JP2004173916A - 杖 - Google Patents
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Abstract
【課題】長時間使用しても手首が疲れにくい杖の提供。
【解決手段】杖10は、杖本体11、脇当部12及び石突部13を備える。杖本体11は、グリップ16を備える。グリップ16は、グリップ本体23と被覆部材24とを有する。グリップ本体23は、杖本体11の後方に突設されており、上方に角度θだけ傾斜している。この角度θは、0<θ≦45°である。被覆部材24は、杖本体11のグリップ本体23が取り付けられた部位を被うように配置されている。被覆部材24は、クロロプレンゴムにより構成されている。グリップ16には、窪み部29,30が設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】杖10は、杖本体11、脇当部12及び石突部13を備える。杖本体11は、グリップ16を備える。グリップ16は、グリップ本体23と被覆部材24とを有する。グリップ本体23は、杖本体11の後方に突設されており、上方に角度θだけ傾斜している。この角度θは、0<θ≦45°である。被覆部材24は、杖本体11のグリップ本体23が取り付けられた部位を被うように配置されている。被覆部材24は、クロロプレンゴムにより構成されている。グリップ16には、窪み部29,30が設けられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術の分野】
この発明は、歩行を補助するための杖に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
脚部を負傷した場合等においては、歩行を補助するための器具として、杖が従来から提供されている。図3は、従来の一般的な杖(松葉杖)の正面図である。同図が示すように、一般的な従来の杖1は、本体フレーム2と、使用時に接地される石突部3と、使用者の脇の部分が載置される脇当部4とを有している。本体フレーム2には、歩行時に使用者が把持するグリップ5が設けられている。
杖1の使用者は、グリップ5を握ると共に脇を脇当部4に当て、石突部3を接地させた状態で、身体を脇当部4に載せながら腕を突っ張って前方へ身体全体を移動させることによって歩行する。
【0003】
上記グリップ5は、本体フレーム2の軸方向(使用者の体重が作用する方向)に直交する方向に沿って配置されている。このことは、松葉杖に限らず、一般にグリップが設けられた杖について共通する。
ところで、人間は、腕を伸ばした状態で拳をつくると、親指を除く四指と手のひらとで形成されるループの軸方向が、前腕に対して直交せずに若干の傾きが生じる。したがって、杖1の使用者が本体フレーム2の軸方向に対して直交しているグリップ5を握り、前述のようにして杖1に身体を預けると、手首に負担がかかり、杖1を長時間使用した場合には、特に手首が疲労しやすかった。
【0004】
この問題を解決するために、従来では、図4に示すようなプラットホームタイプの杖6が提供されている。この杖6では、使用者の前腕が杖6の上面7に載置されるので、使用者は前腕によって体重を支えることになる。したがって、使用者は手首が疲労することはない。
しかし、このタイプの杖6では、使用者の腕の方向と本体フレーム8の方向とが異なるため、使用者は、歩行しにくいという問題があった。
【0005】
また、従来では、グリップが本体フレームに直交する方向に対して所定の角度だけ傾斜するように取り付けられている杖が提供されている(特許文献1参照)。しかし、この杖では、グリップが歩行方向前方に突出するように本体フレームに配置されているので、グリップの軸方向と、使用者の拳の軸方向とが一致せず、手首の負担を効果的に軽減することは困難であった。
【0006】
【特許文献1】
特許第274679号公報
【0007】
そこで、本発明の目的は、長時間使用しても手首が疲れにくく、使い勝手の良い杖を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記目的を達成するため、本願に係る杖は、歩行の際に使用者の脇が当接される脇当部が上端部に設けられた杖本体と、杖本体に設けられ、歩行の際に使用者が把持するグリップとを備え、グリップは、杖本体に対して歩行方向後方に突出するように突設されており、且つグリップの仮想軸線が歩行方向に対して角度θだけ上方に傾斜されており、角度θは、0<θ≦45°(degree)であることを特徴とするものである。
