JP2004184256A - Qcmセンサー装置および物質の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】QCMセンサー装置を、複数の振動モードを有するとともに、少なくとも2つの振動モードでは、温度変化に対する共振周波数の変化率が(選択された温度範囲において)互いに異なる圧電振動子1と、前記圧電振動子を前記少なくとも2つの振動モード毎にそれぞれの共振周波数で振動させる発振回路2と、前記少なくとも2つの振動モード毎の共振周波数の変化を測定する周波数カウンター4と、前記少なくとも2つの振動モード毎の前記共振周波数の変化量に基づいて、吸着した物質の質量又は前記圧電振動子自体の温度変化量を求める演算手段5とを有するように構成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、水晶振動子等の圧電振動子への微量な質量の付着により、生じる圧電振動子の共振周波数の変化量を検出することにより、直接には付着した物質の質量を検出する質量測定装置、特にATカット水晶振動子を利用した質量測定装置あるいはQuartz Crystal Microbalanceセンサー(以下QCMセンサー装置という。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のQCMセンサー装置の測定原理に関しては、共振周波数をf、付着質量による共振周波数変化をΔf、質量変化をΔmとすると、Sauerbreyの式(非特許文献2参照)に基づき
Δf=−K・f2・Δm・・・(1)
(ただし、Kは水晶の材料の弾性定数、密度、および電極面積により決まる定数である。)で表される。
(1)式の関係を用いれば、質量付着の前後のATカット水晶振動子の共振周波数の差Δfを測定することにより、逆に、付着した質量Δmを求めることができる。(1)式に示すように、測定される共振周波数の差Δfは共振周波数fの2乗に比例するので、共振周波数の高い振動子を用いれば、単位質量当たりの周波数変化(Δf/Δm)すなわち、質量の検出感度の高い質量検出が原理的には可能となる。例えば、共振周波数9MHz、電極面積1cm2程度の水晶振動子を用いると、1ngの質量変化に対し1Hz程度の周波数変化を生じることから、水晶振動子を発振回路で発振させ、その出力を周波数カウンターで計測することで手軽にしかも高感度に質量変化が測定でき、応用例として、大気中で微量有毒成分を検出するガスセンサーや匂いセンサー、また近年は特に水中で振動子を発振させる技術が進んだことにより、有機化合物や生体分子を対象物としたケミカルセンサーあるいはバイオセンサーとして注目を集めている(たとえば非特許文献1および2参照)。
【0003】
しかしながら、ATカット水晶振動子の共振周波数は、一般的には温度変化に対して3次式で表現される依存性をもって変化する。図13の場合は周波数が14.314MHz付近に基本波の共振点をもつATカット水晶振動子の直列共振周波数の温度による変化の一例を示す。これによれば、T=25℃付近で共振周波数fは略−3.8Hz/℃の温度依存性を示す。よってこのままでは、振動子に対する質量の付着前後での温度の変化によっても、共振周波数が変化を受け、(1)式に示すような質量の付着のみに依存する周波数変化の検出ができず、正確な質量検出が困難となる。すなわち、質量付加前に当該ATカット水晶振動子の共振周波数fが実線で示すカーブである場合、質量Δmの付着後の共振周波数のカーブは実線のカーブを下方に平行移動した点線で示すカーブとなり、その移動量は(1)式に示すΔfとなる。
【0004】
この場合、質量付着前に温度t1で共振周波数を測定し、質量付着後も同じ温度t1で共振周波数を測定したとすれば、共振周波数の差は前記平行移動の量Δfと等しくなり、(1)式から付着質量を正確に求めることができる。しかし、被測定物質をATカット水晶振動子に付着させるためには、被測定試料を溶液またはガスに混入して振動子の表面に流す必要があり、このため、質量付着後のATカット水晶振動子の温度は、t1からずれる場合が多い。今この付着後の温度がt2となったとすると、図13に示すように、実際に測定される共振周波数の変化量ΔfrはΔfr=Δf+Δftとなり、Δfに対してΔftだけ誤差を生じる。ここでΔftは温度差による共振周波数変化である。Δfrに基づいて(1)式により、Δmを求めれば、Δftの割合に応じた分だけΔmの検出値に誤差を生じる。Δftによる誤差の割合は、付着質量Δmが小さい場合に影響が大きくなる。よって、微量の質量変化の検出は極めて困難となる。これに対し、恒温槽を用いて振動子の温度を一定にする方法も考えられるが、この場合でも、振動子の温度の安定化を図ろうとすれば、装置が大型になり、温度が安定するまでの時間がかかる。また、槽内の温度分布が、被測定試料を含む気体または液体の性質に依存して微妙に異なるという問題もあり、質量検出に対し、時間的または精度上の不利を招く。従来は温度変化の影響を軽減するため、室温付近での温度係数を小さくするよう、ATカット水晶振動子のカット角を調整していたが、カット角はどうしてもバラツキが生じてしまうため、室温付近での温度係数を完全にゼロにすることは極めて困難であった。また、このようにカット角を調整した振動子の場合、温度係数をゼロに設定した温度域から外れて測定した場合は、温度変化の影響が強く受けることになってしまう。
【0005】
このような問題を改善するため、水晶振動子等よりなる温度センサーを質量検出用の振動子とは別にQCMセンサー装置内に設ける試みが従来なされている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0006】
また温度センサーとして、水晶振動子の基本波と3次オーバートーンの温度特性の差を利用する考えが例えば、特許文献3に提示されており、これは周波数の安定化を目的としている。
【0007】
また従来、水晶振動子の共振周波数の温度依存性の影響を軽減するため、水晶振動子が使用される温度付近において温度係数が出来るだけ小さくなるよう、水晶片切り出しのカット角を調整する手法もとられている。
【0008】
【非特許文献1】
ACOUSTIC WAVE SENSORS、ACADEMIC PRESS(ISBN 0−12−077460−7)p307−308、Examples of Biochemical Acoustic Wave Sensors
【非特許文献2】
BUNSEKI KAGAKU Vol.46、No.12、pp.917−930(1997):臨床検査のためのラテックス圧電素子イムノアッセイと圧電素子バイオセンサーの開発(918頁(1)式)
【特許文献1】
特開平6−265459号公報(第2頁−3頁、図1)
【特許文献2】
特開平9−229841号公報(図1)
【特許文献3】
特開2001−292030公報(図6)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
