために補強材の空隙の内部で析出したパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーが偏在しやすく、空隙が該ポリマーで完全に充填されるためにはイオン交換樹脂溶液の含浸と乾燥のプロセスを複数回繰り返すなどの複雑なプロセスが必要であり、また、空隙が残りやすいために燃料透過抑止性に優れた膜が得られにくいといった問題点を有していた。また、特許文献2には多孔質なポリテトラフルオロエチレンシートにパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーを含浸させ析出させ、固体高分子電解質の少なくとも一方の面にスキン層として形成させた固体高分子固体電解質膜が記載されている。しかしながら、これらの固体高分子固体電解質膜は、特に最近、固体高分子形燃料電池の高出力化や高効率化のために100℃以上及びまたは130℃での高温発電性能が要求されているが、前記載の多孔質補強材の熱による軟化の問題点や含浸されたパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー自身の耐熱性が乏しいことから高温発電性能が得られない問題点を有している。
特許文献3にはパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーの膜内に補強材としてフィブリル化されたポリテトラフルオロエチレンが分散された複合高分子固体電解質膜が記載されている。しかしながら、このような複合高分子固体電解質膜は、補強材が不連続な構造のため十分な機械的強度が得られず、膜の変形が抑制できないために電極のはがれが生じるなどの問題点を有していた。
【0006】
ポリベンゾオキサゾール(PBO)やポリベンズイミダゾール(PBI)のようなポリベンザゾール系ポリマーは高耐熱性、高強度、高弾性率の点で優れることから、高分子固体電解質膜の補強材料に適していることが期待される。特許文献4にはPBO多孔質膜と種々のイオン交換樹脂を複合化した高分子固体電解質膜が記載されている。しかしながら、これに記載されているような液晶性を示すドープから製膜したPBO溶液膜を直接水浴で凝固する方法で得られるPBO多孔質膜の表面には両面とも開孔部の少ない緻密な層が形成され、イオン交換樹脂を複合化させる際にイオン交換樹脂溶液が膜の内部に含浸されにくく、複合膜中のイオン交換樹脂の含有率が低くなり、イオン交換樹脂本来のイオン伝導性などの特性が大幅に低下するといった問題点を有していた。また、これに記載された複合イオン交換膜は表面のイオン交換樹脂層の形成やその厚みを特に規定していないが、複合イオン交換膜における表面層の存在やその厚みは、複合イオン交換膜の表面に電極を形成する場合などにバインダーとなるイオン交換樹脂と高分子固体電解質膜を形成するイオン交換樹脂との密着性などに影響し、これらを最適に制御することが重要である。
【0007】
特許文献5にはPBI多孔質膜の空隙に酸をトラップした燃料電池用ポリマーフィルムの製造方法が記載されている。しかしながら、これに記載されているような方法で得られる遊離の酸をトラップしたフィルムは、100℃以下といった低温領域でのイオン伝導性が先述のナフィオンのようなイオン交換膜に比べて低いほか、酸が漏出しやすいなどの問題点を有していた。さらに、特許文献6には光学異方性のポリベンザゾール系ポリマー溶液を製膜してから吸湿による等方化の過程を経て凝固しポリベンザゾールフィルムを得る方法が開示されているが、これに記載されているような方法で得られるポリベンザゾールフィルムは透明な緻密性の高いフィルムであり、イオン交換樹脂を含浸してイオン交換膜とする目的には適していなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−162132号公報
【特許文献2】
特開2002−313363号公報
【特許文献3】
特開2001−35508号公報
【特許文献4】
国際公開第WO00/22684号パンフレット
【特許文献5】
国際公開第WO98/14505号パンフレット
【特許文献6】
特開2000−273214号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、機械的強度が高く、イオン伝導性および高温発電性に優れた高分子固体電解質膜として使用するのに適した複合イオン交換膜ならびに、その製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、連続した空隙を有するポリベンザゾール系ポリマーからなる支持体膜にイオン交換樹脂が含浸してなる複合層と、該複合層を挟む形で該複合層の両面に形成された支持体膜を含まないイオン交換樹脂からなる表面層を有する複合イオン交換膜であって、支持体膜の少なくとも一方の面の開孔率が40%以上であり、複合イオン交換膜の複合層に含浸されるイオン交換樹脂には、炭化水素系単位を主成分とするポリアリーレン系共重合体が含まれ、また、表面層に形成されるイオン交換樹脂は、フッ素系イオン交換樹脂からなるととを特徴とする複合イオン交換膜である。また、本発明の複合イオン交換膜の複合層の厚みは全膜厚の5%以上95%以下で、表面層のそれぞれの厚みは、1μm以上50μm以下であることを特徴とする複合イオン交換膜である。さらに本発明は、ポリベンザゾール系ポリマー溶液が0.5重量%以上2重量%以下のポリベンザゾール系ポリマーを含む等方性溶液からなる支持体膜の製造方法およびその支持体膜からなる複合イオン交換膜の製造方法であって、支持体膜へ主してポリアリーレン系共重合体からなるイオン交換樹脂を含浸させ複合膜を得た後、フッ素系イオン交換樹脂を含浸および塗工により表面層に付与し複合イオン交換膜を製造する方法および複合層へフッ素系イオン交換樹脂フィルムを熱圧着して表面層を付与することを特徴とする複合イオン交換膜の製造方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の支持体膜として使用されるポリベンザゾール系ポリマーとは、ポリマー鎖中にオキサゾー環、チアゾール環、イミダゾール環を含む構造のポリマーをいい、下記一般式で表される繰り返し単位をポリマー鎖中に含むものをいう。
【0012】
【化1】
【0013】
ここで、Ar1,Ar2,Ar3は、芳香族単位を示し、各種脂肪族基、芳香族基、ハロゲン基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基等の置換基を有していても良い。これら芳香族単位は、ベンゼン環などの単環系単位、ナフタレン、アントラセン、ピレンなどの縮合環系単位、それらの芳香族単位が2個以上任意の結合を介してつながった多環系芳香族単位でも良い。また、芳香族単位におけるNおよびXの位置はベンザゾール環を形成できる配置であれば特に限定されるものではない。さらに、これらは炭化水素系芳香族単位だけでなく、芳香環内にN,O,S等を含んだヘテロ環系芳香族単位でも良い。XはO,S,NHを示す。
上記Ar1は、下記一般式で表されるものが好ましい。
【0014】
【化2】
【0015】
ここで、Y1、Y2はCHまたはNを示し、Zは直接結合、−O−,−S−,−SO2−,−C(CH3)2−,−C(CF3)2−,−CO−を示す。
Ar2は、下記一般式で表されるものが好ましい。
【0016】
【化3】
