JP2004176338A - 融雪装置用の面状発熱体および融雪装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】融雪用熱量を効果的に融雪に利用する融雪装置用の面状発熱体および融雪装置を提供することを目的とする。
【解決手段】融雪用熱量を供給する加熱手段7と、加熱手段7により発熱する略平面状の表面プレート8と、表面プレートを支持する支持部材9、10と、表面プレート8を支持するとともに、略平面状の設置面に対して傾斜させる緩衝部材12を有した構成とすることで、表面プレート8上で融雪が行われるとともに、融雪水は表面プレート8上から傾斜により自動排水され、再凍結防止のために熱量を使用せずともよく、融雪用熱量を効果的に融雪に利用することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】融雪用熱量を供給する加熱手段7と、加熱手段7により発熱する略平面状の表面プレート8と、表面プレートを支持する支持部材9、10と、表面プレート8を支持するとともに、略平面状の設置面に対して傾斜させる緩衝部材12を有した構成とすることで、表面プレート8上で融雪が行われるとともに、融雪水は表面プレート8上から傾斜により自動排水され、再凍結防止のために熱量を使用せずともよく、融雪用熱量を効果的に融雪に利用することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として降雪地域で用いられる融雪装置用の面状発熱体および融雪装置に係わり、特に一般家庭や店舗の敷地内の雪を効率的に融雪するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、積雪の多い寒冷地においては、公共の道路はもとより、一般家庭や店舗の敷地の、特に歩道から一般家庭の玄関、車庫あるいは駐車スペースまでのアプローチの除雪作業が、積雪期の日常生活での大きな問題とされてきている。
【0003】
これを解決するため、従来から、発熱体として電熱線や温水パイプ等を敷地内の地面に埋設して、路面の加熱を行うことで融雪を行う融雪装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、「電熱線」は通電することでジュール熱によって発熱するものであり、「温水パイプ」は灯油ボイラーの燃焼で加熱した温水(実際は不凍液)を熱媒として循環することで発熱するものである。これらの加熱によって路面温度を上昇させて、路面上の雪を融雪するものである。このような融雪装置は、ロードヒーティング装置、あるいはロードヒーティングとも呼ばれる。
【0004】
図11はその融雪装置100の例を示しているが、発熱体としての電熱線104は、路床部101の上面に金属メッシュとともに敷設されて、コンクリート路盤部102、アスファルト舗装部103にて埋設されている。もちろん、電熱線104の位置に温水パイプを埋設したものもあるが、その埋設部の基本的な構成は同様である。そして、融雪装置100は、降雪105を検知するために、降雪センサー、気温センサー、地温センサー、水分センサー(センサー類の図示は省略)を備えて、各センサーからの信号に応じて自動運転を行なったり、あるいは使用者の判断で手動運転するための制御装置を備えている。
【0005】
また、上記の構成に加えて、融雪水の処理のために、敷設範囲の舗装路面に、車道両側溝へ融雪水を流し込む導水溝を設けたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
さらに、玄関先や階段といった、主として人の通行が行われる場所には、単に置くだけでよいマット状の発熱体で融雪するものもある(例えば、特許文献3参照)。これは一般には、加熱手段をその内部に一体に成形したゴムシート状クッション材であって、降雪時に通電すれば、比較的速やかに表面の雪を融雪できるものである。このようなものは融雪マットあるいは発熱マットとも呼ばれている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−336038号公報
【特許文献2】
特開平05−331804号公報
【特許文献3】
実開平02−108291号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発熱体を地面に埋設して路面の加熱を行う従来の融雪装置は、図11のように、発熱体である電熱線104や温水パイプを地表から約100mmの地中に埋設しているので、降雪105をセンサーが検知して、直ちに自動運転を開始、または手動による運転を開始しても、しばらくの間は、発熱体である電熱線104はその上部の地面を加熱することで、融雪装置100全体の温度を上昇させるために、運転時間と電気エネルギーを必要として、降雪105によって地表に堆積する雪を直ちに融雪するには至らず、融雪までに時間を要する。
【0009】
また、降雪105は、通常24時間連続的に発生することは少なく、間欠的に降雪することが多い。したがって、融雪装置100の運転も、間欠的であることが多く、その都度、低温度の外気によって、融雪装置100の温度は低下する。そこで次回の降雪時には、一度冷却した路面全体を再度加温するために時間が必要である。このような原因によっても、電気あるいは灯油の消費量が多くなるので、ランニングコストが高くなる。
【0010】
このように、積雪期全体を通じて考えると、融雪装置100自体の温度上昇や融雪水の再凍結防止のために使用されるエネルギーの割合が大きく、また間欠的な運転によるエネルギーの損失も大きい。この点からみると、発熱体を地面に埋設する従来の融雪装置はその融雪性能が不適切であって、エネルギーの利用効率が低いと言える。これは、舗装路面に車道両側溝へ融雪水を流し込む導水溝を設けた従来の融雪装置であっても、基本的には同じである。
【0011】
もちろん、土木工事によって、地中に発熱体を埋設する融雪装置100であるから、その施工には長時間の工期が必要で、そのための工事費も高いものとなる。
【0012】
また、マット状の発熱体で融雪する従来の融雪マットは、その敷設が簡単であるが、融雪した際に生ずる融雪水がマット上に残留するため、これが再凍結するものである。したがって、再凍結を防ぐために、融雪用熱量を使用しなければならない。また、融雪用熱量が融雪水に奪われるため、直接雪に熱量が伝わりにくくなり、融雪効率が悪いものであった。
【0013】
