JP2004010494A - 固形化粧料の製造方法及び固形化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】模様データに応じてレーザ光の照射をオン・オフして固形化粧料100に模様を形成すると共に、レーザ光の照射がオンの状態では、波形凸部にエネルギーが集約されて高いピークパワーが得られるバースト状のレーザ光を出力し、この高いピークパワーのバースト状のレーザ光により、照射される固形化粧料100を一気に昇華させてそのエネルギーにより周囲の固形化粧料を飛び散らせ、焦げを生じること無く模様を掘り込み形成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固形化粧料に模様を形成するための製造方法、この製造方法により製造された固形化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば口紅、ファンデーション等の固形化粧料に装飾的な凹凸模様を形成する技術として、例えば転写等による技術が知られているが、模様に応じて型が多数必要であり、細かい模様の形成が難しく、湾曲面に対する転写が難しい等の問題があることから、最近では、これらの問題を解決すべく、レーザにより模様を形成する技術が、例えば特開昭61−151108号公報、特開2000−247832号公報等に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らの実験によると、レーザにより固形化粧料に模様を形成すると、固形化粧料に焦げた模様が生じると共に焦げによる匂いが生じることが判明し、これでは市場に供し得ない。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、焦げの無い綺麗で鮮明な模様が得られる固形化粧料の製造方法、焦げの無い綺麗で鮮明な模様を有する固形化粧料を提供することを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
ここで、本発明者らは種々の実験を重ね鋭意検討した結果、CWレーザ(連続発振レーザ)によるレーザ光では、固形化粧料に焦げを生じるが、一定周期で連続するパルスレーザ光(バースト状のレーザ光)を光ファイバで増幅し出力するファイバレーザを用いると、このバースト状のレーザ光の波形凸部にエネルギーが集約されて高いピークパワーが得られ、この高いピークパワーのバースト状のレーザ光を固形化粧料に照射すれば、固形化粧料が一気に昇華しそのエネルギーにより周囲の固形化粧料が飛び散り、焦げを生じること無く綺麗な模様が掘り込まれて形成されることを見出した。また、このように高いピークパワーが得られる他のレーザとしては、例えばQスイッチをオン・オフすることでバースト状のレーザ光を出力するYAGレーザが考えられる。
【0006】
そこで、本発明による固形化粧料の製造方法は、模様データに応じてレーザ光の照射をオン・オフして固形化粧料に模様を形成すると共に、レーザ光の照射がオンの状態ではバースト状のレーザ光を出力することを特徴としている。
【0007】
このような固形化粧料の製造方法によれば、模様データに応じてレーザ光の照射がオン・オフされて固形化粧料に模様が形成され、レーザ光の照射がオンの状態にあっては、波形凸部にエネルギーが集約されて高いピークパワーが得られるバースト状のレーザ光が出力されるため、この高いピークパワーのバースト状のレーザ光により、照射される固形化粧料は一気に昇華しそのエネルギーにより周囲の固形化粧料が飛び散り、焦げが生じること無く模様が掘り込まれて形成される。
【0008】
ここで、一定周期で連続するパルスレーザ光を光ファイバで増幅しバースト状のレーザ光として出力するファイバレーザを用いて、模様を形成すれば、本発明者らにより実証されているように、固形化粧料に焦げを生じること無く模様が掘り込まれて形成されると共に、光ファイバを例えばボビンに多数回巻回することで光ファイバを延在方向に長尺とすること無く増幅に必要な光路長が確保される。
【0009】
また、光ファイバを希土類ドープ光ファイバとし、この希土類ドープ光ファイバを励起状態にしてパルスレーザ光を増幅するようにすると、本発明者らにより実証されているように、固形化粧料に焦げを生じること無く模様が掘り込まれて形成される。
【0010】