【0017】
ここで、Wは−O−,−S−,−SO2−,−C(CH3)2−,−C(CH3)2−,−CO−を示す。
Ar3は、下記一般式で表されるものが好ましい。
【0018】
【化4】
【0019】
これらポリベンザゾール系ポリマーは、上述の繰り返し単位を有するホモポリマーであっても良いが、上記構造単位を組み合わせたランダム、交互あるいはブロック共重合体であっても良く、例えば米国特許第4703103号、米国特許第4533692号、米国特許第4533724号、米国特許第4533693号、米国特許第4539567号、米国特許第4578432号等に記載されたものなども例示される。
【0020】
これらポリベンザゾール系構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】
【0026】
【化10】
【0027】
【化11】
【0028】
さらに、これらポリベンザゾール系構成単位だけでなく、他のポリマー構成単位とのランダム、交互あるいはブロック共重合体であっても良い。この時、他のポリマー構成単位としては耐熱性に優れた芳香族系ポリマー構成単位から選ばれることが好ましい。具体的には、ポリイミド系構成単位、ポリアミド系構成単位、ポリアミドイミド系構成単位、ポリオキシジアゾール系構成単位、ポリアゾメチン系構成単位、ポリベンザゾールイミド系構成単位、ポリエーテルケトン系構成単位、ポリエーテルスルホン系構成単位などを挙げることができる。
【0029】
ポリイミド系構成単位の例としては、下記一般式で表されるものが挙げられる。
【0030】
【化12】
【0031】
ここで、Ar4は4価の芳香族単位で表されるが、下記構造で表されるものが好ましい。
【0032】
【化13】
【0033】
また、Ar5は二価の芳香族単位であり、下記構造で表されるものが好ましい。ここで示される芳香環上には、メチル基、メトキシ基、ハロゲン基、トリフルオロメチル基、水酸基、ニトロ基、シアノ基等の各種置換基が存在していても良い。
【0034】
【化14】
【0035】
これらポリイミド系構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0036】
【化15】
【0037】
【化16】
【0038】
ポリアミド系構成単位の例としては、下記構造式で表されるのもが挙げられる。
【0039】
【化17】
【0040】
ここで、Ar6,Ar7,Ar8はそれぞれ独立に下記構造から選ばれるものが好ましい。ここで示される芳香環上には、メチル基、メトキシ基、ハロゲン基、トリフルオロメチル基、水酸基、ニトロ基、シアノ基等の各種置換基が存在していても良い。
【0041】
【化18】
【0042】
これらポリアミド系構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0043】
【化19】
【0044】
ポリアミドイミド系構成単位の例としては、下記構造で表されるものが挙げられる。
【0045】
【化20】
【0046】
ここで、Ar9は上記Ar5の具体例として示される構造から選ばれるものが好ましい。
【0047】
これらポリアミドイミド構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0048】
【化21】
【0049】
ポリオキシジアゾール系構成単位の例としては、下記構造式で表されるものが挙げられる。
【0050】
【化22】
【0051】
ここで、Ar10は上記Ar5の具体例として示される構造から選ばれるものが好ましい。
【0052】
これらポリオキシジアゾール系構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0053】
【化23】
【0054】
ポリアゾメチン系構成単位の例としては、下記構造で表されるものが挙げられる。
【0055】
【化24】
【0056】
ここで、Ar11,Ar12は、上記Ar6の具体例として示される構造から選ばれるものが好ましい。
【0057】
これらポリアゾメチン系構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0058】
【化25】
【0059】
ポリベンザゾールイミド系構成単位の例としては、下記構造式で表されるものが挙げられる。
【0060】
【化26】
【0061】
ここで、Ar13、Ar14は上記Ar4の具体例として示される構造から選ばれるものが好ましい。
【0062】
これらポリベンザゾールイミド系構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0063】
【化27】
【0064】
ポリエーテルケトン系構成単位、ポリエーテルスルホン系構成単位は、一般に芳香族ユニットをエーテル結合とともにケトン結合やスルホン結合で連結した構造を有するものであり、下記構造式から選択される構造成分を含む。
【0065】
【化28】
【0066】
ここで、Ar15〜Ar23はそれぞれ独立に下記構造で表されるものが好ましい。ここで示される芳香環上には、メチル基、メトキシ基、ハロゲン基、トリフルオロメチル基、水酸基、ニトロ基、シアノ基等の各種置換基が存在していても良い。
【0067】
【化29】
【0068】
これらポリエーテルケトン系構成単位の具体例としては、下記構造式で表すものを例示することができる。
【0069】
【化30】
【0070】
これらポリベンザゾール系ポリマー構成単位と共に共重合できる芳香族ポリマー構成単位は、厳密にポリマー鎖内の繰り返し単位を指しているのではなく、ポリマー主鎖中にポリベンザゾール系構成単位と共に存在できる構成単位を示しているものである。これら共重合できる芳香族ポリマー構成単位は一種だけでなく二種以上を組み合わせて共重合することもできる。このような共重合体を合成するには、ポリベンザゾール系ポリマー構成単位からなるユニット末端にアミノ基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン基等を導入して、これらの芳香族系ポリマーの合成における反応成分として重合しても良いし、これらの芳香族系ポリマー構成単位を含むユニット末端にカルボキシル基を導入してポリベンザゾール系ポリマーの合成における反応成分として重合しても良い。
【0071】
前記ポリベンザゾール系ポリマーは、ポリ燐酸溶媒中で縮合重合されポリマーが得られる。ポリマーの重合度は極限粘度で表され、15dL/g以上が好ましく、より好ましくは20dL/g以上である。この範囲を下回った場合、得られる支持体膜の強度が低く好ましくない。また極限粘度は、35dL/g以下が好ましく、26dL/g以下がより好ましい。この範囲を上回った場合、等方性の溶液が得られるポリベンザゾール系ポリマー溶液の濃度範囲が限られ、等方性の条件での製膜が困難となるため好ましくない。
【0072】
ポリベンザゾール系ポリマー溶液の製膜方法としては、ドクターブレード等を用いてポリマー溶液を基体上にキャスティングする流延法と呼ばれる製膜方法のほかにも、直線状スリットダイから押し出す方法や円周状スリットダイからブロー押し出しする方法、二枚の基体に挟んだポリマー溶液をローラーでプレスするサンドイッチ法、スピンコート法など、溶液を膜状に成型するあらゆる方法が使用できる。本発明の目的に適した好ましい製膜方法は流延法、サンドイッチ法である。流延法の基板やサンドイッチ法の基体にはガラス板や金属板、樹脂フィルム等の他、凝固時の支持体膜の空隙構造を制御する等の目的で種々の多孔質材料を基板、基体として好ましく用いることができる。
