JP2004183385A - 用心錠 - Google Patents
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Abstract
【課題】施解錠の操作性が良く、通行の妨げになる突出部分も有さず、錠本体と受けの両方をコンパクトにでき、少ない部品点数でかつ安価に生産可能な用心錠を提供する。
【解決手段】ベース金具と第一アームと第二アームとを設け、第一アームをベース金具の上部に回転軸にて回動自在に装着する。さらに第一アームに第二アームを連結ピンで回動自在に連結する。回転軸は扉面と平行でかつ水平になるように配置する。また第二アームにT字型の係合爪を装着しておく。両アームを左右にスライド移動させるか、係合爪のみを移動させるかの手段により受けの長角孔に係合爪を挿入して施錠状態にし、扉を開けると第一アームと第二アームは連結ピンを中心に回転し、持ち上がりながらV字状に開き始め、係合爪と連結ピンと回転軸が一直線になる位置で扉の開放を規制する。
【選択図】 図1
【解決手段】ベース金具と第一アームと第二アームとを設け、第一アームをベース金具の上部に回転軸にて回動自在に装着する。さらに第一アームに第二アームを連結ピンで回動自在に連結する。回転軸は扉面と平行でかつ水平になるように配置する。また第二アームにT字型の係合爪を装着しておく。両アームを左右にスライド移動させるか、係合爪のみを移動させるかの手段により受けの長角孔に係合爪を挿入して施錠状態にし、扉を開けると第一アームと第二アームは連結ピンを中心に回転し、持ち上がりながらV字状に開き始め、係合爪と連結ピンと回転軸が一直線になる位置で扉の開放を規制する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はドアに面付けされる用心錠に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
用心錠は通常玄関や勝手口のドアの部屋内側に取り付けられ、不審者の外部からの侵入を防ぐために使用されるものであり、施錠状態で扉を外部の人の顔が見える程度開けることが出来、かつその状態で防犯性を有していることが特徴とされている。上記目的を果たすものとしては、従来から用心鎖とドアガードが最も多く使用されてきている。用心鎖は過去によく使用された用心錠であるが、鎖の先端に位置するつまみを指で持って受けの長孔に挿入するという比較的困難な操作が必要であり、現在では高齢者や障害者には不向きとされている。
【0003】
そのために現在では図15に示すように、水平方向にのみ回動自在に設けたU字型のアーム30を扉22に装着し、頭部にきのこ形状の突出部分32を有した受け12を枠体23に装着し、該アーム30を扉22と水平方向に直角に立ち上げた状態において扉22を開けると、受け12の突出部分32がアーム30のU字溝31に係合するように構成したドアガードが主流となっている。しかし上記のドアガードにおいても、受け12の突出部分32が開口部内側に突出し、ドアの最大開口寸法が狭くなると共に通行の際に衣服を受け12の突出部分32に引っ掛けたり、通行時に体が当たったりする問題や、施錠状態でU字型のアーム30がドア面に対して直角に立ち上がっているために大きな突起物状態となり、扉22に倒れこんだときなどに突き当たる危険性が指摘されている。
【0004】
受け12の突出部分32を枠体23側に押し込んだり回転させたりしてドアの開口部に突出させないようにした改良タイプのドアガードもあるが、施錠するためには受け12の操作とアーム30の操作の2回の操作を必要とするために操作性が良くなく、コスト面でもその分が割高になり完全に満足な製品とはいえない。
【0005】
このような問題点を解決しようとした他の方式のものとしては、アームを扉面に対して垂直方向にのみ回動自在に取り付け、扉が閉じた状態では吊り下がった状態にて保持されており、アーム下方先端に設けられた係合爪が受けの長孔に挿入された状態で扉を開けると、扉面に対して上下垂直方向にアームが回動しながら受けの長孔内を上方向に移動し、長孔の上端で係合爪が停止して扉の開放を制限する方式のものが実開平5−14455に報告されている。このアームが扉面に対して上下垂直方向に回動する基本動作を有したものとしては扉面に用心錠本体を面付けする方式では特開平9−137658や特開2000−204818、さらには本出願人による特開2002−021405が報告されている。
【特許文献1】実開平5−14455
【特許文献2】特開平9−137658
【特許文献3】特開2000−204818
【特許文献4】特開2002−021405
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の特開平9−137658は係合爪である小さな操作部材を指で摘んで受けの長孔に挿入する必要があり操作性において不十分と考えられる。また用心錠は施錠時に扉を開けた状態で外部の人の顔が見える程度の開き角度を確保することが必要とされており、特開平9−137658や特開2000−204818に記載の用心錠は前述のアームの扉に対する垂直の動きにて扉の開き角度を得る構造になっており、どうしても必要開放距離程度の長さを有したアームが必要となる。同時に一定の長さのアームであれば扉面に対するアームの回動する角度が直角に近づくほど大きな開き角度が得られるのであるが、そのためには係合爪が移動する上下の距離が大きくなり、長孔を含む受け自体を上下に長くする必要が生じ、本出願人による特開2002−021405も含めてどうしても全体がコンパクト性に欠けコスト高になりがちであり、デザイン面でも良くないという問題が残る。また用心錠を使用している状態で、扉を閉める動作中にアームの戻る位置に手や指を入れてしまうと、扉面とアームで鋏んでしまい怪我をする危険性もある。上記のような問題が残っているためか、前述の基本動作を有した構成の用心錠は未だ普及していないのが現状である。
【0007】
そこでさらに本出願人は2本のアームが直線方向に伸縮して重なり合う機構で、使用時に伸び、通常時は重なり合ってコンパクトな状態になるデザイン性に優れた構成を特開2002−106235に報告した。この構成の特徴としては係合爪の上下移動距離が比較的小さく、受けも錠本体と同じ程度にコンパクトにできる点が挙げられるが、アームを外側アームと内側アームの2本に分割して内外をスライドさせて伸縮させるために個々の部品の形状が複雑になり、加工工数も増加し、ばね等を含む部品点数も増え、コスト面で割高になるという問題点がまだ残っている。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、施解錠の操作性も良く、かつ通行の妨げになる突出部分も有さず、用心錠本体及び受け両方のコンパクト化が可能であり、さらに機構自体が単純で部品点数や加工工程も少なく、安価に生産可能な用心錠を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記目的を達成するために次の技術手段を講じた。まず箱型のベース金具と第一アームと第二アームを設け、第一アームの上部をベース金具の上部に回転軸にて回動自在に装着する。さらに第一アームの下部に第二アームの下部を連結ピンで回動自在に連結する。回転軸は扉面と平行でかつ水平になるように配置し、第一アームが扉面に対して上下垂直方向に、第二アームが連結ピンを中心に同様に扉面と上下垂直方向に回動するように構成する。
【0010】
このとき回転軸が上側になるようにベース金具を装着すると、第一アームは回転軸に吊り下がる状態になり、さらに第二アームが第一アームの下部位置から連なった状態にて構成されることになる。また第二アームの上部に受けと係合する先端にT字部分を有した係合爪を装着しておく。第一アームと第二アームは連結ピンで回動自在に連結されているのであるが、解錠時か扉が閉じている時には連結ピンは下側で、第二アームの係合爪が上側に位置し、第一アームと第二アームが折りたたまれて重なった状態でベース金具に納まるようにしておく。また第二アームの上部奥位置に弾性を有した湾曲部分を設けておき、両アームが完全に重なった状態で湾曲部分が回転軸に嵌り、軽い力でその状態を保持し、さらにはクリック感を持って着脱できるようにしておく。
