JP2004182770A - 筆跡変色性水性インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】筆跡が指で擦過する程度では剥離することなく、消しゴムで擦過した時、筆跡の色が変わる筆跡変色性水性インキ組成物を提供すること。
【解決手段】粒度分布が70%以上の2μm以上15μm以下の顔料と、該顔料と色相の異なる粒径が1μm以下の顔料及び/又は水性染料を少なくとも含む筆跡変色性水性インキ組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙面に筆記した筆跡の色相を何らかの方法で変化させる、筆跡変色性水性インキ組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙面に筆記した筆跡の色相を変える方法として、酸化・還元や酸・アルカリ等の化学反応を利用し、筆跡の上を化学反応する液が入った筆記具でなぞり、筆跡の色を変える方法がとられている。例えば、還元による色が変化し得る様々なカラーインキが提案されいる(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特表平8−501508号公報(要約の欄)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の化学反応を利用して色を変える方法では、色を変える時、筆跡をなぞるための特殊な液の入った筆記具が必要である。又、特殊な色素、指示薬等を使用するため、インキ自体が経時的に変色してしまったり、筆跡が、経時的に変色してしまったりする問題点がある。
そこで本発明は、特殊な液の入った筆記具などを必要とせずに、又、インキ自体が経時的に変色してしまったり、筆跡が経時的に変色してしまうことが極力抑制されたものでありながら色相を変えることができる、筆跡変色性水性インキ組成物を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、粒度分布が70%以上の2μm以上15μm以下の顔料と、該顔料と色相の異なる粒径が1μm以下の顔料及び/又は水性染料を少なくとも含む筆跡変色性水性インキ組成物を要旨とするものである。
【0006】
以下、本発明について説明する。
本発明は物理的な方法、即ち、消しゴムなどの摩擦係数の高い弾性部材で擦過して筆跡における一部の色相を形成する部分を除去して筆跡を変色させる筆跡変色性の水性インキ組成物である。
本発明における顔料は、着色材として使用され、無色或いは白色の合成樹脂粒子や無機粒子の1種類又は2種類以上の混合物を、そのままで或いは適当な手法により着色したものが好適に使用できる。
顔料の粒径は紙面の繊維間に入り込み難い大きさ、2μm以上15μm以下の範囲のものが好ましく、粒度分布として、70%以上含んでいなければならない。
尚、粒径や粒度分布の測定には、レーザー光回折・散乱法を用いる。インキ中の顔料を分析する場合は、インキを光学顕微鏡や電子顕微鏡で直接観察することでおよその粒度分布が判る。さらに詳細に測定する場合は、遠心分離やフィルター濾過等により顔料を抽出し、レーザー光回折・散乱法により粒度分布を測定する方法を用いる。
顔料は、有機顔料、無機顔料、レーキ顔料と樹脂粒子を着色したものがあり、着色樹脂粒子を着色法により分類すると、樹脂粒子中に顔料が均一に分散された着色樹脂粒子や粒子の表面が顔料で被覆されている着色樹脂粒子及び粒子に染料が化学的に表面又は全体的に結合されて染着されている着色樹脂粒子等がある。粒子表面への顔料の被覆法や染料の染着法について例を挙げて詳細に説明すると、湿式法として、染料又は顔料を有機溶剤中に樹脂と共に溶解又は分散させた着色液と樹脂粒子を混合し、着色させ、有機溶剤を蒸発させ、染料又は顔料を樹脂粒子表面に固着させる。又、乾式法として、昇華性染料を昇華させ樹脂粒子に染着させる。
【0007】
前記顔料は、消しゴムで擦過した時に混色より表出されている色の構成色の一部を消去するために添加するものであり、粒度分布が70%以上の2μm以上15μm以下の顔料からなる。
無機粒子としては、炭酸カルシウムや硫酸バリウム、シリカ、アルミナホワイト、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリナイト、クレー等があり、具体例を挙げると、炭酸カルシウムとして白石工業(株)製のPC(平均粒径3μm)等が挙げられる。