【0009】
この構成によれば、使用者は、グリップを握りながら脇を脇当部に載せ、歩行方向へ体重を移動させながら歩行する。このとき、使用者の手は、腕をほぼ伸ばした状態で拳をつくることになるが、人体解剖学上、親指を除く四指と手のひらとで形成されるループの軸方向は、歩行方向前方に対していわゆる前下がりの傾斜が形成される。上記グリップは、杖本体から歩行方向後方に突設され、しかも、歩行方向に対して上方に角度θだけ傾斜されているから、グリップの仮想軸線(すなわちグリップの長手方向軸線)と上記ループの軸方向とがほぼ一致する。
【0010】
(2) 上記杖本体のグリップが設けられた部位の近傍であって、使用者がグリップを把持したときに使用者の指が当接し得る部分に、凹部が形成されているのが好ましい。
杖が使用される場合に、使用者によっては、より安定して杖を保持するためにグリップを握ったときに人差し指等を杖本体に掛け回すこともある。このときに、杖本体と当該指とが局部的に当接し両者間の面圧が大きくなる傾向にある。
しかし、杖本体に上記凹部が設けられることにより、使用者が杖本体に指を掛け回した場合であっても、当該指と杖本体とが面接触し、両者間の面圧が低減される。これにより、使用者は、長時間歩行した場合であっても、指が疲労することがない。
【0011】
(3) また、上記杖本体のグリップが設けられた部位及びその近傍を被覆する弾性部材が配設されているのが好ましい。
この構成では、使用者が杖本体を把持したときに、使用者の手(特に指)が弾性部材に当接することになる。これにより、使用者は、長時間歩行した場合であっても、指に痛み等を感じることはなく、一層使い勝手の良い杖が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る杖10の正面図、図2は杖10の一部断面要部拡大図である。
この杖10は、たとえば脚が負傷した場合等に、歩行を補助するために使用される。杖10は、杖本体11と、脇当部12と、石突部13とを備えている。
本実施形態の特徴とするところは、杖本体11にグリップ16が設けられており、このグリップ16が後述の構造を備えている点である。
【0014】
杖本体11は、真直な棒状部材により構成されている。具体的には、杖本体11は、例えばアルミニウム製の丸棒等により形成される。もっとも、杖本体11の材質は、他の金属、樹脂、木材等も採用され得る。また、杖本体11の断面形状は、円形に限定されるものではなく、他の形状(例えば多角形状等)が採用されてもよい。
杖本体11には、凹部19,20が形成されている。凹部19は、杖本体11の前面側、すなわち、杖10が使用されたときの歩行方向(図中矢印15の方向)側に設けられている。凹部20は、杖本体11の後面側、すなわち、杖10が使用されたときの歩行方向と逆方向側に設けられている。より具体的には、グリップ16は、後述されるグリップ本体23を備えており、凹部19は、グリップ本体23が設けられた部位の上側近傍に形成され、凹部20は、グリップ本体23が設けられた部位の下側近傍に形成されている。
これら凹部19,20は、略円形に形成されており、これにより、杖本体11にディンプルが形成された状態となっている。これら凹部19は、直径が10mm〜50mm、深さが1mm〜10mmの範囲で適宜設定され得る。凹部19,20の作用効果については、後述される。
【0015】
脇当部12は、杖本体11の上端部14に設けられている。脇当部12は、杖10が使用される際に、使用者が脇を載せる部分である。脇当部12は、フレーム17とクッション部材18とを備えている。
フレーム17は、例えばアルミニウム等の金属により構成され、断面が略コ字状に形成されており、杖本体11の上端部14に固定されている。クッション部材18は、フレーム17の上面に固着されており、クッション部材18の上面は、使用者が実際に脇を当てる載置面22を構成している。
また、石突部13は、杖本体11の下端部に設けられている。石突部13は、例えばゴム等により構成され、杖10が使用される際に、石突部13が地面と接触するときの衝撃が緩和される。
【0016】
