JP2004177312A - 流体の三次元温度・速度同時計測方法 - Google Patents

流体の三次元温度・速度同時計測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】流体の三次元的な場における温度および速度を非接触で同時に計測する。
【解決手段】蛍光強度の温度依存特性が互いに異なる二種類の蛍光物質と包含させたトレーサ粒子を流体に混入し、励起光を照射して二つの蛍光のそれぞれ一方ずつを二台のカメラのそれぞれに選択入射させ、蛍光強度比により温度を求める。また、二台のカメラの視差を利用してトレーサ粒子の三次元的位置を追跡することにより速度を求める。 これにより、三次元的な場における流体の温度と流速とが同時計測されるものである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は流体の温度と速度とを同時に計測する方法、詳しくは流体の三次元的温度状態と三次元的な場での速度とを同時に計測する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
流体の温度と速度とを個別に計測することなく同時に計測する技術が特開平9−126837号公報に開示されている。
【0003】
この公報に記載されている計測方法は、蛍光スペクトルの二つのピークの蛍光強度比が温度依存性を有する蛍光物質を含むトレーサ粒子を流体に混入し、励起光を照射してトレーサ粒子が発する蛍光強度あるいは蛍光強度比を計測するか、または異なる波長の蛍光を発する二種類の蛍光物質のそれぞれ一方を含むトレーサ粒子を流体に混入し、励起光を照射してトレーサ粒子がそれぞれ発する蛍光の最大蛍光強度比を計測することによって、流体の温度を非接触で測定し、且つ蛍光は通過するが励起光は通過しないフィルタを通して流体を観測することによって流体の流れを計測するものである。 フィルタ越しに蛍光を観察することによってトレーサ粒子の動き、即ち流体の速度が計測される。
【0004】
ところが、この計測方法に従って行なう計測の結果に高い精度、信頼性を与えるためには、一種類のトレーサ粒子を使用する場合は蛍光のスペクトルを計測するため多点での測定が困難であり、二種類のトレーサ粒子を使用する場合は常に一定比率で液体に混入し且つ均一に分布させることが必要であってきわめて面倒且つ困難である。 加えて、前記公報に開示されている計測方法は、励起光を照射して発生させた蛍光を側方一個所で観察しているので、二次元平面上での温度および流速しか測定することができない、という不満足がある。
【0005】
一般に、流体の温度を非接触で計測する手段として、前記公報記載の計測方法でも利用されているレーザ誘起蛍光法が知られている。 これは、蛍光染料の希薄溶液中にレーザ光を平面状のシート光として照射し、蛍光染料が発する蛍光を観測することによって、二次元平面内の温度を非接触で測定するものである。 また、流体の速度を計測する手段として、粒子画像流速計を用いて二次元平面内における速度を測定すること、或いは三次元画像処理流速計を用いて三次元的な場における速度を計測することが知られている。
【0006】
しかしながら、レーザ誘起蛍光法に三次元画像処理流速計を組み合わせて流体の温度と速度との計測を試みても、速度については三次元の計測が可能であるが、温度については二次元平面内での状態しか測定することができない。 また、粒子画像流速計を用いてレーザ光を奥行き方向へスキャンするなどにより、三次元的な場における温度、速度の計測を行なうことは可能であるが、この方法は擬似的な三次元計測であるため時間変化を伴う非定常状態の流体について計測を行なうと不正確となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は非定常の温度場と速度場とを三次元的に同時測定することが可能であり、しかも正確で信頼性ある計測が行なえる技術がなかった、という前述の課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、複雑な流路内における乱流熱流束などについても、その温度・速度相関の三次元分布に関する正確な実験データを容易に蓄積させることができ、従って非一様な場における乱流熱伝達の詳細の解明に貢献する流体の三次元温度・速度同時計測方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は三次元的な場での流体の温度と速度との同時計測を可能とするために、トレーサ粒子として蛍光強度の温度依存特性が互いに異なる二種類の蛍光物質を包含させたものを使用すること;このトレーサ粒子を流体に混入して励起光を照射することにより二種類の蛍光物質が発した蛍光のそれぞれ一方のみを二台のカメラのそれぞれに選択入射させること;二台のカメラのそれぞれに入射した蛍光の強度比から三次元的な場でのトレーサ粒子位置における流体の温度を求めること;二台のカメラの視差を利用してトレーサ粒子の三次元位置を求め、更に得られた三次元位置を追跡することにより三次元的な場での流体の速度を求めること;からなるものとした。
