JP2004177234A - 誘電定数測定法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄層の測定試料をも誘電定数を測定できるとともに、測定試料の任意深さにある任意厚さの誘電体層の誘電定数を測定できる誘電定数測定法を提供する。
【解決手段】円形内部導体3を異なる厚みの第1測定試料1及び第2測定試料2で挟持し、該第1、第2測定試料1、2の表面にそれぞれ第1、第2外部導体4、5を形成してなる円板共振器Aを、第1外部導体4に設けられた入力用、出力用の励振口7、8を介してTM0m0モード(m=1、2・・・)を励振させ、その共振周波数と無負荷Qを測定し、該円板共振器Aの共振周波数と無負荷Qの測定値、及び予め測定されていた第1測定試料1の比誘電率及び/又は誘電正接から、第2測定試料2の誘電定数を求めることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は誘電定数測定法に関し、特に高周波数領域で電子部品として使用する誘電体基板の誘電定数測定法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年においては、移動体通信技術の発展、普及に伴い、マイクロ波回路構成用の誘電体基板の誘電定数測定法が強く求められている。誘電体基板のマイクロ波における誘電定数測定法は種々提案されているが、その中でも空洞共振器法は高精度測定法として認知されている。この空洞共振器法では基板の面内方向の誘電定数が測定されるが、測定試料単体で自立できないような薄い、あるいは脆い試料や、基板上に形成された誘電体層の測定が困難である。
【0003】
一方、基板に垂直方向の誘電定数測定法としては平衡形円板共振器法が知られている。平衡形円板共振器法の励振はストリップラインにより円板状の内部導体の側面から行われることが多い。この平衡形円板共振器法では、測定系との整合性を得るためにストリップラインの特性インピーダンスを50Ωにする必要があるが、薄い誘電体基板では50Ωのインピーダンスを実現するためにストリップライン線路を極めて細くする必要がある。
【0004】
例えば同時焼成で、50Ωのインピーダンスを持つストリップライン線路を実現するためには、厚みが200μmの誘電体層が限界である。もし、50Ωから外れたインピーダンスのストリップラインで共振器を励振した場合、コネクタ等で反射が起こり、共振特性の測定精度、従って誘電特性の測定精度が劣化するという問題があった。
【0005】
このような問題点を解決するため、近年においては、平衡形円板共振器の上下面の中心から、同軸ケーブルにより共振器を励振する方法が提案されている。図7は、この誘電定数測定法を示すもので、円形内部導体31を有機樹脂からなる測定試料33で挟持し、これらの測定試料33の表面にそれぞれ外部導体35を形成し、円板共振器Aを形成し、円形内部導体31の中心に該当する外部導体35に励振口をそれぞれ形成し、これらの励振口に同軸ケーブル37を挿入し、電界により共振器Aを励振させ、共振器Aの共振周波数と無負荷Qの測定値から、測定試料33の比誘電率及び誘電正接を求めていた(非特許文献1参照)。
【0006】
【非特許文献1】
「電子情報通信学技術研究報告、信学技法vol.91―17、No.52」社団法人電子情報通信学会、1991年5月23日、p.17−22
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7に示す誘電定数測定法では、平衡形円板共振器Aの両側の励振口に同軸ケーブル37を挿入し、測定する必要があったため、支持基板の上に平衡形円板共振器Aを作製することができず、極めて薄い誘電体層でかつ導体層と同時焼成されたセラミック試料、又は極めて薄い誘電体層でかつ一体成形された誘電体試料の測定においては、試料の反りが生じたり、破壊が起こったりするため、実質的に薄層の試料作製が困難になるという問題があった。
【0008】
又、セラミックスからなる配線基板では、焼成時に基板の厚さ方向に空隙率等の分布が起こり、誘電定数が厚さ方向に変化する場合があることが知られているが、図7に示す誘電定数測定法では、構造上、誘電体基板の平均的な誘電定数を測定することになり、誘電体基板の厚さ方向の誘電定数の変化を測定することはできなかった。
【0009】