グリップ16は、杖本体11の所定位置、例えば、脇当部12の上面22から寸法Aの位置に配設されている。この寸法Aは、150mm〜500mmの範囲で適宜設定され得る。
グリップ16は、グリップ本体23と、杖本体11を被覆する被覆部材24(弾性部材)とを備えている。
グリップ本体23は、アルミニウム等の金属のほか、樹脂、木材等により構成されている。グリップ本体23は、杖10が使用される際に使用者が握るものであり、使用者が握りやすいように略紡錘形に形成されている。グリップ本体23の先端部25は、断面が円形の棒状に形成されており、この先端部25が杖本体11に対して杖本体11の径方向に貫通するように装着されている。当該先端部25は、杖本体11に溶接等により固着されているのが望ましい。
【0017】
グリップ本体23は、図が示すように、杖本体11に対して後方側(歩行方向後方側)に突出するように設けられている。そして、杖本体11に対して角度θだけ傾斜するように取り付けられている。具体的には、グリップ16の仮想軸線26(グリップ本体23の仮想軸線26)が、歩行方向27(上記矢印15の方向)に対して角度θだけ傾斜しており、グリップ本体23は、歩行方向後方側に上向きに角度θだけ起立している。
グリップ本体23は、この杖10では、角度θは、15°(degree)に設定されている。ただし、この角度θは、0<θ≦45°の範囲で適宜設定され得る。より好ましくは、この角度θは、5°≦θ≦35°の範囲で設定される。グリップ16がこのように傾斜していることによる作用効果については、後述される。
【0018】
被覆部材24は、チューブ状に形成されている。被覆部材24は、例えばクロロプレンゴム(CR)により構成されるが、これに限定されるものではなく、他の種々のゴム、その他の弾性部材が採用され得る。
被覆部材24の略中央部には貫通孔28が設けられている。上記グリップ本体23は、この貫通孔28に挿通され、杖本体11に挿入されている。
また、被覆部材24の所定位置には、窪み部29,30が形成されている。この窪み部29,30は、それぞれ、杖本体11に設けられた凹部19,20と係合しており、凹部19に窪み部29が被せられた状態となり、凹部20に窪み部30が被せられた状態となっている。
【0019】
この杖10は、次のようにして使用される。
図1において、使用者は、グリップ16を握りながら脇を脇当部12に載せ、歩行方向(矢印15の方向)へ体重を移動させながら歩行する。このとき、グリップ16の位置が脇当部12の載置面22から寸法Aの位置に配置されているから、使用者は、腕をほぼ伸ばした状態で拳をつくることになる。そしてこの状態では、人体解剖学上、親指を除く四指と手のひらとで形成されるループの軸方向は、矢印15の方向(歩行方向前方)に対していわゆる前下がりの傾斜が形成される。
【0020】
一方、上記グリップ16は、杖本体11から歩行方向後方に突設され、しかも、上方に角度θだけ傾斜されているから、グリップ16の仮想軸線26と上記ループの軸方向とがほぼ一致する。したがって、使用者は、拳を作った状態で自然にグリップ16を握ることができ、その結果、使用者が連続歩行した場合であっても、使用者の手首に大きな負担がかかることはない。
【0021】
ところで、使用者によっては、より安定して杖10を保持するためにグリップ16を握ったときに人差し指等を杖本体11に掛け回すことがある。このとき、杖本体11と当該指とが局部的に当接し両者間の面圧が大きくなる傾向にあり、場合によっては、使用者は、指に痛みを覚えるおそれがある。
しかし、本実施形態に係る杖10では、グリップ16の被覆部材24に上記窪み部29,30が設けられているから、使用者が前述のように指を掛け回した場合であっても、指が窪み部29,30に嵌り込むので、両者間の面圧が大きくならない。したがって、使用者は、長時間歩行した場合であっても、指が疲労して痛みを感じることはない。
凹部19,20の内面形状及び窪み部29,30の内面形状は、特に限定されるものではないが、使用者の指の外形形状に沿うように形成されているのが好ましい。その場合には、当該指と杖本体11とがぴったりと面接触するため、指の疲労が効果的に抑制される。
【0022】
特に本実施形態では、被覆部材24がクロロプレンゴムにより構成されているから、きわめて柔らかく且つ手触りが良いので、使用者の指の疲れは効果的に抑制されるという利点がある。
