JP2004181463A - レーザ加工装置およびその加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】確実に多層構造の加工対象物を加工することができ、しかも、加工速度を極力向上できるようにする。
【解決手段】制御回路2は、ビームエキスパンダにより、第一の層T1に対応したレーザ光源5aによるレーザ光の照射範囲が第二の層T2に対応したレーザ光源5bによるレーザ光の照射範囲に包含されるように設定する。制御回路2は、レーザ光源5aにレーザ光をガルバノミラー9を介してある加工対象位置に照射させると、第一の層T1が加工される。制御回路2がガルバノミラー9を駆動制御し照射照準位置を移動させながら、制御回路2が加工対象物Tの第二の層T2で吸収するレーザ光源5bにレーザ光を照射させると、レーザ光源5bによるレーザ光は第一の層T1で吸収されず反射するため、第一の層T1が加工された加工範囲(照射範囲)のみに照射され、第二の層T2における第一の層T1の加工範囲のみを加工することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重なり合う層毎に光の吸収波長帯が異なるように積層された多層構造の加工対象物を加工するレーザ加工装置およびその加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のレーザ加工装置として、例えば、レーザ光の照射照準位置をガルバノミラー等により二次元的に変化させてレーザ光源に出射させることで、加工対象物に文字、記号、図形等をマーキングするレーザマーキング装置がある。このレーザマーキング装置は、例えば文字、図形、記号等の加工データを例えば単位線分に分割し各線分の始点データ,終点データを含む複数の座標データを生成し、これらの複数の座標データに基づいてガルバノミラーを制御することで、座標データに対応した加工対象物の加工対象位置にレーザ光源からのレーザ光を照射しマーキングするようになっている。
【0003】
ところで、加工する対象物(加工対象物)の材質は様々であり、これに伴い、レーザ加工装置も当該材質を加工するように改良を施す必要が生じている。このような加工対象物として、例えば複数種類の材質が積層され重なり合わされた多層構造を有するものがある。多層構造の加工対象物を加工する際に、光の吸収波長が層毎に異なる場合には、例えば、レーザ光源により出射される単一波長のレーザ光が二層目の材質で吸収される性質を持っていたとしても、図5(a)に示すように、例えば一層目がレーザ光を吸収しない材質である場合には両層を加工することができない。また例えば、切断等の用途に使用される場合には、特に全ての層を加工する必要があるが、加工対象物を構成する何れか一つの層がレーザ光を吸収しない波長帯を有する材質により形成されている場合には、切断等の加工ができないという問題が生じる(図5(b)参照)。
【0004】
そこで、このような問題を解決すべく、レーザ発生手段として二つの異なる波長帯のレーザ光を出射するレーザ光源を設け、二層構造の加工対象物を加工するようになっているものがある(例えば、特許文献1参照)。このような方法によれば、異なる材質からなる二層構造の加工対象物を加工することができる。
【0005】
【特許文献1】
特公昭47−33641号公報(第6頁,第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レーザ光を照射する照準となる照射照準位置(レーザスポット)を加工対象物に対してガルバノミラー等により二次元的に移動させる構成に、特許文献1に開示される構成を適用したとしても、二のレーザ光源からのレーザ光の照射照準位置がずれてしまい、例えば加工対象物の一層目にレーザ光を照射して加工した後に二層目を加工しなければならない場合には、二層全てを加工することができない。
【0007】
しかも、ある1つの加工対象位置で例えば一層目および二層目の加工を確実に施すためには、一層目を加工する加工時間と二層目を加工する加工時間とを合算して当該加工対象位置で加工するための待機時間を設ける必要がある(図6参照)。この場合、加工する際に大出力のパワーが要求される加工対象物を加工する際には、レーザ光源によりレーザ光を例えば連続光(CW)として照射すると層を加工することができないため、パルス光で照射するものが一般的であるが、この場合パルス光として出射する構成であったとしても待機時間が長くなる。
【0008】
このため、ある1つの加工対象位置で加工するのに必要とされる加工時間が長くなってしまい、結果的に複数の加工対象位置で確実に加工するための加工速度には上限がある。逆にいえば、この場合待機時間を考慮せず、加工速度がある上限を超えると、図7(a)及び図7(b)に概略的な加工結果を示すように、二層目の加工が完了しないままレーザ光源の照射照準位置が移動してしまい加工が不十分なものとなる(図7(b)はZ−Z断面図)。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、確実に多層構造の加工対象物を加工することができ、複数の加工対象位置で確実に加工するための加工速度を極力向上することができるレーザ加工装置およびその加工方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、レーザ光を出射するレーザ発生手段と、このレーザ発生手段からのレーザ光の加工対象物に対する照射照準位置を移動させる二次元走査手段と、加工対象物を加工するための加工データを構成する複数の座標データに基づいて二次元走査手段を制御する制御手段とを備え、複数の座標データに対応する複数の加工対象位置で加工対象物を加工するレーザ加工装置において、レーザ発生手段は、波長帯の異なるレーザ光を同一光軸上に出射する複数のレーザ光源を有してなり、制御手段は、複数のレーザ光源のうち一のレーザ光源による加工対象物上でのレーザ光の照射範囲が他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲に包含されるように設定された条件で、加工対象位置で一のレーザ光源に照射させ二次元走査手段により照射照準位置を加工対象位置から次の加工対象位置側に移動させながら一のレーザ光源の照射タイミングとは異なる照射タイミングで前記他のレーザ光源に所定の順序で間欠的に出射させるように構成されていることに特徴を有している。
【0011】
