JP2004182699A - 抗菌剤およびそれを含有する香粧品並びに微生物の増殖抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】人体に対して安全で、着色や不快な臭気がなく、幅広い抗菌スペクトルを有する汎用性がある抗菌剤を提供する。特に、菌種として病原性大腸菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌といった人体に対して有害な毒素生産菌に有効な抗菌剤およびそれを含有する香粧品を提供する。
【解決手段】トランス−3−ヘキセナールを有効成分として含有する抗菌剤であって、該抗菌剤の有効成分を揮散させることにより有害微生物と気相中で接触させ、環境中での有害微生物の増殖を抑制することができる。
【解決手段】トランス−3−ヘキセナールを有効成分として含有する抗菌剤であって、該抗菌剤の有効成分を揮散させることにより有害微生物と気相中で接触させ、環境中での有害微生物の増殖を抑制することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、トランス−3−ヘキセナールを有効成分として含有することを特徴とする抗菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、香粧品分野においてはトリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、安息香酸、安息香酸塩類、サリチル酸、サリチル酸塩類、ソルビン酸、ソルビン酸塩類、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸塩類およびパラオキシ安息香酸エステル類等種々の殺菌剤や防腐剤が使用されている。しかし、これらの使用においては、人体の安全性を確保するために使用量が制限されていることから、さらに安全で抗菌活性の強いものが求められていた。
【0003】
このような実情から、天然系抗菌剤で強い抗菌性を有し抗菌スペクトルの広いヒノキチオールが使用されるようになったが、臭気や着色等の問題から使用量、使用用途を考慮する必要があるとされている。ムラヤ属植物から得られる抽出物を有効成分として含有する抗菌剤が開示されている(特許文献1)。この抽出物はグラム陽性菌には抗菌性が認められるものの、グラム陰性菌には抗菌性が認められない。
【0004】
香料化合物のなかからもいくつか提案が見られる。天然ファルネソール、合成ファルネソールを有効成分として含有する抗菌剤が開示されている(特許文献2、特許文献3)。これらの有効成分は、皮膚常在菌などのグラム陽性菌には強い抗菌性を示すものの、グラム陰性菌には抗菌性を示さない。また、ファルネソールは皮膚への感作性が報告されている。大環状ラクトン、大環状ケトンを有効成分として含有する抗菌剤が開示されている(特許文献4)。これらの有効成分もまたグラム陽性菌には強い抗菌性を示すものの、グラム陰性菌には抗菌性を示さない。
【0005】
【特許文献1】特開平8−225420号公報
【特許文献2】特開昭60−42765号公報
【特許文献3】特開平2−40043号公報
【特許文献4】WO97/47294
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、人体に対して安全で、着色や不快な臭気がなく、幅広い抗菌スペクトルを有する汎用性がある抗菌剤を提供することにある。特に、菌種として病原性大腸菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌といった人体に対して有害な毒素生産菌に有効な抗菌剤およびそれを含有する香粧品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、トランス−3−ヘキセナールが広い抗菌スペクトルを有し、病原性大腸菌O−157、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌に対して優れた抗菌活性を示すことを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明によれば、トランス−3−ヘキセナールを有効成分として含有することを特徴とする抗菌剤および該抗菌剤を含有する香粧品によって前記課題を解決することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の抗菌剤はトランス−3−ヘキセナールを有効成分として含有することを特徴とするものである。本発明のトランス−3−ヘキセナールは広い抗菌スペクトルを有し、病原性大腸菌O−157、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌等に対しても強い抗菌性を示すことから、特に病原性大腸菌O−157、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌の増殖抑制の目的で好適に使用することができる。
