JP2004177294A - 非接触変位計と非接触変位計を使用する測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定電極よりも狭い領域の凹凸を検出しながら高い精度で距離を測定する。
【解決手段】非接触変位計は、先端に測定電極3を有するプローブ2を測定ワーク1に接近させて、測定ワーク1と測定電極3との間の静電容量の変化でもって、測定ワーク1とプローブ2との間隔の変位から測定ワーク1の表面形状を測定する。非接触変位計は、測定電極3が測定ワーク1の測定面に沿って移動するように、プローブ2と測定ワーク1のいずれか又は両方を相対的に移動させる移動機構7と、測定電極3と測定ワーク1との間の静電容量の変化を検出して、測定ワーク1と測定電極3との間隔の変化を演算する演算部8とを備える。演算部8は、測定電極3と測定ワーク1のいずれか又は両方が相対的に所定の移動距離(t)移動される毎に静電容量の変化を検出すると共に、移動距離(t)を測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭く設定している。
【選択図】 図3
【解決手段】非接触変位計は、先端に測定電極3を有するプローブ2を測定ワーク1に接近させて、測定ワーク1と測定電極3との間の静電容量の変化でもって、測定ワーク1とプローブ2との間隔の変位から測定ワーク1の表面形状を測定する。非接触変位計は、測定電極3が測定ワーク1の測定面に沿って移動するように、プローブ2と測定ワーク1のいずれか又は両方を相対的に移動させる移動機構7と、測定電極3と測定ワーク1との間の静電容量の変化を検出して、測定ワーク1と測定電極3との間隔の変化を演算する演算部8とを備える。演算部8は、測定電極3と測定ワーク1のいずれか又は両方が相対的に所定の移動距離(t)移動される毎に静電容量の変化を検出すると共に、移動距離(t)を測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭く設定している。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定ワークとの距離の変化を静電容量を介して測定する非接触変位計とこれを使用する測定方法に関する。とくに、本発明は、測定ワーク表面における測定電極の幅(W)よりも小さい変位を検出できる非接触変位計と、これを使用する測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電容量式の非接触変位計は、極めて高い精度で測定ワークの変位を検出できる。たとえば、最大測定変位を1mmとする非接触変位計は、最小検出変位である分解能を0.1μmと極めて高い精度としている。最大測定変位がさらに小さいものは、分解能を0.005μmと、より高い精度のものがある。
【0003】
非接触変位計は、プローブの測定電極を測定ワークに接近させて、測定ワークと測定電極との間隔を静電容量の変化として検出する。図1は測定原理を示す。この図において、測定ワーク1と測定電極3との間の静電容量は、測定電極3の面積と測定ワーク1と測定電極3との間の物質の誘電率の積に比例し、測定電極3と測定ワーク1との間隔に反比例する。静電容量は次の式で表すことができる。
C=K×S/d
ただし、Cは静電容量、Kは誘電率、Sは測定電極の面積、dは測定電極と測定ワークとの距離である。この式において、誘電率と、測定電極の面積は定数であるから、静電容量から測定電極と測定ワークとの間隔を検出できる。この式から明らかなように、静電容量Cは、面積Sを大きくして、距離dを小さくして大きくなる。このため、静電容量による方法は、測定電極の面積Sを大きくして、dを小さくする領域でより正確に測定ワークの変位を検出できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
測定電極の面積を大きくして静電容量を大きくすると、測定精度を高くできるが、測定ワークの小さい凹凸を正確に検出できなくなる。とくに、測定電極よりも小さい凹凸を正確に検出できなくなる。小さい凹凸を検出するために、測定電極の面積を小さくすると測定精度が低下する。静電容量式の非接触変位計は、測定できる最小の凹凸を小さくすることと測定精度を高くすることは互いに相反する特性であって、両方の特性を満足できない。このため、小さい凹凸のある測定ワークの測定に、レーザーを使用する非接触変位計が使用される。しかしながら、レーザーを使用する非接触変位計は、測定ワーク表面の反射率に影響を受けて、全ての測定ワークを正確に測定できない。たとえば、表面でレーザーを乱反射させる測定ワークは正確に測定できない。また、この非接触変位計は、極めて狭い領域、たとえば数μmのスポットにレーザーを集束して距離を測定するので、広い面積を有する測定ワーク全面の測定には時間がかかる。スポットに集束したレーザーを測定ワークの全面に走査させるのに時間がかかるからである。
【0005】
本発明は、このような欠点を解決することを目的に開発されたもので、本発明の重要な目的は、測定電極よりも狭い領域の凹凸を検出しながら高い精度で距離を測定できる非接触変位計を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の非接触変位計は、先端に測定電極3を有するプローブ2を備え、このプローブ2を測定ワーク1に接近させて、測定ワーク1と測定電極3との間の静電容量の変化でもって、測定ワーク1とプローブ2との間隔の変位から測定ワーク1の表面形状を測定する。測定電極3は、測定ワーク1の測定面に沿って移動するように、プローブ2と測定ワーク1のいずれか又は両方を相対的に移動させる移動機構7と、移動機構7で相対的に移動される測定電極3と測定ワーク1との間の静電容量の変化を検出して、静電容量の変化から測定ワーク1と測定電極3との間隔の変化を演算する演算部8とを備える。演算部8は、測定電極3と測定ワーク1のいずれか又は両方が相対的に所定の移動距離(t)移動される毎に静電容量の変化を検出すると共に、移動距離(t)を測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭く設定している。非接触変位計は、相対的に移動される測定電極3と測定ワーク1との静電容量の変化を演算部8で検出して、測定ワーク表面形状の測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭い変位を検出する。