このような手段によれば、例えば重なり合う層毎に光の吸収波長が異なる材質の層を複数積層した多層構造の加工対象物を加工する場合、特に、二層構造の加工対象物を加工する場合には、レーザ発生手段が二つのレーザ光源を有しており、次のように作用する。まず制御手段は、加工対象位置で一のレーザ光源に照射させることにより、第一の層が加工される。制御手段は、第一の層に対応した一のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲が第二の層に対応した他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲に包含される条件で、加工対象物の第二の層で吸収する他のレーザ光源のレーザ光を一のレーザ光源のレーザ光と同一光軸で加工対象物に照射させると、当該加工対象物は重なり合う層毎に光の吸収波長が異なるため、第二の層に対応する他のレーザ光源によるレーザ光が第一の層で吸収されず、前記第一の層における加工範囲において他のレーザ光源により第二の層に照射させることができ、第二の層を加工することができる。これにより、二層構造の加工対象物を加工対象位置で確実に加工することができる。
【0012】
しかもこの場合、制御手段は、二次元走査手段により照射照準位置を第一の層の加工対象位置から次に加工する加工対象位置側へ移動させながら、他のレーザ光源のレーザ光を加工対象物に照射させるので、ある1つの加工対象位置で二層全てを加工完了するまで二次元走査手段を制御して照射照準位置を移動させる速度を必要以上に遅くすることがなくなり、照射照準位置を次の加工対象位置側に素早く移動させることができ、複数の加工対象位置で加工するための加工速度を極力向上することができる。
【0013】
また、請求項1記載の発明によれば、例えば三層構造の加工対象物を加工する場合に、例えばレーザ発生手段が三のレーザ光源からなっているときには次のように作用する。制御手段は、二層構造の場合と同様に加工対象物に二のレーザ光源に照射させることにより、ある加工対象位置で二層構造を加工することができる。そして、制御手段は、一のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲が第三の層に対応したレーザ光源のレーザ光の照射範囲に包含されるように設定された条件で、さらに第三の層に対応した他のレーザ光源に出射させるため、照射されたレーザ光は加工対象物の第一の層および第二の層では吸収されず加工された範囲に照射されることになり、第三の層でも加工することができる。
【0014】
また、制御手段は、照射照準位置を第二の層の加工範囲の加工対象位置から次に加工する加工対象位置側へさらに移動させながら、他のレーザ光源のレーザ光を加工対象物に照射させた場合には、照射照準位置を次の加工対象位置にさらに素早く移動させることができ、複数の加工対象位置で加工するための加工速度をさらに向上することができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、与えられた加工速度に基づいて二次元走査手段による走査速度を設定する走査速度設定手段と、走査速度設定手段により設定された走査速度で照射照準位置が加工対象位置から次の加工対象位置側へ移動されたときに一のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲が他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲に包含される大きさとなるように、少なくとも他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲を可変可能に設定できるスポット径可変手段を設けたことに特徴を有する。
【0016】
このような手段によれば、走査速度設定手段により二次元走査手段の走査速度を設定変更することができ、スポット径可変手段により他のレーザ光源の照射範囲を変化させることができるため、レーザ光源の加工対象物上での照射範囲を変化させることができ、様々な種類の加工対象物の様々な加工に対応することができ、汎用性を向上することができる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、走査速度設定手段が設定した走査速度に応じて決定される一のレーザ光源による連続した二つの加工対象位置の間隔,及び他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲を記憶する記憶手段を設け、制御手段は、走査速度設定手段により設定された走査速度に対応するレーザ光源による照射範囲を記憶手段から読出して設定することに特徴を有する。
【0018】
このような手段によれば、例えば作業者により加工速度が設定されると、走査速度設定手段が二次元走査手段による走査速度を設定し、制御手段が、記憶手段に記憶された二つの加工対象位置の間隔,及び他のレーザ光源の照射範囲を読出して設定するため、他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲を自動的に設定することができる。これにより、作業者が加工速度を設定するだけで適切なレーザ光源の照射範囲を設定することができる。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れかに記載の発明において、光の吸収波長帯が異なるように積層された二層構造の加工対象物を加工する場合には、二層構造のうち照射側に形成された第一の層を加工可能な波長を出射するように構成されると共に、他のレーザ光源は、二層構造のうち照射側とは逆側に形成された第二の層を加工可能な波長を出射するように構成され、制御手段が加工対象位置で先に照射させる一のレーザ光源のレーザ光の照射範囲は、後に照射させる他のレーザ光源のレーザ光の照射範囲よりも小さく設定されていることに特徴を有している。
【0020】
このような手段によれば、次のように作用する。制御手段が加工対象位置で一のレーザ光源に第一の層にレーザ光を照射させると、第一の層が加工される。その後、制御手段は、一のレーザ光源の照射範囲を包含し,且つ大きく設定されている他のレーザ光源に照射させるので、第一の層の加工範囲を含むように第二の層を加工することができ、加工対象位置における加工範囲が段差を生じることなく加工することができる。これにより、加工品質を向上することができる。
【0021】
