JP2004177275A - リークテスト方法およびリークテスト装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で、補正値を容易に短時間で精度良く的確に求めてワークの漏洩の有無の判定を正確に行うことができるリークテスト方法およびリークテスト装置を提供する。
【解決手段】リークテスト装置は、中空状のワークWの開口部Woを閉塞する閉塞治具1と、ワークWと基準となるマスタMの内部にそれぞれ所定の圧力を加えた状態とするための圧力供給手段2と、ワークWとマスタMとの間の差圧を計測する差圧計測器3と、ワークWと閉塞治具1とワークWの周囲の温度とを測定する温度測定手段5、6、7と、ワークWと閉塞治具1の温度差およびワークWとその周囲との温度差に基づいて補正値を求めて、この補正値によってワークWとマスタMとの間の差圧値を補正して判定値を求め、この判定値Eに基づいてワークWの漏洩を判定する演算手段8と、を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】リークテスト装置は、中空状のワークWの開口部Woを閉塞する閉塞治具1と、ワークWと基準となるマスタMの内部にそれぞれ所定の圧力を加えた状態とするための圧力供給手段2と、ワークWとマスタMとの間の差圧を計測する差圧計測器3と、ワークWと閉塞治具1とワークWの周囲の温度とを測定する温度測定手段5、6、7と、ワークWと閉塞治具1の温度差およびワークWとその周囲との温度差に基づいて補正値を求めて、この補正値によってワークWとマスタMとの間の差圧値を補正して判定値を求め、この判定値Eに基づいてワークWの漏洩を判定する演算手段8と、を備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リークテスト方法およびリークテスト装置に関し、さらに詳しくは、中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力を加えた状態とし、その圧力を計測してその計測値に基づいてワークの漏洩を検査するリークテスト方法、および、中空状のワークの開口部を閉塞する閉塞治具と、ワークの内部に所定の圧力を加えた状態とする圧力供給手段と、ワークの内部の圧力を計測する圧力圧検出部と、該圧力計測手段が計測した計測値に基づいてワークの漏洩を判定する演算手段とを備えてなるリークテスト装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車のエンジンにおいては、シリンダヘッドやシリンダブロックなどに、燃料ガスおよび燃焼ガス、潤滑オイル、冷却水などを流通させるために外部に開口する開口部を有しており、中空状の通路が形成されている。そして、これら通路を有するシリンダヘッドやシリンダブロックなどの部材は、成形誤差や組立て精度などによって通路にリークが発生する場合がある。また、これらシリンダヘッドやシリンダブロックなどの部材は一般に鋳造によって成形されているが、その鋳造時に鋳巣などの欠陥が存在していると、この欠陥によって通路にリークが発生する場合がある。
また、例えば自動車の燃料タンクのような中空状の容器においては、接合部分の接合不良や曲げ加工部分の割れなどの欠陥によってリークが発生する場合がある。
そこで、このような漏洩が発生しないことが必要な中空状の製品または部品(ワーク)に欠陥が生じて漏洩が発生しないか、ワークの気密性あるいは液密性をテストするためのリークテストが従来から行われている。
【0003】
リークテストにおいては、中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力を加えた状態とし、この圧力を計測してその検出値の変化に基づいてワークの漏洩を判定することが従来から一般的に行われている。
【0004】
ところで、鋳造や溶接、切削など所定の加工工程が行われたワークは、その加工工程で付着した粉塵などを取り除くために洗浄され、乾燥されてからリークテストが行われる。ワークを洗浄するための洗浄液やワークを乾燥するために吹き付けられる空気は、ワークの温度と異なる場合が多い。そのため、リークテストを行う初期においては特に洗浄液の温度や乾燥用エアブローなどによってワークが加熱されたり放熱して周囲の環境温度(気温)と異なることとなる。
【0005】
そして、リークテストにおいて、ワークの内部に加えられたの圧力は、温度によって変動(ドリフト)するため、かかる温度によるドリフトを補正する補正値を求めて、その補正値により計測されたワーク内部の圧力値を補正することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−118657号公報
【0007】
上記特許文献1には、ドリフト補正値Dを求めるためのモデル式として、ワークの温度T1と接続治具(閉塞治具)との温度差に比例定数Aを乗算して、定数Cを加算することが開示されている(D=A(T1−T2)+C)。
さらに、上記特許文献1には、リークテストを行う周囲温度が季節や時間などによって急変したり、ワークが高温洗浄工程や溶接工程などを経て検査される場合のように、ワークに熱が加えられて検査する場合に、モデル式の比例定数Aと定数Cに温度依存性があっても正しいドリフト補正値を得るために、環境温度(周囲の気温)tを測定する温度センサを設け、環境温度tに対応した定数Cと比例定数Aを用いて、各環境温度tに対応したドリフト補正値を求めることが開示されている。
【0008】
そして、上記特許文献1においては、具体的には、各環境温度t3に対応したドリフト補正値を求めるために、環境温度t1とt2におけるドリフト補正値がDt1=At1(T1−T2)+Ct1、Dt2=At2(T1−T2)+Ct2として算出された場合、任意の環境温度t3におけるドリフト補正値Dt3をDt3=At3(T1−T2)+Ct3とし、定数Ct3をCt3=(Ct3−Ct1)・(t3−t2)/(t2−t1)+Ct2によって求め、比例常数At3をAt3=(At2−At1)・(t3−t2)/(t2−t1)+At2によって求め、爾後、環境温度t3におけるドリフト補正値Dt3をDt3=At3(T1−T2)+Ct3によって算出することが記載されている。
すなわち、上記特許文献1では、環境温度t1とt2における定数Ct1,Ct2および比例常数At1,At2をそれぞれ算出しておき、任意の環境温度t3におけるドリフト補正値Dt3をDt3=At3(T1−T2)+Ct3とし、定数Cと比例常数Aが環境温度tに対して直線的に変化するものと仮定して、定数Ct3をCt3=(Ct3−Ct1)・(t3−t2)/(t2−t1)+Ct2によって求めると共に、比例常数At3をAt3=(At2−At1)・(t3−t2)/(t2−t1)+At2によって求め、これら定数Ct3と比例常数At3を用いてドリフト補正値Dt3を求め、検査モードにおいてこのドリフト補正値Dt3を用いて測定値をドリフト補正する(段落番号0040)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の技術にあっては、測定された周囲の温度は、ワークの温度や接続治具の温度に影響を及ぼすにも関わらず、直接利用されることはなく、比例常数At3、定数Ct3を求めるための複雑な処理に利用されるにすぎない。すなわち、特許文献1では、ドリフト補正値Dt3を求めるためのモデル式において、ワークと接続治具との温度差を取込んでいるだけで、ワークとその周囲の温度差を取込んでおらず、データの処理が煩雑であるという問題があった。そして、特許文献1では、任意の環境温度t3に応じた比例常数At3、定数Ct3を求めるために、環境温度t1とt2における定数Ct1,Ct2および比例常数At1,At2をそれぞれ算出するためのマスタリング動作を定期的に行う必要があるために、手間がかかると共に、検査モードで効率良くワークのリークテストを行うことができないという問題があった。さらに、このマスタリング動作には、異なる環境温度t1とt2でワークの温度と接続治具の温度とを測定する必要があるために、時間がかかるという問題もあった。
【0010】
さらに、上記特許文献1にあっては、定数Cと比例常数Aが環境温度tに対して直線的に変化するものとの仮定が適切でない場合には、求められた環境温度t3における比例常数At3、定数Ct3が間違っていることとなり、したがって、これにより求められるドリフト補正値Dt3の精度が良くないために、ワークの漏洩の有無の判定を正確に行うことができないという問題があった。
【0011】
本発明は、上述した問題を優位に解決するためになされたもので、簡単な構成で、補正値を容易に短時間で精度良く的確に求めることができ、したがって、ワークの漏洩の有無の判定を正確に行うことができるリークテスト方法およびリークテスト装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1のリークテスト方法に係る発明は、上記目的を達成するために、中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力を加えた状態とし、その圧力を計測してその計測値に基づいてワークの漏洩を検査するリークテスト方法であって、ワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度を測定し、ワークと閉塞治具および周囲との温度差に基づいて補正値を求め、該補正値により前記計測値を補正することを特徴とするものである。
一方、請求項2のリークテスト方法に係る発明は、上記目的を達成するために、中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力を加えた状態とし、その圧力を計測してその計測値に基づいてワークの漏洩を検査するリークテスト方法であって、ワーク、および閉塞治具の温度を測定し、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量とに基づいて補正値を求め、該補正値により前記計測値を補正することを特徴とするものである。
さらに、請求項3のリークテスト方法に係る発明は、上記目的を達成するために、請求項1または2に記載の発明において、複数のテストワークを温度変化がなくなる状態まで時間を延長してその内部の圧力をそれぞれ計測し、該圧力計測値からそのテストワークの実際の漏れ量を差し引いた結果を求め、各結果を重回帰分析して、補正値を求めるに際してワークと閉塞治具および周囲との温度差、または、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量に乗算される係数を求めることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4のリークテスト装置に係る発明は、上記目的を達成するために、中空状のワークの開口部を閉塞する閉塞治具と、ワークの内部に所定の圧力を加えた状態とする圧力供給手段と、ワークの内部の圧力を計測する圧力計測手段と、該圧力計測手段が計測した計測値に基づいてワークの漏洩を判定する演算手段とを備えてなるリークテスト装置であって、ワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度を測定する温度測定手段が設けられており、前記演算手段が、ワークと閉塞治具および周囲との温度差に基づいて補正値を求めて、該補正値により前記計測値を補正する機能を有することを特徴とするものである。
