JP2009205913A - 二次電池保護回路及び二次電池装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】二次電池から電解液等の薬液が漏出した場合に、二次電池の充電電流又は放電電流を遮断することにより、バッテリ制御回路の過熱又は発火を未然に防ぐことができる二次電池保護回路を提供することを課題とする。
【解決手段】水晶振動子(101)と、前記水晶振動子に接続され、信号を発振する発振回路(102)と、前記発振回路により発振された信号をフィルタリングすることにより第1の検出信号を出力する第1のフィルタ(103)と、前記第1の検出信号を基に二次電池の充電電流又は放電電流の遮断を制御するバッテリ制御回路(107)とを有することを特徴とする二次電池保護回路が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、二次電池保護回路及び二次電池装置に関する。
図7は、組電池の構成例を示す図である。組電池は、筺体701内に複数の単電池702及び一のバッテリ制御回路703を有する。単電池702は、繰り返し充放電が可能な二次電池である。バッテリ制御回路703は、単電池702の充電を制御する。
また、下記の特許文献1には、水晶振動子を用いて生体反応を測定する分析装置であって、該反応による変化量をQCM(Quartz Crystal Microbalance)法によって検出し、かつ、前記変化量を特定周波数における信号量の変化として検出することを特徴とする分析装置が記載されている。
特開2004−333148号公報
近年、リチウムイオン電池を初めとする二次電池の需要が増大している。しかし、リチウムイオン電池では、とりわけ過放電状態において電解液が漏出することがあり、漏出した電解液がバッテリ制御回路に付着して絶縁不良、過熱又は発火の原因となる。
本発明の目的は、二次電池から電解液等の薬液が漏出した場合に、バッテリ制御回路の過熱又は発火を未然に防ぐことができる二次電池保護回路及び二次電池装置を提供することである。
本発明の二次電池保護回路は、水晶振動子と、前記水晶振動子に接続され、信号を発振する発振回路と、前記発振回路により発振された信号をフィルタリングすることにより第1の検出信号を出力する第1のフィルタと、前記第1の検出信号を基に二次電池の充電電流又は放電電流の遮断を制御するバッテリ制御回路とを有することを特徴とする。
二次電池から電解液等の薬液が漏出して雰囲気中の薬液の物質が水晶振動子に付着すると、発振回路の発振周波数が変化する。バッテリ制御回路は、薬液が漏出した場合には二次電池の充電電流又は放電電流を遮断することができる。これにより、バッテリ制御回路の過熱又は発火を防止することができる。
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態による二次電池装置の構成例を示す図である。二次電池装置は、組電池であり、筺体201、複数の単電池202、バッテリ制御回路107及び検出回路108を有する。給電端子203は、筺体201に設けられ、外部からの直流電源電圧をバッテリ制御回路107及び検出回路108に供給する。筺体201は、単電池202、バッテリ制御回路107及び検出回路108を収納する。検出回路108の実装面積は、1センチメートル角程度に小さくすることができるので、既存のバッテリ筐体201内に検出回路108を容易に組み込むことができる。
複数の単電池202は、例えば4本のリチウムイオン電池であり、繰り返し充放電が可能な二次電池である。バッテリ制御回路107は、単電池202の充電及び放電を制御する。検出回路108は、単電池202から電解液等の薬液が漏出しているか否かを検出する。検出回路108が薬液の漏出を検出すると、バッテリ制御回路107は単電池202の充電電流及び/又は放電電流を遮断する。その際、バッテリ制御回路107は、少なくとも単電池202の充電電流を遮断する。これにより、単電池202から漏出した薬液がバッテリ制御回路107に付着したとしても、バッテリ制御回路107の過熱及び/又は発火を防止することができる。
図1は、本実施形態による二次電池保護回路の構成例を示すブロック図である。二次電池保護回路は、バッテリ制御回路107及び検出回路108を有する。検出回路108は、水晶振動子101、発振回路102、第1のクリスタルフィルタ103、ローパスフィルタ(LPF)105及びバッファ106を有する。なお、第2のクリスタルフィルタ104については、後に第2の実施形態において説明する。第1の実施形態では、第2のクリスタルフィルタ104がない場合を説明する。