【0007】
測定電極3は、移動機構7で移動される方向の幅(W)を、移動方向と直交する方向の長さよりも狭くすることができる。さらに、本発明の非接触変位計は、移動機構7が測定電極3と測定ワーク1のいずれか又は両方を相対的に所定の速度で移動させると共に、演算部8が所定のタイミングで静電容量を検出して、測定電極3と測定ワーク1のいずれか又は両方が相対的に移動距離(t)移動する毎に静電容量を検出することができる。さらに、本発明の非接触変位計は、演算部8が測定電極3と測定ワーク1との相対的な移動距離を測定し、測定した移動距離が所定の移動距離(t)になると静電容量を検出することができる。
【0008】
本発明の請求項5の非接触変位計を使用する測定方法は、先端に測定電極3を有するプローブ2を測定ワーク1に接近させて、測定ワーク1と測定電極3との間の静電容量でもって、測定ワーク1とプローブ2との間隔の変位から測定ワーク1の表面形状を測定する。この測定方法は、測定電極3が測定ワーク1と平行に移動するように、プローブ2と測定ワーク1のいずれか又は両方を相対的に移動させると共に、相対的に移動される測定電極3と測定ワーク1との間の静電容量の変化を検出して、静電容量の変化から測定ワーク1と測定電極3との間隔の変化を演算する。さらに、この測定方法は、測定電極3と測定ワーク1のいずれか又は両方が相対的に所定の移動距離(t)移動される毎に静電容量の変化を検出すると共に、移動距離(t)を測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭く設定している。相対的に移動される測定電極3と測定ワーク1との静電容量の変化を検出して、測定ワーク表面形状の測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭い変位を検出する。
【0009】
さらに、本発明の非接触変位計を使用する測定方法は、測定電極3と測定ワーク1のいずれか又は両方を相対的に所定の速度で移動させると共に、所定のタイミングで静電容量を検出して、移動距離(t)を測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭く設定することができる。さらに、本発明の非接触変位計を使用する測定方法は、測定電極3と測定ワーク1との相対的な移動距離を測定し、測定した移動距離が所定の移動距離(t)になると静電容量を検出することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための非接触変位計とこれを使用する測定方法を例示するものであって、本発明は非接触変位計の構造と測定方法を下記のものに特定しない。
【0011】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0012】
図2に示す静電容量式の非接触変位計は、測定ワーク1との間隔を検出する測定電極3を内蔵するプローブ2と、このプローブ2を移動させる移動機構7と、プローブ2の測定電極3に接続されて、測定ワーク1と測定電極3との間の静電容量の変化でもって、測定ワーク1とプローブ2との間隔の変位から測定ワーク1の表面形状を測定する演算部8とを備える。
【0013】
プローブ2は、先端に埋設している測定電極3と、測定電極3を埋設している絶縁体5と、この絶縁体5に埋設されて、測定電極3に接続しているリード線6とを備える。
【0014】
測定電極3は、金属板等の導電プレートである。測定電極3は、測定ワーク1との対向面を測定ワーク1の表面に沿う形状としている。測定面を平面とする測定ワーク1との間隔を測定する測定電極3は、測定ワーク1との対向面を平面状とする。ベアリングの内輪や外輪のように、測定面が湾曲面である測定ワークとの寸法を測定する測定電極は、測定ワークとの対向面を測定ワークに沿う湾曲面とする。測定ワークの測定面に沿う形状の測定電極は、より高い精度で測定ワークとの間隔を検出できる。ただし、測定電極は、測定ワークとの対向面を平面状として、測定ワークの間隔を検出することもできる。
【0015】
絶縁体5は、プラスチック等の絶縁材で、先端に測定電極3を埋設して、測定電極3を定位置に配置している。絶縁体5をプラスチックで成形するときに、測定電極3をインサートして埋設される。
【0016】
移動機構7は、測定電極3が測定ワーク1の表面と平行に移動するように、プローブ2を移動させる。静電容量式の非接触変位計は、たとえばベアリングの内輪や外輪の外径や内径の誤差や真円度を検出し、あるいは平面状に加工される平面の凹凸等の検出に使用される。したがって、測定される測定ワーク1の表面は、ほぼ平滑な面に仕上げられている。測定電極3は、このように仕上げられた測定ワーク1の表面の凹凸や寸法を検出する。とくに、本発明の非接触変位計は、測定電極3よりも狭い領域の凹凸を正確に検出する。
【0017】
図に示す移動機構7は、プローブ2を移動させて、測定電極3を測定ワーク1に対して相対的に移動させるようにしている。ただ、移動機構は、測定ワークを移動させて測定電極と測定ワークとを相対的に移動させることも、プローブと測定ワークの両方を相対的に移動させることもできる。測定ワークを移動させる移動機構は、測定ワークの測定面が測定電極の対向面と平行に移動するように測定ワークを移動させる。
【0018】
静電容量式の非接触変位計は、測定電極3と測定ワーク1との間の静電容量から測定ワーク1との間隔を検出する。ただ、測定電極3よりも小さい間隔の変化を検出できない。本発明の非接触変位計は、移動機構7でもって測定電極3を測定ワーク1の表面に沿って移動させながら、演算部8が静電容量を検出し、検出する静電容量の変化から測定電極3と測定ワーク1との間隔の変化を検出する。
【0019】
