JP2004176953A - 蓄冷剤容器とそれを備える保冷箱 - Google Patents
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Abstract
【課題】保冷箱50に対して安定した姿勢で収容することができ、ヒートブリッジを起こしがたく、長時間にわたり安定した保冷環境を作り出すことができ、かつ、保冷容器として使用しないときに保冷箱内に投入しておいても保冷箱の壁面を傷付けることがないようにした蓄冷剤容器1を得る。
【解決手段】温度に応じて相変化する蓄冷剤1Bを収容する樹脂製の蓄冷剤容器1において、容器本体部分11とその外周側に形成された凸条部12とを備えるようにし、凸条部12の厚さは容器本体部分11の厚さZよりも薄くすると共に、凸条部12には蓄冷剤が入り込むことのできる空間12aを設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】温度に応じて相変化する蓄冷剤1Bを収容する樹脂製の蓄冷剤容器1において、容器本体部分11とその外周側に形成された凸条部12とを備えるようにし、凸条部12の厚さは容器本体部分11の厚さZよりも薄くすると共に、凸条部12には蓄冷剤が入り込むことのできる空間12aを設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄冷剤容器とそれを備える保冷箱に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、野菜などの生鮮食品やケーキなどの加工食品、あるいは冷蔵・冷凍食品などは、物流時や貯蔵時に所定温度以下に保冷した状態におかれる。そのために、通常、合成樹脂発泡体製の保冷箱が用いられ、その内部に、保冷すべき食品類と共に、相変化する蓄冷剤を収容した樹脂製の蓄冷剤容器が収容される。保冷すべき食品の種類によって維持すべき保冷箱内の温度が異なること、保冷箱内の温度は外気温度の影響を受けやすいこと、また、食品に蓄冷剤容器が直接接すると食品に冷凍障害を生じさせる場合があること、などの理由から、収容した食品と離れた状態で蓄冷剤容器と収容でき、かつ、収容する蓄冷剤容器の数も適宜選択できるようにした保冷箱が既に知られている。収容した食品を取り出した後に、すなわち、保冷箱としての使用が終わった時点で、保冷箱と蓄冷剤容器とは出荷場所に戻され、再使用に供される。
【0003】
そのようなリターナブルな保冷箱およびそこに収容する蓄冷剤容器として、特許文献1(特開平11−223440号公報)には、図16a,bに示すように、合成樹脂発泡体製の保冷箱aの開放側端面に切り欠き部bを形成すると共に、該切り欠き部bに嵌り込む扁平なリブcを外周に備えた容器本体部分dからなる蓄冷剤容器eが記載されている。樹脂製である容器本体部分d内には蓄冷剤が収容されていて、冷媒として機能する固相と常温での液相とに相変化する。また、保冷箱a側の切り欠き部bと蓄冷剤容器eに形成した扁平なリブcとの嵌め合わせ位置を適宜選択することにより、1個または2個の蓄冷剤容器eを収容した食品とは分離した位置で安定に保持することができる。なお、図16aは保冷箱aに蓄冷剤容器eを配置した状態を示す断面図であり、図16bは保冷箱aを上から見た状態を示している。
【0004】
特許文献2(特開2002−2829号公報)には、開放側端面内側に切り欠き部(段差部)を形成した保冷箱と、該段差部に両端が載るようにして保冷箱内に支持される蓄冷剤容器とからなる保冷箱が記載されている。ここでは、蓄冷剤容器は基本的に直方体状の容器本体部分のみからなっており、周囲にリブを有しない。リブに代えて、段差部に載る部分に突起を形成し、段差部に形成した凹孔に該突起を挿入させることにより、蓄冷剤容器の位置決めを行っている。ここでも、段差部に形成する凹孔を複数個とし、該凹孔と突起の嵌め合わせ位置を適宜選択することにより、1個または2個の蓄冷剤容器を選択的に保冷箱に取り付けることができるようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−223440号公報
【特許文献2】
特開2002−2829号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1(特開平11−223440号公報)に記載される蓄冷剤容器は、扁平なリブが保冷箱に形成した切り欠き部に嵌り込んだ姿勢で保冷箱に配置される形態であり、物流時や保管時に蓄冷剤容器は安定して位置決めがなされる。しかし、リブは、容器本体を形成する熱伝導率が高い樹脂材料が扁平な形で外側に広がった形態であり、保冷箱の壁面に接した部分と保冷箱内部との間でヒートブリッジを形成して、蓄冷剤の液化を早くする恐れがある。また、保冷箱としての使用を終えた後に保冷箱と蓄冷剤容器とを出荷元に返送することが行われるが、作業の容易性から、保冷箱内に蓄冷剤容器に入れて返送される場合が多い。その場合、返送中に蓄冷剤容器が保冷箱内で勝手に移動して蓄冷剤容器に形成した扁平なリブの先端が保冷箱内壁面に衝突することが起こる。リブは薄く強度が容器に対して強いために、衝突により壁面が破損する場合がある。破損が生じると、再使用時に破損により生じた飛散物を除去する作業が必要となり、破損の状態によっては保冷箱を廃棄処分せざるを得ない場合もある。
【0007】