水晶振動子101は、露出しており、QCM(Quartz Crystal Microbalance)センサとして機能する。発振回路102は、水晶振動子101に接続され、信号を発振する。第1のクリスタルフィルタ103は、発振回路102により発振された信号をフィルタリングすることにより第1の検出信号を出力する。例えば、第1のクリスタルフィルタ103は、第1の周波数帯域の信号のみを通過させるバンドパスフィルタである。ローパスフィルタ105は、第1のクリスタルフィルタ103の後段に接続され、低周波数帯域の信号のみを通過させる。バッファ106は、ローパスフィルタ105の出力信号を増幅して出力する。バッテリ制御回路107は、直流電源電圧端子Vcに接続され、バッファ106から出力される検出信号に応じて、単電池202の充電電流及び/又は放電電流の遮断を制御する。
図3は、図1の二次電池保護回路の具体的構成例を示す回路図である。二次電池保護回路は、バッテリ制御回路107及び検出回路108を有する。発振回路102は、インバータU1,U2、抵抗R1,R2及びコンデンサC1,C2,C3を有する。抵抗R3及びコンデンサC4は、図1のローパスフィルタ105に対応する。インバータU3は、オープンドレイン型のインバータであり、図1のバッファ106に対応する。
コンデンサC3は、例えば0.1μFであり、直流電源電圧端子Vc及び基準電位端子(グランド電位端子)間に接続される。インバータU1,U2,U3は、入力信号を論理反転して出力する。コンデンサC1は、例えば30pFの可変コンデンサであり、インバータU1の入力端子及び基準電位端子間に接続される。コンデンサC2は、例えば22pFであり、水晶振動子101及び基準電位端子間に接続される。水晶振動子101は、例えば発振周波数が25MHzであり、コンデンサC1の上端子及びコンデンサC2の上端子間に接続される。抵抗R1は、例えば1kΩであり、コンデンサC2の上端子及びインバータU1の出力端子間に接続される。抵抗R2は、例えば1MΩであり、インバータU1の入力端子及び出力端子間に接続される。インバータU2の入力端子は、インバータU1の出力端子に接続される。
第1のクリスタルフィルタ103は、3端子を有し、第1の端子(入力端子)がインバータU2の出力端子に接続され、第2の端子(出力端子)が抵抗R3を介してインバータU3の入力端子に接続され、第3の端子(基準端子)が基準電位端子に接続される。第1のクリスタルフィルタ103は、インバータU2の出力信号のうちの第1の周波数帯域(例えば中心周波数が25MHzである)の信号のみを通過させるバンドパスフィルタである。
コンデンサC4は、第1のクリスタルフィルタ103の第2の端子及び基準電位端子間に接続される。リレーRyは、ソレノイドコイル及びスイッチを有する。インバータU3の出力端子は、リレーRy内のソレノイドコイルを介して直流電源電圧端子Vcに接続される。バッテリ制御回路107は、リレーRy内のスイッチを介して直流電源電圧端子Vcに接続される。基準電位端子は、バッテリ制御回路107に接続される。
本実施形態は、単電池202の薬液(電解液)の漏出を水晶振動子(QCMセンサ)101を用いて検出し、単電池202の少なくとも充電電流を遮断することにより過熱及び/又は発火を未然に防ぐ。単電池202は、例えばリチウムイオン二次電池であり、電解液にエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等の環状炭酸エステル、またジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル類が使用される。これらの液の蒸気圧は低いため、僅かな漏出の検知は難しいが、本実施形態では水晶振動子(QCMセンサ)101を用いることにより検出を可能とする。
本実施形態の二次電池装置は、ノート型コンピュータ等に使用可能である。二次電池装置は、単電池202を複数個組み合わせてひとつの筐体201に収めた組電池である。組電池では、単電池202に漏液が起こり、筐体201内に設置されたバッテリ制御回路107等に液が触れることにより、過熱等の異常が発生する可能性がある。そこで、本実施形態では、水晶振動子(QCMセンサ)101を筐体201内に設置し、単電池202から漏液が起きたことを速やかに検出し、単電池202の充電電流を遮断する。
