JP2004174967A - ラミネートフィルム及びラミネート印画物 - Google Patents
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Abstract
【課題】画像品質の向上効果を維持しつつ、高温化での保存性(ブロッキング防止)を付与することができる印画物のラミネート用部材、それを用いたラミネート処理及びラミネート処理された印画物を提供することにある。
【解決手段】前記透明フィルム層が、前記画像面上に接着した接着層と該接着層上に積層された表面保護層とを有し該接着層が、0℃〜45℃の範囲にあるガラス転位点をする熱可塑性樹脂とシリコーンポリオキシアルキレン共重合物の混合物であることを特徴とする印画物である。
【選択図】 図1
【解決手段】前記透明フィルム層が、前記画像面上に接着した接着層と該接着層上に積層された表面保護層とを有し該接着層が、0℃〜45℃の範囲にあるガラス転位点をする熱可塑性樹脂とシリコーンポリオキシアルキレン共重合物の混合物であることを特徴とする印画物である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被記録媒体に画像を形成して得た印画物の画像面を透明フィルム層で覆う(ラミネートする)ためのラミネート用部材、これを用いた印画物のラミネート処理方法及び透明フィルム層がラミネートされた画像面を有する印画物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット、オフセット、グラビア、電子写真など印画物は、その画像が形成されている面(画像面)にラミネート加工を施すことによって、耐光性、耐水性、耐摩擦性など画像堅牢性が向上し、更に、画像表面の光沢度や平滑度、画像の最大濃度が上がることで画像品位が向上することは広く知られている。
【0003】
特に、インクジェット記録装置については、微細な吐出口からインクが飛び出すという印字方式上の制約から、水に溶解した染料を水分の吸収性が高い被記録媒体に印字する方式を採用したものが広範に普及している。水溶性染料を含有する水性インクを用いてインクジェット記録方式により形成された印画物は、一般的に耐候性が乏しい場合が多く、この画像の高堅牢化のためには、ラミネート処理が有効である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
被記録媒体の画像面は、紙繊維間の空隙や、含有する無機粒子などにより凹凸があり、表面は平滑ではない。そのため、画像表面は光が散乱するため画像濃度が低下する。ラミネート処理は、画像表面を平滑にするため画像濃度の向上に効果があり、接着層が凹凸部により多く浸透すれば、さらに効果が高い。接着層の浸透性は、加熱状態での溶融粘度が低い方が良く、そのためには接着層のガラス転位点や平均分子量が低い方が好ましい。
【0005】
しかしながら、ガラス転位点や平均分子量が低下はラミネートフィルムをロール状に巻いて使用する場合、ブロッキングが生じるため、ラミネートフィルムの保存安定性に問題があった。
【0006】
ブロッキング防止のために、接着層塗工面の反対面にシリコーン、ポリオレフィン等の離型処理を施すことが有効であるが、製造コストが上昇する。
【0007】
従って、印画物のラミネート処理においては、画質品位と保存性、低コストを両立するための技術が求められていた。本発明の目的は、画像品質の向上効果を維持しつつ、十分な保存性を付与することができる印画物のラミネート用部材、それを用いたラミネート処理及びラミネート処理された印画物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるラミネート用部材は、耐熱性基材と、該耐熱性基材上に剥離可能に設けられた透明フィルム層とを有し、印画物の画像面に該透明フィルム層をラミネートするためのラミネート用部材において、前記透明フィルム層が、前記耐熱性基材上に設けられた前記画像面の表面保護層となる第1の層と、該第1の層上に設けられ、前記画像面への接着層となる第2の層と、を有し、かつ、該第2の層が、0℃〜45℃の範囲にあるガラス転移点を有し、かつ平均分子量が異なる少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を含有することを特徴とするラミネート用部材である。
【0009】
本発明にかかる印画物のラミネート処理方法は、印画物の画像面に透明フィルム層をラミネートする印画物のラミネート処理方法において、印画物に、上記構成のラミネート用部材を、該印画物の画像面と該ラミネート用部材の有する耐熱性基材に支持された透明フィルム層の接着面とを対向させて重ね合せることで積層部を形成し、該積層部を加熱下で加圧して該積層部内で画像面に透明フィルム層を接着する工程と、前記透明フィルム層が前記画像面に接着した部分から該透明フィルム層を支持している耐熱性基材を剥離して、該透明フィルム層の有する第1の層を表面保護層として露出させる工程と、を有することを特徴とするラミネート処理方法である。
【0010】
また、本発明にかかるラミネート処理された印画物は、画像面に透明フィルム層がラミネートされている印画物において、前記透明フィルム層が、前記画像面上に接着した接着層と該接着層上に積層された表面保護層とを有し、該接着層が、0℃〜45℃の範囲にあるガラス転移点をする熱可塑性樹脂とシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物の混合物であることを特徴とする印画物である。
【0011】
本発明にかかるラミネート用部材における表面保護層となる第1の層のガラス転移点は60℃以上であることが好ましい。また、接着層となる第2の層における熱可塑性樹脂とシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物との混合物を少なくとも用いることが好ましく、この場合のこれらの好ましい配合は、熱可塑性樹脂10質量部に対し、シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物が1〜10質量部とすることができる。
【0012】
また、シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物のアルキレンはエチレンとプロピレンのいずれか一つ、または両方からなると好適である。
【0013】
更に、表面保護層となる第1の層が紫外線吸収剤が架橋した樹脂を主成分とするものが好ましい。また、この紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。
【0014】
本発明にかかるラミネート用部材は、画像面が、非晶質シリカなどの多孔質無機粒子を含む部分に形成されている印画物へのラミネート処理に好適に適用できる。
【0015】
また、本発明にかかるラミネート用部材は、インクジェット記録方式によって被記録媒体にインクを付与して形成された画像を有する印画物のラミネート処理に特に好適に適用し得るものである。
