JP2004184447A - 光アドレス型空間光変調器及びそれを用いた顕微鏡装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い面精度を有し、光学性能の劣化のない光アドレス型空間光変調器を提供する。
【解決手段】光アドレス型空間光変調器440は、所定の波長帯域の光を透過させる光共振器4400と、この光共振器4400内に設けられ、光誘起により屈折率が変化する平行平板または薄膜4401とを具備する。この光アドレス型空間光変調器440を対物レンズの瞳面付近に配置して、外部から光を照射して観察対象の情報を持った光束を変調するフィルタを表示させることにより観察条件を変更する。
【選択図】 図1
【解決手段】光アドレス型空間光変調器440は、所定の波長帯域の光を透過させる光共振器4400と、この光共振器4400内に設けられ、光誘起により屈折率が変化する平行平板または薄膜4401とを具備する。この光アドレス型空間光変調器440を対物レンズの瞳面付近に配置して、外部から光を照射して観察対象の情報を持った光束を変調するフィルタを表示させることにより観察条件を変更する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光アドレス型空間光変調器及びそれを用いた顕微鏡装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
位相物体を観測する位相差顕微鏡を例とする可変瞳変調型の顕微鏡装置が知られている。位相差顕微鏡では、点光源を出た平面波を薄い位相物体に入射させ、発生する0次と±1回折光による干渉を利用して位相物体を可視化する。これを実現するためには、0次光の光に対して位相を変調する位相膜が使用される。この位相膜は光量を稼ぐためにリング形状をしており、また、像のコントラストを高めるために0次光の透過率を変調するのが一般的である。
【0003】
ところが、位相膜が置かれる位置は対物レンズの後側焦平面(以後瞳面と呼ぶこととする)付近であり、大部分の対物レンズではこの瞳面が対物レンズの最終面よりも物体側に存在していることから、光の位相を変調するための位相膜は固定となっている。この結果、位相膜による光の位相や振幅の変調は必ずしも試料にとって最適な観察条件を実現しない。これを解決するために、以下の特許文献に示すように、対物レンズの瞳面に電気アドレス型空間光変調器を配置し、変調を可変にする構成の位相差顕微鏡が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭58−184115号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、電気アドレス型空間光変調器は面精度が粗く、光学性能を著しく損なうことが問題となる。また、電気アドレス型空間光変調器はピクセルが周期的に並んだ構造を有するので、その周期に起因する回折光が発生して光学性能の劣化の原因になる上、複雑な電気配線のため、ピクセルの開口率は低く光量ロスが大きいという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、高い面精度を有し、光学性能の劣化の少ない光アドレス型空間光変調器を提供することにある。
【0007】
また、本発明は、このような光アドレス型空間光変調器を対物レンズ内にある瞳面付近に配置し、振幅と位相の少なくとも1つを変調することによって、観察条件を最適に変更できる顕微鏡装置装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、光アドレス型空間光変調器であって、所定の波長帯域の光を透過させる光共振器と、この光共振器内に設けられ、光誘起により屈折率が変化する平行平板または薄膜とを具備する。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明に係る光アドレス型空間光変調器において、上記平行平板または薄膜は、フォトクロミック材料、フォトリフラクティブ材料、サーモクロミック材料、液晶材料、光触媒材料のうち少なくとも一つから形成されている。
【0010】
また、第3の発明は、顕微鏡装置であって、観察用光源と観察用照明光学系と観察用波長選択フィルムを有する観察用照明手段と、対物レンズと結像レンズと撮像素子を有する観察手段と、変調用光源と変調用照明光学系と変調用波長選択フィルタを有する変調用照明手段と、電気アドレス型空間光変調器と制御装置と書き込み光学系と反射素子と光アドレス型空間光変調器を有する変調手段とを有しており、上記光アドレス型空間光変調器は上記対物レンズの瞳面近傍に配置されており、上記変調手段の電気アドレス型空間光変調器に表示されるフィルタを、上記光アドレス型空間光変調器上に書き込むことにより、上記観察手段を通過する光束を変調する。
【0011】
また、第4の発明は、顕微鏡装置であって、観察用光源と観察用照明光学系と観察用波長選択フィルタを有する観察用照明手段と、対物レンズと結像レンズと撮像素子を有する観察手段と、変調用光源と変調用照明光学系と変調用波長選択フィルタを有する変調用照明手段と、電気アドレス型空間光変調器と制御装置と書き込み光学系と反射素子と光アドレス型空間光変調器を有する変調手段とを有しており、上記光アドレス型空間光変調器は上記対物レンズの瞳面付近に配置されており、上記変調手段の電気アドレス型空間光変調器に表示されるフィルタを、上記光アドレス型空間光変調器上に書き込むことにより、上記観察手段を通過する光束を変調するとともに、上記観察用照明手段と上記変調用照明手段が同一の光学系からなり、変調時には書き込み光学系が電気アドレス型空間光変調器上の情報を光アドレス型空間光変調器上に書き込み、観察時には上記対物レンズの後ろ側から入射して上記対物レンズの前側付近をほぼ均一に照明する。
【0012】
また、第5の発明は、第3または第4の発明に係る顕微鏡装置において、上記光アドレス型空間光変調器は、光誘起により屈折率が変化する薄膜を有する。
【0013】
また、第6の発明は、第3または第4の発明に係る顕微鏡装置において、上記光アドレス型空間光変調器は、所定の波長帯域の光を透過させる光共振器と、この光共振器内に設けられ、光誘起により屈折率が変化する平行平板または薄膜とを有する。
【0014】
また、第7の発明は、第3または第4の発明に係る顕微鏡装置において、上記観察手段により取得された観察像を用いて画像の特徴を解析する画像解析手段と、この画像解析手段による解析データに基づいて上記変調手段の変調を行うときに必要となるパラメータを決定するパラメータ決定手段とを備え、上記画像解析手段が画質を解析する指標として、少なくともコントラストあるいは解像度に関係する物理量を解析するとともに、上記パラメータ決定手段が、上記画像解析手段で解析されたデータを変数とした関数に基づいて上記変調手段にフィードバックすべき変調量を決定することにより観察条件を変更する。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の特徴となる各構成について順に説明する。
【0016】
(1)本発明の光アドレス型空間光変調器は、特定の波長の光を透過させる光共振器内に設けられた、光誘起により屈折率が変化する平行平板もしくは薄膜(以下光誘起屈折率変化平行平板もしくは、光誘起屈折率変化薄膜とし、ここでは光誘起屈折率変化平行平板に絞って説明する)によって構成される。
【0017】
この光誘起屈折率変化平行平板とは、光を照射するとその波長と異なる波長域の吸収度と屈折率が変化する光異性化材料を含んだ平行平板、もしくは、強い強度で光を照射したときに屈折率が変化する非線形光学材料を含んだ平行平板を意味する。いずれの光誘起屈折率変化平行平板の場合においても、屈折率が変化する前は光共振器の共鳴条件を満足して効率よく共鳴波長の光を透過させるが、光誘起に従って選択的に特定の領域の屈折率変化を引き起こすと、その領域を透過する共鳴波長の光は位相と振幅の変調が施されることになる。これを2次元的に行えば、光の位相と振幅の変調を可能とする面精度の高い光アドレス型空間光変調器を実現することができる。
【0018】
また、この光アドレス型空間光変調器の光共振器や光誘起屈折率変化平行平板はレンズなどと同じように高い面精度を実現することが可能であり、更に電気アドレス型空間光変調器特有のピクセル構造を有さないので周期構造による回折光が発生することがなく高い光学性能が要求される光学系への導入が可能となる。
【0019】
(2)上記した、光誘起により屈折率が変化する平行平板もしくは薄膜は、フォトクロミック材料、フォトリフラクティブ材料、サーモクロミック材料、液晶材料、光触媒材料のうち少なくとも一つかもしくは複合材料からなる。上記したフォトクロミック材料、フォトリフラクティブ材料、サーモクロミック材料、液晶材料、光触媒材料は光誘起によって屈折率が変化するので、光誘起により屈折率が変化する平行平板、の材料として用いれば、面精度の高い光アドレス型空間光変調器を実現することができる。
【0020】
(3)本発明の顕微鏡装置(透過型)は、少なくとも観察用光源と観察用照明光学系と観察用波長選択フィルタからなる観察用照明手段と、対物レンズと結像レンズと撮像素子からなる観察手段と、少なくとも変調用光源と変調用照明光学系と変調用波長選択フィルタからなる変調用照明手段と、電気アドレス型空間光変調器、制御装置、書込光学系、反射素子、光アドレス型空間光変調器からなる変調手段によって構成され、上記光アドレス型空間光変調器が対物レンズの瞳面付近に配置され、上記変調手段の電気アドレス型空間光変調器に表示されるフィルタを、上記光アドレス型空間光変調器上に書き込むことにより、上記観察手段を通過する光束を変調する。
【0021】
光アドレス型空間光変調器を試料の周波数成分に従って光が分布する対物レンズの後側焦平面(以下瞳面)に配置し、外部からこの光アドレス型空間光変調器にフィルタを書き込む構成にしているので、試料の空間周波数領域における変調を可変とする顕微鏡システムが実現できる。
【0022】
(4)本発明の顕微鏡装置(反射型)は、少なくとも観察用光源と観察用照明光学系と観察用波長選択フィルタからなる観察用照明手段と、対物レンズと結像レンズと撮像素子からなる観察手段と、少なくとも変調用光源、変調用照明光学系と変調用波長選択フィルタからなる変調用照明手段と、少なくとも電気アドレス型空間光変調器、制御装置、書込光学系、反射素子、光アドレス型空間光変調器からなる変調手段によって構成され、上記光アドレス型空間光変調器が対物レンズの瞳面付近に配置され、上記変調手段の電気アドレス型空間光変調器に表示されるフィルタを、上記光アドレス型空間光変調器上に書き込むことにより、上記観察手段を通過する光束を変調し、
上記観察用照明手段と変調用照明手段が同一の光学系から構成され、変調時には書込光学系が電気アドレス型空間光変調器上の情報を光アドレス型空間光変調器上に書き込み、観察時には対物レンズの後側から入射して対物レンズの前側付近をほぼ均一に照明するように機能する。
【0023】
上記したように、観察用照明手段と変調用照明手段を共有させることにより、試料の空間周波数領域における変調を可変とする反射型の顕微鏡を実現することが可能となる。
【0024】
(5)上記した(3)または(4)における光アドレス型空間光変調器は、光誘起によって屈折率が変化する材料を、もしくは薄膜で構成される。ここでは、光誘起によって屈折率が変化する材料や薄膜によって光アドレス型空間光変調器を顕微鏡の瞳面付近に配置するので、光の位相変調を可変にできる顕微鏡システムが実現できる。