本発明は、薄層の測定試料の誘電定数をも測定できるとともに、測定試料の任意深さにある任意厚さの誘電体層の誘電定数を測定できる誘電定数測定法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電定数測定法は、円形内部導体を異なる厚みの第1測定試料及び第2測定試料で挟持し、該第1、第2測定試料の表面にそれぞれ第1、第2外部導体を形成してなる円板共振器を、前記第1外部導体に設けられた入力用、出力用の励振口を介してTM0m0モード(m=1、2・・・)を励振させ、その共振周波数と無負荷Qを測定し、該円板共振器の共振周波数と無負荷Qの測定値、及び予め測定されていた前記第1測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接から、前記第2測定試料の誘電定数を求めることを特徴とする。
【0011】
このような誘電定数測定法では、円板共振器を構成する一方の外部導体に磁界や電界の入力用、出力用の励振口を形成するため、支持基板の上に導体層と同時焼成あるいは一体成形した円板共振器の誘電定数を測定でき、従来測定が困難であった導体層と同時焼成あるいは一体成形された薄層の測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接等の誘電定数を容易に求めることができる。
【0012】
また、本発明では、円板共振器の片面側から磁界や電界を印加して円板共振器を励振させ、測定試料の誘電定数を測定できるため、例えば、円板共振器を平坦な部分に載置して誘電定数を測定でき、従来のように、円板共振器を立てて測定する等、円板共振器の両側から電界を印加するための保持に注意する必要がなく、また、円板共振器が薄くなったとしても円板共振器を支持基板上に形成することにより、取り扱いも容易となる。
【0013】
さらに、本発明の誘電定数測定法では、円板共振器の円形内部導体の上下の測定試料の厚さを同一厚みとすることなく、自由に異なる厚みに設定できるため、例えば、異なる誘電体層を有し、誘電体層間に内部配線を有する配線基板等の電子部品において、任意の誘電体層における誘電定数を測定することができる。
【0014】
即ち、実際の配線基板等の電子部品は、セラミックス又はガラスセラミックスからなる誘電体層と内部配線が同時焼成されており、誘電体層はその厚みや内部配線材料等の影響を受け、積層位置(形成深さ)により、誘電体層がそれぞれ異なる誘電定数を有するようになることが知られているが、内部配線間に異なる厚みの誘電体層を有する部分の前記誘電体層の誘電定数を測定したい場合には、その部分をモデル化した円板共振器を作製し、各誘電体層の誘電定数を測定できる。従って、より現実に近い配線基板等の電子部品の設計を行うことができる。
【0015】
また、電界強度がゼロ、あるいは小さい位置に設けた励振口を用いて、磁界により円板共振器を励振させることにより、測定試料が薄い場合でも励振口の影響を受けずに、高い精度で測定できる。
【0016】
本発明の誘電定数測定法は、支持基板上に形成された円板共振器の第1、第2測定試料の厚みが0.2mm以下であることを特徴とする。また、第1、第2測定試料がセラミックス又はガラスセラミックスからなり、支持基板及び円板共振器が同時焼成され、一体化されていることを特徴とする。
【0017】
一般に、マイクロ波領域で使用される配線基板の絶縁層の誘電定数を確認できれば、配線基板の設計に活かすことができる。ところで、セラミックスやガラスセラミックスからなる絶縁層と内部配線を同時焼成して形成される配線基板では、焼成時に内部配線を形成する金属材料が絶縁層に拡散して絶縁層の誘電定数が変化する可能性が指摘されている。このような実際の絶縁層の誘電定数を確認することにより、回路設計に最大限に活かすことができる。
【0018】
しかしながら、近年においては、配線基板の薄層化が進み、現実の絶縁層の厚みが0.2mm以下、特には0.05mm以下と薄くなり、このような配線基板の絶縁層の誘電定数を測定するため、現実の厚みを反映した、従来の図7に示すような共振器を作製しようとすると、測定試料が薄いため作製が困難であり、測定することができなかった。
【0019】
本発明では、第1、第2測定試料がセラミックス又はガラスセラミックスからなり、支持基板及び円板共振器が同時焼成されて一体化され、支持基板上に円板共振器が形成されているため、共振器の測定試料を薄くしても、支持基板により共振器の強度を向上できるため、共振器を容易に形成でき、しかも、第1外部導体の励振口を用いて誘電定数を測定できるため、測定試料の厚みが0.2mm以下と薄い場合であっても誘電定数を容易に測定できる。
