JP2004175958A - 高温酸化炉への含酸素ガス供給装置及び供給方法 - Google Patents

高温酸化炉への含酸素ガス供給装置及び供給方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、長期間にわたって連続的に可燃性気体を安全に部分燃焼させ、可燃性廃棄物の二段ガス化処理装置を有利に用いることができる高温酸化炉への含酸素ガス供給装置及び供給方法に関する。
【解決手段】本発明の課題は、可燃性炭素質粒子を含む可燃性気体の導入口を備え、該可燃性気体を旋回させながら高温で部分燃焼させてガス化する燃焼室を有する高温酸化炉への含酸素ガス供給装置において、該燃焼室の側壁から該燃焼室内に含酸素ガスを吹込む含酸素ガス導入口を、可燃性気体導入口水平位置を最上段として下方に向かう縦軸方向に複数段設置し、かつ、含酸素ガス導入口の最上段を吹込み方向が可燃性気体の旋回流れの仮想円の接線方向となるように設置し、残りの二段目以降の含酸素ガス導入口を吹込み方向が燃焼室の中心方向となるように設置したことを特徴とする高温酸化炉への含酸素ガス供給装置及び供給方法によって解決される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可燃性廃棄物の部分燃焼によるガス化処理に係わり、特に流動層ガス化炉と高温酸化炉を組み合わせた二段ガス化処理装置における高温酸化炉において、助燃剤となる含酸素ガスを、良好な装置及び方法により供給することで炉内運転状態を安定化させることに関する。
【0002】
【従来の技術】
都市ゴミ、下水汚泥、廃プラスチック、バイオマス廃棄物、シュレッダダスト、及び廃油に代表される可燃性廃棄物は、現状としては再利用されるものはごく僅かであって、未処理のまま埋め立て処分されるものがあるが、一般的には、焼却処理によって減容化と無害化がなされて最終処分場に堆積される。
【0003】
従来より、可燃性廃棄物の焼却処理には、ストーカ炉や流動層炉が用いられている。しかし、ストーカ炉や流動層炉は、可燃性廃棄物を完全に焼却処理するのに大量の空気を要するため排ガス量が多くなり、可燃性廃棄物に含まれている金属も酸化されて再利用することが難しいという問題がある。また、可燃性廃棄物の焼却処理後の不燃性物質の減容化を目的として、溶融設備等を上記の焼却処理設備に併設するところも増えているが、設備全体の建設コストや運転コストを押し上げる結果となっている。
【0004】
ここで、可燃性廃棄物を二段ガス化処理装置を用いて処理することができる高温酸化炉は、例えば、可燃性炭素質粒子を含む可燃性気体を内部で旋回させながら部分燃焼させる燃焼室、スロート部、そして燃焼室で生成した生成ガスとスラグとを分離する不燃性物質分離室(スラグ分離室)が、燃焼室を上方に配置して縦方向にて一体的に結合した構造となっている(特許文献1参照)。
【0005】
図9に示すように高温酸化炉1において、可燃性炭素質粒子を含む可燃性気体eは、可燃性気体導入口5より燃焼室3の径に対し1/6〜3/4の径を有する仮想円となる接線方向に供給されて旋回流を形成して、旋回流を保ったまま、燃焼室3を下降していく。
この時、図10で示すように燃焼室3への含酸素ガスfの吹込みは、燃焼室3上部側面の同一平面上の4個所から等間隔で、旋回流の仮想円の接線方向に行なわれる(特許文献1参照)。また、含酸素ガスfの吹込みは燃焼室の塔頂部からも行なわれる(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
WO98/10225号公報(第1−39頁)
【特許文献2】