特許文献2(特開2002−2829号公報)に記載される蓄冷剤容器は周囲に扁平なリブを備えないために、返却時に保冷箱内に入れられても、保冷箱内壁面に損傷を与えることはない。しかし、直方体である容器の端部を保冷箱の開放側端面内側に形成した段差部に係止させて支持する形態であり、突起と凹孔とを備えるとはいえ、やや安定性に欠ける。また、係止部の厚みは容器本体部分の厚みがあり、係止部の厚みが容器本体の厚みよりも薄くされた上記特許文献1(特開平11−223440号公報)に記載の蓄冷剤容器と比較して、内容積を同じとした場合、蓋が内嵌合する領域が少なくなり、容器本体と蓋との嵌合が弱くなる不都合がある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、保冷箱に対して安定した姿勢で収容することができ、ヒートブリッジを起こしがたくて長時間にわたり安定した保冷環境を作り出すことができ、かつ、保冷容器として使用しないときに保冷箱内に投入しておいても保冷箱の壁面を傷付けることがないようにした蓄冷剤容器、および、該蓄冷剤容器と共に用いる保冷箱を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による蓄冷剤容器は、温度に応じて相変化する蓄冷剤を収容する樹脂製の蓄冷剤容器であって、容器本体部分とその外周側に形成された凸条部とを備え、凸条部の厚さは容器本体部分の厚さよりも薄くされており、かつ、凸条部は収容された蓄冷剤が入り込むことのできる空間を内部に有していることを特徴とする。また、本発明による保冷箱は、上記の蓄冷剤容器を保冷材として備える合成樹脂発泡体製の保冷箱であって、保冷箱の開放側端面には当該蓄冷剤容器に形成された凸条部を嵌め込むための切り込み部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明による蓄冷剤容器では、凸条部の厚さが容器本体部分の厚さよりも薄くされている。そのために、蓄冷剤容器を、上記保冷箱の開放側端面に形成した切り込み部に、当該蓄冷剤容器に形成された凸条部を嵌め込むようにして配置したときに、蓄冷剤容器の凸条部よりも下方の周壁面部分は保冷箱の内周面に接した状態で位置するようになり、凸条部が切り欠き部内に嵌め込まれていることと相まって、蓄冷剤容器の保冷箱内での取り付け態様は安定したものとなる。
【0011】
さらに、食品の保冷保管に際して、保冷箱内に食品を収容し、蓄冷剤容器を取り付けて蓋を閉じる状態となるが、本発明による蓄冷剤容器では、その凸条部の内部空間にも凍結し固相となった蓄冷剤が存在しており、そのために、凸条部がヒートブリッジを形成することを効果的に回避できる。それにより、蓄冷剤の温度上昇は抑制され、保冷箱内は保冷環境は長時間にわたり良好に維持される。また、固相となった蓄冷剤は構造材としての機能を果たすこともでき、凸条部を形成する熱伝導率の高い樹脂材料を薄くしても、凸条部に対して所用の構造的強度を付与することができ、この点からも、保冷性の向上が図られる。
【0012】
保冷箱の返送時に、蓄冷剤容器が保冷箱内に投げ込まれた状態とされた場合でも、本発明による蓄冷剤容器では、周囲に形成される凸条部は蓄冷剤を収容するための内部空間を有しており、必然的に凸条部の厚みは単に樹脂板を積層したリブ(例えば、特開平11−223440号公報に記載の蓄冷剤容器におけるリブ)よりも厚いものとなる。また、凸条部の外側面に半径の大きな円弧を付けることも容易となる。そのために、輸送中に保冷箱内で蓄冷剤容器が勝手に移動し、凸条部が内周壁に衝突したとしても、そこに大きな傷を付けることはなく、リターナブル容器としての保冷箱の寿命を長期化することができる。
【0013】
本発明の蓄冷剤容器において、凸条部は容器本体部分の少なくとも対向する2つの側辺の全長にわたって形成されていてもよく、2つの側辺に沿って部分的に形成されていてもよい。4つの側辺に形成されていてもよい。いずれの場合にも、それを収容する保冷箱の開放側端面には、当該蓄冷剤容器における凸条部に対応するようにして切り欠き部が形成される。
【0014】
保冷箱は蓋を備えるが、蓋は内嵌合蓋であってもよく、外嵌合蓋であってもよい。内嵌合蓋の場合には、内嵌合する部分の下端面で蓄冷剤容器の凸条部を上から抑えることができるので、収容した蓄冷剤容器の姿勢をさらに安定させることができる。
【0015】
本発明において、蓄冷剤容器を形成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などを適宜用いることができる。特に、定温脆性に優れ、耐水性および耐薬品性に優れるポリオレフィン系樹脂は好ましい。成形が容易であって強度の大きい高密度ポリエチレン系樹脂は最も好ましい。蓄冷剤容器に収容される蓄冷剤としては、従来知られたこの種の保冷容器と共に用いられる蓄冷剤をそのまま用いることができる。保冷箱を形成する樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら本発明を実施の形態に基づき説明する。図1は、本発明による蓄冷剤容器の一実施の形態を示している。蓄冷剤容器は、容器本体とその中に収容される温度により相変化する蓄冷剤とからなる。この例において、容器本体1Aは、平面視ほぼ矩形状である平板状の容器本体部分11と、その外周における対向する2つの短辺に設けられる2個の凸条部12、12とからなる。該凸条部12、12は、容器本体部分11の厚さ方向のほぼ中央に位置するようにして短辺側のほぼ中央部に形成されている。蓄冷剤容器1の大きさに制限はないが、通常の場合、容器本体部分11の大きさはX:300mm×Y:200mm×Z:30mm(厚さ)程度である。また、凸条部12の大きさは、蓄冷剤容器1を収容する保冷箱50(図2)の開放側の端面51に形成される切り欠き部52内に嵌り込む大きさとされるが、通常、20mm×50mm×8〜10mm(厚さ)程度とされる。好ましくは、凸条部12の厚さは容器本体部分11の厚さの1/3〜1/2程度である。