このようにして、第一の層の加工範囲を含むように第二の層を加工することで加工品質を向上することができるが、複数の座標データに対応する複数の加工対象位置で加工深さを調整しながら所望の加工態様(例えば、加工深さを一定にする等)に加工する場合には、問題を生じる場合がある。この原因を以下説明する。従来より、加工対象物を加工するための加工データ(例えば「A」という文字データ)を分解することにより単位線分データを生成し、この単位線分データを一層構造の加工対象物を加工するための座標データとして用いている。ここで、単位線分データとは、例えば加工データが「A」という文字データによる場合、左下の始点から中央上の終点に向う直線状の線分を構成する複数の座標データ,中央上の始点から右下の終点に向う直線状の線分を構成する複数の座標データ,中央左側の始点から中央右側の終点に向う直線状の線分を構成する複数の座標データを示すものである。
【0022】
これらの座標データは、加工対象物上の第一の層における加工対象位置に対応していることが汎用性の点から望ましい。これは、加工対象物が一層構造である場合にも当該座標データを使用して複数の加工対象位置を加工することができるためである。しかしながら、この単位線分データのみで多層構造の加工対象物を加工すると、終点データにおいては一のレーザ光源により加工された層のみしか加工することができない(後述する図3の点線の円部分参照)。すなわち、制御手段が終点データに基づいて一のレーザ光源にレーザ光を照射させることにより加工動作を終了してしまうという事情がある。
【0023】
そこで、請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れかに記載の発明において、他のレーザ光源に所定周期でレーザ光を出射させるためのレーザ光制御信号を他のレーザ光源に出力する制御信号出力手段を備え、加工データを構成する複数の座標データは、加工データが分解された単位線分データを構成する始点データ及び終点データを含むデータであると共に、単位線分データは、一のレーザ光源により照射される複数の加工対象位置に対応してなるデータであって、単位線分データに加えて、仮想的終点データが、単位線分データの始点データの位置から終点データの位置を超えた延長方向で,且つ前記所定周期で他のレーザ光源により照射される距離間隔に基づく距離だけ前記終点データの位置から離間した位置のデータとしてデータ生成手段により生成された状態で、制御手段は、単位線分データの終点データに基づいて二次元走査手段を制御し一のレーザ光源にレーザ光を照射させた後には、データ生成手段により生成された仮想的終点データに基づいて二次元走査手段を制御し他のレーザ光源にレーザ光を出射させることに特徴を有している。
【0024】
このような手段によれば、制御手段が単位線分データの終点データに基づいて二次元走査手段を制御し一のレーザ光源にレーザ光を照射させた後には、仮想的終点データに基づいて二次元走査手段を制御し他のレーザ光源にレーザ光を照射させるため、終点データに対応する加工対象位置においても他のレーザ光源で加工することができ、加工データに基づいた忠実な加工を多層構造の加工対象物に施すことができる。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れかに記載のレーザ加工装置において、通常モードと特殊モードとを切替・選択するモード切替手段を設け、
制御手段は、切替手段からの切替信号に基づいて、
通常モード選択時には、加工対象物を加工するための加工データを構成する複数の座標データに基づいて二次元走査手段を制御すると共に、一のレーザ光源に所定の照射タイミングで照射させるようにして、
特殊モード選択時には、加工対象物を加工するための加工データを構成する複数の座標データに基づいて二次元走査手段を制御すると共に、複数のレーザ光源のうち一のレーザ光源による加工対象物上でのレーザ光の照射範囲が他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲に包含されるように設定された条件で、加工対象位置で一のレーザ光源に照射させ二次元走査手段により照射照準位置を加工対象位置から次の加工対象位置側へ移動させながら前記一のレーザ光源の照射タイミングとは異なる照射タイミングで他のレーザ光源を所定の順序で間欠的にレーザ光を出射させるように構成されていることを特徴としている。
【0026】
このような手段によれば、一のレーザ光源のみが所定の照射タイミングでレーザ光を出射する通常モードと一及び他のレーザ光源がレーザ光を出射する特殊モードとを設けることで切替手段によりモード切替可能になるため、作業者は切替手段により通常モードと特殊モードとを切替えることができ、汎用性を向上することができる。
【0027】
請求項7記載の発明によれば、マーキング用に使用されるようにしたので、文字,記号,図形等を描画する比較的微細な加工に対しても上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0028】
請求項8記載の発明は、加工対象物を加工するための加工データを構成する複数の座標データに基づいて二次元走査手段によりレーザ光の加工対象物に対する照射照準位置を移動させ複数の座標データに対応する複数の加工対象位置でレーザ光を照射し加工対象物を加工するレーザ加工装置の加工方法において、重なり合う層毎に光の吸収波長帯が異なるように積層された多層構造の加工対象物を加工する場合には、与えられた加工速度に基づいて二次元走査手段による走査速度を設定する過程と、設定された走査速度により照射照準位置を加工対象物上で移動させる条件下で複数のレーザ光源のうちの一のレーザ光源による加工対象物上でのレーザ光の照射範囲が前記一のレーザ光源以外の他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲に包含されるように設定する過程と、一のレーザ光源がレーザ光を加工対象位置に照射する過程と、二次元走査手段により加工対象位置から次の加工対象位置側に照射照準位置を移動させる過程と、他のレーザ光源が前記一のレーザ光源と同一光軸で加工対象物に所定の順序で間欠的に出射する過程とを備えたことに特徴を有する。
【0029】