これら改良されたセンサー装置においては、温度センサーの出力に応じて、質量検出用の振動子の出力が補正され、温度変化が質量検出用振動子の共振周波数に与える変動をキャンセルするという原理により、質量変化の検出量が温度の影響を受けないことを目的とした温度補償が図られている。しかし、これらの装置においては、温度の検出は質量検出用振動子とは別体である温度検出用の振動子等の温度センサーにより行なうものであるから、質量検出用振動子自体の温度を直接に検出するものではなく、温度センサーにより間接に検出するものであるから、検出温度と質量検出用振動子自体の温度には(多かれ少なかれ)差があり、しかもその差は時間により、または測定試料により、変動する性質がある。このために、質量検出用振動子自体の温度を正確に知ることは困難である。
【0010】
これを具体的に説明する。図13を用いてすでに説明したように、質量付着前の温度がt1、質量付着後の温度をt2とすると、この温度差のみにより、共振周波数fはΔftだけ変化する。よって、実際の共振周波数の変化Δfrは(1)式で表される付着質量による共振周波数変化Δfと前記の温度差による共振周波数変化をΔftを加えたものとなる。すなわち、
Δfr=Δf+Δft=−K・f2・Δm+Δft・・・・(2)
となる。(2)式より、付着質量Δmを正確に求めるには共振周波数の実際の変化Δfrおよび温度差による共振周波数変化Δftを正確に求めることが必要とされる。ところがΔfrを正確に求めることは、ネットワークアナライザーやインピーダンスアナライザーまたは適切な発振回路とカウンターを用いることにより可能であるが一方で、温度差による共振周波数変化Δftを正確に求めることは、図13に示すように周波数の温度特性が既知であっても、質量検出用振動子自体の質量付着前の温度t1、質量付着後の温度t2を正確に把握できないかぎり不可能である。ところが、従来は、温度センサーがある場合でも、上記したように、質量検出用振動子自体の温度を直接測定できず間接的に測定するため、前記温度t1、t2を正確に測定することができなかった。よって、従来は温度センサーを備えたQCMセンサー装置においても、測定に伴う温度変化に起因する質量変化測定の誤差を正確にキャンセルすることができず、質量変化の測定精度を上げることができない場合が少なくなかった。
【0011】
また、水晶振動子のカット角の調整により、共振周波数の温度依存性を使用温度付近でゼロに近づけて温度の影響を減少させる場合においては、カット角のバラツキによりどうしても温度依存性が生じてしまうという欠点があった。さらに、温度依存性をゼロに設定した温度以外の温度でQCMセンサーを使用すると当然温度依存性の影響が出てしまうため、使用する温度が異なる場合は、その温度に適したカット角の振動子を用意する必要がある。また、特許文献3は、QCMセンサーへの適用を考慮したものではなかった。特許文献3によれば、その水晶発振回路は、基本波と3次オーバートーンを同時に発振させて、2つ周波数において連続的な信号出力を得る必要があるが、それを実現するための具体的な手法は開示されていない。
【0012】
本発明は、上記した従来のQCMセンサー装置において生じることのある問題点すなわち、質量検出用振動子自体の温度変化によって質量検出の精度が低下するという問題点、特にその温度変化が正確に求めることができないために、質量検出の精度が低下するという問題を改善し、さらに質量変化と温度変化の情報を同時に取得することで、水晶振動子に物質が吸着する際に生じている物理反応過程あるいは化学反応過程に関する熱的な情報を得ることで、QCMセンサーに熱分析能力を持たせ、さらに広い温度範囲に渡って同一の圧電振動子の使用を可能とすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためにその第1の手段として本発明は、圧電振動子をセンサーとし、前記圧電振動子の共振周波数の変化量に基づいて、前記圧電振動子の表面に吸着した物質の質量を測定するQCMセンサー装置において、複数の振動モードを有するとともに、少なくとも2つの振動モードでは、温度変化に対する共振周波数の変化率が所定の温度範囲においてお互いに異なる圧電振動子と、前記圧電振動子を前記少なくとも2つの振動モード毎にそれぞれの共振周波数で振動させる振動手段と、前記少なくとも2つの振動モード毎の共振周波数の変化量を測定する周波数測定手段と、前記少なくとも2つの振動モード毎の前記共振周波数の変化量に基づいて、吸着した物質の質量または前記圧電振動子自体の温度変化量を求める演算手段とを有することを特徴とする。
【0014】
上記の課題を解決するためにその第2の手段として本発明は、前記振動手段は、前記少なくとも2つの振動モードを順次切り替えて振動させる制御手段を有することを特徴とする。
【0015】
上記の課題を解決するためにその第3の手段として本発明は、前記振動手段は、反転増幅器と帰還素子を有する発振回路であり、前記制御手段は、前記発振回路が増幅する周波数帯域を切り替える切り替え回路であることを特徴とする。
【0016】
上記の課題を解決するためにその第4の手段として本発明は、前記振動手段は、前記圧電振動子を前記少なくとも2つの振動モード毎に、それぞれの共振周波数の近傍の周波数領域で振動させる振動手段であり、前記周波数測定手段は、前記圧電振動子のアドミッタンスまたはインピーダンスを計測して共振周波数を求めることを特徴とする。
【0017】
上記の課題を解決するためにその第5の手段として本発明は、前記少なくとも2つの振動モードが基本波とn次オーバートーン(nは正の奇数から選択した1つ)であることを特徴とする。
【0018】
上記の課題を解決するためにその第6の手段として本発明は、前記演算手段は、前記少なくとも2つの振動モード毎の前記共振周波数の変化量と、前記少なくとも2つの振動モード毎に予め定められた質量に対する共振周波数の変化率と、温度に対する共振周波数の変化率とに基づいて、前記吸着した物質の質量または前記圧電振動子自体の温度変化量を求めることを特徴とする。
【0019】
上記の課題を解決するためにその第7の手段として本発明は、前記少なくとも2つの振動モードは、それぞれの振動モードにおいて温度に対する共振周波数の変化率がほぼ一定となる共通の温度範囲を有しており、前記共通の温度範囲において、前記演算手段は、前記少なくとも2つの振動モードにおける前記共振周波数の変化量をそれぞれΔf1とΔf2とし、前記少なくとも2つの振動モード毎の前記温度に対する共振周波数の変化率と前記質量に対する共振周波数の変化率から予め求められた4つの係数をKT1、KT2、KM1、KM2とした時、温度変化量はΔf1×KT1+Δf2×KT2なる線形加算で求め、質量変化はΔf1×KM1+Δf2×KM2なる線形加算で求めることを特徴とする。
【0020】
上記の課題を解決するためにその第8の手段として本発明は、前記圧電振動子がATカット水晶振動子であることを特徴とする。
【0021】
上記の課題を解決するためにその第9の手段として本発明は、圧電振動子をセンサーとし、前記圧電振動子の共振周波数の変化量に基づいて、前記圧電振動子の表面に吸着した物質の質量を測定する測定方法において、複数の振動モードを有するとともに、すくなくとも2つの振動モードでは、温度変化に対する共振周波数の変化率が所定の温度範囲においてお互いに異なる圧電振動子を、前記少なくとも2つの振動モード毎に共振周波数で振動させる振動工程と、前記少なくとも2つの振動モード毎の前記共振周波数の変化を測定する周波数測定工程と、前記少なくとも2つの振動モード毎の前記共振周波数の変化量に基づいて、吸着した物質の質量または前記圧電振動子自体の温度変化量を求める演算工程とを有することを特徴とする。