【0016】
本発明においては、印画物の画像面上にラミネートする透明フィルム層を画像面の表面保護層となる層と画像面への接着層との少なくとも2層から形成し、接着層として特定の樹脂の組合せからなる特定の物性を有する層としたことによって、画像品質の向上効果を維持しつつ保存安定性を付与できる低コストのラミネート処理が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるラミネートフィルムの一例の断面図を図1に示す。このラミネートフィルムは、耐熱性基材1a上に、印画物の画像面に転写されたときにその表面保護層となる第1の層1b(以下、表面保護層という)と画像面への接着層となる第2の層1c(以下、接着層という)がこの順に積層された構成を有する。耐熱性基材としては、印画物の画像面に接着層を熱圧着する際に、加熱加圧状況下で形態を安定して維持でき、かつ印画物の画像面に透明フィルム層が形成された段階で剥離が容易なものであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)などの材料からなるフィルムやシート等を用いることができ、その厚さは、ラミネート処理に適した厚さとすれば良く、例えば15〜50μmの範囲から選択することができる。
【0018】
接着層には、印画物の画像面上に転写された時に透明な被膜を形成でき、かつ、耐熱性基材が安定した形態を維持する温度で加熱、加圧された状態によって、接着層を構成する材料が軟化して流動性を持ち、印画物の画像面の表面にある凹部に十分流入するものであることが必要とされる。凹部に接着層を十分満たすことで、ラミネート処理された印画物(以下「ラミネート印画物」という)の画像濃度は上昇する。また、ロール状のラミネートフィルムのブロッキングを防止するには、熱可塑性樹脂とシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物の2種類を少なくとも混合する必要がある。
【0019】
熱可塑性樹脂のガラス転移点については、0℃未満ではタック性が高くなるため、シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物を混合してもラミネートフィルムを巻物にした場合、ブロッキングが生じてしまう。また、45℃を超える場合では画像濃度が著しく低下する。尚、以降の実施例・比較例におけるガラス転移点は、T.G.Foxの方法(1956年発行のBull.Am.Phys.Socに記載)によって算出される値である。
【0020】
熱可塑性樹脂とシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物の組合せを用いた場合におけるこれらの混合比率は、熱可塑性樹脂10質量部に対し、シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物を1〜10質量部とするのが好ましい。シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物を10質量部より大きい場合、耐熱性基材を剥離した後のラミネート印画物の耐熱性をが下がり、高温による光沢の低下が生じる。
【0021】
このような条件を満たすことのできる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系、塩化ビニル酢酸ビニル系、アクリル系の熱可塑性樹脂を挙げることができ、これらの少なくとも1種を用いることができる。接着層の膜厚は例えば、5〜30μmから選択できる。
【0022】
印画物の表面保護層となる層1b(以下、表面保護層という)は、印画物の画像面にラミネートされた透明フィルム層の最上層(表面保護層)を形成するもので、印画物への耐熱性の付与や折曲性(柔軟性)、種々の環境下での印画物のラミネート処理された画像面におけるブロッキングの発生を防止するといった観点からは、そのガラス転移点が少なくとも60℃以上であることが望しく、また、透明性が高いラミネート層を画像面に上に転写されたときに形成できる材料からなることが画像品位を向上するためには更に好ましい。
【0023】
また、表面保護層を、紫外線吸収剤が熱可塑性樹脂に化学結合されている紫外線吸収ポリマーを主成分として形成することにより、紫外線遮蔽能の経時劣化が少ない高耐光性の印画物となる。この目的に好適に利用できる紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、などのベンゾトリアゾール系化合物が利用できる。なお、紫外線吸収機能を有する化合物が化学結合している熱可塑性樹脂としては、公知の方法によって合成して得たものや、市販品を利用することができる。市販品としては、後述の実施例で使用しているものを挙げることができる。
【0024】
一方、表面保護層の膜厚は例えば、3〜20μmから選択できる。
【0025】
接着層及び表面保護層は、層形成材料を必要に応じて適当な溶剤と混合して得た塗工液を各層毎に調製し、塗工液を耐熱性基材上に塗布して乾燥させる工程を表面保護層及び接着層の順に繰り返して形成することができる。塗工方法としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、スロットダイコーティング法、マイクログラビアコーティング法等を用いることができる。
【0026】
本発明のラミネート用部材によるラミネート処理は、種々の印画物に適用可能であるが、インクジェット記録法によって形成された印画物にも好適に適用することができる。図2にインクジェット記録法に用いられる被記録媒体の一例の断面図を示す。
【0027】
インク受容層を支持する基材2aはラミネート時の加熱加圧状況下で形態を安定して維持できるものであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、パルプ基材としては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックフィルム、上質紙、コート紙、ラミネート紙等の紙材からなるシート等を挙げることができる。
【0028】
インク受容層2bには、多孔質無機粒子と必要に応じて結着材を混合した構成を用い、多孔質無機粒子としてはシリカ、アルミナ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、シリカアルミナ混晶、シリカマグネシウム混晶等を用いることができるが、経済性の面からはシリカが望ましい。なお、シリカとしては、平均凝集粒子径3〜7μmがインク吸収速度を向上するのに適し、例えば、ファインシールX−60(商品名、株式会社トクヤマ)やミズカシルP−50(商品名、水沢化学工業株式会社)を好適なものとして挙げることができる。結着材としては、例えば、ポリビニルアルコール、ウレタン、アクリル等の水溶性高分子、またはエマルジョンなどが利用できる。
【0029】
結着材の含有割合は、インク受容層全体に対して20〜50%(固形分の質量基準)の範囲とすることが好ましい。また、多孔質無機粒子に対する結着材の割合は30〜60%の範囲から選択することが好ましい。
