JP2008538826A - 印刷システム - Google Patents

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Abstract

基板マーキングシステムは、基板マーキング装置と、照射時に変色しやすい基板または変色しやすい添加物を含む基板と、を備える。この基板マーキング装置は、レーザ光のビームを放射するためのレーザダイオードと、レーザビームが所望のポイントを照射し、これにより使用時に当該ポイントで前記添加物を変色させるように、レーザビームで基板上の所望のポイントを位置調整するためのガルバノメーターと、を備える。

Description

本発明は印刷方法およびそのためのシステムに関する。
レーザは、一般的にはアブレーションによって、また、これに限らずレーザエネルギーを吸収可能な材質の炭化または変色によってマーキングを実現するために広く使用されている。被覆層は、一般的にはマーキング対象となる基板(substrate)上に形成される。被覆層は、CO2レーザビームの作用で暗色化し得る添加物を含む。一般的にCO2レーザがこうした目的で使用されてきたのは、少なくとも1万時間という長い動作寿命のためである。被覆層はレーザ光源の収束エネルギーによって照射時に暗色化し得る。
公知のレーザマーキング技術は、使用される装置が比較的大型で、高価で、効率が悪く、また、実現可能なマーキング速度および解像度が限られているといったデメリットを有する。フルカラー印刷は多くのアプリケーションに極めて望ましいものであるが、公知のレーザマーキング技術はモノクロ印刷のみ実現可能であるというデメリットをさらに有する。
本発明の第1態様によれば、本発明は、基板マーキング装置と、照射時に変色しやすい基板または変色しやすい添加物を含む基板と、を備える基板マーキングシステムであって、前記基板マーキング装置は、レーザ光のビームを放射するためのレーザダイオードと、前記レーザビームにより前記基板上の所望のポイントを位置調整するためのガルバノメーター(galvanometer)であって、前記レーザビームが所望のポイントを照射し、これにより使用時に前記添加物に前記ポイントで変色させるガルバノメーターと、を備える基板マーキングシステムである。
本発明に係るシステムによれば、レーザダイオードによる基板マーキングがモノクロ印刷または多色印刷を実行可能である。本システムは、レーザ光源が長い動作寿命を有しているので、高速の産業利用に適しており、効果的で、信頼性があり、容易に制御可能であり、高速または高解像度印刷が可能である。高解像度印刷の場合には、分子分解能が想定されている。また、本システムは、費用対効果の優れた方法で多様な基板上に印刷可能である。
本発明の第2態様によれば、本発明は、本発明の第1態様における前記基板マーキングシステムを使用する基板マーキング方法であって、前記レーザダイオードから放射された前記レーザビームで前記基板上の所望のポイントを位置調整するように前記ガルバノメーターを制御するステップと、前記基板または添加物が前記ポイントで変色するように前記レーザビームで前記所望のポイントを照射するステップと、を有する。
発明の説明
本発明の第1発明における基板マーキングシステムは、実質的にどんな材料にでも適し得るが、例えば、金属、合金、ガラス、セラミック、プラスチック、繊維、木材、紙、カード、樹脂、ゴム、発砲体、混合物、石、および食材(edible)などの多様な基板材料と共に使用してもよい。レーザによる照射時に基板自体が変色するように構成してもよいし、レーザによる照射時に変色しやすい添加物が基板に備えられてもよい。変色性添加物(colour change additive)が備えられた場合、変色性添加物は、合成物(composition)またはマトリクス(matrix)の状態であることが好ましく、これは、基板上の被覆として液体形状で適用することができる。添加物を含む合成物は、オーバーヘッドプロジェクタ等とともに使用するトランスペアレンシー(transparencies)への印刷に密かに適用または使用し得るように、透明または少なくとも半透明で、かつ無色であることが非常に好ましい。上記添加物は、例えば基板が錠剤または果物の場合には、合成物が摂取されてもよいように非毒性であることがさらに望ましい。