【0022】
上記の課題を解決するためにその第10の手段として本発明は、前記振動工程は、前記少なくとも2つの振動モードを順次切り替えて振動させる工程であることを特徴とする。
【0023】
上記の課題を解決するためにその第11の手段として本発明は、前記振動工程は、前記圧電振動子を発振させる発振回路の増幅する周波数帯域を順次切り替えて振動させる工程であることを特徴とする。
【0024】
上記の課題を解決するためにその第12の手段として本発明は、前記振動工程は、前記圧電振動子を前記少なくとも2つの振動モード毎に、それぞれの共振周波数の近傍の周波数領域で振動させる工程であり、前記周波数測定工程は、前記圧電振動子のアドミッタンスまたはインピーダンスを計測して共振周波数を求める工程であることを特徴とする。
【0025】
上記の課題を解決するためにその第13の手段として本発明は、前記圧電振動子は2つの振動モードで振動し、前記振動工程は前記振動モードの一方を基本波で振動させ、他方をn次オーバートーン(nは正の奇数から選択した1つ)で振動させたことを特徴とする。
【0026】
上記の課題を解決するためにその第14の手段として本発明は、前記演算工程は、前記少なくとも2つの振動モード毎の前記共振周波数の変化量と、前記少なくとも2つの振動モード毎に予め定められた質量に対する共振周波数の変化率と温度に対する共振周波数の変化率とに基づいて、前記吸着した物質の質量または前記圧電振動子自体の温度変化量を求めることを特徴とする。
【0027】
上記の課題を解決するためにその第15の手段として本発明は、前記少なくとも2つの振動モードは、それぞれの振動モードにおいて温度に対する共振周波数の変化率がほぼ一定となる共通の温度範囲を有しており、前記共通の温度範囲において、前記演算工程は、前記少なくとも2つの振動モードにおける前記共振周波数の変化量をそれぞれΔf1とΔf2とし、前記少なくとも2つの振動モード毎の温度に対する共振周波数の変化率と質量に対する共振周波数の変化率から予め求められた4つの係数をKT1、KT2、KM1、KM2とした時、温度変化量はΔf1×KT1+Δf2×KT2なる線形加算で求め、質量変化はΔf1×KM1+Δf2×KM2なる線形加算で求めることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、図面に基づいて本発明の第1実施形態を説明する。図1は本第1実施形態に係わるQCMセンサー装置の構成を示すブロック図である。1は質量検出用のATカット水晶振動子である。2は前記ATカット水晶振動子1を基本波と3次のオーバートーンに切り替えて共振させるための発振回路であり、ATカット水晶振動子1と並列に接続されている。3は制御回路であり、発振回路2に対し基本波/オーバートーン切替信号を入力する。ここで発振回路2の構成は図2に示すように、反転増幅器Aに並列に1MΩ程度の抵抗Rf1と、3KΩ程度の抵抗Rf2がスイッチ手段swを介して切り替えて接続されるように構成されている。ここでスイッチ手段は電磁リードリレーのようなメカニカルなスイッチを用いても、CMOSトランスミッションゲートのような電子的なスイッチを用いてもよい。また、高抵抗のRf1は常時接続しておき、低抵抗のRf2のみをスイッチ手段で付加的に接続する方法を用いてもよい。反転増幅器Aの出力側および入力側はそれぞれ容量Cinおよび容量Coutを介して接地されATカット水晶振動子1と並列共振回路を形成している。反転増幅器Aの電源は電源端子Vddから供給され、電源電圧を高くすることで反転増幅器Aの周波数特性をより高周波まで伸ばすことが可能なような構成のものを用いる。反転増幅器Aには、CMOSインバーターやオペアンプなどを用いることが可能である。
【0029】
図3(a)に示す発振回路の帰還ループにおいて、図2に示した抵抗Rf1,Rf2は帰還抵抗Rfとして機能し、ATカット水晶振動子1の等価回路の並列容量Cpは帰還容量として機能し、これらがローカット(ハイパス)フィルターの作用をする。同時に反転増幅器Aの出力等価抵抗Routと容量Cout(およびATカット水晶振動子1を経由して容量Cinと反転増幅回路Aの入力容量)がハイカット(ローパス)フィルターの作用をする。制御回路3からの切替信号によりスイッチ手段swを1MΩの抵抗Rf1に接続すると、図3(a)のRfが1MΩになり、このRfと前記の容量成分Cpに依存するローカットフィルターの遮断周波数が充分に低くなるので、発振回路のゲインの立ち上がり周波数も低くなり、図3(b)に示すように発振回路のゲインのローカット周波数はLcut1に示すように基本波の14MHzに比べて充分低い周波数に位置する。一方、ハイカット周波数Hcut1は、反転増幅器Aの電源電圧を増減することで調整でき、図3(b)では基本波の14MHz付近において、発振条件を満たす充分なゲインG11に設定されている。この時、3次オーバートーンの43MHz付近におけるゲインG13は基本波の14MHz付近のゲインG11に比べ充分に低く、発振回路は基本波で発振する。一方、切替信号によりスイッチ手段swを3KΩの抵抗Rf2に接続すると、図3(a)のRfが3KΩとなり、ローカットフィルターの遮断周波数Lcut2も高くなり、図3(c)のゲインG31に示すように基本波の14MHz付近では低くなる。この時、同時に反転増幅器Aの電源電圧を高くして、周波数特性を高周波側に伸ばすことによりハイカット周波数Hcut2は図3(c)のように、より高周波側に移動し、3次オーバートーンの43MHz付近でのゲインG33は発振条件を充分に満たすゲインを持ち、同時に基本波のゲインG31はG33にくらべ充分低くなる。このような条件では、基本波では発振せず、3次のオーバートーンで発振する。このようにして得られた基本波および3次オーバートーンの発振周波数は、それぞれ、ATカット水晶振動子1自体の基本波および3次オーバートーンの共振周波数と略等しいとみなすことができる。
【0030】
以上の説明において、反転増幅器Aが増幅する周波数帯域の切り替え手段は、電源電圧を設定することで達成したが、この手段以外に、例えばCMOSインバーターを用いた反転増幅器であれば、CMOSインバーターを構成するMOSトランジスターのチャンネル幅を増やすような構成にしたり、反転増幅器Aの出力に駆動能力調整用の抵抗素子を挿入する方法など、様々な方法が考えられる。抵抗Rf1および抵抗Rf2はそれぞれ1MΩと3KΩを使用したが、使用する水晶振動子の共振周波数や、反転増幅器の特性、容量Cin、容量Coutにより最適な値を選択する必要があるのは当然である。
【0031】