さらに、上記窪み部29,30は、杖本体11に設けられた凹部19,20に嵌り込むように配置されているから、窪み部29,30の位置が杖本体11に対してずれることがなく、杖10は、より使い勝手のよいものとなる。
【0023】
なお、本実施形態では、被覆部材24が設けられているが、これが省略されてもよい。その場合であっても、杖本体11に凹部19,20が設けられているから、使用者の指と杖本体11との間の面圧が高くなることが抑制されるので、使用者の指の疲労が抑えられる。
また、被覆部材24の窪み部29,30が省略されてもよい。その場合であっても、使用者の指は、弾性体である被覆部材24を介して杖本体11と当接するから、使用者の指の疲労は、効果的に抑えられる。
さらに、杖本体11の凹部19,20が省略されてもよい。その場合であっっても、使用者の指は、弾性体である被覆部材24を介して杖本体11と当接するから、使用者の指の疲労は、効果的に抑えられる。
また、本実施形態では、杖本体11が単一の棒状部材からなる構成であるが、これに限定されるものではなく、杖本体が松葉状等に形成されていてもよいことは勿論である。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、杖の使用者が歩行の際にグリップを握ったときは、グリップの長手方向軸線)が使用者の親指を除く四指と手のひらとで形成されるループの軸方向とほぼ一致するので、使用者が連続歩行した場合であっても、使用者の手首に大きな負担がかかることはない。その結果、長時間使用しても手首が疲れにくく、歩行しやすい杖が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る杖の正面図である。
【図2】図2は、発明の一実施形態に係る杖の一部断面要部拡大図である。
【図3】図3は、従来の一般的な杖の正面図である。
【図4】図4は、従来のプラットホームタイプの杖の正面図である。
【符号の説明】
10・・・杖
11・・・杖本体
12・・・脇当部
13・・・石突部
14・・・上端部
15・・・矢印
16・・・グリップ
19・・・凹部
20・・・凹部
23・・・グリップ本体
24・・・被覆部材
25・・・先端部
26・・・仮想軸線
27・・・歩行方向
28・・・貫通孔
29・・・窪み部
30・・・窪み部
【発明の属する技術の分野】
この発明は、歩行を補助するための杖に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
脚部を負傷した場合等においては、歩行を補助するための器具として、杖が従来から提供されている。図3は、従来の一般的な杖(松葉杖)の正面図である。同図が示すように、一般的な従来の杖1は、本体フレーム2と、使用時に接地される石突部3と、使用者の脇の部分が載置される脇当部4とを有している。本体フレーム2には、歩行時に使用者が把持するグリップ5が設けられている。
杖1の使用者は、グリップ5を握ると共に脇を脇当部4に当て、石突部3を接地させた状態で、身体を脇当部4に載せながら腕を突っ張って前方へ身体全体を移動させることによって歩行する。
【0003】
上記グリップ5は、本体フレーム2の軸方向(使用者の体重が作用する方向)に直交する方向に沿って配置されている。このことは、松葉杖に限らず、一般にグリップが設けられた杖について共通する。
ところで、人間は、腕を伸ばした状態で拳をつくると、親指を除く四指と手のひらとで形成されるループの軸方向が、前腕に対して直交せずに若干の傾きが生じる。したがって、杖1の使用者が本体フレーム2の軸方向に対して直交しているグリップ5を握り、前述のようにして杖1に身体を預けると、手首に負担がかかり、杖1を長時間使用した場合には、特に手首が疲労しやすかった。
【0004】
この問題を解決するために、従来では、図4に示すようなプラットホームタイプの杖6が提供されている。この杖6では、使用者の前腕が杖6の上面7に載置されるので、使用者は前腕によって体重を支えることになる。したがって、使用者は手首が疲労することはない。
しかし、このタイプの杖6では、使用者の腕の方向と本体フレーム8の方向とが異なるため、使用者は、歩行しにくいという問題があった。
【0005】
