JP2004182157A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】後席室内側および後席シート側を冷房状態から暖房状態まで良好に温度制御して空調する。
【解決手段】送風空気を冷却する蒸発器15と、送風空気を加熱するヒータコア16とを有し、ヒータコア16の下流側に、後席側フェイス開口部17a、17bと、後席側フット開口部21c、21dと、後席シート部10側へ吹き出す空気を取り出すシート用開口部24a、24bとを設け、後席側フェイス開口部17a、17bおよび後席側フット開口部21c、21dの吹出空気温度を後席室内側エアミックスドア80により調整し、シート用開口部24a、24bの吹出空気温度を後席シート側エアミックスドア70により調整する。
【選択図】 図2
【解決手段】送風空気を冷却する蒸発器15と、送風空気を加熱するヒータコア16とを有し、ヒータコア16の下流側に、後席側フェイス開口部17a、17bと、後席側フット開口部21c、21dと、後席シート部10側へ吹き出す空気を取り出すシート用開口部24a、24bとを設け、後席側フェイス開口部17a、17bおよび後席側フット開口部21c、21dの吹出空気温度を後席室内側エアミックスドア80により調整し、シート用開口部24a、24bの吹出空気温度を後席シート側エアミックスドア70により調整する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に車室内の後席側領域を空調する車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、後席側空調ユニットから空調風を後席側室内領域へ吹き出すとともに、後席シート部を空調風が流れる通気路を有する構成として後席シート部にも空調風を送り込み、後席シート部から空調風を吹き出すようにした車両用空調装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の従来装置は、具体的には、後席側空調ユニット内に冷房用熱交換器のみを内蔵し、冷房用熱交換器で冷却された冷風を後席側室内領域へ吹き出すとともに後席シート部からも吹き出している。
【0004】
また、上記従来装置では、冷房用熱交換器の側方にバイパス通路を設け、エアミックスドアにより冷房用熱交換器を通過する冷風の風量とバイパス通路を通過する非冷却空気(車室内空気)の風量との割合を調整して車室内吹出空気温度を調整している。
【0005】
【特許文献1】
実開昭60−51115号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の従来装置によると、後席側空調ユニット内にて空気を加熱できないので、車室内の後席側領域へ温風を吹き出して暖房機能を発揮することができない。
【0007】
また、車室内吹出空気温度の調整のために、バイパス空気風量を増加すると、冷房用熱交換器の通過風量が必然的に減少するので、冷房用熱交換器による除湿能力が低下してしまう。つまり、冷房用熱交換器による除湿機能の確保と車室内吹出空気温度の調整との両立を図ることができない。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、車室内の後席側領域を空調する車両用空調装置において、後席室内側および後席シート側を冷房状態から暖房状態まで良好に温度制御して空調できるようにすることを目的とする。
【0009】
また、本発明は缶飲料水等の品物を冷蔵および温蔵可能な冷温蔵庫機能を発揮できる後席側の車両用空調装置を提供することを他の目的とする。
【0010】
また、本発明は、電池冷却機能を発揮できる後席側の車両用空調装置を提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明は後席シート部の車両後方側の傾斜面に対して、スペース効率が良好となる後席側の車両用空調装置を提供することを他の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために案出されたもので、請求項1に記載の発明では、車室内の後席側領域を空調する車両用空調装置において、空気を送風する送風機(46、47)と、送風機(46、47)の送風空気を冷却する冷房用熱交換器(15)と、冷房用熱交換器(15)の下流側に設けられ、送風機(46、47)の送風空気を加熱する暖房用熱交換器(16)と、暖房用熱交換器(16)の下流側に設けられ、車室内後席側の乗員上半身側へ吹き出す空気を取り出す後席側フェイス開口部(17a、17b)と、暖房用熱交換器(16)の下流側に設けられ、車室内後席側の乗員足元側へ吹き出す空気を取り出す後席側フット開口部(21a〜21d)と、暖房用熱交換器(16)の下流側に設けられ、車室内の後席シート部(10)側へ吹き出す空気を取り出すシート用開口部(24a、24b)と、後席側フェイス開口部(17a、17b)および後席側フット開口部(21a〜21d)の吹出空気温度を調整する後席室内側吹出温度調整手段(80)と、シート用開口部(24a、24b)の吹出空気温度を調整する後席シート側吹出温度調整手段(70)とを備えることを特徴とする。
【0013】
これによると、冷房用熱交換器(15)で冷却された冷風と暖房用熱交換器(16)で加熱された温風とを用いて、後席室内側および後席シート側の双方を冷房状態から暖房状態まで良好に空調できる。しかも、後席室内側吹出温度調整手段(80)と後席シート側吹出温度調整手段(70)とを独立に操作することにより、後席室内側と後席シート側とをそれぞれ乗員の好みに応じた快適な状態に独立して温度制御できる。
【0014】
請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の車両用空調装置は、具体的には、送風機(46、47)、冷房用熱交換器(15)、暖房用熱交換器(16)、前記開口部群および前記両温度調整手段(70、80)を有する後席側空調ユニット部(12、13、14)を、後席シート部(10)後方側に形成されるトランクルーム(11)内に搭載すればよい。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2において、暖房用熱交換器(16)を通過して温風が流れる後席室内側温風通路(61)と、冷房用熱交換器(15)通過後の冷風が暖房用熱交換器(16)をバイパスして流れる後席室内側冷風通路(57)と、暖房用熱交換器(16)を通過して温風が流れる後席シート側温風通路(59)と、冷房用熱交換器(15)通過後の冷風が暖房用熱交換器(16)をバイパスして流れる後席シート側冷風通路(56)とを備え、
後席室内側吹出温度調整手段は、後席室内側温風通路(61)の温風と後席室内側冷風通路(57)の冷風との風量割合を調整する後席室内側エアミックスドア(80)により構成され、後席シート側吹出温度調整手段は、後席シート側温風通路(59)の温風と後席シート側冷風通路(56)の冷風との風量割合を調整する後席シート側エアミックスドア(70)により構成されていることを特徴とする。
【0016】
これにより、後席室内側エアミックスドア(80)により冷温風の風量割合を調整して後席室内側の吹出温度を独立に調整でき、また、後席シート側エアミックスドア(70)により冷温風の風量割合を調整して後席シート側の吹出温度を独立に調整できる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、請求項3において、暖房用熱交換器(16)をその熱交換部(16a)が略上下方向に向くように配置し、暖房用熱交換器(16)の上方側に後席シート側冷風通路(56)を配置し、暖房用熱交換器(16)の熱交換部(16a)の上方側に後席シート側温風通路(59)を配置し、暖房用熱交換器(16)の熱交換部(16a)の下方側に後席室内側温風通路(61)を配置し、暖房用熱交換器(16)の下方側に後席室内側冷風通路(57)を配置し、更に、後席室内側冷風通路(57)の下方側に、冷房用熱交換器(15)通過後の冷風を後席側フェイス開口部(17a、17b)に直接導入する冷風バイパス通路(63)を配置したことを特徴とする。
【0018】
これによると、後席シート側冷風通路(56)、後席シート側温風通路(59)、後席室内側温風通路(61)および後席室内側冷風通路(57)に対して冷風バイパス通路(63)が最下部に位置する。そのため、冷風が温風との密度差により下方側へ偏りやすいという性質を活用して、冷風バイパス通路(63)には、温風との密度差から下方側へ偏りやすい冷風の性質を活用して、最下部の冷風バイパス通路(63)に冷風が流入しやすくなる。
【0019】
そして、この冷風バイパス通路(63)の冷風を後席側フェイス開口部(17a、17b)に直接導入することにより、後席側バイレベルモード時に、後席側フェイス吹出温度を後席側フット吹出温度より引き下げることができ、頭寒足熱型の快適な上下吹出温度差を容易に設定できる。
【0020】
請求項5に記載の発明のように、請求項4において、冷風バイパス通路(63)から後席側フェイス開口部(17a、17b)に導入する冷風の風量を調整するドア手段(65)を備えれば、ドア手段(65)による冷風風量の調整によって後席側フェイス吹出温度を独立に調整できるので、後席側バイレベルモード時に上下吹出温度を独立制御できる。
【0021】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つにおいて、後席シート部(10)近傍に配置され、冷房用熱交換器(15)通過後の冷風を導入することにより冷蔵機能を発揮するとともに、暖房用熱交換器(16)通過後の温風を導入することにより温蔵機能を発揮する冷温蔵庫(26)を備えることを特徴とする。
【0022】
これにより、後席側空調装置における冷風、温風を利用して、缶飲料水等の品物を冷蔵したり、温蔵する冷温蔵機能を発揮できる。
【0023】
請求項7に記載の発明では、請求項4または5において、後席シート部(10)近傍に配置され、冷風バイパス通路(63)から冷風を導入することにより冷蔵機能を発揮するとともに、暖房用熱交換器(16)通過後の温風を導入することにより温蔵機能を発揮する冷温蔵庫(26)を備えることを特徴とする。
【0024】
これによると、請求項6に比較して、最下部に位置する冷風バイパス通路(63)から冷温蔵庫(26)内に冷風を効果的に導入できるので、冷蔵機能をより一層効果的に発揮できる。
【0025】
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つにおいて、冷房用熱交換器(15)通過後の冷風を車載電池(36)の周囲に導入して、車載電池(36)を冷却する電池用冷風ダクト(34)を備えることを特徴とする。
【0026】
これにより、後席側空調装置における冷風を利用して車載電池(36)の冷却を行うことができる。
【0027】
請求項9に記載の発明では、請求項4、5、7のいずれか1つにおいて、冷風バイパス通路(63)から冷風を車載電池(36)の周囲に導入して、車載電池(36)を冷却する電池用冷風ダクト(34)を備えることを特徴とする。
【0028】
これによると、請求項8に比較して、最下部に位置する冷風バイパス通路(63)から電池用冷風ダクト(34)に冷風を効果的に導入できるので、車載電池(36)の冷却をより一層効果的に行うことができる。
【0029】
請求項10に記載の発明では、請求項1ないし9のいずれか1つにおいて、冷房用熱交換器(15)の車両前方側に暖房用熱交換器(16)が配置され、暖房用熱交換器(16)の更に車両前方側に、後席側フェイス開口部(17a、17b)、後席側フット開口部(21c、21d)およびシート用開口部(24a、24b)が配置され、
後席側フェイス開口部(17a、17b)は後席側フット開口部(21a〜21d)よりも車両後方側に配置されていることを特徴とする。
【0030】
これによると、後席側フェイス開口部(17a、17b)は後席側フット開口部(21a〜21d)よりも冷房用熱交換器(15)に近接した配置レイアウトになるので、後席側バイレベルモード時に、後席側フェイス開口部(17a、17b)に冷風を導入し易くなる。そのため、後席側フェイス吹出温度を後席側フット吹出温度より引き下げて、頭寒足熱型の快適な上下吹出温度差を容易に設定できる。
【0031】
請求項11に記載の発明のように、請求項10において、後席側フェイス開口部(17a、17b)および後席側フット開口部(21a〜21d)の上方側にシート用開口部(24a、24b)を配置すれば、これら三種の開口部を上下方向に積み上げる配置レイアウトして、暖房用熱交換器(16)の車両前方側スペースを開口部群の配置のために有効利用できる。
【0032】
請求項12に記載の発明では、請求項11において、シート用開口部(24a、24b)を後席側フェイス開口部(17a、17b)の上方側にずらして配置することにより、後席側フェイス開口部(17a、17b)、後席側フット開口部(21a〜21d)およびシート用開口部(24a、24b)からなる開口部群(K)の車両左右方向からみた側面形状を、後席シート部(10)の車両後方側への傾斜面(B)に沿った傾斜面(L)を持つ三角形状としたことを特徴とする。
【0033】
これによると、開口部群(K)の側面形状を後席シート部(10)の車両後方側への傾斜面(B)に沿った傾斜面(L)を持つ形状に形成することにより、後席シート部(10)の傾斜配置、リクライニング機能に対しても容易に対応できるとともに、上記三種の開口部を後席シート部(10)の傾斜面(B)に沿った側面形状となるように配置することにより、上記三種の開口部を無駄スペースを生じることがない、スペース効率の良好な配置とすることができる。
【0034】
請求項13に記載の発明では、車室内の後席側領域を空調する車両用空調装置において、空気を送風する送風機(46、47)と、送風機(46、47)の送風空気が流入するケース(50、51)と、ケース(50、51)内に配置され、送風機(46、47)の送風空気を冷却する冷房用熱交換器(15)と、ケース(50、51)内にて冷房用熱交換器(15)の下流側に設けられ、送風機(46、47)の送風空気を加熱する暖房用熱交換器(16)と、ケース(50、51)のうち暖房用熱交換器(16)の下流側に開口し、車室内後席側の乗員上半身側へ吹き出す空気を取り出す後席側フェイス開口部(17a、17b)と、ケース(50、51)のうち暖房用熱交換器(16)の下流側に開口し、車室内後席側の乗員足元側へ吹き出す空気を取り出す後席側フット開口部(21a〜21d)と、ケース(50、51)のうち暖房用熱交換器(16)の下流側に開口し、車室内の後席シート部(10)側へ吹き出す空気を取り出すシート用開口部(24a、24b)と、後席側フェイス開口部(17a、17b)、後席側フット開口部(21a〜21d)およびシート用開口部(24a、24b)の吹出空気温度を調整する後席側吹出温度調整手段(70、80)とを備え、
ケース(50、51)の車両左右方向からみた側面形状を、後席シート部(10)の車両後方側への傾斜面(B)に沿った傾斜面(L)を持つ形状とし、
ケース(50、51)を後席シート部(10)の後方側部位に搭載するとともに、送風機(46、47)を、ケース(50、51)の車両左右方向の側方において傾斜面(L)より後方側部位に搭載することを特徴とする。
【0035】
これによると、冷房用熱交換器(15)で冷却された冷風と暖房用熱交換器(16)で加熱された温風とを用いて、後席室内側および後席シート側の双方を冷房状態から暖房状態まで良好に空調できる。また、後席側吹出温度調整手段(70、80)により、後席室内側および後席シート側への吹出温度を調整できる。
【0036】