演算部8は、測定電極3が所定の移動距離(t)移動される毎に静電容量の変化を検出するが、静電容量を検出する移動距離(t)を、測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭く設定している。図3は、演算部8が、測定電極3と測定ワーク1との間隔を検出する原理図を示す。ただし、これ等の図は、わかりやすくするために、測定電極3と測定ワーク1の表面との間隔を広く表示すると共に、電気力線が測定電極3から垂直に測定ワーク1に到達すると仮定して説明する。現実には電気力線は、測定電極3の周囲で膨らむので、演算部8はこのことを補正してより正確に測定ワーク1との間隔を演算できる。
【0020】
演算部8は、測定電極3を所定の移動距離(t)移動させる毎に静電容量を検出する。静電容量を検出するために測定電極3を移動させる移動距離(t)は、測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭く設定する。移動距離(t)は、測定電極3の移動方向の幅(W)の1/2以下、好ましくは1/3以下、さらに好ましくは1/4以下とする。図3は、移動距離(t)を測定電極3の移動方向の幅(W)の1/8として、測定電極3を幅(W)の1/8移動させる毎に静電容量を検出する状態を示す。
【0021】
このことを実現するために、演算部8は、測定電極3の移動距離を検出して、測定電極3が所定の移動距離(t)移動することを検出する毎に静電容量を検出する。ただし、測定電極3を所定の速度で移動させて、所定のタイミングで静電容量を検出することもできる。この構造の非接触変位計は、移動機構7で測定電極3を一定の速度で移動させる。そして、演算部8は一定のサンプリング周期で静電容量を検出する。サンプリング周期は、測定電極3が移動距離(t)移動する時間に設定する。
【0022】
以下、測定電極3が移動して静電容量が変化する状態を、図3に示すように、8分割された▲1▼〜▲8▼の領域で考察する。▲1▼〜▲8▼の領域の幅は、測定電極3の移動距離(t)に等しくしている。測定電極3は、図3の(1)〜(6)に示すように移動して、(1)〜(6)の位置で静電容量が検出される。この図において、測定ワーク1の表面の凹部1aの幅(L)は、移動距離(t)の4倍としている。さらに、測定ワーク1の表面の凹凸は、測定電極3の横方向、言いかえると移動方向と直交する方向に同じであるとする。現実に、このような表面形状の測定ワークは多数にある。切削し、あるいは切断される測定ワークの表面がこの形状になるからである。この測定ワーク1は、切削する刃物や切断する刃物の移動方向には凹凸ができ難いからである。
【0023】
(1)〜(6)において、▲1▼〜▲8▼の領域の静電容量は、以下のように変化する。ただし、(1)に示す測定ワーク表面と平行な状態において、▲1▼〜▲8▼の各々の領域は1Cの静電容量を有するとする。
[測定電極が(1)の位置にあるとき]
▲1▼〜▲8▼の静電容量は全て1Cとなる。したがって、トータルの静電容量は8Cとなる。
[測定電極が(2)の位置にあるとき]
測定電極3が(2)の位置に移動すると、測定電極3の先端部の▲1▼の領域と測定ワーク1との間隔が2倍になる。したがって、▲1▼の領域の静電容量はC/2となる。静電容量が距離に反比例して小さくなるからである。▲2▼〜▲8▼の領域の静電容量は1Cである。したがって、トータルの静電容量は[(1/2)+7]と計算されて7.5Cとなる。
[測定電極が(3)の位置にあるとき]
▲1▼と▲2▼の領域の静電容量がC/2となり、▲3▼〜▲8▼の静電容量が1Cで変化しない。このため、トータルの静電容量は[(1/2)+(1/2)+6]Cと計算されて7Cとなる。
[測定電極が(4)の位置にあるとき]
▲1▼、▲2▼、▲3▼の領域の静電容量がC/2となり、▲4▼〜▲8▼の静電容量は1Cで変化しない。したがって、トータルの静電容量は[(1/2)+(1/2)+(1/2)+5]と計算されて6.5Cとなる。
[測定電極が(5)の位置にあるとき]
▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の領域の静電容量がC/2となり、▲5▼〜▲8▼の静電容量は1Cで変化しない。したがって、トータルの静電容量は、[(1/2)+(1/2)+(1/2)+(1/2)+4]と計算されて6Cとなる。
[測定電極が(6))の位置にあるとき]
▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼の領域の静電容量がC/2となり、▲1▼と▲6▼〜▲8▼の静電容量は1Cとなる。したがって、トータルの静電容量は[1+(1/2)+(1/2)+(1/2)+(1/2)+3]と計算されて6Cとなる。
[測定電極が(7)の位置にあるとき]
▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼の領域の静電容量がC/2となり、▲1▼、▲2▼と、▲7▼、▲8▼の静電容量は1Cで変化しない。したがって、トータルの静電容量は[2+(1/2)+(1/2)+(1/2)+(1/2)+2]で計算されて6Cとなる。
【0024】
以下、測定電極が(8)〜(13)の位置にあるとき、静電容量は以下のように変化して、静電容量は図4に示すように変化する。
(8)の位置 ………………6C
(9)の位置 ………………6C
(10)の位置…………6.5C
(11)の位置………………7C
(12)の位置…………7.5C
(13)の位置………………8C
【0025】
さらに、測定ワーク1に、図5に示すように、移動距離(t)に等しい幅(L)の凹部1aがあって、この凹部1aと測定電極3との間隔が平面部1cと測定電極3との間隔の2倍であれば、静電容量は図6に示すように変化する。
【0026】
また、測定ワーク1の表面に、凹部に代わって図7と図8に示す凸部1bがあり、凸部1bと測定電極3との間隔が平面部1cと測定電極3との間隔の1/2であるとすれば、凸部1bの静電容量は平面部1cの2倍になるので、静電容量は図9と図10に示すように変化する。ただし、図7における凸部1bの幅(L)は、移動距離(t)の4倍としており、図8にける凸部1bの幅(L)は、移動距離(t)と等しくしている。
【0027】
