JP2004180690A - ポリメラーゼキメラ - Google Patents

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    • C07KPEPTIDES
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Abstract

【課題】 天然ポリメラーゼの、特定の用途に対して有利な性質を合わせもつ、ドメインを表すアミノ酸断片からなるポリメラーゼキメラを提供する。
【解決手段】 ポリメラーゼ活性を有するドメインと3’−5’エキソヌクエアーゼ活性を有するドメインが異なる酵素に由来するようなポリメラーゼキメラに関し、構造的および機能的に互いに独立しているドメインを交換することによりポリメラーゼのキメラを作製する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、特定の用途に対して有利である、天然ポリメラーゼの諸性質を合わせもつ、ドメインを表すアミノ酸断片から構成されるポリメラーゼキメラに関するものである。驚いたことに、各種の酵素からのドメインは該キメラ中で活性であり、協働作用を示すことがわかった。本発明は特に、ポリメラーゼ活性を有するドメインと3'−5'エキソヌクレアーゼ活性を有するドメインが異なる酵素に由来するようなポリメラーゼキメラに関する。この種のキメラはRT活性をもつこともできる。さらに、本発明は、本発明によるキメラの作製方法、並びに、例えばポリメラーゼ連鎖反応において、核酸を合成するための該キメラの使用に関する。また、本発明は、本発明のポリメラーゼキメラを含有するキットに関する。
Braithwaite, D.K.およびIto, J. (1993) Nucl. Acids Res. 21, 787-802によると、DNAポリメラーゼはそれらのアミノ酸配列の類似性に従って3つの主要なファミリー(サブクラスを含む)に分類される。Joyce, C.M.およびSteitz, T.A. (1994) Annu. Rev. Biochem. 63, 777-822には、見出されたモチーフと保存アミノ酸がまとめて記載されている。原核生物においては、主に3種類のポリメラーゼ、すなわちポリメラーゼI、IIおよびIIIに区別される。これらのポリメラーゼは細胞内でのそれらの機能の点で相違し、またそれらの性質の点でも相違する。DNAポリメラーゼIは修復酵素であると考えられており、しばしば5'−3'および3'−5'エキソヌクレアーゼ活性をもつ。ポリメラーゼIIは損傷した鋳型鎖から開始するDNA合成を促進すると考えられており、それゆえに突然変異を防止する。ポリメラーゼIIIは細胞の複製酵素であり、ヌクレオチドを高速(約30,000/分)で合成し、非常に高いプロセッシビティー(連続的合成能)をもつと考えられている。ポリメラーゼIIIは5'−3'エキソヌクレアーゼ活性をもっていない。ポリメラーゼ類のその他の性質は、それらの起源、例えば熱安定性またはプロセッシビティーによるものである。
ポリメラーゼの特定の性質はその用途に従うことが望ましい。例えば、熱安定性で、忠実度が高く(すなわち、プルーフリーディング活性をもつポリメラーゼ)、プロセッシブで、高速合成能のポリメラーゼはPCRに適している。ジデオキシヌクレオチドとデオキシヌクレオチドをそれほど区別しない酵素は配列決定に適している。これに対して、ポリメラーゼのプルーフリーディング(校正)活性、すなわち3'−5'エキソヌクレアーゼ活性は配列決定には好ましくない。PCRなどのいくつかの用途においては、ポリメラーゼは5'−3'エキソヌクレアーゼ活性(5'ヌクレアーゼ活性)を全くもたないか、ほとんどもたないことが望ましい。
ポリメラーゼはまた、鋳型としてRNAを受け入れるその能力、すなわちその逆転写酵素(RT)活性の点で相違しうる。RT活性はマンガンおよび/またはマグネシウムイオンの存在に依存性でありうる。多くの場合、ポリメラーゼのRT活性はマンガンイオンに非依存性であることが望ましい。なぜならば、ポリメラーゼのリーディング精度はマンガンイオンの存在下で低下するからである。さらに、ポリメラーゼはそのプロセッシビティーの点でも相違し、プロセッシビティーは多くの用途にとって望ましい性質である。
したがって、特定の用途に関してポリメラーゼの性質を最適化するという必要性が存在する。以前には、かかる必要性はしばしばポリメラーゼに突然変異を導入したり、ポリメラーゼの機能を欠失させたりすることによって達成されていた。
こうして、例えば、5'−3'エキソヌクレアーゼ活性は、突然変異の導入(Merkens, L.S. (1995) Biochem. Biophys. Acta 1264, 243-248)またはトランケーション(Jacobsen, H. (1974) Eur. J. Biochem. 45, 623-627; Barnes, W.M. (1992) Gene 112, 29-35)によって除去された。ジデオキシヌクレオチドとデオキシヌクレオチドを区別するポリメラーゼの能力は、点突然変異を導入することによって低下させた(Tabor S.およびRichardson, C.C. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. 92, 6339-6343)。TaborとRichardsonは、活性部位ハイブリッドの構築について記載している。
発明の開示及び発明を実施するための最良の形態
最適化された性質をもつポリメラーゼを提供する目的は、構造的および機能的に互いに独立しているドメインを交換することによりポリメラーゼのキメラを作製することで、初めて本発明により達成された。本発明においてドメインとは、そのドメインが本質的にその機能を保持するように、全ての必須中心または全ての機能的に重要なアミノ酸を含む領域として理解される。それゆえ、ドメインの一部のみ、つまりドメインの機能性断片を交換することも可能である。かくして、本発明においては、これらのドメインを機能性アミノ酸断片ということができる。さらに、突然変異またはトランケーションによって前記キメラを改変することもできる。それが有利であると考えられるならば、それぞれの用途に応じてその性質をさらに最適化する突然変異を前記キメラに導入することも可能である。例えば、ポリメラーゼのジデオキシヌクレオチドとデオキシヌクレオチドとを識別する能力を低減させる突然変異を導入することができる。あるいはまた、プロセッシビティーのような望ましい性質を、突然変異の導入またはトランケーションによって強化したり、導入したりすることもできる。また、突然変異やトランケーションの導入によって、5'ヌクレアーゼ活性などの望ましくない性質を取り除くことも可能である。
かくして、本発明の主題は、特定の用途に応じて天然のポリメラーゼの有利な性質を合わせもつポリメラーゼキメラである。本発明によるポリメラーゼキメラは、異なる酵素の機能性アミノ酸断片(好ましくは、異なる酵素のドメインを表すもの)から構成される。本発明では、驚いたことに、異なる酵素からのドメインが該キメラ中で活性であり、ドメイン間で協働作用を示すことが見出された。本発明はまた、最適化された性質をもつポリメラーゼキメラの一般的な作製方法に関する。それゆえ、この本発明方法は、ドメインを交換することにより酵素の任意の組合せからキメラを設計することを可能にする。さらに、ドメイン間の接触部位での相互作用を種々の方法で調和させることが好適である。これは例えばキメラの熱安定性の向上をもたらす。本発明の更なる主題は、本発明によるキメラを含む核酸合成用のキットである。
プルーフリーディング機能をもつ熱安定性DNAポリメラーゼは、PCRにおいて実際に用いられる機会が増えつつある。Taqポリメラーゼと熱安定性プルーフリーディングDNAポリメラーゼ(例えば、Pfu、Pwo、Ventポリメラーゼ)の混合物を使用すると、特に長いDNA分子をうまく増幅できることがわかった。したがって、本発明の更なる主題は、Taqポリメラーゼの高いプロセッシビティーおよび熱安定性と、別のDNAポリメラーゼの3'−5'エキソヌクレアーゼ活性とを、1つの酵素にまとめることであった。それゆえ、本発明は特に、少なくともTaqポリメラーゼのプロセッシビティーに相当するプロセッシビティーを有し、かつ3'−5'エキソヌクレアーゼ活性(プルーフリーディング活性)の存在ゆえに増幅反応中にポリマー鎖にヌクレオチドを組み込むときの誤差率が低い熱安定性ポリメラーゼキメラに関する。これら2つの性質を組み合わせることにより、例えば長いPCR産物、すなわち2kb以上の核酸断片を作る能力を備えたキメラを作製することが可能となる。本発明によるキメラは比較的短い断片にも適している。
かくして、本発明は特に、2つの異なるポリメラーゼの機能性アミノ酸断片から成るポリメラーゼキメラに関し、ここで第1または第2ポリメラーゼが3'−5'エキソヌクレアーゼ活性を有し、それゆえ該ポリメラーゼキメラは5'−3'ポリメラーゼ活性と3'−5'エキソヌクレアーゼ活性を有するものである。ポリメラーゼは天然のポリメラーゼであっても、組換え体のポリメラーゼであってもよい。本発明によるポリメラーゼキメラは2種類または数種類の異なるポリメラーゼに由来する機能性アミノ酸断片から構成することができる。本発明によるポリメラーゼキメラは異なるポリメラーゼに由来する2種類または数種類の機能性アミノ酸断片から構成することができる。該断片のアミノ酸配列は天然のポリメラーゼの配列または突然変異によって改変された配列に相当するものであり得る。
ポリメラーゼキメラ構築用のアミノ酸断片は、第1または第2ポリメラーゼの機能性ポリメラーゼドメインに各々一致することが好ましい。本発明の意味する機能性ポリメラーゼドメインは、活性にとって必須である全てのアミノ酸を含有する領域であり、以下ではドメインと省略するものとする。
本発明は特に、少なくとも2つの異なるポリメラーゼからの機能性アミノ酸断片(短いドメイン中の)からなるポリメラーゼキメラに関し、ここでポリメラーゼ活性を有するドメインは1つのポリメラーゼと相同であり、3'エキソヌクレアーゼ活性を有するドメインはもう1つのポリメラーゼと相同である。さらに、このキメラは、5'エキソヌクレアーゼ活性を有するドメインが第1または第2ポリメラーゼと相同であり得る場合、5'エキソヌクレアーゼ活性をも有する可能性がある。しかし、5'エキソヌクレアーゼドメインが部分的もしくは完全に欠失するか、または点突然変異を有する可能性もある。本発明によるポリメラーゼキメラは、逆転写酵素(RT)活性をさらに有することができる。
