JP2004174930A - 樹脂反射鏡及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度、低膨張、低コスト、良好な形状精度(高い反射率)を有する、1つ以上の反射面を有し、樹脂層と強化樹脂層とからなり、前記樹脂層を鏡面の反射面とする樹脂反射鏡およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】1つ以上の反射面を有し、樹脂層1と強化樹脂層2とからなり、前記樹脂層1を鏡面の反射面とする樹脂反射鏡Aであって、前記樹脂層1の厚さが、前記強化樹脂層2に含有される強化充填材3の最大直径および最大長さの1/2以上である関係を満たす樹脂反射鏡。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1つ以上の反射面を有し、少なくとも樹脂層と強化樹脂層とからなる樹脂反射鏡およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
樹脂反射鏡の従来技術として、繊維強化プラスチック製反射鏡およびその製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。又、パラボラアンテナ用反射板およびその製造方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。又、炭素繊維強化樹脂成形物とその製造方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。更に、複合成形品の製造方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平11−264906号公報
【特許文献2】特開2001−284959公報
【特許文献3】特開平10−138354公報
【特許文献4】特開平5−269785号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
樹脂反射鏡は従来、樹脂を成形、蒸着することによって反射面を形成した反射鏡、または樹脂を加熱プレス、蒸着することによって反射面を形成した反射鏡であり、従来の樹脂反射鏡には高強度、低膨張が確保できないという欠点がある。
高強度、低膨張化のため、強化樹脂を用いた反射鏡には、従来、繊維強化樹脂を成形した後、金属膜等から成る反射層を蒸着した反射鏡があるが、この従来例は、繊維強化樹脂の繊維の浮き出しが顕著で、繊維強化樹脂表面粗度が大きいため、表面研磨、アンダーコートなどの前処理を行っても均一で高い反射率を得ることは困難である。
このように、繊維強化樹脂の繊維の浮き出しにより反射面表面粗度が悪化するという問題点を解決するために、上記特開平11−264906号公報は、蒸着フィルムと(繊維強化樹脂の表面粗さを覆うための)金属板と繊維強化樹脂を接着により積層した反射鏡を開示しているが、接着剤、金属板が必要となるためコストが高くなり、基材とフィルムを所望の形状に加工する前工程が必要となるため高コスト化を招き、さらに、接着時、各部材の位置決めが困難で煩雑となり、高コスト化を招き、形状精度を出しにくく、実用性の点で十分な技術とは言えない。
【0004】
上述した特開2001−284959公報の繊維強化樹脂と蒸着フィルムを成形により積層したパラボラアンテナ用反射板、および特開平10−138354号公報の炭素繊維強化樹脂と樹脂フィルムを成形により積層した炭素繊維強化樹脂成形物は、繊維強化樹脂の繊維の浮き出しにより発生した繊維強化樹脂表面のうねりをフィルムが軽減することができるが、吸収することは出来ずに反射面(フィルム面)の表面粗度が悪化するという欠点を有している。
また、フィルムを厚くすることで表面粗度の悪化を抑制することができるが、フィルムを厚くすると、繊維強化樹脂との膨張率差があるため、フィルムが繊維強化樹脂を引っ張ることによる積層成形品全体の反り変形が発生し、形状精度が悪化する。