また、例えば基板がプラスチック材からなり、添加物が基板の製造中に基板に組み込まれ得ることを基板が許容する場合には、添加物が基板自体の中に備えられてもよい。また、基板が繊維材からなる場合、添加物または添加物を含む合成物は、液体形状で繊維に適用され、その中に吸収されてもよい。また、さらに他の例では、添加物が基板の2層の間に適用され、添加物または添加物を含む合成物をこれら2層で挟むようにしてもよい。基板上または基板中に添加物を組み込むための他の様々な例は、以下の記載から明らかであり、当業者によって容易に理解されるものである。
本発明のシステムで使用に適した添加物を開発する際に、発明者は低フルエンスレベル下で変色しやすい添加物を発見した。フルエンス(fluence)という用語は、基板の単位領域に対してレーザビームにより印加されたエネルギー総量を意味する。低フルエンスレベルで変色しやすい、一または複数の添加物を提供するためには、本システムのエネルギー効率および本システムが動作し得るスピードを高めることが望ましいのは明白である。上記のように、現在のレーザ印刷技術により必要とされる高フルエンスレベルのために、これまでCO2レーザが使用され、ある程度はYAGレーザが使用されている。従来の印刷技術は、焼成(burning)またはアブレーション(ablation)によるマーキングを実現するために、約10秒間に1J/cm2程度のフルエンスレベルを必要としている。
低フルエンスレベル下で変色しやすい添加物を提供することにより、発明者は、従来のCO2またはYAGレーザに比べて非常に効果的なレーザダイオードをレーザ光の光源として活用している。500mJ/cm2よりも低いフルエンスレベルがレーザビームによって供給されることが好ましい。これまでレーザダイオードは、主にパワーが小さくビームの質が良くないことを理由に、基板マーキングシステムに適したレーザ光源とみなされてはいなかった。しかし、レーザダイオードは従来のCO2レーザに対して多くの利点を有する。従来のCO2レーザは、レーザ出力が一連の強力なエネルギーパルスで構成されるように、パルスが印加されてもよい。これらのエネルギーパルスは、一般的には約4.5kHzの周波数で励起(pumped)されるが、得られるのは20乃至30kHz帯域の周波数である。各パルスのリードイン時間とリードアウト時間が原因で、従来のCO2レーザが励起可能な周波数は、パルスがオーバーラップすることを妨げることにより、所謂、CW出力(continuous wave output)の形成を妨げるように制限される。レーザダイオードの明らかな利点は、レーザダイオード中の半導体が実質的に瞬時に切り替えられ、これによりレーザダイオードがMHz領域においても十分動作可能であるという点にある。上記システムを高速化するためには、基板マーキングシステムにおける高速スイッチングが特に望ましい。さらに、連続パルス間で重複がないことから、各レーザパルスの電位制御(potential control)を大きく改善する。現在、一般的なレーザダイオードは、約100ナノ秒でスイッチングが可能であるが、これは将来的に短縮される傾向にある。
レーザダイオードのさらなる利点は、それらが比較的に安価であり、そのコストが前年比で約20%減少している点にある。赤外線および近赤外線レーザダイオードは、低コストであることから電気通信産業で容易に活用されている。現在、UVスペクトルで動作するレーザダイオードは極めて高価であるが、それらのコストもやはり前年比で低下している。一般に、レーザ光の波長が低くなる程、生成可能なスポットサイズは小さくなるので、UVダイオードは、本発明によって可能となる極めて高解像度な種類の印刷に最適である。