図1において、4は発振回路2の出力側に接続された周波数カウンターである。5は周波数カウンター4の出力側に接続された演算回路であり、演算により得られた質量変化を出力する質量変化出力と、演算により得られた温度変化を出力する温度変化出力を有する。6は演算回路から入力されて共振周波数データを保存しておく共振周波数記憶メモリである。7は演算回路5に入力される補償データメモリである。図4は前記ATカット水晶振動子の基本波の共振周波数F1および3次オーバートーンの共振周波数F3の温度特性を示す図である。図4において、F1mはATカット水晶振動子1に質量ΔMが付着した場合の基本波の共振周波数、F3mはATカット水晶振動子1に質量ΔMが付着した場合の3次オーバートーンの共振周波数である。t1は質量ΔMが付着される前のATカット水晶振動子1の温度である、t2は質量ΔMが付着された後のATカット水晶振動子1の温度である。
【0032】
以下に、主として図1および図4を参照しながら、本第1実施形態に係わるQCMセンサー装置を用いた質量測定の方法を示す。▲1▼先ず、測定対象となる物質が付着していない状態で、ATカット水晶振動子1をすでに説明した方法により、発振回路2により基本波の共振周波数f1〈図4参照〉で共振させ、発振回路2の出力を周波数カウンター4に入力して、この場合(図4で温度t1)の基本波の共振周波数f1を計測し、計測値(f1)を図1のカウンター4から演算回路5に入力する。▲2▼次にこの状態で、ATカット水晶振動子1をすでに説明した制御回路3により切替えた発振回路2により3次オーバートーンの共振周波数f3で共振させ、発振回路2の出力を周波数カウンター4に入力して、この場合(図4で温度t1)の3次オーバートーンの共振周波数f3(図4参照)を計測し、計測値(f3)をカウンター4から演算回路5に入力する。(ここで、前記工程▲1▼と▲2▼の順序は逆にしてもよい。)演算回路5は、カウンターから入力した共振周波数f1とf3とを共振周波数記憶メモリ6に記憶しておく。
【0033】
次に、▲3▼QCMセンサー装置内に測定対象となる物質を含有するガスまたは液体を導入する等してATカット水晶振動子1の励振電極(図示せず)に測定対象物質を付着(付着質量ΔM)させる。このときATカット水晶振動子1の温度は図4に示すt2になったとする。▲4▼次に、ΔMの質量が付着したATカット水晶振動子1はすでに説明した方法により、発振回路2によりその基本波の共振周波数f1m〈図4参照〉で共振し、発振回路2の出力を周波数カウンター4に入力して、この場合(温度t2)の基本波の共振周波数f1mを計測し、計測値(f1m)をカウンター4から演算回路5に入力する。▲5▼次に、ΔMの質量が付着したATカット水晶振動子1はすでに説明した制御回路3により切替えた発振回路2により、この場合の3次オーバートーンの共振周波数f3m(図4参照)で共振し、発振回路2の出力を周波数カウンター4に入力して、この場合の3次オーバートーンの共振周波数f3mを計測し、計測値(f3m)をカウンター4から演算回路5に入力する。(ここで、前記工程▲4▼と▲5▼の順序は逆にしてもよい。)
【0034】
▲6▼次に、演算回路5において、共振周波数記憶メモリ6にすでに記憶されているΔMの質量が付着されていないATカット水晶振動子1の基本波の共振周波数f1と、3次オーバートーンの共振周波数f3と、ΔMの質量が付着された後のATカット水晶振動子1の基本波の共振周波数f1mと、3次オーバートーンの共振周波数f3mとの各測定値のデータ、並びに、予め補償データメモリ7に入力されている補償データに基づいてATカット水晶振動子1に付着した検査物質の質量ΔMの数値を演算により求め、そのデータを、演算回路5の出力端子より出力する。
【0035】
ここで、補償データメモリ7に記憶したデータは、図5に示すように温度特性がほぼ線形とみなせる温度範囲 wt(t11〜t12)におけるATカット水晶振動子1の基本波の共振周波数F1の温度に対する変化率、すなわち温度係数β1、3次オーバートーンの共振周波数F3の温度に対する変化率、すなわち温度係数β3、並びにATカット水晶振動子1の基本波の共振周波数F1の質量に対する変化率、すなわち質量係数α1、3次オーバートーンの共振周波数F3の質量に対する変化率、すなわち質量係数α3である。前記の補償データの中で、β1、β3はATカット水晶振動子1を(検出する物質を付着しない状態で)温度が可変できる恒温槽内で充分に時間をかけて温度を変化させ、基本波の共振周波数F1および3次オーバートーンの共振周波数F3の変化を測定しておき、これから、前記の温度範囲t11〜t12における周波数の温度係数として、基本波の共振周波数に対しては
β1=(f12−f11)/(t12−t11)・・・・(3)
として温度係数β1を求めることができる。(ここで、f11、f12はそれぞれ温度t11、t12におけるATカット水晶振動子1の基本波の共振周波数F1の値を示す。)
3次オーバートーンの共振周波数に対しては
β3=(f32−f31)/(t12−t11)・・・・(4)
として温度係数β3を求めることができる。(ここで、f31、f32はそれぞれ温度t11、t12におけるATカット水晶振動子1の3次オーバートーンの共振周波数F3の値を示す。)
【0036】
次に、ATカット水晶振動子1の基本波の共振周波数f1の質量増加に対する変化率すなわち質量係数α1は式(1)を具体的に示した次の式により、計算により求めることができる。オーバートーン共振時における付着質量変化に対する共振周波数の変化を表す理論式は、たとえば文献(第31回EMシンポジウム講演予稿集:「チュートリアル(3)」水晶振動子を用いたバイオセンシング(137頁))などで明らかにされている。ATカット水晶振動子1の基本波の共振周波数をf1N、オーバートーンの次数をN、電極面積をA、水晶の弾性率をμ、密度をρ、付着質量による共振周波数の変化をΔf、質量変化をΔmとすると
ΔfN=−N・2f12・Δm/(A・(μ・ρ)1/2)・・・・(5)
と表すことができ、前出のSauerbreyの式(1)と比較すると、オーバートーンの次数N倍に感度か高くなる。
【0037】
(5)式においてN=1とすれば、基本波の共振周波数f1の質量増加に対する変化率すなわち質量係数α1は、
α1=Δf1/Δm=−2f12/(A・(μ・ρ)1/2)・・・・(6)
となる。
次に、3次オーバートーンの共振周波数f3の質量増加に対する変化率すなわち質量係数α3は、(5)式においてN=3とすれば
α3=Δf3/Δm=−3×2f12/(A・(μ・ρ)1/2)・・・・(7)
で求めることができる。すなわち、3次オーバートーンの質量係数は、基本波の3倍となる。
【0038】
しかし、このような計算式は必ずしも実際と正確に一致しない場合があるので、実際には実測に基づく校正により、理論と実際を対照して補正しつつ、質量変化に対する周波数変化率(質量係数)α1、α3を求めるのが望ましい。実測による方法は、ATカット水晶振動子1を検出する物質を吸着しない状態で温度が可変できる恒温槽等の環境下で充分に時間をかけて温度を変化させ、図5に示すように各温度における基本波の共振周波数F1および3次オーバートーンの共振周波数F3の周波数〈実線〉を測定した後に、質量の数値Mのわかっている物体をATカット水晶振動子1に付着させて、前と同様にして各温度における共振周波数F1Mおよび3次オーバートーンの共振周波数F3Mの周波数〈点線〉を測定する。(これらの周波数測定には、図1の発振回路2と周波数カウンター4を利用することもできるが、ネットワークアナライザー等の周波数ジェネレーターを用いて周波数をスイープしながらATカット水晶振動子1を駆動し(振動させ)、共振周波数を求める方法によるのが望ましい。)この結果、図5に示すように各温度において、共振周波数の変化F1−F1Mは略一定で、