また、本発明による固形化粧料は、上記固形化粧料の製造方法の何れかにより製造されて成るため、焦げの無い綺麗で鮮明な模様を有する固形化粧料が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による固形化粧料の製造方法、この製造方法により製造された固形化粧料の好適な実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る固形化粧料の製造方法に用いられるファイバレーザを示す構成図、図2は、図1中の信号用半導体レーザ及び励起用半導体レーザの動作、レーザ出力、レーザ光の照射オン・オフを示す各図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態のファイバレーザ200は概略、レーザ光を発生するレーザ発生手段1と、このレーザ発生手段1の駆動を制御するレーザ発振制御手段60と、レーザ発生手段1からのレーザ光を固形化粧料100に対して縦横に走査する光走査機構40と、を本体ユニット80に収容して備えると共に、固形化粧料100に模様を形成すべく模様データ等の所定の情報をレーザ発振制御手段60に対して入力する入力手段70を備えている。
【0013】
ここで、固形化粧料100は、例えば、チーク、アイシャドウ、フェイスパウダー、パウダーファンデーション、口紅等であり、当該固形化粧料100は、化粧料に応じて容器150に収容若しくは装着等されて保持されている。また、ここで言う模様とは、凹凸模様、文字(平仮名、漢字、アルファベット等)、数字、柄、バーコード、ロゴマーク等のことである。
【0014】
レーザ発生手段1は、信号用レーザ光源としての信号用半導体レーザ10と、レーザ増幅器20と、を備える。この信号用半導体レーザ10は、ドライバ11を介してレーザ発振制御手段60により駆動され、赤外線レーザをパルス発振する。一方、レーザ増幅器20は、上記信号用半導体レーザ10からのレーザ光を増幅する機能を有する。
【0015】
このレーザ増幅器20には、希土類元素である例えばイットリビウム(Yb)を含むガラスファイバ(希土類ドープ光ファイバ)21、励起用レーザ光源に相当する第1励起用半導体レーザ22A及び第2励起用半導体レーザ22Bが備えられている。なお、希土類ドープ光ファイバ21は他との区別をするために図面中では斜線を付して示してある。
【0016】
希土類ドープ光ファイバ21は屈曲可能であり、ボビン(不図示)に多数回巻回することで所要長の光路が確保されており、ボビンに巻回した一方のリード部分にはレーザ光を他端側にのみ通過させる光アイソレータ24が設けられ、当該光ファイバ21の両端部には2つの光結合部25A,25Bが各々設けられている。
【0017】
アイソレータ24は、光ファイバの接合部分やレーザ照射面から反射するレーザ光が半導体レーザ10,22A,22Bや希土類ドープ光ファイバ21に逆流することによってこれらが損傷することを防止する機能を有する。
【0018】
一方の光結合部25Aは、接合手段21Xを介して接続した光ファイバ26に入射する半導体レーザ10からのレーザ光を希土類ドープ光ファイバ21の一端(前端)に入射させると共に、光ファイバ27Aに入射する第1励起用半導体レーザ22Aからのレーザ光を希土類ドープ光ファイバ21にその後端側に向けて合流させる機能を有する。
【0019】
他方の光結合部25Bは、光ファイバ27Bに入射する第2励起用半導体レーザ22Bからのレーザ光を希土類ドープ光ファイバ21内に前端側に向けて入射させる機能を有する。また、希土類ドープ光ファイバ21の後端の出射端面23には、接合手段21Yを介して光ファイバ27Cが接合されている。なお、ボビンに巻回した希土類ドープ光ファイバ21、光結合部25B、第2励起用半導体レーザ22B及び光ファイバ27Bは、直方体のケース(不図示)内に収容されると共に、そのケース内にシリコン樹脂を充填することで固定されている。
【0020】
第1及び第2の各励起用半導体レーザ22A,22Bは、各々ドライバ29A,29Bを介してレーザ発振制御手段60により制御され、ともに一定出力レベルで駆動される。これらの半導体レーザ22A,22Bの各発振波長は、希土類ドープ光ファイバ21の希土類元素を励起するに適した波長帯に設定されていることは勿論である。
【0021】
一方、希土類ドープ光ファイバ21の出射端面23に接続される光ファイバ27Cの出射端面外側には、出力されたレーザ光を平行光とするコリメータレンズ30が設けられると共に、コリメータレンズ30を通過したレーザ光を縦横に走査するX軸ガルバノミラー及びY軸ガルバノミラーを備えた周知の光走査機構40が設けられ、さらにそのレーザ光を固形化粧料100に集光する集光レンズ(fθレンズ)50が設けられている。
【0022】