本発明は、前記従来の課題を解決するために、融雪用熱量を効果的に融雪に利用する融雪装置用の面状発熱体および融雪装置を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の融雪装置用の面状発熱体および融雪装置は、加熱手段により加熱される略平面状の表面プレートを、緩衝部材により略平面状の設置面に対して傾斜させて設置するものである。
【0015】
これにより、表面プレート上で融雪が行われるとともに、融雪水は表面プレート上から傾斜により自動排水され、再凍結防止のために熱量を使用せずともよく、融雪用熱量を効果的に融雪に利用することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、融雪用熱量を供給する加熱手段と、加熱手段により加熱される略平面状の表面プレートと、表面プレートを支持する支持部材と、支持部材を取り付け、表面プレートを略平面状の設置面に対して傾斜させて設置する緩衝部材とを有した融雪装置用の面状発熱体とすることで、表面プレート上で融雪が行われるとともに、融雪水は表面プレート上から傾斜により自動排水され、再凍結防止のために熱量を使用せずともよく、融雪用熱量を効果的に融雪に利用することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、緩衝部材は断熱性を有する部材で形成した請求項1に記載の融雪装置用の面状発熱体とすることで、表面プレート下部への放熱を防ぎ、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。
【0018】
請求項3に記載の発明は、傾斜した表面プレートの下方側に、融雪水を排水する排水路を設けた請求項1または2に記載の融雪装置用の面状発熱体とすることで、傾斜した表面プレートの下方部で融雪水が滞留せず、再凍結しない。したがって、表面プレート上を通過する人や自動車などが、スリップすることを防ぐとともに、融雪水の再凍結防止のために熱量を用いず、融雪水に熱量を奪われることもなく、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。
【0019】
請求項4に記載の発明は、排水路に加熱手段を設けた請求項3に記載の融雪装置用の面状発熱体とすることで、排水路部に流入してきた融雪水を、排水路内で再凍結することなく、速やかに、融雪し排出することができるものである。
【0020】
請求項5に記載の発明は、排水路を表面プレートの一部で形成した請求項3または4に記載の融雪装置用の面状発熱体とすることで、排水路構成の簡略化がはかれるものである。
【0021】
請求項6に記載の発明は、表面プレート上に滑り止めの表面仕上げ層を形成した請求項1〜5のいずれか1項に記載の融雪装置用の面状発熱体とすることで、鋭利なものに対する強度と、融雪水や、雨水、積雪等による滑りを防止する効果がある。
【0022】
請求項7に記載の発明は、表面プレート上の少なくとも一部に、撥水処理を施した請求項1〜6のいずれか1項に記載の融雪装置用の面状発熱体とすることで、表面プレート上の融雪水などの表面張力を低減し、速やかに、表面プレート上の融雪水を排水することができ、再凍結防止のために熱量を用いず、融雪水に熱量を奪われることがなく、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。
【0023】
請求項8に記載の発明は、傾斜した表面プレートの上方側の温度を下方側に比べて高くした請求項1〜7のいずれか1項に記載の融雪装置用の面状発熱体とすることで、表面プレート上の積雪は、表面プレートの上方側から融雪を行い、融雪水を表面プレート下方側に排水させる。したがって、熱量を持つ融雪水が下方側に速やかに流れ、下方部の積雪は、融雪水と表面プレートから熱を得て、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の融雪装置用の面状発熱体を、傾斜した表面プレートの上方側を突き合わせて複数設置し、隣接する表面プレート間の端面を保護し、かつ隙間を埋める保護部材を有する融雪装置とすることで、表面プレートの端面部や隙間に水が滞留して凍結することを防ぎ、複数の表面プレート間を滑らかに連結することができるものである。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
(実施例1)
図1〜図3は本発明の実施例1における融雪装置用の面状発熱体を示すものである。
【0027】
図1に示すように、面状発熱体1は、路盤部3上の舗装部2の上面に複数枚設置して、降雪4を融雪する融雪装置5とするものである。これは、降雪地域の家庭や店舗において、歩道から玄関および駐車スペースに至るアプローチを含めた融雪装置敷設部を形成するものである。また、この融雪装置5は、降雪4を検知する降雪センサー、気温センサー、地温センサー(センサー類の図示は省略)、およびセンサーからの信号に応じて自動運転する、あるいは使用者の判断で手動運転するための制御装置6を備えている。
【0028】
面状発熱体1の内部構成例を図2、図3により説明する。7は融雪用熱量を供給する加熱手段であって、本実施例では通電することで発熱する電熱線7aが所定の間隔で設けてある。8はこの加熱手段7により発熱する略平面状の表面プレートで、加熱手段7の上部に配置されている。9は表面プレート8を下面から支持し、加熱手段7を保護している複数の補強部で、面状発熱体1にかかる荷重を支えている。10は補強部9と同様に表面プレート8の下面を支持する枠部で、固定ボルト11により表面プレート8を枠部10に固定するための雌ネジ部10aを有している。固定ボルト11はステンレスや防錆塗装等を施した錆びにくい材料で構成されている。
【0029】
前記補強部9と枠部10は、図3に示す構成からわかるように、お互いに爪と係止孔等で互いに係合し合ってユニットとなり表面プレート8の下面を支持する支持部材となっているものである。なお、枠部10は表面プレート8の下面を支持する役割とともに隣接する面状発熱体との連結を行う役割を果たしているものである。
【0030】
12は補強部9と枠部10から構成される支持部材をボルトや接着剤等で取り付ける緩衝部材で、表面プレート8の下部に位置し、表面プレート8を支持するとともに、略平面状の設置面である舗装部2に対して表面プレート8を傾斜させて設置する構成になっている。この緩衝部材12は、設置面である舗装部2に対して、ボルトや接着剤等で固定されている。13は渦巻き状に配線された電熱線7aを表面プレート8と接触状態に保持する板状の保持手段で、補強部9の突部と嵌合し位置決めして取り付けられる複数の孔部13aを設けている。