【0017】
容器本体部分11と凸条部12はともに内部空間11a,12aを有し、双方の内部空間11a,12aは連通している。そして、容器本体1A内に収容された相変化する蓄冷剤1Bは、凍結し固相となった状態では、容器本体部分11の内部空間11aのみならず、凸条部12の内部空間12a内にも入り込み、そこを固相状態の蓄冷剤1Bで満たす。
【0018】
容器本体部分11と凸条部12とを備えた容器本体1Aは、低温脆性に優れた樹脂材料、例えば、高密度ポリエチレンで作られる。成形方法は任意であるが、この例では、ブロー成形した厚さが1.5mm程度であり自己姿勢保持性を持つ実質的に同形の上皮体13と下皮体14を熱溶着して作られる。蓄冷剤1Bは容器本体1Aに形成した図示しない開口から液相の状態で流入され、その後、該開口は閉じられる。蓄冷剤1Bは従来知られたものであってよい。
【0019】
図2は、蓄冷剤容器1を冷媒として収納する保冷箱50の一例を示す平面図であり、図3は蓄冷剤容器1を取り付けた状態での断面図である。保冷箱50は発砲ポリスチレンのような合成樹脂発泡体で作られ、開放側の上端面51には、蓄冷剤容器1に形成した凸条部12を嵌め込むための切り欠き部52が形成されている。この例において、保冷箱50の内部空間Sの短手方向の幅aは蓄冷剤容器1の容器本体部分11の長手方向の幅xにほぼ等しく、また、長手方向の幅bは蓄冷剤容器1の容器本体部分11の短手方向の幅yの2倍にほぼ等しい。切り欠き部52は、蓄冷剤容器1の凸条部12の大きさとほぼ同じとされ、深さhは、図3に示すように、蓄冷剤容器1を保冷箱50の上端開放面51に取り付けたとき、蓄冷剤容器1の上面が保冷箱50の開放側端面51とほぼ同じレベルとなるようにされている。
【0020】
図4および図5は、蓄冷箱50に蓄冷剤容器1を取り付けたときの2つの態様を示す平面図である。図4では、中央に形成した切り欠き部52aを利用して1個の蓄冷剤容器1を取り付けている。図5では、両側に形成した切り欠き部52b,52bを利用して2個の蓄冷剤容器1、1を取り付けている。いずれの場合も、図3に示すように、蓄冷剤容器1の凸条部12よりも下方の周壁面部分は保冷箱50の内周面に接した状態で位置するようになるので、凸条部12が切り欠き部52内に嵌め込まれていることと相まって、蓄冷剤容器1の保冷箱50内での取り付け態様は安定したものとなる。さらに、蓋55は保冷箱50の開放上端面に内勘合する凸条56を備えており、この部分の下端面が蓄冷剤容器1の凸条部12を上から抑え、また、内周面は蓄冷剤容器1の凸条部12よりも上方の周壁面部分に接するようにされる。このことにより、蓄冷剤容器1の姿勢の安定性はさらに確実なものとなっている。
【0021】
食品の保冷保管に際して、保冷箱50内に食品を収容し、蓄冷剤容器1を保冷箱50の切り欠き部52を利用して取り付けて、蓋55を閉じる。本発明による蓄冷剤容器1では、その凸条部12の内部空間12aにも凍結し固相となった蓄冷剤1Bが存在しており、当該蓄冷剤1Bの存在により、凸条部12がヒートブリッジを形成することを効果的に回避することができる。それにより、蓄冷剤の温度上昇は抑制され、保冷箱50内の良好な保冷環境を長時間維持することができる。また、固相となった蓄冷剤は構造材としての機能を果たすこともできるので、凸条部12を形成する熱伝導率の高い樹脂材料を薄くしても、凸条部12に対して所用の構造的強度を付与することができ、この点からも、保冷性の向上が図られる。
【0022】
前記したように、保冷箱50が本来の使命を果たし終え、出荷場所に返されるときに、往々にして、蓄冷剤容器1が保冷箱50内に投げ込まれた状態で返送されることが起こる。そのときに、蓄冷剤容器1は保冷箱50内で勝手な移動をし、その凸条部12が保冷箱50の内壁面に衝突する。本発明により蓄冷剤容器1では、凸条部12は蓄冷剤1Bを収容するための内部空間12aを有しており、必然的に凸条部12の厚みは単に上皮体13と下皮体14とを積層したもの(例えば、特開平11−223440号公報に記載の蓄冷剤容器におけるリブが相当する)よりも厚いものとなり、さらに、その端面に半径の大きな円弧を付けることも容易となる。そのために、輸送中に凸条部12が衝突したとしても、保冷箱50の内周壁に大きな傷を付けることはなく、リターナブル容器としての保冷箱50の寿命を長期化することができる。
【0023】
図6〜図11は本発明による蓄冷剤容器の他の形態を示している。図6に示す蓄冷剤容器101は凸条部12が容器本体部分11の短辺の全長に沿って設けられている点で図1に示した蓄冷剤容器1と相違している。図7に示す蓄冷剤容器1は凸条部12が容器本体部分11の短辺の中央部に1個ではなく両端部に2個、計4個設けられている点で図1に示した蓄冷剤容器1と相違している。図8に保冷箱50と共に示す蓄冷剤容器103は凸条部12が容器本体部分11の厚さ方向の中央ではなく、一方(例えば、下皮体14)の表面に沿った位置に形成されている点で図1に示した蓄冷剤容器1と相違している。
【0024】
いずれの場合も、その凸条部の位置と形状に合うようにして、保冷箱50における開放側端面51での嵌め込み部52の位置、形状、大きさを設定する。それにより、上記したとほぼ同様にして各蓄冷剤容器1をそれぞれ対応する保冷箱50に取り付けることができる。例えば、図8に示す蓄冷剤容器103の場合には、蓋55の凸条56より内側の部分を図3に示した蓋55の場合よりも、深さの深いものとする。それにより、図8に示すように、凸条部12を下側とした姿勢で蓄冷剤容器103を保冷箱50に取り付けたときに、蓄冷剤容器103の凸条部12よりも上方部分をすべて蓋55内に収容することが可能となり、該上方部分の周壁面部分は蓋55の内側面で支持されることから、蓄冷剤容器103の姿勢の安定性は確実なもとなる。この態様では、保冷箱50の有効内容積Sを広くできる利点がある。もちろん、図9に示すように、蓄冷剤容器103を凸条部12を上側とした姿勢で保冷箱50に取り付けることもできる。