【0011】
受けには均一な幅を有した長角孔を設け、この長角孔の幅は係合爪のT字部分の厚みよりも僅かにのみ広く設定しておき、長さは係合爪のT字部分の長手方向が十分通る程度の寸法に設定しておく。また受けは長角孔が上下方向になる配置で扉が閉じた時に錠本体と並んだ状態になるように両者を扉と枠体に面対させて装着する。したがって第二アームの係合爪は、正面視でT字になるように配置しておくとよい。また外開きのドアの場合は錠本体を扉に、受けを枠体に装着し、内開きの場合は逆に錠本体を枠体に、受けを扉に装着するとよい。
【0012】
防犯機構としては、第二アームの係合爪を受けの長角孔に挿入した状態が施錠状態であり、扉を開けた段階で第二アームが回転すると共に係合爪先端のT字部分の長角孔に対する角度が受け内で変わることで、受けから係合爪が抜けなくなる構成を採用する。
【0013】
この係合爪を受けの長角孔に出没させる係合手段としては、第二アーム上部側面に係合爪をT字部分が横向いた配置で完全に固定しておき、両アームを合わせた厚みよりもベース金具の左右方向の内寸を大きく設定しておき、重なった状態での第一アームと第二アームを両方同時に回転軸に沿って左右方向にスライド移動させる構成が簡単である。
【0014】
また別の手段としては、第二アームに対して係合爪のみを移動させることにより受けの長角孔に出没させる構成でもよい。この係合爪のみの移動手段では、両端にT字部分を有した形状の係合爪を第二アームに貫通した状態で両側面から突出させて扉面と平行に配置し、係合爪自体を直接左右方向に押し引きする構成と、係合爪を扉と平行な面上で回転可能なように第二アーム前面に操作つまみと連動させて装着し、操作つまみの回転操作で係合爪を受けの長角孔に出没させる構成が適している。
【0015】
さらに係合爪を長角孔に出没させる係合手段の実施の際に、樹脂の弾性やばねを利用して、扉の開閉や生活内での振動程度では勝手に移動せず、施錠位置と解錠位置を保持するようにしておくと、中途半端に係合爪が受けに挿入されることによる誤作動を防止することができ、施解錠の操作にクリック感をもたせることもできる。
【0016】
扉が閉じている状態で、いずれかの上記の係合手段を用いて係合爪を受けの長角孔に挿入すると施錠状態になる。この施錠状態から扉を開けると係合爪のT字部分から一段細くなっている凹部が受けに引っ掛かり、係合爪の位置は上下には大きく移動しないため、第一アームと第二アームは連結ピンを中心に回転し、連結ピン部分が持ち上がりながらV字状に開き始める。さらに扉を開けると両アームは、係合爪と連結ピンと回転軸が一直線になるまで位置まで持ち上がって停止し、その位置で扉の開放を規制することができることになる。
【0017】
防犯面では、扉の厚み面全体が枠体の厚み方向面から未だ完全に離れていない初期の段階で既に第一アームと第二アームはある程度V字状に開き、係合爪先端のT字部分が受けの長角孔から抜けない状態まで角度が変わるように設定しておくと確実な防犯性能を得ることができる。
【0018】
また扉を閉じていく段階では、第一アームと第二アームは両端部が係合爪と回転軸にぶら下がって保持されているだけであり、両アームの自重により連結ピン部分が下がり、V字が狭まりながら折りたたむように閉じていき、扉が完全に閉じた状態で元の位置に自然復帰する。
【0019】
第一アームと第二アームを折りたたんで重ね合わせる手段としては、板状でほぼ同形状の第一アームと第二アームを横に並べた状態にし、片端部を連結ピンで連結する構成が簡単である。この構成では外観としては箱型のベース金具の内側に同じ厚みの両アームが縦に並んだ意匠になり、受けとの係合手段は第二アーム上部側面に係合爪を直接固定しておき、前述の両アームを同時に横方向にスライド移動させて係合爪を長角孔に挿入する係合手段が適しており、部品点数の少ない安価な形態として構成することができる。
【0020】
また別の手段としては、第一アーム若しくは第二アームの少なくとも一方をコの字形状にて形成し、コの字の内部に他方のアームが入り込むようにして互いを連結ピンで連結する構成が考えられる。この構成では前記のようにアームが2枚とも前面に露出せずデザイン性を向上させることが可能である。また係合爪をコの字形状のアームに装着する場合においては、係合爪を側面方向に抜き差し可能とし、任意の向きに挿入後ねじ等でコの字の奥側から再度固定することも比較的簡単であり、左右勝手を施工時に変更することが可能になる。さらには係合爪のみを直接左右方向に押し引きしてスライド移動させる機構や、操作つまみを係合爪に連動させて回転操作により係合爪が回転して受けに出没する機構をアームのコの字部分内部に内蔵させることも可能であり、上記の場合はそのままで左右兼用にすることができる。
【0021】
本発明の用心錠では、防犯性を有した状態で扉を開けることができる寸法は第一アームと第二アームをほぼ真っ直ぐになるまで伸ばした距離になり、扉を閉じた状態では両アームは重なっているため錠本体のサイズを従来品の約半分程度にすることが可能となる。また係合爪の位置は上下移動しないため受けのサイズも非常に小さくてよいことになり、したがって全体的にコンパクトでデザイン性にも優れ、安価に生産可能な用心錠を提供することが可能になる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明に関する用心錠の実施の形態を説明する。図1〜図6は第一実施形態を示し、図1は扉22の戸先側に錠本体を、枠体23に受け12を装着し、扉22が閉じている解錠状態の斜視図である。図2は図1の状態から受け12と錠本体を係合させて施錠した後、扉22を最大に開放した状態を示す斜視図である。
【0023】
図1に示すように、まず箱型のベース金具1と板状で外形がほぼ同形状の第一アーム2と第二アーム3を設ける。次に第一アーム2の上部をベース金具1の上部に回転軸4で回動自在に連結し、このとき回転軸4は扉22面と平行かつ水平になるように配置しておく。したがって第一アーム2は扉22面に対して上下垂直方向に回動することになる。さらに第一アーム2の戸先向き側面に近接させた状態で第二アーム3を並べて配置し、第一アーム2の下部と第二アーム3の下部を連結ピン5で回動自在に連結する。すると第二アーム3も連結ピン5を中心として扉22面に対して上下垂直方向に回動することになる。
【0024】
図3は第二アーム3の側面図であり、下部に連結ピン5の挿入孔を設け、上部側面にT字部分7と凹部8と軸部9を有した係合爪6を完全に固定する。係合爪6は皿頭鋲の皿部分を軸部9の太さに沿って平行に切断した形状であり、皿部分の根元は一段細くした凹部8として形成しておく。したがって切断された皿部分がT字部分7になり、このT字部分7と軸部9の厚みは同じ寸法になる。さらに上部奥面に弾性を有した湾曲部分10を設けておく。この奥面の湾曲部分10に弾性を持たせる一手段としては、第二アーム3を金属の板材とその板材全体に被せるような樹脂の化粧カバーにて構成し、湾曲部分10は樹脂のみで形成すると簡単であり、その場合係合爪6は金属の部分に固定しておくと良い。上記の金属板と樹脂カバーによる構成は両アームの擦れや音なりを防止する意味でも効果的であり、表面処理を削減できる利点も兼ね備えており、両アームだけでなくベース金具1や受け12にも樹脂カバーを被せても良い。
【0025】
図4は扉22を閉じた状態の側面図であり、両アームは完全に重なって並んでベース金具1に納まり、第二アーム3の湾曲部分10の弾性で回転軸4に嵌め込まれており、前後方向には適度な力で外れないように保持されている。以上のようにベース金具1と第一アーム2と係合爪6を固定した第二アーム3を回転軸4と連結ピン5で組付けて錠本体を構成し、ベース金具1奥面の錠本体取り付け孔11にて扉22面にねじで固定する。
【0026】