一方、請求項5のリークテスト装置に係る発明は、上記目的を達成するために、中空状のワークの開口部を閉塞する閉塞治具と、ワークの内部に所定の圧力を加えた状態とする圧力供給手段と、ワークの内部の圧力を計測する圧力圧検出部と、該圧力計測手段が計測した計測値に基づいてワークの漏洩を判定する演算手段とを備えてなるリークテスト装置であって、ワークと閉塞治具の温度を測定する温度測定手段が設けられており、前記演算手段が、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量とに基づいて補正値を求めて、該補正値により前記計測値を補正する機能を有することを特徴とするものである。
さらに、請求項6のリークテスト装置に係る発明は、上記目的を達成するために、請求項4または5に記載の発明において、テストワークの温度変化がなくなるまでその内部に加えられた圧力の計測を延長させるタイマを備え、演算手段は、タイマにより各テストワークが温度変化しなくなった状態となるまで延長して計測された圧力計測値から実際の漏れ量を差し引いた結果を求め、各結果を重回帰分析して、補正値を求めるに際して使用される係数を求める機能を有することを特徴とするものである。
【0014】
請求項1のリークテスト方法に係る発明では、中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力を加えた状態とし、任意の時点における圧力の計測と、ワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度の測定とを同時に行い、ワークと周囲との温度差および閉塞治具と周囲との温度差に基づいて補正値を求め、この補正値を計測された圧力値に加味して、この補正値が加味されたワーク内の圧力値からワークの漏洩の有無を判定する。補正値は、ワークと周囲との温度差、および、閉塞治具と周囲との温度差にそれぞれ所定の係数を乗算した値を算出して、これら係数が乗算された温度差の値を加算または減算することにより、精度良く求めることができる。補正値を求めるに際しては、ワークの温度や接続治具の温度に影響を及ぼすその周囲の温度を取込むため、従来の技術におけるマスタリング動作が不要となり、しかも、補正値の精度が向上する。また、測定されたワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度の値を直接演算に使用することができるため、データの演算処理が容易である。
一方、請求項2のリークテスト方法に係る発明では、中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力を加えた状態とし、その圧力を計測すると共に、この計測時におけるワークと閉塞治具の温度を同時に経時的に測定する。ワークの温度は特に閉塞治具の温度影響を受けることによって、また、閉塞治具の温度は特にその周囲の温度の影響を受けることによって、それぞれ変化する。そこで、ワークと閉塞治具のそれぞれの所定の時間における温度変化量に基づいて補正値を求め、この補正値を計測された圧力値に加味して、この補正値が加味されたワーク内の圧力値からワークの漏洩の有無を判定する。補正値は、ワークと閉塞治具のそれぞれの所定の時間における温度変化量にそれぞれ所定の係数を乗算した値を算出して、これら係数が乗算された温度変化量の値を加算または減算することにより、容易に求めることができる。補正値を求めるに際しては、周囲の温度に影響が及ぼされたワークの温度変化量と接続治具の温度変化量を取込むため、従来の技術におけるマスタリング動作が不要となり、しかも、補正値の精度が向上する。また、測定されたワークと閉塞治具の温度変化量の値を直接演算に使用することができるため、データの演算処理が容易である。
さらに、請求項3のリークテスト方法に係る発明では、請求項1または2に記載の発明において、複数のテストワークを温度変化がなくなる状態まで延長してその内部の圧力をそれぞれ計測して、圧力計測値からそのテストワークの実際の漏れ量を差し引いた結果を求める。これにより、温度変化に影響されない純粋な圧力が測定される。そして、各結果を重回帰分析して、ワークをリークテストする際にワークと閉塞治具および周囲との温度差、または、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量に乗算するための適切な係数を求めるため、温度の変動による影響を受けることなく適切にワークの漏洩が判定される。
【0015】
請求項4のリークテスト装置に係る発明では、中空状のワークの開口部を閉塞治具によって閉塞し、供給手段によってワークの内部に所定の圧力を加えた状態として、圧力計測手段によって圧力を経時的に計測すると共に、この計測時の任意の時点におけるワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度を温度測定手段によってそれぞれ同時に測定する。演算手段は、ワークと周囲との温度差および閉塞治具と周囲との温度差に基づいて補正値を求め、この補正値を計測された圧力値に加味して、この補正値が加味されたワーク内の圧力値からワークの漏洩の有無を判定する。補正値は、ワークと周囲との温度差、および、閉塞治具と周囲との温度差にそれぞれ所定の係数を乗算した値を算出して、これら係数が乗算された温度差の値を加算または減算することにより、精度良く求めることができる。補正値を求めるに際しては、ワークの温度や接続治具の温度に影響を及ぼすその周囲の温度を取込むため、従来の技術におけるマスタリング動作を行う必要がなく、しかも、補正値の精度が向上する。また、測定されたワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度の値を演算手段が直接演算に使用することができるため、データの演算処理が容易である。
一方、請求項5のリークテスト装置に係る発明では、中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力でを加えた状態とし、この圧力を経時的に計測すると共に、この計測時におけるワークと閉塞治具の温度を同時に経時的に測定する。ワークの温度は特に閉塞治具の温度影響を受けることによって、また、閉塞治具の温度は特にその周囲の温度の影響を受けることによって、それぞれ変化する。そこで、演算手段では、ワークと閉塞治具のそれぞれの所定の時間の経過に伴う温度変化量に基づいて補正値を求め、この補正値を計測された圧力値に加味して、この補正値が加味されたワーク内の圧力値からワークの漏洩の有無を判定する。補正値は、ワークと閉塞治具のそれぞれの所定の時間における温度変化量にそれぞれ所定の係数を乗算した値を算出して、これら係数が乗算された温度変化量の値を加算または減算することにより、容易に求めることができる。補正値を求めるに際しては、周囲の温度に影響が及ぼされたワークの温度変化量と接続治具の温度変化量を演算手段に取込むため、従来の技術におけるマスタリング動作を行う必要がなく、しかも、補正値の精度が向上する。また、測定されたワークと閉塞治具の温度変化量の値を直接演算に使用することができるため、演算手段がデータの演算処理を容易に行うことができる。
さらに、請求項6のリークテスト装置に係る発明では、請求項4または5に記載の発明において、複数のテストワークでリークテストを行ってその内部の圧力を計測する。このとき、タイマによってテストワークに温度変化がなくるまで自動的に測定時間を延長させて、そのテストワークの内部の圧力を計測する。これにより、温度変化に影響されない純粋な圧力が自動で精度良く計測される。そして、演算手段では、圧力計測値からそのテストワークの実際の漏れ量を差し引いた結果を求め、各結果を重回帰分析して、ワークをリークテストする際にワークと閉塞治具および周囲との温度差、または、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量に乗算される係数を適切に求める。そのため、温度の変動による影響を受けることなく適切にワークの漏洩が判定される。
【0016】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明のリークテスト装置の第1の実施の形態を図1に基づいて詳細に説明する。なお、同一符号は、同様または相当する部分を示すものとする。
本発明のこの実施の形態におけるリークテスト装置は、概略、中空状のワークWの開口部Woを閉塞する閉塞治具1と、ワークW、および、このワークWと比較するための基準となるマスタMの内部にそれぞれ所定の圧力を加えた状態とするための圧力供給手段2と、圧力計測手段としてワークWとマスタMとの間の圧力の差(差圧)を計測してその差圧値を出力する差圧計測器3と、ワークWの温度Wt、閉塞治具1の温度Jt、およびワークWの周囲の温度Ktを測定する温度測定手段5、6、7と、ワークWと閉塞治具1およびワークWの周囲との温度差(Wt−Jt)、(Wt−Kt)に基づいて補正値Hを求めて、この補正値HによってワークWとマスタMとの間の差圧値Gを補正して差圧の判定値Eを求め、この判定値Eに基づいてワークWの漏洩を判定する演算手段8と、を備えている。さらに、本発明のリークテスト装置は、補正値を求めるに際して使用される係数を求めるために複数のテストワークにリークテストをおこなうのであるが、テストワークの温度変化がなくなるまでその内部に加えられた圧力の計測を延長させるタイマ(図示は省略する)を備えており、また、演算手段8は、タイマにより各テストワークが温度変化しなくなった状態となるまで延長して計測された圧力計測値から実際の漏れ量を差し引いた結果を求め、各結果を重回帰分析して、補正値を求めるに際して使用される係数を求める機能を有している。
【0017】
ワークWは、例えば、燃料ガスおよび燃焼ガス、潤滑オイル、冷却水などを流通させるために通路が中空状に形成されたシリンダヘッドやシリンダブロックなどの部材またはこれらの部材からなる組み立て過程または組み立て完了のエンジン、あるいは、接合部分や曲げ加工部分を有する燃料タンクのように、中空状で且つ外部に開放する開口部Woを有するものである。
マスタMは、漏れのない中空容器状のもので、ワークWと同時に同じ圧力が加えられた状態とされ、時間の経過に伴って変化する圧力のワークWに対する比較基準とされる。
【0018】
閉塞治具(以下、マスキング治具という)1は、ワークWの開口部Woの周囲を含む形状に形成されてなるもので、ワークWに当接される面には、その開口部Woに応じた形状および大きさでシール部材としてのマスキングゴムが設けられている。この実施の形態では、ワークWの開口部Woに応じて、2つのマスキング治具1が使用される。
【0019】
圧力供給手段2は、この実施の形態の場合、検査流体としての空気をワークWとマスタMとに所定の圧力で供給して正圧をかけた状態とするもので、空気圧源10と、この空気圧源10の出力側に接続された管路11と、この管路11に介装された圧力調整バルブ12と、ワークWとマスタMとに圧縮空気を供給すべく分岐した管路13A、13Bと、それぞの分岐管13A、13Bに介装された開閉バルブ14と、を備えた構成とされている。分岐管13A、13Bの間には、管路15を介して差圧計測器3が設けられている。なお、本発明は、この実施の形態に限定されることなく、検査流体として例えばヘリウムガスなど他の気体を使用してもよく、また、ワークWとマスタMとを所定の圧力で真空引きして負圧をかけた状態とすることもできる。