水晶振動子(QCMセンサ)101を使用するうえで問題がある。水晶振動子(QCMセンサ)101は、周囲の雰囲気に含まれる物質が水晶振動子101に吸着することにより発振周波数が変化することを利用して、雰囲気中の物質の濃度変化を知る。発振回路102の発振周波数の変化を検出するには周波数カウンタを用いる方法が考えられる。しかし、周波数カウンタは、回路が複雑かつ大型である上に消費電力も大きいために携帯型装置の特徴を損なうおそれがあり、高価でもあるため、二次電池の安全装置には不向きである。すなわち、薬液の漏出を検出して充電電流を遮断する、小型かつ低消費電力の二次電池装置が必要となる。そこで、本実施形態では、発振回路102の発振周波数の変化を検出するために第1のクリスタルフィルタ103を使用する。第1のクリスタルフィルタ103は、特定の範囲の周波数帯域にある信号だけを通過させる機能をもつため、予め、水晶振動子101の発振周波数(例えば25MHz)が第1のクリスタルフィルタ103の通過周波数帯域の中心周波数(例えば25MHz)と一致するように設定しておけば、水晶振動子101の発振信号が第1のクリスタルフィルタ103を通過するかどうかで、水晶振動子101の発振周波数の偏移が起きたか否かを検知できる。
図4は、本実施形態による二次電池保護回路の動作を説明するための図である。発振強度特性301は、単電池202の漏液が起きていないときの水晶振動子101の発振スペクトラム(左目盛)である。単電池202の漏液が起きていないとき、水晶振動子101の発振周波数はf0(例えば25MHz)である。
発振強度特性302は、単電池202の漏液が起きたときの水晶振動子101の発振スペクトラム(左目盛)である。単電池202の漏液により、雰囲気中の漏液成分が露出した水晶振動子101の表面に付着すると、水晶振動子101の発振周波数がΔfだけシフトする。例えば、水晶振動子101の発振周波数は、f0−Δfになる。
減衰率特性303は、第1のクリスタルフィルタ103の減衰率−周波数曲線(右目盛)を示す。第1のクリスタルフィルタ103の通過周波数帯域の中心周波数は、単電池202の漏液が起きていないときの水晶振動子101の発振周波数f0と同じになるように設定する。コンデンサC1は、トリマーコンデンサである。水晶振動子101の発振周波数は、コンデンサC1の容量値を変化させることにより微調整することができる。したがって、コンデンサC1の容量値を変化させることにより、水晶振動子101の発振周波数と第1のクリスタルフィルタ103の通過周波数帯域の中心周波数とを一致させることができる。
第1のクリスタルフィルタ103は、減衰率が小さい周波数の信号を通過させ、減衰率が大きい周波数の信号を遮断する。すなわち、第1のクリスタルフィルタ103は、中心周波数がf0である第1の周波数帯域の信号のみを通過させる。
単電池202の漏液がないときには、発振強度特性301に示すように、第1のクリスタルフィルタ103は、水晶振動子101の発振周波数f0の信号を通過させる。これに対して、単電池202の漏液があるときには、発振強度特性302に示すように、第1のクリスタルフィルタ103は、水晶振動子101の発振周波数f0−Δfの信号を遮断する。第1のクリスタルフィルタ103が発振信号を出力するときには漏液がなく、第1のクリスタルフィルタ103が発振信号を出力しないときには漏液があると判断することができる。
抵抗R3及びコンデンサC4からなるローパスフィルタ105は、第1のクリスタルフィルタ103の出力信号のうちの低周波数帯域の信号のみを通過させる。その結果、漏液がないときにはローパスフィルタ105はインバータU3の入力端子にハイレベルの信号を出力し、漏液があるときにはローパスフィルタ105はインバータU3の入力端子にローレベルの信号を出力する。インバータU3は、入力信号を論理反転した信号を出力する。
漏液がないときにはインバータU3はローレベルを出力する。すると、リレーRy内のソレノイドコイルに電流が流れ、リレーRy内のスイッチがオンする。これにより、バッテリ制御回路107は直流電源電圧端子Vcに接続され、バッテリ制御回路107には直流電源電圧が供給される。バッテリ制御回路107は、単電池202の充電電流及び放電電流を遮断せず、単電池202に対して充電及び放電を行う。
これに対して、漏液があるときにはインバータU3はハイレベルを出力する。すると、リレーRy内のソレノイドコイルに電流が流れず、リレーRy内のスイッチがオフする。これにより、バッテリ制御回路107は直流電源電圧端子Vcから切断され、バッテリ制御回路107には直流電源電圧が供給されない。バッテリ制御回路107は、単電池202の充電電流及び放電電流を遮断し、単電池202に対して充電及び放電を行わない。
以上のように、単電池202の漏液がないときには、水晶振動子101の発振信号は第1のクリスタルフィルタ103を通過する。すると、リレーRy内のスイッチはオンし、バッテリ制御回路107に直流電源電圧が供給される。