【0025】
図10、11に示す蓄冷剤容器104は、図1に示した蓄冷剤容器1における凸条部12の上下の面に突条あるいは突起を形成した点で相違している。図10では3本の突条15を表裏面に形成しており、図11では3個の突起16を表裏面に形成している。このように凸条部12の表面に凹凸を形成することにより、保冷箱50側と蓄冷剤容器104との接触が、図1に示した蓄冷剤容器1での凸条部のような面接触ではなく、線接触あるいは点接触となるのでヒートブリッドによる放熱あるいは吸熱現象を効果的に低減することが可能となる。この手段は、図6〜図9に示した形態の蓄冷剤容器の凸条部に対しても当然に適用可能である。
【0026】
次に、実施例と比較例により本発明を説明する。図12は本発明による蓄冷剤容器1を用いた場合であり、図13は比較例として従来形式(例えば、図16に基づき説明した形式)の蓄冷剤容器eを用いた場合である。蓋55と保冷箱50は同じものを用いており、保冷箱50は、外寸法で350mm×300mm×310mm、厚さ40mmの発泡ポリスチレン製である。図12に示す蓄冷剤容器1は上記図1に示した形態のものであり、容器本体部分の大きさが305mm×200mm×29mm、凸条部の大きさが22.5mm×50mm×8mm(厚さ)、凸条部の内部空間の厚みは5mmである。そこには、固相の蓄冷剤が充満している。図13に示す蓄冷剤容器は容器本体部分の大きさは図12のものと同様305mm×200mm×29mmであるが、凸条部の大きさは22.5mm×50mm×3mm(厚さ)であり、容器を形成する樹脂板が直接溶着されたものであって、内部空間は存在しない。蓄冷剤重量はともに1000gとした。
【0027】
双方とも図示のように内嵌合の蓋をした状態とし、蓄冷剤の温度(測定点P1)と保冷箱内壁面の温度(測定点P2)を測定した。図14は壁面の温度を比較したグラフであり、図15は蓄冷剤の温度を比較したグラフである。図示されるように、いずれにおいても本発明による蓄冷剤容器1を用いた場合に、良好な保冷環境が維持されていることがわかる。
【0028】
【発明の効果】
本発明による蓄冷剤容器を用いることにより、保冷箱において、長時間にわたる良好な保冷環境を維持することが可能となる。また、保冷箱の返送時に、箱内に蓄冷剤容器が投げ込まれた状態で輸送されたとしても、保冷箱に損傷が発生するのを低減することができ、リターナブルな保冷箱としてその寿命を長くすることができる。再使用時に保冷箱内の清掃も簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1aは本発明による蓄冷剤容器の一実施の形態を示す斜視図、図1bは図1aのb−b線による断面図。
【図2】図1に示す蓄冷剤容器とともに用いられる保冷箱の一例を示す斜視図。
【図3】図2に示す保冷箱に蓄冷剤容器を取り付けた状態を示す断面図。
【図4】図2に示す保冷箱に蓄冷剤容器を取り付けた一態様を示す平面図。
【図5】図2に示す保冷箱に蓄冷剤容器を取り付けた他の態様を示す平面図。
【図6】図6aは本発明による蓄冷剤容器の他の態様を示す平面図、図6bは図6aのb−b線による断面図。
【図7】図7aは本発明による蓄冷剤容器のさらに他の態様を示す平面図、図7bは図7aのb−b線による断面図。
【図8】本発明による蓄冷剤容器のさらに他の態様を保冷箱に取り付けた状態で示す断面図。
【図9】図8に示す蓄冷剤容器の他の使用態様を示す図。
【図10】図10aは本発明による蓄冷剤容器のさらに他の態様を示す平面図、図10bは図10aのb−b線による断面図。
【図11】図11aは本発明による蓄冷剤容器のさらに他の態様を示す平面図、図11bは図11aのb−b線による断面図。
【図12】実施例で用いた蓄冷剤容器と蓄冷箱を説明する図。
【図13】比較例で用いた蓄冷剤容器と蓄冷箱を説明する図。
【図14】実施例および比較例における壁面の温度比較を示すグラフ。
【図15】実施例および比較例における蓄冷剤の温度比較を示すグラフ。
【図16】従来の蓄冷剤容器と保冷箱を説明する図であり、図16aは蓄冷剤容器を保冷箱に取り付けた状態での断面図、図16bは保冷箱の平面図。
【符号の説明】
1…蓄冷剤容器、1A…容器本体、1B…蓄冷剤、11…容器本体部分、12…凸条部、11a…容器本体部分の内部空間、12a…凸条部の内部空間、13…容器本体の上皮体、14…容器本体の下皮体、50…保冷箱、51…保冷箱の開放側端面、52…切り欠き部
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄冷剤容器とそれを備える保冷箱に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、野菜などの生鮮食品やケーキなどの加工食品、あるいは冷蔵・冷凍食品などは、物流時や貯蔵時に所定温度以下に保冷した状態におかれる。そのために、通常、合成樹脂発泡体製の保冷箱が用いられ、その内部に、保冷すべき食品類と共に、相変化する蓄冷剤を収容した樹脂製の蓄冷剤容器が収容される。保冷すべき食品の種類によって維持すべき保冷箱内の温度が異なること、保冷箱内の温度は外気温度の影響を受けやすいこと、また、食品に蓄冷剤容器が直接接すると食品に冷凍障害を生じさせる場合があること、などの理由から、収容した食品と離れた状態で蓄冷剤容器と収容でき、かつ、収容する蓄冷剤容器の数も適宜選択できるようにした保冷箱が既に知られている。収容した食品を取り出した後に、すなわち、保冷箱としての使用が終わった時点で、保冷箱と蓄冷剤容器とは出荷場所に戻され、再使用に供される。