【0009】
この測定方法によると、二種類の蛍光物質を一個のトレーサ粒子に包含させているので、粒子の流体中の分布状態が不均一であっても一個の粒子、即ち同一場所で発する二つの蛍光の強度が観測されることとなり、励起光の強弱や粒子径の大小などの影響を受けることなく正確な温度計測を行うことができる。
【0010】
また、二台のカメラの視差を利用してトレーサ粒子の三次元位置を追跡することにより三次元的な場での流体の速度の正確な計測を行なうことができる。 そして、トレーサ粒子の三次元位置が判るということは、その位置で発せられた二つの蛍光が観測された結果であり、従ってその位置の温度も併せて計測されることから、三次元的な場での流体の温度と速度とを同時に計測して、温度・速度相関の三次元分布に関する正確な実験データを容易に蓄積させることができるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
最初に本発明に使用されるトレーサ粒子の一つを調製する手順を、蛍光物質として広く知られている無機物、有機物の内で蛍光強度が互いに異なる二種類の蛍光染料、例えばローダミンBとローダミン110とを使用した場合について説明する。
【0012】
第一に、水に水酸化ナトリウムを加えて作ったアルカリ水溶液にローダミン110を加え、次にこのアルカリ水溶液に有機溶媒を加えることによりローダミン110を有機溶媒中に溶出させる。 第二に、ローダミン110の溶媒溶液を取り出してこれに低分子量ポリスチレンとローダミンBとを溶解させ、界面活性剤(例えばSpan85)を加える。 第三に、前記とは別の界面活性剤(例えばゼラチン)を水に加えて分散液を作る。 第四に、第二で得た溶液(油相)を第三で得た分散液(水相)に投入、撹拌してO/W型エマルジョンを形成し、これを一定温度に保持することによって有機溶媒を徐々に分散液中に溶解させ、次で気化させて分離する。 これにより、有機溶媒中のポリスチレンが析出して粒子を形成するものである。 また、粒子の径は分散液の撹拌速度によって調節可能である。
【0013】
ローダミンBおよびローダミン110の一部は分散液中に溶出するが、大半はポリスチレンに付着したまま粒子に残る。 従って、この二種類の蛍光染料を互いに同量使用することにより、前記の手順で調整されたトレーサ粒子はこれらをほぼ同量ずつ包含したものとなる。 このため、多数個を流体に混入して計測を行なうときに粒子に照射される励起光の強度に違いが生じても、温度に応じた蛍光強度比は一定であって、信頼性ある温度測定を行なうことができる。
【0014】
また、本実施の形態によって調整されたトレーサ粒子はポリスチレンを蛍光染料で着色したものであり、蛍光染料の含有量を著しく多くして蛍光強度が強いものとすることが容易に可能である。 また、一つのトレーサ粒子が発する蛍光、換言すれば一点で発せられる蛍光の強度比により温度を求めるものであることから、二種類の蛍光染料の含有割合を同量に限らずほぼ一定割合としたものを使用することにより、粒径が異なっていても、或いは流体中の粒子分布が不均一であっても、または反射光に強弱があっても、正確な温度測定を行なうことができる。
【0015】
更に、本実施の形態によって調製されたトレーサ粒子はポリスチレンに二種類の蛍光染料を包含させた粒子であり、周囲流体の温度場や速度場の最小スケールと同程度以下の粒径とすることにより、温度および速度に対して十分な追従性をもたせることが可能となる。 このような粒径は具体的には0.1〜2mm程度である。
【0016】
尚、本実施の形態によって調製されたトレーサ粒子を構成する高分子有機材料であるポリスチレンと有機物である蛍光染料とは、ともに耐熱性が劣るので高温場での使用ができず、また気流への適用も限界がある、という使用上の制限がある。 しかし本発明では温度依存特性が互いに異なる二種類の無機物からなる蛍光物質を例えば焼結して一つの粒子としたものを使用することもでき、このようなトレーサ粒子は燃焼ガスのように高温の流体の計測に用いることができる。 また、蛍光物質が蛍光染料である場合、ポリスチレンに限らず適宜の高分子有機材料を用いることにより、計測しようとする流体とほぼ同一の比重のトレーサ粒子を作ることが可能である。