【0031】
次に、融雪装置5の運転について説明する。解りやすくするために、使用者自身で降雪4があることを判断して、運転を開始した場合を想定する。制御装置6は加熱手段7に通電を開始して、表面プレート8を加熱する。この表面プレート8の熱容量は小さく、かつ舗装部2の表面に設置されているので、所定の消費電力量にて、短時間で表面プレート8の温度が上昇する。引き続いて供給される熱エネルギーは、降雪4が面状発熱体1の表面に堆積するとすぐに、これを融雪水にするための融解熱として使用されて、短時間で融雪が行われる。融雪水は、緩衝部材12により傾斜した表面プレート8上を下方側へ流れ、排水される。
【0032】
また、使用者は降雪4が停止したと判断すれば、直ちに運転を停止すれば良いものである。もちろん、センサーの信号に基づいて自動運転もできる。いずれにせよ、表面プレート8により短時間で融雪することができ、したがって少ない消費電力量で融雪ができる。
【0033】
また、実際の降雪4は、24時間連続的に発生することは少なく、夜間から早朝にかけて間欠的に降って、かつ日中は降らないといったように、間欠的に降雪することが多い。すなわち、融雪装置5の運転も間欠的であることが多くなる。
【0034】
したがって、その都度、面状発熱体1は一度冷却されるものの、表面プレート8の再度の加温は短時間で行える。そのためにも、面状発熱体1の消費電力量が少なくて良く、融雪装置5のランニングコストも安価である。
【0035】
以上のように、本実施例においては、面状発熱体1を地表面に設置し、更に、表面プレート8を緩衝部材12により略平面状の設置面に対して傾斜させることで、熱量を有効に表面プレート8上の積雪や降雪に与えることができる。更に、表面プレート8上に融雪水が滞留せず、表面プレート8上から外部に排水される。したがって、降雪時に加熱手段7に通電すれば、上部の表面プレート8に融雪用熱量が供給され、表面プレート8の温度が速やかに上昇し、融雪効果を発揮するので、短時間に融雪が行える。また、凍結防止のために加熱手段を用いなくてもよく、融雪水に熱も奪われることがないので、効率的な融雪が行えるものである。
【0036】
また、本実施例では、緩衝部材12として断熱性を有する部材を用いることにより、表面プレート8下部への放熱を防ぎ、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。同時に、表面プレート8上で直接融雪すること、および傾斜を利用して融雪水を排水することと相まって、融雪が効率よく行えるものである。
【0037】
なお、加熱手段7が電熱線や温水パイプの場合には、加熱手段7を表面プレート8に接触した状態で直接テープや接着剤で取り付けることもできる。この場合、テープや接着剤は、防水タイプのものであるのはいうまでもない。また、耐候性のあるPPやPE等の樹脂板などを用いこれに電熱線を所定の間隔に張り付けて加熱手段7を構成したり、樹脂成形で装着溝を作りそこに電熱線を装着させて加熱手段7を構成してもよい。
【0038】
なおまた、加熱手段7に高周波電流を通電して、金属製の表面プレート8を誘導加熱して発熱体としても良い。この場合は表面プレート8を直接的に誘導加熱で発熱させるので、きわめて高速に面状発熱体1の表面温度を上昇させて、短時間で融雪することができるものである。もちろん、誘導加熱であるので、表面プレート8と加熱手段7の間に空隙や部材が存在しても、つまり表面プレート8と加熱手段7が密着していなくても、部材を金属材料、特に磁性材料で構成しなければ、表面プレート8を直接加熱できることは言うまでもない。
【0039】
以上のように、本実施例における融雪装置用の面状発熱体は、表面プレート8の温度を速やかに上昇させて融雪し、融雪水は傾斜により排水できるものであり、少ない消費電力量で、優れた融雪性能を実現することができる。
【0040】
(実施例2)
次に、図4〜図6は本発明の実施例2における融雪装置用の面状発熱体を示しており、実施例1と同一要素は同一符号を付している。
【0041】
図4に示すように、本実施例は、傾斜した表面プレート8の下方側に、融雪水を排水する排水路14を設けたものである。排水路14は舗装部2、路盤部3に形成した例を示しているが、例えば舗装部2上に、樹脂や金属等で構成した溝部を形成してもよいものであり、必ずしも本実施例の構成に限られるものではない。
【0042】
この排水路14により、傾斜した表面プレート8からの融雪水が滞留せず排水されるので、再凍結せず表面プレート8上を通過する人や自動車などが、スリップすることを防ぐことができる。
【0043】
また、排水路14は、排水側に傾斜した構成になっているのは言うまでもない。したがって、再凍結防止のために熱量を用いず、融雪水に熱量を奪われることもなく、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。
【0044】
また、本実施例では図5に示すように、排水路14に第2の加熱手段15を設けた構成とすることで、加熱手段15への通電により排水路14に流入してきた融雪水が排水路14内で再凍結することを確実になくし、速やかに、融雪装置5外へ融雪水を排出する。したがって、面状発熱体1上での再凍結を防止し、表面プレート8上を通過する人や自動車などが、スリップすることを防ぐことができる。
【0045】
また、本実施例では、図6に示したように、表面プレート8の一部、すなわち下方側を延長して排水路16を一体形成したことで、表面プレート8からの熱伝導で排水路16を加熱することができ、排水路16に流入してきた融雪水を排水路16内で再凍結することなく、速やかに、融雪装置5外へ融雪水を排出する。したがって、排水路構成の簡略化がはかれるとともに、面状発熱体1上での再凍結を防止し、表面プレート8上を通過する人や自動車などが、スリップすることを防ぐことができる。なお、排水路16に、図5に示した第2の加熱手段15を設けることもできる。
【0046】
(実施例3)
次に、図7は本発明の実施例3における融雪装置用の面状発熱体を示しており、実施例1と同一要素は同一符号を付している。
【0047】
図に示すように、本実施例は、表面プレート8に滑り止めの表面仕上げ層17を形成した構成としたものである。
【0048】