【0025】
(6)上記した(3)または(4)における光アドレス型空間光変調器として、1.の光アドレス型空間光変調器を用いる。このように、光共振器と光誘起屈折率変化平行平板で構成される光アドレス型空間光変調器を対物レンズの瞳面に配置するので、光の位相と振幅の変調を可変にできる顕微鏡システムが実現できる。
【0026】
(7)本発明の顕微鏡装置は、上記(3)または(4)の観察手段により得られた観察像を用いて、画像の特徴を解析する画像解析手段と、この画像解析手段による解析データに基づいて上記(3)または(4)の変調手段の変調を行う際に必要となるパラメータを決定するパラメータ決定手段を備え、上記画像解析手段は、画質を解析する指標として、少なくともコントラストあるいは解像度に係わる物理量を解析し、また、上記パラメータ決定手段は、上記画像解析手段で解析された諸量を変数とした関数に基づいて上記変調手段にフィードバックすべき変調量を決定し、様々な観察物体に対して、最適な観察条件で観察する。
【0027】
すなわち、得られる試料の観察像の画像中のコントラストや解像度等の解析を行う画像解析手段と、この画像解析手段の解析データに基いて、光アドレス型空間光変調器に表示するフィルタの最適化を行うパラメータ決定手段により、観察像の画質向上のフィルタの更新が可能となる。この画像解析手段及びパラメータ決定手段を利用して観測者が最適と考えるコントラストや解像度等の指標について予め設定を行っておけば、種々の試料に対しても最適な観察条件を自動に設定することができる。
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の光アドレス型空間光変調器は、上記した(1)及び(2)の構成に対応する。
【0030】
図1(a)〜(h)は、第1の実施形態に係る光アドレス型空間光変調器について説明するための図である。第1の実施形態に係る光アドレス型空間光変調器440は、光共振器4400と、光誘起屈折率変化平行平板4401とで構成される。まず、この光アドレス型空間光変調器440の原理について説明する。
【0031】
光異性化材料を含んだ光誘起屈折率変化平行平板4401で構成される光アドレス型空間光変調器440について図1(a)、(b)、(c)を用いて説明する。光アドレス型空間光変調器440が波長λ0 の光に対して共鳴条件を満たしているとすると、図1(a)に示すように、共鳴波長λ0 付近の光は高い効率でこの光共振器4400を透過する。これに対して共鳴波長と大きく異なる波長λ′の光の透過率は低くなる。
【0032】
図1(b)は、光異性化材料を含んだ光誘起屈折率変化平行平板4401の図中に示した領域Σ1、Σ2に対して波長λb の光を照射して屈折率を変化させた場合を示している。そして図1(c)に示すように波長λ0 の光を入射させると、領域Σ1、Σ2を通らない光は高い透過率を示すが、領域Σ1、Σ2を通過する光は波長がλ0 であっても、位相の変調を受けてしまうので共鳴条件を満足せず透過率が低下すると同時にΣ1、Σ2を通らない光と位相がずれる。
【0033】
次に強い強度の光照射で屈折率が変化する非線形光学材料を含んだ光誘起屈折率変化平行平板4401で構成される光アドレス型空間光変調器440について図1(d)、(e)、(f)を用いて説明する。光アドレス型空間光変調器440が波長λ0 の光に対して共鳴条件を満たしているとすると、図1(d)に示すように、共鳴波長λ0 付近の光は高い効率でこの光共振器4400を透過する。図1(e)は、強い強度の光照射で屈折率が変化する非線形光学材料を含んだ光誘起屈折率変化平行平板4401の、図中に示した領域Σ1、Σ2に対して波長λ0 の光を強い強度で照射して屈折率を変化させた場合を示している。この結果、図1(f)のように波長λ0 の光を入射させると、領域Σ1、Σ2を通らない光は高い透過率を示すが、領域Σ1、Σ2を通過する光は、位相の変調を受けてしまうので共鳴条件を満足せず透過率が低下する。同時にΣ1、Σ2を通らない光と位相がずれる。
【0034】
以上のように、光誘起屈折率変化平行平板を光共振器内に置くことにより、屈折率変化に伴う位相変化と、共鳴条件からのズレによる振幅変調を同時に実現できる。これを2次元的に行うことにより、光アドレス型空間光変調器を実現することが可能となる。
【0035】
また、図1(g)に示すように、光誘起屈折率変化平行平板4401の代わりに、光共振器4400の端面に光誘起によって屈折率が変化する薄膜(以下光誘起屈折率変化薄膜)4402を成膜しても同様な効果が得られる。
【0036】
ここで用いる光誘起屈折率変化平行平板4401、もしくは光誘起屈折率変化薄膜4402は非常に高い精度での加工や成膜が可能であるため、高い面精度が実現できる。また、ピクセル構造を有さないので電気アドレス型空間光変調器に見られるような周期構造による回折光の発生やピクセルの低開口率による光量の低下の問題が発生しない。
【0037】
以下に上記した光アドレス型空間光変調器440の具体例について説明する。
【0038】
(第1の具体例)
第1の具体例の光アドレス型空間光変調器440は、光共振器4400としてエタロン、光誘起屈折率変化平行平板4401としてスピロピラン系フォトクロミック平行平板で構成される。このスピロピラン系フォトクロミック平行平板4401は波長λb (400nm付近)の光で照射すると、波長λ0 (600nm)付近の吸収量が増し、同時にこの波長λ0 付近での屈折率が変化する。まず、スピロピラン系フォトクロミック平行平板4401のΣ1、Σ2に波長λb の光が照射されないときは、図1(a)に示すように、波長λ0 の光はエタロン4401に共鳴して透過する。次に図1(b)のように波長λb の光をフォトクロミック平行平板4401に照射するとフォトクロミック材料がこの波長λb の光を吸収して、波長λ0 の屈折率の変化を伴うので図1(c)に示すようにΣ 1、Σ2を通過する波長λ0 の光はエタロンに共鳴しなくなり透過量が減少する。図1(c)の屈折率が変化する領域を2次元で実現させれば光アドレス型空間光変調器440として機能させることが可能である。
【0039】
以上のような構成であれば、光の位相と振幅を同時に変調する光アドレス型空間光変調器440を実現することが可能となる。また、エタロン4400やフォトクロミック平行平板4401は非常に高い精度での加工が可能である。また、フォトクロミック平行平板4401はピクセル構造を持たないので、このピクセルの周期構造に起因する回折光や、ピクセルの低い開口率による光量の損失といった問題が発生しない。
【0040】
また、フォトクロミック平行平板4401の代わりに図1(h)に示すようにエタロン4400の端面にフォトクロミック薄膜4403を蒸着してもよい。
【0041】
また、スピロピラン系以外のフォトクロミック材料であっても適当な光源を用意すれば同様な効果が得られることは言うまでもない。
【0042】
(第2の具体例)
第2の具体例の光アドレス型空間光変調器440は、光共振器4400としてエタロン、光誘起屈折率変化平行平板4401としてフォトリフラクティブ平行平板で構成される。
【0043】
以上のような構成であれば、光の位相と振幅を同時に変調する光アドレス型空間光変調器440を実現することが可能となる。また、エタロン4400やフォトリフラクティブ平行平板4401は非常に高い精度での加工が可能である。また、フォトリフラクティブ平行平板4401はピクセル構造を持たないので、このピクセルの周期構造に起因する回折光や、ピクセルの低い開口率による光量の損失といった問題を発生しない。
【0044】
また、フォトリフラクティブ平行平板4401の代わりに図1(h)に示すようにエタロン4400の端面にフォトリフラクティブ薄膜4403を蒸着してもよい。
【0045】
また、第1の実施形態の具体例として、フォトクロミック材料やフォトリフラクティブ材料を例に挙げたが、これ以外にもサーモクロミック材料、液晶材料、光触媒材料も同様に光誘起により屈折率を変化させることができ、しかも高い精度での加工や成膜が容易であるので、光共振器4400内に配置する光誘起屈折率変化平行平板4401や光誘起屈折率変化薄膜4403に適した材料である。これらの材料を用いても、光の位相と振幅を同時に変調する光アドレス型空間光変調器440を実現することが可能となる。また、同様にピクセル構造を持たないので、このピクセルの周期構造に起因する回折光や、ピクセルの低い開口率による光量の損失といった問題が発生しない。
【0046】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、透過型顕微鏡装置に関し、上記した(1)、(2)、(3)、(5)〜(7)の構成に対応している。
【0047】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る顕微鏡装置について説明するための図である。
【0048】
点線で示されるように、本第2の実施形態に係る顕微鏡装置は、観察用照明手段1と、観察手段2と、変調用照明手段3と、変調手段4と、画像解析手段5と、パラメータ決定手段6とによって構成されている。
【0049】
まず、上記した各手段の構成と機能を説明する。
【0050】
観察用照明手段1は、観察用光源10と、観察用照明光学系11と、観察用波長選択フィルタ12と、輪帯開口13とによって構成され、選択された光によってほぼ一様に試料70を照明する。
【0051】
観察手段2は、対物レンズ20と、結像レンズ21と、撮像素子(ここではCCD)22とによって構成され、試料70の像を撮像素子22によって取り込む。
【0052】
変調用照明手段3は、変調用光源30と、変調用照明光学系31と、変調用波長選択フィルタ32とによって構成され、ほぼ一様な光を変調手段4の電気アドレス型空間光変調器40上に照射する。
【0053】
変調手段4は、電気アドレス型空間光変調器40と、制御装置41と、書込光学系42と、反射素子43と、光アドレス型空間光変調器440とによって構成され、電気アドレス型空間光変調器40上に制御装置41に従って表示されるフィルタを書込光学系42と反射素子43によって光アドレス型空間光変調器440上に書き込む。
【0054】
画像解析手段5は、パソコン内のソフトウェアである画像解析プログラム50で構成され、観察手段2によって得られた観察像の画像のコントラストや解像度の解析を行う。
【0055】
パラメータ決定手段6は、パソコン内のソフトウェアであるパラメータ決定プログラム60で構成され、画像解析手段5の解析結果に基いて、観察像の画質改善のための、変調手段4の光アドレス型空間光変調器440に書き込むフィルタを決定し、それを実現する電気アドレス型空間光変調器40に表示するフィルタの形状、透過率分布などを決定して光アドレス型空間光変調器440上のフィルタを更新する。
【0056】
図3(a)は、電気アドレス型空間光変調器40に表示するフィルタの一例、図3(b)は、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタの一例を示している。
【0057】
次に本顕微鏡装置の動作について説明する。
【0058】
まず、変調手段4の電気アドレス型空間光変調器40に光アドレス型空間光変調器440に書き込むフィルタを表示する。この電気アドレス型空間光変調器40に変調用照明手段3で発生する特定の波長範囲の光を照射すると、電気アドレス型空間光変調器40に表示されたフィルタが光アドレス型空間光変調器440に書き込まれる。観察用照明手段1によって照明される光は、試料70の空間周波数成分に従って、対物レンズ20の瞳面付近に配置される光アドレス型空間光変調器440上に分布するので、試料70の空間周波数成分に従って分布した光はこの光アドレス型空間光変調器440上のフィルタによって変調を受け、結像レンズ21を経て撮像素子22に変調を受けた観察像として得られる。ただし、ここで反射素子43は、観察手段2によって発生する光は透過させる。