特開2000−329323号公報(第12−17頁、第1−2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このため、従来の装置では、燃焼室3において、可燃性気体導入口5より仮想円の接線方向に吹込まれる可燃性気体eがエネルギーの大きい旋回流を形成し、この旋回流と内壁面との間に旋回流の影響が少ないエネルギーの小さい空間部分が形成され、燃焼室の直胴部上方の(可燃性気体導入口5の延長上)側面周辺から等間隔に水平面上に4個所から吹込まれた含酸素ガスfがこの空間部分に封じ込まれてしまい、可燃性気体eの外周部の酸素濃度が高くなる、いわゆる可燃性気体eと酸素濃度の高い二層流が形成され、酸素濃度の高い壁面近傍がより高温域となり耐火物の減肉が促進されるようになる;更に含酸素ガスfを同一平面上で等間隔に吹込んでいるため旋回が進むにつれて酸素濃度が高くなり、その部分に燃焼域が集中して高温部分を形成し耐火物を激しく減肉するようになる;その結果、減肉した部分の耐火物を補修するためにプラントを長期間停止することを余儀なくされるということがあった。
【0008】
そこで本発明の目的は、長期間にわたって連続的に可燃性気体を安全に部分燃焼させ、可燃性廃棄物の二段ガス化処理装置を有利に用いることができる高温酸化炉への含酸素ガス供給装置及び供給方法、更にその高温酸化炉及び可燃性気体のガス化処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、可燃性炭素質粒子を含む可燃性気体の導入口を備え、該可燃性気体を旋回させながら高温で部分燃焼させてガス化する燃焼室を有する高温酸化炉への含酸素ガス供給装置において、該燃焼室の側壁から該燃焼室内に含酸素ガスを吹込む含酸素ガス導入口を、可燃性気体導入口水平位置を最上段として下方に向かう縦軸方向に複数段設置し、かつ、含酸素ガス導入口の最上段を吹込み方向が可燃性気体の旋回流れの仮想円の接線方向となるように設置し、残りの二段目以降の含酸素ガス導入口を吹込み方向が燃焼室の中心方向となるように設置したことを特徴とする高温酸化炉への含酸素ガス供給装置、及びその高温酸化炉へ含酸素ガスを供給することを特徴とする高温酸化炉への含酸素ガス供給方法にある。
【0010】
本発明は、また、可燃性炭素質粒子を含む可燃性気体の導入口を備え、該可燃性気体を旋回させながら高温で部分燃焼させてガス化する燃焼室を有する高温酸化炉において、該燃焼室の側壁から該燃焼室内に含酸素ガスを吹込む含酸素ガス導入口を、可燃性気体導入口水平位置を最上段として下方に向かう縦軸方向に複数段設置し、かつ、含酸素ガス導入口の最上段を吹込み方向が可燃性気体の旋回流れの仮想円の接線方向となるように設置し、残りの二段目以降の含酸素ガス導入口を吹込み方向が燃焼室の中心方向となるように設置したことを特徴とする高温酸化炉、及びその高温酸化炉における可燃性気体のガス化処理方法にもある。
【0011】
次に、本発明の好ましい態様を列記する。
(1)含酸素ガス導入口の最上段及び二段目を下向き傾斜角5〜10°に設置した上記の高温酸化炉への含酸素ガス供給装置。
(2)含酸素ガス導入口は各段に複数個所設置し、含酸素ガス導入口の各段の設置個所は縦軸方向において同一個所とならないように分散して設置した上記いずれかの高温酸化炉への含酸素ガス供給装置。
(3)燃焼室の塔頂部に頂部含酸素ガス導入口を設置した上記いずれかの高温酸化炉への含酸素ガス供給装置。
(4)燃焼室の塔頂部から該燃焼室内の中心軸方向に含酸素ガスを吹込むように頂部含酸素ガス導入口を設置した上記(3)の高温酸化炉への含酸素ガス供給装置。
(5)燃焼室内に吹込む含酸素ガスの酸素濃度を30〜60容量%に調節して含酸素ガスを供給する上記の高温酸化炉への含酸素ガス供給方法。
(6)含酸素ガス導入口の最上段及び二段目を下向き傾斜角5〜10°に設置した上記の高温酸化炉。
(7)含酸素ガス導入口は各段に複数個所設置し、含酸素ガス導入口の各段の設置個所は縦軸方向において同一個所とならないように分散して設置した上記いずれかの高温酸化炉。