【0030】
更に、インク受容層には分散剤、蛍光染料、pH調整剤、潤滑剤、界面活性剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。インク受容層の膜厚は、例えば15〜50μmの範囲から選択できる。インク受容層の塗工方法としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、スロットダイコーティング法等を用いることができる。
【0031】
本発明にかかるラミネート用部材を用いたラミネート印画物の形成工程を行う装置の一例を図3に示す。図3の装置は、ロールに巻き取られた状態の被記録媒体1にインクジェット記録を行うインクジェット記録部3と、透明フィルム層の形成を行うラミネート処理部4とを有する。インクジェット記録部は、インクジェット記録ヘッド5を有し、図2の被記録媒体2のインク受容層2b側に画像情報に応じてインクを付与し、画像を形成する。画像形成後、カッター6により画像は適当な大きさに裁断される。次に耐熱性基材1aに積層された接着層1cは、裁断された被記録媒体2のインク受容層面と向き合う状態で、一対の加熱ローラー7の間を通り、必要に応じた加熱下で加圧される。この処理によって、接着層が、インク受容層に圧着される。その後、インク受容層に圧着されたラミネートフィルム1から巻き取り装置8で耐熱性基材1aのみを引っ張ることで剥離して、図4に示す断面図のように、画像を受像したラミネート印画物を得ることができる。
【0032】
【実施例】
(合成例)
・接着層樹脂エマルジョンの合成
ガラス製反応容器1に、攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備え付けた後、ノニオン系乳化剤としてアクアロンRN−30(商品名、第一工業製薬株式会社製)6g、アニオン系乳化剤アクアロンHS−30(第一工業製薬株式会社製)6g、メチルメタクリレート29.8g、エチルアクリレート96.7g、メタクリル酸7.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート14.9g、t−ドデシルメルカプタン2部、脱イオン水156gをいれ攪拌し総量316.8gの混合液を調整した。次に、この混合液36gを取り出し同様の別の反応容器2に移した後、窒素ガス導入下73℃で40分間乳化を行った。次いで重合開始剤としてペルオキソ硫酸アンモニウム17gを脱イオン水36gに溶解し、前期乳化液に添加した。その後速やかに前期混合物の残量を反応容器1より取り出し、100分間かけて反応容器内に徐々に滴下し、73℃で重合を行った。混合物残量を滴下した後、73℃で80分間攪拌を継続し、Tg11℃、重量平均分子量56,000(GPCにより測定)の接着層樹脂エマルジョン(固形分50%)を得た。
【0033】
(被記録媒体の製造例)
・表面保護層コーティングフィルムの作成
表面保護層塗工液として、ガラス転位点105℃のアクリルポリマー(商品名:ダイヤナールBR−82、三菱レイヨン(株)製)150g、紫外線吸収ポリマー(PUVA−30M、大塚化学(株)製)50gを、トルエン400g、メチルエチルケトン400gに加熱溶解した後、保護層塗工液を乾燥膜厚5μmとなるように、耐熱性基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:G2(膜厚25μm)、帝人デュポンフィルム(株)製)に、マイクログラビアコーティング法により塗工乾燥し、表面保護層塗工フィルムを得た。
・被記録媒体の作成
ポリビニルアルコールとしてPVA235(株式会社クラレ製)をイオン交換水に加熱溶解し、10質量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。このポリビニルアルコール水溶液を180質量部、シリカ(商品名:ファインシールX−60、株式会社トクヤマ製)を、27質量部、イオン交換水を93質量部で混合し、撹拌して受像層液を得た。
【0034】
基材として坪量186g/m2の上質紙に、乾燥後の膜厚が50μmとなるように、受像層液をスルットダイコーターで塗工し、乾燥させにスロットダイコーティング法により乾燥膜厚10μmとなるように塗工乾燥し、被記録媒体を得た。
・黒べた印字物の作成
被記録媒体の受像層側に、インクジェットプリンター(BJ F8500、キヤノン株式会社製)で、黒ベタ画像を形成し黒べた印字物を得た。
【0035】
(実施例1)
・ラミネートフィルム
前記接着層樹脂エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=100/0のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4440(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)5部を混合した接着層塗工液を、表面保護層コーティングフィルムの表面保護層上に、乾燥膜厚17g/m2となるようにマイクログラビアコーティング法により塗工乾燥し、ラミネートフィルム(F−1)を得た。
・ラミネート印画物
ラミネートフィルムと黒べた印字物を重ね合わせ、120℃加熱された直径80mmのスチールローラと直径50mmのゴムローラが、荷重120Nでニップされたローラー対に、ラミネートフィルムがスチールローラ側になるよう、送り速度15mm/secで加熱圧着した後、耐熱性基材を剥離しラミネート印画物を得た。
【0036】
(実施例2)
接着層エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=75/25のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4453(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)5部を混合した接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0037】
(実施例3)
接着層エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=50/50のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4452(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)5部を混合した接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0038】
(実施例4)
接着層エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=50/50のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4452(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)5部を混合した接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0039】
