JP2018052891A - 皮膚常在菌制御用塗布剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】皮膚常在菌の善玉菌の菌数の減少を抑えつつ、悪玉菌の菌数を減らすことができる、皮膚常在菌制御用塗布剤を提供する。【解決手段】皮膚常在菌制御用塗布剤は、乳酸マグネシウム及び/又は乳酸カルシウムを有効成分とする。皮膚常在菌は、表皮ブドウ球菌および黄色ブドウ球菌であると好ましい。また、皮膚常在菌制御用塗布剤は、表皮ブドウ球菌の菌数の低下を抑えながら、黄色ブドウ球菌の菌数を減らすことができると好ましい。【選択図】図1
Description
本発明は、皮膚常在菌制御用塗布剤に関する。
人の皮膚には、皮膚常在菌が生息している。皮膚常在菌としては、アクネ菌やブドウ球菌などが挙げられる。これらの皮膚常在菌は、皮脂膜の一部となって皮膚を弱酸性に保ったり、乾燥から皮膚を守ったり、病原菌の侵入を防ぐなどの皮膚の健康に有益な役割を果たしている。しかしながら、ある種の菌は過剰繁殖すると、炎症原因になることがある。
例えば、ニキビは、過剰繁殖したアクネ菌が分泌するリパーゼなどの酵素が発症原因と考えられている。このような皮膚の炎症を防ぐスキンケア製品として、非特許文献1には、塩化カルシウムなどを配合したスキンケア製品が記載されている。非特許文献1には、塩化カルシウムにリパーゼ活性阻害効果が認められることも記載されている。
また、ブドウ球菌には、毒素を放出して皮膚の炎症の原因となる黄色ブドウ球菌の他に、皮膚を酸性に保ち、他の菌の繁殖を防ぐなどにより、皮膚の健康に寄与する表皮ブドウ球菌が存在する。皮膚の健康のために、皮膚上の表皮ブドウ球菌を増やす方法として、例えば、非特許文献2には、自分の表皮ブドウ球菌を単離し、それを培養して、それを自分の肌に戻す、方法が記載されている。非特許文献2には、この方法によって皮膚の弱酸性状態が安定化し、キメが改善されたことも記載されている。
赤座誠文、「皮膚常在菌による炎症の研究とスキンケア製品への応用」、フレグランスジャーナル、フレグランスジャーナル社、2012年8月、第40巻、第8号、p.41−46
野嶽勇一、榊原隆三、「"自分の皮膚常在菌"を活用した新規スキンケア法の開発」、フレグランスジャーナル、フレグランスジャーナル社、2013年12月、第41巻、第12号、p.14−20
皮膚の炎症の原因となる黄色ブドウ球菌の皮膚上の菌数を減らすには、抗生物質や殺菌剤などを皮膚に塗布して黄色ブドウ球菌を殺菌する方法があるが、この様な方法は、悪玉菌である黄色ブドウ球菌の菌数を減らすだけでなく、善玉菌である表皮ブドウ球菌の菌数も減ってしまい、逆に皮膚への悪影響を与えてしまうことがある。
従って、本発明の課題は、皮膚常在菌の善玉菌の菌数を減少を抑えつつ、悪玉菌の菌数を減らすことができる、皮膚常在菌制御用塗布剤を提供することにある。
従って、本発明の課題は、皮膚常在菌の善玉菌の菌数を減少を抑えつつ、悪玉菌の菌数を減らすことができる、皮膚常在菌制御用塗布剤を提供することにある。
本発明者らは、特定の有機酸の金属塩水溶液は、その殺菌能力が、菌の種類によって異なることを見出した。本発明者らは、更に検討を進め、特定の乳酸金属塩の水溶液は、善玉菌の菌数を減少を抑えながら悪玉菌の菌数を減らすといった、菌数の制御用途に使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するため、本発明の皮膚常在菌制御用塗布剤は、乳酸マグネシウム及び/又は乳酸カルシウムを有効成分とする。
前記の皮膚常在菌は、表皮ブドウ球菌および黄色ブドウ球菌を含み、前記の制御は、表皮ブドウ球菌の菌数の低下を抑えながら、黄色ブドウ球菌の菌数を減らすと好ましい。
前記皮膚常在菌制御用塗布剤は、剤形が水溶液であると好ましい。
前記皮膚常在菌制御用塗布剤は、乳酸カルシウムを有効成分とすると好ましい。
前記乳酸カルシウムの含有量は、0.7〜3重量%であると好ましい。
本発明の皮膚常在菌制御用塗布剤は、皮膚常在菌の善玉菌の菌数の減少を抑えつつ、悪玉菌の菌数を減らすことができる。
本発明の皮膚常在菌制御用塗布剤は、乳酸マグネシウム及び/又は乳酸カルシウムを有効成分とする。
本発明の塗布剤は、人の皮膚に塗布して、皮膚常在菌のうち、善玉菌の菌数の減少を抑えつつ、悪玉菌の菌数を減らす制御に用いるものである。より具体的には、本発明の塗布剤は、皮膚に常在する菌の善玉菌と悪玉菌について、悪玉菌の菌数を減少させ、かつ善玉菌の悪玉菌に対する菌数比(善玉菌/悪玉菌)を増加させるためのものである。これにより、悪玉菌からの毒素の発生を抑制しながら、皮膚を酸性に保ち、他の菌の感染や乾燥を防ぐことなどができ、皮膚の健康を向上させることができる。皮膚常在菌は特に限定されないが、例えば、善玉菌としては表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)が挙げられ、悪玉菌としては黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が挙げられる。