顔料として着色樹脂粒子を使用する場合、着色前の無色或いは白色の粒子として粒度分布が70%以上の2μm以上15μm以下のものの具体例を挙げると、合成樹脂粒子として綜研化学(株)製のケミスノーMX−300(平均粒径3μm)、同MX−500(平均粒径5μm)、同MX−1000(平均粒径10μm)、同MX−1500H(平均粒径15μm)、同MR−7G(平均粒径7μ)、同MR−3GSN(平均粒径3μm)、同MR−5GSN(平均粒径5μm)、同MG−10G(平均粒径9μm)が挙げられ、着色された樹脂粒子で粒度分布が70%以上の2μm以上15μm以下の顔料の具体例を挙げると、大日精化工業(株)製のラブコロール020(3M)Black(平均粒径3μm)、同040(3M)Red(平均粒径3μm)、同060(3M)Blue(平均粒径3μm)、同818(3M)White(平均粒径3μm)、同220(M)Black(平均粒径8.5μm)、オリエント化学工業(株)製の着色樹脂粒子イエロー(平均粒径10μm)、同マゼンタ(平均粒径10μm)、同シアン(平均粒径10μm)、綜研化学(株)製の着色樹脂粒子Black(平均粒径4μm)、同(平均粒径6μm)、同Red(平均粒径4μm)が挙げられ、具体例はそのままで使用する、または、適当な手法により分級し、粒径を目的の範囲に選別して使用することもできる。
【0008】
更に顔料の中に粘着性を有する着色樹脂粒子があり、その形態として、着色樹脂粒子を形成する樹脂が粘着性を有する均一ポリマー組成物であるもの、着色樹脂粒子の全表面のみが粘着性を有するポリマー組成物で被覆されたもの、着色樹脂粒子の表面の一部が連続又は非連続状態の粘着性を有するポリマー組成物で構成されたものが挙げられる。前記粘着性を有する着色樹脂粒子を得る方法としては、懸濁重合法、懸濁重縮合法、懸濁付加反応法、シード重合法、分散重合法液中乾燥法が適用できる。着色樹脂粒子を形成する樹脂の全部が粘着性を有する均一ポリマー組成物を得るためには、主として懸濁重合法、液中溶媒蒸発法が適合でき、一方、着色樹脂粒子の全表面又は、表面の一部が連続又は非連続状態で粘着性を有するポリマー組成物であるものを得るには、懸濁重合法、懸濁重縮合法、懸濁付加反応法、シード重合法、分散重合法、液中溶媒重合法を適宜組み合わせたり、二次処理的な表面改質の手段を適用することができる。以上の顔料を1種又は2種以上使用でき、その使用量は、水性インキ組成物全量に対して、8〜30重量%使用できる。
【0009】
また、筆跡を消しゴムで擦過して筆跡における一部の色を形成する部分を除去しやすくするため、前記具体例の中から選ばれた顔料、好ましくは無色或いは白色の粒子で粒径が1μm未満のものを、インキ中に少量添加することができる。
【0010】
水性染料は、筆跡を消しゴムで擦過した時、変色後に筆跡として残っている色相となる着色材として使用され、水に溶ける染料ならば、基本的には使用でき、直接染料、酸性染料、媒染・酸性媒染染料、塩基性染料、食用色素等がある。但し、前述した粒径が2μm以上15μm以下の着色粒子と色が異なっていなければならない。具体例を挙げると、直接染料として、C.I.Direct Yellow33、同44、C.I.Direct Brown106、C.I.Direct Orange10、 C.I.Direct Red28、同229、C.I.Direct Blue6、同15、 C.I.Direct Black38、酸性染料として、C.I.Acid Yellow23、同42、C.I.Acid Orange56、C.I.Acid Red87,同92、C.I.Acid Blue9、同22、C.I.Acid Violet49、C.I.Acid Green16、C.I.Acid Black2、塩基性染料として、C.I.Basic Yellow2、C.I.BasicOrange21、C.I.Basic Red12、C.I.Basic Blue1、同26、C.I.Basic Violet1、同3、C.I.Basic Green1、C.I.Basic Brown1、C.I.Basic Black2、媒染・酸性媒染染料として、C.I.Mordant Yellow3、C.I.Mordant Orannge4、C.I.Mordant Red3、C.I.Mordant Violet5、C.I.Mordant Blue13、C.I.Mordant Green11、C.I.Mordant Black17、食用色素として、食用黄色4号、同5号、食用赤色2号、同3号、同40号、同102号、同104号、同105号、同106号、食用緑色3号、食用青色1号、同2号等が挙げられる。それらの水性染料は1種又は2種以上使用でき、その使用量は、水性インキ組成物全量に対して、0.2〜5重量%使用できる。