(8)燃焼室の塔頂部に頂部含酸素ガス導入口を設置した上記いずれかの高温酸化炉。
(9)燃焼室の塔頂部から該燃焼室内の中心軸方向に含酸素ガスを吹込むように頂部含酸素ガス導入口を設置した上記(8)の高温酸化炉。
(10)燃焼室内に吹込む含酸素ガスの酸素濃度を30〜60容量%に調節して含酸素ガスを供給する上記の高温酸化炉における可燃性気体のガス化処理方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の高温酸化炉への含酸素ガス供給装置及び供給方法について、添付図面の図1〜図8を参照しながら説明する。
まず最初に図8を参照し、本発明の高温酸化炉を用いた可燃性廃棄物の二段ガス化処理装置の概略について説明する。ここで説明する該高温酸化炉は旋回溶融炉である。
図8は、本発明の高温酸化炉を用いた可燃性廃棄物の二段ガス化処理装置の一例の構成図である。
図8には、低温ガス化炉に流動層ガス化炉30を用い、高温酸化炉に本発明に従い、燃焼室3の側壁に含酸素ガス導入口13(13a、13b、13c、13d、13e)が複数段設置されている高温酸化炉1を用いた可燃性廃棄物aの二段ガス化処理装置が示されている。
【0013】
流動層ガス化炉30の内部では、炉の下方から供給された流動化ガスbによって流動化した流動媒体c(例:砂)が流動層32を形成している。流動化ガスbには、通常は、含酸素ガス(酸素ガス、空気、又は水蒸気、或いはこれらの混合ガス)が用いられる。流動化ガスbとして供給される酸素ガス及び空気は可燃性廃棄物aのガス化剤としても作用する。
流動層ガス化炉30に供給された可燃性廃棄物aは、450〜850℃の温度に保持された流動層32内で、流動化ガス兼ガス化剤として炉内に供給された酸素ガス又は空気により速やかに部分燃焼によりガス化され、可燃性気体e(例:水素ガス、一酸化炭素ガス、炭化水素ガス、タール)を生成する。流動化ガス兼ガス化剤として供給する酸素ガス又は空気の量は、可燃性廃棄物aを完全燃焼させるのに必要な理論量の10〜30%とすることが好ましい。
【0014】
流動層ガス化炉30の炉底からは、流動媒体cが不燃物dと共にロックホッパ34を介して排出され、スクリーン36より不燃物dが除去される。不燃物dが除去された流動媒体cは、流動層ガス化炉30の内部に戻される。分離された不燃物dに含まれている金属(例:鉄、銅、アルミニウム)は、流動層32が比較的低温度で、しかも酸素が不足した状態となっているので、ほとんどが未酸化の状態である。
【0015】
可燃性廃棄物aの部分燃焼により生成した可燃性炭素質(固形カーボン)は、流動層32の攪拌運動により微粉砕されて、粒子(チャー)となって可燃性気体eの流れに同伴する。不燃性物質(灰分)の一部も流動層32の攪拌運動により微粉砕されて、粒子となって可燃性気体eの流れに同伴する。
【0016】
不燃性物質を含む粒子と可燃性炭素質粒子とを浮遊状態で含有する可燃性気体eは、高温酸化炉1の可燃性気体導入口5から燃焼室3に供給されて旋回しながら下降する。そして、可燃性気体e(特に可燃性炭素質粒子と炭化水素ガスとタール)が含酸素ガス導入口13(13a、13b、13c、13d、13e)及び好ましくは頂部含酸素ガス導入口11から供給される含酸素ガスfによって部分燃焼して一酸化炭素ガスや水素ガスが生成する。可燃性気体eの燃焼熱により燃焼室3内の温度は1300〜1500℃に維持される。含酸素ガスfに水蒸気が含まれている場合は、水蒸気と可燃性炭素質粒子との水性ガス化反応によっても一酸化炭素ガスと水素ガスが生成する。
これまでにおいて、流動層ガス化炉30及び高温酸化炉1へ供給する酸素ガスのトータル量は、部分燃焼させる場合は可燃性廃棄物aを完全燃焼させるのに必要な理論量の10〜60%である。