(実施例5)
接着層エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=50/50のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4452(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)1部を混合した接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0040】
(実施例6)
接着層エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=50/50のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4452(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)10部を混合した接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0041】
(実施例7)
接着層エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=0/100のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4460(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)5部を混合した接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0042】
(比較例1)
接着層エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=50/50のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4452(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)15部を混合した接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0043】
(比較例2)
接着層エマルジョンのみを接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0044】
(評価試験)
・画像濃度の測定
各実施例及び比較例において得られたラミネート印画物の黒べた部の光学濃度を、反射濃度計 Macbeth SERIES1200(マクベス社製)でブラック濃度を測定した。結果を表1に示す。
・耐ブロッキング性の測定
各実施例及び比較例にけるロール状のラミネートフィルムを温度60℃、湿度80%の恒温恒室槽に12時間放置した後、ラミネートフィルムを巻き出す。そこで、接着層反対面のポリエチレンテレフタレートフィルムに接着層並びに表面保護層が密着し、表面保護層とポリエチレンテレフタレートフィルムの界面が剥れるかを評価した。
・耐熱性の測定
各実施例及び比較例にけるラミネート直後の表面保護層の光沢度(G0)とラミネート印画物を60℃恒温槽に6時間放置した後の表面保護層の光沢度(G1)を測定した。光沢度はグロスメーターVG2000(日本電色工業株式会社製)にて、測定角度20度で使用した。光沢残存率(G1/G0)の値を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
E/P:エチレン基/プロピレン基
Mw:重量平均分子量
画像濃度(ブラック光学濃度):◎(2.20以上),○(2.19〜2.10以上),△(2.09〜2.00),×(1.99以下)
耐ブロッキング性:○(剥れなし),×(剥れあり)
耐熱性(光沢残存率):◎(0.80以上),○(0.79〜0.70),△(0.69〜0.60),×(0.59以下)
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、画像濃度が高く、ブロッキングを防止し、高温下においても表面光沢低下が低い高耐熱性のラミネート印画物を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適応しうる、ラミネートフィルムの構成の一例を説明するための断面図である。
【図2】本発明を適応しうる、被記録媒体の構成の一例を説明するための断面図である。
【図3】画像形成装置の一例の腰部を模式的に示す図である。
【図4】ラミネート印画物の断面図である。
【符号の説明】
1a 耐熱性基材
1b 表面保護層となる第1の層1b(表面保護層)
1c 接着層となる第2の層1c(接着層)
2a 基材
2b インク受容層
1、2 被記録媒体
3 インクジェット記録部
4 ラミネート処理部4
5 インクジェット記録ヘッド
6 カッター
7 一対の加熱ローラー
8 巻き取り装置8
【発明の属する技術分野】
本発明は、被記録媒体に画像を形成して得た印画物の画像面を透明フィルム層で覆う(ラミネートする)ためのラミネート用部材、これを用いた印画物のラミネート処理方法及び透明フィルム層がラミネートされた画像面を有する印画物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット、オフセット、グラビア、電子写真など印画物は、その画像が形成されている面(画像面)にラミネート加工を施すことによって、耐光性、耐水性、耐摩擦性など画像堅牢性が向上し、更に、画像表面の光沢度や平滑度、画像の最大濃度が上がることで画像品位が向上することは広く知られている。
【0003】
特に、インクジェット記録装置については、微細な吐出口からインクが飛び出すという印字方式上の制約から、水に溶解した染料を水分の吸収性が高い被記録媒体に印字する方式を採用したものが広範に普及している。水溶性染料を含有する水性インクを用いてインクジェット記録方式により形成された印画物は、一般的に耐候性が乏しい場合が多く、この画像の高堅牢化のためには、ラミネート処理が有効である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
被記録媒体の画像面は、紙繊維間の空隙や、含有する無機粒子などにより凹凸があり、表面は平滑ではない。そのため、画像表面は光が散乱するため画像濃度が低下する。ラミネート処理は、画像表面を平滑にするため画像濃度の向上に効果があり、接着層が凹凸部により多く浸透すれば、さらに効果が高い。接着層の浸透性は、加熱状態での溶融粘度が低い方が良く、そのためには接着層のガラス転位点や平均分子量が低い方が好ましい。
【0005】
しかしながら、ガラス転位点や平均分子量が低下はラミネートフィルムをロール状に巻いて使用する場合、ブロッキングが生じるため、ラミネートフィルムの保存安定性に問題があった。
