JP2004178677A - トップカバー - Google Patents
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Abstract
【課題】ボイスコイルモータ(VCM)8とトップカバー1の間にVCMダンパー9を配置されるトップカバー1において、その制振機能を向上させることができ、もってVCM8の作動時に発生する振動、特に音振動を小さく抑えることが可能なトップカバー1を提供する。
【解決手段】VCM8との間にVCMダンパー9を配置されるトップカバー1において、トップカバー1におけるVCMダンパー9外方部位にプレート状制振部材11を配置し、この制振部材11を弾性体12を介してトップカバー1に連結する構成とした。トップカバー1に対する制振部材11の取付構造としては例えば、トップカバー1のVCMダンパー9外方部位に開口部10を設け、開口部10を平面上塞ぐように制振部材11を配置し、制振部材11を開口部10の周りで弾性体12を介してトップカバー1に連結する。
【選択図】 図2
【解決手段】VCM8との間にVCMダンパー9を配置されるトップカバー1において、トップカバー1におけるVCMダンパー9外方部位にプレート状制振部材11を配置し、この制振部材11を弾性体12を介してトップカバー1に連結する構成とした。トップカバー1に対する制振部材11の取付構造としては例えば、トップカバー1のVCMダンパー9外方部位に開口部10を設け、開口部10を平面上塞ぐように制振部材11を配置し、制振部材11を開口部10の周りで弾性体12を介してトップカバー1に連結する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスクドライブに代表されるディスクドライブ装置等に用いられるトップカバーに関するものである。また本発明のトップカバーは、磁気記憶装置のトップカバー、電機・電子機器筐体のトップカバー等として用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、コンピュータのデータ記憶手段として広く一般に用いられるハードディスクドライブ(HDD)は、記録媒体である磁気ディスクをスピンドルモータで駆動し、磁気ディスクへのデータの書込みや呼出しを磁気ヘッドで行ない、磁気ヘッドをボイスコイルモータ(VCM)で駆動する構造を有し、更にこれらの構成部品をベースプレートおよびトップカバーの組み合わせよりなる筐体内に収容する構造を有している。
【0003】
また、VCMの作動時、トップカバーから発生する音や振動を低減させることを目的として、図11に示すように、VCM51とトップカバー52との間に弾性体で形成されたVCMダンパー53を設置したものも開発されているが、このVCMダンパー53にはVCM51の振動を抑制するのとは裏腹に、VCM51からの振動を当該ダンパー53を通じてトップカバー52に広範囲に伝播させてしまう作用があり、振動、特に音振動(騒音)を拡散させる結果となっている。
【0004】
また、従来、ダンパーを有するディスクドライブ装置として特開2002−124072号公報に掲載されたものが知られているが、この公報に記載されたダンパーはVCMやVCMダンパーとは関係なくベースプレートの裏面側に設けられるものであり、また本発明の必須構成部品である弾性体(粘弾性体)を有しないものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−124072号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、VCMとトップカバーとの間にVCMダンパーを配置されるトップカバーにおいて、その制振機能を向上させることができ、もってVCM作動時に発生する振動、特に音振動を小さく抑えることが可能なトップカバーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1によるトップカバーは、VCMとの間にVCMダンパーを配置されるトップカバーにおいて、当該トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位にプレート状制振部材を配置し、前記プレート状制振部材を弾性体を介して当該トップカバーに連結したことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項2によるトップカバーは、上記した請求項1のトップカバーにおいて、当該トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位に開口部を設け、前記開口部を平面上塞ぐようにプレート状制振部材を配置し、前記プレート状制振部材を前記開口部の周りで弾性体を介して当該トップカバーに連結したことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項3によるトップカバーは、上記した請求項1のトップカバーにおいて、当該トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位の外面側にプレート状制振部材を配置し、前記プレート状制振部材を弾性体を介して当該トップカバーに連結したことを特徴とするものである。
【0010】
上記構成を備えた本発明の請求項1によるトップカバーのように、トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位にプレート状制振部材を配置するとともにこのプレート状制振部材を弾性体を介してトップカバーに連結すると、このプレート状制振部材および弾性体が発揮する制振作用によって、VCMダンパーを通じて伝播するVCMからの振動を低減させることが可能となる。この制振作用は「ダイナミックダンパーによる制振作用」であり、すなわち上記構成によってプレート状制振部材を質量体とするとともに弾性体をバネとするダイナミックダンパーが形成されるため、このダイナミックダンパーを振動に対して共振させることにより振動エネルギーを吸収することが可能となる。また、弾性体が振動を受けてせん断変形する場合には、この「せん断変形による制振作用」によっても振動エネルギーを吸収することが可能となる。制振部材をプレート状としたのはトップカバーの厚みを極力増大させないためである。