F1−F1M=ΔF1M と表すことができ、
F3−F3M も各温度において略一定で、
F3−F3M=ΔF3M と表すことができる。よって、この測定値より求めた前記ΔF1MおよびΔF3Mを用いて、基本波の質量係数α1、および3次オーバートーンの質量係数α3をそれぞれ、
α1=ΔF1M/M・・・・(8)
α3=ΔF3M/M・・・・(9)
として求めることができる。
【0039】
次に、上記のようにして予め求め、演算回路5に入力しておいた、温度係数β1、β3、質量係数α1、α3よりなる補償データメモリ7と、周波数カウンター4から演算回路5に入力した前記のATカット水晶振動子1にかかわる検出質量付着前の基本波の共振周波数f1と、3次オーバートーンの共振周波数f3と、検出質量付着後の基本波の共振周波数f1mと、3次オーバートーンの共振周波数f3mとよりなる周波数データ(図4参照)を用いて、演算回路5において質量変化量Δmを計算する方法につき説明する。今、図4に示すようにΔmなる検出質量の付着前のATカット水晶振動子1の温度t1と付着後の温度t2の変化分をΔt=t2−t1としたとき、検出質量Δmの付着前後の基本波の共振周波数の変化分Δf1=f1m−f1は質量変化による分 Δf1m=Δm・α1((8)式参照)と温度変化による分 Δf1t=Δt・β1((3)式参照)の合計となる。
【0040】
よって、
Δf1=f1m−f1=Δm・α1+Δt・β1・・・・(10)
同様にして、検出質量Δmの付着前後の3次オーバートーンの共振周波数の変化分Δf3=f3m−f3(図4参照)は(4)、(9)式を参照することにより、
Δf3=f3m−f3=Δm・α3+Δt・β3・・・・(11)
(10)、(11)式からΔtを消去することにより、
Δm=(Δf1・β3−Δf3・β1)/(β3・α1−β1・α3)・・・・(12)
が得られ、(12)式より検出質量Δmを求めることができる。すなわち、演算回路5において、これに入力された前記補償データメモリ7および周波数カウンター4から入力された前記の周波数データ(f1、f1m、f3、f3m)を用いて、(12)式の演算を行なうことにより、質量変化分として検出質量Δmを求めることができる。
【0041】
このように、本第1実施形態に係わるQCMセンサー装置によれば、質量検出時においてATカット水晶振動子の温度変化を測定することなく、ATカット水晶振動子の周波数変化に基づいて質量の変化を正確に求めることができる。これは、本発明においては、ATカット水晶振動子の温度変化が、測定されるATカット水晶振動子の周波数変化から逆に求められるようなデータの構成となっている。すなわち、(10)、(11)式からΔmを消去すれば、温度変化分Δtは
Δt=(Δf1・α3−Δf3・α1)/(β1・α3−β3・α1)・・・・(13)
により、求めることができる。このことは、ATカット水晶振動子とは別個の温度センサーを用いることなく、温度変化Δtが検出され、この温度変化の影響を補償する形で(12)式により、質量変化Δmを求めることができることを意味する。すなわち、本第1実施形態においては、質量変化を検出するATカット水晶振動子1自体が温度センサーの役割も兼用しており、従ってATカット水晶振動子そのものの温度変化Δtを求めたのと同様のこととなるので、別個の温度センサーを使用して間接的にATカット水晶振動子の温度を測定し、この測定値に基づいて検出地の補正を行なう従来のQCMセンサー装置に比較すると、温度変化の検出精度が向上し、温度補償の精度が向上し、その分、質量変化の検出精度が向上することとなる。質量変化Δmを求める(12)式と温度変化Δtを求める(13)式において、それぞれ分母は補償データα1、α3、β1、β3より計算される定数であることから、質量変化Δmおよび、温度変化Δtは4つの係数をKT1、KT2、KM1、KM2とした時、温度変化量はΔf1×KT1+Δf2×KT2なる線形加算で求めることが可能である。
【0042】
以上の説明においては、水晶振動子の共振周波数の温度係数がほぼ一定とみなせる範囲において議論してきた。この温度範囲に関して考察すると、共振周波数の温度依存性の変曲点、すなわち共振周波数の温度の2次微分がゼロになる温度を中心とした温度範囲が最も広い範囲に渡って温度係数が一定とみなすことができる。実際、多くのATカット水晶振動子は室温付近に変曲点を持つことから、QCMセンサーへの利用においても室温付近が最も適している。しかし変曲点以外の温度範囲においても、温度係数が一定とみなせる範囲が当然存在するので、その温度範囲においては、本発明の補償技術を用いれば正確に質量変化および温度変化を求めることが可能である。
【0043】
上記した本発明の第1実施形態においては、ATカット水晶振動子の基本波の共振周波数および3次オーバートーンの共振周波数の温度変化に対する周波数変化が線形で表される場合について説明したが、本発明はこれに限らず、温度変化Δtによる基本波の共振周波数f1の変化分が関数F1(Δt)で表され、3次オーバートーンの共振周波数f3の変化分が関数F3(Δt)で表される場合は、検出質量の付着前後の基本波の共振周波数の変化分Δf1と3次オーバートーンの共振周波数の変化分Δf3は(10)、(11)式を変形して
Δf1=Δm・α1+F1(Δt)・Δt ・・・・(14)
Δf3=Δm・α3+F3(Δt)・Δt ・・・・(15)
(14)、(15)よりΔmを消去すれば
Δf1・α3−Δf3・α1=α3・F1(Δt)−α1・F3(Δt)・・・・(16)
(16)式よりΔtを求めることができる。(但しα3・F1(Δt)−α1・F3(Δt)は一価関数とする。)このΔtを(14)式または(15)式に代入することにより、Δmを求めることが可能となる。)この方法によれば、例えば図5の温度領域Wtに示すように、温度に対するATカット水晶振動子の変化が線形となる温度範囲より更に広い温度範囲において、前記(14)、(15)式を利用して質量変化Δmを求めることができる。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態に係わるQCMセンサー装置につき、図面を用いて説明する。本第2実施形態においては、共振周波数の測定にネットワークアナライザを用い、さらに、第1実施形態と異なり、ある時間間隔を置いて連続的に質量変化と温度変化を測定することで質量付着過程の時間変化を観察できるような構成を採用している。図6は、本第2実施形態に係わるQCMセンサー装置の構成を示すブロック図である。図6において、8はネットワークアナライザーである。ネットワークアナライザーにはATカット水晶振動子1が接続されている。9はネットワークアナライザー8の出力側に接続されたパーソナルコンピュータ等よりなる演算回路であり、演算により得られた質量変化を出力する質量変化出力と、演算により得られた温度変化を出力する温度変化出力を有する。10は演算回路から入力されて初期値データを保存しておく初期値記憶メモリである。