【0059】
画像解析手段5の画像解析プログラム50は、撮像素子22によって得られた試料70の観察像に基いて、観察像の画像のコントラストや解像度等に関して解析を行い、解析データを生成する。パラメータ決定手段6のパラメータ決定プログラム60は、この解析データをもとに、より高画質を実現する光アドレス型空間光変調器440上のフィルタの形状や位相変調量、振幅変調量をまず求める。そして、この光アドレス型空間光変調器440上でのフィルタを実現するために必要となる、電気アドレス型空間光変調器40上でのフィルタの輪帯幅と透過率などに関するパラメータを決定し、制御装置41へパラメータを送る。制御装置41は、送られてきた輪帯幅と透過率などのパラメータに従って電気アドレス型空間光変調器40に表示するフィルタを書き換えると、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタが更新され、前の観察よりも高い画質を有する観察像が得られる。また、新規に与えられた試料70のコントラストや解像度の解析データから最適な観察条件を自動的に設定することも可能となる。
【0060】
一般的に光アドレス型空間光変調器440は、電気アドレス型空間光変調器40と比べて簡素な構成をしており、レンズや平行平板などの他の光学素子と同等の高い面精度を実現することができる。このため、図2に示すように、対物レンズ20の瞳面に光アドレス型空間光変調器440を配置して、試料70の空間周波数成分に従って分布する光を変調するフィルタを外部から書き込む構成にすれば、観察手段2は高い光学性能を実現することが可能である。また、光アドレス型空間光変調器440は、電気アドレス型空間光変調器40のような電気配線や周期的なピクセル構造を全く持たないので、周期構造によって発生する回折光の観察像劣化やピクセルの低い開口率による光量低下といった問題を発生させない。
【0061】
以下に上記した顕微鏡装置の具体例について説明する。
【0062】
図2において、観察用照明手段1の観察用光源10はハロゲンランプであり、観察用照明光学系11は焦点距離100mmのコレクタレンズ、焦点距離10mmのコンデンサレンズであり、照明用波長選択フィルタ12は620nm付近の波長を選択するバンドパスフィルタである。輪帯開口13は、輪帯の中心半径が2.7mm、輪帯幅が0.3mmの輪帯形状の開口を有している。図3(c)は、このような輪帯開口13の一例を示している。
【0063】
観察手段2は、焦点距離9mmの対物レンズ20と、焦点距離180mmの結像レンズ21と、撮像素子22とによって構成され、20倍拡大した試料70の像が獲得される。
【0064】
変調用照明手段3は、変調用光源30としての水銀ランプと、変調用照明光学系31としての50mmのコレクタレンズと、焦点距離50mmのコンデンサレンズと、変調用波長選択フィルタ32としての波長350nmの光を選択するバンドパスフィルタとによって構成され、電気アドレス型空間光変調器40上を照射する。
【0065】
変調手段4は、電気アドレス型空間光変調器40として液晶ディスプレイ、制御装置41には液晶駆動回路を使用し、書込光学系42は焦点距離180mmのレンズと18mmのレンズで構成される。反射素子43にはミラーを使用し、光アドレス型空間光変調器440には第1の具体例で示した光共振器4400とスピロピラン系フォトクロミック平行平板4401で構成される光アドレス型空間光変調器440を採用している。
【0066】
画像解析手段5は、画像解析プログラム50、パラメータ決定手段6はパラメータ決定プログラム60で実現され何れもパソコンで実行される。
【0067】
次に本顕微鏡装置の動作について説明する。
【0068】
まず、水銀ランプ30から発する光のうち350nm付近の波長をバンドパスフィルタ32によって選択し、変調用照明光学系31によって、液晶ディスプレイ41上に書き込まれた輪帯形状のフィルタを照明する。この輪帯形状のフィルタによって光アドレス型空間光変調器440のスピロピラン系フォトクロミック平行平板4401には輪帯状に350nmの光が照射され、輪帯状に波長620nm付近の吸収が変化すると同時に屈折率が変化する。この結果、光アドレス型空間光変調器440は、620nmの光に対して位相と振幅を変調するフィルタとして機能する。
【0069】
試料70の観察は、観察用照明手段1では620nm付近の光を選択するバンドパスフィルタ12によって選択された620nm付近の波長の光によって試料70に照射するが、試料70を透過した光は、光アドレス型空間光変調器440に書き込まれた輪帯状のフィルタに沿って試料70の空間周波数成分に従って回折して分布する。ここで、光量の強い試料70の0次回折光のみが、光アドレス型空間光変調器440の輪帯上に照射されて位相と振幅の変調を受け、1次回折光は位相と振幅の変調を受けない。最終的に撮像素子22上では、振幅と位相を変調された試料70の0次回折光と1次回折光の干渉によって試料70の観察像が得られる。
【0070】
次に撮像素子22によって観察される観察像の画質をより向上させるために、画像解析手段5の画像解析プログラム50で観察された像のコントラスト、解像度等データをもとに光アドレス型空間光変調器440に表示するフィルタの位相変調量と振幅変調量、輪帯幅を決定する。そして、この光アドレス型空間光変調器440上でのフィルタを実現するために必要となる、液晶ディスプレイ40上でのフィルタの輪帯幅と透過率などに関するパラメータを決定し、液晶駆動回路41へパラメータを送る。液晶駆動回路41が、送られてきた輪帯幅と透過率などのパラメータに従って液晶ディスプレイ40に表示するフィルタを書き換えると、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタが更新され、前の観察よりも高い画質を有す観察像が得られる。この画像解析プログラム50とパラメータ決定プログラム60の処理を繰り返すことにより、最適な観察条件での観察が可能となる。また、新規試料のコントラストや解像度の解析データから最適な観察条件を自動に設定することも可能となる。
【0071】
また、光アドレス型空間光変調器440として、図4に示すような光誘起屈折率変化平行平板4401と、光学濃度が固定の輪帯型NDフィルタ4404とで構成される光アドレス型空間光変調器442を用いてもよい。この場合は、図中斜線で示した輪帯部分の屈折率を光誘起により変化させれば試料70の0次回折光と1次回折光の位相差をつけて試料70の観察像のコントラストを変化させることが可能となる。
【0072】
この光アドレス型空間光変調器442も、高い精度の加工や成膜が可能であり、ピクセル構造を有さないので電気アドレス型空間光変調器40に見られるような周期構造による回折光の発生やピクセルの低開口率による光量の低下といった問題を持たないので、観察手段2の対物レンズ20内に配置しても高い光学性能を実現することが可能である。
【0073】
ここで、光誘起屈折率変化平行平板4401には、フォトクロミック、フォトリフラクティブを始めとして、サーモクロミック材料、液晶材料、光触媒など光誘起によって屈折率が変化する材料であればいずれのものでもよい。また、光誘起屈折率変化平行平板4401の代わりに、光誘起屈折率変化を示す材料を対物レンズ20内の光学素子に薄膜として蒸着させてもよい。
【0074】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、反射体を試料として観察する反射型顕微鏡装置に関し、上記した(1)、(2)、(4)〜(7)の構成に対応している。
【0075】
図5は、本発明の第3の実施形態に係る顕微鏡装置について説明するための図である。本第3の実施形態に係る反射型顕微鏡装置は、観察用照明手段1と、観察手段2と、変調用照明手段3と、変調手段4と、画像解析手段5と、パラメータ決定手段6とによって構成されるが、ここで、観察用照明手段1と変調照明手段3は図5に示すように、観察用光源10と変調用光源30、観察用照明光学系11と変調用照明光学系31がそれぞれ共通になっている。
【0076】
まず、上記した各手段の構成と機能について説明する。
【0077】
観察用照明手段1は、観察用光源10と、観察用照明光学系11と、観察用波長選択フィルタ12とによって構成され、電気アドレス型空間光変調器40に表示される輪帯開口のS1部分を照射する。
【0078】
観察手段2は、対物レンズ20と、結像レンズ21と、撮像素子22とによって構成され、試料70の観察像を撮像素子22によって取り込む。
【0079】
変調用照明手段3は、観察用光源10と観察用照明光学系11とで共用される変調用光源30と、変調用照明光学系31と、変調用波長選択フィルタ32とによって構成され、変調手段4の電気アドレス型空間光変調器40上のS2部分を一様に照射する。
【0080】
変調手段4は、電気アドレス型空間光変調器40と、制御装置41と、書込光学系42と、反射素子43と、光アドレス型空間光変調器440とによって構成され、電気アドレス型空間光変調器40上に表示されるフィルタのS2部分を光アドレス型空間光変調器440上のS2′部分に書き込む。ここで光アドレス型空間光変調器440は、対物レンズ20の瞳面の半分の領域S2′に設置され、図6に示されるように電気アドレス型空間光変調器40上のフィルタS2部分の像が書き込まれる。
【0081】
画像解析手段5とパラメータ決定手段6はそれぞれ、画像解析プログラム50とパラメータ決定プログラム60によって構成され、何れもパソコン内で実行される。
【0082】
次に本第3の実施形態である顕微鏡装置の一連の処理について説明する。
【0083】
図5のように、観察用照明手段1によって適当な波長に選択された光が電気アドレス型空間光変調器40のS1部分を照射する。このS1部分は対物レンズ20の瞳面上のS1′と共役な関係にあり、対物レンズ20の瞳面では変調を受けずに試料70に斜入射する。試料70に斜入射した光は、試料70の情報を読み出して対物レンズ20の瞳面上のS2′の領域に配置される光アドレス型空間光変調器440上に試料70の空間周波数成分に従って分布する。このとき、この光アドレス型空間光変調器440には、電気アドレス型空間光変調器40に表示されたS2部分のフィルタの像が書き込まれているので、試料70の空間周波数分布はこの輪帯形状フィルタの像によって周波数に応じて振幅もしくは位相の変調を受け、最終的に結像レンズ21を介して撮像素子22に変調を施した像として得られる。
【0084】
次に撮像素子22によって観察される観察像の画質をより向上させるために、画像解析手段5の画像解析プログラム50で試料70の観察像のコントラストや解像度等データをもとに光アドレス型空間光変調器440に表示するフィルタの位相変調量と振幅変調量、輪帯幅を決定する。そして、この光アドレス型空間光変調器440上でのフィルタを実現するために必要となる、電気アドレス型空間光変調器40でのフィルタの輪帯幅と透過率などに関するパラメータをパラメータ決定手段6のパラメータ決定プログラムで決定し、制御装置41へパラメータを送る。制御装置41に送られてきた輪帯幅と透過率などのパラメータに従って制御装置41が電気アドレス型空間光変調器40に表示するフィルタを書き換えると、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタが更新され、前の観察よりも高い画質を有す観察像が得られる。この画像解析プログラム50とパラメータ決定プログラム60の処理を繰り返すことにより、最適な観察条件での観察が可能となる。また、新規試料のコントラストや解像度の解析データから最適な観察条件を自動に設置することも可能となる。