表面仕上げ層17は、表面プレート8の表面に、微細な凹凸を有する滑り止めの表面処理を行ったり、滑り止め効果を発揮する粒子状の混合物を含む塗料(この粒子状の混合物は、骨材とも呼ばれる)を塗布したり、シート状のもの、例えばアスファルトシートやゴムシートなどを、表面プレート8に貼りつけて形成したものであり、この層の形成により、融雪水や雨水で人や自動車が不用意に滑ることを防止できるものである。
【0049】
なお、アスファルトシートを用いる場合は、アスファルトに流動性の低い材質のものを用いると、夏など表面プレート8上が高温になっても、その形状を保持するものである。したがって、通年設置できるものである。また、アスファルトシートは、接着材で表面プレート8につけるか、高温で加熱して熱溶着させてもよい。
【0050】
更に、アスファルトやゴム、エラストマーは弾性力が優れているので、面状発熱体1を保護することができる。なおまた、表面仕上げ層17は、表面プレート8全体に形成されていなくてもよく、一部であってもその機能を果たすものである。
【0051】
本実施例では、表面プレート8上には、表面仕上げ層17を形成しているため、鋭利なものに対する強度と、融雪水や、雨水、積雪等による滑りを防止する効果がある。
【0052】
(実施例4)
次に、図8は本発明の実施例4における融雪装置用の面状発熱体を示しており、実施例1と同一要素は同一符号を付している。
【0053】
図に示すように、本実施例は、表面プレート8の少なくとも一部に、撥水処理部18を施した構成にしている。
【0054】
滑り止めの表面仕上げ層17を設けると、表面プレート8上に凹凸ができることになる。したがって、表面仕上げ層17の間に撥水処理部18を設けることで、表面プレート8上の融雪水などの表面張力を低減できる。表面仕上げ層17は必ずしも必要ではないが、表面プレート8の少なくとも表面が樹脂やゴムで形成されている場合、撥水処理部18は特に効果的である。
【0055】
更に、本実施例では、表面プレート8の傾斜に対して、縦方向にも横方向にも撥水処理部18を設けているが、縦方向を多く設けた方が効果的であるのは言うまでもない。
【0056】
したがって、速やかに、表面プレート8上の融雪水を排水することができ、再凍結防止のために熱量を用いず、融雪水に熱量を奪われることもなく、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。
【0057】
(実施例5)
次に、図9は本発明の実施例5における融雪装置用の面状発熱体を示しており、実施例1と同一要素は同一符号を付している。
【0058】
図に示すように、本実施例は、傾斜した表面プレート8の上方側の温度を下方側に比べて高くなるように構成したものである。これは、上方側の加熱手段7を構成する電熱線7aの電力密度を高くすることで、容易に高温にすることができる。また、上方側と下方側で複数の加熱手段7を用い、上方側の加熱手段7に高電力をかけてもよい。
【0059】
本実施例では、表面プレート8上の積雪は、表面プレート8の上方側から融雪を行い、融雪水を表面プレート8の下方側に排水させる。したがって、熱量を持つ融雪水が下方側に速やかに流れることで下方部の積雪は、融雪水と表面プレート8から熱を得、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。
【0060】
(実施例6)
次に、図10は本発明の実施例6における融雪装置を示しており、実施例1と同一要素は同一符号を付している。
【0061】
図に示すように、本実施例は、各実施例1〜5に示した融雪装置用の面状発熱体1を、傾斜した表面プレート8の上方側を突き合わせて複数設置し、隣接する表面プレート8間の端面を保護し、かつ隙間を埋める保護部材19を有する構成としたものである。
【0062】
これにより、表面プレート8端面部が突出して、凸部を形成せず、降雪地域では頻繁に行われるスコップ等を用いた除雪作業もスムーズに行うことが可能で、歩行者や自転車等が、スムーズに移動できるものである。したがって、表面プレート8上の融雪水を排水することができ、再凍結防止のために熱量を用いず、融雪水に熱量を奪われることもなく、効率よく熱量を融雪に利用できる。
【0063】
なお、保護部材19は、樹脂や金属で構成し表面プレート8間の隙間に嵌合させてもよいし、シリコンやゴムなど構成し、弾性的に馴染ませて表面プレート8間の隙間に埋め合わせてもよい。また、保護部材19として熱伝導性の高い材料を使用すれば、加熱手段から遠い隣接する面状発熱体1の間を、表面プレート8からの熱伝導で、比較的速やかに融雪できるものである。更に、端面部や隙間に水が滞留して凍結することを防ぎ、また、ごみやほこりが堆積することもない。複数の表面プレート8間を滑らかに連結することで、凸凹をならすことができるものである。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明の融雪装置用の面状発熱体および融雪装置は、加熱手段により加熱される略平面状の表面プレートを、緩衝部材により略平面状の設置面に対して傾斜させて設置したことにより、表面プレート上で融雪が行われるとともに、融雪水は表面プレート上から傾斜により自動排水され、再凍結防止のために熱量を使用せずともよく、融雪用熱量を効果的に融雪に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における融雪装置の斜視図
【図2】同融雪装置用の面状発熱体の要部断面図
【図3】同融雪装置用の面状発熱体の分解斜視図
【図4】本発明の実施例2における融雪装置用の面状発熱体の要部断面図
【図5】同融雪装置用の面状発熱体の他例を示す要部断面図
【図6】同融雪装置用の面状発熱体の他例を示す要部断面図
【図7】本発明の実施例3における融雪装置用の面状発熱体の要部断面図
【図8】本発明の実施例4における融雪装置用の面状発熱体の外観斜視図
【図9】本発明の実施例5における融雪装置用の面状発熱体の要部断面図
【図10】本発明の実施例6における融雪装置の要部断面図
【図11】従来の融雪装置の設置構造を示す要部断面図
【符号の説明】
1 面状発熱体
2 舗装部
4 降雪
5 融雪装置
7 加熱手段
8 表面プレート
9 補強部(支持部材)
10 枠部(支持部材)
12 緩衝部材
14、16 排水路
15 第2の加熱手段
17 表面仕上げ層
18 撥水処理部