ポリメラーゼキメラのアミノ酸断片の一部がTaqポリメラーゼのアミノ酸配列の一部に一致していることがさらに好ましい。
3'−5'エキソヌクレアーゼ活性を有するドメインまたはアミノ酸断片が該キメラに組み込まれたポリメラーゼは、例えば、Pol-I型ポリメラーゼか、またはPol-II型ポリメラーゼでもあり得る。3'−5'エキソヌクレアーゼ活性を有するPol-I型ポリメラーゼの代表的なものは、例えば、大腸菌(Escherichia coli)ポリメラーゼ(Ec.1)、サルモネラ(Salmonella)ポリメラーゼI、バチルス(Bacillus)ポリメラーゼI、テルモシフォン(Thermosiphon)ポリメラーゼIおよびテルモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)ポリメラーゼ(Tne)である。3'−5'エキソヌクレアーゼ活性を有するPol-II型ポリメラーゼの代表的なものは、例えば、ピロコッカス・ウーゼイ(Pyrrococcus woesei)ポリメラーゼ(Pwo)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrrococcus furiosus)ポリメラーゼ(Pfu)、テルモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)ポリメラーゼ(Tli)、ピロディクタム・アビシ(Pyrodictum abyssi)ポリメラーゼである。
例として挙げた代表的なPol-I型およびPol-II型ポリメラーゼを、以下でさらに詳しく説明する。
テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)由来のTaq DNAポリメラーゼ(Taqポリメラーゼ)、大腸菌DNAポリメラーゼI(E.coli polI)およびテルモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)DNAポリメラーゼ(Tneポリメラーゼ)は、Aファミリー由来の細菌のDNAポリメラーゼである。それらはpolI型のDNAポリメラーゼである。何故なら、様々な酵素活性が、大腸菌 polIに見られるものとかなり類似した様式で様々なドメインに位置しているからである。ピロコッカス・ウーゼイ(Pyrrococcus woesei)DNAポリメラーゼ(Pwoポリメラーゼ)は、テルモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)DNAポリメラーゼ(Vent(登録商標)ポリメラーゼ)およびピロコッカス・フリオサス(Pyrrococcus furiosus)DNAポリメラーゼ(Pfuポリメラーゼ)と同様、Bファミリーの古細菌のDNAポリメラーゼである。
Taqポリメラーゼは、Chien, A.ら(1976)、J. Bacteriol. 127, 1550-1557、Kaledin, A.S.ら(1980)、Biokhimiya 45, 644-651およびLawyer, F.C.ら(1989)、J. Biol. Chem. 264, 6427-6437により記載されている。それは、もともと好熱性真正細菌であるテルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)から単離され、後に大腸菌中にクローニングされた。該酵素は94 kDaの分子量を有し、モノマーで活性である。Taqポリメラーゼは、高い熱安定性(95℃で40分/100℃で5分の半減期)および高度にプロセッシブな5'−3'DNAポリメラーゼ(ポリマー化速度:1秒あたり75ヌクレオチド)を有するため、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に使用するのに適している。ポリメラーゼ活性とは別に、5'ヌクレアーゼ活性がLongleyら(1990)、Nucl. Acids Res. 18、7317-7322により検出された。この酵素は3'−5'エキソヌクレアーゼ活性を全く有していないため、ポリヌクレオチド鎖を連続的に伸長させるための4つのデオキシリボヌクレオチド三リン酸の取り込み中にエラーが生じ、これが遺伝子増幅を妨げる(エラー率:2 x 10-4エラー/塩基、Cha, R.S.およびThilly, W.G.(1993)、PCR Methods Applic. 3, 18-29)。Taqポリメラーゼの三次構造は、1995年以来公知である(Kimら、1995、Korolevら、1995)。
大腸菌polIは、Kornberg, A.およびBaker, T.A.(1992)、DNA Replication、第2版、Freeman、New York、113‐165に記載されている。この酵素は、103 kDaの分子量を有し、モノマーで活性である。大腸菌polIは、5'ヌクレアーゼ活性および5'−3'DNAポリメラーゼ活性を有する。Taqポリメラーゼとは対照的に、大腸菌polIはプルーフリーディング機能としての3'−5'エキソヌクレアーゼ活性をさらに有する。大腸菌polIおよびそのクレノー(Klenow)断片(Jacobsen, H.ら(1974)、Eur. J. Biochem. 45, 623-627)を、Taqポリメラーゼの導入の前にPCRに用いた。しかし、その低い熱安定性により、それらはあまり適していない。何故なら、各サイクルでそれらを新しく添加する必要があるからである。大腸菌polIのクレノー断片の三次構造は、1983年以来公知である(Brick, P.ら(1983)、J. Mol. Biol. 166, 453-456、Ollis, D.L.ら(1985)、Nature 313, 762-766およびBeese, L.S.ら(1993)、Science 260, 352-355)。
Tneポリメラーゼは、好熱性真正細菌であるテルモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)から単離され、後に大腸菌中にクローニングされた。Tneポリメラーゼのアミノ酸配列は、テルモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)DNAポリメラーゼ(UITma(登録商標)ポリメラーゼ)のものと類似している(B. Frey博士からの個人的情報)。それは、高い熱安定性、5'ヌクレアーゼ活性、3'−5'エキソヌクレアーゼ活性および5'−3'DNAポリメラーゼ活性を有する。不利な点は、Taqポリメラーゼと比較してポリマー化速度が遅いことである。高い忠実度を要する場合、同様のアミノ酸配列を有するUITma(登録商標)ポリメラーゼをPCRに用いる。Tneポリメラーゼの構造のうち、現在までに公知であるのはアミノ酸配列のみである(Boehringer Mannheim)。しかし、この酵素は大腸菌polIと相同であるため、三次構造は未知であるが、相同性モデリングは可能である。
Pfuポリメラーゼは、超好熱性海生古細菌であるピロコッカス・フリオサス(Pyrrococcus furiosus)から単離された。それは、高い熱安定性(95℃で1時間後に95%の活性)、3'−5'エキソヌクレアーゼ活性および5'−3'DNAポリメラーゼ活性を有する(Lundberg, K.S.ら(1991)、Gene 108, 1-6)。DNA合成の忠実度は、Taqポリメラーゼの約10倍高い。高い忠実度を要する場合、PfuポリメラーゼをPCRに用いる。構造のうち、現在までに公知であるのは、アミノ酸配列のみである。
Pwoポリメラーゼ(PCR Applications Manual(1995)、Boehringer Mannheim GmbH、Biochemica、28‐32)は、もともと超好熱性古細菌であるピロコッカス・ウーゼイ(Pyrrococcus woesei)から単離され、後に大腸菌中にクローニングされた。この酵素は、約90 kDaの分子量を有し、モノマーで活性である。Pwoポリメラーゼは、Taqポリメラーゼよりも高い熱安定性(半減期は100℃で2時間以上)、高度にプロセッシブな5'−3'DNAポリメラーゼ活性およびDNA合成の忠実度を増大させる高い3'−5'エキソヌクレアーゼ活性を有する。この酵素は、5'ヌクレアーゼ活性を有さない。ポリマー化速度(1秒あたり30ヌクレオチド)は、Taqポリメラーゼのものより小さい。高い忠実度を要する場合、この酵素をPCRに用いる。DNA合成の忠実度は、Taqポリメラーゼを用いる場合よりも10倍以上高い。
Athポリメラーゼは、好熱性古細菌であるアネロセルム・テルモフィルム(Anaerocellum thermophilum)から単離され、後に大腸菌中にクローニングされた。Athポリメラーゼは、高い熱安定性を有し、安定化させる界面活性剤の非存在下で、80℃で30分間インキュベートした後にも元の活性の少なくとも90%の活性を依然として有する。このポリメラーゼは、マグネシウムイオンの存在下ではRT活性をも有する。Athポリメラーゼは、「Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH」、Mascheroder Weg 1b、D38124 Braunschweig DSMの受託番号8995に寄託されている。Athポリメラーゼは、5'−3'ポリメラーゼ活性、5'−3'エキソヌクレアーゼ活性を有するが、3'−5'エキソヌクレアーゼ活性は有さない。
ヒスチジンタグまたは他の精製補助剤を、ポリメラーゼキメラのアミノ酸配列中にさらに組み込んで、精製を改良することができる。
ポリメラーゼの3'−5'エキソヌクレアーゼ活性を別のポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)中に導入するための主な方法は4つあり、これらも本発明の主題である。
1.Taqポリメラーゼの分子領域の交換による別のDNAポリメラーゼの3'−5'エキソヌクレアーゼ領域の挿入