【0020】
ワークWの温度Wtを測定するための温度測定手段5は、この実施の形態の場合、マスキング治具1がワークWの開口部Woを閉塞したときにワークWと接するように、マスキング治具1のうちの一つの内部に配設されている。
温度測定手段6は、各マスキング治具1内に配設され、マスキング治具1の温度Jtをそれぞれ測定する。
周囲の温度Ktを測定するための温度測定手段7は、ワークWにリークテストを行う箇所の近傍に、ワークWおよびマスキング治具1と接することないように配設される。ワークWのリークテストを行う条件によっては、測定されるワークWの周囲の温度が気温である場合もある。
これら温度測定手段5、6、7は、たとえば熱電対などのセンサを使用することができ、各温度に応じた信号を演算手段8に出力する。
【0021】
このように構成された圧力供給手段2では、ワークWの開口部Woがマスキング治具1により閉塞された状態で、各開閉バルブ14を開にすることにより、空気圧源10から管路11を介して供給された圧縮空気が、圧力調整バルブ12によって所定の圧力に調整され、分岐管13A、13BによってワークWとマスタMとに供給される。そして、ワークWとマスタMの内部に空気が所定の圧力で充填された状態で、開閉バルブ14をそれぞれ閉とすることにより、ワークWとマスタMの内部に所定の圧力の空気が閉じ込められ、時間の経過に伴ってその圧力が低下することとなる。そして、ワークWに漏れが発生している場合には、ワークW内の圧力がマスタM内の圧力よりも多く低下することとなり、両者の間に圧力の差(差圧)が生じることとなる。この差圧は、差圧計測器3によって計測される。また、差圧の計測と同時に、温度測定手段5、6、7によってワークWの温度Wt、各マスキング治具1の温度J1t,J2t、周囲の温度Ktを表す信号が演算手段8に入力される。
【0022】
次に、本発明のリークテスト方法の第1の実施の形態を、上述したリークテスト装置を使用する場合により、その演算手段8が行う演算処理内容と共に、図2〜図4に基づいて説明する。
本発明のこの実施の形態におけるリークテスト方法は、概略、中空状のワークWの開口部Woをマスキング治具1により閉塞してワークW、および、このワークWと比較するための基準となるマスタMの内部に所定の圧力をそれぞれ加えた状態とし、温度測定手段5、6、7によるワークW、マスキング治具1、およびワークWの周囲の温度Wt、Jt、およびKtの測定を、差圧計測器3によるワークWとマスタMとの間の差圧Gの計測と同時に行い(図2のS1)、ワークWとマスキング治具1および周囲8との温度差(Wt−Jt)、(Wt−Kt)に基づいて補正値Hを求めて、この補正値HによってワークWとマスタMとの間の差圧値Gを補正して判定値Eを求め、この判定値EによりワークWの漏洩を判定するものである。
また、本発明のリークテスト方法は、複数のテストワークを温度変化がなくなる状態まで延長して差圧Gをそれぞれ計測し、計測された差圧値Gからそのテストワークの実際の漏れ量N(図4)を差し引いた結果を求め、各結果を重回帰分析して、補正値Hを求めるに際してワークWの温度Wtと各マスキング治具1の温度Jntとの差(Wt−Jnt)、および、ワークWの温度Wtと周囲の温度Ktとの差(Wt−Kt)に乗算される係数A1,A2,…AnとBを求めるものである。
【0023】
最初に、ワークWのリークテストを行うに先だって、補正値Hを求める際に使用する係数を求めるために、複数のテストワークを用意し、このテストワークの開口部をワークと同様にマスキング治具1によって閉塞し、各開閉バルブを開にして空気圧源から管路、圧力調整バルブ、分岐管A、Bを介して圧縮空気をテストワークとマスタMとに所定の圧力で供給する。なお、テストワークは、上述したワークWと同様であるため、その説明を省略する。
【0024】
このとき、図3に示すように、ワークWの温度Wt、マスキング治具の温度Jt(J1t,J2t,…Jnt)、周囲の温度Ktが当初異なっている場合には、ワークWとマスキング治具1との間、および、マスキング治具1と周囲の空気との間で互いに熱交換されて、これらの温度Wt,Jt,Ktが時間経過に伴って落ち着くまで変化することとなる。そのため、図4に曲線で示すように、差圧計測器3によって計測されるテストワークとマスタMとの間の差圧は、テストワークに漏れがある場合に実際に計測される差圧値は計測時間に比例して増大する。一方、テストワークに漏れがない場合であっても、当初においては温度変化によって一時的に差圧値が計測、時間経過による温度変化の減少に伴って差圧値も減少することとなる。そこで、温度変化に影響されることなく補正値Hを演算することができるように、演算手段8では、温度変化がなくなるまで(実質的には温度変化が許容できる範囲に減少するまで)、差圧計測手段3からの差圧信号の入力をタイマによって所定時間延長させ、温度変化がなくなってからの差圧値Gから実際の漏れ量Nを演算してこれを差し引いてその結果を入力する。この係数A1,A2,…AnおよびBを求めるためのデータとり工程は、複数のテストワークに関して行われる。タイマによって適切な時期まで自動的に延長させて計測を行うようにしたため、補正値Hの演算に使用する係数A1,A2,…AnおよびBの演算のためのデータとりを、自動的に効率よく且つ適切に行うことができる。所定量のデータがとれたら、演算手段8は、差圧値Gから実際の漏れ量Nを演算してこれを差し引いてその結果を重回帰分析して、後に補正値Hを求める際に、ワークWと各マスキング治具1との温度差(Wt−Jnt)に乗算される係数A1,A2,…An、および、ワークと周囲との温度差(Wt−Kt)に乗算される係数Bを演算する。なお、この実施の形態では、2つのマスキング治具1が使用されているため、係数A1,A2,…Anは、各マスキング治具1の数に応じてそのマスキング治具1毎に求められる。
【0025】
その後、ワークWのリークテストを行うために、ワークWの開口部Woをそれぞれマスキング治具1によって閉塞し、各開閉バルブ14を開にして空気圧源10から管路11、圧力調整バルブ12、分岐管13A、13Bを介して圧縮空気をワークWとマスタMとの内部に所定の圧力で供給する。そして、任意の時点で、ワークWとマスタMとの間の差圧Gの計測と、ワークの温度Wt、マスキング治具の温度Jnt、周異の温度Ktとを同時に測定する(図2のS1)。
【0026】
次に、測定されたワークWの温度Wtと各マスキング治具1の温度Jntとの温度差(Wt−Jnt)に係数Anを乗算すると共に、ワークwの温度Wtと周囲の温度Ktとの温度差(Wt−Kt)に係数Bを乗算し、各乗算結果を加算して補正値Hを演算する(図2のS2)。なお、ワークWの温度Wt、各マスキング治具1の温度Jnt、および周囲の温度Ktの関係で、各乗算結果を減算し、また必要に応じて各乗算結果を加・減算したものに、さらに別の定数を加・減算する場合もある。
【0027】
続いて、差圧計測手段3によって計測されたワークWとマスタMとの間の差圧Gから補正値Hを減算して判定値Eを演算する(図2のS3)。演算手段8には、あらかじめ、判定値EからそのワークWのリークの有無を判定するための規格範囲が入力されている。演算手段8は、次に、演算された判定値Eを規格範囲と比較して(図2のS4)、判定値Eが規格範囲内であるとき(図2のS4でyesの場合)にはそのワークWにリークなしと判定結果を出力し(図2のS5)、判定値Eが規格範囲外であるとき(図2のS4でnoの場合)にはそのワークWにリークありと判定結果を出力する(図2のS6)。
【0028】
次に、本発明のリークテスト装置の第1の実施の形態の変形例を図5に基づいて説明する。なお、この実施の形態においては、上述した実施の形態と異なる部分のみ説明することとし、同様または相当する部分いついては同じ符号を付してその説明を省略する。
この実施の形態におけるリークテスト装置は、上述した実施の形態におけるマスタMを用いることなく、圧力測定手段3がワークW内に供給された空気の圧力Fを単独で計測するもであり、演算手段8は、圧力の変化(F−F’)に基づいてリークの有無の判定を行うよう構成されている。
【0029】
圧力供給手段2は、この実施の形態の場合、空気をワークWに所定の圧力で供給して正圧をかけた状態とするもので、空気圧源10と、この空気圧源10の出力側に接続された管路11と、この管路11に介装された圧力調整機能を有する開閉バルブ14’と、を備えた構成とされている。開閉バルブ14’とワークWとの間の管路13には圧力計測器3’が介装されている。
【0030】
次に、本発明のリークテスト方法の第1の実施の形態の変形例を、図5に示したリークテスト装置を使用する場合により、その演算手段8が行う演算処理内容と共に、図6に基づいて説明する。なお、この実施の形態においては、上述した実施の形態と異なる部分のみ説明することとし、同様または相当する部分いついては同じ符号を付してその説明を省略する。
この実施の形態におけるリークテスト方法は、上述したようにマスタMを使用することなく、概略、ワークW内部に加えられた圧力Fを計測して、その圧力変化(F−F’)に基づいてリークの有無を判定するものである。
【0031】
ワークWのリークテストを行うに際しては、最初に、ワークWの開口部Woをそれぞれマスキング治具1によって閉塞し、開閉バルブ14’を開にして空気圧源10から管路11、13を介して圧縮空気をワークWに所定の圧力で供給する。そして、任意の間隔をおいた時点でのワークWの圧力FおよびF’の計測と、ワークWの温度Wt、各マスキング治具1の温度Jnt、周囲の温度Ktとを同時に測定する(図2のS1)。
【0032】
次に、測定された各温度Wt、Jnt、Ktから、ワークWの温度Wtと各マスキング治具の温度Jntとの温度差(Wt−Jnt)に係数Anを乗算すると共に、ワークWの温度Wtと周囲の温度Ktとの温度差(Wt−Kt)に係数Bを乗算し、各乗算結果を加算して補正値Hを演算する(図2のS2)。
【0033】
続いて、圧力計測手段3’によって計測されたワークWの圧力の変化(F−F’)から補正値Hを減算して判定値Eを演算する(図2のS3)。演算手段8には、あらかじめ、判定値EからそのワークWのリークの有無を判定するための規格範囲が入力されている。演算手段8は、次に、演算された判定値Eを規格範囲と比較して(図2のS4)、判定値Eが規格範囲内であるとき(図2のS4でyesの場合)にはそのワークWにリークなしと判定結果を出力し(図2のS5)、判定値Eが規格範囲外であるとき(図2のS4でnoの場合)にはそのワークWにリークありと判定結果を出力する(図2のS6)。
【0034】
次に、本発明のリークテスト装置およびリークテスト方法の第2の実施の形態を併せて説明する。なお、この実施の形態におけるリークテスト装置は、図1に示された第1の実施の形態におけるリークテスト装置と比較すると、外見上に関して、ワークWの周囲の温度Ktを測定するための温度測定手段7が不要である点のみが異なるため、その図示を省略し、図1を参照しながら説明する。そして、この実施の形態においては、演算手段8の処理内容の相違する点を中心に図7に基づいて説明することとし、同様または相当する部分いついては同じ符号を付してその説明を省略する。