更に、送風機(46、47)およびケース(50、51)を、後席シート部(10)の後方側部位に搭載するに際し、ケース(50、51)の車両左右方向からみた側面形状を、後席シート部(10)の車両後方側への傾斜面(B)に沿った傾斜面(L)を持つ形状とし、この傾斜面(L)よりも後方側部位に送風機(46、47)を搭載しているから、請求項12と同様に、後席シート部(10)の傾斜配置、リクライニング機能に対して容易に対応できる。しかも、上記三種の開口部を傾斜面(L)を持つ側面形状に合致するように配置することにより、無駄スペースを生じることがない、スペース効率の良好な配置とすることができる。
【0037】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図1は本実施形態の車両搭載状態の概略を示す図、図2は本実施形態による後席側空調ユニット部の空気通路構成の概略を示すもので、図5のX−X断面図、図3は後席側空調ユニット部の斜視図、図4は後席側空調ユニット部の左側面図、図5は後席側空調ユニット部の車両後方側からみた背面図、図6は後席側空調ユニット部の底面図、図7は後席側空調ユニット部の概略断面図である。なお、図1〜図7において前後上下左右の各矢印は後席側空調ユニット部の車両搭載状態における方向を示す。
【0039】
図1はセダンタイプの乗用車における後席シート部10および後席シート部10の車両後方側に形成されるトランクルーム11付近を示しており、後席シート部10は図示しないリクライニング機構が装備されており、このリクライニング機構により後席シート部10の背もたれ部(バック部)10aの傾斜角度が調整可能になっている。なお、図2の2点鎖線Aは後席シート部10の背もたれ部10aの車両後方側(背面側)の通常時傾斜面位置を示し、2点鎖線Bは後席シート部10の背もたれ部10aを車両後方側に最大に傾斜した場合の車両後方側(背面側)の傾斜面位置を示す。
【0040】
本実施形態による後席側空調ユニット部は、図3に例示するように、車両左右方向の中央部に配置される熱交換ユニット部12と、この熱交換ユニット部12の左右両側に配置された送風機ユニット13、14とにより構成されている。この熱交換ユニット部12と送風機ユニット13、14から構成される後席側空調ユニット部は図1のようにトランクルーム11内に搭載される。
【0041】
熱交換ユニット部12は送風機ユニット13、14により送風される空気を冷却する冷凍サイクルの蒸発器15と、この蒸発器15の下流側に配置され、蒸発器15の通過空気を加熱する温水式ヒータコア16とを内蔵している。ここで、蒸発器15は冷凍サイクルの減圧手段により減圧された低圧冷媒が空気から吸熱して蒸発することにより空気を冷却するもので、冷房用熱交換器を構成する。
【0042】
また、ヒータコア16は車両エンジン(図示せず)の温水(冷却水)を熱源として空気を加熱するもので、暖房用熱交換器を構成する。熱交換ユニット部12内部において空調風は蒸発器15、ヒータコア16および後述の温度調整機構により所望温度に調整される。
【0043】
この所望温度の空調風を、熱交換ユニット部12の左右両側の後席側フェイス開口部17a、17b(図3参照)から左右両側の後席側フェイスダクト18((図1参照)に導入するようになっている。この後席側フェイスダクト18は後席シート部10の左右両側部に位置する車両ピラー部(図示せず)に沿って車両天井部の後席側の左右両側部まで立ち上がるように配置される。
【0044】
そして、左右両側の後席側フェイスダクト18の車両天井側の先端部に後席側天井ダクト19を接続している。この後席側天井ダクト19は車両天井部に沿って広範囲に形成されるものであって、この後席側天井ダクト19の下面部に多数の後席側フェイス吹出口20を設けている。この後席側フェイス吹出口20から後席乗員の上半身側へ向けて空調風(主に冷風)を吹き出すようになっている。
【0045】
また、所望温度の空調風を熱交換ユニット部12の左右両側の後席側第1フット開口部21a、21b(図3参照)から左右両側の後席側第1フットダクト22(図1参照)に導入するようになっている。この左右両側の後席側第1フットダクト22は後席シート部10の左右両側シート部の下方を通過して後席シート部10のクッション部10bの車両前方端部まで延びるように配置されている。
【0046】
そして、左右両側の後席側第1フットダクト22の車両前方端部付近に後席側第1フット吹出口23を設けて、この後席側第1フット吹出口23から左右両側の後席乗員の足元側へ向けて空調風(主に温風)を吹き出すようになっている。
【0047】
また、熱交換ユニット部12の左右両側部には後席側第2フット開口部21c、21dが設けてあり、この左右両側の後席側第2フット開口部21c、21dに後席側第2フットダクト(図示せず)を接続する。一方、車両の左右の後部ドア(図示せず)において後席乗員の膝部相当の高さ位置に後席側第2フット吹出口(図示せず)を設け、この後席側第2フット吹出口に左右両側の後席側第2フットダクトの先端部を接続し、後部ドアの後席側第2フット吹出口から左右両側の後席乗員の膝部に向けて空調風(主に温風)を吹き出すようになっている。
【0048】
また、後席シート部10の背もたれ部10aおよびクッション部10bをともに通気性のある構成として、背もたれ部10aおよびクッション部10bの表面に多数の微小穴からなる空気吹出口(図示せず)を形成するとともに、この多数の空気吹出口に空調風を供給する通風路(図示せず)を背もたれ部10aおよびクッション部10bの内部に形成している。そして、所望温度の空調風を熱交換ユニット部12の左右両側のシート用開口部24a、24bから左右両側のシート用吹出ダクト25(図1)に導入するようになっている。
【0049】
この左右両側のシート用吹出ダクト25は後席シート部10の左右両側シート部の背もたれ部10aの背面側およびクッション部10bの底部側に配置され、後席シート部10の左右両側シート部の内部の通風路に空調風を送り込み、更に背もたれ部10aおよびクッション部10b表面の多数の空気吹出口から後席乗員の身体に向けて空調風(冷風または温風)を吹き出すようになっている。
【0050】
また、後席シート部10の右側シート部と左側シート部との間に後席側センターコンソール部(図示せず)が形成され、この後席側センターコンソール部に冷温蔵庫26が配置されている。この冷温蔵庫26は樹脂等の断熱性に優れた材料にて成形された断熱箱体26a(図2)を有し、この断熱箱体26aの上面部に蓋体26bを開閉可能に設けた構成になっている。これにより、断熱箱体26aの内部に缶飲料水等の冷温蔵対象品を出し入れ可能にしている。
【0051】
そして、冷温蔵庫26の断熱箱体26aには、冷蔵時の冷風導入のための冷風導入口26cと、温蔵時の温風導入のための温風導入口26dと、空気排出口26eとが設けてある。冷蔵時には、熱交換ユニット部12の冷蔵用冷風開口部27から冷風ダクト28を介して冷風導入口26cに冷風が導入され、温蔵時には、熱交換ユニット部12の温蔵用温風開口部29から温風ダクト30を介して温風導入口26dに温風を導入するようになっている。
【0052】
そして、断熱箱体26aの左右両側に空気排出口26eが配置され、断熱箱体26a内部で缶飲料水等の品物と熱交換した庫内空気をこの両空気排出口26eから庫外へ排出し、左右両側の空気排出ダクト31から冷温蔵庫26の排出空気を左右両側の送風機ユニット13、14の冷温蔵庫用吸入口32a、32b(図3)に吸入するようになっている。
【0053】
なお、図2では、空気排出口26eを温風導入口26dに近接配置する状態を図示しているが、この図示は図2作成上の便宜のために過ぎず、実際は、空気排出口26eを冷風導入口26cおよび温風導入口26dの両者から離れた位置に対向的に配置することが庫内空気の循環のために好ましい。
【0054】
また、熱交換ユニット部12の底面部には電池用冷風開口部33を設け、この電池用冷風開口部33に電池用冷風ダクト34を接続し、この電池用冷風ダクト34の先端部を電池収容ケース35内に連通している。この電池収容ケース35はトランクルーム11内に搭載され、その内部に電池(バッテリ)36を収容している。この電池36はハイブリッド車において車両走行用モータ(図示せず)に電源を供給するものである。電池収容ケース35には、電池36から吸熱して昇温した空気が排出される空気排出口37が設けられている。この空気排出口37から排出される空気は、トランクルーム11を経て車外へ排出される。
【0055】
次に、本実施形態による後席側空調ユニット部を構成する熱交換ユニット部12と左右両側に配置された送風機ユニット13、14の具体的構成について説明する。左右両側の2つの送風機ユニット13、14は基本的に同一構成でよい。、送風機ユニット13、14は樹脂製ケース40、41の上面部に内気吸入口42、43を開口し、この内気吸入口42、43に図示しない内気吸入ダクトを介して後席シート部10付近の内気(車室内空気)を吸入するようになっている。
【0056】
ケース40、41の内部において、内気吸入口42、43の直下の部位に空気清浄用のフィルタ44、45が配置されている。このフィルタ44、45は内気吸入口42、43からの吸入空気中の塵埃等の異物の除去を行う。また、フィルタ44、45に活性炭等の悪臭成分の吸着材を付加することにより、脱臭機能を持たせるようにしてもよい。
【0057】
ケース40、41の内気吸入口42、43の直下の部位にて車両後方側の面にフィルタ挿入穴(図示せず)を開口し、この車両後方側の挿入穴からフィルタ44、45をケース40、41内に挿入するようになっている。フィルタ44、45に横長長方形(図5参照)の蓋体44a、45aを一体に設け、この蓋体44a、45aによりフィルタ挿入穴を閉塞するようになっている。フィルタ44、45は蓋体44a、45aを介してケース40、41に脱着可能に固定され、トランクルーム11内にて車両後方側へ蓋体44a、45aを引き出すことにより、フィルタ44、45の交換を行うことができる。
【0058】
前記した冷温蔵庫用吸入口32a、32bは、左右両側の送風機ユニット13、14のケース40、41においてフィルタ44、45の下方側、換言すると、フィルタ44、45の下流側に連通するようになっている。これは、冷温蔵庫26側の空気循環経路からフィルタ44、45を除外して冷温蔵庫空気循環経路の圧損を低減するためである。なお、冷温蔵庫26の内部は車室内に比較して清浄な状態に維持されるので、冷温蔵庫空気循環経路の空気がフィルタ44、45を通過しなくても不都合はない。
【0059】
左右両側の送風機ユニット13、14のケース40、41において、冷温蔵庫用吸入口32a、32bより更に下方側に送風機46、47が配置されている。この送風機46、47は多数のブレード部を円環状に配置した遠心ファン460、470(図7)をスクロールケース46a、47a内に配置した遠心送風機により構成されている。遠心ファン460、470はモータ46b、47b(図5、図6)により回転駆動されるようになっている。
【0060】
次に、熱交換ユニット部12の具体的通路を説明すると、熱交換ユニット部12は、蒸発器15、ヒータコア16等を内蔵して空気通路を構成する樹脂製のケースを有し、このケースを、本例では、蒸発器15部分を内蔵する車両後方側の第1ケース50と、ヒータコア16等を内蔵し、且つ、前述の開口部群が開口する車両前方側の第2ケース51とにより構成している。
【0061】
そして、第1ケース50は、図2、図5に示すように上ケース50aと下ケース50bとに上下2分割されている。また、第2ケース51は、図3、図6に示すように右ケース51aと左ケース51bとに左右2分割されている。上下ケース50a、50b間、左右ケース51a、51b間、および第1、第2ケース50、51間はそれぞれ金属ばねクリック、ねじ等の周知の締結手段にて一体に結合される。
【0062】
蒸発器15は冷媒が流れるチューブ(図示せず)とこのチューブに接合されたフィンとから構成される熱交換部15a(図2)を有し、同様に、ヒータコア16も温水が流れるチューブ(図示せず)とこのチューブに接合されたフィンとから構成される熱交換部16a(図2)を有している。そして、蒸発器15およびヒータコア16はいずれも熱交換部15a、16aが略上下方向に向くように第1、第2ケース50、51内に配置されている。
【0063】
第1ケース50内において蒸発器15より後方側には断面略三角状の空気入口空間52(図2)が形成され、第1ケース50の左右側壁部のうち、この空気入口空間52の左右両側部位に開口部52c、52d(図7)が設けられる。一方、送風機46、47のスクロールケース46a、47aの空気出口部46c、47cは図6、図7に示すように、それぞれ、熱交換ユニット部12の車両後方側の第1ケース50の左右側壁部に向かうように車両左右方向に向いている。
【0064】
より具体的に述べると、右側の送風機46のスクロールケース46aの空気出口部46cは車両左側へ向かって第1ケース50の右側壁部の右側開口部52cに接続され、これにより、空気入口空間52の右側空間52a(図7)に右側送風機46の送風空気が流入する。
【0065】
同様に、左側の送風機47のスクロールケース47aの空気出口部47cは車両右側へ向かって第1ケース50の左側壁部の左側開口部52dに接続され、これにより、空気入口空間52の左側空間52b(図7)に左側送風機47の送風空気が流入する。
【0066】
そして、蒸発器15は第1ケース50内空気通路の全域にわたって配置されているので、空気入口空間52に流入した送風空気の全量が蒸発器15の熱交換部15aを車両後方側から車両前方側へと流れる。
【0067】
ところで、本例では、第1ケース50および第2ケース51の内部空間の車両左右方向の中央部に中央仕切り板53(図7参照、図6には破線図示)を車両前後方向に延びるように配置している。この中央仕切り板53により、第1ケース50および第2ケース51の内部通路を、車両右側に位置する右側通路54(図7)と車両左側に位置する左側通路55(図7)とに仕切っている。
【0068】
中央仕切り板53は、蒸発器15とヒータコア16の配置部分を除いて第1、第2ケース50、51の内部空間の全域にわたって配置される。従って、中央仕切り板53は、具体的には、蒸発器15上流の空気入口空間52に配置される部分53aと、蒸発器15の下流側通路に配置される部分53bとに分断されることになる。なお、図6の矢印Cの範囲は、中央仕切り板53のうち蒸発器下流側部分53bの車両前後方向の配置範囲を示す。
【0069】
一方、ヒータコア16は図2に示すように第2ケース51の内部において上下方向の中間部位に配置してある。これにより、第2ケース51の内部においてヒータコア16の上方側(ケース内最上部)に後席シート側冷風通路56を形成している。この後席シート側冷風通路56は、蒸発器15通過後の冷風を矢印Dのようにヒータコア16をバイパスして、前述した左右両側のシート用開口部24a、24bに導くためのものである。
【0070】
第2ケース51の内部においてヒータコア16の下方側に後席室内側冷風通路57を形成している。この後席室内側冷風通路57は蒸発器15通過後の冷風を矢印Eのようにヒータコア16をバイパスして、前述した左右両側の後席側フェイス開口部17a、17b、および左右両側の後席側第1、第2フット開口部21a〜21dに導くためのものである。
【0071】
第2ケース51の内部においてヒータコア16の車両前方側(下流側)通路の上下方向の中間部に温風側仕切り板58を配置している。この温風側仕切り板58は第2ケース51の内部にて車両左右方向(図2の紙面垂直方向)の全域にわたって配置され、ヒータコア16の車両前方側通路を上下に仕切る。すなわち、温風側仕切り板58の上側に後席シート側温風通路59および温蔵用温風通路60(図8)を形成し、温風側仕切り板58の下側に後席室内側温風通路61を形成する。