これに対し、筺体201内で単電池202の電解液が漏出すると、電解液成分の一部が気化して筐体201内に満たされ、その一部は水晶振動子101の表面に吸着されるため、水晶振動子101の発振周波数が低下する。水晶振動子101の発振周波数は、第1のクリスタルフィルタ103の通過周波数帯域から外れるために、水晶振動子101の発振信号は第1のクリスタルフィルタ103を通過できない。すると、リレーRy内のスイッチはオフし、バッテリ制御回路107に対して直流電源電圧の供給が断たれる。これにより、バッテリ制御回路107の過熱及び焼損といった事故を未然に防止できる。
なお、ローパスフィルタ105は、必ずしも必要ではない。特に水晶振動子101の発振周波数が高い場合には、ローパスフィルタ105は不要である。ただし、リレーRyを安定的に動作させるには、ローパスフィルタ105を設けた方が好ましい。
また、リレーRyの代わりに、MOS電界効果トランジスタ等のスイッチング素子を用いてもよい。バッテリ制御回路107の電流が小さい場合には、リレーRyを削除し、インバータU3を直接バッテリ制御回路107に接続し、バッテリ制御回路107の電源供給を制御してもよい。
また、第1のクリスタルフィルタ103の代わりに、表面弾性波(SAW)デバイス及びSAWフィルタの組み合わせ等の他のフィルタを用いてもよい。また、第1のクリスタルフィルタ103は、バンドパスフィルタに限定されず、ハイパスフィルタ等の他のフィルタでもよい。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態による二次電池装置は、第1の実施形態に対して、図1の第2のクリスタルフィルタ104を追加したものである。以下、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。図1において、第2のクリスタルフィルタ104は、第1のクリスタルフィルタ103及びローパスフィルタ105間に接続されるバンドパスフィルタである。第2のクリスタルフィルタ104は、第1のクリスタルフィルタ103の出力信号のうちの第2の周波数帯域の信号のみを通過させることにより第2の検出信号を出力する。ローパスフィルタ105は、第2のクリスタルフィルタ104の後段に接続され、第2のクリスタルフィルタ104の出力信号のうちの低周波数帯域の信号のみを通過させる。
図5は、本実施形態による二次電池保護回路(図1)の具体的構成例を示す回路図である。本実施形態(図5)は、第1の実施形態(図3)に対して、第2のクリスタルフィルタ104を追加している。以下、本実施形態(図5)が第1の実施形態(図3)と異なる点を説明する。
第2のクリスタルフィルタ104は、3端子を有し、第1の端子(入力端子)が第1のクリスタルフィルタ103の第2の端子(出力端子)に接続され、第2の端子(出力端子)が抵抗R3を介してインバータU3の入力端子に接続され、第3の端子(基準端子)が基準電位端子に接続される。第2のクリスタルフィルタ104は、第1のクリスタルフィルタ103の出力信号のうちの第2の周波数帯域の信号のみを通過させるバンドパスフィルタである。第1のクリスタルフィルタ103の通過周波数帯域と第2のクリスタルフィルタ104の通過周波数帯域とは、異なり、一部が重複している。コンデンサC4は、第2のクリスタルフィルタ104の第2の端子(出力端子)及び基準電位端子間に接続される。
図6は、本実施形態による二次電池保護回路の動作を説明するための図である。発振強度特性601は、単電池202の漏液が起きていないときの水晶振動子101の発振スペクトラム(左目盛)である。単電池202の漏液が起きていないとき、水晶振動子101の発振周波数はf0(例えば25MHz)である。
発振強度特性602は、単電池202の漏液が起きたときの水晶振動子101の発振スペクトラム(左目盛)である。単電池202の漏液により、雰囲気中の漏液成分が露出した水晶振動子101の表面に付着すると、水晶振動子101の発振周波数がΔfだけシフトする。例えば、水晶振動子101の発振周波数は、f0−Δfになる。
減衰率特性603は、第1のクリスタルフィルタ103の減衰率−周波数曲線(右目盛)を示す。減衰率特性604は、第2のクリスタルフィルタ104の減衰率−周波数曲線(右目盛)を示す。第1のクリスタルフィルタ103の通過周波数帯域及び第2のクリスタルフィルタ104の通過周波数帯域は、相互に異なり、共に単電池202の漏液が起きていないときの水晶振動子101の発振周波数f0を含む。水晶振動子101の発振周波数は、コンデンサC1の容量値を変化させることにより微調整することができる。