本発明のリークテスト装置は、概略、中空状のワークWの開口部Woを閉塞する閉塞治具1と、ワークW、および、このワークWと比較するための基準となるマスタMの内部にそれぞれ所定の圧力を加えた状態とするための圧力供給手段2と、圧力計測手段としてワークWとマスタMとの間の差圧Gを計測してその差圧値Gを出力する差圧計測器3と、ワークW、閉塞治具1、およびワークWの周囲の温度Wt,Jnt、Ktをそれぞれ測定する温度測定手段5、6と、ワークWの温度変化量RWt(=Wt−Wt’)とマスキング治具の温度変化量RJnt(=Jnt−Jnt’)に基づいて補正値Hを求めて、この補正値HによってワークWとマスタMとの間の計測された差圧値Gを補正して判定値Eを求め、この判定値Eに基づいてワークWの漏洩を判定する演算手段8と、を備えている。
【0035】
また、本発明のリークテスト方法は、概略、中空状のワークWの開口部Woをマスキング治具1により閉塞してワークW、および、このワークWと比較するための基準となるマスタMの内部に所定の圧力をそれぞれ加えた状態とし、温度測定手段5、6によるワークWおよびマスキング治具1の温度Wt、Jt測定を、差圧計測器3によるワークWとマスタMとの間の差圧Gの計測と同時に行い(図7のS1)、ワークWの温度変化量RWtとマスキング治具1の温度変化量RJntに基づいて補正値Hを求めて、この補正値HによってワークWとマスタMとの間の差圧値Gを補正し、この補正された判定値Eに基づいてワークWの漏洩を判定するものである。
【0036】
最初に、ワークWのリークテストを行うに先だって、補正値を求める際に使用する係数C,Dnを、上述した実施の形態と同様に、複数のテストワークを温度変化がなくなる状態まで延長してその内部の圧力を計測し、これらの圧力計測値を重回帰分析することにより求めておく。
【0037】
その後、ワークのリークテストを行うために、ワークWの開口部Woをそれぞれマスキング治具1によって閉塞し、各開閉バルブ14を開にして空気圧源10から管路11、圧力調整バルブ12、分岐管13A、13Bを介して圧縮空気をワークWとマスタMとに所定の圧力で供給する。そして、ワークWとマスタMとの間の差圧Gを計測すると共に、任意の間隔をおいた時点でのワークの温度Wt,Wt’、および、マスキング治具の温度Jnt,Jnt’を測定する(図2のS1)。
【0038】
演算手段8では、次に、測定されたWt,Wt’、および、マスキング治具の温度Jnt,Jnt’から、ワークWの温度変化量RWtとマスキング治具1の温度変化量RJntを演算し、ワークWの温度変化量RWtに係数Cを乗算すると共に、各マスキング治具1の温度変化量RJntに係数Dnをそれぞれ乗算し、各乗算結果を加算して補正値Hを演算する(図7のS2)。
【0039】
続いて、差圧計測手段3によって計測されたワークWとマスタMとの間の差圧Gから補正値Hを減算して判定値Eを演算し(図7のS3)、演算された判定値Eを規格範囲と比較して(図7のS4)、判定値Eが規格範囲内であるとき(図7のS4でyesの場合)にはそのワークWにリークなしと判定結果を出力し(図7のS5)、判定値Eが規格範囲外であるとき(図7のS4でnoの場合)にはそのワークWにリークありと判定結果を出力する(図7のS6)。
【0040】
次に、本発明のリークテスト装置およびリークテスト方法の第2の実施の形態の変形例を併せて説明する。なお、この実施の形態におけるリークテスト装置は、図5に示された第1の実施の形態の変形例におけるリークテスト装置と比較すると、外見上に関して、ワークWの周囲の温度Ktを測定するための温度測定手段7が不要である点のみが異なるため、その図示を省略し、図5を参照しながら説明する。そして、この実施の形態においては、演算手段8の処理内容の相違する点を中心に図8に基づいて説明することとし、同様または相当する部分いついては同じ符号を付してその説明を省略する。
この実施の形態におけるリークテスト方法は、上述したようにマスタMを使用することなく、概略、ワークWの内部に加えられた圧力Fを計測して、所定時間を隔てたワークWの圧力変化F−F’に基づいてリークの有無を判定するものである。
【0041】
ワークWのリークテストを行うに際しては、最初に、ワークWの開口部Woをそれぞれマスキング治具1によって閉塞し、開閉バルブ14’を開にして空気圧源10から管路11、13を介して圧縮空気をワークWに所定の圧力で供給する。そして、任意の間隔をおいた時点でのワークWの圧力F,F’の計測と、ワークの温度Wt,Wt’、およびマスキング治具1の温度Jnt,Jnt’とを同時にそれぞれ測定する(図8のS1)。
【0042】
演算手段8では、次に、測定されたワークWの温度Wt,Wt’、および、マスキング治具1の温度Jnt,Jnt’から、ワークWの温度変化量RWtとマスキング治具1の温度変化量RJntを演算し、ワークWの温度変化量RWtに係数Cを乗算すると共に、各マスキング治具1の温度変化量RJntに係数Dnをそれぞれ乗算し、各乗算結果を加算して補正値Hを演算する(図8のS2)。
【0043】
続いて、圧力計測手段3’によって計測されたワークWの圧力の変化(F−F’)から補正値Hを減算して判定値Eを演算し(図8のS3)、判定値Eを規格範囲と比較して(図8のS4)、判定値Eが規格範囲内であるとき(図8のS4でyesの場合)にはそのワークWにリークなしと判定結果を出力し(図8のS5)、判定値Eが規格範囲外であるとき(図8のS4でnoの場合)にはそのワークWにリークありと判定結果を出力する(図8のS6)。
【0044】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、ワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度を測定し、ワークと閉塞治具および周囲との温度差に基づいて補正値を求めるという簡単な構成で、補正値を容易に短時間で精度良く的確に求めることができ、したがって、ワークの圧力の計測値を補正値により適切に補正してワークの漏洩の有無の判定を正確に行うことができるリークテスト方法を提供することができる。
一方、請求項2の発明によれば、ワークおよび閉塞治具の温度を測定し、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量とに基づいて補正値を求めるという簡単な構成で、補正値をより容易に短時間で的確に求めることができ、したがって、ワークの圧力の計測値を補正値により適切に補正してワークの漏洩の有無の判定を正確に行うことができるリークテスト方法を提供することができる。
また、請求項3の発明によれば、請求項1または2に記載の発明において、テストワークを温度変化がなくなる状態まで延長してその内部の圧力を計測し、該圧力計測値を重回帰分析して、補正値を求めるに際して使用される係数を求めることにより、温度の変動による影響を受けることなく適切にワークの漏洩を判定することができるリークテスト方法を提供することができる。
【0045】
請求項4の発明によれば、ワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度を測定する温度測定手段が設けられており、演算手段が、ワークと閉塞治具および周囲との温度差に基づいて補正値を求めて、該補正値によりワークの圧力の計測値を補正する機能を有するという簡単な構成で、補正値を容易に短時間で精度良く的確に求めることができ、したがって、ワークの圧力の計測値を補正値により適切に補正してワークの漏洩の有無の正確な判定を行うことができるリークテスト装置を提供することができる。
一方、請求項5の発明によれば、ワークと閉塞治具の温度を測定する温度測定手段が設けられており、演算手段が、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量とに基づいて補正値を求めて、該補正値によりワークの圧力の計測値を補正する機能を有するという簡単な構成で、補正値をより容易に短時間で的確に求めることができ、したがって、ワークの圧力の計測値を補正値により適切に補正してワークの漏洩の有無の判定を正確に行うことができるリークテスト方法を提供することができる。
また、請求項6の発明によれば、請求項4または5に記載の発明において、テストワークの温度変化がなくなるまでその内部に加えられた圧力の計測を延長させるタイマを備えており、演算手段は、タイマにより各テストワークが温度変化しなくなった状態となるまで延長して計測された圧力計測値から実際の漏れ量を差し引いた結果を求め、各結果を重回帰分析して、補正値を求めるに際して使用される係数を求める機能を有するという簡単な構成で、自動的に複数のテストワークを適切にリークテストして、補正値を求める際に使用される係数を適切に精度良く求めるため、温度の変動による影響を受けることなく適切にワークの漏洩を判定することができるリークテスト装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリークテスト装置の第1の実施の形態を説明するための概念図である。
【図2】本発明のリークテスト方法の第1の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図3】測定時間の経過に伴うワークとマスキング治具と周囲の温度の変化を示すグラフである。
【図4】漏れがある場合の差圧(圧力)変化に対して、漏れがなくても温度により差圧(圧力)の計測値が変化する状態を説明するためのグラフである。
【図5】本発明のリークテスト装置の第1の実施の形態の変形例を説明するための概念図である。
【図6】本発明のリークテスト方法の第1の実施の形態の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明のリークテスト方法の第2の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明のリークテスト方法の第2の実施の形態の変形例を説明するためのフローチャートである。
【符合の説明】
W ワーク
Wo 開口部
M マスタ
1 マスキング治具(閉塞治具)
2 圧力供給手段
3 差圧計測器(圧力計測手段)
5 ワークの温度測定手段
6 マスキング治具の温度測定手段
7 周囲の温度の測定手段
8 演算手段
G 差圧計測値
Wt ワークの温度測定値
Jt マスキング治具の温度測定値
Kt 周囲の温度測定値
(Wt−Jt) ワークとマスキング治具の温度差
(Wt−Kt) ワークと周囲の温度差
An 係数
B 係数
H 補正値
E 判定値
RWt ワークの温度変化量
RJnt マスキング治具の温度変化量
C 係数
Dn 係数
【発明の属する技術分野】
本発明は、リークテスト方法およびリークテスト装置に関し、さらに詳しくは、中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力を加えた状態とし、その圧力を計測してその計測値に基づいてワークの漏洩を検査するリークテスト方法、および、中空状のワークの開口部を閉塞する閉塞治具と、ワークの内部に所定の圧力を加えた状態とする圧力供給手段と、ワークの内部の圧力を計測する圧力圧検出部と、該圧力計測手段が計測した計測値に基づいてワークの漏洩を判定する演算手段とを備えてなるリークテスト装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車のエンジンにおいては、シリンダヘッドやシリンダブロックなどに、燃料ガスおよび燃焼ガス、潤滑オイル、冷却水などを流通させるために外部に開口する開口部を有しており、中空状の通路が形成されている。そして、これら通路を有するシリンダヘッドやシリンダブロックなどの部材は、成形誤差や組立て精度などによって通路にリークが発生する場合がある。また、これらシリンダヘッドやシリンダブロックなどの部材は一般に鋳造によって成形されているが、その鋳造時に鋳巣などの欠陥が存在していると、この欠陥によって通路にリークが発生する場合がある。