しかし、レーザダイオードで問題となり得るのは、比較的ビーム発散角(beam divergence)が大きく、ビームの質が低いという点である。CO2レーザと比較した場合、こうした短所は低解像度印刷にとって必ずしも重大な問題ではない。しかし、本発明で想定された極めて高解像度な印刷では、基板マーキングシステムがさらにレーザビーム形成手段を備えることが好ましい。好適な一例では、レーザビームは、レーザビームを均一化するためのレーザダイオードに光ファイバケーブルを接続することによって形成される。さらに、コリメートレンズ(collimating lenses)および/または対物レンズがレーザダイオードと基板との間に備えられることが好ましい。これらは、任意の適切な数で備えられてもよく、レーザビームを基板と位置合わせするためのガルバノメーターの前後何れかに配置してもよい。印刷解像度は、基板にレーザ光を照射するレーザビームの焦点距離(focal length)、および、そのためにスポットサイズ(spot size)を変更するために移動され得る可動対物レンズ(movable objective lens)を提供することにより変更してもよい。適切な一例として、モータ駆動ズームレンズ(motorized zoom lens)が提供される。
ガルバノメーターは、X方向、Y方向のそれぞれで走査するための1対のミラーを備えても良いし、また、単一軸(即ち、XまたはY)で走査するために単一のミラー(シングルミラー)を備えても良い。デュアル型(即ち、2つのミラーを有する)ガルバノシステム(galvanometer system)の場合、レーザダイオードおよびデュアル型ガルバノシステムを有する基板マーキング装置は、マーキングされる基板と相対的に空間的に固定される。シングル型ガルバノシステム(即ち、1つのミラーを有する)の場合、レーザダイオードおよびガルバノメーターを有する基板マーキング装置と、基板とが、ガルバノミラーの走査軸に実質的に垂直な軸に沿って互いに相対的に移動される。これらのガルバノシステムの何れも本発明の基板マーキングシステムに適している。ガルバノメーターは、ベクトルモードまたはプログレッシブスキャンモード(vectoring or progressive scan mode)で動作する制御システムによって駆動してもよい。ベクトルモードでは、レーザビームはマーキングされる基板の領域のみを進行する。プログレッシブスキャンモードでは、レーザビームは連続ラインで基板をトラックし(track)、必要に応じて基板をマーキングする。上記のシングルミラー型ガルバノメーターの代わりに、より安価で高速な連続走査用の代替装置として、公知の種類の回転ポリゴン(rotating polygon)を使用してもよい。
本発明に係る基板マーキングシステムが基板面に対してレーザビームを走査するための走査モードで動作する場合、レーザダイオードには約25ナノ秒のパルスが印加されてもよい。約10乃至50ナノ秒のパルス幅は、本発明のシステムおよび方法において所望の変色性添加物との使用に適するように想定されているが、他のパルス幅も同様に、添加物、レーザダイオードの最大パワー出力、本発明の基板マーキングシステムの所望の動作速度、または所望の印刷解像度に応じて適するものであってもよい。また、レーザダイオードは、CW出力を有してもよく、そこから照射されるビームはゲート制御されてもよい。ローパワーレーザダイオード光源は、必然的により長いパルス幅を必要とする。
基板中に含まれる添加物または基板上の添加物は、被照射ポイントでのレーザビームのフルエンスレベルに応じて、レーザビームによる照射時に少なくとも選択可能な2色の内、1色に変色するように構成してもよい。フルエンスレベルは、ユニット領域毎に印加されるエネルギー総量の尺度(measure)であるので、所望のポイントにおける添加物の変色は、レーザビームのパワーと、照射される基板の領域と、この領域における当該パワーのレーザビームの滞留時間(dwell time)との関数となる。これにより、多くの異なる要因に係るレーザビームによる照射の結果として、所望のポイントで結果的に得られる添加物の色を選択することが可能となる。
一例では、マーキング動作を通じて基板上のレーザビームのスポットサイズが実質的に一定となるように、基板マーキングシステムを制御しても良い。さらに、レーザビームのスポットサイズと同等の領域を有する基板上の所望のポイントに対して向けられたレーザビームの滞留時間が、基板上の同様の所望のポイントのそれぞれに対して実質的に一定となるように、マーキング速度も実質的に一定になっている。この方法で、適切なレーザビームパワーレベル調整手段による滞留時間において、所望のポイントを照射するレーザビームのパワー出力を調整することで添加物を変色させてもよい。