さらに、フィルムを厚くすることで積層成形品の強化樹脂の占める割合が減り、十分な強度、耐熱性が確保できない。そのうえ、フィルムの成形加工性の悪化、反射鏡自体の厚さの増大といった問題もある。
上述した特開平5−269785号公報は繊維強化樹脂と熱可塑性樹脂を成形により積層した複合成形品を開示しており、熱可塑性樹脂層を厚くすることで、繊維強化樹脂表面のうねりを吸収することができ、熱可塑性樹脂層表面粗度は悪化しない。
しかし、熱可塑性樹脂層と繊維強化樹脂との膨張率の差があるため、熱可塑性樹脂層が繊維強化樹脂を引っ張ることによる積層成形品全体の反り変形が発生し、形状精度が悪化する。また、熱可塑性樹脂層が厚いため、積層成形品の強化樹脂の占める割合が減り、十分な強度、耐熱性が確保できない。さらに、複合成形品自体の厚さの増大といった問題もある。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決するために、高強度、低膨張、低コスト、良好な形状精度(高い反射率)を有する、1つ以上の反射面を有し、樹脂層と強化樹脂層とからなり、前記樹脂層を鏡面の反射面とする樹脂反射鏡およびその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、1つ以上の反射面を有し、樹脂層と強化樹脂層とからなり、前記樹脂層を鏡面の反射面とする樹脂反射鏡であって、前記樹脂層の厚さが、前記強化樹脂層に含有される強化充填材の最大直径および最大長さの1/2以上である関係を満たす樹脂反射鏡を最も主要な特徴とする。
請求項2記載の発明では、前記樹脂層表面に光反射層が形成され、前記光反射層を反射面とする請求項1記載の樹脂反射鏡を主要な特徴とする。
請求項3記載の発明では、前記強化充填材が1種以上の球・粒状フィラー(ガラスビーズなど)である請求項1または2記載の樹脂反射鏡を主要な特徴とする。
請求項4記載の発明では、前記強化充填材が1種以上の板状フィラー(タルク、マイカなど)であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂反射鏡を主要な特徴とする。
請求項5記載の発明では、前記強化充填材が1種以上の繊維状フィラー(ガラス繊維、炭素繊維など)である請求項1または2記載の樹脂反射鏡を主要な特徴とする。
請求項6記載の発明では、前記強化充填材が1種以上の針状フィラー(窒化ケイ素などのウィスカなど)である請求項1または2記載の樹脂反射鏡を主要な特徴とする。
請求項7記載の発明では、前記樹脂層の樹脂と前記強化樹脂層の樹脂に同一材質を用いることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂反射鏡を主要な特徴とする。
【0006】
請求項8記載の発明では、前記光反射層が金属によって形成されることを特徴とする請求項2記載の樹脂反射鏡を主要な特徴とする。
請求項9記載の発明では、1つ以上の反射面を有し、樹脂層と強化樹脂層とからなり、前記樹脂層を鏡面の反射面として有し、前記樹脂層の厚さが、前記強化樹脂層に含有される強化充填材の最大直径および最大長さの1/2以上である関係を満たす樹脂反射鏡の製造方法において、前記樹脂層を軟化温度以上に加熱し、前記樹脂層と前記強化樹脂層に適度な圧力を加えて熱圧着することによって、前記樹脂層と前記強化樹脂層を一体化し、積層する樹脂反射鏡の製造方法を最も主要な特徴とする。
請求項10記載の発明では、1つ以上の反射面を有し、樹脂層と強化樹脂層とからなり、前記樹脂層を鏡面の反射面として有し、前記樹脂層の厚さが、前記強化樹脂層に含有される強化充填材の最大直径および最大長さの1/2以上である関係を満たす樹脂反射鏡の製造方法において、前記樹脂層もしくは前記強化樹脂層のどちらかをキャビティに挿入し、次いで、金型を型締めし、前記樹脂層もしくは前記強化樹脂層の他方を射出充填し、前記樹脂層と前記強化樹脂層を一体化し、積層することを特徴とする樹脂反射鏡の製造方法を最も主要な特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明による樹脂反射鏡の実施の形態を強化充填材の最大直径が大きい場合について示す概略断面図である。図1において、樹脂反射鏡Aは、ポリカーボネート樹脂フィルムからなる樹脂層1と、ガラスビーズ3を30質量%含有するポリカーボネート樹脂からなる強化樹脂層2と、からなっている。