【0072】
なお、図2は図5のX−X断面図、すなわち、車両左右方向の左側にずれた位置の断面図であり、車両左右方向の右側にずれた位置でも同じ断面構造となる。図2に示すように温風側仕切り板58の上側において左右両側部位に後席シート側温風通路59を形成し、そして、温風側仕切り板58の上側において車両左右方向の中央部に温蔵用温風通路60を図8に示すように区画形成している。図8は図5のY−Y断面図(車両左右方向の中央部断面図)である。
【0073】
温蔵用温風通路60は、その左右の後席シート側温風通路59および上方側の後席シート側冷風通路56と仕切られている。従って、温蔵用温風通路60にはヒータコア16の熱交換部16aの上方側の中央部を通過した温風のみが図8(b)の矢印Fのように流れる。
【0074】
温蔵用温風通路60の車両前方端部には前述した温蔵用温風開口部29が開口し、この温蔵用温風開口部29から温風ダクト30を介して冷温蔵庫26の温風導入口26dに連通する。温蔵用温風通路60および温風ダクト30を通過する温風流れの断続および温風風量の調整のために温風ドア66aを備えている。
【0075】
図8ではこの温風ドア66aを温風ダクト30内に配置する状態を図示しているが、この温風ドア66aを温蔵用温風通路60内に配置してもよいことはもちろんである。
【0076】
一方、温風側仕切り板58の上側の後席シート側温風通路59は、ヒータコア16の熱交換部16aの上方側の左右両側部を通過した温風を図2の矢印Gのように左右両側のシート用開口部24a、24bに導くものである。
【0077】
また、温風側仕切り板58の下側の後席室内側温風通路61は第2ケース51の内部にて車両左右方向の全域にわたって形成され、ヒータコア16の熱交換部16aの下方部を通過した温風を図2の矢印Hのように左右両側の後席側フェイス開口部17a、17b、および左右両側の後席側第1、第2フット開口部21a〜21dに導くものである。
【0078】
第2ケース51の内部においてヒータコア16下方の後席室内側冷風通路57より更に下方側に冷風側仕切り板62を配置している。この冷風側仕切り板62は第2ケース51の内部にて車両左右方向(図2の紙面垂直方向)の全域にわたって配置され、ヒータコア16の下方側通路を上下に仕切る。
【0079】
すなわち、冷風側仕切り板62の上側には、後席室内側冷風通路57および後席室内側温風通路61が上下に並列的に形成され、後席室内側冷風通路57の冷風(矢印E)と後席室内側温風通路61の温風(矢印H)の双方が流れる。そして、冷風側仕切り板62の上側において、後席側フェイス開口部17a、17bと後席側第1、第2フット開口部21a〜21dが車両前後方向にずれて配置してある。
【0080】
より具体的に説明すると、後席側フェイス開口部17a、17bが車両後方側、すなわち、後席室内側冷風通路57に近接する側に配置され、後席側第1、第2フット開口部21a〜21dが後席側フェイス開口部17a、17bの車両前側、すなわち、後席室内側冷風通路57から遠ざかる側に配置されている。
【0081】
なお、後席側フェイス開口部17a、17bと後席側第2フット開口部21c、21dは、図3に図示するように第2ケース51の左右両側部から左右外側へ向かって開口し、後席側第1フット開口部21a、21bは第2ケース51の車両前方側端部から前方側へ向かって開口している。
【0082】
冷風側仕切り板62の下側には冷風バイパス通路63が形成される。この冷風バイパス通路63は、蒸発器15の熱交換部15a直後の冷風を矢印Iのように後述のエアミックスドア70、80をバイパスして直接導入し、この冷風を冷風側仕切り板62の下面に沿って第2ケース51内の最下部を第2ケース51の車両前方側端部まで導くものである。
【0083】
冷風側仕切り板62のうち、左右両側の後席側フェイス開口部17a、17bの開口位置近傍の左右2箇所に冷風バイパス開口64を開口し、冷風バイパス通路63の左右の通路部の冷風を左右両側の後席側フェイス開口部17a、17bに直接導入するようにしている。この左右2箇所の冷風バイパス開口64を、冷風バイパス通路63の左右の通路部に配置した左右両側の冷風バイパスドア65により開閉するようになっている。
【0084】
冷風バイパス通路63の車両前方側端部に前述した冷蔵用冷風開口部27が開口し、この冷蔵用冷風開口部27および冷風ダクト28を介して冷風バイパス通路63の冷風を矢印Jのように冷温蔵庫26の冷風導入口26cに導入するようになっている。
【0085】
冷風ダクト28を通して冷温蔵庫26内に導入される冷風流れの断続および冷風風量の調整のために冷風ドア66bを備えている。図2、図8では、冷風ドア66bを冷風ダクト28内に配置する状態を図示しているが、この冷風ドア66bを冷風バイパス通路63の車両前方側端部付近に配置してもよいことはもちろんである。
【0086】
なお、上記した各通路56、57、59、61、63は中央仕切り板53により左右に仕切られて、それぞれ、右側通路54、左側通路55の一部を構成するようになっている。
【0087】
また、冷風バイパス通路63の底部(第2ケース51の底部)には前述した電池用冷風開口部33が開口している。この電池用冷風開口部33は図6に示すように第2ケース51の底部の左右方向の中央部の1箇所のみに設けてあるので、冷風バイパス通路63の右側通路部と左側通路部の両方に連通する。冷風バイパス通路63の冷風は、この電池用冷風開口部33および電池用冷風ダクト34を介して電池収容ケース35内に導入されるようになっている。
【0088】
電池用冷風ダクト34の入口側は、第1、第2の2つの入口通路34a、34bに分岐され、その第1入口通路34aが電池用冷風開口部33に接続され、第2入口通路34bは車室内に連通して車室内空気(内気)を取り入れるようになっている。そして、第1入口通路34aと第2入口通路34bの分岐部に電池用冷風切替ドア67を配置し、この電池用冷風切替ドア67により第1、第2入口通路34a、34bを切替開閉するようになっている。
【0089】
なお、図2において、破線Kで示す三角形は、上記した各種開口部群24a、24b、17a、17b、21a〜21d、27、29、33および冷風バイパス通路63を含む部分の車両左右方向からみた側面形状であり、この各種開口部群および冷風バイパス通路63を含む部分の三角形Kの側面形状は、後席シート部10の背もたれ部10aの車両後方側への最大傾斜面Bに沿った傾斜面Lを持つ形状になっている。
【0090】
換言すると、熱交換ユニット12のケース50、51の車両左右方向からみた側面形状を、後席シート部10の車両後方側への傾斜面Bに沿った傾斜面Lを持つ形状として、熱交換ユニット12(ケース50、51)を後席シート部10の後方側部位に搭載している。そして、送風機ユニット13、14は、熱交換ユニット12(ケース50、51)の車両左右方向の側方において傾斜面(L)より後方側部位に搭載している。
【0091】
なお、温蔵用温風通路60の車両前方端部に位置する温蔵用温風開口部29が図4に示すように傾斜面Lより若干量前方側へ突き出しているが、冷温蔵庫26、温蔵用温風開口部29および冷蔵用冷風開口部27は前述したように後席シート部10の左右のシートの中間位置に位置するので、温蔵用温風開口部29の前方側への突き出しが後席シート部10のリクライニング機能に支障を来すことはない。
【0092】
また、後席側第1フット開口部21a、21bも図4に示すように傾斜面Lより若干量前方側へ突き出しているが、後席側第1フット開口部21a、21bは車両搭載に際して後席シート部10の背もたれ部10a内部に突き出すように配置することにより、後席シート部10のリクライニング機能に支障を来すことはない。
【0093】
次に、後席シート側および後席室内側への吹出空気の温度調整機構について説明する。後席シート側の温度調整機構および後席室内側の温度調整機構はそれぞれ冷風と温風の風量割合により温度調整を行うエアミックスドア70、80を備えている。この両エアミックスドア70、80は、ともに膜状部材(フィルムドア)を用いた同一構成である。
【0094】
そこで、図9にて後席シート側のエアミックスドア70を例にとって温度調整機構の具体的構成を説明する。エアミックスドア70は、第1、第2の2つの膜状部材71a、71bを有している。第1膜状部材71aの一端部は後席シート側冷風通路56の上端部付近にて第2ケース51に固定されている。72aは第1膜状部材71aの一端部の固定部を示す。第1膜状部材71aの他端部は第1巻き取り軸73aに連結されている。
【0095】
第2膜状部材71bの一端部はヒータコア16の熱交換部16a上流側の上下方向中間部に配置された支持部74に固定されている。この支持部74は第2ケース51に一体に備えられる。72bは第2膜状部材71bの一端部の固定部を示す。第2膜状部材71bの他端部は第2巻き取り軸73bに連結される。
【0096】
なお、第1、第2膜状部材71a、71bの具体的材質としては、第1、第2巻き取り軸73a、73bに巻き取り可能な可撓性を有する樹脂フィルム材であれば、種々なものを使用でき、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルム等が好適である。また、第1、第2膜状部材71a、71bの厚さは例えば、200μm程度である。
【0097】
第1、第2巻き取り軸73a、73bは第1、第2膜状部材71a、71bの一端部の固定部72a、72bに対して接近、開離する方向(上下方向)▲1▼、▲2▼に回転しながら移動するものである。次に、第1、第2巻き取り軸73a、73bの操作機構を説明すると、第2ケース51に回転自在に支持される駆動軸75を有し、この駆動軸75には駆動ギヤ75aが一体に設けてある。移動部材76は剛体により枠体状に形成され、枠体状の中央部は空気通路になっている。この枠体状の移動部材76の左右両側部には、駆動ギヤ75aとかみ合う直線状のギヤ(ラック)76aが一体に設けてある。これにより、駆動軸75の回転により移動部材76が上下方向に移動するようになっている。
【0098】
第1、第2巻き取り軸73a、73は移動部材76に回転可能に保持されている。また、第1、第2巻き取り軸73a、73の軸方向の端部にはそれぞれ図示しないギヤが一体に設けてあり、この第1、第2巻き取り軸73a、73のギヤが第2ケース51に設けた図示しない直線状のギヤ(ラック)とかみ合うようになっている。従って、第1、第2巻き取り軸73a、73が移動部材76と一体に上下方向に移動すると、第1、第2巻き取り軸73a、73は図示しないギヤのかみ合いにより同時に回転する。
【0099】
駆動軸75の回転により移動部材76が上方へ移動すると、第1巻き取り軸73aが反時計方向に回転しながら上方へ移動するので、第1巻き取り軸73aが第1膜状部材71aの他端部を巻き取りしながら上方へ移動する。
【0100】
これと同時に、第2巻き取り軸73bも反時計方向に回転しながら上方へ移動するので、第2巻き取り軸73bは第2膜状部材71bの他端部を巻き戻し(送り出し)しながら上方へ移動する。
【0101】
駆動軸75の回転により移動部材76が下方へ移動すると、第1巻き取り軸73aが時計方向に回転しながら下方へ移動するので、第1巻き取り軸73aが第1膜状部材71aの他端部を巻き戻し(送り出し)しながら下方へ移動する。
【0102】
これと同時に、第2巻き取り軸73bも時計方向に回転しながら下方へ移動するので、第2巻き取り軸73bは第2膜状部材71bの他端部を巻き取りしながら下方へ移動する。
【0103】
第1、第2巻き取り軸73a、73b間(換言すると、第1、第2膜状部材71a、71bの他端部相互間)の空隙からなる開口部77は、後席シート側のエアミックスドア70における空気通過部となる。開口部77は枠体状の移動部材76により常に一定間隔に維持され、この開口部77が移動部材76とともに上下方向に移動することにより、後席シート側冷風通路56と後席シート側温風通路59の通路面積を増減する。
【0104】
これにより、後席シート側冷風通路56を流れる冷風Dと、ヒータコア16の熱交換部16aの上方部を通過して後席シート側温風通路59を流れる温風Gとの風量割合を調整して、シート開口部24a、24bからの吹出空気温度を調整できる。
【0105】
後席シート側の最大冷房時には、開口部77が最上部に移動して、後席シート側冷風通路56を全開するとともに、第2膜状部材71bの他端部が第2巻き取り軸73bから最大に巻き戻されて第2膜状部材71bにより後席シート側温風通路59を全閉する。
【0106】
後席シート側の最大暖房時には、開口部77が最下部に移動して、後席シート側温風通路59を全開するとともに、第1膜状部材71aの他端部が第1巻き取り軸73aから最大に巻き戻されて第1膜状部材71aにより後席シート側冷風通路56を全閉する。
【0107】
後席室内側の温度調整機構のエアミックスドア80は、上記の後席シート側温度調整機構のエアミックスドア70と同一構成であるから、具体的説明を省略する。後席室内側の温度調整機構のエアミックスドア80も、図9に示すように、第1、第2膜状部材81a、81b、固定部82a、82b、第1、第2巻き取り軸83a、83b、駆動軸85、枠体状の移動部材86等を備えている。
【0108】
そして、第1、第2巻き取り軸83a、83b間(換言すると、第1、第2膜状部材81a、81bの他端部相互間)の空隙からなる開口部87が枠体状の移動部材86とともに上下方向に移動することにより、後席室内側冷風通路57と後席室内側温風通路61の通路面積を増減する。
【0109】
これにより、後席室内側冷風通路57を流れる冷風Eと、ヒータコア16の熱交換部16aの下方部を通過して後席室内側温風通路61を流れる温風Hとの風量割合を調整して、後席側フェイス開口部17a、17bおよび後席側第1、第2フット開口部21a〜21dからの吹出空気温度を調整できる。
【0110】
後席室内側のエアミックスドア80においても、開口部87の最上部への移動により後席室内側温風通路61を全開して最大暖房時を設定し、また、開口部87の最下部への移動により後席室内側冷風通路57を全開して最大冷房時を設定できる。
【0111】
なお、図2では、エアミックスドア70、80を1個ずつ図示しているが、熱交換ユニット12の第1、第2ケース50、51内の空気通路は図7に示すように中央仕切り板53によって右側通路54と左側通路55とに仕切られているので、エアミックスドア70、80は実際には右側通路54と左側通路55にそれぞれ分割して独立に操作可能に配置される。
【0112】
図7において、70a、80aは右側の後席シート側および後席室内側のエアミックスドアを示し、70b、80bは左側の後席シート側および後席室内側のエアミックスドアを示す。
【0113】
従って、左右の後席シート側エアミックスドア70a、70bの各駆動軸75にそれぞれサーボモータを用いた専用の駆動装置(図示せず)を連結して、左右の後席シート側エアミックスドア70a、70bをそれぞれ独立に操作するようになっている。同様に、左右の後席室内側エアミックスドア80a、80bの各駆動軸85にもそれぞれサーボモータを用いた専用の駆動装置(図示せず)を連結して、左右の後席室内側エアミックスドア80a、80bをそれぞれ独立に操作するようになっている。
【0114】
また、左右の冷風バイパスドア65にもそれぞれサーボモータを用いた専用の駆動装置(図示せず)を連結して、左右の冷風バイパスドア65をそれぞれ独立に操作するようになっている。
【0115】
また、左右の後席側フェイス開口部17a、17bをそれぞれ開閉する左右のフェイスドア(図示せず)を第2ケース51内に配置している。この左右のフェイスドアにもそれぞれサーボモータを用いた専用の駆動装置(図示せず)を連結して、左右のフェイスドアをそれぞれ独立に操作するようになっている。