【0011】
トップカバーにプレート状制振部材を取り付ける構造としては、先ず請求項2に記載したように、トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位に開口部を設け、この開口部を平面上塞ぐようにプレート状制振部材を配置し、このプレート状制振部材を開口部の周りで弾性体を介してトップカバーに連結する構造が考えられ、この場合には、上記「ダイナミックダンパーによる制振作用」および「せん断変形による制振作用」の他に、トップカバーの平面上の一部をプレート状制振部材として実質別体にしたことに伴う「別体にしたことによる振動絶縁作用」を期待することができる。
【0012】
また、請求項3に記載したように、トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位の外面側にプレート状制振部材を配置し、このプレート状制振部材を弾性体を介してトップカバーに連結することが考えられ、この場合には、上記「ダイナミックダンパーによる制振効果」等の他に、弾性体がトップカバーの外面側に配置されてトップカバーにより筐体内部空間と隔離されるので、弾性体アウトガスの問題(弾性体から発生するガスが筐体内装部品に良くない影響を及ぼして誤作動させること)を生じることがなく、弾性体材料の選択幅を拡げることが可能となる。
【0013】
尚、本件出願には、以下の技術的事項が含まれる。
【0014】
すなわち、上記目的を達成するため、本件出願が提案する一のトップカバーは以下の内容を備えている。
【0015】
(1−1) 起振源であるVCM部にVCMダンパーを有し、その近傍に制音制振を目的とした別体構造の部品を粘弾性体を介して設置したもの。
(1−2) カバーのVCM部付近を局部的に別体構造とし、カバー本体とのラップ部に粘弾性体を用い一体化し、共振周波数を低く設定することで、VCMダンパーを通じて伝播するVCMからの振動を絶縁する構造とする。
(1−3) VCMダンパーから伝播するVCMの音振動を低減すべく、カバーのVCM上の一部分を別体構造とし粘弾性体のせん断変形により振動を減衰させ、また周囲に拡散しようとする振動を絶縁する。
【0016】
(2−1) 起振源であるVCM部にVCMダンパーを有し、その上部に粘弾性体を介してプレートを設置し、固有振動数を低下させ、VCMからの振動を絶縁させたもの。
(2−2) VCM上部に粘弾性体を介しプレート(金属製プレート)を密着させることにより共振周波数を低く設定することで、VCMダンパーを通じて伝播するVCMからの振動を絶縁する構造とする。
(2−3) VCMダンパーから伝播するVCMの音振動を低減すべく、カバー上のVCM相当部に粘弾性体を介してプレート(金属製プレート)を装着し、VCMからの振動周波数を低周波域にずらし、この部分の振動を防止する。
【0017】
上記(1−1)ないし(2−3)により、カバーを、より有効な制振効果をもたせた構造とすることができ、発生音を最小限に抑えることが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0019】
第一実施例・・・
図1は、本発明の第一実施例に係るトップカバー1の平面図を示しており、そのA−A線拡大断面が図2に示されている。
【0020】
当該実施例に係るトップカバー1は、HDD用トップカバーとして、図3に示すベースプレート2の上面開口部に被せられて、このベースプレート2とともにHDD用の筐体をなすものである。このトップカバー1は、ステンレスまたはアルミニウム等よりなる金属プレートをプレス加工することによって形成されており、その平面上に凹凸加工3や組立ネジの差込み孔4等が設けられている。図3のベースプレート2には、スピンドルモータの駆動により高速回転する磁気ディスク5、磁気ディスク5へのデータの書込みや呼出しを行なう磁気ヘッド7を備えたアーム6、およびアーム6を揺動させるVCM8等が収容されている。
【0021】
上記したようにVCM8の作動時、トップカバー1から発生する音や振動を低減させるべく、図2に示すようにVCM8とトップカバー1の間には、弾性体で形成されたVCMダンパー9が設置されているが、このVCMダンパー9はVCM8からの振動をトップカバー1に広範囲に伝播させてしまうので、これに対して当該トップカバー1には以下のような制振構造が設けられている。
【0022】
すなわち、当該トップカバー1におけるVCMダンパー9の外方部位(図2における上方部位)に開口部10が設けられており、この開口部10を平面上塞ぐようにプレート状制振部材11が配置されており、このプレート状制振部材11が開口部10の周りで弾性体12を介してトップカバー1に連結されている。
【0023】
上記開口部10は、その平面形状(開口形状)を長円形に形成されており、その平面領域(開口領域)内にVCMダンパー9を収めることができる大きさに形成されている。但し、この開口部10の平面形状は長円形に限定されるものではなく、その平面内にVCMダンパー9を収めることができるものであれば良い。
【0024】
プレート状制振部材11は、ステンレスまたはアルミニウム等よりなる金属製プレートによって平板状に形成されており、その平面形状を開口部10よりも一回り大きな長円形に形成されている。但し、このプレート状制振部材11の平面形状は長円形に限定されるものではなく、開口部10を平面上塞ぐことができるものであれば良い。
【0025】
また、このプレート状制振部材11は、その周縁部を開口部10の周縁部10aの外方(図2における上方)に重ねてオーバーラップ部11aとしており、このオーバーラップ部11aと開口部10の周縁部10aとの間に弾性体12が配置されている。
【0026】
弾性体12の材質は、フッ素ゴム、ニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンゴムなどや、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどであり、これらの混合物であっても良い。これらによって弾性体12はエンドレス状に形成されており、開口部10の周りに全周に亙って配置されており、全周に亙ってトップカバー1およびプレート状制振部材11に対して接着されている。