尚、上記した発明において、例えば三層構造を有したものを加工対象物とする場合には、次のような場合にも適用できる。すなわち制御手段が、一のレーザ光源に第一の層に対応したレーザ光を照射させることで一層目および三層目で加工することができ、二層目では他のレーザ光源で加工用の波長帯のレーザ光を照射させることが必要となる場合である。すなわち、二のレーザ光源により三層全ての層を加工することができる場合である。この場合、二のレーザ光源を有することで三層構造を全て加工することができるが、本発明はこの場合をも含まれることを意味している。四層以上の複数積層された多層構造を有する加工対象物を対象とする場合でも略同様に作用する。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のレーザ加工装置をレーザマーキング装置に適用した一実施形態について、図1ないし図3を参照しながら説明する。
レーザマーキング装置1の電気的構成を示す図1において、レーザマーキング装置1は、メモリ(記憶手段)2aに記憶された制御用ソフトウェアに基づいて全体構成を制御する制御回路2を主体としてなっている。制御回路2は、制御手段,走査速度設定手段,制御信号出力手段として機能するものである。
【0031】
制御回路2は、入力手段としてのコンソール(モード切替手段)3を、CPU4を介して接続している。コンソール3は、例えば複数のコントロールキースイッチからなるもので、作業者が加工対象物Tに加工するための文字,記号,図形等の加工対象や,加工速度等の各種データを入力するために設けられている。CPU4は、これらの各種データが与えられると、加工対象を示す加工データに基づいて複数の座標データを生成しメモリ2aに記憶させ、制御回路2がこれらの座標データに基づいて加工対象物Tを加工動作するようになっているが具体的には後述する。また、コンソール3により作業者が各種モードを切替・選択可能になっている。このモードは、通常モードおよび特殊モード等がある。通常モードは、例えば一層構造の加工対象物を加工するためのモードであり、特殊モードは、二層(多層)構造の加工対象物Tを加工するためのモードである。
【0032】
ここで加工対象物Tについて説明する。加工対象物Tは、例えばアルミシートやガラスが積層されることにより二層構造(多層構造)になっているものを対象としており、積層された層毎に光の吸収波長が異なるように形成されている。例えば、この加工対象物Tの第一の層(一層目)T1がアルミシートで形成されており、第二の層(二層目)T2がガラスで形成されているとして以下説明する。尚、第一の層T1および第二の層T2が逆に形成されていても良い。また、本実施形態における一層目はレーザ光の照射側に形成された層であり、二層目はその逆側に形成された層である。
【0033】
制御回路2には、二(複数)のレーザ光源5a及び5bが接続されている。一(一方)のレーザ光源5aは、加工対象物Tのアルミシートを加工するための短波長帯の加工用のレーザ光を出射するように構成されており、他(他方)のレーザ光源5bは、加工対象物Tのガラスを加工するための長波長帯の加工用のレーザ光を出射するように構成されている。このとき、レーザ光源5bが出射するレーザ光は、第一の層T1の表面で反射するレーザ光である。複数のレーザ光源5a及び5bは、それぞれ、加工対象物Tを構成する層の材料に対応して加工用の波長が設定されたレーザ光源であり、例えば液体レーザ,固体レーザもしくは半導体レーザからなるものである。これらのレーザ光源5a及び5bによりレーザ発生手段5が構成されている。
【0034】
制御回路2は、レーザ光源5aに例えばパルス状のレーザ光(以下、パルス光と称する)を所定周期で平行光として照射させるためのレーザ光制御信号を出力すると共に、レーザ光源5bに所定周期でパルス光を照射させるためのレーザ光制御信号を出力するように構成されている。そして、レーザ光源5a及び5bは、制御回路2から入力されたレーザ光制御信号に基づいてパルス光を照射するようになっている。
【0035】
制御回路2には、D/A変換手段としてのD/A変換器6が接続されている。制御回路2は、メモリ2aに記憶された座標データのX座標及びY座標に基づく制御データをD/A変換器6に出力するようになっている。この制御データは、ガルバノミラー9を駆動制御するための駆動制御信号を示すものである。D/A変換器6は、制御データをD/A変換するようになっており、D/A変換されたときに生成される座標信号を接近状態検出器7に座標基準信号として出力するようになっている。
【0036】
また、D/A変換器6は、サーボ回路8に位置操作信号を出力するようになっている。この位置操作信号は、ガルバノミラー9を駆動するための信号でありレーザ光の照射照準位置を加工対象物T上の所望の位置に合わせるための信号である。サーボ回路8は、図示しない例えばACモータを接続して構成されるもので、位置操作信号に基づいて、ガルバノミラー9を回動するようになっている。ガルバノミラー9は、後述する収束レンズ12と共に所定の距離だけ離間して設置される加工対象物TのX軸方向及びY軸方向(二次元方向)にレーザ光を走査するために設けられており、加工対象物TのX軸方向及びY軸方向に照射照準位置を移動させるために設けられている。
【0037】
接近状態検出手段としての接近状態検出器7は、ガルバノミラー9の回動に応じてサーボ回路8により検出された位置検出信号と座標基準信号とを比較し、この差信号データを制御回路2にフィードバックするようになっている。
【0038】
制御回路2は、この差信号データと座標データとに基づいてD/A変換器6に制御データを再出力しサーボ回路8を介してガルバノミラー9を制御することで座標データに対応する所望の座標に照射照準位置を移動させるようになっている。図2は、レーザマーキング装置の光学的構成を示している。
レーザ光源5aから照射されるレーザ光は、ビームエキスパンダ(スポット径可変手段)10,合波手段としてのダイクロイックミラー11,ガルバノミラー9,収束レンズ12を介して加工対象物Tに照射されるようになっている。また、レーザ光源5bから照射されるレーザ光は、ビームエキスパンダ(スポット径可変手段)14,ダイクロイックミラー11,ガルバノミラー9,収束レンズ12を介して加工対象物Tに照射されるようになっている。ガルバノミラー9及び収束レンズ12により二次元走査手段15として機能するようになっている。
【0039】
それぞれの具体的構成を説明するに、ビームエキスパンダ10,14は、それぞれ、制御回路2からの光径調整信号に基づいてレーザ光源5a,5bから入射されるレーザ光の光径を変化させるように構成されており、入射されたレーザ光をダイクロイックミラー11側に出射するように構成されている。