また、例えば自動車の燃料タンクのような中空状の容器においては、接合部分の接合不良や曲げ加工部分の割れなどの欠陥によってリークが発生する場合がある。
そこで、このような漏洩が発生しないことが必要な中空状の製品または部品(ワーク)に欠陥が生じて漏洩が発生しないか、ワークの気密性あるいは液密性をテストするためのリークテストが従来から行われている。
【0003】
リークテストにおいては、中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力を加えた状態とし、この圧力を計測してその検出値の変化に基づいてワークの漏洩を判定することが従来から一般的に行われている。
【0004】
ところで、鋳造や溶接、切削など所定の加工工程が行われたワークは、その加工工程で付着した粉塵などを取り除くために洗浄され、乾燥されてからリークテストが行われる。ワークを洗浄するための洗浄液やワークを乾燥するために吹き付けられる空気は、ワークの温度と異なる場合が多い。そのため、リークテストを行う初期においては特に洗浄液の温度や乾燥用エアブローなどによってワークが加熱されたり放熱して周囲の環境温度(気温)と異なることとなる。
【0005】
そして、リークテストにおいて、ワークの内部に加えられたの圧力は、温度によって変動(ドリフト)するため、かかる温度によるドリフトを補正する補正値を求めて、その補正値により計測されたワーク内部の圧力値を補正することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−118657号公報
【0007】
上記特許文献1には、ドリフト補正値Dを求めるためのモデル式として、ワークの温度T1と接続治具(閉塞治具)との温度差に比例定数Aを乗算して、定数Cを加算することが開示されている(D=A(T1−T2)+C)。
さらに、上記特許文献1には、リークテストを行う周囲温度が季節や時間などによって急変したり、ワークが高温洗浄工程や溶接工程などを経て検査される場合のように、ワークに熱が加えられて検査する場合に、モデル式の比例定数Aと定数Cに温度依存性があっても正しいドリフト補正値を得るために、環境温度(周囲の気温)tを測定する温度センサを設け、環境温度tに対応した定数Cと比例定数Aを用いて、各環境温度tに対応したドリフト補正値を求めることが開示されている。
【0008】
そして、上記特許文献1においては、具体的には、各環境温度t3に対応したドリフト補正値を求めるために、環境温度t1とt2におけるドリフト補正値がDt1=At1(T1−T2)+Ct1、Dt2=At2(T1−T2)+Ct2として算出された場合、任意の環境温度t3におけるドリフト補正値Dt3をDt3=At3(T1−T2)+Ct3とし、定数Ct3をCt3=(Ct3−Ct1)・(t3−t2)/(t2−t1)+Ct2によって求め、比例常数At3をAt3=(At2−At1)・(t3−t2)/(t2−t1)+At2によって求め、爾後、環境温度t3におけるドリフト補正値Dt3をDt3=At3(T1−T2)+Ct3によって算出することが記載されている。
すなわち、上記特許文献1では、環境温度t1とt2における定数Ct1,Ct2および比例常数At1,At2をそれぞれ算出しておき、任意の環境温度t3におけるドリフト補正値Dt3をDt3=At3(T1−T2)+Ct3とし、定数Cと比例常数Aが環境温度tに対して直線的に変化するものと仮定して、定数Ct3をCt3=(Ct3−Ct1)・(t3−t2)/(t2−t1)+Ct2によって求めると共に、比例常数At3をAt3=(At2−At1)・(t3−t2)/(t2−t1)+At2によって求め、これら定数Ct3と比例常数At3を用いてドリフト補正値Dt3を求め、検査モードにおいてこのドリフト補正値Dt3を用いて測定値をドリフト補正する(段落番号0040)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の技術にあっては、測定された周囲の温度は、ワークの温度や接続治具の温度に影響を及ぼすにも関わらず、直接利用されることはなく、比例常数At3、定数Ct3を求めるための複雑な処理に利用されるにすぎない。すなわち、特許文献1では、ドリフト補正値Dt3を求めるためのモデル式において、ワークと接続治具との温度差を取込んでいるだけで、ワークとその周囲の温度差を取込んでおらず、データの処理が煩雑であるという問題があった。そして、特許文献1では、任意の環境温度t3に応じた比例常数At3、定数Ct3を求めるために、環境温度t1とt2における定数Ct1,Ct2および比例常数At1,At2をそれぞれ算出するためのマスタリング動作を定期的に行う必要があるために、手間がかかると共に、検査モードで効率良くワークのリークテストを行うことができないという問題があった。さらに、このマスタリング動作には、異なる環境温度t1とt2でワークの温度と接続治具の温度とを測定する必要があるために、時間がかかるという問題もあった。
【0010】
さらに、上記特許文献1にあっては、定数Cと比例常数Aが環境温度tに対して直線的に変化するものとの仮定が適切でない場合には、求められた環境温度t3における比例常数At3、定数Ct3が間違っていることとなり、したがって、これにより求められるドリフト補正値Dt3の精度が良くないために、ワークの漏洩の有無の判定を正確に行うことができないという問題があった。
【0011】
本発明は、上述した問題を優位に解決するためになされたもので、簡単な構成で、補正値を容易に短時間で精度良く的確に求めることができ、したがって、ワークの漏洩の有無の判定を正確に行うことができるリークテスト方法およびリークテスト装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1のリークテスト方法に係る発明は、上記目的を達成するために、中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力を加えた状態とし、その圧力を計測してその計測値に基づいてワークの漏洩を検査するリークテスト方法であって、ワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度を測定し、ワークと閉塞治具および周囲との温度差に基づいて補正値を求め、該補正値により前記計測値を補正することを特徴とするものである。
一方、請求項2のリークテスト方法に係る発明は、上記目的を達成するために、中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力を加えた状態とし、その圧力を計測してその計測値に基づいてワークの漏洩を検査するリークテスト方法であって、ワーク、および閉塞治具の温度を測定し、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量とに基づいて補正値を求め、該補正値により前記計測値を補正することを特徴とするものである。
さらに、請求項3のリークテスト方法に係る発明は、上記目的を達成するために、請求項1または2に記載の発明において、複数のテストワークを温度変化がなくなる状態まで時間を延長してその内部の圧力をそれぞれ計測し、該圧力計測値からそのテストワークの実際の漏れ量を差し引いた結果を求め、各結果を重回帰分析して、補正値を求めるに際してワークと閉塞治具および周囲との温度差、または、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量に乗算される係数を求めることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4のリークテスト装置に係る発明は、上記目的を達成するために、中空状のワークの開口部を閉塞する閉塞治具と、ワークの内部に所定の圧力を加えた状態とする圧力供給手段と、ワークの内部の圧力を計測する圧力計測手段と、該圧力計測手段が計測した計測値に基づいてワークの漏洩を判定する演算手段とを備えてなるリークテスト装置であって、ワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度を測定する温度測定手段が設けられており、前記演算手段が、ワークと閉塞治具および周囲との温度差に基づいて補正値を求めて、該補正値により前記計測値を補正する機能を有することを特徴とするものである。
一方、請求項5のリークテスト装置に係る発明は、上記目的を達成するために、中空状のワークの開口部を閉塞する閉塞治具と、ワークの内部に所定の圧力を加えた状態とする圧力供給手段と、ワークの内部の圧力を計測する圧力圧検出部と、該圧力計測手段が計測した計測値に基づいてワークの漏洩を判定する演算手段とを備えてなるリークテスト装置であって、ワークと閉塞治具の温度を測定する温度測定手段が設けられており、前記演算手段が、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量とに基づいて補正値を求めて、該補正値により前記計測値を補正する機能を有することを特徴とするものである。
さらに、請求項6のリークテスト装置に係る発明は、上記目的を達成するために、請求項4または5に記載の発明において、テストワークの温度変化がなくなるまでその内部に加えられた圧力の計測を延長させるタイマを備え、演算手段は、タイマにより各テストワークが温度変化しなくなった状態となるまで延長して計測された圧力計測値から実際の漏れ量を差し引いた結果を求め、各結果を重回帰分析して、補正値を求めるに際して使用される係数を求める機能を有することを特徴とするものである。
【0014】
請求項1のリークテスト方法に係る発明では、中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力を加えた状態とし、任意の時点における圧力の計測と、ワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度の測定とを同時に行い、ワークと周囲との温度差および閉塞治具と周囲との温度差に基づいて補正値を求め、この補正値を計測された圧力値に加味して、この補正値が加味されたワーク内の圧力値からワークの漏洩の有無を判定する。補正値は、ワークと周囲との温度差、および、閉塞治具と周囲との温度差にそれぞれ所定の係数を乗算した値を算出して、これら係数が乗算された温度差の値を加算または減算することにより、精度良く求めることができる。補正値を求めるに際しては、ワークの温度や接続治具の温度に影響を及ぼすその周囲の温度を取込むため、従来の技術におけるマスタリング動作が不要となり、しかも、補正値の精度が向上する。また、測定されたワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度の値を直接演算に使用することができるため、データの演算処理が容易である。
