JP2004181496A - レーザ加工方法、それにより加工された透明樹脂部材加工品、及びその透明樹脂部材加工品を用いた表示装置 - Google Patents

レーザ加工方法、それにより加工された透明樹脂部材加工品、及びその透明樹脂部材加工品を用いた表示装置 Download PDF

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Nobuyuki Kanazawa
伸之 金澤
Keisuke Kasahara
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Abstract

【課題】非常に短い間に大きな光エネルギを焦点位置に対して与えることで、微小クラックを作製するレーザ加工方法を提供する。
【解決手段】透明樹脂部材11にレーザビームLを照射し、前記透明樹脂部材11内部のビーム焦点位置と前記透明樹脂部材11とを相対移動させて前記透明樹脂部材11内部の複数の部位に微小クラックを形成するレーザ加工方法であって、各微小クラックの形成に際し、前記レーザビームLによって40ns以下の間に前記透明樹脂部材11を昇華させることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明樹脂部材にレーザビームを照射し、前記透明樹脂部材内部のビーム焦点位置と前記透明樹脂部材とを相対移動させて前記透明樹脂部材内部の複数の部位に微小クラックを形成するレーザ加工方法、それにより加工された透明樹脂部材加工品、及びその透明樹脂部材加工品を用いた表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ガラスやアクリル樹脂などの内部に複数の微小クラックを2次元的または3次元的に配列して形成し、ガラスやアクリル樹脂中に文字や図形等が浮かんで見えるように作製された装飾品がある。このような装飾品の外部から光を照射した場合、複数の微小クラックで構成される文字や図形の部分において照射光の反射が起こる。このように、内部で上述の文字や図形が光り輝いて明るく表示されることを利用して、通常の広告看板などとは一味違った電光装置を作製することができる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、ガラスやアクリル樹脂などの透明樹脂部材の内部に微小クラックを作製するためにはレーザ加工技術が用いられ、レーザビームの焦点位置を描きたい文字や図形に沿って連続的に動かしながら、そのビーム焦点位置に光エネルギを集中させることで、複数の微小クラックが配列されて構成される文字や図形を得ることができる。更に、レーザビームの焦点位置の深さを変化させることで、3次元的に配列された微小クラック群を形成することもできる。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−232638号公報(図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これまで、微小クラックを作製するために使用されるレーザはYAGレーザがほとんどであった。しかしながら、YAGレーザを用いた場合、マルチモード発振であるという理由からレーザビーム径が大きくなり、レンズなどを用いて集束させたとしても、焦点位置でのスポットサイズが大きくなり、形成されるクラックのサイズが大きくなるという問題があった。
【0006】
更に、微小クラックの作製に際し、例えばジャイアントパルスなどを利用してビーム焦点位置には非常に短い間に大きな光エネルギを与える必要があるのだが、YAGレーザを用いた場合、Qスイッチング周波数を大きくすると出力される光エネルギが低下してしまうという問題があった。その結果、クラックを形成するためには比較的長い時間のレーザビーム照射を行うことで、上記透明樹脂部材を昇華させる必要があるのだが、その場合には、レーザビーム照射による熱が比較的広い領域に拡散して与えられるため、クラックのサイズが大きくなるか、または透明樹脂部材が融ける程度のエネルギしか与えられないという問題がある。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、非常に短い間に大きな光エネルギを焦点位置に対して与えることで、微小クラックを作製するレーザ加工方法を提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明に係るレーザ加工方法の特徴構成は、透明樹脂部材にレーザビームを照射し、前記透明樹脂部材内部のビーム焦点位置と前記透明樹脂部材とを相対移動させて前記透明樹脂部材内部の複数の部位に微小クラックを形成するレーザ加工方法であって、各微小クラックの形成に際し、前記レーザビームによって40ns以下の間に前記透明樹脂部材を昇華させる点にある。