【0073】
本発明で用いるポリベンザゾール系ポリマー溶液は、均一でかつ空隙率の大きな支持体膜を得るために等方性条件の組成で製膜することが重要であり、ポリベンザゾール系ポリマー溶液の好ましい濃度範囲は、0.5重量%、さらに好ましくは0.8重量%である。この範囲よりも濃度が低いとポリマー溶液の粘度が小さくなり、適用できる製膜方法が限られるほか、得られる支持体膜の強度が小さくなるため好ましくない。またさらに、濃度範囲は、2重量%以下が好ましく、より好ましくは1.5重量%以下である。この範囲よりも濃度が高いと空隙率の大きな支持体膜が得られないばかりか、ポリベンザゾール系ポリマーのポリマー組成や重合度によっては溶液が異方性を示すため好ましくない。
【0074】
ポリベンザゾール系ポリマー溶液の濃度を上記で示したような範囲に調整するには次に示すような方法をとる事ができる。すなわち、重合されたポリベンザゾール系ポリマー溶液から一旦ポリマー固体を分離し、再度溶媒を加えて溶解することで濃度調整を行なう方法。さらには、ポリ燐酸中で縮合重合されたままのポリマー溶液からポリマー固体を分離することなく、そのポリマー溶液に溶媒を加えて希釈し、濃度調整を行なう方法。さらにはポリマーの重合組成を調整することで上記濃度範囲のポリマー溶液を直接得る方法などである。
【0075】
ポリマー溶液の濃度調整に用いるのに好ましい溶媒としては、メタンスルホン酸、ジメチル硫酸、ポリ燐酸、硫酸、トリフルオロ酢酸などがあげられ、あるいはこれらの溶媒を組み合わせた混合溶媒を用いることもできる。中でも特にメタンスルホン酸、ポリリン酸が好ましい。
【0076】
支持体膜の多孔質構造を実現する手段としては、製膜された等方性のポリベンザゾール系ポリマー溶液を、貧溶媒と接触させて凝固する方法を用いる。貧溶媒はポリマー溶液の溶媒と混和できる溶媒であって、液相状態であっても気相状態であっても良い。さらに、気相状態の貧溶媒による凝固と液相状態の貧溶媒による凝固を組み合わせることも好ましく用いることができる。凝固に用いる貧溶媒としては、水、酸水溶液や無機塩水溶液の他、アルコール類、グリコール類、グリセリンなどの有機溶媒等を利用することができるが、使用するポリベンザゾール系ポリマー溶液との組み合わせによっては、支持体膜の表面開孔率や空隙率が小さくなったり、支持体膜の内部に不連続な空洞ができたりするなどの問題が生じるため、凝固に用いる貧溶媒の選択には特に注意が必要である。本発明における等方性のポリベンザゾール系ポリマー溶液の凝固においては、水蒸気、メタンスルホン酸水溶液、リン酸水溶液、グリセリン水溶液の他、塩化マグネシウム水溶液などの無機塩水溶液などの中から貧溶媒と凝固条件を選択することにより支持体膜表面および内部の構造、空隙率を制御するに至った。特に好ましい凝固の手段は水蒸気と接触させて凝固する方法や、凝固の初期において水蒸気に短時間接触させた後に水に接触させて凝固する方法、メタンスルホン酸水溶液に接触させて凝固する方法などである。
【0077】
ポリマーの凝固が進むと、支持体膜は収縮しようとする。凝固が進行する間は支持体膜の不均一な収縮によるシワの発生などを抑制する目的でテンターや固定枠を用いる場合もある。また、ガラス板などの基板上に成型したポリマー溶液を凝固する場合には、基板面の粗さを制御することで基板上での収縮を制御する場合もある。
【0078】
上記のようにして凝固された支持体膜は、残留する溶媒によるポリマーの分解の促進や、複合電解質膜を使用する際に残留溶媒が流出するなどの問題を避ける目的で、十分に洗浄することが望ましい。洗浄は支持体膜を洗浄液に浸漬することで行なうことができる。特に好ましい洗浄液は水である。水による洗浄は、支持体膜を水中に浸漬したときの洗液のpHが5〜8の範囲になるまで行なうことが好ましく、さらに好ましくはpHが6.5〜7.5の範囲である。
【0079】
上記に述べた特定の濃度範囲のポリベンザゾール系ポリマー等方性溶液を用い、上記に述べたような方法から選ばれた適当な凝固手段を用いることにより本発明の目的に適した構造を有するポリベンザゾール系ポリマーよりなる支持体膜が得られる。すなわち、支持体膜の少なくとも一方の表面に開口部を持つ連続した空隙を有する多孔質の支持体膜である。支持体膜はポリベンザゾール系ポリマーのフィブリル状繊維から形成される立体網目構造からなり、三次元的に連続した空隙を有することを、実施例に示したような原子間力顕微鏡を用いる水中での支持体膜表面の観察、および、エポキシ包埋−脱エポキシにより水中の構造を保持した支持体膜の透過型電子顕微鏡観察による断面観察から確認した。特開2002−203576には膜の厚さ方向に貫通する連通孔を有する膜支持体にイオン伝導性物質が導入された電解質膜が記載されているが、これに記載されているような連通孔の方向性が主に膜の厚さ方向に限定されている支持体を燃料電池の電解質膜に用いた場合、膜の面方向のイオン伝導性物質の連続性が小さいために燃料電池のイオン交換膜に用いた場合に燃料ガスの濃度分布や電極触媒の付着量など面方向に不均一な状態が生じるとイオン交換膜の局所的な劣化が生じやすいなどの問題があるため好ましくない。
【0080】
本発明の支持体膜の空隙率は90体積%以上であることが好ましく、さらに好ましくは95体積%以上である。空隙率がこの範囲よりも小さいと、イオン交換樹脂を複合化させた場合のイオン交換樹脂の含有率が小さく、イオン導電性が低下するため好ましくない。
【0081】
本発明の支持体膜は、少なくとも一方の面の開孔率が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上である。少なくとも一方の面の開孔率がこの範囲よりも小さいと、支持体膜とイオン交換樹脂を複合化させる際に支持体膜の空隙内部にイオン交換樹脂が含浸されにくくなるため好ましくない。
【0082】
上述のような方法で得られたポリベンザゾール系ポリマーよりなる多孔質の該支持体膜にイオン交換樹脂を含浸させてなる複合層と、該複合層を挟む形で該複合層の両面に形成された支持体膜を含まないイオン交換樹脂からなる表面層を有する複合イオン交換膜を得る方法について説明する。即ち、含水した支持体膜を乾燥させずにイオン交換樹脂溶液の溶媒組成と異なる場合、その溶媒組成にあわせてあらかじめ内部の液を置換した後、イオン交換樹脂溶液に浸漬し、その後、乾燥させることによってイオン交換樹脂を含む複合層が得られる。この場合、該支持体膜の内部にイオン交換樹脂を含浸させ乾燥させる時に、予め支持体膜を金属の枠などで固定して行うのが好ましいがこの方法に限定するものではない。前記載の方法で得られた複合層の厚みは、複合イオン交換膜全厚みの5%以上95%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以上90%以下、さらに好ましくは30%以上85%以下である。該複合層の厚みが複合イオン交換膜全厚みに占める割合がこの範囲より大きい場合、発電時の内部抵抗が大きくなり発電性能が低下し、また、この範囲よりも小さい場合には内部抵抗が小さくなり発電性能は向上するものの支持体膜の補強効果が小さくなるため好ましくない。