【0006】
ブロッキング防止のために、接着層塗工面の反対面にシリコーン、ポリオレフィン等の離型処理を施すことが有効であるが、製造コストが上昇する。
【0007】
従って、印画物のラミネート処理においては、画質品位と保存性、低コストを両立するための技術が求められていた。本発明の目的は、画像品質の向上効果を維持しつつ、十分な保存性を付与することができる印画物のラミネート用部材、それを用いたラミネート処理及びラミネート処理された印画物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるラミネート用部材は、耐熱性基材と、該耐熱性基材上に剥離可能に設けられた透明フィルム層とを有し、印画物の画像面に該透明フィルム層をラミネートするためのラミネート用部材において、前記透明フィルム層が、前記耐熱性基材上に設けられた前記画像面の表面保護層となる第1の層と、該第1の層上に設けられ、前記画像面への接着層となる第2の層と、を有し、かつ、該第2の層が、0℃〜45℃の範囲にあるガラス転移点を有し、かつ平均分子量が異なる少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を含有することを特徴とするラミネート用部材である。
【0009】
本発明にかかる印画物のラミネート処理方法は、印画物の画像面に透明フィルム層をラミネートする印画物のラミネート処理方法において、印画物に、上記構成のラミネート用部材を、該印画物の画像面と該ラミネート用部材の有する耐熱性基材に支持された透明フィルム層の接着面とを対向させて重ね合せることで積層部を形成し、該積層部を加熱下で加圧して該積層部内で画像面に透明フィルム層を接着する工程と、前記透明フィルム層が前記画像面に接着した部分から該透明フィルム層を支持している耐熱性基材を剥離して、該透明フィルム層の有する第1の層を表面保護層として露出させる工程と、を有することを特徴とするラミネート処理方法である。
【0010】
また、本発明にかかるラミネート処理された印画物は、画像面に透明フィルム層がラミネートされている印画物において、前記透明フィルム層が、前記画像面上に接着した接着層と該接着層上に積層された表面保護層とを有し、該接着層が、0℃〜45℃の範囲にあるガラス転移点をする熱可塑性樹脂とシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物の混合物であることを特徴とする印画物である。
【0011】
本発明にかかるラミネート用部材における表面保護層となる第1の層のガラス転移点は60℃以上であることが好ましい。また、接着層となる第2の層における熱可塑性樹脂とシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物との混合物を少なくとも用いることが好ましく、この場合のこれらの好ましい配合は、熱可塑性樹脂10質量部に対し、シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物が1〜10質量部とすることができる。
【0012】
また、シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物のアルキレンはエチレンとプロピレンのいずれか一つ、または両方からなると好適である。
【0013】
更に、表面保護層となる第1の層が紫外線吸収剤が架橋した樹脂を主成分とするものが好ましい。また、この紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。
【0014】
本発明にかかるラミネート用部材は、画像面が、非晶質シリカなどの多孔質無機粒子を含む部分に形成されている印画物へのラミネート処理に好適に適用できる。
【0015】
また、本発明にかかるラミネート用部材は、インクジェット記録方式によって被記録媒体にインクを付与して形成された画像を有する印画物のラミネート処理に特に好適に適用し得るものである。
【0016】
本発明においては、印画物の画像面上にラミネートする透明フィルム層を画像面の表面保護層となる層と画像面への接着層との少なくとも2層から形成し、接着層として特定の樹脂の組合せからなる特定の物性を有する層としたことによって、画像品質の向上効果を維持しつつ保存安定性を付与できる低コストのラミネート処理が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるラミネートフィルムの一例の断面図を図1に示す。このラミネートフィルムは、耐熱性基材1a上に、印画物の画像面に転写されたときにその表面保護層となる第1の層1b(以下、表面保護層という)と画像面への接着層となる第2の層1c(以下、接着層という)がこの順に積層された構成を有する。耐熱性基材としては、印画物の画像面に接着層を熱圧着する際に、加熱加圧状況下で形態を安定して維持でき、かつ印画物の画像面に透明フィルム層が形成された段階で剥離が容易なものであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)などの材料からなるフィルムやシート等を用いることができ、その厚さは、ラミネート処理に適した厚さとすれば良く、例えば15〜50μmの範囲から選択することができる。
【0018】
接着層には、印画物の画像面上に転写された時に透明な被膜を形成でき、かつ、耐熱性基材が安定した形態を維持する温度で加熱、加圧された状態によって、接着層を構成する材料が軟化して流動性を持ち、印画物の画像面の表面にある凹部に十分流入するものであることが必要とされる。凹部に接着層を十分満たすことで、ラミネート処理された印画物(以下「ラミネート印画物」という)の画像濃度は上昇する。また、ロール状のラミネートフィルムのブロッキングを防止するには、熱可塑性樹脂とシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物の2種類を少なくとも混合する必要がある。
【0019】
熱可塑性樹脂のガラス転移点については、0℃未満ではタック性が高くなるため、シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物を混合してもラミネートフィルムを巻物にした場合、ブロッキングが生じてしまう。また、45℃を超える場合では画像濃度が著しく低下する。尚、以降の実施例・比較例におけるガラス転移点は、T.G.Foxの方法(1956年発行のBull.Am.Phys.Socに記載)によって算出される値である。
【0020】
熱可塑性樹脂とシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物の組合せを用いた場合におけるこれらの混合比率は、熱可塑性樹脂10質量部に対し、シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物を1〜10質量部とするのが好ましい。シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物を10質量部より大きい場合、耐熱性基材を剥離した後のラミネート印画物の耐熱性をが下がり、高温による光沢の低下が生じる。