【0116】
また、右側の後席側第1、第2フット開口部21a、21cを開閉する右側フットドア(図示せず)と、左側の後席側第1、第2フット開口部21b、21dを開閉する左側フットドア(図示せず)とを第2ケース51内に配置している。この左右のフットドアにもそれぞれサーボモータを用いた専用の駆動装置(図示せず)を連結して、左右のフットドアをそれぞれ独立に操作するようになっている。
【0117】
また、左右のシート開口部24a、24bをそれぞれ開閉する左右のシートドア(図示せず)を第2ケース51内に配置している。この左右のシートドアにもそれぞれサーボモータを用いた専用の駆動装置(図示せず)を連結して、左右のシートドアをそれぞれ独立に操作するようになっている。
【0118】
また、冷温蔵庫26用の温風ドア66aおよび冷風ドア66bは、リンク機構を介してサーボモータを用いた共通の駆動装置(図示せず)に連結して、連動操作するようになっている。
【0119】
また、電池用冷風切替ドア67にはサーボモータを用いた専用の駆動装置(図示せず)を連結して、電池用冷風切替ドア67を操作するようになっている。
【0120】
また、左右の送風機ユニット13、14の送風機46、47の駆動用モータ46b、47bには、モータ入力電圧を調整してモータ回転数を調整する左右のモータ駆動回路(図示せず)が独立に設けられ、この左右のモータ駆動回路によって左右の送風機46、47の風量を独立に制御できるようになっている。
【0121】
上記した各種ドアの駆動装置のサーボモータおよび左右の送風機46、47のモータ駆動回路はすべて空調用制御装置(図示せず)の制御出力により制御されるようになっている。この空調用制御装置はマイクロコンピュータを用いた公知のものであり、車両環境条件を検出するセンサ群の検出信号、空調操作パネル(図示せず)の乗員操作信号等が入力され、予め設定されたプログラムに従って所定の演算処理を行って、上記サーボモータ、送風機46、47の駆動用モータ46b、47b等の作動を制御する。
【0122】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。空調用制御装置(図示せず)の制御出力により左右の送風機46、47のモータ駆動回路を介して駆動用モータ46b、47bに通電すると、左右の送風機46、47が作動して後席側空調ユニットが始動する。左右の送風機46、47は内気吸入口42、43から内気を吸入し、熱交換ユニット12内の右側通路54および左側通路55に送風する。
【0123】
後席側空調ユニットの吹出モードとしては、下記のごとくフェイスモード、バイレベルモードおよびフットモードを選択できる。フェイスモードは後席側フェイス開口部17a、17bをフェイスドア(図示せず)にて開口することにより選択できる。フェイスモード時には後席側フェイス開口部17a、17bの下流側に設けられた後席側フェイス吹出口20から後席乗員の上半身側へ空調風(主に冷風)を吹き出す。
【0124】
フットモードは後席側第1、第2フット開口部21a〜21dをフットドア(図示せず)にて開口することにより選択できる。フットモード時には後席側第1フット開口部21a、21bの下流側に設けられた後席側第1フット吹出口23から後席乗員の足元側へ空調風(主に温風)を吹き出す。これと同時に、後席側第2フット開口部21c、21dの下流側に設けられた図示しない後席側第2フット吹出口からも空調風(主に温風)を吹き出す。この後席側第2フット吹出口は車両後部ドアにおける乗員膝部相当の高さ位置から後席乗員の膝部付近に向かって空調風(主に温風)を吹き出す。
【0125】
また、バイレベルモードは、後席側フェイス開口部17a、17bをフェイスドア(図示せず)にて開口すると同時に、後席側第1、第2フット開口部21a〜21dをフットドア(図示せず)にて開口することにより選択できる。
【0126】
従って、バイレベルモード時には、後席乗員の上半身側と足元側の両方へ空調風を同時に吹き出すことができる。
【0127】
更に、上記のフェイスモード、バイレベルモードおよびフットモードのいずれにおいても、シート開口部24a、24bをシートドア(図示せず)により開口することによりシート空調モードを設定できる。すなわち、シート開口部24a、24bから空調風をシート用吹出ダクト25を経て後席シート部10の背もたれ部10aおよびクッション部10bの内部通路に送り込み、背もたれ部10aおよびクッション部10bの表面の多数の吹出口から空調風を後席乗員の身体に向けて直接的に吹き出すことができ、空調フィーリングを向上できる。
【0128】
ところで、後席側フェイス開口部17a、17bおよび後席側第1、第2フット開口部21a〜21dからの吹出空気温度、すなわち、後席室内側への吹出空気温度は、下側のエアミックスドア80により温風Hと冷風Eとの風量割合を調整することにより独立に調整できる。
【0129】
また、バイレベルモード時には冷風バイパス通路63から冷風バイパス開口部64を通過して後席側フェイス開口部17a、17bに流入する冷風量を冷風バイパスドア65の開度により調整することができる。この冷風バイパス量の調整により、バイレベルモード時におけるフェイス吹出温度をフット吹出温度に対して独立に調整できる。換言すると、フェイス吹出温度とフット吹出温度を独立に調整できることになり、乗員の好みに応じた頭寒足熱型の上下吹出温度差を容易に得ることができる。
【0130】
また、後席側フェイス開口部17a、17bを後席側第1、第2フット開口部21a〜21dよりも車両後方側に配置して、後席側フェイス開口部17a、17bを後席室内側冷風通路57に近接させているから、バイレベルモード時に後席側フェイス開口部17a、17b側に冷風が流入しやすい。このため、バイレベルモード時に頭寒足熱型の上下吹出温度差を得ることが容易となる。
【0131】
また、後席シート部10側への吹出空気温度は、上側のエアミックスドア70により温風Hと冷風Eとの風量割合を調整することにより独立に調整できる。
【0132】
ところで、本実施形態では、熱交換ユニット12のケース50、51内の空気通路を右側通路54と左側通路55とに仕切り、左右両側の送風機ユニット13、14により右側通路54と左側通路55にそれぞれ独立に空気を送風するとともに、右側通路54と左側通路55に図7に示すようにエアミックスドア70(70a、70b)、80(80a、80b)をそれぞれ独立に操作可能に配置している。このため、車室内後席の右側領域および左側領域への吹出空気温度および吹出風量を独立に制御できる。
【0133】
また、夏期等に冷温蔵庫26の冷蔵機能を発揮する場合には、図8(a)に示すように、冷風ドア66bを開状態とし、温風ドア66aを閉状態とする。これにより、熱交換ユニット12の最下部に位置する冷風バイパス通路63の冷風が冷温蔵庫26内に循環するので、冷温蔵庫26の冷蔵機能を発揮できる。
【0134】
また、冬期等に冷温蔵庫26の温蔵機能を発揮する場合には、図8(b)に示すように、温風ドア66aを開状態とし、冷風ドア66bを閉状態とする。これにより、熱交換ユニット12のヒータコア16の熱交換部16aの上方部の中央部を通過した温風が温風通路60を経て冷温蔵庫26内に循環するので、冷温蔵庫26の温蔵機能を発揮できる。
【0135】
なお、冷温蔵庫26の冷蔵時には冷風ドア66bの開度を調整して冷風の循環量を調整することにより冷蔵能力を調整できる。また、冷温蔵庫26の温蔵時には温風ドア66aの開度を調整して温風の循環量を調整することにより温蔵能力を調整できる。
【0136】
また、夏期等において、電池36の冷却熱負荷が大きい場合には、電池用冷風切替ドア67により電池用冷風ダクト34の第1入口通路34aを開口することにより、冷風バイパス通路63の冷風を電池用冷風開口部33から電池用冷風ダクト34に導入して、電池36の周囲に冷風を送り込むことができる。従って、冷風バイパス通路63からの低温冷風により電池36を強力に冷却できる。
【0137】
なお、電池36の冷却熱負荷が小さい場合には、電池用冷風切替ドア67により電池用冷風ダクト34の第2入口通路34bを開口することにより、車室内空気を図示しない送風機により電池用冷風ダクト34を通して電池36の周囲に送り込む。従って、空調された比較的低温の車室内空気によって電池36を冷却できる。
【0138】
ところで、蒸発器15で冷却された冷風の密度がヒータコア16で加熱された温風の密度より大きいため、冷風は第2ケース51の下部側へ偏りやすい。この点に鑑みて、冷風バイパス通路63を熱交換ユニット部12の最下部に配置している。これにより、蒸発器15通過後の冷風が冷風バイパス通路63に流入しやすくなって、冷風バイパス通路63から後席側フェイス開口部17a、17b、冷温蔵庫26、および電池36側に冷風を供給しやすい。
【0139】
(他の実施形態)
なお、本発明は、上記の一実施形態に限定されることなく、以下に例示するように種々変形可能である。
【0140】
(1)上記の一実施形態では、エアミックスドア70、80として、2枚の膜状部材71a、71b、81a、81b間の開口部77、87が移動して、冷温風の風量割合を調整するタイプのものを用いているが、周知の1枚の膜状部材に開口部を開け、この1枚の膜状部材の移動とともに開口部が移動して冷温風の風量割合を調整するタイプのものをエアミックスドア70、80に用いてもよい。
【0141】
また、エアミックスドア70、80として回転可能な板ドアを用いてもよく、エアミックスドア70、80として種々なタイプのものを使用できる。
【0142】
(2)上記の一実施形態では、熱交換ユニット12のケース50、51内の空気通路を右側通路54と左側通路55とに仕切り、右側通路54と左側通路55にエアミックスドア70、80をそれぞれ独立に操作可能に配置しているが、熱交換ユニット12のケース50、51内の空気通路を右側通路54と左側通路55とに仕切ることをやめて、ケース50、51内の空気通路を単一通路とし、エアミックスドア70、80を左右分割せずに、単一のドアとしてもよい。
【0143】
この場合は、送風機ユニット13、14を左右に分割して配置せず、単一の送風機ユニットを設けるだけでよい。
【0144】
(3)上記の一実施形態では、エアミックスドア70により後席シート部10側への吹出空気温度を独立に制御し、また、エアミックスドア80により後席室内側(後席フェイス側および後席フット側)の吹出空気温度を独立に制御しているが、単一のエアミックスドアにより後席シート部10側への吹出空気温度および後席室内側への吹出空気温度を制御するようにしてもよい。
【0145】
(4)上記の一実施形態では、冷温蔵庫26を搭載する例について説明したが、冷温蔵庫26を搭載しない車両に本発明を適用してもよい。
【0146】
(5)上記の一実施形態では、電池36の冷却のための冷風ダクト34を組み合わせる例について説明したが、電池36の冷却機能を必要としない車両に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の車両搭載状態の概略説明図である。
【図2】本発明の一実施形態による後席側空調ユニット部の空気通路構成の概略を示すもので、図5のX−X断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による後席側空調ユニット部の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による後席側空調ユニット部の左側面図である。
【図5】本発明の一実施形態による後席側空調ユニット部の車両後方側からみた背面図である。
【図6】本発明の一実施形態による後席側空調ユニット部の底面図である。
【図7】本発明の一実施形態による後席側空調ユニット部の通路構成を示す概略断面図である。
【図8】図5のY−Y概略断面図で、(a)は冷温蔵庫の冷蔵時を示し、(b)は冷温蔵庫の温蔵時を示す。
【図9】本発明の一実施形態によるエアミックスドアの概略説明図である。
【符号の説明】
15…蒸発器(冷房用熱交換器)、16…ヒータコア(暖房用熱交換器)、
17a、17b…後席側フェイス開口部、
21a〜21d…後席側フット開口部、24a、24b…シート用開口部、
26…冷温蔵庫、34…電池冷却用冷風ダクト、46、47…送風機、
70…後席シート側エアミックスドア(後席シート側吹出温度調整手段)、
80…後席室内側エアミックスドア(後席室内側吹出温度調整手段)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に車室内の後席側領域を空調する車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、後席側空調ユニットから空調風を後席側室内領域へ吹き出すとともに、後席シート部を空調風が流れる通気路を有する構成として後席シート部にも空調風を送り込み、後席シート部から空調風を吹き出すようにした車両用空調装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の従来装置は、具体的には、後席側空調ユニット内に冷房用熱交換器のみを内蔵し、冷房用熱交換器で冷却された冷風を後席側室内領域へ吹き出すとともに後席シート部からも吹き出している。
【0004】
また、上記従来装置では、冷房用熱交換器の側方にバイパス通路を設け、エアミックスドアにより冷房用熱交換器を通過する冷風の風量とバイパス通路を通過する非冷却空気(車室内空気)の風量との割合を調整して車室内吹出空気温度を調整している。
【0005】
【特許文献1】
実開昭60−51115号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の従来装置によると、後席側空調ユニット内にて空気を加熱できないので、車室内の後席側領域へ温風を吹き出して暖房機能を発揮することができない。
【0007】
また、車室内吹出空気温度の調整のために、バイパス空気風量を増加すると、冷房用熱交換器の通過風量が必然的に減少するので、冷房用熱交換器による除湿能力が低下してしまう。つまり、冷房用熱交換器による除湿機能の確保と車室内吹出空気温度の調整との両立を図ることができない。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、車室内の後席側領域を空調する車両用空調装置において、後席室内側および後席シート側を冷房状態から暖房状態まで良好に温度制御して空調できるようにすることを目的とする。
【0009】
また、本発明は缶飲料水等の品物を冷蔵および温蔵可能な冷温蔵庫機能を発揮できる後席側の車両用空調装置を提供することを他の目的とする。
【0010】
また、本発明は、電池冷却機能を発揮できる後席側の車両用空調装置を提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明は後席シート部の車両後方側の傾斜面に対して、スペース効率が良好となる後席側の車両用空調装置を提供することを他の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために案出されたもので、請求項1に記載の発明では、車室内の後席側領域を空調する車両用空調装置において、空気を送風する送風機(46、47)と、送風機(46、47)の送風空気を冷却する冷房用熱交換器(15)と、冷房用熱交換器(15)の下流側に設けられ、送風機(46、47)の送風空気を加熱する暖房用熱交換器(16)と、暖房用熱交換器(16)の下流側に設けられ、車室内後席側の乗員上半身側へ吹き出す空気を取り出す後席側フェイス開口部(17a、17b)と、暖房用熱交換器(16)の下流側に設けられ、車室内後席側の乗員足元側へ吹き出す空気を取り出す後席側フット開口部(21a〜21d)と、暖房用熱交換器(16)の下流側に設けられ、車室内の後席シート部(10)側へ吹き出す空気を取り出すシート用開口部(24a、24b)と、後席側フェイス開口部(17a、17b)および後席側フット開口部(21a〜21d)の吹出空気温度を調整する後席室内側吹出温度調整手段(80)と、シート用開口部(24a、24b)の吹出空気温度を調整する後席シート側吹出温度調整手段(70)とを備えることを特徴とする。