【0027】
上記構成要素のうち、VCM8とVCMダンパー9、VCMダンパー9と制振部材11、制振部材11と弾性体12、弾性体12とトップカバー1はそれぞれ接着されまたは非接着で接触しているが、VCM8と制振部材11、VCM8と弾性体12、VCM8とトップカバー1、VCMダンパー9と弾性体12、VCMダンパー9とトップカバー1、制振部材11とトップカバー1はそれぞれ接触しておらず、互いに非接触とされている。
【0028】
上記構成のトップカバー1においては、VCMダンパー9の外側に配置されてこのVCMダンパー9に接触するプレート状制振部材11が弾性体12を介してトップカバー1に連結されているために、このプレート状制振部材11を質量体とするとともに弾性体12をバネとするダイナミックダンパー13が形成されている。したがって、このダイナミックダンパー13の共振周波数を予め、VCM8に発生しVCMダンパー9を介して伝播されてくる振動の周波数と合致させることにより、このダイナミックダンパー13の共振作動による制振作用によって振動を有効に低減させることができ、よってVCM8の作動時に発生する振動や音振動を小さく抑えることができる。
【0029】
また、上記したようにVCMダンパー9がトップカバー1に直接接触することなくプレート状制振部材11に接触する構成とされているために、VCM8の作動時に発生する振動がVCM8からVCMダンパー9を介してトップカバー1へと直接伝えられず、VCM8からVCMダンパー9、制振部材11および弾性体12を介してこの順にトップカバー1へと伝えられることになり、この経路の途中に弾性体12が設けられているために、この弾性体12のせん断変形による制振作用か発揮される。これは弾性体12がせん断変形すると振動エネルギーを吸収するために、これにより振動を低減させるものである。したがって、VCM8から伝播される振動を有効に低減させることができ、よってVCM8作動時に発生する振動や音振動を小さく抑えることができる。
【0030】
また、トップカバー1の平面上の一部をプレート状制振部材11として実質別体にしたことに伴う振動絶縁作用が発揮されるために、この点からもVCM8から伝播される振動を有効に低減させることができ、よってVCM8作動時に発生する振動や音振動を小さく抑えることができる。
【0031】
更にまた、トップカバー1に設けた開口部10をプレート状制振部材11および弾性体12によって完全に閉塞する構造であるために、外部の塵埃等の異物が開口部10を通ってカバー1内部へ侵入することがない。
【0032】
第二実施例・・・
尚、上記第一実施例において、プレート状制振部材11の平面形状を開口部10の平面形状よりも一回り大きく形成してその周縁部に、開口部10の周縁部10aの外方に重ねられるオーバーラップ部11aを設けたのは、弾性体12をその作動時に圧縮変形だけではなく、せん断変形させることにより、より多くの振動エネルギーを吸収するためである。したがって、本発明の第二実施例として図4および図5に示すように、プレート状制振部材11はこれをトップカバー1の内方(図5における下方であってHDD筐体の内側)に配置するようにしても良い。この第二実施例におけるその他の構成および作用効果は、上記第一実施例と同じである。
【0033】
第三実施例・・・
また、トップカバー1とVCM8とをネジを用いて固定する場合があるが、このネジ固定式のトップカバーに本発明の請求項2に係る構造ないし上記第一、第二実施例に係る構造を適用する場合には、本発明の第三実施例として図6および図7に示すように、プレート状制振部材11にネジ挿通孔14を所要数(図では二箇所)設け、各ネジ挿通孔14にネジ15を差し込んでこれをVCM8に螺合する。ネジ挿通孔14はそれぞれ、プレート状制振部材11の平面上にネジ15の頭部15aを収容する大きさの凹部16を設けることによりその底部に形成されており、かつネジ挿通孔14の大きさはネジ15の雄ねじ部15bよりも大きく頭部15aよりも小さく形成されている。この場合、VCM8からカバー1への振動伝達がVCMダンパー9だけでなくネジ15を通しても伝わるため、振動・騒音が特に大きくなり、よって本発明の請求項2に係る構造ないし上記第一、第二実施例に係る構造を用いることによる効果も大きい。この第三実施例におけるその他の構成および作用効果は、上記第一実施例と同じである。
【0034】
第四実施例・・・
図8は、本発明の第四実施例に係るトップカバー1の平面図を示しており、そのD−D線拡大断面が図9に示されている。
【0035】
当該実施例に係るトップカバー1は、HDD用トップカバーとして、上記図3に示したベースプレート2の上面開口部に被せられて、このベースプレート2とともにHDD用の筐体をなすものである。このトップカバー1は、ステンレスまたはアルミニウム等よりなる金属プレートをプレス加工することによって形成されており、その平面上に適宜、凹凸加工3や組立ネジの差込み孔4等が設けられている。
【0036】
当該トップカバー1には、以下のような制振構造が設けられている。
【0037】
すなわち、当該トップカバー1におけるVCMダンパー9の外方部位(図9における上方部位)の外面側にプレート状制振部材11が配置されており、このプレート状制振部材11が弾性体12を介してトップカバー1に連結されている。
【0038】
プレート状制振部材11は、ステンレスまたはアルミニウム等よりなる金属製プレートによって平板状に形成されており、その平面形状を長円形に形成されており、その平面領域内にVCMダンパー9を収めることができる大きさに形成されている。但し、このプレート状制振部材11の平面形状は長円形に限定されるものではない。
【0039】
弾性体12の材質は、フッ素ゴム、ニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンゴムなどや、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどであり、これらの混合物であっても良い。これらによって弾性体12はプレート状制振部材11と同じもしくは略同じ平面形状またはエンドレス形状に形成されており、その全面に亙ってトップカバー1およびプレート状制振部材11に対して接着されている。
【0040】