【0021】
このような条件を満たすことのできる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系、塩化ビニル酢酸ビニル系、アクリル系の熱可塑性樹脂を挙げることができ、これらの少なくとも1種を用いることができる。接着層の膜厚は例えば、5〜30μmから選択できる。
【0022】
印画物の表面保護層となる層1b(以下、表面保護層という)は、印画物の画像面にラミネートされた透明フィルム層の最上層(表面保護層)を形成するもので、印画物への耐熱性の付与や折曲性(柔軟性)、種々の環境下での印画物のラミネート処理された画像面におけるブロッキングの発生を防止するといった観点からは、そのガラス転移点が少なくとも60℃以上であることが望しく、また、透明性が高いラミネート層を画像面に上に転写されたときに形成できる材料からなることが画像品位を向上するためには更に好ましい。
【0023】
また、表面保護層を、紫外線吸収剤が熱可塑性樹脂に化学結合されている紫外線吸収ポリマーを主成分として形成することにより、紫外線遮蔽能の経時劣化が少ない高耐光性の印画物となる。この目的に好適に利用できる紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、などのベンゾトリアゾール系化合物が利用できる。なお、紫外線吸収機能を有する化合物が化学結合している熱可塑性樹脂としては、公知の方法によって合成して得たものや、市販品を利用することができる。市販品としては、後述の実施例で使用しているものを挙げることができる。
【0024】
一方、表面保護層の膜厚は例えば、3〜20μmから選択できる。
【0025】
接着層及び表面保護層は、層形成材料を必要に応じて適当な溶剤と混合して得た塗工液を各層毎に調製し、塗工液を耐熱性基材上に塗布して乾燥させる工程を表面保護層及び接着層の順に繰り返して形成することができる。塗工方法としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、スロットダイコーティング法、マイクログラビアコーティング法等を用いることができる。
【0026】
本発明のラミネート用部材によるラミネート処理は、種々の印画物に適用可能であるが、インクジェット記録法によって形成された印画物にも好適に適用することができる。図2にインクジェット記録法に用いられる被記録媒体の一例の断面図を示す。
【0027】
インク受容層を支持する基材2aはラミネート時の加熱加圧状況下で形態を安定して維持できるものであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、パルプ基材としては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックフィルム、上質紙、コート紙、ラミネート紙等の紙材からなるシート等を挙げることができる。
【0028】
インク受容層2bには、多孔質無機粒子と必要に応じて結着材を混合した構成を用い、多孔質無機粒子としてはシリカ、アルミナ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、シリカアルミナ混晶、シリカマグネシウム混晶等を用いることができるが、経済性の面からはシリカが望ましい。なお、シリカとしては、平均凝集粒子径3〜7μmがインク吸収速度を向上するのに適し、例えば、ファインシールX−60(商品名、株式会社トクヤマ)やミズカシルP−50(商品名、水沢化学工業株式会社)を好適なものとして挙げることができる。結着材としては、例えば、ポリビニルアルコール、ウレタン、アクリル等の水溶性高分子、またはエマルジョンなどが利用できる。
【0029】
結着材の含有割合は、インク受容層全体に対して20〜50%(固形分の質量基準)の範囲とすることが好ましい。また、多孔質無機粒子に対する結着材の割合は30〜60%の範囲から選択することが好ましい。
【0030】
更に、インク受容層には分散剤、蛍光染料、pH調整剤、潤滑剤、界面活性剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。インク受容層の膜厚は、例えば15〜50μmの範囲から選択できる。インク受容層の塗工方法としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、スロットダイコーティング法等を用いることができる。
【0031】
本発明にかかるラミネート用部材を用いたラミネート印画物の形成工程を行う装置の一例を図3に示す。図3の装置は、ロールに巻き取られた状態の被記録媒体1にインクジェット記録を行うインクジェット記録部3と、透明フィルム層の形成を行うラミネート処理部4とを有する。インクジェット記録部は、インクジェット記録ヘッド5を有し、図2の被記録媒体2のインク受容層2b側に画像情報に応じてインクを付与し、画像を形成する。画像形成後、カッター6により画像は適当な大きさに裁断される。次に耐熱性基材1aに積層された接着層1cは、裁断された被記録媒体2のインク受容層面と向き合う状態で、一対の加熱ローラー7の間を通り、必要に応じた加熱下で加圧される。この処理によって、接着層が、インク受容層に圧着される。その後、インク受容層に圧着されたラミネートフィルム1から巻き取り装置8で耐熱性基材1aのみを引っ張ることで剥離して、図4に示す断面図のように、画像を受像したラミネート印画物を得ることができる。
【0032】
【実施例】
(合成例)
・接着層樹脂エマルジョンの合成
ガラス製反応容器1に、攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備え付けた後、ノニオン系乳化剤としてアクアロンRN−30(商品名、第一工業製薬株式会社製)6g、アニオン系乳化剤アクアロンHS−30(第一工業製薬株式会社製)6g、メチルメタクリレート29.8g、エチルアクリレート96.7g、メタクリル酸7.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート14.9g、t−ドデシルメルカプタン2部、脱イオン水156gをいれ攪拌し総量316.8gの混合液を調整した。次に、この混合液36gを取り出し同様の別の反応容器2に移した後、窒素ガス導入下73℃で40分間乳化を行った。次いで重合開始剤としてペルオキソ硫酸アンモニウム17gを脱イオン水36gに溶解し、前期乳化液に添加した。その後速やかに前期混合物の残量を反応容器1より取り出し、100分間かけて反応容器内に徐々に滴下し、73℃で重合を行った。混合物残量を滴下した後、73℃で80分間攪拌を継続し、Tg11℃、重量平均分子量56,000(GPCにより測定)の接着層樹脂エマルジョン(固形分50%)を得た。
【0033】
(被記録媒体の製造例)
・表面保護層コーティングフィルムの作成