19 保護部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として降雪地域で用いられる融雪装置用の面状発熱体および融雪装置に係わり、特に一般家庭や店舗の敷地内の雪を効率的に融雪するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、積雪の多い寒冷地においては、公共の道路はもとより、一般家庭や店舗の敷地の、特に歩道から一般家庭の玄関、車庫あるいは駐車スペースまでのアプローチの除雪作業が、積雪期の日常生活での大きな問題とされてきている。
【0003】
これを解決するため、従来から、発熱体として電熱線や温水パイプ等を敷地内の地面に埋設して、路面の加熱を行うことで融雪を行う融雪装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、「電熱線」は通電することでジュール熱によって発熱するものであり、「温水パイプ」は灯油ボイラーの燃焼で加熱した温水(実際は不凍液)を熱媒として循環することで発熱するものである。これらの加熱によって路面温度を上昇させて、路面上の雪を融雪するものである。このような融雪装置は、ロードヒーティング装置、あるいはロードヒーティングとも呼ばれる。
【0004】
図11はその融雪装置100の例を示しているが、発熱体としての電熱線104は、路床部101の上面に金属メッシュとともに敷設されて、コンクリート路盤部102、アスファルト舗装部103にて埋設されている。もちろん、電熱線104の位置に温水パイプを埋設したものもあるが、その埋設部の基本的な構成は同様である。そして、融雪装置100は、降雪105を検知するために、降雪センサー、気温センサー、地温センサー、水分センサー(センサー類の図示は省略)を備えて、各センサーからの信号に応じて自動運転を行なったり、あるいは使用者の判断で手動運転するための制御装置を備えている。
【0005】
また、上記の構成に加えて、融雪水の処理のために、敷設範囲の舗装路面に、車道両側溝へ融雪水を流し込む導水溝を設けたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
さらに、玄関先や階段といった、主として人の通行が行われる場所には、単に置くだけでよいマット状の発熱体で融雪するものもある(例えば、特許文献3参照)。これは一般には、加熱手段をその内部に一体に成形したゴムシート状クッション材であって、降雪時に通電すれば、比較的速やかに表面の雪を融雪できるものである。このようなものは融雪マットあるいは発熱マットとも呼ばれている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−336038号公報
【特許文献2】
特開平05−331804号公報
【特許文献3】
実開平02−108291号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発熱体を地面に埋設して路面の加熱を行う従来の融雪装置は、図11のように、発熱体である電熱線104や温水パイプを地表から約100mmの地中に埋設しているので、降雪105をセンサーが検知して、直ちに自動運転を開始、または手動による運転を開始しても、しばらくの間は、発熱体である電熱線104はその上部の地面を加熱することで、融雪装置100全体の温度を上昇させるために、運転時間と電気エネルギーを必要として、降雪105によって地表に堆積する雪を直ちに融雪するには至らず、融雪までに時間を要する。
【0009】
また、降雪105は、通常24時間連続的に発生することは少なく、間欠的に降雪することが多い。したがって、融雪装置100の運転も、間欠的であることが多く、その都度、低温度の外気によって、融雪装置100の温度は低下する。そこで次回の降雪時には、一度冷却した路面全体を再度加温するために時間が必要である。このような原因によっても、電気あるいは灯油の消費量が多くなるので、ランニングコストが高くなる。
【0010】
このように、積雪期全体を通じて考えると、融雪装置100自体の温度上昇や融雪水の再凍結防止のために使用されるエネルギーの割合が大きく、また間欠的な運転によるエネルギーの損失も大きい。この点からみると、発熱体を地面に埋設する従来の融雪装置はその融雪性能が不適切であって、エネルギーの利用効率が低いと言える。これは、舗装路面に車道両側溝へ融雪水を流し込む導水溝を設けた従来の融雪装置であっても、基本的には同じである。
【0011】
もちろん、土木工事によって、地中に発熱体を埋設する融雪装置100であるから、その施工には長時間の工期が必要で、そのための工事費も高いものとなる。
【0012】
また、マット状の発熱体で融雪する従来の融雪マットは、その敷設が簡単であるが、融雪した際に生ずる融雪水がマット上に残留するため、これが再凍結するものである。したがって、再凍結を防ぐために、融雪用熱量を使用しなければならない。また、融雪用熱量が融雪水に奪われるため、直接雪に熱量が伝わりにくくなり、融雪効率が悪いものであった。
【0013】
本発明は、前記従来の課題を解決するために、融雪用熱量を効果的に融雪に利用する融雪装置用の面状発熱体および融雪装置を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の融雪装置用の面状発熱体および融雪装置は、加熱手段により加熱される略平面状の表面プレートを、緩衝部材により略平面状の設置面に対して傾斜させて設置するものである。
【0015】
これにより、表面プレート上で融雪が行われるとともに、融雪水は表面プレート上から傾斜により自動排水され、再凍結防止のために熱量を使用せずともよく、融雪用熱量を効果的に融雪に利用することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、融雪用熱量を供給する加熱手段と、加熱手段により加熱される略平面状の表面プレートと、表面プレートを支持する支持部材と、支持部材を取り付け、表面プレートを略平面状の設置面に対して傾斜させて設置する緩衝部材とを有した融雪装置用の面状発熱体とすることで、表面プレート上で融雪が行われるとともに、融雪水は表面プレート上から傾斜により自動排水され、再凍結防止のために熱量を使用せずともよく、融雪用熱量を効果的に融雪に利用することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、緩衝部材は断熱性を有する部材で形成した請求項1に記載の融雪装置用の面状発熱体とすることで、表面プレート下部への放熱を防ぎ、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。