【0009】
上記特徴構成により、40ns以下という非常に短時間のレーザビーム照射によって上記透明樹脂部材を局所的に昇華させ、透明樹脂部材の昇華が発生した狭い領域に微小クラックを形成することができる。
【0010】
上記課題を解決するための本発明に係るレーザ加工方法の別の特徴構成は、前記透明樹脂部材に前記レーザビームを照射する際の前記レーザビームの光軸と前記透明樹脂部材の表面との角度設定が自在である点にある。
【0011】
上記特徴構成により、レーザビームの焦点位置と上記透明樹脂部材とを、上記透明樹脂部材の表面に沿って平行方向に相対移動させながらレーザビームの照射を行うことや、上記透明樹脂部材を傾けた状態で移動させながらレーザビームの照射を行うことなどが自在に行えるので、透明樹脂部材の表面に対して平行な文字または図形を透明樹脂部材内部の微小クラックによって形成することや、透明樹脂部材の表面からの深さが様々な微小クラックによって3次元的な文字または図形を形成することができる。
【0012】
上記課題を解決するための本発明に係るレーザ加工方法の更に別の特徴構成は、複数のレーザビームを複数の方向から前記ビーム焦点位置に同時に照射する点にある。
【0013】
上記特徴構成により、複数のレーザビームから放出される光エネルギをビーム焦点位置に集中させることができるので、1つのレーザビームだけをビーム焦点位置に集束させる場合に比べて強い光エネルギをビーム焦点位置に集中させることができる。その結果、微小クラックの形成に際し透明樹脂部材を昇華させるための光エネルギの供給が容易になる。
【0014】
上記課題を解決するための本発明に係るレーザ加工方法の更に別の特徴構成は、2つのレーザビームを、前記ビーム焦点位置を通過する直線上の互いに異なる方向から前記ビーム焦点位置に同時に照射する点にある。
【0015】
上記特徴構成により、一般にはレーザビームを透明樹脂部材内部の焦点位置に集束させる場合、透明樹脂部材内部での光路長に応じてレーザビームの減衰が発生するため、通常は光路長が長いほど焦点位置に与えられる光エネルギが小さくなるが、本特徴構成によれば、2つのレーザビームを、ビーム焦点位置を通過する直線上の互いに異なる方向からそのビーム焦点位置に同時に照射するため、2つのレーザビームに発生する減衰の合計が常に一定に維持されるという利点がある。その結果、ビーム焦点位置に与えられる光エネルギを一定に維持することができ、形成される複数の微小クラックのサイズを均一にすることができる。
【0016】
上記課題を解決するための本発明に係るレーザ加工方法の更に別の特徴構成は、同一のビーム焦点位置に向けて前記レーザビームの照射を複数回行って、前記ビーム焦点位置の近傍に複数の微小クラックを密に形成する点にある。
【0017】
上記特徴構成により、同一のビーム焦点位置に向けてレーザビームの照射を複数回行った場合、レーザビームが揺らぐことに伴うビーム焦点位置の微小な変位を利用して、上記ビーム焦点位置の微小近傍に複数の微小クラックを密に形成することができる。その結果、微小クラックの疎密を調整することが可能になる。
【0018】
上記課題を解決するための本発明に係るレーザ加工方法の更に別の特徴構成は、前記ビーム焦点位置に対する前記レーザビームの照射方向を調整して、前記微小クラックが伸びる方向を制御する点にある。
【0019】
上記特徴構成により、上記透明樹脂部材中に形成される微小クラックの伸びる方向が、ビーム焦点位置に対するレーザビームの照射方向に応じて変化する傾向があることを利用して、透明樹脂部材中に形成される複数の微小クラックの伸びる方向を意図的に調整することができる。
【0020】
上記課題を解決するための本発明に係るレーザ加工方法の更に別の特徴構成は、前記レーザビームがNd:YVOレーザから放出されるビームである点にある。
【0021】