また、ファイバレーザ200を構成する本体ユニット80内には、図示は省略するが、冷却装置や装置各部に動作電力を供給する電源回路等が設けられている。
【0023】
次に、このような構成を有するファイバレーザ200を用い固形化粧料100に模様を形成する場合について説明する。
【0024】
先ず、入力手段70により入力される模様データや設定値、模様形成のプログラム等の入力情報を受けて、レーザ発振制御手段60は、これらの入力情報に従って、レーザ出力を制御する制御信号をドライバ11,29A,29Bに与えると同時に、X軸及びY軸の各ガルバノミラー駆動用の制御信号を光走査機構40に与える。
【0025】
ここで、ファイバレーザ200の励起用スイッチ(不図示)をオン操作することで、励起用半導体レーザ22Aはドライバ29Aにより直流駆動され(図2(a)参照)、出射されるレーザ光は光結合部25Aを介して希土類ドープ光ファイバ21内に入射される。
【0026】
その結果、希土類ドープ光ファイバ21内が励起されてレーザ光が発生するが、その出力強度は固形化粧料100上に照射されても模様を形成するには不十分なレベルLC(図2(e)参照)となるように、半導体レーザ22Aは所定の低レベルに連続的に維持されている。
【0027】
従って、この状態では、希土類ドープ光ファイバ21は、所定の一定レベルで励起状態になっているが、これにより発生したレーザ光が固形化粧料100に照射されても模様は形成されない。
【0028】
模様形成動作が開始されると、レーザ発振制御手段60からの信号に基づき、信号用レーザ光源である信号用半導体レーザ10がパルス発振して、バースト状のレーザ光(一定周期で連続するパルスレーザ光)を出力する(図2(d)参照)。
【0029】
これと同時に、励起光源である第2励起用半導体レーザ22Bが所定レベルで連続発振する(図2(b)参照)。この第2励起用半導体レーザ22Bの連続発振は、励起用レーザ光源の出力が増大したことを意味する(図2(c)参照)。この第2励起用半導体レーザ22Bからのレーザ光は光結合部25Bを介して希土類ドープ光ファイバ21内に入射されてこれを高励起状態とする。
【0030】
そして、半導体レーザ10からのバースト状のレーザ光が、光ファイバ26及び光結合部25Aを通過して高励起状態にある希土類ドープ光ファイバ21に入射して通過し、この時、バースト状のレーザ光が増幅されて出射端面23から出射する。
【0031】
ここで、励起用半導体レーザ22A,22Bは、希土類元素を励起するのに適した波長帯のレーザ光を出射するものが選択されており、信号用半導体レーザ10には、励起された希土類元素がエネルギーを失って発光する時の波長帯の光を有するものが使用されているから、誘導放出による発光が促進され、バースト状のレーザ光が効率良く増幅される。
【0032】
この時、バースト状のレーザ光の出力レベルは、図2(e)に示すように、固形化粧料100上に照射されて模様を形成するのが可能なレベルLBを十分に越え、模様を形成するのに十分な出力レベルLAとなる。
【0033】
そして、希土類ドープ光ファイバ21で増幅され光ファイバ27を通過してレーザ発生手段1から出射されたバースト状のレーザ光は、コリメータレンズ30により平行光に絞られ、この平行光は、レーザ発振制御手段60からの制御信号により所望の模様を形成するように駆動される光走査機構40によって、所定の方向に反射されて固形化粧料100に向かう。
【0034】
光走査機構40は、X軸ガルバノミラーにより一つの方向に走査し、Y軸ガルバノミラーにより、X軸ガルバノミラーが走査する方向と直交する方向に走査することで、全ての2次元方向に走査が可能である。
【0035】
そして、この光走査機構40で反射された平行光は、集光レンズ50により平行光からスポットに絞り込まれ、このバースト状のスポットレーザ光が、固形化粧料100表面上を照射しながら走査する。
【0036】
この時、バースト状のレーザ光は、レーザ発振制御手段60による模様データに応じた制御に従って、その固形化粧料100に対する照射がオン・オフされて所望の模様を形成する。
【0037】
具体的には、例えば、“十”という模様(文字)を形成する場合には、図2(f)に示すように、照射オフの状態(符号f1参照)から、バースト状のレーザ光による照射をオンにして(符号f2参照)、“十”という模様の縦又は横の何れか一方の線分を走査しながら形成し、次いで、バースト状のレーザ光による照射をオフにして(符号f3参照)、走査先を“十”という模様の縦又は横の他方の線分端に移動し、次いで、バースト状のレーザ光による照射をオンにして(符号f4参照)、“十”という模様の縦又は横の他方の線分を走査しながら形成し、照射オフの状態(符号f5参照)とする。