【0003】
そのようなリターナブルな保冷箱およびそこに収容する蓄冷剤容器として、特許文献1(特開平11−223440号公報)には、図16a,bに示すように、合成樹脂発泡体製の保冷箱aの開放側端面に切り欠き部bを形成すると共に、該切り欠き部bに嵌り込む扁平なリブcを外周に備えた容器本体部分dからなる蓄冷剤容器eが記載されている。樹脂製である容器本体部分d内には蓄冷剤が収容されていて、冷媒として機能する固相と常温での液相とに相変化する。また、保冷箱a側の切り欠き部bと蓄冷剤容器eに形成した扁平なリブcとの嵌め合わせ位置を適宜選択することにより、1個または2個の蓄冷剤容器eを収容した食品とは分離した位置で安定に保持することができる。なお、図16aは保冷箱aに蓄冷剤容器eを配置した状態を示す断面図であり、図16bは保冷箱aを上から見た状態を示している。
【0004】
特許文献2(特開2002−2829号公報)には、開放側端面内側に切り欠き部(段差部)を形成した保冷箱と、該段差部に両端が載るようにして保冷箱内に支持される蓄冷剤容器とからなる保冷箱が記載されている。ここでは、蓄冷剤容器は基本的に直方体状の容器本体部分のみからなっており、周囲にリブを有しない。リブに代えて、段差部に載る部分に突起を形成し、段差部に形成した凹孔に該突起を挿入させることにより、蓄冷剤容器の位置決めを行っている。ここでも、段差部に形成する凹孔を複数個とし、該凹孔と突起の嵌め合わせ位置を適宜選択することにより、1個または2個の蓄冷剤容器を選択的に保冷箱に取り付けることができるようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−223440号公報
【特許文献2】
特開2002−2829号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1(特開平11−223440号公報)に記載される蓄冷剤容器は、扁平なリブが保冷箱に形成した切り欠き部に嵌り込んだ姿勢で保冷箱に配置される形態であり、物流時や保管時に蓄冷剤容器は安定して位置決めがなされる。しかし、リブは、容器本体を形成する熱伝導率が高い樹脂材料が扁平な形で外側に広がった形態であり、保冷箱の壁面に接した部分と保冷箱内部との間でヒートブリッジを形成して、蓄冷剤の液化を早くする恐れがある。また、保冷箱としての使用を終えた後に保冷箱と蓄冷剤容器とを出荷元に返送することが行われるが、作業の容易性から、保冷箱内に蓄冷剤容器に入れて返送される場合が多い。その場合、返送中に蓄冷剤容器が保冷箱内で勝手に移動して蓄冷剤容器に形成した扁平なリブの先端が保冷箱内壁面に衝突することが起こる。リブは薄く強度が容器に対して強いために、衝突により壁面が破損する場合がある。破損が生じると、再使用時に破損により生じた飛散物を除去する作業が必要となり、破損の状態によっては保冷箱を廃棄処分せざるを得ない場合もある。
【0007】
特許文献2(特開2002−2829号公報)に記載される蓄冷剤容器は周囲に扁平なリブを備えないために、返却時に保冷箱内に入れられても、保冷箱内壁面に損傷を与えることはない。しかし、直方体である容器の端部を保冷箱の開放側端面内側に形成した段差部に係止させて支持する形態であり、突起と凹孔とを備えるとはいえ、やや安定性に欠ける。また、係止部の厚みは容器本体部分の厚みがあり、係止部の厚みが容器本体の厚みよりも薄くされた上記特許文献1(特開平11−223440号公報)に記載の蓄冷剤容器と比較して、内容積を同じとした場合、蓋が内嵌合する領域が少なくなり、容器本体と蓋との嵌合が弱くなる不都合がある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、保冷箱に対して安定した姿勢で収容することができ、ヒートブリッジを起こしがたくて長時間にわたり安定した保冷環境を作り出すことができ、かつ、保冷容器として使用しないときに保冷箱内に投入しておいても保冷箱の壁面を傷付けることがないようにした蓄冷剤容器、および、該蓄冷剤容器と共に用いる保冷箱を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による蓄冷剤容器は、温度に応じて相変化する蓄冷剤を収容する樹脂製の蓄冷剤容器であって、容器本体部分とその外周側に形成された凸条部とを備え、凸条部の厚さは容器本体部分の厚さよりも薄くされており、かつ、凸条部は収容された蓄冷剤が入り込むことのできる空間を内部に有していることを特徴とする。また、本発明による保冷箱は、上記の蓄冷剤容器を保冷材として備える合成樹脂発泡体製の保冷箱であって、保冷箱の開放側端面には当該蓄冷剤容器に形成された凸条部を嵌め込むための切り込み部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明による蓄冷剤容器では、凸条部の厚さが容器本体部分の厚さよりも薄くされている。そのために、蓄冷剤容器を、上記保冷箱の開放側端面に形成した切り込み部に、当該蓄冷剤容器に形成された凸条部を嵌め込むようにして配置したときに、蓄冷剤容器の凸条部よりも下方の周壁面部分は保冷箱の内周面に接した状態で位置するようになり、凸条部が切り欠き部内に嵌め込まれていることと相まって、蓄冷剤容器の保冷箱内での取り付け態様は安定したものとなる。
【0011】