【0010】
本発明のトランス−3−ヘキセナールは、3−ヘキシナールから選択的還元を行い合成するか、トランス−3−ヘキセノールの酸化により合成することが出来る。
【0011】
本発明の抗菌剤は、有効成分であるトランス−3−ヘキセナールを揮散させることによって、気相中で対象微生物に接触させることにより対象微生物の増殖を抑制し、もしくは殺菌することができる。本発明における抗菌剤の有効成分を揮散させる方法は、特に限定されないが、LPG,炭酸ガスなどの噴射剤を用いたエアゾールによる方法、カラギーナン等のゲル化剤を用いゲルを形成し揮散させる方法、又液体芳香剤のように界面活性剤を用いて水に可溶化し、吸上げ芯・マットで揮散させる方法などを例示することができる。
【0012】
本発明の抗菌剤は、有効成分としてトランス−3−ヘキセナールを好ましくは0.1〜100質量%含有するものであり、より好ましくは、0.1〜5.0質量%含有するものである。
【0013】
本発明の抗菌剤は、香粧品に添加して使用することができる。本発明における香粧品としては、シャンプー、リンス、ヘアトニック、育毛剤などのヘアケア製品、石鹸、ボディーシャンプー、ハンドソープなどの洗浄剤、腋や足などの制汗・デオドラント製品、芳香剤、消臭剤、洗濯洗剤、台所洗剤などのトイレタリー製品などが挙げられる。
【0014】
本発明の香粧品への配合量は、種類や使用目的によって異なることがあるが、全質量に対する有効成分であるトランス−3−ヘキセナールの含有量が好ましくは0.001〜10質量%の範囲であり、より好ましくは0.01〜5質量%の範囲である。
【0015】
また、本発明の抗菌剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の抗菌剤、殺菌剤、界面活性剤、増粘剤、色素、およびアルコールなどの補助成分と併用することができる。
次に、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0016】
【実施例】
次の4種の試験化合物、5種の菌株を使用して抗菌性試験を行った。
【0017】
試験化合物:
No.1: トランス−2−ヘキセナール
No.2: トランス−3−ヘキセナール
No.3: トランス−2−ヘキセノール
No.4: トランス−3−ヘキセノール
試験化合物は、50% DMSO (DMSO:50mMリン酸バッファー、pH7.0=1:1)を用いて調製した。
【0018】
使用菌株:
・グラム陰性菌
大腸菌(IFT 3301)
病原性大腸菌 O−157(VT1およびVT2産出株)
サルモネラ・エンテリティディス菌(Inv A産出株)
・グラム陽性菌
黄色ブドウ球菌(IFT 12732)
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
【0019】
(試験例1)最小発育阻止濃度
マイクロプレート上の1ウェル(300 μl)に185 μlのブイヨン(Nutrient Broth No. 2, OXOID)、5μlの一夜培養液(1010 cells/ml)および10μlの化合物を入れ(初発濃度、108cells/ml)、37℃で24時間培養した。培養後、検鏡(トーマの血球計)による総菌数の計測に基づいて、最小発育阻止濃度(混濁なし、菌数が106 cells/ml以下)を求めた。
【0020】
その結果、表1に示すように本化合物は広い抗菌性を有し、病原性大腸菌O−157、薬剤耐性菌MRSA、サルモネラ菌等に対して強い抗菌性を示した。
【0021】
表1 最小発育阻止濃度(ppm)
【表1】
【0022】
(試験例2)気相での殺菌効果
滅菌コンウェイユニット(容積 33 ml)の内室に106 cells/mlの菌体浮遊液(蒸留水中に浮遊させたもの)100 μl、外室に試験調製液100 μlを入れた。直ちに、ワセリンを用いてシールし、20℃で1時間インキュベーションした。インキュベーション後、内室へ9000μlの滅菌リン酸バッファー(pH7.0)を入れ、菌液を回収し平板希釈養法にて生菌数を測定した。大腸菌の場合はマッコンキー寒天培地(日水製薬株式会社製)を、黄色ブドウ球菌には食塩マンニット寒天培地(日水製薬株式会社製)をそれぞれ用いて行った。その結果、表2に示すように本発明の化合物は、揮発成分として大腸菌、黄色ブドウ球菌に対して極めて強い抗菌性を示した。
【0023】
(試験例3)液相での殺菌効果
滅菌マイクロチューブに、106 cells/mlの菌体浮遊液(蒸留水中に浮遊させたもの)20 μlおよび試験調製液20 μlを入れ、最後に滅菌リン酸バッファー160 μlをいれ、37℃で1時間インキュベーションし、供試菌に試験化合物を直接暴露し、液相での殺菌効果を調べた。インキュベーション後、マイクロチューブ中の生菌数を平板希釈培養法にて試験例2と同じ培地を使用してそれぞれ測定した。その結果、表2に示すように本発明の化合物は、大腸菌、黄色ブドウ球菌に対して強い抗菌性を示した。