【0083】
本発明の複合層に含浸されるイオン交換樹脂としては、前述のパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーからなるフッ素系イオン交換樹脂以外に、炭化水素系構成単位を主成分とする非フッ素系イオン交換樹脂を使用することができる。この場合、部分的に水素原子がフッ素原子に置き換わっている構造が含まれていても構わない。非フッ素系イオン交換樹脂としては、例えばポリスチレンスルホン酸、ポリ(トリフルオロスチレン)スルホン酸、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリビニルスルホン酸成分の少なくとも1種を含むアイオノマーが挙げられる。さらに、芳香族系のポリマーとして、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン、ポリアリーレン系ポリマー、ポリフェニルキノキサリン、ポリアリールケトン、ポリエーテルケトン、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド等の構成成分の少なくとも1種を含むポリマーに、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基、およびそれらの誘導体の少なくとも1種が導入されているポリマーが挙げられる。なお、ここでいうポリスルホン、ポエーテルスルホン、ポリエーテルケトン等は、その分子鎖にスルホン結合、エーテル結合、ケトン結合を有しているポリマーの総称であり、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンスルホンなどを含むとともに、特定のポリマー構造に限定するものではない。
【0084】
上記酸性基を含有するポリマーのうち、芳香環上にスルホン酸基を持つポリマーは、上記例のような骨格を持つポリマーに対して適当なスルホン化剤を反応させることにより得ることができる。このようなスルホン化剤としては、例えば、芳香族環含有ポリマーにスルホン酸基を導入する例として報告されている、濃硫酸や発煙硫酸を使用するもの(例えば、Solid State Ionics,106,P.219(1998))、クロル硫酸を使用するもの(例えば、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,22,P.295(1984))、無水硫酸錯体を使用するもの(例えば、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,22,P.721(1984)、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,23,P.1231(1985))等が有効である。これらの試薬を用い、それぞれのポリマーに応じた反応条件を選定することにより目的のスルホン化ポリマーを得ることができる。また、特許第2884189号に記載のスルホン化剤等を用いることも可能である。これら芳香環がスルホン化されたポリマーの構造は特に限定されることはないが、例えば、J.Electrochem.Soc.,Vol.147,P.1677(2000)、WO2000−15691国際公開特許公報、WO00/24796国際公開特許公報、Macromol.Symp.,Vol.188,P.73(2002)、Macromol.Rapid.Commun.Vol.23,P.753(2002),J.Memb.Sci.,Vol.185,P.73(2001),J.Polym.Sci.Polym.Chem.,Vol.39,P.3211(2001)、J.Memb.Sci.,Vol.173,P.17(2000)、等に記載されているものが例示される。
【0085】
また、上記酸性基含有ポリマーは、重合に用いるモノマーの中の少なくとも1種に酸性基を含むモノマーを用いて合成することもできる。例えば、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物から合成されるポリイミドにおいては、芳香族ジアミンの少なくとも1種にスルホン酸基含有ジアミンを用いてスルホン酸基含有ポリイミドとすることが出来る。スルホン酸基含有ジアミンの例としては、1,3−ジアミノベンゼン−5−スルホン酸、1,4−ジアミノベンゼン−2−スルホン酸、1,3−ジアミノベンゼン−4−スルホン酸、ベンジジン−3,3’−ジスルホン酸、等が例示される。ポリイミド合成に使用されるテトラカルボン酸無水物は、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物や、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸無水物などの六員環酸無水物を含んでいることが好ましい。これらスルホン酸基含有ポリイミドの構造は特に限定されるわけではないが、例えば、Polymer,Vol.42、P.359(2001)、Macromolecules,Vol.35,P.6707(2002)、Macromolecules,Vol.35,P.9022(2002)、US2002/0091225特許公報、等に記載されているものが例示される。
【0086】
芳香族ジアミンジオールと芳香族ジカルボン酸から合成されるポリベンズオキサゾール、芳香族ジアミンジチオールと芳香族ジカルボン酸から合成されるポリベンズチアゾール、芳香族テトラミンと芳香族ジカルボン酸から合成されるポリベンズイミダゾールの場合は、芳香族ジカルボン酸の少なくとも1種にスルホン酸基含有ジカルボン酸やホスホン酸基含有ジカルボン酸を使用することにより酸性基含有ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリベンズイミダゾールとすることが出来る。ここで使用されるスルホン酸基含有ジカルボン酸としては、2,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジカルボキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、4,6−ジカルボキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2,2’−ジスルホ−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ジスルホ−4,4’−ビフェニルジカルボン酸などのスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸およびこれらの誘導体を挙げることができる。また、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ビスホスホノテレフタル酸、などのホスホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸およびこれらの誘導体を用いることにより、ホスホン酸基含有ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリベンズイミダゾールとすることが出来る。また、ここで用いる芳香族テトラミン類、芳香族ジアミンジオール類、芳香族ジアミンジチオール類およびそれらの誘導体としては、特に限定されるものではないが、たとえば、2,5−ジヒドロキシパラフェニレンジアミン、4,6−ジヒドロキシメタフェニレンジアミン、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオール、4,6−ジアミノ−1,3−ベンゼンジチオール、2,5−ジアミノ−3,6−ジメチル−1,4−ベンゼンジチオール、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェニルベンゼンジオール、3,3’−ジメルカプトベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェニルベンゼンジチオール、3,3’−ジアミノベンジジン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)エーテル、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)チオエーテル、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)チオエーテル、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルチオエーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)スルホン、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)メタン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)ケトン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ケトン、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェノキシ)ベンゼン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェノキシ)ベンゼン、ビス(3,4,−ジアミノフェノキシ)ベンゼンなどおよびこれらの誘導体が挙げられる。これら酸性基含有ポリベンザゾールの構造は特に限定されることはないが、例えば、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,Vol.15,P.1309(1977)、USP−5,312,895号公報、WO02/38650国際公開公報、等に記載されているものが例示される。
【0087】
芳香族ジハライドと芳香族ジオールから合成されるポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンなどは、モノマーの少なくとも1種にスルホン酸基含有芳香族ジハライドやスルホン酸基含有芳香族ジオールを用いることで合成することが出来る。この際、スルホン酸基含有ジオールを用いるよりも、スルホン酸基含有ジハライドを用いる方が、重合度が高くなりやすいとともに、得られた酸性基含有ポリマーの熱安定性が高くなるので好ましいと言える。スルホン酸基含有ジハライドの例としては、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、およびそれらのスルホン酸基が1価カチオン種との塩になったものが挙げられる。これらのスルホン酸基含有ジハライドは、スルホン酸基導入量をコントロールするためにスルホン酸基を有さない芳香族ジハライドと併用することができる。これらスルホン酸基を有さない芳香族時ハライドとしては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル等が例示される。また、これらの芳香族ジハライドとともに重合に使用される芳香族ジオールとしては、例えば、4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ハイドロキノン、レゾルシン等があげられるが、この他にも芳香族求核置換反応によるポリアリーレンエーテル系化合物の重合に用いることができる各種芳香族ジオールを使用することもできる。これらより合成されるスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンの構造は特に限定されることはないが、例えば、US2002/0091225特許公報、Macromol.Chem.Phys.,Vol.199,P.1421(1998)、Polymer,Vol.40,P.795(1999)、等に記載されているものが例示される。
【0088】
本発明の該支持体膜に含浸されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーからなるフッ素系イオン交換樹脂は、例えば市販されているデュポン社製20%ナフィオン等が使用できる。
【0089】
更に、本発明の該支持体膜に含浸される主として使用されるポリアリーレン共重合体からなる非フッ素系イオン交換樹脂は、ポリマー対数粘度(dl/g)が0.3〜2.5、好ましくは0.6〜1.8、更に好ましくは1.0〜1.6のものが好ましく使用でき、イオン交換樹脂溶液濃度は、0.5〜25wt%、好ましくは10〜18wt%、更に好ましくは13〜15wt%が好ましく使用できる。またこの時のイオン交換樹脂溶液粘度(Pa.s@30℃)は、0.2〜4.0、好ましくは0.3〜2.0、更に好ましくは0.4〜1.5が好ましく使用できる。ポリマー対数粘度が2.5以上、樹脂溶液濃度25wt%以上及び樹脂溶液粘度が4.0以上であると、支持体膜への含浸性が不充分で含浸斑が発生しその結果発電性能が低下するので好ましくない。一方、ポリマー対数が0.3以下で樹脂溶液濃度が0.5wt%以下及び樹脂溶液粘度が0.2以下の場合、支持体膜中のイオン交換樹脂含有量が減少しその結果発電性能が得にくくなるので好ましくない。
【0090】
前記載のフッ素系イオン交換樹脂およびポリアリーレン共重合体からなる非フッ素系イオン交換樹脂溶液の支持体膜への含浸条件は、支持体膜の厚みやイオン交換樹脂溶液特性に大きく依存するが、含浸時間は5分以上が好ましく、更に好ましくは10分から15分である。含浸時間5分以下では発電特性が乏しい結果となる場合があり、15分以上含浸時間を延ばしても必ずしも発電特性が向上するものではない。尚、フッ素系イオン交換樹脂溶液を用い含浸・乾燥した複合イオン交換膜には、フッ素系イオン交換樹脂からなる表面層を既に形成することができる。一方、ポリアリーレン共重合体からなる非フッ素系イオン交換樹脂溶液で含浸・乾燥した複合層は、スルホン酸基を酸型に置換することが好ましい。また、複合層中に占めるイオン交換樹脂の含有率は50重量%以上であることが好ましい。さらに好ましくは80重量%以上である。この範囲より小さい含有率の場合、充分な発電性能が得られない。
【0091】
本発明の前記載で得られた複合層のイオン交換容量(IEC)は、0.8〜2.0meq/gで、好ましくは1.0〜1.7meq/gである。IECが小さいとイオン導電率が低下し発電性能が得られず、IECが大きいと水溶性が大きくなり耐水性が低下し好ましくない
【0092】
またイオン導電率(80℃95%RH環境下)は、0.1S/cm以上、好ましくは0.15S/cm以上が好ましい。0.1S/cm以下では発電性能が得られないので好ましくない。