上記特徴構成により、シングルモード発振が可能であることによりレーザビームのビーム断面を非常に小さく(例えば、直径20μm〜40μm)することができ、更にQスイッチング周波数を高くしても、発生するジャイアントパルスのレーザ出力を十分に確保することができるため、微小クラックの形成に際し、レーザビームによって40ns以下の間に上記透明樹脂部材を非常に狭い領域で局所的に昇華させることができる。
【0022】
上記課題を解決するための本発明に係る透明樹脂部材加工品の特徴構成は、請求項1から請求項7の何れか1項に記載のレーザ加工方法により加工された点にある。
【0023】
上記特徴構成により、上記レーザ加工方法の特徴構成により得られる効果と同様に、非常に小さな微小クラックが内部に形成された透明樹脂部材加工品を得ることができる。
【0024】
上記課題を解決するための本発明に係る表示装置の特徴構成は、請求項8に記載の透明樹脂部材加工品に照射される光が前記微小クラックによって散乱されることで前記透明樹脂部材加工品の内部で模様を表示する点にある。
【0025】
上記特徴構成により、透明樹脂部材加工品の内部に形成された複数の微小クラックで構成される文字や図形を光り輝いて明るく表示させることで、周囲からの視認性を高めることができる表示装置を提供することができる。
【0026】
更に、上記ビーム焦点位置に対して上記レーザビームの照射を複数回行って、上記ビーム焦点位置の近傍に複数の微小クラックを密に形成するレーザ加工方法が用いた場合には、透明樹脂部材加工品の内部に微小クラックの疎密分布を形成することができるので、微小クラックの光反射による明部の中でも、微小クラックが疎らになっている領域からの反射を弱くし、微小クラックが密になっている領域からの反射を強くして、コントラストを高めることができる。
【0027】
また更に、微小クラックが伸びる方向が制御されている場合には、微小クラックによる光の反射方向を制御することができるため、表示装置を見る方向によって、微小クラックからの反射光が強い場合や反射光が弱い場合などを設定することができる。
【0028】
上記課題を解決するための本発明に係る表示装置の別の特徴構成は、放出する光のスペクトルが互いに異なる複数の光源を有する照明装置を備え、前記複数の光源から放出される光の強度をそれぞれ調整して、前記透明樹脂部材加工品へ照射される前記複数の光源による合成光のスペクトルを制御可能に構成される点にある。
【0029】
上記特徴構成により、透明樹脂部材加工品に対して複数の色の光を照射することができるので、その透明樹脂部材加工品の内部に形成された複数の微小クラックで構成される文字や図形を、複数の色で光り輝かせて明るく表示させることができ、その結果、表示装置に対する視認性を向上させることが出来る。
【0030】
上記課題を解決するための本発明に係る表示装置の更に別の特徴構成は、前記合成光のスペクトルのピーク波長が時間的に連続して変化するように、前記複数の光源から放出される光の強度が調整される点にある。
【0031】
上記特徴構成により、透明樹脂部材加工品の内部に形成された複数の微小クラックに対して照射される光の色が時間的に連続して徐々に変化するような表示装置を構成することができるので、その表示装置に対する視認性を向上させることが出来る。
【0032】
上記課題を解決するための本発明に係る表示装置の更に別の特徴構成は、前記照明装置が、赤色領域にスペクトルのピーク波長を有する光源と、緑色領域にスペクトルのピーク波長を有する光源と、青色領域にスペクトルのピーク波長を有する光源とを備えて構成される点にある。
【0033】
上記特徴構成により、赤色と緑色と青色という光の三原色を混合して得られるフルカラー表示が可能な表示装置を提供することができる。
【0034】
上記課題を解決するための本発明に係る表示装置の更に別の特徴構成は、前記透明樹脂部材が、照射される光に対して蛍光を示す材料を含んで構成される点にある。
【0035】
上記特徴構成により、透明樹脂部材加工品に対して照射される波長の光を微小クラックで反射して、その透明樹脂部材加工品の内部でその波長の色の模様を表示することに加えて、蛍光材料による発光を透明樹脂部材加工品の内部から表示することができる。その結果、光が照射される場合には、微小クラックが形成されていない部位においても色表示が行われる表示装置を提供することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明に係るレーザ加工方法について説明する。