強化樹脂層2はポリカーボネート樹脂に強化充填材として最大直径(長さ)10μmのガラスビーズ3を30質量%含有させたものである。即ち、強化充填材は球状フィラーである最大直径(長さ)10μmのガラスビーズ3を用いている。
強化充填材3として最大直径(長さ)100μmのガラスビーズ3を使用した場合(他は実施例1と同条件)、樹脂層1表面、すなわち反射面の表面粗度Raは0.03μmとなり、射出成型時に使用する鏡面駒(後述)の表面粗度(Ra=0.005μm)と比較し、大幅に悪化している。
これは強化充填材3の浮き出しのためである。図1に示すように強化樹脂層2は冷却過程において、強化充填材3と樹脂2の膨張率の違いにより、ガラスビーズ間にある樹脂2が局所的に収縮することで、強化樹脂層2表面はガラスビーズが浮き出し、うねりが発生した結果、強化樹脂層表面の表面粗度は悪化する。
強化樹脂層2と密着している樹脂層(樹脂フィルム)1はこのうねりを軽減することができるが、ガラスビーズの最大直径(長さ)が100μmであるのに対し、樹脂層1の厚さ(樹脂フィルム厚)は30μmであるため、うねりを完全に吸収することができない。そのため、鏡面駒によって転写された面を維持することができず、樹脂層1表面、すなわち反射面の表面粗度も悪化する。
【0008】
図2は樹脂層1の厚さと反射面の表面粗度との間の関係をグラフで説明する図である。さらに、強化充填材3として最大直径(長さ)100μmのガラスビーズを使用し、樹脂層1の厚さ(樹脂フィルム厚)を変化させたところ(他は同条件)、図2に示すごとく、樹脂層1の厚さ(樹脂フィルム厚)をガラスビーズの最大直径(長さ)の1/2以上にすることで、樹脂層1表面、すなわち反射面の表面粗度が鏡面駒の表面粗度とほぼ同等になることが判った。
しかし、樹脂層1を過剰に厚くすると、樹脂層1と強化樹脂層2との膨張率の差があるため、樹脂層1が強化樹脂層2を引っ張ることによる積層成形品全体の反り変形が発生し、形状精度が悪化する。
また、樹脂層1を厚くすることで積層成形品の強化樹脂層2の占める割合が減り、十分な強度、耐熱性が確保できない。さらに、樹脂層1の成形加工性の悪化、反射鏡自体の厚さの増大といった問題もある。
【0009】
図3は本発明による樹脂反射鏡の実施の形態を強化充填材の最大直径が調整された場合について示す概略図である。課題である強化樹脂層2の強化充填材3の浮き出しによる反射面表面粗度の悪化という問題点を解決し、上記の樹脂層1を厚くすることによる様々な問題を回避するために、図3では、樹脂層1の厚さ(例えば、最も薄い部分の厚さ)を強化樹脂層2に含有される強化充填材3の最大直径および最大長さの1/2以上かつ、上記の樹脂層1を厚くすることによる様々な問題を回避できる厚さ以下とした。
樹脂層1の厚さ(樹脂フィルム厚)が強化樹脂層2に含有される強化充填材3の最大直径および最大長さの1/2以上という関係を満たすことで、図3に示すように、強化樹脂層2の強化充填材3の浮き出しによる強化樹脂層2表面のうねりが樹脂層1によって吸収される。
それによって樹脂層1表面、すなわち反射面は鏡面を保つことができるため、反射面の表面粗度Raは0.006μmとなり、鏡面駒の表面粗度(Ra=0.005μm)と比較し、ほぼ同等となる。したがって良好な形状精度、均一で高い反射率を持つ反射面を得ることができる。
さらに、樹脂層1表面に光反射層を形成し、これを反射面とすることで、樹脂層1表面自体を反射面とした場合と比較し、より一層高い反射率を得ることができる。この場合も樹脂層1表面の表面粗度が鏡面駒の表面粗度と比較し、ほぼ同等であることによって、反射面である光反射層表面の表面粗度も鏡面駒の表面粗度と比較し、ほぼ同等となり、良好な形状精度、均一で高い反射率を持つ反射面を得ることができる。
【0010】