皮膚常在菌の制御は、悪玉菌の菌数の塗布6時間後の減少割合が、70%以下まで減少できるものであると好ましく、50%以下まで減少できるものであるとより好ましく、35%以下まで減少できるものであると特に好ましい。また、悪玉菌の菌数の塗布24時間後の減少割合が、50%以下まで減少できるものであると好ましく、40%以下まで減少できるものであるとより好ましく、30%以下まで減少できるものであると特に好ましい。さらに、悪玉菌の菌数の塗布48時間後の減少割合が、10%以下まで減少できるものであると好ましく、5%以下まで減少できるものであるとより好ましく、1%以下まで減少できるものであると特に好ましい。
また、皮膚常在菌の制御は、善玉菌の悪玉菌に対する菌数比(善玉菌/悪玉菌)が、塗布剤を塗布する前に対して増加できれば特に限定されないが、1以上にすることができると好ましく、4以上にすることができるとより好ましく、10以上にすることができると特に好ましい。
本発明に用いる乳酸カルシウム(化学式:[CH3CH(OH)COO]2Ca)は、水やアルコールに可溶な常温で固体の粉末であり、無水物の他、水和物として市販されているものを用いることができる。本発明に用いる乳酸マグネシウム(化学式:[CH3CH(OH)COO]2Mg)は、水に可溶でアルコールに難溶な常温で固体の粉末であり、無水物の他、水和物として市販されているものを用いることができる。乳酸マグネシウム及び乳酸カルシウムは、それぞれ単独で用いることができ、併用することもできる。中でも乳酸カルシウムが好ましい。乳酸カルシウムや乳酸マグネシウムを構成する乳酸は、D体であっても、L体であっても、DL体であっても良く、特に限定されないが、入手し易さの点などにより、L体が好ましい。
塗布剤中の有効成分の含有量は特に限定されないが、有効成分が乳酸カルシウムの場合、下限は、0.1重量%であると好ましく、0.2重量%であるとより好ましく、0.5重量%であると更に好ましく、0.7重量%であると特に好ましい。また、上限は、3重量%が好ましく、1.5重量%がより好ましい。含有量がこれらの下限より大きいと、悪玉菌の菌数を減らす速度が速い点で好ましく、含有量がこれらの上限より低いと、菌の減少の選択性や、コストの点で好ましい。
塗布剤中の有効成分の含有量は特に限定されないが、有効成分が乳酸マグネシウムの場合、下限は、0.1重量%であると好ましく、0.3重量%であるとより好ましく、0.75重量%であると特に好ましい。また、上限は、3重量%が好ましく、1.3重量%がより好ましい。含有量がこれらの下限より大きいと、悪玉菌の菌数を減らす速度が速い点で好ましく、含有量がこれらの上限より低いと、菌の減少の選択性や、コストの点で好ましい。
乳酸カルシウム及び/又は乳酸マグネシウムは、水やエタノールに溶解させて、必要により他の成分を加え水溶液やエタノール溶液の液剤にして皮膚常在菌制御用塗布剤にすることができる。本発明の皮膚常在菌制御用塗布剤の剤形は、液剤のほか、クリームやペースト、軟膏、ゲルなどの半固形状や、粒状剤や粉末剤などの固形状とすることもできる。本発明の皮膚常在菌制御用塗布剤の剤形としては、液剤が好ましく、水溶液がより好ましい。
本発明の皮膚常在菌制御用塗布剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料等の製剤に使用される成分などの他の成分を含有することができる。他の成分としては、乳化剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、美白剤、抗炎症剤、活性酸素消去剤、細胞賦活剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等などが挙げられる。
本発明の皮膚常在菌制御用塗布剤の形態は、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、洗顔料、メーキャップ化粧料等の皮膚用化粧料に属する形態;シャンプー、ヘアートリートメント、ヘアースタイリング剤、養毛剤、育毛剤等の頭髪化粧料に関する形態;等とすることができる。
また、本発明の皮膚常在菌制御用塗布剤は、分散液、軟膏、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等の外用医薬品等に配合することもできる。
皮膚常在菌制御用塗布剤の皮膚への塗布方法は特に限定されないが、剤形が液剤の場合は、皮膚に噴霧したり、直接塗布したりすることができ、皮膚全体が潤うようになじませることが好ましい。剤形がクリームなどの半固形状の場合は、皮膚に少しづつ延ばして、しっとりする程度につけることができる。