Taqポリメラーゼは、機能的および構造的に独立した(Joyce, C.M.およびSteitz, T.A.(1987)、TIBS 12、288‐292)ならびに他のDNAポリメラーゼのモデルとして役に立つ(Joyce, C.M.(1991)、Curr. Opin. Struct. Biol. 1、123‐129)ドメインからなる大腸菌polIと相同であるので、この手法は特に適している。交換に適したDNAポリメラーゼは、3'−5'エキソヌクレアーゼが実証されており、そのDNA配列が公知であり、3'−5'エキソヌクレアーゼ活性をコードする遺伝子が利用可能であるものである。モデル構造に基づく合理的タンパク質設計については、3'−5'エキソヌクレアーゼ領域およびポリメラーゼ領域が大腸菌polIと相同であることがさらに有利である。3'−5'エキソヌクレアーゼ領域は、大腸菌polIの構造によく合致し、Taqポリメラーゼのポリメラーゼ領域に隣接するのが好ましい。さらなる利点は、タンパク質の構造データおよび高い熱安定性が利用可能であるとともに三次構造が解明されているということである。
従って、例えば以下のDNAポリメラーゼが適している。
a. 大腸菌polI
熱安定性の他に、大腸菌polIは、上記の条件を全て満たす。クレノー断片の三次構造は、Brookhavenデータバンクにおいて利用可能であり、Taqポリメラーゼと同様、AファミリーのDNAポリメラーゼに属する。アミノ酸配列の同一性は、32%である。公知のドメイン構造を考慮すると、最大の一致は、2つのタンパク質のN末端およびC末端領域に認められる(5'ヌクレアーゼドメインにおいては32%の同一性、ポリメラーゼドメインにおいては49%の同一性)。より短いTaqポリメラーゼは、3'−5'エキソヌクレアーゼドメインの領域にいくつかの欠失を有している(3'−5'エキソヌクレアーゼドメインおよび中間ドメインにおいて14%の同一性)。大腸菌polIは熱不安定性であり、キメラタンパク質の2つのドメイン間の境界における相互作用はもはや最適ではないので、おそらく、タンパク質キメラもTaqポリメラーゼより熱安定性が低いであろう。これは、境界におけるアミノ酸を続いて改変することにより回復させることができる。
b. 熱安定性DNAポリメラーゼ
現在PCRに用いられる3'−5'エキソヌクレアーゼを有する熱安定性DNAポリメラーゼの中では、Pwoポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ、Vent(登録商標)ポリメラーゼ、TneポリメラーゼおよびUITma(登録商標)ポリメラーゼがTaq DNAポリメラーゼとの組合わせに適しているようである。PwoポリメラーゼおよびTneポリメラーゼの遺伝子は入手可能である(Boehringer Mannheim Companyを介して)。Pfuポリメラーゼは、Stratagene Inc.から取得できる。Tneポリメラーゼは、Taqポリメラーゼおよび大腸菌polIとの相同性により、合理的タンパク質設計によく適する。Pfuポリメラーゼを用いる場合、アミノ酸配列のアラインメントに基づいてのみ設計が可能であり、公知の保存的アミノ酸および機能にとって必須であるモチーフを考慮に入れる。
2.中間ドメインにおけるTaq DNAポリメラーゼの改変
3'−5'エキソヌクレアーゼ活性を挿入するためには、活性にとって必須である全てのアミノ酸を構造中に挿入する必要がある。現在の知識によると、これは特にExo I、Exo IIおよびExo IIIの3つのモチーフに当てはまる。触媒作用に必要な空間的位置に置くためには、必須モチーフを適当な方法でさらに結合しなければならない。
ポリメラーゼ領域においてTaq DNAポリメラーゼを改変することも可能である。ポリメラーゼの新規の(de novo)設計も原理的には考えられる。
本発明によるキメラは、
1.5'ヌクレアーゼドメインを除去すること(タンパク質溶解的にも可能)、または後に5'ヌクレアーゼ活性を不活化すること(Merkens, L.S.(1995)、Biochem. Biophys. Acta 1264, 243-248に記載されている)、
2.点突然変異または断片交換により改変すること、
3.キメラの境界での構造を最適化すること、
4.ランダム突然変異誘発および/または他のポリメラーゼ遺伝子とのランダム組換えにより最適化すること(分子進化)、
によりさらに最適化できる。
本発明によるポリメラーゼキメラの例を以下に挙げる。
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-V307) 大腸菌 DNAポリメラーゼ(D355-D501) Taq DNAポリメラーゼ(A406-E832)
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-P291) 大腸菌 DNAポリメラーゼ(Y327-K511) Taq DNAポリメラーゼ(L416-E832)
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-P291) 大腸菌 DNAポリメラーゼ(Y327-H519) Taq DNAポリメラーゼ(E424-E832):点突然変異 A643G; Ile455Val 配列番号1
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-P291) 大腸菌 DNAポリメラーゼ(Y327-V536) Taq DNAポリメラーゼ(L441-E832)
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-P291) 大腸菌 DNAポリメラーゼ(Y327-G544) Taq DNAポリメラーゼ(V449-E832);配列番号2
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-P302) 大腸菌 DNAポリメラーゼ(K348-S365) Taq DNAポリメラーゼ(A319-E347) 大腸菌 DNAポリメラーゼ(N450-T505) Taq DNAポリメラーゼ(E410-E4832);
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-V307) Tne DNAポリメラーゼ(D323-D468) Taq DNAポリメラーゼ(A406-E832)
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-P291) Tne DNAポリメラーゼ(P295-I478) Taq DNAポリメラーゼ(L416-E832)
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-P291) Tne DNAポリメラーゼ(P295-E485) Taq DNAポリメラーゼ(E424-E832);サイレント突然変異 A1449C 配列番号3
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-P291) Tne DNAポリメラーゼ(P295-V502) Taq DNAポリメラーゼ(L441-E832)
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-P291) Tne DNAポリメラーゼ(P295-G510) Taq DNAポリメラーゼ(V449-E832);サイレント突然変異 C1767T 配列番号4
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-P302) Tne DNAポリメラーゼ(E316-D333) Taq DNAポリメラーゼ(A319-E347) Tne DNAポリメラーゼ(I381-M394) Taq DNAポリメラーゼ(R362-L380) Tne DNAポリメラーゼ(E415-T472) Taq DNAポリメラーゼ(E410-E832);
・G308D/V310E/L352N/L356D/E401Y/R305D
・Taq DNAポリメラーゼ(1-291) Pfu DNAポリメラーゼ(V100-R346) Taq DNAポリメラーゼ(E424-E832)
・Taq DNAポリメラーゼ(1-291) Pfu DNAポリメラーゼ(H103-S334) Taq DNAポリメラーゼ(E424-E832);配列番号5
・Taq DNAポリメラーゼ(1-291) Pfu DNAポリメラーゼ(V100-F389) Taq DNAポリメラーゼ(E424-E832)
・Taq DNAポリメラーゼ(1-291) Pfu DNAポリメラーゼ(V100-F389) Taq DNAポリメラーゼ(V449-E832);配列番号6
・Taq DNAポリメラーゼ(1-291) Pfu DNAポリメラーゼ(M1-F389) Taq DNAポリメラーゼ(V449-E832)
上記のポリメラーゼキメラのうち、以下のものをさらに詳しく試験した。
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-P291) 大腸菌 DNAポリメラーゼ(Y327-H519) Taq DNAポリメラーゼ(E424-E832):点突然変異 A643G; Ile455Val(Taq Ec1) 配列番号1
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-P291) 大腸菌 DNAポリメラーゼ(Y327-G544) Taq DNAポリメラーゼ(V449-E832),(Taq Ec2) 配列番号2
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-P291) Tne DNAポリメラーゼ(P295-E485) Taq DNAポリメラーゼ(E424-E832);サイレント突然変異 A1449C(Taq Tne1) 配列番号3
・Taq DNAポリメラーゼ(M1-P291) Tne DNAポリメラーゼ(P295-G510) Taq DNAポリメラーゼ(V449-E832);サイレント突然変異 C1767T(Taq Tne2) 配列番号4
・Taq DNAポリメラーゼ(1-291) Pfu DNAポリメラーゼ(V100-R346) Taq DNAポリメラーゼ(E424-E832),(Taq Pfu1) 配列番号5
・Taq DNAポリメラーゼ(1-291) Pfu DNAポリメラーゼ(V100-F389) Taq DNAポリメラーゼ(V449-E832),(Taq Pfu2) 配列番号6