7は演算回路9に入力される補償データメモリである。ネットワークアナライザー8は周波数をスイープして振動させる振動手段と、駆動対象(振動対象)のアドミッタンスを測定するアドミッタンス測定手段を内蔵しており、ATカット水晶振動子1の駆動する(振動させる)周波数を指定した周波数間隔で変えながらATカット水晶振動子1を振動させ、周波数毎のアドミッタンスを測定し、これらの周波数およびアドミッタンスのデータを出力する。この出力は一般化して言えば、図6に示すように、n回目に測定した周波数fnのデータとこれに対応するアドミッタンスの実数成分Gn、虚数成分Bnのデータが一組のデータとして出力される。ネットワークアナライザー8の出力側はパーソナルコンピュータ等よりなる演算回路9に接続されている。前記の周波数およびアドミッタンスの測定データは1組毎に順次、あるいは一括して演算回路9に入力され、これらのデータに基づいて最小二乗法等の方法により、ATカット水晶振動子1の基本波の共振周波数および3次オーバートーンの共振周波数を求める。ここでATカット水晶振動子1の電気的アドミッタンスは、図7(a)に示すように、実数成分Gと虚数成分Bにより表すことができ、周波数をスイープすることにより、共振周波数の付近でアドミッタンス円をいわれる円状の軌跡を辿る。この測定されたアドミッタンス円のデータにより図7(b)に示す水晶振動子の4素子等価回路定数Lx、Cx、Rx、Cpを最小二乗法等を用いて演算回路で算出し、これより共振周波数fsを
fs=1/(2π(Lx・Cx)1/2)・・・・(16)
の関係を用いて算出する。
【0045】
以下に、本第2実施形態における測定手順をフローチャート図8を用いて説明する。
STEP1(ST1と略す、ST1以降も同様):最初に、ネットワークアナライザーの設定を行う。ネットワークアナライザを所定の動作モードに設定した後、スイープ周波数を設定する。スイープ周波数はここでは、基本波共振周波数近傍と、3次オーバートーン共振周波数近傍の2つの領域を引き続いてスイープするように設定する。このように離れた周波数領域内を狭い周波数スパンで測定する機能は、例えばAgilent社製ネットワークアナライザーE5100Aにリストスイープ機能として実装されている。図9はリストスイープ条件を示した例で、基本波と3次オーバートーンに対応して、周波数領域1と周波数領域2が定義され、それぞれスタート周波数、ストップ周波数、測定ポイント数、バンド幅を設定する。
【0046】
ST2:次にアドミッタンス測定を行う。AT水晶振動子を前記したリストスイープ機能を用いて基本波共振周波数付近と3次オーバートーン共振周波数付近を順番にスイープし、各周波数に応じたアドミッタンスを実数部Gと虚数部Bに分けて測定する。アドミッタンス測定結果をグラフに示した例を図10に示す。周波数領域1と周波数領域2に対応してそれぞれ基本波と3次オーバートーンの共振特性(GとBの変化)が表示されている。測定された一連のデータは、一時的にネットワークアナライザ内の記憶メモリに保存される。
【0047】
ST3:次に、ネットワークアナライザに一時的に保存された測定データを演算回路9へ転送する。リストスイープ機能を用いて測定したデータは、図11に示すように、周波数fに対するGとBのデータの組として、2つの周波数領域が連続した形式を有している。
【0048】
ST4:次に、転送されたデータから共振周波数を求める。演算回路9に入力されたデータは、基本波のデータ(周波数領域1)と3次オーバートーンのデータ(周波数領域2)に分割され、それぞれ最小二乗法等の手法を用いて基本波共振周波数f1と3次オーバートーン共振周波数f3を算出する。
【0049】
ST5:このステップでは、測定回数により処理を分岐させる。測定が初回の場合はST6へ分岐させ、2回目以降の場合はST7へ分岐させる。
【0050】
ST6:測定が初回の場合は、求めた共振周波数を初期値として保存する。初回の測定で得られた基本波共振周波数f1と3次オーバートーン共振周波数f3は、質量付着前のAT水晶振動子1の共振周波数f1iおよびf3iとして図6に示す初期値記憶メモリ10に記憶し、2回目以降の測定で質量および温度変化の演算に用いる。初期値を保存した後は、アドミッタンス測定ST2へ戻る。
【0051】
ST7:2回目以降の測定の場合は、質量変化Δmと温度変化Δtの演算を行う。測定で得られた共振周波数f1、f3と、ST6で保存した共振周波数の初期値f1i、f3i、および図6の補償データメモリ7に予め求めて記憶させておいた補正データα1、α3、β1、β3から(12)式および(13)式を用いて、質量変化Δmと温度変化Δtを演算により求める。初期値f1iとf3iは(12)式および(13)式のf1、f3として演算を行うことで測定を開始した直後から現在時刻までの間に変化した質量変化Δmおよび温度変化Δtが演算で求まる。
【0052】
ST8:求めた質量変化Δmと温度変化Δtをプロットする。初回の測定時刻を基準にして、以降経過時間を横軸に、質量変化Δmと温度変化Δtを縦軸にプロットする。プロット後は、アドミッタンス測定ST2へ戻り、以降、ST2からST7を測定が終了するまで繰り返す。
【0053】
さて実際に試料を水晶振動子に接触させて質量変化と温度変化を測定するには次のような手順で行う。まず、試料を水晶振動子に吸着させる前に、図8で説明したフローに従い測定を開始する。測定が開始すると、開始直後からの経過時間に対する質量変化Δmと温度変化Δtが連続的に測定されプロットされる。しばらく様子を見て質量変化Δmおよび温度変化Δtが安定したところでAT水晶振動子1の表面に試料溶液、あるいは試料ガスを接触させて、質量変化Δmと温度変化Δtの変化を時間を追って観察し、しかる後測定を終了する。
【0054】
以上の測定を時系列的に見ると、水晶振動子は基本波と3次オーバートーンでの共振周波数測定を交互に行いながら質量変化と温度変化を連続的に求めていることになる。すなわち、本第2実施形態においては、基本波と3次オーバートーンの振動モード切替手段は、周波数をスイープする周波数領域を基本波付近(周波数領域1)と3次オーバートーン付近(周波数領域2)の2つの領域に設定して、これを連続して測定するリストスイープ機能で実現していることになる。リストスイープ機能を有しないネットワークアナライザーを用いる場合は、アドミッタンス測定時に、基本波での測定と3次オーバートーンでの測定を分けて行えばよい。振動モード切替の時間タイミングは、主にネットワークアナライザーのスイープ速度で規定されるものであるが、タイミング信号を個別に設けて、タイミング信号に同期させて測定を行うことも可能である。
【0055】
以上の説明をまとめると、第1実施形態においては、質量変化と温度変化は検出質量付加の前後での2点の時刻での周波数測定データから演算により求めたが、第2実施形態においては、検出質量の付着反応を時間的に連続して測定することが可能である。すなわち、被検出試料を導入する以前のある時刻(初期時刻Tiとする)での周波数をf1、f3を測定し、その値を初期値(f1i、f3i)として記憶しておき、その値と、以降、時間を追って測定したf1とf3を、質量付着後の共振周波数f1m、f3mとして用い式12、および式13を用いて質量変化Δmと温度変化Δtを演算によりもとめ、経過時刻Tに対してプロットすることで、初期時刻Ti以降、時々刻々の変化をグラフに示すことで、質量検出と温度変化を連続的に取得することが可能である。共振モードを切替える手段は、第1実施形態では制御回路3より出力される基本波/3次オーバートーン切替信号で、発振回路2の特性を変化させることで基本波発振と、3次オーバートーン発振を選択することで実現しており、第2実施形態では前記したように2つの周波数帯域を交互にスイープすることで実現している。