表面保護層塗工液として、ガラス転位点105℃のアクリルポリマー(商品名:ダイヤナールBR−82、三菱レイヨン(株)製)150g、紫外線吸収ポリマー(PUVA−30M、大塚化学(株)製)50gを、トルエン400g、メチルエチルケトン400gに加熱溶解した後、保護層塗工液を乾燥膜厚5μmとなるように、耐熱性基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:G2(膜厚25μm)、帝人デュポンフィルム(株)製)に、マイクログラビアコーティング法により塗工乾燥し、表面保護層塗工フィルムを得た。
・被記録媒体の作成
ポリビニルアルコールとしてPVA235(株式会社クラレ製)をイオン交換水に加熱溶解し、10質量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。このポリビニルアルコール水溶液を180質量部、シリカ(商品名:ファインシールX−60、株式会社トクヤマ製)を、27質量部、イオン交換水を93質量部で混合し、撹拌して受像層液を得た。
【0034】
基材として坪量186g/m2の上質紙に、乾燥後の膜厚が50μmとなるように、受像層液をスルットダイコーターで塗工し、乾燥させにスロットダイコーティング法により乾燥膜厚10μmとなるように塗工乾燥し、被記録媒体を得た。
・黒べた印字物の作成
被記録媒体の受像層側に、インクジェットプリンター(BJ F8500、キヤノン株式会社製)で、黒ベタ画像を形成し黒べた印字物を得た。
【0035】
(実施例1)
・ラミネートフィルム
前記接着層樹脂エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=100/0のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4440(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)5部を混合した接着層塗工液を、表面保護層コーティングフィルムの表面保護層上に、乾燥膜厚17g/m2となるようにマイクログラビアコーティング法により塗工乾燥し、ラミネートフィルム(F−1)を得た。
・ラミネート印画物
ラミネートフィルムと黒べた印字物を重ね合わせ、120℃加熱された直径80mmのスチールローラと直径50mmのゴムローラが、荷重120Nでニップされたローラー対に、ラミネートフィルムがスチールローラ側になるよう、送り速度15mm/secで加熱圧着した後、耐熱性基材を剥離しラミネート印画物を得た。
【0036】
(実施例2)
接着層エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=75/25のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4453(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)5部を混合した接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0037】
(実施例3)
接着層エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=50/50のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4452(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)5部を混合した接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0038】
(実施例4)
接着層エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=50/50のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4452(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)5部を混合した接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0039】
(実施例5)
接着層エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=50/50のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4452(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)1部を混合した接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0040】
(実施例6)
接着層エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=50/50のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4452(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)10部を混合した接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0041】
(実施例7)
接着層エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=0/100のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4460(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)5部を混合した接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0042】
(比較例1)
接着層エマルジョン200部(固形分として100部)、アルキレンがエチレン基/プロピレン基=50/50のシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物(商品名:TSF−4452(固形分100%)、GE東芝シリコーン(株)製)15部を混合した接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0043】
(比較例2)
接着層エマルジョンのみを接着層塗工液とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0044】
(評価試験)
・画像濃度の測定
各実施例及び比較例において得られたラミネート印画物の黒べた部の光学濃度を、反射濃度計 Macbeth SERIES1200(マクベス社製)でブラック濃度を測定した。結果を表1に示す。
・耐ブロッキング性の測定