【0017】
次に、このようなトレーサ粒子を用いて流体の三次元的な場での温度・速度を同時計測する実施の形態を、図1を参照して説明する。 前述の三次元画像処理流速計は、画像上の粒子を追跡することにより二次元平面上での粒子の位置と速度とを計測する、という手法を拡張し、複数台のカメラを用いることで三次元での粒子の位置と速度とを計測するものであり、本実施の形態ではこの原理を利用している。
【0018】
図1において、測定しようとする流体の流路1またはその一部を形成する容器2は少なくとも測定領域が透明材料で作られており、その一側方に励起光照射装置3が設置されている。この励起光照射装置3はハロゲン、メタルハライド、レーザ、LEDなど適宜の光源4と、その出射光の内で特定波長の光を透過させるショートウエーブパスフィルタまたはバンドパスフィルタ5とからなり、容器2の中心部へ向けて配置される。 フィルタ5を透過した光は蛍光物質に蛍光を発生させる励起光である。 尚、光源4として白熱電球などの発熱を伴う光源を使用する場合は赤外線除去フィルタが別途に必要である。
【0019】
励起光照射装置3とは別の一側方には撮像装置6が設置されている。 この撮像装置6は中心線C、Cを容器2の内部で交叉させて一平面上に配備した二台のカメラ7A、7Bと、それらの前面に設置されて流体に混入したトレーサ粒子の二種類の蛍光物質が励起光の照射により発する蛍光のそれぞれ一方のみを透過してカメラ7A、7Bのそれぞれに選択入射させるバンドパスフィルタ8A、8Bとを具えている。
【0020】
カメラ7A、7Bとしては高速度カメラ、撮影管、CCDカメラ、CMOSカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、デジタルビデオカメラなど任意のアナログカメラおよびデジタルカメラを用いることができる。 本実施の形態ではアナログCCDカメラを使用し、またフィルタ8A、8Bを透過して微弱化した蛍光の画像の出力感度を高めるためにビデオプロセッサ9A、9Bで増幅するものとした。
【0021】
一方、各時刻におけるトレーサ粒子位置を正確に計測するためには、トレーサ粒子の動きや温度変化に比べて撮影のコマ速度が遅いときはシャッタ速度を調整して各時刻毎の静止画像を得る必要がある。 従って、トレーサ粒子の動きが低速度であれば連続露光であっても差支えない。 尚、トレーサ粒子の撮影にズームレンズを使用し、一つのトレーサ粒子の画像を多数画素、例えば直径10画素程度に拡大して捉え、各画素の輝度の総和をそのトレーサ粒子の蛍光強度とすることにより、カメラの雑音の影響を大幅に排除して正確な蛍光強度を得ることができる。
【0022】
また、二台のカメラ7A、7Bをそれらの中心線C、Cが前方で交叉するように配置することは、三次元の計測を行うために必要な視差を生じさせるための不可欠な要件である。 交叉角度は周辺の機器類との位置関係により制限を受ける場合があるが、奥行き方向の計測誤差を最小とする90度とするのが最適である。 更に、二台のカメラ7A、7Bを一平面上に設置することにより、各カメラ7A、7Bそれぞれの画像座標と三次元座標(基準となる座標)との関係を簡単に表すことが可能となる。
【0023】
次に、二台のカメラ7A、7Bが撮影したトレーサ粒子の画像を基に、三次元的な場での流体の温度および速度をコンピュータ11で算出する。 コンピュータ11は一般的にはマイクロコンピュータであって、記憶装置12、トレーサ粒子位置計測装置13、速度算出装置14、温度算出装置15、データ記録装置16を内蔵し、周辺機器としてモニタ17やプリンタ18を具えている。
【0024】
記憶装置12は蛍光強度比と温度との関係、各カメラの画像座標と三次元座標との関係、トレーサ粒子の各時刻における三次元座標から三次元のすべての速度成分に基いて速度を算出する計算式、位置情報を含んだ温度検正式または検正曲線など、温度および流速の算出に必要なデータ類が格納されている。
【0025】
トレーサ粒子位置計測装置13は二台のカメラ7A、7Bの視差を利用することによって、各時刻でのトレーサ粒子の三次元位置を計測するものであり、二台のカメラ7A、7Bが撮影したトレーサ粒子の軌跡における移動距離と予め設定した時間間隔とから、三次元のすべての速度成分が同時に求められる。 速度算出装置14は三次元の全ての速度成分に基づいて三次元的な場でのトレーサ粒子の速度、即ち流体の速度を前記の計算式を用いて算出するものであり、各トレーサ粒子の各時刻における各位置での各速度ベクトル成分が直接計測されることから、速度を容易に求めることができる。 この場合、各カメラ7A、7Bの画像座標と三次元座標との関係が予め求められているので、トレーサ粒子の三次元座標上における位置が正確に特定され、信頼性ある計測結果を得ることができる。