【0017】
可燃性気体eに含まれている不燃性物質を含む粒子は燃焼室3にて溶融スラグとなる。生成ガスh(一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガスを主体とするガス)及び溶融スラグは冷却室19で急冷され、生成ガスhは生成ガス取り出し口27から、スラグ粒g(粗粒スラグ)はスラグ排出口29から取り出される。
【0018】
高温酸化炉1の生成ガス取り出し口27から取り出された該生成ガスhに含まれている一酸化炭素ガス及び水素ガスは、各種の化学工業原料として利用することができる。例えば該生成ガスhをCO転化反応により水素ガスを得て、これをアンモニア合成用の水素源として用いることも可能である。
【0019】
一方、高温酸化炉1のスラグ排出口29から出されたスラグ粒gはセメントや土木建築用の資材として利用できる。
以上が二段ガス化処理装置の概略である。
【0020】
次に本発明の高温酸化炉への含酸素ガスを有する供給装置及び供給方法について詳しく説明する。
図1は、本発明の高温酸化炉を例示する断面図である。高温酸化炉1へ含酸素ガスfを吹き込むための含酸素ガス導入口13を軸方向について従来1段であったものを可燃性気体導入口水平位置を最上段として下方に向かう縦軸方向に複数段、例えば5段(13a、13b、13c、13d、13e)に分けて設置して含酸素ガスfを吹き込むようにする。このことにより部分燃焼に必要な含酸素ガスfを広範囲に分散して吹き込むことができ、燃焼域が広がり局所的な高温域が生じることを防止できる。
【0021】
更に、含酸素ガス導入口13は各段に複数個所設置し、含酸素ガス導入口の各段の設置個所は縦軸方向において同一個所とならないように分散して設置することが好ましく、更に最上段より2段目及び3段目に多く設置し、4段目以降は最上段より少なく設置することが好ましい。
例えば、含酸素ガス導入口13が従来4個所であったものを図2〜図6に示されるように10個所(13a1、13a2、13b1、13b2、13b3、13c1、13c2、13c3、13d、13e)に増し、含酸素ガス導入口の各段の設置個所は、最上段13a2は時計の12時の位置を0°として時計回りに110°の位置、二段目13b1は200°、13b2は45°、三段目13c1は155°、13c2は315°、四段目13dは20°のようにすべて異なる角度とすることにより、含酸素ガスfを広範囲に吹き込むことができ、燃焼域が広がって局所的な高温域が生じることを防止できる。ただし、含酸素ガス導入口13の一部(13a1、13b3、13c3、13e)は予備とし、含酸素ガスfの分散をさらに促進したい場合や局部的な温度上昇を防止したい場合などのケースで使用することが好ましい。
また、各個所からの含酸素ガスfの供給割合を上段部(好ましくは最上段及び2段目)において高く、下段部(好ましくは3段目以降)において低くすることが好ましい。
例えば、上記の10個所の含酸素ガス導入口13からの含酸素ガスfの供給割合としては、13a2から15〜25%、13b1から15〜25%、13b2から15〜25%、13c1から10〜20%、13c2から10〜20%、13dから5〜10%供給することが好ましい。更に燃焼室3の頂部から中心軸方向に向けて設置された頂部含酸素ガス導入口11からも供給することが好ましい。また、各含酸素ガス導入口から供給される含酸素ガスの酸素濃度は30〜60容量%に調節することが好ましい。
この効果として、含酸素ガスfを広範囲に吹き込むことができ、燃焼域が広がって局所的な高温域が生じることを防止でき、高温酸化炉上部内層キャスタブル7の減肉を低減できる。
【0022】