図4は本発明による樹脂反射鏡を製造する金型装置の第1の実施の形態を示す概略図である。図5は図4の金型装置を上下に開いた状態を示す概略図である。この金型装置は平面ミラーの製造に用いられ、上型4および下型5からなるプレス型6によって構成されている。上型4は鏡面駒7およびその内部に配置されたヒータ8を備えている。
一例として、樹脂層1をポリカーボネート樹脂フィルム(180mm×150mm、t=30μm)、強化樹脂層2をガラスビーズを30質量%含有するポリカーボネート樹脂(180mm×150mm、t=6mm)、強化充填材3を最大直径(長さ)10μmのガラスビーズとして平面ミラーを製造する。
プレス型6は上型4、下型5で構成され、上型4に転写面である鏡面駒7(表面粗度Ra=0.005μm)を有する180mm×150mm、厚さ6mmの平板ミラー型を使用した。
プレス型6をポリカーボネート樹脂の軟化温度以上(非晶質樹脂ではガラス転移温度以上)である150℃に保持し、このプレス型6のキャビティ内に強化樹脂層2と樹脂層1(ポリカーボネート樹脂フィルム)を挿入した後、プレス型6を型閉めし、4Mpaの圧力を加え、ポリカーボネート樹脂フィルム1表面に鏡面を転写させると同時に強化樹脂層2と樹脂層1を積層、一体化させる。
次いで、プレス型6の温度を150℃からポリカーボネート樹脂の軟化温度未満である120℃にし、樹脂温度が120℃になったときにプレス型6を型開きして成形品が変形しないようにキャビティ内から一体化成形品を取り出し、樹脂反射鏡9を得た。
この樹脂反射鏡9は、優れた寸法精度で、かつ、反射面であるポリカーボネート樹脂フィルム1表面の表面粗度Raは0.006μmとなり、鏡面駒7の表面粗度(Ra=0.005μm)と比較し、ほぼ同等であった。
【0011】
第1の実施の形態では樹脂層1と強化樹脂層2の樹脂に同一材質を用い、樹脂層1と強化樹脂層2を軟化温度以上にしてプレスを行ったが、樹脂層1と強化樹脂層2に軟化温度の異なる材質を用い、樹脂層1のみを軟化温度以上にしてプレスを行っても構わない。
強化充填材3は、球状フィラーである最大直径(長さ)10μmのガラスビーズを用いている。強化充填材3として最大直径(長さ)100μmのガラスビーズを使用した場合(その他は第1の実施の形態と同条件)、最大直径(長さ)10μmのガラスビーズと比較して、樹脂層1表面、すなわち反射面の表面粗度Raは0.03μmとなり、鏡面駒7の表面粗度(Ra=0.005μm)と比較し、大幅に悪化している。
また、球・粒状フィラー、板状フィラーは、繊維状、針状フィラーと比較して、最大直径と最大長さとの差が少なく、最大直径(長さ)が1μm以下のものまで存在するため、樹脂層1の厚さを薄くすることができる。
これによって課題である強化樹脂層2の強化充填材3の浮き出しによる、反射面表面粗度の悪化という問題点を解決し、上記の樹脂層1を厚くすることによる様々な問題を回避することがより一層容易となる。また、板状、球・粒状フィラーは繊維状、針状フィラーと比較して、最大直径と最大長さとの差が少ないため、これらを用いた強化樹脂層3は異方性がなく、反りが発生しにくい。
【0012】
第1の実施の形態では球状フィラーである最大直径10μmのガラスビーズを用いているが、最大直径および最大長さが樹脂層1の厚さ以下であれば他の球・粒状フィラー(例えばシリカ、クレイ等)や板状フィラー(例えばタルク、マイカ、ガラスフレーク等)を1種もしくは2種以上用いても構わない。
また、繊維状、針状フィラーは球・粒状フィラー、板状フィラーと比較して、最大直径と最大長さとの差が大きい。そのため、これらを用いた強化樹脂層2は繊維状、針状フィラーが絡み合うことで球・粒状フィラー、板状フィラーを用いた強化樹脂層と比較して強度を著しく向上させることができる。