一方、請求項2のリークテスト方法に係る発明では、中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力を加えた状態とし、その圧力を計測すると共に、この計測時におけるワークと閉塞治具の温度を同時に経時的に測定する。ワークの温度は特に閉塞治具の温度影響を受けることによって、また、閉塞治具の温度は特にその周囲の温度の影響を受けることによって、それぞれ変化する。そこで、ワークと閉塞治具のそれぞれの所定の時間における温度変化量に基づいて補正値を求め、この補正値を計測された圧力値に加味して、この補正値が加味されたワーク内の圧力値からワークの漏洩の有無を判定する。補正値は、ワークと閉塞治具のそれぞれの所定の時間における温度変化量にそれぞれ所定の係数を乗算した値を算出して、これら係数が乗算された温度変化量の値を加算または減算することにより、容易に求めることができる。補正値を求めるに際しては、周囲の温度に影響が及ぼされたワークの温度変化量と接続治具の温度変化量を取込むため、従来の技術におけるマスタリング動作が不要となり、しかも、補正値の精度が向上する。また、測定されたワークと閉塞治具の温度変化量の値を直接演算に使用することができるため、データの演算処理が容易である。
さらに、請求項3のリークテスト方法に係る発明では、請求項1または2に記載の発明において、複数のテストワークを温度変化がなくなる状態まで延長してその内部の圧力をそれぞれ計測して、圧力計測値からそのテストワークの実際の漏れ量を差し引いた結果を求める。これにより、温度変化に影響されない純粋な圧力が測定される。そして、各結果を重回帰分析して、ワークをリークテストする際にワークと閉塞治具および周囲との温度差、または、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量に乗算するための適切な係数を求めるため、温度の変動による影響を受けることなく適切にワークの漏洩が判定される。
【0015】
請求項4のリークテスト装置に係る発明では、中空状のワークの開口部を閉塞治具によって閉塞し、供給手段によってワークの内部に所定の圧力を加えた状態として、圧力計測手段によって圧力を経時的に計測すると共に、この計測時の任意の時点におけるワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度を温度測定手段によってそれぞれ同時に測定する。演算手段は、ワークと周囲との温度差および閉塞治具と周囲との温度差に基づいて補正値を求め、この補正値を計測された圧力値に加味して、この補正値が加味されたワーク内の圧力値からワークの漏洩の有無を判定する。補正値は、ワークと周囲との温度差、および、閉塞治具と周囲との温度差にそれぞれ所定の係数を乗算した値を算出して、これら係数が乗算された温度差の値を加算または減算することにより、精度良く求めることができる。補正値を求めるに際しては、ワークの温度や接続治具の温度に影響を及ぼすその周囲の温度を取込むため、従来の技術におけるマスタリング動作を行う必要がなく、しかも、補正値の精度が向上する。また、測定されたワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度の値を演算手段が直接演算に使用することができるため、データの演算処理が容易である。
一方、請求項5のリークテスト装置に係る発明では、中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力でを加えた状態とし、この圧力を経時的に計測すると共に、この計測時におけるワークと閉塞治具の温度を同時に経時的に測定する。ワークの温度は特に閉塞治具の温度影響を受けることによって、また、閉塞治具の温度は特にその周囲の温度の影響を受けることによって、それぞれ変化する。そこで、演算手段では、ワークと閉塞治具のそれぞれの所定の時間の経過に伴う温度変化量に基づいて補正値を求め、この補正値を計測された圧力値に加味して、この補正値が加味されたワーク内の圧力値からワークの漏洩の有無を判定する。補正値は、ワークと閉塞治具のそれぞれの所定の時間における温度変化量にそれぞれ所定の係数を乗算した値を算出して、これら係数が乗算された温度変化量の値を加算または減算することにより、容易に求めることができる。補正値を求めるに際しては、周囲の温度に影響が及ぼされたワークの温度変化量と接続治具の温度変化量を演算手段に取込むため、従来の技術におけるマスタリング動作を行う必要がなく、しかも、補正値の精度が向上する。また、測定されたワークと閉塞治具の温度変化量の値を直接演算に使用することができるため、演算手段がデータの演算処理を容易に行うことができる。
さらに、請求項6のリークテスト装置に係る発明では、請求項4または5に記載の発明において、複数のテストワークでリークテストを行ってその内部の圧力を計測する。このとき、タイマによってテストワークに温度変化がなくるまで自動的に測定時間を延長させて、そのテストワークの内部の圧力を計測する。これにより、温度変化に影響されない純粋な圧力が自動で精度良く計測される。そして、演算手段では、圧力計測値からそのテストワークの実際の漏れ量を差し引いた結果を求め、各結果を重回帰分析して、ワークをリークテストする際にワークと閉塞治具および周囲との温度差、または、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量に乗算される係数を適切に求める。そのため、温度の変動による影響を受けることなく適切にワークの漏洩が判定される。
【0016】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明のリークテスト装置の第1の実施の形態を図1に基づいて詳細に説明する。なお、同一符号は、同様または相当する部分を示すものとする。
本発明のこの実施の形態におけるリークテスト装置は、概略、中空状のワークWの開口部Woを閉塞する閉塞治具1と、ワークW、および、このワークWと比較するための基準となるマスタMの内部にそれぞれ所定の圧力を加えた状態とするための圧力供給手段2と、圧力計測手段としてワークWとマスタMとの間の圧力の差(差圧)を計測してその差圧値を出力する差圧計測器3と、ワークWの温度Wt、閉塞治具1の温度Jt、およびワークWの周囲の温度Ktを測定する温度測定手段5、6、7と、ワークWと閉塞治具1およびワークWの周囲との温度差(Wt−Jt)、(Wt−Kt)に基づいて補正値Hを求めて、この補正値HによってワークWとマスタMとの間の差圧値Gを補正して差圧の判定値Eを求め、この判定値Eに基づいてワークWの漏洩を判定する演算手段8と、を備えている。さらに、本発明のリークテスト装置は、補正値を求めるに際して使用される係数を求めるために複数のテストワークにリークテストをおこなうのであるが、テストワークの温度変化がなくなるまでその内部に加えられた圧力の計測を延長させるタイマ(図示は省略する)を備えており、また、演算手段8は、タイマにより各テストワークが温度変化しなくなった状態となるまで延長して計測された圧力計測値から実際の漏れ量を差し引いた結果を求め、各結果を重回帰分析して、補正値を求めるに際して使用される係数を求める機能を有している。
【0017】
ワークWは、例えば、燃料ガスおよび燃焼ガス、潤滑オイル、冷却水などを流通させるために通路が中空状に形成されたシリンダヘッドやシリンダブロックなどの部材またはこれらの部材からなる組み立て過程または組み立て完了のエンジン、あるいは、接合部分や曲げ加工部分を有する燃料タンクのように、中空状で且つ外部に開放する開口部Woを有するものである。
マスタMは、漏れのない中空容器状のもので、ワークWと同時に同じ圧力が加えられた状態とされ、時間の経過に伴って変化する圧力のワークWに対する比較基準とされる。
【0018】
閉塞治具(以下、マスキング治具という)1は、ワークWの開口部Woの周囲を含む形状に形成されてなるもので、ワークWに当接される面には、その開口部Woに応じた形状および大きさでシール部材としてのマスキングゴムが設けられている。この実施の形態では、ワークWの開口部Woに応じて、2つのマスキング治具1が使用される。
【0019】
圧力供給手段2は、この実施の形態の場合、検査流体としての空気をワークWとマスタMとに所定の圧力で供給して正圧をかけた状態とするもので、空気圧源10と、この空気圧源10の出力側に接続された管路11と、この管路11に介装された圧力調整バルブ12と、ワークWとマスタMとに圧縮空気を供給すべく分岐した管路13A、13Bと、それぞの分岐管13A、13Bに介装された開閉バルブ14と、を備えた構成とされている。分岐管13A、13Bの間には、管路15を介して差圧計測器3が設けられている。なお、本発明は、この実施の形態に限定されることなく、検査流体として例えばヘリウムガスなど他の気体を使用してもよく、また、ワークWとマスタMとを所定の圧力で真空引きして負圧をかけた状態とすることもできる。
【0020】
ワークWの温度Wtを測定するための温度測定手段5は、この実施の形態の場合、マスキング治具1がワークWの開口部Woを閉塞したときにワークWと接するように、マスキング治具1のうちの一つの内部に配設されている。
温度測定手段6は、各マスキング治具1内に配設され、マスキング治具1の温度Jtをそれぞれ測定する。
周囲の温度Ktを測定するための温度測定手段7は、ワークWにリークテストを行う箇所の近傍に、ワークWおよびマスキング治具1と接することないように配設される。ワークWのリークテストを行う条件によっては、測定されるワークWの周囲の温度が気温である場合もある。
これら温度測定手段5、6、7は、たとえば熱電対などのセンサを使用することができ、各温度に応じた信号を演算手段8に出力する。
【0021】
このように構成された圧力供給手段2では、ワークWの開口部Woがマスキング治具1により閉塞された状態で、各開閉バルブ14を開にすることにより、空気圧源10から管路11を介して供給された圧縮空気が、圧力調整バルブ12によって所定の圧力に調整され、分岐管13A、13BによってワークWとマスタMとに供給される。そして、ワークWとマスタMの内部に空気が所定の圧力で充填された状態で、開閉バルブ14をそれぞれ閉とすることにより、ワークWとマスタMの内部に所定の圧力の空気が閉じ込められ、時間の経過に伴ってその圧力が低下することとなる。そして、ワークWに漏れが発生している場合には、ワークW内の圧力がマスタM内の圧力よりも多く低下することとなり、両者の間に圧力の差(差圧)が生じることとなる。この差圧は、差圧計測器3によって計測される。また、差圧の計測と同時に、温度測定手段5、6、7によってワークWの温度Wt、各マスキング治具1の温度J1t,J2t、周囲の温度Ktを表す信号が演算手段8に入力される。
【0022】
次に、本発明のリークテスト方法の第1の実施の形態を、上述したリークテスト装置を使用する場合により、その演算手段8が行う演算処理内容と共に、図2〜図4に基づいて説明する。