【0018】
請求項3に記載の発明は、傾斜した表面プレートの下方側に、融雪水を排水する排水路を設けた請求項1または2に記載の融雪装置用の面状発熱体とすることで、傾斜した表面プレートの下方部で融雪水が滞留せず、再凍結しない。したがって、表面プレート上を通過する人や自動車などが、スリップすることを防ぐとともに、融雪水の再凍結防止のために熱量を用いず、融雪水に熱量を奪われることもなく、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。
【0019】
請求項4に記載の発明は、排水路に加熱手段を設けた請求項3に記載の融雪装置用の面状発熱体とすることで、排水路部に流入してきた融雪水を、排水路内で再凍結することなく、速やかに、融雪し排出することができるものである。
【0020】
請求項5に記載の発明は、排水路を表面プレートの一部で形成した請求項3または4に記載の融雪装置用の面状発熱体とすることで、排水路構成の簡略化がはかれるものである。
【0021】
請求項6に記載の発明は、表面プレート上に滑り止めの表面仕上げ層を形成した請求項1〜5のいずれか1項に記載の融雪装置用の面状発熱体とすることで、鋭利なものに対する強度と、融雪水や、雨水、積雪等による滑りを防止する効果がある。
【0022】
請求項7に記載の発明は、表面プレート上の少なくとも一部に、撥水処理を施した請求項1〜6のいずれか1項に記載の融雪装置用の面状発熱体とすることで、表面プレート上の融雪水などの表面張力を低減し、速やかに、表面プレート上の融雪水を排水することができ、再凍結防止のために熱量を用いず、融雪水に熱量を奪われることがなく、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。
【0023】
請求項8に記載の発明は、傾斜した表面プレートの上方側の温度を下方側に比べて高くした請求項1〜7のいずれか1項に記載の融雪装置用の面状発熱体とすることで、表面プレート上の積雪は、表面プレートの上方側から融雪を行い、融雪水を表面プレート下方側に排水させる。したがって、熱量を持つ融雪水が下方側に速やかに流れ、下方部の積雪は、融雪水と表面プレートから熱を得て、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の融雪装置用の面状発熱体を、傾斜した表面プレートの上方側を突き合わせて複数設置し、隣接する表面プレート間の端面を保護し、かつ隙間を埋める保護部材を有する融雪装置とすることで、表面プレートの端面部や隙間に水が滞留して凍結することを防ぎ、複数の表面プレート間を滑らかに連結することができるものである。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
(実施例1)
図1〜図3は本発明の実施例1における融雪装置用の面状発熱体を示すものである。
【0027】
図1に示すように、面状発熱体1は、路盤部3上の舗装部2の上面に複数枚設置して、降雪4を融雪する融雪装置5とするものである。これは、降雪地域の家庭や店舗において、歩道から玄関および駐車スペースに至るアプローチを含めた融雪装置敷設部を形成するものである。また、この融雪装置5は、降雪4を検知する降雪センサー、気温センサー、地温センサー(センサー類の図示は省略)、およびセンサーからの信号に応じて自動運転する、あるいは使用者の判断で手動運転するための制御装置6を備えている。
【0028】
面状発熱体1の内部構成例を図2、図3により説明する。7は融雪用熱量を供給する加熱手段であって、本実施例では通電することで発熱する電熱線7aが所定の間隔で設けてある。8はこの加熱手段7により発熱する略平面状の表面プレートで、加熱手段7の上部に配置されている。9は表面プレート8を下面から支持し、加熱手段7を保護している複数の補強部で、面状発熱体1にかかる荷重を支えている。10は補強部9と同様に表面プレート8の下面を支持する枠部で、固定ボルト11により表面プレート8を枠部10に固定するための雌ネジ部10aを有している。固定ボルト11はステンレスや防錆塗装等を施した錆びにくい材料で構成されている。
【0029】
前記補強部9と枠部10は、図3に示す構成からわかるように、お互いに爪と係止孔等で互いに係合し合ってユニットとなり表面プレート8の下面を支持する支持部材となっているものである。なお、枠部10は表面プレート8の下面を支持する役割とともに隣接する面状発熱体との連結を行う役割を果たしているものである。
【0030】
12は補強部9と枠部10から構成される支持部材をボルトや接着剤等で取り付ける緩衝部材で、表面プレート8の下部に位置し、表面プレート8を支持するとともに、略平面状の設置面である舗装部2に対して表面プレート8を傾斜させて設置する構成になっている。この緩衝部材12は、設置面である舗装部2に対して、ボルトや接着剤等で固定されている。13は渦巻き状に配線された電熱線7aを表面プレート8と接触状態に保持する板状の保持手段で、補強部9の突部と嵌合し位置決めして取り付けられる複数の孔部13aを設けている。
【0031】
次に、融雪装置5の運転について説明する。解りやすくするために、使用者自身で降雪4があることを判断して、運転を開始した場合を想定する。制御装置6は加熱手段7に通電を開始して、表面プレート8を加熱する。この表面プレート8の熱容量は小さく、かつ舗装部2の表面に設置されているので、所定の消費電力量にて、短時間で表面プレート8の温度が上昇する。引き続いて供給される熱エネルギーは、降雪4が面状発熱体1の表面に堆積するとすぐに、これを融雪水にするための融解熱として使用されて、短時間で融雪が行われる。融雪水は、緩衝部材12により傾斜した表面プレート8上を下方側へ流れ、排水される。
【0032】
また、使用者は降雪4が停止したと判断すれば、直ちに運転を停止すれば良いものである。もちろん、センサーの信号に基づいて自動運転もできる。いずれにせよ、表面プレート8により短時間で融雪することができ、したがって少ない消費電力量で融雪ができる。
【0033】
また、実際の降雪4は、24時間連続的に発生することは少なく、夜間から早朝にかけて間欠的に降って、かつ日中は降らないといったように、間欠的に降雪することが多い。すなわち、融雪装置5の運転も間欠的であることが多くなる。
【0034】