また、固定の滞留時間中に異なる数のパルスを制御してもよく、または、滞留時間における一定パワーのパルス幅を変色させるように制御してもよい。この動作モードは特にビットマップ画像化に適しており、これにより、基板上に形成される画像が、本発明のシステムにより基板上に生成されるマトリクス状のピクセルを有するビットマップ画像に変換される。この画像のピクセル解像度は、レーザビームの焦点スポットサイズの変化によって容易に変更し得る。これは、可動対物レンズを移動させることにより実行してもよい。レーザのハイパワーとローパワーとの切り替えは、添加物がパルス送信順に後続するピクセルのそれぞれに対して異なる色に変化するように、レーザの連続するパルス間で略瞬間的に実行してもよい。複数の隣接ピクセルが添加物の変色を必要としないことが望ましい場合、上記システムは、マーキング速度を改善するために、基板の一領域から他領域に飛ぶように構成してもよい。
本発明の他の好適な例では、レーザダイオードは、パルス間のオフ状態と、各パルスに対して予め設定されたパワーレベルの状態とのバイナリな方法で動作するように制御されてもよい。この制御をガルバノメーターに適用することにより、基板上の各所望のポイントで結果的に得られる所望の色を選択するように、このポイントにおける各パルスの滞留時間を制御してもよい。この動作モードでは、走査速度は基板上のグレースケールモノクロまたは多色画像の生成時において不均一となる。単一軸ガルバノメーターのみが備えられる場合、基板が装着される基板テーブルまたはコンベヤを駆動させるために、ステッパモータを活用してもよい。
さらに、本発明の他の好適な一例では、レーザビームのパワーレベルは、各ポイントで実行される添加物の所望の変色と、一定の走査速度に対するスポットサイズと、の両方に応じて調整してもよい。この方法で、高解像度印刷および低解像度印刷の両方は、単一の印刷動作中に基板の異なる領域で実行してもよい。
ガルバノメーターを制御するための制御手段と、レーザビームのフルエンスレベルを制御するための制御手段とは、単一の制御手段または複数の共同動作制御手段(co-operating control means)であってもよい。上記制御手段は、例えば、基板材料、添加物材料、基板中の添加物材料の濃度、フィードバック装置からのレーザパワー、レーザビームのスポットサイズを制御するための対物レンズの位置、基板上の所望画像の正確な再現を確実にするための基板上の各ポイントで実現される所望の色、等の変数を含む参照テーブルを使用するコンピュータ制御手段であることが好ましい。
本発明に係る上記の何れかの例では、レーザダイオードが光ファイバケーブルに接続される場合、レーザダイオードから最も離れたファイバケーブルの端部を、発生するレーザビームの焦点を合わせるためのレンズとして機能するように形成してもよい。
さらに、本発明の他の一例では、レーザダイオードは、プログレッシブスキャンフォーマットではなく、ベクトルフォーマットで基板上の所望のポイントと位置調整してもよい。この動作モードでは、変色する基板の所望のポイントのみがレーザビームで照射される。好ましくは、レーザビームは、基板上に単一色を印刷するために予め設定されたパワーレベルで、オフモードおよびオンモード間のバイナリな方法で切り替えられる。その後、オンモードでのレーザダイオードのパワーレベルは、基板上に第2色を印刷するための第2の所定パワーレベルに設定される。この順序は、照射下の基板および添加物の組み合わせから実現し得る選択可能な色数から、基板上にイメージ通りに印刷される階調(shades)および/または色の所望数を実現するために必要に応じて繰り返されてもよい。
添加物は、レーザビームによる熱エネルギーの印加時に変色する感熱性添加物(thermally sensitive additive)であることが好ましい。添加物は、電荷−非局在化化合物(charge-delocalising compound)と光酸(photoacid)を有してもよく、使用する場合、この光酸はレーザの照射時に酸を生成し、その結果、上記化合物と電荷移動錯体(charge transfer complex)を形成する。電荷が非局在化した化合物は、N、O、Sから選択されるヘテロ原子と、それに共役した芳香族基を有してもよい。電荷−非局在化化合物は、例えばカルバゾール(carbozole)等のアミンであってもよい。