次に長角孔13を有した受け12を設け、長角孔13の長手方向が上下になり、係合爪6の先端と面対する配置で枠体23に装着する。このとき長角孔13の幅は係合爪6の厚みよりも僅かにのみ広くしておき、上下方向の長さは係合爪6先端のT字部分7の長さよりある程度長く設定しておく。機能としては係合爪6のT字部分7が長角孔13に入りさえすればよいのであるが、上下方向の長さをある程度余分に長くしておくと、施工時に受け12と錠本体の上下位置に建付け誤差が生じても係合爪6は出没できることになり、予想される建付けのばらつき寸法分をあらかじめ長くしておくと上下方向の建付け調整をなくすことが可能になる。
【0027】
図5は錠本体と受け12を並べて装着した状態の正面図であり、係合爪6は正面視でT字部分7が横を向いた状態で第二アーム3の戸先向き側面に固定する。また係合爪6の前後位置はベース金具1側面の前面よりさらに前側になるように配置しておく。図5(a)は解錠状態を、図5(b)は施錠状態を示しており、2枚並んで重なっている第一アーム2と第二アーム3を合わせた厚みよりも、ベース金具1の箱型の左右方向の内寸を一定寸法だけ大きく設定し、両アームの横側にスペースを有した状態にしておく。また両アームが吊元側に最も寄った図5(a)の位置で、係合爪6の先端は受け12の長角孔13と僅かな距離をおいて面対するように錠本体と受け12を配置する。また錠本体取り付け孔11を左右方向に長孔にしておくと、施工時に左右位置を微調整することができ建付け調整として有効である。
【0028】
図5(a)の状態から両アームを戸先側にスライドさせると図5(b)の位置に移動し、このとき係合爪6の先端のT字部分7が長角孔13を通して受け12内に挿入する。このスライド移動のストロークはベース金具1の左右方向の内寸と両アームを合わせた厚みの差になり、係合爪6が受け12内に適切に挿入できるようにこのストロークを設定しておくと良い。
【0029】
またベース金具1の上部内面に弾性を有した突起14を設け、第一アーム2と第二アーム3の上端部に溝状のへこみ部分15を設けておく。すると両アームを同時に左右方向にスライド移動させる際に、図5(a)と図5(b)に示す両端の位置で突起14がへこみ部分15に嵌りその位置を保持することができる。この保持力は通常の扉22の開閉や、生活内での振動等で移動しない程度の軽い力でよく、誤作動を防止できると共にスライド操作にクリック感を与えることでも有効である。
【0030】
図5(b)に示す施錠状態から扉22を開けた時の初期段階と最終段階の側面図を図6に示す。図6(a)は扉22を開けた初期の段階を、図6(b)は最大に開放して停止した図2と同じ段階を示している。まず扉22の開放と同時に受け12の長角孔13に係合爪6の凹部8が引っ掛かり、第二アーム3が引っ張られて弾性にて保持されている湾曲部分10が回転軸4から外れ、ついで第一アーム2も連結ピン5に引っ張られて回転軸4を中心に回転しながらベース金具1から徐々に離れていく動作になる。回転軸4と係合爪6の位置は上下方向にはほとんど移動しないため、連結ピン5の位置が持ち上がりながら両アームは回転してV字状に広がっていく。その結果係合爪6も第二アーム3と共に回転し、T字部分7の長角孔13に対する角度が変わり、受け12から係合爪6が抜けなくなり用心錠としての防犯機能を有することになる。
【0031】
図6(a)は、扉22の厚み面全体が枠体23の厚み面から完全に離脱していない、扉22を僅かに開いた段階を示しており、既に係合爪6の角度は長角孔13からは抜けない程度に変わっており、十分な防犯性を有していると考えられる。また係合爪6のT字部分7の長さを延長させるとさらに小さい扉22の開き角度でも係合爪6は抜けなくなり、より防犯性能を高めることも簡単である。
【0032】
図6(a)の状態からさらに扉22を開放すると、両アームによるV字がさらに広がり、係合爪6と連結ピン5と回転軸4が一直線になる図6(b)の位置で停止し、この位置で扉22の開放を規制することができる。図6(b)の状態では両アームは両端位置である回転軸4と係合爪6により保持されているだけであり、扉22を閉じると両アームの自重により自然に連結ピン5部分が下がり、V字は狭まりながら扉22が完全に閉じた状態で元の位置に自然復帰することになる。
【0033】
ここで、扉22が開くと共に第一アーム2は上方向に回転するのであるが、図6(a)の段階で既に第二アーム3は完全にベース金具1から離脱しているため、さらに扉22を開く段階で第一アーム2が回転軸4上を滑って図5(b)の位置よりもさらにベース金具1の戸先側に寄ってしまうことが考えられる。そうなると扉22を閉じる際の両アームが折りたたまれる動作中に第二アーム3がベース金具1の戸先側の側面前部に当接してしまうことになる。したがって図5に示すようにベース金具1の上部中央部分を第一アーム2の厚みより僅かに広く切り欠いておくと、扉22を開けたときに第一アーム2はその切り欠き部分に挿入するため戸先方向には移動せず、スムーズな復帰動作が得られることになる。
【0034】
第一実施形態では錠本体と受け12を外開きのドアに装着した状態で図示したために錠本体を扉22面に、受を枠体23に装着した図になっているが、内開きのドアの場合は逆に、錠本体を枠体23に、受け12を扉22面に装着するとよく、内開き外開きはそのままで兼用できることになる。ただ内開きの場合には係合爪6と長角孔13を面対させる時の前後方向の位置が外開きの場合と異なることが予想されるため、そのような場合では受け12の長角孔13の前後位置を適宜調整して対応すると良い。
【0035】
次に本発明の第二実施形態を図7〜図10に基づいて説明する。図7は解錠状態の斜視図であり、図8は用心錠を施錠し扉22を最大に開放した状態の斜視図であり、図9は図8と同じ状態の側面図である。両アームの左右スライド移動による係合爪6と受け12との係合手段や、開閉時の両アームの動作は第一実施形態と全く同様であるが、第二実施形態では第二アーム3をコの字形状にて形成し、コの字の内側に第一アーム2が嵌り込んで互いが重なり合って折りたたむ構成にした点が第一実施形態と異なる。
【0036】
第二実施形態では第一アーム2がコの字形状の第二アーム3の中央位置に内蔵されるため、第二アーム3に装着される係合爪6の位置を逆側面に取り付けることにより左右勝手が変えられる点が重要である。図10は第二アーム3の上部位置にて係合爪6を抜き差しして左右兼用にする構成での第二アーム3を奥側から見た正面図である。
【0037】
図10に示すようにコの字形状の第二アーム3の上部両側面に角孔16をあける。また第二実施形態での係合爪6は第一実施形態と同様であっても良いが、別の形状として厚めの金属の板材を抜き加工したような平坦な形状にて形成すると加工が容易であり、先端からT字部分7と凹部8と軸部9を設けておく。したがって係合爪6の軸部9は板角状になり、さらに軸部9に雌ねじ部17を備えておく。また係合爪6の凹部8に受け12が引っ掛かり回転しやすいように、凹部8の角をR状か多角形状に面取りしておくとよい。さらに前記第二アーム3側面の角孔16と係合爪6の軸部9の形状を合わせておき、角孔16に軸部9を差し込めるようにしておく。
【0038】
次に係合爪6の軸部9の終端がコの字の第二アーム3の外側面と面一になるまで差し込み、コの字の奥側から係合爪固定ねじ18で係合爪6の雌ねじ部17に螺合する。その結果係合爪固定ねじ18の先端が第二アーム3のコの字の奥面に当接し、突っ張った状態で係合爪6を固定できることになる。したがって係合爪固定ねじ18は頭部がなるべく小さなものがよく、虫ねじ等が優れており、第二アーム3のコの字部分の内寸はドライバーの先が入る程度に設定しておく必要がある。
【0039】
左右勝手の変更は、係合爪固定ねじ18を抜いて係合爪6自体を第二アーム3から取り外し、第二アーム3の逆側面から差し込んで再度係合爪固定ねじ18で固定するだけの極簡単な作業にて可能であり、第二アーム3をコの字形状にしてその内部を利用した点が効果的であるといえる。また図7に示すように通常時においては、第一アーム2は第二アーム3内に完全に内蔵されており、デザイン面でもシンプルなイメージを出すことができる。
【0040】
次に本発明の第三実施形態を図11と図12に基づいて説明する。第三実施形態においても両アームが折りたたんで重なる動作は第一実施形態や第二実施形態と同様である。異なる点は、係合爪6を装着した両アーム全体を左右方向にスライド移動させて受け12に係合爪6を出没させる係合手段ではなく、第二アーム3に対して係合爪6のみを左右方向にスライド移動させて受け12に係合爪6を出没させる係合手段を採用したことである。