【0024】
表2 気相および液相における殺菌効果
【表2】
【0025】
(処方例1)抗菌消臭剤
下記表3の組成の抗菌消臭剤を調製した。
【0026】
表3 抗菌消臭剤組成
【表3】
【0027】
(処方例2)ハンドソープ
下記表4の組成のハンドソープを調製した。
【0028】
表4 ハンドソープ組成
【表4】
【0029】
【発明の効果】
本発明の抗菌剤は、人体に対して安全で、着色や不快な臭気がなく、幅広い抗菌スペクトルを有する。特に、菌種として病原性大腸菌O−157、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌といった人体に対して有害な毒素生産菌に対して有効であり、これらの菌種の殺菌および増殖抑制を目的とした香粧品に好適に配合することができる。また、本発明の抗菌剤は気相で微生物と接触させた場合においても良好な抗菌性を示し、環境中での有害微生物の増殖を抑制することができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、トランス−3−ヘキセナールを有効成分として含有することを特徴とする抗菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、香粧品分野においてはトリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、安息香酸、安息香酸塩類、サリチル酸、サリチル酸塩類、ソルビン酸、ソルビン酸塩類、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸塩類およびパラオキシ安息香酸エステル類等種々の殺菌剤や防腐剤が使用されている。しかし、これらの使用においては、人体の安全性を確保するために使用量が制限されていることから、さらに安全で抗菌活性の強いものが求められていた。
【0003】
このような実情から、天然系抗菌剤で強い抗菌性を有し抗菌スペクトルの広いヒノキチオールが使用されるようになったが、臭気や着色等の問題から使用量、使用用途を考慮する必要があるとされている。ムラヤ属植物から得られる抽出物を有効成分として含有する抗菌剤が開示されている(特許文献1)。この抽出物はグラム陽性菌には抗菌性が認められるものの、グラム陰性菌には抗菌性が認められない。
【0004】
香料化合物のなかからもいくつか提案が見られる。天然ファルネソール、合成ファルネソールを有効成分として含有する抗菌剤が開示されている(特許文献2、特許文献3)。これらの有効成分は、皮膚常在菌などのグラム陽性菌には強い抗菌性を示すものの、グラム陰性菌には抗菌性を示さない。また、ファルネソールは皮膚への感作性が報告されている。大環状ラクトン、大環状ケトンを有効成分として含有する抗菌剤が開示されている(特許文献4)。これらの有効成分もまたグラム陽性菌には強い抗菌性を示すものの、グラム陰性菌には抗菌性を示さない。
【0005】
【特許文献1】特開平8−225420号公報
【特許文献2】特開昭60−42765号公報
【特許文献3】特開平2−40043号公報
【特許文献4】WO97/47294
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、人体に対して安全で、着色や不快な臭気がなく、幅広い抗菌スペクトルを有する汎用性がある抗菌剤を提供することにある。特に、菌種として病原性大腸菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌といった人体に対して有害な毒素生産菌に有効な抗菌剤およびそれを含有する香粧品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、トランス−3−ヘキセナールが広い抗菌スペクトルを有し、病原性大腸菌O−157、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌に対して優れた抗菌活性を示すことを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明によれば、トランス−3−ヘキセナールを有効成分として含有することを特徴とする抗菌剤および該抗菌剤を含有する香粧品によって前記課題を解決することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の抗菌剤はトランス−3−ヘキセナールを有効成分として含有することを特徴とするものである。本発明のトランス−3−ヘキセナールは広い抗菌スペクトルを有し、病原性大腸菌O−157、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌等に対しても強い抗菌性を示すことから、特に病原性大腸菌O−157、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌の増殖抑制の目的で好適に使用することができる。