【0011】
1μm以下の顔料は、水性染料と同じく、筆跡を消しゴムで擦過した時、変色後に筆跡として残っている色相となる着色材として使用される。紙面の繊維の隙間より小さいならば、即ち1μm以下の顔料ならば、基本的には使用できる。その際、適当な分散剤を使用し、分散機にて分散処理をし、顔料の粒径を1μmにする。又は、既に、水に分散された水分散顔料を使用しても良い。但し、前述した粒度分布が70%以上の2μm以上15μm以下の顔料と色相が異なっていなければならない。顔料の一例を挙げると、C.I.Pigment Yellow1、同3、同74、同83、同93、同110、同151、C.I.Pigment Orannge16、同34、同36、同43、C.I.Pigment Red2、同9、同48:3、同53:1、同57:1、同112、同146、同166、同170、同202、同254、C.I.Pigment Blue15:3、同60、C.I.Pigment Green7、C.I.Pigment Violet19、同23、同32、C.I.Pigment Black7、C.I.Pigment White6等が挙げられる。それらの顔料は、1種又は2種以上使用でき、その使用量は、水性インキ組成物全量に対して、0.2〜7重量%使用できる。
【0012】
樹脂エマルジョンは、定着材として使用され、常温で皮膜を形成し、紙面に対して適度な定着性を持たせるために樹脂の最低造膜温度が40℃未満であること好ましい。具体例を挙げると、ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製のプライマルAC−22(アクリル樹脂エマルジョン、最低造膜温度8℃)、同AC−61(アクリル樹脂エマルジョン、最低造膜温度18℃)、同AC−388(アクリル樹脂エマルジョン、最低造膜温度8℃)、同AC−3444(アクリル樹脂エマルジョン、最低造膜温度12℃)、ヘキスト合成(株)製のモビニール700(アクリル共重合樹脂エマルジョン、最低造膜温度5℃)、同727(アクリル共重合樹脂エマルジョン、最低造膜温度25℃)、同DM772(アクリル共重合樹脂エマルジョン、最低造膜温度13℃)、同DM60(スチレンアクリル樹脂エマルジョン、最低造膜温度7℃)、サイデン化学(株)製のEC705(スチレン・アクリル樹脂エマルジョン、最低造膜温度5℃)、YC450(スチレン・アクリル樹脂エマルジョン、最低造膜温度10℃)、JSR(株)製のAE315(カルボキシ変性アクリル樹脂エマルジョン、最低造膜温度25℃)、AE373A(カルボキシ変性アクリル樹脂エマルジョン、最低造膜温度30℃)ジョンソン(株)製のジョンクリルJ−775(スチレン・アクリル樹脂、最低造膜温度15℃)、同J−352(スチレン・アクリル樹脂エマルジョン、最低造膜温度10℃)等が挙げられる。
最低造膜温度が0℃未満のものとしては、JSR(株)製のアクリルエマルジョンAE517、AE831、同AE940、同AE947、ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製のプライマルEC−1685、JSR(株)製の合成ゴムラテックス0533(カルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合体)、同0561(スチレン・ブタジエン共重合体)、同0568(カルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合体)、同0573(カルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合体)、同0650(ビニルピリジン・スチレン・ブタジエン共重合体)、同0696(カルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合体)、同0910(アクリルニトリル・ブタジエン共重合体)等が挙げられる。 その使用量は、水性インキ組成物全量に対して0.3〜7重量%が好ましい。
【0013】
水溶性樹脂は、定着材及び、粘度の調整のため、使用され、具体例を挙げるとグァーガム、キサンタンガム、ウエランガム、ラムザンガム、サクシノグルカン等の天然水溶性高分子や、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の合成水溶性高分子等が挙げられる。それらの水溶性樹脂は、1種又は2種以上使用でき、その使用量は、その使用量は、水性インキ組成物全量に対して0.3〜7重量%が好ましい。