【0041】
図11は第三実施形態の解錠状態の斜視図であり、図12は係合爪6の左右スライド移動を示す錠本体の正面図である。係合爪6は両端にT字部分7と凹部8を設け、中央部分を軸部9で連続させた形状にし、第二アーム3上部側面に貫通させて両側面から係合爪6のT字部分7と凹部8が突出した状態で装着する。したがって第二アーム3は第二実施形態に類似したコの字形状が適している。また図12に示すように係合爪6が左右に必要ストロークのみスライド移動可能なように軸部9の長さを設定し、軸部9の面部分と第二アーム3の奥面とに樹脂の弾性等を利用した突起とへこみ部分の嵌め合わせ機構を付加し、両端の位置にて軽い力で保持し、さらに移動時のクリック感も有するように構成しておく。
【0042】
図11に示すように、係合爪6が吊元側に大きく突出している状態が解錠状態であり、吊元側の係合爪6のT字部分7先端を押込むことにより、受け12の長角孔13に係合爪6の戸先側のT字部分7が挿入し施錠状態になる。また押込んだ吊元側の係合爪6の凹部8を指で引っ掛けて吊元側に引っ張って受け12からT字部分7を脱出させることで解錠できることになる。したがって第三実施形態においては係合爪6を一旦抜いて差し替える必要さえなく完全な左右兼用が可能となる。しかし比較的小さな係合爪6を指で押し引きして操作するのは操作性という点で不満足な部分が残る。そこで施工が完了し左右勝手が決まった段階で、受け12に出没しない押し引きする側のT字部分7と凹部8に、図12に示すような大き目の樹脂製の操作つまみ19を嵌め込んで被せることにより操作性を向上させることができる。
【0043】
次に本発明の第四実施形態を図13と図14に基づいて説明する。図13は第四実施形態の正面図であり、図14は側面図である。第四実施形態においても両アームが折りたたんで重なる動作は第一実施形態や第二実施形態と同様であり、また第三実施形態のように係合手段として係合爪6のみを移動させる点も同じであるが、異なる点は係合爪6のみを受け12に出没させる係合手段に係合爪6の回転動作を採用したことである。
【0044】
第四実施形態では図13に示すように、係合爪6の軸部9と第二アーム3の上部前面に設けた操作つまみ19の連結軸20を第二アーム3の上部正面を貫通させて扉22と平行な面上で回転可能なように固定する。したがってやはり第二アーム3はコの字形状のものが適しており、第二アーム3のコの字の内寸を第二実施形態や第三実施形態よりもさらに広く設定しておくと良い。また図14に示すように、係合爪6が回転する第二アーム3の上部両側面を切り欠いておく。係合爪6のT字部分7先端が上向きの位置が解錠状態であり、操作つまみ19を90°回転させると係合爪6が連動してT字部分7が受け12の長角孔13から挿入し施錠状態になる。係合爪6を上向きの解錠状態から左右両方向に90°づつ回転できるようにしておくと、そのままで左右兼用にすることが可能である。
【0045】
また図13に示すように操作つまみ19の連結軸20の一部分を四角形状にし、第二アーム3内部で連結軸20の四角部分を抱き込むように板ばね21を組み込んでおくと、90°の回転操作の真中の段階である45°の位置を境にどちらかに付勢する動作が得られ、受け12の長角孔13に中途半端に係合爪6のT字部分7が挿入した状態で止まることもなく、誤動作を防止することができる。操作つまみ19の形状は任意であり、大き目のサムターンのような操作つまみ19にすると持ちやすく、さらに板ばね21により付勢された非常に操作感覚の良い構成が実現できることになる。
【0046】
【発明の効果】
従来の用心錠のアームを第一アームと第二アームに分離して両者を回転可能なように連結することにより、通常時は折りたたんだ状態でベース金具内に納めることができ、使用時には両アームがV字状に開きながら伸びて全体の長さを有効に使えることになり、錠本体全体をコンパクトでデザイン的にも優れた構成にすることができる。
【0047】
施錠状態からの扉の開閉動作中においても、第二アームに装着した係合爪の位置は上下方向にはほとんど移動しないため、長角孔は短くてよく、したがって受け全体のサイズも非常にコンパクトにすることができる。
【0048】
解錠時には係合爪は扉の開口部分には突出していないため通行の邪魔になることもなく、両アームを左右にスライド移動させるか、係合爪を左右に押し引きするか、操作つまみを回転させるかのいずれかの一動作で錠本体と受けを係合できるため非常に操作性が優れている。
【0049】
第二実施形態においては係合爪を抜き差しして、再度係合爪固定ねじで固定するだけで左右勝手が兼用でき、第三実施形態では係合爪自体を左右にスライド移動させるためにそのままで左右勝手が兼用にでき、さらに第四実施形態ではそのままで左右兼用であり、別途操作つまみを用いることによりさらに操作感覚が優れた構成にすることができる。
【0050】
全ての実施形態に共通して、主要な部材はベース金具と第一アームと第二アームと受けのみで、部品点数が少ないことが最大の特徴であり、ベース金具と両アームは板を抜いただけの形状か単純なコの字曲げ形状のため個々の部品の加工工程も削減できる構成になっており、非常に製造が容易でかつ組立も簡単であり、したがって低コストにて提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態の、解錠状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態の、施錠後に扉を開放した状態の斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態の、第二アームの側面図である。
【図4】本発明の第一実施形態の、扉が閉じた状態の側面図である。
【図5】本発明の第一実施形態の、両アームの左右移動による係合爪の受けへの出没動作を示す正面図である。
【図6】本発明の第一実施形態の、施錠状態で扉を開放した時の両アームの軌跡を示す側面図である。
【図7】本発明の第二実施形態の、解錠状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第二実施形態の、施錠後に扉を開放した状態の斜視図である。
【図9】本発明の第二実施形態の、施錠後に扉を開放した状態の側面図である。
【図10】本発明の第二実施形態の、係合爪を抜き差しする左右勝手兼用の構成を有した第二アームを奥面から見た正面図である。
【図11】本発明の第三実施形態の、解錠状態を示す斜視図である。
【図12】本発明の第三実施形態の、錠本体の正面図である。
【図13】本発明の第四実施形態の、係合爪の回転移動を示す正面図である。
【図14】本発明の第四実施形態の、扉が閉じた状態の側面図である。
【図15】従来のドアガードの斜視図である。
【符号の説明】
1 ベース金具
2 第一アーム
3 第二アーム
4 回転軸
5 連結ピン
6 係合爪
7 T字部分
8 凹部
9 軸部
10 湾曲部分
11 錠本体取り付け孔
12 受け
13 長角孔
14 突起
15 へこみ部分
16 角孔
17 雌ねじ部
18 係合爪固定ねじ
19 操作つまみ
20 連結軸
21 板ばね
22 扉
23 枠体
30 アーム
31 U字溝
32 突出部分
【発明の属する技術分野】
本発明はドアに面付けされる用心錠に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
用心錠は通常玄関や勝手口のドアの部屋内側に取り付けられ、不審者の外部からの侵入を防ぐために使用されるものであり、施錠状態で扉を外部の人の顔が見える程度開けることが出来、かつその状態で防犯性を有していることが特徴とされている。上記目的を果たすものとしては、従来から用心鎖とドアガードが最も多く使用されてきている。用心鎖は過去によく使用された用心錠であるが、鎖の先端に位置するつまみを指で持って受けの長孔に挿入するという比較的困難な操作が必要であり、現在では高齢者や障害者には不向きとされている。
【0003】