【0056】
本発明において、複数の共振モードにおける共振周波数を、同時にではなく、交互にあるいは順番に求めればよい理由は、水晶振動子への付着過程の時間スケールが一般的には数秒から数分、場合によっては数時間と非常に長いためで、質量変化や温度変化を検出する場合の時間分解能もせいぜい数秒(から数ミリ秒)程度しか必要としないというQCMセンサー装置特有の事情に由来している。すなわち、複数の振動モードの温度依存性の差を利用する場合に、数秒から数ミリ秒程度の時間間隔での測定が許されるので、複数の振動モードの共振周波数を交互にあるいは順番に測定する手法が許され、このことが回路の簡単化、測定システムの簡単化を可能にしている。
【0057】
以上に説明した本発明の実施形態においては、質量検出用の振動子としてはATカット水晶振動子を用いたが、本発明はこれに限らず同様の振動モードを有する圧電振動子をその代わりに用いてもよい。また、以上の説明では、2つの振動モードとして基本波と3次オーバートーンを選び、その温度特性の差と質量係数の差を利用して温度補償、および質量補償を行ったが、3次以外のオーバートーンで例えば5次や7次と基本波を用いてもよい。また基本波を用いず、異なる次数のオーバートーンから任意の2つを選んでもよい。さらに振動モードとしてはオーバートーンだけでなく寄生振動として例えば輪郭振動やインハーモニック振動などを一方の振動モードとして選択しても温度依存性、質量係数が異なりさえすれば利用することが可能である。
【0058】
以上に説明した本発明の実施形態においては、複数の振動モードから2つの振動モードを選択して、その共振周波数から質量変化と温度変化を演算により求めていたが、3つ以上の振動モードで得られた共振周波数の変化から最小二乗法等の方法により測定誤差が最も小さくなるような質量変化および温度変化を求めることも可能である。
【0059】
また、以上に本発明の説明した実施形態においては、温度依存性の異なる2つの振動モードから温度補償を行ったが、温度以外に共振周波数に影響を与える要因として、例えば圧電振動子の変形に基づく共振周波数の変化を補償することも可能である。この場合、変形に基づく共振周波数の変化率が異なる振動モードを1つ以上追加して3つ以上の振動モードから演算により補償でき、同時に変形の程度を測定値として得ることが出来る。
【0060】
【実施例】
次に、本発明の特徴である、温度変化および質量変化の同時検出を実証するために行った実験について説明する。測定系には、図6に示したネットワークアナライザーを用いた系を用い、測定手順については図8に示した方法を用いた。使用した圧電振動子は14.314MHz付近に基本波の共振周波数を有するATカット水晶振動子で、その温度特性は図5に示したものと同等である。水晶振動子の温度を別途モニターするために直径0.08mmの極めて細い銅−コンスタンタン熱電対を振動子の支持部材に取り付けた。この水晶振動子を0.1℃程度の精度を有する恒温槽内に設置し、温度を25℃、26℃、27℃にステップ状に変化させた。図12(a)はこのATカット水晶振動子の基本波と3次オーバートーンの共振周波数の変化Δf1、Δf3を周波数変化率(ppm)でプロットしたものである。ステップ状に温度が上昇すると、それに伴い、Δf1は低下、Δf3は上昇していることがわかる。図12(b)は演算により求めた温度変化信号Δtとモニター測定した温度Tmonをプロットしたものであり、モニターした温度変化Tmonとほぼ同じ温度変化Δtが得られていることがわかる。図12(c)は演算により求めた質量変化信号Δmと、本発明の温度補償を行わないで演算した場合の質量変化信号Δm0をプロットしたものである。補償を行わない場合、1℃の温度変化によりおよそ200ngもの誤った質量変化信号を生じているが、補償を行うと殆ど質量変化信号は出ていないことがわかる。このように、本発明の補償技術は正確に機能し、温度変化の影響をなくして高感度の質量測定が可能であることが明らかである。
【0061】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、質量検出用の振動子の周波数変化から検出質量を測定するQCMセンサー装置において、個別の温度センサーを設けることなく振動子自体の特性を利用して、温度変化による質量検出値への影響を補償でき、従来よりも質量の検出精度を向上させることができ、同時に、振動子自体の温度変化を質量変化の影響を受けずに高精度に検出することができる。本発明は、少なくとも2つの共振モードにおける共振周波数の変化を交互にあるいは順番に測定することによって、非常に簡単な回路構成、あるいは簡単なシステム構成で温度変化と質量変化の両方を同時に高精度に検出できるQCMセンサー装置が実現できた。
【0062】
また本発明によれば、水晶振動子のカット角の調整により温度依存性の影響を減少させた場合に比べて、広い温度範囲に渡って温度依存性の影響を減少させることが可能である。よって、使用温度毎に振動子を用意する必要もない。
【0063】
また本発明によれば、水晶振動子に物質が吸着する時に生じている物理反応過程あるいは化学反応過程に関する熱的な情報が得られることから、例えばタンパク質やDNAのような生体分子間相互作用の動的解析に威力を発揮することが期待出来る。これは従来のQCMセンサーにはない大きな特徴であり、分子間相互作用の新しい分析手段となり得ることを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るQCMセンサー装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示すQCMセンサー装置に用いる発振回路の構成を示す図である。
【図3】図2に示す発振回路の作用を示す図である。
【図4】図1に示すQCMセンサー装置に用いる質量検出用のAT水晶振動子の周波数特性を示す図である。
【図5】図1に示すQCMセンサー装置に用いる質量検出用のAT水晶振動子の周波数の温度変化および質量変化への依存性を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るQCMセンサー装置の構成を示す図である。
【図7】図6に示すQCMセンサー装置においてネットワークアナライザーを利用して、質量検出用のAT水晶振動子の共振周波数を求める方法を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態のQCMセンサー装置をもちいて測定を行う場合の手順を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るリストスイープ条件の1例を示す表である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るアドミッタンス測定結果のグラフの1例を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るアドミッタンス測定結果のデータの1例を示す図である。