図4、図6、図9及び図10のグラフに示すように、測定ワーク1の表面に凹部1aや凸部1bがあると、測定される静電容量が変化するので、演算部8は、静電容量の変化から測定ワーク1の表面形状を演算できる。凹部1aが深くなって測定電極3から離れる程、静電容量が減少する勾配が急峻になるので、静電容量が変化する勾配から凹部1aの深さを演算できる。また、凸部1bが高くなって測定電極3に近づく程、静電容量が増加する勾配が急峻になるので、静電容量が変化する勾配から凸部1bの高さを演算できる。さらに、測定電極3の移動方向への凹部1aや凸部1bの幅(L)が大きくなると、静電容量が減少あるいは増加している領域の幅(D)が広くなるので、静電容量が変化している幅(D)から凹部1aや凸部1bの幅(L)を演算できる。
【0028】
また、静電容量が変化する勾配の変化率から、凹部1aの底面形状や凸部1bの頂上面の形状を演算することもできる。それは、図3に示すように、測定ワーク表面の凹部1aの底面が平面であれば、静電容量は図4に示すように直線的に減少し、また、図7に示すように凸部1bの頂上面が平面であれば、静電容量は図9に示すように直線的に増加するからである。測定ワーク表面にある凹部1aの底面や凸部1bの頂上面が平面でなくて、傾斜面であれば、静電容量が変化する勾配が一定にならない。たとえば、凹部の底面が、測定電極の移動方向に向かって測定電極から離れる方向に傾斜するとき、静電容量が減少する勾配が次第に大きくなり、反対の方向に傾斜する場合は、静電容量が減少する勾配が次第に小さくなる。このため、静電容量が変化する勾配の変化率から、凹部1aの底面形状を演算できる。また、凸部1bの頂上面が測定電極3の移動方向に向かって測定電極3に接近する方向に傾斜する場合は、静電容量が増加する勾配が次第に大きくなり、また、測定電極3の移動方向に向かって凸部1bの頂上面が遠ざかる方向に傾斜する場合は、静電容量が増加する勾配が次第に小さくなる。このため、静電容量が変化する勾配の変化率から、凹部1aの底面や凸部1bの頂上面の傾斜を演算することができる。
【0029】
以上のように、演算部8は、静電容量が変化している領域の幅(D)から凹部1aや凸部1bの幅(L)を、静電容量が変化する勾配から凹部1aの深さや凸部1bの高さを、さらに、静電容量が変化する勾配の変化率から、凹部1aや凸部1bの形状を演算する。さらに、演算部8は、これらのデータに基づいて測定ワーク1の表面形状を演算し、演算した表面形状を、図4、図6、図9及び図10に示すように、測定形状として表示する。これらの図は、測定形状を測定ワーク表面の断面形状として表示している。このように、測定された静電容量の変化を演算して表面形状に校正して表示する方法は、測定ワークの表面形状を簡単に認識できる特長がある。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、測定電極よりも狭い領域の凹凸を検出しながら高い精度で測定ワークとの距離を正確に測定できる特長がある。それは、本発明の非接触変位計が、測定電極と測定ワークとを相対的に移動させながら静電容量を検出して、静電容量の変化から接触電極と測定ワーク表面との距離を演算しているからである。とくに、本発明の非接触変位計は、測定電極と測定ワークとを相対的に移動させる移動距離(t)が、測定電極の移動方向の幅(W)よりも狭くなる状態で、静電容量を測定しながら測定ワークとの距離を演算するので、測定ワーク表面に測定電極の幅(W)よりも狭い凹部や凸部があっても、静電容量の変化から正確に検出できる特長がある。このため、測定電極を大きくして、すなわち静電容量を大きくして測定ワークとの距離を正確に検出できる特長がある。また、測定電極を大きくできるので、測定電極と測定ワークとの距離を離して測定ワーク表面との距離を正確に検出できる特長がある。このことは、静電容量式の非接触変位計にとって極めて大切である。それは、静電容量式の非接触変位計は、測定精度を高くするためには、測定電極を測定ワークに接近させる必要があるが、測定ワークとの距離が近いと、誤って測定ワークに接触して、測定ワークや測定電極を損傷させることがあるからである。とくに高価で損傷されやすい測定ワークの表面形状の測定において、このことは極めて大切である。本発明の非接触変位計は、測定電極を大きくして測定ワークとの距離を長くしながら、測定ワーク表面のわずかな凹凸を正確に検出できる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】静電容量式の非接触変位計の測定原理を示す概略図
【図2】本発明の一実施例にかかる非接触変位計の概略構成図
【図3】本発明の非接触変位計が測定電極と測定ワークとの間隔を検出する原理図
【図4】図3における静電容量の変化と測定形状を示すグラフ
【図5】本発明の非接触変位計が他の測定ワークの表面形状を測定する概略図
【図6】図5における静電容量の変化と測定形状を示すグラフ
【図7】本発明の非接触変位計が他の測定ワークの表面形状を測定する概略図
【図8】本発明の非接触変位計が他の測定ワークの表面形状を測定する概略図
【図9】図7における静電容量の変化と測定形状を示すグラフ
【図10】図8における静電容量の変化と測定形状を示すグラフ
【符号の説明】
1…測定ワーク 1a…凹部 1b…凸部
1c…平面部
2…プローブ
3…測定電極
5…絶縁体
6…リード線
7…移動機構
8…演算部
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定ワークとの距離の変化を静電容量を介して測定する非接触変位計とこれを使用する測定方法に関する。とくに、本発明は、測定ワーク表面における測定電極の幅(W)よりも小さい変位を検出できる非接触変位計と、これを使用する測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電容量式の非接触変位計は、極めて高い精度で測定ワークの変位を検出できる。たとえば、最大測定変位を1mmとする非接触変位計は、最小検出変位である分解能を0.1μmと極めて高い精度としている。最大測定変位がさらに小さいものは、分解能を0.005μmと、より高い精度のものがある。