そのために現在では図15に示すように、水平方向にのみ回動自在に設けたU字型のアーム30を扉22に装着し、頭部にきのこ形状の突出部分32を有した受け12を枠体23に装着し、該アーム30を扉22と水平方向に直角に立ち上げた状態において扉22を開けると、受け12の突出部分32がアーム30のU字溝31に係合するように構成したドアガードが主流となっている。しかし上記のドアガードにおいても、受け12の突出部分32が開口部内側に突出し、ドアの最大開口寸法が狭くなると共に通行の際に衣服を受け12の突出部分32に引っ掛けたり、通行時に体が当たったりする問題や、施錠状態でU字型のアーム30がドア面に対して直角に立ち上がっているために大きな突起物状態となり、扉22に倒れこんだときなどに突き当たる危険性が指摘されている。
【0004】
受け12の突出部分32を枠体23側に押し込んだり回転させたりしてドアの開口部に突出させないようにした改良タイプのドアガードもあるが、施錠するためには受け12の操作とアーム30の操作の2回の操作を必要とするために操作性が良くなく、コスト面でもその分が割高になり完全に満足な製品とはいえない。
【0005】
このような問題点を解決しようとした他の方式のものとしては、アームを扉面に対して垂直方向にのみ回動自在に取り付け、扉が閉じた状態では吊り下がった状態にて保持されており、アーム下方先端に設けられた係合爪が受けの長孔に挿入された状態で扉を開けると、扉面に対して上下垂直方向にアームが回動しながら受けの長孔内を上方向に移動し、長孔の上端で係合爪が停止して扉の開放を制限する方式のものが実開平5−14455に報告されている。このアームが扉面に対して上下垂直方向に回動する基本動作を有したものとしては扉面に用心錠本体を面付けする方式では特開平9−137658や特開2000−204818、さらには本出願人による特開2002−021405が報告されている。
【特許文献1】実開平5−14455
【特許文献2】特開平9−137658
【特許文献3】特開2000−204818
【特許文献4】特開2002−021405
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の特開平9−137658は係合爪である小さな操作部材を指で摘んで受けの長孔に挿入する必要があり操作性において不十分と考えられる。また用心錠は施錠時に扉を開けた状態で外部の人の顔が見える程度の開き角度を確保することが必要とされており、特開平9−137658や特開2000−204818に記載の用心錠は前述のアームの扉に対する垂直の動きにて扉の開き角度を得る構造になっており、どうしても必要開放距離程度の長さを有したアームが必要となる。同時に一定の長さのアームであれば扉面に対するアームの回動する角度が直角に近づくほど大きな開き角度が得られるのであるが、そのためには係合爪が移動する上下の距離が大きくなり、長孔を含む受け自体を上下に長くする必要が生じ、本出願人による特開2002−021405も含めてどうしても全体がコンパクト性に欠けコスト高になりがちであり、デザイン面でも良くないという問題が残る。また用心錠を使用している状態で、扉を閉める動作中にアームの戻る位置に手や指を入れてしまうと、扉面とアームで鋏んでしまい怪我をする危険性もある。上記のような問題が残っているためか、前述の基本動作を有した構成の用心錠は未だ普及していないのが現状である。
【0007】
そこでさらに本出願人は2本のアームが直線方向に伸縮して重なり合う機構で、使用時に伸び、通常時は重なり合ってコンパクトな状態になるデザイン性に優れた構成を特開2002−106235に報告した。この構成の特徴としては係合爪の上下移動距離が比較的小さく、受けも錠本体と同じ程度にコンパクトにできる点が挙げられるが、アームを外側アームと内側アームの2本に分割して内外をスライドさせて伸縮させるために個々の部品の形状が複雑になり、加工工数も増加し、ばね等を含む部品点数も増え、コスト面で割高になるという問題点がまだ残っている。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、施解錠の操作性も良く、かつ通行の妨げになる突出部分も有さず、用心錠本体及び受け両方のコンパクト化が可能であり、さらに機構自体が単純で部品点数や加工工程も少なく、安価に生産可能な用心錠を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記目的を達成するために次の技術手段を講じた。まず箱型のベース金具と第一アームと第二アームを設け、第一アームの上部をベース金具の上部に回転軸にて回動自在に装着する。さらに第一アームの下部に第二アームの下部を連結ピンで回動自在に連結する。回転軸は扉面と平行でかつ水平になるように配置し、第一アームが扉面に対して上下垂直方向に、第二アームが連結ピンを中心に同様に扉面と上下垂直方向に回動するように構成する。
【0010】
このとき回転軸が上側になるようにベース金具を装着すると、第一アームは回転軸に吊り下がる状態になり、さらに第二アームが第一アームの下部位置から連なった状態にて構成されることになる。また第二アームの上部に受けと係合する先端にT字部分を有した係合爪を装着しておく。第一アームと第二アームは連結ピンで回動自在に連結されているのであるが、解錠時か扉が閉じている時には連結ピンは下側で、第二アームの係合爪が上側に位置し、第一アームと第二アームが折りたたまれて重なった状態でベース金具に納まるようにしておく。また第二アームの上部奥位置に弾性を有した湾曲部分を設けておき、両アームが完全に重なった状態で湾曲部分が回転軸に嵌り、軽い力でその状態を保持し、さらにはクリック感を持って着脱できるようにしておく。
【0011】
受けには均一な幅を有した長角孔を設け、この長角孔の幅は係合爪のT字部分の厚みよりも僅かにのみ広く設定しておき、長さは係合爪のT字部分の長手方向が十分通る程度の寸法に設定しておく。また受けは長角孔が上下方向になる配置で扉が閉じた時に錠本体と並んだ状態になるように両者を扉と枠体に面対させて装着する。したがって第二アームの係合爪は、正面視でT字になるように配置しておくとよい。また外開きのドアの場合は錠本体を扉に、受けを枠体に装着し、内開きの場合は逆に錠本体を枠体に、受けを扉に装着するとよい。
【0012】
防犯機構としては、第二アームの係合爪を受けの長角孔に挿入した状態が施錠状態であり、扉を開けた段階で第二アームが回転すると共に係合爪先端のT字部分の長角孔に対する角度が受け内で変わることで、受けから係合爪が抜けなくなる構成を採用する。
【0013】
この係合爪を受けの長角孔に出没させる係合手段としては、第二アーム上部側面に係合爪をT字部分が横向いた配置で完全に固定しておき、両アームを合わせた厚みよりもベース金具の左右方向の内寸を大きく設定しておき、重なった状態での第一アームと第二アームを両方同時に回転軸に沿って左右方向にスライド移動させる構成が簡単である。
【0014】
また別の手段としては、第二アームに対して係合爪のみを移動させることにより受けの長角孔に出没させる構成でもよい。この係合爪のみの移動手段では、両端にT字部分を有した形状の係合爪を第二アームに貫通した状態で両側面から突出させて扉面と平行に配置し、係合爪自体を直接左右方向に押し引きする構成と、係合爪を扉と平行な面上で回転可能なように第二アーム前面に操作つまみと連動させて装着し、操作つまみの回転操作で係合爪を受けの長角孔に出没させる構成が適している。
【0015】
さらに係合爪を長角孔に出没させる係合手段の実施の際に、樹脂の弾性やばねを利用して、扉の開閉や生活内での振動程度では勝手に移動せず、施錠位置と解錠位置を保持するようにしておくと、中途半端に係合爪が受けに挿入されることによる誤作動を防止することができ、施解錠の操作にクリック感をもたせることもできる。
【0016】
扉が閉じている状態で、いずれかの上記の係合手段を用いて係合爪を受けの長角孔に挿入すると施錠状態になる。この施錠状態から扉を開けると係合爪のT字部分から一段細くなっている凹部が受けに引っ掛かり、係合爪の位置は上下には大きく移動しないため、第一アームと第二アームは連結ピンを中心に回転し、連結ピン部分が持ち上がりながらV字状に開き始める。さらに扉を開けると両アームは、係合爪と連結ピンと回転軸が一直線になるまで位置まで持ち上がって停止し、その位置で扉の開放を規制することができることになる。