繊維状フィラーとしては、ガラス繊維、炭素繊維等、針状フィラーとしては、グラファイトウィスカー、チタン酸カリウムウィスカ−等が望ましく、それらを1種もしくは2種以上用いても構わない。また、板状、球・粒状、繊維状、針状フィラーからなる群のうち2種以上を含有させた強化樹脂を用いても構わない。樹脂層1と強化樹脂層2の樹脂に同一材質を用いることで、樹脂層1と強化樹脂層2との密着強度を向上させることができる。第1の実施の形態では樹脂層1(樹脂フィルム)および強化樹脂層2の樹脂にポリカーボネート樹脂を用いているが、その他の樹脂、例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート等であっても構わないが、収縮性が良好で高精度な成形品を得ることが容易な非晶質樹脂を使用することが望ましい。
【0013】
光反射層として、金属によって形成される光反射金属層を用いることにより、高い反射率をもつ光反射層を容易に得ることが出来る。光反射金属層としては反射率の高く、低コストのアルミニウムが望ましいが、他の金属、例えばクロム、ニッケル、銀等であっても構わない。
そして光反射金属層表面にトップコート層を形成することで光反射金属層の酸化を防止し、保護し、反射率の低下を防ぐことができる。トップコート層としては、SiOなどが望ましい。さらに樹脂層1にアンダーコート層を形成することで、樹脂層1と光反射金属層の付着力を高め、より一層良好な光反射金属層を得ることができる。
光反射金属層の厚さは、200〜2000Åとする。なお、光反射金属層の厚さを200Å未満にした場合には、反射率が低下するため、不適当で、光反射金属層の厚さを2000Å以上にした場合には、光反射金属層形成時間の増加によるコストの増加、成形加工性が低下する場合があるといった問題点があるため、不適当である。
さらに真空蒸着法によって樹脂層1表面に光反射金属層を形成することで均一で高い反射率を持つ光反射金属層を低コストで形成することができる。
樹脂層1と強化樹脂層2を積層、一体化する方法として接着を用いた場合、樹脂層1と強化樹脂層2を所望の形状に加工する前工程や接着時の各部材の精密な位置決めが必要となることに加え、位置ずれによる形状精度の悪化が問題となる。
しかし、少なくとも前記樹脂層1を軟化温度以上に加熱し、樹脂層1と強化樹脂層2に適度な圧力を加え、樹脂層1と強化樹脂層2を熱圧着することにより、樹脂層1と強化樹脂層2を一体化、積層することにより、樹脂層1と強化樹脂層2を一体化すると同時に所望の形状に加工することができる。
そのため、樹脂層1を所望の形状に加工する前工程や、樹脂層1と強化樹脂層2の精密な位置決めが必要なく、工程を大幅に減少させることができ、低コスト化が実現できる。さらに、強化樹脂層2と比較して、薄い樹脂層1のみを軟化温度以上に加熱し、樹脂層1と強化樹脂層2を熱圧着し、積層させることで、強化樹脂層2を加熱させる必要がなく、工程時間を短縮することができる。
【0014】
図6は本発明による樹脂反射鏡を製造する装置の第2の実施の形態を示す概略図である。図7は図6の装置を型締めした状態を示す概略図である。図8は図7の装置を左右に開いた状態を示す概略図である。
この装置はfθミラーの製造に用いられ、一方の型部分10および他方の型部分11からなる成形型12によって構成されている。一方の型部分10は鏡面駒13を備えている。
樹脂層1をPETフィルム(t=50μm)、強化樹脂層2をガラスビーズ30質量%を含有するポリカーボネート樹脂(180mm×150mm、t=6mm)、強化充填材3を最大直径(長さ)10μmのガラスビーズ、光反射金属層をアルミニウム(膜厚500Å)として、fθミラーを製造する。
成形型12は鏡面である転写面をもつfθミラー型を使用した。まず成形型12のキャビティ15にPETフィルム1(樹脂層)を挿入し、型締めした。次いで、ガラスビーズ30質量%含有ポリカーボネート樹脂2(樹脂温度280℃)を供給路11aから射出充填し、樹脂層1と強化樹脂層2を熱圧着すると同時に鏡面駒13の転写面を樹脂層1表面に転写する。
そして樹脂温度が軟化温度未満である125℃になったときに金型を型開きして(図8)成形品が変形しないようにキャビティ15内から成形品を取り出す。そして真空蒸着法により樹脂層1表面に光反射金属層を形成し、樹脂反射鏡14を得た。