また、従来では、グリップが本体フレームに直交する方向に対して所定の角度だけ傾斜するように取り付けられている杖が提供されている(特許文献1参照)。しかし、この杖では、グリップが歩行方向前方に突出するように本体フレームに配置されているので、グリップの軸方向と、使用者の拳の軸方向とが一致せず、手首の負担を効果的に軽減することは困難であった。
【0006】
【特許文献1】
特許第274679号公報
【0007】
そこで、本発明の目的は、長時間使用しても手首が疲れにくく、使い勝手の良い杖を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記目的を達成するため、本願に係る杖は、歩行の際に使用者の脇が当接される脇当部が上端部に設けられた杖本体と、杖本体に設けられ、歩行の際に使用者が把持するグリップとを備え、グリップは、杖本体に対して歩行方向後方に突出するように突設されており、且つグリップの仮想軸線が歩行方向に対して角度θだけ上方に傾斜されており、角度θは、0<θ≦45°(degree)であることを特徴とするものである。
【0009】
この構成によれば、使用者は、グリップを握りながら脇を脇当部に載せ、歩行方向へ体重を移動させながら歩行する。このとき、使用者の手は、腕をほぼ伸ばした状態で拳をつくることになるが、人体解剖学上、親指を除く四指と手のひらとで形成されるループの軸方向は、歩行方向前方に対していわゆる前下がりの傾斜が形成される。上記グリップは、杖本体から歩行方向後方に突設され、しかも、歩行方向に対して上方に角度θだけ傾斜されているから、グリップの仮想軸線(すなわちグリップの長手方向軸線)と上記ループの軸方向とがほぼ一致する。
【0010】
(2) 上記杖本体のグリップが設けられた部位の近傍であって、使用者がグリップを把持したときに使用者の指が当接し得る部分に、凹部が形成されているのが好ましい。
杖が使用される場合に、使用者によっては、より安定して杖を保持するためにグリップを握ったときに人差し指等を杖本体に掛け回すこともある。このときに、杖本体と当該指とが局部的に当接し両者間の面圧が大きくなる傾向にある。
しかし、杖本体に上記凹部が設けられることにより、使用者が杖本体に指を掛け回した場合であっても、当該指と杖本体とが面接触し、両者間の面圧が低減される。これにより、使用者は、長時間歩行した場合であっても、指が疲労することがない。
【0011】
(3) また、上記杖本体のグリップが設けられた部位及びその近傍を被覆する弾性部材が配設されているのが好ましい。
この構成では、使用者が杖本体を把持したときに、使用者の手(特に指)が弾性部材に当接することになる。これにより、使用者は、長時間歩行した場合であっても、指に痛み等を感じることはなく、一層使い勝手の良い杖が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る杖10の正面図、図2は杖10の一部断面要部拡大図である。
この杖10は、たとえば脚が負傷した場合等に、歩行を補助するために使用される。杖10は、杖本体11と、脇当部12と、石突部13とを備えている。
本実施形態の特徴とするところは、杖本体11にグリップ16が設けられており、このグリップ16が後述の構造を備えている点である。
【0014】
杖本体11は、真直な棒状部材により構成されている。具体的には、杖本体11は、例えばアルミニウム製の丸棒等により形成される。もっとも、杖本体11の材質は、他の金属、樹脂、木材等も採用され得る。また、杖本体11の断面形状は、円形に限定されるものではなく、他の形状(例えば多角形状等)が採用されてもよい。
杖本体11には、凹部19,20が形成されている。凹部19は、杖本体11の前面側、すなわち、杖10が使用されたときの歩行方向(図中矢印15の方向)側に設けられている。凹部20は、杖本体11の後面側、すなわち、杖10が使用されたときの歩行方向と逆方向側に設けられている。より具体的には、グリップ16は、後述されるグリップ本体23を備えており、凹部19は、グリップ本体23が設けられた部位の上側近傍に形成され、凹部20は、グリップ本体23が設けられた部位の下側近傍に形成されている。
これら凹部19,20は、略円形に形成されており、これにより、杖本体11にディンプルが形成された状態となっている。これら凹部19は、直径が10mm〜50mm、深さが1mm〜10mmの範囲で適宜設定され得る。凹部19,20の作用効果については、後述される。