【0017】
防犯面では、扉の厚み面全体が枠体の厚み方向面から未だ完全に離れていない初期の段階で既に第一アームと第二アームはある程度V字状に開き、係合爪先端のT字部分が受けの長角孔から抜けない状態まで角度が変わるように設定しておくと確実な防犯性能を得ることができる。
【0018】
また扉を閉じていく段階では、第一アームと第二アームは両端部が係合爪と回転軸にぶら下がって保持されているだけであり、両アームの自重により連結ピン部分が下がり、V字が狭まりながら折りたたむように閉じていき、扉が完全に閉じた状態で元の位置に自然復帰する。
【0019】
第一アームと第二アームを折りたたんで重ね合わせる手段としては、板状でほぼ同形状の第一アームと第二アームを横に並べた状態にし、片端部を連結ピンで連結する構成が簡単である。この構成では外観としては箱型のベース金具の内側に同じ厚みの両アームが縦に並んだ意匠になり、受けとの係合手段は第二アーム上部側面に係合爪を直接固定しておき、前述の両アームを同時に横方向にスライド移動させて係合爪を長角孔に挿入する係合手段が適しており、部品点数の少ない安価な形態として構成することができる。
【0020】
また別の手段としては、第一アーム若しくは第二アームの少なくとも一方をコの字形状にて形成し、コの字の内部に他方のアームが入り込むようにして互いを連結ピンで連結する構成が考えられる。この構成では前記のようにアームが2枚とも前面に露出せずデザイン性を向上させることが可能である。また係合爪をコの字形状のアームに装着する場合においては、係合爪を側面方向に抜き差し可能とし、任意の向きに挿入後ねじ等でコの字の奥側から再度固定することも比較的簡単であり、左右勝手を施工時に変更することが可能になる。さらには係合爪のみを直接左右方向に押し引きしてスライド移動させる機構や、操作つまみを係合爪に連動させて回転操作により係合爪が回転して受けに出没する機構をアームのコの字部分内部に内蔵させることも可能であり、上記の場合はそのままで左右兼用にすることができる。
【0021】
本発明の用心錠では、防犯性を有した状態で扉を開けることができる寸法は第一アームと第二アームをほぼ真っ直ぐになるまで伸ばした距離になり、扉を閉じた状態では両アームは重なっているため錠本体のサイズを従来品の約半分程度にすることが可能となる。また係合爪の位置は上下移動しないため受けのサイズも非常に小さくてよいことになり、したがって全体的にコンパクトでデザイン性にも優れ、安価に生産可能な用心錠を提供することが可能になる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明に関する用心錠の実施の形態を説明する。図1〜図6は第一実施形態を示し、図1は扉22の戸先側に錠本体を、枠体23に受け12を装着し、扉22が閉じている解錠状態の斜視図である。図2は図1の状態から受け12と錠本体を係合させて施錠した後、扉22を最大に開放した状態を示す斜視図である。
【0023】
図1に示すように、まず箱型のベース金具1と板状で外形がほぼ同形状の第一アーム2と第二アーム3を設ける。次に第一アーム2の上部をベース金具1の上部に回転軸4で回動自在に連結し、このとき回転軸4は扉22面と平行かつ水平になるように配置しておく。したがって第一アーム2は扉22面に対して上下垂直方向に回動することになる。さらに第一アーム2の戸先向き側面に近接させた状態で第二アーム3を並べて配置し、第一アーム2の下部と第二アーム3の下部を連結ピン5で回動自在に連結する。すると第二アーム3も連結ピン5を中心として扉22面に対して上下垂直方向に回動することになる。
【0024】
図3は第二アーム3の側面図であり、下部に連結ピン5の挿入孔を設け、上部側面にT字部分7と凹部8と軸部9を有した係合爪6を完全に固定する。係合爪6は皿頭鋲の皿部分を軸部9の太さに沿って平行に切断した形状であり、皿部分の根元は一段細くした凹部8として形成しておく。したがって切断された皿部分がT字部分7になり、このT字部分7と軸部9の厚みは同じ寸法になる。さらに上部奥面に弾性を有した湾曲部分10を設けておく。この奥面の湾曲部分10に弾性を持たせる一手段としては、第二アーム3を金属の板材とその板材全体に被せるような樹脂の化粧カバーにて構成し、湾曲部分10は樹脂のみで形成すると簡単であり、その場合係合爪6は金属の部分に固定しておくと良い。上記の金属板と樹脂カバーによる構成は両アームの擦れや音なりを防止する意味でも効果的であり、表面処理を削減できる利点も兼ね備えており、両アームだけでなくベース金具1や受け12にも樹脂カバーを被せても良い。
【0025】
図4は扉22を閉じた状態の側面図であり、両アームは完全に重なって並んでベース金具1に納まり、第二アーム3の湾曲部分10の弾性で回転軸4に嵌め込まれており、前後方向には適度な力で外れないように保持されている。以上のようにベース金具1と第一アーム2と係合爪6を固定した第二アーム3を回転軸4と連結ピン5で組付けて錠本体を構成し、ベース金具1奥面の錠本体取り付け孔11にて扉22面にねじで固定する。
【0026】
次に長角孔13を有した受け12を設け、長角孔13の長手方向が上下になり、係合爪6の先端と面対する配置で枠体23に装着する。このとき長角孔13の幅は係合爪6の厚みよりも僅かにのみ広くしておき、上下方向の長さは係合爪6先端のT字部分7の長さよりある程度長く設定しておく。機能としては係合爪6のT字部分7が長角孔13に入りさえすればよいのであるが、上下方向の長さをある程度余分に長くしておくと、施工時に受け12と錠本体の上下位置に建付け誤差が生じても係合爪6は出没できることになり、予想される建付けのばらつき寸法分をあらかじめ長くしておくと上下方向の建付け調整をなくすことが可能になる。
【0027】
図5は錠本体と受け12を並べて装着した状態の正面図であり、係合爪6は正面視でT字部分7が横を向いた状態で第二アーム3の戸先向き側面に固定する。また係合爪6の前後位置はベース金具1側面の前面よりさらに前側になるように配置しておく。図5(a)は解錠状態を、図5(b)は施錠状態を示しており、2枚並んで重なっている第一アーム2と第二アーム3を合わせた厚みよりも、ベース金具1の箱型の左右方向の内寸を一定寸法だけ大きく設定し、両アームの横側にスペースを有した状態にしておく。また両アームが吊元側に最も寄った図5(a)の位置で、係合爪6の先端は受け12の長角孔13と僅かな距離をおいて面対するように錠本体と受け12を配置する。また錠本体取り付け孔11を左右方向に長孔にしておくと、施工時に左右位置を微調整することができ建付け調整として有効である。
【0028】
図5(a)の状態から両アームを戸先側にスライドさせると図5(b)の位置に移動し、このとき係合爪6の先端のT字部分7が長角孔13を通して受け12内に挿入する。このスライド移動のストロークはベース金具1の左右方向の内寸と両アームを合わせた厚みの差になり、係合爪6が受け12内に適切に挿入できるようにこのストロークを設定しておくと良い。
【0029】
またベース金具1の上部内面に弾性を有した突起14を設け、第一アーム2と第二アーム3の上端部に溝状のへこみ部分15を設けておく。すると両アームを同時に左右方向にスライド移動させる際に、図5(a)と図5(b)に示す両端の位置で突起14がへこみ部分15に嵌りその位置を保持することができる。この保持力は通常の扉22の開閉や、生活内での振動等で移動しない程度の軽い力でよく、誤作動を防止できると共にスライド操作にクリック感を与えることでも有効である。
【0030】
図5(b)に示す施錠状態から扉22を開けた時の初期段階と最終段階の側面図を図6に示す。図6(a)は扉22を開けた初期の段階を、図6(b)は最大に開放して停止した図2と同じ段階を示している。まず扉22の開放と同時に受け12の長角孔13に係合爪6の凹部8が引っ掛かり、第二アーム3が引っ張られて弾性にて保持されている湾曲部分10が回転軸4から外れ、ついで第一アーム2も連結ピン5に引っ張られて回転軸4を中心に回転しながらベース金具1から徐々に離れていく動作になる。回転軸4と係合爪6の位置は上下方向にはほとんど移動しないため、連結ピン5の位置が持ち上がりながら両アームは回転してV字状に広がっていく。その結果係合爪6も第二アーム3と共に回転し、T字部分7の長角孔13に対する角度が変わり、受け12から係合爪6が抜けなくなり用心錠としての防犯機能を有することになる。