また、添加物は、レーザ光の状態の光エネルギーの印加により変色しやすいものであってもよい。この種類の添加物を使用した場合、レーザエネルギーは熱変換されないが、その代わりに、量子化効果(quantisation effect)が、添加物を重合化(polymerising)して共役長(conjugation length)に応じて変色させることに関与していると考えられている。こうした添加物の一例がジアセチレンであり、これは、量子化効果を商業的に利用可能なレーザダイオードに対応する特定の波長に調整するための光酸または光塩基(photobase)とさらに結合してもよい。これが特に有利であるのは、添加物を比較的安価なレーザダイオードに調整可能な点にある。上記添加物の一例は、調整可能なUVレーザダイオードによる多色印刷に特に適している。
基板の限られた領域のみがイメージ通りにマーキングされる場合、ベクトルフォーマット画像化が有利であるが、画像が基板領域全体に生成される場合には、ビットマップ画像化が好適な動作モードである。これは、ビットマップ画像化が同様に高速で、さらに商業的に受け入れ可能であるからである。
添加物は、任意の適切な基板に適応され得る被覆合成物(coating composition)として、溶媒または水ベースのインクに直ちに形成することが好ましい。本発明の特に商業的に重要な一例は基板マーキングシステムであり、このシステムにおいては、基板は紙であり、添加物はその上に液体として被覆され、その後、この添加物を有する基板がデスクトッププリンタとして機能する基板マーキング装置によってマーキングされ得るように取り除かれる。こうした一例では、唯一の消耗品は基板マーキング装置および被覆紙に必要となる電力である。そして、印刷システムに液体インクまたはトナーを補充する必要はない。
図1は本発明のシステムの実施形態の一例に関するブロック図を示している。基板マーキングシステム1は、冷却装置3により冷却され得るレーザダイオード2を備えている。レーザダイオード2は、第1光学系4を介してレーザビームを均一化するための光ファイバ5に転送されるレーザ光のビームを出力する。上記ビームは、光ファイバ5から出て、一般的にはコリメートレンズ(collimating lens)および/または対物レンズを有し得るさらなる光学系6に入る。そして、レーザビームは、例えば図2に詳細に図示されたガルバノメータービーム偏向システム(galvanometer beam deflection system)7に入る。ガルバノメータービーム偏向システム7は、X方向ガルバノメーター8とY方向ガルバノメーター9とを備えている。X方向ガルバノメーター8およびY方向ガルバノメーター9は、レーザダイオード2、冷却装置3、および光学系4、5、6を備えるレーザ光源13から出るコヒーレントレーザビーム(coherent laser beam)12をガイドするためのミラー10および11をそれぞれ有する。コヒーレントビーム12がガルバノメータービーム偏向システム7に入る前、またはガルバノメータービーム偏向システム7から出た後、当該ビームを収束するための収束光学系6が備えられてもよい。前者は図2の実施形態に図示されており、ここで収束光学系6は、発生するコヒーレントレーザビーム12の収束、したがって、そのスポットサイズを変更するために移動可能な、例えば拡大レンズ(zoom lens)等の可動対物レンズで構成されている。
ガルバノメータービーム偏向システム7は、中央制御システム15からの入力を受け付けるスキャナ制御電子機器モジュール14によって制御される。中央制御システム15は、ヒューマンマシンインタフェイス(human machine interface)16からの入力を受け付ける。ここで、ヒューマンマシンインタフェイス16は、キーボード、パーソナルコンピュータ等であってもよく、例えば手動操作型のパルス発生器またはスイッチ等のプロダクトセンサ17からの信号であってもよく、また、外部の制御システムであってもよい。また、中央制御システム15は、基板19自体を移動させるための基板動作システム18からの入力を受け付けてもよい。