【0020】
また、本発明の誘電定数測定法は、円形内部導体の中心位置に対応する第1外部導体の位置に励振口を設けるとともに、前記円形内部導体の端の位置に対応する前記第1外部導体の位置に励振口を設け、前記励振口に同軸ケーブルを挿入し、電界により円板共振器のTM0m0モード(m=1、2・・・)を励振させたり、円形内部導体の同心円に対応する第1外部導体の位置に少なくとも2個の励振口を設け、該励振口にループアンテナを挿入し、磁界により円板共振器のTM0m0モード(m=1、2・・・)を励振させることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の誘電定数測定法を、図1を用いて説明する。先ず、測定に用いる円板共振器Aを作製する。
【0022】
円板共振器Aは、厚さの異なる第1測定試料(上側誘電体層)1と、被測定部位である第2測定試料(下側誘電体層)2の間に、これらの第1、第2測定試料1、2よりも面積の小さい円形内部導体3を配置し、かつ、第1、第2測定試料1、2の外側に、円形内部導体3よりも面積の大きい第1、第2外部導体4、5をそれぞれ配置して構成されている。即ち、円板共振器Aは、円形内部導体3を厚さの異なる第1、第2測定試料1、2で挟持し、これらの第1、第2測定試料1、2の表面にそれぞれ第1、第2外部導体4、5を形成して構成されている。
【0023】
円形内部導体3、外部導体4、5は導体材料から形成すればよいが、特に、2層の第1、第2測定試料1、2間で電磁界が透過しないように、又電磁界の放射を防ぐ点から、円形内部導体3、外部導体4、5の厚みは少なくとも5μm以上、特に10μm以上であることが望ましい。
【0024】
第1、第2測定試料1、2は、セラミックス、ガラスセラミックス、有機樹脂等の絶縁材料からなるものであるが、特に第1、第2測定試料1、2の形成が容易という点から、第1、第2測定試料1、2の厚みは200μm以上であることが望ましい。尚、第1、第2外部導体4、5の厚みを厚くすることにより、第1、第2測定試料1、2の厚みを200μm以下とすることもできる。この場合、第1、第2外部導体4、5が支持部材となる。
【0025】
第1、第2測定試料1、2がセラミックス、ガラスセラミックスの場合には、円板共振器Aは第1、第2測定試料1、2、円形内部導体3、第1、第2外部導体4、5を同時焼成して形成されており、また、第1、第2測定試料1、2が有機樹脂の場合には、円板共振器Aは第1、第2測定試料1、2、円形内部導体3、第1、第2外部導体4、5が接合、または圧着されて形成されている。
【0026】
また、円形内部導体3の中心に対応する第1外部導体4の位置には1個の励振口7が形成され、円形内部導体3の端に対応する第1外部導体4の位置には1個の励振口8が形成されている。これらの励振口7、8には同軸ケーブル9、10が挿入され、TM0m0共振モード(m=1、2・・・)が励振されるようになっている。励振口7、8間の距離Rは、円形内部導体3の直径Dの1/2とされている。
【0027】
以上のように構成された共振器Aの励振口7から同軸ケーブル9により電界を印加し電界励振すると、共振器Aが電界により励振され、TM0m0共振モード(m=1、2・・・)、特にTM010共振モードを片面から効率的に励振できる。このTM010共振モードの電界は、図2に示すように、円形内部導体3の中心と、円形内部導体3の端の円周部で強く分布する。そして、励振口8から同軸ケーブル10を介して電界が取り出され、これにより円板共振器Aの共振周波数と無負荷Qが測定される。尚、励振口8から電界を印加し、励振口7から取り出しても良い。また、図2では、電界分布を明確にするため、第1、第2測定試料1、2については断面を示す斜線を省略した。
【0028】
次に、第1測定試料1の比誘電率及び/又は誘電正接を、例えば特願2002−151665号や特願2002−281908号の誘電定数測定法により予め求める。尚、第1測定試料1の比誘電率及び/又は誘電正接はその他の測定法で求めても良い。また第1測定試料1の比誘電率及び/又は誘電正接は、円板共振器Aの共振周波数と無負荷Qを測定する前に行ってもよいことは勿論である。
【0029】