【0003】
非接触変位計は、プローブの測定電極を測定ワークに接近させて、測定ワークと測定電極との間隔を静電容量の変化として検出する。図1は測定原理を示す。この図において、測定ワーク1と測定電極3との間の静電容量は、測定電極3の面積と測定ワーク1と測定電極3との間の物質の誘電率の積に比例し、測定電極3と測定ワーク1との間隔に反比例する。静電容量は次の式で表すことができる。
C=K×S/d
ただし、Cは静電容量、Kは誘電率、Sは測定電極の面積、dは測定電極と測定ワークとの距離である。この式において、誘電率と、測定電極の面積は定数であるから、静電容量から測定電極と測定ワークとの間隔を検出できる。この式から明らかなように、静電容量Cは、面積Sを大きくして、距離dを小さくして大きくなる。このため、静電容量による方法は、測定電極の面積Sを大きくして、dを小さくする領域でより正確に測定ワークの変位を検出できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
測定電極の面積を大きくして静電容量を大きくすると、測定精度を高くできるが、測定ワークの小さい凹凸を正確に検出できなくなる。とくに、測定電極よりも小さい凹凸を正確に検出できなくなる。小さい凹凸を検出するために、測定電極の面積を小さくすると測定精度が低下する。静電容量式の非接触変位計は、測定できる最小の凹凸を小さくすることと測定精度を高くすることは互いに相反する特性であって、両方の特性を満足できない。このため、小さい凹凸のある測定ワークの測定に、レーザーを使用する非接触変位計が使用される。しかしながら、レーザーを使用する非接触変位計は、測定ワーク表面の反射率に影響を受けて、全ての測定ワークを正確に測定できない。たとえば、表面でレーザーを乱反射させる測定ワークは正確に測定できない。また、この非接触変位計は、極めて狭い領域、たとえば数μmのスポットにレーザーを集束して距離を測定するので、広い面積を有する測定ワーク全面の測定には時間がかかる。スポットに集束したレーザーを測定ワークの全面に走査させるのに時間がかかるからである。
【0005】
本発明は、このような欠点を解決することを目的に開発されたもので、本発明の重要な目的は、測定電極よりも狭い領域の凹凸を検出しながら高い精度で距離を測定できる非接触変位計を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の非接触変位計は、先端に測定電極3を有するプローブ2を備え、このプローブ2を測定ワーク1に接近させて、測定ワーク1と測定電極3との間の静電容量の変化でもって、測定ワーク1とプローブ2との間隔の変位から測定ワーク1の表面形状を測定する。測定電極3は、測定ワーク1の測定面に沿って移動するように、プローブ2と測定ワーク1のいずれか又は両方を相対的に移動させる移動機構7と、移動機構7で相対的に移動される測定電極3と測定ワーク1との間の静電容量の変化を検出して、静電容量の変化から測定ワーク1と測定電極3との間隔の変化を演算する演算部8とを備える。演算部8は、測定電極3と測定ワーク1のいずれか又は両方が相対的に所定の移動距離(t)移動される毎に静電容量の変化を検出すると共に、移動距離(t)を測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭く設定している。非接触変位計は、相対的に移動される測定電極3と測定ワーク1との静電容量の変化を演算部8で検出して、測定ワーク表面形状の測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭い変位を検出する。
【0007】
測定電極3は、移動機構7で移動される方向の幅(W)を、移動方向と直交する方向の長さよりも狭くすることができる。さらに、本発明の非接触変位計は、移動機構7が測定電極3と測定ワーク1のいずれか又は両方を相対的に所定の速度で移動させると共に、演算部8が所定のタイミングで静電容量を検出して、測定電極3と測定ワーク1のいずれか又は両方が相対的に移動距離(t)移動する毎に静電容量を検出することができる。さらに、本発明の非接触変位計は、演算部8が測定電極3と測定ワーク1との相対的な移動距離を測定し、測定した移動距離が所定の移動距離(t)になると静電容量を検出することができる。
【0008】
本発明の請求項5の非接触変位計を使用する測定方法は、先端に測定電極3を有するプローブ2を測定ワーク1に接近させて、測定ワーク1と測定電極3との間の静電容量でもって、測定ワーク1とプローブ2との間隔の変位から測定ワーク1の表面形状を測定する。この測定方法は、測定電極3が測定ワーク1と平行に移動するように、プローブ2と測定ワーク1のいずれか又は両方を相対的に移動させると共に、相対的に移動される測定電極3と測定ワーク1との間の静電容量の変化を検出して、静電容量の変化から測定ワーク1と測定電極3との間隔の変化を演算する。さらに、この測定方法は、測定電極3と測定ワーク1のいずれか又は両方が相対的に所定の移動距離(t)移動される毎に静電容量の変化を検出すると共に、移動距離(t)を測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭く設定している。相対的に移動される測定電極3と測定ワーク1との静電容量の変化を検出して、測定ワーク表面形状の測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭い変位を検出する。
【0009】
さらに、本発明の非接触変位計を使用する測定方法は、測定電極3と測定ワーク1のいずれか又は両方を相対的に所定の速度で移動させると共に、所定のタイミングで静電容量を検出して、移動距離(t)を測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭く設定することができる。さらに、本発明の非接触変位計を使用する測定方法は、測定電極3と測定ワーク1との相対的な移動距離を測定し、測定した移動距離が所定の移動距離(t)になると静電容量を検出することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための非接触変位計とこれを使用する測定方法を例示するものであって、本発明は非接触変位計の構造と測定方法を下記のものに特定しない。