図3に示されているように、基板動作システム18は、基板19を回転させるためのデバイス22の形態を採用してもよく、基板テーブルまたはコンベヤの動きをシングルミラー型ガルバノメーターの走査方向と垂直な方向に制御するための動作システムの形態を採用してもよい。電源ユニット20は、レーザダイオード2、制御システム15、およびガルバノメータービーム偏向システム7を制御するためのスキャナ制御電子機器モジュール14に電源を供給する。デュアル軸型ガルバノメータービーム偏向システム7を基板動作システム18と連動して使用してもよく、ガルバノメーターの一方または両方の軸における動きが基板動作システム18の動きを補完するために制御されるように構成されてもよい。
以下、図1および2のシステムの一例に関する動作を説明する。変色しやすい添加物を含む基板19が、固定支持構造、または、可動支持構造に備えられている。シングルミラーを有するガルバノシステム7がレーザビームを一方向(XまたはY)に走査するために備えられている場合、基板19はガルバノメーター7の走査方向と垂直な方向に基板19を交差させるための可動サポート上に備えられる。基板動作システム18は基板の動きを制御する。2つのガルバノミラーを備えるデュアルガルバノシステムが備えられる場合、図2に示されているように、基板19は適切な支持構造により空間的に固定されてもよい。あるいは、上述の通り、基板は基板動作システム18の制御下で移動してもよい。基板19は、基板マーキングシステム1への導入前に被覆されてもよく、そうでなければ、照射時に変色しやすい添加物が備えられても良い。また、基板自体が照射時に変色するように基板を具体的に設計してもよい。以下、本発明の基板マーキングシステム1との使用に適した添加物の一例を説明する。
基板19上にマーキングされる画像は、ヒューマンマシンインタフェイス16または外部制御システム17を介して入力される。この画像は制御システム15に入力するために画像信号に変換される。画像信号は、例えばシステムからのダウンロード等、任意の適切な手段による入力であってもよく、インターフェイス16が適切な一手段として備えられていることは、当業者には明白である。制御システム15は、レーザダイオード2と、ガルバノメータービーム偏向システム7を制御するためのスキャナ制御電子機器モジュール14への電源供給を制御するために画像信号を使用する。この方法では、レーザダイオード2は、基板19上の所望のポイントにコヒーレントレーザビームパルス12を向けるガルバノメータービーム偏向システム7に対して、光学系4、5、6を介してレーザビームのパルスを放出するように、制御システム15および電源ユニット20によって制御される。基板19上の所望のポイントにおける入射レーザビーム(incident laser beam)のフルエンスレベルに応じて、当該ポイントにおける添加物は、あるとすれば、照射前にそれぞれが添加物の色と異なる複数色または複数階調の一つに変色する。その後、基板19上の第2の所望のポイントにおいて、もう一つの変色を発生させるために、ガルバノメータービーム偏向システム7によって、さらなるレーザビームパルスがこの第2の所望のポイントに向けられる。なお、このレーザビームパルスは同一のパワーレベルであってもよいし異なるパワーレベルであってもよい。基板19上で所定のグレースケールモノクロ(grey scale monochrome)または多色画像を生成するために、こうしたプロセスをこの基板上の複数の所望のポイントに対して繰り返してもよい。連続パルスと基板上の複数の所望位置との関係は、システム1がプログレッシブスキャンまたはベクトル形式で動作するか否かに依存している。ベクトル形式の画像化において、レーザがベクトル開始時にオンの状態になり、ベクトル終了時にオフの状態になる、または、ラインが異なる階調または色にマーキングされるように変更するために、ベクトルを介してパワーレベルを潜在的に中程度に変更するように、「パルス」は比較的長いものであってもよい。
次に図3を参照すると、シングルガルバノミラー21を有するガルバノメータービーム変更システム7を備える他のビーム位置調整システム(beam alignment system)が図示されている。ガルバノミラー21は、マークされる基板19のX方向にコヒーレントレーザビームパルス12を向ける。基板19は、モータ22により駆動されるZ軸回りに回転可能である。基板19を回転させ、また、ガルバノミラー21を使用してビーム12を偏向させることにより、基板19の表面全体は、この表面上に画像を形成する要望通りに照射されうる。