【0093】
次に、該支持体膜に主としてポリアリーレン共重合体からなるイオン交換樹脂を含浸・乾燥して得た複合層に、フッ素系イオン交換樹脂からなる表面層を形成する複合イオン交換膜を得る方法としては、前記特性の複合層を予め準備したフッ素系イオン交換樹脂溶液層に浸漬し、その後乾燥してフッ素系イオン交換樹脂を表面層に付与した複合イオン交換膜とする方法、また、フッ素系イオン交換樹脂溶液を塗工してフッ素系イオン交換樹脂を表面層に付与した複合イオン交換膜とする方法、更には、米国デュポン社製ナフィオン(商品名)に代表されるようなスルホン酸基を導入したパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーからなるフッ素系イオン交換樹脂フィルム或いはフッ素系イオン交換樹脂溶液をガラス板等に塗工し任意の厚みとして得たフィルム等を用い熱圧着してフッ素系イオン交換樹脂を表面層に付与した複合イオン交換膜とする方法等が例示できる。
【0094】
具体的には、含浸方法はオープン含浸装置、減圧含浸装置、含浸回転ロール装置等の装置を用いて含浸し絞りロール等の方法で厚み調整した後乾燥し得る方法。また、塗工方法はワイヤーバーコート、スキージーコート、グラビアコーター、リバースコーター、スプレーコーターのコーティング方式やスクリーン印刷で塗工する方法。更には、熱圧着方法は熱プレス機等の装置を用い熱圧着する方法等が例示として挙げられる。
【0095】
本発明の複合イオン交換膜に形成された表面層の厚みは、1μm以上50μm以下が好ましく、更に好ましくは5μ以上20μ以下が好ましい。1μm以下の場合、電極との接合性が不充分で発電性能が得られず、50μm以上の場合、支持体膜の補強効果が小さくなるため好ましくない。
【0096】
本発明の方法で得られた複合イオン交換膜は、充分に熱処理して置くことが好ましい。熱処理温度は、イオン交換樹脂の耐熱性によるが、130〜150℃、30〜60分の窒素雰囲気下で熱処理する方法等が好ましい例示としてで挙げられる。
【0097】
本発明の複合イオン交換膜は、耐熱性に優れたポリベンザゾール系支持体膜に特に耐熱性を有するポリアリーレン系共重合体からなるイオン交換樹脂を含浸させ複合層とし、この複合層の両面にフッ素系イオン交換樹脂からなる表面層を形成することによって電極との接合性が一層向上し、その結果固体高分子形燃料電池の高出力化や高効率化のための高温発電要求に対してもその性能を発現することができ、機械的強度やイオン伝導性に優れた固体高分子型燃料電池の高分子電解質膜として利用できるものである。
【0098】
実施例
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各種測定は次のようにおこなった。
【0099】
評価法・測定法
<透過型電子顕微鏡による構造観察>
透過型電子顕微鏡(TEM)による膜の断面構造の観察は以下の方法で行った。まず、観察用試料切片を次のようにして作成した。すなわち、水洗後の支持体膜試料内部の水をエタノールに置換、さらにエポキシモノマーに十分置換した。試料はそのままエポキシモノマー中で45℃、6時間保持した後、さらに60℃、20時間熱処理することでエポキシを硬化させた(エポキシ包埋)。このようにしてエポキシ包埋された試料はダイヤモンドナイフを備えたミクロトームを用いて、干渉色が銀から金色を示す程度の厚みの超薄切片に調製し、KOH飽和エタノール溶液で15分処理することでエポキシを除去した(脱エポキシ)。さらにエタノール、続いて水で洗浄し、RuO4で染色した試料にカーボン蒸着し、JEOL製TEM(JEM−2010)を用いて加速電圧200kVで観察した。
【0100】
<原子間力顕微鏡による構造観察>
原子間力顕微鏡(AFM)による構造観察は以下の方法で行った。すなわち、Seiko Instruments社製のAFM(SPA300[観察モード:DFMモード、カンチレバー:SI−DF3、スキャナー:FS−100A])を使用し、水中の試料ステージに保持した未乾燥の支持体膜の表面構造を観察した。
【0101】
<走査型電子顕微鏡による構造観察>
走査型電子顕微鏡(SEM)による構造観察は以下の方法で行った。まず、水洗した支持体膜内部の水をエタノールに置換、さらに酢酸イソアミルに十分置換した後、日立製臨界点乾燥装置(HCP−1)を用いて、CO2臨界点乾燥を施した。このようにして臨界点乾燥した支持体膜に厚さ150オングストロームの白金コートを施し、日立製SEM(S−800)を用いて加速電圧10kV、試料傾斜角度30度で観察を行った。
【0102】
<極限粘度>
メタンスルホン酸を溶媒として、0.5g/Lの濃度に調整したポリマー溶液の粘度をウベローデ型粘度計を用いて25℃恒温槽中で測定し、算出した。
【0103】
<支持体膜厚み>
未乾燥の支持体膜の厚みは次に示す方法により測定した。測定荷重を変更可能なマイクロメータを用い、各荷重における水中での支持体膜の厚みを測定した。測定した厚みを荷重に対してプロットし、直線部分を荷重0に外挿したときの切片の値を厚みとし、一つの試料について5ヶ所で測定した厚みの平均値を支持体膜の厚みとした。
【0104】
<支持体膜の表面開孔率>
支持体膜の表面開孔率は次の方法により測定した。すなわち、上述した方法で撮影した支持体膜の表面の撮影倍率1万倍の走査型電子顕微鏡写真上で5μm角に相当する視野を選び、膜の最外表面に相当するポリマー部分を白、それ以外の部分を黒に色分けした後、イメージスキャナーを用いて画像をコンピューターに取り込み、米国Scion社製の画像解析ソフトScion Imageを用いて画像中の黒部分が占める比率を測定した。この操作を一つのサンプルに対して3回行い、その平均を表面開孔率とした。
【0105】
<支持体膜の空隙率>
支持体膜の空隙率は次の方法により測定した。含水状態の支持体膜の重量と絶乾状態の支持体膜の重量の差から求められた水の重量を水の密度で除して膜内の空隙を満たす水の体積Vw[mL]が得られる。Vwと含水状態の膜の体積Vm[mL]から以下の計算により支持体膜の空隙率を求めた。
支持体膜の空隙率[%]=Vw/Vm×100
【0106】
<複合イオン交換膜の厚さおよび、それを構成する層の厚さ>
該複合イオン交換膜を構成する複合層および該複合層を挟む形で複合層の両面に形成された支持体膜を含まないイオン交換樹脂からなる表面層の厚さは、幅300μm×長さ5mmに切り出した複合膜片を、ルベアック812(ナカライテスク製)/ルベアックNMA(ナカライテスク製)/DMP30(TAAB製)=100/89/4の組成とした樹脂で包埋し、60℃で12時間硬化させて試料ブロックを作製した。ウルトラミクロトーム(LKB製2088ULTROTOME 5)を用いて平滑な断面が露出するようブロックの先端をダイヤモンドナイフ(住友電工製SK2045)で切削した。このようにして露出させた複合膜の断面を光学顕微鏡で写真撮影し、既知の長さのスケールを同倍率で撮影したものと比較することで測定した。支持体の空隙率が大きい場合等で、少なくとも一方の面の表面層とその内側の複合層とが明確な界面を形成せずに界面付近の構造が連続的に変化している場合があるが、その場合は光学顕微鏡で連続的な構造の変化が確認できる部分のうち、複合イオン交換膜の外表面に最も近い部分を複合層の最外表面として、そこから複合イオン交換膜の外表面までの距離を該表面層の厚みとした。