【0011】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0012】
図2に示す静電容量式の非接触変位計は、測定ワーク1との間隔を検出する測定電極3を内蔵するプローブ2と、このプローブ2を移動させる移動機構7と、プローブ2の測定電極3に接続されて、測定ワーク1と測定電極3との間の静電容量の変化でもって、測定ワーク1とプローブ2との間隔の変位から測定ワーク1の表面形状を測定する演算部8とを備える。
【0013】
プローブ2は、先端に埋設している測定電極3と、測定電極3を埋設している絶縁体5と、この絶縁体5に埋設されて、測定電極3に接続しているリード線6とを備える。
【0014】
測定電極3は、金属板等の導電プレートである。測定電極3は、測定ワーク1との対向面を測定ワーク1の表面に沿う形状としている。測定面を平面とする測定ワーク1との間隔を測定する測定電極3は、測定ワーク1との対向面を平面状とする。ベアリングの内輪や外輪のように、測定面が湾曲面である測定ワークとの寸法を測定する測定電極は、測定ワークとの対向面を測定ワークに沿う湾曲面とする。測定ワークの測定面に沿う形状の測定電極は、より高い精度で測定ワークとの間隔を検出できる。ただし、測定電極は、測定ワークとの対向面を平面状として、測定ワークの間隔を検出することもできる。
【0015】
絶縁体5は、プラスチック等の絶縁材で、先端に測定電極3を埋設して、測定電極3を定位置に配置している。絶縁体5をプラスチックで成形するときに、測定電極3をインサートして埋設される。
【0016】
移動機構7は、測定電極3が測定ワーク1の表面と平行に移動するように、プローブ2を移動させる。静電容量式の非接触変位計は、たとえばベアリングの内輪や外輪の外径や内径の誤差や真円度を検出し、あるいは平面状に加工される平面の凹凸等の検出に使用される。したがって、測定される測定ワーク1の表面は、ほぼ平滑な面に仕上げられている。測定電極3は、このように仕上げられた測定ワーク1の表面の凹凸や寸法を検出する。とくに、本発明の非接触変位計は、測定電極3よりも狭い領域の凹凸を正確に検出する。
【0017】
図に示す移動機構7は、プローブ2を移動させて、測定電極3を測定ワーク1に対して相対的に移動させるようにしている。ただ、移動機構は、測定ワークを移動させて測定電極と測定ワークとを相対的に移動させることも、プローブと測定ワークの両方を相対的に移動させることもできる。測定ワークを移動させる移動機構は、測定ワークの測定面が測定電極の対向面と平行に移動するように測定ワークを移動させる。
【0018】
静電容量式の非接触変位計は、測定電極3と測定ワーク1との間の静電容量から測定ワーク1との間隔を検出する。ただ、測定電極3よりも小さい間隔の変化を検出できない。本発明の非接触変位計は、移動機構7でもって測定電極3を測定ワーク1の表面に沿って移動させながら、演算部8が静電容量を検出し、検出する静電容量の変化から測定電極3と測定ワーク1との間隔の変化を検出する。
【0019】
演算部8は、測定電極3が所定の移動距離(t)移動される毎に静電容量の変化を検出するが、静電容量を検出する移動距離(t)を、測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭く設定している。図3は、演算部8が、測定電極3と測定ワーク1との間隔を検出する原理図を示す。ただし、これ等の図は、わかりやすくするために、測定電極3と測定ワーク1の表面との間隔を広く表示すると共に、電気力線が測定電極3から垂直に測定ワーク1に到達すると仮定して説明する。現実には電気力線は、測定電極3の周囲で膨らむので、演算部8はこのことを補正してより正確に測定ワーク1との間隔を演算できる。
【0020】
演算部8は、測定電極3を所定の移動距離(t)移動させる毎に静電容量を検出する。静電容量を検出するために測定電極3を移動させる移動距離(t)は、測定電極3の移動方向の幅(W)よりも狭く設定する。移動距離(t)は、測定電極3の移動方向の幅(W)の1/2以下、好ましくは1/3以下、さらに好ましくは1/4以下とする。図3は、移動距離(t)を測定電極3の移動方向の幅(W)の1/8として、測定電極3を幅(W)の1/8移動させる毎に静電容量を検出する状態を示す。
【0021】
このことを実現するために、演算部8は、測定電極3の移動距離を検出して、測定電極3が所定の移動距離(t)移動することを検出する毎に静電容量を検出する。ただし、測定電極3を所定の速度で移動させて、所定のタイミングで静電容量を検出することもできる。この構造の非接触変位計は、移動機構7で測定電極3を一定の速度で移動させる。そして、演算部8は一定のサンプリング周期で静電容量を検出する。サンプリング周期は、測定電極3が移動距離(t)移動する時間に設定する。
【0022】
以下、測定電極3が移動して静電容量が変化する状態を、図3に示すように、8分割された▲1▼〜▲8▼の領域で考察する。▲1▼〜▲8▼の領域の幅は、測定電極3の移動距離(t)に等しくしている。測定電極3は、図3の(1)〜(6)に示すように移動して、(1)〜(6)の位置で静電容量が検出される。この図において、測定ワーク1の表面の凹部1aの幅(L)は、移動距離(t)の4倍としている。さらに、測定ワーク1の表面の凹凸は、測定電極3の横方向、言いかえると移動方向と直交する方向に同じであるとする。現実に、このような表面形状の測定ワークは多数にある。切削し、あるいは切断される測定ワークの表面がこの形状になるからである。この測定ワーク1は、切削する刃物や切断する刃物の移動方向には凹凸ができ難いからである。
【0023】
(1)〜(6)において、▲1▼〜▲8▼の領域の静電容量は、以下のように変化する。ただし、(1)に示す測定ワーク表面と平行な状態において、▲1▼〜▲8▼の各々の領域は1Cの静電容量を有するとする。
[測定電極が(1)の位置にあるとき]