図1に例示するのは本発明に係るレーザ加工方法を実施可能なレーザ加工装置1の機能ブロック図である。このレーザ加工装置1は、励起装置3から放出された励起光によってレーザビーム発生装置4のレーザ媒質6を励起し、レーザビーム発生装置4から出力されたレーザビームLを加工台12上に設けられた透明樹脂部材11に照射して、透明樹脂部材11に対するレーザ加工を施す装置である。ここで、レーザ媒質6の励起方式はエンドポンピング方式を採用している。また、励起装置3、レーザビーム発生装置4、及び加工台12の動作制御は制御装置2によって行われる。
【0037】
レーザビーム発生装置4は、反射ミラー5、レーザ媒質6、Qスイッチ7、出力ミラー8、ガルバノスキャナ9、及びFθレンズ10を備えて構成されている。レーザ媒質6はNd:YVO(ネオジム(neodymium)添加のイットリウムバナデート結晶)である。このレーザビーム発生装置4ではQスイッチ7が設けられていることから、Qを高くすれば、レーザ媒質6から放出された光は反射ミラー5と出力ミラー8とで構成される光共振器でレーザ発振の状態となり、出力ミラー8からレーザビームLとして放出される。得られるレーザビームLの波長は1064nmであるが、波長変換素子を設けて波長532nmのレーザビームを得ることもできる。
【0038】
出力ミラー8から放出されたレーザビームLは、ガルバノスキャナ9とFθレンズ10を経由して加工台12上の透明樹脂部材11に照射される。ガルバノスキャナ9は図中の矢印に示す方向に回転可能であり、その結果、レーザビームLのビーム焦点位置を、透明樹脂部材11の表面に対して水平方向に移動させることができる。また、Fθレンズ10を用いてレーザビームLの焦点位置を調整することができる。更に、透明樹脂部材11が設置される加工台12は水平移動、上下移動、回転移動が可能に構成されているため、ガルバノスキャナ9及びFθレンズ10を用いなくても、レーザビームLの焦点位置を透明樹脂部材11中で自在に移動させることができる。
【0039】
ここで、透明樹脂部材11内部のビーム焦点位置では、レーザビームLの光エネルギが集中されることで透明樹脂部材11の局所的な昇華が発生し、その結果、ビーム焦点位置に微小クラックが発生する。微小クラックのサイズを小さくしたい場合には、ビーム焦点位置でのレーザビームLの径を小さくすればよい。
【0040】
詳細には、パルス幅が40ns以下のジャイアントパルス(レーザビームL)をQスイッチング周波数に応じて発生させ、そのレーザビームLによる40ns以下の間のレーザ照射によって透明樹脂部材11は局所的に昇華される。その結果、昇華が発生した領域で透明樹脂部材が局所的に歪み、微小クラックが形成される。複数の微小クラックを配列して形成する場合には、所定のQスイッチング周波数でジャイアントパルスを発生させながら、そのレーザビームLの焦点位置と透明樹脂部材11とを相対移動させればよい。
【0041】
ここで、微小クラックが伸びる方向は、ビーム焦点位置へのレーザビームLの照射方向に応じて変化する傾向がある。加えて、分子配列構造や形成時の樹脂押し出し方向などの透明樹脂部材11の特性に応じて変化することもある。従って、レーザビームLの透明樹脂部材11への入射角度を調整することで、透明樹脂部材11中に形成される微小クラックの伸びる方向を自在に制御することも可能である。例えば、複数の微小クラックを形成する場合に、レーザビームLの透明樹脂部材11への入射角度を統一することで、形成される微小クラックの伸びる方向に統一性を持たせることができる。
【0042】
また、同一のビーム焦点位置に向けてレーザビーム照射を複数回行った場合、レーザビームLの揺らぎにより、レーザビーム照射を繰り返す度にそのビーム焦点位置に微小な変位(揺らぎ)が発生するため、ビーム焦点位置の近傍の非常に狭い領域(ビーム焦点位置の揺らぎの範囲)に複数の微小クラックを密に形成することができる。その結果、上述のように所定のQスイッチング周波数でジャイアントパルスを発生させながら、そのレーザビームLの焦点位置と透明樹脂部材11とを相対移動させながら、同一のビーム焦点位置に向けたレーザビーム照射の繰り返し回数を調整することで、微小クラックの疎密を調整することができる。
【0043】