適当なDNAポリメラーゼを選択するために、DNAポリメラーゼおよびDNA結合タンパク質の利用可能な配列のうちの複数のアミノ酸配列アラインメントを、例えばプログラムGCG(Devereuxら、1984、Nucl. Acids Res. 12、387-395)を用いて確立する。好適なアラインメントを見つけるためには、二次構造推定、既知構造に基づく配列アラインメント、既知モチーフおよび機能的に必須なアミノ酸、ならびに系統発生的側面を考慮に入れることが必要である。該タンパク質が機能的および構造的に独立したドメインからなる場合、個々のドメインに関してまずアミノ酸配列アラインメントを確立し、その後にのみそれらを完全な配列アラインメントに組合わせることが適当である。
三次構造が既知である相同な配列が見つかった場合、該相同タンパク質から3Dモデル構造を誘導することが可能である。プログラムBRAGI(ReicheltおよびSchomburg、1988、J. Mol. Graph. 6、161‐165)を用いてモデルを作成することができる。プログラムAMBER(Weinerら、1984、J. Am. Chem. Soc. 106、765‐784)を、個々の分子領域および分子全体の構造のエネルギー最小化のために用いることができ、プログラムProcheckを用いてモデルの質を調べることができる。初めのタンパク質の構造のCα座標のみが利用可能である場合、例えばプログラムO(Jonesら、1991、Acta Cryst. A47、110‐119)を用いて該構造を再構築することができる。タンパク質データバンクにおいては利用不可能であるが立体写真の走査および座標のピックアップ(例えば、プログラムMagickを用いる)およびz座標の計算(例えば、プログラムstereoを用いる)により立体写真として既に公表されているCα座標を取得することも可能である。アミノ酸配列アラインメント、3Dモデル、または実験的に決定した3D構造に基づいて、変異体を設計することができる。
更に、ポリメラーゼ活性をもつドメインが逆転写酵素活性を有するキメラ変異体を作製した。適切なポリメラーゼの例としては、Ath(Anaerocellum thermophilum)またはTth(Thermus thermophilum)由来のポリメラーゼが挙げられる。3'−5'エキソヌクレアーゼ活性に、例えばTneポリメラーゼまたはPfu若しくはPwoポリメラーゼなどの他のポリメラーゼ由来のドメインを挿入する。このキメラは、5'エキソヌクレアーゼ活性を有するドメインが第1ポリメラーゼ並びに第2ポリメラーゼ由来でありうる場合に、更に5'−3'エキソヌクレアーゼ活性を有することができる。
組換えハイブリッドポリメラーゼHYBおよびHYBd5は、Anaerocellum thermophilum由来のDNAポリメラーゼのように、マグネシウムイオンの存在下およびマンガンイオンの存在下で比較的強い逆転写酵素活性を有する。図22に示すように、逆転写酵素活性に対するポリメラーゼ活性の比は、このタイプの酵素で最も一般的で公知のTthポリメラーゼを用いた場合よりも有利である。この知見をマグネシウム依存性逆転写酵素活性およびマンガン依存性逆転写酵素活性に当てはめると、Anaerocellumポリメラーゼ由来のポリメラーゼドメインもまたハイブリッド酵素中で完全な活性を示すと結論づけることができる。更に変異体HYBd5は、図21に示すように3'−5'エキソヌクレアーゼ活性を有する。この活性は、典型的な「プルーフリーディング活性」について予想されるように、デオキシヌクレオシド三リン酸の存在によって阻害される。従って、テルモトガ・ネアポリタナ(Thermotoge neapolitana)のDNAポリメラーゼ由来のエキソヌクレアーゼドメインもまたハイブリッド分子中で活性である。エキソヌクレアーゼ活性を阻害する能力はまた、ハイブリッドポリメラーゼ分子の両方のドメインが相互作用し、これゆえハイブリッドポリメラーゼが機能的に天然酵素と非常に類似するということを示す。
遺伝子工学的操作によるドメイン交換変異体の作製を、化学的に合成されたオリゴデオキシヌクレオチドで補助して、SOE法(Hortonら、(1989) Gene 77、61-68)に従うPCR突然変異誘発、またはその改良法 (実施例におけるスキームを参照のこと)を用いて実施することができる。各DNA断片をアガロースゲル上で分離させ、単離し、出発ベクターにライゲートする。pTE、pTaq、pPL、Bluescriptなど適切なプロモーターを有するpUC誘導体を、大腸菌用の出発ベクターとして用いることができる。プラスミドDNAを、XL1-blueなどの大腸菌株中に形質転換し、いくつかのクローンを選択して、それらのプラスミドDNAを単離する。Nova Blue、BL21(DE)、MC1000などの他の菌株を用いることも可能である。もちろん、酵母、植物および哺乳動物細胞などの、他の生物中にクローニングすることも可能である。改変領域において、プラスミドDNAが配列決定されているクローンの前選択を、制限酵素分析によって実施する。
標的タンパク質中の遺伝子発現を、Pbtaqなどの多くのプラスミド中でIPTGで誘発することができる。多くの種々の変異体を作製する場合、万能な精製法を確立するのが適切である。例えばPCRによって、タンパク質にヒスチジンタグを結合した後に使用することができる、Ni−NTA(ニッケルニトリロ三酢酸)アガロース上でのアフィニティークロマトグラフィーは非常に適したものである。タンパク質濃度をタンパク質アッセイESL(Boehringer Mannheim)を用いて測定することができ、また調製物の副活性による汚染は、市販のTaqポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)について記載のように測定することができる。ポリメラーゼ活性、エキソヌクレアーゼ活性および熱安定性試験を行って更に変異体を特性決定し、それぞれの最適温度を決定する。キメラのポリメラーゼ活性を、例えばDNアーゼ活性化仔ウシ胸腺DNAへのDig−dUTPの組み込み率を測定することによって、非放射性試験系で測定することができ、あるいは、例えばM13 mp9 ssDNAへのα−[32P]dCTPの組み込み率を測定することによって、放射性試験系で測定することができる。キメラのポリメラーゼ活性の最適温度を決定するために、ポリメラーゼ反応を種々の温度で実施し、比活性を算出する。熱処理後の残存活性(すなわち熱処理をしない場合の初期活性の%)を測定して熱安定性を決定する。3'−5'エキソヌクレアーゼ活性を、3'末端で開始するDNA鋳型鎖にアニーリングする5'−Dig標識化プライマーの組み込みによって示すことができる。3'ミスマッチプライマーの修正およびそれらの伸長(プルーフリーディング)は、制限酵素(例えばEcoRI)の認識配列における、鋳型鎖にアニーリングするミスマッチ5'−Dig標識化プライマーの伸長によって示すことができる。酵素によってミスマッチが修正される場合のみ制限酵素による切断が可能である。PCRで変異体を用いることによって、プロセッシビティー(processivity)を試験することができる。酵素がPCRで使用するのに十分に熱安定性ではない場合、伸長温度として最適な温度で、酵素を連続添加しながらPCRを実施することができる。キメラのエキソヌクレアーゼ活性を、放射性試験系で測定することができる。この試験には、キメラポリメラーゼの一定量(通常2.5U)を、標識化DNA(各試験バッファー中5μg [3H]DNA)と共に種々の温度で4時間インキュベートする。任意にdNTPを種々の濃度(0〜0.2mM)で添加してもよい。反応終了後、放射性標識化ヌクレオチドの放出を測定する。
本発明の更なる主題は、上述のポリメラーゼキメラのDNA配列である。特に、DNA配列(配列番号1〜6)は本発明の主題である。本発明は更に、上述のポリメラーゼキメラのアミノ酸配列に関する。特に、アミノ酸配列(配列番号7〜12)は本発明の主題である。更に、DNA配列(配列番号17)は本発明の主題である。
上述のDNA配列を含むベクターを更に本発明の主題とする。好ましいベクターとしては、pBTaq(プラスミド Pbtaq4_オリゴ67(Villbrandt(1995)、学位論文、TU Braunschweig))である。
大腸菌株、特にポリメラーゼキメラ遺伝子を有するベクターを含む大腸菌XL1-blue株を更に本発明の主題とする。以下の菌株をDSM(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH、Mascheroder Weg 1b、D-38124 Braunschweig)に寄託した:
・大腸菌 XL1 Blue x pBTaqEc1: TaqEc1 DSM番号 12053
・大腸菌 XL1 Blue x pBTaqTne1:TaqTne1 DSM番号 12050
・大腸菌 XL1 Blue x pBTaqTne2:TaqTne2 DSM番号 12051
・大腸菌 XL1 Blue x pBTaqPfu1:TaqPfu1 DSM番号 12052
本発明のポリメラーゼキメラは、例えばポリメラーゼ連鎖反応など、DNA断片を増幅するのに特に適している。更なる応用として、例えばDNA断片の配列決定がある。
Ath−Tneキメラ用の好ましいベクターには以下のものがある:
大腸菌 BL 21 (DE3) plysS x pETHYBR:HYBR
大腸菌 BL 21 (DE3) plysS x pETHYBR d5:HYBR d5
ポリメラーゼキメラ遺伝子を有するベクターを含む大腸菌株を更に本発明の主題とする。以下の菌株をDSM(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH、Mascheroder Weg 1b、D-38129 Braunschweig)に寄託している:HYBR (DSM番号 12720);HYBR d5 (DSM番号 12719)。
上述のAth−Tneキメラの作製について実施例8〜11に例示している。RT活性を有する本発明のキメラは、RNAの逆転写に特に適している。
本発明の更なる主題は、少なくとも1つの本発明のポリメラーゼキメラを含むDNA断片を増幅するためのキットである。
実施例1: 構築とクローニング
普遍的精製法の確立
Ni-NTA(ニッケル-ニトリロトリ酢酸)アガロースでのアフィニティークロマトグラフィーを用いて、ドメイン交換変異体のための精製プロトコルを標準化した。タンパク質変異体を作製する前に、Hisタグを、Taq DNAポリメラーゼに結合するかまたは該ポリメラーゼの内部に挿入することが必要であった。プラスミドPbtaq4_oligo67(Boehringer Mannheim)中に2つの異なったHisタグ変異体を設計し作製した。変異体NHis-TaqPolは、N-末端のHisタグ、Hisタグを場合により切断するためのエンテロキナーゼ切断部位およびHisタグタンパク質を抗体(Quiagen)で検出するためのエピトープを有している。これをEcoRI部位からPstI部位までのPCRにより作製した。N-末端タンパク質の配列決定において、変異体NHis-TaqPolの20個のN-末端アミノ酸が正しいことを確認した。