【0085】
本第3の実施形態の構成では、高い面精度を有し、電気アドレス型空間光変調器40のようにピクセルの周期構造による回折光の発生やピクセルの低開口率による光量損失という問題を持たない光アドレス型空間光変調器440を対物レンズ20の瞳面付近に配置するので、高い光学性能を保ったまま観察条件を最適に設定できる顕微鏡装置が実現できる。
【0086】
以下に図5を参照して上記した顕微鏡装置の具体例について説明する。
【0087】
観察用照明手段1の観察用光源10はハロゲンランプであり、観察用照明光学系11は焦点距離100mmのコレクタレンズと焦点距離10mmのコンデンサレンズ、観察用波長選択フィルタ12は680nm付近の波長を選択するバンドパスフィルタである。
【0088】
観察手段2は、焦点距離9mmの対物レンズ20と焦点距離180mmの結像レンズ21と撮像素子(CCD)22によって構成され、20倍拡大した試料70の像が獲得される。
【0089】
変調用照明手段3は、変調用光源31、変調用照明光学系32、変調用波長選択フィルタはそれぞれ観察照明手段1の観察用光源10、観察用照明光学系11、観察用波長選択フィルタ12を共用している。
【0090】
変調手段4は、電気アドレス型空間光変調器40として液晶ディスプレイ、制御装置41には液晶駆動回路を使用し、書込光学系42は焦点距離180mmのレンズと18mmのレンズで構成される。反射素子43はビームスプリッタを使用し、光アドレス型空間光変調器440には第1の実施形態の第1の具体例で示した光共振器4400とフォトリフラクティブ平行平板4401で構成される光アドレス型空間光変調器440を採用している。
【0091】
画像解析手段5は、画像解析プログラム50、パラメータ決定手段6はパラメータ決定プログラム60で実現され何れもパソコンで実行される。
【0092】
次に本顕微鏡装置の動作について説明する。
【0093】
まず、対物レンズ20の瞳面付近に配置される光アドレス型空間光変調器440に変調用フィルタを書き込む。ハロゲンランプ10から発する光のうち680nm付近の波長をバンドパスフィルタ32によって選択し、変調用照明光学系32を介して、液晶ディスプレイ41上のS2部分に書き込まれた半輪帯形状のフィルタを照明すると、この半輪帯形状のフィルタは対物レンズ20の瞳面付近に置かれた光アドレス型空間光変調器440のフォトリフラクティブ平行平板4401上に屈折率分布として書き込まれる。
【0094】
試料70の観察を行う際には、観察用照明手段1は液晶ディスプレイ40上のS1部分に表示される半輪帯開口を照明し、このS1部分を透過した光は対物レンズ20のS1′部分を通って試料70を斜めから照明する。試料70によって反射した光は、対物レンズ20の瞳面S2′部分に配置される光アドレス型空間光変調器440に試料70の空間周波数成分に従って半輪帯形状に分布する。ここで、光量の強い試料70の0次回折光のみが、光アドレス型空間光変調器440の輪帯上に照射されて位相と振幅の変調を受け、1次回折光は位相と振幅の変調を受けない。最終的に撮像素子22上では、振幅と位相を変調された試料70の0次回折光と1次回折光の干渉によって試料70の観察像が得られる。
【0095】
次に撮像素子22によって観察される観察像の画質をより向上させるために、画像解析手段5の画像解析プログラム50で観察された像のコントラスト、解像度等データをもとに光アドレス型空間光変調器440に表示するフィルタの位相変調量と振幅変調量、輪帯幅を決定する。そして、この光アドレス型空間光変調器440上でのフィルタを実現するために必要となる、液晶ディスプレイ40上でのフィルタの輪帯幅と透過率などに関するパラメータをパラメータ決定プログラム60で決定し、当該パラメータを液晶駆動回路41へ送る。液晶駆動回路41が、送られてきた輪帯幅と透過率などのパラメータに従って液晶ディスプレイ40に表示するフィルタを書き換えると、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタが更新され、前の観察よりも高い画質を有す観察像が得られる。
【0096】
図6(a)は、電気アドレス型空間光変調器40に表示するフィルタの一例、図6(b)は、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタの一例を示している。
【0097】
上記画像解析プログラム50とパラメータ決定プログラム60の処理を繰り返すことにより、最適な観察条件での観察が可能となる。また、新規試料のコントラストや解像度の解析データから最適な観察条件を自動に設定することも可能となる。
【0098】
以上のように対物レンズ20内に光アドレス型空間光変調器440を用いることにより、高い光学性能を保ったまま観察条件を最適に設定できる顕微鏡装置が実現できる。
【0099】
また、光アドレス型空間光変調器440として図7に示すような光誘起屈折率変化平行平板4401と光学濃度が固定の半輪帯型NDフィルタ4404で構成される光アドレス型空間光変調器443を用いてもよい。この場合は、図中斜線で示した輪帯部分の屈折率を光誘起により変化させれば試料70の0次回折光と1次回折光の位相差をつけて試料70の観察像のコントラストを変化させることが可能となる。この光アドレス型空間光変調器443も、高い精度の加工や成膜が可能であり、ピクセル構造を有さないので電気アドレス型空間光変調器に見られるような周期構造による回折光の発生やピクセルの低開口率による光量の低下といった問題を持たない上、観察手段2の対物レンズ20内に配置しても高い光学性能を実現することが可能である。ここで、光誘起屈折率変化平行平板4401には、フォトクロミック、フォトリフラクティブを始めとして、サーモクロミック材料、液晶材料、光触媒など光誘起によって屈折率が変化する材料であればいずれのものでもよい。また、光誘起屈折率変化平行平板4401の代わりに、光誘起屈折率変化を示す材料を対物レンズ20内の光学素子に薄膜として蒸着させてもよい。
【0100】
また、本第3の実施形態では、観察用照明手段1と変調用照明手段3とが共用されており、観察用照明手段1から発する照明光は変調手段4の電気アドレス型空間光変調器40を介して試料70を照明するので、この試料70の照明時に電気アドレス型空間光変調器40によって照明光を変調することができ、また、試料70の照明変調と瞳面での変調と組合わせた観察も可能となるので、斜入射や暗視野、ホフマン型顕微鏡など様々なタイプの顕微鏡と同様な機能を実現できる。
【0101】
尚、本第2、3の実施形態では位相差顕微鏡に関する実施例を示したが、本第2、3の実施形態のように対物レンズの瞳面に光アドレス型空間光変調器440を置き、外部からフィルタを書き込む構成は、その他の明視野、暗視野を始めとする顕微鏡において、可変瞳変調による観察像の画質向上や、フィルタリング処理としても有効である。また、光誘起屈折率変化材料として液晶材料を利用すれば偏光顕微鏡への適用も可能で、フォトクロミック材料を使えば蛍光顕微鏡などでも可変瞳変調の実現が可能である。
【0102】
このときも、観察像の解像度やコントラスト等を解析し、画質向上を可能にするフィルタを更新することによって最適な観察条件での観察を可能とする、もしくは、新規試料の観察条件を自動設定する顕微鏡も勿論実現可能である。
【0103】
また、第2の実施形態において、観察用照明手段1に空間光変調器等の照明光の波面の位相や振幅を変調する部材を用いることにより、第3の実施形態と同様、照明変調、斜入射照明、暗視野照明などが実現できる。
【0104】
更に観察用照明光源をインコヒーレント、コヒーレント、パーシャルコヒーレントなど、そのコヒーレンス度に従って最適な照明変調を行うことも可能となる。
【0105】
【発明の効果】
本発明によれば、光誘起によって光の位相と振幅を変調でき、しかも高い面精度を有する光アドレス型空間光変調器を実現できる。そして、この面精度の高い光アドレス型空間光変調器を対物レンズの瞳面に配置することにより、従来の電気アドレス型空間光変調器で問題となった、面精度、ピクセルによる回折、ピクセルの低開口率による光量損失といった影響をほとんど受けずに、また観察条件を最適に設定できる顕微鏡装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光アドレス型空間光変調器について説明するための図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る顕微鏡装置について説明するための図である。
【図3】(a)は、電気アドレス型空間光変調器40に表示するフィルタの一例、(b)は、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタの一例、(c)は、輪帯開口13の一例を示す図である。
【図4】光アドレス型空間光変調器440の変形例を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る顕微鏡装置について説明するための図である。
【図6】(a)は、電気アドレス型空間光変調器40に表示するフィルタの一例、(b)は、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタの一例を示す図である。
【図7】光アドレス型空間光変調器440の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 観察用照明手段
2 観察手段
20 対物レンズ
21 結像レンズ
22 撮像素子(CCD)
3 変調用照明手段
30 変調用光源(水銀ランプ、ハロゲンランプ)
31 変調用照明光学系
32 変調用波長選択フィルタ(バンドパスフィルタ)
4 変調手段
40 電気アドレス型空間光変調器(液晶ディスプレイ)
41 制御装置(液晶駆動回路)
42 書込光学系
43 反射素子(ミラー、ビームスプリッタ)
440,442,443 光アドレス型空間光変調器
5 画像解析手段
50 画像解析プログラム
6 パラメータ決定手段
60 パラメータ決定プログラム
【発明の属する技術分野】
本発明は、光アドレス型空間光変調器及びそれを用いた顕微鏡装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
位相物体を観測する位相差顕微鏡を例とする可変瞳変調型の顕微鏡装置が知られている。位相差顕微鏡では、点光源を出た平面波を薄い位相物体に入射させ、発生する0次と±1回折光による干渉を利用して位相物体を可視化する。これを実現するためには、0次光の光に対して位相を変調する位相膜が使用される。この位相膜は光量を稼ぐためにリング形状をしており、また、像のコントラストを高めるために0次光の透過率を変調するのが一般的である。
【0003】