第1測定試料1の比誘電率及び/又は誘電正接は、特願2002−151665号で測定する場合には、例えば、図1の第1、第2測定試料1、2の厚みを第1測定試料1の厚みにして、即ち、円形内部導体3を第1測定試料1により挟持して、共振器Aの励振口7から同軸ケーブル9により電界を印加し電界励振し、円板共振器Aの共振周波数と無負荷Qを測定する。円形内部導体3の半径Rと測定試料1、2の厚さdの比が10以上、すなわち、R/d>10の時、この平衡形円板共振器AのTM0m0モードの共振周波数fと無負荷Q(Qu)から、次式により測定試料1、2の比誘電率ε’と誘電正接tanδを算出することができる。
【0030】
【数1】
Figure 2004177234
【0031】
ただし、x’0mはJ’(x’)=0のm番目の解で、特にm=1の時、x’01=3.8317である。J’(x’)は0次の第一種ベッセル関数の微分である。ω=2πfは角共振周波数、μ=4π×10−7は真空の透磁率である。αは、小林らによるマイクロ波研究会技術報告書MW75−76「平衡形円板共振器による複素誘電率測定法」で開示されているように、S=R/d>10のとき、αはほぼ1となる。また、cは光速であり、△Rは内部円形導体の端での電磁界の外側への広がりを、内部円形導体径の増加として考慮したものである。lnは自然対数を表す。
【0032】
なお、誘電正接の決定に必要な導体の実効導電率σは、小林らによるマイクロ波研究会技術報告書MW75−76「平衡形円板共振器による複素誘電率測定法」で開示されているように、比誘電率と誘電正接が同じで厚さが異なる誘電体シートにより構成された2種類の平衡形円板共振器のQuの差から決定される。あるいは同時焼成導体の実効導電率σは特開2000−46756号公報に開示された界面導電率の測定法により決定される。
【0033】
このようにして、第1測定試料1の比誘電率及び/又は誘電正接が予め求められる。尚、特願2002−281908号の誘電定数測定法により、第1測定試料1の比誘電率及び/又は誘電正接を求める場合には、表面円形導体と下部導体層で第1測定試料1が挟持された円板共振器と、該円板共振器からの電磁界の漏洩を防ぐシールド体とを設け、該シールド体に設けられた入力用、出力用の励振口を介してTM0m0モード(m=1、2・・・)を励振させ、その共振周波数と無負荷Qの測定値から、第1測定試料1の比誘電率及び/又は誘電正接が求められる。
【0034】
このようにして求められた第1測定試料1の比誘電率及び/又は誘電正接と、図1の円板共振器Aの共振周波数と無負荷Qの測定値から、被測定部位である第2測定試料2の比誘電率ε’、誘電正接tanδを計算する。この計算は有限要素法やモードマッチング法等の数値解析によって行う必要がある。
【0035】
ここでは有限要素法による計算法について述べる。まず共振周波数fのε’依存性、即ちf−ε’曲線を軸対称有限要素法による解析で求め、次にfの測定値から、このf−ε’曲線を用いて比誘電率を決定する。
【0036】
誘電正接tanδは下記式2を用いて算出される。
【0037】
【数2】
Figure 2004177234
【0038】
この式は無負荷Qの逆数を、第1測定試料1の誘電正接tanδと被測定部位である第2測定試料2の誘電正接tanδと導体3、4、5の表皮抵抗Rの項によって表現したものである。Pe1は第1測定試料1に貯えられる電界エネルギーの集中率、Pe2は第2測定試料2に貯えられる電界エネルギーの集中率、Gは形状因子であり、有限要素法により求められる。
【0039】
図3は、本発明の他の誘電定数測定法を説明するためのものである。図3の円板共振器Aは支持基板6上に形成されている。即ち、支持基板6上に、第2外部導体5、被測定部位である第2測定試料2、円形内部導体3、第1測定試料1、第1外部導体4を順次積層して構成されており、これらが支持基板6と同時に焼成され、一体となっている。第1、第2測定試料1、2はセラミックス又はガラスセラミックスから構成され、異なる厚みとされている。
【0040】
共振器Aの第1、第2測定試料1、2、支持基板6は、配線基板の絶縁層材料と同一で、円形内部導体3、第1、第2外部導体4、5は配線基板の内部配線材料と同一で、同一厚みとされ、焼成などの製法も同一とされている。従って、第1、第2測定試料1、2への円形内部導体3、第1、第2外部導体4、5材料の拡散状態やセラミックス又はガラスセラミックス内の空隙の分布状態は、配線基板と同一と見なすことができる。
【0041】