【0013】
これによると、冷房用熱交換器(15)で冷却された冷風と暖房用熱交換器(16)で加熱された温風とを用いて、後席室内側および後席シート側の双方を冷房状態から暖房状態まで良好に空調できる。しかも、後席室内側吹出温度調整手段(80)と後席シート側吹出温度調整手段(70)とを独立に操作することにより、後席室内側と後席シート側とをそれぞれ乗員の好みに応じた快適な状態に独立して温度制御できる。
【0014】
請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の車両用空調装置は、具体的には、送風機(46、47)、冷房用熱交換器(15)、暖房用熱交換器(16)、前記開口部群および前記両温度調整手段(70、80)を有する後席側空調ユニット部(12、13、14)を、後席シート部(10)後方側に形成されるトランクルーム(11)内に搭載すればよい。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2において、暖房用熱交換器(16)を通過して温風が流れる後席室内側温風通路(61)と、冷房用熱交換器(15)通過後の冷風が暖房用熱交換器(16)をバイパスして流れる後席室内側冷風通路(57)と、暖房用熱交換器(16)を通過して温風が流れる後席シート側温風通路(59)と、冷房用熱交換器(15)通過後の冷風が暖房用熱交換器(16)をバイパスして流れる後席シート側冷風通路(56)とを備え、
後席室内側吹出温度調整手段は、後席室内側温風通路(61)の温風と後席室内側冷風通路(57)の冷風との風量割合を調整する後席室内側エアミックスドア(80)により構成され、後席シート側吹出温度調整手段は、後席シート側温風通路(59)の温風と後席シート側冷風通路(56)の冷風との風量割合を調整する後席シート側エアミックスドア(70)により構成されていることを特徴とする。
【0016】
これにより、後席室内側エアミックスドア(80)により冷温風の風量割合を調整して後席室内側の吹出温度を独立に調整でき、また、後席シート側エアミックスドア(70)により冷温風の風量割合を調整して後席シート側の吹出温度を独立に調整できる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、請求項3において、暖房用熱交換器(16)をその熱交換部(16a)が略上下方向に向くように配置し、暖房用熱交換器(16)の上方側に後席シート側冷風通路(56)を配置し、暖房用熱交換器(16)の熱交換部(16a)の上方側に後席シート側温風通路(59)を配置し、暖房用熱交換器(16)の熱交換部(16a)の下方側に後席室内側温風通路(61)を配置し、暖房用熱交換器(16)の下方側に後席室内側冷風通路(57)を配置し、更に、後席室内側冷風通路(57)の下方側に、冷房用熱交換器(15)通過後の冷風を後席側フェイス開口部(17a、17b)に直接導入する冷風バイパス通路(63)を配置したことを特徴とする。
【0018】
これによると、後席シート側冷風通路(56)、後席シート側温風通路(59)、後席室内側温風通路(61)および後席室内側冷風通路(57)に対して冷風バイパス通路(63)が最下部に位置する。そのため、冷風が温風との密度差により下方側へ偏りやすいという性質を活用して、冷風バイパス通路(63)には、温風との密度差から下方側へ偏りやすい冷風の性質を活用して、最下部の冷風バイパス通路(63)に冷風が流入しやすくなる。
【0019】
そして、この冷風バイパス通路(63)の冷風を後席側フェイス開口部(17a、17b)に直接導入することにより、後席側バイレベルモード時に、後席側フェイス吹出温度を後席側フット吹出温度より引き下げることができ、頭寒足熱型の快適な上下吹出温度差を容易に設定できる。
【0020】
請求項5に記載の発明のように、請求項4において、冷風バイパス通路(63)から後席側フェイス開口部(17a、17b)に導入する冷風の風量を調整するドア手段(65)を備えれば、ドア手段(65)による冷風風量の調整によって後席側フェイス吹出温度を独立に調整できるので、後席側バイレベルモード時に上下吹出温度を独立制御できる。
【0021】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つにおいて、後席シート部(10)近傍に配置され、冷房用熱交換器(15)通過後の冷風を導入することにより冷蔵機能を発揮するとともに、暖房用熱交換器(16)通過後の温風を導入することにより温蔵機能を発揮する冷温蔵庫(26)を備えることを特徴とする。
【0022】
これにより、後席側空調装置における冷風、温風を利用して、缶飲料水等の品物を冷蔵したり、温蔵する冷温蔵機能を発揮できる。
【0023】
請求項7に記載の発明では、請求項4または5において、後席シート部(10)近傍に配置され、冷風バイパス通路(63)から冷風を導入することにより冷蔵機能を発揮するとともに、暖房用熱交換器(16)通過後の温風を導入することにより温蔵機能を発揮する冷温蔵庫(26)を備えることを特徴とする。
【0024】
これによると、請求項6に比較して、最下部に位置する冷風バイパス通路(63)から冷温蔵庫(26)内に冷風を効果的に導入できるので、冷蔵機能をより一層効果的に発揮できる。
【0025】
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つにおいて、冷房用熱交換器(15)通過後の冷風を車載電池(36)の周囲に導入して、車載電池(36)を冷却する電池用冷風ダクト(34)を備えることを特徴とする。
【0026】
これにより、後席側空調装置における冷風を利用して車載電池(36)の冷却を行うことができる。
【0027】
請求項9に記載の発明では、請求項4、5、7のいずれか1つにおいて、冷風バイパス通路(63)から冷風を車載電池(36)の周囲に導入して、車載電池(36)を冷却する電池用冷風ダクト(34)を備えることを特徴とする。
【0028】
これによると、請求項8に比較して、最下部に位置する冷風バイパス通路(63)から電池用冷風ダクト(34)に冷風を効果的に導入できるので、車載電池(36)の冷却をより一層効果的に行うことができる。
【0029】
請求項10に記載の発明では、請求項1ないし9のいずれか1つにおいて、冷房用熱交換器(15)の車両前方側に暖房用熱交換器(16)が配置され、暖房用熱交換器(16)の更に車両前方側に、後席側フェイス開口部(17a、17b)、後席側フット開口部(21c、21d)およびシート用開口部(24a、24b)が配置され、
後席側フェイス開口部(17a、17b)は後席側フット開口部(21a〜21d)よりも車両後方側に配置されていることを特徴とする。
【0030】
これによると、後席側フェイス開口部(17a、17b)は後席側フット開口部(21a〜21d)よりも冷房用熱交換器(15)に近接した配置レイアウトになるので、後席側バイレベルモード時に、後席側フェイス開口部(17a、17b)に冷風を導入し易くなる。そのため、後席側フェイス吹出温度を後席側フット吹出温度より引き下げて、頭寒足熱型の快適な上下吹出温度差を容易に設定できる。
【0031】
請求項11に記載の発明のように、請求項10において、後席側フェイス開口部(17a、17b)および後席側フット開口部(21a〜21d)の上方側にシート用開口部(24a、24b)を配置すれば、これら三種の開口部を上下方向に積み上げる配置レイアウトして、暖房用熱交換器(16)の車両前方側スペースを開口部群の配置のために有効利用できる。
【0032】
請求項12に記載の発明では、請求項11において、シート用開口部(24a、24b)を後席側フェイス開口部(17a、17b)の上方側にずらして配置することにより、後席側フェイス開口部(17a、17b)、後席側フット開口部(21a〜21d)およびシート用開口部(24a、24b)からなる開口部群(K)の車両左右方向からみた側面形状を、後席シート部(10)の車両後方側への傾斜面(B)に沿った傾斜面(L)を持つ三角形状としたことを特徴とする。
【0033】
これによると、開口部群(K)の側面形状を後席シート部(10)の車両後方側への傾斜面(B)に沿った傾斜面(L)を持つ形状に形成することにより、後席シート部(10)の傾斜配置、リクライニング機能に対しても容易に対応できるとともに、上記三種の開口部を後席シート部(10)の傾斜面(B)に沿った側面形状となるように配置することにより、上記三種の開口部を無駄スペースを生じることがない、スペース効率の良好な配置とすることができる。
【0034】
請求項13に記載の発明では、車室内の後席側領域を空調する車両用空調装置において、空気を送風する送風機(46、47)と、送風機(46、47)の送風空気が流入するケース(50、51)と、ケース(50、51)内に配置され、送風機(46、47)の送風空気を冷却する冷房用熱交換器(15)と、ケース(50、51)内にて冷房用熱交換器(15)の下流側に設けられ、送風機(46、47)の送風空気を加熱する暖房用熱交換器(16)と、ケース(50、51)のうち暖房用熱交換器(16)の下流側に開口し、車室内後席側の乗員上半身側へ吹き出す空気を取り出す後席側フェイス開口部(17a、17b)と、ケース(50、51)のうち暖房用熱交換器(16)の下流側に開口し、車室内後席側の乗員足元側へ吹き出す空気を取り出す後席側フット開口部(21a〜21d)と、ケース(50、51)のうち暖房用熱交換器(16)の下流側に開口し、車室内の後席シート部(10)側へ吹き出す空気を取り出すシート用開口部(24a、24b)と、後席側フェイス開口部(17a、17b)、後席側フット開口部(21a〜21d)およびシート用開口部(24a、24b)の吹出空気温度を調整する後席側吹出温度調整手段(70、80)とを備え、
ケース(50、51)の車両左右方向からみた側面形状を、後席シート部(10)の車両後方側への傾斜面(B)に沿った傾斜面(L)を持つ形状とし、
ケース(50、51)を後席シート部(10)の後方側部位に搭載するとともに、送風機(46、47)を、ケース(50、51)の車両左右方向の側方において傾斜面(L)より後方側部位に搭載することを特徴とする。
【0035】
これによると、冷房用熱交換器(15)で冷却された冷風と暖房用熱交換器(16)で加熱された温風とを用いて、後席室内側および後席シート側の双方を冷房状態から暖房状態まで良好に空調できる。また、後席側吹出温度調整手段(70、80)により、後席室内側および後席シート側への吹出温度を調整できる。
【0036】
更に、送風機(46、47)およびケース(50、51)を、後席シート部(10)の後方側部位に搭載するに際し、ケース(50、51)の車両左右方向からみた側面形状を、後席シート部(10)の車両後方側への傾斜面(B)に沿った傾斜面(L)を持つ形状とし、この傾斜面(L)よりも後方側部位に送風機(46、47)を搭載しているから、請求項12と同様に、後席シート部(10)の傾斜配置、リクライニング機能に対して容易に対応できる。しかも、上記三種の開口部を傾斜面(L)を持つ側面形状に合致するように配置することにより、無駄スペースを生じることがない、スペース効率の良好な配置とすることができる。
【0037】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図1は本実施形態の車両搭載状態の概略を示す図、図2は本実施形態による後席側空調ユニット部の空気通路構成の概略を示すもので、図5のX−X断面図、図3は後席側空調ユニット部の斜視図、図4は後席側空調ユニット部の左側面図、図5は後席側空調ユニット部の車両後方側からみた背面図、図6は後席側空調ユニット部の底面図、図7は後席側空調ユニット部の概略断面図である。なお、図1〜図7において前後上下左右の各矢印は後席側空調ユニット部の車両搭載状態における方向を示す。
【0039】
図1はセダンタイプの乗用車における後席シート部10および後席シート部10の車両後方側に形成されるトランクルーム11付近を示しており、後席シート部10は図示しないリクライニング機構が装備されており、このリクライニング機構により後席シート部10の背もたれ部(バック部)10aの傾斜角度が調整可能になっている。なお、図2の2点鎖線Aは後席シート部10の背もたれ部10aの車両後方側(背面側)の通常時傾斜面位置を示し、2点鎖線Bは後席シート部10の背もたれ部10aを車両後方側に最大に傾斜した場合の車両後方側(背面側)の傾斜面位置を示す。
【0040】
本実施形態による後席側空調ユニット部は、図3に例示するように、車両左右方向の中央部に配置される熱交換ユニット部12と、この熱交換ユニット部12の左右両側に配置された送風機ユニット13、14とにより構成されている。この熱交換ユニット部12と送風機ユニット13、14から構成される後席側空調ユニット部は図1のようにトランクルーム11内に搭載される。
【0041】
熱交換ユニット部12は送風機ユニット13、14により送風される空気を冷却する冷凍サイクルの蒸発器15と、この蒸発器15の下流側に配置され、蒸発器15の通過空気を加熱する温水式ヒータコア16とを内蔵している。ここで、蒸発器15は冷凍サイクルの減圧手段により減圧された低圧冷媒が空気から吸熱して蒸発することにより空気を冷却するもので、冷房用熱交換器を構成する。
【0042】
また、ヒータコア16は車両エンジン(図示せず)の温水(冷却水)を熱源として空気を加熱するもので、暖房用熱交換器を構成する。熱交換ユニット部12内部において空調風は蒸発器15、ヒータコア16および後述の温度調整機構により所望温度に調整される。
【0043】
この所望温度の空調風を、熱交換ユニット部12の左右両側の後席側フェイス開口部17a、17b(図3参照)から左右両側の後席側フェイスダクト18((図1参照)に導入するようになっている。この後席側フェイスダクト18は後席シート部10の左右両側部に位置する車両ピラー部(図示せず)に沿って車両天井部の後席側の左右両側部まで立ち上がるように配置される。
【0044】
そして、左右両側の後席側フェイスダクト18の車両天井側の先端部に後席側天井ダクト19を接続している。この後席側天井ダクト19は車両天井部に沿って広範囲に形成されるものであって、この後席側天井ダクト19の下面部に多数の後席側フェイス吹出口20を設けている。この後席側フェイス吹出口20から後席乗員の上半身側へ向けて空調風(主に冷風)を吹き出すようになっている。
【0045】
また、所望温度の空調風を熱交換ユニット部12の左右両側の後席側第1フット開口部21a、21b(図3参照)から左右両側の後席側第1フットダクト22(図1参照)に導入するようになっている。この左右両側の後席側第1フットダクト22は後席シート部10の左右両側シート部の下方を通過して後席シート部10のクッション部10bの車両前方端部まで延びるように配置されている。
【0046】
そして、左右両側の後席側第1フットダクト22の車両前方端部付近に後席側第1フット吹出口23を設けて、この後席側第1フット吹出口23から左右両側の後席乗員の足元側へ向けて空調風(主に温風)を吹き出すようになっている。
【0047】