配列:NHis-TaqPol
Figure 2004180690
変異体5DHis-TaqPolは、Taq DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼドメインのフレキシブルループ中のグリシン79とグリシン80の間にHisタグを有し、EcoRI部位からPstI部位までのPCR突然変異誘発により作製した。
配列:5DHis-TaqPol
配列番号15
配列番号16
Figure 2004180690
2つの新遺伝子の各改変領域中の、プラスミドDNAの正確さをDNA配列決定により確認した。改変遺伝子の両方を、Hisタグなしの初期タンパク質と同一の割合および同一の条件下で発現させた。それらはNi-NTAアガロースにより容易に精製でき、標準PCRにおいてHisタグのないTaqポリメラーゼと同じ挙動を示した。N-末端Hisタグを、ドメイン交換変異体を精製するために使用した。
アミノ酸配列のアライメント
以下のアミノ酸配列のアライメントは、ドメイン交換変異体を設計するために行った:
1. Tne, 大腸菌 IおよびTaq DNAポリメラーゼ
2. Pfu, 大腸菌 IおよびTaq DNAポリメラーゼ
3. DNAポリメラーゼの複数のアミノ酸配列アライメント
アライメントは個々の分子領域(ドメイン)に関連してプログラムGCGを用いて確立し、完全な配列アライメントを形成するように組み立てた。その際、既知の2次構造、モチーフおよび必須アミノ酸を考慮に入れ、Taq DNAポリメラーゼの対応するドメインの配列とクレノウ断片の3’-5’エキソヌクレアーゼドメインの配列との、構造に基づいた配列アライメントを用いた(Kimら、(1995) Nature 376, 612-616中の図2d)。
相同性モデリングのためのクレノウ断片の最初の構造を選択するために、その時に利用可能であった大腸菌 DNAポリメラーゼIの構造を、プログラムBragiおよびRMS fitを用いて比較した:
クレノウ断片-dCMP複合体(PDBコード:1dpi)、2.8オングストローム(1987)、クレノウ断片-dCTP複合体(PDBコード:1kfd)、3.9オングストローム(1993)およびクレノウ断片D355A-DNA複合体(PDBコード:1kln)、3.2オングストローム(1994)。クレノウ断片(PDBコード:1kln)構造を選択した。座標が存在しない(Bragiプログラム)2つの領域中に、2つのループを組み込み、エネルギーを最小化した(Amberプログラム)。タンパク質構造の質をチェックした(Procheckプログラム)。
3次元モデルの構築
アミノ酸292-832を含むTaq DNAポリメラーゼの分子領域の3次元モデルを、クレノウ断片(PDBコード:1kln)の構造との相同関係においてBragiプログラムを用いて構築した。このモデリングは、アミノ酸置換、挿入および欠失の導入、新ループ領域のエネルギー最小化ならびに分子全体のエネルギー最小化を含んでなるものである(Amberプログラム)。
Taq DNAポリメラーゼの構造は、モデリング作業の時点で既に発表されていたが、タンパク質データバンクにおいては利用可能ではなかった。クレノウ断片の3’-5’エキソヌクレアーゼドメイン(アミノ酸292-423)に相当するTaq DNAポリメラーゼの中間ドメインのモデルを作製するために、立体写真(Kimら、(1995)Nature 376, 612-616中の図2c)をスキャンし、Cα座標をスクリーン上に選び出し(左および右の写真に対してのx座標およびy座標)(Magickプログラム、John Cristy, E.I. du Pont De Nemours and Company Incorporated))、z座標を計算し(Stereoプログラム,(Collaborative Computational Project, Number 4 (1994) Acta Cryst. D50, 760-763))、タンパク質主鎖をポリアラニンの生成(プログラムO)により再構築し、アミノ酸置換を行い(Bragiプログラム)、そして分子全体のエネルギー最小化を行った(Amberプログラム)。アミノ酸残基292-423(上記参照)のモデルを、ポリメラーゼドメイン(アミノ酸424-832)(上記参照)のモデルに結合させ、一方でTaq DNAポリメラーゼとクレノウ断片との構造アライメントを可能とした(Kimら、(1995) Nature 376, 612-616中の図2bおよび2c)。モデル構造の全体をエネルギー最小化し(Amberプログラム)、モデル構造の質をチェックした(Procheckプログラム、(Laskowski, R., A.,ら、(1993) J. Appl. Cryst. 26, 283-291))。
Tne DNAポリメラーゼ(残基297-893)の3次元モデルを、クレノウ断片(PDBコード:1kln)の構造との相同関係において構築した。このモデリングは、アミノ酸置換、挿入および欠失の導入(Bragiプログラム)、新ループ領域のエネルギー最小化、分子全体のエネルギー最小化(Amberプログラム)およびモデル構造の質のチェック(Procheckプログラム)を含んでなるものである。
20種類のタンパク質変異体を設計した。それらは大腸菌 polIおよびTneポリメラーゼを用いた場合には3次元構造に基づき、Pfuポリメラーゼを用いた場合にはアミノ酸アライメントに基づいた。
遺伝子操作によるドメイン交換変異体の作製
N-末端HisタグをPCRにより挿入し、ドメイン交換変異体を、化学合成オリゴデオキシヌクレオチドを用いて改変SOE法(Hortonら、(1989) Gene 77, 61-68)によりスキーム中に示されているように作製した。それぞれのDNA断片をアガロースゲル上で分離し、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen社)を付随するプロトコルに従って使用して単離し、後続のPCR反応IからIVにおいて使用した。また、PCR反応Vの場合は、認識配列がフランキングプライマー中に位置する2種の制限酵素(EcoRIおよびPstI)によってそれらを再切断した。DNA断片のライゲーション、およびコンピテントXL1 Blue 大腸菌細胞の作製と該細胞のエレクトロポレーションによる形質転換を、Villbrandt(1995, Dissertation, TU Braunschweig)に記載された通りに行った。いくつかのクローンを選び出し、それらのプラスミドDNAをQIAprep Spin プラスミドキット(Qiagen社)を付随するプロトコルに従って用いて単離した。微生物学的実施方法、および液体培地またはプレート培地の調製のための配合、並びにグリセリン培養物の確立は、Sambrookらのハンドブック(1989, Molecular cloning - a laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York)に記載されたように実施した。ドメイン交換変異体は、初期タンパク質と同じ割合で発現させた。
実施例2: 精製(1つのキメラについて)
ドメイン交換変異体の精製
全てのドメイン交換変異体を、同一のプロトコルにより大腸菌(Escherichia coli) XL1-Blueから単離した。発酵は、37℃で16時間、100mg/mlのアンピシリン、12.5mg/mlテトラサイクリン、1mM IPTGを含むLB培地中で、1リッタースケールで行った。細胞を遠心分離し、20mlの溶菌緩衝液(50mM Tris-HCl、pH 8.5、10mM 2-メルカプトエタノール、1mM PMSF)中に取り上げ、-70℃で少なくとも16時間以上凍結し、10分間超音波処理した。細胞破片を遠心分離により除き、滅菌濾過した上清をカラム容量が3.5ml(半径0.65cm、高さ2.7cm)のNi-NTA(ニッケル-ニトリロ酢酸)アガロースカラム(Qiagen)にアプライした。カラムを40mlのバッファーA(20mM Tris-HCl、pH 8.5、100mM KCl、20mM イミダゾール、10mM 2-メルカプトエタノール、10%(v/v)グリセロール)で洗浄し、続いて10mlのバッファーB(20mM Tris-HCl、pH 8.5、1M KCl、20mM イミダゾール、10mM 2-メルカプトエタノール、10%(v/v)グリセロール)で洗浄し、そして再び10mlのバッファーAで洗浄した。15mlのバッファーC(20mM Tris-HCl、pH 8.5、100mM KCl、100mM イミダゾール、10mM 2-メルカプトエタノール、10%(v/v)グリセロール)で溶出させた。流速は毎分0.5mlで、画分のサイズは、洗浄画分の場合が10ml、溶出画分の場合が1mlとした。プールした画分を保存バッファー(20mM Tris-HCl、pH 8.0、100mM KCl、0.1mM EDTA、1mM DTT、0.5% Tween 20、50%グリセロール)に対して透析し、200μg/mlのゼラチン、および最終濃度が0.5%となるようにNonident P40を添加した。このタンパク質溶液を-20℃で保存した。
Ni-NTAアガロースでのドメイン交換変異体TaqEc1の精製の分析を、図7に示す。
タンパク質濃度の測定
OD280の測定と、タンパク質アッセイESL(Boehringer Mannheim)とによりタンパク質濃度を測定した。図8は、タンパク質純度の測定を示す:SDS-PAGE, Phast system(10-15%):銀染色。
実施例3: キメラのポリメラーゼ活性の至適温度