このような共振器Aは、厚い支持基板6上に一体に形成されているため、共振器Aの第2測定試料2の厚みを200μm以下、特には50μm以下と薄くしても共振器Aを容易に形成することができ、しかも、支持基板6が形成されていない第1外部導体4に形成された励振口7、8を介して電界により励振することができ、これにより円板共振器Aの共振周波数と無負荷Qを測定でき、上記したように、第1測定試料1の比誘電率と誘電正接、及び円板共振器Aの共振周波数と無負荷Qから、第2測定試料2の比誘電率と誘電正接を算出することができる。
【0042】
又、支持基板6とその上部を一体基板とみなせるので、基板内の任意深さの位置での比誘電率と誘電正接を測定することができる。
【0043】
図4は、本発明のさらに他の誘電定数測定法を説明するためのもので、図4の円板共振器Aは、図3に示した円板共振器Aと同様に、支持基板6上に、第2外部導体5、被測定部位である第2測定試料2、円形内部導体3、第1測定試料1、第1外部導体4を順次積層して構成されており、これらが支持基板6と同時に焼成され、一体となっている。第1、第2測定試料1、2はセラミックス又はガラスセラミックスから構成され、異なる厚みとされている。
【0044】
そして、円形内部導体3の半径Rに対して、0.4〜0.6倍の半径を有する同心円上の第1外部導体4の位置に2個の励振口7、8を設け、これらの励振口7、8にループアンテナ19、20を挿入し、磁界励振によってTM010共振モードを励振する。
【0045】
TM010共振モードの磁界は、図5に示すように、円形内部導体3に対して半径が約1/2の同心円周の位置で強く分布する。これにより、励振口7、8を介して同軸ケーブル9、10先端のループアンテナ19、20で磁界励振すると、TM010共振モードを片面から効率的に励振できる。これを用い、円板共振器Aの共振周波数と無負荷Qを測定し、第2測定試料2の比誘電率と誘電正接を算出することができる。尚、図5では、磁界分布を説明するため、第1、第2測定試料1、2の断面を示す斜線を省略した。
【0046】
尚、円形内部導体3の半径Rに対して、0.25倍、又は0.75倍の半径を有する同心円上の第1外部導体4の位置に2個の励振口7、8を設け、これらの励振口7、8にループアンテナ19、20を挿入し、磁界励振によってTM020共振モードを励振させても良い。
【0047】
また、円形内部導体3の半径Rに対して、1/6倍、又は1/2倍、或いは5/6倍の半径を有する同心円上の第1外部導体4の位置に2個の励振口7、8を設け、これらの励振口7、8にループアンテナ19、20を挿入し、磁界励振によってTM030共振モードを励振させても良い。
【0048】
尚、磁界を印可して円板共振器Aを励振する図4の場合に、図1に示したように支持基板6を形成しなくても、図1に示した場合と同様にして、第2測定試料2の比誘電率と誘電正接を測定することができる。
【0049】
【実施例】
本発明の誘電定数測定法により、アルミナ質基板の内部の比誘電率を測定した。測定基板の構造は図4に示すものであり、アルミナ材料からなるグリーンシートにCu−W系の導電性ペーストを塗布し、これを複数積層して積層成形体を作製し、この積層成形体を同時焼成し、円板共振器Aと支持基板6を一体化した。
【0050】
ここで、支持基板6の厚みを200μm、円形内部導体3、第1、第2外部導体4、5の厚みを10μmとし、円形内部導体3の直径を23.3mmとした。第1、第2測定試料1、2の厚みを変化させた円板共振器Aを作製した。
【0051】
又、図4に示す磁界結合を行うため、励振口7、8を1.5mm径とし、1.2mm径の同軸ケーブル9、10先端に作製した約1.5mm径のループアンテナ19、20を挿入し、円板共振器Aを励振し、円板共振器Aの共振周波数、無負荷Qを求めた。
【0052】
この後、第1測定試料1の比誘電率を特願2002−151665号に記載された方法で測定した。
【0053】
即ち、円形内部導体を両側から第1測定試料により挟持し、これを第1、第2外部導体で挟持し、第1外部導体の励振口から同軸ケーブルにより電界を印加し電界励振し、円板共振器の共振周波数と無負荷Qを測定し、上記式1から第1測定試料1の比誘電率を算出した。
【0054】
さらに図4の円板共振器Aの共振周波数を測定し、及び第1測定試料1の誘電率から、第2測定試料の比誘電率を計算した。結果を表1に示す。図6に、試料基板No.2の共振波形を示す。
【0055】
【表1】
Figure 2004177234
【0056】
この表1によれば、第2測定試料2の比誘電率は異なった値として測定されている。この違いは円形内部導体、第1、第2外部導体から第2測定試料2への拡散効果、及び基板全体の中での第2測定試料2の深さ(上下方向への位置)に依存したものと考えられる。