この樹脂反射鏡14は、優れた寸法精度で、かつ、反射面の表面粗度Raは0.006μmとなり、鏡面駒13の表面粗度(Ra=0.005μm)と比較し、ほぼ同等であった。
【0015】
樹脂層1と強化樹脂層2を積層、一体化するための方法として接着を用いた場合、樹脂層1と強化樹脂層2を所望の形状に加工する前工程や接着時の各部材の精密な位置決めが必要となることに加え、位置ずれによる形状精度の悪化が問題となる。
しかし、樹脂層1もしくは強化樹脂層2のどちらかをキャビティに挿入し、次いで、成形型を型締めし、樹脂層1もしくは強化樹脂層2の他方を射出充填し、樹脂層1と強化樹脂層2を一体化、積層することで、樹脂層1と強化樹脂層2を一体化すると同時に所望の形状に加工することができる。
このため、樹脂層1と強化樹脂層2を所望の形状に加工する前工程や、樹脂層1と強化樹脂層2の精密な位置決めが必要なく、工程を大幅に減少させることができ、低コスト化が実現できる。第2の実施の形態では、樹脂層1をキャビティに挿入し、次いで、成形型を型締めし、強化樹脂層2を射出充填し、樹脂層1と強化樹脂層2を一体化、積層させている。
しかしながら、強化樹脂層2をキャビティに挿入し、次いで、成形型を型締めし、樹脂層1を射出充填し、樹脂層1と強化樹脂層2を一体化、積層させても構わない。また、第2の実施の形態では樹脂層1と強化樹脂層2とを一体化、積層した後に樹脂層1表面に光反射層(図示せず)を形成しているが、樹脂層表面2に光反射層を形成した後に、樹脂層1と強化樹脂層2とを一体化、積層しても構わない。
さらに、第1および第2の実施の形態では、樹脂反射鏡として、平面ミラー、fθミラーを得ているが、本発明はこれに限定されるものではなく、球面・非球面ミラー、ポリゴンミラー等であっても構わない。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によれば、反射面の表面粗度Raは0.006μmとなり、鏡面駒の表面粗度(Ra=0.005μm)と比較し、ほぼ同等となり、したがって高強度、低膨張、低コスト、良好な形状精度、均一で高い反射率を有する反射面を得ることができる。
請求項2によれば、樹脂層表面に光反射層を形成し、反射面とすることで、樹脂層表面を反射面とした場合と比較し、より一層高い反射率を得ることができる。
請求項3によれば、繊維状、針状フィラーと比較して、最大直径と最大長さとの差が少なく、最大直径(長さ)が1μm以下のものまで存在するため、樹脂層1の厚さを薄くすることができる。
請求項4によれば、繊維状、針状フィラーと比較して、最大直径と最大長さとの差が少なく、最大直径(長さ)が1μm以下のものまで存在するため、樹脂層の厚さを薄くすることができる。
請求項5によれば、繊維状、針状フィラーが絡み合うことで球・粒状フィラー、板状フィラーを用いた強化樹脂層と比較して強度を著しく向上させることができる。
請求項6によれば、繊維状、針状フィラーが絡み合うことで球・粒状フィラー、板状フィラーを用いた強化樹脂層と比較して強度を著しく向上させることができる。
請求項7によれば、樹脂層と強化樹脂層との密着強度を向上させることができる。
請求項8によれば、均一で高い反射率を持つ光反射金属層を低コストで形成することができる。
請求項9によれば、樹脂層を所望の形状に加工する前工程や、樹脂層と強化樹脂層の精密な位置決めが必要なく、工程を大幅に減少させることができ、低コスト化が実現できる。
また、強化樹脂層と比較して、薄い樹脂層のみを軟化温度以上に加熱し、樹脂層と強化樹脂層を熱圧着し、積層させることで、強化樹脂層を加熱させる必要がなく、工程時間を短縮することができる。
請求項10によれば、樹脂層と強化樹脂層を所望の形状に加工する前工程や、樹脂層と強化樹脂層の精密な位置決めが必要なく、工程を大幅に減少させることができ、低コスト化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による樹脂反射鏡の実施の形態を強化充填材の最大直径が大きい場合について示す概略図である。
【図2】樹脂層の厚さと反射面の表面粗度との間の関係をグラフで説明する図である。