【0014】
また、融点が110℃以下であり、20℃において固体もしくは半固体であるアルキル基を有する有機物は、通常、ワックスと呼ばれるものであり、紙面に対して適度な定着性及び耐擦過性を付与するものである。インキ中のワックスが紙面に対して適度な定着性及び被膜が滑り性を有しているため、耐擦過性も同時に付与することができる性質を持っている。ワックスは親油性であり、そのままでは水を主溶剤とした水性インキに混ざらないので、水に分散させたエマルションタイプが良いが、また、水と相溶性のある有機溶剤中に溶かしてから水中に混合し、機械的操作により分散するようなことも可能である。ワックスは、1種類又は2種類以上を併用して使用され、その良好な定着性と滑り性の為には、ワックスの単独或いは複数の混合物としての融点が150℃以下、好ましくは75℃以上90℃以下のものが良い。尚、融点の測定には、DSC法を用いる。
一例を挙げると、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、蜜蝋、オゾケライト等の天然ワックスや、パラフィンワックス、マイクロワックス等の石油ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成ワックス等が挙げられ、具体例を挙げると、国産物産(株)製のカルナバワックスエマルションWE−100、同WE−1−252、日興ファインプロダクツ社製ワックスエマルション、東邦化学(株)製のポリエチレンワックスエマルションハイテックE−1000、同社製ポリプロピレンワックスエマルションハイテックP−5043、同P−5300等がある。その中でもカルナバワックスが紙に対する定着性、皮膜の滑り性が適度で、最も良い。これらのワックスは、1種又2種以上混合して使用でき、その使用量は、水性インキ組成物全量に対して0.1〜15重量%が好ましい。
【0015】
上記成分の他に凍結安定性のため、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール類及びソルビタンを併用しても良い。更に、PH調整剤、防腐・防黴剤を適宜添加することができる。
【0016】
本発明の水性インキは、上記各成分をロールミル、ダイノーミル、ボールミル、アトライター、サンドグラインダー等の分散機を使用して分散混合することによって得られる。
【0017】
【作用】
本発明が、何故紙面に筆記した筆跡が、消しゴムで擦過すると色が変わることについて説明すると、最初、紙面に筆記した時の色は、インキ中に最低2種類の着色材が入っており、混色された色、又は、紙面上に載っている顔料の色を呈している。筆跡が乾燥した時、紙面の繊維の隙間より粒径が大きい顔料が紙面上に並び、紙面の繊維の隙間に入り込まないため、消しゴムで擦過した時には、紙面上の顔料は剥離除去される。そのため、顔料の色が無くなり、既に、筆記した時に、紙面中に入り込んでいるインキ組成物中の染料又は1μm以下の顔料の色が現れ、色が変わるということである。又、指の擦過程度では、剥離しなく、消しゴムで擦過すると色が変わるかは、次のように説明される。本発明のインキは、インキが乾燥したときには、樹脂又はワックスの被膜が着色粒子の表面に形成されており、樹脂又はワックスによる被膜の適度の定着力と適度の滑り性により、消しゴム等による擦過では剥離し、指等による軽度の擦過では剥離し難くなっている。
【0018】
【実施例】
以下、実施例にて本発明のインキを説明する。
実施例1
CMX−600RBK(W)(黒色着色済み樹脂粒子、固形分66wt%(残り34wt%は水分)、2μm以上15μm以下の顔料90%以上、平均粒径6μm、綜研化学(株)製) 25重量部
C.I.Acid Red92(酸性染料) 0.2重量部
C.I.Acid Red87(酸性染料) 0.2重量部
C.I.Acid Yellow42(酸性染料) 0.6重量部
WE−100(カルナバワックスエマルション、ワックス固形分30重量%、固形分融点80〜86℃、国際物産(株)製) 10重量部
ケルザンAR(キサンタンガム1%水溶液、三晶(株)製) 18重量部
エチレングリコール 5重量部
グリセリン 5重量部
プロクセルGXL(1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、防腐防黴剤、ゼネカ(株)製) 0.2重量部
水 35.8重量部
上記各成分をボールミルにて24時間分散処理して、黒色インキ組成物を得た。
【0019】
<赤色樹脂粒子1の調製>