図3に図示された他の実施形態として、ガルバノシステム7のシングルミラー21は、XまたはY方向のうち一方向のみに移動するように構成してもよく、例えばコンベヤまたは基板テーブルなどの基板支持構造を、ガルバノメーターの走査方向に垂直方向に走査させる方法で移動してもよい。
次に、本発明の基板マーキングシステム1の基板マーキング装置でマーキングする前の基板19に適用し得る被覆形成の一例を説明する。被覆形成は、10、12−ペンタコサジイン酸(10,12-pentacosadiynoic acid)、サイラキュア6974(Cyracure 6974)(光酸発生剤:photoacid generator)、エルバサイト2028(Elvacite 2028)(アクリル接着剤;acrylic binder)およびメチルエチルケトン(MEK)の溶液を含む。この混合物は、混合物を均一に被覆するためにワイヤバーコータ(wire bar coater)を使用して紙に塗布される。この被覆形成は、レーザ光の形態(in the form of laser light)の光エネルギーを用いる際に変色しやすい。400乃至500ナノメータ帯域で放出するUVレーザダイオード2は、上記の形成を行う本発明のシステム1での使用に適している。この被覆形成は透明で明るく(transparent and clear)、紙を被覆した場合、被覆していない紙の反射スペクトルと同様の反射スペクトルを提供する。被覆した紙の反射は、基板19上に画像を形成するためにレーザダイオード2で照射した後、実質的には変化しない。これが特に有利であるのは、多くのトナーベースまたはインクベースの印刷システムでは明白な光沢差(differential gloss)の問題が克服されるという点である。上述の被覆形成は、レーザダイオードに応じて、約50乃至250ミリメートル/秒までの一定のマーキング速度で動作する本発明の基板マーキング装置の使用に適しており、基板19上での各所望のポイントにおけるフルエンスは、レーザダイオード2の出力パワーの変更によって制御される。上記形成では、一般的には入射レーザビーム12のフルエンスレベルにおけるそれぞれの増加によって、無色から、青色、赤色、そして最終的には黄色に変色する。
次に、本発明の基板マーキングシステム1に使用される基板19への適用に適した被覆形成の第2例を説明する。この被覆形成は、メチルエチルケトン(MEK)における、N−エチルカルバゾール(N-ethylcarbazole)および光酸発生剤(photoacid generator)のサイラキュア6974(トロピレン炭酸塩(tropylene carbonate)におけるトリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(triarylsulphonium hexafluoroantimonate)の溶液)を含む。そして、この被覆形成は、Kバー(K-bar)を使用して紙などの基板19に適用され、結果的に透明無色の被覆になるように完全に乾燥させることができる。この被覆形成は、照射時にフルエンスレベルを増加させ、青色および緑色の各色を形成する。
上記形成は、本発明に係る基板マーキングシステム1の基板19上またはその中で使用される形成に関する制限のない例として提供される。さらに、出願人の同時係属中の国際特許出願第PCT/GB2005/004355およびPCT/GB2005/003222において一例が提供されている。そこから派生する内容および適切な変更例は、当業者によって容易に理解されるものである。
図1は、本発明の基板マーキングシステムの要素間の相互関係を図示するフローチャートである。 図2は、本発明のシステムに使用されるガルバノメーターの概略図である。 図3は、本発明のシステムに使用される他のガルバノメーターの概略図である。

Claims (21)

  1. 基板マーキング装置と、照射時に変色しやすい基板または変色しやすい添加物を含む基板と、を備える基板マーキングシステムであって、
    前記基板マーキング装置は、