さらに、食品の保冷保管に際して、保冷箱内に食品を収容し、蓄冷剤容器を取り付けて蓋を閉じる状態となるが、本発明による蓄冷剤容器では、その凸条部の内部空間にも凍結し固相となった蓄冷剤が存在しており、そのために、凸条部がヒートブリッジを形成することを効果的に回避できる。それにより、蓄冷剤の温度上昇は抑制され、保冷箱内は保冷環境は長時間にわたり良好に維持される。また、固相となった蓄冷剤は構造材としての機能を果たすこともでき、凸条部を形成する熱伝導率の高い樹脂材料を薄くしても、凸条部に対して所用の構造的強度を付与することができ、この点からも、保冷性の向上が図られる。
【0012】
保冷箱の返送時に、蓄冷剤容器が保冷箱内に投げ込まれた状態とされた場合でも、本発明による蓄冷剤容器では、周囲に形成される凸条部は蓄冷剤を収容するための内部空間を有しており、必然的に凸条部の厚みは単に樹脂板を積層したリブ(例えば、特開平11−223440号公報に記載の蓄冷剤容器におけるリブ)よりも厚いものとなる。また、凸条部の外側面に半径の大きな円弧を付けることも容易となる。そのために、輸送中に保冷箱内で蓄冷剤容器が勝手に移動し、凸条部が内周壁に衝突したとしても、そこに大きな傷を付けることはなく、リターナブル容器としての保冷箱の寿命を長期化することができる。
【0013】
本発明の蓄冷剤容器において、凸条部は容器本体部分の少なくとも対向する2つの側辺の全長にわたって形成されていてもよく、2つの側辺に沿って部分的に形成されていてもよい。4つの側辺に形成されていてもよい。いずれの場合にも、それを収容する保冷箱の開放側端面には、当該蓄冷剤容器における凸条部に対応するようにして切り欠き部が形成される。
【0014】
保冷箱は蓋を備えるが、蓋は内嵌合蓋であってもよく、外嵌合蓋であってもよい。内嵌合蓋の場合には、内嵌合する部分の下端面で蓄冷剤容器の凸条部を上から抑えることができるので、収容した蓄冷剤容器の姿勢をさらに安定させることができる。
【0015】
本発明において、蓄冷剤容器を形成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などを適宜用いることができる。特に、定温脆性に優れ、耐水性および耐薬品性に優れるポリオレフィン系樹脂は好ましい。成形が容易であって強度の大きい高密度ポリエチレン系樹脂は最も好ましい。蓄冷剤容器に収容される蓄冷剤としては、従来知られたこの種の保冷容器と共に用いられる蓄冷剤をそのまま用いることができる。保冷箱を形成する樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら本発明を実施の形態に基づき説明する。図1は、本発明による蓄冷剤容器の一実施の形態を示している。蓄冷剤容器は、容器本体とその中に収容される温度により相変化する蓄冷剤とからなる。この例において、容器本体1Aは、平面視ほぼ矩形状である平板状の容器本体部分11と、その外周における対向する2つの短辺に設けられる2個の凸条部12、12とからなる。該凸条部12、12は、容器本体部分11の厚さ方向のほぼ中央に位置するようにして短辺側のほぼ中央部に形成されている。蓄冷剤容器1の大きさに制限はないが、通常の場合、容器本体部分11の大きさはX:300mm×Y:200mm×Z:30mm(厚さ)程度である。また、凸条部12の大きさは、蓄冷剤容器1を収容する保冷箱50(図2)の開放側の端面51に形成される切り欠き部52内に嵌り込む大きさとされるが、通常、20mm×50mm×8〜10mm(厚さ)程度とされる。好ましくは、凸条部12の厚さは容器本体部分11の厚さの1/3〜1/2程度である。
【0017】
容器本体部分11と凸条部12はともに内部空間11a,12aを有し、双方の内部空間11a,12aは連通している。そして、容器本体1A内に収容された相変化する蓄冷剤1Bは、凍結し固相となった状態では、容器本体部分11の内部空間11aのみならず、凸条部12の内部空間12a内にも入り込み、そこを固相状態の蓄冷剤1Bで満たす。
【0018】
容器本体部分11と凸条部12とを備えた容器本体1Aは、低温脆性に優れた樹脂材料、例えば、高密度ポリエチレンで作られる。成形方法は任意であるが、この例では、ブロー成形した厚さが1.5mm程度であり自己姿勢保持性を持つ実質的に同形の上皮体13と下皮体14を熱溶着して作られる。蓄冷剤1Bは容器本体1Aに形成した図示しない開口から液相の状態で流入され、その後、該開口は閉じられる。蓄冷剤1Bは従来知られたものであってよい。
【0019】
図2は、蓄冷剤容器1を冷媒として収納する保冷箱50の一例を示す平面図であり、図3は蓄冷剤容器1を取り付けた状態での断面図である。保冷箱50は発砲ポリスチレンのような合成樹脂発泡体で作られ、開放側の上端面51には、蓄冷剤容器1に形成した凸条部12を嵌め込むための切り欠き部52が形成されている。この例において、保冷箱50の内部空間Sの短手方向の幅aは蓄冷剤容器1の容器本体部分11の長手方向の幅xにほぼ等しく、また、長手方向の幅bは蓄冷剤容器1の容器本体部分11の短手方向の幅yの2倍にほぼ等しい。切り欠き部52は、蓄冷剤容器1の凸条部12の大きさとほぼ同じとされ、深さhは、図3に示すように、蓄冷剤容器1を保冷箱50の上端開放面51に取り付けたとき、蓄冷剤容器1の上面が保冷箱50の開放側端面51とほぼ同じレベルとなるようにされている。
【0020】
図4および図5は、蓄冷箱50に蓄冷剤容器1を取り付けたときの2つの態様を示す平面図である。図4では、中央に形成した切り欠き部52aを利用して1個の蓄冷剤容器1を取り付けている。図5では、両側に形成した切り欠き部52b,52bを利用して2個の蓄冷剤容器1、1を取り付けている。いずれの場合も、図3に示すように、蓄冷剤容器1の凸条部12よりも下方の周壁面部分は保冷箱50の内周面に接した状態で位置するようになるので、凸条部12が切り欠き部52内に嵌め込まれていることと相まって、蓄冷剤容器1の保冷箱50内での取り付け態様は安定したものとなる。さらに、蓋55は保冷箱50の開放上端面に内勘合する凸条56を備えており、この部分の下端面が蓄冷剤容器1の凸条部12を上から抑え、また、内周面は蓄冷剤容器1の凸条部12よりも上方の周壁面部分に接するようにされる。このことにより、蓄冷剤容器1の姿勢の安定性はさらに確実なものとなっている。