富士色素(株)製のASレッド#575(赤色アゾ顔料とポリビニールブチラールのカラーチップ)12重量部をソルミックスAP−4(変性アルコール)を88重量部に溶解する。これを着色剤Aとする。次に着色剤Aを15重量部とケミスノーMX−1000(無着色樹脂粒子、2μm以上15μm以下の顔料90%以上、平均粒径10μm、綜研化学(株)製)60重量部とソルミックスAP−4(変性アルコール)25重量部とを混合攪拌し、着色させた後、溶剤を蒸発させ、赤色樹脂粒子1を得た。
実施例2
赤色樹脂粒子1 17重量部
C.I.Acid Yellow23(酸性染料) 1.3重量部
合成ゴムラテックス0696(カルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合体、JSR(株)製) 5重量部
ジャガーHP−8(グァーガム1%水溶液、三晶(株)製) 15重量部
エチレングリコール 10重量部
グリセリン 5重量部
プロクセルGXL(前述) 0.2重量部
水 46.5重量部
上記各成分を実施例1と同様になして橙色のインキ組成物を得た。
【0020】
<黒色樹脂粒子の調製>
富士色素(株)製のASブラック#810(カーボンブラックとポリビニールブチラールのカラーチップ)20重量部をソルミックスAP−4(変性アルコール)を80重量部に溶解する。これを着色剤Bとする。次に着色剤Bを15重量部とケミスノーMX−500(無着色樹脂粒子、2μm以上15μm以下の顔料85%以上、平均粒径5μm、綜研化学(株)製)60重量部とソルミックスAP−4(変性アルコール)25重量部とを混合攪拌し、着色させた後、溶剤を蒸発させ、黒色樹脂粒子を得た。
実施例3
黒色樹脂粒子 16重量部
ケミスノーMR−2G(無着色樹脂粒子、粒度分布は粒径1μm未満に全粒子の約70重量%、1μm以上5μm未満に全粒子の約30重量%、平均粒径1.0μm綜研化学(株)製) 1重量部
C.I.Acid Blue9(酸性染料) 0.8重量部
ハイテックE−1000(ポリエチレンワックスエマルション、固形分35重量%、固形分の融点約120℃、東邦化学工業(株)製) 9.5重量部
ケルザンAR(キサンタンガム1%水溶液、三晶(株)製) 16重量部
エチレングリコール 10重量部
グリセリン 5重量部
プロクセルGXL(前述) 0.2重量部
水 41.5重量部
上記各成分を実施例1と同様になして黒色インキ組成物を得た。
【0021】
実施例4
ラブコロール220(M)ブラック(着色樹脂粒子、2μm以上15μm以下の顔料70%以上、平均粒径8.5μm、大日精化(株)製) 16重量部
EMブルーNCB(C.I.Pigment15:3を使用した水分散顔料、固形分30%、粒径1μm以下、東洋インキ製造(株)製) 4重量部
プライマルAC−261(アクリル樹脂エマルジョン、最低造膜温度18℃、ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製) 3重量部
ケルザンAR(前述) 15重量部
エチレングリコール 10重量部
プロクセルGXL(前述) 0.2重量部
水 51.8重量部
上記各成分を実施例1と同様になして黒色インキ組成物を得た。
【0022】
実施例5
CMX−600B(W)(青色着色済み樹脂粒子、固形分65wt%(残り35wt%は水分)、粒径2μm以上15μm以下の顔料90%以上、平均粒径6μm、綜研化学(株)製) 18重量部
C.I.Acid Red92(酸性染料) 1.0重量部
WE−1−252(カルナバワックスエマルション、固形分40重量%、固形分融点80〜86℃、国際物産(株)製) 5.2重量部
ケルザンAR(1%水溶液)(前述) 18重量部
エチレングリコール 5重量部
グリセリン 5重量部
プロクセルGXL(前述) 0.2重量部
水 47.6重量部
上記各成分を実施例1と同様になして、紫色インキ組成物を得た。
【0023】
実施例6
CMX−600RBK(W)(前述) 25重量部
C.I.Acid Blue9(酸性染料) 1重量部
WE−100(カルナバワックスエマルション、ワックス固形分30重量%、固形分融点80〜86℃、国際物産(株)製) 8重量部
ケルザンAR(前述) 2重量部
エチレングリコール 5重量部
グリセリン 5重量部
プロクセルGXL(前述) 0.2重量部
水 53.8重量部
上記各成分を実施例1と同様になして、黒色インキ組成物を得た。
【0024】
<黒色樹脂粒子の調製>