【0057】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、本発明の誘電定数測定法によれば、円板共振器を構成する第1外部導体に磁界や電界の入力用、出力用の励振口を形成するため、支持基板の上に導体層と同時焼成あるいは一体成形した円板共振器の誘電定数を測定でき、従来測定が困難であった導体層と同時焼成あるいは一体成形された薄層の測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接を容易に求めることができるとともに、異なる誘電体層を有し、誘電体層間に内部配線を有する配線基板等の電子部品において、任意の誘電体層における誘電定数を測定することができ、これにより、現実に近い配線基板等の電子部品の設計を行うことができ、マイクロ波用途の同時焼成用、或いは一体成形用の誘電体材料の開発が容易になるとともに、これらの材料を用いた回路基板や、半導体パッケージの設計がより高精度に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電定数測定法に用いられる円板共振器の一例を示すもので、(a)は平面図、(b)は概略断面図である。
【図2】図1の円板共振器におけるTM010モードの電界分布を説明するもので、(a)は平面図、(b)は概略断面図である。
【図3】本発明の誘電定数測定法に用いられる円板共振器の他の例を示すもので、(a)は平面図、(b)は概略断面図である。
【図4】本発明の誘電定数測定法に用いられる円板共振器のさらに他の例を示すもので、(a)は平面図、(b)は概略断面図である。
【図5】図4の円板共振器におけるTM010モードの磁界分布を説明するもので、(a)は平面図、(b)は概略断面図である。
【図6】表1の試料基板No.2の誘電定数測定に用いられる共振波形を示す図である。
【図7】従来の誘電定数測定法に用いられる平衡形円板共振器を示すもので、(a)は平面図、(b)は概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・第1測定試料
2・・・第2測定試料
3・・・円形内部導体
4・・・第1外部導体
5・・・第2外部導体
6・・・支持基板
7、8・・・励振口
9、10・・・同軸ケーブル
19、20・・・ループアンテナ
A・・・円板共振器

Claims (6)

  1. 円形内部導体を異なる厚みの第1測定試料及び第2測定試料で挟持し、該第1、第2測定試料の表面にそれぞれ第1、第2外部導体を形成してなる円板共振器を、前記第1外部導体に設けられた入力用、出力用の励振口を介してTM0m0モード(m=1、2・・・)を励振させ、その共振周波数と無負荷Qを測定し、該円板共振器の共振周波数と無負荷Qの測定値、及び予め測定されていた前記第1測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接から、前記第2測定試料の誘電定数を求めることを特徴とする誘電定数測定法。
  2. 支持基板上に円板共振器が形成されていることを特徴とする請求項1記載の誘電定数測定法。
  3. 第1、第2測定試料の厚みが0.2mm以下であることを特徴とする請求項2記載の誘電定数測定法。
  4. 第1、第2測定試料がセラミックス又はガラスセラミックスからなり、支持基板及び円板共振器が同時焼成され、一体化されていることを特徴とする請求項2又は3記載の誘電定数測定法。
  5. 円形内部導体の中心位置に対応する第1外部導体の位置に励振口を設けるとともに、前記円形内部導体の端の位置に対応する前記第1外部導体の位置に励振口を設け、前記励振口に同軸ケーブルを挿入し、電界により円板共振器のTM0m0モード(m=1、2・・・)を励振させることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載の誘電定数測定法。
  6. 円形内部導体の同心円に対応する第1外部導体の位置に少なくとも2個の励振口を設け、該励振口にループアンテナを挿入し、磁界により円板共振器のTM0m0モード(m=1、2・・・)を励振させることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載の誘電定数測定法。
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