上記構成要素のうち、VCM8とVCMダンパー9、VCMダンパー9とトップカバー1、トップカバー1と弾性体12、弾性体12と制振部材11はそれぞれ接着されまたは接触しているが、トップカバー1と制振部材11は接触しておらず、互いに非接触とされている。また、当該トップカバー1に開口部は設けられていない。
【0041】
上記構成のトップカバー1においては、上記したようにVCMダンパー9の外方部位において、トップカバー1の外面に弾性体12が連結されるとともに弾性体12にプレート状制振部材11が連結されているために、このプレート状制振部材11を質量体とするとともに弾性体12をバネとするダイナミックダンパー13が形成されている。したがって、このダイナミックダンパー13の共振周波数を予め、VCM8に発生しVCMダンパー9を介して伝播されてくる振動の周波数と合致させることにより、このダイナミックダンパー13の共振作動による制振作用によって振動を有効に低減させることができ、よってVCM8の作動時に発生する振動や音振動を小さく抑えることができる。
【0042】
また、上記構成のトップカバー1によれば、弾性体12が、開口部を設けていないトップカバー1の外面側に配置されてトップカバー1によって筐体内部空間と隔離される構造であるために、上記した弾性体アウトガスの問題が生じるのを未然に防止することができる。また、アウトガスの問題を考慮することなく弾性体12の材質を選択することができることから、弾性体12材質の選択幅を拡げることができる。
【0043】
尚、上記第一実施例に係るトップカバー(図2の形状)および第四実施例に係るトップカバー(図9の形状)による騒音発生状況を比較例とともに試験したところ、図10のグラフ図に示す結果を得た。比較例は図11に示した従来例に係るトップカバー(図11の従来形状)であり、これらの実施例および比較例に係るトップカバーをそれぞれ、カバーVCM付近(カバーにおけるVCMの上方部位であって、実施例に係るカバーについてはプレート状制振部材が配置されている部位)で音圧測定した。
【0044】
音圧レベル(dB)の測定結果は、図10に示すとおり第一実施例に係るトップカバー(図2の形状)および第四実施例に係るトップカバー(図9の形状)ともVCM付近における音圧レベルの低下が著しく、よって本発明による制振効果を充分に確認することができた。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0046】
すなわち、上記構成を備えた本発明の請求項1によるトップカバーにおいては、トップカバーにおけるVCMダンパーの外方部位にプレート状制振部材が配置されるとともにこのプレート状制振部材が弾性体を介してトップカバーに連結されているために、このプレート状制振部材および弾性体が発揮する制振作用、すなわちダイナミックダンパーの共振作動による制振作用や弾性体のせん断変形による制振作用等によってVCMからの振動を有効に低減させることができる。したがって、VCM作動時に発生する音振動が小さく、静粛性に優れた高品質のトップカバー製品を提供することができる。
【0047】
また、上記構成を備えた本発明の請求項2によるトップカバーにおいては、トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位に開口部が設けられ、この開口部を平面上塞ぐようにプレート状制振部材が配置されるとともにこのプレート状制振部材が開口部の周りで弾性体を介してトップカバーに連結されているために、このプレート状制振部材および弾性体が発揮する制振作用、すなわちダイナミックダンパーの共振作動による制振作用や弾性体のせん断変形による制振作用やトップカバーの平面上の一部を別体にしたことによる振動絶縁作用等によってVCMからの振動を有効に低減させることができる。したがって、VCM作動時に発生する音振動が小さく、静粛性に優れた高品質のトップカバー製品を提供することができる。
【0048】
また、上記構成を備えた本発明の請求項3によるトップカバーにおいては、トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位の外面側にプレート状制振部材が配置されるとともにこのプレート状制振部材が弾性体を介してトップカバーに連結されているために、プレート状制振部材および弾性体が発揮する制振作用、すなわちダイナミックダンパーの共振作動による制振作用等によってVCMからの振動を有効に低減させることができる。したがって、VCM作動時に発生する音振動が小さく、静粛性に優れた高品質のトップカバー製品を提供することができる。
【0049】
また、この本発明の請求項3によるトップカバーにおいては併せて、弾性体がトップカバーの外面側に配置されてトップカバーにより筐体内部空間と隔離されるために、弾性体アウトガスの問題が生じるのを未然に防止することができ、よって弾性体材料の選択幅を拡げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例に係るトップカバーの平面図
【図2】図1におけるA−A線拡大断面図
【図3】同トップカバーと組み合わされるベースプレートの平面図
【図4】本発明の第二実施例に係るトップカバーの平面図
【図5】図4におけるB−B線拡大断面図
【図6】本発明の第三実施例に係るトップカバーの平面図
【図7】図6におけるC−C線拡大断面図
【図8】本発明の第四実施例に係るトップカバーの平面図
【図9】図8におけるD−D線拡大断面図
【図10】比較試験の結果を示すグラフ図
【図11】従来例に係るトップカバーの要部断面図
【符号の説明】
1 トップカバー
2 ベースプレート
3 凹凸加工
4 差込み孔
5 磁気ディスク
6 アーム
7 磁気ヘッド
8 VCM(ボイスコイルモータ)
9 VCMダンパー
10 開口部
10a 周縁部
11 プレート状制振部材
11a オーバーラップ部
12 弾性体
13 ダイナミックダンパー
14 各ネジ挿通孔
15 ネジ
15a 頭部
15b 雄ねじ部