実施例1において、CMX−600RBK(W)の代わりに、ケミスノーMX−500(無色樹脂粒子、2μm以上15μm以下の顔料85%以上、平均粒径5μm、綜研化学(株)製)をASブラック810(カーボンブラック50%、ボリビニルブチラール50%の顔料チップ、富士色素(株)製)の20%エチルアルコールの溶解分散液で、着色させた後、溶剤を蒸発させ乾燥し、黒色樹脂粒子を得た。
比較例1
前記黒色樹脂粒子 16.5重量部
C.I.Acid Red92(酸性染料) 0.2重量部
C.I.Acid Red87(酸性染料) 0.2重量部
C.I.Acid Yellow42(酸性染料) 0.6重量部
WE−100(前述) 10重量部
ケルザンAR(前述) 18重量部
エチレングリコール 5重量部
グリセリン 5重量部
プロクセルGXL(前述) 0.2重量部
水 44.3重量部
上記各成分を実施例1と同様になして、黒色インキ組成物を得た。
【0025】
比較例2
実施例1において、C.I.Acid Red92(酸性染料)、C.I.Acid Red87(酸性染料)、C.I.Acid Yellow42(酸性染料)を除いて、実施例2の赤色樹脂粒子1を加え、その他は実施例1と同様になして、黒色インキ組成物を得た。
【0026】
<黒色樹脂粒子の調製>
実施例1において、CMX−600RBK(W)の代わりに、ケミスノーMX−2000(無色樹脂粒子、平均粒径20μm、綜研化学(株)製)をASブラック810(カーボンブラック50%、ボリビニルブチラール50%の顔料チップ、富士色素(株)製)の20%エチルアルコールの溶解分散液で、着色させた後、溶剤を蒸発させ乾燥し、黒色樹脂粒子2を得た。
比較例3
前記黒色樹脂粒子2 16.5重量部
C.I.Acid Red92(酸性染料) 0.2重量部
C.I.Acid Red87(酸性染料) 0.2重量部
C.I.Acid Yellow42(酸性染料) 0.6重量部
WE−100(前述) 10重量部
ケルザンAR(前述) 18重量部
エチレングリコール 5重量部
グリセリン 5重量部
プロクセルGXL(前述) 0.2重量部
水 44.3重量部
上記各成分を実施例1と同様になして、黒色インキ組成物を得た。
【0027】
比較例4
実施例1において、C.I.Acid Red92(酸性染料)、C.I.Acid Red87(酸性染料)、C.I.Acid Yellow42(酸性染料)を除いて、チモールフタレインを加え、その他は実施例1と同様になして、黒色インキ組成物を得た。
【0028】
以上、実施例1〜6、比較例1〜4で得られた水性インキ組成物について、筆跡変色試験及び耐擦過性試験を行った。結果を表1に示す。
【0029】
筆跡変色試験
実施例1〜6と比較例1〜4の水性インキ組成物を、直径が1mmのボールチップを使用したハイブリットボールペン(K105;ぺんてる(株)製)に、実施例6の水性インキ組成物は、修正筆(ZL9;ぺんてる(株)製)にそれぞれ充填し、上質紙に螺旋書きし、筆跡が乾燥後、ハイポリマー消しゴム(ZEH;ぺんてる(株)製)で荷重0.5kgにて筆跡を往復5回擦過し、筆跡の色を確認する。
【0030】
筆跡耐擦過性試験
上記筆跡変色試験で筆記した筆跡の消しゴムで擦過作業を施していない部分の筆跡を荷重0.1kgにて指で往復5回擦過し、目視で剥離状態を確認した。
【0031】
筆跡経時変化試験
上記筆跡変色試験した筆跡を室内に1週間放置後、筆跡の変化を目視で確認した。
【0032】
【表1】
Figure 2004182770
【0033】
以上、詳細に説明したように、本発明の筆跡変色性水性インキ組成物は、紙面に筆記した筆跡が通常の指の擦過程度では剥離しないが消しゴムで擦過した時、色が変わる水性インキ組成物である。

Claims (6)

  1. 粒度分布が70%以上の2μm以上15μm以下の顔料と、該顔料と色相の異なる粒径が1μm以下の顔料及び/又は水性染料を少なくとも含む筆跡変色性水性インキ組成物。
  2. 更に水溶性樹脂又は樹脂エマルジョンを含む請求項1に記載の筆跡変色性水性インキ組成物。
  3. 更に融点が110℃以下であり20℃において固体もしくは半固体で且つアルキル基を有する有機物を含む請求項1又は請求項2に記載の筆跡変色性水性インキ組成物。
  4. 前記樹脂の最低造膜温度が40℃未満である請求項2に記載の筆跡変色性水性インキ組成物。
  5. 前記有機物がカルバナワックスである請求項3記載の筆跡変色性水性インキ組成物。
  6. 摩擦係数の高い弾性部材の擦過により変色し得る請求項1〜請求項5の何れかに記載の筆跡変色性水性インキ組成物。
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