図2に例示するのは本実施形態において使用されるNd:YVOレーザから出力されるレーザビームLの特性であり、比較例としてYAGレーザから出力されるレーザビームの特性も例示する。
図2(a)に例示するようにNd:YVOレーザはシングルモード発振(1つのピーク)であるためレーザビームLの断面を小さくすることができ、図2(b)に例示するようにレーザビームLの断面の直径は約20μm〜40μmとなる。従って、このレーザビームLをFθレンズ10を用いて集束させた場合、透明樹脂部材11の内部の非常に狭い領域(ビーム焦点位置)にレーザビームLの光エネルギを集中させることができ、形成される微小クラックのサイズを非常に小さくすることができる。
【0044】
他方で、図2(a)に例示するようにYAGレーザはマルチモード発振(複数のピーク)であるためレーザビームの断面が大きくなり、図2(b)に例示するようにレーザビームの断面の直径は約100μmとなる。従って、YAGレーザから出力されるレーザビームを用いて、透明樹脂部材11の内部のビーム焦点位置に光エネルギを集中させたとしても、形成される微小クラックのサイズはYVOレーザを用いて作製された微小クラックに比べて大きくなる。
【0045】
図3に示すのは本発明に係るレーザ加工方法を用いて、上述のような微小クラックを形成する加工が施された透明樹脂部材加工品を用いた表示装置である。この表示装置は、内部に「レーザー」という文字が複数の微小クラックによって形成された透明樹脂部材(透明樹脂部材加工品)11の側面に照明装置13を設け、照明装置13から放射された光が透明樹脂部材11の内部を進行して、微小クラックへ到達するように構成されている。微小クラックへ到達した光は反射されて透明樹脂部材11の外部に放出され、形成された文字を光り輝いて明るく表示させる。
【0046】
上述したように、同一のビーム焦点位置に向けてレーザビームLの照射を複数回行った場合、レーザビームが揺らぐことに伴うビーム焦点位置の微小な変位を利用して、上記ビーム焦点位置の微小近傍に複数の微小クラックを密に形成することができることから、微小クラックを密に形成した領域からの反射光を強くし、微小クラックを疎らに形成した領域からの反射光を比較的弱くするなどの調整を行うこともできる。
【0047】
また、上述したように、透明樹脂部材11中に形成される複数の微小クラックの伸びる方向が、レーザビームの照射方向とによって制御されている場合には、その微小クラックによる反射光の進行方向も制限されるため、ある方向から見た場合の反射光を強くし、別の方向から見た場合の反射光を弱くするなどの調整を行うこともできる。
【0048】
ここで、図3(b)に例示するように、「レーザー」という文字を構成する複数の微小クラックは連続的に深さを変えて形成されている。微小クラックが深さを変えて形成されていることで、図示するように、他の微小クラックに邪魔されること無くほぼ全ての微小クラックに対して光を照射することが可能となり、その結果、それらの微小クラックが確実に光り輝くこととなる。尚、本実施形態では照明装置13を設けたが、必ずしも設ける必要はない。例えば、周囲に電灯などの通常の照明機器が設置されている場所に、内部に微小クラックが形成された透明樹脂部材(透明樹脂部材加工品)を設置すれば、透明樹脂部材加工品に照射される光が微小クラックによって散乱されることで、透明樹脂部材加工品の内部で模様を表示することができる表示装置を構成することができる。
【0049】
ここで、照明装置13が、放出する光のスペクトルが互いに異なる複数の光源を有し、それら複数の光源から放出される光の強度をそれぞれ調整して、透明樹脂部材加工品へ照射される上記複数の光源による合成光スペクトルを制御可能に構成されていれば、光源からそれぞれ放出される単色光ではなく、複数の光源から放出される光を適宜合成して得られる複数の色の光によって微小クラックを光り輝かせることができる。
【0050】
特に、照明装置13が、赤色領域にスペクトルのピーク波長を有する光源と、緑色領域にスペクトルのピーク波長を有する光源と、青色領域にスペクトルのピーク波長を有する光源という光の三原色の光源を備えて構成される場合には、各光源から放出される光の強度をそれぞれ調整して色の合成を行うことで、フルカラー表示可能な照明装置13を提供することができる。
【0051】