▲1▼〜▲8▼の静電容量は全て1Cとなる。したがって、トータルの静電容量は8Cとなる。
[測定電極が(2)の位置にあるとき]
測定電極3が(2)の位置に移動すると、測定電極3の先端部の▲1▼の領域と測定ワーク1との間隔が2倍になる。したがって、▲1▼の領域の静電容量はC/2となる。静電容量が距離に反比例して小さくなるからである。▲2▼〜▲8▼の領域の静電容量は1Cである。したがって、トータルの静電容量は[(1/2)+7]と計算されて7.5Cとなる。
[測定電極が(3)の位置にあるとき]
▲1▼と▲2▼の領域の静電容量がC/2となり、▲3▼〜▲8▼の静電容量が1Cで変化しない。このため、トータルの静電容量は[(1/2)+(1/2)+6]Cと計算されて7Cとなる。
[測定電極が(4)の位置にあるとき]
▲1▼、▲2▼、▲3▼の領域の静電容量がC/2となり、▲4▼〜▲8▼の静電容量は1Cで変化しない。したがって、トータルの静電容量は[(1/2)+(1/2)+(1/2)+5]と計算されて6.5Cとなる。
[測定電極が(5)の位置にあるとき]
▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の領域の静電容量がC/2となり、▲5▼〜▲8▼の静電容量は1Cで変化しない。したがって、トータルの静電容量は、[(1/2)+(1/2)+(1/2)+(1/2)+4]と計算されて6Cとなる。
[測定電極が(6))の位置にあるとき]
▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼の領域の静電容量がC/2となり、▲1▼と▲6▼〜▲8▼の静電容量は1Cとなる。したがって、トータルの静電容量は[1+(1/2)+(1/2)+(1/2)+(1/2)+3]と計算されて6Cとなる。
[測定電極が(7)の位置にあるとき]
▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼の領域の静電容量がC/2となり、▲1▼、▲2▼と、▲7▼、▲8▼の静電容量は1Cで変化しない。したがって、トータルの静電容量は[2+(1/2)+(1/2)+(1/2)+(1/2)+2]で計算されて6Cとなる。
【0024】
以下、測定電極が(8)〜(13)の位置にあるとき、静電容量は以下のように変化して、静電容量は図4に示すように変化する。
(8)の位置 ………………6C
(9)の位置 ………………6C
(10)の位置…………6.5C
(11)の位置………………7C
(12)の位置…………7.5C
(13)の位置………………8C
【0025】
さらに、測定ワーク1に、図5に示すように、移動距離(t)に等しい幅(L)の凹部1aがあって、この凹部1aと測定電極3との間隔が平面部1cと測定電極3との間隔の2倍であれば、静電容量は図6に示すように変化する。
【0026】
また、測定ワーク1の表面に、凹部に代わって図7と図8に示す凸部1bがあり、凸部1bと測定電極3との間隔が平面部1cと測定電極3との間隔の1/2であるとすれば、凸部1bの静電容量は平面部1cの2倍になるので、静電容量は図9と図10に示すように変化する。ただし、図7における凸部1bの幅(L)は、移動距離(t)の4倍としており、図8にける凸部1bの幅(L)は、移動距離(t)と等しくしている。
【0027】
図4、図6、図9及び図10のグラフに示すように、測定ワーク1の表面に凹部1aや凸部1bがあると、測定される静電容量が変化するので、演算部8は、静電容量の変化から測定ワーク1の表面形状を演算できる。凹部1aが深くなって測定電極3から離れる程、静電容量が減少する勾配が急峻になるので、静電容量が変化する勾配から凹部1aの深さを演算できる。また、凸部1bが高くなって測定電極3に近づく程、静電容量が増加する勾配が急峻になるので、静電容量が変化する勾配から凸部1bの高さを演算できる。さらに、測定電極3の移動方向への凹部1aや凸部1bの幅(L)が大きくなると、静電容量が減少あるいは増加している領域の幅(D)が広くなるので、静電容量が変化している幅(D)から凹部1aや凸部1bの幅(L)を演算できる。
【0028】
また、静電容量が変化する勾配の変化率から、凹部1aの底面形状や凸部1bの頂上面の形状を演算することもできる。それは、図3に示すように、測定ワーク表面の凹部1aの底面が平面であれば、静電容量は図4に示すように直線的に減少し、また、図7に示すように凸部1bの頂上面が平面であれば、静電容量は図9に示すように直線的に増加するからである。測定ワーク表面にある凹部1aの底面や凸部1bの頂上面が平面でなくて、傾斜面であれば、静電容量が変化する勾配が一定にならない。たとえば、凹部の底面が、測定電極の移動方向に向かって測定電極から離れる方向に傾斜するとき、静電容量が減少する勾配が次第に大きくなり、反対の方向に傾斜する場合は、静電容量が減少する勾配が次第に小さくなる。このため、静電容量が変化する勾配の変化率から、凹部1aの底面形状を演算できる。また、凸部1bの頂上面が測定電極3の移動方向に向かって測定電極3に接近する方向に傾斜する場合は、静電容量が増加する勾配が次第に大きくなり、また、測定電極3の移動方向に向かって凸部1bの頂上面が遠ざかる方向に傾斜する場合は、静電容量が増加する勾配が次第に小さくなる。このため、静電容量が変化する勾配の変化率から、凹部1aの底面や凸部1bの頂上面の傾斜を演算することができる。
【0029】