【0040】
ダイクロイックミラー11は、ビームエキスパンダ10,14から入射されたレーザ光をガルバノミラー9側に同一光軸上に出射するように調整されている。すなわち、レーザ光源5aおよび5bは、ダイクロイックミラー11を介して同一光軸上にレーザ光を出射するようになっている。
【0041】
ガルバノミラー9は、上述したように制御回路2により駆動制御され、ダイクロイックミラー11から入射されるレーザ光を収束レンズ12に出射するようになっている。収束レンズ12は、fθレンズからなっておりガルバノミラー9からのレーザ光を収束するように構成されている。これらの各構成により加工対象物Tにレーザ光を照射するようになっている。すなわち、ビームエキスパンダ10,14により光径を変化させることができるので、加工対象物T上におけるレーザ光の照射範囲を変化させることができる。このように、レーザマーキング装置1は、制御回路2,レーザ光源5a及び5b,D/A変換器6,接近状態検出器7,サーボ回路8及びガルバノミラー9等により構成されている。
【0042】
上記構成の作用について図3をも参照して説明する。
二層構造の加工対象物Tを加工する場合には、作業者がコンソール3により特殊モードに設定する。すると、制御回路2は、CPU4を通じて切替信号を入力し特殊モードに切替える。作業者によりコンソール3に対して加工対象となる文字,記号,図形等が入力される。CPU4は、加工の前処理として、コンソール3に入力された加工対象が二次元的な点に分解された結果を加工データにする。すなわち、加工対象が「A」という文字であった場合には、その二次元的な点の集まりが加工データになる。
【0043】
そしてCPU4は加工データを分解することにより単位線分データを生成する。この単位線分データは、例えば加工データが「A」という文字の場合、左下の始点から中央上の終点に向う直線状の単位線分を構成する複数の座標データ,中央上の始点から右下の終点に向う直線状の単位線分を構成する複数の座標データ,中央左側の始点から中央右側の終点に向う直線状の単位線分を構成する複数の座標データを示すものである(図3(b)参照)。
【0044】
ここでは、マーキングする座標データの例として加工対象「A」の中央左側の始点から中央右側の終点に向かう直線状の単位線分を構成する単位線分データを用いて説明を行う。尚、発明の説明をわかりやすくするため、直観的に理解することができる値を座標データとして想定して説明する。ここでは、一次元的に照射照準位置を移動させる実施形態を示すが、二次元的に照射照準位置を移動させる場合でも略同様である。
【0045】
さらに、CPU4は複数の座標データを制御回路2のメモリ2aに記憶させる。これらの座標データは始点データ(1,10)及び終点データ(17,10)やその他中間点データを含んでなっており、 (1,10)(3,10)…(15,10)(17,10)であり、第一の層T1の加工対象位置S1〜S8に対応している座標データである(図3(a)参照)。この場合CPU4は、終点データ(17,10)と終点前のデータ(15,10)との座標位置(X座標,Y座標)の差を求め、その差の1/2を終点データ(17.10)に加えて仮想的終点データとして生成しメモリ2aに記憶させる。したがって、CPU4は、仮想的終点データ(18,10)をメモリ2aに記憶させる。尚、この仮想的終点データは、単位線分データの始点データ(1,10)の位置から終点データ(17,10)の位置を超えた延長方向で,且つレーザ光源5bに照射させた場合の座標データの距離間隔「2」を1/2した距離「1」だけ終点データ(17,10)の位置からX軸方向に離間した位置のデータを示している。
【0046】
さらに、作業者によりコンソール3を通じて加工速度のデータが設定される。CPU4は、設定された加工速度のデータをメモリ2aに記憶させる。制御回路2は、加工速度のデータに基づいてガルバノミラー9等による走査速度を設定すると、走査速度に応じて連続した二つの加工対象位置S1,S2間の間隔が決定される。このとき、制御回路2は、走査速度に応じてレーザ光の照射範囲を決定し、制御回路2はこの間隔及び照射範囲の径(直径もしくは半径等)をメモリ2aに記憶させる。
【0047】
制御回路2は、照射範囲を読出し、光径調整信号をビームエキスパンダ10及び14に出力することでビームエキスパンダ10及び14を制御し、加工対象物T上での各レーザ光源5a及び5bの平行光の照射範囲を調整する。
【0048】
まず制御回路2は、ガルバノミラー9を制御し始点データ(1,10)に対応する加工対象位置S1に照射照準位置を合わせる。制御回路2は、レーザ光制御信号をレーザ光源5aに出力することでレーザ光源5aにレーザ光を所定周期で照射開始させる。すると、加工対象位置S1を中心とした略円形状の範囲Y1(図3にてハッチングされた部分)が第一の層T1において加工される。そして、制御回路2が、設定された走査速度でガルバノミラー9により照射照準位置を次の加工対象位置S2側へ連続的な直線状に移動させる。
【0049】
この状態で、制御回路2は、レーザ光源5aに照射させるタイミングとは異なる照射タイミングでレーザ光源5bに照射させる。この場合、制御回路2は、レーザ光制御信号をレーザ光源5bに出力することによりレーザ光源5bに所定周期でレーザ光を照射させる。このタイミング及び照射範囲の具体例を図3(a)に表わしている。図面上ハッチングした部分はレーザ光源5aにより照射される照射範囲Y1,Y3〜を示しており、太点線で囲まれた部分はレーザ光源5bにより照射される加工対象物T上での照射範囲Y2,Y4〜を示している。
【0050】
この場合、あらかじめビームエキスパンダ10及び14により光径が調整され、照射範囲(スポット光)Y1が照射範囲(スポット光)Y2に内包(包含)されるような照射範囲の大きさで設定されているため、第一の層T1が加工された後、レーザ光源5bにより第二の層T2にレーザ光が照射されると、レーザ光源5bによるレーザ光が第一の層T1で吸収されず反射することになり、第一の層T1で加工された範囲(加工範囲)が全て第二の層T2で加工される。これにより、加工断面が綺麗になり加工品質が向上する。
【0051】