【0015】
脇当部12は、杖本体11の上端部14に設けられている。脇当部12は、杖10が使用される際に、使用者が脇を載せる部分である。脇当部12は、フレーム17とクッション部材18とを備えている。
フレーム17は、例えばアルミニウム等の金属により構成され、断面が略コ字状に形成されており、杖本体11の上端部14に固定されている。クッション部材18は、フレーム17の上面に固着されており、クッション部材18の上面は、使用者が実際に脇を当てる載置面22を構成している。
また、石突部13は、杖本体11の下端部に設けられている。石突部13は、例えばゴム等により構成され、杖10が使用される際に、石突部13が地面と接触するときの衝撃が緩和される。
【0016】
グリップ16は、杖本体11の所定位置、例えば、脇当部12の上面22から寸法Aの位置に配設されている。この寸法Aは、150mm〜500mmの範囲で適宜設定され得る。
グリップ16は、グリップ本体23と、杖本体11を被覆する被覆部材24(弾性部材)とを備えている。
グリップ本体23は、アルミニウム等の金属のほか、樹脂、木材等により構成されている。グリップ本体23は、杖10が使用される際に使用者が握るものであり、使用者が握りやすいように略紡錘形に形成されている。グリップ本体23の先端部25は、断面が円形の棒状に形成されており、この先端部25が杖本体11に対して杖本体11の径方向に貫通するように装着されている。当該先端部25は、杖本体11に溶接等により固着されているのが望ましい。
【0017】
グリップ本体23は、図が示すように、杖本体11に対して後方側(歩行方向後方側)に突出するように設けられている。そして、杖本体11に対して角度θだけ傾斜するように取り付けられている。具体的には、グリップ16の仮想軸線26(グリップ本体23の仮想軸線26)が、歩行方向27(上記矢印15の方向)に対して角度θだけ傾斜しており、グリップ本体23は、歩行方向後方側に上向きに角度θだけ起立している。
グリップ本体23は、この杖10では、角度θは、15°(degree)に設定されている。ただし、この角度θは、0<θ≦45°の範囲で適宜設定され得る。より好ましくは、この角度θは、5°≦θ≦35°の範囲で設定される。グリップ16がこのように傾斜していることによる作用効果については、後述される。
【0018】
被覆部材24は、チューブ状に形成されている。被覆部材24は、例えばクロロプレンゴム(CR)により構成されるが、これに限定されるものではなく、他の種々のゴム、その他の弾性部材が採用され得る。
被覆部材24の略中央部には貫通孔28が設けられている。上記グリップ本体23は、この貫通孔28に挿通され、杖本体11に挿入されている。
また、被覆部材24の所定位置には、窪み部29,30が形成されている。この窪み部29,30は、それぞれ、杖本体11に設けられた凹部19,20と係合しており、凹部19に窪み部29が被せられた状態となり、凹部20に窪み部30が被せられた状態となっている。
【0019】
この杖10は、次のようにして使用される。
図1において、使用者は、グリップ16を握りながら脇を脇当部12に載せ、歩行方向(矢印15の方向)へ体重を移動させながら歩行する。このとき、グリップ16の位置が脇当部12の載置面22から寸法Aの位置に配置されているから、使用者は、腕をほぼ伸ばした状態で拳をつくることになる。そしてこの状態では、人体解剖学上、親指を除く四指と手のひらとで形成されるループの軸方向は、矢印15の方向(歩行方向前方)に対していわゆる前下がりの傾斜が形成される。
【0020】
一方、上記グリップ16は、杖本体11から歩行方向後方に突設され、しかも、上方に角度θだけ傾斜されているから、グリップ16の仮想軸線26と上記ループの軸方向とがほぼ一致する。したがって、使用者は、拳を作った状態で自然にグリップ16を握ることができ、その結果、使用者が連続歩行した場合であっても、使用者の手首に大きな負担がかかることはない。
【0021】
ところで、使用者によっては、より安定して杖10を保持するためにグリップ16を握ったときに人差し指等を杖本体11に掛け回すことがある。このとき、杖本体11と当該指とが局部的に当接し両者間の面圧が大きくなる傾向にあり、場合によっては、使用者は、指に痛みを覚えるおそれがある。