【図3】本発明による樹脂反射鏡の実施の形態を強化充填材の最大直径が調整された場合について示す概略図である。
【図4】本発明による樹脂反射鏡を製造する装置の第1の実施の形態を示す概略図である。
【図5】図4の装置を上下に開いた状態を示す概略図である。
【図6】本発明による樹脂反射鏡を製造する装置の第2の実施の形態を示す概略図である。
【図7】図6の装置を型締めした状態を示す概略図である。
【図8】図7の装置を左右に開いた状態を示す概略図である。
【符号の説明】
A 樹脂反射鏡
1 樹脂層(ポリカーボネート、PET樹脂フィルム)
2 強化樹脂層(ポリカーボネート樹脂)
3 強化充填材
4 上型
5 下型
6 プレス型
7 鏡面駒
9 プレスされた樹脂反射鏡
12 成形型
14 成形された樹脂反射鏡
15 キャビティ

Claims (10)

  1. 1つ以上の反射面を有し、樹脂層と強化樹脂層とからなり、前記樹脂層を鏡面の反射面とする樹脂反射鏡であって、前記樹脂層の厚さが、前記強化樹脂層に含有される強化充填材の最大直径および最大長さの1/2以上である関係を満たすことを特徴とする樹脂反射鏡。
  2. 前記樹脂層表面に光反射層が形成され、前記光反射層を反射面とすることを特徴とする請求項1記載の樹脂反射鏡。
  3. 前記強化充填材が1種以上の球・粒状フィラーであることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂反射鏡。
  4. 前記強化充填材が1種以上の板状フィラーであることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂反射鏡。
  5. 前記強化充填材が1種以上の繊維状フィラーであることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂反射鏡。
  6. 前記強化充填材が1種以上の針状フィラーであることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂反射鏡。
  7. 前記樹脂層の樹脂と前記強化樹脂層の樹脂に同一材質を用いることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂反射鏡。
  8. 前記光反射層が金属によって形成されることを特徴とする請求項2記載の樹脂反射鏡。
  9. 1つ以上の反射面を有し、樹脂層と強化樹脂層とからなり、前記樹脂層を鏡面の反射面として有し、前記樹脂層の厚さが、前記強化樹脂層に含有される強化充填材の最大直径および最大長さの1/2以上である関係を満たす樹脂反射鏡の製造方法において、前記樹脂層を軟化温度以上に加熱し、前記樹脂層と前記強化樹脂層に適度な圧力を加えて熱圧着することによって、前記樹脂層と前記強化樹脂層を一体化し、積層することを特徴とする樹脂反射鏡の製造方法。
  10. 1つ以上の反射面を有し、樹脂層と強化樹脂層とからなり、前記樹脂層を鏡面の反射面として有し、前記樹脂層の厚さが、前記強化樹脂層に含有される強化充填材の最大直径および最大長さの1/2以上である関係を満たす樹脂反射鏡の製造方法において、前記樹脂層もしくは前記強化樹脂層のどちらかをキャビティに挿入し、次いで、成形型を型締めし、前記樹脂層もしくは前記強化樹脂層の他方を射出充填し、前記樹脂層と前記強化樹脂層を一体化し、積層することを特徴とする樹脂反射鏡の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008519640A (ja) * 2004-11-12 2008-06-12 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 医療検査装置
JP2017205960A (ja) * 2016-05-19 2017-11-24 キヤノン株式会社 樹脂成形品の接合方法、液体吐出ヘッド及びその製造方法

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