また、照明装置13が、放出する光のスペクトルが互いに異なる複数の光源を有する場合、合成光のスペクトルのピーク波長が時間的に連続して変化するように各光源から放出される光の強度を制御すれば、透明樹脂部材加工品に照射され、微小クラックによって反射される光の波長を時間的に連続して変化させることができ、その表示装置に対する視認性を向上させることができる。例えば、放出される光が、青色から始まって緑色、黄色、橙色、赤色へと徐々に変化するような照明装置13を備えた表示装置を構成することができる。
【0052】
図4に例示するのは微小クラックを連続的に深さを変えて形成する工程を説明する図である。
まず、図4(a)に示すのは、レーザビームLのレーザ焦点位置と透明樹脂部材11の表面とが相対的に平行方向および垂直方向に移動可能に構成されている場合の例である。この場合、所定のQスイッチング周波数でジャイアントパルスを発生させ、透明樹脂部材11に照射しながら、加工台12を図中の矢印で示す上下左右方向に移動させることで、透明樹脂部材11の表面に対して水平方向の位置と垂直方向の位置とが互いに異なる複数の微小クラックを形成することができる。
【0053】
また、図4(b)に示すのは、図4(a)の場合とは異なり透明樹脂部材11の表面が傾いた状態で、図中に示す矢印の方向にレーザ焦点位置と透明樹脂部材11とが相対移動するように構成された場合の例である。図4(a)に示した場合では、透明樹脂部材11の表面に対して水平方向の位置と垂直方向の位置とが互いに異なる複数の微小クラックを形成するためには、レーザ焦点位置と透明樹脂部材11とを、透明樹脂部材11の表面に対して垂直方向および平行方向に相対移動させながら、レーザビーム照射を行う必要があったが、図4(b)に示した場合では、レーザ焦点位置と透明樹脂部材11とを、透明樹脂部材11の表面に対して平行方向に相対移動させながら、レーザビーム照射を行うだけで、透明樹脂部材11の表面に対して水平方向の位置と垂直方向の位置とが互いに異なる複数の微小クラックを形成することができる。
【0054】
<別実施形態>
<1>
図5に例示するのは本発明に係るレーザ加工方法の別実施形態である。
まず図5(a)に例示するのは、複数のレーザビーム(図中では例として第1ビームL1と第2ビームL2の2つのレーザビームの場合を示す)を複数の方向からビーム焦点位置に同時に照射するレーザ加工方法である。複数のレーザビームを得るためには、図1に例示したのと同様のレーザビーム発生装置4を複数台設ければよい。或いは、1台のレーザビーム発生装置4から出力された1つのレーザビームを分離させて、複数のレーザビームを得ることもできる。
【0055】
このように、複数のレーザビームから放出される光エネルギをビーム焦点位置に集中させることができるので、1つのレーザビームだけをビーム焦点位置に集束させる場合に比べて強い光エネルギをビーム焦点位置に集中させることができる。その結果、微小クラックの形成に際し透明樹脂部材11を昇華させるための光エネルギの供給が容易になる。
【0056】
次に図5(b)に例示するのは、2つのレーザビーム(第1ビームL1と第2ビームL2)を、ビーム焦点位置を通過する直線上の互いに異なる方向から、そのビーム焦点位置に同時に照射するレーザ加工方法である。図5(a)の場合に関して説明したのと同様に、2つのレーザビームは、レーザビーム発生装置4を2台設けること、または1つのレーザビームを2つに分離することにより得ることができる。
【0057】
このように、通常は、レーザビームを透明樹脂部材内部に入射させて、焦点位置に集束させる場合、透明樹脂部材内部での光路長に応じてレーザビームの減衰が発生するため、光路長が長いほど焦点位置に与えられる光エネルギが小さくなるが、本特徴構成によれば、2つのレーザビームを、ビーム焦点位置を通過する直線上の互いに異なる方向からそのビーム焦点位置に同時に照射するため、2つのレーザビームに発生する減衰の合計が常に一定に維持されるという利点がある。その結果、ビーム焦点位置に与えられる光エネルギを一定に維持することができ、形成される複数の微小クラックのサイズを均一にすることができる。
【0058】
<2>
上述の透明樹脂部材11はアクリル樹脂やその他の樹脂材料を使用して形成されるが、ある樹脂材料に無色または有色の他の有機化合物や無機化合物を混合して形成することもできる。また、樹脂材料に混合される材料に、上述の表示装置が備える照明装置13から照射される光に対して蛍光を呈する有機蛍光材料や無機蛍光材料を用いた場合、上述の表示装置においては、照明装置13から照射される光と、上記蛍光材料からの発光とが見られる。