【0107】
<複合イオン交換膜のイオン交換樹脂(ICP)含有率>
複合イオン交換膜のイオン交換樹脂含有率は以下の方法により測定した。110℃で6時間真空乾燥させた複合イオン交換膜の目付けDc[g/m2]を測定し、複合イオン交換膜の作製に用いたのと同じ製造条件の支持体膜をイオン交換樹脂を複合化させずに乾燥させて測定した乾燥支持体膜の目付けDs[g/m2]とから、以下の計算によりイオン交換樹脂含有率を求めた。
イオン交換樹脂含有率[重量%]=(Dc−Ds)/Dc×100
また、複合イオン交換膜のイオン交換樹脂含有率は以下の方法によって測定することもできる。すなわち、複合イオン交換膜を複合イオン交換膜中の支持体膜成分あるいは、イオン交換樹脂成分のいずれかのみを溶解可能な溶剤に浸漬して一方の成分を抽出、除去した後、元の複合イオン交換膜との重量変化を測定することでイオン交換樹脂の含有率を求めることができる。
【0108】
<強度・引張弾性率>
イオン交換膜の強度特性は、気温25℃、相対湿度50%の雰囲気で、オリエンテック社製「テンシロン」を用いて測定した。試料は幅10mmの短冊状とし、支間長40mm、引っ張り速度20mm/secで測定した応力歪み曲線から算出した。
【0109】
<イオン導電率>
イオン導電率σは次のようにして測定した。自作測定用プローブ(ポリテトラフルオロエチレン製)上で幅10mmの短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、80℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽中に試料を保持し、白金線間の10kHzにおける交流インピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離を10mmから40mmまで10mm間隔で変化させて測定し、極間距離と抵抗測定値をプロットした直線の勾配Dr[Ω/cm]から下記の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルして算出した。
σ[S/cm]=1/(膜幅×膜厚[cm]×Dr)
【0110】
<複合イオン交換膜のイオン交換容量(IEC)>
乾燥試料を50〜60mg秤量し2.5mmol/1水酸化ナトリウム水溶液110mlに浸漬し1時間攪拌する。この液を濾過し、濾液100mlを分取りして0.01mol/1塩酸標準溶液により逆滴定する。また、同操作を試料のない状態で行いブランクとする。
計算式 イオン交換容量(meq/g)=1.1×D×K÷W
D:ブランクの滴定量―試料の滴定量
K:0.01mol/l塩酸標準溶液の規定度(0.01×ファクター)
W:試料重量(mg)
【0111】
<発電特性>
デュポン社製20%ナフィオン(商品名)溶液(品番:SE−20192)に、白金担持カーボン(カーボン:Cabot社製ValcanXC−72、白金担持量:40重量%)を、白金とナフィオンの重量比が2.7:1になるように加え、撹拌して触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が1mg/cm2になるように塗布、乾燥して、電極触媒層付きガス拡散層を作成した。2枚の電極触媒層付きガス拡散層の間に、膜試料を、電極触媒層が膜試料に接するように挟み、ホットプレス法により120℃、2MPaにて3分間加圧、加熱することにより、膜−電極接合体とした。この接合体をElectrochem社製評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込んで、1)電極面積9cm2、セル温度80℃、ガス加湿温度75℃、2)電極面積9cm2、セル温度130℃、ガス加湿温度120℃で、1)、2)共に電極面積燃料ガスとして水素100mL/min、酸化ガスとして酸素100mL/minのガス流量において発電特性評価を行った。
【0112】
<溶液粘度>
ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度ln[ta/tb]/c)で評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度)。
【0113】
本発明の実施例および比較例に用いる支持体膜を以下の方法で作成した。
<支持体膜の作成>
ポリ燐酸中にIV=24dL/gのポリパラフェニレンシスベンゾビスオキサゾールポリマーを14重量%含んだドープにメタンスルホン酸を加えて希釈し、ポリパラフェニレンシスベンゾビスオキサゾール濃度1重量%の等方性溶液を調製した。この溶液を、70℃に加熱したガラス板上にクリアランス300μmのアプリケータを用いて製膜速度5mm/秒で製膜した。このようにしてガラス板上に製膜したドープ膜をそのまま25℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽中に置いて1時間凝固し、生成した膜を洗液がpH7±0.5を示すまで水洗を行って支持体膜を作成した。
【0114】
本発明の実施例に用いるイオン交換樹脂を、以下の方法で合成した。
<イオン交換樹脂Aの合成>
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩(略号:S−DCDPS)5.2335g(0.01065mole)、2,6−ジシアノベンゾニトリル(略号:DCBN)2.3323g(0.013559mole)、4,4‘−ビフェノール4.5086g(0.02421mole)、炭酸カルシウム3.8484g(0.02784mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。35mlのNMPを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約5時間)。放冷の後、沈降しているモレキュラーシーブを除いて水中にストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は1.24を示した。
【0115】
<イオン交換樹脂Bの作成>
4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ソーダ12.28g(25.0mmol)、4,4’−クロロジフェニルスルホン7.18gg(25.0mmol)、4,4’−ビフェノール9.31g(50.0mmol)、炭酸カリウム7.95g(57.5mmol)、N−メチル−2−ピロリドン100ml、トルエン15mlを窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた200ml枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で攪拌しつつ窒素気流下で加熱した。トルエンとの共沸による脱水を140℃で行なった後、トルエンを全て留去した。その後200℃に昇温し、15時間加熱した。その後、室温まで冷却した溶液を2000mlの純水に注ぎポリマーを再沈させた。濾過したポリマーは50℃で減圧乾燥した。ポリマーの対数粘度は0.95を示した。
【0116】
本発明の実施例に用いるイオン交換樹脂フィルムを、以下の方法で作成した。
<フッ素系イオン交換樹脂フィルム>