加工対象位置S2は、CPU4により設定された二つめの座標データ(3,10)に対応する位置を表わしている。このとき、図3に示すように、連続する二つの座標データ(1,10)(3,10)に対応した二つの加工対象位置S1,S2で照射されるレーザ光の照射範囲Y1,Y3が、レーザ光源5bの照射範囲Y2に包含される関係を満たす大きさになるように設定された状態で照射されることになる。また、上下に積層された二つの層T1,T2の吸収波長に対応して照射される二つのレーザ光源5a、5bのうちの一方のレーザ光源5aの照射範囲が他方のレーザ光源5bの照射範囲を包含する関係を満たすように設定されている。その後も、制御回路2は、レーザ光源5a及び5bにより所定周期で交互に照射させる。
【0052】
すると、複数の座標データに対応する複数の加工対象位置S1〜S7が二層共に加工される。その後、終点データ(17.10)に対応した加工対象位置S8において、レーザ光源5aが照射することにより第一の層T1が加工される。
【0053】
この場合、仮に、終点データ(17,10)に対応する加工対象位置S8を中心に再照射すると、図3に細点線で示すように、前回照射され二層加工された照射範囲Y13に再度照射されることになるため、重なった部分が再加工され(図3(c)に断面を示す)、特に加工深さを一定にする加工態様が要求されている場合には好ましくない。
【0054】
そこで、制御回路2は、読みこまれた仮想的終点データ(18,10)に基づいてガルバノミラー9を制御し、レーザ光源5bに照射させる。すると、レーザ光源5bは、終点データ(17,10)に対応する加工対象位置S8の照射範囲(加工範囲)Y15のみを包含するように照射することになり、第二の層を加工することができる(図3(d)参照)。これにより、各加工対象位置S1〜S8における加工態様を同一にすることができ、加工深さを一定にすることができる。
【0055】
このような実施形態によれば、第一の層T1に対応したレーザ光源5aによるレーザ光の照射範囲Y1が第二の層T2に対応したレーザ光源5bによるレーザ光の照射範囲Y2に包含される条件で、制御回路2が加工対象物Tの第二の層T2で吸収するレーザ光源5bのレーザ光を加工対象物Tに照射させると、加工対象物Tは重なり合う層毎に光の吸収波長が異なり第二の層T2に対応する他のレーザ光源によるレーザ光が第一の層T1で吸収されず反射するため、第一の層T1における加工範囲S1においてレーザ光源5bにより第二の層T2に照射させることができ、第二の層T2を加工することができる。しかも、この場合、制御回路2は、照射照準位置を第一の層T1の加工対象位置S1から次に加工する加工対象位置S2側へ移動させながら、レーザ光源5bのレーザ光を加工対象物Tに照射させるので、ある1つの加工対象位置S1で二層全てを加工完了するまでガルバノミラー9を制御し照射照準位置を待機時間だけ待機させたり移動させる速度を必要以上に遅くすることが無くなり、照射照準位置を次の加工対象位置S2側に素早く移動させることができ、複数の加工対象位置S1〜S8で加工するための加工速度を極力向上することができる。
【0056】
レーザ光源5aが二つの加工対象位置S1及びS2でレーザ光を照射する二つの照射範囲がレーザ光源5bが照射する照射範囲に包含される大きさになるように二のレーザ光源5a及び5bによるレーザ光の照射範囲が設定された条件で、制御回路2が二のレーザ光源5a及び5bにレーザ光を交互に照射させるので、確実に二層構造の加工対象物を加工することができる。しかも、照射照準位置を移動させながら第一の層T1および第二の層T2を加工しているので、ある1つの加工対象位置S1において二層全てを加工完了するまでガルバノミラー9を制御し照射照準位置を待機時間だけ待機させたり照射照準位置を移動させる速度を必要以上に遅くすることがなくなり、複数の加工対象位置S1〜S8で加工するための加工速度を極力向上することができる。
【0057】
制御回路2によりガルバノミラー9の走査速度を設定変更することができ、ビームエキスパンダ10及び14によりレーザ光源5a及び5bの照射範囲を変化させることができるため、レーザ光源5a及び5bの加工対象物T上での照射範囲Y1〜Y16を変化させることができ、様々な種類の加工対象物Tの様々な加工に対応することができ、汎用性を向上することができる。
【0058】
作業者により加工速度が設定されると、制御回路2がガルバノミラー9による走査速度を設定し、制御回路2が、メモリ2aに記憶された二つの加工対象位置S1及びS2の間隔,及びレーザ光源5bの照射範囲を読出して設定するため、レーザ光源5bによるレーザ光の照射範囲を自動的に設定することができる。これにより、作業者が加工速度を設定するだけで適切なレーザ光源5bの照射範囲で加工することができる。
【0059】
上下に積層された二つの層の吸収波長に対応して照射される二つのレーザ光源5a,5bのうちのレーザ光源5aの照射範囲がレーザ光源5bの照射範囲に内包された関係を満たすように設定された条件で、レーザ光源5a,5bは各層に対応した所定の順序で且つ所定周期でレーザ光を加工対象物Tに出射するので、一層目T1をレーザ光源5aにより加工することができ、その加工範囲を第二の層T2においてレーザ光源5bにより加工することができる。これにより、二層構造の加工対象物を加工対象位置で確実に加工することができる。しかもこの場合、制御回路2は、ガルバノミラー9により照射照準位置を連続的な直線状に移動させながらレーザ光を所定周期で照射するため、ある1つの加工対象位置S1で二層全てを加工完了するまでガルバノミラー9を制御し照射照準位置を待機時間だけ待機させたり照射照準位置を移動させる速度を必要以上に遅くすることがなくなり、照射照準位置を次の加工対象位置S2側に素早く移動させることができ、複数の加工対象位置で加工するための加工速度を極力向上することができる。
【0060】
(他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば次のような変形または拡張が可能である。
図4(a)に示すように、一のレーザ光源5aの照射タイミングとは異なるタイミングで他のレーザ光源5bに照射させれば何れのタイミングで照射させるように構成しても良い。尚、図に示す照射範囲については、Y1→Y2→Y3…の順に照射されることを示している。
ACモータを接続したサーボ回路8等により構成されたガルバノミラー9の制御用周辺回路は、DCモータ,ステッピングモータ等を有して構成されていても良い。
【0061】
特殊モードに設定して二層構造の加工対象物の加工を行う実施形態を説明したが、例えば一層構造の加工対象物(図示せず)を加工する場合には、作業者がコンソール3により通常モードに設定することで加工することができる。この場合、制御回路2は、コンソール3からCPU4を通じて切替信号を入力し通常モードに切替え、座標データ(1,10)…(17,10)に基づいてガルバノミラー9を駆動制御し、レーザ光源5a又は5bの何れかに出射させる。これにより、汎用性を向上することができる。