キメラのポリメラーゼ活性を、非放射性試験システムにおいて測定した。放射性試験システムを使用して数値を調整した。DN’ase-活性化ウシ胸腺DNAへのDig-dUTPの取込み速度を非放射性試験システムにおいて測定した。50μlの試験混合物は、5μlのバッファー混合物(500mM Tris-HCl、150mM (NH4)2SO4、100mM KCl、70mM MgCl2、100mM 2-メルカプトエタノール、pH 8.5)、100μMずつのdATP、dCTP、dGTP、dTTP、36nM Dig-dUTP(Boehringer Mannheim)、12μgのウシ胸腺DNA(DN’ase-活性化したもの)、10μgのウシ血清アルブミン、および2μlのキメラ酵素または基準としての0.02ユニットのTaqポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)を希釈バッファー(20mM Tris-HCl、pH 8.0、100mM KCl、0.1mM EDTA、1mM DTT、200μg/ml ゼラチン、0.5% Tween 20、0.5% Nonidet P40、50%グリセロール)中に含有していた。反応混合物を30分間様々な温度でインキュベートした。反応は氷上で停止させた。各反応混合物5μlを白色膜被膜マイクロタイタープレート(Pall BioSupport, SM045BWP)に分注し、70℃で10分間焼いた。マイクロタイタープレートの膜を、付属の吸引槽(Pall BioSupport)を使用して下記の通り処理した。すなわち、100μlのバッファー1(0.1M マレイン酸、0.15M NaCl、pH 7.5中の1%ブロッキング試薬(Boehringer Mannheim))を添加し、2分間インキュベートし、吸引し、もう一度繰り返した;100μlのバッファー2(バッファー1中の1:10000に希釈した抗-Dig-AP-Fabフラグメント抗体(Boehringer Mannheim))を添加し、2分間インキュベートし、吸引し、もう一度繰り返した;200μlのバッファー3(0.3% Tween 20を含むバッファー1)を減圧下で添加し、もう一度繰り返した;200μlのバッファー4(0.1 M Tris-HCl、0.1 M NaCl、50mM MgCl2、pH 9.5) を減圧下で添加した;50μlのバッファー5(バッファー4中の1:100に希釈したCSPD(Boehringer Mannheim))を添加し、5分間インキュベートし、吸引した。サンプルをルミノメーター(Microluminar LB 96P, BertholdまたはWallac Micro Beta Trilux)中で測定した。
放射性試験システムにおいては、1μgのM13mp9 ss-DNAへのα-[32P]dCTPの取込み速度を測定した。50μlの試験混合物は、バッファー混合物5μl(670mM Tris-HCl、50mM MgCl2、100mM 2-メルカプトエタノール、2% Tesit、2mg/ml ゼラチン、pH 8.8)、10μMずつのdATP、dGTP、dTTP、5μMのCTP、0.1μCiのα-[32P]dCTP、0.3μgのM13プライマーとアニーリングした1μgのM13mp9 ss DNA、および1μlのキメラ酵素または基準としての0.01ユニットのTaqポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)を希釈バッファー(20mM Tris-HCl、pH 8.0、100mM KCl、0.1mM EDTA、1mM DTT、200μg/ml ゼラチン、0.5% Tween 20、0.5% Nonidet P40、50%グリセロール)中に含有していた。DNAプライマー混合物を調製するために、M13mp9 ssDNA(Boehringer Mannheim)277.2μg、およびM13配列決定用プライマー(17mer)156μgを、30分かけて55℃まで加熱し、30分かけて室温まで冷却した。反応混合物を30分間65℃でインキュベートした。反応を氷上で停止させた。各反応溶液25μlを250μlの10%トリクロロ酢酸(TCA)/0.01M ピロリン酸ナトリウム(PPi)中に分注し、混合し、30分間氷上でインキュベートした。サンプルを、予め浸漬させたGFCフィルター(Whatman)上で吸引濾過し、反応容器を5% TCA/PPiで洗浄し、フィルターを少なくとも3回、同じ溶液で洗浄した。乾燥させた後、5mlのシンチレーション液体を用いてフィルターをβ-カウンターで測定した。酵素サンプルを酵素希釈バッファー中に希釈した。希釈物の1μlアリコートを使用した。2回または3回の反復測定を行った。Boehringer Mannheim社からのTaq DNAポリメラーゼを基準として使用した。
1ユニットは、65℃で30分間に、10nMのデオキシリボヌクレオチド三リン酸を酸沈殿性DNA中に取り込むために必要な酵素量として定義した。標準値を決定するために、全混合物の2μlアリコートを乾燥フィルター上に分注して乾燥させた。ブランク値は酵素を含まないサンプルを、同様にインキュベートし洗浄することによっても測定した。
至適温度は非放射性DNAポリメラーゼ試験を様々な温度で行って決定した。
様々な温度での比活性
Figure 2004180690
実施例4: キメラのポリメラーゼ活性の熱安定性
熱安定性は、反応混合物を80℃と95℃で1分間、3分間または6分間加熱し、続いて残存活性を、非放射性DNAポリメラーゼ試験により計測して測定した(図9参照)。
表: Taq DNAポリメラーゼ(TaqPol)、Hisタグを有するTaq DNAポリメラーゼ(NHis-TaqPol)、および3種類のドメイン交換変異体(TaqEc1、TacTne1、TaqTne2) の熱処理後の72℃での残存活性(熱処理なしの初期活性に対するパーセント)(Dig-dUTPのDN’ase-活性化ウシ胸腺DNAへの取込み)
Figure 2004180690
実施例5: 酵素の連続添加を伴うPCR
PCRにおいて酵素を連続的に添加してポリメラーゼキメラを試験した。伸長反応を72℃(図10)と55℃(図11)で行った。反応容量100μlの各反応混合物は、λDNAまたはpa-plasmid DNA(BM Co.)を1ng、各プライマー(25-mer)を1μM、各dNTPを200μM、およびMgCl2含有標準PCRバッファー(Boehringer Mannheim)を含んでいた。反応条件は下記の通りである。
72℃での伸長反応の場合:94℃で1分/50℃で30秒/72℃で1分//25サイクル、PCR反応前に94℃で2分、PCR反応後に72℃で7分。0.5μlのドメイン交換変異体を各サイクルごとに50℃で添加。
55℃での伸長反応の場合:95℃で1分/50℃で30秒/55℃で1分//25サイクル、PCR反応前に95℃で2分、PCR反応後に55℃で7分。0.5μlのドメイン交換変異体を各サイクルごとに50℃で添加。
実施例6: 3'-5'エキソヌクレアーゼ試験−TaqEc1変異体
サンプルを、ヌクレオチド不存在下で、DNA鋳型鎖とアニールする 5'-Dig標識プライマーと共にインキュベートした。10μlの試験混合物は、1μl バッファー(100mM Tris-HCl, 15mM MgCl2, 500mM KCl, 0.1mg/ml ゼラチン, pH 8.3)、1μl 酵素TaqEc1(500ユニット/μl)、1pmol 鋳型鎖(50mer,スキーム参照のこと)および500fmolの5'-Dig標識プライマーP1(マッチプライマー, 23mer, スキーム参照のこと)もしくはP2(ミスマッチプライマー, 23mer, スキーム参照のこと)を含んでいた。これらの反応混合物は、50℃で、様々なインキュベート時間にてインキュベートした。DNA断片は、12.5%アクリルアミドゲル(SequaGel Kit, Medco Company)にて分離し、接触ブロッティングによってナイロン膜(Boehringer Mannheim)上に転写した。該ナイロン膜を以下のように処理した:100ml バッファー1(0.1M マレイン酸, 0.15M NaCl, pH7.5中、1%ブロッキング試薬(Boehringer Mannheim))中での30分間のインキュベート;100ml バッファー2(抗Dig-AP Fabフラグメント抗体(Boehringer Mannheim)をバッファー1中に1:10000で希釈したもの)中での30分間のインキュベート;各回毎135mlのバッファー3(0.3% Tween 20を含むバッファー1)での30分間の洗浄を3回;50ml バッファー4(0.1M Tris-HCl, 0.1M NaCl, 50mM MgCl2, pH9.5)中での5分間のインキュベート;50ml バッファー5(CPD star(Boehringer Mannheim)をバッファー4中に1:1000で希釈したもの)中での5分間のインキュベート。上記ナイロン膜をWatmanろ紙上で乾燥させ、化学発光検出のために、化学発光フィルム(Boehringer Mannheim)に30〜60分間曝露した。3'-5'エキソヌクレアーゼが存在すれば、プライマーの3'末端での分解が可視化される(図を参照のこと)。Hisタグを有するTaqポリメラーゼ(NHis-TaqPol)を陰性対照として使用し、またUITma DNAポリメラーゼを陽性対照として使用した。両対照酵素に対しては、反応混合物を72℃にてインキュベートした。UITma DNAポリメラーゼに対しては、メーカーの反応バッファーを用いた。図12および13は、3'-5'エキソヌクレアーゼ試験の変異体TaqEclを示す。
実施例7: 3'-ミスマッチプライマーの修正および伸長−TaqEc1変異体(3'-ミスマッチプライマー修正アッセイ)
鋳型鎖にアニールするDig標識プライマー(50mer, スキーム参照のこと)を4つの異なる実験において伸長させた。該プライマーは、制限酵素EcoRIの認識配列にアニールするマッチプライマー(P1, 23mer, スキーム参照のこと)および2種類の異なるミスマッチプライマー(P2, P3, 23mer, スキーム参照のこと)であった。20μlの試験混合物は、1μl バッファー(100mM Tris-HCl, 15mM MgCl2, 500mM KCl, 0.1mg/ml ゼラチン, pH 8.3)、1μl 酵素TaqEc1(500ユニット/μl)、dATP, dCTP, dGTP, dTTPを各々10μM、1pmol 鋳型鎖、および500fmolの5'-Dig標識プライマーP1(マッチプライマー)、P2(ミスマッチプライマー)もしくはP3(ミスマッチプライマー)を含んでいた。これらの反応混合物は50℃で60分間インキュベートした後、5分間で95℃まで加熱した。10μlアリコートを取り、これを10ユニットのEcoRIによって37℃で30分間切断した。そのDNA断片を12.5%アクリルアミドゲル(SequaGel Kit, Medco Company)にて分離し、接触ブロッティングによりナイロン膜(Boehringer Mannheim)上に転写した。該ナイロン膜は上記のように処理し、化学発光フィルム(Boehringer Mannheim)に30〜60分間曝露した。マッチプライマーを用いた場合、EcoRIを用いた消化によって28bpおよび18bpの断片が生じた。ミスマッチプライマーでは、ミスマッチヌクレオチドがマッチヌクレオチドによって置換される場合のみ、そのような結果を生じた(図14を参照のこと)。