ところが、位相膜が置かれる位置は対物レンズの後側焦平面(以後瞳面と呼ぶこととする)付近であり、大部分の対物レンズではこの瞳面が対物レンズの最終面よりも物体側に存在していることから、光の位相を変調するための位相膜は固定となっている。この結果、位相膜による光の位相や振幅の変調は必ずしも試料にとって最適な観察条件を実現しない。これを解決するために、以下の特許文献に示すように、対物レンズの瞳面に電気アドレス型空間光変調器を配置し、変調を可変にする構成の位相差顕微鏡が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭58−184115号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、電気アドレス型空間光変調器は面精度が粗く、光学性能を著しく損なうことが問題となる。また、電気アドレス型空間光変調器はピクセルが周期的に並んだ構造を有するので、その周期に起因する回折光が発生して光学性能の劣化の原因になる上、複雑な電気配線のため、ピクセルの開口率は低く光量ロスが大きいという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、高い面精度を有し、光学性能の劣化の少ない光アドレス型空間光変調器を提供することにある。
【0007】
また、本発明は、このような光アドレス型空間光変調器を対物レンズ内にある瞳面付近に配置し、振幅と位相の少なくとも1つを変調することによって、観察条件を最適に変更できる顕微鏡装置装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、光アドレス型空間光変調器であって、所定の波長帯域の光を透過させる光共振器と、この光共振器内に設けられ、光誘起により屈折率が変化する平行平板または薄膜とを具備する。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明に係る光アドレス型空間光変調器において、上記平行平板または薄膜は、フォトクロミック材料、フォトリフラクティブ材料、サーモクロミック材料、液晶材料、光触媒材料のうち少なくとも一つから形成されている。
【0010】
また、第3の発明は、顕微鏡装置であって、観察用光源と観察用照明光学系と観察用波長選択フィルムを有する観察用照明手段と、対物レンズと結像レンズと撮像素子を有する観察手段と、変調用光源と変調用照明光学系と変調用波長選択フィルタを有する変調用照明手段と、電気アドレス型空間光変調器と制御装置と書き込み光学系と反射素子と光アドレス型空間光変調器を有する変調手段とを有しており、上記光アドレス型空間光変調器は上記対物レンズの瞳面近傍に配置されており、上記変調手段の電気アドレス型空間光変調器に表示されるフィルタを、上記光アドレス型空間光変調器上に書き込むことにより、上記観察手段を通過する光束を変調する。
【0011】
また、第4の発明は、顕微鏡装置であって、観察用光源と観察用照明光学系と観察用波長選択フィルタを有する観察用照明手段と、対物レンズと結像レンズと撮像素子を有する観察手段と、変調用光源と変調用照明光学系と変調用波長選択フィルタを有する変調用照明手段と、電気アドレス型空間光変調器と制御装置と書き込み光学系と反射素子と光アドレス型空間光変調器を有する変調手段とを有しており、上記光アドレス型空間光変調器は上記対物レンズの瞳面付近に配置されており、上記変調手段の電気アドレス型空間光変調器に表示されるフィルタを、上記光アドレス型空間光変調器上に書き込むことにより、上記観察手段を通過する光束を変調するとともに、上記観察用照明手段と上記変調用照明手段が同一の光学系からなり、変調時には書き込み光学系が電気アドレス型空間光変調器上の情報を光アドレス型空間光変調器上に書き込み、観察時には上記対物レンズの後ろ側から入射して上記対物レンズの前側付近をほぼ均一に照明する。
【0012】
また、第5の発明は、第3または第4の発明に係る顕微鏡装置において、上記光アドレス型空間光変調器は、光誘起により屈折率が変化する薄膜を有する。
【0013】
また、第6の発明は、第3または第4の発明に係る顕微鏡装置において、上記光アドレス型空間光変調器は、所定の波長帯域の光を透過させる光共振器と、この光共振器内に設けられ、光誘起により屈折率が変化する平行平板または薄膜とを有する。
【0014】
また、第7の発明は、第3または第4の発明に係る顕微鏡装置において、上記観察手段により取得された観察像を用いて画像の特徴を解析する画像解析手段と、この画像解析手段による解析データに基づいて上記変調手段の変調を行うときに必要となるパラメータを決定するパラメータ決定手段とを備え、上記画像解析手段が画質を解析する指標として、少なくともコントラストあるいは解像度に関係する物理量を解析するとともに、上記パラメータ決定手段が、上記画像解析手段で解析されたデータを変数とした関数に基づいて上記変調手段にフィードバックすべき変調量を決定することにより観察条件を変更する。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の特徴となる各構成について順に説明する。
【0016】
(1)本発明の光アドレス型空間光変調器は、特定の波長の光を透過させる光共振器内に設けられた、光誘起により屈折率が変化する平行平板もしくは薄膜(以下光誘起屈折率変化平行平板もしくは、光誘起屈折率変化薄膜とし、ここでは光誘起屈折率変化平行平板に絞って説明する)によって構成される。
【0017】
この光誘起屈折率変化平行平板とは、光を照射するとその波長と異なる波長域の吸収度と屈折率が変化する光異性化材料を含んだ平行平板、もしくは、強い強度で光を照射したときに屈折率が変化する非線形光学材料を含んだ平行平板を意味する。いずれの光誘起屈折率変化平行平板の場合においても、屈折率が変化する前は光共振器の共鳴条件を満足して効率よく共鳴波長の光を透過させるが、光誘起に従って選択的に特定の領域の屈折率変化を引き起こすと、その領域を透過する共鳴波長の光は位相と振幅の変調が施されることになる。これを2次元的に行えば、光の位相と振幅の変調を可能とする面精度の高い光アドレス型空間光変調器を実現することができる。
【0018】
また、この光アドレス型空間光変調器の光共振器や光誘起屈折率変化平行平板はレンズなどと同じように高い面精度を実現することが可能であり、更に電気アドレス型空間光変調器特有のピクセル構造を有さないので周期構造による回折光が発生することがなく高い光学性能が要求される光学系への導入が可能となる。
【0019】
(2)上記した、光誘起により屈折率が変化する平行平板もしくは薄膜は、フォトクロミック材料、フォトリフラクティブ材料、サーモクロミック材料、液晶材料、光触媒材料のうち少なくとも一つかもしくは複合材料からなる。上記したフォトクロミック材料、フォトリフラクティブ材料、サーモクロミック材料、液晶材料、光触媒材料は光誘起によって屈折率が変化するので、光誘起により屈折率が変化する平行平板、の材料として用いれば、面精度の高い光アドレス型空間光変調器を実現することができる。
【0020】
(3)本発明の顕微鏡装置(透過型)は、少なくとも観察用光源と観察用照明光学系と観察用波長選択フィルタからなる観察用照明手段と、対物レンズと結像レンズと撮像素子からなる観察手段と、少なくとも変調用光源と変調用照明光学系と変調用波長選択フィルタからなる変調用照明手段と、電気アドレス型空間光変調器、制御装置、書込光学系、反射素子、光アドレス型空間光変調器からなる変調手段によって構成され、上記光アドレス型空間光変調器が対物レンズの瞳面付近に配置され、上記変調手段の電気アドレス型空間光変調器に表示されるフィルタを、上記光アドレス型空間光変調器上に書き込むことにより、上記観察手段を通過する光束を変調する。
【0021】
光アドレス型空間光変調器を試料の周波数成分に従って光が分布する対物レンズの後側焦平面(以下瞳面)に配置し、外部からこの光アドレス型空間光変調器にフィルタを書き込む構成にしているので、試料の空間周波数領域における変調を可変とする顕微鏡システムが実現できる。
【0022】
(4)本発明の顕微鏡装置(反射型)は、少なくとも観察用光源と観察用照明光学系と観察用波長選択フィルタからなる観察用照明手段と、対物レンズと結像レンズと撮像素子からなる観察手段と、少なくとも変調用光源、変調用照明光学系と変調用波長選択フィルタからなる変調用照明手段と、少なくとも電気アドレス型空間光変調器、制御装置、書込光学系、反射素子、光アドレス型空間光変調器からなる変調手段によって構成され、上記光アドレス型空間光変調器が対物レンズの瞳面付近に配置され、上記変調手段の電気アドレス型空間光変調器に表示されるフィルタを、上記光アドレス型空間光変調器上に書き込むことにより、上記観察手段を通過する光束を変調し、
上記観察用照明手段と変調用照明手段が同一の光学系から構成され、変調時には書込光学系が電気アドレス型空間光変調器上の情報を光アドレス型空間光変調器上に書き込み、観察時には対物レンズの後側から入射して対物レンズの前側付近をほぼ均一に照明するように機能する。
【0023】
上記したように、観察用照明手段と変調用照明手段を共有させることにより、試料の空間周波数領域における変調を可変とする反射型の顕微鏡を実現することが可能となる。
【0024】
(5)上記した(3)または(4)における光アドレス型空間光変調器は、光誘起によって屈折率が変化する材料を、もしくは薄膜で構成される。ここでは、光誘起によって屈折率が変化する材料や薄膜によって光アドレス型空間光変調器を顕微鏡の瞳面付近に配置するので、光の位相変調を可変にできる顕微鏡システムが実現できる。
【0025】
(6)上記した(3)または(4)における光アドレス型空間光変調器として、1.の光アドレス型空間光変調器を用いる。このように、光共振器と光誘起屈折率変化平行平板で構成される光アドレス型空間光変調器を対物レンズの瞳面に配置するので、光の位相と振幅の変調を可変にできる顕微鏡システムが実現できる。
【0026】
(7)本発明の顕微鏡装置は、上記(3)または(4)の観察手段により得られた観察像を用いて、画像の特徴を解析する画像解析手段と、この画像解析手段による解析データに基づいて上記(3)または(4)の変調手段の変調を行う際に必要となるパラメータを決定するパラメータ決定手段を備え、上記画像解析手段は、画質を解析する指標として、少なくともコントラストあるいは解像度に係わる物理量を解析し、また、上記パラメータ決定手段は、上記画像解析手段で解析された諸量を変数とした関数に基づいて上記変調手段にフィードバックすべき変調量を決定し、様々な観察物体に対して、最適な観察条件で観察する。
【0027】
すなわち、得られる試料の観察像の画像中のコントラストや解像度等の解析を行う画像解析手段と、この画像解析手段の解析データに基いて、光アドレス型空間光変調器に表示するフィルタの最適化を行うパラメータ決定手段により、観察像の画質向上のフィルタの更新が可能となる。この画像解析手段及びパラメータ決定手段を利用して観測者が最適と考えるコントラストや解像度等の指標について予め設定を行っておけば、種々の試料に対しても最適な観察条件を自動に設定することができる。
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の光アドレス型空間光変調器は、上記した(1)及び(2)の構成に対応する。
【0030】
図1(a)〜(h)は、第1の実施形態に係る光アドレス型空間光変調器について説明するための図である。第1の実施形態に係る光アドレス型空間光変調器440は、光共振器4400と、光誘起屈折率変化平行平板4401とで構成される。まず、この光アドレス型空間光変調器440の原理について説明する。
【0031】
光異性化材料を含んだ光誘起屈折率変化平行平板4401で構成される光アドレス型空間光変調器440について図1(a)、(b)、(c)を用いて説明する。光アドレス型空間光変調器440が波長λ0 の光に対して共鳴条件を満たしているとすると、図1(a)に示すように、共鳴波長λ0 付近の光は高い効率でこの光共振器4400を透過する。これに対して共鳴波長と大きく異なる波長λ′の光の透過率は低くなる。