【0038】
この模様形成の際にあっては、バースト状のレーザ光により、波形凸部にエネルギーが集約されて高いピークパワーが得られるため、この高いピークパワーのバースト状のレーザ光によって照射される固形化粧料100は、一気に昇華しそのエネルギーにより周囲の固形化粧料が飛び散り、焦げが生じること無く模様が掘り込まれて形成される。
【0039】
ここで、CWレーザ(連続発振レーザ)を用い、単位時間及び単位面積当たりのレーザエネルギーを、上記バースト状のレーザ光と同じにすると、ピークパワーが低くなり、そのようなレーザ光が照射された固形化粧料100は一気に昇華・飛散せずに焦げが生じると共に焦げによる匂いが生じることになる。また、CWレーザを用い、上記バースト状のレーザ光と同じピークパワーにすると、単位時間及び単位面積当たりのレーザエネルギーが上記バースト状のレーザ光に比して非常に高くなり、黒焦げの状態になると共に焦げによる匂いが一層生じることになる。
【0040】
このように、本実施形態においては、バースト状のレーザ光を固形化粧料100に照射することで、当該固形化粧料100に焦げの無い綺麗で鮮明な模様が形成される。また、固形化粧料100には焦げが生じていないから、当然のことながら焦げの匂いの問題は無い。
【0041】
また、本実施形態においては、レーザ増幅器20に光ファイバ(希土類ドープ光ファイバ)21を用い、この光ファイバ21がボビンに多数回巻回されることで当該光ファイバ21を延在方向に長尺とすること無く増幅に必要な光路長が確保されているため、装置の小型化が図られている。このため、固形化粧料100のように小物製品の生産ラインに最適とされている。
【0042】
また、光ファイバとして希土類ドープ光ファイバ21を用いているため、後述する実施例で実証されているように、固形化粧料100に模様が好適に形成される。
【0043】
また、模様形成動作を行わない時は、第1励起用半導体レーザ22Aを模様形成を行うのに不十分な低レベルで発振させて希土類ドープ光ファイバ21を均一な予備励起状態とし、模様形成を行う際には、第2励起用半導体レーザ22Bも併せて発振させることで希土類ドープ光ファイバ21を短時間で均一な高励起状態としているため、均一な高励起状態にある希土類ドープ光ファイバ21内を信号用半導体レーザ10からのパルスレーザ光が通過し、増幅されたレーザ光の出力をそのスポットの中心から同心円に均一な出力分布とすることが可能であり、その結果、固形化粧料100に模様を形成した時に、レーザ光のスポットが外側から中央へ同心円を描くような綺麗な彫り口となって模様形成の品質が一層向上されている。
【0044】
なお、本実施形態にあっては、入力手段70は、本体ユニット80に付設されていても、本体ユニット80に接続/離脱可能とされていても良い。また、コリメータレンズ30,光走査機構40及び集光レンズ50等は、本体ユニット80とは独立のヘッドユニットに収容されていても良い。この場合、本体ユニット80と独立のヘッドユニットとを光ファイバ伝送路で接続すると、光伝幡時のエネルギー損失が無く好適である。また、希土類ドープ光ファイバ21は、シングルモード光ファイバとマルチモード光ファイバとを連ねて成る構成とすることも可能である。
【0045】
また、本実施形態にあっては、固形化粧料100に焦げの無い綺麗で鮮明な模様を形成するのに好ましいとして、希土類ドープ光ファイ21を用いているが、反転分布媒体からの誘導放出を用いて増幅する他の光ファイバでも良く、また、光増幅の原理による分類で他のものとして、ラマンレーザ、ブルリアンレーザ等の非線型光学効果を利用したファイバレーザに対しても適用可能であり、さらに、形状による分類では、MOPA方式、リングレーザ、ファブリペローレーザ等のファイバレーザに対して適用可能である。
【0046】
次に、他の実施形態として、YAGレーザに対する適用を述べる。
【0047】
このYAGレーザは、レーザ媒質となるYAG結晶の両端に全反射ミラーと部分透過ミラーを設けると共に、部分透過ミラーとYAG結晶との間にQスイッチを配置し、YAG結晶の周りに例えばクリプトンランプ等の励起用光源を設けて成る。
【0048】