また、熱交換ユニット部12の左右両側部には後席側第2フット開口部21c、21dが設けてあり、この左右両側の後席側第2フット開口部21c、21dに後席側第2フットダクト(図示せず)を接続する。一方、車両の左右の後部ドア(図示せず)において後席乗員の膝部相当の高さ位置に後席側第2フット吹出口(図示せず)を設け、この後席側第2フット吹出口に左右両側の後席側第2フットダクトの先端部を接続し、後部ドアの後席側第2フット吹出口から左右両側の後席乗員の膝部に向けて空調風(主に温風)を吹き出すようになっている。
【0048】
また、後席シート部10の背もたれ部10aおよびクッション部10bをともに通気性のある構成として、背もたれ部10aおよびクッション部10bの表面に多数の微小穴からなる空気吹出口(図示せず)を形成するとともに、この多数の空気吹出口に空調風を供給する通風路(図示せず)を背もたれ部10aおよびクッション部10bの内部に形成している。そして、所望温度の空調風を熱交換ユニット部12の左右両側のシート用開口部24a、24bから左右両側のシート用吹出ダクト25(図1)に導入するようになっている。
【0049】
この左右両側のシート用吹出ダクト25は後席シート部10の左右両側シート部の背もたれ部10aの背面側およびクッション部10bの底部側に配置され、後席シート部10の左右両側シート部の内部の通風路に空調風を送り込み、更に背もたれ部10aおよびクッション部10b表面の多数の空気吹出口から後席乗員の身体に向けて空調風(冷風または温風)を吹き出すようになっている。
【0050】
また、後席シート部10の右側シート部と左側シート部との間に後席側センターコンソール部(図示せず)が形成され、この後席側センターコンソール部に冷温蔵庫26が配置されている。この冷温蔵庫26は樹脂等の断熱性に優れた材料にて成形された断熱箱体26a(図2)を有し、この断熱箱体26aの上面部に蓋体26bを開閉可能に設けた構成になっている。これにより、断熱箱体26aの内部に缶飲料水等の冷温蔵対象品を出し入れ可能にしている。
【0051】
そして、冷温蔵庫26の断熱箱体26aには、冷蔵時の冷風導入のための冷風導入口26cと、温蔵時の温風導入のための温風導入口26dと、空気排出口26eとが設けてある。冷蔵時には、熱交換ユニット部12の冷蔵用冷風開口部27から冷風ダクト28を介して冷風導入口26cに冷風が導入され、温蔵時には、熱交換ユニット部12の温蔵用温風開口部29から温風ダクト30を介して温風導入口26dに温風を導入するようになっている。
【0052】
そして、断熱箱体26aの左右両側に空気排出口26eが配置され、断熱箱体26a内部で缶飲料水等の品物と熱交換した庫内空気をこの両空気排出口26eから庫外へ排出し、左右両側の空気排出ダクト31から冷温蔵庫26の排出空気を左右両側の送風機ユニット13、14の冷温蔵庫用吸入口32a、32b(図3)に吸入するようになっている。
【0053】
なお、図2では、空気排出口26eを温風導入口26dに近接配置する状態を図示しているが、この図示は図2作成上の便宜のために過ぎず、実際は、空気排出口26eを冷風導入口26cおよび温風導入口26dの両者から離れた位置に対向的に配置することが庫内空気の循環のために好ましい。
【0054】
また、熱交換ユニット部12の底面部には電池用冷風開口部33を設け、この電池用冷風開口部33に電池用冷風ダクト34を接続し、この電池用冷風ダクト34の先端部を電池収容ケース35内に連通している。この電池収容ケース35はトランクルーム11内に搭載され、その内部に電池(バッテリ)36を収容している。この電池36はハイブリッド車において車両走行用モータ(図示せず)に電源を供給するものである。電池収容ケース35には、電池36から吸熱して昇温した空気が排出される空気排出口37が設けられている。この空気排出口37から排出される空気は、トランクルーム11を経て車外へ排出される。
【0055】
次に、本実施形態による後席側空調ユニット部を構成する熱交換ユニット部12と左右両側に配置された送風機ユニット13、14の具体的構成について説明する。左右両側の2つの送風機ユニット13、14は基本的に同一構成でよい。、送風機ユニット13、14は樹脂製ケース40、41の上面部に内気吸入口42、43を開口し、この内気吸入口42、43に図示しない内気吸入ダクトを介して後席シート部10付近の内気(車室内空気)を吸入するようになっている。
【0056】
ケース40、41の内部において、内気吸入口42、43の直下の部位に空気清浄用のフィルタ44、45が配置されている。このフィルタ44、45は内気吸入口42、43からの吸入空気中の塵埃等の異物の除去を行う。また、フィルタ44、45に活性炭等の悪臭成分の吸着材を付加することにより、脱臭機能を持たせるようにしてもよい。
【0057】
ケース40、41の内気吸入口42、43の直下の部位にて車両後方側の面にフィルタ挿入穴(図示せず)を開口し、この車両後方側の挿入穴からフィルタ44、45をケース40、41内に挿入するようになっている。フィルタ44、45に横長長方形(図5参照)の蓋体44a、45aを一体に設け、この蓋体44a、45aによりフィルタ挿入穴を閉塞するようになっている。フィルタ44、45は蓋体44a、45aを介してケース40、41に脱着可能に固定され、トランクルーム11内にて車両後方側へ蓋体44a、45aを引き出すことにより、フィルタ44、45の交換を行うことができる。
【0058】
前記した冷温蔵庫用吸入口32a、32bは、左右両側の送風機ユニット13、14のケース40、41においてフィルタ44、45の下方側、換言すると、フィルタ44、45の下流側に連通するようになっている。これは、冷温蔵庫26側の空気循環経路からフィルタ44、45を除外して冷温蔵庫空気循環経路の圧損を低減するためである。なお、冷温蔵庫26の内部は車室内に比較して清浄な状態に維持されるので、冷温蔵庫空気循環経路の空気がフィルタ44、45を通過しなくても不都合はない。
【0059】
左右両側の送風機ユニット13、14のケース40、41において、冷温蔵庫用吸入口32a、32bより更に下方側に送風機46、47が配置されている。この送風機46、47は多数のブレード部を円環状に配置した遠心ファン460、470(図7)をスクロールケース46a、47a内に配置した遠心送風機により構成されている。遠心ファン460、470はモータ46b、47b(図5、図6)により回転駆動されるようになっている。
【0060】
次に、熱交換ユニット部12の具体的通路を説明すると、熱交換ユニット部12は、蒸発器15、ヒータコア16等を内蔵して空気通路を構成する樹脂製のケースを有し、このケースを、本例では、蒸発器15部分を内蔵する車両後方側の第1ケース50と、ヒータコア16等を内蔵し、且つ、前述の開口部群が開口する車両前方側の第2ケース51とにより構成している。
【0061】
そして、第1ケース50は、図2、図5に示すように上ケース50aと下ケース50bとに上下2分割されている。また、第2ケース51は、図3、図6に示すように右ケース51aと左ケース51bとに左右2分割されている。上下ケース50a、50b間、左右ケース51a、51b間、および第1、第2ケース50、51間はそれぞれ金属ばねクリック、ねじ等の周知の締結手段にて一体に結合される。
【0062】
蒸発器15は冷媒が流れるチューブ(図示せず)とこのチューブに接合されたフィンとから構成される熱交換部15a(図2)を有し、同様に、ヒータコア16も温水が流れるチューブ(図示せず)とこのチューブに接合されたフィンとから構成される熱交換部16a(図2)を有している。そして、蒸発器15およびヒータコア16はいずれも熱交換部15a、16aが略上下方向に向くように第1、第2ケース50、51内に配置されている。
【0063】
第1ケース50内において蒸発器15より後方側には断面略三角状の空気入口空間52(図2)が形成され、第1ケース50の左右側壁部のうち、この空気入口空間52の左右両側部位に開口部52c、52d(図7)が設けられる。一方、送風機46、47のスクロールケース46a、47aの空気出口部46c、47cは図6、図7に示すように、それぞれ、熱交換ユニット部12の車両後方側の第1ケース50の左右側壁部に向かうように車両左右方向に向いている。
【0064】
より具体的に述べると、右側の送風機46のスクロールケース46aの空気出口部46cは車両左側へ向かって第1ケース50の右側壁部の右側開口部52cに接続され、これにより、空気入口空間52の右側空間52a(図7)に右側送風機46の送風空気が流入する。
【0065】
同様に、左側の送風機47のスクロールケース47aの空気出口部47cは車両右側へ向かって第1ケース50の左側壁部の左側開口部52dに接続され、これにより、空気入口空間52の左側空間52b(図7)に左側送風機47の送風空気が流入する。
【0066】
そして、蒸発器15は第1ケース50内空気通路の全域にわたって配置されているので、空気入口空間52に流入した送風空気の全量が蒸発器15の熱交換部15aを車両後方側から車両前方側へと流れる。
【0067】
ところで、本例では、第1ケース50および第2ケース51の内部空間の車両左右方向の中央部に中央仕切り板53(図7参照、図6には破線図示)を車両前後方向に延びるように配置している。この中央仕切り板53により、第1ケース50および第2ケース51の内部通路を、車両右側に位置する右側通路54(図7)と車両左側に位置する左側通路55(図7)とに仕切っている。
【0068】
中央仕切り板53は、蒸発器15とヒータコア16の配置部分を除いて第1、第2ケース50、51の内部空間の全域にわたって配置される。従って、中央仕切り板53は、具体的には、蒸発器15上流の空気入口空間52に配置される部分53aと、蒸発器15の下流側通路に配置される部分53bとに分断されることになる。なお、図6の矢印Cの範囲は、中央仕切り板53のうち蒸発器下流側部分53bの車両前後方向の配置範囲を示す。
【0069】
一方、ヒータコア16は図2に示すように第2ケース51の内部において上下方向の中間部位に配置してある。これにより、第2ケース51の内部においてヒータコア16の上方側(ケース内最上部)に後席シート側冷風通路56を形成している。この後席シート側冷風通路56は、蒸発器15通過後の冷風を矢印Dのようにヒータコア16をバイパスして、前述した左右両側のシート用開口部24a、24bに導くためのものである。
【0070】
第2ケース51の内部においてヒータコア16の下方側に後席室内側冷風通路57を形成している。この後席室内側冷風通路57は蒸発器15通過後の冷風を矢印Eのようにヒータコア16をバイパスして、前述した左右両側の後席側フェイス開口部17a、17b、および左右両側の後席側第1、第2フット開口部21a〜21dに導くためのものである。
【0071】
第2ケース51の内部においてヒータコア16の車両前方側(下流側)通路の上下方向の中間部に温風側仕切り板58を配置している。この温風側仕切り板58は第2ケース51の内部にて車両左右方向(図2の紙面垂直方向)の全域にわたって配置され、ヒータコア16の車両前方側通路を上下に仕切る。すなわち、温風側仕切り板58の上側に後席シート側温風通路59および温蔵用温風通路60(図8)を形成し、温風側仕切り板58の下側に後席室内側温風通路61を形成する。
【0072】
なお、図2は図5のX−X断面図、すなわち、車両左右方向の左側にずれた位置の断面図であり、車両左右方向の右側にずれた位置でも同じ断面構造となる。図2に示すように温風側仕切り板58の上側において左右両側部位に後席シート側温風通路59を形成し、そして、温風側仕切り板58の上側において車両左右方向の中央部に温蔵用温風通路60を図8に示すように区画形成している。図8は図5のY−Y断面図(車両左右方向の中央部断面図)である。
【0073】
温蔵用温風通路60は、その左右の後席シート側温風通路59および上方側の後席シート側冷風通路56と仕切られている。従って、温蔵用温風通路60にはヒータコア16の熱交換部16aの上方側の中央部を通過した温風のみが図8(b)の矢印Fのように流れる。
【0074】
温蔵用温風通路60の車両前方端部には前述した温蔵用温風開口部29が開口し、この温蔵用温風開口部29から温風ダクト30を介して冷温蔵庫26の温風導入口26dに連通する。温蔵用温風通路60および温風ダクト30を通過する温風流れの断続および温風風量の調整のために温風ドア66aを備えている。
【0075】
図8ではこの温風ドア66aを温風ダクト30内に配置する状態を図示しているが、この温風ドア66aを温蔵用温風通路60内に配置してもよいことはもちろんである。
【0076】
一方、温風側仕切り板58の上側の後席シート側温風通路59は、ヒータコア16の熱交換部16aの上方側の左右両側部を通過した温風を図2の矢印Gのように左右両側のシート用開口部24a、24bに導くものである。
【0077】
また、温風側仕切り板58の下側の後席室内側温風通路61は第2ケース51の内部にて車両左右方向の全域にわたって形成され、ヒータコア16の熱交換部16aの下方部を通過した温風を図2の矢印Hのように左右両側の後席側フェイス開口部17a、17b、および左右両側の後席側第1、第2フット開口部21a〜21dに導くものである。
【0078】
第2ケース51の内部においてヒータコア16下方の後席室内側冷風通路57より更に下方側に冷風側仕切り板62を配置している。この冷風側仕切り板62は第2ケース51の内部にて車両左右方向(図2の紙面垂直方向)の全域にわたって配置され、ヒータコア16の下方側通路を上下に仕切る。
【0079】
すなわち、冷風側仕切り板62の上側には、後席室内側冷風通路57および後席室内側温風通路61が上下に並列的に形成され、後席室内側冷風通路57の冷風(矢印E)と後席室内側温風通路61の温風(矢印H)の双方が流れる。そして、冷風側仕切り板62の上側において、後席側フェイス開口部17a、17bと後席側第1、第2フット開口部21a〜21dが車両前後方向にずれて配置してある。
【0080】
より具体的に説明すると、後席側フェイス開口部17a、17bが車両後方側、すなわち、後席室内側冷風通路57に近接する側に配置され、後席側第1、第2フット開口部21a〜21dが後席側フェイス開口部17a、17bの車両前側、すなわち、後席室内側冷風通路57から遠ざかる側に配置されている。
【0081】
なお、後席側フェイス開口部17a、17bと後席側第2フット開口部21c、21dは、図3に図示するように第2ケース51の左右両側部から左右外側へ向かって開口し、後席側第1フット開口部21a、21bは第2ケース51の車両前方側端部から前方側へ向かって開口している。
【0082】
冷風側仕切り板62の下側には冷風バイパス通路63が形成される。この冷風バイパス通路63は、蒸発器15の熱交換部15a直後の冷風を矢印Iのように後述のエアミックスドア70、80をバイパスして直接導入し、この冷風を冷風側仕切り板62の下面に沿って第2ケース51内の最下部を第2ケース51の車両前方側端部まで導くものである。
【0083】
冷風側仕切り板62のうち、左右両側の後席側フェイス開口部17a、17bの開口位置近傍の左右2箇所に冷風バイパス開口64を開口し、冷風バイパス通路63の左右の通路部の冷風を左右両側の後席側フェイス開口部17a、17bに直接導入するようにしている。この左右2箇所の冷風バイパス開口64を、冷風バイパス通路63の左右の通路部に配置した左右両側の冷風バイパスドア65により開閉するようになっている。
【0084】
冷風バイパス通路63の車両前方側端部に前述した冷蔵用冷風開口部27が開口し、この冷蔵用冷風開口部27および冷風ダクト28を介して冷風バイパス通路63の冷風を矢印Jのように冷温蔵庫26の冷風導入口26cに導入するようになっている。
【0085】
冷風ダクト28を通して冷温蔵庫26内に導入される冷風流れの断続および冷風風量の調整のために冷風ドア66bを備えている。図2、図8では、冷風ドア66bを冷風ダクト28内に配置する状態を図示しているが、この冷風ドア66bを冷風バイパス通路63の車両前方側端部付近に配置してもよいことはもちろんである。