【図12】本発明の実施例に係るQCMセンサー装置の測定結果の1例を示す図である。
【図13】従来のQCMセンサー装置に用いる質量検出用のAT水晶振動子の周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
1 ATカット水晶振動子
2 発振回路
3 制御回路
4 周波数カウンター
5、9 演算回路
6 共振周波数記憶メモリ
7 補償データメモリ
8 ネットワークアナライザー
10 初期値記憶メモリ
Claims (15)
- 圧電振動子をセンサーとし、前記圧電振動子の共振周波数の変化量に基づいて、前記圧電振動子の表面に吸着した物質の質量を測定するQCMセンサー装置において、複数の振動モードを有するとともに、少なくとも2つの振動モードでは、温度変化に対する共振周波数の変化率が所定の温度範囲においてお互いに異なる圧電振動子と、前記圧電振動子を前記少なくとも2つの振動モード毎にそれぞれの共振周波数で振動させる振動手段と、前記少なくとも2つの振動モード毎の共振周波数の変化量を測定する周波数測定手段と、前記少なくとも2つの振動モード毎の前記共振周波数の変化量に基づいて、吸着した物質の質量または前記圧電振動子自体の温度変化量を求める演算手段とを有することを特徴とするQCMセンサー装置。
- 前記振動手段は、前記少なくとも2つの振動モードを順次切り替えて振動させる制御手段を有することを特徴とする請求項1記載のQCMセンサー装置。
- 前記振動手段は、反転増幅器と帰還素子を有する発振回路であり、前記制御手段は、前記発振回路が増幅する周波数帯域を切り替える切り替え回路であることを特徴とする請求項2記載のQCMセンサー装置。
- 前記振動手段は、前記圧電振動子を前記少なくとも2つの振動モード毎に、それぞれの共振周波数の近傍の周波数領域で振動させる振動手段であり、前記周波数測定手段は、前記圧電振動子のアドミッタンスまたはインピーダンスを計測して共振周波数を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のQCMセンサー装置。
- 前記少なくとも2つの振動モードが基本波とn次オーバートーン(nは正の奇数から選択した1つ)であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のQCMセンサー装置。
- 前記演算手段は、前記少なくとも2つの振動モード毎の前記共振周波数の変化量と、前記少なくとも2つの振動モード毎に予め定められた質量に対する共振周波数の変化率と、温度に対する共振周波数の変化率とに基づいて、前記吸着した物質の質量または前記圧電振動子自体の温度変化量を求めることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のQCMセンサー装置。
- 前記少なくとも2つの振動モードは、それぞれの振動モードにおいて温度に対する共振周波数の変化率がほぼ一定となる共通の温度範囲を有しており、前記共通の温度範囲において、前記演算手段は、前記少なくとも2つの振動モードにおける前記共振周波数の変化量をそれぞれΔf1とΔf2とし、前記少なくとも2つの振動モード毎の前記温度に対する共振周波数の変化率と前記質量に対する共振周波数の変化率から予め求められた4つの係数をKT1、KT2、KM1、KM2とした時、温度変化量はΔf1×KT1+Δf2×KT2なる線形加算で求め、質量変化はΔf1×KM1+Δf2×KM2なる線形加算で求めることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載のQCMセンサー装置。
- 前記圧電振動子がATカット水晶振動子であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載のQCMセンサー装置。
- 圧電振動子をセンサーとし、前記圧電振動子の共振周波数の変化量に基づいて、前記圧電振動子の表面に吸着した物質の質量を測定する測定方法において、複数の振動モードを有するとともに、すくなくとも2つの振動モードでは、温度変化に対する共振周波数の変化率が所定の温度範囲においてお互いに異なる圧電振動子を、前記少なくとも2つの振動モード毎に共振周波数で振動させる振動工程と、前記少なくとも2つの振動モード毎の前記共振周波数の変化を測定する周波数測定工程と、前記少なくとも2つの振動モード毎の前記共振周波数の変化量に基づいて、吸着した物質の質量または前記圧電振動子自体の温度変化量を求める演算工程とを有することを特徴とする物質の測定方法。
- 前記振動工程は、前記少なくとも2つの振動モードを順次切り替えて振動させる工程であることを特徴とする請求項9記載の物質の測定方法。
- 前記振動工程は、前記圧電振動子を発振させる発振回路の増幅する周波数帯域を順次切り替えて振動させる工程であることを特徴とする請求項9記載の物質の測定方法。
- 前記振動工程は、前記圧電振動子を前記少なくとも2つの振動モード毎に、それぞれの共振周波数の近傍の周波数領域で振動させる工程であり、前記周波数測定工程は、前記圧電振動子のアドミッタンスまたはインピーダンスを計測して共振周波数を求める工程であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の物質の測定方法。
- 前記圧電振動子は2つの振動モードで振動し、前記振動工程は前記振動モードの一方を基本波で振動させ、他方をn次オーバートーン(nは正の奇数から選択した1つ)で振動させることを特徴とする請求項9から12のいずれか1つに記載の物質の測定方法。
- 前記演算工程は、前記少なくとも2つの振動モード毎の前記共振周波数の変化量と、前記少なくとも2つの振動モード毎に予め定められた質量に対する共振周波数の変化率と温度に対する共振周波数の変化率とに基づいて、前記吸着した物質の質量または前記圧電振動子自体の温度変化量を求めることを特徴とする請求項9から13のいずれか1つに記載の物質の測定方法。
- 前記少なくとも2つの振動モードは、それぞれの振動モードにおいて温度に対する共振周波数の変化率がほぼ一定となる共通の温度範囲を有しており、前記共通の温度範囲において、前記演算工程は、前記少なくとも2つの振動モードにおける前記共振周波数の変化量をそれぞれΔf1とΔf2とし、前記少なくとも2つの振動モード毎の温度に対する共振周波数の変化率と質量に対する共振周波数の変化率から予め求められた4つの係数をKT1、KT2、KM1、KM2とした時、温度変化量はΔf1×KT1+Δf2×KT2なる線形加算で求め、質量変化はΔf1×KM1+Δf2×KM2なる線形加算で求めることを特徴とする請求項9から14のいずれか1つに記載の物質の測定方法。
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