そして、本実施形態のYAGレーザでは、Qスイッチをオフし光遮断状態とした上で励起用光源によってYAG結晶を励起して励起エネルギーを蓄積した状態としてから、Qスイッチをオンし光透過状態として、YAG結晶内で発生したレーザ光を全反射ミラーと部分透過ミラーとの間で往復させてYAG結晶内を通過させるうちに蓄積エネルギーによって増幅させて部分反射ミラーを通して外部に出射させると共に、Qスイッチのオン・オフを一定周期で繰り返すことで、バースト状のレーザ光を出力させ、このバースト状のレーザ光の照射を模様データに応じて図2(f)に示すようにオン・オフしながらレーザ走査機構によって固形化粧料を走査する。
【0049】
このようにYAGレーザを用いる本実施形態にあっても、Qスイッチをオン・オフすることでバースト状のレーザ光が生じ高いピークパワーが得られるため、レーザパワーを前述したファイバレーザと同じ若しくは近くに設定することで、固形化粧料に焦げを生じること無く綺麗な模様を形成し得る。なお、YAGレーザのレーザパワーをファイバレーザ200に比して高く設定し過ぎると、固形化粧料100に多少の焦げを生じる虞がある。
【0050】
因みに、上記実施形態のファイバレーザ200では、模様形成を行わない時は光ファイバ21を低レベルで均一な予備励起状態とし、模様形成を行う際には光ファイバ21を短時間で均一な高励起状態として、高品質の模様が得られるようにしているが、YAGレーザの場合には、Qスイッチ方式において発生するQスイッチ開放当初のパルス出力のみが異常に大きくなり、従来に比すると模様の品質は向上されるが、ファイバレーザ200に比すると模様の品質は多少劣ることになる。また、YAGレーザは、ファイバレーザ200に比して、レーザ媒質の両端部にミラーやQスイッチ等の光学部品が必要で装置が大きくなると共に、Qスイッチやミラー等の光学系の厳密な調整作業が必要で製造コストが高くなる。
【0051】
以下、チーク、アイシャドウ、フェイスパウダー、パウダーファンデーション、口紅に対して、ファイバレーザにより模様を形成した実施例を具体的に述べる。
【0052】
(実施例1)チーク
以下の表1に基本原料を示す。配合量は重量%である。
【0053】
【表1】
【0054】
(1)〜(8)の各粉末を混合した粉末部に、(9)〜(11)の油分を添加した後、ミキサで十分撹拌した。次いで、この混合物100重量部を、溶剤としての軽質イソパラフィン50重量部と混練してスラリー状物とした。このスラリー状物を、無機顔料、有機顔料の色を変えることにより複数色用意して、これらを充填機にて容器に充填し、濾紙を介して圧縮成型後、乾燥して多色固形化粧料としてのチークを得た。そして、このチークに対して、以下の表2に示す希土類ドープファイバレーザを用い上記実施形態と同様の態様でバースト状のレーザ光を照射し、焦げの無い綺麗な模様が形成されたチークを得た。
【0055】
【表2】
【0056】
(実施例2)アイシャドウ
以下の表3に基本原料を示す。配合量は重量%である。
【0057】
【表3】
【0058】
(1)〜(8)の各粉末を混合した粉末部に、(9)〜(12)の油分を添加した後、ミキサで十分撹拌した。次いで、この混合物100重量部を、溶剤としての軽質イソパラフィン50重量部と混練してスラリー状物とした。このスラリー状物を、無機顔料、有機顔料の色を変えることにより複数色用意して、これらを充填機にて容器に充填し、濾紙を介して圧縮成型後、乾燥して多色固形化粧料としてのアイシャドウを得た。そして、このアイシャドウに対して、上記表2に示す希土類ドープファイバレーザを用い上記実施形態と同様の態様でバースト状のレーザ光を照射し、焦げの無い綺麗な模様が形成されたアイシャドウを得た。
【0059】
(実施例3)フェイスパウダー
以下の表4に基本原料を示す。配合量は重量%である。
【0060】
【表4】
【0061】
(1)〜(9)の各粉末を混合した粉末部に、(10)〜(13)の油分を添加した後、ミキサで十分撹拌した。次いで、この混合物100重量部を、溶剤としての軽質イソパラフィン50重量部と混練してスラリー状物とした。このスラリー状物を、無機顔料、有機顔料の色を変えることにより複数色用意して、これらを充填機にて容器に充填し、濾紙を介して圧縮成型後、乾燥して多色固形化粧料としてのフェイスパウダーを得た。そして、このフェイスパウダーに対して、上記表2に示す希土類ドープファイバレーザを用い上記実施形態と同様の態様でバースト状のレーザ光を照射し、焦げの無い綺麗な模様が形成されたフェイスパウダーを得た。
【0062】
(実施例4)パウダーファンデーション
以下の表5に基本原料を示す。配合量は重量%である。
【0063】
【表5】
【0064】