第1のクリスタルフィルタ103及び第2のクリスタルフィルタ104は、減衰率が小さい周波数の信号を通過させ、減衰率が大きい周波数の信号を遮断する。第1のクリスタルフィルタ103は第1の周波数帯域の信号のみを通過させ、第2のクリスタルフィルタ104は第2の周波数帯域の信号のみを通過させる。
単電池202の漏液がないときには、発振強度特性601に示すように、第1のクリスタルフィルタ103は水晶振動子101の発振周波数f0の信号を通過させ、第2のクリスタルフィルタ104も水晶振動子101の発振周波数f0の信号を通過させる。これに対して、単電池202の漏液があるときには、発振強度特性602に示すように、第1のクリスタルフィルタ103は水晶振動子101の発振周波数f0−Δfの信号を通過させるが、第2のクリスタルフィルタ104は水晶振動子101の発振周波数f0−Δfの信号を遮断する。第2のクリスタルフィルタ104が発振信号を出力するときには漏液がなく、第2のクリスタルフィルタ104が発振信号を出力しないときには漏液があると判断することができる。
上記のように、第1のクリスタルフィルタ103及び第2のクリスタルフィルタ104の通過周波数帯域を適切に選択すると、水晶振動子101の発振周波数の変化が小さくても、水晶振動子101の発振信号が第1のクリスタルフィルタ103及び第2のクリスタルフィルタ104を通過できなくなり、漏液を検出することができる。すなわち、単電池202からの漏液が少ない場合であっても、漏液を検出することができ、検出感度を向上させることができる。
抵抗R3及びコンデンサC4からなるローパスフィルタ105は、第2のクリスタルフィルタ104の出力信号のうちの低周波数帯域の信号のみを通過させる。その結果、漏液がないときにはローパスフィルタ105はインバータU3の入力端子にハイレベルの信号を出力し、漏液があるときにはローパスフィルタ105はインバータU3の入力端子にローレベルの信号を出力する。インバータU3は、入力信号を論理反転した信号を出力する。
漏液がないときにはインバータU3はローレベルを出力する。すると、リレーRy内のソレノイドコイルに電流が流れ、リレーRy内のスイッチがオンする。これにより、バッテリ制御回路107は直流電源電圧端子Vcに接続され、バッテリ制御回路107には直流電源電圧が供給される。バッテリ制御回路107は、単電池202の充電電流及び放電電流を遮断せず、単電池202に対して充電及び放電を行う。
これに対して、漏液があるときにはインバータU3はハイレベルを出力する。すると、リレーRy内のソレノイドコイルに電流が流れず、リレーRy内のスイッチがオフする。これにより、バッテリ制御回路107は直流電源電圧端子Vcから切断され、バッテリ制御回路107には直流電源電圧が供給されない。バッテリ制御回路107は、単電池202の充電電流及び放電電流を遮断し、単電池202に対して充電及び放電を行わない。
以上のように、本実施形態の漏液検出感度は、第1のクリスタルフィルタ103及び第2のクリスタルフィルタ104の通過周波数帯域で決まる。クリスタルフィルタを単独で用いた場合の通過周波数帯域幅は、狭いもので数キロヘルツ程度が限界である。そこで、相互に中心周波数をずらした第1のクリスタルフィルタ103及び第2のクリスタルフィルタ104を設ける。例えば、第1のクリスタルフィルタ103の通過周波数帯域の中心周波数を水晶振動子101の発振周波数f0より僅かに(数kHz程度)低く設定し、第2のクリスタルフィルタ104の通過周波数帯域の中心周波数を水晶振動子101の発振周波数より僅かに高く設定する。これにより、2段のクリスタルフィルタを用いた本実施形態の合成通過周波数帯域は、1段のクリスタルフィルタを用いた第1の実施形態の通過周波数帯域に較べて狭いものとなるため、本実施形態の漏液検出感度は第1の実施形態のものより高くできる。本実施形態は、第1の実施形態に比べ、さらに狭い通過周波数帯域のフィルタを実現できるので、さらに鋭敏な検出回路108を実現できる。また、クリスタルフィルタの数をさらに増やせば、さらに鋭敏な漏液検出が可能となる。
以上のように、第1及び第2の実施形態によれば、図2に示すように、検出回路108を小型ユニット化し、実装面積として1センチメートル角程度の検出回路108が実現できるので、既存のバッテリ筐体201内に検出回路108を容易に組み込むことができる。これにより、小型で安価な検出回路108を含む二次電池装置を実現することができる。