【0021】
食品の保冷保管に際して、保冷箱50内に食品を収容し、蓄冷剤容器1を保冷箱50の切り欠き部52を利用して取り付けて、蓋55を閉じる。本発明による蓄冷剤容器1では、その凸条部12の内部空間12aにも凍結し固相となった蓄冷剤1Bが存在しており、当該蓄冷剤1Bの存在により、凸条部12がヒートブリッジを形成することを効果的に回避することができる。それにより、蓄冷剤の温度上昇は抑制され、保冷箱50内の良好な保冷環境を長時間維持することができる。また、固相となった蓄冷剤は構造材としての機能を果たすこともできるので、凸条部12を形成する熱伝導率の高い樹脂材料を薄くしても、凸条部12に対して所用の構造的強度を付与することができ、この点からも、保冷性の向上が図られる。
【0022】
前記したように、保冷箱50が本来の使命を果たし終え、出荷場所に返されるときに、往々にして、蓄冷剤容器1が保冷箱50内に投げ込まれた状態で返送されることが起こる。そのときに、蓄冷剤容器1は保冷箱50内で勝手な移動をし、その凸条部12が保冷箱50の内壁面に衝突する。本発明により蓄冷剤容器1では、凸条部12は蓄冷剤1Bを収容するための内部空間12aを有しており、必然的に凸条部12の厚みは単に上皮体13と下皮体14とを積層したもの(例えば、特開平11−223440号公報に記載の蓄冷剤容器におけるリブが相当する)よりも厚いものとなり、さらに、その端面に半径の大きな円弧を付けることも容易となる。そのために、輸送中に凸条部12が衝突したとしても、保冷箱50の内周壁に大きな傷を付けることはなく、リターナブル容器としての保冷箱50の寿命を長期化することができる。
【0023】
図6〜図11は本発明による蓄冷剤容器の他の形態を示している。図6に示す蓄冷剤容器101は凸条部12が容器本体部分11の短辺の全長に沿って設けられている点で図1に示した蓄冷剤容器1と相違している。図7に示す蓄冷剤容器1は凸条部12が容器本体部分11の短辺の中央部に1個ではなく両端部に2個、計4個設けられている点で図1に示した蓄冷剤容器1と相違している。図8に保冷箱50と共に示す蓄冷剤容器103は凸条部12が容器本体部分11の厚さ方向の中央ではなく、一方(例えば、下皮体14)の表面に沿った位置に形成されている点で図1に示した蓄冷剤容器1と相違している。
【0024】
いずれの場合も、その凸条部の位置と形状に合うようにして、保冷箱50における開放側端面51での嵌め込み部52の位置、形状、大きさを設定する。それにより、上記したとほぼ同様にして各蓄冷剤容器1をそれぞれ対応する保冷箱50に取り付けることができる。例えば、図8に示す蓄冷剤容器103の場合には、蓋55の凸条56より内側の部分を図3に示した蓋55の場合よりも、深さの深いものとする。それにより、図8に示すように、凸条部12を下側とした姿勢で蓄冷剤容器103を保冷箱50に取り付けたときに、蓄冷剤容器103の凸条部12よりも上方部分をすべて蓋55内に収容することが可能となり、該上方部分の周壁面部分は蓋55の内側面で支持されることから、蓄冷剤容器103の姿勢の安定性は確実なもとなる。この態様では、保冷箱50の有効内容積Sを広くできる利点がある。もちろん、図9に示すように、蓄冷剤容器103を凸条部12を上側とした姿勢で保冷箱50に取り付けることもできる。
【0025】
図10、11に示す蓄冷剤容器104は、図1に示した蓄冷剤容器1における凸条部12の上下の面に突条あるいは突起を形成した点で相違している。図10では3本の突条15を表裏面に形成しており、図11では3個の突起16を表裏面に形成している。このように凸条部12の表面に凹凸を形成することにより、保冷箱50側と蓄冷剤容器104との接触が、図1に示した蓄冷剤容器1での凸条部のような面接触ではなく、線接触あるいは点接触となるのでヒートブリッドによる放熱あるいは吸熱現象を効果的に低減することが可能となる。この手段は、図6〜図9に示した形態の蓄冷剤容器の凸条部に対しても当然に適用可能である。
【0026】
次に、実施例と比較例により本発明を説明する。図12は本発明による蓄冷剤容器1を用いた場合であり、図13は比較例として従来形式(例えば、図16に基づき説明した形式)の蓄冷剤容器eを用いた場合である。蓋55と保冷箱50は同じものを用いており、保冷箱50は、外寸法で350mm×300mm×310mm、厚さ40mmの発泡ポリスチレン製である。図12に示す蓄冷剤容器1は上記図1に示した形態のものであり、容器本体部分の大きさが305mm×200mm×29mm、凸条部の大きさが22.5mm×50mm×8mm(厚さ)、凸条部の内部空間の厚みは5mmである。そこには、固相の蓄冷剤が充満している。図13に示す蓄冷剤容器は容器本体部分の大きさは図12のものと同様305mm×200mm×29mmであるが、凸条部の大きさは22.5mm×50mm×3mm(厚さ)であり、容器を形成する樹脂板が直接溶着されたものであって、内部空間は存在しない。蓄冷剤重量はともに1000gとした。
【0027】
双方とも図示のように内嵌合の蓋をした状態とし、蓄冷剤の温度(測定点P1)と保冷箱内壁面の温度(測定点P2)を測定した。図14は壁面の温度を比較したグラフであり、図15は蓄冷剤の温度を比較したグラフである。図示されるように、いずれにおいても本発明による蓄冷剤容器1を用いた場合に、良好な保冷環境が維持されていることがわかる。