本発明のこの実施の形態におけるリークテスト方法は、概略、中空状のワークWの開口部Woをマスキング治具1により閉塞してワークW、および、このワークWと比較するための基準となるマスタMの内部に所定の圧力をそれぞれ加えた状態とし、温度測定手段5、6、7によるワークW、マスキング治具1、およびワークWの周囲の温度Wt、Jt、およびKtの測定を、差圧計測器3によるワークWとマスタMとの間の差圧Gの計測と同時に行い(図2のS1)、ワークWとマスキング治具1および周囲8との温度差(Wt−Jt)、(Wt−Kt)に基づいて補正値Hを求めて、この補正値HによってワークWとマスタMとの間の差圧値Gを補正して判定値Eを求め、この判定値EによりワークWの漏洩を判定するものである。
また、本発明のリークテスト方法は、複数のテストワークを温度変化がなくなる状態まで延長して差圧Gをそれぞれ計測し、計測された差圧値Gからそのテストワークの実際の漏れ量N(図4)を差し引いた結果を求め、各結果を重回帰分析して、補正値Hを求めるに際してワークWの温度Wtと各マスキング治具1の温度Jntとの差(Wt−Jnt)、および、ワークWの温度Wtと周囲の温度Ktとの差(Wt−Kt)に乗算される係数A1,A2,…AnとBを求めるものである。
【0023】
最初に、ワークWのリークテストを行うに先だって、補正値Hを求める際に使用する係数を求めるために、複数のテストワークを用意し、このテストワークの開口部をワークと同様にマスキング治具1によって閉塞し、各開閉バルブを開にして空気圧源から管路、圧力調整バルブ、分岐管A、Bを介して圧縮空気をテストワークとマスタMとに所定の圧力で供給する。なお、テストワークは、上述したワークWと同様であるため、その説明を省略する。
【0024】
このとき、図3に示すように、ワークWの温度Wt、マスキング治具の温度Jt(J1t,J2t,…Jnt)、周囲の温度Ktが当初異なっている場合には、ワークWとマスキング治具1との間、および、マスキング治具1と周囲の空気との間で互いに熱交換されて、これらの温度Wt,Jt,Ktが時間経過に伴って落ち着くまで変化することとなる。そのため、図4に曲線で示すように、差圧計測器3によって計測されるテストワークとマスタMとの間の差圧は、テストワークに漏れがある場合に実際に計測される差圧値は計測時間に比例して増大する。一方、テストワークに漏れがない場合であっても、当初においては温度変化によって一時的に差圧値が計測、時間経過による温度変化の減少に伴って差圧値も減少することとなる。そこで、温度変化に影響されることなく補正値Hを演算することができるように、演算手段8では、温度変化がなくなるまで(実質的には温度変化が許容できる範囲に減少するまで)、差圧計測手段3からの差圧信号の入力をタイマによって所定時間延長させ、温度変化がなくなってからの差圧値Gから実際の漏れ量Nを演算してこれを差し引いてその結果を入力する。この係数A1,A2,…AnおよびBを求めるためのデータとり工程は、複数のテストワークに関して行われる。タイマによって適切な時期まで自動的に延長させて計測を行うようにしたため、補正値Hの演算に使用する係数A1,A2,…AnおよびBの演算のためのデータとりを、自動的に効率よく且つ適切に行うことができる。所定量のデータがとれたら、演算手段8は、差圧値Gから実際の漏れ量Nを演算してこれを差し引いてその結果を重回帰分析して、後に補正値Hを求める際に、ワークWと各マスキング治具1との温度差(Wt−Jnt)に乗算される係数A1,A2,…An、および、ワークと周囲との温度差(Wt−Kt)に乗算される係数Bを演算する。なお、この実施の形態では、2つのマスキング治具1が使用されているため、係数A1,A2,…Anは、各マスキング治具1の数に応じてそのマスキング治具1毎に求められる。
【0025】
その後、ワークWのリークテストを行うために、ワークWの開口部Woをそれぞれマスキング治具1によって閉塞し、各開閉バルブ14を開にして空気圧源10から管路11、圧力調整バルブ12、分岐管13A、13Bを介して圧縮空気をワークWとマスタMとの内部に所定の圧力で供給する。そして、任意の時点で、ワークWとマスタMとの間の差圧Gの計測と、ワークの温度Wt、マスキング治具の温度Jnt、周異の温度Ktとを同時に測定する(図2のS1)。
【0026】
次に、測定されたワークWの温度Wtと各マスキング治具1の温度Jntとの温度差(Wt−Jnt)に係数Anを乗算すると共に、ワークwの温度Wtと周囲の温度Ktとの温度差(Wt−Kt)に係数Bを乗算し、各乗算結果を加算して補正値Hを演算する(図2のS2)。なお、ワークWの温度Wt、各マスキング治具1の温度Jnt、および周囲の温度Ktの関係で、各乗算結果を減算し、また必要に応じて各乗算結果を加・減算したものに、さらに別の定数を加・減算する場合もある。
【0027】
続いて、差圧計測手段3によって計測されたワークWとマスタMとの間の差圧Gから補正値Hを減算して判定値Eを演算する(図2のS3)。演算手段8には、あらかじめ、判定値EからそのワークWのリークの有無を判定するための規格範囲が入力されている。演算手段8は、次に、演算された判定値Eを規格範囲と比較して(図2のS4)、判定値Eが規格範囲内であるとき(図2のS4でyesの場合)にはそのワークWにリークなしと判定結果を出力し(図2のS5)、判定値Eが規格範囲外であるとき(図2のS4でnoの場合)にはそのワークWにリークありと判定結果を出力する(図2のS6)。
【0028】
次に、本発明のリークテスト装置の第1の実施の形態の変形例を図5に基づいて説明する。なお、この実施の形態においては、上述した実施の形態と異なる部分のみ説明することとし、同様または相当する部分いついては同じ符号を付してその説明を省略する。
この実施の形態におけるリークテスト装置は、上述した実施の形態におけるマスタMを用いることなく、圧力測定手段3がワークW内に供給された空気の圧力Fを単独で計測するもであり、演算手段8は、圧力の変化(F−F’)に基づいてリークの有無の判定を行うよう構成されている。
【0029】
圧力供給手段2は、この実施の形態の場合、空気をワークWに所定の圧力で供給して正圧をかけた状態とするもので、空気圧源10と、この空気圧源10の出力側に接続された管路11と、この管路11に介装された圧力調整機能を有する開閉バルブ14’と、を備えた構成とされている。開閉バルブ14’とワークWとの間の管路13には圧力計測器3’が介装されている。
【0030】
次に、本発明のリークテスト方法の第1の実施の形態の変形例を、図5に示したリークテスト装置を使用する場合により、その演算手段8が行う演算処理内容と共に、図6に基づいて説明する。なお、この実施の形態においては、上述した実施の形態と異なる部分のみ説明することとし、同様または相当する部分いついては同じ符号を付してその説明を省略する。
この実施の形態におけるリークテスト方法は、上述したようにマスタMを使用することなく、概略、ワークW内部に加えられた圧力Fを計測して、その圧力変化(F−F’)に基づいてリークの有無を判定するものである。
【0031】
ワークWのリークテストを行うに際しては、最初に、ワークWの開口部Woをそれぞれマスキング治具1によって閉塞し、開閉バルブ14’を開にして空気圧源10から管路11、13を介して圧縮空気をワークWに所定の圧力で供給する。そして、任意の間隔をおいた時点でのワークWの圧力FおよびF’の計測と、ワークWの温度Wt、各マスキング治具1の温度Jnt、周囲の温度Ktとを同時に測定する(図2のS1)。
【0032】
次に、測定された各温度Wt、Jnt、Ktから、ワークWの温度Wtと各マスキング治具の温度Jntとの温度差(Wt−Jnt)に係数Anを乗算すると共に、ワークWの温度Wtと周囲の温度Ktとの温度差(Wt−Kt)に係数Bを乗算し、各乗算結果を加算して補正値Hを演算する(図2のS2)。
【0033】
続いて、圧力計測手段3’によって計測されたワークWの圧力の変化(F−F’)から補正値Hを減算して判定値Eを演算する(図2のS3)。演算手段8には、あらかじめ、判定値EからそのワークWのリークの有無を判定するための規格範囲が入力されている。演算手段8は、次に、演算された判定値Eを規格範囲と比較して(図2のS4)、判定値Eが規格範囲内であるとき(図2のS4でyesの場合)にはそのワークWにリークなしと判定結果を出力し(図2のS5)、判定値Eが規格範囲外であるとき(図2のS4でnoの場合)にはそのワークWにリークありと判定結果を出力する(図2のS6)。
【0034】
次に、本発明のリークテスト装置およびリークテスト方法の第2の実施の形態を併せて説明する。なお、この実施の形態におけるリークテスト装置は、図1に示された第1の実施の形態におけるリークテスト装置と比較すると、外見上に関して、ワークWの周囲の温度Ktを測定するための温度測定手段7が不要である点のみが異なるため、その図示を省略し、図1を参照しながら説明する。そして、この実施の形態においては、演算手段8の処理内容の相違する点を中心に図7に基づいて説明することとし、同様または相当する部分いついては同じ符号を付してその説明を省略する。
本発明のリークテスト装置は、概略、中空状のワークWの開口部Woを閉塞する閉塞治具1と、ワークW、および、このワークWと比較するための基準となるマスタMの内部にそれぞれ所定の圧力を加えた状態とするための圧力供給手段2と、圧力計測手段としてワークWとマスタMとの間の差圧Gを計測してその差圧値Gを出力する差圧計測器3と、ワークW、閉塞治具1、およびワークWの周囲の温度Wt,Jnt、Ktをそれぞれ測定する温度測定手段5、6と、ワークWの温度変化量RWt(=Wt−Wt’)とマスキング治具の温度変化量RJnt(=Jnt−Jnt’)に基づいて補正値Hを求めて、この補正値HによってワークWとマスタMとの間の計測された差圧値Gを補正して判定値Eを求め、この判定値Eに基づいてワークWの漏洩を判定する演算手段8と、を備えている。
【0035】
また、本発明のリークテスト方法は、概略、中空状のワークWの開口部Woをマスキング治具1により閉塞してワークW、および、このワークWと比較するための基準となるマスタMの内部に所定の圧力をそれぞれ加えた状態とし、温度測定手段5、6によるワークWおよびマスキング治具1の温度Wt、Jt測定を、差圧計測器3によるワークWとマスタMとの間の差圧Gの計測と同時に行い(図7のS1)、ワークWの温度変化量RWtとマスキング治具1の温度変化量RJntに基づいて補正値Hを求めて、この補正値HによってワークWとマスタMとの間の差圧値Gを補正し、この補正された判定値Eに基づいてワークWの漏洩を判定するものである。
【0036】
最初に、ワークWのリークテストを行うに先だって、補正値を求める際に使用する係数C,Dnを、上述した実施の形態と同様に、複数のテストワークを温度変化がなくなる状態まで延長してその内部の圧力を計測し、これらの圧力計測値を重回帰分析することにより求めておく。
【0037】
その後、ワークのリークテストを行うために、ワークWの開口部Woをそれぞれマスキング治具1によって閉塞し、各開閉バルブ14を開にして空気圧源10から管路11、圧力調整バルブ12、分岐管13A、13Bを介して圧縮空気をワークWとマスタMとに所定の圧力で供給する。そして、ワークWとマスタMとの間の差圧Gを計測すると共に、任意の間隔をおいた時点でのワークの温度Wt,Wt’、および、マスキング治具の温度Jnt,Jnt’を測定する(図2のS1)。
【0038】