【0010】
本発明のトランス−3−ヘキセナールは、3−ヘキシナールから選択的還元を行い合成するか、トランス−3−ヘキセノールの酸化により合成することが出来る。
【0011】
本発明の抗菌剤は、有効成分であるトランス−3−ヘキセナールを揮散させることによって、気相中で対象微生物に接触させることにより対象微生物の増殖を抑制し、もしくは殺菌することができる。本発明における抗菌剤の有効成分を揮散させる方法は、特に限定されないが、LPG,炭酸ガスなどの噴射剤を用いたエアゾールによる方法、カラギーナン等のゲル化剤を用いゲルを形成し揮散させる方法、又液体芳香剤のように界面活性剤を用いて水に可溶化し、吸上げ芯・マットで揮散させる方法などを例示することができる。
【0012】
本発明の抗菌剤は、有効成分としてトランス−3−ヘキセナールを好ましくは0.1〜100質量%含有するものであり、より好ましくは、0.1〜5.0質量%含有するものである。
【0013】
本発明の抗菌剤は、香粧品に添加して使用することができる。本発明における香粧品としては、シャンプー、リンス、ヘアトニック、育毛剤などのヘアケア製品、石鹸、ボディーシャンプー、ハンドソープなどの洗浄剤、腋や足などの制汗・デオドラント製品、芳香剤、消臭剤、洗濯洗剤、台所洗剤などのトイレタリー製品などが挙げられる。
【0014】
本発明の香粧品への配合量は、種類や使用目的によって異なることがあるが、全質量に対する有効成分であるトランス−3−ヘキセナールの含有量が好ましくは0.001〜10質量%の範囲であり、より好ましくは0.01〜5質量%の範囲である。
【0015】
また、本発明の抗菌剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の抗菌剤、殺菌剤、界面活性剤、増粘剤、色素、およびアルコールなどの補助成分と併用することができる。
次に、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0016】
【実施例】
次の4種の試験化合物、5種の菌株を使用して抗菌性試験を行った。
【0017】
試験化合物:
No.1: トランス−2−ヘキセナール
No.2: トランス−3−ヘキセナール
No.3: トランス−2−ヘキセノール
No.4: トランス−3−ヘキセノール
試験化合物は、50% DMSO (DMSO:50mMリン酸バッファー、pH7.0=1:1)を用いて調製した。
【0018】
使用菌株:
・グラム陰性菌
大腸菌(IFT 3301)
病原性大腸菌 O−157(VT1およびVT2産出株)
サルモネラ・エンテリティディス菌(Inv A産出株)
・グラム陽性菌
黄色ブドウ球菌(IFT 12732)
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
【0019】
(試験例1)最小発育阻止濃度
マイクロプレート上の1ウェル(300 μl)に185 μlのブイヨン(Nutrient Broth No. 2, OXOID)、5μlの一夜培養液(1010 cells/ml)および10μlの化合物を入れ(初発濃度、108cells/ml)、37℃で24時間培養した。培養後、検鏡(トーマの血球計)による総菌数の計測に基づいて、最小発育阻止濃度(混濁なし、菌数が106 cells/ml以下)を求めた。
【0020】
その結果、表1に示すように本化合物は広い抗菌性を有し、病原性大腸菌O−157、薬剤耐性菌MRSA、サルモネラ菌等に対して強い抗菌性を示した。
【0021】
表1 最小発育阻止濃度(ppm)
【表1】
【0022】
(試験例2)気相での殺菌効果
滅菌コンウェイユニット(容積 33 ml)の内室に106 cells/mlの菌体浮遊液(蒸留水中に浮遊させたもの)100 μl、外室に試験調製液100 μlを入れた。直ちに、ワセリンを用いてシールし、20℃で1時間インキュベーションした。インキュベーション後、内室へ9000μlの滅菌リン酸バッファー(pH7.0)を入れ、菌液を回収し平板希釈養法にて生菌数を測定した。大腸菌の場合はマッコンキー寒天培地(日水製薬株式会社製)を、黄色ブドウ球菌には食塩マンニット寒天培地(日水製薬株式会社製)をそれぞれ用いて行った。その結果、表2に示すように本発明の化合物は、揮発成分として大腸菌、黄色ブドウ球菌に対して極めて強い抗菌性を示した。
【0023】
(試験例3)液相での殺菌効果