16 凹部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスクドライブに代表されるディスクドライブ装置等に用いられるトップカバーに関するものである。また本発明のトップカバーは、磁気記憶装置のトップカバー、電機・電子機器筐体のトップカバー等として用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、コンピュータのデータ記憶手段として広く一般に用いられるハードディスクドライブ(HDD)は、記録媒体である磁気ディスクをスピンドルモータで駆動し、磁気ディスクへのデータの書込みや呼出しを磁気ヘッドで行ない、磁気ヘッドをボイスコイルモータ(VCM)で駆動する構造を有し、更にこれらの構成部品をベースプレートおよびトップカバーの組み合わせよりなる筐体内に収容する構造を有している。
【0003】
また、VCMの作動時、トップカバーから発生する音や振動を低減させることを目的として、図11に示すように、VCM51とトップカバー52との間に弾性体で形成されたVCMダンパー53を設置したものも開発されているが、このVCMダンパー53にはVCM51の振動を抑制するのとは裏腹に、VCM51からの振動を当該ダンパー53を通じてトップカバー52に広範囲に伝播させてしまう作用があり、振動、特に音振動(騒音)を拡散させる結果となっている。
【0004】
また、従来、ダンパーを有するディスクドライブ装置として特開2002−124072号公報に掲載されたものが知られているが、この公報に記載されたダンパーはVCMやVCMダンパーとは関係なくベースプレートの裏面側に設けられるものであり、また本発明の必須構成部品である弾性体(粘弾性体)を有しないものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−124072号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、VCMとトップカバーとの間にVCMダンパーを配置されるトップカバーにおいて、その制振機能を向上させることができ、もってVCM作動時に発生する振動、特に音振動を小さく抑えることが可能なトップカバーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1によるトップカバーは、VCMとの間にVCMダンパーを配置されるトップカバーにおいて、当該トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位にプレート状制振部材を配置し、前記プレート状制振部材を弾性体を介して当該トップカバーに連結したことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項2によるトップカバーは、上記した請求項1のトップカバーにおいて、当該トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位に開口部を設け、前記開口部を平面上塞ぐようにプレート状制振部材を配置し、前記プレート状制振部材を前記開口部の周りで弾性体を介して当該トップカバーに連結したことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項3によるトップカバーは、上記した請求項1のトップカバーにおいて、当該トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位の外面側にプレート状制振部材を配置し、前記プレート状制振部材を弾性体を介して当該トップカバーに連結したことを特徴とするものである。
【0010】
上記構成を備えた本発明の請求項1によるトップカバーのように、トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位にプレート状制振部材を配置するとともにこのプレート状制振部材を弾性体を介してトップカバーに連結すると、このプレート状制振部材および弾性体が発揮する制振作用によって、VCMダンパーを通じて伝播するVCMからの振動を低減させることが可能となる。この制振作用は「ダイナミックダンパーによる制振作用」であり、すなわち上記構成によってプレート状制振部材を質量体とするとともに弾性体をバネとするダイナミックダンパーが形成されるため、このダイナミックダンパーを振動に対して共振させることにより振動エネルギーを吸収することが可能となる。また、弾性体が振動を受けてせん断変形する場合には、この「せん断変形による制振作用」によっても振動エネルギーを吸収することが可能となる。制振部材をプレート状としたのはトップカバーの厚みを極力増大させないためである。
【0011】
トップカバーにプレート状制振部材を取り付ける構造としては、先ず請求項2に記載したように、トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位に開口部を設け、この開口部を平面上塞ぐようにプレート状制振部材を配置し、このプレート状制振部材を開口部の周りで弾性体を介してトップカバーに連結する構造が考えられ、この場合には、上記「ダイナミックダンパーによる制振作用」および「せん断変形による制振作用」の他に、トップカバーの平面上の一部をプレート状制振部材として実質別体にしたことに伴う「別体にしたことによる振動絶縁作用」を期待することができる。
【0012】
また、請求項3に記載したように、トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位の外面側にプレート状制振部材を配置し、このプレート状制振部材を弾性体を介してトップカバーに連結することが考えられ、この場合には、上記「ダイナミックダンパーによる制振効果」等の他に、弾性体がトップカバーの外面側に配置されてトップカバーにより筐体内部空間と隔離されるので、弾性体アウトガスの問題(弾性体から発生するガスが筐体内装部品に良くない影響を及ぼして誤作動させること)を生じることがなく、弾性体材料の選択幅を拡げることが可能となる。
【0013】
尚、本件出願には、以下の技術的事項が含まれる。
【0014】
すなわち、上記目的を達成するため、本件出願が提案する一のトップカバーは以下の内容を備えている。
【0015】
(1−1) 起振源であるVCM部にVCMダンパーを有し、その近傍に制音制振を目的とした別体構造の部品を粘弾性体を介して設置したもの。
(1−2) カバーのVCM部付近を局部的に別体構造とし、カバー本体とのラップ部に粘弾性体を用い一体化し、共振周波数を低く設定することで、VCMダンパーを通じて伝播するVCMからの振動を絶縁する構造とする。