したがって、その都度、面状発熱体1は一度冷却されるものの、表面プレート8の再度の加温は短時間で行える。そのためにも、面状発熱体1の消費電力量が少なくて良く、融雪装置5のランニングコストも安価である。
【0035】
以上のように、本実施例においては、面状発熱体1を地表面に設置し、更に、表面プレート8を緩衝部材12により略平面状の設置面に対して傾斜させることで、熱量を有効に表面プレート8上の積雪や降雪に与えることができる。更に、表面プレート8上に融雪水が滞留せず、表面プレート8上から外部に排水される。したがって、降雪時に加熱手段7に通電すれば、上部の表面プレート8に融雪用熱量が供給され、表面プレート8の温度が速やかに上昇し、融雪効果を発揮するので、短時間に融雪が行える。また、凍結防止のために加熱手段を用いなくてもよく、融雪水に熱も奪われることがないので、効率的な融雪が行えるものである。
【0036】
また、本実施例では、緩衝部材12として断熱性を有する部材を用いることにより、表面プレート8下部への放熱を防ぎ、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。同時に、表面プレート8上で直接融雪すること、および傾斜を利用して融雪水を排水することと相まって、融雪が効率よく行えるものである。
【0037】
なお、加熱手段7が電熱線や温水パイプの場合には、加熱手段7を表面プレート8に接触した状態で直接テープや接着剤で取り付けることもできる。この場合、テープや接着剤は、防水タイプのものであるのはいうまでもない。また、耐候性のあるPPやPE等の樹脂板などを用いこれに電熱線を所定の間隔に張り付けて加熱手段7を構成したり、樹脂成形で装着溝を作りそこに電熱線を装着させて加熱手段7を構成してもよい。
【0038】
なおまた、加熱手段7に高周波電流を通電して、金属製の表面プレート8を誘導加熱して発熱体としても良い。この場合は表面プレート8を直接的に誘導加熱で発熱させるので、きわめて高速に面状発熱体1の表面温度を上昇させて、短時間で融雪することができるものである。もちろん、誘導加熱であるので、表面プレート8と加熱手段7の間に空隙や部材が存在しても、つまり表面プレート8と加熱手段7が密着していなくても、部材を金属材料、特に磁性材料で構成しなければ、表面プレート8を直接加熱できることは言うまでもない。
【0039】
以上のように、本実施例における融雪装置用の面状発熱体は、表面プレート8の温度を速やかに上昇させて融雪し、融雪水は傾斜により排水できるものであり、少ない消費電力量で、優れた融雪性能を実現することができる。
【0040】
(実施例2)
次に、図4〜図6は本発明の実施例2における融雪装置用の面状発熱体を示しており、実施例1と同一要素は同一符号を付している。
【0041】
図4に示すように、本実施例は、傾斜した表面プレート8の下方側に、融雪水を排水する排水路14を設けたものである。排水路14は舗装部2、路盤部3に形成した例を示しているが、例えば舗装部2上に、樹脂や金属等で構成した溝部を形成してもよいものであり、必ずしも本実施例の構成に限られるものではない。
【0042】
この排水路14により、傾斜した表面プレート8からの融雪水が滞留せず排水されるので、再凍結せず表面プレート8上を通過する人や自動車などが、スリップすることを防ぐことができる。
【0043】
また、排水路14は、排水側に傾斜した構成になっているのは言うまでもない。したがって、再凍結防止のために熱量を用いず、融雪水に熱量を奪われることもなく、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。
【0044】
また、本実施例では図5に示すように、排水路14に第2の加熱手段15を設けた構成とすることで、加熱手段15への通電により排水路14に流入してきた融雪水が排水路14内で再凍結することを確実になくし、速やかに、融雪装置5外へ融雪水を排出する。したがって、面状発熱体1上での再凍結を防止し、表面プレート8上を通過する人や自動車などが、スリップすることを防ぐことができる。
【0045】
また、本実施例では、図6に示したように、表面プレート8の一部、すなわち下方側を延長して排水路16を一体形成したことで、表面プレート8からの熱伝導で排水路16を加熱することができ、排水路16に流入してきた融雪水を排水路16内で再凍結することなく、速やかに、融雪装置5外へ融雪水を排出する。したがって、排水路構成の簡略化がはかれるとともに、面状発熱体1上での再凍結を防止し、表面プレート8上を通過する人や自動車などが、スリップすることを防ぐことができる。なお、排水路16に、図5に示した第2の加熱手段15を設けることもできる。
【0046】
(実施例3)
次に、図7は本発明の実施例3における融雪装置用の面状発熱体を示しており、実施例1と同一要素は同一符号を付している。
【0047】
図に示すように、本実施例は、表面プレート8に滑り止めの表面仕上げ層17を形成した構成としたものである。
【0048】
表面仕上げ層17は、表面プレート8の表面に、微細な凹凸を有する滑り止めの表面処理を行ったり、滑り止め効果を発揮する粒子状の混合物を含む塗料(この粒子状の混合物は、骨材とも呼ばれる)を塗布したり、シート状のもの、例えばアスファルトシートやゴムシートなどを、表面プレート8に貼りつけて形成したものであり、この層の形成により、融雪水や雨水で人や自動車が不用意に滑ることを防止できるものである。
【0049】
なお、アスファルトシートを用いる場合は、アスファルトに流動性の低い材質のものを用いると、夏など表面プレート8上が高温になっても、その形状を保持するものである。したがって、通年設置できるものである。また、アスファルトシートは、接着材で表面プレート8につけるか、高温で加熱して熱溶着させてもよい。
【0050】
更に、アスファルトやゴム、エラストマーは弾性力が優れているので、面状発熱体1を保護することができる。なおまた、表面仕上げ層17は、表面プレート8全体に形成されていなくてもよく、一部であってもその機能を果たすものである。
【0051】
本実施例では、表面プレート8上には、表面仕上げ層17を形成しているため、鋭利なものに対する強度と、融雪水や、雨水、積雪等による滑りを防止する効果がある。
【0052】
(実施例4)
次に、図8は本発明の実施例4における融雪装置用の面状発熱体を示しており、実施例1と同一要素は同一符号を付している。
【0053】
図に示すように、本実施例は、表面プレート8の少なくとも一部に、撥水処理部18を施した構成にしている。