【0026】
温度算出装置15は二台のカメラ7A、7Bのそれぞれに入射した二種類の蛍光の強度を求め、これらの強度比を計算して記録装置12に格納されている蛍光強度比と温度との関係からトレーサ粒子の温度、即ちこのトレーサ粒子位置における流体の温度を算出するものである。 蛍光強度比に基く温度の算出はこれらの数値の対照表または関係グラフ、或いは蛍光強度比を変数とする関係式を作成しておくことにより簡単に行なうことができる。
【0027】
尚、本発明では三次元的なトレーサ粒子位置における蛍光を観測するので、広い領域を同時に計測する場合に位置によってカメラまでの光路長が異なるため周囲流体による蛍光の吸収などの影響を受け、蛍光強度がトレーサ粒子の位置によって変化することがある。 このような誤差は位置情報を含んだ温度検正を行なうことにより消去することができる。 一方、位置の計測は蛍光強度と無関係であるので、蛍光強度比の狂いによる誤差を生じる心配は皆無である。
【0028】
データ記録装置16はトレーサ粒子の動きの軌跡を画像で記録するためのものであるが、本実施の形態では、予め設定した各時刻でのトレーサ粒子の位置、速度、温度などの計測結果を数値で記録し保存する機能をも有するものとしている。
【0029】
以上の装置を用いて流体の三次元的な場での温度と速度とを同時計測する過程を簡単に説明すると、流路1を流れる流体に適宜量のトレーサ粒子を混入分散させ、励起光照射装置3から所定波長の励起光を流路1内に照射し、この励起光がトレーサ粒子に当たることによって発生した二種類の蛍光を二台のカメラ7A、7Bに選択入射させ、これらの蛍光強度に基いて温度算出装置15で温度を算出し、その一方で二台のカメラの視差を利用して得たトレーサ粒子の三次元位置情報に基いて速度算出装置14で流体の速度を算出するものである。
【0030】
また、以上の説明から判るように、計測に必要な装置は適切な波長の励起光を発する光源一式、画像上のトレーサ粒子位置が計測可能な機器類二式以上、トレーサ粒子画像の蛍光強度が計測可能な機器類二式以上、得られたデータの解析機能を有する機器一式である。 即ち、本発明は二台のカメラを使用することに限られるものではなく、三台以上のカメラを使用することがある。 この場合、二台は前述のように温度と速度の算出のために使用し、それ以外のカメラはその画像座標と三次元座標の関係および撮影した画像上の視差に基いてトレーサ粒子の三次元位置を求めるデータの追加を行なうことに使用することによって、位置および速度の計測の精度を上げることができる。
【0031】
光源については図1の励起光照射装置3に関する説明の通りである。 粒子位置計測機器および蛍光強度計測機器については種々の撮像装置、データ記録装置、画像入力装置を組み合わせることができる。 また、画像をアナログビデオカメラやデジタルビデオカメラなどの媒体に記録して観測を終了した後にデジタル化やデータ入力を行うことも可能であり、この場合は図1の撮像装置6はコンピュータ11と分離して単独で設置される。 更に、データ解析機器については図1のコンピュータ11のようにデータ処理機能の全てを内蔵させたものとする代りに、専用のデータ処理装置を用いることができ、従ってまた図1のコンピュータ11の機能の一部を専用の外部装置に移すこともできる。
【0032】
ここで、本発明による温度と速度の同時計測について行なった試験結果を述べると、図2に示すように槽21の下部に電気ヒータで加熱されるアルミニウム板22を設置するとともに、上部に循環冷却水で冷却されるアルミニウム板23を設置し、更に槽21の周壁を断熱材で被覆した。 槽21の上下の板22、23の間の空間にトレーサ粒子と同一比重にした塩水を封入して徐々に加熱と冷却とを行ない、準定常状態での自然対流の測定を行なった。 また、トレーサ粒子としてポリスチレンにローダミンBとローダミン110とを包含させた球状粒子を用い、その一粒を水に投入した。
【0033】
槽21の一側方にハロゲンランプ24および500nmのショートウェーブパスフィルタ25を配置し、これを透過した光を励起光としてトレーサ粒子に照射した。 槽21の別の一側方にそれぞれ546nm(ローダミンBの蛍光のみ透過)、650nm(ローダミン110の蛍光のみ透過)のバンドパスフィルタ27、29を取り付けた二台のカメラ26、28を中心線交叉角度15度に設置し、トレーサ粒子が発する蛍光の一方ずつを入射撮影してその動きを追跡した。