【0028】
【発明の効果】
本発明による蓄冷剤容器を用いることにより、保冷箱において、長時間にわたる良好な保冷環境を維持することが可能となる。また、保冷箱の返送時に、箱内に蓄冷剤容器が投げ込まれた状態で輸送されたとしても、保冷箱に損傷が発生するのを低減することができ、リターナブルな保冷箱としてその寿命を長くすることができる。再使用時に保冷箱内の清掃も簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1aは本発明による蓄冷剤容器の一実施の形態を示す斜視図、図1bは図1aのb−b線による断面図。
【図2】図1に示す蓄冷剤容器とともに用いられる保冷箱の一例を示す斜視図。
【図3】図2に示す保冷箱に蓄冷剤容器を取り付けた状態を示す断面図。
【図4】図2に示す保冷箱に蓄冷剤容器を取り付けた一態様を示す平面図。
【図5】図2に示す保冷箱に蓄冷剤容器を取り付けた他の態様を示す平面図。
【図6】図6aは本発明による蓄冷剤容器の他の態様を示す平面図、図6bは図6aのb−b線による断面図。
【図7】図7aは本発明による蓄冷剤容器のさらに他の態様を示す平面図、図7bは図7aのb−b線による断面図。
【図8】本発明による蓄冷剤容器のさらに他の態様を保冷箱に取り付けた状態で示す断面図。
【図9】図8に示す蓄冷剤容器の他の使用態様を示す図。
【図10】図10aは本発明による蓄冷剤容器のさらに他の態様を示す平面図、図10bは図10aのb−b線による断面図。
【図11】図11aは本発明による蓄冷剤容器のさらに他の態様を示す平面図、図11bは図11aのb−b線による断面図。
【図12】実施例で用いた蓄冷剤容器と蓄冷箱を説明する図。
【図13】比較例で用いた蓄冷剤容器と蓄冷箱を説明する図。
【図14】実施例および比較例における壁面の温度比較を示すグラフ。
【図15】実施例および比較例における蓄冷剤の温度比較を示すグラフ。
【図16】従来の蓄冷剤容器と保冷箱を説明する図であり、図16aは蓄冷剤容器を保冷箱に取り付けた状態での断面図、図16bは保冷箱の平面図。
【符号の説明】
1…蓄冷剤容器、1A…容器本体、1B…蓄冷剤、11…容器本体部分、12…凸条部、11a…容器本体部分の内部空間、12a…凸条部の内部空間、13…容器本体の上皮体、14…容器本体の下皮体、50…保冷箱、51…保冷箱の開放側端面、52…切り欠き部
Claims (4)
- 温度に応じて相変化する蓄冷剤を収容する樹脂製の蓄冷剤容器であって、容器本体部分とその外周側に形成された凸条部とを備え、凸条部の厚さは容器本体部分の厚さよりも薄くされており、かつ、凸条部は収容された蓄冷剤が入り込むことのできる空間を内部に有していることを特徴とする蓄冷剤容器。
- 凸条部は容器本体部分の少なくとも対向する2つの側辺の全長にわたって形成されていることを特徴とする請求項1記載の蓄冷剤容器。
- 凸条部は容器本体部分の少なくとも対向する2つの側辺に沿って部分的に形成されていることを特徴とする請求項1記載の蓄冷剤容器。
- 請求項1ないし3いずれか記載の蓄冷剤容器を保冷材として備える合成樹脂発泡体製の保冷箱であって、保冷箱の開放側端面には蓄冷剤容器に形成された凸条部を嵌め込むための切り込み部が形成されていることを特徴とする保冷箱。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002341325A JP2004176953A (ja) | 2002-11-25 | 2002-11-25 | 蓄冷剤容器とそれを備える保冷箱 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002341325A JP2004176953A (ja) | 2002-11-25 | 2002-11-25 | 蓄冷剤容器とそれを備える保冷箱 |
Publications (1)
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JP2004176953A true JP2004176953A (ja) | 2004-06-24 |
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JP2002341325A Pending JP2004176953A (ja) | 2002-11-25 | 2002-11-25 | 蓄冷剤容器とそれを備える保冷箱 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004176953A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012042109A (ja) * | 2010-08-18 | 2012-03-01 | Inoac Corp | 冷却トレイ |
WO2013176169A1 (ja) * | 2012-05-23 | 2013-11-28 | シャープ株式会社 | 保管容器 |
-
2002
- 2002-11-25 JP JP2002341325A patent/JP2004176953A/ja active Pending
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WO2013176169A1 (ja) * | 2012-05-23 | 2013-11-28 | シャープ株式会社 | 保管容器 |
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