以上のように、演算部8は、静電容量が変化している領域の幅(D)から凹部1aや凸部1bの幅(L)を、静電容量が変化する勾配から凹部1aの深さや凸部1bの高さを、さらに、静電容量が変化する勾配の変化率から、凹部1aや凸部1bの形状を演算する。さらに、演算部8は、これらのデータに基づいて測定ワーク1の表面形状を演算し、演算した表面形状を、図4、図6、図9及び図10に示すように、測定形状として表示する。これらの図は、測定形状を測定ワーク表面の断面形状として表示している。このように、測定された静電容量の変化を演算して表面形状に校正して表示する方法は、測定ワークの表面形状を簡単に認識できる特長がある。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、測定電極よりも狭い領域の凹凸を検出しながら高い精度で測定ワークとの距離を正確に測定できる特長がある。それは、本発明の非接触変位計が、測定電極と測定ワークとを相対的に移動させながら静電容量を検出して、静電容量の変化から接触電極と測定ワーク表面との距離を演算しているからである。とくに、本発明の非接触変位計は、測定電極と測定ワークとを相対的に移動させる移動距離(t)が、測定電極の移動方向の幅(W)よりも狭くなる状態で、静電容量を測定しながら測定ワークとの距離を演算するので、測定ワーク表面に測定電極の幅(W)よりも狭い凹部や凸部があっても、静電容量の変化から正確に検出できる特長がある。このため、測定電極を大きくして、すなわち静電容量を大きくして測定ワークとの距離を正確に検出できる特長がある。また、測定電極を大きくできるので、測定電極と測定ワークとの距離を離して測定ワーク表面との距離を正確に検出できる特長がある。このことは、静電容量式の非接触変位計にとって極めて大切である。それは、静電容量式の非接触変位計は、測定精度を高くするためには、測定電極を測定ワークに接近させる必要があるが、測定ワークとの距離が近いと、誤って測定ワークに接触して、測定ワークや測定電極を損傷させることがあるからである。とくに高価で損傷されやすい測定ワークの表面形状の測定において、このことは極めて大切である。本発明の非接触変位計は、測定電極を大きくして測定ワークとの距離を長くしながら、測定ワーク表面のわずかな凹凸を正確に検出できる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】静電容量式の非接触変位計の測定原理を示す概略図
【図2】本発明の一実施例にかかる非接触変位計の概略構成図
【図3】本発明の非接触変位計が測定電極と測定ワークとの間隔を検出する原理図
【図4】図3における静電容量の変化と測定形状を示すグラフ
【図5】本発明の非接触変位計が他の測定ワークの表面形状を測定する概略図
【図6】図5における静電容量の変化と測定形状を示すグラフ
【図7】本発明の非接触変位計が他の測定ワークの表面形状を測定する概略図
【図8】本発明の非接触変位計が他の測定ワークの表面形状を測定する概略図
【図9】図7における静電容量の変化と測定形状を示すグラフ
【図10】図8における静電容量の変化と測定形状を示すグラフ
【符号の説明】
1…測定ワーク 1a…凹部 1b…凸部
1c…平面部
2…プローブ
3…測定電極
5…絶縁体
6…リード線
7…移動機構
8…演算部
Claims (7)
- 先端に測定電極(3)を有するプローブ(2)を備え、このプローブ(2)を測定ワーク(1)に接近させて、測定ワーク(1)と測定電極(3)との間の静電容量の変化でもって、測定ワーク(1)とプローブ(2)との間隔の変位から測定ワーク(1)の表面形状を測定する非接触変位計であって、
測定電極(3)が測定ワーク(1)の測定面に沿って移動するように、プローブ(2)と測定ワーク(1)のいずれか又は両方を相対的に移動させる移動機構(7)と、移動機構(7)で相対的に移動される測定電極(3)と測定ワーク(1)との間の静電容量の変化を検出して、静電容量の変化から測定ワーク(1)と測定電極(3)との間隔の変化を演算する演算部(8)とを備えており、
演算部(8)は、測定電極(3)と測定ワーク(1)のいずれか又は両方が相対的に所定の移動距離(t)移動される毎に静電容量の変化を検出すると共に、移動距離(t)を測定電極(3)の移動方向の幅(W)よりも狭く設定しており、
演算部(8)が、相対的に移動される測定電極(3)と測定ワーク(1)との静電容量の変化を検出して、測定ワーク表面形状の測定電極(3)の移動方向の幅(W)よりも狭い変位を検出するようにしてなる非接触変位計。 - 測定電極(3)が、移動機構(7)で移動される方向の幅(W)を、移動方向と直交する方向の長さよりも狭くしている請求項1に記載される非接触変位計。
- 移動機構(7)が測定電極(3)と測定ワーク(1)のいずれか又は両方を相対的に所定の速度で移動させると共に、演算部(8)が所定のタイミングで静電容量を検出して、測定電極(3)と測定ワーク(1)のいずれか又は両方が相対的に移動距離(t)移動する毎に静電容量を検出する請求項1に記載される非接触変位計。
- 演算部(8)が、測定電極(3)と測定ワーク(1)との相対的な移動距離を測定し、測定した移動距離が所定の移動距離(t)になると静電容量を検出する請求項1に記載される非接触変位計。
- 先端に測定電極(3)を有するプローブ(2)を測定ワーク(1)に接近させて、測定ワーク(1)と測定電極(3)との間の静電容量でもって、測定ワーク(1)とプローブ(2)との間隔の変位から測定ワーク(1)の表面形状を測定する非接触変位計を使用する測定方法であって、
測定電極(3)が測定ワーク(1)と平行に移動するように、プローブ(2)と測定ワーク(1)のいずれか又は両方を相対的に移動させると共に、相対的に移動される測定電極(3)と測定ワーク(1)との間の静電容量の変化を検出して、静電容量の変化から測定ワーク(1)と測定電極(3)との間隔の変化を演算し、さらに、測定電極(3)と測定ワーク(1)のいずれか又は両方が相対的に所定の移動距離(t)移動される毎に静電容量の変化を検出すると共に、移動距離(t)を測定電極(3)の移動方向の幅(W)よりも狭く設定して、
相対的に移動される測定電極(3)と測定ワーク(1)との静電容量の変化を検出して、測定ワーク表面形状の測定電極(3)の移動方向の幅(W)よりも狭い変位を検出する非接触変位計を使用する測定方法。 - 測定電極(3)と測定ワーク(1)のいずれか又は両方を相対的に所定の速度で移動させると共に、所定のタイミングで静電容量を検出して、移動距離(t)を測定電極(3)の移動方向の幅(W)よりも狭く設定する請求項5に記載される非接触変位計を使用する測定方法。
- 測定電極(3)と測定ワーク(1)との相対的な移動距離を測定し、測定した移動距離が所定の移動距離(t)になると静電容量を検出する請求項5に記載される非接触変位計を使用する測定方法。
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