(1−3) VCMダンパーから伝播するVCMの音振動を低減すべく、カバーのVCM上の一部分を別体構造とし粘弾性体のせん断変形により振動を減衰させ、また周囲に拡散しようとする振動を絶縁する。
【0016】
(2−1) 起振源であるVCM部にVCMダンパーを有し、その上部に粘弾性体を介してプレートを設置し、固有振動数を低下させ、VCMからの振動を絶縁させたもの。
(2−2) VCM上部に粘弾性体を介しプレート(金属製プレート)を密着させることにより共振周波数を低く設定することで、VCMダンパーを通じて伝播するVCMからの振動を絶縁する構造とする。
(2−3) VCMダンパーから伝播するVCMの音振動を低減すべく、カバー上のVCM相当部に粘弾性体を介してプレート(金属製プレート)を装着し、VCMからの振動周波数を低周波域にずらし、この部分の振動を防止する。
【0017】
上記(1−1)ないし(2−3)により、カバーを、より有効な制振効果をもたせた構造とすることができ、発生音を最小限に抑えることが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0019】
第一実施例・・・
図1は、本発明の第一実施例に係るトップカバー1の平面図を示しており、そのA−A線拡大断面が図2に示されている。
【0020】
当該実施例に係るトップカバー1は、HDD用トップカバーとして、図3に示すベースプレート2の上面開口部に被せられて、このベースプレート2とともにHDD用の筐体をなすものである。このトップカバー1は、ステンレスまたはアルミニウム等よりなる金属プレートをプレス加工することによって形成されており、その平面上に凹凸加工3や組立ネジの差込み孔4等が設けられている。図3のベースプレート2には、スピンドルモータの駆動により高速回転する磁気ディスク5、磁気ディスク5へのデータの書込みや呼出しを行なう磁気ヘッド7を備えたアーム6、およびアーム6を揺動させるVCM8等が収容されている。
【0021】
上記したようにVCM8の作動時、トップカバー1から発生する音や振動を低減させるべく、図2に示すようにVCM8とトップカバー1の間には、弾性体で形成されたVCMダンパー9が設置されているが、このVCMダンパー9はVCM8からの振動をトップカバー1に広範囲に伝播させてしまうので、これに対して当該トップカバー1には以下のような制振構造が設けられている。
【0022】
すなわち、当該トップカバー1におけるVCMダンパー9の外方部位(図2における上方部位)に開口部10が設けられており、この開口部10を平面上塞ぐようにプレート状制振部材11が配置されており、このプレート状制振部材11が開口部10の周りで弾性体12を介してトップカバー1に連結されている。
【0023】
上記開口部10は、その平面形状(開口形状)を長円形に形成されており、その平面領域(開口領域)内にVCMダンパー9を収めることができる大きさに形成されている。但し、この開口部10の平面形状は長円形に限定されるものではなく、その平面内にVCMダンパー9を収めることができるものであれば良い。
【0024】
プレート状制振部材11は、ステンレスまたはアルミニウム等よりなる金属製プレートによって平板状に形成されており、その平面形状を開口部10よりも一回り大きな長円形に形成されている。但し、このプレート状制振部材11の平面形状は長円形に限定されるものではなく、開口部10を平面上塞ぐことができるものであれば良い。
【0025】
また、このプレート状制振部材11は、その周縁部を開口部10の周縁部10aの外方(図2における上方)に重ねてオーバーラップ部11aとしており、このオーバーラップ部11aと開口部10の周縁部10aとの間に弾性体12が配置されている。
【0026】
弾性体12の材質は、フッ素ゴム、ニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンゴムなどや、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどであり、これらの混合物であっても良い。これらによって弾性体12はエンドレス状に形成されており、開口部10の周りに全周に亙って配置されており、全周に亙ってトップカバー1およびプレート状制振部材11に対して接着されている。
【0027】
上記構成要素のうち、VCM8とVCMダンパー9、VCMダンパー9と制振部材11、制振部材11と弾性体12、弾性体12とトップカバー1はそれぞれ接着されまたは非接着で接触しているが、VCM8と制振部材11、VCM8と弾性体12、VCM8とトップカバー1、VCMダンパー9と弾性体12、VCMダンパー9とトップカバー1、制振部材11とトップカバー1はそれぞれ接触しておらず、互いに非接触とされている。
【0028】
上記構成のトップカバー1においては、VCMダンパー9の外側に配置されてこのVCMダンパー9に接触するプレート状制振部材11が弾性体12を介してトップカバー1に連結されているために、このプレート状制振部材11を質量体とするとともに弾性体12をバネとするダイナミックダンパー13が形成されている。したがって、このダイナミックダンパー13の共振周波数を予め、VCM8に発生しVCMダンパー9を介して伝播されてくる振動の周波数と合致させることにより、このダイナミックダンパー13の共振作動による制振作用によって振動を有効に低減させることができ、よってVCM8の作動時に発生する振動や音振動を小さく抑えることができる。
【0029】
また、上記したようにVCMダンパー9がトップカバー1に直接接触することなくプレート状制振部材11に接触する構成とされているために、VCM8の作動時に発生する振動がVCM8からVCMダンパー9を介してトップカバー1へと直接伝えられず、VCM8からVCMダンパー9、制振部材11および弾性体12を介してこの順にトップカバー1へと伝えられることになり、この経路の途中に弾性体12が設けられているために、この弾性体12のせん断変形による制振作用か発揮される。これは弾性体12がせん断変形すると振動エネルギーを吸収するために、これにより振動を低減させるものである。したがって、VCM8から伝播される振動を有効に低減させることができ、よってVCM8作動時に発生する振動や音振動を小さく抑えることができる。