(1)〜(9)の各粉末を混合した粉末部に、(10)〜(14)の油分を添加した後、ミキサで十分撹拌した。次いで、この混合物を篩を通して容器に取り、プレス機で加圧成型して固形化粧料としてのパウダーファンデーションを得た。そして、このパウダーファンデーションに対して、上記表2に示す希土類ドープファイバレーザを用い上記実施形態と同様の態様でバースト状のレーザ光を照射し、焦げの無い綺麗な模様が形成されたパウダーファンデーションを得た。
【0065】
(実施例5)スティック型口紅
以下の表6に基本原料を示す。配合量は重量%である。
【0066】
【表6】
【0067】
(1)〜(9)の各油分を溶解混合した後、(10)〜(14)の粉末を添加し混合撹拌して口紅組成物を得た。次いで、この口紅組成物を溶解したものを金型に流し込みこれを冷却し固化してスティック型とし、容器に装着して固形化粧料としてのスティック型口紅を得た。そして、このスティック型口紅に対して、上記表2に示す希土類ドープファイバレーザを用い上記実施形態と同様の態様でバースト状のレーザ光を照射し、焦げの無い綺麗な模様が形成されたスティック型口紅を得た。
【0068】
(実施例6)容器充填型口紅
以下の表7に基本原料を示す。配合量は重量%である。
【0069】
【表7】
【0070】
(1)〜(8)の各油分を溶解混合した後、(10)〜(13)の粉末を添加し混合撹拌して口紅組成物を得た。次いで、この口紅組成物を90°Cで溶解したものを容器に流し込みこれを室温にて冷却し固化して、固形化粧料としての容器充填型口紅を得た。そして、この容器充填型口紅に対して、上記表2に示す希土類ドープファイバレーザを用い上記実施形態と同様の態様でバースト状のレーザ光を照射し、焦げの無い綺麗な模様が形成された容器充填型口紅を得た。
【0071】
(実施例7)容器充填型口紅(グロス)
以下の表8に基本原料を示す。配合量は重量%である。
【0072】
【表8】
【0073】
(1)〜(3)を溶解混合した後、(4)〜(9)の油分と粉末を添加し混合撹拌して口紅組成物を得た。次いで、この口紅組成物を90°Cで溶解したものを容器に流し込みこれを室温にて冷却し固化して、固形化粧料としての容器充填型口紅(グロス)を得た。そして、この容器充填型口紅に対して、上記表2に示す希土類ドープファイバレーザを用い上記実施形態と同様の態様でバースト状のレーザ光を照射し、焦げの無い綺麗な模様が形成された容器充填型口紅を得た。
【0074】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、模様データに応じてレーザ光の照射をオン・オフして固形化粧料に模様を形成すると共に、レーザ光の照射がオンの状態では、波形凸部にエネルギーが集約されて高いピークパワーが得られるバースト状のレーザ光を出力するため、この高いピークパワーのバースト状のレーザ光により、照射される固形化粧料が一気に昇華しそのエネルギーにより周囲の固形化粧料が飛び散り、焦げを生じること無く模様が掘り込まれて形成される。その結果、焦げの無い綺麗で鮮明な模様を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る固形化粧料の製造方法に用いられるファイバレーザを示す構成図である。
【図2】図1中の信号用半導体レーザ及び励起用半導体レーザの動作、レーザ出力、レーザ光の照射オン・オフを示す各図である。
【符号の説明】
1…レーザ発生手段、10…信号用半導体レーザ、20…レーザ増幅器、21…希土類ドープ光ファイバ(光ファイバ)、22A,22B…励起用半導体レーザ、30…コリメータレンズ、40…光走査機構、50…集光レンズ、60…レーザ発振制御手段、70…入力手段、80…本体ユニット、100…固形化粧料、150…容器、200…ファイバレーザ。
Claims (4)
- 模様データに応じてレーザ光の照射をオン・オフして固形化粧料に模様を形成すると共に、
前記レーザ光の照射がオンの状態ではバースト状のレーザ光を出力することを特徴とする固形化粧料の製造方法。 - 一定周期で連続するパルスレーザ光を光ファイバで増幅し前記バースト状のレーザ光として出力するファイバレーザを用いて、前記模様を形成することを特徴とする請求項1記載の固形化粧料の製造方法。
- 前記光ファイバを希土類ドープ光ファイバとし、この希土類ドープ光ファイバを励起状態にして前記パルスレーザ光を増幅することを特徴とする請求項2記載の固形化粧料の製造方法。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の固形化粧料の製造方法により製造されて成る固形化粧料。
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