具体的には、可視光に対してはほぼ無色透明の緑色蛍光材料が透明樹脂部材11に混合された透明樹脂部材加工品に対して照明装置13から青色の光が照射されるように構成された場合、照明装置13からの照射光がオンであれば、微小クラックが形成されていない透明樹脂部材11からは上述の蛍光材料による発光が現れ、且つ照明装置13からの青色の光が微小クラックによって反射されるような表示装置を構成することができる。そして、照明装置13からの照射光がオフであれば、透明樹脂部材加工品は可視光に対して無色透明であるので色を呈さない。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザ加工装置の機能ブロック図である。
【図2】(a)および(b)は、YVO4レーザ及びYAGレーザの特性を説明する図である。
【図3】(a)は表示装置の上面図であり、(b)は断面図である。
【図4】(a)および(b)は透明樹脂部材の断面図である。
【図5】(a)および(b)は透明樹脂部材の断面図である。
【符号の説明】
1 レーザ加工装置
2 制御装置
3 励起装置
4 レーザビーム発生装置
5 反射ミラー
6 レーザ媒質
7 Qスイッチ
8 出力ミラー
9 ガルバノスキャナ
10 Fθレンズ
11 透明樹脂部材
12 加工台
13 照明装置
L レーザビーム

Claims (13)

  1. 透明樹脂部材にレーザビームを照射し、前記透明樹脂部材内部のビーム焦点位置と前記透明樹脂部材とを相対移動させて前記透明樹脂部材内部の複数の部位に微小クラックを形成するレーザ加工方法であって、
    各微小クラックの形成に際し、前記レーザビームによって40ns以下の間に前記透明樹脂部材を昇華させることを特徴とするレーザ加工方法。
  2. 前記透明樹脂部材に前記レーザビームを照射する際の前記レーザビームの光軸と前記透明樹脂部材の表面との角度設定が自在である請求項1に記載のレーザ加工方法。
  3. 複数のレーザビームを複数の方向から前記ビーム焦点位置に同時に照射する請求項1または請求項2に記載のレーザ加工方法。
  4. 2つのレーザビームを、前記ビーム焦点位置を通過する直線上の互いに異なる方向から前記ビーム焦点位置に同時に照射する請求項3に記載のレーザ加工方法。
  5. 同一のビーム焦点位置に向けて前記レーザビームの照射を複数回行って、前記ビーム焦点位置の近傍に複数の微小クラックを密に形成する請求項1から請求項4の何れか1項に記載のレーザ加工方法。
  6. 前記ビーム焦点位置に対する前記レーザビームの照射方向を調整して、前記微小クラックが伸びる方向を制御する請求項1から請求項5の何れか1項に記載のレーザ加工方法。
  7. 前記レーザビームがNd:YVOレーザから放出されるビームである請求項1から請求項6の何れか1項に記載のレーザ加工方法。
  8. 請求項1から請求項7の何れか1項に記載のレーザ加工方法により加工された透明樹脂部材加工品。
  9. 請求項8に記載の透明樹脂部材加工品に照射される光が前記微小クラックによって散乱されることで前記透明樹脂部材加工品の内部で模様を表示する透明樹脂部材加工品を用いた表示装置。
  10. 放出する光のスペクトルが互いに異なる複数の光源を有する照明装置を備え、
    前記複数の光源から放出される光の強度をそれぞれ調整して、前記透明樹脂部材加工品へ照射される前記複数の光源による合成光のスペクトルを制御可能に構成される請求項9に記載の表示装置。
  11. 前記合成光のスペクトルのピーク波長が時間的に連続して変化するように、前記複数の光源から放出される光の強度が調整される請求項10に記載の表示装置。
  12. 前記照明装置が、赤色領域にスペクトルのピーク波長を有する光源と、緑色領域にスペクトルのピーク波長を有する光源と、青色領域にスペクトルのピーク波長を有する光源とを備えて構成される請求項10または請求項11に記載の表示装置。
  13. 前記透明樹脂部材が、照射される光に対して蛍光を示す材料を含んで構成される請求項9から請求項12の何れか1項に記載の表示装置。
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