滅菌マイクロチューブに、106 cells/mlの菌体浮遊液(蒸留水中に浮遊させたもの)20 μlおよび試験調製液20 μlを入れ、最後に滅菌リン酸バッファー160 μlをいれ、37℃で1時間インキュベーションし、供試菌に試験化合物を直接暴露し、液相での殺菌効果を調べた。インキュベーション後、マイクロチューブ中の生菌数を平板希釈培養法にて試験例2と同じ培地を使用してそれぞれ測定した。その結果、表2に示すように本発明の化合物は、大腸菌、黄色ブドウ球菌に対して強い抗菌性を示した。
【0024】
表2 気相および液相における殺菌効果
【表2】
【0025】
(処方例1)抗菌消臭剤
下記表3の組成の抗菌消臭剤を調製した。
【0026】
表3 抗菌消臭剤組成
【表3】
【0027】
(処方例2)ハンドソープ
下記表4の組成のハンドソープを調製した。
【0028】
表4 ハンドソープ組成
【表4】
【0029】
【発明の効果】
本発明の抗菌剤は、人体に対して安全で、着色や不快な臭気がなく、幅広い抗菌スペクトルを有する。特に、菌種として病原性大腸菌O−157、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌といった人体に対して有害な毒素生産菌に対して有効であり、これらの菌種の殺菌および増殖抑制を目的とした香粧品に好適に配合することができる。また、本発明の抗菌剤は気相で微生物と接触させた場合においても良好な抗菌性を示し、環境中での有害微生物の増殖を抑制することができる。
Claims (6)
- トランス−3−ヘキセナールを有効成分として含有することを特徴とする抗菌剤。
- 対象微生物に対して、有効成分を気相で接触させることを特徴とする請求項1に記載の抗菌剤。
- 病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌のいずれかを対象微生物とすることを特徴とする請求項1記載の抗菌剤。
- 対象微生物が病原性大腸菌O−157、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の抗菌剤。
- 請求項1記載の抗菌剤を有効成分として含有することを特徴とする香粧品。
- 請求項1に記載の抗菌剤の有効成分を揮散させることを特徴とする、微生物の増殖抑制方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002354628A JP2004182699A (ja) | 2002-12-06 | 2002-12-06 | 抗菌剤およびそれを含有する香粧品並びに微生物の増殖抑制方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002354628A JP2004182699A (ja) | 2002-12-06 | 2002-12-06 | 抗菌剤およびそれを含有する香粧品並びに微生物の増殖抑制方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004182699A true JP2004182699A (ja) | 2004-07-02 |
Family
ID=32755560
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002354628A Pending JP2004182699A (ja) | 2002-12-06 | 2002-12-06 | 抗菌剤およびそれを含有する香粧品並びに微生物の増殖抑制方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004182699A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006036726A (ja) * | 2004-07-29 | 2006-02-09 | Akikazu Hatanaka | トイレタリー製品 |
WO2018021618A1 (ko) * | 2016-07-29 | 2018-02-01 | 이동선 | 시스-3-헥센알을 포함하는, 암 줄기세포 성장 억제용 조성물 |
-
2002
- 2002-12-06 JP JP2002354628A patent/JP2004182699A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006036726A (ja) * | 2004-07-29 | 2006-02-09 | Akikazu Hatanaka | トイレタリー製品 |
WO2018021618A1 (ko) * | 2016-07-29 | 2018-02-01 | 이동선 | 시스-3-헥센알을 포함하는, 암 줄기세포 성장 억제용 조성물 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
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