なお、電解質等によって検出回路108が腐食されて、検出回路108の機能を果たさなくなることも予想できる。発振回路102に異常が発生した場合(発振が停止、フィルタが破損)でも、電源電圧が通じなくなるため、通電による事故は未然に防げる。
第1のクリスタルフィルタ103及び第2のクリスタルフィルタ104の例としては、京セラ製モノリシッククリスタルフィルタが挙げられる。第1のクリスタルフィルタ103及び第2のクリスタルフィルタ104の代わりに、表面弾性波(SAW)デバイス及びSAWフィルタの組み合わせ等の他のフィルタを用いてもよい。また、第1のクリスタルフィルタ103及び第2のクリスタルフィルタ104は、バンドパスフィルタに限定されず、他のフィルタでもよい。
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明の実施形態は、例えば以下のように種々の適用が可能である。
(付記1)
水晶振動子と、
前記水晶振動子に接続され、信号を発振する発振回路と、
前記発振回路により発振された信号をフィルタリングすることにより第1の検出信号を出力する第1のフィルタと、
前記第1の検出信号を基に二次電池の充電電流又は放電電流の遮断を制御するバッテリ制御回路と
を有することを特徴とする二次電池保護回路。
(付記2)
前記第1のフィルタは、第1の周波数帯域の信号のみを通過させるバンドパスフィルタであることを特徴とする付記1記載の二次電池保護回路。
(付記3)
さらに、前記第1のフィルタの出力信号のうちの第2の周波数帯域の信号のみを通過させることにより第2の検出信号を出力する第2のフィルタを有することを特徴とする付記2記載の二次電池保護回路。
(付記4)
さらに、前記第1のフィルタの後段に接続され、低周波数帯域の信号のみを通過させるローパスフィルタを有することを特徴とする付記2記載の二次電池保護回路。
(付記5)
前記第1のフィルタは、クリスタルフィルタであることを特徴とする付記1記載の二次電池保護回路。
(付記6)
前記水晶振動子は、露出していることを特徴とする付記1記載の二次電池保護回路。
(付記7)
付記1記載の二次電池保護回路と、
前記バッテリ制御回路により制御される二次電池と、
前記二次電池保護回路及び前記二次電池を収納する筺体と
を有することを特徴とする二次電池装置。
本発明の第1の実施形態による二次電池保護回路の構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態による二次電池装置の構成例を示す図である。 図1の二次電池保護回路の具体的構成例を示す回路図である。 本発明の第1の実施形態による二次電池保護回路の動作を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態による二次電池保護回路の具体的構成例を示す回路図である。 本発明の第2の実施形態による二次電池保護回路の動作を説明するための図である。 組電池の構成例を示す図である。
符号の説明
101 水晶振動子
102 発振回路
103 第1のクリスタルフィルタ
104 第2のクリスタルフィルタ
105 ローパスフィルタ
106 バッファ
107 バッテリ制御回路
108 検出回路
201 筺体
202 単電池
203 給電端子

Claims (5)

  1. 水晶振動子と、
    前記水晶振動子に接続され、信号を発振する発振回路と、
    前記発振回路により発振された信号をフィルタリングすることにより第1の検出信号を出力する第1のフィルタと、
    前記第1の検出信号を基に二次電池の充電電流又は放電電流の遮断を制御するバッテリ制御回路と
    を有することを特徴とする二次電池保護回路。
  2. 前記第1のフィルタは、第1の周波数帯域の信号のみを通過させるバンドパスフィルタであることを特徴とする請求項1記載の二次電池保護回路。
  3. さらに、前記第1のフィルタの出力信号のうちの第2の周波数帯域の信号のみを通過させることにより第2の検出信号を出力する第2のフィルタを有することを特徴とする請求項2記載の二次電池保護回路。
  4. さらに、前記第1のフィルタの後段に接続され、低周波数帯域の信号のみを通過させるローパスフィルタを有することを特徴とする請求項2記載の二次電池保護回路。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池保護回路と、
    前記バッテリ制御回路により制御される二次電池と、
    前記二次電池保護回路及び前記二次電池を収納する筺体と
    を有することを特徴とする二次電池装置。
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