【0032】
図1(b)は、光異性化材料を含んだ光誘起屈折率変化平行平板4401の図中に示した領域Σ1、Σ2に対して波長λb の光を照射して屈折率を変化させた場合を示している。そして図1(c)に示すように波長λ0 の光を入射させると、領域Σ1、Σ2を通らない光は高い透過率を示すが、領域Σ1、Σ2を通過する光は波長がλ0 であっても、位相の変調を受けてしまうので共鳴条件を満足せず透過率が低下すると同時にΣ1、Σ2を通らない光と位相がずれる。
【0033】
次に強い強度の光照射で屈折率が変化する非線形光学材料を含んだ光誘起屈折率変化平行平板4401で構成される光アドレス型空間光変調器440について図1(d)、(e)、(f)を用いて説明する。光アドレス型空間光変調器440が波長λ0 の光に対して共鳴条件を満たしているとすると、図1(d)に示すように、共鳴波長λ0 付近の光は高い効率でこの光共振器4400を透過する。図1(e)は、強い強度の光照射で屈折率が変化する非線形光学材料を含んだ光誘起屈折率変化平行平板4401の、図中に示した領域Σ1、Σ2に対して波長λ0 の光を強い強度で照射して屈折率を変化させた場合を示している。この結果、図1(f)のように波長λ0 の光を入射させると、領域Σ1、Σ2を通らない光は高い透過率を示すが、領域Σ1、Σ2を通過する光は、位相の変調を受けてしまうので共鳴条件を満足せず透過率が低下する。同時にΣ1、Σ2を通らない光と位相がずれる。
【0034】
以上のように、光誘起屈折率変化平行平板を光共振器内に置くことにより、屈折率変化に伴う位相変化と、共鳴条件からのズレによる振幅変調を同時に実現できる。これを2次元的に行うことにより、光アドレス型空間光変調器を実現することが可能となる。
【0035】
また、図1(g)に示すように、光誘起屈折率変化平行平板4401の代わりに、光共振器4400の端面に光誘起によって屈折率が変化する薄膜(以下光誘起屈折率変化薄膜)4402を成膜しても同様な効果が得られる。
【0036】
ここで用いる光誘起屈折率変化平行平板4401、もしくは光誘起屈折率変化薄膜4402は非常に高い精度での加工や成膜が可能であるため、高い面精度が実現できる。また、ピクセル構造を有さないので電気アドレス型空間光変調器に見られるような周期構造による回折光の発生やピクセルの低開口率による光量の低下の問題が発生しない。
【0037】
以下に上記した光アドレス型空間光変調器440の具体例について説明する。
【0038】
(第1の具体例)
第1の具体例の光アドレス型空間光変調器440は、光共振器4400としてエタロン、光誘起屈折率変化平行平板4401としてスピロピラン系フォトクロミック平行平板で構成される。このスピロピラン系フォトクロミック平行平板4401は波長λb (400nm付近)の光で照射すると、波長λ0 (600nm)付近の吸収量が増し、同時にこの波長λ0 付近での屈折率が変化する。まず、スピロピラン系フォトクロミック平行平板4401のΣ1、Σ2に波長λb の光が照射されないときは、図1(a)に示すように、波長λ0 の光はエタロン4401に共鳴して透過する。次に図1(b)のように波長λb の光をフォトクロミック平行平板4401に照射するとフォトクロミック材料がこの波長λb の光を吸収して、波長λ0 の屈折率の変化を伴うので図1(c)に示すようにΣ 1、Σ2を通過する波長λ0 の光はエタロンに共鳴しなくなり透過量が減少する。図1(c)の屈折率が変化する領域を2次元で実現させれば光アドレス型空間光変調器440として機能させることが可能である。
【0039】
以上のような構成であれば、光の位相と振幅を同時に変調する光アドレス型空間光変調器440を実現することが可能となる。また、エタロン4400やフォトクロミック平行平板4401は非常に高い精度での加工が可能である。また、フォトクロミック平行平板4401はピクセル構造を持たないので、このピクセルの周期構造に起因する回折光や、ピクセルの低い開口率による光量の損失といった問題が発生しない。
【0040】
また、フォトクロミック平行平板4401の代わりに図1(h)に示すようにエタロン4400の端面にフォトクロミック薄膜4403を蒸着してもよい。
【0041】
また、スピロピラン系以外のフォトクロミック材料であっても適当な光源を用意すれば同様な効果が得られることは言うまでもない。
【0042】
(第2の具体例)
第2の具体例の光アドレス型空間光変調器440は、光共振器4400としてエタロン、光誘起屈折率変化平行平板4401としてフォトリフラクティブ平行平板で構成される。
【0043】
以上のような構成であれば、光の位相と振幅を同時に変調する光アドレス型空間光変調器440を実現することが可能となる。また、エタロン4400やフォトリフラクティブ平行平板4401は非常に高い精度での加工が可能である。また、フォトリフラクティブ平行平板4401はピクセル構造を持たないので、このピクセルの周期構造に起因する回折光や、ピクセルの低い開口率による光量の損失といった問題を発生しない。
【0044】
また、フォトリフラクティブ平行平板4401の代わりに図1(h)に示すようにエタロン4400の端面にフォトリフラクティブ薄膜4403を蒸着してもよい。
【0045】
また、第1の実施形態の具体例として、フォトクロミック材料やフォトリフラクティブ材料を例に挙げたが、これ以外にもサーモクロミック材料、液晶材料、光触媒材料も同様に光誘起により屈折率を変化させることができ、しかも高い精度での加工や成膜が容易であるので、光共振器4400内に配置する光誘起屈折率変化平行平板4401や光誘起屈折率変化薄膜4403に適した材料である。これらの材料を用いても、光の位相と振幅を同時に変調する光アドレス型空間光変調器440を実現することが可能となる。また、同様にピクセル構造を持たないので、このピクセルの周期構造に起因する回折光や、ピクセルの低い開口率による光量の損失といった問題が発生しない。
【0046】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、透過型顕微鏡装置に関し、上記した(1)、(2)、(3)、(5)〜(7)の構成に対応している。
【0047】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る顕微鏡装置について説明するための図である。
【0048】
点線で示されるように、本第2の実施形態に係る顕微鏡装置は、観察用照明手段1と、観察手段2と、変調用照明手段3と、変調手段4と、画像解析手段5と、パラメータ決定手段6とによって構成されている。
【0049】
まず、上記した各手段の構成と機能を説明する。
【0050】
観察用照明手段1は、観察用光源10と、観察用照明光学系11と、観察用波長選択フィルタ12と、輪帯開口13とによって構成され、選択された光によってほぼ一様に試料70を照明する。
【0051】
観察手段2は、対物レンズ20と、結像レンズ21と、撮像素子(ここではCCD)22とによって構成され、試料70の像を撮像素子22によって取り込む。
【0052】
変調用照明手段3は、変調用光源30と、変調用照明光学系31と、変調用波長選択フィルタ32とによって構成され、ほぼ一様な光を変調手段4の電気アドレス型空間光変調器40上に照射する。
【0053】
変調手段4は、電気アドレス型空間光変調器40と、制御装置41と、書込光学系42と、反射素子43と、光アドレス型空間光変調器440とによって構成され、電気アドレス型空間光変調器40上に制御装置41に従って表示されるフィルタを書込光学系42と反射素子43によって光アドレス型空間光変調器440上に書き込む。
【0054】
画像解析手段5は、パソコン内のソフトウェアである画像解析プログラム50で構成され、観察手段2によって得られた観察像の画像のコントラストや解像度の解析を行う。
【0055】
パラメータ決定手段6は、パソコン内のソフトウェアであるパラメータ決定プログラム60で構成され、画像解析手段5の解析結果に基いて、観察像の画質改善のための、変調手段4の光アドレス型空間光変調器440に書き込むフィルタを決定し、それを実現する電気アドレス型空間光変調器40に表示するフィルタの形状、透過率分布などを決定して光アドレス型空間光変調器440上のフィルタを更新する。
【0056】
図3(a)は、電気アドレス型空間光変調器40に表示するフィルタの一例、図3(b)は、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタの一例を示している。
【0057】
次に本顕微鏡装置の動作について説明する。
【0058】
まず、変調手段4の電気アドレス型空間光変調器40に光アドレス型空間光変調器440に書き込むフィルタを表示する。この電気アドレス型空間光変調器40に変調用照明手段3で発生する特定の波長範囲の光を照射すると、電気アドレス型空間光変調器40に表示されたフィルタが光アドレス型空間光変調器440に書き込まれる。観察用照明手段1によって照明される光は、試料70の空間周波数成分に従って、対物レンズ20の瞳面付近に配置される光アドレス型空間光変調器440上に分布するので、試料70の空間周波数成分に従って分布した光はこの光アドレス型空間光変調器440上のフィルタによって変調を受け、結像レンズ21を経て撮像素子22に変調を受けた観察像として得られる。ただし、ここで反射素子43は、観察手段2によって発生する光は透過させる。
【0059】
画像解析手段5の画像解析プログラム50は、撮像素子22によって得られた試料70の観察像に基いて、観察像の画像のコントラストや解像度等に関して解析を行い、解析データを生成する。パラメータ決定手段6のパラメータ決定プログラム60は、この解析データをもとに、より高画質を実現する光アドレス型空間光変調器440上のフィルタの形状や位相変調量、振幅変調量をまず求める。そして、この光アドレス型空間光変調器440上でのフィルタを実現するために必要となる、電気アドレス型空間光変調器40上でのフィルタの輪帯幅と透過率などに関するパラメータを決定し、制御装置41へパラメータを送る。制御装置41は、送られてきた輪帯幅と透過率などのパラメータに従って電気アドレス型空間光変調器40に表示するフィルタを書き換えると、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタが更新され、前の観察よりも高い画質を有する観察像が得られる。また、新規に与えられた試料70のコントラストや解像度の解析データから最適な観察条件を自動的に設定することも可能となる。
【0060】
一般的に光アドレス型空間光変調器440は、電気アドレス型空間光変調器40と比べて簡素な構成をしており、レンズや平行平板などの他の光学素子と同等の高い面精度を実現することができる。このため、図2に示すように、対物レンズ20の瞳面に光アドレス型空間光変調器440を配置して、試料70の空間周波数成分に従って分布する光を変調するフィルタを外部から書き込む構成にすれば、観察手段2は高い光学性能を実現することが可能である。また、光アドレス型空間光変調器440は、電気アドレス型空間光変調器40のような電気配線や周期的なピクセル構造を全く持たないので、周期構造によって発生する回折光の観察像劣化やピクセルの低い開口率による光量低下といった問題を発生させない。
【0061】
以下に上記した顕微鏡装置の具体例について説明する。
【0062】