【0086】
なお、上記した各通路56、57、59、61、63は中央仕切り板53により左右に仕切られて、それぞれ、右側通路54、左側通路55の一部を構成するようになっている。
【0087】
また、冷風バイパス通路63の底部(第2ケース51の底部)には前述した電池用冷風開口部33が開口している。この電池用冷風開口部33は図6に示すように第2ケース51の底部の左右方向の中央部の1箇所のみに設けてあるので、冷風バイパス通路63の右側通路部と左側通路部の両方に連通する。冷風バイパス通路63の冷風は、この電池用冷風開口部33および電池用冷風ダクト34を介して電池収容ケース35内に導入されるようになっている。
【0088】
電池用冷風ダクト34の入口側は、第1、第2の2つの入口通路34a、34bに分岐され、その第1入口通路34aが電池用冷風開口部33に接続され、第2入口通路34bは車室内に連通して車室内空気(内気)を取り入れるようになっている。そして、第1入口通路34aと第2入口通路34bの分岐部に電池用冷風切替ドア67を配置し、この電池用冷風切替ドア67により第1、第2入口通路34a、34bを切替開閉するようになっている。
【0089】
なお、図2において、破線Kで示す三角形は、上記した各種開口部群24a、24b、17a、17b、21a〜21d、27、29、33および冷風バイパス通路63を含む部分の車両左右方向からみた側面形状であり、この各種開口部群および冷風バイパス通路63を含む部分の三角形Kの側面形状は、後席シート部10の背もたれ部10aの車両後方側への最大傾斜面Bに沿った傾斜面Lを持つ形状になっている。
【0090】
換言すると、熱交換ユニット12のケース50、51の車両左右方向からみた側面形状を、後席シート部10の車両後方側への傾斜面Bに沿った傾斜面Lを持つ形状として、熱交換ユニット12(ケース50、51)を後席シート部10の後方側部位に搭載している。そして、送風機ユニット13、14は、熱交換ユニット12(ケース50、51)の車両左右方向の側方において傾斜面(L)より後方側部位に搭載している。
【0091】
なお、温蔵用温風通路60の車両前方端部に位置する温蔵用温風開口部29が図4に示すように傾斜面Lより若干量前方側へ突き出しているが、冷温蔵庫26、温蔵用温風開口部29および冷蔵用冷風開口部27は前述したように後席シート部10の左右のシートの中間位置に位置するので、温蔵用温風開口部29の前方側への突き出しが後席シート部10のリクライニング機能に支障を来すことはない。
【0092】
また、後席側第1フット開口部21a、21bも図4に示すように傾斜面Lより若干量前方側へ突き出しているが、後席側第1フット開口部21a、21bは車両搭載に際して後席シート部10の背もたれ部10a内部に突き出すように配置することにより、後席シート部10のリクライニング機能に支障を来すことはない。
【0093】
次に、後席シート側および後席室内側への吹出空気の温度調整機構について説明する。後席シート側の温度調整機構および後席室内側の温度調整機構はそれぞれ冷風と温風の風量割合により温度調整を行うエアミックスドア70、80を備えている。この両エアミックスドア70、80は、ともに膜状部材(フィルムドア)を用いた同一構成である。
【0094】
そこで、図9にて後席シート側のエアミックスドア70を例にとって温度調整機構の具体的構成を説明する。エアミックスドア70は、第1、第2の2つの膜状部材71a、71bを有している。第1膜状部材71aの一端部は後席シート側冷風通路56の上端部付近にて第2ケース51に固定されている。72aは第1膜状部材71aの一端部の固定部を示す。第1膜状部材71aの他端部は第1巻き取り軸73aに連結されている。
【0095】
第2膜状部材71bの一端部はヒータコア16の熱交換部16a上流側の上下方向中間部に配置された支持部74に固定されている。この支持部74は第2ケース51に一体に備えられる。72bは第2膜状部材71bの一端部の固定部を示す。第2膜状部材71bの他端部は第2巻き取り軸73bに連結される。
【0096】
なお、第1、第2膜状部材71a、71bの具体的材質としては、第1、第2巻き取り軸73a、73bに巻き取り可能な可撓性を有する樹脂フィルム材であれば、種々なものを使用でき、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルム等が好適である。また、第1、第2膜状部材71a、71bの厚さは例えば、200μm程度である。
【0097】
第1、第2巻き取り軸73a、73bは第1、第2膜状部材71a、71bの一端部の固定部72a、72bに対して接近、開離する方向(上下方向)▲1▼、▲2▼に回転しながら移動するものである。次に、第1、第2巻き取り軸73a、73bの操作機構を説明すると、第2ケース51に回転自在に支持される駆動軸75を有し、この駆動軸75には駆動ギヤ75aが一体に設けてある。移動部材76は剛体により枠体状に形成され、枠体状の中央部は空気通路になっている。この枠体状の移動部材76の左右両側部には、駆動ギヤ75aとかみ合う直線状のギヤ(ラック)76aが一体に設けてある。これにより、駆動軸75の回転により移動部材76が上下方向に移動するようになっている。
【0098】
第1、第2巻き取り軸73a、73は移動部材76に回転可能に保持されている。また、第1、第2巻き取り軸73a、73の軸方向の端部にはそれぞれ図示しないギヤが一体に設けてあり、この第1、第2巻き取り軸73a、73のギヤが第2ケース51に設けた図示しない直線状のギヤ(ラック)とかみ合うようになっている。従って、第1、第2巻き取り軸73a、73が移動部材76と一体に上下方向に移動すると、第1、第2巻き取り軸73a、73は図示しないギヤのかみ合いにより同時に回転する。
【0099】
駆動軸75の回転により移動部材76が上方へ移動すると、第1巻き取り軸73aが反時計方向に回転しながら上方へ移動するので、第1巻き取り軸73aが第1膜状部材71aの他端部を巻き取りしながら上方へ移動する。
【0100】
これと同時に、第2巻き取り軸73bも反時計方向に回転しながら上方へ移動するので、第2巻き取り軸73bは第2膜状部材71bの他端部を巻き戻し(送り出し)しながら上方へ移動する。
【0101】
駆動軸75の回転により移動部材76が下方へ移動すると、第1巻き取り軸73aが時計方向に回転しながら下方へ移動するので、第1巻き取り軸73aが第1膜状部材71aの他端部を巻き戻し(送り出し)しながら下方へ移動する。
【0102】
これと同時に、第2巻き取り軸73bも時計方向に回転しながら下方へ移動するので、第2巻き取り軸73bは第2膜状部材71bの他端部を巻き取りしながら下方へ移動する。
【0103】
第1、第2巻き取り軸73a、73b間(換言すると、第1、第2膜状部材71a、71bの他端部相互間)の空隙からなる開口部77は、後席シート側のエアミックスドア70における空気通過部となる。開口部77は枠体状の移動部材76により常に一定間隔に維持され、この開口部77が移動部材76とともに上下方向に移動することにより、後席シート側冷風通路56と後席シート側温風通路59の通路面積を増減する。
【0104】
これにより、後席シート側冷風通路56を流れる冷風Dと、ヒータコア16の熱交換部16aの上方部を通過して後席シート側温風通路59を流れる温風Gとの風量割合を調整して、シート開口部24a、24bからの吹出空気温度を調整できる。
【0105】
後席シート側の最大冷房時には、開口部77が最上部に移動して、後席シート側冷風通路56を全開するとともに、第2膜状部材71bの他端部が第2巻き取り軸73bから最大に巻き戻されて第2膜状部材71bにより後席シート側温風通路59を全閉する。
【0106】
後席シート側の最大暖房時には、開口部77が最下部に移動して、後席シート側温風通路59を全開するとともに、第1膜状部材71aの他端部が第1巻き取り軸73aから最大に巻き戻されて第1膜状部材71aにより後席シート側冷風通路56を全閉する。
【0107】
後席室内側の温度調整機構のエアミックスドア80は、上記の後席シート側温度調整機構のエアミックスドア70と同一構成であるから、具体的説明を省略する。後席室内側の温度調整機構のエアミックスドア80も、図9に示すように、第1、第2膜状部材81a、81b、固定部82a、82b、第1、第2巻き取り軸83a、83b、駆動軸85、枠体状の移動部材86等を備えている。
【0108】
そして、第1、第2巻き取り軸83a、83b間(換言すると、第1、第2膜状部材81a、81bの他端部相互間)の空隙からなる開口部87が枠体状の移動部材86とともに上下方向に移動することにより、後席室内側冷風通路57と後席室内側温風通路61の通路面積を増減する。
【0109】
これにより、後席室内側冷風通路57を流れる冷風Eと、ヒータコア16の熱交換部16aの下方部を通過して後席室内側温風通路61を流れる温風Hとの風量割合を調整して、後席側フェイス開口部17a、17bおよび後席側第1、第2フット開口部21a〜21dからの吹出空気温度を調整できる。
【0110】
後席室内側のエアミックスドア80においても、開口部87の最上部への移動により後席室内側温風通路61を全開して最大暖房時を設定し、また、開口部87の最下部への移動により後席室内側冷風通路57を全開して最大冷房時を設定できる。
【0111】
なお、図2では、エアミックスドア70、80を1個ずつ図示しているが、熱交換ユニット12の第1、第2ケース50、51内の空気通路は図7に示すように中央仕切り板53によって右側通路54と左側通路55とに仕切られているので、エアミックスドア70、80は実際には右側通路54と左側通路55にそれぞれ分割して独立に操作可能に配置される。
【0112】
図7において、70a、80aは右側の後席シート側および後席室内側のエアミックスドアを示し、70b、80bは左側の後席シート側および後席室内側のエアミックスドアを示す。
【0113】
従って、左右の後席シート側エアミックスドア70a、70bの各駆動軸75にそれぞれサーボモータを用いた専用の駆動装置(図示せず)を連結して、左右の後席シート側エアミックスドア70a、70bをそれぞれ独立に操作するようになっている。同様に、左右の後席室内側エアミックスドア80a、80bの各駆動軸85にもそれぞれサーボモータを用いた専用の駆動装置(図示せず)を連結して、左右の後席室内側エアミックスドア80a、80bをそれぞれ独立に操作するようになっている。
【0114】
また、左右の冷風バイパスドア65にもそれぞれサーボモータを用いた専用の駆動装置(図示せず)を連結して、左右の冷風バイパスドア65をそれぞれ独立に操作するようになっている。
【0115】
また、左右の後席側フェイス開口部17a、17bをそれぞれ開閉する左右のフェイスドア(図示せず)を第2ケース51内に配置している。この左右のフェイスドアにもそれぞれサーボモータを用いた専用の駆動装置(図示せず)を連結して、左右のフェイスドアをそれぞれ独立に操作するようになっている。
【0116】
また、右側の後席側第1、第2フット開口部21a、21cを開閉する右側フットドア(図示せず)と、左側の後席側第1、第2フット開口部21b、21dを開閉する左側フットドア(図示せず)とを第2ケース51内に配置している。この左右のフットドアにもそれぞれサーボモータを用いた専用の駆動装置(図示せず)を連結して、左右のフットドアをそれぞれ独立に操作するようになっている。
【0117】
また、左右のシート開口部24a、24bをそれぞれ開閉する左右のシートドア(図示せず)を第2ケース51内に配置している。この左右のシートドアにもそれぞれサーボモータを用いた専用の駆動装置(図示せず)を連結して、左右のシートドアをそれぞれ独立に操作するようになっている。
【0118】
また、冷温蔵庫26用の温風ドア66aおよび冷風ドア66bは、リンク機構を介してサーボモータを用いた共通の駆動装置(図示せず)に連結して、連動操作するようになっている。
【0119】
また、電池用冷風切替ドア67にはサーボモータを用いた専用の駆動装置(図示せず)を連結して、電池用冷風切替ドア67を操作するようになっている。
【0120】
また、左右の送風機ユニット13、14の送風機46、47の駆動用モータ46b、47bには、モータ入力電圧を調整してモータ回転数を調整する左右のモータ駆動回路(図示せず)が独立に設けられ、この左右のモータ駆動回路によって左右の送風機46、47の風量を独立に制御できるようになっている。
【0121】
上記した各種ドアの駆動装置のサーボモータおよび左右の送風機46、47のモータ駆動回路はすべて空調用制御装置(図示せず)の制御出力により制御されるようになっている。この空調用制御装置はマイクロコンピュータを用いた公知のものであり、車両環境条件を検出するセンサ群の検出信号、空調操作パネル(図示せず)の乗員操作信号等が入力され、予め設定されたプログラムに従って所定の演算処理を行って、上記サーボモータ、送風機46、47の駆動用モータ46b、47b等の作動を制御する。
【0122】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。空調用制御装置(図示せず)の制御出力により左右の送風機46、47のモータ駆動回路を介して駆動用モータ46b、47bに通電すると、左右の送風機46、47が作動して後席側空調ユニットが始動する。左右の送風機46、47は内気吸入口42、43から内気を吸入し、熱交換ユニット12内の右側通路54および左側通路55に送風する。
【0123】
後席側空調ユニットの吹出モードとしては、下記のごとくフェイスモード、バイレベルモードおよびフットモードを選択できる。フェイスモードは後席側フェイス開口部17a、17bをフェイスドア(図示せず)にて開口することにより選択できる。フェイスモード時には後席側フェイス開口部17a、17bの下流側に設けられた後席側フェイス吹出口20から後席乗員の上半身側へ空調風(主に冷風)を吹き出す。
【0124】
フットモードは後席側第1、第2フット開口部21a〜21dをフットドア(図示せず)にて開口することにより選択できる。フットモード時には後席側第1フット開口部21a、21bの下流側に設けられた後席側第1フット吹出口23から後席乗員の足元側へ空調風(主に温風)を吹き出す。これと同時に、後席側第2フット開口部21c、21dの下流側に設けられた図示しない後席側第2フット吹出口からも空調風(主に温風)を吹き出す。この後席側第2フット吹出口は車両後部ドアにおける乗員膝部相当の高さ位置から後席乗員の膝部付近に向かって空調風(主に温風)を吹き出す。
【0125】
また、バイレベルモードは、後席側フェイス開口部17a、17bをフェイスドア(図示せず)にて開口すると同時に、後席側第1、第2フット開口部21a〜21dをフットドア(図示せず)にて開口することにより選択できる。
【0126】
従って、バイレベルモード時には、後席乗員の上半身側と足元側の両方へ空調風を同時に吹き出すことができる。
【0127】
更に、上記のフェイスモード、バイレベルモードおよびフットモードのいずれにおいても、シート開口部24a、24bをシートドア(図示せず)により開口することによりシート空調モードを設定できる。すなわち、シート開口部24a、24bから空調風をシート用吹出ダクト25を経て後席シート部10の背もたれ部10aおよびクッション部10bの内部通路に送り込み、背もたれ部10aおよびクッション部10bの表面の多数の吹出口から空調風を後席乗員の身体に向けて直接的に吹き出すことができ、空調フィーリングを向上できる。
【0128】