【0030】
また、トップカバー1の平面上の一部をプレート状制振部材11として実質別体にしたことに伴う振動絶縁作用が発揮されるために、この点からもVCM8から伝播される振動を有効に低減させることができ、よってVCM8作動時に発生する振動や音振動を小さく抑えることができる。
【0031】
更にまた、トップカバー1に設けた開口部10をプレート状制振部材11および弾性体12によって完全に閉塞する構造であるために、外部の塵埃等の異物が開口部10を通ってカバー1内部へ侵入することがない。
【0032】
第二実施例・・・
尚、上記第一実施例において、プレート状制振部材11の平面形状を開口部10の平面形状よりも一回り大きく形成してその周縁部に、開口部10の周縁部10aの外方に重ねられるオーバーラップ部11aを設けたのは、弾性体12をその作動時に圧縮変形だけではなく、せん断変形させることにより、より多くの振動エネルギーを吸収するためである。したがって、本発明の第二実施例として図4および図5に示すように、プレート状制振部材11はこれをトップカバー1の内方(図5における下方であってHDD筐体の内側)に配置するようにしても良い。この第二実施例におけるその他の構成および作用効果は、上記第一実施例と同じである。
【0033】
第三実施例・・・
また、トップカバー1とVCM8とをネジを用いて固定する場合があるが、このネジ固定式のトップカバーに本発明の請求項2に係る構造ないし上記第一、第二実施例に係る構造を適用する場合には、本発明の第三実施例として図6および図7に示すように、プレート状制振部材11にネジ挿通孔14を所要数(図では二箇所)設け、各ネジ挿通孔14にネジ15を差し込んでこれをVCM8に螺合する。ネジ挿通孔14はそれぞれ、プレート状制振部材11の平面上にネジ15の頭部15aを収容する大きさの凹部16を設けることによりその底部に形成されており、かつネジ挿通孔14の大きさはネジ15の雄ねじ部15bよりも大きく頭部15aよりも小さく形成されている。この場合、VCM8からカバー1への振動伝達がVCMダンパー9だけでなくネジ15を通しても伝わるため、振動・騒音が特に大きくなり、よって本発明の請求項2に係る構造ないし上記第一、第二実施例に係る構造を用いることによる効果も大きい。この第三実施例におけるその他の構成および作用効果は、上記第一実施例と同じである。
【0034】
第四実施例・・・
図8は、本発明の第四実施例に係るトップカバー1の平面図を示しており、そのD−D線拡大断面が図9に示されている。
【0035】
当該実施例に係るトップカバー1は、HDD用トップカバーとして、上記図3に示したベースプレート2の上面開口部に被せられて、このベースプレート2とともにHDD用の筐体をなすものである。このトップカバー1は、ステンレスまたはアルミニウム等よりなる金属プレートをプレス加工することによって形成されており、その平面上に適宜、凹凸加工3や組立ネジの差込み孔4等が設けられている。
【0036】
当該トップカバー1には、以下のような制振構造が設けられている。
【0037】
すなわち、当該トップカバー1におけるVCMダンパー9の外方部位(図9における上方部位)の外面側にプレート状制振部材11が配置されており、このプレート状制振部材11が弾性体12を介してトップカバー1に連結されている。
【0038】
プレート状制振部材11は、ステンレスまたはアルミニウム等よりなる金属製プレートによって平板状に形成されており、その平面形状を長円形に形成されており、その平面領域内にVCMダンパー9を収めることができる大きさに形成されている。但し、このプレート状制振部材11の平面形状は長円形に限定されるものではない。
【0039】
弾性体12の材質は、フッ素ゴム、ニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンゴムなどや、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどであり、これらの混合物であっても良い。これらによって弾性体12はプレート状制振部材11と同じもしくは略同じ平面形状またはエンドレス形状に形成されており、その全面に亙ってトップカバー1およびプレート状制振部材11に対して接着されている。
【0040】
上記構成要素のうち、VCM8とVCMダンパー9、VCMダンパー9とトップカバー1、トップカバー1と弾性体12、弾性体12と制振部材11はそれぞれ接着されまたは接触しているが、トップカバー1と制振部材11は接触しておらず、互いに非接触とされている。また、当該トップカバー1に開口部は設けられていない。
【0041】
上記構成のトップカバー1においては、上記したようにVCMダンパー9の外方部位において、トップカバー1の外面に弾性体12が連結されるとともに弾性体12にプレート状制振部材11が連結されているために、このプレート状制振部材11を質量体とするとともに弾性体12をバネとするダイナミックダンパー13が形成されている。したがって、このダイナミックダンパー13の共振周波数を予め、VCM8に発生しVCMダンパー9を介して伝播されてくる振動の周波数と合致させることにより、このダイナミックダンパー13の共振作動による制振作用によって振動を有効に低減させることができ、よってVCM8の作動時に発生する振動や音振動を小さく抑えることができる。
【0042】
また、上記構成のトップカバー1によれば、弾性体12が、開口部を設けていないトップカバー1の外面側に配置されてトップカバー1によって筐体内部空間と隔離される構造であるために、上記した弾性体アウトガスの問題が生じるのを未然に防止することができる。また、アウトガスの問題を考慮することなく弾性体12の材質を選択することができることから、弾性体12材質の選択幅を拡げることができる。
【0043】
尚、上記第一実施例に係るトップカバー(図2の形状)および第四実施例に係るトップカバー(図9の形状)による騒音発生状況を比較例とともに試験したところ、図10のグラフ図に示す結果を得た。比較例は図11に示した従来例に係るトップカバー(図11の従来形状)であり、これらの実施例および比較例に係るトップカバーをそれぞれ、カバーVCM付近(カバーにおけるVCMの上方部位であって、実施例に係るカバーについてはプレート状制振部材が配置されている部位)で音圧測定した。