【0062】
図4(b)に示すように、レーザ光源5aに複数個の加工対象位置S1及びS2で照射させ、それらの照射範囲Y1及びY2で第一の層T1を加工した後に、それらの照射範囲(加工範囲)Y1及びY2を例えば何れか複数もしくは全て包含する照射範囲Y3のレーザ光をレーザ光源5bに照射させるように制御回路2を構成しても良い(図4(b)に示すハッチングされたY1及びY2の範囲が二層加工される。)。要は、照射照準位置を次の加工対象位置側に移動させながらレーザ光を照射させるように制御回路2が構成されていれば何れの手順およびタイミングでレーザ光を照射させても良い。これは、図4(c)に示すように、三層構造を有する加工対象物を加工する際にも同様である。
図4(c)において、三層積層された多層構造の加工対象物を加工する場合には、照射照準位置S1,S2や照射タイミング、照射範囲Y1〜Y6の望ましいタイミング及び照射範囲を設定する必要があるが、この望ましい設定状態を図4(c)に示している。すなわち、照射範囲Y2及びY3が照射範囲Y1をそれぞれ包含(内包)するように設定することが望ましく、この設定条件で一(一方)及び他(他方)のレーザ光源に、加工対象物Tの多層構造に対応して所定周期で照射させることが望ましい。尚、四層以上の加工対象物においても同様に適用することができる。
【0063】
ある1つの加工対象位置において全ての層を加工する実施形態を示したが、何れか複数の層を加工するレーザ加工装置に適用することができる。
全ての層をマーキングする実施形態を示したが、全ての層を切断して加工するレーザ切断装置に適用することができる。
さらに、制御回路2が所定周期でレーザ光源5a,5bに照射させる場合には、レーザ光源5a及び5bにレーザ光を照射開始させる照射開始タイミングを異ならせることにより照射タイミングを異ならせることができるが、照射周期は同一であっても同一でなくても良い。要は、レーザ光源5a及び5bの照射タイミングが異なるように設定されていれば、何れのタイミングで照射されるように構成しても良い。
加工対象物Tとして、ポリイミド樹脂(加工用のレーザ光は短波長側)やセラミックシート(加工用のレーザ光は長波長側)等を積層したものにも適用することができる。
【0064】
上述実施形態では二層の加工対象物Tを加工する際に、制御回路2が、レーザ光源5a及び5bにレーザ光を交互に照射させる例を示したが、三層以上に積層された加工対象物を加工する場合には、多層構造に対応した所定の順序でレーザ光源にレーザ光を照射させるように構成すれば良い。
二層構造で光の吸収波長が異なるものを加工対象物Tとして例示したが、三層以上の構造を有する加工対象物を加工する場合には、重なり合う層毎に光の吸収波長が異なる層構造のものであれば何れのものでも適用することができる。
制御回路2が、レーザ光源5a及び5bにパルス光を照射させる実施形態を示したが、レーザ光源5a及び5bが大出力のパワーを有するものであれば、制御回路2がレーザ光源5a及び5bに間欠的に連続光(発振型式CW)を照射させるように構成しても良い。また、制御回路2が、レーザ光源に連続光およびパルス光を規則的もしくは不規則的に切換えて間欠的に照射させても良い。
【0065】
照射するレーザ光の種類は、CO2レーザ(波長10.6μm)、YAGレーザ(波長1064nm)、Arレーザ、各種エキシマレーザ等により照射するレーザ光を適用することができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明は、以上の説明から明らかなように、一のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲が他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲に包含される条件で、制御手段は一のレーザ光源にレーザ光を照射させ他のレーザ光源のレーザ光を加工対象物に照射させるため、加工対象物を加工対象位置で確実に加工することができ、しかも、制御手段は、二次元走査手段により照射照準位置を加工対象位置から次に加工する加工対象位置側へ移動させながら、他のレーザ光源にレーザ光を加工対象物に照射させるので、ある1つの加工対象位置で多層構造を全て加工完了するまで二次元走査手段を停止制御する必要がなくなり、また照射照準位置を移動させる速度を必要以上に遅くする必要がなくなるため、照射照準位置を次の加工対象位置側に素早く移動させることができ、複数の加工対象位置で加工するための加工速度を極力向上することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図2】光学的構成を概略的に示すブロック図
【図3】複数の加工対象位置における照射タイミングと照射範囲との関係を示す図
【図4】(a)〜(c) 他の実施形態を示す図3相当図
【図5】従来例の説明図(その1)
【図6】従来例の説明図(その2)
【図7】従来例の説明図(その3)
【符号の説明】
1はレーザマーキング装置(レーザ加工装置)、2は制御回路(制御手段,走査速度設定手段,制御信号出力手段)、2aはメモリ(記憶手段)、3はコンソール(モード切替手段)、4はCPU(データ生成手段)、5はレーザ発生手段、5aはレーザ光源(一のレーザ光源)、5bはレーザ光源(他のレーザ光源)、9はガルバノミラー、10,14はビームエキスパンダ(スポット径可変手段)、11はダイクロイックミラー、12は収束レンズ、15は二次元走査手段、Tは加工対象物、T1は第一の層、T2は第二の層である。

Claims (8)

  1. レーザ光を出射するレーザ発生手段と、このレーザ発生手段からのレーザ光の加工対象物に対する照射照準位置を移動させる二次元走査手段と、前記加工対象物を加工するための加工データを構成する複数の座標データに基づいて前記二次元走査手段を制御する制御手段とを備え、前記複数の座標データに対応する複数の加工対象位置で加工対象物を加工するレーザ加工装置において、
    前記レーザ発生手段は、波長帯の異なるレーザ光を同一光軸上に出射する複数のレーザ光源を有してなり、