【0031】
図6(a)は、扉22の厚み面全体が枠体23の厚み面から完全に離脱していない、扉22を僅かに開いた段階を示しており、既に係合爪6の角度は長角孔13からは抜けない程度に変わっており、十分な防犯性を有していると考えられる。また係合爪6のT字部分7の長さを延長させるとさらに小さい扉22の開き角度でも係合爪6は抜けなくなり、より防犯性能を高めることも簡単である。
【0032】
図6(a)の状態からさらに扉22を開放すると、両アームによるV字がさらに広がり、係合爪6と連結ピン5と回転軸4が一直線になる図6(b)の位置で停止し、この位置で扉22の開放を規制することができる。図6(b)の状態では両アームは両端位置である回転軸4と係合爪6により保持されているだけであり、扉22を閉じると両アームの自重により自然に連結ピン5部分が下がり、V字は狭まりながら扉22が完全に閉じた状態で元の位置に自然復帰することになる。
【0033】
ここで、扉22が開くと共に第一アーム2は上方向に回転するのであるが、図6(a)の段階で既に第二アーム3は完全にベース金具1から離脱しているため、さらに扉22を開く段階で第一アーム2が回転軸4上を滑って図5(b)の位置よりもさらにベース金具1の戸先側に寄ってしまうことが考えられる。そうなると扉22を閉じる際の両アームが折りたたまれる動作中に第二アーム3がベース金具1の戸先側の側面前部に当接してしまうことになる。したがって図5に示すようにベース金具1の上部中央部分を第一アーム2の厚みより僅かに広く切り欠いておくと、扉22を開けたときに第一アーム2はその切り欠き部分に挿入するため戸先方向には移動せず、スムーズな復帰動作が得られることになる。
【0034】
第一実施形態では錠本体と受け12を外開きのドアに装着した状態で図示したために錠本体を扉22面に、受を枠体23に装着した図になっているが、内開きのドアの場合は逆に、錠本体を枠体23に、受け12を扉22面に装着するとよく、内開き外開きはそのままで兼用できることになる。ただ内開きの場合には係合爪6と長角孔13を面対させる時の前後方向の位置が外開きの場合と異なることが予想されるため、そのような場合では受け12の長角孔13の前後位置を適宜調整して対応すると良い。
【0035】
次に本発明の第二実施形態を図7〜図10に基づいて説明する。図7は解錠状態の斜視図であり、図8は用心錠を施錠し扉22を最大に開放した状態の斜視図であり、図9は図8と同じ状態の側面図である。両アームの左右スライド移動による係合爪6と受け12との係合手段や、開閉時の両アームの動作は第一実施形態と全く同様であるが、第二実施形態では第二アーム3をコの字形状にて形成し、コの字の内側に第一アーム2が嵌り込んで互いが重なり合って折りたたむ構成にした点が第一実施形態と異なる。
【0036】
第二実施形態では第一アーム2がコの字形状の第二アーム3の中央位置に内蔵されるため、第二アーム3に装着される係合爪6の位置を逆側面に取り付けることにより左右勝手が変えられる点が重要である。図10は第二アーム3の上部位置にて係合爪6を抜き差しして左右兼用にする構成での第二アーム3を奥側から見た正面図である。
【0037】
図10に示すようにコの字形状の第二アーム3の上部両側面に角孔16をあける。また第二実施形態での係合爪6は第一実施形態と同様であっても良いが、別の形状として厚めの金属の板材を抜き加工したような平坦な形状にて形成すると加工が容易であり、先端からT字部分7と凹部8と軸部9を設けておく。したがって係合爪6の軸部9は板角状になり、さらに軸部9に雌ねじ部17を備えておく。また係合爪6の凹部8に受け12が引っ掛かり回転しやすいように、凹部8の角をR状か多角形状に面取りしておくとよい。さらに前記第二アーム3側面の角孔16と係合爪6の軸部9の形状を合わせておき、角孔16に軸部9を差し込めるようにしておく。
【0038】
次に係合爪6の軸部9の終端がコの字の第二アーム3の外側面と面一になるまで差し込み、コの字の奥側から係合爪固定ねじ18で係合爪6の雌ねじ部17に螺合する。その結果係合爪固定ねじ18の先端が第二アーム3のコの字の奥面に当接し、突っ張った状態で係合爪6を固定できることになる。したがって係合爪固定ねじ18は頭部がなるべく小さなものがよく、虫ねじ等が優れており、第二アーム3のコの字部分の内寸はドライバーの先が入る程度に設定しておく必要がある。
【0039】
左右勝手の変更は、係合爪固定ねじ18を抜いて係合爪6自体を第二アーム3から取り外し、第二アーム3の逆側面から差し込んで再度係合爪固定ねじ18で固定するだけの極簡単な作業にて可能であり、第二アーム3をコの字形状にしてその内部を利用した点が効果的であるといえる。また図7に示すように通常時においては、第一アーム2は第二アーム3内に完全に内蔵されており、デザイン面でもシンプルなイメージを出すことができる。
【0040】
次に本発明の第三実施形態を図11と図12に基づいて説明する。第三実施形態においても両アームが折りたたんで重なる動作は第一実施形態や第二実施形態と同様である。異なる点は、係合爪6を装着した両アーム全体を左右方向にスライド移動させて受け12に係合爪6を出没させる係合手段ではなく、第二アーム3に対して係合爪6のみを左右方向にスライド移動させて受け12に係合爪6を出没させる係合手段を採用したことである。
【0041】
図11は第三実施形態の解錠状態の斜視図であり、図12は係合爪6の左右スライド移動を示す錠本体の正面図である。係合爪6は両端にT字部分7と凹部8を設け、中央部分を軸部9で連続させた形状にし、第二アーム3上部側面に貫通させて両側面から係合爪6のT字部分7と凹部8が突出した状態で装着する。したがって第二アーム3は第二実施形態に類似したコの字形状が適している。また図12に示すように係合爪6が左右に必要ストロークのみスライド移動可能なように軸部9の長さを設定し、軸部9の面部分と第二アーム3の奥面とに樹脂の弾性等を利用した突起とへこみ部分の嵌め合わせ機構を付加し、両端の位置にて軽い力で保持し、さらに移動時のクリック感も有するように構成しておく。
【0042】
図11に示すように、係合爪6が吊元側に大きく突出している状態が解錠状態であり、吊元側の係合爪6のT字部分7先端を押込むことにより、受け12の長角孔13に係合爪6の戸先側のT字部分7が挿入し施錠状態になる。また押込んだ吊元側の係合爪6の凹部8を指で引っ掛けて吊元側に引っ張って受け12からT字部分7を脱出させることで解錠できることになる。したがって第三実施形態においては係合爪6を一旦抜いて差し替える必要さえなく完全な左右兼用が可能となる。しかし比較的小さな係合爪6を指で押し引きして操作するのは操作性という点で不満足な部分が残る。そこで施工が完了し左右勝手が決まった段階で、受け12に出没しない押し引きする側のT字部分7と凹部8に、図12に示すような大き目の樹脂製の操作つまみ19を嵌め込んで被せることにより操作性を向上させることができる。
【0043】
次に本発明の第四実施形態を図13と図14に基づいて説明する。図13は第四実施形態の正面図であり、図14は側面図である。第四実施形態においても両アームが折りたたんで重なる動作は第一実施形態や第二実施形態と同様であり、また第三実施形態のように係合手段として係合爪6のみを移動させる点も同じであるが、異なる点は係合爪6のみを受け12に出没させる係合手段に係合爪6の回転動作を採用したことである。
【0044】