ところで、後席側フェイス開口部17a、17bおよび後席側第1、第2フット開口部21a〜21dからの吹出空気温度、すなわち、後席室内側への吹出空気温度は、下側のエアミックスドア80により温風Hと冷風Eとの風量割合を調整することにより独立に調整できる。
【0129】
また、バイレベルモード時には冷風バイパス通路63から冷風バイパス開口部64を通過して後席側フェイス開口部17a、17bに流入する冷風量を冷風バイパスドア65の開度により調整することができる。この冷風バイパス量の調整により、バイレベルモード時におけるフェイス吹出温度をフット吹出温度に対して独立に調整できる。換言すると、フェイス吹出温度とフット吹出温度を独立に調整できることになり、乗員の好みに応じた頭寒足熱型の上下吹出温度差を容易に得ることができる。
【0130】
また、後席側フェイス開口部17a、17bを後席側第1、第2フット開口部21a〜21dよりも車両後方側に配置して、後席側フェイス開口部17a、17bを後席室内側冷風通路57に近接させているから、バイレベルモード時に後席側フェイス開口部17a、17b側に冷風が流入しやすい。このため、バイレベルモード時に頭寒足熱型の上下吹出温度差を得ることが容易となる。
【0131】
また、後席シート部10側への吹出空気温度は、上側のエアミックスドア70により温風Hと冷風Eとの風量割合を調整することにより独立に調整できる。
【0132】
ところで、本実施形態では、熱交換ユニット12のケース50、51内の空気通路を右側通路54と左側通路55とに仕切り、左右両側の送風機ユニット13、14により右側通路54と左側通路55にそれぞれ独立に空気を送風するとともに、右側通路54と左側通路55に図7に示すようにエアミックスドア70(70a、70b)、80(80a、80b)をそれぞれ独立に操作可能に配置している。このため、車室内後席の右側領域および左側領域への吹出空気温度および吹出風量を独立に制御できる。
【0133】
また、夏期等に冷温蔵庫26の冷蔵機能を発揮する場合には、図8(a)に示すように、冷風ドア66bを開状態とし、温風ドア66aを閉状態とする。これにより、熱交換ユニット12の最下部に位置する冷風バイパス通路63の冷風が冷温蔵庫26内に循環するので、冷温蔵庫26の冷蔵機能を発揮できる。
【0134】
また、冬期等に冷温蔵庫26の温蔵機能を発揮する場合には、図8(b)に示すように、温風ドア66aを開状態とし、冷風ドア66bを閉状態とする。これにより、熱交換ユニット12のヒータコア16の熱交換部16aの上方部の中央部を通過した温風が温風通路60を経て冷温蔵庫26内に循環するので、冷温蔵庫26の温蔵機能を発揮できる。
【0135】
なお、冷温蔵庫26の冷蔵時には冷風ドア66bの開度を調整して冷風の循環量を調整することにより冷蔵能力を調整できる。また、冷温蔵庫26の温蔵時には温風ドア66aの開度を調整して温風の循環量を調整することにより温蔵能力を調整できる。
【0136】
また、夏期等において、電池36の冷却熱負荷が大きい場合には、電池用冷風切替ドア67により電池用冷風ダクト34の第1入口通路34aを開口することにより、冷風バイパス通路63の冷風を電池用冷風開口部33から電池用冷風ダクト34に導入して、電池36の周囲に冷風を送り込むことができる。従って、冷風バイパス通路63からの低温冷風により電池36を強力に冷却できる。
【0137】
なお、電池36の冷却熱負荷が小さい場合には、電池用冷風切替ドア67により電池用冷風ダクト34の第2入口通路34bを開口することにより、車室内空気を図示しない送風機により電池用冷風ダクト34を通して電池36の周囲に送り込む。従って、空調された比較的低温の車室内空気によって電池36を冷却できる。
【0138】
ところで、蒸発器15で冷却された冷風の密度がヒータコア16で加熱された温風の密度より大きいため、冷風は第2ケース51の下部側へ偏りやすい。この点に鑑みて、冷風バイパス通路63を熱交換ユニット部12の最下部に配置している。これにより、蒸発器15通過後の冷風が冷風バイパス通路63に流入しやすくなって、冷風バイパス通路63から後席側フェイス開口部17a、17b、冷温蔵庫26、および電池36側に冷風を供給しやすい。
【0139】
(他の実施形態)
なお、本発明は、上記の一実施形態に限定されることなく、以下に例示するように種々変形可能である。
【0140】
(1)上記の一実施形態では、エアミックスドア70、80として、2枚の膜状部材71a、71b、81a、81b間の開口部77、87が移動して、冷温風の風量割合を調整するタイプのものを用いているが、周知の1枚の膜状部材に開口部を開け、この1枚の膜状部材の移動とともに開口部が移動して冷温風の風量割合を調整するタイプのものをエアミックスドア70、80に用いてもよい。
【0141】
また、エアミックスドア70、80として回転可能な板ドアを用いてもよく、エアミックスドア70、80として種々なタイプのものを使用できる。
【0142】
(2)上記の一実施形態では、熱交換ユニット12のケース50、51内の空気通路を右側通路54と左側通路55とに仕切り、右側通路54と左側通路55にエアミックスドア70、80をそれぞれ独立に操作可能に配置しているが、熱交換ユニット12のケース50、51内の空気通路を右側通路54と左側通路55とに仕切ることをやめて、ケース50、51内の空気通路を単一通路とし、エアミックスドア70、80を左右分割せずに、単一のドアとしてもよい。
【0143】
この場合は、送風機ユニット13、14を左右に分割して配置せず、単一の送風機ユニットを設けるだけでよい。
【0144】
(3)上記の一実施形態では、エアミックスドア70により後席シート部10側への吹出空気温度を独立に制御し、また、エアミックスドア80により後席室内側(後席フェイス側および後席フット側)の吹出空気温度を独立に制御しているが、単一のエアミックスドアにより後席シート部10側への吹出空気温度および後席室内側への吹出空気温度を制御するようにしてもよい。
【0145】
(4)上記の一実施形態では、冷温蔵庫26を搭載する例について説明したが、冷温蔵庫26を搭載しない車両に本発明を適用してもよい。
【0146】
(5)上記の一実施形態では、電池36の冷却のための冷風ダクト34を組み合わせる例について説明したが、電池36の冷却機能を必要としない車両に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の車両搭載状態の概略説明図である。
【図2】本発明の一実施形態による後席側空調ユニット部の空気通路構成の概略を示すもので、図5のX−X断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による後席側空調ユニット部の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による後席側空調ユニット部の左側面図である。
【図5】本発明の一実施形態による後席側空調ユニット部の車両後方側からみた背面図である。
【図6】本発明の一実施形態による後席側空調ユニット部の底面図である。
【図7】本発明の一実施形態による後席側空調ユニット部の通路構成を示す概略断面図である。
【図8】図5のY−Y概略断面図で、(a)は冷温蔵庫の冷蔵時を示し、(b)は冷温蔵庫の温蔵時を示す。
【図9】本発明の一実施形態によるエアミックスドアの概略説明図である。
【符号の説明】
15…蒸発器(冷房用熱交換器)、16…ヒータコア(暖房用熱交換器)、
17a、17b…後席側フェイス開口部、
21a〜21d…後席側フット開口部、24a、24b…シート用開口部、
26…冷温蔵庫、34…電池冷却用冷風ダクト、46、47…送風機、
70…後席シート側エアミックスドア(後席シート側吹出温度調整手段)、
80…後席室内側エアミックスドア(後席室内側吹出温度調整手段)。
Claims (13)
- 車室内の後席側領域を空調する車両用空調装置であって、
空気を送風する送風機(46、47)と、
前記送風機(46、47)の送風空気を冷却する冷房用熱交換器(15)と、前記冷房用熱交換器(15)の下流側に設けられ、前記送風機(46、47)の送風空気を加熱する暖房用熱交換器(16)と、
前記暖房用熱交換器(16)の下流側に設けられ、車室内後席側の乗員上半身側へ吹き出す空気を取り出す後席側フェイス開口部(17a、17b)と、
前記暖房用熱交換器(16)の下流側に設けられ、車室内後席側の乗員足元側へ吹き出す空気を取り出す後席側フット開口部(21a〜21d)と、
前記暖房用熱交換器(16)の下流側に設けられ、車室内の後席シート部(10)側へ吹き出す空気を取り出すシート用開口部(24a、24b)と、
前記後席側フェイス開口部(17a、17b)および前記後席側フット開口部(21a〜21d)の吹出空気温度を調整する後席室内側吹出温度調整手段(80)と、
前記シート用開口部(24a、24b)の吹出空気温度を調整する後席シート側吹出温度調整手段(70)とを備えることを特徴とする車両用空調装置。 - 前記送風機(46、47)、前記冷房用熱交換器(15)、前記暖房用熱交換器(16)、前記開口部群および前記両温度調整手段(70、80)を有する後席側空調ユニット部(12、13、14)を、前記後席シート部(10)後方側に形成されるトランクルーム(11)内に搭載することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記暖房用熱交換器(16)を通過して温風が流れる後席室内側温風通路(61)と、
前記冷房用熱交換器(15)通過後の冷風が前記暖房用熱交換器(16)をバイパスして流れる後席室内側冷風通路(57)と、
前記暖房用熱交換器(16)を通過して温風が流れる後席シート側温風通路(59)と、
前記冷房用熱交換器(15)通過後の冷風が前記暖房用熱交換器(16)をバイパスして流れる後席シート側冷風通路(56)とを備え、
前記後席室内側吹出温度調整手段は、前記後席室内側温風通路(61)の温風と前記後席室内側冷風通路(57)の冷風との風量割合を調整する後席室内側エアミックスドア(80)により構成され、
前記後席シート側吹出温度調整手段は、前記後席シート側温風通路(59)の温風と前記後席シート側冷風通路(56)の冷風との風量割合を調整する後席シート側エアミックスドア(70)により構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。 - 前記暖房用熱交換器(16)をその熱交換部(16a)が略上下方向に向くように配置し、
前記暖房用熱交換器(16)の上方側に前記後席シート側冷風通路(56)を配置し、
前記暖房用熱交換器(16)の熱交換部(16a)の上方側に前記後席シート側温風通路(59)を配置し、
前記暖房用熱交換器(16)の熱交換部(16a)の下方側に前記後席室内側温風通路(61)を配置し、
前記暖房用熱交換器(16)の下方側に前記後席室内側冷風通路(57)を配置し、
更に、前記後席室内側冷風通路(57)の下方側に、前記冷房用熱交換器(15)通過後の冷風を前記後席側フェイス開口部(17a、17b)に直接導入する冷風バイパス通路(63)を配置したことを特徴とする請求項3に記載の車両用空調装置。 - 前記冷風バイパス通路(63)から前記後席側フェイス開口部(17a、17b)に導入する冷風の風量を調整するドア手段(65)を備えることを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
- 前記後席シート部(10)近傍に配置され、前記冷房用熱交換器(15)通過後の冷風を導入することにより冷蔵機能を発揮するとともに、前記暖房用熱交換器(16)通過後の温風を導入することにより温蔵機能を発揮する冷温蔵庫(26)を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
- 前記後席シート部(10)近傍に配置され、前記冷風バイパス通路(63)から冷風を導入することにより冷蔵機能を発揮するとともに、前記暖房用熱交換器(16)通過後の温風を導入することにより温蔵機能を発揮する冷温蔵庫(26)を備えることを特徴とする請求項4または5に記載の車両用空調装置。
- 前記冷房用熱交換器(15)通過後の冷風を車載電池(36)の周囲に導入して、前記車載電池(36)を冷却する電池用冷風ダクト(34)を備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
- 前記冷風バイパス通路(63)から冷風を車載電池(36)の周囲に導入して、前記車載電池(36)を冷却する電池用冷風ダクト(34)を備えることを特徴とする請求項4、5、7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
- 前記冷房用熱交換器(15)の車両前方側に前記暖房用熱交換器(16)が配置され、
前記暖房用熱交換器(16)の更に車両前方側に、前記後席側フェイス開口部(17a、17b)、前記後席側フット開口部(21c、21d)および前記シート用開口部(24a、24b)が配置され、
前記後席側フェイス開口部(17a、17b)は前記後席側フット開口部(21a〜21d)よりも車両後方側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の車両用空調装置。 - 前記後席側フェイス開口部(17a、17b)および前記後席側フット開口部(21a〜21d)の上方側に前記シート用開口部(24a、24b)が配置されていることを特徴とする請求項10に記載の車両用空調装置。
- 前記シート用開口部(24a、24b)を前記後席側フェイス開口部(17a、17b)の上方側にずらして配置することにより、前記後席側フェイス開口部(17a、17b)、前記後席側フット開口部(21a〜21d)および前記シート用開口部(24a、24b)からなる開口部群(K)の車両左右方向からみた側面形状を、前記後席シート部(10)の車両後方側への傾斜面(B)に沿った傾斜面(L)を持つ三角形状としたことを特徴とする請求項11に記載の車両用空調装置。
- 車室内の後席側領域を空調する車両用空調装置であって、
空気を送風する送風機(46、47)と、
前記送風機(46、47)の送風空気が流入するケース(50、51)と、
前記ケース(50、51)内に配置され、前記送風機(46、47)の送風空気を冷却する冷房用熱交換器(15)と、
前記ケース(50、51)内にて前記冷房用熱交換器(15)の下流側に設けられ、前記送風機(46、47)の送風空気を加熱する暖房用熱交換器(16)と、
前記ケース(50、51)のうち前記暖房用熱交換器(16)の下流側に開口し、車室内後席側の乗員上半身側へ吹き出す空気を取り出す後席側フェイス開口部(17a、17b)と、
前記ケース(50、51)のうち前記暖房用熱交換器(16)の下流側に開口し、車室内後席側の乗員足元側へ吹き出す空気を取り出す後席側フット開口部(21a〜21d)と、
前記ケース(50、51)のうち前記暖房用熱交換器(16)の下流側に開口し、車室内の後席シート部(10)側へ吹き出す空気を取り出すシート用開口部(24a、24b)と、
前記後席側フェイス開口部(17a、17b)、前記後席側フット開口部(21a〜21d)および前記シート用開口部(24a、24b)の吹出空気温度を調整する後席側吹出温度調整手段(70、80)とを備え、
前記ケース(50、51)の車両左右方向からみた側面形状を、前記後席シート部(10)の車両後方側への傾斜面(B)に沿った傾斜面(L)を持つ形状とし、
前記ケース(50、51)を前記後席シート部(10)の後方側部位に搭載するとともに、前記送風機(46、47)を、前記ケース(50、51)の車両左右方向の側方において前記傾斜面(L)より後方側部位に搭載することを特徴とする車両用空調装置。
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