【0044】
音圧レベル(dB)の測定結果は、図10に示すとおり第一実施例に係るトップカバー(図2の形状)および第四実施例に係るトップカバー(図9の形状)ともVCM付近における音圧レベルの低下が著しく、よって本発明による制振効果を充分に確認することができた。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0046】
すなわち、上記構成を備えた本発明の請求項1によるトップカバーにおいては、トップカバーにおけるVCMダンパーの外方部位にプレート状制振部材が配置されるとともにこのプレート状制振部材が弾性体を介してトップカバーに連結されているために、このプレート状制振部材および弾性体が発揮する制振作用、すなわちダイナミックダンパーの共振作動による制振作用や弾性体のせん断変形による制振作用等によってVCMからの振動を有効に低減させることができる。したがって、VCM作動時に発生する音振動が小さく、静粛性に優れた高品質のトップカバー製品を提供することができる。
【0047】
また、上記構成を備えた本発明の請求項2によるトップカバーにおいては、トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位に開口部が設けられ、この開口部を平面上塞ぐようにプレート状制振部材が配置されるとともにこのプレート状制振部材が開口部の周りで弾性体を介してトップカバーに連結されているために、このプレート状制振部材および弾性体が発揮する制振作用、すなわちダイナミックダンパーの共振作動による制振作用や弾性体のせん断変形による制振作用やトップカバーの平面上の一部を別体にしたことによる振動絶縁作用等によってVCMからの振動を有効に低減させることができる。したがって、VCM作動時に発生する音振動が小さく、静粛性に優れた高品質のトップカバー製品を提供することができる。
【0048】
また、上記構成を備えた本発明の請求項3によるトップカバーにおいては、トップカバーにおけるVCMダンパー外方部位の外面側にプレート状制振部材が配置されるとともにこのプレート状制振部材が弾性体を介してトップカバーに連結されているために、プレート状制振部材および弾性体が発揮する制振作用、すなわちダイナミックダンパーの共振作動による制振作用等によってVCMからの振動を有効に低減させることができる。したがって、VCM作動時に発生する音振動が小さく、静粛性に優れた高品質のトップカバー製品を提供することができる。
【0049】
また、この本発明の請求項3によるトップカバーにおいては併せて、弾性体がトップカバーの外面側に配置されてトップカバーにより筐体内部空間と隔離されるために、弾性体アウトガスの問題が生じるのを未然に防止することができ、よって弾性体材料の選択幅を拡げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例に係るトップカバーの平面図
【図2】図1におけるA−A線拡大断面図
【図3】同トップカバーと組み合わされるベースプレートの平面図
【図4】本発明の第二実施例に係るトップカバーの平面図
【図5】図4におけるB−B線拡大断面図
【図6】本発明の第三実施例に係るトップカバーの平面図
【図7】図6におけるC−C線拡大断面図
【図8】本発明の第四実施例に係るトップカバーの平面図
【図9】図8におけるD−D線拡大断面図
【図10】比較試験の結果を示すグラフ図
【図11】従来例に係るトップカバーの要部断面図
【符号の説明】
1 トップカバー
2 ベースプレート
3 凹凸加工
4 差込み孔
5 磁気ディスク
6 アーム
7 磁気ヘッド
8 VCM(ボイスコイルモータ)
9 VCMダンパー
10 開口部
10a 周縁部
11 プレート状制振部材
11a オーバーラップ部
12 弾性体
13 ダイナミックダンパー
14 各ネジ挿通孔
15 ネジ
15a 頭部
15b 雄ねじ部
16 凹部
Claims (3)
- VCM(8)との間にVCMダンパー(9)を配置されるトップカバー(1)において、
当該トップカバー(1)におけるVCMダンパー(9)外方部位にプレート状制振部材(11)を配置し、前記プレート状制振部材(11)を弾性体(12)を介して当該トップカバー(1)に連結したことを特徴とするトップカバー。 - 請求項1のトップカバーにおいて、
当該トップカバー(1)におけるVCMダンパー(9)外方部位に開口部(10)を設け、前記開口部(10)を平面上塞ぐようにプレート状制振部材(11)を配置し、前記プレート状制振部材(11)を前記開口部(10)の周りで弾性体(12)を介して当該トップカバー(1)に連結したことを特徴とするトップカバー。 - 請求項1のトップカバーにおいて、
当該トップカバー(1)におけるVCMダンパー(9)外方部位の外面側にプレート状制振部材(11)を配置し、前記プレート状制振部材(11)を弾性体(12)を介して当該トップカバー(1)に連結したことを特徴とするトップカバー。
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Cited By (2)
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EP1615223A2 (en) * | 2004-07-03 | 2006-01-11 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Hard disk drive and method adopting damping member with open-cell structure |
EP1628189A1 (en) * | 2004-08-10 | 2006-02-22 | ASUSTeK Computer Inc. | Shock absorber assembly and portable computer utilizing the same |
-
2002
- 2002-11-27 JP JP2002343173A patent/JP2004178677A/ja not_active Withdrawn
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