含酸素ガスfは、吹込み方向が、最上段において可燃性気体の旋回流れの仮想円の接線方向となるように、残りの二段目以降は燃焼室3の中心方向(接線に対して90°)となるように吹込むことが好ましい。例えば図2に示すように1段目が燃焼室3の径に対し1/6〜3/4の径を有する仮想円となる接線方向に吹込み、図3に示す2段目、図4に示す3段目、図5に示す4段目、図6に示す5段目については中心方向(接線に対して90°)に吹込むことが好ましい。また、図3、図4に示すように同じ段においては吹込み方向が対向より少しずれるようにするのが好ましい。このように含酸素ガスfを吹込むことで、高温酸化炉1内の旋回流は外周方向へ広がることが抑えられ高温域が中心付近に集まるようになり、高温酸化炉上部内層キャスタブル7への熱影響を極力抑える効果がある。更に粉粒状固形物を含む可燃性気体eの高温酸化炉1内での滞留時間を延長でき、未反応カーボンの割合を増やすことなく局所的な高温域による高温酸化炉上部内層キャスタブル7の減肉を低減できる。
【0023】
更に、複数段ある含酸素ガス導入口13の最上段及び2段目に下向き傾斜角をつけることが好ましい。例えば、5段の含酸素ガス導入口13(13a、13b、13c、13d、13e)のうち上1段目(13a1、13a2)では下向き傾斜角10°、2段目(13b1、13b2、13b3)では下向き傾斜角5°、3段目(13c1、13c2、13c3)、4段目(13d)、5段目(13e)では水平にて含酸素ガスfが吹き込まれる。このように上1段目(13a1、13a2)及び2段目(13b1、13b2、13b3)の含酸素ガス導入口13に下向き傾斜角を設けることで、可燃性気体導入口5から供給される粉粒状固形物を含む可燃性気体eが上方へ広がることを抑える効果がある。これにより高温酸化炉1頂部の温度上昇を抑えることができる。そして、水平方向に対して下向き傾斜を持って含酸素ガスfを吹き込むことにより、高温酸化炉1内の燃焼域を広くとることができるので均一な燃焼域を確保することができる。
【0024】
また、図7に示すように含酸素ガス導入口13(13a、13b、13c、13d、13e)先端部を絞ることが好ましい。それにより含酸素ガスfの噴出流速を上昇させ、そして含酸素ガス導入口13(13a、13b、13c、13d、13e)先端部の溶損及びその近傍の耐火物(高温酸化炉上部内層キャスタブル7)の減肉を防ぐ効果がある。
即ち、従来流動層ガス化炉30から供給される可燃性気体eの流速5〜6m/sに対して含酸素ガス導入口13(13a、13b、13c、13d、13e)先端から噴出する含酸素ガスfの流速は15m/s程度であったが、該先端部を絞ってこの含酸素ガスfの流速を30〜50m/s(可燃性気体eの流速に対して6〜8倍)とすることで含酸素ガス導入口13(13a、13b、13c、13d、13e)先端から火炎までの距離を確保し、先端の溶損を防ぐことができる。
また、含酸素ガスfの噴出エネルギーはガス化圧力により影響されることになるから、例えばガス化圧力が高くなると含酸素ガスfの密度は大きくなり、この密度(ρ)にガス流速(u)を乗じたガスの持つ運動エネルギー(ρu)は、ガス流速が一定であっても密度が大きくなる分増大する。従って、ガス流速の観点のみならずガスの持つ運動エネルギーの観点から、従来流動層ガス化炉30からの可燃性気体eの持つ運動エネルギーに対して10〜30倍の含酸素ガスfのエネルギーであったものを100〜300倍まで増加させることで、可燃性気体eが含酸素ガス導入口13(13a、13b、13c、13d、13e)の近傍で急速に部分燃焼して高温度にさらされたり、あるいは、バックファイヤーによる局部的な温度上昇にともなう含酸素ガス導入口13(13a、13b、13c、13d、13e)先端の溶損を防ぐことができる。