    前記制御手段は、前記複数のレーザ光源のうち一のレーザ光源による加工対象物上でのレーザ光の照射範囲が他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲に包含されるように設定された条件で、前記加工対象位置で一のレーザ光源に照射させ前記二次元走査手段により照射照準位置を加工対象位置から次の加工対象位置側に移動させながら前記一のレーザ光源の照射タイミングとは異なる照射タイミングで前記他のレーザ光源に所定の順序で間欠的に出射させるように構成されていることを特徴とするレーザ加工装置。
  2. 請求項1記載のレーザ加工装置において、
    与えられた加工速度に基づいて前記二次元走査手段による走査速度を設定する走査速度設定手段と、
    前記走査速度設定手段により設定された走査速度で照射照準位置が加工対象位置から次の加工対象位置側へ移動されたときに一のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲が前記他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲に包含される大きさとなるように、少なくとも他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲を可変可能に設定できるスポット径可変手段とを設けたことを特徴とするレーザ加工装置。
  3. 請求項2記載のレーザ加工装置において、
    前記走査速度設定手段が設定した走査速度に応じて決定される前記一のレーザ光源による連続した二つの加工対象位置の間隔,及び前記他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲を記憶する記憶手段を設け、
    前記制御手段は、前記走査速度設定手段の走査速度に対応した前記他のレーザ光源による照射範囲を前記記憶手段から読出して設定することを特徴とするレーザ加工装置。
  4. 請求項1ないし3の何れかに記載のレーザ加工装置において、
    光の吸収波長帯が異なるように積層された二層構造の加工対象物を加工する場合には、
    前記一のレーザ光源は、前記二層構造のうち照射側に形成された第一の層を加工可能な波長を出射するように構成されると共に、
    前記他のレーザ光源は、前記二層構造のうち照射側とは逆側に形成された第二の層を加工可能な波長を出射するように構成され、
    前記制御手段が前記加工対象位置で先に照射させる前記一のレーザ光源のレーザ光の照射範囲は、後に照射させる前記他のレーザ光源のレーザ光の照射範囲よりも小さく設定されていることを特徴とするレーザ加工装置。
  5. 請求項1ないし4の何れかに記載のレーザ加工装置において、
    前記他のレーザ光源に所定周期でレーザ光を出射させるためのレーザ光制御信号を他のレーザ光源に出力する制御信号出力手段を備え、
    前記加工データを構成する複数の座標データは、前記加工データが分解された単位線分データを構成する始点データ及び終点データを含むデータであると共に、当該単位線分データは、前記一のレーザ光源により照射される複数の加工対象位置に対応してなるデータであって、
    前記単位線分データに加えて、仮想的終点データが、前記単位線分データの始点データの位置から終点データの位置を超えた延長方向で,且つ前記所定周期で他のレーザ光源により照射される距離間隔に基づく距離だけ前記終点データの位置から離間した位置のデータとしてデータ生成手段により生成された状態で、
    前記制御手段は、前記単位線分データの終点データに基づいて前記二次元走査手段を制御し前記一のレーザ光源にレーザ光を照射させた後には、データ生成手段により生成された仮想的終点データに基づいて前記二次元走査手段を制御し前記他のレーザ光源にレーザ光を出射させることを特徴とするレーザ加工装置。
  6. 請求項1ないし5の何れかに記載のレーザ加工装置において、
    通常モードと特殊モードとを切替・選択するモード切替手段を設け、
    前記制御手段は、前記切替手段からの切替信号に基づいて、
    前記通常モード選択時には、加工対象物を加工するための加工データを構成する複数の座標データに基づいて前記二次元走査手段を制御すると共に、一のレーザ光源に所定の照射タイミングで照射させるようにして、
    前記特殊モード選択時には、加工対象物を加工するための加工データを構成する複数の座標データに基づいて前記二次元走査手段を制御すると共に、前記複数のレーザ光源のうち一のレーザ光源による加工対象物上でのレーザ光の照射範囲が他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲に包含されるように設定された条件で、前記加工対象位置で一のレーザ光源に照射させ前記二次元走査手段により照射照準位置を加工対象位置から次の加工対象位置側へ移動させながら前記一のレーザ光源の照射タイミングとは異なる照射タイミングで前記他のレーザ光源を所定の順序で間欠的にレーザ光を出射させるように構成されていることを特徴とするレーザ加工装置。
  7. マーキング用に使用されることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載のレーザ加工装置。
  8. 加工対象物を加工するための加工データを構成する複数の座標データに基づいて二次元走査手段によりレーザ光の加工対象物に対する照射照準位置を移動させ複数の座標データに対応する複数の加工対象位置でレーザ光を照射し加工対象物を加工するレーザ加工装置の加工方法において、
    重なり合う層毎に光の吸収波長帯が異なるように積層された多層構造の加工対象物を加工する場合には、
    与えられた加工速度に基づいて二次元走査手段による走査速度を設定する過程と、
    設定された走査速度により照射照準位置を加工対象物上で移動させる条件下で複数のレーザ光源のうちの一のレーザ光源による加工対象物上でのレーザ光の照射範囲が前記一のレーザ光源以外の他のレーザ光源によるレーザ光の照射範囲に包含されるように設定する過程と、
    一のレーザ光源がレーザ光を加工対象位置に照射する過程と、
    二次元走査手段により加工対象位置から次の加工対象位置側に照射照準位置を移動させる過程と、
    他のレーザ光源が前記一のレーザ光源と同一光軸で加工対象物に所定の順序で間欠的に出射する過程と、
    を備えたことを特徴とするレーザ加工装置の加工方法。
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