しかし、本実施形態に係る杖10では、グリップ16の被覆部材24に上記窪み部29,30が設けられているから、使用者が前述のように指を掛け回した場合であっても、指が窪み部29,30に嵌り込むので、両者間の面圧が大きくならない。したがって、使用者は、長時間歩行した場合であっても、指が疲労して痛みを感じることはない。
凹部19,20の内面形状及び窪み部29,30の内面形状は、特に限定されるものではないが、使用者の指の外形形状に沿うように形成されているのが好ましい。その場合には、当該指と杖本体11とがぴったりと面接触するため、指の疲労が効果的に抑制される。
【0022】
特に本実施形態では、被覆部材24がクロロプレンゴムにより構成されているから、きわめて柔らかく且つ手触りが良いので、使用者の指の疲れは効果的に抑制されるという利点がある。
さらに、上記窪み部29,30は、杖本体11に設けられた凹部19,20に嵌り込むように配置されているから、窪み部29,30の位置が杖本体11に対してずれることがなく、杖10は、より使い勝手のよいものとなる。
【0023】
なお、本実施形態では、被覆部材24が設けられているが、これが省略されてもよい。その場合であっても、杖本体11に凹部19,20が設けられているから、使用者の指と杖本体11との間の面圧が高くなることが抑制されるので、使用者の指の疲労が抑えられる。
また、被覆部材24の窪み部29,30が省略されてもよい。その場合であっても、使用者の指は、弾性体である被覆部材24を介して杖本体11と当接するから、使用者の指の疲労は、効果的に抑えられる。
さらに、杖本体11の凹部19,20が省略されてもよい。その場合であっっても、使用者の指は、弾性体である被覆部材24を介して杖本体11と当接するから、使用者の指の疲労は、効果的に抑えられる。
また、本実施形態では、杖本体11が単一の棒状部材からなる構成であるが、これに限定されるものではなく、杖本体が松葉状等に形成されていてもよいことは勿論である。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、杖の使用者が歩行の際にグリップを握ったときは、グリップの長手方向軸線)が使用者の親指を除く四指と手のひらとで形成されるループの軸方向とほぼ一致するので、使用者が連続歩行した場合であっても、使用者の手首に大きな負担がかかることはない。その結果、長時間使用しても手首が疲れにくく、歩行しやすい杖が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る杖の正面図である。
【図2】図2は、発明の一実施形態に係る杖の一部断面要部拡大図である。
【図3】図3は、従来の一般的な杖の正面図である。
【図4】図4は、従来のプラットホームタイプの杖の正面図である。
【符号の説明】
10・・・杖
11・・・杖本体
12・・・脇当部
13・・・石突部
14・・・上端部
15・・・矢印
16・・・グリップ
19・・・凹部
20・・・凹部
23・・・グリップ本体
24・・・被覆部材
25・・・先端部
26・・・仮想軸線
27・・・歩行方向
28・・・貫通孔
29・・・窪み部
30・・・窪み部
Claims (3)
- 歩行の際に使用者の脇が当接される脇当部が上端部に設けられた杖本体と、
杖本体に設けられ、歩行の際に使用者が把持するグリップとを備え、
グリップは、杖本体に対して歩行方向後方に突出するように突設されており、且つグリップの仮想軸線が歩行方向に対して角度θだけ上方に傾斜されており、
角度θは、0<θ≦45°(degree)である杖。 - 上記杖本体のグリップが設けられた部位の近傍であって、使用者がグリップを把持したときに使用者の指が当接し得る部分に、凹部が形成されている請求項1記載の杖。
- 上記杖本体のグリップが設けられた部位及びその近傍を被覆する弾性部材が配設されている請求項1又は2記載の杖。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2002
- 2002-11-27 JP JP2002343558A patent/JP2004173916A/ja not_active Withdrawn
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