【0054】
滑り止めの表面仕上げ層17を設けると、表面プレート8上に凹凸ができることになる。したがって、表面仕上げ層17の間に撥水処理部18を設けることで、表面プレート8上の融雪水などの表面張力を低減できる。表面仕上げ層17は必ずしも必要ではないが、表面プレート8の少なくとも表面が樹脂やゴムで形成されている場合、撥水処理部18は特に効果的である。
【0055】
更に、本実施例では、表面プレート8の傾斜に対して、縦方向にも横方向にも撥水処理部18を設けているが、縦方向を多く設けた方が効果的であるのは言うまでもない。
【0056】
したがって、速やかに、表面プレート8上の融雪水を排水することができ、再凍結防止のために熱量を用いず、融雪水に熱量を奪われることもなく、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。
【0057】
(実施例5)
次に、図9は本発明の実施例5における融雪装置用の面状発熱体を示しており、実施例1と同一要素は同一符号を付している。
【0058】
図に示すように、本実施例は、傾斜した表面プレート8の上方側の温度を下方側に比べて高くなるように構成したものである。これは、上方側の加熱手段7を構成する電熱線7aの電力密度を高くすることで、容易に高温にすることができる。また、上方側と下方側で複数の加熱手段7を用い、上方側の加熱手段7に高電力をかけてもよい。
【0059】
本実施例では、表面プレート8上の積雪は、表面プレート8の上方側から融雪を行い、融雪水を表面プレート8の下方側に排水させる。したがって、熱量を持つ融雪水が下方側に速やかに流れることで下方部の積雪は、融雪水と表面プレート8から熱を得、効率よく熱量を融雪に利用できるものである。
【0060】
(実施例6)
次に、図10は本発明の実施例6における融雪装置を示しており、実施例1と同一要素は同一符号を付している。
【0061】
図に示すように、本実施例は、各実施例1〜5に示した融雪装置用の面状発熱体1を、傾斜した表面プレート8の上方側を突き合わせて複数設置し、隣接する表面プレート8間の端面を保護し、かつ隙間を埋める保護部材19を有する構成としたものである。
【0062】
これにより、表面プレート8端面部が突出して、凸部を形成せず、降雪地域では頻繁に行われるスコップ等を用いた除雪作業もスムーズに行うことが可能で、歩行者や自転車等が、スムーズに移動できるものである。したがって、表面プレート8上の融雪水を排水することができ、再凍結防止のために熱量を用いず、融雪水に熱量を奪われることもなく、効率よく熱量を融雪に利用できる。
【0063】
なお、保護部材19は、樹脂や金属で構成し表面プレート8間の隙間に嵌合させてもよいし、シリコンやゴムなど構成し、弾性的に馴染ませて表面プレート8間の隙間に埋め合わせてもよい。また、保護部材19として熱伝導性の高い材料を使用すれば、加熱手段から遠い隣接する面状発熱体1の間を、表面プレート8からの熱伝導で、比較的速やかに融雪できるものである。更に、端面部や隙間に水が滞留して凍結することを防ぎ、また、ごみやほこりが堆積することもない。複数の表面プレート8間を滑らかに連結することで、凸凹をならすことができるものである。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明の融雪装置用の面状発熱体および融雪装置は、加熱手段により加熱される略平面状の表面プレートを、緩衝部材により略平面状の設置面に対して傾斜させて設置したことにより、表面プレート上で融雪が行われるとともに、融雪水は表面プレート上から傾斜により自動排水され、再凍結防止のために熱量を使用せずともよく、融雪用熱量を効果的に融雪に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における融雪装置の斜視図
【図2】同融雪装置用の面状発熱体の要部断面図
【図3】同融雪装置用の面状発熱体の分解斜視図
【図4】本発明の実施例2における融雪装置用の面状発熱体の要部断面図
【図5】同融雪装置用の面状発熱体の他例を示す要部断面図
【図6】同融雪装置用の面状発熱体の他例を示す要部断面図
【図7】本発明の実施例3における融雪装置用の面状発熱体の要部断面図
【図8】本発明の実施例4における融雪装置用の面状発熱体の外観斜視図
【図9】本発明の実施例5における融雪装置用の面状発熱体の要部断面図
【図10】本発明の実施例6における融雪装置の要部断面図
【図11】従来の融雪装置の設置構造を示す要部断面図
【符号の説明】
1 面状発熱体
2 舗装部
4 降雪
5 融雪装置
7 加熱手段
8 表面プレート
9 補強部(支持部材)
10 枠部(支持部材)
12 緩衝部材
14、16 排水路
15 第2の加熱手段
17 表面仕上げ層
18 撥水処理部
19 保護部材
Claims (9)
- 融雪用熱量を供給する加熱手段と、加熱手段により加熱される略平面状の表面プレートと、表面プレートを支持する支持部材と、支持部材を取り付け、表面プレートを略平面状の設置面に対して傾斜させて設置する緩衝部材とを有した融雪装置用の面状発熱体。
- 緩衝部材は断熱性を有する部材で形成した請求項1に記載の融雪装置用の面状発熱体。
- 傾斜した表面プレートの下方側に、融雪水を排水する排水路を設けた請求項1または2に記載の融雪装置用の面状発熱体。
- 排水路に加熱手段を設けた請求項3に記載の融雪装置用の面状発熱体。
- 排水路を表面プレートの一部で形成した請求項3または4に記載の融雪装置用の面状発熱体。
- 表面プレート上に滑り止めの表面仕上げ層を形成した請求項1〜5のいずれか1項に記載の融雪装置用の面状発熱体。
- 表面プレート上の少なくとも一部に、撥水処理を施した請求項1〜6のいずれか1項に記載の融雪装置用の面状発熱体。
- 傾斜した表面プレートの上方側の温度を下方側に比べて高くした請求項1〜7のいずれか1項に記載の融雪装置用の面状発熱体。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の融雪装置用の面状発熱体を、傾斜した表面プレートの上方側を突き合わせて複数設置し、隣接する表面プレート間の端面を保護し、かつ隙間を埋める保護部材を有する融雪装置。
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-
2002
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