【0034】
図3(A)、(B)、(C)は撮影により得られた各時刻でのトレーサ粒子位置における各速度ベクトル成分を面X−Z、面X−Y、面Z−Yに再構築して示した軌跡図であって、三次元的な場での流体の速度を計測できることを示している。
【0035】
更に、速度計測と同時に行なった温度計測により瞬時の温度分布を求めた結果を図4に示す。 図4は縦軸を図2の上下アルミニウム板22,23間の全高を1として高さと温度との関係をプロットしたものであって、実線はKerrの平均温度の予想線(“Rayleigh number scaling in numerical convection”,J.Fluid Mech.,310(1996)139−179.)である。 この図から対流層の中央部で温度一定、上下面近傍で急激な温度勾配が表われている。 このことから、トレーサ粒子が発する蛍光の強度比が温度変化に忠実に追従していることが判る。
【0036】
更にまた、上部のアルミニウム板23を透明アクリル樹脂板に替え、その上方にトレーサ粒子の三次元軌跡の確認用カメラ30を設置し、上下の温度差による自然対流を形成してトレーサ粒子の動きを追跡した。
【0037】
図5の上のグラフは二台のカメラ26、28が撮影した撮像を基に面X−Zに再構築した軌跡図、下の写真は面X−Z方向に見たカメラ30によるトレーサ粒子の撮影画像である。 これらはきわめてよく一致しており、カメラ奥行き方向の計測が良好に行なえることを示している。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると非接触で流体の三次元的な場における温度と速度とを同時に且つ正確に計測することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する装置の一例を示す配置図。
【図2】本発明を試験する装置の概略図。
【図3】図2の試験装置で得られたトレーサ粒子の速度ベクトルから作った三平面上の軌跡図。
【図4】図2の実験装置で得られた温度分布を示す図。
【図5】図2の試験装置で得られたトレーサ粒子の平面上の軌跡および影像を比較する図。
【符号の説明】
1 励起光照射装置、4 光源、6 撮像装置、7A,7B カメラ、11 コンピュータ。12 記憶装置、13 トレーサ粒子位置計測装置、14 速度算出装置、15 温度算出装置、16 データ記録装置

Claims (6)

  1. トレーサ粒子として蛍光強度の温度依存特性が互いに異なる二種類の蛍光物質を包含させたものを使用すること、
    前記トレーサ粒子を流体に混入して励起光を照射することにより前記二種類の蛍光物質が発した蛍光のそれぞれ一方のみを二台のカメラのそれぞれに選択入射させること、
    前記二台のカメラのそれぞれに入射した蛍光の強度比から三次元的な場でのトレーサ粒子位置における流体の温度を求めること、
    前記二台のカメラの視差を利用して前記トレーサ粒子の三次元位置を求め、更に得られた三次元位置を追跡することにより三次元的な場での流体の速度を求めること、
    を特徴とする流体の三次元温度・速度同時計測方法。
  2. 前記トレーサ粒子として二種類の蛍光物質をほぼ一定割合で包含させたものを使用する請求項1に記載した流体の三次元温度・速度同時計測方法。
  3. 前記トレーサ粒子として周囲流体の温度場および速度場の最小スケールと同程度以下の粒径とし、且つ周囲流体に近似の物性値を有するものを使用する請求項1に記載した流体の三次元温度・速度同時計測方法。
  4. 前記二台のカメラは前記トレーサ粒子を多数画素に拡大して捉え、各画素の輝度の総和を蛍光強度としてトレーサ粒子位置における温度を求める請求項1に記載した流体の三次元温度・速度同時計測方法。
  5. 前記二台のカメラをそれらの中心線が前方で交叉する方向に配置するとともに、各カメラの画像座標と三次元座標との関係を予め求めておき、この座標関係と前記二台のカメラで撮影することによる画像上の視差とに基いて前記トレーサ粒子の三次元位置およびその位置での三次元の流速を求める請求項1に記載した流体の三次元温度・速度同時計測方法。
  6. 前記二台のカメラで前記トレーサ粒子を追跡することにより得られる前記トレーサ粒子の軌跡上での予め設定した時間間隔毎の各時刻における位置での各方向への速度ベクトル成分を求め、これらから三次元的な場での速度を求める請求項1,5のいずれかに記載した流体の三次元温度・速度同時計測方法。
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