演算手段8では、次に、測定されたWt,Wt’、および、マスキング治具の温度Jnt,Jnt’から、ワークWの温度変化量RWtとマスキング治具1の温度変化量RJntを演算し、ワークWの温度変化量RWtに係数Cを乗算すると共に、各マスキング治具1の温度変化量RJntに係数Dnをそれぞれ乗算し、各乗算結果を加算して補正値Hを演算する(図7のS2)。
【0039】
続いて、差圧計測手段3によって計測されたワークWとマスタMとの間の差圧Gから補正値Hを減算して判定値Eを演算し(図7のS3)、演算された判定値Eを規格範囲と比較して(図7のS4)、判定値Eが規格範囲内であるとき(図7のS4でyesの場合)にはそのワークWにリークなしと判定結果を出力し(図7のS5)、判定値Eが規格範囲外であるとき(図7のS4でnoの場合)にはそのワークWにリークありと判定結果を出力する(図7のS6)。
【0040】
次に、本発明のリークテスト装置およびリークテスト方法の第2の実施の形態の変形例を併せて説明する。なお、この実施の形態におけるリークテスト装置は、図5に示された第1の実施の形態の変形例におけるリークテスト装置と比較すると、外見上に関して、ワークWの周囲の温度Ktを測定するための温度測定手段7が不要である点のみが異なるため、その図示を省略し、図5を参照しながら説明する。そして、この実施の形態においては、演算手段8の処理内容の相違する点を中心に図8に基づいて説明することとし、同様または相当する部分いついては同じ符号を付してその説明を省略する。
この実施の形態におけるリークテスト方法は、上述したようにマスタMを使用することなく、概略、ワークWの内部に加えられた圧力Fを計測して、所定時間を隔てたワークWの圧力変化F−F’に基づいてリークの有無を判定するものである。
【0041】
ワークWのリークテストを行うに際しては、最初に、ワークWの開口部Woをそれぞれマスキング治具1によって閉塞し、開閉バルブ14’を開にして空気圧源10から管路11、13を介して圧縮空気をワークWに所定の圧力で供給する。そして、任意の間隔をおいた時点でのワークWの圧力F,F’の計測と、ワークの温度Wt,Wt’、およびマスキング治具1の温度Jnt,Jnt’とを同時にそれぞれ測定する(図8のS1)。
【0042】
演算手段8では、次に、測定されたワークWの温度Wt,Wt’、および、マスキング治具1の温度Jnt,Jnt’から、ワークWの温度変化量RWtとマスキング治具1の温度変化量RJntを演算し、ワークWの温度変化量RWtに係数Cを乗算すると共に、各マスキング治具1の温度変化量RJntに係数Dnをそれぞれ乗算し、各乗算結果を加算して補正値Hを演算する(図8のS2)。
【0043】
続いて、圧力計測手段3’によって計測されたワークWの圧力の変化(F−F’)から補正値Hを減算して判定値Eを演算し(図8のS3)、判定値Eを規格範囲と比較して(図8のS4)、判定値Eが規格範囲内であるとき(図8のS4でyesの場合)にはそのワークWにリークなしと判定結果を出力し(図8のS5)、判定値Eが規格範囲外であるとき(図8のS4でnoの場合)にはそのワークWにリークありと判定結果を出力する(図8のS6)。
【0044】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、ワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度を測定し、ワークと閉塞治具および周囲との温度差に基づいて補正値を求めるという簡単な構成で、補正値を容易に短時間で精度良く的確に求めることができ、したがって、ワークの圧力の計測値を補正値により適切に補正してワークの漏洩の有無の判定を正確に行うことができるリークテスト方法を提供することができる。
一方、請求項2の発明によれば、ワークおよび閉塞治具の温度を測定し、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量とに基づいて補正値を求めるという簡単な構成で、補正値をより容易に短時間で的確に求めることができ、したがって、ワークの圧力の計測値を補正値により適切に補正してワークの漏洩の有無の判定を正確に行うことができるリークテスト方法を提供することができる。
また、請求項3の発明によれば、請求項1または2に記載の発明において、テストワークを温度変化がなくなる状態まで延長してその内部の圧力を計測し、該圧力計測値を重回帰分析して、補正値を求めるに際して使用される係数を求めることにより、温度の変動による影響を受けることなく適切にワークの漏洩を判定することができるリークテスト方法を提供することができる。
【0045】
請求項4の発明によれば、ワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度を測定する温度測定手段が設けられており、演算手段が、ワークと閉塞治具および周囲との温度差に基づいて補正値を求めて、該補正値によりワークの圧力の計測値を補正する機能を有するという簡単な構成で、補正値を容易に短時間で精度良く的確に求めることができ、したがって、ワークの圧力の計測値を補正値により適切に補正してワークの漏洩の有無の正確な判定を行うことができるリークテスト装置を提供することができる。
一方、請求項5の発明によれば、ワークと閉塞治具の温度を測定する温度測定手段が設けられており、演算手段が、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量とに基づいて補正値を求めて、該補正値によりワークの圧力の計測値を補正する機能を有するという簡単な構成で、補正値をより容易に短時間で的確に求めることができ、したがって、ワークの圧力の計測値を補正値により適切に補正してワークの漏洩の有無の判定を正確に行うことができるリークテスト方法を提供することができる。
また、請求項6の発明によれば、請求項4または5に記載の発明において、テストワークの温度変化がなくなるまでその内部に加えられた圧力の計測を延長させるタイマを備えており、演算手段は、タイマにより各テストワークが温度変化しなくなった状態となるまで延長して計測された圧力計測値から実際の漏れ量を差し引いた結果を求め、各結果を重回帰分析して、補正値を求めるに際して使用される係数を求める機能を有するという簡単な構成で、自動的に複数のテストワークを適切にリークテストして、補正値を求める際に使用される係数を適切に精度良く求めるため、温度の変動による影響を受けることなく適切にワークの漏洩を判定することができるリークテスト装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリークテスト装置の第1の実施の形態を説明するための概念図である。
【図2】本発明のリークテスト方法の第1の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図3】測定時間の経過に伴うワークとマスキング治具と周囲の温度の変化を示すグラフである。
【図4】漏れがある場合の差圧(圧力)変化に対して、漏れがなくても温度により差圧(圧力)の計測値が変化する状態を説明するためのグラフである。
【図5】本発明のリークテスト装置の第1の実施の形態の変形例を説明するための概念図である。
【図6】本発明のリークテスト方法の第1の実施の形態の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明のリークテスト方法の第2の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明のリークテスト方法の第2の実施の形態の変形例を説明するためのフローチャートである。
【符合の説明】
W ワーク
Wo 開口部
M マスタ
1 マスキング治具(閉塞治具)
2 圧力供給手段
3 差圧計測器(圧力計測手段)
5 ワークの温度測定手段
6 マスキング治具の温度測定手段
7 周囲の温度の測定手段
8 演算手段
G 差圧計測値
Wt ワークの温度測定値
Jt マスキング治具の温度測定値
Kt 周囲の温度測定値
(Wt−Jt) ワークとマスキング治具の温度差
(Wt−Kt) ワークと周囲の温度差
An 係数
B 係数
H 補正値
E 判定値
RWt ワークの温度変化量
RJnt マスキング治具の温度変化量
C 係数
Dn 係数
Claims (6)
- 中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力を加えた状態とし、その圧力を計測してその計測値に基づいてワークの漏洩を検査するリークテスト方法であって、
ワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度を測定し、
ワークと閉塞治具および周囲との温度差に基づいて補正値を求め、
該補正値により前記計測値を補正することを特徴とするリークテスト方法。 - 中空状のワークの開口部を閉塞治具により閉塞してワークの内部に所定の圧力を加えた状態とし、その圧力を計測してその計測値に基づいてワークの漏洩を検査するリークテスト方法であって、
ワーク、および閉塞治具の温度を測定し、
ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量とに基づいて補正値を求め、
該補正値により前記計測値を補正することを特徴とするリークテスト方法。 - 複数のテストワークを温度変化がなくなる状態まで時間を延長してその内部の圧力をそれぞれ計測し、該圧力計測値からそのテストワークの実際の漏れ量を差し引いた結果を求め、各結果を重回帰分析して、補正値を求めるに際してワークと閉塞治具および周囲との温度差、または、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量に乗算される係数を求めることを特徴とする請求項1または2に記載のリークテスト方法。
- 中空状のワークの開口部を閉塞する閉塞治具と、ワークの内部に所定の圧力を加えた状態とする圧力供給手段と、ワークの内部の圧力を計測する圧力計測手段と、該圧力計測手段が計測した計測値に基づいてワークの漏洩を判定する演算手段とを備えてなるリークテスト装置であって、
ワーク、閉塞治具、およびワーク周囲の温度を測定する温度測定手段が設けられており、
前記演算手段が、ワークと閉塞治具および周囲との温度差に基づいて補正値を求めて、該補正値により前記計測値を補正する機能を有することを特徴とするリークテスト装置。 - 中空状のワークの開口部を閉塞する閉塞治具と、ワークの内部に所定の圧力を加えた状態とする圧力供給手段と、ワークの内部の圧力を計測する圧力圧検出部と、該圧力計測手段が計測した計測値に基づいてワークの漏洩を判定する演算手段とを備えてなるリークテスト装置であって、
ワークと閉塞治具の温度を測定する温度測定手段が設けられており、
前記演算手段が、ワークの温度変化量と閉塞治具の温度変化量とに基づいて補正値を求めて、該補正値により前記計測値を補正する機能を有することを特徴とするリークテスト装置。 - テストワークの温度変化がなくなるまでその内部に加えられた圧力の計測を延長させるタイマを備え、
演算手段は、タイマにより各テストワークが温度変化しなくなった状態となるまで延長して計測された圧力計測値から実際の漏れ量を差し引いた結果を求め、各結果を重回帰分析して、補正値を求めるに際して使用される係数を求める機能を有することを特徴とする請求項4または5に記載のリークテスト装置。
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