本発明の皮膚常在菌制御用塗布剤は、皮膚常在菌の善玉菌の菌数の減少を抑えつつ、悪玉菌の菌数を減らすことができるので、皮膚の健康を改善、維持することができる。
(実施例)
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。塗布剤の皮膚常在菌に対する制御性については、以下の静菌効果確認試験で評価した。
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。塗布剤の皮膚常在菌に対する制御性については、以下の静菌効果確認試験で評価した。
(静菌効果確認試験)
(1)試験菌
試験菌として、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC 13276)又は表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis NBRC 100911)を用いた。
(2)試験操作
検体(塗布液)19.8gを滅菌バイアル瓶にとり、試験菌液を1%量(0.2ml)接種する(試験菌液の濃度は、増殖の確認を明瞭にするため検体中約104個/mlとする。接種菌値は表1〜4に示す)。これを25℃の恒温器で保存し、規定時間(6時間、24時間、48時間)後にその1gを採取して、LP希釈液(大豆レシチン:0.7g、ポリソルベート80:20g、ペプトン:1g、精製水:1000ml)9mlで希釈する。この希釈液をさらに段階希釈し、寒天平板混釈法により生菌数を測定する。
(1)試験菌
試験菌として、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC 13276)又は表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis NBRC 100911)を用いた。
(2)試験操作
検体(塗布液)19.8gを滅菌バイアル瓶にとり、試験菌液を1%量(0.2ml)接種する(試験菌液の濃度は、増殖の確認を明瞭にするため検体中約104個/mlとする。接種菌値は表1〜4に示す)。これを25℃の恒温器で保存し、規定時間(6時間、24時間、48時間)後にその1gを採取して、LP希釈液(大豆レシチン:0.7g、ポリソルベート80:20g、ペプトン:1g、精製水:1000ml)9mlで希釈する。この希釈液をさらに段階希釈し、寒天平板混釈法により生菌数を測定する。
(実施例1−1)
乳酸カルシウム5水和物(キシダ化学株式会社製)1gを純水99gに溶解して、有効成分が乳酸カルシウムの0.71重量%水溶液(検体(塗布剤))を調製した。次いで、この検体を121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について、試験菌として黄色ブドウ球菌を用いた静菌効果確認試験を行った。結果を表1及び図1に示す。
乳酸カルシウム5水和物(キシダ化学株式会社製)1gを純水99gに溶解して、有効成分が乳酸カルシウムの0.71重量%水溶液(検体(塗布剤))を調製した。次いで、この検体を121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について、試験菌として黄色ブドウ球菌を用いた静菌効果確認試験を行った。結果を表1及び図1に示す。
(実施例1−2)
黄色ブドウ球菌の代わりに表皮ブドウ球菌を用いた他は、実施例1−1と同様にして、静菌効果確認試験を行った。結果を表1及び図1に示す。
黄色ブドウ球菌の代わりに表皮ブドウ球菌を用いた他は、実施例1−1と同様にして、静菌効果確認試験を行った。結果を表1及び図1に示す。
実施例1−1及び実施例1−2の結果から、乳酸カルシウムの0.71重量%水溶液によって、悪玉菌の黄色ブドウ球菌は、6時間後には元の50%程度まで減少し、24時間後には6%程度まで減少し、48時間後には1%程度まで菌数が減少する一方、善玉菌の表皮ブドウ球菌は、6時間後には元の74%程度残存し、24時間後には35%程度残存し、48時間後でも14%程度も残存していた。このように、乳酸カルシウムの1重量%水溶液は、表皮ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌に対する特性が大きく異なり、皮膚常在菌のうち、善玉菌の減少を抑えつつ、悪玉菌の菌数を減少させることができた。悪玉菌の黄色ブドウ球菌に対する善玉菌の表皮ブドウ球菌の菌数比は、善玉菌/悪玉菌で、24時間後には約5倍に達した。
(実施例2−1、2−2)