デュポン製「ナフィオン」20%樹脂溶液を用いて、ガラス板上にアプリケーターで塗工し、80℃、120℃で各10分間乾燥し5μm、10μm厚みのフィルムを作成した。
【0117】
<実施例1>
作成した支持体膜が両面に開孔部を持つ連続した空孔を有する多孔質膜であることを原子間力顕微鏡による表面形態観察および、透過型電子顕微鏡による断面形態観察により確認した。観察による測定の結果、支持体膜の開孔率は69%、空隙率は98%であった。
また、未乾燥の支持体膜の厚みは90μmであった。
【0118】
次に、合成して得られたイオン交換樹脂AのポリマーをNMPで溶解し13wt%濃度樹脂溶液2L作成し、オープン含浸槽に投入し準備した。予め支持体膜を水中でステンレス製のフレームに固定し、含まれる水をNMPで置換した後支持体膜を室温下含浸槽に投入し10分間浸漬し、引上げた後150℃設定の遠赤外線セラミックヒーターからなる乾燥機にセットし、15分間溶媒の蒸発・乾燥を行った。そして得られた複合膜を80℃の1mol/L硫酸水溶液で30分間処理しスルホン酸基を酸型に置換し、酸が検出できなくなるまで超純水で洗浄し、100℃で乾燥しイオン交換樹脂Aを含浸してなる複合層を作成した。
【0119】
続いて、別に準備したデュポン製20%「ナフィオン」溶液(品番:SE−20192)含浸槽に前記載の複合膜をステンレス製のフレームに固定した後、室温下5分間浸漬し、引上げた後100℃設定の遠赤外線セラミックヒーター乾燥機にセットし、10分間溶媒の蒸発・乾燥を実施した。そして得られた複合膜を窒素雰囲気下130℃60分で熱処理し複合イオン交換膜を得た。
【0120】
<実施例2>
イオン交換樹脂Aからイオン交換樹脂Bに変更した以外、実施例1と同様な方法で複合イオン交換膜を得た。
【0121】
<実施例3>
実施例1と同様な方法で酸置換した複合膜と5μm厚みフッ素系イオン交換樹脂フィルムを水で表面処理した後、複合膜を中心に両面から挟む形で120℃10分間熱プレス機で熱圧着し、そして得られた複合膜を窒素雰囲気下130℃60分で熱処理し複合イオン交換膜を得た。
【0122】
<実施例4)
10μm厚みフッ素系イオン交換樹脂フィルムを用いた以外、実施例3と同様な方法で複合イオン交換膜を得た。
【0123】
<実施例5>
実施例1と同様な方法でイオン交換樹脂を含浸した複合層を酸置換・乾燥した後、デュポン製20%「ナフィオン」溶液(品番:SE−20192)をワイヤーバーを用い塗工し100℃30分乾燥し片面スキン層を形成した。
次に、反面に同様に塗工し100℃30分乾燥し両面スキン層を形成した後、窒素雰囲気下130℃60分で熱処理し複合イオン交換膜を得た。
【0124】
<実施例6>
実施例で用いたと同様の支持体膜を用い、デュポン製20%「ナフィオン」溶液(品番:SE−20192)の含浸槽に室温下10分間浸漬し、引上げた後100℃設定の遠赤外線セラミックヒーター乾燥機にセットし、10分間溶媒の蒸発・乾燥を実施した。そして窒素雰囲気下130℃60分で熱処理し複合イオン交換膜を得た。
【0125】
<比較例1>
実施例1で作成した複合層を酸置換・乾燥しデュポン製20%「ナフィオン」溶液(品番:SE−20192)に浸漬することをやめて、そのまま窒素雰囲気下130℃60分で熱処理し複合イオン交換膜を調整した。複合イオン交換膜は、イオン導電率が低く、発電性能が得られなかった。
【0126】
<比較例2>
実施例2で作成した複合層を酸置換・乾燥しデュポン製20%「ナフィオン」溶液(品番:SE−20192)に浸漬することをやめて、そのまま窒素雰囲気下130℃60分で熱処理し複合イオン交換膜を調整した。複合イオン交換膜のイオン導電率が低く発電性能が得られなかった。
【0127】
<比較例3>
市販されているデュポン製「ナフィオン112」(商品名)膜を用いた。この膜は、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーからなるプロトン交換膜であり、固体高分子形燃料電池用のプロトン交換膜として広く用いられているものである。高温での発電性能が低下した。
【0128】
実施例1〜6、比較例1〜3の特性値を表1に示す。
【表1】
【0129】
実施例1から5の複合イオン交換膜は、比較例5である市販品の「ナフィオン112」膜と対比して膜強度の高いイオン交換膜で取扱いが容易となる。また、比較例1から5の複合イオン交換膜と対比して特に高温時の発電性能に優れ、燃料電池の高分子固体電解質膜として有用で優れた特性を備えていることが明らかとなった。
【0130】
【発明の効果】
上記の結果より、本発明の複合イオン交換膜は機械的強度、イオン伝導性および発電性特に高温発電性に優れる複合イオン交換膜である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合イオン交換膜の一例の断面構造の模式図である。
【図2】本発明に用いた支持体膜の一例を臨界点乾燥して、その表面を走査型電子顕微鏡で観察した像の模式図である。
【符号の説明】1スキン層、2複合層、3スキン層、4支持体膜のフィブリル、5空隙
Claims (10)
- 連続した空隙を有するポリベンザゾール系ポリマーからなる支持体膜にイオン交換樹脂が含浸されてなる複合層と、該複合層を挟む形で該複合層の両面に形成された支持体膜を含まないイオン交換樹脂からなる表面層を有する複合イオン交換膜であって、支持体膜の少なくとも一方の面の開孔率が40%以上であることを特徴とする複合イオン交換膜。
- 該複合層の厚みが全膜厚の5%以上95%以下であることを特徴とする請求項1の範囲の複合イオン交換膜。
- 複合層に含浸されるイオン交換樹脂に、ポリアリーレン系共重合体が含まれることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の複合イオン交換膜。
- 表面層のイオン交換樹脂が、フッ素系イオン交換樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の複合イオン交換膜。
- 該表面層のそれぞれの厚みが、1μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の複合イオン交換膜。
- ポリベンザゾール系ポリマー溶液を膜状に成型した後に凝固する該支持体膜の製造方法であって、該ポリベンザゾール系ポリマー溶液が0.5重量%以上2重量%以下のポリベンザゾール系ポリマーを含む等方性溶液であることを特徴とする請求項1乃至2いずれかに記載の支持体膜の製造方法。
- 該支持体膜からなる複合イオン交換膜の製造方法であって、該支持体へ主してポリアリーレン系共重合体からなるイオン交換樹脂を含浸させ複合層を得た後、フッ素系イオン交換樹脂を表面層に付与する事を特徴とする請求項4乃至5いずれかに記載の複合イオン交換膜の製造方法。
- 該複合層をフッ素系イオン交換樹脂に含浸させ表面層を付与することを特徴とする請求項7に記載の複合イオン交換膜の製造方法。
- フッ素系イオン交換樹脂を塗工し表面層を付与することを特徴とする請求項7に記載の複合イオン交換膜の製造方法。
- 該複合層へフッ素系イオン交換樹脂フィルムを熱圧着して表面層を付与することを特徴とする請求項7に記載の複合イオン交換膜の製造方法。
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