また、このように含酸素ガスfの流速を上昇させることは、流動層ガス化炉30から可燃性気体eが供給された後、高温酸化炉1の上方へ巻き上がる可燃性気体eを抑え込み、かつ円周方向へのガスの広がりを抑えてガスの速度ベクトルを中心方向に曲げることになって、高温領域が高温酸化炉1の上部と円周方向(炉内耐火物近傍)に広がることを抑制する働きがある。
【0025】
更に、含酸素ガス導入口13(13a、13b、13c、13d、13e)の先端位置を図7に示すように燃焼室3の内壁面より内側になるように配置することが好ましく、それにより先端部が直接高温領域にさらされるのを防いで先端部の溶損を防ぐことができる。前記において、壁面から含酸素ガス導入口13先端位置までの距離は50mm程度が好ましい。
【0026】
含酸素ガス導入口13(13a、13b、13c、13d、13e)の材質は、耐熱性及び廃プラスチック中の塩素分に起因する塩化水素ガスによる耐腐食性の高い材質が要求されるため、インコネル625、SUS310S、ハステロイC22等とすることが好ましい。
また、耐火物の素材については、特に減肉の大きい高温酸化炉上部内層キャスタブル7は10〜80重量%Cr−Al系のキャスタブルとし、それ以外の高温酸化炉下部内層キャスタブル9は10〜30重量%Cr−Al系のキャスタブルとすることが好ましい。
【0027】
【発明の効果】
本発明の高温酸化炉への含酸素ガス供給装置及び供給方法の実施により、高温酸化炉内の温度分布を均一化させ、局所的な高温域の発生を抑えることができるので、内壁面に施工してある耐火物の損耗を低減することができる。これにより高温酸化炉の長期安定運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高温酸化炉の一例の断面図である。
【図2】本発明の高温酸化炉の1段目の含酸素ガス導入口の一例を示す図である。
【図3】本発明の高温酸化炉の2段目の含酸素ガス導入口の一例を示す図である。
【図4】本発明の高温酸化炉の3段目の含酸素ガス導入口の一例を示す図である。
【図5】本発明の高温酸化炉の4段目の含酸素ガス導入口の一例を示す図である。
【図6】本発明の高温酸化炉の5段目の含酸素ガス導入口の一例を示す図である。
【図7】本発明の高温酸化炉の含酸素ガス導入口先端部の一例を示す図である。
【図8】本発明の高温酸化炉を用いた可燃性廃棄物の二段ガス化処理装置の一例の構成図である。
【図9】従来の高温酸化炉の一例の断面図である。
【図10】図9におけるAの断面を示す図である。
【符号の説明】
1:高温酸化炉
3:燃焼室
5:可燃性気体導入口
7:高温酸化炉上部内層キャスタブル
9:高温酸化炉下部内層キャスタブル
10:スロート部
11:頂部含酸素ガス導入口
13:含酸素ガス導入口
13a1、13a2:1段目の含酸素ガス導入口
13b1、13b2、13b3:2段目の含酸素ガス導入口
13c1、13c2、13c3:3段目の含酸素ガス導入口
13d:4段目の含酸素ガス導入口
13e:5段目の含酸素ガス導入口
15:鉄皮
17:冷却ジャケット
19:冷却室
21:円筒状下降管
23:円筒状上昇管
25:水槽部
26:スラグ分離室
27:生成ガス取り出し口
29:スラグ排出口
30:流動層ガス化炉
32:流動層
34:ロックホッパ
36:スクリーン
a:可燃性廃棄物
b:流動化ガス
c:流動媒体
d:不燃物
e:可燃性気体
f:含酸素ガス
g:スラグ
h:生成ガス

Claims (14)

  1. 可燃性炭素質粒子を含む可燃性気体の導入口を備え、該可燃性気体を旋回させながら高温で部分燃焼させてガス化する燃焼室を有する高温酸化炉への含酸素ガス供給装置において、該燃焼室の側壁から該燃焼室内に含酸素ガスを吹込む含酸素ガス導入口を、可燃性気体導入口水平位置を最上段として下方に向かう縦軸方向に複数段設置し、かつ、含酸素ガス導入口の最上段を吹込み方向が可燃性気体の旋回流れの仮想円の接線方向となるように設置し、残りの二段目以降の含酸素ガス導入口を吹込み方向が燃焼室の中心方向となるように設置したことを特徴とする高温酸化炉への含酸素ガス供給装置。