第四実施形態では図13に示すように、係合爪6の軸部9と第二アーム3の上部前面に設けた操作つまみ19の連結軸20を第二アーム3の上部正面を貫通させて扉22と平行な面上で回転可能なように固定する。したがってやはり第二アーム3はコの字形状のものが適しており、第二アーム3のコの字の内寸を第二実施形態や第三実施形態よりもさらに広く設定しておくと良い。また図14に示すように、係合爪6が回転する第二アーム3の上部両側面を切り欠いておく。係合爪6のT字部分7先端が上向きの位置が解錠状態であり、操作つまみ19を90°回転させると係合爪6が連動してT字部分7が受け12の長角孔13から挿入し施錠状態になる。係合爪6を上向きの解錠状態から左右両方向に90°づつ回転できるようにしておくと、そのままで左右兼用にすることが可能である。
【0045】
また図13に示すように操作つまみ19の連結軸20の一部分を四角形状にし、第二アーム3内部で連結軸20の四角部分を抱き込むように板ばね21を組み込んでおくと、90°の回転操作の真中の段階である45°の位置を境にどちらかに付勢する動作が得られ、受け12の長角孔13に中途半端に係合爪6のT字部分7が挿入した状態で止まることもなく、誤動作を防止することができる。操作つまみ19の形状は任意であり、大き目のサムターンのような操作つまみ19にすると持ちやすく、さらに板ばね21により付勢された非常に操作感覚の良い構成が実現できることになる。
【0046】
【発明の効果】
従来の用心錠のアームを第一アームと第二アームに分離して両者を回転可能なように連結することにより、通常時は折りたたんだ状態でベース金具内に納めることができ、使用時には両アームがV字状に開きながら伸びて全体の長さを有効に使えることになり、錠本体全体をコンパクトでデザイン的にも優れた構成にすることができる。
【0047】
施錠状態からの扉の開閉動作中においても、第二アームに装着した係合爪の位置は上下方向にはほとんど移動しないため、長角孔は短くてよく、したがって受け全体のサイズも非常にコンパクトにすることができる。
【0048】
解錠時には係合爪は扉の開口部分には突出していないため通行の邪魔になることもなく、両アームを左右にスライド移動させるか、係合爪を左右に押し引きするか、操作つまみを回転させるかのいずれかの一動作で錠本体と受けを係合できるため非常に操作性が優れている。
【0049】
第二実施形態においては係合爪を抜き差しして、再度係合爪固定ねじで固定するだけで左右勝手が兼用でき、第三実施形態では係合爪自体を左右にスライド移動させるためにそのままで左右勝手が兼用にでき、さらに第四実施形態ではそのままで左右兼用であり、別途操作つまみを用いることによりさらに操作感覚が優れた構成にすることができる。
【0050】
全ての実施形態に共通して、主要な部材はベース金具と第一アームと第二アームと受けのみで、部品点数が少ないことが最大の特徴であり、ベース金具と両アームは板を抜いただけの形状か単純なコの字曲げ形状のため個々の部品の加工工程も削減できる構成になっており、非常に製造が容易でかつ組立も簡単であり、したがって低コストにて提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態の、解錠状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態の、施錠後に扉を開放した状態の斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態の、第二アームの側面図である。
【図4】本発明の第一実施形態の、扉が閉じた状態の側面図である。
【図5】本発明の第一実施形態の、両アームの左右移動による係合爪の受けへの出没動作を示す正面図である。
【図6】本発明の第一実施形態の、施錠状態で扉を開放した時の両アームの軌跡を示す側面図である。
【図7】本発明の第二実施形態の、解錠状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第二実施形態の、施錠後に扉を開放した状態の斜視図である。
【図9】本発明の第二実施形態の、施錠後に扉を開放した状態の側面図である。
【図10】本発明の第二実施形態の、係合爪を抜き差しする左右勝手兼用の構成を有した第二アームを奥面から見た正面図である。
【図11】本発明の第三実施形態の、解錠状態を示す斜視図である。
【図12】本発明の第三実施形態の、錠本体の正面図である。
【図13】本発明の第四実施形態の、係合爪の回転移動を示す正面図である。
【図14】本発明の第四実施形態の、扉が閉じた状態の側面図である。
【図15】従来のドアガードの斜視図である。
【符号の説明】
1 ベース金具
2 第一アーム
3 第二アーム
4 回転軸
5 連結ピン
6 係合爪
7 T字部分
8 凹部
9 軸部
10 湾曲部分
11 錠本体取り付け孔
12 受け
13 長角孔
14 突起
15 へこみ部分
16 角孔
17 雌ねじ部
18 係合爪固定ねじ
19 操作つまみ
20 連結軸
21 板ばね
22 扉
23 枠体
30 アーム
31 U字溝
32 突出部分
Claims (6)
- 扉と枠体からなるドアに錠本体と受けを振り分けて装着し、互いを係合させることにより扉を一定間隔のみ開放可能にする用心錠であって、錠本体はベース金具と第一アームと第二アームを備えており、第一アームの上部を回転軸にてベース金具に回動自在に連結し、第一アームの下部と第二アームの下部を連結ピンで回動自在に連結し、第二アームの上部に係合爪を装着し、均一な幅の長角孔を有した受けを設け、さらに受けと係合爪との係合手段を備えたことを特徴とする用心錠。
- 前記第一アームと第二アームは、解錠されている場合においては折りたたまれた状態で重なり合ってベース金具に保持されており、受けと係合爪とによる係合手段の実施後扉を開けると、両アームは連結ピンを支点としてV字状に広がりながら一定距離開いた段階で扉の開放を停止させ、扉が閉じる際には両アームの連結ピン部分が自重により下がり、V字が狭まる方向に重なり合いながら元の状態に自然復帰することを特徴とする請求項1に記載の用心錠。
- 前記第一アームと第二アームは共に板状で、両アームの側面を近接させて横方向に並んだ状態で折りたたまれて重なり合う構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の用心錠。
- 前記第一アーム若しくは第二アームの少なくともどちらか片方がコの字形状であり、コの字形状のアームの内側に他方のアームが入り込んだ状態で折りたたまれて重なり合う構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の用心錠。
- 前記受けと係合爪との係合手段が、重なり合った状態の両アーム全体を回転軸に沿って扉と平行に左右方向にスライド移動することにより受けに係合爪を出没させる構成であることを特徴とする請求項1及至4いずれかに記載の用心錠。
- 前記受けと係合爪との係合手段が、第二アームに装着された係合爪のみを扉面と平行に左右方向にスライド移動するか、若しくは扉と平行な面上を回転移動するかのどちらかの手段により、受けの長角孔に係合爪を出没させる構成であることを特徴とする請求項1及至4いずれかに記載の用心錠。
Priority Applications (1)
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ID=32754804
Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004183385A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101299493B1 (ko) * | 2012-12-14 | 2013-08-28 | 이지은 | 도어의 보조 잠금장치 |
KR101398143B1 (ko) | 2012-12-14 | 2014-05-27 | 이지은 | 도어의 일부 개방형 도어 잠금구 |
CN109578539A (zh) * | 2019-01-17 | 2019-04-05 | 深圳市爱克信智能股份有限公司 | 一种平推移动装置及其曲臂装置 |
-
2002
- 2002-12-05 JP JP2002353537A patent/JP2004183385A/ja active Pending
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