実施例8: Ath PolとTne Polのハイブリッドポリメラーゼ遺伝子についての組換えDNAポリメラーゼ設計の改変
コンピューター予測
キメラポリメラーゼ遺伝子の構造は、前記ポリメラーゼと大腸菌POLI遺伝子−この配列は、Brookhavenのデータバンク中の解明された三次元構造(クレノウ断片についてのもの)と最も高度に一致している−との配列アライメント(Thompson, J.D. Higgins, D.G.およびGibson, T.J. Nucleic Acids Research, 1994, 22: 4673-4680)から導き出した。そのペアアライメントは約40%の一致を示し、したがって1KLN構造がおそらく最も可能性の高い基本型であるとみなすことができる。一方の構造から他方の構造へのスムーズな移行を確実にするためには、マルチプルアライメントの観点からみて、3種のタンパク質全てと高度な類似性を有する部位に交点を配置するべきである。それゆえ、交点はポリメラーゼドメインと3'-5'エキソヌクレアーゼドメインの間とするべきである(図17AおよびB、ならびに図18)。
ハイブリッドポリメラーゼ遺伝子および発現ベクターの構築
コンピューター予測およびシミュレーションは、ハイブリッド遺伝子の構築のための基礎として役立つ。ATH POLドメインおよびTNE EXOドメインを得るための手法として、図18に示した構造を有する2つのプライマー対を使用したPCR増幅およびサブクローニングを用いた。これらのプライマーは、図2B、Cに示されるように各々の遺伝子のN末端およびC末端ならびに遺伝子中央の連結配列に特異的な配列を有している。ATHUPおよびTNELOWプライマーの12塩基の重複部分は、後のハイブリッド遺伝子の再構築用に設計し、さらに、ポリメラーゼドメインに対する更なる改変のために使用しうる明確なSalI制限部位に挿入したものである。TNEUPおよびATHLOWプライマーの5'側配列のオーバーハングは、必要な断片を後に発現ベクターにサブクローニングするためのNcoIおよびHindIIIの認識部位をコードしている。
しかしながら、この方法の適用では、サブクローン化領域の広範囲な配列決定が必要になる。そのため更なる構築物を作製し、その遺伝子間のスプライス結合部を別の位置に、すなわち、当初の結合位置よりもさらに42アミノ酸下流から、より高度な類似性を有するポリメラーゼ間の領域に移した。新しい設計の利点は、提示したスプライス結合部を含むTNEポリメラーゼ配列内に明確なBamHI配列が存在することである。ハイブリッド遺伝子を構築するために、ATHポリメラーゼ配列中に、BamHI配列を組み込み、後に特異的突然変異誘発により遺伝子の部品を組立てるために用いた。この新規化合物のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列は図19に示す。
ハイブリッドポリメラーゼ遺伝子は、複数回のサブクローニング、特異的突然変異誘発、および配列決定の各工程により、図20に記載の通りに構築した。
PCR増幅により得られた断片全てについて、その末端から始めて、後のサブクローニング工程にて用いられる明確な制限部位までを配列決定した。増幅の正確さを確保するために、PCR反応はVentポリメラーゼ(New England Biolabs)を用いて行った。特異的突然変異誘発は、「Quick Change」法(Stratagene)を用いて行った。
実施例9: 大腸菌におけるハイブリッドポリメラーゼ遺伝子の発現
プラスミドpETHYBRおよびpETHYBRd5は、Novagene社製の大腸菌BL21(DE3)plySS株中へ形質転換して、T7ポリメラーゼの発現を引き起こした。
このハイブリッドPOL遺伝子の発現は、活性化DNAアッセイを用いてDNAポリメラーゼ活性を測定することにより組換え株の抽出物においてモニターした。以下の条件を用いた。
(1) 組換え大腸菌株を、100mcg/mlのアンピシリン+30mcg/mlのクロラムフェニコールを含むLB培地(BL21(DE3)plysS中のpETHYBRおよびpETHYBRd5に対して)または100mcg/mlのアンピシリン+30mcg/mlのカナマイシンを含む20mlのLB培地(JM109/pSB1611中のpARHYBd5に対して)中で培養した。
(2) 前記培養物は、光学密度OD 550が約0.6〜0.7に達するまで37℃で振とうした。次いで該培養物を25〜28℃に冷却し、IPTGを最終濃度1mMになるよう加えた。続いてインキュベーションを25〜30℃で継続した。4時間のインキュベート後の非誘導培養物の密度は、2種類のpETベクターに関してOD 550が約2.2であり、誘導培養物については約1.5であった。
(3) BL21(DE3)plysS株のタンパク質抽出物は、前記培養物の5mlアリコートをペレット化することにより調製した。次いで該細胞ペレットを、40mM Tris-HCl, pH8.0, 0.1mM EDTA, 7mM 2-メルカプトエタノール, 0.2mM PMSF, 0.1% Triton X-100を含む停止バッファー100μl中に再懸濁した。細胞抽出物は、液体窒素/温水バス中での細胞懸濁液の凍結と解凍を2サイクル行うことによって調製した。続いてKCl溶液を最終濃度0.75Mになるよう加え、誘導培養物および非誘導培養物の抽出物を72℃で15分間加熱し、ペレット化し、そのポリメラーゼ活性を測定するために用いた。この活性測定は、活性化DNAアッセイ(100mcg/ml 活性化DNA, 3mM MgSO4, 50mM Tris-HCl, pH8.9, 0.1% Triton X-100, 70μM dA-P33, 5-10μCi/ml)において、2μlの加熱した細胞抽出物を用いて体積20μlにて行った。
結果は以下の表に示す:
組換え株の抽出物における相対的DNAポリメラーゼ活性(標識の組み込み%, 3回の独立した測定の平均)
Figure 2004180690
これらのデータは、ハイブリッドポリメラーゼ遺伝子はどちらの種類もpETベクター系を用いて発現されうることを示している。
組換えハイブリッドポリメラーゼの特性づけ
熱安定性
組換えポリメラーゼの熱安定性は、大腸菌株の抽出物を95℃で様々な時間(10、30、60、120分間)加熱することによって測定した。完全型および切詰め型ハイブリッドポリメラーゼは十分に安定ではない(95℃にて10分間インキュベートした後、100%が不活性である)ことが分かった。組換えポリメラーゼの発現の程度を、10% SDS PAAGにおいて加熱した細胞抽出物を解析することにより評価した。誘導培養物と非誘導培養物との間に目に見える差違が認められなかったので、ハイブリッドポリメラーゼの産生は全可溶性タンパク質の1%を上回ることはないと結論づけられるであろう。
プルーフリーディング活性
pETHYBRd5に由来する、例えばクレノウ断片などの組換えDNAポリメラーゼのプルーフリーディング活性を、古細菌のDNAに対して用いられるのと同一のプロトコルに従って試験した。組換え酵素はプルーフリーディング活性を有することが分かった。
逆転写酵素活性
以下の反応混合物を用いて、逆転写酵素活性を測定した:1μg ポリdA-(dT)15, 330μM TTP, 0.36μM ジゴキシゲニン-dUTP, 200μg/ml BSA, 10mM Tris-HCl,pH8.5, 20mM KCl。反応混合物中のMgCl2の濃度は0.5〜10mMの間で変化させた。DTEを濃度10mMにて加えた。
2μlの組換えDNAポリメラーゼ(pETHYBRd5に由来するもの, 例えばクレノウ断片)を反応混合物に加え、50℃で15分間インキュベートした。Mn2+を含むTth DNAポリメラーゼを陽性対照として加えた。反応を停止させた後、該混合物を正に荷電したナイロン膜(BM)にアプライした。組み込まれたジゴキシゲニンを1995年のBMプロトコルにより検出した。
この組換え酵素(クレノウ断片)は逆転写酵素活性を有することが分かった(図22)。その活性はMn2+(最適濃度1mM)の存在に依存する。さらにMg2+の存在はさらなる刺激効果を有した(Mg2+の最適濃度4mM)。
実施例11: キメラポリメラーゼ遺伝子の構築(図20を参照のこと)
制限配列に対する略語- B-BamHI, Bsp-BspHI, H-HindIII, N-NcoI, R-EcoRI, S-SalI, Sn-SnaI, X-XhoI, Xm-XmaI
1.ベクターpTrcHISB中に完全なポリメラーゼ遺伝子を含むpARHis10プラスミド、ならびにプライマーATH UPおよびATHLOWを用いたATH POLドメインのPCR増幅、およびpSK+Bluescriptプラスミド中へのサブクローニング→pBSAT。この挿入物をフランキングプライマーから配列決定したところ、プライマー合成の際の誤りが原因でATHUPプライマー配列中の1塩基が欠失していることが分かった。
2.1535位にBamHI配列を組み込むための、「Quick change」法(Stratagene)による、プライマーm1およびm2を用いたプラスミドpARHis10の特異的突然変異誘発→pARHis10mut。
3.鋳型であるpTNEC2プラスミドに対しプライマーTNEUPおよびTNELOWを用いたTNE EXOドメインのPCR増幅、およびSmaI切断puC19プラスミド中へのサブクローニング→組込みの方向性が異なるpTEX1およびpTEX2。
4.「LONG」EXOドメインを含む、pTNEC2プラスミドに由来する1444bpのXhoI-BamHI断片の、XhoI-BamHI切断プラスミドpTEX1中へのサブクローニング→pTEXL。
5.完全なATHポリメラーゼ遺伝子を、2553bpのBamHI-HindII断片としてBamHI-HindIII切断pTEXL中に組み込む→pTEXLATF。
6.pTEXLATFプラスミドのXmaI-SnaI断片の、組み込みBamHI配列を含むpARHis10mutプラスミド由来の1094bpのXmaI-SnaI断片による置換→pTEXLATF