  2. 含酸素ガス導入口の最上段及び二段目を下向き傾斜角5〜10°に設置した、請求項1に記載の高温酸化炉への含酸素ガス供給装置。
  3. 含酸素ガス導入口は各段に複数個所設置し、含酸素ガス導入口の各段の設置個所は縦軸方向において同一個所とならないように分散して設置した、請求項1又は2記載の高温酸化炉への含酸素ガス供給装置。
  4. 燃焼室の塔頂部に頂部含酸素ガス導入口を設置した、請求項1、2又は3記載の高温酸化炉への含酸素ガス供給装置。
  5. 燃焼室の塔頂部から該燃焼室内の中心軸方向に含酸素ガスを吹込むように頂部含酸素ガス導入口を設置した、請求項4記載の高温酸化炉への含酸素ガス供給装置。
  6. 可燃性炭素質粒子を含む可燃性気体の導入口を備え、該可燃性気体を旋回させながら高温で部分燃焼させてガス化する燃焼室を有する高温酸化炉への含酸素ガス供給方法であって、該燃焼室の側壁から該燃焼室内に含酸素ガスを吹込む含酸素ガス導入口を、可燃性気体導入口水平位置を最上段として下方に向かう縦軸方向に複数段設置し、かつ、含酸素ガス導入口の最上段を吹込み方向が可燃性気体の旋回流れの仮想円の接線方向となるように設置し、残りの二段目以降の含酸素ガス導入口を吹込み方向が燃焼室の中心方向となるように設置して高温酸化炉へ含酸素ガスを供給することを特徴とする高温酸化炉への含酸素ガス供給方法。
  7. 燃焼室内に吹込む含酸素ガスの酸素濃度を30〜60容量%に調節して含酸素ガスを供給する、請求項6記載の高温酸化炉への含酸素ガス供給方法。
  8. 可燃性炭素質粒子を含む可燃性気体の導入口を備え、該可燃性気体を旋回させながら高温で部分燃焼させてガス化する燃焼室を有する高温酸化炉において、該燃焼室の側壁から該燃焼室内に含酸素ガスを吹込む含酸素ガス導入口を、可燃性気体導入口水平位置を最上段として下方に向かう縦軸方向に複数段設置し、かつ、含酸素ガス導入口の最上段を吹込み方向が可燃性気体の旋回流れの仮想円の接線方向となるように設置し、残りの二段目以降の含酸素ガス導入口を吹込み方向が燃焼室の中心方向になるように設置したことを特徴とする高温酸化炉。
  9. 含酸素ガス導入口の最上段及び二段目を下向き傾斜角5〜10°に設置した、請求項8記載の高温酸化炉。
  10. 含酸素ガス導入口は各段に複数個所設置し、含酸素ガス導入口の各段の設置個所は縦軸方向において同一個所とならないように分散して設置した、請求項8又は9記載の高温酸化炉。
  11. 燃焼室の塔頂部に頂部含酸素ガス導入口を設置した、請求項8、9又は10記載の高温酸化炉。
  12. 燃焼室の塔頂部から該燃焼室内の中心軸方向に含酸素ガスを吹込むように頂部含酸素ガス導入口を設置した、請求項11記載の高温酸化炉。
  13. 可燃性炭素質粒子を含む可燃性気体の導入口を備え、該可燃性気体を旋回させながら高温で部分燃焼させてガス化する燃焼室を有する高温酸化炉における可燃性気体のガス化処理方法であって、該燃焼室の側壁から該燃焼室内に含酸素ガスを吹込む含酸素ガス導入口を、可燃性気体導入口水平位置を最上段として下方に向かう縦軸方向に複数段設置し、かつ、含酸素ガス導入口の最上段を吹込み方向が可燃性気体の旋回流れの仮想円の接線方向となるように設置し、残りの二段目以降の含酸素ガス導入口を吹込み方向が燃焼室の中心方向になるように設置して含酸素ガスを供給することを特徴とする高温酸化炉における可燃性気体のガス化処理方法。
  14. 燃焼室内に吹込む含酸素ガスの酸素濃度を30〜60容量%に調節して含酸素ガスを供給する、請求項13記載の高温酸化炉における可燃性気体のガス化処理方法。
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