乳酸マグネシウム3水和物(キシダ化学株式会社製)1gを純水99gに溶解して、乳酸カルシウムの0.79重量%水溶液(検体)を調製した。次いで、検体について121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について、実施例1−1及び1−2と同様にして、静菌効果確認試験を行った。結果を表1及び図2に示す。実施例2−1及び実施例2−2の結果から、乳酸マグネシウムの1重量%水溶液によって、悪玉菌の黄色ブドウ球菌は、6時間後には元の32%程度まで減少し、24時間後には4%程度まで減少し、48時間後には1%程度まで菌数が減少する一方、善玉菌の表皮ブドウ球菌は、6時間後には元とほぼ変化せず、24時間後でも63%程度残存し、48時間後でも14%程度も残存していた。悪玉菌の黄色ブドウ球菌に対する善玉菌の表皮ブドウ球菌の菌数比は、善玉菌/悪玉菌で、24時間後には約12倍に達した。
乳酸マグネシウム3水和物(キシダ化学株式会社製)1gを純水99gに溶解して、乳酸カルシウムの0.79重量%水溶液(検体)を調製した。次いで、検体について121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について、実施例1−1及び1−2と同様にして、静菌効果確認試験を行った。結果を表1及び図2に示す。実施例2−1及び実施例2−2の結果から、乳酸マグネシウムの1重量%水溶液によって、悪玉菌の黄色ブドウ球菌は、6時間後には元の32%程度まで減少し、24時間後には4%程度まで減少し、48時間後には1%程度まで菌数が減少する一方、善玉菌の表皮ブドウ球菌は、6時間後には元とほぼ変化せず、24時間後でも63%程度残存し、48時間後でも14%程度も残存していた。悪玉菌の黄色ブドウ球菌に対する善玉菌の表皮ブドウ球菌の菌数比は、善玉菌/悪玉菌で、24時間後には約12倍に達した。
(比較例1−1、1−2)
乳酸カリウム(株式会社武蔵野化学研究所製、商品名:スラックK、乳酸カリウム50%水溶液)2gを純水98gに混合して、乳酸カリウムの濃度1%の水溶液(検体)を調製した。次いで、この検体を121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について、静菌効果確認試験を行った。結果を表1及び図3に示す。黄色ブドウ球菌の菌数は僅かに減少したが、表皮ブドウ球菌の菌数が著しく減少した。
乳酸カリウム(株式会社武蔵野化学研究所製、商品名:スラックK、乳酸カリウム50%水溶液)2gを純水98gに混合して、乳酸カリウムの濃度1%の水溶液(検体)を調製した。次いで、この検体を121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について、静菌効果確認試験を行った。結果を表1及び図3に示す。黄色ブドウ球菌の菌数は僅かに減少したが、表皮ブドウ球菌の菌数が著しく減少した。
(比較例2−1、2−2)
乳酸ナトリウム(株式会社武蔵野化学研究所製、商品名:乳酸ソーダF 乳酸ナトリウム50%水溶液)2gを純水98gに混合して、乳酸ナトリウムの濃度1%の水溶液(検体)を調製した。次いで、この検体を121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について、静菌効果確認試験を行った。結果を表1に示す。黄色ブドウ球菌の菌数は、増加ないし僅かに減少し、表皮ブドウ球菌の菌数が緩やかに減少した。
乳酸ナトリウム(株式会社武蔵野化学研究所製、商品名:乳酸ソーダF 乳酸ナトリウム50%水溶液)2gを純水98gに混合して、乳酸ナトリウムの濃度1%の水溶液(検体)を調製した。次いで、この検体を121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について、静菌効果確認試験を行った。結果を表1に示す。黄色ブドウ球菌の菌数は、増加ないし僅かに減少し、表皮ブドウ球菌の菌数が緩やかに減少した。
(比較例3−1、3−2)
塩化カルシウム2水和物(関東化学株式会社製)1gを純水99gに溶解して、塩化カルシウムの濃度0.75%の水溶液(検体)を調製した。次いで、この検体を121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について、静菌効果確認試験を行った。結果を表1に示す。黄色ブドウ球菌の菌数は減少したが減少速度は遅く、表皮ブドウ球菌の菌数の減少速度が速く、表皮ブドウ球菌の菌数が、黄色ブドウ球菌の菌数を上まわることは無かった。
塩化カルシウム2水和物(関東化学株式会社製)1gを純水99gに溶解して、塩化カルシウムの濃度0.75%の水溶液(検体)を調製した。次いで、この検体を121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について、静菌効果確認試験を行った。結果を表1に示す。黄色ブドウ球菌の菌数は減少したが減少速度は遅く、表皮ブドウ球菌の菌数の減少速度が速く、表皮ブドウ球菌の菌数が、黄色ブドウ球菌の菌数を上まわることは無かった。