7.pTEXLATFに由来する4214bpのNcoI-HindII断片の、NcoI-HindII切断pET21dベクター中への組込み→pETNAT。
8.pETNATプラスミドに由来する、ATHポリメラーゼのN末端ドメインをコードする1535bpのBamHI断片の欠失。これによってTNE EXOLおよびATH POL配列のインフレームでの結合がなされる→pETHYBR。
9.pETHYBRの1661bpのNcoI-BamHI断片の、pETNATに由来する829bpのBspHI-BamHI断片による置換。これにより、開始コドンとしてTNEポリメラーゼのMet284が使用され、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を有すると仮定されるN末端ドメインの欠失が引き起こされる→pETHYBRd5。
Taq DNAポリメラーゼ(M1−P291) 大腸菌DNAポリメラーゼ(Y327−H519) Taq DNAポリメラーゼ(E424−E832)のDNA配列:点突然変異 A643G;Ile455Val(配列番号1)。 図1Aに示すDNA配列に対応するアミノ酸配列(配列番号7)。 Taq DNAポリメラーゼ(M1−P291) 大腸菌DNAポリメラーゼ(Y327−G544) Taq DNAポリメラーゼ(V449−E832)のDNA配列(配列番号2)。 図2Aに示すDNA配列に対応するアミノ酸列(配列番号8)。 Taq DNAポリメラーゼ(M1−P291) Tne DNAポリメラーゼ(P295−E485) Taq DNAポリメラーゼ(E424−E832)のDNA配列;サイレント突然変異 A1449C(配列番号3)。 図3Aに示すDNA配列に対応するアミノ酸配列(配列番号9)。 Taq DNAポリメラーゼ(M1−P291) Tne DNAポリメラーゼ(P295−G510) Taq DNAポリメラーゼ(V449−E832)のDNA配列;サイレント突然変異 C1767T(配列番号4)。 図4Aに示すDNA配列に対応するアミノ酸配列(配列番号10)。 Taq DNAポリメラーゼ(1−291) Pfu DNAポリメラーゼ (H103−S334) Taq DNAポリメラーゼ(E424−E832)のDNA配列(配列番号5)。 図5Aに示すDNA配列に対応するアミノ酸配列(配列番号11)。 Taq DNAポリメラーゼ(1−291) Pfu DNAポリメラーゼ(V100−F389) Taq DNAポリメラーゼ(−V449−E832)のDNA配列(配列番号6)。 図6Aに示すDNA配列に対応するアミノ酸配列(配列番号12)。 Ni−NTAアガロース上でのドメイン交換変異体TaqEc1の精製。クーマシーブルーで染色した8%ポリアクリルアミドゲル上での分析。レーン1、8:広範囲タンパク質分子量マーカー(200kDa、116.25kDa、97.4kDa、66.2kDa、45kDa、31kDa)、レーン2:可溶性タンパク質、レーン3:カラム素通り画分、レーン4:洗浄画分 バッファーB、レーン5:洗浄画分 バッファーA、レーン6、7:溶出画分 バッファーC。タンパク質収量(OD280)約7mg。 タンパク質純度の測定:SDS−PAGE、Phastシステム(10〜15%):銀染色MW:タンパク質分子量マーカー;NHis−TaqPol:N末端にヒスチジンタグを有するTaq DNAポリメラーゼ;TaqEc1、TaqTne1、TaqTne2:ドメイン交換変異体。 種々の温度におけるドメイン交換変異体の比活性。 72℃での伸長と酵素を連続添加するPCRでのドメイン交換変異体の試験。λDNA(左):標的配列の大きさ = 500bp、プラスミドpa(右):標的配列の大きさ = 250 bp。レーン1:Taq DNAポリメラーゼ(BM Co.)(100ng、5ユニット)、レーン2:ドメイン交換変異体 TaqEc1(500ng、1.25ユニット/サイクル)、レーン3:ドメイン交換変異体 TaqTne1(50ng、3.6ユニット/サイクル)、レーン4:ドメイン交換変異体 TaqTne2(50ng、3.5ユニット/サイクル)、III:DNA長標準III(BM Co.)、VI:DNA長標準VI(BM Co.)。結果:ドメイン交換変異体 TaqTne2を使用した場合、正しい大きさのPCR産物が形成された。 55℃での伸長と酵素を連続添加するPCRにおけるドメイン交換変異体の試験。λDNA(左):標的配列の大きさ = 500bp、プラスミドpa(右):標的配列の大きさ = 250bp。レーン1:ドメイン交換変異体 TaqEc1(500ng、6ユニット/サイクル)、レーン2:ドメイン交換変異体 TaqTne1(50ng、7.5ユニット/サイクル)、III:DNA長標準III(BM Co.)、VI:DNA長標準VI(BM Co.)。結果:ドメイン交換変異体 TaqEc1を使用した場合、正しい大きさのPCR産物が形成された。 3'−5'エキソヌクレアーゼ試験変異体 TaqEc1、72℃におけるインキュベーション、プライマーP1。 3'−5'エキソヌクレアーゼ試験変異体 TaqEc1、50℃におけるインキュベーション、プライマーP1(左)、プライマーP2(右)。 3'ミスマッチプライマーの修正およびそれらの伸長−変異体 TaqEc1(3'ミスマッチプライマー修正アッセイ)。(−):制限酵素消化なし、(+):EcoRIでの制限酵素消化。 概略図。3'末端におけるプライマーの分解(3'−5'エキソヌクレアーゼアッセイ)および3'ミスマッチプライマーの修正およびそれらの伸長(3'ミスマッチプライマー修正アッセイ)。 概略図:簡易化したフローチャート、3'末端におけるプライマーの分解並びに3'ミスマッチプライマーの修正および伸長。 Ath、Tne、PolIポリメラーゼ遺伝子およびポリメラーゼキメラの推定遺伝子のCLUSTAL W (1.5) 複数配列アライメント。キメラ配列のTne由来部分に下線を付した。 図17Aに続く図面。 A:Tne−ExoおよびAthポリメラーゼドメインのPCR増幅に用いたプライマーの構造。B:選択された交差点を示した2つのポリメラーゼのアミノ酸配列アライメントの一部分。C:ハイブリッドポリメラーゼ遺伝子の構築のために設計されたプライマーのヌクレオチド配列および位置。標的配列に相補的ではないプライマーの配列は、小文字で示す。TNELOWおよびATHUPプライマーにおける相補的な「重複」配列には二重線を付した。 A:2つのポリメラーゼのドメインと共にスプライシングに用いた相同領域を示す、AthおよびTneアミノ酸配列のアライメントの一部分。B: 2つのポリメラーゼのスプライシング領域中のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列。図は、Tne DNA配列中の単一のBamHI切断部位、およびBamHI切断部位をAthポリメラーゼに導入するために構築された2つのオリゴ配列を示す。 ポリメラーゼキメラ遺伝子の構築(実施例8も参照のこと)。 組換えDNAポリメラーゼの3'−5'エキソヌクレアーゼ活性。1:HindIIIで加水分解したλファージのDNA、2:HindIIIで加水分解したλファージのDNA、dNTP、および組換えDNAポリメラーゼ、3:HindIIIで加水分解したλファージのDNA、dNTPなし、組換えDNAポリメラーゼあり、4:HindIIIで加水分解したλファージのDNA。 組換えポリメラーゼHYBおよびHYBd5の逆転写酵素活性。大腸菌 BL21(DE3) plysS x pETHYBrおよび大腸菌 BL21(DE3) plysS x pETHYBRd5からの抽出物(2μl)のDNAポリメラーゼ活性を、0.05ユニットの精度で測定した。この量を使用して、ハイブリッドポリメラーゼの逆転写酵素活性、および1mMマンガンイオンまたは4mMマグネシウムイオンの作用を測定した。対照を、マンガン依存性逆転写酵素としてTth (0.25ユニット)、およびマグネシウム依存性逆転写酵素としてC. therm.ポリメラーゼ(Roche Molecular Biochemicals)とした。

Claims (12)

  1. 少なくとも2つの異なるポリメラーゼの機能性アミノ酸断片からなるポリメラーゼキメラであって、これらの機能性アミノ酸断片が該ポリメラーゼキメラ中で活性であり、ポリメラーゼ活性をもつドメインが第1のポリメラーゼに由来し、3'−5'エキソヌクレアーゼ活性をもつドメインが第2のポリメラーゼに由来し、そして該ポリメラーゼキメラのアミノ酸配列が配列番号8に示されるアミノ酸配列からなることを特徴とする、上記ポリメラーゼキメラ。
  2. 前記キメラがさらにRT活性をもつ、請求項1記載のポリメラーゼキメラ。
  3. 前記キメラのアミノ酸配列にヒスチジンタグが組み込まれている、請求項1または2記載のポリメラーゼキメラ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリメラーゼキメラをコードするDNA。
  5. 配列番号2に示されるポリメラーゼキメラをコードするDNA。
  6. 請求項4または5記載のDNA配列を含むベクター。
  7. 請求項6記載のベクターを含む形質転換細胞。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリメラーゼキメラの作製方法であって、次のステップ:
    − アミノ酸配列アライメント、3次元モデル、または実験的に決定された3次元構造の助けをかりて変異体を設計すること、
    − 遺伝子工学的操作によりドメイン交換変異体を作製すること、
    − 出発ベクターに該DNA断片を連結すること、
    − 該DNA断片を担うベクターにより形質転換された宿主において該キメラを発現させること、
    − 発現されたポリメラーゼキメラを精製すること、
    を含んでなる方法。
  9. PCRのための請求項1〜3のいずれか1項記載のポリメラーゼキメラの使用。
  10. DNA断片の配列を決定するための請求項1〜3のいずれか1項記載のポリメラーゼキメラの使用。
  11. RNA鋳型により開始するRT-PCRのための請求項1〜3のいずれか1項記載のポリメラーゼキメラの使用。
  12. 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリメラーゼキメラを含有するキット。
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