図2において、観察用照明手段1の観察用光源10はハロゲンランプであり、観察用照明光学系11は焦点距離100mmのコレクタレンズ、焦点距離10mmのコンデンサレンズであり、照明用波長選択フィルタ12は620nm付近の波長を選択するバンドパスフィルタである。輪帯開口13は、輪帯の中心半径が2.7mm、輪帯幅が0.3mmの輪帯形状の開口を有している。図3(c)は、このような輪帯開口13の一例を示している。
【0063】
観察手段2は、焦点距離9mmの対物レンズ20と、焦点距離180mmの結像レンズ21と、撮像素子22とによって構成され、20倍拡大した試料70の像が獲得される。
【0064】
変調用照明手段3は、変調用光源30としての水銀ランプと、変調用照明光学系31としての50mmのコレクタレンズと、焦点距離50mmのコンデンサレンズと、変調用波長選択フィルタ32としての波長350nmの光を選択するバンドパスフィルタとによって構成され、電気アドレス型空間光変調器40上を照射する。
【0065】
変調手段4は、電気アドレス型空間光変調器40として液晶ディスプレイ、制御装置41には液晶駆動回路を使用し、書込光学系42は焦点距離180mmのレンズと18mmのレンズで構成される。反射素子43にはミラーを使用し、光アドレス型空間光変調器440には第1の具体例で示した光共振器4400とスピロピラン系フォトクロミック平行平板4401で構成される光アドレス型空間光変調器440を採用している。
【0066】
画像解析手段5は、画像解析プログラム50、パラメータ決定手段6はパラメータ決定プログラム60で実現され何れもパソコンで実行される。
【0067】
次に本顕微鏡装置の動作について説明する。
【0068】
まず、水銀ランプ30から発する光のうち350nm付近の波長をバンドパスフィルタ32によって選択し、変調用照明光学系31によって、液晶ディスプレイ41上に書き込まれた輪帯形状のフィルタを照明する。この輪帯形状のフィルタによって光アドレス型空間光変調器440のスピロピラン系フォトクロミック平行平板4401には輪帯状に350nmの光が照射され、輪帯状に波長620nm付近の吸収が変化すると同時に屈折率が変化する。この結果、光アドレス型空間光変調器440は、620nmの光に対して位相と振幅を変調するフィルタとして機能する。
【0069】
試料70の観察は、観察用照明手段1では620nm付近の光を選択するバンドパスフィルタ12によって選択された620nm付近の波長の光によって試料70に照射するが、試料70を透過した光は、光アドレス型空間光変調器440に書き込まれた輪帯状のフィルタに沿って試料70の空間周波数成分に従って回折して分布する。ここで、光量の強い試料70の0次回折光のみが、光アドレス型空間光変調器440の輪帯上に照射されて位相と振幅の変調を受け、1次回折光は位相と振幅の変調を受けない。最終的に撮像素子22上では、振幅と位相を変調された試料70の0次回折光と1次回折光の干渉によって試料70の観察像が得られる。
【0070】
次に撮像素子22によって観察される観察像の画質をより向上させるために、画像解析手段5の画像解析プログラム50で観察された像のコントラスト、解像度等データをもとに光アドレス型空間光変調器440に表示するフィルタの位相変調量と振幅変調量、輪帯幅を決定する。そして、この光アドレス型空間光変調器440上でのフィルタを実現するために必要となる、液晶ディスプレイ40上でのフィルタの輪帯幅と透過率などに関するパラメータを決定し、液晶駆動回路41へパラメータを送る。液晶駆動回路41が、送られてきた輪帯幅と透過率などのパラメータに従って液晶ディスプレイ40に表示するフィルタを書き換えると、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタが更新され、前の観察よりも高い画質を有す観察像が得られる。この画像解析プログラム50とパラメータ決定プログラム60の処理を繰り返すことにより、最適な観察条件での観察が可能となる。また、新規試料のコントラストや解像度の解析データから最適な観察条件を自動に設定することも可能となる。
【0071】
また、光アドレス型空間光変調器440として、図4に示すような光誘起屈折率変化平行平板4401と、光学濃度が固定の輪帯型NDフィルタ4404とで構成される光アドレス型空間光変調器442を用いてもよい。この場合は、図中斜線で示した輪帯部分の屈折率を光誘起により変化させれば試料70の0次回折光と1次回折光の位相差をつけて試料70の観察像のコントラストを変化させることが可能となる。
【0072】
この光アドレス型空間光変調器442も、高い精度の加工や成膜が可能であり、ピクセル構造を有さないので電気アドレス型空間光変調器40に見られるような周期構造による回折光の発生やピクセルの低開口率による光量の低下といった問題を持たないので、観察手段2の対物レンズ20内に配置しても高い光学性能を実現することが可能である。
【0073】
ここで、光誘起屈折率変化平行平板4401には、フォトクロミック、フォトリフラクティブを始めとして、サーモクロミック材料、液晶材料、光触媒など光誘起によって屈折率が変化する材料であればいずれのものでもよい。また、光誘起屈折率変化平行平板4401の代わりに、光誘起屈折率変化を示す材料を対物レンズ20内の光学素子に薄膜として蒸着させてもよい。
【0074】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、反射体を試料として観察する反射型顕微鏡装置に関し、上記した(1)、(2)、(4)〜(7)の構成に対応している。
【0075】
図5は、本発明の第3の実施形態に係る顕微鏡装置について説明するための図である。本第3の実施形態に係る反射型顕微鏡装置は、観察用照明手段1と、観察手段2と、変調用照明手段3と、変調手段4と、画像解析手段5と、パラメータ決定手段6とによって構成されるが、ここで、観察用照明手段1と変調照明手段3は図5に示すように、観察用光源10と変調用光源30、観察用照明光学系11と変調用照明光学系31がそれぞれ共通になっている。
【0076】
まず、上記した各手段の構成と機能について説明する。
【0077】
観察用照明手段1は、観察用光源10と、観察用照明光学系11と、観察用波長選択フィルタ12とによって構成され、電気アドレス型空間光変調器40に表示される輪帯開口のS1部分を照射する。
【0078】
観察手段2は、対物レンズ20と、結像レンズ21と、撮像素子22とによって構成され、試料70の観察像を撮像素子22によって取り込む。
【0079】
変調用照明手段3は、観察用光源10と観察用照明光学系11とで共用される変調用光源30と、変調用照明光学系31と、変調用波長選択フィルタ32とによって構成され、変調手段4の電気アドレス型空間光変調器40上のS2部分を一様に照射する。
【0080】
変調手段4は、電気アドレス型空間光変調器40と、制御装置41と、書込光学系42と、反射素子43と、光アドレス型空間光変調器440とによって構成され、電気アドレス型空間光変調器40上に表示されるフィルタのS2部分を光アドレス型空間光変調器440上のS2′部分に書き込む。ここで光アドレス型空間光変調器440は、対物レンズ20の瞳面の半分の領域S2′に設置され、図6に示されるように電気アドレス型空間光変調器40上のフィルタS2部分の像が書き込まれる。
【0081】
画像解析手段5とパラメータ決定手段6はそれぞれ、画像解析プログラム50とパラメータ決定プログラム60によって構成され、何れもパソコン内で実行される。
【0082】
次に本第3の実施形態である顕微鏡装置の一連の処理について説明する。
【0083】
図5のように、観察用照明手段1によって適当な波長に選択された光が電気アドレス型空間光変調器40のS1部分を照射する。このS1部分は対物レンズ20の瞳面上のS1′と共役な関係にあり、対物レンズ20の瞳面では変調を受けずに試料70に斜入射する。試料70に斜入射した光は、試料70の情報を読み出して対物レンズ20の瞳面上のS2′の領域に配置される光アドレス型空間光変調器440上に試料70の空間周波数成分に従って分布する。このとき、この光アドレス型空間光変調器440には、電気アドレス型空間光変調器40に表示されたS2部分のフィルタの像が書き込まれているので、試料70の空間周波数分布はこの輪帯形状フィルタの像によって周波数に応じて振幅もしくは位相の変調を受け、最終的に結像レンズ21を介して撮像素子22に変調を施した像として得られる。
【0084】
次に撮像素子22によって観察される観察像の画質をより向上させるために、画像解析手段5の画像解析プログラム50で試料70の観察像のコントラストや解像度等データをもとに光アドレス型空間光変調器440に表示するフィルタの位相変調量と振幅変調量、輪帯幅を決定する。そして、この光アドレス型空間光変調器440上でのフィルタを実現するために必要となる、電気アドレス型空間光変調器40でのフィルタの輪帯幅と透過率などに関するパラメータをパラメータ決定手段6のパラメータ決定プログラムで決定し、制御装置41へパラメータを送る。制御装置41に送られてきた輪帯幅と透過率などのパラメータに従って制御装置41が電気アドレス型空間光変調器40に表示するフィルタを書き換えると、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタが更新され、前の観察よりも高い画質を有す観察像が得られる。この画像解析プログラム50とパラメータ決定プログラム60の処理を繰り返すことにより、最適な観察条件での観察が可能となる。また、新規試料のコントラストや解像度の解析データから最適な観察条件を自動に設置することも可能となる。
【0085】
本第3の実施形態の構成では、高い面精度を有し、電気アドレス型空間光変調器40のようにピクセルの周期構造による回折光の発生やピクセルの低開口率による光量損失という問題を持たない光アドレス型空間光変調器440を対物レンズ20の瞳面付近に配置するので、高い光学性能を保ったまま観察条件を最適に設定できる顕微鏡装置が実現できる。
【0086】
以下に図5を参照して上記した顕微鏡装置の具体例について説明する。
【0087】
観察用照明手段1の観察用光源10はハロゲンランプであり、観察用照明光学系11は焦点距離100mmのコレクタレンズと焦点距離10mmのコンデンサレンズ、観察用波長選択フィルタ12は680nm付近の波長を選択するバンドパスフィルタである。
【0088】
観察手段2は、焦点距離9mmの対物レンズ20と焦点距離180mmの結像レンズ21と撮像素子(CCD)22によって構成され、20倍拡大した試料70の像が獲得される。
【0089】
変調用照明手段3は、変調用光源31、変調用照明光学系32、変調用波長選択フィルタはそれぞれ観察照明手段1の観察用光源10、観察用照明光学系11、観察用波長選択フィルタ12を共用している。
【0090】
変調手段4は、電気アドレス型空間光変調器40として液晶ディスプレイ、制御装置41には液晶駆動回路を使用し、書込光学系42は焦点距離180mmのレンズと18mmのレンズで構成される。反射素子43はビームスプリッタを使用し、光アドレス型空間光変調器440には第1の実施形態の第1の具体例で示した光共振器4400とフォトリフラクティブ平行平板4401で構成される光アドレス型空間光変調器440を採用している。
【0091】
画像解析手段5は、画像解析プログラム50、パラメータ決定手段6はパラメータ決定プログラム60で実現され何れもパソコンで実行される。
【0092】
次に本顕微鏡装置の動作について説明する。
【0093】