(比較例4−1、4−2)
プロピオン酸カルシウム(和光純薬株式会社製)1gを純水99gに溶解して、プロピオン酸カルシウムの濃度1%の水溶液(検体)を調製した。次いで、この検体を121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について、静菌効果確認試験を行った。結果を表1及び図4に示す。黄色ブドウ球菌の菌数は減少したが、表皮ブドウ球菌の菌数も低下し、表皮ブドウ球菌の菌数が、黄色ブドウ球菌の菌数を上まわることは無かった。
プロピオン酸カルシウム(和光純薬株式会社製)1gを純水99gに溶解して、プロピオン酸カルシウムの濃度1%の水溶液(検体)を調製した。次いで、この検体を121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について、静菌効果確認試験を行った。結果を表1及び図4に示す。黄色ブドウ球菌の菌数は減少したが、表皮ブドウ球菌の菌数も低下し、表皮ブドウ球菌の菌数が、黄色ブドウ球菌の菌数を上まわることは無かった。
(比較例5−1、5−2)
グルコン酸カルシウム1水和物(関東化学株式会社製)1gを純水99gに溶解して、グルコン酸カルシウムの濃度0.96%の水溶液(検体)を調製した。次いで、この検体を121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について静菌効果確認試験を行った。結果を表1に示す。黄色ブドウ球菌の菌数の減少は遅く、表皮ブドウ球菌の菌数の低下は著しかった。
グルコン酸カルシウム1水和物(関東化学株式会社製)1gを純水99gに溶解して、グルコン酸カルシウムの濃度0.96%の水溶液(検体)を調製した。次いで、この検体を121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について静菌効果確認試験を行った。結果を表1に示す。黄色ブドウ球菌の菌数の減少は遅く、表皮ブドウ球菌の菌数の低下は著しかった。
(実施例3−1〜8−2)
乳酸カルシウム5水和物(キシダ化学株式会社製)を純水に溶解して、乳酸カルシウムの濃度がそれぞれ0.18重量%、0.35重量%、0.53重量%、1.06重量%、1.41重量%および2.12重量%の水溶液(検体)を調製した。次いで、この検体を121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について、静菌効果確認試験を行った。結果を表2に示す。0.35重量%以上の濃度で表皮ブドウ球菌の菌数が黄色ブドウ球菌の菌数を上まった。
乳酸カルシウム5水和物(キシダ化学株式会社製)を純水に溶解して、乳酸カルシウムの濃度がそれぞれ0.18重量%、0.35重量%、0.53重量%、1.06重量%、1.41重量%および2.12重量%の水溶液(検体)を調製した。次いで、この検体を121℃、15分のオートクレーブ処理をした。オートクレーブ処理した検体について、静菌効果確認試験を行った。結果を表2に示す。0.35重量%以上の濃度で表皮ブドウ球菌の菌数が黄色ブドウ球菌の菌数を上まった。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
Claims (5)
- 乳酸マグネシウム及び/又は乳酸カルシウムを有効成分とする皮膚常在菌制御用塗布剤。
- 前記の皮膚常在菌は、表皮ブドウ球菌および黄色ブドウ球菌を含み、前記の制御は、表皮ブドウ球菌の菌数の低下を抑えながら、黄色ブドウ球菌の菌数を減らす、請求項1に記載の皮膚常在菌制御用塗布剤。
- 剤形は水溶液である、請求項1又は2に記載の皮膚常在菌制御用塗布剤。
- 乳酸カルシウムを有効成分とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚常在菌制御用塗布剤。
- 前記乳酸カルシウムの含有量は、0.7〜3重量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚常在菌制御用塗布剤。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022173012A1 (ja) * | 2021-02-15 | 2022-08-18 | 株式会社 資生堂 | スペルミジン産生促進剤 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022173012A1 (ja) * | 2021-02-15 | 2022-08-18 | 株式会社 資生堂 | スペルミジン産生促進剤 |
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