    レーザ光のビームを放射するためのレーザダイオードと、
    前記レーザビームにより前記基板上の所望のポイントを位置調整するためのガルバノメーターであって、前記レーザビームが所望のポイントを照射し、これにより使用時に前記ポイントで前記添加物を変色させるガルバノメーターと、
    を備える、
    基板マーキングシステム。
  2. 前記ポイントを照射するレーザビームの出力レベルを調整するための手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記レーザビームを形成するための手段をさらに備える、請求項1または2に記載のシステム。
  4. 前記ビーム形成手段は、前記レーザビームを均一化するためのレーザに接続された光ファイバケーブルを有する、請求項3に記載のシステム。
  5. 前記ビーム形成手段はコリメートレンズを有する、請求項3または4に記載のシステム。
  6. 前記ビーム形成手段は対物レンズまたは拡大レンズを有する、請求項3乃至5の何れか一項に記載のシステム。
  7. 前記対物レンズは、前記レーザビームの焦点距離またはスポットサイズを変更するために移動可能である、請求項6に記載のシステム。
  8. 前記ガルバノメーターは、ベクトルモードで動作する制御システムによって駆動される、請求項1乃至7の何れか1項に記載のシステム。
  9. 前記ガルバノメーターは、プログレッシブスキャンモードで動作する制御システムによって駆動される、請求項1乃至7の何れか1項に記載のシステム。
  10. 前記ガルバノメーターは、シングル型またはデュアル型ガルバノミラーを備える、請求項1乃至9の何れか一項に記載のシステム。
  11. 前記レーザダイオードは、IRレーザ、VISレーザ、またはUVレーザである、請求項1乃至10の何れか一項に記載のシステム。
  12. 前記レーザダイオードは、略10nm乃至1mmの波長で動作する、請求項1乃至11の何れか一項に記載のシステム。
  13. 前記レーザダイオードは、略1Hz乃至1GHzの波長でパルスが印加されて動作する、請求項1乃至12の何れか一項に記載のシステム。
  14. 前記レーザはCW出力を有し、そこから出力されたレーザ光のビームはゲート制御される、請求項1乃至12の何れか一項にかかるシステム。
  15. 前記レーザビームは、使用時に500mJ/cm2より低いフルエンスレベルを供給する、請求項1乃至14の何れか一項に記載のシステム。
  16. 前記基板またはその中の添加物は感熱性であり、前記レーザビームによる熱エネルギーの印加時に変色する、請求項1乃至15の何れか一項に記載のシステム。
  17. 前記基板またはその中の添加物は、レーザ光の形態の光エネルギーを用いる際に変色しやすい、請求項1乃至16の何れか一項に記載のシステム。
  18. 前記添加物が供給される場合には、前記添加物は、照射時に少なくとも選択可能な2色のうち1色に変色しやすく、それぞれの選択可能な色は、照射以前の前記添加物に色がある場合には、使用時にマルチトーンカラー画像を前記基板上に生成可能となるように、照射以前の前記添加物の色とは異なる、請求項16または17に記載のシステム。
  19. 前記基板の材料は、金属、合金、ガラス、セラミック、プラスチック、繊維、木材、紙、カード、樹脂、ゴム、発泡体、混合物、石、食材から選択される、請求項1乃至18の何れか一項に記載のシステム。
  20. 請求項1乃至19の何れか一項に記載の前記基板マーキングシステムを使用する基板マーキング方法であって、
    a)前記レーザダイオードから放射された前記レーザビームで前記基板上の所望のポイントを位置調整するように前記ガルバノメーターを制御するステップと、
    b)前記ポイントで前記基板または添加物が変色するように前記レーザビームで前記所望のポイントを照射するステップと、を備える基板マーキング方法。
  21. 前記基板上において複数の所望のポイントがグレースケールモノクロまたはマルチトーンカラー画像を生成するために、前記ステップa)およびb)を繰り返すステップをさらに備える、請求項20に記載の方法。
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