まず、対物レンズ20の瞳面付近に配置される光アドレス型空間光変調器440に変調用フィルタを書き込む。ハロゲンランプ10から発する光のうち680nm付近の波長をバンドパスフィルタ32によって選択し、変調用照明光学系32を介して、液晶ディスプレイ41上のS2部分に書き込まれた半輪帯形状のフィルタを照明すると、この半輪帯形状のフィルタは対物レンズ20の瞳面付近に置かれた光アドレス型空間光変調器440のフォトリフラクティブ平行平板4401上に屈折率分布として書き込まれる。
【0094】
試料70の観察を行う際には、観察用照明手段1は液晶ディスプレイ40上のS1部分に表示される半輪帯開口を照明し、このS1部分を透過した光は対物レンズ20のS1′部分を通って試料70を斜めから照明する。試料70によって反射した光は、対物レンズ20の瞳面S2′部分に配置される光アドレス型空間光変調器440に試料70の空間周波数成分に従って半輪帯形状に分布する。ここで、光量の強い試料70の0次回折光のみが、光アドレス型空間光変調器440の輪帯上に照射されて位相と振幅の変調を受け、1次回折光は位相と振幅の変調を受けない。最終的に撮像素子22上では、振幅と位相を変調された試料70の0次回折光と1次回折光の干渉によって試料70の観察像が得られる。
【0095】
次に撮像素子22によって観察される観察像の画質をより向上させるために、画像解析手段5の画像解析プログラム50で観察された像のコントラスト、解像度等データをもとに光アドレス型空間光変調器440に表示するフィルタの位相変調量と振幅変調量、輪帯幅を決定する。そして、この光アドレス型空間光変調器440上でのフィルタを実現するために必要となる、液晶ディスプレイ40上でのフィルタの輪帯幅と透過率などに関するパラメータをパラメータ決定プログラム60で決定し、当該パラメータを液晶駆動回路41へ送る。液晶駆動回路41が、送られてきた輪帯幅と透過率などのパラメータに従って液晶ディスプレイ40に表示するフィルタを書き換えると、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタが更新され、前の観察よりも高い画質を有す観察像が得られる。
【0096】
図6(a)は、電気アドレス型空間光変調器40に表示するフィルタの一例、図6(b)は、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタの一例を示している。
【0097】
上記画像解析プログラム50とパラメータ決定プログラム60の処理を繰り返すことにより、最適な観察条件での観察が可能となる。また、新規試料のコントラストや解像度の解析データから最適な観察条件を自動に設定することも可能となる。
【0098】
以上のように対物レンズ20内に光アドレス型空間光変調器440を用いることにより、高い光学性能を保ったまま観察条件を最適に設定できる顕微鏡装置が実現できる。
【0099】
また、光アドレス型空間光変調器440として図7に示すような光誘起屈折率変化平行平板4401と光学濃度が固定の半輪帯型NDフィルタ4404で構成される光アドレス型空間光変調器443を用いてもよい。この場合は、図中斜線で示した輪帯部分の屈折率を光誘起により変化させれば試料70の0次回折光と1次回折光の位相差をつけて試料70の観察像のコントラストを変化させることが可能となる。この光アドレス型空間光変調器443も、高い精度の加工や成膜が可能であり、ピクセル構造を有さないので電気アドレス型空間光変調器に見られるような周期構造による回折光の発生やピクセルの低開口率による光量の低下といった問題を持たない上、観察手段2の対物レンズ20内に配置しても高い光学性能を実現することが可能である。ここで、光誘起屈折率変化平行平板4401には、フォトクロミック、フォトリフラクティブを始めとして、サーモクロミック材料、液晶材料、光触媒など光誘起によって屈折率が変化する材料であればいずれのものでもよい。また、光誘起屈折率変化平行平板4401の代わりに、光誘起屈折率変化を示す材料を対物レンズ20内の光学素子に薄膜として蒸着させてもよい。
【0100】
また、本第3の実施形態では、観察用照明手段1と変調用照明手段3とが共用されており、観察用照明手段1から発する照明光は変調手段4の電気アドレス型空間光変調器40を介して試料70を照明するので、この試料70の照明時に電気アドレス型空間光変調器40によって照明光を変調することができ、また、試料70の照明変調と瞳面での変調と組合わせた観察も可能となるので、斜入射や暗視野、ホフマン型顕微鏡など様々なタイプの顕微鏡と同様な機能を実現できる。
【0101】
尚、本第2、3の実施形態では位相差顕微鏡に関する実施例を示したが、本第2、3の実施形態のように対物レンズの瞳面に光アドレス型空間光変調器440を置き、外部からフィルタを書き込む構成は、その他の明視野、暗視野を始めとする顕微鏡において、可変瞳変調による観察像の画質向上や、フィルタリング処理としても有効である。また、光誘起屈折率変化材料として液晶材料を利用すれば偏光顕微鏡への適用も可能で、フォトクロミック材料を使えば蛍光顕微鏡などでも可変瞳変調の実現が可能である。
【0102】
このときも、観察像の解像度やコントラスト等を解析し、画質向上を可能にするフィルタを更新することによって最適な観察条件での観察を可能とする、もしくは、新規試料の観察条件を自動設定する顕微鏡も勿論実現可能である。
【0103】
また、第2の実施形態において、観察用照明手段1に空間光変調器等の照明光の波面の位相や振幅を変調する部材を用いることにより、第3の実施形態と同様、照明変調、斜入射照明、暗視野照明などが実現できる。
【0104】
更に観察用照明光源をインコヒーレント、コヒーレント、パーシャルコヒーレントなど、そのコヒーレンス度に従って最適な照明変調を行うことも可能となる。
【0105】
【発明の効果】
本発明によれば、光誘起によって光の位相と振幅を変調でき、しかも高い面精度を有する光アドレス型空間光変調器を実現できる。そして、この面精度の高い光アドレス型空間光変調器を対物レンズの瞳面に配置することにより、従来の電気アドレス型空間光変調器で問題となった、面精度、ピクセルによる回折、ピクセルの低開口率による光量損失といった影響をほとんど受けずに、また観察条件を最適に設定できる顕微鏡装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光アドレス型空間光変調器について説明するための図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る顕微鏡装置について説明するための図である。
【図3】(a)は、電気アドレス型空間光変調器40に表示するフィルタの一例、(b)は、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタの一例、(c)は、輪帯開口13の一例を示す図である。
【図4】光アドレス型空間光変調器440の変形例を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る顕微鏡装置について説明するための図である。
【図6】(a)は、電気アドレス型空間光変調器40に表示するフィルタの一例、(b)は、光アドレス型空間光変調器440上のフィルタの一例を示す図である。
【図7】光アドレス型空間光変調器440の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 観察用照明手段
2 観察手段
20 対物レンズ
21 結像レンズ
22 撮像素子(CCD)
3 変調用照明手段
30 変調用光源(水銀ランプ、ハロゲンランプ)
31 変調用照明光学系
32 変調用波長選択フィルタ(バンドパスフィルタ)
4 変調手段
40 電気アドレス型空間光変調器(液晶ディスプレイ)
41 制御装置(液晶駆動回路)
42 書込光学系
43 反射素子(ミラー、ビームスプリッタ)
440,442,443 光アドレス型空間光変調器
5 画像解析手段
50 画像解析プログラム
6 パラメータ決定手段
60 パラメータ決定プログラム
Claims (7)
- 所定の波長帯域の光を透過させる光共振器と、
この光共振器内に設けられ、光誘起により屈折率が変化する平行平板または薄膜と、
を具備することを特徴とする光アドレス型空間光変調器。 - 上記平行平板または薄膜は、フォトクロミック材料、フォトリフラクティブ材料、サーモクロミック材料、液晶材料、光触媒材料のうち少なくとも一つから形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光アドレス型空間光変調器。
- 観察用光源と観察用照明光学系と観察用波長選択フィルムを有する観察用照明手段と、
対物レンズと結像レンズと撮像素子を有する観察手段と、
変調用光源と変調用照明光学系と変調用波長選択フィルタを有する変調用照明手段と、
電気アドレス型空間光変調器と制御装置と書き込み光学系と反射素子と光アドレス型空間光変調器を有する変調手段とを有しており、
上記光アドレス型光空間変調器は上記対物レンズの瞳面近傍に配置されており、上記変調手段の電気アドレス型空間光変調器に表示されるフィルタを、上記光アドレス型空間光変調器上に書き込むことにより、上記観察手段を通過する光束を変調することを特徴とする顕微鏡装置。 - 観察用光源と観察用照明光学系と観察用波長選択フィルタを有する観察用照明手段と、
対物レンズと結像レンズと撮像素子を有する観察手段と、
変調用光源と変調用照明光学系と変調用波長選択フィルタを有する変調用照明手段と、
電気アドレス型空間光変調器と制御装置と書き込み光学系と反射素子と光アドレス型空間光変調器を有する変調手段とを有しており、
上記光アドレス型空間光変調器は上記対物レンズの瞳面付近に配置されており、上記変調手段の電気アドレス型空間光変調器に表示されるフィルタを、上記光アドレス型空間光変調器上に書き込むことにより、上記観察手段を通過する光束を変調するとともに、
上記観察用照明手段と上記変調用照明手段が同一の光学系からなり、変調時には書き込み光学系が電気アドレス型空間光変調器上の情報を光アドレス型空間光変調器上に書き込み、観察時には上記対物レンズの後ろ側から入射して上記対物レンズの前側付近をほぼ均一に照明することを特徴とする顕微鏡装置。 - 上記光アドレス型空間光変調器は、光誘起により屈折率が変化する薄膜を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の顕微鏡装置。
- 上記光アドレス型空間光変調器は、所定の波長帯域の光を透過させる光共振器と、この光共振器内に設けられ、光誘起により屈折率が変化する平行平板または薄膜とを有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の顕微鏡装置。
- 上記観察手段により取得された観察像を用いて画像の特徴を解析する画像解析手段と、
この画像解析手段による解析データに基づいて上記変調手段の変調を行うときに必要となるパラメータを決定するパラメータ決定手段とを備え、
上記画像解析手段が画質を解析する指標として、少なくともコントラストあるいは解像度に関係する物理量を解析するとともに、
上記パラメータ決定手段が、上記画像解析手段で解析されたデータを変数とした関数に基づいて上記変調手段にフィードバックすべき変調量を決定することにより観察条件を変更することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の顕微鏡装置。
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