各実施例及び比較例にけるロール状のラミネートフィルムを温度60℃、湿度80%の恒温恒室槽に12時間放置した後、ラミネートフィルムを巻き出す。そこで、接着層反対面のポリエチレンテレフタレートフィルムに接着層並びに表面保護層が密着し、表面保護層とポリエチレンテレフタレートフィルムの界面が剥れるかを評価した。
・耐熱性の測定
各実施例及び比較例にけるラミネート直後の表面保護層の光沢度(G0)とラミネート印画物を60℃恒温槽に6時間放置した後の表面保護層の光沢度(G1)を測定した。光沢度はグロスメーターVG2000(日本電色工業株式会社製)にて、測定角度20度で使用した。光沢残存率(G1/G0)の値を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
E/P:エチレン基/プロピレン基
Mw:重量平均分子量
画像濃度(ブラック光学濃度):◎(2.20以上),○(2.19〜2.10以上),△(2.09〜2.00),×(1.99以下)
耐ブロッキング性:○(剥れなし),×(剥れあり)
耐熱性(光沢残存率):◎(0.80以上),○(0.79〜0.70),△(0.69〜0.60),×(0.59以下)
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、画像濃度が高く、ブロッキングを防止し、高温下においても表面光沢低下が低い高耐熱性のラミネート印画物を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適応しうる、ラミネートフィルムの構成の一例を説明するための断面図である。
【図2】本発明を適応しうる、被記録媒体の構成の一例を説明するための断面図である。
【図3】画像形成装置の一例の腰部を模式的に示す図である。
【図4】ラミネート印画物の断面図である。
【符号の説明】
1a 耐熱性基材
1b 表面保護層となる第1の層1b(表面保護層)
1c 接着層となる第2の層1c(接着層)
2a 基材
2b インク受容層
1、2 被記録媒体
3 インクジェット記録部
4 ラミネート処理部4
5 インクジェット記録ヘッド
6 カッター
7 一対の加熱ローラー
8 巻き取り装置8
Claims (19)
- 耐熱性基材と、該耐熱性基材上に剥離可能に設けられ、印画物の画像面上のラミネート層を形成するための透明フィルム層とを有するラミネート用部材において、
前記透明フィルム層が、前記耐熱性基材上に設けられた前記画像面の表面保護層となる第1の層と、該第1の層上に設けられ、前記画像面への接着層となる第2の層と、を有し、
かつ、該第2の層が、0℃〜45℃の範囲にあるガラス転移点を有する熱可塑性樹脂と、シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物
の少なくとも2つの混合物からなることを特徴とするラミネート用部材。 - 前記第1の層のガラス転移点が60℃以上である請求項1に記載のラミネート用部材。
- 前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、前記シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物1〜10質量部である請求項1または2に記載のラミネート用部材。
- 前記シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物のアルキレンがエチレンとプロピレンのいずれか一つ、または両方からなる請求項3に記載のラミネート用部材。
- 前記第1の層が紫外線吸収剤が架橋した樹脂を主成分とする請求項1〜4のいずれかに記載のラミネート用部材。
- 前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系化合物である請求項5のラミネート用部材。
- 前記印画物の画像面が、多孔質無機粒子を含む部分に形成されている請求項1〜6のいずれかに記載のラミネート用部材。
- 前記多孔質無機粒子として少なくとも非晶質シリカを含む請求項7に記載のラミネート用部材。
- 前記印画物が、インクジェット記録方式によって被記録媒体にインクを付与して形成された画像を有するものである請求項1〜8のいずれかに記載のラミネート用部材。
- 印画物の画像面に透明フィルム層をラミネートする印画物のラミネート処理方法において、
印画物に、請求項1〜9のいずれかに記載のラミネート用部材を、該印画物の画像面と該ラミネート用部材の有する耐熱性基材に支持された透明フィルム層の接着面とを対向させて重ね合せることで積層部を形成し、該積層部を加熱下で加圧して該積層部内で画像面に透明フィルム層を接着する工程と、
前記透明フィルム層が前記画像面に接着した部分から該透明フィルム層を支持している耐熱性基材を剥離して、該透明フィルム層の有する第1の層を表面保護層として露出させる工程
とを有することを特徴とするラミネート処理方法。 - 画像面に透明フィルム層がラミネートされている印画物において、前記透明フィルム層が、前記画像面上に接着した接着層と該接着層上に積層された表面保護層とを有し、
該接着層が、0℃〜45℃の範囲にあるガラス転移点を有する熱可塑性樹脂と、シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物の少なくとも2つの混合物からなることを特徴とする印画物。 - 前記表面保護層のガラス転移点が60℃以上である請求項11に記載の印画物。
- 前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、前記シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物2〜10質量部である請求項11または12に記載のいずれかに記載の印画物。
- 前記シリコーン−ポリオキシアルキレン共重合物のアルキレンがエチレンとプロピレンのいずれか一つ、または両方からなる請求項13に記載の印画物。
- 前記第1の層が紫外線吸収剤が架橋した樹脂を主成分とする請求項11〜14のいずれかに記載の印画物。
- 前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系化合物である請求項115の印画物。
- 前記印画物の画像面が、多孔質無機粒子を含む部分に形成されている請求項11〜16のいずれかに記載の印画物。
- 前記多孔質無機粒子として少なくとも非晶質シリカを含む請求項17に記載の印画物。
- 前記印画物が、インクジェット記録方式によって被記録媒体にインクを付与して形成された画像を有するものである請求項11〜18ずれかに記載の印画物。
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2002
- 2002-11-28 JP JP2002345030A patent/JP2004174967A/ja not_active Withdrawn
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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